2006/12/05 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会(平成18年12月5日開催)議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会議事録 日時 平成18年12月5日(火)13:00〜 場所 中央合同庁舎5号館 17階 専用19会議室 審議事項  (1)平成17年食中毒発生状況及び平成18年食中毒発生状況(速報)の報告につ いて  (2)カンピロバクター及びノロウイルス食中毒について  (3)その他 出席委員 五十君靜信、犬伏由利子、岡部信彦、熊谷進、塩見一雄、◎品川邦汎、長野みさ子、 宮村達男、山本茂貴、渡邊治雄(敬称略)   注)◎部会長 参考人   西尾治 (国立感染症研究所客員研究員) 事務局   藤崎食品安全部長、道野輸入食品安全対策室長、宮川課長補佐、小島係長 ○事務局 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食 中毒部会を開催いたします。  開会に当たりまして、藤崎食品安全部長からごあいさつを申し上げます。 ○食品安全部長 一言ごあいさつを申し上げます。食品安全部長の藤崎でございます。  委員の先生方には、年末も押し迫っております慌ただしい中、本日の会議に御出席いた だきまして誠にありがとうございます。また、この場をお借りいたしまして、平素より 食品安全行政の推進につきまして多大な御尽力をいただいておりますことを厚く御礼申 し上げます。  私ども食品安全の行政はさまざまな取り組みをしておりますけれども、食中毒の問題 は国民の皆様から関心が大変高いことでございますし、一つ対応を誤りますと大変大き な事件に発展をしていく。また、健康、生命にも関わる大変重要な問題であると私ども 認識をいたしておりまして、私ども数多くあります食品衛生審議会、食品衛生分科会の 中でも大変重要な役割を果たしていただいていると認識をいたしておるところでござい ます。  この間、いろいろ食中毒をめぐる状況も変化等はございますけれども、1つはE型肝 炎による食中毒事件の発生が確認されてきておるということでございまして、この問題 にどういうふうに正しく我々は対応して国民の皆様の注意を喚起していくかということ が大きな課題となっておりますことと、もう一つは先生方には既に御案内のとおりカン ピロバクター並びにノロウイルスの食中毒が増えてきておるということでございます。  本日は、そういう状況の中で山本委員よりカンピロバクターの食中毒についての御講 義をいただくということになっておりますし、また、参考人として西尾治先生においで いただきましてノロウイルスの食中毒について御講義をいただくということになってご ざいます。そういうことの新しい知識あるいは情報を御提供いただきながら、私どもと してどのような対応をしていけばいいかということにつきまして、出席の委員の先生か ら忌憚のない御意見、御指導をいただければ幸いであると考えております。  また、本日は合わせまして平成17年の食中毒の発生状況並びに18年の食中毒発生状 況の速報について御報告させていただきまして、それらの状況につきまして先生方の分 析、御指摘等もいただければ幸いでございます。  そういうことで、私ども行政の方といたしましては、非常に微力でございますけれど も、国民の食の安全を守るという立場から食中毒の拡大防止、適切な対応に今後とも努 めてまいりたいと思いますので、どうか先生方の本日の御審議等をよろしくお願い申し 上げてごあいさつとさせていただきます。どうかよろしくお願いします。 ○事務局 食中毒部会に開催に先立ちまして、本日御出席の委員の先生方の御紹介を申 し上げたいと思います。私の方から見まして左側から順に御紹介を申し上げます。  国立医薬品食品衛生研究所の五十君先生でいらっしゃいます。  消費科学連合会の犬伏先生は御出席の予定ですが、少し遅れていらっしゃるようでご ざいます。  そのお隣が、国立感染症研究所の岡部先生でございます。  そのお隣の東京大学の熊谷先生も御出席の予定ですが、少し遅れておられます。  そのお隣が、岩手大学の品川先生でいらっしゃいます。  そのお隣が、東京海洋大学の塩見先生でいらっしゃいます。  そのお隣になりますが、杉並区杉並保健所の長野先生でいらっしゃいます。  そのお隣が、国立感染症研究所の宮村先生でいらっしゃいます。  そのお隣が、国立医薬品食品衛生研究所の山本先生でいらっしゃいます。  そのお隣が、国立感染症研究所の渡邊先生でいらっしゃいます。  それから、本日は参考人といたしまして国立感染症研究所客員研究員であられます西 尾先生にも御出席をいただいています。  本日の食中毒部会でございますが、15人の委員のうち過半数の委員の出席をいただい ておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定に基づきまして成立していることを御報 告申し上げます。  部会長は岩手大学農学部の品川先生にお願いしておりますので、議事の進行は品川先 生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○品川部会長 部会長を務めさせていただいています品川でございます。年度末の本当 にお忙しい中、この部会を開催しようとしてもなかなかタイミングが合わず開催するこ とができませんでしたが、本日はお忙しい中出席していただきまして本当にありがとう ございます。  早速、議事進行の方に入らせていただきたいと思いますが、その前にまず事務局の方 から議事資料の確認をお願いしたいと思います。 ○事務局 お手元にお配りしております資料は、左上にホチキス止めをしているものが 合計5つ配られていると思います。  食中毒部会の議事次第が書かれたものが1つ。  それから、右上に資料1−1と書かれているものが1つ。  それから、資料2−1と書かれているものが1つ。  それから、資料2−3と書かれているものが1つ。  それから、最後に資料3−1と書かれているものが1つでございます。  合計5つのホチキス止めの資料がお手元にあれば、本日の資料はすべてそろっている ことになります。 ○品川部会長 お手持ちの資料で抜けているところはございませんでしょうか。  ないようですので、それではまず事務局の方から昨年度平成17年度及び今年度、今年 度は10月までのデータですが、食中毒の発生状況について説明をお願いします。 ○事務局 では、資料1−1と書かれている冊子をごらんください。こちらの方は、平 成17年の食中毒発生状況から御説明してまいります。  1ページをごらんください。こちらに年次別の食中毒発生状況を記載しております。 一番下の平成17年の食中毒発生状況ですが、事件数は1,545件、患者数は2万7,019 件でございました。死者数は7名となっております。  続きまして、2ページをごらんください。こちらに、年次別の食中毒発生状況をグラ フに示させていただいております。事件数は平成10年をピークに減少傾向になっており、 患者数は平成8年から13年にかけて3万5,000人から約4万5,000人で推移しておりま した。そして、平成14年以降は2万5,000人から3万人で推移をしております。  続きまして、3ページをごらんください。こちらに「都道府県別食中毒発生状況」を 掲載しております。平成17年の都道府県別食中毒発生状況は、事件数ですと広島県が最 も多く542件、患者数は大阪府が最も多く2,929件でした。  続きまして、4ページに移らせていただきます。4ページでは、都道府県別の食中毒 の患者数が1人であった事例の事件数を掲載しております。平成17年で最も多かったの は広島県の505件、505人となっております。こちらは6ページに記載をしているので すが、そのうち広島市が469件、469名の食中毒の発生が起こっております。  続きまして、7ページに移らせていただきます。7ページでは患者の規模別発生状況 を掲載しております。平成17年は501名以上の患者が発生した事例が2件発生しており ます。 次の8ページに、その内容について掲載させていただいております。患者数500 名以上であった事件については、1つは滋賀県で起きました飲食店が提供したサケの塩 焼きを原因とするブドウ球菌の食中毒、そして大阪市で発生いたしました仕出し屋が提 供いたしましたコマツナとエビとコーンのあんかけ給食弁当についてウェルシュ菌によ る食中毒が発生しております。  続きまして、「死者の出た食中毒事例」について掲載しております。合計で6件、計7 名の死者が発生いたしました。その内訳ですが、毒キノコによる事例が2件、死者が3 名となっております。そして、トリカブトについてが1件、死者が1名、フグによる食 中毒が2件、死者が2名、サルモネラによる食中毒が1件、死者が1名となっておりま す。  続きまして、9ページをごらんください。こちらに「月別発生状況(事件数)」を掲載 しております。その後、10ページ、11ページ、12ページまで月別の発生状況を掲載し ております。11ページからは、患者数の月別の状況を掲載しております。事件数、患者 数、いずれも7月、8月を最大のピークとしておりまして、1月と12月にも小さなピー クが出ています。  続きまして、13ページをごらんください。13ページは「原因施設別発生状況」です。 こちらは、施設が判明した事件のうち、事件数で最も多かった順に「飲食店」、「家庭」、 「旅館」の順でございました。患者数では、「飲食店」、「仕出屋」、「旅館」の順で患者が 多く発生しておりました。  続きまして、14ページから17ページにかけまして、原因施設別の年次推移のグラフ の方を掲載しております。こちらは事件数、患者数ともに飲食店による食中毒発生が多 い状況にございます。また、食中毒の原因施設が不明という事例が減少しております。  続きまして、18ページをごらんください。こちらは、原因食品別の発生状況です。原 因食品が判明したもののうち、事件数で最も多かった順に「その他」にあります「食事 特定」というもので、これは仕出料理等が含まれております。こちらが最も多く、次に 「魚介類」、そして「肉類及びその加工品」の順番で発生数が多くなっております。患者 数は、「その他」のうちの「食事特定」、そして「複合調理食品」、「肉類及びその加工品」 の順で患者数が多くなっております。  次の19ページから22ページにかけまして、原因食品別の年次推移のグラフを掲載し ております。こちらの方では、「肉類及びその加工品」が事件数におきまして増加傾向が 見られます。また、事件数、患者数ともに「魚介類」による食中毒事例が減少傾向にあ ります。 続きまして、23ページをごらんください。23ページでは「病因物質別発生状 況」を掲載しております。病因物質が判明したもののうち、最も多かった順に事件数に つきましては「カンピロバクター・ジェジュニ/コリ」、「ノロウイルス」、「サルモネラ 属菌」の順で事件数が多く発生しておりました。患者数については、「ノロウイルス」、 「サルモネラ属菌」、「カンピロバクター・ジェジュニ/コリ」の順で患者数が多く発生 しておりました。  続きまして、24ページから27ページにかけましては、病因物質別の年次推移のグラ フを掲載しております。こちらでは「カンピロバクター・ジェジュニ/コリ」が増加傾 向にあり、「サルモネラ属菌」、「腸炎ビブリオ」が減少傾向にございます。  最後に、28ページから29ページにかけましては、その要因物質について食中毒の主 な細菌を病因物質とする食中毒菌の年次推移を掲載しておりますので、御参考までに御 確認いただければと思います。  続きまして、資料1−2が続きでございます。先ほどの29ページを1枚めくっていた だきますと「平成18年食中毒発生状況」がございます。では、1枚めくっていただきま して1ページ目から説明させていただきます。  平成18年11月28日まで厚生労働省の方で報告を受けました分につきまして、速報と いう形で掲載をさせていただいております。その18年の速報値ですが、事件数は696 件、患者数は1万1,578人、死者数は3名となってございます。  続きまして、「都道府県件食中毒発生状況」を2ページから掲載しております。件数に つきまして広島県が最多となっておりまして、患者数は東京都が最多となっております。  続きまして、ページが飛びますが、6ページを御確認ください。6ページには、患者数 500名以上の事例を載せています。今のところ、1件の報告がきております。山梨県で 学校の給食施設共同調理場から提供されましたロールキャベツについてノロウイルスの 食中毒が発生しております。患者総数が585名となっております。  その下に、死者の出た食中毒事例を掲載しております。報告を受けているのは3件で す。フグの食中毒が1件、死者が1名、そしてサルモネラ属菌による食中毒が1件、死 者が1名、毒キノコによる食中毒が1件、死者が1名となっております。  続きまして、7ページに「月別発生状況」を掲載しております。平成18年の速報にな りますが、7月と8月に90件を超える食中毒が発生しております。患者数につきまして は、今のところではございますが、3月に患者数が多くなっております。  続きまして、8ページに「原因施設別発生状況」を掲載しております。施設が判明し たもののうち、事件数は「飲食店」、「家庭」、「旅館」の順で多くなっております。患者 数につきましては「飲食店」、「旅館」、「仕出屋」の順で患者数が多くなっております。  続きまして、9ページに移らせていただきます。「原因食品別発生状況」を掲載してお ります。原因食品が判明したもののうち、事件数は「その他」のうちの「食事特定」、そ して「複合調理食品」、「野菜及びその加工品」の順で発生が多く見られます。  患者数につきましては、「その他」、「食事特定」、「複合調理食品」、「肉類及びその加工 品」の順番で患者数が多くなっております。  最後になりましたが、10ページをごらんください。「病因物質別発生状況」です。病 因物質が判明したもののうち、事件数では「カンピロバクター・ジェジュニ/コリ」、「ノ ロウイルス」、「サルモネラ属菌」の順で多くなっております。  患者数については、「ノロウイルス」、「カンピロバクター・ジェジュニ/コリ」、「サル モネラ属菌」の順で患者数の報告が多くなっております。以上です。 ○品川部会長 どうもありがとうございました。平成17年、それから平成18年11月 29日までですので大体11月いっぱいまでの成績について報告がありましたが、ご意見、 ご質問はございませんでしょうか。 ○宮村委員 広島県でこんなに多かった理由はあって、それについて何か対策とかはご ざいますか。 ○事務局 実は、従来から広島市に関しては1人事例の届出が非常に多いところでござ いまして、背景としてはどうも平成9年ころに届出が十分されていないのではないかと いうような問題が報道されたりしたこともあって、単一の機関ではなくて複数の医療機 関から1人事例についての届出がたくさんあった。そういったこともあって広島県、特 に広島市の地域においては従来からたくさん届出が出ているというような状況にありま す。  ですから、多分広島市なりで特別に食中毒患者が多いということとは少し一致しない のではないかと思います。本来は、法律上はもちろん1人事例でも届出義務はあるんで すけれども、医師の方で食中毒もしくはその疑いに至らない場合、これは日本だけに限 らないんですが、実際には届出がされない散発事例というのは、どうしてもこういった 統計の中では矛盾点といいますか、現実と少し乖離した部分が出てしまうということで あります。 ○渡邊委員 1人事例の取扱いは前から問題になっていたんですけれども、これをどう いうふうに厚生労働省は考えるのかお聞きしたいんですが、広島市で毎年大体500名で すね。もしこれと同じようなサーベイが行われるとしてこれをならした場合、市が50 で県が50くらいあったら、これは全部にかけると5万人くらいになっちゃうんです。  そうすると、今ある患者数の報告が3万から5万というと、もしこの1人事例をまじ めにと言ってはおかしいですけれども、入れるとすると、統計的な意味づけが全く違っ てくる可能性があるので、どういうふうに厚生省はこういう統計の在り方について今後 考えていかれるのかという考え方を聞かせていただければと思います。 ○事務局 従来の経緯から申しますと、平成9年の時点で1人事例と2人以上というの は統計的に分けて解析するということが必要だろうということで、この時点から1人事 例等を別掲にして出すようにしています。資料1−1の1ページ目ですけれども、平成 9年からこういった形で、1人事例について括弧内は1人の事例の全体数に対する割合 ということで出しています。  その場合、渡邊先生の御指摘は、多分その全体の把握という場合にどういうふうにア プローチすればいいのかという御指摘だと思うんですけれども、国内で今までに厚生労 働科学研究などでも一度レセプトを基にそういった把握ができないかということでチャ レンジしていただいた経緯があるんですが、経口感染症としてレセプトであがってくる ものというのは実は感染症サーベイランスで言う感染性胃腸炎の方の数字が反映されて しまっていて、なかなか細菌性食中毒のピークがうまくつかまってこないような状況に あるようです。インフルエンザなどはすごくよくレセプトと一致すると言われているん ですけれども、食中毒に関してはなかなかそちらは一致しないということで、そういっ た意味で日本全体の食中毒被害の推定というのはこれからの課題かと思っています。  ただ、アメリカの場合、CDCが5年に1度といったことで推計をしていまして、最 新のデータでは数千万人のそういう患者がいて健康被害があると推定しているわけなの ですけれども、一方、州政府などが届出把握しているいわゆる日本で言う2例以上とい う事例ですね。アウトブレイクと言っているものに関しては、年間の数字としては1,300 件くらいですから、日本の把握している2人以上の事例というのは1,000件くらいです ので、人口がアメリカは倍ありますけれども、そういう意味で大きくはずれていないの ではないかと考えられます。 ○品川部会長 患者1名の事例をあげるようになったのは、平成9年のときに食中毒発 生時患者2名以上に対して1名の者がどのくらいいるか。これら患者1名の事例は潜在 的に2名以上の集団事例にもなり得るのではないか。その辺もきっちり把握していく必 要があるのではないか、ということで患者1名の事例も集めようということになりまし た。しかし、そのときに論議がありましたように、実際に1名の事例をあげる場合その 調査、報告のフォーマットを整えておく必要があり、それらを全部調査していかなけれ ばいけないとなると、各保健所の食品監視員なりのマンパワーが非常に少ないというこ とが問題です。  東京都などでは、夏場には患者1名の事例は各保健所で2、3件発生していることに なります。広島市と山梨県が一時多くの事例をあげていたという経緯がありました。山 梨県の方は、今回の成績では従来の患者2名以上のものをあげているようですが、広島 市はそのままあげてきているということで、これが非常に多く1人事例発生割合の多く を占めているというのが現状で、この扱いをどうするかということが常に問題がありま す。  患者1名事例の件は質問がありましたように広島市で非常に多いということで、これ に関しては喫食調査、患者調査等も十分ではありませんが、しかし、これだけみられる ということはこれらの事例は複数の患者発生につながる。要するに、集団事例につなが るのではないかという考え方もあります。 ○岡部委員 その解釈はいろいろ出てくるんですけれども、この数字をもって都道府県 にどういうアナウンスをするわけですか。例えば、広島は多過ぎるからまさかもっと減 らせとは言えないでしょうけれども、ほかの都道府県は広島がこれだけ出しているのな らばほかにもあり得るんだからもう少しきちんとした報告をすべきであるというふうに しないと、いつまでもここだけが突出した感じで、この数字だけ見た場合に非常に誤解 を招く可能性があると思います。 ○品川部会長 この辺の問題については通知というのか、都道府県にどのように指導と いうか、報告してもらうような形態を行うのかという問題はあると思いますけれども。 ○事務局 従前より、食品衛生法で食中毒の患者ないしその疑いのある方を診定された 医師に対してその届出義務をもともとかけていますので、そういう意味で1人事例につ いての届出というのは出れば当然のことながらそれを基に、先ほど部会長がおっしゃっ たように、本来食中毒調査の目的自体が原因の究明と再発防止ということですので、そ ういう観点で調査を進めていくということになるわけです。  それにつながるようにということで、これは別に広島市に限った話ではなくて、医師 会も含めて従前より届出の励行ということでお願いをしているのですけれども、結果と しては今のような数字になっていますので、今後ともその辺の届出の励行ということに ついて引き続き周知をしてまいりたいと考えています。 ○岡部委員 あえて言うような話で申し訳ないのですが、しかし、全都道府県でたった 1件しか反応していないというのはシステムそのものに問題が出てくることではないで しょうか。あるいは、読み方が悪ければ、これはむしろやっても意味がないとかですね。 もうこれで数年たっているわけですから、これをどうするかというのはどちらかでやは り議論した方がいいと思うんです。 ○渡邊委員 広島市の場合には、実際に病原体を調べて、食品との関連性があったもの を報告しているのですか。それとも、今の法律だと医者が食中毒と判断すれば報告でき るわけで、そういう判断基準の差を表しているというふうに考えるのですか。 ○事務局 一応、1例でも調査は必然的に自治体の義務ですのでしなければならない。 もちろんその精度等の問題というのはあると思いますけれども、その上で食中毒という ことで、行政側も調査の結果、それを最終的に食中毒としての件数にあげてきています ので、やはりそれは食中毒というふうに見ているんだと思います。  ただ、その原因が多くはカンピロバクターの食中毒でありまして、そういった意味で これも調査して初めてわかるわけですけれども、ほとんどが家庭中心もしくは不明とい うような結果になっています。  部会長がおっしゃったとおり、その1例が実は隠れている何百例のうちの1例ではな いかということが十分あり得ますので、広島市でのこういう調査結果というのはそうい った意味で言うと、大規模な食中毒にどれぐらいのケースがつながるのかということの 確かに一つのあれにはなると思うんですけれども、私どもとしては食品衛生法の制度の 原点としてはやはり1例も含めての届出義務ということですので、その点は行政サイド としてはしっかり届出をしてくださいということで言っていかなければいけないかと考 えています。 ○品川部会長 特にO−157の事件であちこちで患者1名の事例が発生したときに、そ れらの原因食品がありつながっている部分があるのではないか。そういうことが主であ り、どちらかというとこの点をきちんと見ていかなければいけない。  今、報告されてきている患者1名の事例というのは確かにどちらかと言うとカンピロ バクターの事例が多く、十分でないかもしれませんが、聞くところによりますとそこの 地域の医師会においての申合せで、病院、医院などで下痢等の患者があった場合とにか く保健所に届け出を行うことになっており、広島市はある程度そういう面で統一されて いる。それゆえ、非常に多くの数があがってきている。他の自治体ではなかなかその辺 が難しい。  これは以前にも多分論議されたと思いますが、実際に食中毒として取り上げるシステ ムというのがあり、保健所では食中毒調査を一応全部行った上で報告しなければならず、 患者多数の事例と1名の事例も同じフォーマットで報告しなければならないというのは 非常に大変です。これらを全て調査することができないという意見もありました。  しかし、今、岡部先生が言われますように、1か所の自治体だけがこのように多数の 事例を示しているから、この辺の在り方についてはやはり検討していかなければいけな いと思います。  この1名事例は別として、そのほかに何か意見なり質問ございませんでしょうか。18 年度の11月までだと、今年度は少なくなりそうに見えますけれども、これからの発生が あります。例年と比べて今回は11月までで700件ですから。あとは12月だけですが。 ○事務局 報告があがってきた件数ということですので、多少タイムラグもございます。 もしかしたら少ないのかもしれません。 ○品川部会長 今年度は発生が少ないというのが期待されるのですが。 ○渡邊委員 その1事例にこだわるのですけれども、なぜかというと私はこれはむしろ 食中毒の実態、本当の姿を表しているんじゃないかと思うのです。先ほどはカンピロバ クターが主だという話なんですけれども、地研にカンピロの検査という形では恐らくそ んなにこないのだと思うのです。むしろ、臨床検査の場でカンピロバクターがどのぐら い分離されているかということを調べられたことはありますか。  それも氷山の一角だと思うのですけれども、多分そちらの方が実態を示していて、カ ンピロバクターをどういうふうにとらえるかという問題もあると思うのですが、感染症 という言葉と食中毒という言葉をどういうふうに分けるのか難しいのですけれども、あ る意味で言うと感染症と皆をとらえて、病原体によって何か病気が起こればそれを1つ としてとらえるとすると、恐らく相当の数が潜んでいると思います。  何を言いたいかというと、カンピロバクターの数にしても多分こういうところの数字 が非常に実態を表していて、これの倍数をかけたものの方が本当の姿なんじゃないか。 そうすると、減った云々ということの議論が本当にできるのかどうかというところをも う一回見直しをした方が、対策面とかいろいろな面においてももっと実際に合った対策 が考えられるのではないかという気がするのです。 ○食品安全部長 大変貴重な御指摘をいただきまして、私も今日出席させていただいて そこのところの問題認識というのは持たせていただいて、岡部先生から貴重な御意見を いただきました。  どういう形かはこれから検討いたしますけれども、少しこの辺の分析と、どういうふ うにこれを位置付けて考えていくのかということは食中毒統計の貴重な情報源でありま すし、もし広島市以外のところで余り1人事例が留意されずに医師の方の診定というも のがなされない傾向があるとすれば、場合によってはそちらの方にもう少しちゃんと見 てくださいということをお願いしなければならないのかもしれませんし、そういうこと も含めて、いずれにしても大変に貴重な情報源でありますし、実態をどう把握して対策 につなげていくのかという意味で重要な点だと思いますので、こちらで少し検討させて いただいて、しかるべき対応をさせていただきたいと思います。 ○品川部会長 病因物質としてカンピロバクターが圧倒的に多いというデータは、23ペ ージの平成17年度の一番右側の端を見ていただければ総数が580件になっています。だ から、原因物質は何かはつかめているんです。それは病院において一応検査を行ってこ のような原因菌が検出されたということであり、その中で圧倒的に多いのがカンピロバ クターであり、次いでサルモネラです。こういう原因菌が多いというのも事実です。散 発事例があるということは、それだけ病院なり、また発生年齢の問題は散発事例のとこ ろを見れば、子どもたちに発生が多いかどうかということも少し解析してその取扱いを 決めていく必要があるかと思います。  ほかによろしいでしょうか。 ○山本委員 2つあって、今のカンピロバクターの件で岡部先生にお聞きしたいんです けれども、病原体検出情報であがってくるものは地方の衛生研究所が分離したものしか あがってこなくて、病院の検査室で分離されたものが抜けているんでしょうか。 ○岡部委員 病院から衛研の方に連絡や何かがあればその中に入りますけれども、病院 検査室あるいは民間検査機関から届けていただくというのは、かつてそういうことはあ ったと思いますが、今は届出としてはやっていないと思います。 ○山本委員 そうすると、この1人事例でつかまらなければ、検出情報としてもあがっ てこないということですね。 ○岡部委員 そうですね。 ○山本委員 その辺を少し考えてつかまえる手段をとっていかないといけないかもしれ ません。  それからもう一点、17年度で県別のものを見たときに滋賀県と静岡県で多いんですけ れども、滋賀県は大規模なものが出ているんですが、静岡県は大規模なものの報告がな いのですが、それは何か多いものの内訳で原因はわかりますか。 ○事務局 山本先生が今おっしゃっているのは……。 ○山本委員 3ページの17年度の「都道府県別食中毒発生状況」です。滋賀県は1,500 くらいで14件しかないんですが、860名、サケの塩焼きでブドウ球菌で出ているんです。 ところが、ほかのものを見ても静岡は大規模なものは出ていないんですけれども、結構 な数が出ているんですが、ノロウイルスとか何か出たんですか。 ○品川部会長 静岡県は15年度にはそうでもないですが、16年、17年度から患者数が 上がっていますが、それは患者数が多いということですね。ここで何かあったのか。 ○山本委員 ノロウイルスが結構静岡で出ているということは聞いていますので、その 影響かもしれませんが、少しその辺も気をつけて統計のときに見ていただければと思い ました。 ○品川部会長 時間的なものもありますが、患者1名の問題が論議されていますが、ま た最後のところでもし時間があれば論議させていただきますが、今、実際に論議になっ ているのはカンピロバクターの問題とノロウイルスの問題であり、1名事例も含めて患 者数としてはノロウイルスが圧倒的に多くみられ、また、事件数としてはカンピロバク ターがトップを占めています。これに対して、どのような予防対策をすればよいのかを 含めて少し専門家といいますか、実際研究班で取り組んでおられる先生方の話を聞きた いと思います。  これに関しては、次に論議していただくQ&Aについて今、実際に作成されています が、その論議につなげるためにも先生方から少し説明していただきたいと思います。 ま ずカンピロバクターについて山本先生から、今研究班でも取り組んでおられますけれど も、その辺の内容について10分ぐらいでお願いいたします。 ○山本委員 それでは、「カンピロバクター食中毒防御について」ということで、カンピ ロバクターの食中毒のこれまでの厚生労働科学研究の成果について御報告しながら、問 題点等を御指摘させていただきたいと思います。  この厚生労働科学研究は、まず初めに品川先生が平成13年から15年まで食鳥処理場 におけるカンピロバクターの対策ということで取り組まれておりました。そのときにも 農家の問題であるとか市販の鶏肉の問題、それから牛のレバーの問題ということを取り 上げて菌の汚染状況を調べておられます。それを引き継ぎまして、16年から18年、今 年度まで私の方で食中毒の対策としてどういうところにポイントがあるかということを 絞り込もうということでやってまいりました。 (スライド)  これは今、お手元にお配りした発生状況の年次推移ですので省略させていただきます が、カンピロバクターの患者数としては全体の中ではそんなに多く見えておりません。 (スライド)  ただ、事件数はこのように平成9年、先ほどの1人事例が取り上げられたときに大き く上昇しております。しかしながら、実際の件数として500件程度が1人事例として挙 がってくる。ですから、件数としてもそんなに全体の中の数は多くありませんが、上昇 傾向にはあったということです。 (スライド)  これは検出情報と言いまして、先ほど申し上げたような病院以外の地方衛生研究所に 届けられたものが感染症研究所に病原体検出の情報として挙がってくるもので、食中毒 統計とはまた別に統計が取られております。この傾向で言いますと、全体的に年間を通 して分離事例があるということと、通常夏場、7月、8月辺りに食中毒のピークがくる んですけれども、感染症として届けられている菌の分離は5月、6月辺りに先にピーク がきているというところが少し違っていると思います。 (スライド)  これは、鶏肉の汚染が原因となった食中毒というものが大変多く見られているという ことから、鶏肉の製造、そして流通工程、消費に至るまでの流れを示したものです。そ れ以外の原因食品としましては、牛のレバーを生食した場合に多く見られています。そ の他、原因不明のものの方が圧倒的に多いわけですけれども、一般的な調理食品として のものも中には二次汚染を受けたという形で原因食品となっているものがあります。  鶏肉の場合は農場で鶏が飼育されまして、それが食鳥処理場というところに入ってま いります。それで、さまざまな工程を経まして、カットする前の段階まで内臓を取られ た状態でいくわけです。それで、カット工場へ入りまして、それぞれ、もも肉とか、手 羽肉とか、ささ身といった形で分けられます。それがパックされた状態で販売店、普通 の小売店とかに行きまして、またそこから飲食店の方に回って、ささ身等の生食をする 場合もこの時点ではあるわけです。  あとは、家庭では鶏肉によって汚染されたまな板の上で別の野菜を調理したことが原 因となって食中毒が発生するということもございますし、それから加熱不足で発生して いるというようなことも考えられております。この中にいろいろな防御のポイントが含 まれていると考えられます。 (スライド)  これは、農場ではどんなふうに菌が汚染されているかということを調べたものです。 農場によって違いがありますが、このTという農場などはうまく入っていませんけれど も、この2農場では全くの汚染がなかったというような状況から、非常に汚染の数が多 いというようなものまで、この農場などでは7乗、8乗といった菌数が取れてくるよう なものが100%の鶏から調べた中から出てくるというような状況まであるということで す。 (スライド)  これは、食鳥の処理場に入ってきた鶏がどういうふうに処理されるかという工程をず っと追っていったものです。養鶏ファームから生体、生きた鶏として入ってきますけれ ども、この段階で鶏が汚れているということがかなり考えられます。つまり、腸管の中 にカンピロバクターがいるわけですので、糞便によって汚染された鶏同士が生体同士で くっ付いて、それが汚染を広げているということが起こります。  ここでつり下げて放血されるわけですけれども、その後に羽をむしり取るために湯漬 けという作業があります。ここでお湯に漬かるわけですけれども、なかなかその状態で もカンピロバクターが完全に死ぬということはありません。  次に脱羽の工程と言いまして、羽をむしり取る機械の中に入ります。その機械によっ て羽が取られるわけですけれども、もし1羽の鶏が最初に汚染されていて入ったとしま す。その次に、全くきれいなものが入ってきたときには、それが機械によって汚染をど んどん拡大していくということで、この工程が非常に菌の汚染が起こりやすいポイント として考えられています。  その後はずっと羽を取った後の内臓の摘出ですね。この内臓の摘出というのは機械に よって取るところが多くあるわけで、その内臓を取る機械によって腸管が引きちぎられ るということが起こりますと、糞便によって肉が汚染されるということが起こります。  それで、内臓を摘出した後は洗って、この後、冷却する工程があります。肉を冷却す るわけですが、それは水の中に漬けて塩素水を使って消毒しながらやるわけですけれど も、その消毒の効果というのは余り強くはありません。ですから、ここでも菌がほとん ど死なないで、そのまま製品の方に回ってくるというような状況が見られております。  解体工程では、二次汚染というものが広がっていく可能性が指摘されています。その データを若干御紹介しておきたいと思います。 (スライド)  これは中抜きと言いまして、機械によって肛門の周囲のところから突っ込まれまして、 引き出された内臓が腸管を引きちぎっている状態で糞便の汚染が見られるということで す。 (スライド)  これも、同じように汚染が背中側に広がっております。 (スライド)  処理工程のカンピロバクターの汚染ということで、脱羽と体ですね。これは羽をむし った後ですが、10の3乗個以上の汚染のものが14%くらいあるというくらい、非常に大 量の汚染を受けている。中抜きと体においても、今の腸管をなしたと体においても20% 近くは高い菌数で汚染されている。それから冷却後、冷やしてみて少し菌数が減ってい ますけれども、その中でもまだ汚染が続いていて、製品になっても20%近くは高い汚染 を受けているというような状況です。 (スライド)  これは、肉を分離して製品をつくっていく段階で使うなまな板、手袋も、それからそ の製品のもも肉が時間的に汚染をどういうふうに受けていくかということで、右下の方 にいくごとに菌が高くなってくる。時間の経過とともに菌が高くなっていく様子がわか ります。(スライド)  菌数が増えていきます。それからもう一つは、内臓摘出時における汚染、これが次に 冷却してもそれが減っていかないということがわかります。それで、高い菌数の汚染を 受けているものについては冷却水を通ってもこれだけのものが残っているという状況で す。 (スライド)  製品になって出てきたものはどうかといいますと、菌数が低いものもあるんですけれ ども、このように10の3乗以上という高い金数の汚染を受けている。結局、農場で汚染 された鶏が食肉処理場に入ってきて、その中で汚染が拡大し、しかも製品になるときに またきれいな肉も汚染が増えていくという過程がずっと続いていくというような状況が 見てとれます。 (スライド)  国産の鶏肉と輸入の鶏肉で少し調べてみますと、国産鶏肉の場合に高い汚染が認めら れた。では、輸入鶏肉はきれいなのかということなのですけれども、これは実はいろい ろ調べてみますと問題もあります。といいますのは、きれいなものもあるんですが、中 には凍らせて入ってくる。凍っていますとカンピロバクターというのは培養がしにくく なる場合があります。ですから、そういった菌の培養がうまくできるような検査法とい うものもしっかりと必要なのかということがありますので、一概に輸入鶏肉がきれいだ とは言えない部分もあるのですが、現在では鳥インフルエンザの関係で生の鶏肉は入っ てきておりませんので、輸入肉に関してはそういう食中毒の原因となる問題ないかと思 っています。 (スライド)  ちょっと小さくて申し訳ないんですけれども、これは食中毒事例から分離された菌の 血清型を分けてありまして、こういうリオールの型とか、ペナーの型があるのですが、 リオールの型では4型、7型といったものがよく認められるということとか……。 (スライド)  ペナーではAとかBとかDとかOとか、こういったものがよく見られるということで、 こういった血清型の違いからそういう特徴的な菌がどこで増えるかというものを追いか けていくようなマーカーにして追跡していきたいと考えてやっておりました。 (スライド)  以上をまとめますと、市販鶏肉での汚染が非常に高い。国産鶏肉は若干輸入鶏肉に比 べて高いんですけれども、その原因として少し検出法の問題もあるのではないかと考え られました。  それから、食鳥の生産段階といいますか、農場段階で汚染が起こって、それが食鳥処 理場に持ち込まれて汚染の拡大がある。更にカット工場においても二次汚染のことがあ りますし、家庭においては鶏肉から別の食材への汚染というものが原因となってカンピ ロバクターの食中毒が増えてきているのではないかと考えられます。  制御すべきポイントしてはいろいろあるんですけれども、なかなか効果的な対策とい いますか、そこで対策を取れるかどうかということに関しては問題があります。ポイン トとしては、農家での感染予防というものが一つ大きな対策なのですが、いまだにワク チンがありません。  それから、ひなを選別するというか、感染していないひなをどうやって選別するかと いう方法論もありません。  それから、えさの汚染はサルモネラのようには起こっていないと考えられるんですけ れども、どこから入ってくるかということに関してはよくわからない。3週間、4週間 くらいすると感染がどっと広がっているという状況ですので、やはり環境中にカンピロ バクターが存在している可能性というか、その環境といいますのは人が持ち込む可能性 というのは非常に高いと考えられているようですが、具体的な対策をどう取っていくか は今後の検討課題だと思っております。  ただ、食鳥処理場においても腸管の破裂とか、それから脱羽の工程での消毒というも のをうまくすればいいかと思うんですけれども、なかなか完全に1羽ごとに消毒した機 械で処理するということの難しさがある。  それから、冷却水ではその消毒の効果というものがなかなか現れてこない。ですから、 機械器具の一定時間の消毒というものは非常に大事なんですけれども、それを短時間で 効果的に菌を減らす方法というものを今後は考えていかなければいけないと思っていま す。ですから、ポイントとしてはこの辺で考えられるところはあるんですが、いかに効 果的な対策を取るかということに関して、まだもう少しきちんとした検討を続ける必要 があるということになります。 (スライド)  あとはデータが若干不足しているのは、家庭とか調理の段階における二次汚染の拡大 の仕方ですね。その辺がもう少しはっきり出てこないといけないと思っております。現 在は、今データが取れている部分からモデルをつくって、どの部分で抑えると菌が減っ たり患者が減ったりするだろうという数学的な理論モデルはつくれそうなんですけれど も、では実際にそこを抑えることができるのかという現実論が今、考えられているとこ ろで、ポイントとしてはそこをどうやっていくかということになると思っております。 以上です。 ○品川部会長 どうもありがとうございました。  質問をしていただく前に、次も同じようにノロの方を説明していただきたいと思いま す。ノロの方は国立感染症研究所客員研究員であります西尾先生によろしくお願いした します。 ○西尾参考人 平成13年から15年まで、私が厚生科学研究の班長として、16年、17 年は武田先生のところの分担研究者としてやった成績で、最近の知見という要望があり ましたものですから、新しくわかった点を中心にお話をしたいと思います。 (スライド)  近年、ノロウイルスによる食中毒の患者数は平成16年が45%、17年が32%、今は52% です。ですから、食中毒患者のおよそ3分の1から半数近くがノロウイルスによって起 きております。それで、平成13年から15年くらいまでは二枚貝による事件が半数くら いあったのですが、今はその半分以下に減少しているわけです。実際にこれは01年から のカキの汚染率を調べたもので、市販カキを3個調べて、その中で一番濃度の高いもの をここに表していますけれども、カキ1個のウイルス汚染量が125から500、500から 1,000、1,000から1,500 、1,500コピー以上を示しています。これは厚生労働省に報告 されたカキの食中毒事例なのですが、カキの汚染量が多くなるとそれに比例してやはり 食中毒事件が多く起きている。 ただ、近年はカキの食中毒事例は非常に少なくなって いるのですが、実際的にはカキの汚染率はここ4年間、余り変わっていないという状況 であります。 (スライド)  これは同一パック、市販されている箱詰めのものについて3個ずつ調べますと、全部 陰性というものが91.2%、3個とも陽性というのはわずか500のうち1パックしかない。 そのうち2つとも陰性で、1つだけが125コピー以上で陽性というものが6.2%、1個 陰性で2個陽性というのが2.4%ということで、同一パックに含まれているカキの中の それぞれのカキのウイルスの汚染量はさまざまであるということです。したがって、こ の地域、海域で安全性を確保するにはカキを幾つ検査したら安全である、というには大 きな問題として残っていると思います。 (スライド)  もう一つは、現在カキを市販する前に紫外線照射水による浄化で細菌などが完全に除 去されているのですが、ノロウイルスはなかなか除去されない。紫外線照射した水で20 時間から24時間浄化して販売してもカキによる食中毒事件は起きていますけれども、近 ごろの報告ではノロウイルスはカキの細胞と結合しているということで、なかなか簡単 には除去できない。更に最悪なことは、プランクトンにくっ付いてそれを一緒に食べて しまうとカキの細胞の中にウイルスが認められるということで、一たん入ったものを取 り除くのはなかなか難しいのではないかという感じがいたしております。 (スライド)  食品取扱者事件で、人が食材に糞便または、吐物の汚染物を付けて大きな事件がしば しば起きるのですが、その中にはノロウイルスの組替株によるものがあったんです。 (スライド)  その次をお願いします。 (スライド)  これは長崎で起きた事件ですけれども、長崎のレストランに就学旅行生が行って食事 したのですが、660名の患者が出ております。 (スライド)  それで、我々はキャプシド領域を調べたらGIII/3だったんです。これは一般的によ くあるウイルスなので、700人近くの大きな事故を起こすのはちょっと意外だなという 感じがしていたのですが、ポリメラーゼ領域を調べますとGII/4なんです。ここでウ イルスの組替えが起こっていたために、恐らく大きな事件を起こしたのではないかとい うことです。 (スライド)  実際に我々MX株というものを調べてみますと、昔からある従来のそのままの形態の ものはわずか数株しかない。もうほとんどが組替えのウイルスに変わってしまってきて いるということで、いつかこういうことが起きて、大きな集団発生を起こす危険性も含 んでいるということですね。 (スライド)  もう一つは、GII/4という株がありまして、これは2002年ごろからヨーロッパで非 常に変異した株が増えて、オランダなどでは大体集団発生が70%くらい増えているんで す。当時のヨーロッパでは国によっては倍になったり、少なくとも50%以上増えている。 それは、先ほどのポリメラーゼ領域の変異がそのために起きているという報告がされて います。この株は感染力が強いということ、それから季節的な要因で従来は冬場だけだ ったのですが、かなり広いシーズンで検出される。まさに今年もそうなのですが、2002 年、2004年型が出て、今は2005年から2006年に新しい型が出ています。現在ものすご いノロウイルスの集団発生が出ていますが、このGII/4の更に変異した株によって流 行しています。ですから、今年も9月ごろから集団発生がどんどん出ているというのは、 こういう変異株によって起きているのです。 (スライド)  実際にその変異というのはこういう形で、先ほどのポリメラーゼのところが変異して いる。カプシド領域は余り変異しないできている。ポリメラーゼ領域はウイルスの増殖 に関係するところですから、ここの変異がどんどん起きて、2002年、2004年、今年は 2006年に新しい変異株が出て大きな流行を起こしているということです。 (スライド)  実際に調べてみますと、我が国には2002年型も2002年に入ってきている。それで、 2004年型は、もう2004年にすぐに日本に入ってきているということで、外国でこうい うことが起こりますと、もうその年に我が国にそのウイルスが入ってきて大きな流行を 起こしているということで、これからは外国の情報も常に考えて対応していかなければ ならないだろうということです。 (スライド)  もう一つ、最新の情報はレセプターの関係です。 (スライド)  ノロウイルスの遺伝子型によっては血液組織抗原との結合性が言われていまして、現 在GII4で大きな流行を起こしているのは分泌型のO型、A型、B型の人がこの遺伝子 型のレセプターを持っていますから、この株は多くのヒトに感染しやすい。先ほどの長 崎で起きた大きな事件もやはり分泌型のO、A、B型の人が感染する。非分泌型の人は 感染しないということがありまして、こういう広いヒトの間で結合能力を持つウイルス が侵入してきた場合には、大きな流行を起こす。そのような感じがいたします。 (スライド)  例えばノーウォーク型は、B型の人はレセプターはありませんから通り過ぎてしまう だけです。ところが、分泌型のA型とO型の人はレセプターを持っていますからこの腸 管で異常に増殖するという結果になっております。 (スライド)  ノロウイルスの食中毒をまとめますと、糞便と汚物で言えば、糞便では大体1グラム 中に1億個くらい、吐物では100万個以上のウイルスを排泄するんです。その排泄は、 症状が消えても10日間くらい続く。しかも、不顕性感染が30%くらいあるということ で感染者はすごい量のウイルスを排泄し、感染力が強いウイルスが10個から100個程度 で感染、発病する。非常に感染力が強いということです。  しかも、一たん体外に出ますと感染性を長時間維持するということで、今の状況であ れば2、3週間は室内であれば感染性を持っている。しかも、熱にも非常に強いし、塩 素にもアルコールにも強いためになかなか不活化が難しい。それから、遺伝子型が現在 34くらいあります。そのために多くの遺伝子型が存在する。しかも、このウイルスは腸 管の上皮細胞で感染しますから、局所のIgA抗体が非常に重要なんですね。局所のI gA抗体というのは非常に持続期間が短くて弱い。それで完全にすぐ消えてしまう。そ のために、このウイルスに対しては乳幼児から高齢者になるまで何度でも感染、発病す る。それゆえに多くの患者さんが毎年出てくる。チフスとか赤痢とか、そういう腸管系 の感染症は極めて少数となったのですが、このノロウイルスはまだこれからもしばらく 生き続けるし、感染症と食中毒を起こすであろうという予測がたつわけです。 (スライド)  これからの課題としては、やはりカキから現在実測価10コピー以上で、カキ1個当た り125コピー以上でないと完全に陽性とは言えないですから、この感度を上げるという こと。それから、市販カキの場合には幾つ検査すれば安全であると言えるか。それから、 カキの汚染について実際的には元はヒトのノロウイルス感染から始まるわけでして、こ れによる感染状況というのは天候、降雨、海流とか、そういうものを総合的に判断しな いとカキの汚染を決めるのはなかなか難しいだろう。それから、環境整備としてカキを 汚染させない浄化設備の整備が必要であろうと言うことです。 (スライド)  実際的にはカキの場合にはいろいろな人から遺伝子、ウイルスが入ってきますから、 カキのウイルスの総量だけではなくて個々の遺伝子型の汚染量も明らかにしないとなか なか暴露量と健康被害は難しいだろう。  カキのリスクをなくすには、カキに汚染しているウイルスの完全なる除去あるいは殺 滅する方法が開発されればいいのですが、なかなかこれも簡単にはいかないだろうとい う気がします。  それと、海外でのノロウイルスの流行状況に対する情報収集に努めて、それに対して 我々は常に対応していかなければならない。  以上です。 ○品川部会長 山本先生、西尾先生、どうもありがとうございました。それでは、2つ の話題に対し一括して質問を受けたいと思います。  山本先生のカンピロバクターと西尾先生のノロウイルスですけれども、皆さん方から 質問、ご討議をお願いします。 ○塩見委員 先ほど、輸入の物では余り検出されないというのは凍結したとか、そうい うことがある。凍結すると検出しにくいというふうに言われたわけですけれども、その 検出しにくい状況でも感染能力については余り変わらないと考えてよろしいですか。 ○山本委員 その点はなかなかデータがなくて難しい部分だと思いますけれども、恐ら く人の体の中に入れば増殖していく能力は持っているものと考えられます。  といいますのは、もう少し条件の緩やかな選択をしないような培養法でうまくやった 場合、リカバリーできて凍結による損傷から回復させるということが可能なことも少し わかってきておりますので、やはり増殖能力は持っているということで病原性は十分確 保しているものと思います。 ○塩見委員 かなり損傷するわけですね。 ○山本委員 損傷菌が大部分あるので、通常の検査法で見つかっていないことが多いの ではないかと思います。 ○塩見委員 損傷菌をうまく検出するような方法が何かできれば、どれぐらいいるかと いうことはわかるということですね。 ○山本委員 その検討は大分進んでいまして、一応選択培地の方はわかってきておりま して、その方法を使えばいいかなと。それから、それがISOの方法にも取り込まれて、 ボルトン培地というものが使われるようになっております。 ○塩見委員 ありがとうございます。 ○品川部会長 ほかに何かございませんでしょうか。 ○熊谷委員 1つ、鶏と牛レバーというのは記載があるんですけれども、牛の肉という のは事例がないんですか。 ○山本委員 ちょっと記憶があいまいですけれども、生食の例というのはあったんです が、そんなに多くなかったように思います。あることはあります。 ○事務局 例えばバーベキューとか、そういうもので、要するにレバーとかが関係して いるかどうかはわからないですし、要するに加熱不十分な肉を食べてという例はござい ます。数は鶏肉に比べるとはるかに少ないです。 ○熊谷委員 といいますのは、欧米、それからオーストラリア、ニュージーランドは極 めて患者が多いので、彼らと我々の食生活は若干違うと思うんですが、ここにミルクの ことが書いてありますけれども、果たしてそれだけの違いなのかどうか。鶏の消費量は 恐らく比率としては我が国の方が高いのかなと思いますけれども、そうでもないんです か。 ○山本委員 アメリカの10分の1ほどしか鶏は食べておりません。アメリカは60億く らいでしょうか。日本が6億くらいですから、10倍はアメリカの方では消費されていて、 鶏によっているのではないかとも考えられると思います。 ○品川部会長 カンピロバクターの肉の汚染というのは二次汚染ですが、牛レバーとい うのは生体において、すでに肝臓の実質臓器の中に生存しており、要するに胆汁中に生 息して肝臓に入り込んでいます。それゆえ、本菌は外からの汚染だけではなくて中に生 息しており対応が難しい。あとは、鶏肉はやはり二次汚染であり、糞便なり外部から汚 染されるということであり、製造に於いても少なくするということも重要です。しかし、 牛レバーに関してはどうもその辺が困難であり、もちろん外部からの汚染もありますが、 肝臓の中にも初めからあり、腸管から胆管を伝って上昇し、胆のうに入り、さらに胆汁 中で増殖するのではないかということが今までで明らかにされています。  ノロウイルスの問題というのは食中毒だけではなくてヒトからヒトへの感染症との問 題があり、集団で発生したときにはその辺の問題が多く見られますが、岡部先生、この 辺についていかがですか。 ○岡部委員 今年は食中毒の届出が今のところ例年に比べて少ないという傾向がありま して、タイムラグがあるのかもしれませんけれども、感染性胃腸炎としての届出は非常 に多くて、むしろ一昨年より昨年、昨年より今年という形で増加して、もしかすると2 倍くらいになっているかもしれません。そのすべてがノロではないわけですけれども、 多くは多分ノロだろうというふうに考えられる中で、その分離され、検出されたノロは やはりGII4で変異型が見られているというのは事実です。  そこのところは事実なのですけれども、ここから先を西尾先生にお尋ねしたいのです が、もともと腸管免疫ができにくいからどんなタイプであっても流行はしやすいと思う んですけれども、変異株だから多くなるというようなことはあり得るんでしょうか。 ○西尾参考人 多分、カプシドとか、そんなに多くは変わっていないので、腸管免疫で すから余り持続しないということもあります。ただ、それとポリメラーゼが変異してい ますから、そういうところで非常に増えやすいということで病気が起きやすいとか、そ ういうことはあるかもしれないです。 ○岡部委員 もう一つよろしいですか。変異の部分はタイプとして変わってくるから、 仮に流行しやすいとしても、そこは病原性を規定するところと一致しているんですか。 ○西尾参考人 これは病原性はわかりません。 ○岡部委員 臨床症状の報告では、特に例えば死亡数が多いとか、そういうような感じ ではないので、とにかくマスで流行しているというのが今の状況なんです。 ○宮村委員 逆にお伺いしたいんですけれども、例えば今年、あるいは去年、GII4が メインになってきているようなことを踏まえて、その臨床像で何か例年と違うような印 象というのはあるんでしょうか。 ○岡部委員 届出のサーベイランスのシステムでは臨床像の細かいところまではわから ないので、各臨床医からいろいろなことを聞いているんですけれども、例えば嘔吐だけ のタイプ、嘔吐プラス下痢のタイプ、それから熱プラス嘔吐あるいは熱プラス下痢と、 さまざまなタイプが混在しているんですね。病原像も病態像も非常にバラエティがある んですけれども、メインで出てくるのは嘔吐で気が付きやすいというところでの患者数 の増加です。それで、そのタイプと臨床像というのは今のところまだそこまで解析でき ていないのでわかりません。 ○品川部会長 長野委員、どうぞ。 ○長野委員 保健所などでは、同じ保育園が何回も何回も起こしていて本当に免疫がで きにくいというのは変異株などのせいなのか。それとも、もともと獲得する免疫が弱い というので全然免疫はできないものなんですか。 ○西尾参考人 ある程度免疫はできまして、数か月間は大丈夫だと思うんです。ところ が、ノロウイルスというのはその地域で1種類だけが存在するわけではなくて、大抵5 種類とか6種類くらいがその地域にあるわけです。ですから、Aというものが入ってき て次にBというものがきたり、Cというものがきたりして、3回から4回繰り返し起こ るものもあります。  それから、感染性胃腸炎というのは先ほど岡部先生が言われましたように、ノロウイ ルスだけで起きるのではないんです。ロタウイルスでもアストロウイルスでもアデノウ イルスでも起こります。ですから、症状的には余り区別はつかないんですけれども、違 うウイルスによって起きている可能性もあるわけです。 ○長野委員 今ワクチンなどの開発はできているんですか。 ○岡部委員 ロタは海外では実用化されつつあるんですけれども、ノロについてはまだ ないと思います。 ○西尾参考人 ノロについては遺伝子型も非常に多いし、実際に増殖できないという問 題もあってなかなかワクチンの開発は難しいだろうと思います。 ○品川部会長 実際にカキのようなものの発症コピー数というのと感染症のときには何 か違うような感じを受けるんですけれども、どちらかというと感染症のときというのは 非常に少ない感染ですか。 ○西尾参考人 新鮮ですし、感染力は強いし、実際に量的には多いんです。手に付く量 にしても1グラム中に1億くらいありますから、0.01グラム付いても100万個くらいあ るわけです。それを混ぜてしまうと割合あります。  ですから、カキの場合には途中で塩素だとかいろいろ混ぜられたりしてある程度弱っ ていますから、実際に我々が調べたのは遺伝子だけであって、感染力のあるウイルスが どれだけかというのはわからないんです。ですから、その数が即感染力というわけには いかないと思います。 ○品川部会長 いかにしてこのようなカンピロバクター及びノロウイルスの食中毒を国 民、消費者に知ってもらい、発生を防ぐかということが問題ですね。そのための1つと してホームページで「Q&A」というものを立ち上げて、多くの人にそれについて知っ ていただくということが重要と思います。本日論議をしていただきたいのはカンピロバ クターのQ&A、ノロウイルスのQ&Aということであり、一応できあがっています。 これについて追加しなければならないところとか、ここのところはもう少し具体的に示 した方が読者に注意喚起できるのではないかということがありましたら、その辺のこと を少し論議していただきたいと思います。  その前に、改定のポイントというところを事務局の方から説明していただければと思 います。 ○事務局 まず資料2−3と書かれております資料をごらんください。初めに「カンピ ロバクター食中毒予防について(Q&A)(案)」について改正のポイントを御説明いた します。  まず、当初カンピロバクターについてのQ&Aは、「牛レバーによるカンピロバクター 食中毒予防として」というタイトルでありましたが、こちらをカンピロバクター食中毒 全般についてのQ&Aに改正したいと考えております。それに伴いまして、Q&Aの数 が以前は6個だったものを10個にさせていただきたいと考えております。  まずQ1です。こちらの方は新規の追加で、カンピロバクターの食中毒の発生状況を 5年間分掲載をさせていただいております。  次に2ページの方に移りまして、Q2とQ3について、こちらの方にカンピロバクタ ーの最近の特徴ですとか、カンピロバクターに感染した場合の症状などにいてQ&Aを 設けたいと考えております。  次に、Q4につきましてはどのような食品がカンピロバクター食中毒の原因になるか につきまして記述をしております。以前からございましたが、こちらの方は数字の更新 ですとか原因食品の例示などを追加させていただいております。  次にQ5ですが、こちらの方は以前から掲載しておりました牛レバーの汚染状況につ きまして、研究結果についてQ&Aを掲載しております。  次に、Q6です。こちらの方に鶏肉の汚染状況、カンピロバクター汚染状況について Q&Aを新しく追加をさせていただきたいと考えております。  ページをめくっていただきましてQ7ですが、こちらの方にカンピロバクター食中毒 の一般的な予防方法につきまして新たにQ&Aを追加いたしました。  Q8は以前からQ&Aに載っておりましたが、更にそのQ&A作成後に出ました通知 等の記載を追加しております。  最後の9、10につきましては、牛レバーと鶏肉について摂取方法などの注意喚起を記 載しております。カンピロバクター食中毒のQ&Aの改正案につきましては以上です。  続きまして、ノロウイルスにつきましては13ページからになります。こちらの改正の ポイントですが、以前に掲載しておりました内容の中で食中毒の発生状況ですとか、感 染症の発生動向の調査をまず最新の情報に更新をしております。Q3とQ4に関係する 部分が主なところです。  次に、食中毒につきまして原因食品別の発生件数というものをQ11に掲載しておりま す。これを新たに追加をいたしました。これによりまして、どんな食品で食中毒が起き ているかということが見やすくなると考えております。  次に、先ほどの先生方のお話の中にも少しございましたが、ノロウイルスの食中毒事 例につきましては食品取扱者を介して食品がウイルスに汚染されたことによる事例とい うものが多くなってきてございますので、ノロウイルスの食中毒の予防方法について今 まで記載のありましたカキに関する記述に加えまして、調理従事者を介する食中毒予防 に関する点、手洗いの重要性ですとか健康状態の把握などを追加をしております。こち らはQ16、Q18の部分で主に追加をしております。  更に、こちらは感染性胃腸炎の蔓延防止という観点ではございますが、高齢者福祉施 設等におきまして施設での吐物の処理の方法ですとか、そういったものにつきましても う少し具体的な取扱方法に、Q20からQ23にかけまして今までありました患者の糞便や 吐物の処理などに加えまして、新たにリネン類の処理などを加えさせていただいており ます。以上です。 ○事務局 資料2−3の1ページ目から5ページ目までが直したバージョンで、その後 ろに見え消しのQ&Aがカンピロバクターで、ノロウイルスの方も見え消しのバージョ ンが後ろの方に載っているということです。 ○品川部会長 今、説明がありましたように、このQ&Aを広く広報して見てもらうと いうことであり、この部分にこういうことを追加したらよいのではとか、ここの部分は もう少し詳しく説明した方がいいのではということに対し、ご意見がありましたらどう ぞ。 ○長野委員 御意見を言うのが遅くなってしまってあれだったのですが、カンピロバク ターのところでQ3辺りでしょうか。ギランバレー症候群のことを一言触れたらどうか と思ったんです。東京都などでつくっているパンフレットにはそんなことが書いてあり ますので。 ○品川部会長 この疾病は、本菌だけで発生するのではないですが、カンピロバクター に関連性が高いということであり、そんなに詳しくはないけれども記載した方がよい。 ○熊谷委員 牛の生レバーなんですけれども、これは健常な大人は食中毒になっていな いんですか。つまり、若齢者、高齢者のほか抵抗力の弱い者についての注意喚起はある んですけれども。 ○品川部会長 これは健康な人でも、また菌量が多ければ罹るんでしょうけれども、特 に注意しなければいけないのは幼児、乳児とか、非常に強いということで、その関係は 強くここも記載されていると思いますけれども、特に子どもといいますか、幼児、乳児、 あとは高齢者は気をつけることを書いています。もちろん全体にも喚起する必要もあり ますが。 ○渡邊委員 レバーというか、肝臓内、または胆のう、胆管、こういうところにカンピ ロがいるというのは結構新しい知見ですね。確かに生レバーは食べないというか、気を つけましょうでいいのですけれども、普通のレバーもこういうところに入っているとな ると、どのぐらい焼いたら死ぬのでしょうか。今まで大腸菌とかいろいろなときにも問 題になりましたけれども、結構レバーというのは厚いですね。中にいたら普通、焼く場 合に我々はちょこちょこぐらいで表面しか焼かないのじゃないか。今まではどちらかと いうと表面にいるというような概念が強かったから焼けばいいかと思っていたのですけ れども、内部にこれだけいるとなると結構厄介じゃないかという気がするのですが、そ ういうデータは何かあるのですか。 ○山本委員 実際にどのくらいの熱をかけたときにどのくらい減るか。菌量的にはそん なにたくさんいるということではないんですね。胆汁を上ってということで、そこに生 存してそこに入る。だから、胆汁の量が多ければそこに生存していて、肝臓は胆汁のそ ういうあれが入ってきているからそこに存在しているということなんですけれども、そ の辺は実際にどのくらいの加熱というようなことに対してはまだ……。 ○事務局 渡邊先生がおっしゃったとおり、O−157のときもハンバーグの焼き方をQ &Aに載せるために写真を撮るのにいろいろ苦労したんですけれども、ノロウイルスに ついてもカキの加熱の度合いは余りうまくないという話もあるんですが、一応これくら いは加熱してくださいということでやりましたので、加熱条件が整理できましたら、も ちろんそういうふうな形でもう少し資料としてわかりようにするということは可能です ので、その辺は先生方に御相談して対応したいと思います。 ○品川部会長 具体的にどういう形にすればいいかということもあるでしょうね。  何かそのほかにノロウイルスについてございますか。 ○岡部委員 ノロということで19ページのQ10のところに検査法の記載があります。 全くこのとおりだと思うんですが、できるだけ早期に原因がわかれば多少でも注意を喚 起しやすいということがあるんですが、私の今、知っているところでは検査法はあるん ですが、臨床現場では検査ができない状況にあります。ここの食中毒が担当ではないけ れども、ノロウイルスというのは非常に食中毒上でも問題になっているし、感染性胃腸 炎の中でも非常に重要な比重を占めている中で、もう少し臨床検査が簡便にしやすいよ うに何か呼び掛けをしていただければ、臨床現場では非常に助かると思います。  もう少し平たく言えば、健康保険でできないんですね。ですから、現場ではできない。 それで、衛研に運んでできるかというと、先ほどの単発例のようなものではやはり衛研 は引き受けることがなかなか難しいので、結局集団になってからでないとつかめないと いうのが現状ですので、何らかの工夫をしていただけると、予算その他の問題もあるの で総合的に考えなくてはいけないんでしょうけれども、もうちょっと検出しやすいよう な状況にあるとありがたいと思います。 ○渡邊委員 ノロは今ELISAとかクロマトとかはどのぐらいまで進んでいるのですか。 ○西尾参考人 ELISAは一応データがあります。 ○渡邊委員 感度は……。 ○西尾参考人 検出感度は60%くらいです。 ○品川部会長 カキのような検査もそうなんですが、存在するかそうでないかではなく、 定量的なカキのウイルスコピー数というものが重要になってくるんでしょうか。 ○西尾参考人 その辺の判断は難しいんですけれども、PCRをやればかなり感度はい いものですからちょっとしたことで出てきてしまうんですね。それで、実際にこうやっ て見ますと、やはりカキ1個に500コピー以上あると食中毒事件はかなり出るみたいな ので、リアルタイムというのは汚染量を定量すると重要であると思います。 ○品川部会長 特に生産地から出荷されるときには、ウイルスのプラスマイナスだけで はなく、ウイルス量の問題があるのではと思います。  もう一点、このQ&Aでは食中毒と、23ページのQ20では感染症について書かれてい ますが、吐物とか、その取扱いのときに12日間以上ノロウイルスが生存しており、それ により感染したことなど、本感染症のことも少し集団感染の予防を含めたものが、この Q&Aに書く必要があるのかどうか。岡部先生、その辺はいかがでしょうか。 ○岡部委員 集団感染予防のことは、たしか引用か何かで書いてあります。 ○品川部会長 そうですね。20のところにも12日間のノロウイルス……と記載されて いるが。 ○岡部委員 高齢者介護施設とか、施設での一応の感染予防といったようなことは出て いると思うんですけれども、それをこちら側にも載せたりするとわかりやすいかもしれ ないですね。 ○品川部会長 どうもその辺の集団感染と食中毒の境がなかなか難しくて、食中毒予防 だといいながら感染症のこともある程度そこで書いていた方がわかりやすいのではとい う気もします。 ○犬伏委員 一般的にノロウイルスは「風邪」というように受け止めている人のほうが 多かったと感じます。それなのに単に二枚貝による「食中毒」という報道が多く、食べ てもいないのに感染する理由が理解できていなかったというのが現状だと思います。と いうことで、14ページのQ2で「人から人への飛沫感染等直接感染する場合」のところ でもう少し親切に解説・説明があってもよいのかなと思います。 ○事務局 実は、ノロウイルスは、もともと食中毒という観点で一度つくりまして、福 山の事例が去年の1月にございまして、それで感染症関係、それから社会福祉施設を担 当しているところとも相談をして、これは一回直していますので、実は全く食中毒のこ とだけではなくてそういったことが少し入っています。  今回の改定でもそういった部署にもよく照会をして、またそこの部署から先生方に照 会があるかもしれませんが、そういった意味で感染症という観点からの予防の部分も当 方としては少しずつ入れさせていただいているつもりなんですけれども、更にポイント になる情報があるかないかということについて、よく関係課にも確認をしていきたいと 思っております。 ○犬伏委員 もう一点質問をしてよろしいですか。先ほどの山本先生の鶏の話なんです けれども、塩素水で洗ったというような話があったと思います。水道水には塩素が入っ ていますので鶏を調理するときにはまず水道水で洗うということが効果があるのか、そ の点をお聞きしたいと思います。  また、先程のお話ですと、たった1羽の患鶏で、農場を出てから私たちの手元に届く までのさまざまな処理現場で汚染は広がっていってしまうということでしたが、そうし た病鶏をつくらないためにワクチンなどという話が出てくるのかなと思ったりしたので すが、その辺りはどうなのでしょうか。 ○山本委員 まず洗い流せるかどうかということなんですけれども、基本的には汚染は 皮に多く起こっています。皮の表面のぷつぷつしているところは皆、羽が抜けた後なん ですね。その毛穴というのは変ですけれども、羽の穴の中に入っていることが結構あり まして、外から幾ら塩素水をかけてもそれで防御されていたりとか、脂が多く付いてい る肉についてはなかなか水で洗ったということだけでは落ちないとか、そういうことで 塩素は届きにくいわけですけれども、そういう有機物で分解してしまうこともあります が、水で洗うという物理的な作業でもなかなか取り除きにくい部分があります。ですか ら、家庭での注意というのは、そういったものとほかの食材を必ず分けて調理するしか 今のところはないと考えています。  それから、農場でのそういった汚染を防げないかということなのですが、先ほど少し 申し上げたように、人という問題があります。ここは鶏を世話する人が長靴とか、そう いったものを必ず替えて鶏舎ごとにやってくれると少し減る可能性があるとは言われて います。ただ、それが面倒臭いとか、いろいろありますし、そういった衛生環境が整っ たからといって鶏の値段が上がってこないので、なかなか農家の人にインセンティブが わかないということがあるようです。  それから、ワクチンはやはりまだ難しいと言われています。実際に外国のワクチンに トライされているところはあるんですけれども、まだ完全に効いているものはないです。 ○岡部委員 鶏舎におけるいわゆる衛生状況というのは、こちらの関連でもないんです けれども、農水の部会でも非常に検討されて、例えばH5N1の予防等に関わっても非 常に重要なことなので、そういうことも含めての農場に対する注意喚起というのは非常 に重要だと思うんです。確かに経済上なかなかやりにくいというようなことはあるんで すけれども、人の食品であり健康を守るという意味では、特に大量に飼育しているわけ ですから、農場での注意は非常にやっていただいた方がいいと思います。 ○品川部会長 どこまでこのQ&Aに農場のことについて書けるかということはちょっ と難しいところがありますが、確かに鶏肉生産の川上のところで行う。このカンピロバ クター保有鶏が病気を起こすのであれば、農場での対応もされるけれども、病気を起こ さずに保有しているだけだと、O−157もそうなんですが、この辺が非常に対応の難し いところなんですね。それでも特別状態が悪くなるとかでしたら当然、本気になるけれ ども、元気で状態もよくて保有しているだけというのはなかなか難しい。  今このQ&Aにどこまで書けばよいのか。例えば、鶏肉の生食を控えることをこのQ &Aで、生の鳥刺とか鳥のたたきとかというようなものも少し具体的に書いた方がいい のか。また、ノロウイルスでしたら食品取扱者とか、調理従業員に食中毒の注意とか、 生ガキの摂食、そういうことについても喚起するよう書いた方がいいのかどうかという ことについてご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。鶏肉の生食ですが、 我が国での生食文化があるからどの辺まで書くかということはなかなか難しいところが ありますが。 ○岡部委員 やはり私は書いておいた方がいいと思うんですけれども、禁ずるというの はなかなか難しいと思うんです。さっきのレバーのところにもありましたけれども。  ただ、ある程度リスクを知っていて食べるということが必要なので、それが弱者の場 合、子どもであるとかお年寄りは食べさせられてしまうことがあるので、それはやめて くれというような書き方はあった方がいいと思います。 ○品川部会長 特に、食品取扱者とか調理従業員による二次汚染の問題、本ウイルスは 保有期間が長いんですね。自分はもう元気になっているけれども、ウイルスは存在し、 排出している。この辺についての問題ですね。 ○山本委員 ノロウイルスとかカンピロバクターもそうなんですけれども、特定の食品 に特化されているみたいに一見見えているんですが、実は二次汚染でかなり広がってい る部分があるということは注意を喚起しておかないと、調理従事者がどんどん広げてい たり、そういった介護施設の人たちが気が付かずに広げている場合が非常に多いと思う んです。ですから、その辺は手洗いだけではなくて、手洗いはどういう意味を持ってい るのかというようなところから解きほぐした方がいいような気がします。 ○宮村委員 調理者の健康管理というものを考えると、この2つの疾患だけではなくて、 例えばA型肝炎とか、いろいろなものがあるわけです。それは何かの形で、具体的に例 えばノロウイルスをどう管理するかということを、このQ&A辺りをきっかけにでもい いですが、注意喚起といいますか、そういうことをする努力が必要だと思います。例え ば健康診断とか、将来ワクチンができてきたらとか、そういうことがまだずっと先だけ れども ○品川部会長 これに直接書くのか、今先生が言われますように、これだけではなくて 全体に色々そういう問題のあるものについていかに喚起していくかということが重要で あります。実際に、このノロウイルスに関してもまだまだ不明な点が結構あることも少 しQ&Aに書いておくことが必要なのかどうかということもあります。全部明らかにさ れているようにQ&Aを書くのではなく、まだまだ不明のところが多くあるのだという ことも知ってもらうという意味で記載した方がいいのか、現在まだよくわかっていない とか、むしろ先ほど整理されたように今後の課題についてなどもあると思います。その 辺が十分わからないと、実際には食中毒をすべて予防することはなかなか難しいです。 ○熊谷委員 カンピロバクターのQ9とQ10で、牛の生レバーと生の鶏肉がこういうふ うに並べて書いてあるんですけれども、これを見ると生レバーは結構まずくて食べると かなり具合が悪い。しかし、生の鶏肉は生食は控えてという程度のものなのかというこ とで、ここはその程度の事故例などの差を考慮しての差なんでしょうか。 ○食品安全部長 9、10につきましてはちょうど今、御議論いただいておりますので、 私どもとしてはこの2つを並べたときに熊谷さんのおっしゃるように記述のレベルが違 うということがありますので、それだけの実益があるのか。それとも、ほぼ同じような 毒力といいましょうか、そういうものがあるのである程度そろえて書いた方がいいのか。 その辺りを、少し御専門的なお立場からお教えいただけるとありがたいという気がいた しております。 ○品川部会長 ここの部分を分けたということは、やはり両者の汚染の方法が違ってお り、レバーは中に存在し、鶏肉は外からの汚染という違いをわかってもらいたいという ことです。 ○熊谷委員 鶏のレバーというのは中ではないんですか。 ○品川部会長 もちろん鶏のレバーというのはどのように汚染されているか十分明らか ではないですが、鶏肉の汚染は外部であることが圧倒的に多い。鶏肉を生食するという のは、鶏肉たたき、鳥刺しのようなもので、これらを食べるのは地域性が結構強いとこ ろがありますが、宮崎とか岩手県では結構食べられていると思われるし、あと問題にな るのはバーベキュー、焼き鳥であり、十分加熱をしないで生焼けでの喫食です。どこま でが生で、どこまでが加熱されたのか、というところですね。 ○事務局 つくった側といいますか、この案をつくる過程では、もともと9があって10 が加わったというような形なんですね。ですから、今、御指摘の点もあるのですが、最 終的なアウトプットとしては若齢者の方だとか高齢者の方々の生食については注意を呼 び掛けるというのがポイントなんでしょうから、そういう観点で申し上げればもちろん その前段がどうであるかというのは正確に書いた方がいいですので、例えば2つを合わ せてそれぞれ牛の話、それから鶏肉の話を書いて、それで注意の部分をまとめるという ような形でもいいかと思います。 ○品川部会長 そうですね。どちらも生ということで、それを分けて書くのがいいのか、 むしろ一緒になる部分でしたら、それを分けてその中で分けるという方法もあるかと思 います。  時間が少し延長していますけれども、いかがでしょうか。 ○犬伏委員 もし書いていただけるならばということで、Q7のカンピロバクターなの ですが、食中毒の予防法、加熱というものが難しいというお話があったのですが、この 中に先ほど山本先生からお話がありましたけれども、皮のぶつぶつがあるとそこに隠れ てしまうというような感じがここにもう少し具体的にあってもいいのかなという気がし たんです。鳥皮などのような凹凸のあるようなものに関しては、その中で生きているも のもあるからしっかり熱を通しましょう。生肉の方に書くべきなのかどうかということ があるんですが、予防法というところでは加熱をしなさいということがここでは唯一と いうか、まずひとつ出ているので、その加熱も違いがあるのかなと。皮が好きで、皮だ けというものが焼き鳥にあったりしますので、そのときには加熱は何度とか、そういう ものができないとするならば、皮のところはもっとしっかりとしなければいけませんよ という感じがここの中に入ってくれるといいのかなという感じがちょっとしましたので、 具体的な例で。 ○品川部会長 実際に、もも肉だの、胸肉だの、手羽先だのという形になると、必ずし も皮だけではなく全体で構成されているから、皮の部分だけ余り強く書きすぎる、と皮 を焼けば大丈夫という形になり、全体で見ていかないとなかなか難しいという感じがし ます。確かに山本先生が言われましたように、対応して丸と体といいますか、最初にで き上がったときに周りに付着しているものをどのように落とすかといったとき皮がメイ ンになりますけれども、カットしていろいろな部分肉にしたときには二次汚染が発生し ており、なかなか難しい。 ○山本委員 結局消費の手前までいきますと、全部の肉が汚染しているという状況は逃 れられないんですね。ですから、特化するのは難しいと思います。 ○品川部会長 よろしいでしょうか。今、先生方からいただいた意見を参考にしながら、 もう一度事務局、または専門の先生方の意見を聞いて、修正できる部分は修正していっ て、皆さん方にまたその結果をご報告したいと思います。  今回、久し振りにこういう形で議論をしましたが、これからもそういう問題が発生し た場合、また必要があれば分科会を開いて先生方のご意見をいただきたいと思っていま す。  では、最後に事務局の方からお願いします。 ○事務局 今日御議論いただきました御意見を踏まえて、品川部会長と御相談をしてQ &Aのアップデートについては進めさせていただいて、最終的には部会長の方で取りま とめというか、御判断をいただくようなこともあろうかと思いますが、それでよろしい でしょうか。 ○品川部会長 一応そういうことで今、事務局から言われましたように、ある程度事務 局と部会長の方で見ながら進めさせていただきますけれども、よろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○品川部会長 どうもありがとうございます。 ○事務局 それから、資料3−1から3−3という資料を付けさせていただいておりま す。こちらはいずれも既に公表してございます資料ですが、食肉を介したE型肝炎ウイ ルスの感染症事例に関するQ&A、それからビブリオ・バルニフィカスのQ&A、それ から最後に育児用調製粉乳中のエントロバクター・サカザキに関するQ&Aと、最後の ものは昨年の6月ですが、あとの2つは今年作成をしております。これは専門家の先生 方の御意見を伺って作成したもので、今回の食中毒部会には御報告ということでさせて いただきたいと思います。 ○品川部会長 この辺のQ&Aについても何かまた気付いたところがありましたら言っ ていただければ、修正できると思います。  よろしいでしょうか。そのほかに皆様方、何かご意見がありましたらどうぞ。  もしなければ、今日は審議していただきまして本当にありがとうございます。先ほど ちょっと言いましたように、必要であればまたこれからも審議会の分科会の会議を開い ていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。  事務局の方から何か連絡事項がありましたらどうぞ。 ○事務局 特にございません。 ○品川部会長 では、ないようですので、本当に今日は皆さん御協力ありがとうござい ました。 - 1 -