06/11/30 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会平成18年11月30日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 平成18年11月30日 議事録 1.日時及び場所   平成18年11月30日(木) 16:00〜18:15   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(19名)五十音順   ○池 田 康 夫、 岩 崎   学、 上 田 志 朗、 甲 斐 智恵子、    菊 地 博 達、 岸 田   浩、 木 下 勝 之、 倉 田 雅 子、    児 玉   孝、 柴 川 雅 彦、 首 藤 紘 一、 田 代 眞 人、    土 屋 文 人、 埜 中 征 哉、 長谷川 隆 一、 堀 内 龍 也、   ◎松 本 和 則、 山 口 照 英、 宮 村 達 男     (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順    大 澤 真木子、 北 村 啓次郎、 相 楽 裕 子、  渡 邉   亨 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    伏 見   環(安全対策課長)、   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   関 野 秀 人(薬事企画官)   川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、平成18年度第2回医薬品等安全対策部会を開催させ ていただきます。  本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは 議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれま しては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また傍聴者の方におかれま しては、傍聴に際しての遵守事項の遵守をお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 ありがとうございます。  今年度から新たに部会委員をお願いいたしております国立感染症研究所所長の宮村先 生を、前回は御欠席でしたので改めて御紹介させていただきます。  本日の会議は、大澤委員、北村委員、相楽委員、渡邊委員が御欠席です。また、首藤 委員は少し遅れて御参加と聞いております。現在、18名の委員の御出席を頂いており、 本部会の定員は23名でございますので、本日の部会は定足数に達しております。  続きまして、前回部会以降、本年9月1日付けで事務局に人事異動がございましたの で、御紹介させていただきます。安全対策課長の伏見でございます。総務課薬事企画官 の関野でございます。独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監の川原でござい ます。  それでは、議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後 の議事の進行は、松本部会長、よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 御審議をよろしくお願いいたします。まず、事務局から本日の配布資料 の確認をしてください。 ○事務局 配布資料の確認をさせていただきます。茶封筒の上に座席表と部会委員名簿 を配布させていただいております。茶封筒の中身ですが、本日の議事次第、配布資料一 覧、資料No.1-1「諮問書」、資料No.1-2「リスクの程度に応じた情報提供と相談体制の整 備」、資料No.1-3「リスク分類の方法について」、資料No.1-4「一般用医薬品リスク分類 案」、資料No.1-5「一般用医薬品リスク分類案別リスト」、資料No.1-6「生薬成分(天然物 由来成分)の分類案」、資料No.1-7「リスク分類に係るワーキンググループ委員名簿」、 資料No.1-8「医薬品等安全対策部会の所掌改正及び指定薬物部会の設置について(案)」、 資料No.2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料No.2-2「平成18年度第1回 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会資料」、資料No.2-3「リン酸 オセルタミビルについて」、資料No.3-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・ 食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」、資料No.3-2「国内副作用報告の状 況(医療用医薬品)」、資料No.3-3「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料No.3-4 「国内感染症報告の状況」、資料No.3-5「外国における新たな措置の報告状況」、資料No. 3-6「研究報告の報告状況」、資料No.4-1「感染症定期報告の状況」、資料No.4-2「報告文 献別一覧表」、資料No.5-1「医薬品又は医薬部外品たるいわゆるドリンク剤等中のベンゼ ンについて」、資料No.5-2「重篤副作用疾患別対応マニュアルについて」を配布させてい ただいております。  また、当日配布資料として「タミフルと異常言動との関係に関する厚生労働省の研究 「報告書」の取り下げを求める要望書」、当日配布資料No.2として「タミフルと異常言 動に関する「報告書」の適切な解釈と因果関係の確認を求める要望書」、当日配付資料 No.3として「参考 第1病日から第7病日までの7日間での薬剤投与と臨床症候の発現」 を配布させていただいております。  委員の先生方におかれましては、参考資料として「厚生科学審議会医薬品販売制度改 正検討部会報告書」と「重篤副作用疾患別対応マニュアル」の9冊の冊子を配布させて いただいております。以上です。 ○松本部会長 資料がたくさんありますが、よろしいでしょうか。不足している場合は 事務局にお知らせください。  それでは早速、議題に入りたいと思います。まず、議題1の「一般用医薬品の区分の 指定について」です。この議題の参考人としまして、日本薬剤師研修センター理事長の 井村先生、北里大学薬学部臨床薬学研究センター教授の望月先生に御出席いただいてお ります。両先生、どうぞ前の席にお移りください。よろしくお願いします。  一般用医薬品の区分の指定及び変更については、本年9月に開催された薬事分科会に おきまして、部会の規定の改正が行われ、本部会において審議することとされました。 この点を含めて、事務局から説明をお願いします。 ○企画官 総務課の関野でございます。私の方から資料に基づきまして説明させていた だきます。資料No.1-1〜1-8までをこの関連の資料ということで用意しております。その 都度、資料ナンバーを申し上げますので、その資料を御覧いただければと思います。こ の議題に関しましては、この部会で御審議いただくのは初めてですので、若干、制度改 正の背景も含めて、資料に基づいて説明させていただきます。  資料No.1-1は、本部会に対します諮問書ということで、改正後の薬事法に基づいて、 今から御説明申し上げます一般用医薬品の区分に関して、本部会に御意見を求めるとい う内容です。  資料No.1-2ですが、今回、一般用医薬品を制度改正の対象として、一般用医薬品に関 してA、B、Cの三つのいずれかに区分をして、A、B、C、それぞれに関して、販売 の際に情報提供をどのように行っていくか。義務なのか、努力義務なのかといった点。 そのほか、対応する専門家の区分に関しても、A、B、C、それぞれの区分に応じて販 売時に取り扱っていただくというように制度改正するものです。  この制度全般の施行に関しましては、法律が公布されてから3年以内となっており、 法律の公布が18年6月ですので、21年6月までに全体の制度が動き出すことになりま す。  今回この部会で御議論いただく点に関しては、A、B、C、法律の言葉で置き換えま すとAが第1類、Bが第2類、Cが第3類という呼び方をしますが、いずれにしても、 一般用医薬品をそれぞれリスクに応じて3区分し、どの製品がどこに該当するかといっ た指定の件に関して、この部会の意見を求めるという内容です。  したがって、この後説明する資料によりA、B、Cあるいは第1類、第2類、第3類 のいずれかに該当する内容に関して案をお示しいたしますので、その関連の説明をさせ ていただきたいと思っております。  最初に資料No.1-8ですが、今申し上げたような制度改正をこれから行っていく上で、 この議題に関してこの部会にお諮りする際に、医薬品等安全対策部会の所掌を9月に開 かれた薬事分科会の場で御検討いただき、この部会で取り扱っていただくことになった もので、その関連の資料です。後ほど規程の改訂の内容について御覧いただければと思 います。  資料No.1-3ですが、今申し上げましたように、一般用医薬品、市販されている薬に関 して、それぞれが第1類、第2類、第3類のどれに当たるかという、分類の作業の方法 を示した資料です。  「1.リスク分類の基本方針」ですが、市販されている製品を対象にするわけで、製品 として複数の成分が配合されている物が多いので、なかなか製品単位での分類が難しか ろうということで、製品に配合されている有効成分に着目しております。  この制度改正に関しては、医薬品販売制度改正検討部会という別の場において、既に 主立った485の成分を対象にして分類を作っております。その関連が、小冊子で配られ ている厚生科学審議会が平成17年12月にまとめた資料の中に出てまいります。具体的 には、24ページ以降に表という形で整理しております。これが、既に主立ったものを成 分に分解して、第1類、第2類、第3類に分けた実績です。  今回は、先ほど制度全体は3年以内の施行と申し上げましたが、リスク分類に関して は平成19年4月からこの指定が効力を発しますので、それまでに大臣が指定する成分を 告示するところまでの手続きが必要になってまいります。  そこで、主立った成分だけではなく、市販されている物すべてを対象にして今回その 成分を洗い出して、それぞれに関して第1類に当たるのか、第2類に当たるのか、第3 類に当たるのかを一つずつこなしてまいりましたので、その内容を御紹介させていただ きます。  「2.具体的なリスク分類の方法」ですが、既に主立った485成分について作業が行わ れておりますので、今回、全体の成分に関しては、(1)にありますとおり、検討部会で検 討された成分と化学的(化学構造)又は薬理学的(薬効)に同等か、類似かどうかといった 点に着目しました。さらに、(2)にありますとおり、使用方法、例えば飲み薬なら飲み薬 かどうか、塗り薬なら塗り薬かどうかといった投与経路の相違に着目して、検討部会で 既に分類された成分と同等と見ていいか、あるいは類似と見ていいか、あるいは全く同 等、類似とは言えない物かどうかというところで選別してまいりました。  その下に文章で書いてありますが、具体的な作業のイメージはこの資料の最後のペー ジに書いてありますフローチャートを御覧いただいた方が分かるかと思います。左上に 紫色で書いてあるのが販売部会でまとめられた、先ほどの冊子になっている分類表で、 右上の黄色い部分が今回すべての成分を洗い出したワークシートになります。この両者 をマッチングして、先ほど申し上げたとおり、(1)の成分が同じか否かということから始 めて、(2)にあるとおり、塗り薬か飲み薬かといった、使用方法が同じか否か。その中で 全く同じということで一つひとつが確認できていけば、(3)に流れていって、既に販売部 会で分類がなされているものになりますので、これは自動的に販売部会で整理された結 果と同じ結果を当てはめるという流れになります。  使用方法が全く同じではないという場面に出くわしたとしても、(4)でそれが類似かど うかという判断をして、類似ととらえることができる場合は(5)、そうではない場合にな れば、同じ成分の中で似ているものが見付からないということになりますので、(6)に流 れてまいります。そして、全く同じ成分ではないにしても、類似の成分ということに着 目した上で、(7)で使用方法が同じかどうか、あるいは類似かどうかを見て、同じか類似 であるならば、(8)、(9)になだれ込んでいきます。ここまでに入る物は、基本的に販売部 会で行った結果をそのまま踏襲する形で作業ができる範囲と考えられます。  (10)の、類似の成分がなく、また類似の使用方法がないケースに関しては、販売部会で 行った方法と同じ方法で、添付文書などにより情報を集めて、その情報を基に、販売部 会と同じルールを適用した上で、改めて第1類、第2類、第3類のどれに入るかという 形で作業しております。これが作業全体の流れです。  その結果が資料No.1-4でまとめてある物です。今申し上げたとおり、この分類に掲げ た物は、市販されている物すべての成分を洗い出しておりますので、トータルで2,578 になっております。ただ、この資料を御覧いただきますと、薬効群は違いますが、同じ 成分が何回も繰り返し登場しております。これはできるだけきめ細かい作業を行うとい う意味で、製品としての薬効群が違った場合でも、そこに配合される成分が同じ場合が ありますので、このシート上はそれぞれを別の形ということでリストアップしておりま す。その結果に関しましては、同じ第3類であれば第3類という形での結果になる物が 多くありますが、まずはきめ細かい、漏れのない作業をするという意味で、薬効群が違 えば成分は同じであっても一通り全部リストアップしたということで、このシートを作 成しています。  全体を説明していますと時間が足りませんので、1ページで一つ例を申し上げます。 No.1は点眼薬のL-アスパラギン酸カリウムで、投与経路は点眼です。これに関して「評 価済み」と書いてありますとおり、既に検討部会で第3類という評価が得られておりま す。No.2は同じL-アスパラギン酸カリウムですが、今度は内服になります。結論から言 いますと、点眼であっても内服であっても同じ第3類という評価が可能ではないかとい うことになっておりますが、「根拠」という欄に書いてあるとおり、L-アスパラギン酸 ナトリウムを根拠にした上で、第3類という結論を導いております。これはなぜかと申 しますと、No.10に内服薬でL-アスパラギン酸ナトリウムがあり、これは既に検討部会 で評価済みですので、この評価された第3類というものを、同じ飲み薬なら飲み薬とい うことで、ナトリウムかカリウムかの違いという意味で、このL-アスパラギン酸ナトリ ウムを根拠としてNo.2のL-アスパラギン酸カリウムを第3類といたしております。そう いう形で、一つひとつ一番近い物はどれかと探していくことを繰り返して、それぞれの 成分に関して分類案を決めていったというものです。  その結果としては、第1類の物が幾つ、第2類の物が幾つ、第3類の物が幾つという 形の方が分かりやすいことがありますので、資料No.1-5に区分別に並べ変えたものを用 意しております。1ページの1〜30まで番号が振ってある物が第1類に区分される物 で、1ページの下から何ページかにまたがって第2類に属する物が続いております。通 し番号と各分類ごとの番号の両方を付けてありますが、第2類の最後のページは24ペー ジで、通し番号で803、第2類の番号で773までが第2類に区分される物になります。 それ以降、最後のページまでが第3類に該当する物になります。したがって、延べの成 分数ですが、トータル2,578に関して、第1類の物が30、第2類の物が773、第3類の 物が1,775になります。  続きまして、資料No.1-6にまいります。市販されている一般薬に関して、成分に分解 して、今申し上げた資料の中で成分ごとに分類しておりますが、生薬の関係はなかなか そういうわけにいかないということで、検討部会でも生薬は切り出した形で、別のシー トに整理しております。  資料No.1-6の表の中の網掛け部分が検討部会で既に評価されたもので、残りの白い部 分を今回改めてそれぞれ内服と外用に分けまして、どの区分に該当するかを示したもの です。トータルで言いますと470種類出てまいりまして、それぞれ内服と外用に分けて 区分しておりますが、生薬に関して、第1類に当たる物はありません。第2類に当たる 物と第3類に当たる物で一通り区分がなされております。  誠に恐縮ですが、細かい一つひとつに関しては説明を省略し、後ほど不明な点を御質 問いただく形にさせていただきたいと思います。  資料No.1-3に戻っていただけますでしょうか。2ページに「4.生薬などの取扱い」が あります。生薬に関しては、資料No.1-6で御説明しましたとおり、別のシートを作って、 内服、外用それぞれについて区分いたしました。  「(2)その他」ですが、漢方処方製剤、消毒薬、一般用の体外検査薬に関しましては、 これも検討部会で既に得られた結果と同じことが書いてあります。漢方処方製剤であれ ばその種類にかかわらず第2類、消毒薬であれば第2類、殺虫剤であれば原則第2類で すが、劇薬に相当する物は第1類、一般用検査薬に関しては二つに分けて書いてありま すが、それぞれ第2類ということで、今回も検討部会の結論と同じ結論を導いておりま す。  それから、「5.その他」で書いてあるとおり、検討部会で検討した結果に関して、そ の後の状況が変わったケース、新しい知見が得られた場合、そのほか、後ほど説明いた しますが、薬効をまたがったところで多少区分が食い違っている物を正すということで、 幾つか修正をかけて変更しているものがあります。これに関して説明させていただきま す。  もう一度、資料No.1-4を御覧ください。8ページの255番、256番、テオフィリンとい う成分ですが、それぞれ二つの製品群に入っている物で、検討部会では第2類という結 論が導かれた物です。この検討部会の結論の後、小児における学会のガイドラインが変 更になりまして、医療用も含めて、量の関係で使い方が変わったことを踏まえて、新た に第1類に変更しております。医療用としての当初の使用方法に従って一般用になった 上で、一定の使用経験を積んだ上で第2類ということでしたが、医療用の使用方法が変 わってまいりますので、改めてしばらく使用経験を見ていくという意味合いが必要にな ってくるということで、第1類とさせていただいております。ちなみに、販売部会の中 で、第1類に当たる物は、一般用医薬品としての市販経験が少なく、一般用医薬品とし ての安全性評価が確立していない成分が該当するとなっており、それに当たる物という ことで、今回変更させていただきたいと考えたものです。  次は、11ページの340番、浣腸で用いるグリセリンです。これに関しては、当初第3 類でしたが、今回第2類にするというものです。その根拠としては、添付文書中で腸内 の出血を伴っている方に関して使用が禁忌になっており、販売部会のルールに照らし合 わせてみれば、こういった適用禁忌がある場合には第2類に当たるということです。そ ういった禁忌があることが分かりましたので、今回、第3類ではなくて第2類にすると いうものです。  同じく、343番の濃グリセリンに関しても、同じ理由で第2類としております。  次に、40ページの1,351番、アミノ安息香酸エチルです。これに関して、当初は第2 類でしたが、その前後に同じアミノ安息香酸があり、投与経路、使用方法に関しても外 用(塗布)ということで、同じ物が幾つか並んでいるのを御覧いただけると思いますが、 それらに関して第3類という結論が得られておりました。当初、1,351番の物に関して は第2類と結論付けられておりましたので、結果が食い違っているということで、どち らが正しいかを確認して、結果的に第3類に変更になるものです。  次は、45ページの1,497番、クエン酸鉄アンモニウムです。これに関して、当初は第 3類でしたが、その下にあるクエン酸鉄アンモニウム、更に下にあるフマル酸第一鉄が それぞれ第2類と結論付けられており、同じ鉄を補給するという意味で、同じ分類が適 当であろうということで検討した結果、第3類から第2類に変更するものです。  次は、56ページの1,894番、塩酸ネチコナゾールです。これに関しては、「根拠」の 欄に書いてあるとおり、本年、この部会でも既に御議論いただいたと思いますが、指定 医薬品の解除がされております。当初は第1類でしたが、一定の期間が経過した物とい うことで、指定医薬品の解除に伴い、第2類に変更になります。ただ、取扱いに関しま しては、使う方によってはかえって症状を悪化させてしまうということが検討部会の場 でもかなり議論されまして、とりあえずは、情報提供に関しては努力義務でいいけれど も、陳列の方法など、いろいろな工夫をして、専門家が間に入ることという意味の区分 で、第2類の「*」という形で表記しているものです。  1,899番の塩酸アモロルフィン及び1,902番の塩酸ブテナフィンも、同時期に指定薬 の解除がなされておりますので、今回、同じように変更するものです。  次は、58ページの1,955番、マレイン酸トリメブチンです。これに関して、当初は第 3類でしたが、安全対策上の措置ということで、重篤な肝障害を添付文書に記載するこ とになりました。したがって、検討部会でのルールの一つである、重篤な副作用がある 物は第2類という区分になりますので、第3類から第2類に変更するものです。  64ページの2,149番と2,150番、チモールです。こちらに関しては、上に書いてある イソプロピルメチルフェノールと同じもので、イソプロピルメチルフェノールは第3類 という結論が得られています。当初、チモールは第2類でしたので、どちらが正しいか を再検討して、ルールに従えば第3類であることが適当であろうということで、第2類 から第3類に変更するものです。  同じページの2,169番及び2,171番のヨウ化カリウムに関しても、そのページの下か ら次のページに掛けてあるヨウ素と同じような扱い方、一緒に配合されている場合が多 いのですが、ヨウ素に関して第3類という評価が得られていた一方で、ヨウ化カリウム が第2類となっておりました。これも整合をとるということで検討した結果、ルールに 従えば第3類ということになりましたので、変更させていただきます。  以上、あらかじめ販売制度の検討部会で議論した結果が既に公になっておりますので、 今日は改めて既に公になっているものから変更があったものを中心に説明させていただ きました。ほかにもいろいろ御関心の部分があるかと思いますが、時間の関係もありま すので、私からの説明は以上とさせていただきます。 ○松本部会長 ありがとうございました。厚生科学審議会の医薬品販売制度改正検討部 会で結論付けられた成分を基に、その類似性に従って、第1類、第2類、第3類と、そ れぞれの区分に分類されております。今回の作業を見ると、同じ成分であっても、製品 として属する薬効群が異なる場合は、別々にリストアップされておりまして、かなりの 時間と労力を要した作業であると感じております。一般用医薬品に配合されている成分 について、分類して、今後の販売制度改正につなげていくための作業が行われたためと 思いますが、何か御質問、御意見等はありませんでしょうか。 ○堀内委員 幾つか質問させていただきます。第一点は、資料No.1-5の127番、催眠鎮 静薬の塩酸ジフェンヒドラミンが第2類になっております。第2類ということは薬剤師 でなくても売っていいということになると思うのですが、催眠鎮静薬のような物につい ては薬剤師がきちんと管理し、説明すべき品目に当たるのではないかと思います。その 辺のお考えはどうなのでしょうか。 ○企画官 今、御指摘の成分に関しては、検討部会で既に分類がなされている物に該当 するわけですが、小冊子にも書いてありますとおり、第2類で「*」を付ける取扱いと いうのが結論です。 ○堀内委員 どの成分をどちらに分類するかという議論をしているのですね。全体とし ての議論ですか。それとも各項目についての議論もするのでしょうか。 ○松本部会長 御意見をいただければと思います。 ○堀内委員 なぜこうしたかという根拠を説明していただきたいということです。 ○企画官 これに関しては検討部会での作業になりますので、一つひとつの成分に関し て、医療用の添付文書も含めた情報を集めてきて、それに従って分類した結果、副作用 の面で重篤な副作用があるかどうか、相互作用の面で併用禁忌があるかどうか、小児や 妊婦も含めた方に対して適用禁忌という取扱いになっているかどうか、それに当たる物 が第2類という物です。それ以外、先ほども説明いたしましたが、市販されてから一定 の使用経験がないといったものに当たらない限りは、今のルールに則した形での第2類。 これは小児あるいは妊婦というところでの禁忌が特にある物になっておりますので、* が付いたという経緯です。 ○堀内委員 ありがとうございました。もう一点は、生薬成分です。ここは安全部会で すから、緊急安全性情報などの情報が出た物については、一定の配慮をすべきではない かと思いますが、先ほどの御説明では、そのことについては余り触れられておりません でした。  例えば132番のサイコですが、小柴胡湯などサイコを含有する医薬品については、1998 年ぐらいに間質性肺炎を起こすという緊急安全性情報が出ていると思います。サイコの 中のどの成分かはまだ明確になっていないと思いますが、サイトカインの産生を上げる などいろいろな報告はあると思います。これについては今でも十分に注意しなければい けないと思いますが、内服剤が第2類になっています。多くの薬局で売られていると思 いますが、これについても薬剤師がきちんと副作用の可能性についても説明しながら売 るべきであると私は思います。  それから、39番にオトギリソウがありますが、西洋オトギリソウも入るのでしょうか。 単にオトギリソウとなっていますが、西洋オトギリソウもここに入るならば、CYP2C9の 産生を上げるので、CYP2C9で代謝される薬物については、その動態に大きな影響を与え ることになります。私も時々ドラッグストア等を回ってみますが、それが一般の所に現 在も実際に売られています。薬剤師にその話をしますと、知らなかったということが多 く、情報が徹底していないところがあると思います。これについても安全性情報が出て いると思いますが、それをコピーして調剤薬局に送るなどして、薬局に置くようにした り、あるいは他の薬と隔離して置いたりする、販売を中止するなどの対策をする必要が あると思います。こういう薬については薬剤師がきちんと説明しながら売る、管理する ことが必要ではないかと思います。 ○松本部会長 この点についてはいかがですか。 ○企画官 オトギリソウに関しては、今回の作業において成分を洗い出す過程でオトギ リソウという記載でしたので、こういう記載にとどめておりますが、この後パブリック コメント等につながっていけば、実際に一般用医薬品の中に配合されている物が西洋の 物なのかどうかを個別に確認した上で、またその内容を確認していけたらと思っており ますので、御意見として承っておきたいと思います。  サイコに関しても、いろいろな一般用医薬品に配合されているという中で、とりあえ ず総じてこういう評価の方法で行った結果が、今回お示ししたものです。先ほど変更し たケースを幾つか御紹介しましたが、必要な安全対策なり、様々な状況変化に伴って、 そういった物は随時的確に把握した上で、区分を変えることはやっていくという中で対 応していく物もあるかと思います。 ○堀内委員 サイコについては、最初、小柴胡湯で間質性肺炎が起こると言われてきた わけですが、それ以外の物でもサイコが入っている生薬については間質性肺炎が起こる ので、成分としてのサイコが問題であると言われていると思います。したがって、今後 見直しをするときに是非考えていただければと思います。 ○松本部会長 ほかに御意見はございませんか。 ○児玉委員 前回の部会で、これに関連して、私の方から「1類から2類、2類から3 類もあるけれども、状況によっては3類から2類、2類から1類もあり得ますね」とい う御質問を申し上げて、「あり得ます」ということがありました。今日テオフィリンの 報告があったとおり、まさにその状況がございました。  そこで質問させていただきたいのですが、リスク分類は消費者の安全性を担保するた めにやっているわけです。今回、こうして分類がなされた。今後、当然2年あるいは3 年ごとに見直しがあると思います。多分これは今後の検討事項であると思いますが、再 分類のルール作りがある意味で非常に大事になってくると私は思うのです。  まず一つは、所管ということになってくると、この報告によると安全部会かとは思う のですが、機能的に対応しようと思えば、安全部会の中に、例えば小委員会なり、専門 委員会なり、ワーキングなり、そういったことをやはりお考えになるのか。  二つ目は、そうは言っても、緊急性のある物があります。緊急性で安全性がまずいと いう物は、2年、3年ごとというサイクルでは間に合わない場合があるわけです。その 辺はどのようにお考えになっていくのか。  三つ目は、再分類の変更のファクターであると思うのですが、先ほど御説明があった ように、今回のリスク分類は、基本的には医療用の添付文書に伴う分類です。したがっ て、テオフィリンは医療用の所でそのような兼ね合いが出て、それに対応した。それで 正しいと思います。今後ですが、その要素を踏まえて、例えばOTCの特性を踏まえた AUT(使用実態調査)なども加えながら、再分類のファクターとしていくということも あるのかどうか。そこはすべて今後の検討事項なので、お答えは大変難しいと思うので すが、その辺の考え方の整理が今後なされるのか。  もう一点、再分類となると、検査薬も漢方薬も当然それに入っていくわけですね。こ れは確認です。以上です。 ○松本部会長 いかがですか。 ○企画官 最初の点に関しては、今日御紹介した個別の事例の中で、変更があり得るこ とが確認できたという御意見として承っておくことにします。  二つ目に関しましては、安全性に関してどういったルール化を図っていくかというこ とと思いますが、今の段階では、変更がある際には安全対策部会の所掌というところま でが決まっているもので、具体的にどういう形がいいかというのは、この後いろいろ考 えていきたいと思います。今の段階で具体的にこの部会の下に何かを置くなどというと ころまでのアイデアがあるわけではありません。  変更する場合のファクターとしてAUTなどを用いたらということに関しても、ルー ルをこれから考えていく中で、どういうことを根拠にしてやっていくかということでの 一つの御提案かと思いますので、御意見として承っておきたいと思います。  それから、検査薬、漢方薬、そのほかも、一般用医薬品であれば全体がリスク分類さ れるわけですので、対象になると考えております。 ○安全対策課長 緊急対応を要する場合はどうかということですが、グループ分けは告 示の手続きを要するわけで、告示改正をするわけですが、安全対策の観点から緊急対応 が必要ということであれば、その時点でできる最善のことをしていきたいと考えており ます。 ○松本部会長 上田先生、どうぞ。 ○上田委員 同じ安全性の問題ですが、医療用医薬品ですと、副作用報告制度などのシ ステムがもうしっかり出来上がっています。もう一度確認したいのですが、副作用を報 告するのは、医師と薬剤師と会社ですか。 ○安全対策課長 今回、法改正をして、御案内のように、副作用の報告制度は、企業か ら報告を頂く場合と、医薬関係者から報告を頂く場合があります。企業の方は、当然O TCのメーカーも義務が課せられています。それから、医薬関係者として、今回、医師、 薬剤師等のほかに、登録販売者を報告義務の対象者に加えております。薬剤師は既にあ りますが、登録販売者というのは、資料1-2の(2)のテーブルの右下に「薬剤師又は登 録販売者」とありますが、資質を確認するための試験に合格し、一般用医薬品の販売に 当たる者です。そういった方にも副作用報告の義務を課しております。 ○上田委員 少なくとも2類であれば、「努力義務」ということは、最初から情報提供 はしなくていいということでしょうか。これは何回も蒸し返しになるかと思いますが、 「努力義務」という言葉自身があいまいな感じがするのです。 ○企画官 決してそういう意味ではありませんで、資料No.1-2で言いますと、Cと書い てありますが、そこが第3類との違いです。先生が言われたのは「不要」という所に言 葉としては置き換わると思いますが、あくまで努力ということで情報提供していただく という範疇です。そこに違いはあるかと思っております。  それから、区分が先行した形で整理されていきますが、その上で、それぞれに区分さ れた物を、それぞれのこの表に対応する専門家がどのように扱っていくかというところ は、全体の制度を完成させるまでの検討の対象になっております。その辺りは資質とい う面でとらえて、検討が引き続き行われますので、その区分に応じて、取り扱う際には どういった資質が求められるかという観点で議論を続けていきたいと思っております。 ○松本部会長 どうぞ、堀内先生。 ○堀内委員 今、薬剤師の処分を検討しております。今後は、重篤な副作用が起こった 場合に、薬剤師であったら、義務であれば処分の対象になるけれども、努力義務という ことであれば処分の対象にならないというとらえ方になると思います。その辺の関連も 含めて御検討いただければと思います。 ○松本部会長 ほかに御意見はございますか。どうぞ、倉田先生。 ○倉田委員 ルール作りのことが先ほども出ておりましたが、ルールがきちんと守られ ているかどうかのチェックをしていただきたいと思います。チェック機構も作って、き ちんとしていただかないと、せっかくルールを作っても意味がありません。今、指定医 薬品は薬剤師でなければ売ってはいけないことになっていると思うのですが、私どもは 薬局調査をしていまして、薬剤師以外の方が現在も売っている状況がかなりあります。 ですから、やはりチェックはしていただかないと困ると思います。よろしくお願いしま す。 ○松本部会長 もっともな御意見であると思いますが、事務局、何か御意見はあります か。承るということでよろしいですか。参考人として御出席いただきました井村先生、 望月先生、何かコメントはありますか。 ○井村参考人 販売制度改正検討部会の一員として、23回の会議をやりました。かなり の時間を掛けて検討を加え、ルールに関しても相当の議論をして、いろいろな立場の人 が集まっているところでやっと妥協点を見つけてという形で、報告書が出来上がってお ります。もちろん、メンバーによっては、そのルールは余りにも甘過ぎるという考えを 持つ人もいれば、もう少し緩くしてもいいのではないかと思う人もいると思いますが、 とにかく、安全性を確保することを最も大事な線として守って結論を出したと考えてお ります。  ただ、今、登録販売者の資質が問題になっておりますが、その資質を確保するという 点や、2類の*とただの2類とでは実際に売るときにどのように区別するのかというよ うな点で、極めてきちんとした対応をする必要があると思っておりますので、それは皆 様方で是非お考えを頂きたいと考えております。 ○望月参考人 私も部会で検討させていただいた立場として、先ほど先生方から御意見 としてたくさん出ていた、見直しをしていくということを、こちらの部会が所掌すると いうことですので、是非お願いしたいと思っております。そのためには、先ほど何人か の委員から御指摘がありましたように、見直しをするための情報をどのような形で集め ていくかというシステムのところが、一般用医薬品の場合はまだ十分とは言い難いもの があるのではないかと思いますので、そこも今後の検討の課題の一つではないかと思っ ております。  それから、努力義務というのはやらなくてもいいのではないかという話も先ほど出て おりましたが、そういう意味では、売る側の資質の向上というのは、教育サイドも含め て、これからきちんと考えておくべき事項かと思うと同時に、もう一つは、今回の制度 によるこの分類を、生活者の方が、一般用医薬品を購入するときに、この薬はどの分類 に相当するのだということをきちんと認識していただけるような情報提供というか、広 報活動というか、そこも非常に重要な点です。それをしていくことで、努力義務であれ 何であれ、消費者の方に、聞くという行為、情報を収集するという行為に行動を移して いただけるかというところも、今回の制度がうまくいくための一つの視点ではないかと 思っております。是非こちらの部会に、良い制度になっていくための御尽力をお願いし たいと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 私も、2類の*が付いている物というのは、作業される方にしてみたらリ スクが高いと思いながら、様々な事情の中で、恐らく1類にはできないから2類という 判断をされたのであろうと思います。ここで「*が付された物は、陳列方法を工夫する 等の対応が望ましい成分」と言いながら、それについては事実上Aに近い、説明をきち んとするなどをしていかないと、最初の分類で危惧された、要するに2類に*が付いて いることの差をどのように表示するのか。  それから、今後、1類、2類、3類というのは表示されると思うのですが、2類の* というのは何か特別な表示でも用意されるのでしょうか。一般の方にしてみたら、どの 物が*が付いている物で、特別に陳列方法を工夫しなくてはいけないのかが分かるかど うかということがあると思いますが。 ○企画官 平成19年4月施行の告示では、3分類の指定のところまでになりますが、表 示に関しては、3年以内の施行の中で考えていく課題で、今の御意見は、2類と2類の *も識別できるような違いを持たせるべきではないかという御意見であったと思います ので、その辺りを考えていきたいと思います。 ○松本部会長 ほかに御意見はございますか。どうぞ、田代先生。 ○田代委員 今の土屋委員の話と同じなのですが、1類、2類、3類の区別は、パッケ ージか何かで、消費者がすぐに分かるような表示が出されるのでしょうか。 ○企画官 説明が不足しましたが、その部分に関しては、今回、制度全体の議論の中で 挙げられているテーマですので、そうなる方向で考えております。 ○松本部会長 いろいろな御意見をありがとうございました。今回、一般用医薬品のリ スク分類については、本日の御意見を踏まえ、パブリックコメント等の所要の手続きを 進めていただければと思います。今後の予定はどうなっていますか。 ○企画官 今後については、本日の段階で諮問という形ですが、この後、できれば速や かに手続きを行った上でパブリックコメントに進みたいと思っています。通常、パブリ ックコメントの募集期間は1か月程度設けると思いますので、年をまたいだ段階で締め 切り、それで集まった意見を踏まえて、施行に向けて告示の形に仕上げていきたいと思 っています。その際には、改めて、年明けの安全対策部会に議題として提示し、そこで 見ていただいた上で最終的なものにしていくという手続きになります。その段階で答申 ということにつなげていければと考えています。 ○松本部会長 よろしくお願いいたします。それでは井村先生、望月先生、どうもあり がとうございました。御退席くださいませ。  次に進ませていただきます。議題2は、「医薬品等の市販後安全対策について」です。 事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」を御覧ください。平成 18年7月7日〜平成18年10月27日の間に指示をしたものについて御説明いたします。  まず、7月7日発出分です。大腸検査前処置の効能を有しますピコスルファートナト リウムについて、腸管閉塞、腸管穿孔等の副作用が発生したということで、「禁忌」の 項に「急性腹症が疑われる患者」に関する記載を整備し、「腸管に閉塞のある患者又は その疑いのある患者」を追記し、「慎重投与」の項に「腸管狭窄及び重度な便秘の患者」 「腸管閉塞のある患者」「高齢者」を追記し、「重要な基本的注意」の項に、腸管穿孔 等に至るおそれがあることに関する記載を整備いたしました。また、塩酸ゲムシタビン については、「重大な副作用」の項に「肝機能障害、黄疸」を追記し、沈降破傷風トキ ソイドについては、「重大な副反応」の項に「ショック、アナフィラキシー様症状」を 追記しております。ほか14成分について改訂の指示を出しているところです。  3ページに移ります。8月11日発出分ですが、塩酸アミオダロンほか6成分について 改訂の指示を出しているところです。  4ページに移ります。9月6日付け、ヘンナ及びヘンナ由来物を含有する頭髪用化粧 品類等について、パッチテスト等の実施に関する使用上の注意の改訂を指示しておりま す。  9月22日発出分ですが、塩酸アマンタジンについて、「禁忌」の項に「透析を必要と するような重篤な腎障害のある患者」を追記し、「用法及び用量に関連する使用上の注 意」の項に、腎機能が低下している患者では、腎機能の程度に応じて投与間隔を延長す る旨を追記し、「重大な副作用」の項に、ミオクロヌスについてを追記いたしました。 また、セフトリアキソンナトリウムについては、「重大な副作用」の項に、劇症肝炎の 記載を追記しております。ほか12成分について改訂の指示を出しているところです。  5ページに移ります。10月27日発出分ですが、リウマチの効能を有するカプセル剤 0.5mg・1mgのタクロリムス水和物について、「慎重投与」の項に「関節リウマチに間 質性肺炎を合併している患者」を追記し、「重大な副作用」の項に「間質性肺炎の悪化」 「糖尿病、高血糖」を追記いたしました。また、ゲフィチニブについては、「重大な副 作用」の項に、肝炎、黄疸についての記載整備をしております。ほか10成分について改 訂の指示を出しているところです。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。7月7日〜10月27日指示分の医薬品等の使 用上の注意の改訂について事務局から説明していただきましたが、御意見等はございま すか。ないようでしたら、次に進ませていただきます。  次の議題について、事務局から説明をお願いいたします。 ○安全使用推進室長 事務局から一言申し上げます。次の議題は調査会の報告でしたが、 参考人の先生の時間の御都合がございますので、その次の「リン酸オセルタミビルにつ いて」を先にお願いいたします。 ○松本部会長 そのような事情がありますので、「リン酸オセルタミビルについて」に 移ります。この議題の参考人として、東京大学大学院医学系研究科小児医学講座教授の 五十嵐先生、国立国際医療センター国際疾病センター長の工藤先生、横浜市立大学大学 院医学系研究科発生成育小児医療学教授の横田先生、統計数理研究所教授の藤田先生に 御出席いただいております。先生方、どうぞ前の席へお移りください。よろしくお願い いたします。それでは、事務局からこの議題についての説明をお願いいたします。 ○安全使用推進室長 リン酸オセルタミビルについて、資料No.2-3に基づいて御報告い たします。リン酸オセルタミビルについては、前回7月に行われた当部会以降に、「新 型インフルエンザに関するQ&A」の改訂、及び、米国及び欧州の動きがありましたの で、御報告させていただきます。  資料の1ページに記載されておりますように、本年7月10日に小児1例、成人9例の 死亡症例についての情報をQ&Aに追加しました。同じく11月10日に小児1例、成人 1例について追加しました。  欧米の動きですが、11月13日に、米国ロシュ社が米国における添付文書を改訂いた しました。11月17日に、欧州医薬品庁がプレスリリースを発出しております。  Q&Aに載せました小児及び成人の死亡症例の概略を2ページ以降に掲載しておりま す。2ページは、1月21日〜6月30日までの間に報告された小児の症例です。この1 例については、因果関係が否定的と評価されております。3ページは、7月1日〜10月 31日までの間に報告された小児の症例です。この1例については、医師の診断及び処方 によらずにリン酸オセルタミビルが投与されたもので、因果関係は評価不能とされてお ります。  4〜5ページは、1月21日〜6月30日までの間に報告された成人の症例です。因果 関係が否定できないとされた事例が、4ページの上半分の2例です。1例目はアナフィ ラキシーショック、2例目は肝障害、腎障害等です。その下から次のページまで7例あ りますが、これは因果関係が否定的とされた事例です。6ページは、7月1日〜10月31 日までの間に報告された成人の症例です。この1例は劇症肝炎の症例ですが、因果関係 が否定できないと評価されております。  これらを受け、7ページからですが、Q&Aの改訂をさせていただいております。症 例数等の数字が一部変更になっております。  10ページですが、米国におけるリン酸オセルタミビルの添付文書の改訂が行われてお ります。改訂といたしましては、「使用上の注意」の項目に「精神神経症状」を新たに 設置し、ここに書いてあるような文章を記載したということです。仮訳を記載しており ますが、「インフルエンザ患者においてタミフル服用後に発現した自傷行為や譫妄につ いて、市販後の報告(多くは日本)がなされています。報告は主に小児患者のものです。 タミフルのこれら事象に対する相対的な寄与は不明です。インフルエンザ患者は、治療 期間中は、異常行動の兆候について厳重に観察されなければなりません。」といった内 容の項目が米国の添付文書に記載されております。  13ページですが、欧州医薬品庁のプレスリリースの抜粋です。原文は14ページ以下 です。タミフルに関する更新情報ということで、薬事審査委員会(CHMP)において、 タミフルの精神神経障害に関する新規の安全性シグナルはなく、よって現行の医師への 処方情報を変更する必要はないという昨年12月15日に同じくCHMPが出した見解を 再確認したという内容です。説明は以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。小児の死亡例について、参考人として御出席 いただきました五十嵐先生、何かコメントはございますか。 ○五十嵐参考人 特にございませんが、症例を詳しく検討いたしまして、3歳の方は、 薬剤によるよりは、インフルエンザウイルスがダイレクトに、脳症あるいは心筋症など を起こし亡くなった可能性の方が高いのではないかと思います。10代の男性について は、服薬した後どのような経緯でこういうことになったかもよく分からない状況ですの で、判断できないと考えました。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。成人の死亡例について、参考人の工藤先生、 何かコメントはございますか。 ○工藤参考人 成人の場合は、この薬を飲んで死亡したということで、10例報告されて います。因果関係が否定できないとされた事例は、4ページの1番と2番、それから6 ページの1番の、計3例です。  1例目については、「事象」のところにありますが、アナフィラキシーショックとい うことで、読んでいただければそのような状況で、この薬によるものであろうと考えら れます。ほかの薬剤も使っておりますが、これは否定できないということになります。  2例目については、肝障害、腎障害、播種性血管内凝固(DIC)、多臓器不全という ことで、これもいろいろな薬を使っておりますが、その中の1剤、タミフルが否定でき ないということで、こういう分類になろうかと思います。  その後の、因果関係が否定的とされた7例は、いろいろな臨床経過を見てもはっきり しない。2番の40代男性は、インフルエンザ感染によって高熱、脱水、そして消化器の 症状が出て、出血ということで、これは違うであろうと考えられます。3番の80代女性 も、多くの薬剤が使われておりますが、一つとして、白血球減少までは薬剤との関係が 考えられますけれども、その後、血圧が維持困難となって、重症肺炎ということで、こ れも直接タミフルとは考えられない。見ていただければ分かると思いますが、症例4、 5、6、7は否定的ということです。  6ページの50代男性は、複数の薬剤が使われておりますが、急性肝炎になって、劇症 肝炎、人工透析、呼吸管理ということで、一つの薬剤として本剤が引き金になった可能 性があるということで、否定できないと思われます。  いずれにしても、この因果関係が否定できないとされた3例は、今まで報告されてい るこの薬剤の副作用の記載内容に統括される副作用ということで、総括できるかと思い ます。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。それでは、平成17年度厚生労働科学研究「イ ンフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究」について、参考人の横田先 生から説明をお願いいたします。 ○横田参考人 私どもが、新型インフルエンザを憂慮し、御存じのとおりエイリアンウ イルスH5N1ですが、この流行が人間界で起こったときに、小児での爆発的な発生と いうことも考慮し、その流行に備えて行った調査が、今回の厚生労働省のインフルエン ザの随伴症状調査です。  残念ながら、我が国ではこれまで小児のインフルエンザ流行時にどういうことが起こ るかという調査は全くなされていなかった状況にあります。これを調査するに当たり、 まず随伴症状、それからどういう薬剤が使用されているかという状況の調査を行うこと にいたしました。もう一つ、この調査の仕掛けとして、担当する医師へのアンケートと、 病児の家族へのアンケートという、2段階のアンケート調査を組みました。それは、患 者に密に接している方への調査ということで、より正確な情報が得られるであろうとい うことでした。  その結果、随伴症状として、45ページの「(1)臨床症候の発現の有無」にあるように、 けいれん、熱性けいれん、意識障害、肺炎、クループ、中耳炎等が大体1〜2%の割合 で出ていることが分かりました。したがって、インフルエンザの流行時に、インフルエ ンザそのものへの対処と同時に、こういう併発症へ目を向けないといけないということ が分かってまいりました。  また、「(2)薬剤使用の有無」にあるように、薬剤として、抗生物質の使用が予想して いたよりも随分少ない頻度であったことが分かったことと、逆に、オセルタミビル、こ れはタミフルという商品名ですが、これが90%の子供へ投薬されていることが分かりま した。そうしますと、なぜオセルタミビルが90%かという問題があるのですが、インフ ルエンザの迅速診断法が普及し、そして診断が確定した後に治療薬を使うというのが医 療の原則ですので、そういう意味でのインフルエンザ治療学が出来上がりつつあるのか と思いました。また、アセトアミノフェンは約40%の子供に使われていました。  それで、薬剤の使用時と非使用時の間で随伴症状の差がないかどうかをチェックいた しました。多数使われていたアセトアミノフェンとオセルタミビルについて見ますと、 アセトアミノフェンでは、発熱に対しての有効性が非常に高いことが当然ながら分かり ました。同時に、異常言動との関連性も否定できない事実で出てきております。  先ほど言い忘れましたが、随伴症状の中で、ほかのものが大体1〜2%の発生率であ ったのに対して、異常言動としてとらえられるものが10%もあったということで、これ についての解析も今後必要であろうと思います。  そして、オセルタミビルを使っている例で、いろいろな随伴症状との関連を調べてい きますと、肺炎に対しての有効性が非常に高いことが分かったことと、異常言動との関 連を調べていきましたら、使用時と非使用時の間での差異は実はないことが分かりまし た。  今回の調査は、調査票の回収率を上昇させる目的で、1日を大きく午前、午後、夜間 と3分割し、それについて7日間の記載をお願いしたという経緯がありまして、例えば 薬剤の内服と症状発現がいずれも午前中に発生したとすると、どちらが先か不明である という調査の限界がありました。こういう限界を乗り越えるために、今年から来年にか けてのシーズンでは、この辺の調査が十分に行われるようなプロトコルを組んでおりま す。  なお、ここで調査された異常言動の内容については、インフルエンザ脳症の研究班で ある森島班から既に1998年〜1999年に発表されているものと大変近似したもので、こ の時期は、オセルタミビルがまだ薬品として認可されていない時期です。この時期に同 様の異常言動があったということも申し添えておきます。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。参考人の藤田先生、何かコメントはございま すか。 ○藤田参考人 余り補足することはないのですが、資料の37ページと39ページに調査 票があります。横田先生からも御説明がありましたが、1日を3区分して、発熱後第7 病日までこういう形で調べました。報告書としては、これ以降、ずっと集計が出ており ますが、実際は、より詳細な集計をしております。30ページにその要旨がありますが、 研究班としてはこのような要旨を取りまとめたということです。 ○松本部会長 ありがとうございました。御質問、御意見等はございますか。よろしい でしょうか。  本件に関しては要望書が提出されているようですが、事務局から簡単に説明をお願い いたします。 ○安全使用推進室長 当日配布資料として「タミフルと異常言動との関係に関する厚生 労働省の研究「報告書」の取り下げを求める要望書」、当日配布資料No.2として「タミ フルと異常言動に関する「報告書」の適切な解釈と因果関係の確認を求める要望書」と いう、2通の要望書をお手元にお配りしております。最初の方は11月17日付け、No.2 の方は11月29日付けです。  両要望書についてはかなり重複する内容ですが、11月29日付けのNo.2の要望書を御 覧ください。これについては、表題にあるように、因果関係の確認を求めるということ で、厚生労働大臣を始め、部会委員各位も宛先とされております。  2ページになりますが、「要望事項」として挙げられておりますのは、報告書を適切 に解釈することということで、「2.タミフル未使用確実例と、タミフル既使用者の比較 で、インフルエンザ発症初日の昼には有意にタミフルの異常言動が高率である」といっ た内容を主張しておられます。それから、「7.タミフルの異常言動発症の害について警 告をするとともに、タミフル使用に関する益と害のバランスを再考し、適切な情報を国 民に周知すること」、「8.新たな調査を実施する前に、第三者によるデータの再解析を し、再調査の必要性そのものから議論すること」というような要望です。  3ページに「5.FDAの報告は実質的に因果関係を強く認識している」という記載が ありまして、後ろの方の参考資料-2にその詳細な御主張が記載されております。しかし ながら、FDAの添付文書の改訂については先ほど御説明したとおりですが、この内容 については、我が国の添付文書における「警告」あるいは「重要な基本的注意」に相当 すると考えられるボックスワーニングやワーニングの項ではありませんで、より注意喚 起レベルの低いプリコーションの項に記載されているものです。また、精神神経症状に 対するタミフルの寄与の程度は不明であるということがはっきり記載されております。  これに関連して、研究班の横田先生、藤田先生からデータの表をいただいております ので、当日配布資料No.3としてお配りしております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。この要望書に対して、横田先生、藤田先生、 御意見があればお願いいたします。 ○藤田参考人 当日配布資料のNo.1とNo.2で主張が少し違ってくるところがあるのです が、主張の根拠になっているのは当日配布資料のNo.1の3ページのところです。これは 資料No.2-3の49ページを引いております。今回の調査は第7病日までについての調査で、 ここの主張は第1病日の昼に限定して展開しています。この調査では、発熱した日を第 1病日としておりますが、発熱時刻は正確には調査しておりません。  異常言動については、第1病日の昼には22例発現しておりますが、全体では309例の 発現ということで、数としては非常に少ない。確かに、第1病日の昼では、4倍ぐらい のリスクの増大になっています。しかし、ほかの時期ではリスクは増大していません。  発熱時刻が不明ですので、本当にそのリスクが増大するならば、第1病日の昼だけで はなくて、第1病日の夜あるいは朝でも、初期のところで整合性のある形で増大するは ずですが、その傾向は見られない。  それから、アセトアミノフェンについて言えば、同じ時期について、タミフルは4.3 ですが、アセトアミノフェンは5.4になります。ですので、データの一部に限って言え ばリスクは増大しているということで注意は必要なのですが、ここの部分だけを取って タミフルは危険であるという結論にはならないと思います。  ちなみに、第2病日までの短期間に限って解析しても、相対リスクはほとんど変化し ません。アセトアミノフェンについては、異常言動のほかにけいれんや意識障害でもリ スクの増大が見られていて、タミフルとの併用の影響を調整した解析結果でもむしろま だリスクは残る。タミフルだけが問題であるということにはなりません。今年度は、時 間関係を含めて、詳細な調査を予定しております。 ○松本部会長 ありがとうございました。全体を通して、御質問、御意見はございます か。どうぞ、田代先生。 ○田代委員 横田先生に質問させていただきます。インフルエンザに関連した脳症の場 合にこのような症状が以前からも報告されていたということでしたが、今までインフル エンザ脳症は1歳〜5歳ぐらいを中心にしていたと思うのです。今回報告されている例 は、比較的年齢が高い場合が、新聞などに出ていたと思いますが、それについてはどの ように考えておられますか。 ○横田参考人 先ほどの資料を御覧いただければ分かるのですが、今回の調査は小児科 医を対象にしたもので、10歳までが限界であったのです。次の調査では、内科医の先生 に御協力いただいて、18歳ないし20歳までの子供の調査をしようと考えております。 ○松本部会長 ほかにございますか。よろしいですか。今年も調査を続けるそうですの で、より正確な情報が得られるよう、よろしくお願いいたします。それでは、この議題 はこれで終了させていただきます。参考人の先生方、どうもありがとうございました。  では、一つ前に戻りまして、「平成18年度第1回安全対策調査会の審議結果につい て」、事務局から説明をお願いいたします。 ○安全使用推進室長 資料No.2-2に基づき御報告いたします。資料No.2-2は、平成18年 度第1回医薬品等安全対策部会安全対策調査会の御報告です。去る10月19日に調査会 が開催されております。議題については、1ページに記載のように、ゲフィチニブに関 する研究報告結果等についてです。2ページに出席者一覧が載っております。  この調査会で御審議を頂きました結果報告書が8ページ以降にありますが、「非小細 胞肺癌患者におけるゲフィチニブ投与及び非投与での急性肺障害・間質性肺炎の相対リ スク及び危険因子を検討するためのコホート内ケースコントロールスタディ」というこ とです。  この結果報告書の内容についてまとめたものが47ページにあります。このケースコン トロールスタディの結果として、ILDと言いますのは急性肺障害及び間質性肺炎のこ とですが、ILDの粗累積発症率が3.0%で、そのうちゲフィチニブ投与例が4.0%、そ の他の化学療法剤投与例が2.1%です。  その治療法間の調整オッズ比として、3.23という数値が出ております。この調整オッ ズ比ですが、投与開始後最初の4週間に限ってみますと若干上がっていて、3.80となり ます。  それから、治療特異的な危険因子は見付からなかった、すなわちゲフィチニブ投与に 特異的な危険因子はなくて、その他の化学療法も含め、同様の事項が危険因子であった ということです。  ILDによる死亡率については、ゲフィチニブ投与例でのILD発症例については 31.6%、その他の化学療法剤投与例については27.9%ということで、特に差はなかった。 ゲフィチニブ投与例全体で1,872例ということですが、治療関連死が1.6%という結果 であった。このように結果がまとめられるということです。  それから、48ページに、ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作 用報告の報告月別の報告件数及び死亡件数が、平成18年9月の分まで出ております。49 ページでは、参考資料No.5として、ゲフィチニブ検討会において検討結果を頂いたわけ ですが、その検討結果に基づく対応ということで、アストラゼネカ社からの報告を頂い ております。  これらの資料について御審議を頂きました結果、調査会においては従来から、他の化 学療法剤に比べて、ゲフィチニブを投与した場合の方が間質性肺炎を発症しやすいとい うことが分かっていたわけでありますが、今回の調査結果によって改めて、数値的なも のを含めてそれが認められたものと考えられます。  したがって、今回の調査研究結果によって新たにゲフィチニブに係る重大な安全性情 報がもたらされたわけではなく、ゲフィチニブについては引き続き従来どおりの安全対 策を継続することでよい。なお、今回の調査研究結果については医療関係者等に対し適 切に情報提供すべきであるということを結論として頂いております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。何か、御質問、御意見等はございますか。先 ほど事務局が結論付けたような結果になったわけであります。「ゲフィチニブ検討会に おける検討結果に基づく対応について」は定期的に報告されることになっておりますの で、企業から報告があれば、事務局は、次回の部会で報告をお願いいたします。どうぞ、 倉田先生。 ○倉田委員 今回の調査研究結果とは少し違うのですが、アストラゼネカ社のWebに ついてで、医療者向けのイレッササイトに研究報告が載っているかどうかを見ようとし ましたら、登録していないと見られないようになっていました。しかも、医療者しか登 録できないようになっていました。ところが、アメリカのアストラゼネカ社のイレッサ サイトは医療者向けのページを誰でも見ることができるようになっていて、同じ会社で あるのに情報提供の体制がどうして違うのかと思いました。  例えば国立がんセンターのがん情報も、患者向け、医療者向け、がん診療連携拠点病 院向けの三つに分かれているのですが、誰でも見ることができるようになっています。 難易度や情報の内容によって分類はしてありますが、患者に情報を隠していないという ことが言えると思います。患者にとっては、見たいのに見られないとなっていると、不 安をかき立てると思うのです。  肺がんでイレッサの治療を受けている友人がいるのですが、その人も、医師から説明 はされているのだけれども、医療者向けの情報があったら何でもいいから教えてくれと 何回も聞いてきます。患者はとても不安になっていて、そういう人がイレッサの医療者 向けのサイトを見ようとして開かないと分かったときにどういう気持ちになるでしょ う。もしかしたら何か都合の悪いデータを隠しているのかというような邪推というので しょうか。抗がん剤を服用している患者は情報を隠されるととても不安になるので、公 開していただきたいと思いました。 ○松本部会長 その辺は、よろしく御指導をお願いいたします。  それでは、次に進ませていただきます。議題3は、「医薬品等の副作用等報告の状況 について」です。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.3-1について御説明いたします。薬事法第77条の4の4の規定に基づ く薬事・食品衛生審議会への報告について、今回は平成18年4月1日〜平成18年8月 31日までの5か月間に受け付けた副作用・感染症等報告の状況について御報告いたしま す。  まず、1.製造販売業者等からの医薬品等の副作用・感染症等報告です。(1)国内症例 の報告状況ですが、医療用医薬品の副作用報告は10,344件、医療用医薬品の感染症報告 は100件でした。また、一般用医薬品の副作用報告は109件でした。  (2)外国症例の報告状況です。薬事法施行規則において、国内承認の医薬品と成分が 同一で、海外で販売されているものに係る同様の副作用の報告について報告されたもの です。報告件数は一般用医薬品と医療用医薬品の合計数ですが、副作用報告は31,104 件、感染症報告は20件でした。  (3)外国での新たな措置の報告状況です。これは、国内承認の医薬品と成分が同一の 海外の製品において、海外において回収やその他添付文書の改訂等の重要な安全性の措 置が採られた場合に報告する規定です。本規定に基づく報告件数は181件でした。  (4)研究報告の報告状況です。国内の医薬品、あるいは海外で売られている成分が同 一のものの副作用等により、がん等の重大な疾病が発生するおそれがあるなどの報告に よる文献等です。報告件数は405件でした。  2.は、医師、薬剤師、歯科医師等の医薬関係者からの医薬品の副作用・感染症報告で す。本報告は1,535件でした。  副作用・感染症報告の集計結果についての留意点です。本副作用・感染症報告につい ては、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者や医薬関係者から報告され たもので、個別に医薬品との関連を評価したものではありません。  本件数については、本報告期間に提出されました件数を示しているもので、同一の症 例に複数あり、複数の企業から報告されている場合、重複してカウントされています。 また、報告件数については、報告者が本報告期間中に報告した後に、本報告期間中に追 加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更になった場合については、その 件数から除外しております。  資料No.3-2、3-3の報告件数は、副作用名別の件数を示したもので、1症例で複数の副 作用を発現する場合がありますので、報告件数を合計した数が報告症例と一致している ものではありません。資料No.3-2、3-3の副作用名は、用語の統一のためICHにおける MedDRA/Jを使用しております。資料No.3-4の感染症報告については、症例ごとに、被疑 薬及び感染症名を記載しております。  資料No.3-1の補足資料として、医療用医薬品の副作用報告については資料No.3-2、医療 用医薬品の感染症報告については資料No.3-4、一般用医薬品の副作用報告については資料 No.3-3、外国での新たな措置の報告状況については資料No.3-5、研究報告の報告状況につ いては資料No.3-6について、別途内容を配布しております。  これら製造販売業者又は医薬関係者から報告された副作用・感染症研究報告、措置に ついては、医薬品総合機構で調査、検討、整理の上、機構の専門家の意見を聴いた上で、 必要に応じて薬事・食品衛生審議会、当部会の委員の先生に聴きつつ、関係部署との調 整を図った上で、必要な安全対策を行っているところです。以上です。 ○松本部会長 何か、御質問、御意見等はございますか。よろしいようでしたら、この 報告を了承することといたします。  続きまして、議題4は、「医薬品の感染症定期報告の状況について」です。事務局か ら説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.4-1、資料No.4-2に基づいて御説明いたします。薬事法第68条の8に 基づく感染症定期報告の状況についてです。資料No.4-1は、平成18年4月1日〜平成18 年8月31日までに生物由来製品の製造販売業者から報告された定期報告について、報告 登録順に表にして並べたものです。合計で383の報告が寄せられております。こちらを 文献ごと又は感染症ごとにまとめ、重複などを整理したものが、資料No.4-2の報告文献 別一覧表です。今回も、資料No.4-2の一覧表に基づいて概略を御説明させていただきま す。  今回の報告では、およそ30の感染症に関して180件程度の文献が提出されております。 文献が提出された主な感染症は、トリインフルエンザ関係、クロイツフェルト・ヤコブ 病、ウイルス性肝炎、ウエストナイルウイルスというような報告です。論文につきまし ては、事前評価委員の先生方に御確認を頂いております。国立感染症研究所の宮村委員 と御相談しながら、研究所の先生方にコメントをお願いするなど、措置を講ずる必要性 を含めて御意見を頂いてまいりました。  今回の文献等について、主なものを簡単に御紹介いたします。資料の1ページ〜2ペ ージに掛けては、ウイルス性肝炎に関する報告が続いております。資料の3ページでは、 ウエストナイルウイルスに関する米国における状況などが報告されております。4ペー ジ〜6ページに掛けては、トリインフルエンザに関する海外での感染などの報告です。 トリインフルエンザに関しては、各国トリインフルエンザの発生が医薬品製造に与える 影響、可能性について、事前評価委員の先生方からは否定的な御意見を頂いているとこ ろです。  7ページ〜8ページに掛けてはBSE関係の報告、8ページの後半からは変異型クロ イツフェルト・ヤコブ病関連の報告が続いています。8ページの87番ではプリオンの分 析法に関する報告、9ページの97番ではプリオンの不活化に関する報告が寄せられてお ります。10ページ〜11ページに掛けても、プリオンの増幅法に関する検出法の報告、103 番ではプリオンの凝集体のサイズと感染性に関する報告などが続いております。12ペー ジからはウイルス感染の報告、そのほか海外での感染の報告などが続いております。  これらの概要について事前評価委員の宮村委員、甲斐委員、山口委員に御覧いただい たところ、「今回は目立って措置が必要な報告は見当たらないが、今後とも引き続き注 目して、情報収集に努めるように」ということです。資料の説明は以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。このことは、事前に、宮村委員、山口委員、 甲斐委員が御覧になっているとのことですが、まず、宮村委員から、何か追加のコメン トはありますか。 ○宮村委員 今回の報告について、特段の措置が必要な報告は見当たらないと思います。 市販後の安全対策として、感染症定期報告の重要性は、メーカーが常日ごろ自ら情報収 集し、その情報を社内で評価、検討し、そしてリスクを認識した際には直ちに必要な安 全対策を実施することが大切であり、重要な情報を見落とさないことが必要であると思 います。  今回の論文の多くは海外での感染症の発生や流行を報告したものですが、生物由来製 品に関して言えば、生物製剤基準を守り、きちんとプロセスバリデーションが行われて いる血漿分画製剤や動物由来製剤であれば、これらを介して、今回の報告の中で、人間 の世界に直接入ってくる危険性を指摘しているものはないと思います。また、それに伴 い、病原物質の検出、除去のために、方法の研究開発はこれからも引き続き一生懸命行 うべきであると考えます。 ○松本部会長 ありがとうございました。山口先生、いかがですか。 ○山口委員 事務局から説明がありましたように、感染症定期報告では、今、問題にな っている感染症についての報告状況を非常によく集めていただいていると思います。今、 宮村委員がおっしゃいましたように、特段今回の報告で何らかの対応が必要なことはな いと思います。  ただ、今回も異常プリオンの不活化や検出法に関して幾つか報告がありますが、こう いう情報は非常に大事ですので、今後もこういう情報を集め、その情報の共有が医薬品 の安全対策上も非常に有用かと思いますので、今後も続けていただきたいと思います。 そのほかについては、事務局の報告どおりで結構かと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。事務局、よろしくお願いします。甲斐先生、 いかがですか。 ○甲斐委員 私も、今回特に措置が必要な報告は見当たらないと思いました。ただ、プ リオンに関しても、基礎的な情報ですが、早期診断を可能にするような基礎的な研究が 出ておりますし、今後、有用な情報となると思います。また、人獣共通感染症の発生状 況などは重要な情報ですので、引き続き情報収集に努めていただきたいと考えておりま す。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。そのほかに御意見はありますか。この度は新 たな対応は必要ないということですが、よろしければ、この報告を了承することといた します。  議題5は、「その他」です。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 議題5です。資料No.5-1は「医薬品又は医薬部外品たるいわゆるドリンク剤 等中のベンゼンについて」というもので、既に措置済みのものですが、簡単に御報告さ せていただきます。  1.経緯ですが、安息香酸とアスコルビン酸が、ある条件下で反応し、生成機構は不明 ですが、ベンゼンが生成する可能性があるという情報がありました。そこで、食品の分 野においても、分析結果が公表又はQ&Aが公表されたということです。  2.医薬品又は医薬部外品たるいわゆるドリンク剤等についての分析結果ですが、流通 しております21製品について、国立医薬品食品衛生研究所に分析を依頼しました。その 結果が四角い表です。21製品のうち1製品について10ppbを超える検出値が得られてお ります。また、国衛研だけではなく、念のため製造販売業者においても測定を依頼して おりますが、ほぼ同様の結果が得られております。  2ページの3.今後の対応ですが、記載しているとおり、「WHO飲料水ガイドライン」 又は我が国の水道法に基づく基準値10ppbを超えたものが、1製品あったということで す。こちらの製品については、直ちに健康への影響が懸念されるものではないと考えら れるわけですが、当該製造販売業者から、当時、自主的に回収を行う旨の報告を受け、 実際に回収がなされたところです。  厚生労働省といたしましては、現在把握しておりますドリンク剤について分析し、必 要な対応を講じたところですが、今後とも国内外の関連情報の収集に努めてまいりたい ということです。以上です。 ○事務局 引き続き、資料No.5-2「重篤副作用疾患別対応マニュアルについて」を御説明 いたします。医薬品の副作用は、医薬品を使用する臨床医の専門分野とは異なる臓器に も発生し得ること、重篤な副作用の発生頻度は一般に低く、個々の臨床医によっては副 作用に遭遇する機会が少ない場合があり得ることなどから、場合によっては発見が遅れ、 重篤化することもあります。  このため、昨年度より、医薬品ごとに、発生した副作用を収集・評価し、臨床現場に 注意喚起する従来の安全対策に加え、医薬品の使用により発生する副作用疾患に着目し た副作用対策の整備を行う「重篤副作用総合対策事業」の一環として、関係学会と日本 病院薬剤師会の専門家に御協力を得て、患者及び医療現場の医師、薬剤師、看護師など が活用する判別法、治療法を包括的に取りまとめた「重篤副作用疾患別対応マニュアル」 の作成を進めているところです。  昨年7月の第1回重篤副作用総合対策検討会において、マニュアルの作成について御 検討いただき、重篤度などから判断し、必要性の高いと考えられる副作用として、表1 「作成対象副作用疾患」、表2「マニュアル記載項目」がまとめられております。先般、 表1の*の付いた9つの疾患についてマニュアル案を作成し、今年10月の第2回重篤副 作用総合対策検討会において御議論を頂き、御意見を基に修正したものを11月21日付 けで公表いたしました。御参考までに、作成したマニュアルを机上に置いております。  また、第2回検討会において、ネフローゼ症候群など15疾患について追加作成するこ ととされました。今回完成しましたマニュアルは、厚生労働省及び医薬品医療機器総合 機構のWebサイトにて公表するとともに、都道府県、日本医師会、日本薬剤師会、日 本病院薬剤師会などへお知らせしております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。この二つの議題に関して、御発言はございま すか。 ○倉田委員 このマニュアルを全部拝見したわけではないのですが、スティーブンス・ ジョンソン症候群だけ見せていただいて、これは非常によくできていると思いました。 「患者の皆様へ」だけではなく、「医療関係者の皆様へ」として書き進められています。 スティーブンス・ジョンソン症候群については、ほかの文献と幾つか見比べてみました ら、このマニュアルが私のような一般の者には一番分かりやすく説明されていたように 思います。自覚、他覚的な初期症状から時系列に症状の変化や治療法などが説明されて いて、非常に参考になりました。  今度は、これをどのように活用していただけるかというところになると思います。例 えば病院の図書館や待合室、診療所の待合室、それから薬剤師が患者に副作用の説明を するときにこれを使って大いに役立てていただきたいと思います。大変良いものを作っ ていただいたと思います。ありがとうございました。 ○松本部会長 倉田委員が言われるように、大変良くできておりますので、よく利用し ていただきたいと思います。ほかに御意見はございますか。事務局から、ほかに何かあ りますか。 ○安全使用推進室長 一点、御報告をし忘れたところがあります。前回の部会で、ゲフ ィチニブの検討結果に基づく対応について何点か宿題を頂いておりましたので、御報告 させていただきます。  一点目は、新規患者に対しての遺伝子検査の実施状況ですが、アストラゼネカ社に確 認したところ、残念ながら、現在、確実な情報は持っていないということでした。ただ、 本年9月に、アストラゼネカ社が主催しているシンポジウムに参加した医師にアンケー ト調査を行ったということです。その結果、日常的にEGFR遺伝子変異の測定を行っ ていると答えた医師が約8%、患者の希望に応じて測定するという答えが約19%、臨床 研究としてのみ測定している方が約24%で、約49%については測定していないという結 果であったとのことです。  二点目は、イレッサを使用している施設のうち、専門病院あるいは非専門病院の状況 についてですが、今回の資料No.2-2の50ページにある、調査会で配布させていただいた 資料に記載のとおりということです。表として、施設数の数字が出ております。一番下 ですが、施設数の合計が1,754で、そのうち、がん専門病院が205、学会会員が所属す る施設が1,202、それ以外の所が347です。  三点目は、IPASS試験です。50ページの一番下にc.IPASSと書いてありますが、これ は、日本とアジアでの共同試験です。この実施状況ですが、11月28日現在で、日本人 の登録症例数は103例という報告を受けております。ちなみに、日本人の登録目標症例 数は約200例ということで、登録完了まであと1年ほど掛かるのではないかという報告 を受けております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。宿題を出されたのは堀内委員であったと思い ますが、よろしいですか。 ○堀内委員 結構です。 ○松本部会長 本日用意いたしました議題はこれですべてです。全体を通じて御発言は ございますか。ないようでしたら、これで本日の部会を閉会とさせていただきます。本 日は、長い間どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 丈達(内線2748)      - 1 -