06/12/13 寝具類洗濯専門部会 第2回議事録           第2回寝具類洗濯専門部会議事録                  日時:平成18年12月13日(水)/15:00〜                  場所:厚生労働省専用第21会議室 ○佐藤係長  定刻より少し早いのですが、委員の皆様におかれましては、全員お集まりいただいて おりますので、始めさせていただきます。事務局でございますが、本日は経済課長の武 田が欠席でございます。また、笹子補佐につきましては、業務の都合上、少し遅れてお りますので、お詫び申し上げます。  ただいまから、第2回寝具類洗濯専門部会を開催します。皆様方におかれましては大 変ご多忙のところ、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は委員の皆 様、7名ご出席ということで、ご議論のほうをよろしくお願い申し上げます。また本日 は参考人として、山口大学医学部附属病院の尾家重治様にご出席いただいております。 後ほど、諸外国における寝具類の消毒等について、ご説明を賜りたいと思います。  討議に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委 員名簿、資料1として「諸外国における寝具類の消毒等の状況」、こちらは尾家参考人 からご説明をいただきたいと存じます。資料2として前回、論点を議論していただいた ものに皆様のご意見、追加意見を添えて整理したものです。さらに協会のほうからの追 加資料として別添1、別添2を添付しております。資料3は、論点の整理を踏まえ、事 務局において素案という形で報告書を作成しました。本日の資料は以上です。また寝具 協会のほうから「消毒のガイドライン」という冊子を参考として提出いただいています が、これについては、今般、説明等を省略させていただき、後ほどご参照いただきたい と思います。資料は以上です。落丁等がありましたら事務局のほうにお申し出いただき たいと思います。  それでは、以降の議事進行については座長にお願いいたします。 ○大久保座長  早速、議事に入りたいと思います。本日の議題は表紙に書いてありますように、(1) 諸外国における寝具類の消毒等について、(2)寝具類洗濯業務の委託基準の見直しに ついて、(3)寝具類洗濯業務におけるオゾンガス消毒に関する報告書(素案)につい て、(4)その他、これが本日の議題です。  最初の議題となっている「諸外国における寝具類の消毒等について」ですが、これは 山口大学の尾家参考人にお願いしています。内容としては、特に諸外国でどうというこ とではなくて、寝具類の消毒に関する一般的な考え方、あるいはオゾン消毒に関する基 本的な考え方という形でまとめていただいています。早速、尾家参考人、よろしくお願 いします。 ○尾家参考人  山口大学医学部附属病院の尾家です。よろしくお願いします。スライドを使って説明 させていただきます。(スライド開始)  消毒ですが、消毒する場合には2つ方法があるわけです。熱で消毒する方法と消毒薬 で消毒する方法です。熱で消毒できるものであったらできるだけ熱で消毒するのがいい わけです。  なぜかと申しますと、今日お話する熱というのは空気のほうではなくて熱水とか蒸気 です。これを消毒薬の効果と比べると熱のほうが遥かに効果が確実という利点がありま す。その場合は熱が伝わればいいのですが、消毒薬の場合は汚れなどがあると、どうし ても消毒薬はそこに接触しないと効果が発揮できないわけです。熱であれば熱が伝われ ばいいですから、消毒薬に比べると遥かに効果が確実ということで、これが1つのメリ ットです。  それと消毒薬の場合は全部化学物質ですから、必ず毒性というものが心配されるわけ ですが、熱の場合は残るものが水ですから全く残留毒性がないということで、熱傷にさ え気をつければ遥かに熱で消毒するのがいいわけです。これは寝具類にも言えることで、 熱で消毒できるものは、できるだけ熱で消毒するのがいいわけです。  今日のお話は100℃以下の熱水とか蒸気ですが、大体65〜90℃ぐらいの熱でやると、こ のスライドには消毒対象となる主な微生物を挙げましたけれども、芽胞がいちばん抵抗 性が強いわけです。これまで殺せば滅菌になるわけですが、芽胞も殺そうと思ったら121 ℃という高温の蒸気が必要なわけです。普通の100℃以下の熱水や蒸気で芽胞は殺せませ んが、そのほかの微生物は殺せます。結核菌やウイルス、糸状真菌、いわゆるアスペル ギルスなどのカビです。一般細菌は緑膿菌、MRSA、O-157などです。酵母様真菌はカンジ タなどがよく病院で問題になりますが、こういうのが病原微生物として挙げられるわけ です。最近、セレウスがちょっと問題になりましたが、通常、芽胞というのは病原菌に はなりませんから、100℃以下の熱水や蒸気で滅菌はできないですが、十分な消毒が可能 なわけです。ということで、リネン類や寝具類は熱水で消毒するのがいちばんいいわけ です。  これは熱水洗濯機です。小型のものからマットレスが洗える大型のものまであります が、こういうもので熱水消毒するのがいちばんいい方法です。70℃から80℃あればいち ばんいいわけですが、バクテリアであれば65℃とか70℃でも十分です。最近問題になっ ているノロウイルス、ロタウイルス、B型肝炎ウイルスといったウイルスでしたら、80 ℃で10分間がいちばんいいわけです。こういうふうに70℃から80℃で10分間洗濯しなが ら消毒する方法がいちばん望ましい。これがいちばん問題のない方法です。  セレウスが問題になることがありますが、これは洗濯しているときにかなりの汚れが あって、それを十分落とさないまま仕上げている状態だと思います。そういう特殊な例 を除いては、こういう熱水で消毒すればいちばん安全に消毒できるということです。病 院内においても、時々、腸管出血性大腸菌感染症であるO-157、ロタウイルス、ノロウイ ルスが患者さんに発生するわけです。特にその患者さんの下着を病院内で消毒しないと いけない場合が時々あるわけですが、そういう場合も、こういう熱水洗濯機が1台あれ ば非常に安全確実に消毒できるわけです。ですから寝具類も同じことが言えると思いま す。  熱消毒するのがいちばんいいわけですが、熱消毒する設備がない場合があります。そ の場合にどういう方法を選ぶかというと、病院内では通常の次亜塩素酸ナトリウムが、 消毒薬を選ぶ場合にいちばんの適用になります。色柄物などには用いることはできませ んが、消毒薬を用いる場合は次亜塩素酸ナトリウムがいちばん適用ということです。  なぜかと申しますと、通常、消毒薬でリネン類とか寝具類を消毒した場合は、その後 必ず水洗いですすぎをするのですが、どうしても消毒薬が残るのです。例えばどういう 事例があるかと申しますと、クレゾール石鹸で下着を消毒したとき、もちろんその後は 水でよく洗い流しているわけです。リンスしているわけですが、それを着た子供さんが 皮膚炎を起こしたという事例もあります。そういうふうに消毒薬というのはどうしても リネンに残りますから、あまりよろしくないのですが、ただ、例外として次亜塩素酸ナ トリウムの場合は、たとえリンスした後に生地に残っても、乾燥している時にほとんど 塩素ガスとして飛んでしまいますから、そういう観点から残留毒性が非常に低いという ことで、熱が用いられない場合には次亜塩素酸ナトリウムが第1洗濯剤です。  こういうふうに寝具類は、できるだけ熱水や蒸気で消毒していただくのがいい。そう でない場合、次亜塩素酸ナトリウムということです。こういうマットレスなどの場合は 丸洗いはできるのですが、なかなかそういう装置がないことが多いですから、こういう マットレスのように洗いにくいものは、できればこの写真に示しているように防水マッ トレスで、マットレス自体に水が染み込まないようにした方式のものがいいと思います。 しかし、蒸気は浸透させますから、蒸れないという防水マットレスか、こういうマット レス類、洗いにくい物にはいちばん望ましいです。防水マットレスが買えない場合には、 防水カバーを全体に被せて、中に汚れが染み込まないようにする。一旦汚れが染み込む と丸洗いするしか方法がないですから、寝具類は防水性を持たせて使うというのが望ま しいわけです。  今日の議題である、オゾンについてお話します。オゾンというのは非常に殺菌力の強 いガスです。ガスとして殺菌に用いるものに二酸化塩素とか塩素ガスがあります。二酸 化塩素というとかなり強い殺菌剤ですが、それよりもより強い効果が期待できるのがオ ゾンです。例えば芽胞も殺せますし、医療現場では消毒しにくい微生物としてクリプト スポリジウムという下痢を起こす原虫がいますが、その胞子みたいなものにもオゾンは 効果が期待できます。ですから、非常に強い効果が期待できるのがオゾンです。  これは病理切片を処理する機械です。病理切片というのはいろいろな微生物が付く可 能性があるから、庫内でオゾンを発生させる装置を開発し、その効果を調べてほしいと メーカーさんに頼まれて、微生物に対する効果を調べてみたのです。そしたら結核菌ど ころか芽胞にも有効でした。オゾンというのは効果が非常に強力だなと実験して感じま した。非常に強力な殺菌剤です。  オゾンのもう1つの良い点は、殺菌力が非常に強いほかに酸素に分解するという点で す。大体、放っておいても濃度が半分に減る時間は、空気中では12時間程度かかります が、水溶液中では30分ぐらいということで、このデータから見ても水の殺菌には非常に 適していることが分かるわけです。水をオゾンで殺菌して、しばらく置いておけばオゾ ンは酸素に変わるわけですから、残留しないという観点から、どちらかというと、今後 は日本のもオゾンで水を消毒する場合が多くなると考えられますが、塩素よりもいいわ けです。塩素の場合はトリハロメタンなどの有害物質を作る可能性もありますが、オゾ ンの場合はしばらくしたら酸素に分解するという観点から、殺菌力が強いことと、残留 毒性が低いという点が非常に望ましいところです。  ただ、オゾンというのも欠点があります。これは病院で使う尿器とか便器です。それ を消毒して、かつニオイもとりますよという装置です。確かに殺菌力はあるのですが、 扉が開いたときに結構刺激臭があって、ちょっと工夫していただきたいなと思うわけで す。  これはポータブルトイレです。どういうポータブルトイレかというと、在宅関係で用 いられているポータブルトイレの中では、いちばん高級機種のポータブルトイレで値段 が高いのです。なぜ高いかというと脱臭機能付のポータブルトイレで、トイレを使うと オゾンが発生してくるのです。オゾンが出てきて確かにニオイはあまりしなくなるので すが、これを狭い部屋などで使ったら、在宅の利用者が目が痛いと訴え、私はその原因 を探ったのです。そしたら原因はこれでした。このオゾン発生装置を使ったために目が 痛くなったという事例です。粘膜を刺激するのです。  これはタクシー会社で用いられているオゾン発生装置なのですが、これをタクシーの 中に入れて、中を殺菌、脱臭するという謳い文句で、こういう処置をしてタクシーの利 用者に見えるように「オゾン殺菌しました」と書いてあります。実際、非常に清潔にな っています。  こういうふうに扉を閉めて、1時間程度ずっと中でエアコンを稼働させると、中全体 が殺菌されるという装置です。ですから、この装置も殺菌している途中に利用者が乗り たい、どうしても急ぐということで、通常はこれをした後、1時間ぐらい窓を開放して から使うらしいのですが、やむなくすぐ使ったら、利用された方は、このタクシー会社 のタクシーには二度と乗りたくないと言われたらしいです。そういうふうに非常に粘膜 を刺激するという欠点があります。  このようにオゾンガスというのは目の粘膜や鼻の粘膜を刺激して、頭痛や咳、神経症 状を起こすということで、粘膜刺激などの毒性については十分注意していただきたいと 思います。寝具類を消毒する場合にもオゾンの毒性には十分注意していただきたいと思 います。  オゾンガスは粘膜を刺激するのみならず、発癌性も報告されています。これは高濃度 で長期間ですが、マウスの鼻粘膜に癌を発生させることが分かっています。一応、発癌 物質ですから取扱いには十分注意していただきたいと思います。  これは皆様方もご存じと思いますが、いろいろな基準値が出ていて、今日の資料にも 書いてありましたけれども、例えば米国のFDAでは、オゾンガスを病院内で用いた場合、 室内の濃度が0.05ppmを超えてはいけないという規定があります。これはどういうことを 言っているかというと、病院ではオゾンを使ってはいけないということです。滅菌器な どの完全密封空間ならいいですが、使ってはならないということになり、当然、アメリ カでも病院内ではオゾンは開放状態では使っていないわけです。  あとオゾンは、日本の場合、脱臭効果というのが非常に謳われているのですが、こう いうふうにオゾンが結合を断ち切って嫌なニオイをなくすと以前から言われていますけ れども、科学的にはオゾンの脱臭効果は10年ぐらい前に否定されています。どういうこ とかと言いますと、オゾンというのは脱臭効果はない。実際にいろいろな介護施設など で使われていますが、確かに嫌なニオイはしなくなるのです。私もいろいろ検討したの ですが、嫌なニオイがしなくなるのは、オゾンのニオイがするから嫌なニオイがしない だけで、オゾンがなくなれば嫌なニオイは完全に残っています。タクシーなどでもそう です。実際に運転手にいろいろ聞いてみましたが、オゾンをかけた後の2〜3時間はニ オイはしないけど、その後は元のニオイがするということです。私も実際に確かめてみ たのですが、やはり元のニオイに戻ります。  ですから、オゾンガスというのは殺菌効果は素晴らしいものがありますけれども、脱 臭効果というのはあまり期待できないと思います。そういうことですから、もしこうい う寝具類にオゾンを利用される場合でしたら、できれば密封状態で使っていただきたい。 オゾンが漏れ出ると、どうしても0.05ppmぐらいの基準濃度などはすぐに到達してしまい ますから、完全密封状態で使用していただきたい。  あと寝具類に用いるときに問題となるのは、オゾンガスというのは浸透性があまりよ くないと構造式から考えられますから、寝具類に用いる場合には十分浸透しているかど うか確かめていただきたい。いろいろな製品に対して十分浸透できるかどうかを確かめ ていただきたいというのが1つです。  オゾンガスはゴム製品を劣化させます。実際に病院内でも骨髄移植などをされる患者 さんの無菌ルームに、オゾンを使っていたことがあったのですが、ゴム部分がボロボロ になってしまうのです。ですからゴム製品には用いられないと思います。こういうこと を注意していただければ、オゾンというのは非常に強い殺菌効果があり、ガスの中では 残留性が抜群に低いですから、熱水や蒸気を利用できない場合の寝具類の消毒には非常 に適していると思いますが、こういうガスの暴露とか浸透性が十分にあるかどうか、ゴ ムの劣化にも気をつけていただきたいと思います。オゾンというのは開放状態で用いる と、どうしても危険濃度に達します。殺菌濃度を保とうとすると、どうしても漏れ出る ガスが有害になりますから、密封状態で使っていただくようにしていただきたいと思い ます。  リネン消毒を病院内で行う場合、この5つの方法が日本では汎用されていると思いま す。熱水、次亜塩素酸ナトリウム、オゾン、EOG(エチレン・オキシドガス)、ホルマリ ンとあります。今日の場合はオゾン、EOG、ホルマリンがそれぞれの比較対象になると思 いますが、水で消毒できない場合の消毒にはこういうガスを用いて、オゾンかEOGかホル マリンということになるわけです。  私の考えでは、この3つであればオゾンがいちばんいいと思います。EOGはあまり望ま しくありません。なぜかと申しますと、EOGというのは殺菌力は抜群です。骨の髄まで染 み込みますから完全滅菌されます。しかし、吸着性が良いものですからエアレーション をした後でも結構EOGが放出され、周りのものには非常に有害です。あと環境に対しても 悪いです。環境汚染が生じます。もう1つ、これはランニングコストがすごく高いので す。EOGを1回かけると軽く1万円とか2万円かかりますから、マットレス1、2枚をや る場合だったら、マットレスを買い直したほうが安い場合もあるわけです。ですから、 コストの面、残留毒性、環境汚染の観点から、EOGというのは3つのガスの中では望まし くない方法と考えられます。  そのほか、EOGの場合、なかなか危険の濃度を感知できない。普通、危険なものという のは大体人間の鼻で感知できるのです。ホルマリンもオゾンもニオイで感知できるので すが、このEOGの場合はなかなかニオイで感知できない欠点もあって、そういう観点から EOGはあまり望ましくないということです。  次にホルマリンですが、ホルマリンもいろいろな方法でくん蒸というか、そういうの は過去に伝染病予防法にも消毒方法が記載されていましたから、かなり汎用されてきた わけですが、実際に調べてみると、ホルマリンというのは非常に浸透性の悪いガスです。 EOGが抜群に浸透性が良いガスだとすると、ホルマリンは非常に浸透性が悪くて、こうい うマットレスなどでもカバーの内側を調べてみると全く菌が死んでいないのです。表面 は滅菌状態になるのですが、中側は全然浸透していなくてMRSAも死んでいないような状 態ですから、表面的には殺菌力は強いのですが中に染み込まない。そういうガスという のは、特に厚みのある寝具類の表面は消毒できても中は消毒できないということで、あ まり望ましくない方法です。あとホルマリンの場合も発癌性が報告されていますし、た とえアンモニアで中和してもどうしても残ります。結構粘膜刺激もありますから、もし 熱水で消毒できない寝具類であれば、いちばんいい方法はオゾンだと私は考えています。 ホルマリンやEOGは望ましくないと考えています。以上です。ありがとうございました。 (スライド終了) ○大久保座長  尾家参考人、ありがとうございました。ただいまの尾家参考人のお話は、寝具類の殺 菌には熱がいちばん良いということと、その次は次亜塩素酸ナトリウムが使える。ガス を使う場合にはEOGやホルマリンに比べてオゾンは比較的優位性があるということ。しか し、使う中で毒性、浸透性等、いろいろ注意点や素材への劣化というご指摘をいただき ました。せっかくですので、尾家参考人に対するご質問、ご意見があれば、お伺いした いと思いますが、いかがでしょうか。 ○倉辻委員  国立成育医療センターの倉辻と申します。ありがとうございました。欧米でこういう リネン類をオゾンガスで消毒しているという国はあるでしょうか。 ○尾家参考人  たぶん、ないと思います。大体熱水でやっています。ですから洗えるような物を寝具 類として使っていると思います。 ○大久保座長  洗浄できるものということですね。その件に関して榛葉委員が、諸外国を調査された ことがあるとお聞きしましたので、どうぞ。 ○榛葉委員  私ども日本病院寝具協会で2004年に、ドイツにラルという制度があるということで、 これを勉強しにホーヘンシュタイン研究所に参りました。その際、アメリカにも行った ことはあるのですが、特にドイツの洗濯あるいは消毒方法を勉強した際に、やはり尾家 参考人が言われるようにガスによる消毒ということはありません。熱水です。特に熱水 が使えない場合は過酢酸を用いて消毒をしていました。ただ、日本の場合は諸事情があ って、布団あるいは掛布団といったものに化繊綿が多いものですから、熱水を80℃で10 分まで上げられないという状況下でいくと、やはりガスを用いるということになろうか と思います。諸外国においては、ドイツも勉強した結果では熱水というのが多いと思っ ています。 ○大久保座長  米国のほうはお調べになっていますか。 ○榛葉委員  アメリカもほとんど熱水で、逆に掛けるものがタオルケットのようなものですから、 80℃で10分で上げられるのでほとんど熱水のみということで、過酢酸も用いてはいない ように思います。 ○大久保座長  またその辺のところは、後の議論の中で出てくるかと思いますが、ほかに何かご質問 はございませんか。質問がないようですので次に移りたいと思います。尾家参考人、あ りがとうございました。  次に2番目の議題となっている「寝具類洗濯業務の委託基準の見直しについて」です。 これは資料の説明を事務局よりお願いしたいと思います。 ○佐藤係長  資料2についてご説明します。前回、事務局からお示しした論点を左側に、委員の方 々からいただいたご意見、その後、追加でいただいたご意見等を右側に取りまとめさせ ていただきました。  1頁ですが、基本的な考え方のところで右側のご意見です。寝具類の消毒について、 参考までに諸外国の状況を把握しておいたほうがいいだろうということで、本日、尾家 参考人からご説明をいただいたところです。次に、欧米、特にイギリスでは洗うことに よって希釈する効果が重要である。続いて、先ほど倉辻委員からもお話がありましたよ うに、海外ではオゾンガスがリネン類の消毒に使われていない状況にあるということで、 今般の試験結果等については、レビュー制度のある学術誌等に投稿して、オゾンガスに よる消毒のエビデンスを設けたほうがいいのでは、といったご意見をいただいています。  2頁の論点1、オゾンガス消毒の安全性については、右側ですが、残留毒性について、 多孔性素材などによる違いはないのか。次に、ガス消毒の作業時においては、作業従事 者の安全を守るために防護服等の装備が必要ではないか。その次は、作業環境基準は 0.1ppmという基準があるが、安全衛生上の基準がないことから、作業従事者の安全性を どのように担保するのか。続いて、ガスの漏洩を検知するセンサーについて、オゾンは 常温で空気よりも重いので、床から近い位置に設置する必要があるのではないか、とい ったご意見がありました。最初の残留性の問題とオゾンガス漏洩の検知センサーの件に ついては、後ほど追加資料として榛葉委員のほうからご説明をいただきたいと思います。 次は、下から2つ目ですが、ガス消毒の作業時において作業場の喚気を行う必要はない のか。消毒後に排気されるオゾンガスは、触媒を用いるなどの措置によって、基準値以 下にした後に大気に開放する必要があるのではないか、というご意見をいただきました。  3頁の論点2、オゾンガス消毒の有効性については、酸化力が非常に強いので、ゴム やプラスチックなどは劣化する恐れがあるのではないか。次に、素材の劣化についての 留意事項や、素材の種類別の適否等を注意事項として記載する必要があるのではないか。 その次は、オゾンガス消毒を繰り返すことによって耐性菌化の問題はないのか。感染性 の恐れのある寝具類については、有効な消毒が必要であるということですので、一定の 濃度等を設定する必要があるのではないか、といったご意見をいただいております。  4頁ですが、第20回医療関連サービス基本問題検討会においてご意見をいただいた中 では、いちばん下のところですが、寝具類は皮膚等のノンクリティカルな領域に触れる ものであることから、病原菌が消毒されていれば滅菌まで求めるものではなく、通常の 洗濯、乾燥による仕上げ、いわゆる環境以下でいいのではないか。ここでは、セレウス 菌をすべて除去するという作業は見込まなくていいのではないか、というご意見をいた だいております。以上、前回のご意見等を踏まえて整理したものです。説明は以上です。 ○大久保座長  検知モニターは後ですね。寝具類への影響について先にお話いただきましょうか。榛 葉委員からお話いただけますか。 ○榛葉委員  別添2のほうからご説明申し上げます。「オゾンガス濃度検知モニター取付け位置に ついて」。前回、取付け位置を検証してほしいということで、既存の設備を対象に確認 してまいりました。先にお詫び申し上げます。「検知モニター」という言葉と、次の図 で「検知センサー」というふうに2つ言葉が出ていますが、検知をするということでセ ンサーのほうが分かりやすいかと思いますけれども、最初の頁は検知モニターとなって います。お詫び申し上げます。  オゾンガス消毒を行う作業従事者は、特に消毒庫内やオゾン発生装置からのガスが漏 洩した場合、高濃度のオゾンガスを暴露する恐れがあることから、ガス漏れを検知する モニターを設置し、作業環境基準(0.1ppm)を遵守する必要がある。その際、オゾンガ ス装置並びにEOGリネン消毒庫に取り付けられているモニター取付けに関して調査したの で、報告させていただきます。  「オゾン発生設備が収納されている部屋のオゾン濃度が0.1ppm(EOGは1ppm)を超え た場合、警報を発する手段を講じること」と法令的にはなっていますが、取付け位置に 関する規制はありませんでした。EOGも調査しましたが、取付け位置に関する規制は現段 階ではありませんでした。  それでは検知モニターの設置位置はどうしたらいいかというと、オゾンガスは空気よ り重いことにより、検知モニターを設置する場所は、消毒庫等の床から0.8〜1.0mの高 さで、消毒庫の扉の側に取り付けられている場合が多くありました。No.1から6までが オゾンによる消毒庫の取付け位置の一覧です。ちなみにEOGは床から25cm、扉から1.6m に取り付けられていました。  次の一連の写真をご覧ください。オゾン機器オゾンセンサーの設置事例ということで、 80cmから1.0mのところ、この赤マルのところがセンサーの位置です。いちばん右の7が EOGリネン消毒庫です。これは実際に品物が入った状態で左の端のほうに赤マルが付いて います。これは25cmの所に検知センサーが付いていて、上のほうにモニターが付いてい ました。  最初の頁の最後のところに戻りますが、取付けの高さ、位置について、現状は特に問 題は発生していないことから、作業従事者の呼吸器(口、鼻)より低い、床上高さ1.0m とか1.5m以内で、扉の横近くに設置することが望ましいと推察されます。以上です。 ○大久保座長  引き続き、別添1の寝具類への影響について、お願いします。 ○榛葉委員  別添1、「オゾンガスの寝具類への影響について」です。寝具類の素材ということで、 掛布団、ベッドパッド、枕、リネン類について書いているのが、現在、私ども協会員の 医療機関で使用している主たる寝具類の仕様内容です。仕様で「中綿」と書いてあるの が中に入っている素材、「側」と書いてあるのが外側の素材です。いまはポリエステル 系が非常に多いです。FT綿あるいはダウンフェザーといったことが書いてあります。T/C というのがポリエステルとコットンです。昔はテトロンとコットンということでT/Cと呼 んでいたのですが、今現在は、ポリエステルとコットンの素材を書いています。こうい った素材を現在、我々は医療機関に対して提供させていただいています。これ以外にタ オルケット、防水シーツなどもあります。  2の質問があった多孔性素材について、多孔性というのは1本の繊維に5つから7つ の空気孔を持ち、この中空構造が軽さと暖かさの特徴を持っている繊維です。これは大 変高級素材で、ホテル用掛布団などで使用されていると思います。ただ、医療機関用の 掛布団では、以前、いろいろお話はいただいたのですが、ほとんど使用されていないも のと考えています。  3はオゾンガス暴露による寝具類材料への影響ということで、主要な寝具類にオゾン ガス暴露を繰り返し、寝具類への影響を確認しました。結論から申し上げると、僅かな 脱色等は見られましたが、手触り・風合いといったものに関しては変化がないことから、 オゾンガス消毒が概ね使用に影響がないことが推察されました。  4のオゾンガス消毒の注意事項ですが、3項で述べたとおり、主要な寝具類に対して は問題ありませんが、オゾンは強い酸化力を持っています。天然ゴムには外観変化や物 性の低下などの影響を与えるということが分かりましたので、オゾンガス消毒を行う場 合は、処理対象物の構成材料に関して確認を行い、影響の有無を確認の上、実施するこ とが望ましい。ただ、先ほど申し上げたように、医療機関で使っている寝具類に関して はゴムは使っていませんので、問題はないかと思います。  次に別紙のオゾン暴露による影響に関する報告です。この目的は、オゾンガス暴露繰 り返しによる寝具類の影響を確認することです。商品は先ほど申し上げたシーツから羽 毛の掛布団まで、いま医療機関で使われているであろうと思われる寝具類に対して行い ました。5cm×4cmぐらいの切片というか、切れ端を4〜5枚商品として並べました。  試験方法としては、試験用オゾン消毒庫に、材料別にリネン材を入れ、1回処理当り のオゾン暴露におけるCT値が45,000ppm・minになるようにします。通常、いまは6,000 CT値と申し上げていますので、これの7.5倍の45,000CT値になるオゾンガスを用い ました。布団類などの厚物は2,250,000CT値ですから、約6,000CT値の375回分相当 にまで暴露しました。平物は4,500,000CT値で750相当を行いました。途中、10回処 理ごとに取り出して、脱色、着臭、手触り、強度といったものを比較評価しました。  結果は、手触り・風合いに関しては変化がないことを確認しました。強度に関しては 手で引っ張る程度で変化は見られませんでした。ただ、オゾン処理後のオゾン臭がわず かに残りました。これは私どもの場合、消毒してから洗濯ということの業務に入ります ので、洗濯をすると全くオゾン臭はなくなりました。あと色物に関してはわずかな脱色 があり、白物に関しては黄変が確認されました。以上です。 ○大久保座長  ただいま事務局から、前回の議論を踏まえた論点のポイントと、2つの資料について ご説明いただきました。何かご質問、ご意見はありますでしょうか。榛葉委員から、前 回も含めていろいろなデータをお示しいただいたわけですが、諸外国の状況を先ほど伺 ったところでは、別段、こういう寝具類の消毒に関する特別の基準はない状況で、我が 国でこういうものを使っていく中で、きちっとした科学的データを出して、それがきち っと論点が整理され、なおかつ、それなりの査読のある雑誌に投稿されているというこ とが、いちばん大事なことではないかということです。これは倉辻委員からもご意見が 寄せられていましたが、その辺に関しては、データの扱いについて今後は何かご予定と かありますか。 ○榛葉委員  協会としては、この専門部会、その後の検討会において、オゾンガス消毒がいいだろ うということになりましたら、倉辻委員とご相談させていただきながら、私どももあま り文献等の掲載について知識がありませんので、すぐ検討に入らせていただきたいと思 っています。 ○大久保座長  今日、お示しいただいたデータで内容的には特に問題はないのですね。それがオーソ ライズされたものかどうかというところが大事です。今までのご発表に関してほかにご 意見はありませんか。 ○榛葉委員  ついでに申し上げて申し訳ないのですが、先ほどの寝具類の消毒に関するガイドライ ンというものも寝具協会で作りまして、こういったもので感染に対する知識、あるいは 従事者に対する注意など、一生懸命勉強していますので、ご理解を賜りたいと思います。 ○大久保座長  今日のいちばん重要な検討事項が次の議題にありますが、その中で、いまお示しいた だいたデータがまた必要となって出てくるかもしれませんので、そのときにまた振り返 ってご質問があればしていただくということで、ほかにご意見がなければ次に進みたい と思います。よろしいですか。  3番目の議題となっている、「寝具類洗濯業務におけるオゾンガス消毒に関する報告 書(素案)」というのが皆様のお手元にあると思います。これについて資料の説明を事 務局よりお願いします。 ○佐藤係長  少し時間もありますので、はじめから順に読ませていただきます。(資料3読み上げ) ○大久保座長  ありがとうございました。すべてお読みいただいたわけですが、「はじめに」からそ れぞれの項目別に見ていただき、皆様方のご意見を伺って、現在これは素案となってい ますので、今日の段階では案を作ることになるわけです。資料3の「1 はじめに」に 関してご意見があればお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。  この検討会の立場をきちんと明確にしておくことが必要なわけで、まず対象となるの はオゾンガスであるということ、オゾン水ではないことを明確にしておく。現在使われ ているEOGやホルムアルデヒドガスを否定したり、それに代わるものとしてのオゾンの導 入というわけではなく、寝具類を殺菌するに当たってのオゾンの導入についての考察を 検討する会であることを、ここでもう少し表現できたらいいかなと思います。  上寺委員、この下のほうに「病毒感染」という言葉がよく出てくるのですが、これは 医療法の以前の課長通知で使われていた短語らしいのです。一般的には使わないのです が、この辺りはいかがでしょうか。 ○上寺委員  確かに、座長のおっしゃるように、医療関係だと病毒感染はほとんど使われていない 言葉で、こういう言葉が出ると法律の言葉だなという印象で考えていたのですが。 ○大久保座長  言葉そのもの、例えば「消毒」という言葉も、毒を消すということ自身がおかしなこ となのですが、「病毒」という言葉を削ることに関してはいかがですか。これは可能で すか。ここで検討すべきことではないですか。 ○佐藤係長  こちらの通知自体は平成5年に発出されたものなのですが、内容は昭和57年から昭和 59年にクリーニング業法の衛生基準から引用したもので、その中で病院に関しては特に 危険性があるということから、感染症法に規定されているもの以外のもので、非常に危 険性があるという意味を含めて「病毒感染」という言葉を用いて表現していたという経 緯があります。ただ、同じ政令8業務の中に滅菌消毒業務というものがあって、それも 委託できる範囲が寝具類と類似していますが、そちらは「感染の危険がある」という表 現を使っているので、病毒という言葉を削除することに関しては特段問題はないのです が、報告書上どのように記載するかは検討したいと思います。 ○関口委員  病毒や感染とは少し違うかもしれませんが、シラミ等の害虫、虫卵の除去については 触れなくてよろしいのでしょうか。 ○大久保座長  そうですね。原虫などいろいろありますが、もちろんオゾンが効果的なことは間違い ないのですが、そういうことまで触れる必要があるかということですね。 ○佐藤係長  通常、消毒の過程ではそういったものも含めて消毒しているという概念があって、感 染症に規定されているもの以外で危険のあるものは、疥癬といったものも含めて病毒感 染の危険のある寝具類として消毒をしていると認識しております。 ○関口委員  そういう意味で含まれるという形でよろしいですか。 ○佐藤係長  個々の病原菌やウイルスとして規定はされていないのですが。 ○関口委員  病院に入院してきた人で、虫卵を持って入ってきた人は実際にはいて、それをどうや って除去するか非常に困る現場があるわけです。 ○大久保座長  虫類というか、原虫等の扱いに関しては、外国のガイドラインでも感染症の中で、シ ラミなどは接触感染など感染という言葉で括られていますので、ここは含むと考えてい いと思うのです。 ○榛葉委員  先ほどの私どものガイドラインの13頁ですが、寝具の取扱いの中で感染症と疥癬とい う形で我々の消毒の対象と考えております。 ○大久保座長  そのほか、この「はじめに」で何かお気づきになったことはありますか。  1つ意見として述べたいことがあるのですが、基本的に病院、委託側は感染性のもの を出してはいけない立場であるにもかかわらず、受託側で消毒の規定を設けることに関 してすんなり理解されるかどうかが心配なのですが、その辺りをうまく説明できないで しょうか。よく読めば、これで問題ないわけですが。 ○佐藤係長  政令8業務の中でも寝具類の洗濯業務は非常に古い歴史があり、昭和32年当時から委 託業務が始められたのですが、そういったところからすでに感染の危険のあるものや感 染症にかかっているものについては、委託してはいけないということになっておりまし た。その後、医療法改正により規制緩和がなされ、寝具類の洗濯を外部委託する場合は、 病院において洗濯の設備を設けなくてもいいという緩和措置が取られている経緯があり ます。そういう観点から、病院の中で感染の蔓延を防ぐことを前提に消毒を行って、危 険性のなくなったものについては委託しているという状況にあります。ただし、至急の 場合や病院の設備が一時的に壊れていることも想定されるので、原則として、あるいは やむを得ない場合という言葉を使って、消毒ができない場合は密閉した容器に入れて、 危険性がある旨を明示した上で、受託者に引渡しなさい、と現在の通知では規定されて おります。医療機関側もその辺りはきちんと理解しており、毎回、つまり恒常的に未消 毒のものを委託していることはないと認識しておりますので、大丈夫だと思います。 ○大久保座長  すべてが消毒されていないという観点から、今回のような議論が出てくるということ ですね。 ○佐藤係長  絶対ではないのですが、消毒されているかいないかは目に見えないもので、色が変わ ったり物質が変化して渡されるわけではないのです。医療機関がきちんと消毒して委託 しているか否かは、そこは信頼性の問題ですが、作業従事者の安全性を守るためという こともあるので、受託者側でもきちんとした衛生管理をして消毒、洗濯を行っていると いうのが実態かと。 ○大久保座長  1頁の下から3行目に、「受託業者が行う消毒のうち」と一応書いてあるのですが、 寝具類の洗濯にオゾンが使える形になっていくと、いまセレウス等が問題になっている から、病院のほうで同じような機械を購入してやりたいという動きが出てくるかもしれ ないのです。その辺りは、今回の院外への委託に限ることを明記するべきでは。 ○佐藤係長  病院の中での基準はありません。特に、医療従事者の管理の下でそういった消毒、洗 濯業務が行われていることをもってすれば、こういった細かな規定を設ける必要はない と考えております。 ○大久保座長  これは院外に限定と、専門の業者で行うことをきちんと表明したほうがいいと思いま す。 ○倉辻委員  その少し上の所で、医療機関が委託できる寝具類についてですが、法律や通知の説明 部分が少し詳しすぎて分かりにくい。もっとわかりやすい言葉で、例えば感染の危険の あるものは、原則として医療機関で一次消毒が行われている、などに変えたほうがわか りやすいのかなと思うのです。 ○大久保座長  確かにそうですね。やむを得ないものや確実に消毒が行われていないものに関して、 受託ではこうだと、流れとしてわかりやすく書いていただくといいかと思いますが、か なりしっかり読まないとわからない点がありますね。その辺りはもう少し練ってみたい と思いますので、よろしくお願いします。  2頁のいちばん上ですが、「基本的な考え方」の所で何かありますか。これも、4行 目にいま話題になった「受託事業所が行う消毒」という言葉が出てきていて、危険性の ある寝具とそれ以外の寝具を分けています。危険性がある場合には、蒸気、熱湯、塩素 剤、ガス等を用いるとされている、とあります。この辺りで何かご質問、ご意見はあり ますか。よろしいでしょうか。  次の項目ですが、実際的なことに入って、3「オゾンガス消毒の安全性について」を 順次検討していきたいと思います。現状はホルムアルデヒドガスとEOGの2種類であるこ とと、いろいろな注意点が喚起してあります。オゾンガスについての項目として、(1) 寝具類の残留毒性、これは先ほど来ご説明のあった実際の試験結果が書いてあって、検 出限界以下であったということです。この辺りを、できれば文献でどこにという裏付が あるといちばんいいと思うのですが、現状では発表したものはないですね。榛葉委員、 いかがですか。 ○榛葉委員  そうですね。私ども独自に同じ消毒庫を作ってやったものですから、そういう意味で は残留性は文献ではありません。0.001以下までいくので、それ以上機械では測定できな いぐらいにガスの残留はありませんでした。 ○大久保座長  (1)の前に戻りますが、3行目に「作業所内の換気に注意すること及び引火性」と 書いてありますが、換気に注意するという具体的な表示は要らないでしょうか。例えば、 病院ですと、その部屋の換気回数や周辺との室内圧などが、病院の各室に対して規定が あるのです。日本医療福祉設備協会のゾーニングに関する規定があって、温度や湿度ま で決められています。洗濯に関して、部屋はゾーニングではゾーニング5に入り、換気 回数は排気量がその部屋の体積の10回分を1時間に排気しなさいと規定されています。 必然的に周辺よりは陰圧になるのですが、具体的な内容は院外で行うオゾンの殺菌の領 域では特に基準等はないのですか。 ○榛葉委員  その辺りも、これから各メーカーと我々協会とで、そういう場合の換気はこうしろと いう基準を、今後、検討していこうという段階です。 ○倉辻委員  アメリカのCDCの下にあるHICPACという環境感染を含めたアドバイザリーコミッティー があるのですが、そこではこういう作業をする部屋は「空気を1時間当たり何回以上換 気する」、と勧告しています。それは感染性のある病室などを全部含めているのですが、 そうしたことを考えると、産業衛生学会などで作業基準がある程度あるのだろうと思う ので、その辺りを調べて、具体的に示したほうがわかりやすいと思います。 ○榛葉委員  わかりました。 ○大久保座長  アメリカではきちんと書いてありますね。いまご紹介いただいたHICPACは “Healthcare Infection Control Practice Advisory Commity”の略なのですが、ガイ ドラインを作るときにいろいろな専門家が14、5名集まって行う会議のことなのです。で きれば換気回数、周辺の室内圧、周辺との差圧、換気に用いる空気の外気量ですね、実 際的には、こういう手のものは現状はかなりオープンな部屋で行われているのですか。 ○榛葉委員  EOガスも含めて、ガスそのものはきちんとしているのですが、それを取り巻く部屋自 体は結構オープンになっております。漏洩もしないであろうという前提のものですから。 ○大久保座長  換気に関する点は少しデータを集めて、作業環境基準等があればそれをご提示いただ きたいと思います。もし見つからなければ、病院の中での洗濯を行う部屋の基準を導入 してはどうかと思うのですが、斧口委員、その辺りで何かご意見はありますか。 ○斧口委員  ガスの場合は毒性が高いので、いまEOGなどは労働安全衛生法の中で特殊扱いされるよ うになっています。それは作業場も規定されていると思いますので、そういうものも参 考にするほうがいいと思います。 ○大久保座長  作業環境基準を調べるということですね。尾家参考人がお帰りになられるということ ですので、どうもありがとうございました。 (尾家参考人退出) ○大久保座長  それでは、3頁の(2)人体(作業従事者)への影響についてご意見をお伺いします。 ○中嶋委員  万が一の話なのですが、高濃度オゾンに暴露された場合に、その作業者たちは医療機 関に運び込まれることになりますね。いちばん近い医療機関に運び込まれることが多い のだろうと思いますが、そういった所に対して事前に定型的な情報を与えておく必要は ないかと思うのです。医療の内容自体は、目、鼻、のど、呼吸器が主なので、救急の医 療をやっている所では十分に扱えるとは思うのですが、適正な対処を迅速にできるかど うかということで、事前に定型的な情報を盛り込んでおく、あるいは論議しておく必要 はないのだろうかと思います。 ○大久保座長  作業現場に近い医療機関に対して、暴露した作業者が搬入される可能性があるので、 その場合の対処法についてあらかじめ連絡をしておくというご指摘です。それは必要だ と思いますが、どういう症状がどのように来るかがかなり専門的になってきて、オゾン 特有のものが何かあるのかどうかですね。 ○中嶋委員  強力酸性暴露ですから、ほとんど気道系の対処でいい。それはみんなできるでしょう が、オゾンであるということ、あるいは場合によっては中毒センターのように問合せを 即できるような情報体制があればありがたいだろうと思います。 ○大久保座長  作業場の近隣の病院としては、確かにその点が気になるところだと思います。大量の 暴露をした場合の所見症状等を何か把握はされていますか。我々もよくわかりませんが。 ○中嶋委員  文献的には最大肺胞障害といったものですから、ガイドラインは必要ないかもしれま せんが、オゾンに暴露されたものであること、何らかの高濃度のオゾンに暴露された場 合の対処方法の情報があれば、医療サイドは適切に対処してくれると思います。 ○大久保座長  わかる範囲で、症状について少し調査をしてみる必要があると思います。 ○佐藤係長  詳しくはわからないのですが、化学物質等安全データシートというものがあって、そ れぞれ有毒なガスや特化則に規定されているガスによって、被災した場合にどういう症 状があって、応急処置はこうである、といったものがあったと記憶していますが、いま ご指摘の件については、今後、作業者側の安全管理体制等も含めて、事業者のほうで適 切なマニュアルなどを作成していただくなり、近くの病院にきちんと事前に周知するな りということで、そこまで法律で詳細に規定するのは難しいと考えますが。 ○大久保座長  近隣の医療機関と連絡を密に取ることとか、その程度になるかもしれません。モニタ ーはセンサーに置き換えるのですか。 ○榛葉委員  言葉は悪いですが、検知モニターでセンサーというイメージですので、検知モニター で結構です。 ○大久保座長  場所の設定は、ここに書いてある文章で十分でしょうか。 ○倉辻委員  最初の作業する人の影響で、通常いろいろなセンサーというのはヒトの標準身長を基 準として、立ち仕事の場合は1〜1.5mにありますが、作業従事者の健康管理よりも漏洩 の検知モニターと考えれば、もっと下のほうがいいのかなと思います。たまたま調べた いろいろな機械は大体80cmから1.0mとなっておりますが、EOGの場合は25cmですね。オゾ ンの場合比重は空気より重いので低い位置の方がいいのかもしれません。漏洩検知のJIS 規格はないのでしょうか? ○榛葉委員  そういう基準はないみたいです。ですから、今回ある程度の目安で50cmから1.0mの範 囲内、あるいは1.0m前後という決め方しかできないのかなと思います。 ○倉辻委員  こういう書き方にするのなら、もう少し低く書いたほうがいいと思います。 ○大久保座長  ……という前提で、1.5と書いてありますが、1.0mかあるいはもっと低くてもいいわけ ですね。いままでの調査によれば最高1.0mで、80cmの所もありますので。 ○関口委員  引火性があれば、本当にもっと低くないといけないと思います。 ○大久保座長  これは機械の構造上無理だとか、そういうご意見はありますか。 ○倉辻委員  ないと思います。 ○大久保座長  ある程度低いところを設定することは可能ですね。 ○榛葉委員  はい。検知センサーですから、目で見るモニターとは違いますので。 ○佐藤係長  第1回から第2回にかけて、ここに先ほど別添2でお示しした既存の設備があるので すが、事務局のほうで何カ所か確認をしてきました。確かにセンサーの位置はバラバラ なのですが、扉のパッキンのすぐ横に取りつけてあって、そこから漏れを検知する構造 になっており、高さ等については特段の制限はしていないということです。扉が開く側 の扉の中心部分にセンサーがあって、漏れたらすぐそこで感知ができる。 ○大久保座長  このリネン消毒庫は、中の温度は上がらなかったのですね。 ○榛葉委員  庫内は上がりません。あくまでもオゾンガスなので。 ○大久保座長  扉を開けたときに上昇気流ができるということではないわけですね。 ○榛葉委員  ないです。 ○大久保座長  では、基本的に調査されたすべてのものは1.0m以内ですから、1.0mにされてはいかが かと思いますので、今日のところは一応1.0mにします。 ○榛葉委員  1.5mではなくて、1.0mですね。 ○大久保座長  従業員の安全性を図るために、手袋やマスクなど必要な防護服と書いてありますが、 この辺りはいかがですか。前回も少し意見が出ましたが、マスクの性能について、ほか のガスの場合にはホルマリン用のマスクなどいろいろあるわけですが、オゾンの場合に は特別そういうものはいままで見たことがありません。 ○佐藤係長  オゾンガス専用というものはありませんでした。 ○大久保座長  マスクとしか書けないでしょう。 ○榛葉委員  先ほどの消毒ガイドラインの17頁に、集配業務や工事の人間は手袋を使いなさい、と いうぐらいで、EOガスのときも、防護マスクは庫内に入る場合は使うということで、通 常出し入れの作業をする際は一般のゴム手袋やマスク、帽子もかぶりますが、その程度 でよろしいかと思います。 ○大久保座長  逆に言えば、これでオゾンの害を防げるものではないと思いますが。 ○榛葉委員  漏洩した場合はそうですね。 ○大久保座長  いずれにしても、こういうガスを使うわけですから、基本的な手袋、マスク等は必要 であるとの考えでこれを書くという程度でよろしいでしょうか。  それでは、(3)オゾンガスの発生装置に関する基準で、何かご意見はありますか。 基本問題検討委員会でもご指摘がありましたが、窒素酸化物が出るのではないかとの懸 念があるということでしたが、ここでは「非常に少ない」という表現になっています。 これは、数値を出すことはできないのですね。 ○榛葉委員  前は、庫内の窒素酸化物は実験で0.05ppmという数値がでました。実際、大気汚染防止 法によると、0.04〜0.06ppmのゾーン内でそれ以下であればいいということで、当然それ 以下でした。 ○大久保座長  その辺りは、参考数値としてここに括弧書きで書かれたらいかがですか。ほかにオゾ ンガスの発生装置に関するご意見はありませんか。  それでは、(4)設備の安全機能についてご意見を伺います。これは、高圧蒸気滅菌 やEOG等の滅菌器の場合には、きちんとしたバリデーションが規定されていますね。基準 どおり設置されているか、決められたガスの濃度に達しているかなど、オゾンガスの装 置の場合には滅菌器ではありませんが、オゾンガスが一定の濃度で出ているかどうか、 そういう意味での庫内の確認をどこかで謳っておく必要がないでしょうか。 ○榛葉委員  それは、濃度モニターに全部出ています。 ○大久保座長  それが正しいかどうかですね。EOG滅菌の場合には、測定部位やロードといいますが、 工程によって波があるのですが、そういうものの定期的な確認等をここに謳う必要はな いですか。決められた温度で、決められた濃度で、決められたガスが供給されているか どうか。 ○榛葉委員  目で見て、あとはこの場合は試験紙のようなものを汚染物に入れて、最後に上げたと きに色が変わっていると消毒されたと感知はできるのですが。 ○大久保座長  それは本当の補助手段であって、正確な濃度が供給されたかどうかはなかなか確認は できないと思うのです。 ○斧口委員  ロードモニターというのは、何ppmになったかまで出るのですか。 ○榛葉委員  出ます。それ以下であり、あるいはもっと濃度が高くなると機械が停止してエアレー ションを開始する形で、一応基準値まで達成するように設定できるので、6,000CT値と 設定をすれば6,000CT値まで上がり、それ以下または以上であると機械が警報を鳴らす 形になります。 ○大久保座長  基準がないので、そこまでの要求は要らないといえばそうなのですが。 ○斧口委員  ただ、メーターなどの較正は定期的にやるわけですね。 ○榛葉委員  はい。 ○大久保座長  滅菌器の場合、測定部位がコールドスポットといって濃度の薄い所や温度の低い所な ど庫内にいろいろ分布がありますので、そういうことが求められるのですが、これは洗 濯類の殺菌ですから、そこまで謳う必要はないのかもしれません。ほかに、安全機能・ 性能等で何かご意見はありますか。分解触媒の交換を含めて定期的に保守点検を行うと いうことでいいわけですね。  次に、4.オゾンガス消毒の有効性についてです。まず、前文の部分ではいかがです か。前文が数行あって、2段目に「原則として医療機関内で消毒が行われたものである が」とありますが、最初の議論に戻ってしまうのですが、行われているにもかかわらず、 感染症法に規定された五類の病原体に汚染されているものがあったり、血液や体液がつ いていたり、排泄物が付着しているものが含まれているために、今回のように患者に対 して衛生的な寝具類を提供するためには、これらの病原菌を消毒しなければならない、 という文章が書かれています。これは問題ないでしょうか。 ○榛葉委員  五類に関しては、医療機関で五類の感染が出て、消毒庫等が一定期間破損したりして 使えなかった場合は、密閉した容器に入れて受託者に委託していいという基準になって います。我々としても、医療機関から出る可能性があると、実際出ておりますので、五 類に関して、消毒をするための設備は用意しなくてはいけない形になろうかと思います。 ○斧口委員  基本的に、感染症か感染症でないかという考え方よりも、熱水消毒ができないものと いう規定をこの辺りに入れておいたほうがいいと思うのです。熱水消毒が基本だと思う のですが、熱水消毒ができない、低温で処理しなければならない寝具類に関しては、と いうのが入ったほうがいいのではないかと思ったのです。 ○榛葉委員  医療機関からビニール袋に入ってくると、洗濯機に入れる以前にそのものを消毒して から80℃で10分の洗濯機に入れるので、以前に消毒のほうに品物が流れるわけです。 ○大久保座長  理解できないところがありまして、80℃で10分処理するものであれば、それ以前に消 毒は何ら必要ないはずですが。 ○榛葉委員  ただ、特殊な例の場合、医療機関から布団類とシーツ類が一緒に入ってくるものです から、それを分けて出す、要するにできるだけ作業従事者の手に触れさせないというこ とを含めると、そのまま消毒のほうに流れる形になろうかと思います。 ○大久保座長  いちいち分けてコースを決めるのではなく、病院から来たものはすべて感染性と思っ て。 ○榛葉委員  感染というビニールに入ってくるものに関しては。諸外国でもそうですが、分ける作 業がいちばん危険があるものですから、感染のものはできるだけ直接手に触れないよう にはしております。 ○大久保座長  その辺りが、手術器械等と考え方が違うところですね。手術器械の場合には、血液が どんなについていても最初は熱水洗浄です。この場合には、熱が使えないものが混って いる可能性があるから、分配そのものが危険があるから先に消毒をする。いま言った話 の流れを具体的にここに書くのは問題ですね。 ○佐藤係長  オゾンガス消毒できるものを限定するのは、事業者にとって負担がかかるかもしれま せん。 ○大久保座長  考え方としては、熱水が使えないものはということで。 ○榛葉委員  基本的な考え方はそうだと思います。 ○大久保座長  そこを大前提として考えていただきたいと思います。  (1)病原菌に対する消毒効果についてはいかがですか。下の3行の「酸化力が強い から、ゴムなどの素材云々」というのは、病原菌に対する消毒効果の項目に入れるべき でしょうか。素材の劣化については、この素案の中には出てこなかったですか。 ○佐藤係長  素材の劣化に関する項目は立てず、ここに落とし込みました。別立てで素材の劣化に ついて必要があれば、もう1つ立てたいと思います。 ○大久保座長  かなり詳しいデータを先ほど紹介されていたので、もう少し具体的に表示できれば、 そのほうが皆さんのためになると思うのです。項目を作っていただけますか。 ○榛葉委員  素材劣化の項目に入れるということですか。 ○大久保座長  劣化する可能性のあるものを、いくつか注意喚起の面で。病原菌に対する消毒効果に 入れるのは少しおかしな感じがしますので。  ほかになければ、(2)ガスの浸透度です。浸透性についてのデータもお示しいただ いているわけですが、いかがでしょうか。マル3の下から3行目に、「中心部を消毒す るために必要な濃度を確保するためには、濃度の設定を考慮する必要がある」とありま すが、具体的に示す必要性はないでしょうか。 ○榛葉委員  毒性CT値を担保するためには、9,000CT値を確保しようと前回申し上げたのです が、そういった具体的な数字を載せたほうがよろしいということですか。 ○斧口委員  次の(3)に、オゾンCT値がデータとしてあるから。 ○大久保座長  そちらを見ていただければいいと思います。これは微生物に対するCT値ですね。丸 めた寝具類の中心部に対する濃度を十分に確保するためにはどうしたらいいかというこ とですね。 ○榛葉委員  9,000CT値を設ければ、70%で中心が約6,000になると。 ○大久保座長  その辺りは、濃度の設定としても可能ですね。 ○榛葉委員  はい。設定の変更は可能です。 ○大久保座長  では、具体的に書いたほうが親切ですね。  ほかにご意見がないようなので、(3)オゾンCT値の設定についてはいかがですか。 結局、芽胞類はノンクリティカルな寝具類の処理の対象ではないので、芽胞菌のCT値 を考慮しないこととするという締めですが、ノンクリティカルという表現そのものは、 ここに書いてもすぐわかりますか。スポルディングの分類によるとか。 ○佐藤係長  この辺りの表現は、皆様からいただいたご意見を引用しているのですが、他に適切な 表現があれば、ご提示いただきたいのですが。 ○大久保座長  感染に造詣の深い方はもちろんよくわかる言葉なのですが、一般の企業の方などは。 ○佐藤係長  肌に触れる分野とか、そういう表現でもよろしいでしょうか。 ○大久保座長  正常な皮膚に触れるもの。 ○佐藤係長  それでは、座長と相談をして、適切な表現を考えたいと思います。 ○大久保座長  もう少しわかりやすく解説を加えたほうがいいかもしれません。  それでは、5.その他はいかがですか。 ○倉辻委員  この理由には、熱水消毒に耐えられないことが1つの大きな理由になっておりますが、 ガス消毒が用いられていないアメリカでは、例のHICPACで2003年に出た勧告では、おそ らく全病院あるいは消毒する施設の全エネルギーの70%以上が洗濯場に使われていると 書いてあるのです。それがものすごく高価であるということで、そのために温度を低く した場合には、例えば次亜塩素酸を何ppmでという書き方をしているのです。ですから、 経済効果ということも少し入れたほうがいいと思うのです。欧米では、経済効果を考え て何かほかのことができないか、温度を低くできないかと模索しているようなのですが、 今回は経済効果を入れない方がよいのですか? ○大久保座長  経済効果については今回検討されていないわけですが、ガスの費用、設備等はどのぐ らいのものか想像がつかないのですが、熱を使って処理をするにはかなりエネルギーが 必要で、経費も高くつく。これは病院で行う場合も外部で行う場合も全く一緒なわけで すが、そういう意味でガスを導入することを書くべきかどうかです。 ○榛葉委員  いま言った次亜塩素酸が非常に洗濯機械を傷めるということがあって、連続洗濯機の 水を中間脱水して、次亜塩素酸を抜いたり入れたりすることがあれば、機械自体の経済 効果が出るのですが、ずっと使う場合は、機械の持ちと比較するとオゾンガスを使った ほうが安くなるかと思います。EOガスと比較したものはお出ししたのですが、熱水とオ ゾンやガスの経済効果に関しては、具体的には出しておりません。 ○大久保座長  酸化力がこれだけ強くて、オゾンそのものによる機材の劣化はないのですか。 ○榛葉委員  洗濯機にはオゾンは入っていないので、オゾンガスの消毒機械自体は何十年も経てば 劣化するのですが、洗濯機に与える影響はありません。 ○大久保座長  わかりました。前回、上寺委員からイギリスでの基本的な考え方のデータをいただい たと思うのですが、イギリスも低い温度で、いわゆる洗浄、除去することを主体に考え た処理を行っているという意見をいただいたと思うのです。 ○上寺委員  私は文献的に少し調べただけなのですが、印象的には洗い流す、希釈するということ が非常に表に出てきていますし、すすぎ水は再使用しないタイプを用いるとか、非常に 希釈にアクセントを置いて記載されていたと思います。熱水消毒の程度も非常に低いも のでやっていますので、そういう哲学が彼らにはあるのかなと推察しています。 ○大久保座長  その他の所でいろいろ貴重なご意見が出ましたので、その辺りを要約して、諸外国で 使っていないものをなぜ我が国で行っていくかという考え方を、その他の所でまとめて いければと思います。 ○佐藤係長  事務局からなのですが、いま経済効果というご意見がありましたが、確かに経済効果 が今回のオゾンに関しては有効であることは資料等で確認しておりますが、こちらの立 場で申し上げるのもなんですが、医療関連サービスの質の担保を念頭に置いた場合、患 者に対する安全で安心なサービスを行うことに対して、いわゆる事業者等の経済性を考 慮することは、前回の部会の中でも、あまり数字的なものは出さないほうがいいという ご指摘を受けたので、今回も資料にとどめたところがあります。事業者にとって経済性 の負担は非常にネックで、改善されるべきものなのですが、それを数字に表していいか どうか。そういうことを考慮して、今回の報告書の中では経済性という言葉は使ってお りません。 ○大久保座長  逆に、EOGに比べて安価であるということは表現できますね。 ○佐藤係長  それは資料でも提示されているので、いいと思います。 ○大久保座長  その2つに比べれば、かなり経済効果があると。 ○佐藤係長  そういう意味では可能かと思います。ただ、経済性のとらえ方と書き方の問題だと思 います。 ○大久保座長  ほかに、この素案の中身だけでなく、ここに書いてなかったことでも結構ですので、 何かご意見があればお伺いします。  まだ時間はありますが、ご意見が出尽くしたようですので、これで本日は終了します。 ご意見はまだおありだと思いますので、次回もう一度この会を予定しております。そこ でご意見を伺って報告書をまとめたいと思います。事務局から何かありますか。 ○佐藤係長  ありがとうございました。本日、この素案に関して各委員の皆様からいただいたご意 見等を踏まえて、事務局で整理をします。第3回への提示として、素案の素を取って案 の形で提示し、ご意見をいただいた上でお取りまとめていただきたいと思います。  今後のスケジュールですが、お手元に日程調整表をお配りしています。こちらをご確 認いただいて、ご記入の上事務局のほうにご提示ください。できれば1月中に開催をし たいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。 ○大久保座長  長時間にわたりありがとうございました。本日はこれで閉会といたします。どうもあ りがとうございました。                                     −了− (照会先) 厚生労働省医政局経済課    医療関連サービス室        佐藤、峰岸 03−5253−1111 (内線)2538又は2539