06/12/08 第2回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 第2回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会議事録 1.日 時:平成18年12月8日(金) 10:00〜12:00 2.場 所:厚生労働省共用第7会議室 3.出席者:   <五十音順>   飯野靖彦委員、五十嵐敦之委員、石名田洋一委員、岩下光利委員、大井利夫委員、   大江和彦委員、長村義之委員、落合和徳委員、北村聖委員、木下靭彦委員、   木原和徳委員、黒岩義之委員、相楽裕子委員、菅野健太郎委員、高橋姿委員、   土屋了介委員、中田正委員、林同文委員、藤原研司委員、増田寛次郎委員、   松岡健委員、柳澤正義委員、渡辺英寿委員   事務局    人口動態・保健統計課長、疾病傷害死因分類調査室長、保健統計室長 4.議 題  (1)WHO−FICチュニス会議の報告について  (2)疾病、傷害及び死因分類に係る意見の収集及び集約について  (3)疾病、傷害及び死因分類の恒常的見直しの在り方について  (4)疾病、傷害及び死因分類の普及啓発について  (5)その他 5.議事内容 ○藤原座長 では、予定の時刻となりましたので、第2回「社会保障審議会統計分科会疾病、傷害 及び死因分類専門委員会」を開催いたします。各委員の先生方におかれましては、ご多 忙の中をご出席賜りまして、誠にありがとうございます。 では、議事に入る前に、事務的な確認等を事務局、お願いいたします。 ○疾病傷害死因分類調査室長 まず、お手元の資料の確認をお願いいたします。 今日のお手元の資料は、ホチキス止めされております1つでございます。 次第に続きまして、資料1が4ページ。 資料2−1が1枚紙。 資料2−2が3ページ。 資料2−3が2ページ。 資料3が1枚紙。 資料4が1枚紙。 それに続きまして、13、14、15ページがそれぞれ参考資料1、2、3となっておりま す。お手元、過不足等ございましたらお知らせください。よろしいでしょうか。 資料の確認は以上でございます。 なお、本日のご欠席の委員は、横田委員、吉田委員、飯森委員、田中委員の4名でご ざいます。それでは、座長、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○藤原座長 まず、議事1「WHO−FICチュニス会議の報告について」でございます。よろし くお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長 それでは、WHO−FICチュニス会議の報告を事務局よりさせていただきます。お 配りさせていただきました資料1に基づきまして、ご説明を申し上げます。 この会議自体は、WHOのICDを始めとする国際分類ファミリー(FIC)の総括 的な議論を行う、年に1回行われております会議でございます。本年度の会議は、10月 29日から11月4日までの間、チュニジアのチュニスで開催されております。 参加者としては、WHO及び各協力センター、オブザーバー等、世界16か国から112 名が参加いたしました。 4ページをご覧いただきたいのですが、この会議は、今年のチュニスの会議で組織が かなり大幅に変わりました。前の組織の形で基本的に進行させていただいて、それに3 つほどグループが新たに設立をされたということでございます。 基本的に、会議は各委員会単位で開催されまして、各委員会で決議、承認された内容 について、週の後半で行われる全体の本会議に諮られるという形式になっております。 そこでなされた主な議論といたしましては、まず国際生活機能分類という、これはI CDと並びましてWHOの中核的な位置づけになっておりますICFというものでござ いますが、これの小児青年版というものが派生分類としてWHO−FICのネットワー クにおいて正式に承認されました。 これは、もう一つ生活機能分類の専門委員会というものが別の組織として国内にござ いますが、そこの場において、また詳細に議論をしていただく形になっております。 それ以外に、4ページの組織にございますように、旧来の組織に加わりまして、新た に「生活機能分類グループ」「疾病分類グループ」「ターミノロジーグループ」という3 つのグループが正式に承認をされ、発足いたしました。 後は、インフォメーションパラドックスという、基本的にWHOの用語でございます が、情報のパラドックスということで、本当に情報が必要な国からこそ情報が上がって こないというジレンマを、WHOインフォメーションパラドックスと呼んでおります。 主に途上国の問題でございますが、それにつきまして特別なセッションが開催されまし た。 それから、各委員会からの報告がなされておりまして、主に既存の委員会としまして は、例えば「普及委員会」というものがございます。普及委員会では、このようなコア メンバーに対して、データをいかにどう収集をしていくか。あるいは生活機能分類グル ープという新しく立ち上がったグループを含めまして、ICDとICFの両方をどのよ うに普及、推進をさせていくのかという議論がされ、また後で改めてご説明をいたしま すが、アジア・パシフィックWHO−FICネットワークミーティングという、アジア 太平洋地域の加盟国を中心とした地域的なネットワークという、サブネットワークのよ うな形のものが今年のWHO−FICの会議でも正式に発足をいたしまして、その活動 等が普及委員会において議論されました。 「分類改正改訂委員会」というのは、ICDのアップデート、改正あるいはリビジョ ン、改訂に関する委員会であり、その委員会が開催されまして、その中でアップデート について97の項目について提案がなされ、34項目が合意、58項目についていろいろな 議論がされ、あるいは幾つかの項目については、ICD−11のときに検討をしましょう と先に留保をされたという事項が検討されております。 「教育委員会」に関しましては、ICFに関する、教育コアカリキュラムを開発して いく。また、WHO−FICの加盟国、加盟センターというのは、新規参入するセンタ ー、あるいはセンター長がどんどんとふくらんでおりまして、そういう新たに入ってく る国に対する普及のための「ツールキット」を作成していこうという検討がなされてお ります。 もう一つの委員会であります「電子媒体委員会」につきましては、ICD−10のノレ ッジマネージメントサポートのシステムを作っていこうとか、ICD−10のフランス語 版を開発しようといったような検討がなされました。 また「国際分類ファミリー拡張委員会」という委員会がございますが、この委員会で は、先ほど申し上げましたICFの小児青年版というのを委員会承認されまして、国際 生活機能分類の派生分類として正式承認するように、WHO−FICの本会議に勧告が なされまして、本会議ではそれが承認をされたということです。今はWHOの中での正 式な手続が行われておりまして、それが終わり次第、各国に対してその配付がされると いう段取りになっております。 それ以外にも、伝統医学(Traditional Medicine)、特に東洋の医学に関しましては、 今、ICDを作成するという作業が進められております。漢方などに関してでございま すが、それも新たにWHOの分類ファミリーに加えようという検討がなされております。 従来、ICDというのは西洋医学中心に構築をされていたものでございますが、その中 に東洋医学のものも加えていって検討しようという議論がなされております。 あるいは患者安全分類(Patient Safety Classification )というものを検討してい こうという議論がなされました。 「死因分類改正グループ」につきましては、死因のいろいろなルール等につきまして 検討がなされまして、一部の事項につきましては、「分類改正改訂委員会」に正式に意見 として提案がなされたということでございます。 これが既存の委員会の活動でございまして、それ以外に、今回新たに立ち上がりまし た3つの委員会につきまして、まず「生活機能分類グループ」。「生活機能分類グループ」 につきましては、今年正式に発足をいたしまして、WHO及びWHO−FICネットワ ークを通じて、生活機能データの作成者及び利用者が協力し、ICF及び必要に応じて 他のWHO−FICの最適利用を促進する。 情報システムによりICFの利用を促進することにより、生活機能に関する国内外の データの品質及び比較可能性を向上させる。 ICF及びそのコーディング関連の問題について、WHO−FICネットワークへの 助言を行い、必要に応じてICFの改正・改訂のための勧告を行う、といったようなこ とが議論されました。 別に立ち上がりました「疾病分類グループ」でございますが、WHOはもともと「死 因分類改正グループ」というものがございましたが、ICD自体は、100 年以上歴史を 有し、もともと死因分類のためにできていました。基本的には死因分類を中心に議論が されてきたものでございますが、それに新たな視点として疾病分類を入れて再度、IC Dの議論を深めようということで正式に立ち上がったグループでございます。このグル ープによりまして「委任事項等」というところに書いてございますが、統計やケースミ ックス、臨床関連資料等に基づくニーズを分析、統合すること、疾病データの国際比較 性を改善し疾病におけるICDの使い方を促進すること、疾病データとしていかにIC Dを活用していくかということが議論されております。 もう一つ立ち上がりました、「ターミノロジーグループ」でございますけれども、WH O−FICというのは、分類でございまして、分類を議論の対象としておりますが、W HOの方は、今、別にターミノロジーというものに対しても議論を深めよう、国際的な 標準のターミノロジーをつくろうというような検討を開始しているところでございます。 この「ターミノロジーグループ」というのは、その分類とターミノロジーの間の適切な リンケージを図るために設けられたというものでございます。 3ページに入りまして、それ以外に先ほど申し上げた、世界的な全体のネットワーク ではなくて、特にICDの普及とか、教育といった問題は、もっと地域的に議論をし、 活動をしないといけないということでございまして、第1回目の「アジア・パシフィッ クWHO−FICネットワークミーティング」というものが10月29日と11月4日に初 めて開催されました。 これは、WHOのWHO−FICの全体のネットワークに対しては、サブネットワー クということで、実は世界的にはまだほかの地域にはできていないネットワークでござ います。アジア・パシフィックのこのネットワークの動きを見ながら、将来的には、例 えばアフリカであるとかアメリカ大陸であるといったところにもそれぞれの地域ネット ワークをつくっていきたいというWHOの考え方を受けまして、まず最初にアジア・パ シフィックでその活動を展開していこうと、1回目の会議が開催されました。1回目の 会議はオーストラリアを初め、ここに書いておりますアジア・パシフィック各国から9 か国が参加をいたしました。基本的には日本とWHOの本部が座長をいたしまして、あ る程度このネットワークミーティングに対しても積極的に貢献をしていこうという形に なっております。 参考までに、チュニス会議の資料というのは、すべてWHOのホームページに載って おりまして、そのアドレスを記載しております。 来年の会議につきましては、平成19年10月28日から11月3日までの1週間、イタ リアのトリエステで開催をされる予定でございます。 4ページにつきましてですが、これはWHO−FICのネットワークの組織図が、今 回の会議を機に大きく変わりまして、特に新しく3つのグループが立ち上がったという こと。それぞれの構成がマトリックス系になりまして、各グループが縦軸、各委員会が 横軸という形になりました。基本的には各グループの活動は、それぞれの委員会の活動 にまたがっているものも多く、それぞれ切り口が異なりますので、こういうマトリック ス形式の活動を今後、展開していくという形になっております。 基本的には各グループの活動の内容というのが、それぞれ該当する委員会に報告なり 上げられまして、その委員会で議論され、承認されるという手続きになっております。 以上がWHO−FIC会議の報告でございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。 ただいまの事務局の説明に関しまして、何かご質問等ございましたらお願いいたしま す。 ○飯野委員 日本医大の飯野ですけれども、ご説明ありがとうございます。 新しいグループができたということですけれども、日本からのパーティシペーション はどのぐらいあるのか。委員が入っているのかどうか。そういう点はいかがでしょうか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 まず結論を申しますと、この会議につきましては、日本から全部で延べ13名が参加を しています。我々といたしましても、可能な限り各委員会、各活動に対して極力貢献を していきたいと考えております。 ただ、最近WHO−FICは、急速に組織が拡大しているところがございまして、こ の組織の拡大にあわせて、各国も十分対応しきれていないところがあります。新しくミ ッションが増えていっているのですが、対応する人材として少し不足しているところが ございまして、1人の人間が幾つもの仕事をかけ持ちをするという状況になっておりま す。それは早急に解消をして、ヒューマンリソースとしてもどんどん開拓をしていきた いというのがWHOの現在の考えでございます。 ○飯野委員 そうですね。いろいろ人材を出して、アクティブに日本が貢献していくような動きを していった方がいいかなと思っています。 ○疾病傷害死因分類調査室長 ありがとうございます。 ○藤原座長 ほかにどなたかよろしゅうございますか。 それでは、議事2に進めさせていただきます。改善に向けての我が国の意見集約につ いてでございますが、ICDのリビジョンあるいはアップデートに関するもので、私と しても本委員会の今後の活動としても極めて大切なものと認識しております。まず事務 局からご説明をお願いいたします。 ○疾病傷害死因分類調査室長 それでは、資料2に基づきまして、貢献も含みまして、ICDの改善に向けての我が 国の意見集約のご説明をさせていただきます。 まず、資料2−2の方からご説明をさせていただきます。 これは、ICDのリビジョンに向けたWHOの取組み状況ということでございまして、 このリビジョンというのは、今、世界はICD−10でございますが、ICD−11に向け ての作業というのが開始されたところでございます。 まず「暫定スケジュール」です。 2006年に科学、臨床、公衆衛生の3つの視点から作業計画を作成するということでご ざいまして、今、WHOはどういう形でリビジョンを進めていくかということを検討し ているところでございます。 2008年には、ICD−11の草案(α版)を公開して、2009年までにはICD−11の α版を基に協議をする予定になっております。 ICD−11に向けた2つの草案が作成される予定になっておりまして、α版というの は、WHO−FICのネットワークのメンバーや専門家に向けての草案でございます。 それを受けてβ版というのは、データに基づく検証を行うためのフィールド・テスト用 の草案ということで、科学的知見の収集にとどまらず、試験的に改訂版を運用して、実 際に活用可能かどうかというフィージビリティも検証するといったことにも使われると いうことで、より拡大された対象を相手に検討をするという内容のものでございます。 予定といたしましては、2010年から2011年にかけましてICD−11のβ版を公開し て、フィールド・テストを開始し、データを収集するという形になっております。 そして、2012年から2014年にかけまして、一般レビュー用の最終版を公開して、よ り多くの方々にレビューをしていただくというプロセスを予定しております。 2014年に世界保健総会に提出をし、承認を得、2015年、あるいは少し遅れるかもしれ ませんが、ICD−11を勧告し、この段階ではWHOが勧告をしたという段階なので、 それを踏まえまして、各国が順次適用していくというのが現段階でのWHOの暫定のス ケジュールでございます。 このように、およそ今から8年、9年という先の話でございますが、その基本的な骨 格というのは、2008年のICDのα版ということで、これから後2年程度ぐらいの間に は、あらかた骨格といったようなものが定まっていくというのが全体の流れでございま す。 「2.改訂のプロセス」でございます。改訂プロセスの概念図を7ページの上の方に 付けてございます。 このように、まず科学、臨床、公衆衛生という視点からアプローチを行う。これは検 討の軸でございまして、それぞれの視点を持った中で、作業グループというのを複数、 今の段階では十幾つといったような数字を担当官は言っておりましたが、作業グループ においてとりまとめを行うという形になっております。 それを統括するのが「改訂運営会議」。Revision Steering Group のことを、一応暫定 的に改訂運営会議と訳させていただきますが、全体を総括的にとりまとめて検討をして いくというための改訂運営会議というものを新たに設置いたしまして、各作業グループ に対して指導と監視を行うということでございます。 この改訂運営会議というのは、WHOの今、既存にあります分類改正改訂委員会。先 ほどありました分類改正改訂委員会 というのが更に改訂運営会議をスーパーバイズす るという位置づけになっております。 そして、その上にはWHOの本部がございまして、WHO本部はWHO加盟国や専門 機関との協議を行うことにより、ICDの改訂を総合的に調整し、最終的に保健のさま ざまな場面での対応可能な改訂版を実現するというのがそれぞれの役割分担になってお ります。 いずれにせよ、このリビジョンに関して中核的な役割を果たすのは、この改訂 運営会議でございまして、その改訂運営会議の指導の監督の下に、それぞれの世界中の 作業グループがリビジョンに関する作業を行っていくというのが全体の骨格でございま す。 7ページは、改訂運営会議の流れでございます。 まず「(1)経緯」でございます。 ICDの改訂というのは、2005年にWHOがビジネスプランというのを策定しており まして、それに基づいて設置されるものでございます。2015年の施行を目途に進められ ることになりました。その改訂のプロセスにおいては、新しい科学的知見の導入に努め、 また疾病の構造的な変化や新しい疾病概念への対応も念頭に、エビデンスに基づいた大 規模なレビューを行うこととされております。 2005年に開催されたWHO−FIC東京会議。去年、日本でこの全体会議が開催され ましたが、それらICDの改訂に向けた計画が正式に承認をされまして、2006年のチュ ニスの会議では、計画を実現するためにこの改訂運営会議を設置することが正式に承認 をされたということでございます。 「(2)具体的な対応内容」ということでございますが、改訂プロセスの監督をすると いうことで、作業グループ間の連携や調整、助言を行う。 この中身につきましては、かなり細かい話になっておりますが、章とかコードの移行、 継続性に関すること。 健康状態に関する章の設立に関すること。 草案の取扱いに関すること。 地域、国、NGOの参加に関すること。 どのように試行を進めるかといったような、具体例が示されておりますが、基本的に はリビジョンを全体的に総括する運営会議であるということでございます。 8ページは、ICDの使用分野についての検証ということです。 利用者のニーズに対応できる改訂版を実現しようということで、死亡や疾病統計。 初期治療、これはプライマリーケアの訳ですけれども、臨床診療での使用といったも のにも使えるようにしよう。 分類学的・分類体系的な基本原則をもう一度きっちりと検証しようということで、主 要なものに対して、デフィニション、定義を付けていこうとか、あるいは病因や病態生 理といったような特出しについても検証をしていく、また、 他の分類や分類体系へのリ ンクといったようなものも検証していこうということでございます。 問題解決のための提案ということで、因果関係について検証する。これは、特にある 疾病がある疾病を引き起こすという因果関係というのは、ICDの概念上、非常に大切 なものとなっておりますが、そういったものも正しく検証できないか。 複数傷病等へ対応できないかといったものを検討していこう。 コーディングの規則、基準とか表形式化、索引に関すること。 あるいは臨床用語へのリンク等について検討していこうということで、基本的には非 常に多岐にわたる検討を総括的に進める会議ということになっております。 今の段階でのメンバーの構成ということで、各ワーキンググループ。今の段階では精 神とか外因、イクスターナル・コーズといったもの。こういった分野に関しまして、そ のそれぞれを代表としてこの会議に入っていただきたい。 あるいは既存のWHO−FICの中の幾つかの委員の委員長、オントロジーやターミ ノロジーの専門家等の十数名で構成が示されております。 実はこの第1回目の会議は、今組織化が進められているところでございまして、第1 回目の会議が来年の2007年4月に日本において開催がされるということが、「開催予定」 に書いてありますが、チュニスの会議で正式に決定されました。 この委員会の活動の1つは、リビジョンに向けての貢献ということでございまして、 この中核的な改訂運営会議が日本で開催されるということでございます。まだ1回目の 会議なので、これからしばらく議論は続きますが、そこに向けましてどのように貢献し ていくかについて、今後、検討していただきたいと考えております。 説明が長くなって申し訳ございませんが、5ページに戻っていただきまして、今後、 どのようにしていくかにつきまして、少しご説明をさせていただきます。 平成18年7月28日に開催されました本委員会の第1回目の会議において、ICD− 11への改訂を念頭に、我が国としても積極的に関与、貢献していくべきである。それか ら、そのためには関係団体等に意見を求めて意見集約を図るべきであるというような提 案がなされております。 そこで、ICDの改善、あるいはリビジョン等に向けまして、意見の集約及び収集を、 当面、以下の対応案によって開始をしたいと考えております。これはあくまでも開始で ございまして、恐らくこの辺の議論というのはこれからICD−11ができるまでの間、 続くことでございます。比較的、中長期的な関与が必要な分野でございますが、特に全 体的な骨子、骨格については、当初の2年、3年といったところでほぼ固まっていくで あろうということでございますので、大きな提案をすることにつきましては、最初の関 与、貢献が非常に大事であるということは、改めてご認識いただければと思います。  「2.関連する状況」としましては、今、ご説明させていただきましたように、今年 度のチュニスの会議において、改訂運営会議の設置が正式に定められまして、第1回目 の会議が、来年4月に日本で開催されるということも、あわせて決定いたしました。改 訂運営会議の主催は勿論WHOでございますが、我が国は単に開催国として事務的な役 割を担うだけでなく、実質的な議論につきましても、積極的な貢献が、WHO始め加盟 国からも強く求められているところでございます。 「3.当面の対応(案)」といたしましては、ここに書かせていただきますように、ま ず第1回目の4月に向けまして、ある程度、我が国としてしっかりと意見を集約をして いきたいということでございます。 ただ、1回目ですべてが決まるというよりは、1回目はある程度のそもそも論になる のではないかと考えております。 そこで、統計情報部の人口動態・保健統計課を窓口として、委員から電子メールによ りまして意見収集を行いたいと考えております。 当分の間は、ここにご参加いただいております委員の方に限定して、ご意見を賜れば と思っておりますので、各委員におかれましては、所属する団体等との連携を適切に図 っていただきまして、意見の提出をお願いしたいと考えます。 今の説明だけでは具体的に何をするのかということにつきまして、我々の方もなかな か十分に説明しきれないところ等もございますので、できましたら、このように20名以 上の大人数の方が一堂に会してという形より、ある程度少人数、イメージとしては4名 とか5名ぐらいの先生方に区切らせていただきまして、年明け、数回にわたりまして、 説明、あるいは打ち合わせのような場を設定させていただきますので、そのどれかに一 度ご参加をいただきまして、今後、現在WHOがどういう考えで、どのように進めよう としているのか、それに向けて、我々としてどういう意見をとりまとめて、どう貢献す べきなのかということを、もう少しある程度しっかりと、各先生方の意見等も踏まえな がら検討させていただきたいと思います。 その日程等につきましては、また改めて事務局よりご説明をさせていただきます。 集約された意見等については、本委員会に報告をするという形にさせていただきたい と思っております。 説明が長くなりまして恐縮でございますが、資料2−3の9ページに移らせていただ きます。これは、リビジョンとアップデートの違いということを改めてご説明をさせて いただきたいと思います。 リビジョンと申しますのは、日本語では「改訂」と訳していますが、ICD−10から ICD−11に移行する作業でございまして、これは、2015年を目途にWHOが、来年4 月から作業を開始をするところでございます。 それとほぼ並行いたしまして、アップデート、一部改正という作業も既に行われてお ります。 昨年、ICD−10の2003年版準拠のアップデートというのが、我が国でも適用され ました。従来はWHOはICDの10年に一度をめどとする改訂だけで対応していたので すが、それだけでは時代の変遷に追いつかないということで、リビジョンの間に一部改 正というサイクルを盛り込んでおります。 この一部改正というのは、大改正(Major change)、小改正(Minor change)と分けら れておりまして、おおむね3年に一度行われる大改正と、毎年行われる小改正というこ とで、ある程度小刻みにICDのバージョンアップを行っているということでございま す。 各委員から出していただいたご意見については、必ずしもICD−11を待たずとも、 今の問題点の一部であれば、アップデート、小刻みな改善のサイクルによって改善をな し得るものもあるということを改めて念頭に入れておいていただきたいと思います。 10ページですけれども、改正に関するプロセスというのは、WHOの分類改正改訂委 員会ということで、先ほどの改訂運営会議のスーパーバイズする委員会でございますが、 この委員会というのは、リビジョンとアップデートの両方を所掌している委員会でござ いまして、この委員会の活動の中で、そのアップデートは毎年行われているということ でございます。 このアップデートに関する意見というのはどういうふうに上がってくるかといいます と、死因について議論をする「死因分類改正グループ」、あるいは新しくできました「疾 病分類改正グループ」での議論を踏まえて、この分類改正改訂委員会に上げられてくる ものもございますが、それ以外に各国のセンターに対しては、直接分類改正改訂委員会 への意見提出というのも認められておりまして、我々が問題点と感じ、ここをこう改善 すべきではないかという意見があれば、そのアップデートによる対応というのも可能で あるということで、このようなアップデートとリビジョンという改訂のサイクルは、同 時並行で進められているということを改めてご説明をさせていただきます。 以上で意見の集約及び我が国の貢献についての説明を終わらせていただきます。 ○藤原座長 ありがとうございました。大変内容が豊富でした。 メインのところは、改訂運営会議が中核となって作業グループがとりまとめを進める ということ、そしてその場合に、日本の関与は非常に大きい、統計情報部の人口動態・ 保健統計課が窓口となっていくということ、そしてまたこちらの委員会の各委員におか れましても、会議に実質的に関与していただくということで、小グループの会を何回か やって、必ずそこにはご出席願いたいということですね。その先の具体的なことはちょ っと省略いたしますが、このような内容であったかと存じます。 何かご質問ございませんでしょうか。 ○中田委員 検討組織などについて、2点ほどお伺いしたいと思います。 1つは、先ほどご説明いただきました4ページのネットワークと書かれているこの組 織と、7ページのICD−11改訂用の組織のお互いの関係というのは、どうなっている のかということです。大きな組織が2つできるような感じがするのですが、お互いの関 係がどうなっているのかというのが1つです。 もう一点は、日本で来年の4月に行われる会議のことです。これは既に開催が決定さ れているということですが、これは来年の4月ということまで決定されているというこ とでしょうか。4月というと結構時間が短いので、できればもうちょっと遅くできれば という感じもするのですが、4月まで決まっているということなんでしょうか。この2 点をお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長 まず、ご質問の第1点の組織の話でございますが、基本的に4ページの組織というの は、ほぼパーマネント、恒常的な組織というイメージでございます。 この改訂に関する会議というのは、ある意味リビジョンに向けて特別に設置された組 織とご理解いただければよろしいかと思いますが、基本的にはこの分類改正改訂委員会、 URCというのは、4ページのマトリックスの上段の右から2つ目にございますが、こ のURCの下に、この改訂運営会議を始めとするもろもろの作業グループが、特出しの 形で設置をされるということでございます。 その中には、既存の委員会、この改訂運営会議のメンバーには、関係する主立った委 員会、あるいはグループのコアなメンバーも同時に参画する形になっておりますので、 両者は密接に連携をしながら進めるということでございますが、この通常の組織はIC Dの改訂以外にもさまざまな検討事項等を抱えておりますので、これらの委員会とかグ ループの活動の中のうち、ICDのリビジョンに関するものすべて特出しとしてこちら の改訂運営会議をヘッドとする作業グループに持っていくというイメージでございます。 2点目の東京会議につきましては、日本側の都合もありまして、ゴールデンウィーク に差しかかるわけにはいきませんし、4月中旬をめどに日本で開催をしたいということ は、WHO側の強い意向でもございまして、今の段階でそれを少し移動する、遅らせる というのは非常に厳しい状況でございます。 以上、よろしくお願いいたします。 ○藤原座長 遅らせることは不可能と見ているわけですね。 ○疾病傷害死因分類調査室長 はい。 ○藤原座長 ほかにどなたかいかがですか。 ○土屋委員 がんセンターの土屋でございますが、今、チュニスのご報告を聞いていて、臨床家と しては大変ありがたいと思う点は、資料の2ページ目で「疾病分類グループ」ができた ということで、先ほどご説明にあったように、今まで死因分類で実際の臨床のときに大 変使いづらいという面があったかと思うのですが、この点は我が国からやはりデータを 出して、実際の使い勝手のよさというのを訴えるべきではないかと思います。 実際、私どもは今、DPCでICD−10をかなり使っておりますので、その辺がある 程度データとして出てくれば、かなり強く主張ができるのではないかという気がして聞 いておりました。 したがって、やはりそういうものでどういうものが多いのか、少ないのか、あるいは まれなものかということをデータとして論文化、文章化して主張していったらよろしい のではないかという印象で聞いておりました。 もう一点は、そういう臨床で使う場合に、この分類以外に、例えば私のやっている「が ん」ですと、WHOの組織系分類とか、あるいはUICCのTNM分類とか、そういう ものとの整合性といいますか、完全には一致しないまでも、ある程度互換性があるよう なこともやはり加味して考えていけたらと思います。その辺で、やはり我が国が貢献で きるところはかなり大きいのではないかという気がいたしますので、よろしくお願いし たいと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。ほかにどなたかいかがですか。 ○長村委員 病理学の長村ですが、今、土屋委員が言われた、腫瘍のWHOのTumor Classification はいろんな腫瘍の病理がモノグラフになって出版されています。WHOもかなり力を入 れてきていますが、そういうお話がこの中で出たかどうかお聞きしたく存じます。私は 臨床と病理とかなり密接な関係でそれを使っていますので、それとリンクをするとか、 是非考えられた方がいいのではないかと、私もご発言しようと思っておりました。 もう一つは、前回もお話ししましたが、日本病理学会の剖検輯報はかなり優れた死因、 あるいは疾病の統計になると思いますので、是非、活用していただきたいと思います。 その2点でございます。 ○藤原座長 こういう内容について、いかがでしたか。まだ具体的には向こうでは話はないですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 恐らく、すべての委員会は同時に開催されているので、我々が把握していないところ も一部あって、今、各委員会からのレポートをとりまとめている段階ですので、その議 論があったかどうかというのは、私どもは把握をしておりません。 いずれにせよ、もし欠けているのであれば、その辺りも積極的に議論していただくよ うに働きかけはしていきたいと思います。 ○藤原座長 いずれにしましても、貴重なご意見ありがとうございます。 ほかにどなたかございますか。 改訂運営会議へ日本からの参画については、どういうふうになるのでしょうか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 この改訂運営会議といいますのは、かなり全体を統括する、ハンドリングをする会議 でございますので、余り人数を増やして大規模なものにはしたくないというのがWHO 側の考えでございます。資料の8ページに「(3)メンバー構成(案)」というのが出さ れまして、これはまだ確定されているものではございません。 ただ、1つ言えるのは、各国に対して枠が与えられているというものではございませ ん。日本から1名、アメリカから1名という組織ではございませんで、それぞれの分野 に対して世界から1名ということでございます。 ですので、そういう中で、日本から、例えばどの分野でどなたに貢献いただけるかと いうことについては、現在、WHOとも調整をしているところでございますが、可能で あれば、極力この改訂運営会議に正式な委員として日本からも参画できるように調整を させていただきたいと考えているところでございます。 いずれにせよ、日本で開催される会議の場合は、当然事務局としてのオブザーブの参 加というのは認められる話でございますし、せっかく日本で開催される機会でございま すので、本委員会と改訂運営会議のメンバーとの意見交換、議論の場も極力設定させて いただきたいと考えております。 以上でございます。 ○藤原座長 そうしますと、いずれ日本から1名は参画するという形になるかと存じますが、その 場合に日本としてはどのような形で1名を選んでいくかとか、そういった点に関して、 何か考えはございますか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 WHOはこういう専門家を集う場合も、各分野からの専門という形をとりますが、結 果として特定の国に偏るということも避けたいというのは、当然、国際的なバランスか ら出てくる発想でございます。そういう意味では、WHO側もどこかの分野で日本から 1名ということに対しては、前向きに検討をいただいているということでございますの で、我々としては、できればこの委員会の委員の先生からそのような形に貢献をいただ ければ、非常にありがたいと考えております。 ただ、実はこの会議自体は、かなり責任としては重たくなるというのは、十分ご理解 をいただきたいと思いますので、長期にわたって集中的な議論がされるということも事 実でございます。そういう観点からも極めて優秀な先生に、どなたか1人、ある程度の エフォートを割いていただける先生にご貢献をいただければ、我々としても非常にあり がたいと考えております。 ○藤原座長 条件等はございますか。例えば診療情報管理士のコースを取得しているとか、そうい った方になるわけですか。その辺はいかがですか。 ○人口動態・保健統計課長 室長の補足のような話ですけれども、先ほどございました改訂運営会議そのものが、 個別の分野の専門家ということでの参画とは言いながら、全体のハンドリングというこ とですので、ICDに関して横断的な、全体を見渡せるだけの見識も兼ね備えた専門家 ということでご参加いただきたいと考えております。 例えば日本で、今、話題になりましたような診療情報というところについての造詣が 深い、ICDについて幅広く見識がある方があれば、勿論、私どもとしては非常にあり がたいという考え方でございます。 ○藤原座長 そういった観点でも、また人選についてお考えいただけるということです。 既に幾つ かの医学会では、ICD検討委員会はでき上がっているというふうにも聞いております が、その辺の状況はいかがですか。例えば整形外科学会はいかがですか。 ○石名田委員 整形外科の石名田と申します。整形外科学会では、理事長以下、非常に関心が深く、 この問題につきまして、学会として取り組むという姿勢が、この前の秋の総会において 決定されまして、第1回の委員会を既に立ち上げて、開催しております。担当理事以下、 委員が5名、アドバイザーが2名という形で、まず整形外科関連の現在の2003年版にお いて整形外科が扱うと思われる分野をまず選択していこう。そして、それについて整形 外科の関連各学会二十幾つあるのですけれども、そこと連携しながら扱いやすい、我々 に適合した形での分類を提案していきたいという形。各関係分野から上がった意見を、 整形外科学会の委員会において検討しまとめる。 我々の扱う分野を挙げてみましたら、大変多いということが、外傷は勿論、Q分類で あるとかPであるとかいろんなところの分野にも関係してきておりますので、その辺に つきまして幅広く検討し、ダブった部分については学会の委員会でまとめた上で本委員 会に提出するという原則を決めたところでございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。 ほかの学会はいかがですか。精神神経学会でも立ちあがったと伺っていますが、事務 局。 ○疾病傷害死因分類調査室長 精神神経学会の方も、今日、急遽、飯森委員がご欠席になりましたのですが、メモを いただいております。正式な名前はお聞きしていないのですが、11月にやはりICDに 関する検討を行う委員会を既に設置をされておりまして、第1回目の会議を開催をされ ているというご報告をいただいております。 それ以外に、今日、横田委員もご欠席でいらっしゃいますが、救急医学会も設立に向 けて、12月末めどに打ち合わせを行うというお話を聞いております。 以上でございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。 ほかの学会ございますか。ほかに何か全般、議事2に関しまして、ご意見ございまし たらどうぞ。 ○木下委員 私は、歯科・口腔科学関係に所属するものです。先ほどの話にも出ましたWHOの腫 瘍組織分類と現在のICDの腫瘍分類との整合性に関することですけれども、例えば私 たちの歯科医学関係では、1995年のICD−10を基準にしたICD−DAが刊行されて おります。しかし、これ以後、WHOの組織分類では、新しい疾患が加わったり、良性 だったものが悪性に変わるなど、かなり重要な変更点があり、現在ではICD−10の分 類との整合性がみられないところがあります。したがって、ICDを実際に普及しよう とする場合には、その辺の整合性をとることが重要と考えます。この点、具体的にどの ように対応していくかということを、検討していただければと思います。 ○藤原座長 ありがとうございます。当初からの最大の課題でございますので、今後、具体的に検 討して参るということで、ありがとうございました。 ほかによろしゅうございますか。 ○黒岩委員 8ページのワーキンググループのメンバー構成の記載でございますが、一番上が「精 神」となっておりますが、広く脳疾患といいますか、そういうものを扱うという精神科、 神経内科、脳神経科が関われるようなワーキンググループということで、例えば国立セ ンターでも、国立精神神経センターという名前がございますが、精神・神経とか、ある いは脳疾患というふうにしていただくとプラクティカルかなと思います。 2002年のWHOのデータでは、日本、中国、韓国の死因の第1位は脳卒中になってお りますし、WHOの死因分類は臓器別なので、そういう意味で脳卒中が死因第1位にな っておりますけれども、やはり脳の病気ということで、脳疾患とかそういうような形に していただくと現実的かなと思いましたけれども、ご検討いただければと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。 ○人口動態・保健統計課長 今、死因とおっしゃいましたか。 ○黒岩委員 はい。 ○人口動態・保健統計課長 私どもでは死亡統計をとっておりまして、日本人全体での死因の1位は悪性新生物と 承知していますので、詳しく教えていただければありがたいと思います。恐縮です。 ○藤原座長 ほかによろしゅうございますか。 会議の今後の在り方として、年明けから何回かに分けて行うということで、全委員に は是非そのいずれかにご出席願いたいということのようですが、これについても特にご 異論ございませんね。 (「はい」と声あり) ○藤原座長 ありがとうございました。それでは、ほかにご質問等ございませんか。 ○北村委員 ちょっと事務的なタイムスケジュールについてお伺いしたいんですが、東京大学の北 村です。血液の方をやっておりますが、血液学会あるいは臨床血液学会でも、まだIC D−10の改訂に関しての委員会というのは、今から立ち上げるわけですが、今度、年明 けに開催される説明会にお伺いして、その後委員会を立ち上げて、そこで説明して、4 月中旬までに学会としての意見をまとめる必要があるわけでしょうか。そうすると、時 間的に非常にタイトになるので、つらいかなという気がしております。 ○疾病傷害死因分類調査室長 時間軸として、非常に厳しいスケジュールになっているのは、我々も十分認識してお ります。そういう意味では、4月の段階では、ある程度ICDのそもそも論というのが 展開されると考えております。 ですから、必ずしも4月に間に合わなくても、ある一定の見解をそれ以降、例えばそ の後1年以内とかでもお出しをいただければ、それが反映できる可能性というのは十分 あると考えております。 ただ、ある程度早ければ早いほど、いろいろなものを調整していく上で有利であるの は間違いございません。それまでの間に、学会全体として意見のとりまとめというのが 時間として厳しいということであれば、この委員会自体は、そもそもは各先生方に学識 経験者として政府が個人を任命して入っていただいているという形でございますので、 その先生の個人責任において、先生のご意見としてご提出いただくということでも、当 然構いません。 ただ、いずれにせよ、少し議論というか検討をそれぞれ関係する所属団体、あるいは 関係分野と協議いただければ、それにこしたことはないということでございます。 ○北村委員 明確に言うと、4月中旬までに学会のコンセンサスがあるものがあればなおいいけれ ども、ない場合は、個人の資格において何らかのものを出すようにということですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 これ自身も、結論を申しますと当然任意でございます。ですから、その学会として、 例えば先生個人としてもICDの現状に対して特段、問題点としても感じるところがな いという形でございますれば、それについて無理やりにでも何か意見をということでは ございませんが、可能な限りICDというものをもう一度、それぞれの適用の観点から ご検討をいただき、問題点を抽出する。あるいはそういう検討をいただいて、ご意見を いただければ、我々としては非常にありがたいということでございます。 ○藤原座長 要するに、4月はそもそも論をきちんと打ち立てるのであって、細かいことについて は、その先も時間的には余裕があると理解してよろしゅうございますね。 先生、よろしいですか。 ○北村委員 はい。 ○藤原座長 ほかにいかがですか。 ○飯野委員 この中に、意見集約に委員会の委員に限定をするとありますけれども、もうちょっと 広くいろいろな方からの意見を聞いてはどうなのでしょうか。委員の方は皆さん出すと 思うのですけれども、限定した理由というのは、何か混乱が起こるとかそういう意味で 限定したのでしょうか。 ○藤原座長 それはどうですか。今の段階で答えられますか。 恐らく、委員が中心になっていろんな学会に呼びかけていくとか、そういう形で具体 的に進むのではないですかね。どうですか。行政側として何かお考えはありますか。 ○人口動態・保健統計課長 5ページをご覧いただきますと、下から3つ目の○で、今、委員のご指摘のように「当 分の間、意見提出はICD専門委員会の委員に限定することとする」と書いてあります が、その下の○に「各委員におかれましては、所属する関係団体等と適切に連携を図り、 意見の提出をお願いしたい」という形でございます。 それから、このICDの専門委員会の資料、あるいは議事録につきましては、ご存知 のとおりホームページに公開されておりますので、委員の皆様方を通じましていろいろ ご意見も寄せられることかと存じますので、委員の皆様に限定することも可能ではない かなと思います。 当分の間、そういうことで進めさせていただいて、様子を見させていただくこととし たいと思います。この先生方の人数でも二十数名ということで、私どもの方もなかなか 大変でございますので、できるだけ集約させていただいた方がありがたいという趣旨で ございます。様子を見て進めさせていただこう。そういう意味で、当分の間という断り つきで進めたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○藤原座長 よろしゅうございますか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 この紙自体は、本委員会の活動についてお示しをさせていただいている紙でございま して、実はICDに関するさまざまな問題点というのは、もう既にICD室にいろいろ 寄せられている状況でございます。そういう意見をICD室として拒否するというもの では、全くございません。 ただ、本委員会の活動として、委員の先生方に意見を求めるという形をとりたいとい うことでございまして、本委員会の活動に対して日本中から意見を求めようということ になると、かなりの混乱が予想されますので、委員の先生方からの意見は本委員会でと りまとめて、本委員会で議論をさせていただきたいと思います。それ以外の方々からの 意見というのは、既にもう寄せられておりますので、それについては、本委員会の活動 に対して日本中から意見を求めてみようという形にはせずに、委員会の中で議論をさせ ていただき、それと並行してさまざまな意見というのは、それは事務局として取扱いを させていただきたいという、ある程度仕切りの話をさせていただいているとご理解いた だければと思います。 ○藤原座長 無制限に拡大すると、まとまりすらなくなってゼロになる。あるところで整備すると いうような理解になりますかね。よろしゅうございますか。 それでは、時間も押しておりますので、次の議事に進みたいと思います。では、事務 局からご説明ください。 ○疾病傷害死因分類調査室長 議事3でICDの我が国の適用の在り方及び恒常的見直しの在り方についてというこ とで、資料3、ICDの利便性向上に向けた取組みについてご説明をさせていただきま す。 これは1枚紙でございまして、この話は基本的には、国内適用の話を主体に置いたも のでございまして、従来からICDに関する業務としましては、厚生労働省の中に人口 動態・保健統計課疾病傷害死因分類調査室というものを設置しまして、対応をしており ます。 ただ、昨今、やはり医学的知見の急速な進展、あるいは死因統計のみでなく、D PCを始めとして、ICDが非常に多岐にわたり活用されるようになったという背景を 受けまして、ICDに関する疑義照会、あるいは意見提案等が、これまで以上にものす ごい数で厚生労働省当室に寄せられるようになってきております。 それらの疑義照会の中には、ICDの国際的なルールに照らしましても、ルール上、 必ずしも明確でない部分といったものもしばしば認められます。 実は、ICDの国際的なルールというのは、ある程度限定的な解釈なりルールという ものは書かれておりますが、すべてにわたって緻密なコーディング上のルールというの が展開されているわけではございませんので、その辺りの疑義的なものにつきましては、 現時点では、ある程度国際的な議論はされてはおりますが、基本的には各国の裁量とい う形でコーディングされているところがあるのも事実でございます。 そういう意味では、ICDの利便性を高めるためには、それぞれの例えばコーディン グ等が各分野、あるいは各担当者によってまちまちになるといったようなことは、極力 避けたい。さりとて内容としても非常に高度かつ専門的になっているということで、そ ういったものに対して、一定の見解というのがますます必要になってきているというこ とでございますので、こういったものに対しましては、厚生労働省といたしましても、 この専門委員会との緊密な連携を図りまして、見識、見解というものをいただきたいと 考えているところでございます。 具体的にはどのような活動がイメージされるかと申しますと、つまりいろいろなとこ ろでICDは問題があるというご意見、あるいはこの病名というのはどういうふうにI CD上解釈をするのか、ICD上コーディングをするのかといったような意見というの が、多数寄せられております。 その中の幾つかは、問題点がどこに存在するのかというのがよくわからないまま質問 を受けている場合も多数ございまして、実はその寄せられている問題点というのが、I CDのそのものの問題。つまり英語版ICDのオリジナルがおかしいから、上手にコー ディングができないとか、使い勝手がよくないといったような問題もあれば、例えばI CDの日本語版の表記、英語を和訳化する作業とか、日本語として表記をしていく段階 で、何らかのうまく行っていない点があるものがあったり、あるいはICDのルールを 日本に適用していく際に、何らかの問題があったりというふうに、幾つかの問題に整理 されていく形になります。 その中では、昨今、問い合わせとして非常に大きいウェイトを占めるのが、いわゆる 疑義解釈でございます。この病名というのは、ICD上どういうふうにコーディングを していったらいいのかといった疑義解釈も多数寄せられてきておりますので、こういっ たものにより専門的、かつ合理的に対応できる体制というものを今後、この委員会をベ ースに構築をさせていただきたいと考えております。 いずれにせよ、今後、質問なり疑義解釈なり意見提案というのをお受けする窓口をき っちりとフレームワークとして設置をいたしまして、そしてその中でICDそのものの 問題であると振り分けられた課題につきましては、リビジョンやアップデートといった 国際的な検討の場での意見を提出する。 それから、例えば和訳とか日本語表記がおかしいといったものにつきましては、ある 程度一定の蓄積をした上で、ICDの2003年版の改正は昨年やったところですが、その ような改正を行う際に、まとめて和訳のところで適用をしていくといった枠組にする。 そして、疑義解釈につきましても、量としては非常に大きい問題でございますが、特 に重要なものにつきましては、本委員会でのご検討の事項とさせていただくといったよ うなことについて、少しご検討をいただければと考えております。 以上でございます。 ○藤原座長 ありがとうございました。 これに関連して、どなたかご発言ございますか。特に診療録管理学会のご協力のよう な点で。 ○大井委員 診療録管理学会の大井でございます。 私どもの学会は、このICDに関しまして、深く関わっている学会でございますので、 さまざまな問題があることはよく存じております。学会員の中からも、いろんな問題が たくさん提起されたり、現場でいろいろな議論をしたり、あるいは勉強会もしょっちゅ う行っているという状態であります。 幸い、私どもの診療録管理学会には、200 名を超えるドクターで、診療情報管理士の 資格を持っている方がいらっしゃいますし、ICDに関する委員会には、こういう疑義 解釈やあるいは問題点の抽出に当たって積極的に協力してくれるという会員が80名以 上ございます。そういう人的な力を持っておりますので、範囲がございますけれども、 ICDの疑義解釈とかそういうことについて私どもに振っていただけると、大分解決す ることができるだろうと思います。 ただし、私はこのICDに関しては、根幹に関わる専門的な問題もございますので、 そういう診療録管理学会の枠を超えているような問題に関しては、このICD専門委員 会の方に送らせていただいて、委員の先生方のご協力をいただきたい。是非、そういう 周りからの支えをいただきたいと考えております。 そうしていただければ、私どもの学会としては、全力を挙げてご協力する体制を構築 することができます。 ○藤原座長 ありがとうございます。 この委員会が支えるということを保障していただければ、いろんな細かい活動の協力 体制はもう既にできているといいますか、十分可能性があるというようなお話かと存じ ますが、ほかにどなたかご意見ございますか。よろしゅうございますか。大変心強いお 話をいただきました。 行政の方から何か追加することはございますか。よろしゅうございますか。 ○大江委員 今、ご説明いただいた資料3のことは、こういうふうに進めていただくと、私はレセ プト電算に記載する標準傷病名に関して作業をしている関係で、大変ありがたいことだ と思ってお聞きしておりましたが、ひとつ、この専門委員会の役割というわけではない んですけれども、こういう場で少し利用させていただいて発言をしたいと思うことは、 最近、ICDそもそもの問題ではなくて、我が国で適用する上での問題で、臨床の現場 では診療報酬請求の時点である医薬品を使っていると、それに対応する効能病名という ものを記載せざるを得ないというケースがありまして、しかもそれにICDコーディン グをせざるを得ないという場面が結構あります。 その中で、通常のICDの想定しているような病名ではない。つまり例えばある疾患 の状態を何かの薬によって治療している、維持療法中の状態とか、そういうかなり複雑 な患者の状態といいますか、そういったことを記載せざるを得ないケースが結構ありま して、しかもそれにICDコードを振らないといけないということがあります。こうい うのは、多分ICDの英語版の本体ではもともとそれほど考慮されていなかったケース ですので、非常にコーディングが難しいケースです。1つの提案はこういう病名が決ま ってから、その病名にICDコードは何だろうと考えるのではなくて、医薬安全局でし ょうか、医薬品の申請が出て承認する時点で、効能、効果に対してICDコーディング も振っていただくというような、その段階のプロセスがあれば、かなり現場の方も混乱 が避けられるのではないかと思いますので、そういうことも今後、どういうふうにすれ ばそれができるのか。これは厚労省内部での調整とか、いろいろなことが必要だろうと は思いますけれども、ご検討いただけたらと思います。 ○藤原座長 極めて重要なご発言だったと思いますが、いかがですか。今の段階でお答えできます か。 ○人口動態・保健統計課長  ICDに関する課題として、そのようなご発言があったということで、また相談させ ていただく形にさせていただこうと存じております。 それから、先ほど大井委員からご協力の申し出があり、学会としてご協力をいただけ るというご発言でございまして、委員会の委員の方がそういうことでご協力いただける ことは、大変ありがとうございます。事務局としてもそういうご協力をいただければ、 大変ありがたく存じます。 ○藤原座長 ほかにどなたかご意見ございますか。よろしゅうございますか。 ぜひ、また新たな課題をお願いしたことになろうかと思いますが、行政の方にはよろ しくお願いいたします。 それでは、議事4に移らせていただきます。普及啓発について、事務局からご説明を お願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長 それでは、資料4に基づきまして、ICDの普及啓発についてご説明をさせていただ きます。 我々といたしましては、昨年、2003年度版の議論をいただいたのにあわせまして、あ る程度医療機関に配布するための普及啓発用のパンフレットづくりというものを予算と して獲得をしておりまして、基本的にはこの機に、ICDに関する正しい理解と普及を 各医療機関に促すためのパンフレットづくりをさせていただきたいと考えております。  ここにございますのは、そのパンフレットの大まかな事項でございまして、現在、こ の中身については作成中でございます。ある程度完成した際には、先生方に資料を事前 にお配りさせていただきまして、ご意見等をいただきましたら、その修正の後に、最終 的には配布をさせていただきたいと考えております。 構成としては、最初にまず「1 ICDとは」という内容から始まりまして「2 わ が国におけるICDの適用」ということで、2003年版の適用の話から、死亡統計、疾病 統計でどのように活用、使用されているか。DPCでの活用の話、あるいは医学研究に おける使用の話等に触れさせていただきまして、ICD2003年版の準拠の解説で主な改 正点や留意すべき事項等について説明をさせていただき、ICDに関してどのような体 制、これは「疑義照会体制」と書いておりますが、先ほどご議論いただきました恒常的 な見直しの在り方等も含めまして、どのような体制が構築をされていくか。基本的には、 今、現場におきましては、ICDコーディング等につきましても、ある程度の受け皿の 要請は非常に強く我々のところにも寄せられておりますので、それに対して一定の解決 の示唆を与えるような内容のものが盛り込めればと考えております。 「5 ICDをめぐる国際動向」ということで、今日、ご説明をさせていただきまし た内容を中心に、ある程度簡約的に国際的な動き。つまり、ICDというのは、いいこ とか悪いことか、日々というか毎年改正されるというサイクルになっておりますので、 諸外国でもいつこんな話が変わったんだというように、正直、キャッチアップしていく 難しさがございます。つまり、最先端のものをつくらないといけないという使命と同時 に、キャッチアップを各国はしていかないといけない。あるいは統計の連続性の問題も ございまして、そのようなものを議論する上でも、国際的な動向はどうなっているのか というのは、ある程度知っておいていただいた方がよろしいかと思いますので、そのよ うなご説明を付け、最後にはICDに関する歴史や関連の法規というものを説明させて いただき、普及啓発に努めたいと考えております。 参考資料1、2、3につきましては、この中身の説明としての主な内容でございます。  参考資料1につきましては、分類提要という、ICD本体の第1巻の総論の中から抜 粋をしたものでございまして、ICDの中身、目的等につきまして説明をさせていただ いているものでございます。 参考資料2につきましては、ICD−10と傷病名につきまして、幾つかの混乱が国内 でも見受けられますので、その辺りも少し説明をさせていただきたいと考えております。 まず、根本的な誤解があるのは、実はICD−10を病名集だと思っていられる方は、 少なからずというか、あるいは多数いらっしゃるようなところもございまして、ICD −10自体は、分類名でございます。ある病名がICDに載っていないとかというご指摘 は、ときどき我々も受けるのですが、あくまでもバスケットとしてある病名等をどこに 分類するかという、分類の箱に対して名前が付けられているというものでございますの で、割と頻度が高く、病名がそのまま分類名になっているものも多数ございますので、 この分類名が病名であるというように、誤解を与える要素としてもあるのですが、その 辺りのそもそもの違いというのがあるということをご説明させていただき、かついわゆ る先ほど大江委員からもお話がありましたように、レセプト傷病名とか、カルテ病名と か、DPCにおける傷病名といったものが、どういうふうに違うのかということで、そ もそも病名というものに対していっぱいの種類があるということ自体少し、それは行政 的な理由によるものが多いとは思うのですけれども、ただ、それについてもある程度ど ういうふうに違うのかというのは、しっかりとご説明をさせていただきたいと考えてお ります。 参考資料3につきましては、課長よりご説明をさせていただきます。 ○人口動態・保健統計課長 参考資料3をご覧いただきたいと思います。 もともとICDが死亡統計に向けてということでしたので、その死亡統計におきます ICDの使用について、ご案内のとおりなのですけれども、普及ということで確認させ ていただこうと思っています。 これを説明させてもらいますと、我が国の人口動態統計における死亡統計では、明治 32年から現在のような人口動態統計の形式になりましてからICDを用いております。 ICDは今、疾病の分類という話がありましたが、もともと単なる統計分類であるだ けでなく、分類のためののルールがあり、特に死亡統計におきましては、原死因という 考え方が国際標準として決められておりまして、我が国も死亡統計ではこの原死因を死 因として統計を行っております。 原死因の考え方は、私どもの死亡統計は、住民の皆さんが死亡届を出されるときに、 死亡診断書も当然あわせて出していただくのですが、その内容もすべて報告していただ いて、そこから統計を作るということです。しかし死亡診断書に記載されました直接死 因というのを原死因として私どもの死因統計としているというわけではございません。 というのは、原死因というのはWHOのルールでとり方が決まっておりまして、そこ に記載しておりますように、2つあります。 一つは、「直接に死亡を引き起こした一連の事象の起因となった傷病もしくは損傷」 もう一つは、「致命傷を負わせた事故もしくは暴力」ということで、即ち一連の事象が 起こったときの原因であり、これがなかったら最後の死に至らしめることにならないと いうことでございます。 下に「3.留意すべき事例」ということで、例1、2があります。 例1というのは、直接死因に誤嚥性の肺炎とあります。これしかございませんので、 これが原死因ということで、原死因は右にございますように「誤嚥性肺炎」「J69.0」と いうコードが付けられるということです。 例2のように、直接死因は誤嚥性肺炎でありましても、そのまた原因ということで、 脳梗塞(塞栓症)ということでございますと、(ア)と(イ)の間に先ほど説明したよう に一連の事象として因果関係ということがございますので、「脳梗塞」という形で原死因 として設定されて、コードは「I63.4」となります。直接死因が同じでありましても、コ ードとしては違った形で設定される。 ちなみに、その下にございます「○ 正確な記載がなければ、当然ながら」というこ とで、死因名につきましての死亡診断書の記載方法により原死因の設定の方法が異なり ます。同じ腎不全でございましても、(ア)のように「直接死因 腎不全」と書かれます と、これは腎不全ですので「N19」というコードが付けられますが、直接死因が腎不全で ありましても、その前に「糖尿病性腎不全」という名前が付きますと、糖尿病性という 言葉がある関係で「E14.2」という形で、別のコードになるということでございます。 死亡診断書の書き方によって原死因が異なるということで、原死因という考え方があ りますので、死亡診断書が正確に書かれることで死亡統計が信用されるということでご ざいます。 中段ぐらいのところに括弧で書いておりますが、直接死因というのが、実際に原死因 とならない場合があるということではありますけれども、直接死因が不要ということで はございませんで、原死因の決定におきましては、例2のように、直接死因を含む死亡 診断書全体の記載によりまして原死因を決定する。そのためのルールが、前回、ご説明 した3冊の分類提要の第1巻のところにWHOにより定められておりまして、そのルー ルに従って決定するということになります。適切に死亡届を出していただくためにはす べて記載していただく必要があるということでございます。 それから、前回、死因統計として人口動態統計月報ということで、一部2003年版適用 に関連してご紹介しました。冊数が少ない関係で、全員にお配りしてございませんが、 実際に人口動態の統計は、年報として上中下の3巻あります。お手元の近くにございま すのは、下巻といいまして、死因の統計をまとめたものです。ICDの一番細かい死因 分類は14,000項目ございますが、日本の死亡を14,000項目に分類した実際の統計がこ の中にあります。 それ以外に死因統計は少し粗い2,000分類があり、この分類では、年齢階級等々、他 の属性とクロスした統計がこの中にございまして、こういう形でまとめて公表させてい ただいているということでございます。 お二人に1冊程度しか置いてありませんが、もし持ち帰りになりたいということでご ざいましたら、お持ち帰りいただくことで結構でございます。 なお、部数がこれしかございませんが、内容として冊子と同じものが厚生労働省のホ ームページにデータベースの形で公開しております。そちらでもご覧いただけますので、 ご参考にしていただければと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。ほかにどなたかいらっしゃいますか。 これは、医師の国家試験のようなものに出していくとか、そういうような方向性はご ざいますか。あるいは医学教育のカリキュラムの中に具体的に取り入れるといった点で はいかがですか。 ○人口動態・保健統計課長 今日は資料をお持ちしておりませんが、医師臨床研修の中で死亡診断書の書き方は、 必須科目として取り上げられていると聞いております。 国家試験の関係については、私の記憶では、前回、菅野委員から少しご発言があった かと存じておりますが、もしよろしければコメントをいただければと思います。 ○菅野委員 このICD−10というのは、診療録管理、あるいはカルテ管理のみならず、こういっ た死亡診断書、疾病統計上非常に重要なところになってくるということでございまして、 国家試験のブループリント、出題基準が何年か置きに改訂されますが、前回の改定のと きに、私自身がちょっと医師国家試験に関わっておりましたものですから、是非これを 入れてくれるようにと要望いたしまして、新しい17年度版の国家試験のブループリント には入っているということになります。ただまだ教育としては十分ではないので、もっ と公衆衛生の授業、その他でこのICD−10の考え方でありますとか、医療情報学であ りますとか、そういった部分をより重点的に教えていただけるようにお願いしたいとこ ろでございます。 これは、大江委員も大変ご苦労されていますが、私自身も診療録管理等で病院の統計、 あるいは委員会をやっておりますと、今、医師がICD−10を付けることになっており まして、その付け方が極めて不十分でありまして、私はそのカルテのチェックをすると きに、非常に困っているのです。 例えば大腸がんと直腸がんというのは分けないといけないのですが、それが分けられ ていないという問題があります。これはがん登録という問題と非常に密接に関係してお ります。それはきちんとしたコーディングをする訓練を医師がこれまで余り受けていな くて、医師の試験を受けてきた。ところが、実際に現場ではそれが求められるという、 現在の矛盾点がございまして、その辺りが診療録管理がきちんと行われていない1つの 要素になっていることがございますので、是非、医学教育、卒後教育の面におかれまし ても、この問題を今後、重点的に施行していただきたい,と申しますのは、今度、包括医 療、その他がますます普及してまいりますし、がん拠点病院といった教育病院に関わる ところにそういった要素が今後、ますます求められるという社会情勢もございますので、 是非よろしくお願いしたいと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。 この委員会からの提言として上げていくということは可能ですね。行政の立場では、 いかがですか。今、菅野委員におっしゃっていただいたことです。まだ具体化していな い部分もかなりあると理解されるのですが、もう進んでいますか。 ○菅野委員 卒前教育に関しては、文科省の管轄になりますけれども、卒後教育に関しては、是非 こういった研究制度の中でカリキュラムとして取り入れていただくようなことをお願い できればと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。ほかにどなたかご意見ございますか。 どうぞ。 ○土屋委員 私も今のご意見に全く賛成なのです。 13ページの第2パラグラフの「実際に」というところの後段に、多分先ほど室長が言 われた、分類と疾患名そのものと違うということが書いてあると思うのですが、かなり 分かりにくいです。その辺で、やはり現場ではなかなか理解を得られていないのではな いかと思います。 ここら辺、ちょっと書き方を変えて、ICDのそもそも論のところをもうちょっと書 いておいた方がいいかなと思います。 それにつけて、今、菅野委員がおっしゃったがん登録とかDPCの問題。これはやは り普及啓発を是非、厚生労働省内の他の局ですね。使ってはいらっしゃるのですけれど も、その原則をいきなり曲げられるようなところがまま見受けられますので、その原則 論に立ち返って使いやすいようにというか、分類の中を細かい箱で分けていただくとか、 何か工夫をしていただく必要があるんではないかという気がいたします。 それと、初期トレーニングの中で是非これは普及していただく。そうしますと、やは り医療の統計、あるいは実際の診療そのものの信用が随分増すと思うのです。日本の統 計は、どうも怪しいという声があるのは、その辺も医師が統一した意識でやる必要があ ろうかと思います。是非、お願いしたいと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。 それでは、議事5としてその他。これは、今後の予定等につきましてです。何かもし ほかにございますか。 ○渡辺委員 自治医大の渡辺ですが、私はこれに関してはほとんど素人なので、いわゆるユーザー の立場からというのでずっと見てきて、今回も新鮮な気持ちで参加させていただいてい ます。 菅野委員がおっしゃったのは非常に大事なことで、結果的にこれがきちっと教育でき ていないといけないということで、教育啓発はすごく大事だと思います。ただ、この分 類が非常に書面になって難しくて、実際、自分でもどこにその箱を探していったらいい のかすごくわからなくて、後でこんなところにも箱があったと気がつくことがあるので す。 それで、既にそういうソフトもあるような気もするのですが、ちゃんとした形でオー ソライズされたソフトウェアで、例えば自分の脳腫瘍なら脳腫瘍で、ではどこにあるん ですかというのを聞いてくるとか、ずっとブランチをやっていて、比較的簡単に一つに たどり着けるようなシステムをつくっていただきたいと思うのです。 これを学生に教えて、これから調べなさいというのは非人間的で、人間のやるべきこ とではないし、もっと覚えなければいけないことはたくさんあるし、結果はすごく大事 だと思うのですが、それにたどり着く方法というのは、もう少し専門家の形に整理して いただいてということをしないと、ユーザーの立場としては、多分啓発できないんでは ないかと思うのです。 ○藤原座長 利便性を高めろということで伺いました。 ほかにどなたかいらっしゃいますか。 ○石名田委員 ちょっとまた話が変わって申し訳ないんですけれども、4ページのWHO−FICネ ットワーク組織図を見ますと、いろんなことをやっても、最後はどうも企画実行委員会 がそれを押さえるという感じがするんです。「協力センター」と右の方に小さい字で書い てあるところに、日本は相変わらずオブザーバーで、たしか前にイギリスはそこに入っ ていたような気がするのが今度はオブザーバーになっていますね。 あるいはこういうものは、ある程度動き得るものであるとすれば、これだけ日本が協 力してみんなも一生懸命やって、また学会も支えていこうという体制ができてきたこと から考えまして、何か予想でもよろしいのですが、そうした方向での動きが今度のチュ ニス会議で、そういうニュアンスが多少でもあったかどうか。我々に希望の灯があった かどうかということで、サジェスチョンだけでも結構なのですが、お教えいただければ ありがたいと思います。 ○藤原座長 どうですか。 ○人口動態・保健統計課長 石名田委員からご指摘のとおり、4ページの資料のWHO−FICネットワーク組織 図でご覧いただきますように、WHOのすぐ下にあるのが企画実行委員会ということで、 非常にここが気になる委員会ということでございます。日本はオブザーバーと言いなが ら、前から申しあげておりますように政府の職員ということで、実質的に協力センター の機能を担っております。 学会等も支えていただけるという発言がございましたとおり、本専門委員会も発足さ せていただいていますので、わが国として企画実行委員会に何らかの形で関わっていく ような形を考えたい。 チュニス会議のときの様子について、室長から話していただきます。 ○疾病傷害死因分類調査室長 石名田委員におっしゃっていただきましたように、活動が微に入り細に入るほど、実 は全体のハンドリングというのは、この企画実行委員会が行っておりまして、そういう 方向性がある程度決まった中身について具体的な作業を各委員会、グループがするとい うように、今後の全体を定める上でも、非常に主体的な役割を果たしているのがこの企 画実行委員会というものでございます。これにつきましては、企画実行委員会のメンバ ーというのは、各委員会とレファレンスグループのそれぞれの代表及び年次会議の開催 国と翌年の開催国、あるいは前年の開催国といったところがメンバーになっております。 実は、日本は昨年、年次会議の開催国でありましたので、今年のチュニス会議が終わる までは、前年開催国という権限でこの企画実行委員会に入っておりました。そういう意 味では、今年の年次会議が終わった段階で企画実行委員会のポジションとしては失うと いう形になっておりましたが、今年のチュニス会議で、日本側に対して、この中の1つ の委員会の委員長をしてはどうかと話がありました。このことは企画実行委員会にその まま残るということを意味しており、その辺りについても現在、打診を受けているとこ ろです。政府側としても前向きに検討をしているという状況でございます。これが正式 に決まりましたら、また改めてご報告をさせていただきたいと考えております。 ○藤原座長 よろしゅうございますか。 ○石名田委員 ありがとうございました。大体少し明かりが見えていると理解しております。 もう一つ、アジア・パシフィックとなったのは、経済協力会議のように、ASEAN からAPECのようになっていくという形の余地を残したと理解するのでしょうか。ま たアメリカ等多くの国が入ってくるのか。そうすると、その辺の問題が絡んできたりし て、ややこしくなるかなと思うのですが、その辺は何かあるのでしょうか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 このアジア・パシフィックネットワークにつきましては、WHO−FICの参加国も 今、急速に増えつつありますので、そういう意味では特に公式のルール、ICDの改訂 (リビジョン)とかにつきましては、当然、中心的な組織でやらないといけないので、 地域という概念はあり得ないんですが、特に普及、教育に関しましては、やはり地域ネ ットワークは必要であろうということで構築されたものでございます。 当初は、実はアジアミーティングというイメージで進められていたものでございます が、アジアという概念のみでは、オーストラリアを始めとする、WHOでいう西太平洋 地域のかなりの部分が読めないという提案がオーストラリアからなされまして、そうい うアジアとかフィジーとかタヒチとか、あの辺の西太平洋地域を含めるために、名称が 「アジア・パシフィックネットワーク」と変えられたということがございました。 ただ、1回目の会議で議論されましたが、いわゆる環太平洋のパシフィックという意 味ではないということで、アメリカ大陸の各国というのは、このネットワークからは外 れる。基本的には、そちら側につきましては、そちら側で将来的にきちんとネットワー クを構築すべきではないかという議論がされました。 ただ、アジアについて西の方はどこまで含めるかということで、もともとWHOは世 界を6地域に分けておりまして、日本を始めとする西太平洋地域とSEARO(南東アジ ア地域事務局)といいまして、South East Asia という、インドの辺りを中心とするグ ループがあります。当初、地域としてはWHOの地域区分と同様にWPRO(西太平洋 地域事務局)とSEAROの所掌をイメージしておったんですが、アラブ圏の国々、向 こうのシリアとかあの辺も、トルコまではアジアに入るのではないかという議論もあり まして、その辺は少し今の段階ではニュートラルな状態になっております。 なぜみんなこの地域に入りたがるかというと、今の段階ではほかにネットワークがな いので、最初にできたところにみんな来たがるという状況になっておりますので、ほか の地域でもネットワークができれば、その辺りの峻別はしっかりされていくのではない かと考えております。 ただ、今の段階では、基本的にはアメリカ大陸は入らないということで正式に決定が されております。 以上でございます。 ○藤原座長 そうしますと、私の単純な理解では、これは政治問題ではなくて、医学、医療の問題 であるゆえに、やはり民族、地域差というものが重要視されなければいけない。したが って、アジアは1つのグループとして声を上げるのが、いわゆるグローバルな立場かな という気もしますが、そんなような理解でよろしいですか。ちょっと言い過ぎかもしれ ません。 ○疾病傷害死因分類調査室長 そういうことで、決してポリティカルな問題ではないということでご理解いただけれ ばと思います。 ○藤原座長 先生、よろしゅうございますか。 ○石名田委員 はい。分かりやすいご説明ありがとうございました。 ○藤原座長 ほかにございますか。 どうぞ。 ○中田委員 先ほどの普及啓発の関係なのですが、実際に患者さんを診断したり、あるいは死亡診 断書を記載したりするのは医師がされるわけですので、普及啓発の対象が第一義的に医 師に向かうというのは、ある意味で当然だと思うのですが、実際に統計を使う方から考 えますと、医師だけでなくて他の医療関係者も使われるでしょうし、さらに健保組合の 人とか、そういう方も使うということがありますので、普及啓発といった場合には、医 師だけではなくて、もう少し広い範囲でお考えいただけたらと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。 ○木下委員 先ほどちょっと発言して言葉が足りなかったと思うのですけれども、利便性と普及性 の問題は非常に関係しているのです。腫瘍関係を例にとりましても、国際腫瘍組織分類 における私たちの歯科口腔領域では、新規コードができたり、あるいはコードが変わっ たり、そんなに珍しくない疾患で重要な変更がありました。このようなアップデートに 関しては、刊行物ですと間に合わないと思いますので、インターネットなどを活用する などして、できるだけ速やかに変更点がわかるようにしてほしいと思います。実際に、 もう私どもの領域にもICDコードを使って、各研修機関で疫学調査をして論文も最近 出ています。こういうことにもICDが十分に活用されるように是非、アップデートは なるだけ速やかに周知徹底できるようなシステムをお願いしたいと思います。 ○藤原座長 ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。もしご発言がないようでした ら、最後に今後の予定について、事務局よろしくお願いします。 ○疾病傷害死因分類調査室長 それでは、今後の予定についてご説明いたします。 今後の予定につきましては、まず一つは、冒頭、ご説明させていただきましたように、 年明けめどに、ある程度少人数で幾つか何回かに分けて具体的な今後の活動、あるいは 検討の在り方について打ち合わせをさせていただく会というものを開催させていただき たいと思っております。 委員の先生方は非常にお忙しいかと思いますが、何日かの日時をご提案させていただ きますので、その中のどれかに是非、ご参画をいただければと考えております。それを 踏まえまして、来年4月の改訂の運営会議に臨むという段取りになっております。 また、その改訂運営会議の場は、日本で開催されますので、その機会におきましては、 当ICD専門委員会の委員の先生方とこの改訂を中核的にしていく諸外国のメンバーと の意見交換、あるいは議論の場というものを開催させていただきたいと考えております。 いずれにしても、日程につきましては、改めて事務局よりご連絡を申し上げます。 以上です。 ○藤原座長 その何回か開催する基本は全部同じですね。細かい議論内容については、それぞれが 連携して、必ず全員が理解できるようにするというような理解でよろしいですか。 ○疾病傷害死因分類調査室長 そうでございます。基本的にどの回も、事務局側から説明をさせていただく内容とい うのは同じ内容のものでございますので、どれか1回にご出席をいただければと思いま す。 ただ、議論をある程度集中的にするために、やはり二十数名の会議で、各委員の先生 方2時間の間に一度、二度の発言の機会しか与えられないという状態で、それぞれの抱 えておられる問題点、あるいは我々の意図というのが十分に伝わりきれない可能性もご ざいますので、少し人数を少なくして、その場で集中的に議論をさせていただければと 考えております。 ○藤原座長 ありがとうございました。 それでは、以上で本日、準備させていただきました議事はすべて終わりましたので、 第2回社会保障審議会統計分科会疾病、傷害及び死因分類専門委員会を閉会させていた だきます。 ○疾病傷害死因分類調査室長 申し訳ありません。最後、1点修正させていただきます。冒頭、日本で開催させてい ただく会議を、我々は東京会議と申し上げてしまいましたが、会場につきましては、東 京あるいは東京の周辺、少しここから離れた場所になる可能性もございますので、東京 でするというふうに決定したわけでございません。恐らく、1日は東京で間違いなくす ると思います。先生方との議論の場も東京で開催させていただきたいと思いますが、会 議自体が少し東京の郊外に移る可能性はあります。一部訂正をさせていただきます。失 礼しました。 ○藤原座長 よろしゅうございますか。 それでは、どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課     疾病傷害死因分類調査室     電話 (代表)03-5253-1111(内線)7493