06/12/13 がん対策の推進に関する意見交換会 第2回議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             佐々木(内線2945)     小 山(内線2946) 第2回 がん対策の推進に関する意見交換会 日時 平成18年12月13日(水)9:00〜12:00 場所 虎ノ門パストラル「葵の間」 ○武田室長 それでは定刻となりましたので、ただいまより第2回がん対策の推進 に関する意見交換会を開催させていただきたいと思います。  それでは以後の進行を垣添座長、よろしくお願いします。 ○垣添座長 皆様、おはようございます。委員の皆様方には早朝からお集まりいた だきまして、まことにありがとうございます。また、本日はたくさんの患者団体の 皆さんも早朝からお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。  本日は患者団体等からヒアリングを実施するということになっておりますが、大 変時間が限られておりまして、きょうは1団体5分ということで、まことに申しわ けありませんが、よろしくお願い申し上げます。その後、一括しまして質疑及び意 見交換を行う予定にしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは議題に入ります前に、事務局から資料の確認及びヒアリングの進行方法 について御説明いただければと思います。 ○事務局 はい、では御説明をいたします。本日の資料でございますが、議事次第 のほかに、資料1といたしまして、ヒアリング実施団体提出資料の束でございます。 それから、それに加えまして一枚、日本すい臓がん患者会のものが一枚紙でござい ます。それから資料2といたしまして、今回ヒアリング参加しておられます団体の 概要でございます。資料3といたしまして、来週の第3回の意見交換会のヒアリン グ実施団体の一覧でございます。  また、本日のヒアリングの方法でございますが、19団体に御協力いただいており ます。なお、日本すい臓がん患者会につきましては、御都合がつかなかったため資 料提出のみとなっております。  ヒアリングの進行方法ですが、団体名のアイウエオ順で発表していただきます。 なお、血液情報広場・つばささんは、本日が相談日であることから少々おくれられ るために発表上変更しております。パワーポイントの使用に関しましては事務局で 操作いたしますので、そのままお席でお話をいただきますようお願いします。スラ イドを変更する場合には合図をお願いします。なお、パワーポイントを御自分で操 作されるとお申し出のあった団体につきましては、順番が来ましたら発表者席に移 動していただきお話をしていただきますようお願いします。また、お一人5分程度 でお話をしていただきたいと存じます。終了の1分前にベルを1回、終了時にベル を2回鳴らさせていただきますので、進行に御協力をお願いします。  なお、ここでカメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力のほどよろし くお願いします。以上でございます。   ○垣添座長 はい、どうもありがとうございました。それでは患者団体等からの意 見を聞かせていただきたいと思いますが、アイウエオ順でイデアフォーからお願い します。   ○イデアフォー  よろしくお願いします。5分間ということなので、かなりちょっと、申しわけな いんですが早口でしゃべってしまうかもしれませんけれど、わからない点は後で資 料をごらんいただければと思います。では、始めたいと思いますので、よろしくお 願いします。  がんと言われた患者に必要なものといえば、正確かつ詳細な情報、正しい診断、 全国どこでも受けることができる標準治療、それに加えて患者とコミュニケーショ ンできる主治医、それから再発・転移したときに期待できるよりよい治療というこ とになります。  さて、その情報ですけれど、情報は患者の要請や理解度に応じてさまざまな形で 提供されるべきです。ネットユーザーと、そうでない患者との格差というのは大変 大きなものがありますが、そういう差がないような配慮が必要と考えます。そのた めには何があるか。重要な情報は冊子などにして、がん診療を行う病院または薬局 などに置く。あるいは得られる情報の種類と場所をリストにしたものを、パンフレ ットなどにまとめて患者の目につく場所に設置。そういう形で、だれでも、どこで も手に取れるものにして患者は自分で、あるいは周囲の人間の援助での情報収集が 可能になります。  そして、病院を選ぶ上では、どの病院で、どのような治療が行われているかとい うことが重要な情報ですが、そのためには全国一律のがん登録制度があった上での 正確な情報というのがなければ、ランキング本と何ら変わりないものになってしま います。データの収集法、解析方法の解説を添えて治療成績を公表してほしいとい うように考えています。  また、がんの診断を受けるということが最初にあります。そのときに、まず乳が んの場合には結構この辺で突っかかってしまうんですが、全然、専門医でない人の 診断を受けて、そのまま見逃される例というのがたくさんあります。ですから、ま ず一般開業医に対してがん初期診断の定期的な研修を奨励するという形を考えてほ しいと思います。  また全国どこでも一定水準の治療が受けられる、標準治療が受けられるというの は最低限のことですけれど、日進月歩の医療に関して医師が学んでいるかどうかが とても重要だと思います。医師の研修、医師免許の更新と医療提供側の姿勢を示し てほしいと思っております。  また、日常の生活圏においてがん患者にはいろいろな悩みもあります。病院のみ では支えきれない部分がありますので、その点は社会福祉施設、訪問看護ステーシ ョン、薬局などもがん患者を援助する役割を担ってほしいと考えます。  先ほど申し上げましたがん登録ですけれど、がん医療の水準を客観的に評価でき るデータは今のところ存在いたしません。それを得るためには前述のとおりがん登 録が必要なはずです。それは全国すべてのがん患者にかかわるがんの診断治療の経 過、及び結果等のベースがなければ正確な情報とは言えないと思います。それを実 現するためには、患者、一般市民の理解と協力が不可欠ですが、個人情報保護法と 長年にわたる情報隠しによる医療不信というのがありますから、それが阻んでいる と思います。情報の透明性を高めて、それを伝えていく努力が医療提供者・行政側 に望まれています。  また治療の選択肢として臨床試験への参加が多く言われておりますが、私たちは それは誤った誘導になりかねないと危惧しております。臨床試験は目の前の患者の 治療を目的として、その人に最善の治療を施すのではなく、その疾病の治療として 最適なものを将来の患者のために見極めようとするのが目的であるはずです。治療 の一環であることのみを強調するのは著しく信頼関係を損ねるものであると私たち は考えます。また、協力者が法的に保護され、参加に伴う不利益が最小限に保たれ ることがわかって、初めて患者側の協力は可能となります。しつこいようですが、 研究と治療の区別はいかなる場合も明確に示される必要があると私たちはいつも述 べているんですけれど、この辺をきちんと実行していただきたいと思います。  そして、この件に関して、がん情報サービスの臨床試験のページは不十分だと考 えます。実験を目的とすることが第一に明示されるべきである、ということは今ま でお話をしたとおりです。それで厚労省の治験活性化プロジェクトともかかわって くる問題ではありますけれど、臨床試験・治験の概念を常に正しく伝える姿勢がな ければ信頼関係というのは持てないんですね。とにかく実験であることをあいまい にしないでほしい。臨床試験が人体を用いた化学的な実験であることを理解した上 で被験者として協力するのでなければ、いつまで経っても医療と行政側、患者・市 民側との信頼関係は成り立たないのではないでしょうか。  医療の主役は患者です。患者が変われば医療は変わるとイデアフォーは活動して きました。患者が望む治療をするという医師も増え、患者主体の医療が実現されつ つあると感じてはいます。しかし一方で、患者の情報収集力による治療の格差も問 題です。賢い患者でなくても、だれでも、どこでも、同じように、平等に、公平に 情報を得られるべきだと考えます。情報についても均てん化が重要課題だと思いま す。患者が望む医療の実現にはがん医療の水準の向上が不可欠となりますが、その ために私たちの努力や協力も当然必要です。医療に関する情報提供のあり方がそれ を助けてくれると考えます。結果のみではなくて、その根拠を示す形での情報提供 でなければ信頼に足りるものにはなりません。正直に、正確な情報を、隠さずに、 端折らずに出してほしいと思います。どの部分が必要か、必要でないかは私たちが 考えます。患者はこんなことを知らなくてもいいんじゃないか、わからないんじゃ ないか、ということは余計なお世話というのは失礼ですけれど、そういうことはし ていただきたくありません。患者が多少背伸びをして勉強することを促す情報提供 のあり方が、医療に関して深く考え理解できる患者を育てることになると思ってお ります。医療提供者、医療政策の立案者もそのことを理解し、情報操作なしの情報 提供を心がけていただくよう望んでいます。ありがとうございました。   ○垣添座長 どうもありがとうございました。かなりたくさんの御指摘をいただい たと思います。では続きまして、がん患者団体支援機構、お願いします。   ○がん患者団体支援機構   おはようございます。よろしくお願いします。  私たちがん患者団体支援機構は今年9月3日より2回のシンポジウム、1回の勉 強会を重ねた中で患者としての意見をまとめてまいりました。まだまだ偏った意見 ではございますが、これからの共同のスタートとしてまとめましたのでお聞きくだ さい。  今回の意見はあらかじめがん対策推進室からいただいた資料、がん対策の推進に 関する意見募集に基づいてまとめました。お手元の資料をパワーポイントにしまし たので、ごらんください。では、始めます。  1.がんの予防について。一般の方に、がん予防の知識を啓発する方法を工夫し ていただきたい。どこででも手に入るパンフレット、リーフレットなどを使った継 続した周知が必要と考えます。  次です。2.がんの早期発見について。お手元の資料は乳がん検診に偏ってしま いましたが、乳がんに限らず検診の充実を訴えたいと思います。がん検診のあり方 に関しましては、リスク別の検診内容にするなど工夫が必要と考えます。また、自 治体間格差解消のために国としての基準を示し、さらにがん検診の重要性が必要な 人に届く工夫が大切であるとの意見がございました。  次です。3.がんに関する専門的医療従事者の育成について。がんセンターにお ける腫瘍内科医、腫瘍専門医の育成を進める中で、腫瘍専門医等の各自治体間での 連携を視野に入れたプログラムを望みます。  次です。4.がん医療にかかわる医療機関について。これは3点申し上げます。 まず、国立がんセンターの今後についてでございますが、独立行政法人化すること により国としての医療充実のための研究予算が削減されるのではという懸念がござ います。2点目は、都道府県がん診療連携拠点病院やがん診療連携拠点病院の徹底 周知でございますが、相談する場所があるということを含めた情報が、いつ、だれ が見てもわかる工夫が必要と考えます。3点目は、各医療施設に患者による病院評 価制度があると患者の声が反映されやすいのではないかと考えます。  次です。5.がんに関する情報の提供体制についてでございますが、パンフレッ ト等インターネット以外の方法を充実させてほしいという意見と、国立がんセンタ ーのがん対策情報センターと各拠点病院の相談窓口との連携などの機能面での工夫 も必要と考えます。情報内容としましては、専門家の有無や治療成績などが必要だ と思います。また、開業医への情報提供のあり方も工夫していただきたい。さらに、 既存のがん対策情報センターでの内容検討にモニター制度を設けることを提案しま す。  次です。6.がんに関する相談及び支援についてでございますが、これは電話を利 用した方法がさらに充実できないかということと、官と民との連携システムの提案、 また各がん診療連携拠点病院での相談窓口の充実として、相談支援の専門家の育成、 メンタルケアの充実、加えて各がん診療連携拠点病院と地元患者会との連携への支 援でございます。  次です。7.手術療法について。これは手術件数に関してとなりますが、各施設 での種類別、年間手術件数の公表をしていただきたい。  次です。8.抗がん剤療法についてでございますが、治験に関する情報提供の均 てん化を望みます。  次です。11.その他のがん治療法につきましては、8と重複しますが、各自治体 ごとに治験、未承認薬使用に関する申し込みセンターを設置していただきたい。あ るいは、国立がんセンター及びがん診療連携拠点病院にそのシステムを設置してほ しいということでございます。  次です。12.がん登録についてでございますが、がん登録は正確な情報としての データベース化を図るために必要欠くべからざるものです。そこで早期の法制化を 望みます。また、ドクターの負担軽減と記載事項充実のため、がん登録士を育成し 患者の背景など記入事項の充実を望みます。  次です。13.がんに関する研究についてですが、代替医療についても触れないの ではなく、正確な情報提供を望みます。  次です。14.その他でございますが、医師不足解消のためにも、人的資源活用の ためにも、未就業の女性医師現場復帰のための再教育システムがあるといいのでは ないでしょうか。また、終末医療としての在宅ですが、社会環境との関連を考慮に 入れた充実を望みます。  最後に、がんを隠さなくてもいい社会の実現のために、がん関連イベントなどへ の支援をお願いして、がん患者団体支援機構の意見とさせていただきます。御清聴 ありがとうございました。   ○垣添座長 どうもありがとうございました。続きましてがん患者と家族・遺族の 会「どんぐりの会」、お願いします。   ○がん患者と家族・遺族の会「どんぐりの会」  どんぐりの会です。当会はがん患者・家族・遺族の会で、来年20年を迎えます。 当初から毎月定例会を持ち、会員同士の語り合いを何より大切にしてきました。今 回14のテーマの中から患者の生の声を集めて要望を提出いたしました。要点を述べ ます。  1.予防については、発がん性のある危険なものを規制していただきたい。特に 禁煙対策を望む。2.早期発見について。特に進行の早い若年層が検診すると、具 体的利益があるとか、あるいは一定年齢で義務化するなど、誘導的な、あるいは半 ば強制力のある実効的な制度をつくっていただきたい。3.専門的医療従事者の育 成については、私たちの会で患者本人に「あと1週間です」とがん専門病院の医師 が告げられ、そして1週間後に亡くなりました。医師の言葉は非常に重く、患者へ の配慮と対話に欠けている医師が非常に多いと思います。ぜひ改善のための研修を 行ってほしい。4.医療機関については病院内の横の連携を確立してほしい。大規 模病院でさえ情報の共有と、それに基づく連携が余りに不備と感じることがありま す。5.情報の提供体制については、インターネットだけでなく電話、FAX、面 談など、きめ細かい情報提供と相談窓口、どこに住んでいても最適な治療法が得ら れる体制を望みます。6.相談及び支援については、銀行等ではフロアサービスの 人がいますが、病院では告知を受けた直後頭が真っ白状態の患者・家族へのフォロ ーがありません。これは医療サービスの一大欠点だと思います。早急に支援体制を つくってほしい。もう一つ、支援の方法を専門家から患者へというような一方通行 ではなく、患者会を積極的に活用するようにしてほしい。  7.手術方法については、手術より負担の少ない優れた療法があるにもかかわら ず、手術しか勧めない現状に対して患者が選択できるように最善の治療方法の普及 を強く望みます。8.抗がん剤療法については、期待されるような未承認抗がん剤 を早急に認めること。また、抗がん剤治療に詳しくない外科医がずさんな化学療法 を行っている現状の早急な改善を望みます。10.緩和医療については、同じ病院内 に垣根をつくらない緩和ケアを切望します。積極的治療法がなく、家庭で過ごす末 期患者について全身状態の改善と精神的ケアのできる腫瘍内科医と家庭医の充実を 望みます。特に家庭医の技術向上を切望します。11.その他のがん治療について、 治療法が間違っていて「がん難民」と言われる患者に対し苦情受付窓口を開放し、 事実関係の調査と当該医師への是正勧告・注意などの救済措置を希望いたします。  12.がん登録については、当会の定例会で賛否を取りましたら、90%の会員が賛成 ということでした。14.その他について、当初の治療が終わった後の再発・転移・ 予防の治療のケアが全くないということで、そこを充実してほしいと思います。  以上、よろしくお願いします。   ○垣添座長 どうもありがとうございました。続きましてキャンサーネットジャパ ン、お願いします。   ○キャンサーネットジャパン  おはようございます。よろしくお願いします。キャンサーネットジャパンです。  私どもは純粋な意味で患者会というものではなくて、構成が医療者、それと医療 消費者である患者さん、その他、さまざまな者がかかわっております。  次をお願いします。私どもの沿革ですけれど、米国のNCIが提供しているPD Q、あるいはそういう米国全国民に発信されている情報を、当時は冊子でやったわ けですけれど、それの翻訳から始めて、非常にニーズが高いということで、現代表 の南雲と理事長の吉田が数名の医師とスタートいたしました。そのときに掲げた目 標は、「患者中心の医療の普及のため」ということで、現在ではもう当たり前のよう に使われるようになったセカンドオピニオンとかインフォームドコンセント、EB Mと言われるような科学的根拠に基づく医療というものであります。これらは既に 言葉としての普及はなされました。  次をお願いします。今回、「がん対策基本法」という、「がん」にスペシフィック な領域・疾患について法律ができるようになりました。ここに書かれていることは、 実は医療者のサイドから見ると当たり前のことを、そのまま文章にしたものが法律 になったわけです。  クリックをお願いします。しかし、実際には今まで3団体の御発表がありました けれど、十分に普及されていないという背景があります。それで、私どもは今まで の活動と、がん対策基本法の基本理念とをマッチした形で官民が協力して活動をと もにしていくということを重要と考えています。  次をお願いします。それで、私ども自体はそのミッションをそのままがん対策基 本法の言葉を柔らかく、わかりやすく、医療者・患者、その他のステークホルダー に分かりやすい言葉で設定しています。  次をお願いします。具体的には、今挙げられた問題というのは恐らく第1回の患 者大集会ぐらいから、問題の存在、問題がどういう状況であるかというのはもう周 知の事実になっているかと思います。それで、今回がん対策意見書を求められまし たけれど、14に渡る問題点については、既に文書で送付させていただいておりま すが、これからは実際にそれをアクションに移す時代に入ったというように強く認 識しております。スライド左側に示すものは、実際にオフサイト、現地で関係者が 集まった議論を進めるようなミーティング、それと右側に示すものがオンサイト、 すなわちネット上での情報ということで、これまでも指摘されていつように患者さ んは、内田絵子さんの調査によると大体20%ぐらいしかネットにアクセスできない ということです。それとシンポジウム等では余りにも一般的過ぎる情報ということ で、個別の対応をするところも出てくるということで、そういうものも計画してお ります。  次をお願いします。それで最後にビジョンですけれど、最も大事なのですが、ど ういうあるべき姿を描くかということで、ここが一番の問題だと思うのですけれど、 この領域にかかわる医療者、がんセンター等でもそうであると思われますが、医療 者が非常に疲弊しているというか、何も頑張っていないということではないと思う 訳です。  次をお願いします。これはM.D.アンダーソンの上野先生が「チーム医療」という のをここ4〜5年よく取り上げて、がん患者大集会なんかでも言葉として取り上げ られていますが、チーム医療は我々の理解としては、今まではグループAのいわゆ る医療者が提供するものでありますが、現実には米国等ではさまざまな方々、職種 というのががん医療にかかわっておりまして、それぞれの役割に応じて、そこが全 体的にチーム医療、がん医療に参加するという位置づけを持たないとなかなか進ま ないというように考えております。  次をお願いします。それで、具体的に、手術療法等のスペシフィックな提言は、 既に提出している意見書の方を是非見ていただきたいと思います。  次をお願いします。日本においては、がん患者団体とか、サポートグループが経 済的に自立していないという問題があります。  次をお願いします。今後、がん医療対策を進める上で、いわゆるサードパーティ としての団体アクティビティを高める必要があると思います。  次をお願いします。これは意見書には書きましたけれど、患者団体・サポートグ ループの活動を加速させるためにも、あらゆる経済的サポートというのを、国とし て、国家としてぜひ考えていただきたいというように思っています。よろしくお願 いします。どうもありがとうございました。   ○垣添座長 ありがとうございました。次にグループ・ネクサス、お願いします。 ○グループ・ネクサス  NPO法人グループ・ネクサスです。述べたい論点は多くございますが、時間が 限られていますので、本日は血液疾患にかかわる患者団体として4つの論点に絞っ て意見を述べさせていただきます。  まず1つ目の論点です。悪性リンパ腫に対する標準治療として、R−CHOPと いう多剤併用化学療法がございますが、地方では血液内科医が不足しているため、 血液疾患の化学療法を熟達していない他科の医師が不適切な化学療法を行い、患者 さんが治癒の機会を奪われるという悲劇が繰り返し生じています。また、このR‐ CHOP療法の「R」は一般名がリツキシマブという抗体療法薬ですが、保険適用 で認められた使用法が標準治療と一致していないという現実がございます。R‐C HOP療法は内外の専門家によって標準治療と認められていますので、保険償還こ そ認められていますが、ここには標準治療と国内保険適用との乖離という現実が未 だに存在しています。  学会が出しているガイドラインはこのように多くありますが、学会が国から特に 有利な施策を受けているというわけではございませんので、適宜なアップデートも 難しいという実情がございます。米国のようにNCCNが治療の標準化や均てん化 を担っているという例もございますので、国内でもガイドラインや保険審査の基準 として活用するなどして治療の標準化と均てん化を進める必要があると考えていま す。  2つ目の論点に入ります。悪性リンパ腫の年齢調整罹患率はこのようにほぼ横ば いで推移すると予想されています。しかし現状では血液内科医は慢性的に不足して います。地方では5年以上入局がないような医局もあり、このまま行けば現在の小 児科のような状況になり得ると考えられています。一方で、腫瘍内科医に対する期 待の高まりがございますので、大量化学療法などに熟達している血液内科医が腫瘍 内科医としての役割を期待され、いわゆる固形がんの治療を行うことがふえていま す。その結果、人員の不足している血液内科医がさらに多忙になり、血液疾患の患 者にしわ寄せが来ているという実情がございます。腫瘍内科医制度の健全な発展も 含め、例えば人員の数値目標を設定するなどして医師の適正配置のための施策を行 っていただきたいと考えます。  3つ目の論点です。外来化学療法には生活の活動性の維持などの長所もございま すが、通院の負担や副作用への対処など短所もございます。例えば、白血球をふや すG‐CSFを投与するに当たって、海外では在宅自己注射が認められていますが、 国内では投与のため感染症にかかるリスクを犯して頻繁に通院しなければならない という実情もございます。DPCの導入などにより入院治療から外来化学療法にシ フトしていますが、現状では人員の不足している状況で外来化学療法を行っていま すので、治療を受ける患者さんに対するケアが絶対的に不足しています。その結果、 大きな不安の中で孤独な闘病生活を余儀なくされる患者さんがふえています。情報 や相談支援センターの拡充とともに、患者団体とも連携していただくなどして、少 ない人員の中で患者さんに対する効果的なサポートを行っていただきたいと考えて います。  4つ目の論点です。特定の細胞を標的とする抗体療法薬がありますが、これに放 射性物質を抱合します。すると、このように抗体が発現している腫瘍細胞のみなら ず、その周辺の腫瘍細胞にも抗腫瘍効果が得られるという放射性免疫療法薬がござ います。具体的には「ゼヴァリン」という薬剤があり、国内未承認薬使用問題検討 会議での勧告を経て、現在は国内承認申請中です。この薬剤は投与前に院内での調 整が必要となりますが、現状では多くの医療者の協力が必要で、医療者の負担が極 めて大きいという現状がございます。米国薬剤師会の管理する認定薬剤師制度では、 腫瘍薬学や核薬学などの専門職の認定をしてきたという経緯がございます。国内で も日本病院薬剤師会によるがん専門薬剤師などの認定が行われていますが、核薬 学・専門薬剤師の創設など、専門薬剤師制度のさらなる拡充が医療者の負担減と適 切かつ安全な治療につながると考えます。  以上となります。当法人に御意見をお寄せいただいた患者さん、医療者の皆様に この場を借りて感謝します。御清聴ありがとうございました。   ○垣添座長 ありがとうございました。次に高知がん患者会「一喜会」、お願いしま す。 ○高知がん患者会「一喜会」  おはようございます。高知がん患者会といって、地域のがん患者会なんですが、 きょうはちょっと意見交換会の資料を渡したんですが、私も毎日考えていまして、 がん患者はますます増えてきていますので、これをいかにして増えないようにする かと言えば、早期発見、早期治療なんですが、PETを健康保険に取り込めないだ ろうかと。それで、PETが今はすごく高いんですね。治療以外の場合には保険適 用にはなっていませんので。それをすればかなりの早期発見になり、治療するとか なり治癒していく人が多くなるんじゃないかということを一つ提案したいなと思っ ています。  それからあとはインフォームドコンセントなんかも本当に地域では十分なもので はなくて、患者側は常に不安とか不満、不信を募らせています。その中で皆さんは 不平不満が、今は相談窓口が高知にはちゃんとしたものがないんですね。それのた めに患者会の方に毎日多くの相談が持ち込まれます。それで、考えますに十分な説 明がない中で、説明をしてあげれば一応患者さんというのは落ち着くんですね。そ れでまた次の不安が出てくるんですけれど、第一段階の不安というのはそれで大体 落ち着いて聞いてもらえるんですが、そこがまだなされていないということ。それ で一人の患者さんに、私はよくセカンドオピニオンなんかをやるときに必ず同行す るんです。そうして同行して、先生から話を聞いて、後で患者さんに噛み砕いて話 をすると、あっ、そうなんだ、ということがわかるんですね。それだけ患者は理解 していないんです。自分の病気のことについて。かといって勉強もしていないんで す。だから不安なんです。そういうシステムが、各地域に医療コーディネーターの ような方が同行してくれる人がいるとか、それから相談しながら前に進んでいく部 署のようなものがあれば患者はかなり違ってくる。精神的なことも。  それで地域は地域で、できる範囲のことをしなければいけないと思います。地域 医療のおくれというのはかなりありますけれど、また地域で改良されるべきことは たくさんあって、ただ病院自体が、医者自体が時間がなくて、そのまま走り走りの 説明をしている。それで「わかりましたか?」とお医者さんが聞けば、患者は「わ かりました」と必ず言うんですよ。わかっていないんですよ。その中に不安がもの 凄くあって、その不安が死に連携しているからちょっとノイローゼぎみになったり するんです。そこのところがわかってあげれば、説明してあげればいいんですが、 その中を医者と患者の仲を取り持つ何かがあれば患者はかなり違ってきます。今の ような不安とか不信はなくて、道しるべをつくってあげれば。そういう医者と患者 との真ん中を取り持つ何かを地方につくってほしいと。そうすればかなり違ってく る。  東京なんかは、インターネットといっても、都会なんかは知らないけれど、高知 なんかで、うちの患者さんなんかでインターネットをしている人はほとんどいませ んから、だから文書で書いてあげるとか、口で説明してあげるんですけれど、なか なか理解できない。そこを何とか厚生省の方でお力添えをいただけないかなという のが、かなり逸れましたけれど。済みません、私は時間を短くしますので、よろし くお願いします。   ○垣添座長 ありがとうございました。次に、声を聴き合う患者たち&ネットワー ク 「VOL‐Net」、お願いします。   ○声を聴き合う患者たち&ネットワーク「VOL‐Net」  よろしくお願いします。乳がん患者のセルフサポートグループ、「VOL‐Net」 です。国の医療政策はパターン化、モデル化をして効率的な支援策を模索していま す。その中で今回の医療制度改革もあると理解していますが、がん医療の視点が欠 けているというのが患者としての実感です。乳がんは40代後半が好発年齢で、20 代、30代も珍しくありません。仕事、育児、介護など現役の社会生活を営みながら の治療、あるいは治療後の復帰を視野に入れた対策が必要です。  国のがん対策は医療の枠の中だけでなく、生活も含めた社会全体の仕組みづくり をしてほしい。そのためには高齢者医療や生活習慣病対策とは別に、がん医療、が ん患者支援の位置づけを明確にする必要があります。しかし、がん医療のモデルが ないため保険、地域、福祉、医療、さらには企業、個人がどう役割分担するか方向 性が見えない状態です。  かつてのがん治療は手術中心、病院という枠の中だけで語られ、本人に告知され ることも多くはありませんでした。つまり、がんという病は隠される存在であり、 がん医療の問題というものも社会的には認知されなかったと言えます。このような 状況の中では医療以外の関与の余地はありませんでした。この数十年で状況は変わ りました。特に乳がんは他の部位のがんに先行して、例えば本人への告知も早くか ら行われてきました。予後も長いです。まだまだ十分とは言えませんが、少なくと も医療という枠の中では手術以外のさまざまな分野が関与するようになってきてい ます。  今こそがん医療のモデル化が必要と考えます。モデル化のためには、まず生活を 含めた実態を明らかにする必要があります。がん患者が辿る経過を類型化し、そこ から各フェーズに必要なサポートを洗い出し、現行制度で不足するもの、医療がカ バーすべきもの、医療以外でカバーすべきものを顕在化させる。調査には各部位ご とに患者会が協力すればさほど困難なことではないでしょう。  私たちVOL‐Netは自分たちの必要性から乳がん治療のフローチャートとい うものを作成しました。まだ初発治療のケースのみですが、乳がん患者の多くがた どる経過を軸に、どんな重要ポイントがあるかを明らかにし、情報収集の手段など をナビゲートしたものです。  以下、私たちがフローチャートを作成したり、聴き合いの会の活動から見えてき た項目をいくつか挙げさせていただきます。緩和についても在宅医療が叫ばれてい ますが、家族が看護のために離職した場合の生産性の低下など、在宅に伴う社会全 体の負荷を検討すべきでしょう。平成16年7月に出された終末期医療に関する調査 等検討会報告書は非常に的確な内容であると思いますが、どの程度施策に反映され ているのでしょうか。緩和外来や施設の充実など、報告書に示されているニーズの 反映を望みます。どこで、どんな治療が受けられるのか、基準や公平性、正確性な どの議論も大事ですが、決着を待っていたらいつまで経っても情報公開は実現しま せん。できるところから始めてみることが必要と考えます。  がん登録については真に実効性のある制度を望みます。そのためには医療機関に 義務化したり、既存のマンパワーに頼るだけではだめです。住基ネットの二の舞に ならないよう、適切な手法の確立、セキュリティの確保、十分な広報で国民のコン センサスを得ることが必要です。  患者調査によれば、がんの総患者数は128万人。これは骨折や胆石などありふれ た疾患と比べても非常に多い数字です。腫瘍学と緩和医療はすべての医師に必要な 基礎知識と位置づけるべきでしょう。保険適用は県によって取り扱いに差があるの が現実です。例えば、閉経前に使う薬で閉経させ、閉経後適用の別の薬を使用する という手法などは可否の判断が異なるそうです。きちんとガイドラインと連携し、 都道府県の自主性と医療の均てん化が矛盾しない制度を望みます。  高価な検査機器や特定の専門医などは拠点化が必要であり、単にふやせばいいと いうものではないと思います。しかし検査は拠点病院で、普段の診療は近所で行う と高額療養費で不利になるという実態があります。病診連携を進めるのであれば高 額療養費の計算方法を考慮すべきと考えます。正しい知識があれば悪化させずに済 む場合もあります。がんに対する思い込みや偏見や誤解をなくす必要があります。 予防や検診の啓発以前に、自分の身体を正しく理解するという学校教育が必要でし ょう。  がん対策の着実な推進のためには医療者が疲弊していては話になりません。医師 の多忙が原因のコミュニケーション不足で患者を難民化させないでください。勤務 医の過酷な労働環境が誤診、医療ミスの温床にならないようにしてください。何と ぞよろしくお願いします。ありがとうございました。   ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして島根県がんサロンNETWOR K、お願いします。   ○島根県がんサロンNETWORK  おはようございます。大変短い時間でございますので、論点を絞った形でお話を したいと思います。  昨年、元「癌と共に生きる会」の会長でいらっしゃいました佐藤均さんの意向を 受けまして、島根県は非常に長いわけですけれど、佐藤さんの奥さん、あるいは西 部で納賀さんとか、東部で私とともに平成18年、今年の2月に県の健康福祉部に対 して23項目の意見書を提出させていただきました。その中で、各地でがん診療拠点 病院に患者のサロンの設立を一つ大きな問題として、そして患者の代表を県と病院 長会議に参加させていただくのが大きな主題となっていました。  その結果を受けまして、今年の8月25日にそのことが実現されて、県独自のがん 登録の実行やさまざまな医療情報のホームページ掲載等、合意することができたわ けでございます。それ以来、国のがん対策基本法の成立に基づいて、島根県のがん 対策推進条例も全国に先駆けて成立することができたわけです。そういう形で、現 在は各サロンが拠点病院はもちろんですけれど、現在では10カ所発足することがで きてきたわけです。  地域の医療相談室、緩和ケア委員会のメンバー、あるいは医師とか看護師、薬剤 師の協力を得ながら患者の心の悩みであるとか、あるいは経済的な悩み、告知の問 題であるとか、セカンドオピニオンの問題、医師との問題など気軽に相談でき大変 喜ばれておるわけです。一部のサロンでは女性専門の日を設けて、術前の不安な時 期を同部位の先輩諸氏にアドバイスを受け、不安の解消に非常に役立っておるわけ です。乳がん等の女性特有のがんで、具体的に部位を見せながらさまざまな問題の 解消や、男性医師に理解されない症状などを話し合いながら、共感し、納得し、安 心しているようです。また、緩和ケア病棟で終末期に向かい悲嘆のどん底にある患 者さんも、医師の誘いでサロンに参加され、別の患者さんの悲嘆を聞きながら自分 の状況を話し、共感し合い、自分の生きがいを感じ、看護師研修などにも参加され て、酸素吸入をつけながら御自分の様子、意見を述べられ、大変感動を受けたわけ でございます。このようにサロンの役割は病院の相談室より敷居が低く参加しやす いので、そのつなぎ役として十分に役立っているわけでございます。また今後の役 割として、院内の緩和ケア委員会に参加したりとか、あるいは病院の運営委員会な どに参加できれば、さらに開けた病院になるように思うわけでございます。   以上のように地域のがん診療連携拠点病院には患者のためのサロンはぜひ必要で すので、設置を努力目標として設置されれば国として助成措置をぜひ考えていただ きたいと思います。  地方での大きな問題は、過疎の地域に行けば行くほど医療機関を選ぶ選択の自由 はないということです。医療のレベルも違い、治療方法の低いレベルの治療を選択 せざるを得ない状況。検査機器、あるいは治療機器もおくれていて、放射線専門医、 あるいは画像診断専門医もほとんどいないので誤診が多く、本格的に最先端治療を 受けようとすれば旅費を使いながら最先端医療をしている病院に出向くしか方法が ありません。手術や治療を終え、14日過ぎると退院を余儀なくされ、3日後に通院 治療を言われれば自分でホテルを確保しながら通院しなければならない。がん医療 の均てん化の促進に照らしても明らかに問題となる点だと思います。サロンでの訴 えの中でこのような問題はかなり重要な部分を占めておるわけです。これまでの制 度が都会中心での施策に偏っているように思えますので、このような地域の人々の 交通費・宿泊費の助成等を考慮されてもいいのかなと思う次第です。  医療後進県の共通の問題として、優秀な医師、看護師の流出は共通の問題であり、 そこにがん患者の不満があるわけです。国としてこの点に十分に配慮して、何らか の施策を講ずるよう強くお願いするものです。御清聴ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に市民のためのがん治療の会、お願いし ます。   ○市民のためのがん治療の会  市民のためのがん治療の会の會田でございます。まず第一点目に大きな枠組みと して予算について申し上げたいと思います。  政策を実行するためには人・金・物・情報・時間等々のファクターが必要かと思 われますが、その中で最も重要なのは財政的な裏づけでございます。役所のレベル で言えば、いわゆる予算です。予算の問題については一般的には自明のこととして こういう場では議論されないんですが、先ほどイデアフォーの方からちょっと触れ ていただいたと思いますが、実はこれが最重要の事項ではないかと私は思っており ます。予算がなければ、今まで開陳していただきました各団体からの御提言も、私 がこれから申し上げますこと、それから続いてお話をいただくようなことについて も、これは全く絵に描いたモチになってしまうわけでございます。それで我々が取 り組まなければならないことは、予算が必要だということについてまず明確にして おきたいと思います。  2点目は、日本のがんの変化と、それに伴う治療法の変化、その必要性などにつ いて申し上げたいと思います。まずは量的な変化でございますが、これは御承知の とおり依然として増加傾向に歯止めがかかりません。しかし、注目すべきは質的な 変化であります。これも御承知のとおり、アジア型の感染症型のがんから欧米型の がんに変わっております。ということは、欧米の標準治療が日本でも適用されるべ きであると考えられます。左バッターが多いから左ピッチャーをぶつけてやろうと いってずっとやっていたら、いつの間にか右バッターに変わっていたということで は、これはポカスカ打たれてしまう。だから、ピッチャーも変えないわけにいかな い。欧米の標準治療というのは今までどなたからも放射線の「ホ」の字も触れられ ませんでしたが、治療法の第一選択として放射線治療が半分以上であり、アメリカ などは7割近いということは、これも皆さんよく御承知のとおりだと思います。そ れで患者の要求は従来国際標準治療として認められている薬や薬の使い方を認めて 欲しいと申し上げておるわけでございますが、当然治療法の選択についても国際標 準治療を私どもは受けたいということでございます。ところが外科医というピッチ ャーは10万人以上おられるんですけれど、放射線治療医というピッチャーは、ここ のところで40人ぐらい増えたようですが、600人以下。これでは将来、放射線治療 を受けたくても受けられない放射線治療難民とでもいうような患者が出現すること になりかねません。  さて3番目ですが、放射線治療の均てん化ということについて少し申し述べたい と思います。従前より、国はがん治療の均てん化について取り組んでこられまして、 私どももそういうことについて御協力をしてきたところでありますが、3大療法の うちの手術は、こういうことを申し上げますと語弊があるかと思いますが、いささ か乱暴ですがお許しいただければ、包丁一本さらしに巻いてどこででもできる。ま た化学療法もお願いすれば薬屋さんがすぐ持ってきてくれる。ところが放射線とい うのはそういうわけにいかない。治療の装置が必要でありますから、どこでも治療 できるというわけにはいかない。放射線治療というのは装置プラス人的資源に依存 するタイプの医療でございますから、重点施設へ高度先進治療機器と人的資源を集 約することと、緩和医療などにもっと積極的に放射線治療を適用するために、リニ アックなどの広範囲な配置と機器の更新をしたりすることが重要であろうかと思い ます。  また地域がん診療連携拠点病院で放射線治療ができない施設もあります。こうい うがんの根治治療の可能な放射線治療という標準治療ができないところが地域がん 診療連携拠点病院というような指定を受けているということは、私ども消費者問題 をやっている者から見ますと、これは不当表示でありまして、これは指定を取り消 すべきだと私は思います。  4番目には、がん登録法です。これについても皆様すでにお触れいただきました が、私はあわせて電子カルテの標準化も進めまして、この点をきっちりと進めてい ただきたいと思います。先日、アメリカの学者が、日本ではがん登録のような基本 的な制度を整理しないでいろいろな議論をしているのはナンセンスだ、というよう なことをおっしゃいました。基礎をおろそかにしてあれこれ議論するのもおかしな 話だと思います。それでプライバシーの問題等々、先ほど来お話がございました。 そういう問題があればこそきちんと法律を定めて、早く法的な規制を整備すべきで あると、そのように私どもは思っております。終わります。 ○垣添座長 ありがとうございました。次にジャパン・ウェルネス、お願いします。 ○ジャパン・ウェルネス  ジャパン・ウェルネスです。初めにお話をさせていただきますが、ジャパン・ウ ェルネスは米国ウェルネスコミュニティの日本支部であります。アメリカでは25年、 対応としてはがん患者さんとその御家族の心のケアということがテーマであります。 この概要が書いてありますけれど、大体毎日、月曜日から土曜日まで、月間平均で 150名いろいろなプログラムに参加いただいておりますが、ここで少し御記憶を最 後までしておいていただきたいことがありまして、収支のところで大体2千万規模 の予算です。そして今、企業は71社とありますが、きょう現在は74社になってい ますが、あとの510名は個人ということの寄付者、援助者というところで維持され ております。それから会員分布のところで、86%は関東圏内というところ、この数 字をちょっと御記憶いただいてお話をさせていただきたいと思います。  次をお願いします。私どものシステムというのは、実はウェルネスコミュニティ のプログラムというものを導入するに当たって、平成10年から12年の科学研究費 で私どもの理事長である竹中が日本でこれが導入可能かという研究を進めてまいり まして、その結果を受けて2001年に立ち上がりました。そして、ここにありますよ うながん予防、がん医療でがん患者のサポートというときで、適切なときに、地域 の適切なところで患者会等により必要な人にというところがモットーで活動してお りますが、先ほど示したように私どもの事務所が東京にしかございませんので、関 東圏の方に86%しか提供できていないという現実があります。  次をお願いします。これはこのたび成立しましたがん対策基本法というところか らの図になりますが、「ジャパン・ウェルネス」と大きく書いてありますが、別にあ そこはウェルネスでなくても患者会でも構いません。私たちが考えるには、患者会 というものの立場、あるいは私たちのような患者支援団体というものの位置づけを しっかりしていくべきであろうと。アドボカシーとしてこのたびのがん対策基本法 を成立するに当たってまでのいろいろな社会制度に対する提言であるとか、法律に 対する市民の声を届けたりとかそういう活動をされる患者会と、一方でエンパワー メント、患者同士が支え合っていこうという患者会というものと、それ以外にも先 ほどいろいろ活動されていましたけれど、コミュニティとして皆様で地域で活動し ていこう、あるいは患者の疾患部位ごとに活動していこう、いろいろな活動がある かと思いますが、そういうものがすみ分けしていくと。それで私たちとは、ここに ありますが、ヒューマンウェアとして私たちは医師、歯科医師、看護師、臨床心理 士、ソーシャルワーカー、その他専門家のスタッフ構成でサービスを提供しており ます。そういうことで、ヒューマンウェアとして何か支援が、社会と協調していけ ないだろうかということが今現在の課題です。これは地域への拡大のためにも、ま た質の向上のためにも必要であろうと考えます。今現在、実線で結ばれているとこ ろは現に関係があるというところで、点線が今後そういうところとも活動をともに していって社会に還元する必要があるだろうというところです。  次をお願いします。現実的に今、場所がないという、関東圏にしかないというこ とで、関西であると京都大学、それから企業と協力してインターネットを介したサ ポートシステム、これは3Dの空間のチャットシステムです。それからセカンドオ ピニオンに関しても、テレビ電話会議システムというものを企業の協力で使ってお りますが、やはり先ほど来から報告がありますように、インターネット環境という ものが揃っていないと。そういう中ではなかなか難しいであろうと。そうするため には、一つは我々のようなファシリテーターというものを地域で育成していく必要 があるであろうと。それは看護師やソーシャルワーカーに限らず、がんサバイバー であると。そういうことで質の標準化を図ることが必要ではないかと。もう一方で、 財政基盤を安定するために認定NPOのような、企業が支援しやすい形を目指す必 要があるのではないかと考えます。  次をお願いします。それからこれは現状なんですが、エントリーレベルというと ころの教育のファシリテーターのキャリアパスというところに関しましては、13年 から16年の科学研究費でファシリテーター育成の評価が完成しております。しかし、 指導家ということが限定されますので、地域で独立してサポートできる標準化され たサポーターというものを育成する必要があるだろうと思います。  次をお願いします。現状がこの枠ですけれど、中の四角い枠が現状のサービス内 容です。それを今後、拡大していく必要があるであろうというように考えます。そ のためには患者教育をして、がんの知識を向上させ、がんサバイバーががん患者さ んをサポートしていく。それが各地域で展開されることが望まれると思います。  次をお願いします。ここにありますように、サポートとエデュケーションという ことで将来的にHOPEという希望が生まれるであろうというように考えます。2 つの課題です。サポートの拡充ということで、地域に拡大するための認証、それか ら研究の助成、そしてファシリテーターの育成、さらに患者さんたちがそういう独 自のサポートしていけるための標準化、質の均質性というものを持つための教育と いうものが必要ではないかというように考えております。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に終末期医療を見つめるリフォレスト、 お願いします。 ○終末期医療を見つめるリフォレスト  こんにちは。森勇香と申します。まず、『モラルを与えたまえ』ということで、「『終 末期』にまつわるあれこれ1」をお願いします。終末期医療を見つめるリフォレス トは、安楽死・尊厳死の法制化を阻止する会に加わっておりまして、現在は「良い 死!研究会」となっております。ここは生命倫理、医療倫理、死生観、現在は脳死 臓器移植のことで話題が豊富です。会の発足時から参加し、尊厳死・安楽死の「法 制化」に反対してまいりました。  次「『終末期』にまつわるあれこれ2」をお願いします。厚生労働省難治性疾患克 服研究事業というものがありまして、毎年、研究発表されていますが、今年(H18) の1月、演題48「尊厳死と自己決定権」の結論としまして、「法制化によらず」と いう文言が入りました。その後に脳死臓器移植に対して保険が適用になりました。  次をお願いします。「『終末期』にまつわるあれこれ3」、9月には終末期医療の初 の指針が出まして、医療チームが患者さんの意思を踏まえて治療について文書化す るということになりました。  次をお願いします。少し話は飛びますが、「生体移植について」です。がん患者が かかわる移植としては血液疾患に見られるような骨髄移植、末梢血管細胞移植、臍 帯血移植があります。臍帯血移植にドナーはいませんが、当会では生体移植技術の 向上と更なるドナー保護を求めていきます。  次をお願いします。「脳死臓器移植について1」です。生命倫理によると脳死臓器 移植とは間接的に人の命を奪って自分が生きることになります。  次「2」をお願いします。現行の臓器移植法でも脳死臓器移植はされています。 それしか延命方法がない患者さんからその手段を奪うということは、人としてでき ないことです。ただ、当会としては賛成という意思表示はできない。なぜかという と、脳死判定基準があいまいであるという点です。改正案には血流、脳血量に言及 した案も出ているようですが、まだこれからだと思います。何よりも臓器不足、慢 性的な臓器不足の解決方法はどこから出てくるのかという問題があります。解決し ない問題ではないかと。  次をお願いします。「がん患者遺族から見てはてななこと」です。素朴な「はてな」 です。末期の概念ですが、6カ月。これは何だろうと思って、何か治験と絡んでく るのかなと思ったりもしています。がん患者に人工呼吸器の装着、脳死があるのか と思っていましたら、射水市民病院の問題が浮上してまいりました。それから、が ん患者はドナーになるのだろうかと思っていましたら、宇和島の問題が浮上してま いりました。がん患者はレシピエントになるのかについては、生体ではあり得ると いうことです。  次をお願いします。「がん及び終末期にまつわる事件とモラル」ですが、アメリカ のテリ・シャイボさんの事件に関しましては、一度州法(フロリダ)で決められて しまうと大統領の権限も及ばないという法律悪のいい例ではないかと思います。そ れから、射水市民病院に関しては、もしかしたら人工呼吸器というのは地域格差の 最たる表れなのではないかと思っております。次の宇和島問題、これはモラルです ね。特に病気腎移植では医師のモラルが問われていると思います。生命保険の買取 の問題ですが、うちの会が相談を受けまして、ケア・マネージャーが患者さんのQ OLをあげるためにアドバイスしております。今後も続きます。社会の縮図のよう な事例です。  次『緩和と介護をよろしく』です。「緩和医療・緩和ケア・介護1」、やはり苦痛 なく心豊かに暮らしたいと皆さん思うはずです。治療の初期から緩和を必要としま す。心のケアに関しましては基本になるものは何でもいいと思います。何でもあり だと思います。気持ちが救われることが大切なのですから。キュア(治療)につい ては、だれが一番麻薬剤を必要としているかということをもう一度よく考えていた だきたいと。初期がんなら、とるという方法もあると思います。そうではなくQO Lを高めてあげるべき人たちがそうあるように是非よろしくお願いいたします。  さらにターミナル・セデーション等いろいろありますが、「緩和医療・緩和ケア・ 介護2」をお願いします。一番最後の看取りの場としての医療ですが、例え国民皆 在宅介護になったとしても、いつの時代にも、公立のホスピス機能を必要としてい る患者さんはいます。末期ということで、介護保険が適用される3つの機関につい て考えてみました。参考までにお伝えしますが、ケアマネの話によると、介護老人 保健施設の方たちから「自分たちが看取りの部分を担っていかなければいけないの ではないか」という話が出ていたということです。以上、ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に千葉・在宅ケア市民ネットワークピュ ア、お願いします。   ○千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア  おはようございます。ただいま御紹介にあずかりましたNPO法人ピュアの藤田 と申します。ほかに日本ホスピス・在宅ケア研究会理事、千葉県がん対策戦略プラ ン検討部会の委員になっております。  次をお願いします。WHOでは緩和ケアを、患者と家族に対して、疾患の早期か ら、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を改善するアプローチとして導入しな さいと言っております。現在、緩和ケアは入院を基本とし、主として末期の患者に 対して看取りのための病棟として存在します。緩和ケアチームは主治医が判断しな ければ、その存在すら患者にはわかりません。これからは症状マネジメント、疼痛 技術の相談・研修機能、そして外来での緩和ケア提供体制、緩和ケアチームの役割 拡大をお願いします。患者の声に耳を傾け、患者にとって何が一番いいのか一緒に なって考える、患者の自律を高めるケアが必要です。患者と家族への精神的ケア、 身体的・経済的問題の対処、初期診断からQOLを重視した治療を選択できるよう に、そして在宅医療との連携も必要です。  次をお願いします。千葉県では既に患者へのヒアリングやアンケートをしていま す。「診断時の痛み」として、不安や恐怖など精神的なことが6割、そして痛み・副 作用・後遺症などの身体的苦痛が続いています。医師の中には最初から痛みは存在 しないという方もいますが、診断時から痛みは存在します。この「悩みの相談」は、 家族が7割受けています。「医療機関への要望」は診療や治療後に患者にもっと説明 してほしい、そして医療機関の情報の開示、日常生活等に関するさまざまな生活指 導を望んでいます。そして「行政への要望」として、がん情報やセカンドオピニオ ンなど相談窓口の充実、そして家族ケアも望まれています。  次をお願いします。これはリンパ浮腫です。子宮がん、乳がんに起こるリンパ浮 腫ですが、むくみで通常の2倍以上になった手や足でも、その治療にかかわる医師 やセラピストは少なく、約15万存在する患者は海外では有用性が認められている複 合的理学療法を保険で受けることができておりません。これが今の日本のがん医療 です。  次をお願いします。患者が望む情報提供としては、もっと患者にわかりやすいも のを望んでいます。がん対策情報センターでは、例えば骨転移があったときゾメダ や骨セメントなどは出てきません。送り手が伝えたい情報ではなく、患者が望む患 者本位の情報を提供してください。そして学会、医師会、病院はガイドラインを作 成し、公表してほしい。例えば所属医にアンケートして、ガイドラインの治療が可 能な病院や医師をホームページ上で公表したらどうでしょうか。3大治療だけでな く、緩和医療の技術、在宅医療の知識を習得してほしい。特に下の方に書いてあり ますが、疼痛除痛率を全医療機関で80%以上にしてほしいと望んでおります。  次をお願いします。千葉県では在宅緩和ケア支援ネットワーク指針をつくり、県 とNPOピュアが2003年に在宅緩和ケア資源調査を行っております。病院から始ま り、診療所、看護、福祉、NPO、ボランティアなど、6,754件にアンケートに送り 2,566件から回答をいただいております。このアンケートの調査票作成を利用者の視 点で行っています。緩和ケア技術や在宅支援、経験、24時間体制などを入れており ます。  次をお願いします。診療所1,014件のデータです。「往診をしていますか」は、実 施しているが32%で約3割、「24時間体制」、「訪問看護との連携」は約2割です。 でも「必要に応じた緩和ケアを実施」は1割にも満たない。  次をお願いします。在宅緩和ケアの充実に向けて、病院の緩和ケアチームと緩和 ケア病棟は、地域と連携を図る試みを推進してほしい。岩手県北上市は医師や訪問 看護、行政、市民などが一体となって取り組み、がん在宅死率が20%となっていま す。山口県山口市も緩和ケア外来の隣に在宅緩和ケア支援センターを設置し、約4 割が緩和ケアを受けて亡くなっています。  次をお願いします。これからのがん医療ですが、診断時から切れ目のない緩和ケ アの導入、患者の視点を取り入れた情報提供、初期診断や再発時の十分な説明を、 心理的・社会的サポートへの診療報酬上の評価を、地域医療や在宅緩和ケアの充実 を望みます。アウトカムの評価を導入し、患者の満足度を入れて、患者のQOLを 重視した医療を展開してほしいと望んでいます。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして日本がん患者団体協議会、お願 いします。   ○日本がん患者団体協議会  日本がん患者団体協議会の山崎と申します。本日は国民の望むがん医療の未来図 を最初に描き、そこから日本の現状を把握し、両者の隔たりを埋めるどのようなこ とができるか具体的な提案をしたいと思います。  まず、患者さんの悩みとして、どの病院に行けばいいかわからない。現状は医療 機関を選ぶための質の良い情報が十分に提供されていないからです。未来図として は、医療機関に関する情報により比較検討ができるようになる。  自分はがんかもしれない、そういう患者さんの悩みに対して、現状ではかかりつ け医に相談すると、様子をみましょう、と言われるケースがとても多い。正常な診 療・診断ができるようになり、適切な医療機関に紹介されるようになればプラスに なります。  患者さんはがん情報についてとても情報がほしい。現状ではがん医療に対するE BMに基づいたデータの整備が行われていません。患者さんが必要な質の高い情報 が、いつでも、どこでも、無料で簡単に手に入るようになればいい、それが未来図 です。  自分のがんについてとても勉強したい。しかし、現状では正しい情報に基づいた がんについて学ぶ機会がほとんどありません。未来として、正しい知識により不安 が解消し、治療等選択を助け、患者さんが参加して意識が向上すればプラスになる と思います。  現状ではベッドの空き待ちで入院できない、3時間待ちの3分診療、いつも病院 は混んでいて、必要なときに必要な治療がスムーズに受けられない。それが未来で は、病院の混雑が緩和され、スムーズに医療が受けられるようになります。  医者の説明がわからない。話の内容が難しくて理解できないまま説明が終わって しまう。説明の時間がとても少ない。それが、病気の説明や診療方針などをわかり やすく説明してもらい、納得して医療を受ける、自分で勉強する機会がふえる、こ れが未来図です。  今の医療が最良なのかわからない。今受けている医療が自分にとって最良なのか 全くわからない。納得してがん医療を受けられるように、そういう正しい情報を提 示するシステムが必要だと思います。  病院に通うのがとても大変なので、定期検診や薬をもらい行くのがとても大変で す。病状が急変したときがとても不安だ。こういうのは医療機関の連携により通院 に関する負担が減る。これが未来図です。  がんの痛みがなかなか取れない。痛みを訴えても何も対策してくれない。未来で は緩和医療に関する知識が広がり、痛みの管理ができるようになります。  世界標準の薬で治療ができない。日本では未承認の薬が承認されるまでにとても 時間がかかります。エビデンスがあるにもかかわらず適用外の薬があって、標準的 治療が受けられないケースもあります。未来は科学的根拠に基づいた医療ができる よう、承認システムが改善されるでしょう。  そこで基本となる考え方は、EBMに基づいた情報の提供と患者さんの参加です。 今の問題を解決するために4つに分けてみました。予防、診断、治療、ターミナル ケアです。まず予防ですが、がんになる人を減らすために、一次予防として一番大 きなターゲットがタバコです。例えばタバコ税の増税とか、喫煙者の保険利率アッ プ、これは自動車保険のようなリスク細分型、タバコを吸っている方々の保険料を 上げる。欧米では1960年代からリスク細分化で保険料が変わっております。二次予 防としては検診率のアップ。企業への義務づけ、これは労働基準監督庁がチェック するのでもいいでしょう。それで一次予防と同じく未検診者の保険率を変化させる。  それにプラスして、診断の有効性をチェックすることも大切です。診断ですが、 近所の病院に行って、もう少し様子をみましょう、と言っている間に病気が進んで しまう方がたくさんいる。また、それが不安でドクターショッピングをしたり、い きなり地域の拠点病院に行って、拠点病院が混んでしまう。そこで地域の病院でし っかり判断ができるような、そういうシステムをつくる必要がある。また、そうい うがんを早期に発見してくれた係の先生に対してはインセンティブをつけるのがい いかもしれません。  治療です。未承認薬適用外、診療ガイドライン、治療成績の公開。患者の教育、 これはパンフレットの作成とか、患者さんに学ぶ機会の提供。チーム医療、これは 簡単に言ってしまうと、これまで一人の医師が治療方針を決めたのを、外科医、放 射線腫瘍医、腫瘍内科医の3人で協議して決めてくださいと。  地域医療との連携。これは地域拠点病院というのはそこだけで提供できる高度な 医療を提供する場です。ですから、最初から最後まで患者さんはそこにいる必要は ないと思います。あくまでも最先端の医療を提供したら地域に戻す、こういう仕組 みが必要なんじゃないでしょうか。  最後に、ターミナルケアですが、ここにいろいろ書いてありますが、実際、緩和 ケアの専門医が行くと85%の痛みが取れるそうです。ところが、大学病院、地域の 拠点病院ではそれが30%、50%と差があります。そういうところをはっきりさせる ためにも除痛率の情報を収集してそれを公開する、そういうことが大切だと思いま す。以上です。ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きまして日本乳がん情報ネットワーク、 お願いします。   ○日本乳がん情報ネットワーク  日本乳がん情報ネットワークの久保と申します。  私どものNPO法人は昨年の9月20日に都の承認を得まして、まだ1年ちょっと 経ったばかりでございます。活動の対象としておりますのは、医療従事者を前面に 出しまして、あと一般の方も含めてと、そういう感じになっております。それで活 動の中心というか、やっていることは乳がん治療に関する情報に限定しております。 携わる人たちが非常に忙しい先生方が多ございますので、情報に限定しております。 それで情報提供は2つございまして、ガイドライン、先ほどからガイドラインと言 われておりますが、これはアメリカのNCCNの全面的な協力を得まして、乳がん 治療に関するガイドラインと、それから補助療法に関するガイドライン、両方を今 年度は大体8件ぐらいを翻訳してネットに掲載する予定にしております。  そのほか今年度からセミナーというか、研究会というのをスタートさせまして、 来月の1月早々から始まるわけですが、これはNCCNガイドラインの策定したメ ンバーをこちらにお呼びして、それでごく少数の人数、対象は先生方に限っている わけですが、厚労省、それから日本乳がん学会、これの認定していただいた病院の、 しかもその病院の中で病理、外科、それから腫瘍内科、放射線、緩和ケアと5つの 専門の先生方に分類して、テーマごとによって御案内を差し上げて来ていただいて 研究会をするという仕組みになっております。来月は外科と放射線、それと緩和ケ ア、これは疼痛に限っております。次に疼痛以外をやろうと思っておりますが、疼 痛に限ってのみであることにしております。  こういうことをしますのは、先生方の医療のレベルを早く欧米に追いついてほし いということで始めたわけでございます。10月に私どもはシンポジウムをいたしま した。これは取り上げましたのは非浸潤がんだけだったんですが、それのアンケー トをいたしました。約1万件と言いますから、大体、乳がん患者さんの1/4ぐら いだと思うんですが、その1/4、1万件のうちの1割ちょっと、1,200人近く、こ れが非浸潤がんなんですが、その方たちにアンケートを取りまして。それから同じ 項目で、韓国のコリアン・キャンサーセンター、それからナショナル・ソウルユニ バーシティのプレスセンター、そこからも取りました。かなりいろいろ差がござい ます。それで何をやりましても先生方のレベルがアップしていただけませんと絵に 描いたモチになってしまいますので、ここで切実にお願いしたいのは先生方のレベ ルアップ。薬を、新薬が来てもそれがハンドリングができないとどうしようもない。 システムをつくっても箱づくりに終始してしまうようではどうしようもない。その ように痛感して、少数の先生方と一緒に手を携えてやっております。  まだ4回しかやっておりません。いろいろな催し物を。でも、リピーターの先生 方がいらっしゃる。それから地方の先生が結構いらっしゃる。それから35、36〜40 代前半の先生がいらっしゃる。これは大変うれしいことに思っております。お役所 にお願いしたいのは、何よりも先生方のレベルアップに御尽力いただきたいと、そ ういうことでございます。ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に脳腫瘍ネットワーク、お願いします。   ○脳腫瘍ネットワーク  よろしくお願いします。最初にお断りしておきますが、私たちの会はこの4月か ら活動を始めたばかりで、会員が100名をようやく超えた段階であり、まだ組織固 めの段階の中です。まだ不十分ですが、私たちの今の段階での思いを小さなという か、まれながんの一つとしてお聞きいただければありがたいと思います。  これまでなぜ脳腫瘍の全国的な会がなかったということは、それだけ患者の数も 少なくて、また脳腫瘍の予後が大変悪く、患者自身の活動がかなり厳しかったせい もあると思われます。  脳腫瘍の現状なのですが、脳腫瘍と一くくりされますけれど、実はその中に100 種類以上にも分類されます。それで、できた部位、細胞の種類や小児と成人によっ て異なります。また、総患者数の中で成人の半数が悪性でありますが、良性と言わ れましても実は予後が大変悪いというのが脳腫瘍の現状となっております。  脳腫瘍の治療というのは、外科的な手術、放射線治療、化学療法という3種類の 基本的な治療を、それぞれの脳腫瘍の種類によって組み合わせながら治療に当たる のですけれど、患者数が少ないこと、それから当然それに伴い医師の数も他の腫瘍 に比べて大変少ない。そのために未だにそれぞれについての標準的な治療が確立さ れておりません。そのために本来はそれぞれの専門家の意見を組み合わせた集学的 治療が望まれるのですけれど、実際には個々の病院や医師の判断に任せているとい う現状があります。私たちにとってはどこでも確実な治療が受けられるように標準 的な治療の確立と、それを実際に実現していく脳腫瘍専門医の育成、それからそれ らをより身近な地域で受けられるようなシステムの確立が全国で行われるというの が何よりも望みであります。  これらを実現していくための要望として、まず1点目は脳腫瘍患者が必要とする 医療情報の確実な提供です。先ほどから情報がいろいろ話題になっておりますが、 個々の脳腫瘍の標準的な治療がどのようなものか、現在、脳外科医の方でも進めら れている作業を早急に実現していただきたい。その支援をお願いしたいということ です。ケースとして少ない脳腫瘍の場合は、私たちは何を一体頼っていいのかわか りません。そのような会員などの声がたくさん寄せられています。治療方針を決定 するのは患者だというように言われていますけれど、決定するための判断材料であ る確実な情報が余りにも少なければ、それは絵に描いたモチだということになりま す。私たちにとっては標準治療を知った上で治療を受けたい、選択したいというの が切なる願いです。  現在、進められている標準治療の確立のために努力されているということはお聞 きしますが、一刻も早く実現していただき、ぜひ正確で患者や家族にとって必要な 情報の提供を全国各地の拠点病院から、できればあらゆるところからですが、得ら れるように情報センターの質を高める働きかけを要望します。また、患者会である 私たちも何らかの役割分担ができればと思います。  もう一点は拠点病院にかかわる問題です。これは私たちにとっては脳腫瘍の専門 医の確保というように言いかえてもいいかもしれません。先ほどお話をしたように、 治療情報が余りに不足しているため、全国でも少しでも治療が良いと思われる病院 や医師を探しまくっています。あるいは地域の病院で医師から言われたまま治療す る、そのどちらかになってしまいます。県単位の拠点病院が実現すればありがたい のですが、まれな脳腫瘍ですから専門医が果たして確保できるかという不安があり ます。拠点病院ができればよいというのではなくて、拠点病院で治療に当たること ができる脳腫瘍の専門医の育成を国レベルで早急にお願いしたい。小児脳腫瘍でも は小児科や内分泌など他の専門医との連携が必要であったり、あるいは放射線や抗 がん剤の専門医などの連携に集学的治療が必要になります。脳腫瘍の手術の適用と するために十分に努めていただくというのは当然ですけれど、これらを集約して治 療を進めていくことができる医師が育てられるシステムを確立していただいて、そ の医師が各拠点病院にいらっしゃればどれほど心強いかと思います。時間がかかり ますが、その礎に向けた具体的な施策をお願いしたいと思います。それまでの間も 患者は次々に出ますので、少しでも個々の脳腫瘍の専門的な治療が行われるように、 県単位を超えた拠点病院同士の連携による治療が可能になるように柔軟な対応をお 願いします。  地域の中で病気が発見され、拠点病院で集学的な精神的な治療がなされ、再び地 域で、家庭のそばで、暖かい雰囲気の中で治療が継続できることが私たちの望みで す。そのためにもそういうケアが大事になります。  私たちの会としてもそのネットワークづくりに何とか努力をしていきたいと思い ます。印刷物では実現されているけれど、実際の病院では、あるいは地域によって ばらつきがあるというようなことがないように、よろしくお願いします。 ○垣添座長 ありがとうございました。続きましてNPO法人ブーゲンビリア、お 願いします。 ○NPO法人ブーゲンビリア  乳がん患者会8年目の活動中をしています。議論より実践の時代ということで、 医療費の抑制と削減につながるプログラムを提言します。日本のがん患者数は急増 していますが、現在、がん患者を取り巻く環境はとても満足できる状態ではありま せん。医療消費者団体COMLの患者一般、医療従事者、学者、メディアのアンケ ートによりますと、「医療にどんな充実が図られるべきか」という問いに、「患者の 心理的不安などに関するサポートをしてほしい」が79%。「医師などへの要望や苦 情を間にたって聞いてくれる者の存在がほしい」が63%。「家族に対するサポート がほしい」が47%という患者の声がありました。  今夏、アメリカの医療施設を視察しました。がん先進国のアメリカでさえ、「がん という病気は、一人に十分な診察時間を設けていても、診療時間だけでは問題を解 決できない、時間をかけ、患者の不安、様々な問題に対応する必要がある。それは、 医師だけでは不可能である。」との報告を聞きました。現代では、がんという病気は、 生活習慣病、またその積み重ねによる慢性病のひとつとも言われています。治らな い治りにくい病気と定義されると益々患者自身が主体的に医療に参加したり、生活 をコントロールしたりとがんと長く深くつきあっていくことを余儀なくされていく こととなります。今までのニーズモデル的な医療から、患者の視点、患者の期待に 応えられる医療、デマンドモデル医療の時代に突入しているのですから、このよう な視点からみましても、医師、看護師、コメディカル等を増やすことが急務ですが、 現実的ではありません。  乳がんサバイバーが新規のがん患者にとってよりよい医療を受けるため、乳がん 体験者コーディネーター養成講座を1年間実施しました。三つのステークホルダー (医師、医療コーディネーター、患者会)と共に乳がんサバイバー乳がん患者の心 理面でのサポート、相談、傾聴、主治医とのつき合い方、患者と医師との橋渡し役 を果たしました。、養成講座を開催して1年を経て、患者をサポートすることにより 良い成果が出ています。患者の漠然とした不安解消を和らげ、精神的な安定をもた らし、不眠解消、食欲不振解消をもたらし、前向きに病気と向き合う事ができるよ うになりました。それによって受診回数の抑制、無駄な検査の抑制、不必要な投薬 の抑制に繋がりました。  一定の研修を受けた者に体験者コーディネーターとして認定制度を設けてほしい。 幾つかの民間や大学でも関心を持ち、このような講座を開設すると聞いております。 質の担保を図れた講座を終了した者にはカウンセリングのアシスタントとして診療 報酬が得られるような制度的な支援をよろしくお願いします。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。続きましてリンパの会、お願いしま す。 ○リンパの会  リンパの会代表の金井です。リンパの会はリンパ浮腫が医療者の中でほとんど省 みられなかった約18年前、1989年から活動を始め、治療方法やセルフケア、心の ケアなど多くの患者の要望を担い、きょうまでリンパ浮腫治療を患者の側から支え 続けてきました。リンパ浮腫の患者は、ただむくんでいるだけと見られがちですが、 痛みはもちろんのこと、資料にもありますようにリンパ浮腫の患者が日常的に苦し み悩んでいること。また、その悩みや苦しみが一生続くことを知っていただきたく て、このアンケート結果を皆様に配らせていただきました。  では、がん対策の推進に関して意見を述べさせていただきます。いろいろ重複す ることもございますので、的を絞って発言させていただきます。まず、がんの予防 とがん検診について。乳がんの検診率アップと啓蒙・啓発に対して国家的戦略とし て取り組んでほしいと思っております。検診や啓蒙が国民の関心が集まり、運動が 広まり、未病の人や初期段階で見つけることができるような取り組みを、患者も含 めてアイデアを出し合い取り組みを考えてほしいと思っております。  私は乳がん患者の会にも所属しておりますが、来年1月に千葉県で高校3年生の 女子を対象に、乳がんの啓発・啓蒙の出前講演をいたします。命の限界などまだ考 えたこともないような生徒に、いかに自分の健康を考え、最も女性がなりやすい乳 がんに対してどう向き合うのかを伝えたいと思い計画いたしました。千葉県の対が ん協会から20体の乳がん検診モデルと検診用のDVDをお借りして、視覚と聴覚、 触覚に訴えて少しでも乳がん患者を減らし、あるいは初期段階で見つかるようにと いう願いを込めて取り組みを行いたいと思います。国でも早急にがんの検診と啓 発・啓蒙についての検討会を立ち上げたり、また教育の場で自分の健康について考 える時間を取り入れていただくように文科省と連携して考えていただきたいと思っ ております。  次は抗がん剤療法について。アメリカでは40年前に登場し、今では治療の中核を 担う腫瘍内科医が日本でもようやく登場しました。がんの研究は分子レベル、遺伝 子レベルでの解析により急速な進歩を遂げており、それを標的にした抗がん剤の種 類もふえ、投与法も多様化しており、化学療法も専門科が避けられない状態にある と思います。専門知識が生かされる場の提供を、まず大学病院や各がん拠点病院が 考えていただきたいと思います。日本でも手術した外科医の手を離れて、抗がん剤 専門の科にかかりたいという思いを持っている患者さんは多いと思います。  次に緩和医療です。がんと言われたその日から緩和医療が始まると言われ始めて きました。リンパ浮腫は緩和医療で取り組まなければならない多くのことが含まれ ています。末期のがん患者で、多くのがん種でリンパ浮腫が発生し困っているとい う電話相談を受けております。保険の点数がつかない病気だということで、患者さ えも大した病気ではないと安心し過ぎて重篤な状態に陥る患者さんが後を絶ちませ ん。リンパ浮腫の患者の多くは、自分の生活圏内で医療識者の支援がほしいと願っ ています。がん医療には後遺症や合併症がつきものですので、リンパ浮腫を初め後 遺症・合併症の冊子を全国のがん拠点病院につくって置いていただくようお願いし ます。  また、がん患者の教育をする場が必要だとも感じております。がん患者の教育を して医療財政がどうなっているかもつかんでいただいて、無理な要求、際限ない要 求はだめだということも知らせることが必要だと思っております。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。次に血液情報広場・つばさ、お願いします。 ○血液情報広場・つばさ  11ページが私の発言内容になります。11ページの上の方に、済みません、私がき ょう話したいことは、やはり情報センターができるのであれば、何らかの形でコー ルセンターをぜひつくるべきだという話になります。  私は今、自主的に電話相談を受けております。血液がんについての電話相談です。 始まりは、研究班と一緒の作業でしたが、現在は5千件に至っていますが、経済的 背景は自主運営ということになっています。それで傾聴するということが基本だと いうことになります。  ちょっと急ぎますので、どんどん飛ばしていきます。これが私の息子です。それ で骨髄バンク運動が私の行動の始まりでした。日本中を周って骨髄バンクが必要だ というように訴えてまいりました。厚生省にも何回も行きました。署名は77万人分 集めました。  その途中でアメリカに行きまして、息子のための患者登録をしたんですが、その ときに、これは何を言いたいかというと、現地でもいろいろな取材を受けました。 そのときにある女性記者さんが、アメリカまで来た母の思いをもう一言話してくだ さい、と言ってくれて、取材の最後でしたが。そのときに、あっ、自分の思いを語 るということはとても気持ちのよいことで、明日への勇気が本当に湧いてくるもの なんだな、というように思いました。自由に話していいんだ、と思った瞬間でした。 母という当事者であることも自覚した瞬間。それ以来、いつかは後輩のために何か しなければいけない、と思いながら来た次第です。  当事者というのは、つまり、がん患者になったとたんに、お願いします、ありが とうございます、お見舞いに来ていただいて済みませんと、こういう言葉ばかり言 うようになるわけですね。息子は自主移植を受けて永遠に去って行きました。それ から情報を患者さんのために提供しなければならないということで、これもほとん ど自主運営ですが、多くの方の協力を得て、先生方の協力を得て情報提供をしてい ます。  これが傾聴の様子です。傾聴の基本は、患者さんが痛い、苦しい、辛い、それは 全部本人持ちなんだから、こちら側からは一切解釈しない、注釈しない。そのうち 楽になります、は禁句。丸ごと受け止めましょうというものです。  短い中ですのでケースを駆け足で御紹介したいと思います。これは急性白血病で 来月移植を受けましょうということになった瞬間に、屋上に出てきた青年が相談窓 口に電話をくれた、その様子です。風の音が聞こえていました。先生から、ついに 移植を受けなければならない、と宣告された青年です。M4というのは急性白血病 の中では化学療法で行けるかもしれないし、ちょっと行けないかもしれないという 大変微妙な判断を迫られるものですが、このような内容です。昨年の夏に診断がつ いたが、お兄さんとHLが一致していた。つまり、ドナーがいたわけですね。しか し自分は化学療法を選択し、8月から11月まで入院治療を受けました。しかし、先 月、骨髄中に白血病細胞が出てきてしまっていて、再発が確認された。大変辛い宣 告をされたわけですね。それで、きょう先ほど、来月の半ばに移植だよということ になった。  というところで電話ですが、ここで「ドナーがいたんだからいいじゃないですか」 と言ってしまったらこの電話はもう終わるわけです。そう、そういうことになった のか、というように受け止めるわけですね。そうするとこの青年は言うわけです。 しかし、自分は初発のときに移植が怖くて化学療法に逃げた弱い人間です。だから 天罰が当たったんだと言うわけですね。本当に判断が甘かった。こんな臆病で甘い 人間に移植が乗り切れるとは思えない。だから罰が下って、自分は死ぬかもしれな い。25歳の青年の言葉です。このときに、そんなことないよ、と言ったら、天罰な んてあり得ない、と言ったらこの話はそこで終わるわけですね。その気持ちを全部 受け止めて、でもね、怖くない人間なんかいないよ、というように言っていくとこ の青年の気持ちはほぐれ、このときはしみじみと泣いて、またかけさせてください、 と言って電話が終わりました。  事例はほかにも申し上げたいんですが、もう時間がないようですので止めます。 ケースカンファレンスを開いて、自分たちの対応が間違いないかと考え続けながら 傾聴しています。禁句と禁忌、先ほどちょっと触れましたので飛ばします。  それで電話をかけてくる人は、あの日の私、あの日の息子です。それで傾聴する 人ですが、これは向こうにいる私も、こちらで電話を聞いている人も、皆一山超え たおばさんです。これが大変使いようがあるということを皆さんぜひ認識してくだ さい。現場で頑張っているおばさんは今夢中ですが、一山超えてだれかのために役 立とうというとき、おばさんたちは社会訓練はできていますから大変使い手があり ますので、この人たちを1カ月ほど訓練しますとすばらしい傾聴員になると私たち は考えています。  患者さんたちに言いたいんです。声呼吸をしましょう。そして、そのときの心を 全部吐き出しましょう。そうすると、ゆっくりと余韻が生まれて、またかけますね、 と言ってくれます。そのときに初めてお医者さんたちの言葉を余裕を持って聞くこ とができると思っています。コールセンターをぜひ何らかの形でつくってほしいと いうことを訴えて私の話を終わります。 ○垣添座長 ありがとうございました。それでは今の血液情報広場・つばさの方の 御説明で一応、患者会等の御発表を終わらせていただきます。5分という大変限ら れた時間にそれぞれたくさんおっしゃりたいことがあったのに、時間を限ってまこ とに申しわけありませんでした。各団体からなるべく多くの意見をお聞きしたいと いうことでこのような形にさせていただきました。おかげさまで非常に多くの御指 摘や御意見をいただいたというように思っております。  今後、約1時間10分の時間がありますので、ただいまの御発表を元にしていろい ろと議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。  非常に広範な指摘、あるいは提案をいただきましたけれど、一つ相談窓口の重要 性、あるいは医者と患者の間を取り持つことの重要性とか、そういう御発言をいた だきました。それから、しばしば家庭医とか開業の先生に相談しますと、様子をみ ましょう、と言われるということの御指摘がありましたけれど、これは日本医師会 の立場で内田先生、何か御発言はありますか。   ○内田委員 これからの医療提供体制、どういう医療を提供するのかというのを考 える上で、今の我々の、私どもは病院関係者もほとんど入っていらっしゃる団体な んですが、特に在宅であるとか、家庭で診るという部分を担う開業医の先生方はほ とんど入っていらっしゃいます。その部分で考えますと、今おっしゃったような御 提言というのは非常に重要な意味を持っているというように思います。要するに、 切れ目のない医療提供ということを考えますと、診断からみとりまでという流れが あるわけですけれど、その中でこれからの医療というのは入院中心の急性期医療と、 お年寄りの療養型という機能分化が行われていたわけですが、これからはますます 病院から在宅へという流れが大きくなってくるというように思っております。  その中で効率的な医療を提供するためには、いわゆるかかりつけ医のスキルアッ プというのが非常に重要になってくると思いますが、現状では疼痛管理であるとか、 在宅栄養管理であるとか、呼吸管理であるとか、いろいろそういう非常に専門的な 部分の医療の提供というのがかなりおくれていますし、それからさらに申しますと、 がん患者に向き合う教育という点でも非常におくれがあるのではないかというよう に思っています。 その辺のところをこれから医師会として、かかりつけ医のスキルアップというのを どういうように取り組んでいくのかというのは非常に重要な課題になってくるとい うように思っていますが、今、日本医師会では学術推進会議という委員会がありま して、そこで高久先生が座長になって、いわゆるかかりつけ医、名称はどういうよ うにするかはまだ決まっておりませんが、かかりつけ医の認定制というようなもの を検討していただいているところです。今後これはどうしても取り組まなければい けない課題であるというように思っています。これは研修を義務化するというだけ ではなくて、ある程度のレベルを保つための再研修であるとか、あるいは自分で行 うテストであるとか、そういうようなものも取り込んだ形での取り組みをこれから やっていきたいなというように思っています。  それからもう一つは、チーム医療が非常にこれから重要になってくるというよう に思っていますので、病診連携、病病連携、診診連携という言葉がありますけれど、 それだけでなくてやはり多職種との連携、薬剤師も6年制になりますとやはりその 辺の専門性もかなり出てくると思いますし、また看護師の方も専門的な教育を受け たいという希望を持っていらっしゃる、そういうスキルを身につけたいと思ってい らっしゃる方が非常に多いというように伺っておりますので、そういう専門的な対 応ができるようないろいろな職種の方と地域で連携を組むということが非常に重要 になってくるというように思っていますので、その辺の取り組みも進めていきたい というように思っています。  ただ、一番大きな問題は、先ほども多少話が出ましたが、やはり財源の問題が一 番大きいというように思っています。医療は労働集約型の産業というように言われ ていますので、ある程度までは人と物と、要するにお金をかけて手厚くすると医療 のレベルも上がるというように考えています。現状では、これが逆の方向に行って、 どんどん切り詰めるという方向に流れていますので、本日はマスコミの関係者もた くさんいらっしゃっておりますし、それから一番こういう面での影響力があると思 われます患者の代表の方もいらっしゃっています。ですから、どういう形にしろ、 だれが、どういう形でお金を出すかという問題はありますが、とにかく今の形で財 源をどんどん切り詰めていけばいい医療は提供できなくなるというのを非常に強く 感じておりますので、その辺のところもよろしくお願いしたいと思います。   ○垣添座長 ありがとうございました。今の予算とか財源のことは先ほどの患者団 体の方からもいろいろ御指摘をいただきましたが、後ほど武田室長にちょっとお尋 ねしようと思いますので、よろしくお願いします。  がん対策を推進していく上での患者会との連携とか、あるいは患者会を積極的に 利用してほしいという御発言も幾つかいただきましたし、コールセンターの必要性、 重要性もお話をいただきましたが、前回、患者代表の立場として海辺委員、あるい は富樫委員からもそういう御指摘はいただいたかと思いますが、きょうのいろいろ な団体の皆さんのお話を聞かれて海辺委員、何か御発言いただけますでしょうか。   ○海辺委員 私は患者会代表の立場でこの席におりまして、きょうこれが開かれる ことになっていろいろな方々の発言が、私はいろいろな方々とお会いして皆様のレ ベルを存じておりましたので、非常にハイレベルな提言が多かったと思って大変誇 らしく思っております。以前は医療従事者の方と患者の声を聞いてくださいという ようなお願いをしましても、どうせ医療従事者がどんなに大変かということはわか らないで、これがしてもらえないと言って責められるばかりだろうというような感 じが、うんと昔はそういう感じもあったんですけれど、先生方に聞いていただいて 患者の言い分ももっともであるというように思っていただけたかなと思って、非常 にうれしく思っております。  それで、きょう出ましたところでは幾つか思いました点では、まず国立がんセン ターとかの役割としては、やっぱりもっと最先端の医療とかを標準化するようなこ とに力を入れていただけたらいいんじゃないかなというように思いました。均てん 化のことを考えたときにも、最先端のものがあそこにあるというのを患者も知って いて、あれがほしいなと思っても、やっぱり医療従事者の方々にどのようにそれを 提供するかという標準化作業がきちんとなされていなかったら、質の高い医療をき ちんと提供するということができなくなると思うので、そういう研究というのが臨 床の現場にどのように提供できるかという研究をもっと力を入れていただけたらい いんじゃないかなと思いました。  それと、がん登録に関しても随分今回出たと思うんですけれど、私はがん登録の 検討会を傍聴していて思ったのは、非常に検討なさっている先生方が現場の先生と いう感じで、あとは研究の先生と現場の先生というそういう双方がやっていらっし ゃって、本当にこの資料を、現場の先生方は自分たちがその登録作業を行うという 観点で検討なさっていたものですから、非常に検討の項目がこんなに細かくなって しまったらできないということで、どんどん大ざっぱになっていってしまっていて、 そんな登録ではどうなのかなというのがありまして、先ほどVOL‐Netさんが、 16ページのNo.3ですけれど、まず登録の場合に住基ネットの二の舞にならないよう にきちんとした整備を先にやって、国民のコンセンサスを得られるようにきちんと した整備をして、それをきちんと広報するというのはぜひぜひ大切なことだろうな と思いました。  あとは緩和の問題もたくさん出ましたけれど、やっぱり提供されている緩和の質 がどうであるのかというのがきちんと測られるべきであって、今は非常に個々のお 医者様の善意とか熱意とかレベルにすごく頼っている部分があると思うので、ぜひ 日本緩和医療学会とか日本サイコオンコロジー学会とかそういうところと医師会の 先生方とがきちんと連携なさって、どのようにしてその質を評価していくかという ようなこともぜひ諮っていただきたいなと思いました。ほかにもあるんですが、長 くなってしまうので。 ○垣添座長 ありがとうございました。富樫委員、また別の観点でいろいろお感じ ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○富樫委員 今、海辺さんのお話を聞いていて、本当に納得、そうだなと思いまし た。それと数ある患者会の皆さんの意見を本当に一つ一つ、そうだ、そうだ、と思 いながら聞かせていただきました。患者は本当に突然患者になるわけで、病院に行 って診断され、病気を言い渡され、病気に対する知識も不十分なまま、今は特に乳 がんの場合には治療は自分で選んでくださいみたいなことを言われます。それで私 たちの方にも、どうしたらいいでしょう、という相談がかなり入ってくるんですけ れど。私たちは患者の立場としてということで、医学的な判断はできないんですけ れど、そういう相談窓口というのをどの会の方もおっしゃっていましたが、早急に 制度化というか、ちゃんとした訓練を受けた方たちがしっかりとしたお答えができ る窓口が早くできるようになればいいなと思いました。  あとは、この短い診療時間の中でやっぱり病状を説明しなければいけないという 先生方も本当に大変だと思いますし、突然言われて、今まで知らなかったような病 気を説明されて、患者としても理解するのは本当に苦労すると思うんですけれど、 それを両方が無理なくというか、多少の困難はあると思いますけれど、今の一般的 な状態よりはお互いに時間も少なく、納得ができるようなパンフレットというかそ ういうものが早急にほしいなと思いました。  それと、今、内田先生もおっしゃいましたけれど、いろいろな在宅とかいろいろ なものでも、いろいろな方との連携プレーというのは必要だなと。多分、皆さんは 患者は患者、医者は医者、看護師は看護師という立場で皆さんおっしゃる部分が多 いなと思うんですけれど、多分そういう違う人たちの立場を考えながらの連携をし ていくと、もっともっと解決できるんじゃないかなと思いますので、それはもっと 違うところで話し合うべきかなとも思います。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。少し話題が変わりますが、腫瘍内科 医、あるいは血液内科医の不足ということも指摘されましたけれど、臨床腫瘍学会 の代表として大江委員、何か御発言はありますか。 ○大江委員 皆さんがきょう指摘されたことはごもっともだと私は思いますけれど、 やはり一番大事なことは先ほどもありましたけれど、今後日本の医療をどうやって、 どの程度の予算をかけて、良くしていこうかということで、財政だと思います。そ れで、まず確かに腫瘍内科医、それから血液内科医等も不足していますけれど、で は医師全体が本当に足りているかというと、必ずしもそうではないと我々は考えて おります。  つまり、今の日本の医療は、病院で勤務している医師が日夜半分ボランティアの ような形で診療しているような現状があって、そのためにどうにか成り立っている。 これを改善するには、根本的には医師の数をもう少しふやさないと、最終的な腫瘍 内科医とか血液内科医の方まで充足するようにはなかなかならないと思います。 ○垣添座長 ありがとうございました。もう一点、門田委員にお尋ねしたいんです が、やはり腫瘍内科医とかの育成とか、あるいはもう一つEBM、根拠に基づく医 療という観点からのガイドラインの作成とかそういう情報の提供が非常に重要であ るという御指摘をいろいろいただきましたが、その2点に関してがん治療学会のお 立場で。 ○門田委員 学会としてということは簡単にはお答えできないんですが、私の個人 的な考え方としてお答えいたします。今おっしゃられた臨床腫瘍医、あるいは腫瘍 内科医の育成は非常に重要と表現をされていますが、これはおっしゃられるとおり だと思うんですね。日本の歴史を考えてみると、そういう講座がほとんどなかった ということが問題になっていますが、なしでやってきたという歴史があるわけです ね。そして最近ではがん治療そのものが大きく進歩してきている。簡単に言います と、昔はほとんど治らなかったものが治るようになってきて、今その重要性が皆さ ん認識されるようになってきている。しかし、医学教育というものがそれに伴って 変わるところまでまだ来ていない。同時に、標榜科というのがありますが、診療科 をどういうように体制をつくっていくかというあたりの課題もあります。従ってこ のことだけじゃなくて、そういうバックグラウンドを含めて大きく変えていく時期 が来ている。そういうことも考えながらやっていく必要があるんではないかと。で すから、今の体制の中で、ここが足りないからそれだけふやすというような小さな 発想ではだめではないかなというように思います。  それから話を変えますが、EBMということについて、これも非常に重要と皆さ んおっしゃっておられます。また学会でも、あるいは個々の医師も、大学教育の中 でも、これは非常に重視しなければならないと思います。今までの我が国の医療と いうものに問題があったということだと思いますね。それで、インフォームドコン セントの話にしてもそうですけれど、まず医師に任すというところから医師のパタ ーナリズムからスタートした我が国の医療が、やっとこの段階になってきて、そう じゃない、自己決定権を優先することも必要。そのためには正しいデータが要ると。 これもおっしゃられるとおりだと思います。  しかし、また一方では、そういう話をしてもなかなかわからないのも事実です。 わかっているような返事をしていても、先ほどもありましたけれど、インフォーム ドコンセントというのはなかなか理解されていないんですね。というあたりのこと を踏まえると、やはりEBMも必要ですし、同時にまたその勉強というか、その内 容を理解できるだけのベースを高めていかなければいけない。これは前回の1回目 のときにも私は言いましたけれど、医師も勉強しています。また患者さんたちも勉 強する。きょうは皆さん勉強されている方ばかりだからそうだと思いますけれど、 一般の方がやはり勉強するという大原則が、長いこと医師のパターナリズムの中に 隠れてきていたという問題が改めて浮き彫りにされたんじゃないかなと思います。 ですから、そういう幅広いバックグラウンドを含めて学会としてもやっていかなけ ればならないのかなと。きょうは強くそういうように感じさせていただきました。 以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。もう一つ、前回、山田委員は放射線腫瘍学、 あるいはそのチームの重要性の御発言をいただきましたが、きょうも放射線腫瘍学、 あるいは放射線治療の重要性を御指摘いただきましたが、それに関してはいかがで すか。 ○山田委員 ありがとうございます。今、門田先生が今までの日本の医療は、例え ば放射線医療とか腫瘍内科なしでやってきた、そういう歴史があるということをお っしゃられたんですが、逆に今それが非常に問題になっているのではないかなと思 います。  一つは、特にアメリカあたりは、さっきの會田さんの話ではないんですが、60% 以上が放射線治療を受けているんですが、日本の現状は26%しか受けていない。が んの違い、日本には胃がんとか他の腺がんが多いという違いがあるんですが、そん なに欧米と変わってきていないんですが、先ほどの差は何かというと、やはり教育 がきちんとされてこなかったんではないか。それから抗がん剤にしても、きちんと した使い方がされていれば、治った患者さんがいたのではないかという問題もあり、 ちゃんとした標準的な抗がん剤の使用がされてきていたのかという問題があります。  放射線腫瘍医をふやす、あるいは腫瘍内科の医師をふやすために独立した講座が 必要、それももちろん大事なんですが、それだけでなくて、外科とかほかに行く人 がやはり放射線腫瘍学とか、腫瘍内科の抗がん剤の治療というのをきちんと理解し て卒業していない。その結果、本を読んだだけでやってしまう。今、標準的治療と いうのは患者さんの会の方からも言われたんですが、一番の問題は最初の治療の選 択、それの選択について手術・放射線・化学療法3つのある程度の知識を持った医 師が出てこないと、選択のときにその説明ができない。その結果が、例えば日本と 欧米の放射線治療の比の差とか、あるいは腫瘍内科の抗がん剤の使用の差とかに出 てきているのではないかと思います。そういう意味で、すべての医師に教育すると いう意味でも、すべての医学部にはその専門の講座が必要ではないかというように 思います。  それから特に放射線治療の方は、今は700施設に500人しかいないという現状が ありますし、腫瘍内科さんもものすごく少ない。これを今から、例えば10年後に、 医者をふやそうとしても恐らく一人前になってくるのは10年以上かかりますので、 私どもも腫瘍内科さんも同じだと思いますが、医師をサポートする人をつくっても らわないと、特に放射線治療は崩壊してしまいます。放射線治療の方では医師をサ ポートして治療計画を手助けしてくれる医学物理士というようなものをある程度制 度化してもらわないと、今の状況では医師がどんどん疲弊して満足な治療もできな いことになっていくと思います。また、腫瘍内科さんをサポートするオンコロジー ナース、医師をサポートして化学療法に参加するような人をつくっていかないと、 恐らく10年待っている間にきちんとした標準的な治療も受けられないような状況 になるのではないかというのが非常に危惧されるところです。ぜひお願いします。 ○垣添座長 地域がん診療連携拠点病院の中で放射線治療は実施できていないとこ ろも指定されているという御指摘もいただきました。そのことに関して当然、地域 がん診療連携拠点病院の間の連携ということも必要だというような御発言をいただ きましたが、その点に関していかがでしょうか。 ○山田委員 今の現実では500人しか認定医がいないのを、すべての拠点病院に配 置するには、例えば大学病院とか拠点病院には10人近くは必要で、教育のためには どうしてもそれが必要になってくるんですが、そういうことを考えると人的には非 常に不足して、現状ですべての拠点病院に放射線治療医を出すというのは非常に難 しいところがあrいます。でもやはりそこを目指していくという方向をつくっても らわないと、医師もふえてこないでしょうし、また、それなりの待遇改善にもなっ ていかないので、すべての拠点病院には放射線治療機器を入れて、これは根治的に 治すという意味のほかに、緩和的な痛みを取るとか、苦痛を取るという意味でも放 射線治療は非常に有効ですので、放射線治療医を配置するということを含めてぜひ やっていただきたいと思います。そこに常勤的な、とりあえず非常勤で賄うにして も、週3日とかの常勤的と取れるようなそういう仕組みにしていただければ我々の 方は対応できると思います。 ○垣添座長 ありがとうございます。もう一つ連携の重要性というのを随分御指摘 いただいたと思いますが、医療従事者の間の連携ということで角田委員、何か御発 言いただけますか。 ○角田委員 皆さんからの御意見の中で大変印象に残った共通の言葉、たくさん聞 かれた言葉が「絵に描いたモチ」という言葉でした。それがチーム医療や病診連携、 医療機関の連携というところでも多分、患者さんたち皆さんが絵に描いたモチとい うようにお感じになっていたんだと思います。  それで一方では、海辺委員もおっしゃっていたように、患者さんたちは医療従事 者の働く環境について以前より大変御理解をいただいて、医師が疲弊してはいけな いとか、女性医師の労働環境のこと、それは発表の中には余り入ってこなかったん ですが、看護師の勤務のことについてもよく御存じだと思います。そういうことを 考えますと、やはり少ない財源で、少ない人員でどういうように分かち合っていく かということをもっと考えなければいけないし、そういうことを今まで十分にやっ てこなかったがために、患者さんたちが、患者さんたちだけで、何とか御自分たち の何か生活とか時間を捻出させて連携のネットワークをつくられて相談をやってい らっしゃったんだなと思いました。  ですから、看護職も、それからソーシャルワーカーとか、薬剤師、PT・OTな どたくさんのコメディカルのスタッフがもっと医師と連携するように、自分たちも 言ってこなければいけなかったと思うんですが、ですがやはり申しわけないんです が、たくさんいらっしゃる医師の方にも恐縮なんですけれど、やはり医師の皆さん ももっと御自分たちで抱えずに、たくさんの職種の人、それからきょういらっしゃ っている患者さんたちと一緒に考えていくという姿勢をもっと今は意識しなければ いけないのかなと思います。  それで、医療モデル、生活モデルという言葉もございましたけれど、がんの患者 さんたち、それからそれを抱えていらっしゃる御家族の方たちが医療だけをやって いくのではなくて、生活の中で治療しながらがんを治していきたいとか、がんとう まくつき合っていきたい、それからより良く最後まで暮らしたいということを実現 するためには、やはりその地域その地域の特徴を踏まえたような、例えば東京の渋 谷区と、それからきょういらっしゃっている高知や島根の状況とは違うと思います ので、そういう地域ごとに何かつくるようなやり方をある程度厚労省なり国なりで 何かモデルを、都市型とか、中核都市型とか、地方型というような連携のモデルを まず提示するということも考えてもいいんじゃないかと思います。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございます。大変重要な御発言ではないかと思いますが、 もう一つ、がん登録の重要性も繰り返し御発言いただきました。基準がなければ対 策の効果も測れないということはもっともだと思いますが、がん登録に関して田島 委員、何か御発言いただけますか。 ○田島委員 日本癌学会代表でまいりました田島でございます。きょうはいろいろ お話をお聞きしまして、一番大きな印象は医療制度とか、あるいは医療技術、それ から知識とは別に、医師と患者との関係、立場性を超えることはできませんが、相 互理解することですね。相互認識を繰り返しながらアプローチしていかないと、両 者の関係はうまくいかないんだなということを非常に強く感じました。私は聞かれ たときに、ときどき無責任な回答をしていたのではないかなと、それを今思いまし た。  がんの研究は最先端を進んでいるわけですが、国民の2人に一人はがんになる、 しかも老若男女、最近は民族を超えてだれでもがんになるという一般的な病気にな った時点で、がん研究の最も重要なところは、怖い病気、あるいはそうでないがん の認識にあると思いますそれでかなりのがんが今はコントロールできるようになっ た。私たちはわかりやすく手なずけられる「ネコ型のがん」とどうしようもない「ト ラ型のがん」と言ってるんですが、後者は浸潤転移して非常に進行が早い。その辺 の機序を明らかにしていけば将来は怖いがんもどんどん減っていくので、それが今 の研究者の役割と思います。  次に、予防のためのエビデンスをしっかりつくって、きょうも幾つか御指摘があ りましたが、理解しやすく伝える、これは非常に大事なことだと思います。学術雑 誌に幾ら書いてもなかなか一般の人には浸透していかないということで、利用しや すい、理解しやすいリーフレットをつくるとか、そのあたりが重要な役割かなと思 いました。  地域がん登録に関して私たちは、がん登録の法的整備なくしてがん対策を進める ことは困難である、ということをずっと言ってきておりますが、そのためには個人 情報をしっかり保護する技術的な解決策も要りますし、やはりその必要性をもっと もっと理解していただくことも必要ではないかと思います。欧米先進国のに比べて 非常におくれている最も大きな問題は、やっぱり法的整備と予算措置だと思います。 これはぜひとも近い将来、整備していただいて、日本も欧米先進国に負けないよう な地域がん登録、あるいは院内がん登録を充実していきたいというように考えてい ます。  最後に、がん検診の一番大きな問題は、検診に来なければいけない人が来ないこ とです。健康意識が高くて、がんになりにくい人がリピーターで来るという、非常 に効率の悪い検診が今の日本の実態です。それで、一度も検診を受けたことがない 人が来られないことに大きな問題がありまして、そのための情報を与える場が欠け ているということです。これは先ほど来、がんの緩和ケアも含めて病院だけでは対 応できない、家庭が大事であるが家庭だけではできない、前回も申し上げましたが、 地域ぐるみの緩和ケアが重要であり、地域ぐるみでの情報交換が大事であります。 その中でがんの早期診断から離れていっている人を救済するような道が開けるので はないかなと思います。  私がきょう非常に感動しましたのは、やはりがん生還者、あるいはがんの御家族 のボランティア活動、これはすごいエネルギーになると思います。医療側も手が足 りないものですから、そういうボランティア活動とタイアップできれば素晴らしい と思います。今、勤務医は本当に残業時間が多くて、医療の現場であえいでおりま す。私はそれが医療過誤に結びつくんじゃないかと非常に心配しております。その 辺もカバーできるんじゃないかなと思いました。以上でございます。 ○垣添座長 どうもありがとうございます。予算とか財源の話がいろいろ出てまい りまして、この話を武田室長に振るのはまことに申しわけありませんが、一応行政 側代表という立場で一つは予算の問題、もう一点は都会中心の施策が展開され過ぎ ているのではないかという御指摘もいただきました。先ほども「地方独特の」とい う御発言もいただきましたので、その2点に絞って御発言いただければと思います。 ○武田室長 それでは御説明させていただきます。その前にまず、本日は委員の先 生方はもちろんのことではございますが、患者団体、それから支援団体の皆様方、 大変早い時間からお集まりいただきまして、いろいろそれぞれのお立場から御意見 をいただきまして、まことにありがとうございました。私どもとしましても、直接 このような形でそれぞれのいろいろなお考えを直接お聞きするということは、非常 に今後の施策の立案に当たりまして非常に参考になるということでございますので、 一言感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。  それでは今、垣添座長の方から御指示がございました点について御説明させてい ただきます。まず、予算のことについてでございますが、前回の意見交換会のとこ ろで私どもは行政説明の一環として若干お話をさせていただきましたが、ちょっと 時間が短かったということでサラッとなってしまいましたので、改めて御説明させ ていただきます。基本的にがん関係の予算でございますけれど、今までは「がんの 10カ年戦略」というものが二十数年続いてきておりまして、その基本的な柱に沿い まして具現化させるために伸ばしてきてございます。簡単に申し上げますと、約10 年ほど前ですと40億弱ぐらいの対がん関係の予算でございましたが、急速に伸ばさ せていただいておりまして、昨年は144億弱、それから本年度の18年度でございま すが、161億ほどの全部合わせましての厚労省の対がん予算でございます。それで 来年度でございますが、来年度に関してはまだ概算要求ベースでございますけれど、 約300億ほどということで要求させていただいてきております。  それで、この内容に関してでございますけれど、基本的にはもちろん今までの歴 史としましての対がん戦略に基づきということもございます。それから、一つ大き なのは、幾つもお話がございましたが、本年の6月に成立しましたがん対策基本法、 来年の4月1日施行でございますが、非常に大きなエポックメイキング的な出来事 でございます。この中でもはっきりと明示されておりますのが、基本的施策3本柱 でございますが、がんの予防及び早期発見の推進、それからがん医療の均てん化の 促進、それからがん研究の推進と、この3本柱に沿いまして具体的にそれぞれ施策 を推進するということができるようにということをベースに考えて要求させていた だいておるところでございます。  それで、この中でかいつまんで申し上げさせていただきますと、まず1番目の柱 としまして、がん予防早期発見の推進ということで、やはり効果的で質の高いがん 検診を普及させるためのモデルでありますとかそのようなものを推進。それから、 がん予防の推進のための普及啓発でございます。これもいろいろな手法がございま すが、そういうものを合わせましてこれも要求させていただいております。それか ら、一番やはり大きいというものが、額的にも非常に大きいというものが、やはり がん医療水準の均てん化の促進、それから情報収集・提供体制の整備と、この部分 ということが非常に大きいものというように考えてございます。  では、どういうものがコアのツールとしてなってくるのかと言いますと、先ほど 来いろいろと御指摘がございましたが、がん診療連携拠点病院、これに関しまして 本年の4月からまた新しく改定した指針において整備を進めてきておるところでご ざいまして、今現在179の病院が指定されておりますが、まずそこのところから機 能強化をしていくと。そして、ただ単にというか、従来型のコアの診療の機能のみ ならず、もちろんそれも大事でございまして、いろいろと御指摘がございました人 材育成、例えばがんセンターないしは都道府県の拠点病院における医療従事者の研 修等においてスキルアップしていくと。そういうようなものもさることながら、そ れのほかに今まで余り力を入れてこなかったじゃないかという御指摘もいただいて おりますが、例えばがん患者さん、それから御家族の方、さらには地域住民の方で ありますとか、そういうような方に対しても必要な情報を提供させていただく。た だ単に一方的に情報提供させていただくだけでなく、それぞれ御事情とかそのよう なものがございますので、そのようなものに対して適切に相談支援ができる体制と いうのを拠点病院の一つのコアとして持っていくと。  そのようなことで、具体的に申し上げますと相談支援センターの、これは設置し なければいけないということになっていますので、その機能の強化・拡充。それか ら、あとは先ほど申し上げました医療従事者の研修コースの強化・拡充というよう なこと。あとはもちろんがんセンターのところで設置されておりますがん対策情報 センターに関しましても、これもさらに機能を拡充するための予算でありますとか、 あとはがん登録に関する、それは院内がん登録ということは先ほど来、委員の先生 方の方からも出ておりましたが、院内がん登録に関しても拠点病院を中心に、拠点 病院はきっちりとした院内がん登録を行っていかないと指定はしないということに なってございますので、そういうものに関しても具体的にそれは着実に進めること ができるような、例えば人材に対する人件費補助であるとか、そういうようなこと も含めた拠点病院の機能強化というようなものを、一つの大きな均てん化の具体的 な柱として予算要求上計上しておるところでございます。  それから、もう一つ。これは均てん化の中にも広い意味では入るのでありますが、 大きなものとしてがんの緩和ケア、それから在宅療養、これの推進ということがご ざいます。これも一つの大きな柱と考えておりまして、これは医療従事者に対する 研修、それからあとは一般の方々も含めてそのような普及啓発というようなものも さらにこれをしていって、裾野を広げていくべきではないかと。そういうようなも のに対しても要求をさせていただいておるところでございます。  それからまた、これも今までの流れからさらに大きく予算要求させていただいて おります研究の推進でありますとか、医療技術の開発・振興ということに関しても 引き続きさせていただいているというところでございます。簡単ではございますが、 このような形で予算要求を。  それからもう一点の御質問でございますが、都会中心ということに関して、確か におっしゃるとおりでございまして、一つ例を取ってみますと、がん診療連携拠点 病院の整備指針の中でも、狭い意味の医療の中でも地域の連携のシステムをちゃん と組んで、その中核となって拠点病院がやっていくべしと、そのようなことも申し ております。そのようなことにも限らず、もっと広くそれぞれの地域特性に応じた がん対策というものがあってもいいのではないかと。そのようなことがございまし て、これに関しましても来年度の概算要求で地域の特性を踏まえた対策の推進とい うことで、都道府県に対しての補助という項目を考えさせていただいておるところ でございます。  このがん対策基本法の中におきましても、国といたしましてがん対策推進基本計 画を立てなければいけない。これは法で明記されてございます。そして、各都道府 県におきましてもそのような国の推進基本計画を元にしまして、それぞれの地域特 性に応じてがん対策の推進計画を立てるということ、これもまた法に明記されてお るところでございますので、そういうようなことも念頭に置きましてそれぞれ地域 に応じた対策を講じるべく、それぞれそれをサポートできるような予算があればい いのではないかということで、これも概算要求上、盛り込ませていただいていると ころでございます。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。 ○上屋参事官 済みません、補足を。ただいま「がん対策」ということで武田室長 から御報告申し上げましたが、もう一方で医療全体ということで言いますと、私は 医政局の参事官として情報提供させていただきたいと思いますが、平成20年4月か らの医療計画を来年度、平成19年度にはつくることになっております。その中で、 これまでの医療計画というのは、がんとか特定の疾患に注目することなく全体で、 急性期用の病床が何ベッド要るとか、慢性期の病床が何ベッドあるとか、そういう ようなことを全国二次医療圏単位、つまり保健所の所管の範囲というイメージで見 ていただければいいと思いますが、全国でつくってもらうという計画だったんです が、今度の計画は都道府県単位で「4分野5事業」と言っていますが、具体的には 救急とか周産期というようなものもありますが、一方でがん、脳卒中、心疾患、糖 尿病という特定の領域に着目した医療計画を各県が立てなければいけないという医 療法になりました。  それで具体的なイメージを申し上げますと、二次医療圏ごとにがんの急性期や急 性増悪期にしっかり診る病院と、それから維持期、あるいは回復期、あるいは在宅 での医療を担う機能がどこにあるか。それぞれが二次医療圏ごとにどこの病院があ るということも、どういう医療機関があるということを明示して計画を立てましょ うというようなことを都道府県に対してお知らせしようという準備をしているとこ ろでございます。  つまり、何も東京のがんセンターに集中ということではなくて、二次医療圏単位 で考える。都道府県単位で考える計画を県につくっていただく。そのために県とし ては、自治体としては今どういう医療機能があるのかを整理している段階にありま す。その部分と、がん拠点病院の構想とがリンクした形で、地域の医療機能の構築 を今整理している段階にあります。  それから医療連携ということで言いますと、「地域医療クリティカルパス」という 言葉で、大きな病院でどういう治療計画の中のどこまでやりましたと。次に地域の 病院でどこまでやりますと。さらに在宅でどこまでやりますということを、病院の 先生も、在宅医療を支える診療所の先生も、それだけでなく訪問看護ステーション とかさまざまな医療機能を持つ方々が共有すると、そういうようなクリティカルパ スをつくっていきましょうということも今度の医療法の中で明示しております。  さらに来年の4月からは医療法上、医療情報を公開するという制度が立ち上がり ます。この中で幾つかの団体からも医療情報が正確に提供されていないという御指 摘がありましたけれど、どのような医療機能があるのかを病院からも診療所からも 都道府県が集めて、それを公開するということが制度的に発足します。その中で悪 性腫瘍に対しての治療をどのように行っているか、化学療法を行っているか、放射 線治療を行っているか、それから手術は行われているかというような情報を提供す ることになっています。  具体的に例えば、乳がんの手術件数が何件あるかとか、それから消化器系の悪性 腫瘍に対しての放射線治療を行っているか、そのようなものを病院・診療所別にす べて集めて公開する。それで、その情報に誤りがあれば都道府県知事は医療機関に 対して誤りを訂正する命令をかけることもできる、これはかなり強い形での情報提 供が来年の4月から発足します。ただ、これはがんだけに限るものではありません ので、非常に物すごく膨大なリストになってしまいます。そこをどういうように情 報提供を工夫してわかりやすくするかというようなことは都道府県に任せられるわ けでありますが、がんの拠点病院の機能と相まって提供できるようにしたいという のが現状でございます。  つまり、がん対策ということだけではなくて、医療法の改正によりまして来年度、 さ来年度から進む医療連携の推進、医療計画、医療情報提供等においても、がん対 策を進める姿勢がかなり整ってきたということは御案内させていただきたいと思い ました。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。大変参考になります。一通り話を聞 かれて本田委員、マスコミの立場で、あるいは御自分の立場で結構ですが、何か御 発言いただけますでしょうか。 ○本田委員 ありがとうございます。皆さんのお話を伺っていて、私も最近ずっと 思っていたことなんですが、既にいろいろな問題は出尽くしてきていて、整理が必 要という段階になってきている中、基本的には皆さんがおっしゃったように、こう した課題を財政的にどう裏づけていくのかということが最も大切だと感じています。 また、課題はがんの対策だけではない部分も大きいと思います。例えば、医療者の 教育とかですね。がんになったらこんなふうに大変なんだということを、患者はい きなりがんになって、いきなり困ってしまうという現実を、もっと国民一般の人に 知ってもらわないといけない、もっと理解してもらう必要があると感じました。骨 太の方針では、社会保障費は削減対象でしかないようですよね。その辺り、もう少 し現実を訴えていくということをやっていかなければいけないのかなと強く感じま した。  それともう一つは、多くの方がおっしゃっていた相談窓口での情報提供と相談と いうところですが、治療の中身など、本当に医療的なことはやっぱり医療者との診 察が必要になるので、電話相談では対応できない問題だということをまず整理した いなと感じました。電話でできるのは振り分けなどですね。もう一つは、周辺的な 問題、病気のことを理解するための支援とか、生活情報、病気とつき合いながら生 きていく、もしくはそれをどう受け入れるかというような、そういうところの不安 の解消というものを、忙しい医師の診察の中で求めるのはまず無理だと思いますし、 医師でない人の情報提供という形の方が実は求められているようなことではないか なと思います。  そういう中で、例えば、島根の方が発表されていたような患者のサロンがあちこ ちにあればいいなと感じました。これは、実際に患者の側がつくっていったと私は 理解したんですが、その辺は後で質問できたらなと思っていたんですが、それを全 体の拠点病院に広げられていったというものですよね。そこを基盤に、例えばウェ ルネスさんがおっしゃっていたような、ファシリテーター養成のような教育のシス テムを導入すればよりよい活動ができるのではないでしょうか。国が主導する必要 は私は全然ないと思っていて、そういう技術がある人たちがそういうものをつくっ て、それをいろいろなところが支援すればいいと思うので、島根のような患者の動 きと、ウェルネスが持つ支援プログラムが合体されていけば、患者の不安のような ものはかなり対応できるようになるのかなと思いました。個々ばらばらでやってい らした活動を、何とか統合というとヘンですが、連携できるような支援が今は必要 なのかなと強く感じました。 ○垣添座長 どうもありがとうございました。一通り委員の皆さん方、それから行 政の立場でも御発言をいただきましたが、これから多分、患者団体あるいは支援団 体からの御発表に対して御質問とかおありでしょうし、これまでは私の方から重要 と思われる点を幾つか取り上げて一方的にお尋ねしましたけれど、これからは委員 の皆さんに自由に御発言いただきたいと思います。どうぞお願いします。 ○角田委員 参事官の御説明について一つ御質問をさせていただきたいんですが。 先ほどの均てん化のためには医療計画を二次医療圏ごとに、がんならがんの急性期 から維持期、それから在宅というように計画をきちんと地域ごとに立てるというよ うなことが説明されたんですが、現在はどうしても病院なら病院、地域なら地域と いうように偏っていたり、それから地域も地方の土地と都市部ということではなく、 その地域その地域ということになってしまうと、ちょっと均てん化ということで施 設は均てん化になるかもしれないんですけれど、そこで働く人が均てん化してなく はないのかなと思うんですが。というのは、私どもの在宅療養ですとか、慢性期施 設の看護職がどうしても地方から引き上げていたり、それから医師の皆さんの中で も地方から引き上げて、地方の在宅医療や慢性期の医療に医療者が不足していると いうことが最近は報道されていると思いますが、この点については何かお考えがあ りましたら教えてください。 ○上家参事官 まず、医療計画について、二次医療圏ごとで必要な病床、必要な医 療機能を明示してみるということは、地域にどういう医療資源があるのかを行政が しっかり把握するという意味でも非常に重要だと思っています。ただ、それは二次 医療圏で完結しろと言っているものではありませんで、医療計画は都道府県単位で 立てていただく。つまり、都道府県単位である程度の医療機能を配置することを考 えてもらいたいというのが全体の趣旨です。ただ、それでだけではやはり全国の均 てん化にはつながらない。そういう意味では、がん対策基本法に基づいてこのがん 拠点病院構想があることが大きく機能するだろうというように期待しております。  それで、そういう計画をいくら立ててもマンパワーがというお話が、先ほど大江 委員からもありましたけれど、マンパワーに関して、特に看護職については細かな 話になりますが、今年の診療報酬改定等で大きな病院がもっと看護師さんを入れる と点数が高くなるという制度ができたために、大病院が看護師さんを大量に採用し てしまう。そのために小さな病院になかなか新卒の看護師さんが行かないという現 象が実際に起こっているというように伺っています。それについては私の担当外で はありますが、保険局でも問題だという認識をしておりまして、平成20年度の改定 の際には一定の検討をしたいというようなことを体外的にもコメントしているとい うように聞いております。それで看護職を初めとするさまざまな職種があるわけで すから、医師確保対策という意味でも、看護師対策という意味でも、その職種でな ければできない仕事以外のものはもっと違う形でやってもらいたい。例えば、がん 登録であれば、先ほどがん登録医師というお話が出ましたけれど、病歴管理士等の 活用みたいなところを推進していければというようなことも、良い事例を集めてで きるだけ医師確保対策、看護師確保対策に資するような情報を集めていこうという のが一つの取り組みとして始まっています。  それから、在宅医療という意味で言えば、訪問看護ステーションのあり方、それ から薬局薬剤師の位置づけ、こういうものも非常に大きいと。つまり、これからの 養成も重要かもしれませんが、今ある資源を、さっき門田先生がおっしゃったよう に、今ある人的資源をどのように活用していくかということで、うまく活用されて いる事例が各地に実はあります。そういうものをできるだけ収集して情報提供して いきたいということを考えております。 ○垣添座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○島根がんサロン 患者側からよろしいでしょうか。 ○垣添座長 どうぞ。 ○島根がんサロン お話の中で大体放射線の治療が20%ないし26%、まさにそのと おりでして、私も島根県で大体さっき500人のうちの大体2名しかいないと。その 先生に聞きますと、うちは中小企業だからね、というような話で実際に国もそうい う人たちに対する位置づけというか、病院でもそういう地位が低いとか、何と言っ たらいいかよくわかりませんが、そういう状況にありまして。それから今の物理学 が非常にそういう医学と物理学と情報処理と、そういう三位一体の形での放射線治 療に変わってきていると思うんですよ。そういう点から考えて、例えば重粒子線だ と300億ぐらいかかるということであれば、国としてやはりどういう均てん化の配 置ができるかどうかということも早急に策定すべきではないかと思います。  それともう一つ、先ほど500名のそういう貴重な人材に対して、ITの利用をぜ ひやっていただきたいと思います。画像診断については光ファイバーとかそういう 形で、特に過疎地の病院等をうまく利用していただいて、実際にいなくてもそうい う効率のいい診断ができるような仕組みづくりをぜひ早急にやっていただきたいと 思います。  それからもう一つ、「緩和ケア」という言葉ですが、これはやはり先ほど全般的に 見ても余り国としても表に出てきていないような感じがするわけですが、いわゆる 県によっては鳥取県なんかはそうですが、やはりターミナルケアという認識でしか ないわけで、これはやっぱり昨日もある方とお話をしていたんですけれど、「緩和ケ ア」が「ターミナルケア」とイコールという言葉が浸透しているわけですから、こ の緩和ケアという言葉自体をもうちょっと変えて、何かいい言葉を考えたらどうか という話を。まさにそのとおりだなというように思いました。  第3点目として、上屋参事官の方から先ほどお話があったように、非常に医療機 関の院長、拠点病院の院長は認識は高いんですけれど、それ以下の医師が非常に認 識が低くて、いろいろな情報とか作業を進める上でマイナスになっているケースが 非常に多いように患者の目から見て非常に感じますので、その点、医療者側の教育 というか、ドクターの教育、医師会も含めてもっと積極的にやっていただきたいと 感じました。 ○垣添座長 ありがとうございます。今のお話の中で、例えば画像診断支援に関し てですが、ITを利用したもの、国立がんセンターで今年10月に発足しましたがん 対策情報センターの中で、今は紙ベースでやっていますが、近い将来はIT化をし てそういう難しい病理診断とか画像診断などを支援するような機能を持つようにし たいというように考えています。  それから放射線治療に関しては当然、山田委員、あるいは参事官からの御発言が、 あるいは武田室長の方から御発言をいただければ、まず山田委員から。 ○山田委員 やっぱり島根大学も治療と診断で教授は分かれていなかったと思うん ですが、学会としても学会のたびにどうやったら医師がふやせるのかというのを一 生懸命に議論しているんですが、なかなか増えてきません。今も年間10人しかふえ ていないような状況です。このまま行くと、今の数でいくと、あと5年するとパン クに、今もパンクしているんですが、放射線治療が危機的な状況になってきます。 もう何度も言っているんですが、やっぱり医師をサポートする医学物理士を、ただ、 今は医学物理士に理工系の物理士もいるんですが、それが法的根拠というか、医療 行為ができるかどうかというのを非常に気にしていて、今は手を出せないような状 況です。医学物理士の数はふえているんですが、実際には機能していないような状 況なので、ここを何とかしていただきたいと思います。  治療の方でも、遠隔医療はやられています。東北地方でもやられていますし、他 でも幾つかやられていますので、これは全国に展開していけると思います。ただ、 どうしても医療の場合には患者さんを診て治療しないといけないので、絶対に医師 は必要です。私どもも一生懸命増やす方法を考えますので、ぜひ国としても御支援 をお願いしたいと思います。 ○垣添座長 ありがとうございます。行政の立場で、一つは放射線治療の話、もう 一点はがん診療連携拠点病院の中の意識のギャップのようなものを、いかがでしょ うか。 ○武田室長 それではお話をさせていただきます。まず、放射線治療に関してです が、先ほどはちょっと特別にお話をしませんでしたが、がん診療連携拠点病院の機 能強化というものの一つの一環として、「放射線の治療機器の緊急整備」ということ を項目として盛り込ませていただいております。これに関しまして、特に汎用性の 高いリニヤックであるとか、そういうようなものに関しての補助ということを緊急 整備の一環としてその中で入れさせていただいております。  それから、もちろん先ほどもチラッと申し上げましたが、これは機器だけを整備 してもしょうがない話でありますので、先進の放射線治療に関する治療を行う医師、 もしくは技師さんたちに対する研修等につきましても、国立がんセンターを初めと するような場を持ちまして、そのような研修も進めていくということを盛り込ませ ていただいているところであります。  それから、遠隔診断のことに関しまして、先ほど垣添座長の方からもお話がござ いましたけれど、それとあわせましてやはり拠点病院のところで、もちろん今、山 田委員の方からもお話がありましたように、人材の育成もしていかなければいけな い。だけれども、やはり一方で利用できるITは利用できるということも必要では ないかということから、そのような遠隔診断をサポートするようなものも各拠点病 院に対して補助できるようなことも一つ予算に要求上、盛り込ませていただいてお るところでございます。  それからもう一点、拠点病院の中での意識がちょっと低いんじゃないかというこ とでございますが、これも確かにそのとおりというか、そういうことではなくて、 それぞれやはり病院によって濃淡というのはまだあるのかもしれません。それから、 拠点病院に関しても今までこれは13年から始まった事業でございますが、今年大き く連携拠点病院ということでございまして、要綱も変えさせていただいてございま す。そして、大きくそこら辺のところは、考え方というものが連携の拠点であると いうことを含めまして変えさせていただいているところであります。なかなかすぐ にそこのところの意識というものが、すべて拠点病院に指定された病院の中で変え るというところが行ってないのかもしれません。ただ、これにつきましても拠点病 院というものがそれぞれの地域におけるがん診療においてどれだけ重要な役割を担 っていって、そこからどうやって拠点病院以外のところにも広げていくのかという、 そういう意識についても改めて私どもの方から、それからそれぞれの各都道府県の がん診療の絵姿というものを、各都道府県の方からもそこら辺の意識の変革という ことが現場のところまでできるように私どもも一生懸命にやらせていただきたいと 考えております。 ○垣添座長 ありがとうございます。委員の皆様でほかに、先ほど私が御質問した 以外に御発言があれば。では、まず内田委員。 ○内田委員 きょうは本当に貴重な御意見をいろいろいただいたんですが、2025年 には高齢化率が30%を超えて、死亡者数が現在の100万人超から160万人になると 言われていますね。それで、がんで亡くなる方というのは確実にそれ以上ふえてい くというように思いますので、これに対してどういう医療を提供するかという体制 づくりは、今のところ全くきちんとした体系はできていないというように思います。 きょうはいろいろな先生方もお集まりになっていますし、患者団体の方からもたく さん貴重な御意見をいただいておりますが、やはりその辺を見据えて皆が知恵を出 して連携をとるという体制をつくっていかないと、もうにっちもさっちも行かない 状況になってくると思いますし、そのためにはやはり何としてももっとお金を出し ていい医療を受けるということが必要になってきますので、その辺のところをこれ から煮詰めていかなければいけないというように思っています。 ○垣添座長 ありがとうございました。では海辺委員。 ○海辺委員 先ほど患者団体さんに何かもうちょっと聞きたいことがあったらとい うことだったので。まず今の高齢化の話とも通じるんですが、先ほどVOL‐Ne tさんが生活全般を視野に入れたがん対策をという中に、現役世代の支援策と高齢 者の支援策は異なる部分が多いというようにおっしゃっていまして、そういうよう な高齢者を支える部分も相当数必要だということもわかるんですけれど、それとは またちょっと違うサポートのあり方が必要ではないかという御提言だったと思うの で、もうちょっと具体的にお話をしていただけるといいかなと思うんですけれど。 突然であれなんですけれど、よろしかったらもう少しお話をいただければと思いま す。 ○VOL−Net 先ほども申し上げましたように、私どもの会は乳がんの患者会 なんですけれど、乳がんというのは40代後半が好発年齢で、20代、30代というの も全然珍しくないわけですね。それで、高齢者の方というと、大体、家族のサポー トということをある程度期待して在宅医療というのも検討されている部分があるん ですけれど、乳がんの患者の場合には逆に介護している側だったり実際にするわけ ですね。それで私どものグループの中にも、じっさいにメディカルソーシャルワー カーで相談に当たっているメンバーもいるんですけれど、その実態を見ている者の 意見から言いますと、そういう人たちが入院をしたり、化学療法を受けたりするよ うな場での支援策というのがやっぱり足りないと。それがどうも、先ほど参事官の 方からもがん対策なんかもある程度、がん治療も視野に入れた医療計画というのを 今後つくっていくような予定にしているというお話がございましたが、我々素人の 立場でこの前、発表された医療制度改革の説明資料を拝見させていただく限りでは、 そんなにがん治療ということがクローズアップされていないんじゃないかと。どう してもやっぱり生活習慣病対策であるとか、高齢者医療というところが重点的にな っていて、当然全体の医療費削減のためには生活習慣病対策という予防の観点とい うのが重要なのはわかっているんですけれど、がんというのは生活習慣病対策的な 要素もなくはないですが、やっぱり全然違う枠組みで考えてほしいなと。  それで当然「がん」と一くくりに言っても、いろいろな分野がありますので、当 然感染性のものもあれば、遺伝的な部分もあるということで、これもまたそれなり に細分化して検討しなければいけない部分もあると思うんですが、まずは「がん」 ということを、今は高齢者医療がかなりクローズアップされていますが、それと同 等ぐらいには柱として考えていただきたいなと。その中では、今まではやっぱり治 療をして、それを例えば介護していく中で地域でどういうように受け止めていくか という観点が多かったと思うんですけれど、がん患者の場合には、高齢者のがん患 者と若い世代のがん患者というのはまたちょっと違うかと思うんですが、実際に仕 事をしながら、かなり進行性のがんであってもぎりぎりまで普通の生活を営みなが らの治療というのが非常にふえてきているわけですね。ですから、そういう観点で の対策というもの。それとやっぱり実態を見据えたモデルをつくった上でのパター ン化と、それから標準化・個別化というのをきちんと切り分けて対策を考えていた だけたらと考えております。 ○垣添座長 ありがとうございました。先ほど手を挙げておられた方。 ○ブーゲンビリア 私たち、がん患者が3団体なんですが、がん友さんとブーゲン ビリアとどんぐりとで、東京都の10のがん拠点病院を訪問し調査しようということ でスタートしました。これは患者の視点で見た拠点病院の相談情報を集めてみたい ということなんですが、この動きに関して各県の島根県とか大阪、千葉県、静岡、 岡山等いろいろな県も要望されていまして、一緒にできるかと思っているんですが。 そういうデータを患者の視点から見た情報センターの取り組み、先ほどからずっと 出ておりますように、やはり今の忙しい医療の中で説明不足であったり、情報不足、 情報がたくさんあり過ぎて患者が選び取れないとか、病院に対する不満とか、家族 のこと、将来のこと等、患者の不安等に対する相談窓口の実態の対応等を調査して いきたいと思っています。  そして、それは病院を責めるためのものではなく、患者と医療提供者とがより良 い情報センターをつくり上げていくために、患者サイドの視点を大事にして調査し たいと思いますので、いろいろ御協力をいただきたいと思います。よろしくお願い します。 ○垣添座長 ありがとうございました。大変建設的な御提案をいただいたと思いま す。これを続けておりますと委員の中から、あるいは患者団体・支援団体からも次々 と御発言いただくことになると思いますが、残念ながら時間が迫ってまいりました。 本日の意見交換会はまことに申しわけありませんが、一応ここで閉じさせていただ きます。  最後に事務局の方から今後のスケジュール等について説明をお願いします。   ○武田室長 はい、では今後のスケジュールでございますが、12月20日水曜日、 来週の水曜日でございますが、第3回目の意見交換会ということでございまして、 お配りしております資料3に記載されております学会等団体からのヒアリングとい うものを予定しております。これは前回の意見交換会におきまして委員の先生方か ら御提案いただいた団体も追加してあるリストでございます。この場におきまして は本日と同様に、各団体から資料を御提出いただくとともに、5分程度の説明をや はり同様にしていただくという予定でございます。  また、がん対策の推進に関する御意見募集を10月27日から11月30日まで行い ました。現在、集計中でございまして、まだ暫定値の段階ではございますが、239 名、これは個人及び団体の方から、計352件の御意見をお寄せいただいたというこ とを御報告させていただきます。以上です。 ○垣添座長 ありがとうございました。この次は学会等からのヒアリングというこ とでありますが、これに関して何か、資料3にある団体からの意見について何か御 発言はありますか。 ○大江委員 細胞診に関連する学会の御意見をいただきたいと思います。細胞診と いうのは診断にも非常に重要ですが、検診にもかなり大きくかかわっていますので 重要と思います。 ○垣添座長 わかりました。では、これは事務局と相談させていただきます。  私はこの前にもお願いをしましたけれど、前回、各委員がいろいろな多方面から の御発言をいただきました。それを多分、今は議事録がまとめられている段階かと 思いますが、議事録になりますとかなり分厚いので、本当にエッセンスをA4一枚 ぐらいにまとめていただければありがたいと思います。  それから、同じく本日、患者団体・支援団体等からたくさんの御発言をいただき ました。これもポイントを整理していただいて、A4一枚ぐらいにまとめていただ きますと、今後の議論の上で大変参考になりますので、これはぜひ。大変と思いま すが、事務局によろしくお願い申し上げたいと思います。以上です。 ○武田室長 それでは時間がまいりましたので、本日の意見交換会は終了させてい ただきたいと思います。本日は委員の先生方、それから各団体の皆様方、本当に長 時間にわたりまして朝早くからまことにありがとうございました。  次回でございますが、先ほど申し上げましたとおり、12月20日水曜日、来週の 水曜日、9時から12時で、同じ時間でございます。会場でございますが、厚生労働 省内の低層棟2階の講堂ということでございます。本日はどうもありがとうござい ました。                     −終了―