「健康日本21」の目標達成に向けた日本栄養士会の活動について
社団法人 日本栄養士会
1.これまでの日本栄養士会の対応
「健康日本21」策定後、日本栄養士会では、適正体重(肥満者と20歳代女性のやせ)に焦点を当て「太るもやせるも食事が基本」をテーマに、ポスター等の啓発普及資料を作成、配布するとともに栄養相談時も重点をおくなど、全国的にキャンペーン活動を展開した。
2.活動の評価
中間報告では、「1.1 適正体重を維持している人の増加」は、20〜60歳台男性の肥満者を除けば、少しではあるが改善している傾向がみられる。しかし、「1.6 自分の体重を認識し、体重コントロールを実践する人」は減少している一方、「1.10自分の適正体重を維持することのできる食事量を理解している人」は、増加している傾向がうかがえる。これは、一定の周知は図れたが、行動変容までに至っていないといえる。さらに、栄養・食生活分野の目標値は、悪化している傾向があり、2010年の達成に向けて、さらに国民運動としての啓発普及啓発活動が必要である。
対象 | ベースライン値 | 中間実績値 |
児童・生徒の肥満児 | 10.7% | 10.2% |
20歳代女性のやせの者 | 23.3% | 21.4% |
20〜60歳台男性の肥満者 | 24.3% | 29.0% |
40〜60歳台女性の肥満者 | 25.2% | 24.6% |
対象 | ベースライン値 | 中間実績値 |
男性(15歳以上) | 62.6% | 60.2% |
女性(15歳以上) | 80.1% | 70.3% |
対象 | ベースライン値 | 中間実績値 |
成人男性 | 65.5% | 69.1% |
成人女性 | 73.0% | 75.0% |
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3.活動上の課題と今後の対応方針
(1)栄養指導上の課題と対応 | ||
ア 行動変容に至っていない | ⇒ | 会員の資質向上対策の推進 ・科学的知識、課題抽出分析等の学習 ・行動変容を促す手法の理解 |
イ 効果的手法の開発が不十分 | ⇒ | 効果的手法に基づく活動の実施 ・食事バランスガイドの活用 ・運動指針(エクササイズガイド)の活用 ・メタボ対策の推進 |
(2)普及啓発上の課題と対応 | ||
ア 国民全体への広がりがない | ⇒ | 国民への普及活動の展開 ・“野菜を食べよう”キャンペーン(仮称)事業の展開 ・関係機関団体との連携 |
−全国レベル、都道府県レベル、市町村レベルの各段階での事業の展開− |
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(3)会活動の課題と対応 | ||
ア 職能団体としての役割 | ⇒ | 国民の健康と食の両者に関わる専門職であることの自覚 ・職域ごとに代表目標項目達成に向けて活動推進 ・栄養ケア・ステーション活動推進 |
イ 公益法人としての役割 | ⇒ | 国民への積極的な情報提供 ・啓発普及用媒体の発行 ・ホームページの運用 |
ウ 会員活動の質の向上 | ⇒ | 会員活動実績の集約 ・会員が業務の内外で実施した活動の集約、進行管理 ・有効事例等の把握と普及 |
4.行動目標
日本栄養士会は、管理栄養士・栄養士で組織された専門職能団体であり、公益法人である。このため、会員の持つ専門技術・技能を生かして、国民の利益である生活習慣病予防、健康寿命の延伸のために、次の行動目標を掲げて、「健康日本21」の目標達成に向けて全力を挙げることとする。
(1)栄養ケア・ステーションでの活動を充実強化する
各都道府県栄養士会では、栄養ケア・ステーションを設置し、各種専門技術・技能の習得と人材登録、紹介を行うとともに、食育の推進とも連携したポピュレーションアプローチ活動を展開する。
(2)日常業務での栄養指導のあり方の変容を図る
行動変容に結びつく指導の徹底を行うとともに、栄養指導のエビデンスの蓄積し、これらを活用し、評価するとともに継続的な活動を推進する。特に、行政・医療レベルでは、ハイリスクアプローチを展開する。
(3)各種機関、団体との連携による活動を強化する
日本栄養士会並びに各都道府県栄養士会では、厚生労働省並びに同省関連団体はもとより農林水産省・農業関連団体、文部科学省・都道府県教育委員会、さらには、食品関連業界(スーパーマーケット、コンビニエンスストア)等と連携した活動を具体化し、その計画・実施・評価に関わることとする。
(4)管理栄養士・栄養士の資質向上対策(会員外も対象とすることを考慮)をさらに推進する
- 卒後教育体系に基づく生涯学習研修会等の開催
- 行政における管理栄養士の育成事業の展開
- 保健指導担当管理栄養士の育成
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