○歯の健康分野についてのご意見

・目標設定と取組について

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II (1)   P20 歯の喪失防止が全身的な健康に関係があることについて、より積極的な記述をしていただきたい。
この中間実績値のデーターベースの人数や地域の公開も必要である。
口腔バイオフィルムやそれによって惹き起こされた炎症によって、全身が悪影響を受け、健康が脅かされることが証明されてきている。このことを背景に歯科医療は、歯の健康のための歯科医療から、歯科疾患の発症・進行を抑え、健全な口腔環境を創造することによって全身のケアを図るという全身の健康のための歯科医療へと変化している。歯の喪失を防止し生活の質を確保するための歯科医療概念しか組み込まれていないことを残念に思う。

・目標とその達成状況について

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II (2)   P21 「健康日本21」の歯科の目標値について、幼児期のフッ化物歯面塗布や学齢期のフッ化物配合歯磨剤の使用に関する項目が入れられていることは支持したい。これまでう蝕予防には歯磨きと砂糖制限しかないと考えていた人々にとって、フッ化物応用法がう蝕予防に効果があるという新たな情報提供となる。
現実には、う蝕発生は12歳以降の中学・高校時代に増加することが大きな問題であることから、今後中学3年生・高校3年生のう蝕罹患状況を評価することを提案する。
定期的に歯石除去や歯面清掃、また検診を受ける人の数が、すでに目標値を上回っているが、これは目標値が低すぎる。この項目の目標値は80%位を目指すべきである。
どの項目も中間実績値がかなり良い数値になっているいる事に驚いている。日々見ている状況とはかけ離れた実感の乏しい数字である。(他同趣旨のご意見1件)

・評価について

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II (4)   P23 他の分野に比べて「歯の健康」の分野での達成率が高いことについて、評価があまりにも低く感じる。この報告に不満を感じる。
また、この達成率は、定期的な歯石除去や歯面清掃を受けた人の割合や、定期的な検診率の向上から見ても、かかりつけ歯科医機能の充実が大きな成果の達成の中心的な施策であることは明らかであるがその評価も出てきていない。(他同趣旨のご意見1件)
全体を通して中間実績値が目標値に近づいているようではあるが、さらに目標値に近づける対策を考えないと単なる目標値になってしまう。
1行目「いずれの項目も」を「多くの項目が」に修正し、2行目に「歯の喪失防止(6.11、6.12、6.13)については目標値に達しており、目標値の見直し・新たな目標値の設定が望まれる。」を追加する。

・新規目標項目の設定について

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II     P46 新規目標項目として「フッ化物洗口実施施設数の増加」または「フッ化物洗口実施人数の増加」を追加する。(他同趣旨のご意見7件)
<理由>
P46今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策等に「フッ化物による洗口などを推進していくことが今後必要である」と記述されているので、それを具体的に数値化するほうが良い。
フッ化物応用法にはそれ以外にも学齢期におけるフッ化物洗口やシーラントの応用、さらに持続的で広範なフッ素供給手段である水道水へのフッ素添加などの公衆衛生的なフッ化物の応用があり、それらについての具体的な目標も設定すべきである。
う蝕と歯周病のみに関心が払われているが、良く噛むことが肥満や他疾患へ大きな効果を与えることを強調すべきであることから、「十分時間をかけて食物を噛んで食べる人の割合の増加」という目標を入れて欲しい。(他同趣旨のご意見1件)
目標はう蝕および歯周病の予防に限定されており、全身の健康との係わりについては、言及されていない。広く口腔保健の目標を定めるべき。目標値に到達すれば、結果的にそれが全身の健康につながることは理解できるが、その関連についても配慮していただきたい。(他同趣旨のご意見1件)
全年齢層に対して目標値の設定をして欲しい。(他同趣旨のご意見1件)

・今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策等について

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II (2) (1) P46 「地域の特性に応じて」という言葉を削除するべきである。
<理由>
フッ化物洗口などによる永久歯の歯質の強化なしに、学齢期のう蝕予防についての目標値が達成されたとしても、それ以降その達成の成果を継続できるか疑問。フッ化物洗口による歯質の強化は、フッ化物が不足するどの地域でも共通必要事項であることから、たとえ「12歳児のひとり平均う歯数がゼロ」の地域であっても将来のう蝕発生を抑制するために地域で実施する必要があると考える。
最近子どものう蝕の問題は解決されたとし、高齢者に関心が向けられがちだが、良い傾向が持続するよう普段の努力(習慣)を定着させることがひいては全体のレベルアップに繋がってゆくのであって、ぜひとも小児のう蝕減少傾向を定着させ本物にするためにもこれまでにも増して留意する必要がある。
継続的に子どもの虫歯予防に注意できるようなシステム、継続してフッ素塗布する公的なシステムなど、もっと積極的な対策を望む。
「フッ化物洗口ガイドライン」の各機関での更なる周知や、公衆衛生的に優れているフッ化物の応用が生涯を通して使用出来るように行政の一層の努力を期待する。(他同趣旨のご意見4件)
目標の達成のためには、公衆衛生的なフッ化物利用である集団フッ化物洗口、水道水フロリデーションの方策が必要である。(他同趣旨のご意見4件)
ペットボトル症候群に関連し、スポーツドリンクの飲み過ぎの恐ろしさについて表示を義務づけ、先生方にも現場で子どもたちにしっかり指導するようにしていただきたい。
歯科衛生士による歯磨き指導や紙芝居、顕微鏡による虫歯菌や歯周病菌の確認及び給食後の歯磨きの習慣化を徹底し、歯の健康に対する意識を子供の時から教えていただきたい。
学校での個別の歯磨き指導を実施していただきたい。
研磨剤の入っていない歯磨き粉を選ぶように学校は指導しているが、歯がどれだけ削れるかは、研磨剤ではなく、歯ブラシの“硬さ”が大きく関係している。正しい知識を教えることに力を注いでほしい。
II (2)   P46 歯周病が体の色々なところに悪影響を与えるということを歯科医師の先生から聞いたが、そのことがこの中には考慮されていない。喫煙と同じように知識の普及と支援が必要である。
歯科疾患対策は生活習慣病の取り組みと同様であることから、生活習慣改善のための取り組み(定期歯科検診受診、正しい歯みがき習慣の確立、歯間部清掃用器具の使用)も講ずべき施策として盛り込むべきである。
今後重点的に取り組むべき課題及び新たに講ずべき施策に以下の施策を追加する。
・口腔疾患と全身疾患(とりわけ生活習慣病)の相互作用の機序の解明と一層の疫学研究の推進
・保健行政従事者、医療関係者、産業界への上記知識の一層の普及
<理由>
今後、歯科分野の研究を盛り込んだ総合的生活習慣病対策を充実させ一層の強化を図れば、より具体的なあるいは網羅的な生活習慣病予防に対する成果が達成できるものと考える。
「歯周病予防対策の充実」を追加する。(他同趣旨のご意見2件)
<理由>
成人期の歯周病予防を推進するため、定期的な歯石除去や歯面清掃の徹底及び保健指導の充実を図ることが必要である。また、これからの歯科医療は『歯の健康』だけに留まるのではなく、歯科医療から『全身の健康』に貢献していく必要がある。昨今の歯科学の発展は、歯周炎(慢性炎症)療法が「生活習慣病の炎症関連危険因子を除く」ことに役立つことが疫学、臨床例、そして基礎研究の面から示されている。すなわち歯科医療には、咬合や会話の楽しみ以外の面から全身の健康に寄与する医療概念が含まれるようになった。
「歯の健康」に関し、以下の点3点について追加していただきたい。
・全国規模の検診制度の整備(現在全国規模での検診システムが確立していない)
・全身疾患と関連し、メタボリックシンドロームの一つとしての歯周病の位置づけ
・歯周病発症リスクに関連する遺伝子解析研究の推進
60歳で24歯という目標を達成するためには、それ以前の若中年者層に対するアプローチが必要であることから、事業所等産業保健分野への介入も歯の健康のための講ずべき施策として盛り込むべきである。
市町村主導による定期検診と教育講演等による啓発の充実とともに、集団及び個人に応じた生活習慣や口腔衛生に関する指導を繰り返し複数回行う必要がある。
さまざまな市民啓蒙の前に、医療関係者の方に歯の市民検診の徹底をお願いしたい。
検診のあり方について検診前、後対応に力点を移すことで、より効果的な対応とされたい。
健康課題の一つとして「歯の健康」度がうすく感じる。歯科検診の受診率が低いように思い、市民歯科検診は内科健診とペアでみていただくことが効果的。もっと身近にテレビ、CM、各市、地域で歯の健康について宣伝していくべきである。
8020の実現に向けては 生涯を通じた歯科保健対策の一体的推進が必要。ライフステージにおける各種制度において歯科が見過ごされているが、健診・保健指導への明確な位置づけ、制度の見直しの必要性を感じる。
課題の中で指摘されている「地域間格差」への対策と、広がりを見せる「個人間格差」の拡大防止対策の強化をお願いしたい。
歯周病についてもっと広報して欲しい。
むし歯、歯周病の予防という観点をもっと大きくとらえ生活習慣病対策の一環として印象を与えるようなアピール方法への改善を希望する。(他同趣旨のご意見1件)

・その他ご意見

該当箇所(ページ) 意見の概要
III       P8 「国民の健康増進、生活の質の向上を図るとともに、中長期的な医療費の適正化につなげることを目指している」ならば、残存歯数の多い高齢者は少ない高齢者より一人あたりの医療費が少ないというデータを兵庫県国保連合会等が出していることから、メタボリックシンドロームの概念の導入に併せて8020運動をスローガンとする歯科保健の推進についても文言として盛り込むよう希望する。
II (2)   P46
II (3)   P47 「6 歯の健康」というタイトルは、文章内容を表現する意味でも「6 歯と口腔の健康」にした方がよいと思われる。

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