06/12/07 薬事・食品衛生審議会  医療機器安全対策部会 平成18年12月7日議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年12月7日 14:00〜   厚生労働省 専用第18〜20会議室 2.出席委員(15名)五十音順    天 笠 光 雄、 井 部 俊 子、 小 野 哲 章、 甲 斐 知恵子、   ◎笠 貫   宏、 木 下 勝 之、 佐 藤 道 夫、 澤     充、    勝 呂   徹、 土 屋 文 人、 中 村 達 雄、 西 島 正 弘、   ○外  須 美 夫、 目 黒   勉、 山 口 照 英 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(6名)五十音順    小 柳   仁、 佐 伯 晴 子、 酒 井 順 哉、 土 屋 利 江、    松 谷 雅 生、 宮 村 達 夫     3.行政機関出席者   伏 見   環(安全対策課長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長) 他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、ただ今から平成18年度 第2回の薬事・食品衛生審 議会 薬事分科会 医療機器安全対策部会を開催いたします。  本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしています。カメラ撮りは議 事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方におかれまして は、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 ありがとうございます。  本日は、定数21名の委員中15名の委員に御出席を頂いておりますので、定足数に達 しております。  なお、小柳委員、佐伯委員、酒井委員、土屋利江委員、松谷委員、宮村委員は、欠席 との連絡を頂いております。  続きまして、事務局側に前回の部会から人事異動がございましたので御紹介いたしま す。  安全対策課長が伏見課長となっております。 ○安全対策課長 9月から安全対策課長に着任いたしました、伏見でございます。よろ しくお願いいたします。 ○事務局 医薬品医療機器総合機構の安全管理監が川原安全管理監となっております。 ○安全管理監 川原です。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまでとさせて いただきます。  以後の議事の進行は、笠貫部会長にお願いいたします。 ○笠貫部会長 部会長の笠貫でございます。それでは、議事に入らせていただきます。  始めに、事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。  本日の資料といたしまして、順に、座席表、委員名簿、議事次第、資料目録を配付さ せていただいております。  資料目録に資料番号が振ってございます。順に、資料1-1「自動体外式除細動器(AE D)の小児への使用に係る「使用上の注意」の改訂指示等について」、資料1-2「広域帯 電力線搬送通信機器による医療機器への影響に関する型式指定申請者に対する指導につ いて(依頼)」、資料2-1「医療機器の不具合等報告について(報告)」、資料2-2「医療機 器不具合等報告」、資料2-3「医療機器外国措置報告」、資料2-4「医療機器研究報告」、 資料3-1「感染症定期報告の報告状況」、資料3-2「報告文献別一覧表」、参考資料1「不 具合報告等の取扱い概略図」、参考資料2「植込み型生命維持装置の安全対策に関する 研究」、それから、委員のお手元のみでございますが、PLCのカラーコピーを1枚配 付してございます。  資料1-1、資料1-2につきましては事前配付資料でございます。また、資料2-1以降 につきましては、当日配付資料でございます。過不足等ございましたら事務局までお申 し付けください。  なお、本日、審議事項はございません。すべて報告事項となっております。 ○笠貫部会長 資料の御確認をお願いします。先生方、資料の方はよろしいでしょうか。  それでは、本日、審議事項はないということですので報告事項に入らせていただきま す。事務局、お願いします。 ○事務局 大変恐縮でございますが、前回部会において、委員より、医療機器の安全対 策について、厚労省、総合機構においてタイムリーな対応ができていないのではないか という御指摘がございましたので、医療機器の不具合報告等に関する対応の流れについ て、先に御説明申し上げたいと思います。  それでは、参考資料1に基づきまして御説明いたします。こちらは安全対策フローで す。前回部会において、当方からの説明が不十分でしたようで、医療機器の安全対策が 例えば半年遅れ、2年遅れの状況にあるのではないかというコメントがありましたので、 まずは薬事法に基づく医療機器の不具合報告がどのような流れで処理されているのかに ついて、御説明いたします。  医療機器製造販売業者、いわゆるメーカーは、薬事法に基づいて、医療機器の不具合 等の情報を得た場合には、定められた期限内に総合機構に報告をすることになっていま す。特に重篤なもの等については、おおむね15日あるいは30日以内の報告となってい ます。  この際、メーカーサイドから回収であるとか医療関係者等への情報提供といった安全 確保対策措置が示される場合もありますが、まずは報告期限ということで、その期間内 に一報していただくということです。従いまして、実際にとられる対処、対策、措置等 については、その時点で確定していないということがあります。  その後、総合機構において、不具合報告の内容が個別に検討されて、企業が自主的に 実施する様々な安全確保対策措置について、特に専門的な事項等について、機構内外の 専門家の御意見等を踏まえつつ、内容を精査していくこととなります。また、この際に、 週に1度ですが、機構職員と本省職員との間で、どのような事例が報告されているか等 について打合せが実施されています。  この後、厚生労働省において対応が必要と考えられるような事項、例えば通知の発出 などの必要がある事例については、総合機構から厚生労働省に報告がなされることにな ります。  厚生労働省としては、こういった総合機構からの報告に加えて、諸外国等からの情報 も含めて、安全対策上の措置の必要を認めた際には通知を発出するというような対応を 取るわけですが、その際に本部会の委員の先生方にも御意見を賜り、個別の安全対策措 置を実施することになっています。その際、本部会をその都度開催するというわけには いきませんので、関係する委員に対して個別に照会させていただくという対応をしてお ります。  本部会においては、開催が年に2回ということもありますので、約半年分ですが、そ れまでに行った対策等について御報告させていただく流れになっています。また、この 部会において個別の具体事例についてもオープンにしているわけですが、それとは別で、 総合機構においても、総合機構が発足した平成16年度以降に受け付けたすべての不具合 報告事例についてリストを公開する作業を現在継続して実施しております。以上で「不 具合報告等の取扱い概略図」の説明とさせていただきます。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局からの説明について御質問はございますでしょうか。前 回、国全体としての不具合に対する一つのシステムについて御質問があったということ でこの概略図をお出しいただいたのですが、これで御質問にお答えしたことになります でしょうか。委員の先生方、よろしいでしょうか。 ○事務局 それでは続いて、議題1について報告いたします。「医療機器の市販後安全 対策について」、資料1-1、資料1-2に基づきまして御説明いたします。  資料1-1「自動体外式除細動器(AED)の小児への使用に係る「使用上の注意」の改訂 指示等について」です。5ページを御覧ください。こちらは医薬食品局ではありません が、今年の8月25日付けで、医政局指導課長からの通知が、各都道府県の衛生主管部(局) に流されています。こちらの内容から説明いたします。  財団法人日本救急医療財団が主催する心肺蘇生法委員会において、新しい救急蘇生ガ イドライン(骨子)が確定されて、救急蘇生法の指針(市民用)が取りまとめられた旨を、 指導課長名で通知されたものです。内容については「記」の1、2のとおりですが、心 肺蘇生開始の判断と手順、人工呼吸の吹き込み時間、胸骨圧迫と人工呼吸の比率等につ いて変更があったこと、それから、小児に対するAEDの使用法が追加されたことにつ いて、御紹介させていただきます。  2ページを御覧ください。同じ日付になりますが、今度は医薬食品局の安全対策課に おいて、この通知、このガイドラインに基づいて、AEDの小児への使用法ということ で、1歳以上8歳未満の小児に対しては、小児用パッドを使うべきである、ない場合は、 AEDを使わないということではなく、大人用のパッドが設置されているAEDが手元 にある場合は、大人用のパッドであっても使用すべきという内容になっていまして、A EDの小児への使用法が改訂されたということです。  そのガイドラインの改訂に基づいて、現状において、医療機器の中で、小児への適用 について、このガイドラインの内容に沿っていないものが幾つかあったので、特に添付 文書の記載整備をお願いするという事務連絡となっています。  3ページを御覧ください。記載整備の具体的な内容としては、1歳以上8歳未満の小 児に対する成人用パッドの使用については、薬事法上、有効性・安全性が確認されてい ないものですが、小児用パッドを備えたAEDが近くにない、しかしながら小児に対し て使用する状況が発生したなど、やむを得ない場合に限り、成人用パッドを使用すると いうことです。  注意事項ですが、成人用パッドを小児に使用する場合に、心臓を2枚のパッドで挟み 込むような形で貼付するわけですが、この2枚のパッドが触れ合うと非常に危険である ことから、触れ合わないように、注意して適用するということです。  1歳未満の乳児に関しては、有効性・安全性が確認されていない実態からも、使用し ないというガイドラインの内容に沿った記載とするように、添付文書の記載整備を行う ことをお願いしています。  それから、2.ですが、この記載整備に伴って、現状において「禁忌・禁止」事項等に 小児への適用が記載されているものについては記載の削除を行うなど、添付文書全体の 見直しを行うようにとしています。  6ページを御覧ください。こちらは消防庁からの通知の写しです。消防庁においても、 消防本部における救急隊員、消防隊員のための訓練、それから対処のための手順といっ たものに、新しいガイドラインの内容を反映させるという内容の通知が発出されている ので、御参考までに紹介いたします。  続きまして、資料1-2「広域帯電力線搬送通信機器による医療機器への影響に関する 型式指定申請者に対する指導について」です。3ページを御覧ください。見づらいので、 別途、PLCのカラーの資料がお手元にありますので、そちらも併せて御覧いただけれ ばと思います。  まず、PLCとは何かということです。Power Line Communicationsの略語で、電力 線搬送通信というものです。こちらは家庭内の無線LANに代替するようなもので、家 庭内のコンセントを通じた電力線を介して、電気機器の間で情報通信を行うものです。 電力線については、既に敷設済みのインフラになるので、導入の容易さ等から、今後の 普及が想定されるものです。製品としては、まだ販売されていないものです。  1ページを御覧ください。今回の通知の内容について簡単に御説明いたします。広帯 域電力線搬送通信、略してPLCについては、本年10月4日付けで電波法施行規則の改 正がありまして、新たに2MHz〜30MHzの高周波の電流を利用した通信が指定されていま す。その通信をするための機器がPLC機器になります。  この総務省令の内容を受けて、電力会社を含めた家電各社等は、総務省が示している 型式指定基準に則った機器を個々に総務省に申請して、その基準に沿っている内容であ るかどうかの確認を受けて、その確認を受けたものが市場に出ていくというようなもの です。  PLC機器については、当然、他の家電機器等を含めた機器に対して影響を及ぼすこ とのないように、出力レベルが相当抑えられているということです。  また、一方で、本日時点でも未だ販売をされていない機器であるということですが、 特に医療機器に対する影響があるのかについて、事前に総務省サイド、専門家の先生方 にも御確認をさせていただいています。  結果として、おおむね問題ないであろうというのが、専門家の先生方を含めた感触で した。しかしながら、新しい機器ということで、経験則的なものが利かない、情報がな いということもありますし、こういった新しいものについて、念には念を入れるという ことで、注意喚起を行おうというのが、本通知の趣旨です。  この厚生労働省から総務省への通知を受けて、総務省サイドで、各型式指定申請者に 対して、「記」の1と2の内容について、個別にお願いをしていただくことになるわけ です。内容についてはこちらに記載しているとおりです。1ですが、PLC機器による 医療機器への影響が現状では完全には否定できない、医療機器によっては誤作動を生じ させるおそれもあるということで、医療機関、居宅等、医療機器を通常使っておられる ようなところにおいてPLC機器を併用される場合には使用前に安全対策上の措置を講 ずるべきことについて、取扱説明書等に記載を頂くなど、PLC機器の購入者に対して 必要な情報が周知されるようにということで、お願いをしています。2ですが、仮に万 が一、併用時において医療機器の誤作動に関する情報を得た場合には、速やかに報告し ていただきたいという趣旨になっています。  2ページを御覧ください。今のは、総務省を通じて、PLCのメーカーサイドに対し てそういうお願いをしたということですが、同様に医療機器の製造販売業者等に対して も、医療関係者、一般の方からの照会がされる可能性がありますので、その回答等、対 応をお願いする通知を、都道府県等に対して発出しています。以上で説明を終わります。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局からの説明について何か御質問はございますか。まず、 資料1-1は、小児のAED(自動体外式除細動器)の使用にかかわる使用上の注意ですが、 この点について御質問はございますか。 ○澤委員 小児用は、大人用と比べて、パッドの大きさだけではなくて、かなり電流が 減弱されるわけです。ですから、なぜ小児用というものがあって、そして、緊急の場合 は、大人用では過剰電流かもしれないが、使わざるを得ないのかという、細かい情報提 供があった方が、具体的に分かっていいのではないかと思います。小児は約10分の1程 度の電流で流すと思うのですが、そういったところの情報提供があった方が親切ではな いかと思います。 ○事務局 小児への適用を有している医療機器について、国内では現在3種類ほど承認 されています。一方で、成人用パッドのみのAEDも含めると、全部で現在は8機種ほ どあります。  こういったものについて、すべてに対して小児用パッドがあれば悩む必要はないのか もしれないのですが、そういった実態があり、かつ、もちろん私どもとしても、小児用 パッドがあればそれを優先してお使いいただくのが当然のことと理解はしているのです が、ガイドラインの設定の考え方の中には、何もしないということではなくて、やるべ きであるというようなことを比較論としておっしゃっておられるのであろうと思ってい ます。  また、医療関係者等に対する情報提供、どういったものなのかについては、同日付け で医政局の指導課等からも通知がなされていて、必要な情報提供がされていると理解し ていますが、私どもの局からも医政局に、こういった意見がありましたということでお 伝えさせていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 この日本版救急蘇生ガイドラインは、今年初めて日本で作られたという 意味では、画期的なことであると思います。また、そのガイドラインを普及させていく 過程の中で、御説明があったように、小児用パッドのある機種とない機種があります。 今後、小児用のパッドがあるものに替えていくという方向で、会社の方も設置する方も すすめていくと思います。  これは一般国民も使えるという、普及をさせていくという機種ですから、指導する過 程で、澤委員が御指摘になったことも触れていただくことを、含めていただけたらとい う御意見としてお伺いしてよろしいでしょうか。 ○澤委員 はい。 ○笠貫部会長 他にございますか。 ○井部委員 AEDはいろいろなところに設置されているわけですが、これは小児に使 っていいAED、これは大人用のAEDというのは、一般の人にも識別可能なのでしょ うか。どのように見分けることができるのでしょうか。 ○事務局 AEDそのものについては、成人用、小児用という区分ではなくて、開けて いただいて、付けるアダプターが、大人用と小児用が入っているAEDと、大人用しか 入っていないAEDがあるということです。 ○井部委員 開けてみないと分からないのですか。 ○事務局 はい。 ○井部委員 普通は開けません。とっさに慌てて使う場合が多いと思うのですが、その ときに間違いがないように使用できるのかどうかというのが気になったものですから。 ○事務局 間違えると言うか、大人用のパッドは大きなもので、大きなものと小さなも のが出てくれば、小児用のものということは開けた瞬間に分かるわけです。  一方で、先ほど来申し上げているとおり、成人用のパッドしかないものもありまして、 そういったものが世の中に混在してあることについても、個別のAEDの講習の中でも、 こういったものとこういったものがあるということで、講習を受けられた方に限るわけ ですが、今後、一般の市民にも情報提供をしていくことになっています。 ○笠貫部会長 救急医療財団の心肺蘇生法委員会でこのガイドラインを作成したという ことで、私も関係していますが、AEDのマークを統一しようということはありました が、小児用だけかどうかという記載はありません。その辺を分かるような形にできない かどうかということについて、この部会からもお願いすることは可能かと思います。  確かに、開けてみないとどちらが出てくるのか分からないということでは、幾ら指導 を受けても、一般国民が使う場合に、AEDの器械の表面にはってあるということは必 要かと思います。御指摘のとおりかと思いますので、そのようなお願いはこちらからも できますかね。 ○外部会長代理 私もこの点は少し気になるところがあります。1歳と8歳、それだけ でも大分違います。3kgの赤ちゃん、20kgの子供、あるいは50kgの大人、そういう体 格からいっても全然違う人に対して、大人用のAEDを使ってもいいということを厚生 労働省がこういう形で出すわけです。「やむを得ない場合に限り使用すること」という ことで安全性情報を出すわけですが、この重みは、現場では、厚生労働省は、1歳の子 供でも、その場にAEDがあったら、まず持って来て使いなさいと。1歳であっても、 そこには子供用のパッドがないわけですから、大人用を付けていい、そして早く蘇生を しなさいというメッセージを出しているわけです。  それが現場で問題なく使われるかというと、私は、澤委員が言われたように、いろい ろな懸念があるのではないかと思っています。もちろん、十分に検討した上で、何もし ないよりはした方がいいという考え方はあると思いますが、大人と子供の心停止の原因、 蘇生に至る原因は大きく異なることが分かっていまして、大人は心臓が原因なので、呼 吸の蘇生より心臓の蘇生が大事ということで、AEDという考え方もあり、それが周知 されていると思うのです。  しかし、子どもの場合、特に赤ちゃんの場合には心臓が原因という可能性は低くて、 窒息や呼吸が原因のことが多いわけです。そういう場合に、呼吸の方は置いておいて、 大人と同じような形で、AEDでいいのだ、早く電気を流しなさい、あるいはそういう 準備をしなさいという考え方を、このように強調した形で、認可するような形でやって いいのか。救急蘇生の専門家が十分に検討したとは言え、御墨付きを与えるような形で こういう文書を出すのは、慎重であるべきと私は思っています。  もうこれは出されたのだと思うのですが、それに対しては、先ほど委員が言われたよ うに、このような懸念があるから慎重に使いなさいなど、何かそういうことを書かない と、やむを得なければ、あるいはそこになければ、1歳の子供でも全く大人と同じパッ ドで、同じ電流を流していいというメッセージは、危険性をはらんでいると思います。 その辺のことは、これから検討すべきことではないかと思います。 ○笠貫部会長 今の御意見のように、基本的にはこれからAEDは成人パッドと小児パ ッドを備えたものをという指導をしていただくその過渡期として、「やむを得ない場合」 という形のものをどこかに含めて出していただきたいということでよろしいでしょう か。できるだけ早くということが望ましいと思うのですが、現在はまだAEDの普及が 進行中であることから考えて、やむを得ないですが、基本的には両方を備えることが望 ましいという形で、過渡期には十分に注意を促していただきたいと思います。いろいろ な形で注意の促し方があるかと思いますが、そういう御意見としてお伺いしたいと思い ます。  資料1-2は、広域帯電力線搬送通信機器による医療機器への影響についての指導です が、これについては御意見はございますか。 ○目黒委員 一点分からなかったのですが、これを発売するメーカーで一番問題になっ てくるのは在宅等で使うケースであると思うのです。それに対して、人工呼吸器あるい は酸素療法の器械等を同時に使って行った実験結果はあるのでしょうか。 ○事務局 PLC機器が市場にまだないこともありまして、実証的な実験を行ったのか についても、確認をさせていただいているのですが、そういった事情から、現在におい てはそういった試験はなされていないと聞いています。 ○目黒委員 認可する場合でも、器械はそろうわけです。設備はあるわけですし、とて も大きな設備が必要な器械でもない気がするので、何らかの実験データはあってもいい と思います。そこら辺は、今後、関係のところにお話ししていただければと思います。 ○事務局 時間的なスパンとして非常に厳しくて、10月に省令が改正されて、それから 個別に申請をして、それが許可を得て、それで12月という状況なのです。総務省の個別 の確認ができてから生産ラインが動くことになっているので、ものがないというのは間 違いないです。  今後、各メーカーサイドでも、恐らく安全確認をするという動きになるのではないか と思いますが、そういった情報についても収集していきたいと考えています。 ○天笠委員 これは、日本にはないが、外国では使われているということでしょうか。 ○事務局 米国、欧州において、数年前から実用化されているものと聞いています。 ○天笠委員 輸入販売などはされていないということでよろしいわけですね。 ○事務局 電波法でそういったものは使えないことに今まではなっていたわけです。 ○笠貫部会長 海外では既にあるということですが、海外で数年前に発売されてから、 こういった医療機器、特に目黒委員から御指摘のあったように、人工呼吸器は外部電源 を使うわけですから、そういったものに対する不具合報告はありますか。 ○事務局 私どもの方でPLCのメーカー、それから総務省にも確認していますが、海 外においてそういった不具合が発生したという情報はないと聞いております。 ○安全対策課長 天笠先生からの御質問ですが、先ほども御説明しましたが、10月4日 に電波法の省令が改正されて、それ以降に日本で使えるようになったということですの で、それ以前は、国内で製造されるPLCモデムに関しても、海外から輸入されるもの に関しても、10月4日の省令改正以降、総務省の型式承認を取った上でないと販売でき ないということです。そういう意味で、これまで製造もされていないし、輸入されたも のが国内で実用化されていることはなかったと承知しています。 ○笠貫部会長 実際に日本での型式で許可を受けるものについては、まだこれからのデ ータを待つということですね。 ○安全対策課長 10月以降に型式承認の申請が行われていると聞いているので、近々販 売されるであろうと伺っています。そこは各社の販売スケジュールなどいろいろあるよ うなので、いつからとは申し上げられませんが、そのように聞いています。 ○笠貫部会長 海外では、同一の型式ではないが、これについての不具合報告はない、 日本での許可された型式については販売された後のことになるという御説明でした。こ れについては、あらかじめこういった指導をしておくことによって、万が一不具合が生 じた場合には、できるだけ早くこれを収集するということになるかと思います。  また、実際に販売された後には、PLCを販売する会社に対しても、こういった医療 機器に対して影響があるかどうかの実験が可能であれば、できるだけしていただくとい うのが目黒委員の御要望を会社の方にお伝えいただけたらと思います。  他にございますか。 ○土屋(文)委員 総務省の委員会でも申し上げたことがあるのですが、これから先は電 波などが出ることは当たり前ということで設計していかないといけない時代になってい ます。そういったことに対する影響、例えば、私どもは、電子タグのリーダー、ライタ ーが影響を及ぼすかなど、そういうことも文科省の実験でやったりしています。こうい うことをいろいろと調べていかないと、大丈夫とはほとんど言えないというのは分かり ますが、少なくともいろいろやってみて、これは影響が出たとか、出ないというのは、 どこかで何らかの形で、これは厚労省がやるべきということではないのですが、国とし てそういうものを認可したり、電波法が変わったからといってこちらがすぐに影響を受 けてしまうわけですが、そういった全体の仕組みとしてそういうことをチェックしてお かないと、現実としては不安の中でやらざるを得ないということもあります。省を超え た話になると思いますが、これから先は電波など、そういう話は必ずありますので、そ ういったことを含めた検討をどこかできちんとしていただくことが必要ではないかと思 います。  その場合、在宅ということも当たり前というような、人が間違えるのは当たり前とい うことをするようになったのと同じように、これから先は電波が、病院の中であっても 無線LANなどがいろいろあるわけですから、そういったことの中での安全性を見てい かないと、本当の意味の安全は保てないのではないかという気がします。 ○勝呂委員 これは3年ぐらい前から海外でやっていて、記憶は確かではないのですが、 日本でもどこかで試験的に一時やったはずなのです。そのときの最大の問題は、船か何 かの航行のレーダーがすべて狂ったということをニュースで見たことがあるのです。  医療の問題から行くと、医療機器ダイレクトではなくて、そうではない、日常で行わ れるもの、例えば電子レンジや盗難防止のものなど、そういったものに逆に2次的に影 響を与えて、医療機器ではないところから発生するものが強くなったりする場合が、可 能性としてあるわけです。  ですから、医療機器限定ではなくて、医療機器に与える何らかの電波を発生するほか のもののチェックを入れないと、危険ではないかと思うのです。医療機器と心電計など、 いろいろなものを合わせておいて、そこだけ合わせてもいいかもしれないですが、こち らに与えるもう一つの間接的なものがあり得ると思っているのです。  確かこの導入が遅れたのは、その辺のところの、船でしたか、忘れてしまいましたが、 すべて航行ができなくなるという状況があったのではないかと思うのです。ですから、 2次的に作用するものを何らかでチェックする必要があるのではないかと思います。 ○安全対策課長 医療機器に関しては、EMIと言いますか、外部からの電磁波障害に 対するイミュニティに関して規格を設けるということがあります。すべての医療機器で はありませんが、かなりの数の医療機器に関して、そういった規格が設けられています し、今後そういった規格を整備していって、医療機器自身の防御性能を高めていくとい うのが、一つの方向であろうと思います。これは今後、医療機器について、審査などで 規格を作る、あるいは安全対策をしていく上で、重視していかなければならない話であ ると思っています。  土屋先生がおっしゃいましたように、規制がいろいろなところで緩和されて、新しい 電子製品が実用化されることになると、いろいろな影響が出てきますので、そこは、も ちろん政府全体でいろいろな仕組みがすぐにできればいいのですが、今回もそうでした が、特に総務省辺りとは十分に連携を取りまして、患者に危害が生じないような形で、 できるだけ事前に対策をとれるようにしていきたいと考えています。 ○笠貫部会長 ペースメーカ等については、総務省、経済産業省、厚生労働省が参加し た調査会があり、さらにペースメーカ分科会において人体ファントムを使って実験まで して、安全性をより厳しくチェックするという体制はつくられていると思うのですが、 すべての電波共生となると非常に多くて、三つの省を含めて、どのように対応していく かということは、これからの課題であると思います。このPLCについては、そういっ たことも含めた上で、今後の不具合発生について重大な関心を持って見ていくという形 でお認めいただけたらと思いますが、それでよろしいでしょうか。  それでは続いて、議題2について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは、「医療機器の不具合等報告について」、資料2-1〜資料2-4に基 づいて御説明いたします。  資料2-1を御覧ください。1枚めくっていただいて、こちらは不具合等報告に関する 薬事法上の条文の抜粋ですが、改正薬事法第77条の4の4の規定において、各企業等か ら報告がなされた不具合等の報告、回収の報告について、本部会に報告するとなってい ます。今般、本部会に報告するのは、平成18年4月1日〜9月30日の6か月間に不具 合報告等がなされたものについての報告になります。  1枚めくっていただいて、こちらは今回の報告の概要になります。まず、1.の1)不 具合等報告です。こちらのすべての事例について資料2-2に記載していますが、この4 月〜9月の半年間に報告された不具合等報告の総件数については、5,153件となってい ます。  前回部会で、不具合等報告について見づらいという御指摘があって、私どもの方であ る程度の分類分けを考えた結果をそちらに記載していますが、(1)〜(8)までの分類分けを しています。順に、画像診断用機器、生体監視・臨床検査機器等々となっています。  しかしながら、実際に不具合等の報告がなされる分類にやや偏りがありまして、第3 分類という言葉で呼ばせていただきますが、処置用・施設用機器等が、5,153件のうち の3,564件で、7割前後、第4分類の生体機能補助・代行機器が1,500件弱ということ で、ほぼこの二つの分類に集約されてしまう状況になっています。  2)外国措置報告は、半年間の報告件数が236件、3)研究報告は26件、4)感染症定 期報告は、資料3-1になりますが、33件です。  2.の、薬事法第77条の4の2第2項に基づく、医薬関係者等からの報告については 196件になっています。  資料2-2を御覧ください。こちらは不具合等報告についてのすべての症例をまとめた ものです。1枚めくっていただいて、裏になりますが、注意事項ということで、今回、 分類分けをしたということを2)に記載しています。それから、前回部会からになります が、4)では、「その他」欄の記載ということで、それぞれの症例について、採られた安 全対策措置等について、「回収」「情報提供」「空欄」がどういった内容になるのかを お示ししています。  それでは、個別のラインリストについて、若干御報告いたします。  第1分類、第2分類については、非常に数が少なくて、これといって特別なことはあ りません。  3ページからとなりますが、第3分類について、3,564件で、全体の約7割がこちら の分類に当たります。そのうちインスリンペン型注入器が、国内で1,423件、海外で1,479 件、合計で2,902件となっています。したがって、こちらの不具合報告症例の全体の7 割がこの分野で、さらにこの分野の8割強がインスリンペン型注入器となっています。  インスリンペン型注入器の96%については、サノフィ・アベンティス社の製品という ことで、一つの製品の、特に流通量が多いもので不具合が起こると、その部分の報告件 数が非常に高まってしまうという好例ではないかと思っています。  アベンティス社の個別の内容について、もう少し詳しい数字を言いますと、旧来型の オプチペンプロ1という製品は、今は国内市場にはありませんが、海外においては流通 しているということで、そちらの報告が1,000件近く挙がってきています。国内市場に はもうありませんので、今後こういったものについての報告は当然なくなってくるわけ で、件数がこのまま高い数字で推移するというようなことには単純には行かないわけで すが、若干件数が多いのではないかと考えています。  ほかに突出した報告件数は余りないわけですが、数十件の報告があるものについて御 紹介します。8ページの162番以降で、自然落下式・ポンプ接続兼用輸液セットは、全 体で43件報告されています。9ページの175番以降で、心臓・中心循環系カテーテルガ イドワイヤは、外国症例も含めて64件です。10ページの203番以降で、水頭症治療用 シャントは56件です。13ページの292番以降で、バルーンポンピング用カテーテルは 39件です。14ページの310番以降で、皮下用ポート及びカテーテルは24件です。16ペ ージの360番で、輸液ポンプ用輸液セットは157件になっています。輸入品が多い心臓 ・中心循環系カテーテルガイドワイヤを除くと、基本的には国内で発生した不具合報告 が多い分類となっています。  続いて、第4分類に移ります。こちらは1,473件で、全体の約3割がこのカテゴリー に入ります。第3分類との違いを言いますと、このカテゴリーの外国の報告件数が、第 3分類に比べると、若干少なくなっています。  幾つか御紹介します。30ページの682番以降で、植込み型除細動器・ペースメーカリ ードは26件ですが、そのほかにも、心内膜植込み型ペースメーカリード等がこの後にあ って、117件ということで、リードの関係が143件の報告がなされています。31ページ の706番以降ですが、ペースメーカ本体ということで、植込み型心臓ペースメーカが46 件の報告になっています。34ページの791番以降で、後房レンズは、全部で185件です。 35ページの813番、814番の酸素濃縮装置は426件です。  そのほか、少し数字の多いものを言いますと、人工股関節寛骨臼コンポーネントが56 件、全人工膝関節が50件、さらには中空糸型の透析器が157件ほどの報告がなされてい ます。  それから、ペースメーカの話がありましたが、先般の部会でも、特に植込み型の生命 維持装置に関して研究等を行っていることについて、次回の部会で報告を申し上げるこ とになっていたかと思いますので、参考資料2で、こちらの研究の内容について、若干 御紹介させていただきます。  ペースメーカに関して、個別の取組として研究班で検討を行っているということで、 平成16年度、17年度の2か年度の研究報告について、事務局から簡単に御説明を申し 上げます。また、本研究班の主任研究者である部会長の笠貫先生におきましては、事務 局の説明について補足を賜れればと思っております。  ペースメーカなどの植込み型の生命維持装置、生体機能の代用機器については、一た び不具合が発生すると、重症・重篤化する可能性が、ほかの医療機器と比べても当然高 いわけです。また、不具合事象が発生して、回収相当であるとなった場合であっても、 これは既に植え込まれたものですので、手術をすることになればもちろん侵襲性もあり ます。ほかの医療機器のように、おいそれと回収することも難しいということになりま す。  その上で、仮に不具合事象が発生して、ある医療機器が回収であるという情報が医療 関係者、患者に伝わったとしても、そういった不具合について、どのような不具合がど の頻度で発生して、また、どういった不具合であればどの程度患者に対して重篤化する という影響があるのかという整理について、判然としておりませんと、医療関係者、患 者にとっても、これはすぐに対応しなければいけないのか、経過観察が適当なのかとい う判断が付きづらいということがあります。患者さん方にとっても、医療関係者に詳し い説明を受けないと相当不安であろうと思うわけです。そのために、どういった不具合 が起きたときにどのような事象が起こるのかを分類して、重篤度なりを評価し、その情 報を医療関係者、患者の間で共有することで、安心されることも多いと思っております。  そういった事情もあり、研究班では、まずは事例を広範に集めるということで、1995 年〜2004年までに生じたペースメーカ関係の484件の不具合事例について、今まで説明 したような、どういった部位に不具合が起きやすいのか、また、重篤度はどうかという データ整理をしております。  結果については、「結果と考察」というところに数値で示されておりますが、大きく 分けると、不具合が発生する場所については、本体部分とリード部分がほぼ半々という ことが分かっております。一方で、重大な事例については、リード側の不具合の方が高 いという結果が出ており、リード類で22.41%で、本体部分の5.10%よりも高い結果と なっております。  結論として、評価スコアについて検討をしているわけですが、この評価スコアから不 具合事象について客観的な評価ができることが昨年度までの研究で分かってきておりま す。また、このような事例評価等の研究に加えて、医療機関、患者さん方において、不 具合に関する姿勢、対処法といったものに関してアンケート調査を実施して、医療関係 者のみならず、患者も含めた関係者全員で、納得のできる不具合に対する合理的な対処 法について、検討を行っております。今後、これらの成果について、更に検討が進めら れる予定と伺っております。以上で、参考資料2の説明をさせていただきました。  資料2-2に戻って、残りの第5分類、第6分類、第7分類、第8分類については、余 り目立った報告はありませんが、少し申し上げると、第5分類で多少目立ちますラジオ 波焼灼システムについて、16件の報告がなされております。ですが、第3分類、第4分 類に比べると件数は相当低くなるという状況です。  続きまして、資料2-3を御覧ください。こちらは医療機器の外国措置報告ということ で、全部で236報あります。これは海外で実際に措置が採られたという結果で、この海 外措置の内容がそのまま日本において適用されるケース、それから日本にはまだ同じ製 品が輸入されていないケースと、いろいろなケースがあります。しかし、回収のトリガ ーとなり得る報告であります。  資料2-4を御覧ください。こちらは医療機器の研究報告ということで、26報寄せられ ております。しかし、非常に重複が多く、重複を削っていくと、全部で12報になります。 一般的名称で申し上げると、人工血管付ブタ心臓弁が3件、プログラム式植込み型輸液 ポンプ、植込み型心臓ペースメーカ、体外式結石破砕装置、弁形成リング、下大静脈フ ィルタ、非吸収性血管用吻合連結器、水頭症治療用シャント、コラーゲン使用吸収性局 所止血材、汎用超音波画像診断装置がそれぞれ1件ずつとなっております。多くのもの は患者のコホート調査や成績調査、さらには先ほど電子的影響という話がありましたが、 電子的影響に関するものではないかという植込み型心臓ペースメーカ、水頭症治療用シ ャントといったものについても報告がなされております。 ○笠貫部会長 ただ今の資料2-1〜2-4の事務局からの報告について御質問はあります か。非常に膨大な資料ですので、御質問が出る前に、ペースメーカの、植込み型除細動 器を含めての安全対策について、少し付け加えさせていただきます。  先ほどお話がありましたように、1995年〜2004年の不具合報告は484件で、今日はリ ードと本体だけで200件になります。その当時はまだ少なかったということですが、そ れだけ不具合の報告が徹底されてきたということの数の現れかと思います。この不具合 の評価スコアを付けたいということで、これが使えるかについては今後更に検証したい と思います。  それから、この研究班には日本心臓ペースメーカー友の会の方も御参加いただいてお りまして、患者側と医療機関の、両者のアンケート調査で認識にかなり差があるという ことも、そのときに重大なこととして認識しました。  いずれにしても、この不具合についてのデータベースの問題と情報の収集、情報の伝 達というシステムをどう構築するのかがこれからの課題であろうというのが、そのとき のまとめです。これは3か年の研究で、2か年までの報告書は既に出されております。 3か年目の今年度については、更に付け加えて報告書を作成中です。  ペースメーカについては個別に検討しているという御報告です。全体として何か御質 問はありますか。 ○木下委員 このように詳細にまとめていただくと、大変参考になりますし、大事なこ とで、よくやってくださっているという印象です。  不具合報告等の取扱いは非常に大事で、今の話のように、ペースメーカのような、生 命に危険を及ぼすような極めて重篤な問題はもちろんですが、それほどでない事例に対 して、メーカー側等でも改善によって、その結果がどうなったかということまで調査し てくださり、不具合例が半分に減っていくということがなければ余り意味がないわけで す。  そういう意味では、1年後、あるいは2年後でも、全部は難しいと思いますが、量が 多いとか、極めて重篤なものに焦点を絞って、改善の結果どのような成果が出たかが分 かると、こういった仕事をしてくださっている方々の御努力が報われるわけで、我々に とっても非常に大事なことであると思いますので、今のような視点で御報告願いたいと 思います。 ○笠貫部会長 今の件について、オプチクリックですが、オプチペンプロ1は日本では なくなり、オプチクリックに替わって改善されると、新たなディスプレイの問題が出て きました。これは重篤な結果をもたらしていないのですが、非常に数が多いことについ て、会社にどのように今後の方針を指導しているか、お話を頂けたらと思います。 ○事務局 サノフィ・アベンティス社のオプチクリックについては、幾つかの不具合報 告が報告されているわけですが、そのうちの大半は、ディスプレイ部分の不具合の報告 です。こちらの製品については、通常3か年の使用期限ということで、電池で動かして いるわけですが、その3年間において電池が切れることは、余り想定していなかったわ けです。実際に流通をさせたところ、数か月の段階でどんどんディスプレイが薄くなっ ていく。ディスプレイが消えてしまうまでには、電池マークと言うか、そういったもの が表示されて、それから何日間かは使用が可能なわけです。ただ、当初想定されている 3年に比べると、これは相当短いということで、当然、不具合の報告の対象となるわけ です。  ただ、一方で、その数日間にほかのオプチクリックと交換するということで対応すれ ば、直ちに健康被害が発生する事態は起こらないということもありましたので、まずは 原因究明についてアベンティス社に指示をして、最近、ほぼこれであろうという結果に ついて分かってきたということです。最終的には、前回、前々回の部会でしたか、オプ チペンプロ1の議論の中でもあったかとは思うのですが、患者に物がおかしくなってか ら医療機関に行って取り替えてくれという話をするのではなくて、複数本提供しておい て、手元に持っておいていただくなどといった対応を個別にとる。さらには、これだけ のディスプレイの不具合が発生しているのは事実ですので、製造工程上の問題も含めて、 早急に対策をとるようにということでお話をさせていただいております。  また、ディスプレイ部分に不具合の報告件数のカウントを押し上げている原因がある と理解をしておりますので、そういったディスプレイがない製品についても、患者に提 供するようにということでお話を申し上げております。今のところの対応は以上のよう なこととなっております。 ○笠貫部会長 これは、1回のペン型ということでは、代替品がないのですね。そうい う意味では、今の御説明ではこれからより良いものに改良されていくということですの で、対応がされていると御理解いただいて、そのほかに、今のことも含めて、先生方か ら御質問はありますか。 ○外部会長代理 この部会は個々の事例について検討という意味の部会ではないと思い ますが、このように不具合報告で挙がってきたものに対して、先ほどの取扱い概略図で もリアルタイムに情報を収集して、それに対して適切に、早急に対応するということが 目的ですので、特にこの中でも生命に影響を及ぼすような、あるいは重篤な被害のあっ た不具合報告については、早急な対応が必要かと思っております。しかも、今回複数挙 がった事例については十分検討して、打てる手は早く打つべきであると私は思うのです。  そういう中で、少し気になったところで、もし分かっていることがあれば教えていた だきたいのですが、一つは14ページ〜15ページにある皮下用ポート及びカテーテルが 同一機種で複数同じようなことが起きている。それは、カテーテルが断裂して、心臓の 中へ移動した。これは患者にとっては大きな被害で、大手術を必要とするようなことも あり得た、あるいはいろいろな手技を必要とする大きな症例ではないかと思うわけです。  この機種に対して処置がどうなされたのかここでは分かりませんが、使用上の問題で は済まされない。やはり機種、器具そのものの何か不具合が隠されているのではないか。 これを今でも使っている患者がおられて、もし同じような事例が発生する下地があるの であれば、早く対応すべきであると私は思うので、このことについての情報が分かれば 教えてほしいと思います。  もう一つは、16ページの上の4例、マーカ挿入用セットが空気塞栓で脳梗塞を起こし ている。しかも、これが4例続いている。私自身はこれがどういう目的で使われるもの か知りませんが、患者に脳梗塞を起こすような不具合を起こしている。しかも、このこ とについて複数例ある。情報提供と書いていますが、この器具そのものが潜在的にこう いう危険性を持っているのであれば、かなり早急な対応が必要かと思います。この二つ の機種について、もし情報、あるいは今とられている対応が分かっておられれば、教え ていただければと思います。 ○事務局 今、調べておりますので、詳細が分かりましたら説明申し上げたいと思いま すが、皮下用ポート及びカテーテルについて、「その他」の欄が空欄になっている状況 については、恐らく9月30日段階での措置等の状況になっておりますので、もちろんそ れ以降何もしていないということではなくて、必要な対策をとっていると理解しており ます。いずれにしても、今、調べておりますので、分かり次第御報告を申し上げます。 ○笠貫部会長 どうぞ、目黒委員。 ○目黒委員 分類(3)は処置用・施設用機器等と書いてあるのですが、この内容からして、 施設用機器とはどういう機器を言うのかを教えてもらいたいと思ったのですが。 ○事務局 分類については、旧薬事法の分類を参考とさせていただいたもので、旧薬事 法の分類における施設用の機器については、例えば医療用の吸引器であるとか、ネブラ イザーなどといった吸入用の器具、さらには、診療施設用の機械装置ということで、手 動式の手術台等が含まれるということですが、施設用の機器については、余り報告がさ れておりません。そういう意味では、名前倒れということはないですが、余りありませ ん。 ○目黒委員 分かりました。 ○笠貫部会長 ほかにございますか。 ○外部会長代理 資料が手元にないのであれば仕方がないのですが、少なくとも再発防 止に対して何か手を打っているかどうか。複数例で生命に直結するような不具合報告に ついては、先ほどもそちらからリアルタイムでの情報収集と早急な対応ということが言 われましたので、そういうことについてきちんと手が打たれていることが分かれば、そ れでよろしいのですが。 ○機構 外委員からの御質問で、まず、バードポート-Tiというメディコンの製品です が、これは体内に埋め込むチタン製のポートに心臓の方へカテーテルをつないで留置す るもので、主に抗癌剤や栄養剤を注入するポートとカテーテルのセットです。典型的な 不具合としては、カテーテルの断裂というものがあって、主に第一肋骨と鎖骨下の間で の、患者が手を上げ下げすることによって、数年掛けて切れるものもあります。今回も、 この6か月の間にカテーテルの断裂が数例報告されておりますが、離断したカテーテル はスネアにより右心房から回収できております。  今、破断面の解析を本国で早急にしているということで、現在、情報が少し不足して おり、「その他」のところは空欄になっておりますが、カテーテルの破断面を観察すれ ば、外力によって切れたかどうかも早急に分かります。また、ポートとカテーテルをつ なげるロック部分の手技がどうであったのかというところも、現在調査中ですので、近 々そういった解析結果が企業から上がってくるものと思います。バードポートに特異的 に起こっているかという点に関しても、現在調査をしておりますので、しばらくお時間 を頂きたいと思います。 ○外部会長代理 しばらくとか、時間的な問題を、急ぐべきところは急いでほしいと思 います。  もう一つのマーカ挿入用セットについて、この器具を使うことで脳梗塞が起こるとい うのは、非常に問題を含んでいるのではないか。ただ、私自身がこれがどういう目的で 使われるのか知らないので、そういうリスクを持った検査なり処置であるというように とらえられるのかもしれませんが。 ○笠貫部会長 皮下用ポートの件ですが、ほかの機種の話や、あるいはこのメディコン 社のバードポート-Tiに非常に多いのかという頻度の問題は、これから分かるような工 夫はできるのでしょうか。先ほど対応としてインスリンペンの話を少し出したのですが、 非常にたくさん使われている場合と、それほど使われていなくてこれだけの数字として 出てきましたというのと、発生頻度も不具合の評価の中に入ってくると思うのです。実 際問題、今の時点で販売本数がどれぐらいあってこれぐらいというのは把握できますか ね。 ○安全対策課長 企業の情報として、出荷数量はどのぐらいあるのか、あるいは実際に どのぐらい使われたかという情報は分かります。完璧なものでないにしても、概数とし ては補足できると思いますので、それを分母にすれば、発生率のおおよその値は出てく ると思います。したがって、特定の品物に多く発生するということであれば、当然その 品目に対して安全対策をとらないといけないことになると考えています。 ○笠貫部会長 特に外委員から御指摘のあった重篤なものに関しては、発生頻度をある 程度御検討いただけたらと思います。  先ほどのポート及びカテーテルは、第一肋骨と鎖骨の間、あるいは手技上の接続の問 題と言うと、リード側の問題と解剖学的な問題と使い方の問題と、いろいろなものを含 んでいそうです。それから、経年変化も非常に大事な問題であると思いますので、情報 が分かり次第、委員の先生方には早めに御報告いただけたらということでお願いいたし ます。  マーカ挿入については、よろしいですか。 ○事務局 マーカ挿入用セットについては、4例の報告が出されているわけですが、空 気塞栓については、手技上の問題も含めて、こういった医療機器を使用する場合の有害 事象として広く知られている事象で、既に添付文書等にもこういったリスクがあるとい うことは記載してあります。また、担当医の方から、当該製品が破損してこの事象が起 こったという報告はありません。したがって、肺に針を穿刺する際に、気胸、肺出血、 空気塞栓などのリスクがあることについて、その発生を回避することは、手技の性質等 から考えてもなかなか難しいという事情があります。こういったものについて、既に医 療関係者等に対して情報提供がなされているということで、「その他」の欄の記載がそ のようになっているという状況です。 ○笠貫部会長 マーカ挿入用セットというのは具体的にイメージが湧かないのですが、 肺に針を刺入するというものなのでしょうか。どなたか委員の先生方で御存じの方はい らっしゃいますでしょうか。 ○安全対策課長 そもそもどういうものかということに関して、添付文書等があります ので、それについては改めてお送りさせていただくなり、御説明させていただきたいと 思います。 ○笠貫部会長 ただ今の御説明では、手技上の問題で、肺に針を挿入する場合の一つの 有害事象と言いますか、合併症というとらえ方であったのかと思いますが、詳細につい ては委員の先生方にお知らせいただき、そして、次回、その結果を含めて御報告いただ くということにしたいと思います。 ○木下委員 今、外委員が御指摘くださったことは非常に大事なことであると思います。 事例を調べてみたら、実は器具そのものの問題ではないことが判明すると、この報告に は、載せるべきことではなくなります。しかも、極めて重篤な合併症、あるいは死亡事 故も含めて考えますと、あらかじめ不具合報告を医療機関から厚労省や企業に行う。同 時に、厚労省に来た情報を、特に重篤なものは、例えば部会長や部長に、その内容に関 してチェックする機構を入れる必要があります。そうでもしないと、もしマスコミの方 たちがこれだけを見て、そのままストレートに報道すると、とんでもないことになるわ けです。  そのような意味で、正確さということになると、専門家のチェックを入れて、そして 報告する必要が出てきます。特に今の御指摘のようなことが起こるとすると、余り意味 のない報告になってしまいます。 ○笠貫部会長 御指摘がありましたように、これは不具合状況が不明となっていますの で、そういう問題のときには専門家の御意見もお聞きした上で記載いただけるようにい たしましょうか。 ○安全対策課長 現状を申し上げますと、企業は薬事法に基づいて不具合に伴う健康被 害等が発生した場合、あるいは不具合を知り得た場合には報告するというのは、法律上 の義務として掛かっております。したがって、企業側としては、例えば健康被害が発生 したとしても、医療機器の可能性が排除できるということであれば、報告がなされない わけですが、完全に排除しきれない、可能性があるということであれば、法令上の義務 が掛かっているということもあって、報告がなされることになろうかと思います。  もう一つは、そういった形で薬事法に基づいて厚生労働省、実質的には総合機構です が、そこへ報告された不具合の報告状況については薬食審に報告するという薬事法上の 規定があります。そういったこともあって、こういった形で報告をさせていただいてい るということです。  個々の事例に関しては、総合機構で1例1例検討しているわけで、その評価のプロセ スで難しい事例等があれば、専門の先生方にも御意見をお伺いして判断を進めていくこ とにしているところです。実情としては、そのような形で進めております。 ○木下委員 今のお答えは少し納得がいきません。と申しますのは、問題があった場合 にはどうやったら改善していけるのかを考える資料としても重要であり、報告すればよ いといっても、それが誤解を招くような報告であれば意味のない話です。法律の枠の中 で報告は報告としてもらったとしても、どういう表示をするかは考えるべきであり、有 意義な表示の方法は、是非御検討願いたいと思います。 ○安全対策課長 承知いたしました。 ○笠貫部会長 先ほどの不具合報告等の取扱い概略図の中で、専門家との協議を含めて、 これからより詳細な御報告をお願いするということで進めたいと思います。 ○事務局 マーカ挿入用セットの件について、手元に一般的名称の定義について資料が ありますので、参考までに申し上げたいと思います。マーカ挿入用セットは、腫瘍部な どに金属製のマーカを挿入したり、色素を注入するために用いる針、金属パイプ、カテ ーテルといったものです。先ほどの個別報告等から考えると、肺等に対するマーカの注 入というものであろうかと思います。 ○笠貫部会長 腫瘍部に対して使うマーカということで、大体、先生方にも御理解いた だけたかと思います。  それでは続いて、議題3に移ります。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料3-1、資料3-2に基づきまして御説明させていただきます。薬事法第68 条の8に基づく医療機器の感染症定期報告の状況について御報告をさせていただきま す。  まず、資料3-1「感染症定期報告の報告状況」ですが、平成18年4月1日〜平成18 年9月30日までに生物由来製品の製造販売業者から報告された感染症定期報告のうち、 文献の調査について報告順に表にして並べたものが資料3-1です。合計で33件の報告が 寄せられており、この報告を同一文献ごと、また感染症ごとに整理してまとめたものが 資料3-2「報告文献別一覧表」です。今回も資料3-2に基づいて概要を説明させていた だきます。  今回の報告ですが、およそ15の感染症に関して56件の文献等が提出されております。 文献が提出された主な感染症は、E型肝炎11件、トリインフルエンザの関係が12件、 レンサ球菌5件などとなっております。  論文については、従来どおり事前評価委員の先生方に御確認いただき、本日御欠席で すが、国立感染症研究所の宮村委員と御相談しながら、感染研の先生方に学術的なコメ ントをお願いするなど、措置を講ずる必要性を含め、御意見を頂いております。  今回の文献等について、主なものを御紹介させていただきます。1ページ〜2ページ の半ばまでE型肝炎に関する論文が続いております。2番はE型肝炎の遺伝子の系統に 関する報告です。2ページの12番から4ページの23番までトリインフルエンザ関係の 論文、アジアを中心に各国の感染の報告が続いております。その次ですが、変異型クロ イツフェルト・ヤコブ病のオランダでの状況などが報告されております。続いて、ニパ ウイルス、レンサ球菌に関する報告があります。いずれにしても、これらのウイルス、 細菌に関しては、我が国の各製品において不活化工程がありますので、これらの感染症 に対する安全性については確保されていると考えております。以降、寄生虫感染などの 報告が続いております。  これらの概要について、事前に宮村委員、甲斐委員、山口委員に御覧いただいたとこ ろ、流行地域が限定されていることや製品の製造工程における病原体の不活化工程など を踏まえると措置を講ずる必要性はないが、今後とも情報収集に努めるようにというこ とです。追加の御発言などがあれば、またよろしくお願いできればと思っております。  また、本日御欠席の宮村委員から、「生物学的製剤基準に基づいてきちんと不活化工 程等を行われているものに関して、これらを介して人の世界に直接感染の原因になるも のが入ってくることはないと考えられます」といったコメントを頂いております。 ○笠貫部会長 事前評価委員でいらっしゃる甲斐先生、山口先生からコメントをお願い いたします。 ○山口委員 宮村委員のコメントにあるとおり、論文で紹介されているような病原体を 持った原料、原材料が使われているわけではなくて、各メーカーが動物等の情報を共有 することによって医療機器の安全性を確保していこうということです。今回の感染症定 期報告では、事務局から報告がありましたように、特に問題になるような事例はなかっ たと判断しております。私からは以上です。 ○甲斐委員 私も、今、お二方のコメントにありましたように、今回、特別に措置が必 要な報告はなかったと思います。今後も引き続き、情報収集に努めていただければと思 います。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。そのほかに、御意見、御質問はございますでし ょうか。 ○中村委員 最近、京都で狂犬病で亡くなった方がいらっしゃって、フィリピンでイヌ に噛まれたということを伺ったのですが、これは9月30日の一覧表だからそういう事例 は載っていなかったのか、それともイヌみたいなものは医薬品の原料になる動物と余り 関係ないから載っていないという理解でいいのでしょうか。 ○山口委員 例えば、HEVはブタで、ブタからヘパリンなどを生成しますので、そう いう原材料として使われるということでHEVの情報が収集されていくのですが、今の ところ医療機器としてイヌを原料として使われるようなケースはないと思います。もう 一つは、人に関して言えば、輸血などが起こるとすると、血液製剤の部分では問題にな りますが、問診等でその部分についてはチェックをできるような体制になっていると思 います。 ○中村委員 狂犬病のウマの症例が報告に挙がっていたのは、ウマはそういう原料にな るからという理解ですか。 ○山口委員 そうです。 ○中村委員 分かりました。 ○笠貫部会長 それ以外に、御質問、御意見はありませんか。あるいは全体を通してで も結構です。 ○外部会長代理 最初に、厚労省の方から、参考資料1として「不具合報告等の取扱い 概略図」が示されました。このときに意見を述べるべきであったのかもしれませんが、 これをつくづく眺めていて、果たしてこれでいいのかということと、こういうことであ ろうかという疑問がありました。  これを見ると、不具合報告は企業だけにいろいろなことを背負わせているというイメ ージがまずわくのです。報告の流れが、医療機関から企業に矢印がある。医療機関は、 不具合があった場合、単に企業に報告する、あるいはここで言えば安全管理情報の収集 ということで、あたかも企業に収集する義務、企業だけに収集が負わされているかと言 うと、そうではなくて、医療機関も当然、ここで起こったことに対しては、情報を提供 するという義務を持っています。ですから、提供しなければいけないわけで、しかもそ れは企業にだけ提供するわけではなくて、総合機構や、ここでは厚労省の方にも矢印が ありますが、ここも「収集」という言葉だけになっている。  この1枚の紙ではとらえきれない、いろいろなことがあるのではないか。これは不具 合報告の法律的な義務を負ったところだけが線として書かれているような気がするわけ です。ところが、医療の安全、医療機器に伴う事故やインシデントをどうやって少なく するか、予防するかということについては、これだけでは不十分で、いろいろなところ から情報を収集し、分析し、解析しなければいけない、そして、対策を打たなければな らないと思っています。  厚生労働省の欄で「すべての情報の把握」と非常に強く言っていますが、すべての情 報を把握しているのであれば、先ほどの質問に対しても厚生労働省からさらりと答えら れるのではないかと思うわけです。それは本当は無理があるわけですが、私が言いたい のは、こういう形で流れるだけではなくて、医療機関にはいろいろなことが義務付けら れています。例えば、ある器具を使って空気塞栓を起こしたとか、断裂して患者の心房 に移行して被害があった場合には、当然私たちの特定機能病院は報告義務があるわけで、 医療機能評価機構へ報告します。そういう情報は非常に貴重で、ヒューマンエラーも器 具も薬品もすべて含んだ情報として挙がっていきます。その中で、やはり重要な情報を 吸い上げるところがあるべきであろうと私は思います。  それから、厚労省の方でも、医療機器だけではなくて、医薬品やヒューマンエラーの 部会があると思うのです。ヒューマンエラーで起こったところにも、当然、医療機器に 伴うものがあるでしょうし、そういうところの情報もやはりここに集まるような形があ り、あるいは接点としてあるべきであろうと思います。ですから、この三つの枠だけで はとらえきれない、いろいろなところからの情報を収集して対応をとっているというこ とが分かるような形で示された方がいいのではないかということを、私の感想として申 し上げたいと思います。 ○安全対策課長 いろいろな医薬品あるいは医療機器の安全、あるいはもっと広く医療 の安全ということになると、今、外委員がおっしゃったとおりで、ここに出てくる以外 にもいろいろな組織が関与しているわけですし、矢印ももっと複雑に入り組んでいるで あろうと思います。  このチャートでお示ししているのはその中の一部で、このチャートはあくまでも薬事 法に基づく制度上どうなっているかということを主として説明させていただくという趣 旨で作った資料です。そういう意味で、御指摘いただいた部分が載っていないというの は、そういう目的で作った資料であるからということになろうかと思います。  企業に非常に負荷が掛かっているのではないかという御指摘ですが、これは薬事法の 考え方として、いろいろな製品、医療機器であれ、医薬品であれ、その安全対策は、第 一義的には企業が行うべきであろうという考え方がありますして、そういった意味で、 企業にいろいろな情報収集の仕事をやっていただくという仕組みになっております。  医療機関の矢印が左右に伸びておりますが、一つは企業が情報収集するところに御協 力を頂くということで、薬事法上規定があります。それから、厚生労働省の方へ安全管 理情報の収集となっておりますが、これも薬事法上、医療機関から直接厚生労働省に副 作用や不具合情報を御報告いただくという規定があります。それをお示ししているもの です。  そういうことで、冒頭に申し上げましたように、このチャートは、企業の不具合情報 をどのように処理しているか、どういったタイムフレームで処理しているかを説明する ためにお示しした資料ですので、外委員の御指摘に必ずしも沿っていない部分がありま すことを説明させていただきました。 ○外部会長代理 安全対策部会が持つ意味は、もっと広いと私は理解します。もちろん、 法律にのっとった動きということで示されたのは分かります。企業を通すということは 重要なところではありますが、一企業というフィルターが掛かっていくわけです。ある いは法律ということでの縛りがあると、そうでない情報はどうなのか。そういうところ にも重要な情報があるでしょうし、いろいろな団体、例えば医師会でも情報をお持ちで しょうし、いろいろな医療団体、学会レベルであっても持っているわけです。そういう ところからの情報収集なども含めて、そういうところとの接点を是非持つべきであるし、 持っているとは思いますが、安全対策部会が持つ医療機器に伴う安全対策という意味で は、もっと立体的な、あるいはもっと内容が濃いものがあるであろうと私は思っていま す。 ○笠貫部会長 外委員の御指摘も、医療機器の日本全体の安全を考える上では、非常に 貴重な御意見であると思います。そういう意味では、先ほど機能評価機構のお話も出ま したが、薬事法に基づく概略図の中に更に連携も含めて、今後御検討を頂けたらという 趣旨のお話であったと思います。いずれにしても、こういったものをより充実させてい く方向で御検討を頂くことをお願いしたいと思います。  以上で、本日予定しておりました報告事項はすべて終了となります。そのほかに、御 意見はございますか。 ○安全対策課長 最初の議題のAED(自動体外式除細動器)で、何点か御指摘を頂きま して、私どものところで扱える話とそうでない部分がありますので、省内の関係部局に お伝えするべきところについては、それぞれお伝えさせていただくようにしたいと思い ます。我々医薬局サイドとしては、企業との接点もあるわけで、小児用の開発など、具 体的にどういった形でできるかはあれですが、少なくとも今日こういった場で御意見が あったことについてはお伝えして、検討していただけるようにお願いしたいと考えてお ります。 ○笠貫部会長 医療機器の安全を考えると、ますますその対策は拡大していくと考えら れますので、こういった一つひとつの問題が生じたときに、是非努力をしていただきな がら、より安全な対策を充実させていけたらと思います。  ほかに御意見がありませんでしたら、本日の議事はこれで終わりとします。どうもあ りがとうございます。事務局からお願いします。 ○事務局 次回の部会の日程については、6月ごろを予定しておりますが、別途、部会 での審議等が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることがありますので御承 知置きをお願いいたします。なお、日程調整等については、事務局より先生方の御都合 を伺って決めさせていただきます。  それでは、これで平成18年度 第2回の医療機器安全対策部会を閉会いたします。長 時間ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 江野(内線2748)      - 1 -