資料1−2 |
健康診査の実施等に関する指針の概要
1 基本的な考え方
現在、各健康増進事業実施者により健康診査及びその結果の通知等が行われていることから、各健康増進事業実施者が行う健康増進事業に関し、健康増進法第6条に掲げる各制度(健康増進事業実施者)に共通する基本的な事項を定めることにより、生涯にわたる国民の健康の増進に向けた自主的な努力を促進する。
2 基本的な事項
(1)健康診査の実施に関する事項
[1] 健康診査の在り方
- 健康診査の対象者に対して、その意義等について十分に周知する。
- 各制度間及び制度内の整合性を取るため相互に連携する。
- 検査項目及び検査方法に関し、科学的知見の蓄積等を踏まえて必要な見直しを行う。
[2] 健康診査の精度管理
- 内部精度管理(健康診査を行う者が自身で行うもの)及び外部精度管理(健康診査を行う者以外の者が行うもの)を適切に実施する。
- 健康診査を委託する場合にも精度管理の適切な実施を要請する等委託先に対して適切な管理を行う。
- 研修の実施等により健康診査実施者の知識及び技能の向上を図る。
(2)健康診査の結果の通知及び結果を踏まえた保健指導に関する事項
- 健康診査の実施後速やかに受診者にその結果を通知する。
- 健康診査の結果に基づき保健指導を実施すること。
- 保健指導の実施にあたっては、生活習慣の改善に向けての行動変容の方法を本人が選択できるよう配慮すること。
- 保健指導従事者に対する研修の実施等により保健指導の質の向上を図る。
- 保健指導を委託する場合には委託先に対して適切な管理を行う。
- 各健康増進事業実施者による対策を講じるため相互の連携(地域・職域の連携)を図る。
- 広域的な観点で地域・職域の連携を推進するため都道府県単位で関係機関等から構成される協議会等を設置する。
(3)健康診査の結果等に関する情報の継続の在り方に関する事項
- 健診結果等情報を継続させるために必要な措置を講じることが望ましい。
- 生涯にわたり継続されていくことが望ましい情報は、健康診査の結果、保健指導の内容、既往歴等であること。
(4)健康診査の結果等に関する個人情報の取扱いに関する事項
- 個人情報について適正な取扱いの厳格な実施を確保することが必要であることを認識し、個人情報の保護を規定した法令を遵守する。
〔参照条文〕○健康増進法(平成14年法律第103号)(抄)
(目的)
第一条 この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。
(国民の責務)
第二条 国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、教育活動及び広報活動を通じた健康の増進に関する正しい知識の普及、健康の増進に関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに研究の推進並びに健康の増進に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、健康増進事業実施者その他の関係者に対し、必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。
(健康増進事業実施者の責務)
第四条 健康増進事業実施者は、健康教育、健康相談その他国民の健康の増進のために必要な事業(以下「健康増進事業」という。)を積極的に推進するよう努めなければならない。
(定義)
第六条 この法律において「健康増進事業実施者」とは、次に掲げる者をいう。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定により健康増進事業を行う政府、健康保険組合又は健康保険組合連合会
二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の規定により健康増進事業を行う政府
三 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定により健康増進事業を行う市町村、国民健康保険組合又は国民健康保険団体連合会
四 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の規定により健康増進事業を行う国家公務員共済組合又は国家公務員共済組合連合会
五 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定により健康増進事業を行う地方公務員共済組合又は全国市町村職員共済組合連合会
六 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の規定により健康増進事業を行う日本私立学校振興・共済事業団
七 学校保健法(昭和三十三年法律第五十六号)の規定により健康増進事業を行う者
八 母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定により健康増進事業を行う市町村
九 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の規定により健康増進事業を行う事業者
十 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定により健康増進事業を行う政府、健康保険組合、市町村、国民健康保険組合、共済組合、日本私立学校振興・共済事業団又は後期高齢者医療広域連合
十一 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定により健康増進事業を行う市町村
十二 この法律の規定により健康増進事業を行う市町村
十三 その他健康増進事業を行う者であって、政令で定めるもの
(健康診査の実施等に関する指針)
第九条 厚生労働大臣は、生涯にわたる国民の健康の増進に向けた自主的な努力を促進するため、健康診査の実施及びその結果の通知、健康手帳(自らの健康管理のために必要な事項を記載する手帳をいう。)の交付その他の措置に関し、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(以下「健康診査等指針」という。)を定めるものとする。
2 厚生労働大臣は、健康診査等指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、総務大臣、財務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
3 厚生労働大臣は、健康診査等指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
〔参考〕I T 新改革戦略(平成18年1月19日・I T 戦略本部)(抄)
II 今後のIT政策の重点
1.ITの構造改革力の追求
(1)21世紀に克服すべき社会的課題への対応
ITによる医療の構造改革 −レセプト完全オンライン化、生涯を通じた自らの健康管理− |
現状と課題 |
e-Japan 戦略IIの策定以降、医療分野の情報化については先導的7分野の一つとして重点的に取り組んできたところであるが、情報化の状況は未だ低いレベルに止まっている。
例えば、レセプトのほとんどは紙で処理されているため、医療保険事務の高コスト化を招くとともに、予防医療等へのレセプトデータの活用が十分になされていない。また、電子カルテについては、医療安全の確保や医療機関間の連携等に有効であるが、普及が進んでいない状況にある。そのため、個人情報保護及びセキュリティに配慮しつつ、導入コストの低減や奨励策の活用等により、情報化を積極的に進めていく必要がある。
今後更に国民医療費の急速な伸びが予想される中、疾病の予防、医療の質の向上と効率化、医療費の適正化を図ることが緊急の課題となっている。こうした課題の解決に向け、ITの構造改革力を最大限に発揮することが必要不可欠となっている。
目標 |
1.(略)
2.2010 年度までに個人の健康情報を「生涯を通じて」活用できる基盤を作り、国民が自らの健康状態を把握し、健康の増進に努めることを支援する。
3〜5(略)
実現に向けた方策 |
(個人が生涯を通じて健康情報を活用できる基盤づくり)
1.生涯にわたる健診結果を電子データとして継続的に収集し、適切に管理するための仕組み(収集すべき健診項目、標準的なデータ形式、管理運営方法等)を2007 年度までに確立する。
2.電子データとして収集される健診結果等の健康情報を個人、保険者等が活用するための基盤(健康情報を管理するデータベース、IC カードを活用した個人による自らの健康情報への参照機能等)の整備を2008 年度までに開始し、2010 年度までにその普及を推進する。
3.疾病予防の推進等に向け、収集された健康情報の活用方策を2010 年度までに確立する。
各健康増進事業実施者による健康診査(平成20年度以降)について