06/11/30 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 第33回議事録 第33回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時 平成18年11月30日(木)16:00〜18:00 2 場所 厚生労働省13階 職業安定局第1会議室 3 出席者    委員  公益代表 :諏訪委員、中窪委員        雇用主代表:相川委員、塩野委員、中島委員、原川委員、輪島委員        労働者代表:栗田委員、豊島委員、長谷川委員、古川委員、三木委員    事務局 鳥生職業安定局次長、宮川雇用保険課長、田中雇用保険課課長補佐、        戸ヶ崎雇用保険課課長補佐、金田雇用保険課課長補佐、長良雇用保険課        課長補佐 4 議題 雇用保険制度の見直しについて 5 議事 ○諏訪部会長 ただいまから第33回の雇用保険部会を開会いたします。本日は大沢委 員、中馬委員、林委員がご欠席です。また、原川委員と塩野委員が少し遅れていらっし ゃる予定です。それでは、議事に入ります。本日の議題は雇用保険制度の見直しについ てでございます。本日は、事務局のほうで前回の雇用保険部会での宿題に関する資料及 び雇用保険制度の見直しの素案を用意いただいております。そこで、これらをめぐって ご議論をお願いしたいと存じます。初めに、資料1について事務局からご説明ください。 ○田中雇用保険課課長補佐 資料1に基づきまして、前回の部会でいただいた宿題につ きましてご説明いたします。前回いただいた宿題は2点でした。まず、1点目です。資 料1の1頁、週の所定労働時間20時間未満の方は雇用保険の適用がない方ですが、ど のぐらい推移しているのか。増えているのではないか、あるいは若い方でそういう方が 増えているのではないかというご指摘がありまして、経年的にデータを見せてもらいた いという宿題がありました。平成元年から平成17年まで、昨年までの17年間ですが、 週の所定労働時間が20時間未満の方について各年齢層に分けて推移を掲載いたしてお ります。平成元年から平成17年までの間に週の所定労働時間20時間未満の方、正確に 申しますと労働時間20時間未満の方という統計ですが、増えております。全体で2倍 以上に増えているということです。各年齢層を見てみますと、それぞれの年齢層で2倍 前後に増えているという状況です。特段の若い方あるいは高年齢者の方が突出して増え ているということではないと思っております。原因についてはいろいろな状況が考えら れるかと思いますが、このようなデータになっております。  2つ目の宿題です。前回、失業等給付の財政収支の試算をお示ししたところですが、 その中で2点修正をして再度試算をやり直してもらいたいという宿題がありました。1 点は、雇用保険料率を1.4%ではなくて1.2%まで引き下げるとどうなるかということで す。それから、雇用情勢のケースを前回はケースA、ケースB、ケースCということで お示ししました。ケースCは非常に厳しい、いままで経験したことのないような未曾有 の状態ということでしたが、このケースCとケースBの間でやや厳しめのケースをつく ってもらいたいという宿題でした。2頁の総括表で色を塗っている部分がありますが、 この部分が新たに試算をしてみたところです。それぞれ、後ろにどのような試算になる かという結果については掲載しております。今回、総括表の中に「弾力復帰」という欄 を設けております。これは造語なのですが、弾力条項の要件である積立金が失業等給付 費の2倍の水準を超える、いわゆる弾力条項の要件を満たしているものから落ちて2倍 の水準を割ってしまう、このようになった場合に弾力条項の発動ができなくなって元の 水準に戻ることになります。元の水準、つまり1.6%にいつ戻るかというものを計算さ せていただいています。棒線が引いてある所は復帰しない、つまり、下げた保険料率の ままで推移できるということです。ケースAはかなり楽観的なケースということで前回 もご説明しました。国庫負担率、国庫負担につきまして「現行どおり」「0.75倍」「0.5 倍」「ゼロにする」と、この4つのパターンに分けておりますが、保険料率が1.2%の場 合であっても弾力復帰がない。つまり、1.2%のままで推移できるということです。ケー スBですが、1.2%まで弾力条項で引き下げると仮定すると、国庫負担が0.5の平成23 年度までは、保険料率は1.2%のまま推移するということですが、国庫負担をゼロとい たしますと、平成22年度に復帰するということになっております。それから、新しい ケースのケースB′は、保険料率を1.4%に引き下げた場合、ケースBあるいはケース Aと同様に、国庫負担率がどのパターンであっても保険料率1.4%を維持できるという ことです。それから、1.2%まで引き下げることになると、これもケースBと同じ結果に なっていますが、国庫負担をゼロにした場合のみ、平成22年度に弾力条項が発動でき ない。平成20年度に2倍の水準を割ることになりまして、平成22年度から元の料率に 復帰するということになっております。ケースC、非常に厳しい状況ですが、この場合 は前回お示しした資料、1.4%の場合と同様ですが、どの国庫負担率であっても平成22 年度に弾力条項が発動できなくなって復帰をする、1.6%に戻るという試算になっており ます。それぞれどのような結果になるかは、38頁までそれぞれのパターンについて載せ ているところです。資料1については以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長 それでは、前回宿題を出された方を中心に、ご質問なりがありましたら お願いします。 ○輪島委員 最初の宿題は私ではないので2番目のところですが、ありがとうございま した。ケースB′ですが、私ども使用者側委員は、基本的には財政や経済状況がいつ変 動するのかわからない不確定要素がたくさんあるだろうと思っておりまして、そういう 観点でAというケースのような状態が平成23年まで続くとは思っていません。また、 Cのケースも、これほど極端なケースがずっと続くのも、シミュレーションとして数字 を見るとそうかもしれませんが、実現可能性としても低いのではないか。そういう意味 で、ケースBを応用してケースB′をつくっていただいたことで数字が見られたことを 評価したいと思っています。そこで、恐縮ですが、ここの1.4と1.2の切り分けの所、 特にケースB′−2−(1)から(4)まで、もう少し解説していただければと。特に、(3)と(4) に違いがあるわけなので、そこのところで少しコメントしていただければありがたいと 思います。 ○宮川雇用保険課長 私からコメントさせていただきます。前回のおさらいになります ので、ケースA、B、C、B′も含めてもう一度ご説明させていただきます。資料の8 頁です。今回新たに付け加えた1.2%のバージョンでご説明させていただきますので、 ケースA−2−(1)からになります。8頁のケースは、平成19年度から1.2%に保険料率 を下げる、この場合だと国庫負担は100%、従来どおりということです。前回ご説明し たとおり、収入、支出、差引剰余、積立金残高、弾力倍率という形で出ている平成23 年度の積立金残高にご注目いただくと6兆9,000億円ということで、弾力倍率5.65倍と なるわけです。同様に、9頁のケースA−2−(2)の場合だと国庫負担が0.75、25%引き となりますが、このときの積立金残高も、右下隅にあるように、6兆4,000億円という ことです。次の頁ですが、ケースA−2−(3)の場合は、右下隅にある国庫負担は6兆と いうことです。最後、11頁のケースA−2−(4)の場合でも積立金残高は5兆1,000億円。 こういうことで、いずれのケースにしても相当の積立金が積み上がるということがわか るわけです。  17頁、ケースB−2−(1)は、先ほどと同様、平成19年度から1.2%に下げるわけで す。右下隅、平成23年度積立金残高は5兆1,000億円ということです。18頁に移りま して、国庫負担を25%引いた形であっても4兆6,000億円です。19頁ですが、平成23 年度積立金残高は4兆1,000億円ということです。20頁、ケースB−2−(4)です。平成 23年度積立金残高、右下隅ですが、4兆2,000億円と、ケースBの場合も相当の積立金 が積み上がるということです。  続きまして、ケースB′です。ケースB′の場合、1.4%も新しい資料ですが、傾向は 同じようなものですので1.2%のほうで見ていただければと思います。26頁のケース B′−2−(1)ということで、この場合、平成19年度から1.2%に下げ、この(1)のケース は国庫負担金が100%出る形です。平成23年度、右下隅の積立金残高は4兆円。弾力 倍率は1.41倍となるわけです。このケースの場合では平成22年度に弾力倍率が1.60 倍と2倍を切りますので、平成24年という数字が出てくれば保険料率は1.6%に戻すこ とになりますが、平成23年度までは1.2%が維持できるという数字を表しております。 これが国庫負担が100%出た場合です。  75%の場合は、27頁のケースB′−2−(2)を見ていただくと、積立金残高は3兆4,000 億円ということです。28頁、ケースB′−2−(3)の場合、国庫負担は半減ですが、積立 金残高は2兆8,000億円、弾力倍率は0.84倍まで落ちます。ただ、この場合、ここまで は平成22年度から2倍を切る形になりますが、平成21年度までは2倍を上回っていま すので、平成23年度まで1.2%を維持することが可能な状況になっております。24頁、 ケースB′−2−(4)の場合、平成20年度の積立金残高と弾力倍率を見ていただくと、 積立金としては3兆7,000億円ありますが、弾力倍率は1.82倍と、2倍を切っておりま す。したがって、これはルールに従いまして平成22年度に1.6%に戻し、その分だけ保 険料収入が増えているという形になっております。その関係で、積立金残高も平成21 年度は3兆5,000億円、平成22年度は3兆1,000億円、平成23年度は2兆7,000億円 ということで、おおむね失業等給付費の1年分以上は保持することができるという意味 で制度的な破綻は避けられているということがご覧いただけるかと思います。  続きまして、ケースCの場合です。35頁、ケースC−2−(1)も平成23年度積立金残 高は3兆6,000億円になっています。平成20年度でご覧いただけますように、積立金 残高そのものは絶対額として3兆9,000億円ありますが、弾力倍率は1.44倍ということ で2倍を切っていますので、ルールに従いまして平成22年度から1.6%に戻したと。戻 した結果、平成21年、平成22年、平成23年と、おおむね3兆5,000億円から3兆6,000 億円ぐらいの積立金が維持できる形で制度的な維持が図られるようなケースと言えると 思います。次の頁はケースC−2−(2)です。同様に、この場合は平成21年度から平成 23年度の積立金は3兆2,000億円から3兆1,000億円、3兆円と、おおむねこのような 形で推移する。同様に、ケースC−2−(3)は国庫負担を半分にした場合ですが、この場 合も平成23年度積立金残高2兆3,000億円ということで、おおむね1年弱の積立金が 維持できた形です。最後は、ケースC−2−(4)です。この場合、積立金残高が平成20 年度で3兆円、弾力倍率は0.86倍ということで1倍を切った形になっております。1倍 を切った形になると料率は1.6%よりも上げることが可能ですが、この場合は上げない で1.6%で計算しておりまして、それでいくと平成20年度には積立金残高が3兆円です が、平成21年度が2兆円、平成22年度が1兆5,000億円、平成23年度が1兆円とい う形で推移するという試算です。試算の内容につきまして詳しくご説明させていただき ました。 ○諏訪部会長 ほかに何かございますか。よろしいですか。それでは、資料1の説明は 以上の限りとさせていただきまして、資料2について事務局からご説明をお願いしたい と思います。 ○田中雇用保険課課長補佐 資料2、雇用保険制度の見直しについて(素案)というこ とで今回の議論の報告の素案をお示ししております。初めに、今回の素案の構成ですが、 中間報告と同様に、雇用保険制度の現状を書きまして、それを踏まえた上で見直しの方 向というような構成をいたしております。まず、雇用保険制度の現状ですが、ここは中 間報告の時点からあまり変わっていませんので、若干、時点修正をしておりますけれど も内容的には特段変わっておりません。これが3頁まで続いています。収支の状況等を 踏まえまして最近の動きを記述しております。  3頁の「第2」の雇用保険制度の見直しの方向が、今回ご提示しております内容です。 このうち、前段の視点につきましては中間報告で述べられているとおりですが、その下 の第2パラグラフからが新しい内容となります。8月4日に中間報告が出まして、それ を踏まえまして具体的な検討を深めた結果、直ちに着手すべき制度改正事項について以 下の結論を得たと、このような形をとっております。以下、適用から給付、三事業、財 政運営の状況と続いております。中間報告のときの同じような構成になっているところ です。まず適用につきましては前回に素案という形でお示ししています。ここに書きま したように、一般被保険者の中には短時間労働者の方(週の所定労働時間が30時間未 満)とそれ以外の方は被保険者資格が区分されています。この被保険者資格につきまし ては、実は、平成15年改正、前回の見直しの中で給付内容については一本化を図った ということですが、これと同様の趣旨から被保険者資格の区分をなくしてはどうかとい うことでご提案させていただいています。「一般被保険者として一本化すべきである」と いうところです。  4頁は失業等給付です。初めに、基本手当ですが、基本手当の内容につきましては、 これも被保険者資格の一本化に伴う受給要件の変更という形で、前回の部会にお示しし ました案をそのまま文章化しているものです。被保険者資格の一本化に伴いまして受給 資格要件についても一本化を図る必要がある。ただし、循環的な給付や安易な受給を未 然に防ぐことも重要である。このような問題意識の下で2つのパターンに分けています が、解雇・倒産等による離職の場合を、月11日以上の労働日がある月が6月以上、そ れから、それ以外の自己都合離職者あるいは期間満了者の方については12月・月11日 以上とすべきであるとしております。なお書きは被保険者期間1年未満で雇止めになっ た方の取扱いですが、特定受給資格者とする範囲を拡大してはどうか、「適切に見直すべ きである」と、このような記述にしています。この部分につきましては11月10日にお 示しした内容と同様です。  (2)として季節労働者に対する給付で、特例一時金についてです。さまざまなご意 見があったところですが、最初の3行につきましては中間報告の論点をそのまま書いて おります。「特例一時金は循環的な給付であり、その在り方について引き続き検討が必要 であるが、少なくとも一般被保険者の受給資格要件、給付内容とのバランス等を考慮し て給付水準を見直すべきである」と。「べきではないか」となっていたものを「べきであ る」と直しております。「このため」という所が今回の素案として提示している内容です が、一般被保険者の受給資格要件は、先ほど申し上げましたように、解雇・倒産等によ る場合は6月、期間満了の方については12月という形になります。給付内容につきま しては、被保険者期間が1年未満の方はどのような区分であっても一般被保険者の場合 は90日と決まっているわけですが、この一般被保険者の受給資格要件や給付内容との バランス、それから、「等」とお示ししていますが、これは部会の中の資料にもお示しし ましたが、給付と負担のバランス、あるいは他の給付、例えば高年齢求職者給付という 一時金がありますが、高年齢求職者給付の場合は被保険者期間が1年未満の場合は30 日、1年以上であれば50日という給付の水準になっている。このようなことをいろい ろ勘案いたしまして、給付水準については現在の基本手当日額を30日相当分とするこ とが適当ではないかという結論になっています。ただし、当面の間は40日分とするこ ともやむを得ないものと考えるということです。これに関連いたしまして、これは論点 のとおりですが「積雪寒冷地等の地域雇用対策を見直すべきである」という記述をして おります。  3番目に、教育訓練給付です。これもいろいろご議論があったところですが、初めに 効果について書いています。失業予防や早期再就職等雇用の安定に一定程度の効果があ ると考えられる。資料をいくつかお示ししたとおりですが、ただし給付水準の違いがこ のような効果との関係に乏しいということです。また、不正受給防止のためのさらなる 措置を講ずる必要があるのではないかということで、このように書いております。「この ため」からが今後の措置ですが、給付水準については一本化、これは費用の2割、上限 10万円に一本化してはどうかと。今は被保険者期間は3年以上5年未満の方について2 割、上限10万円、被保険者期間5年以上の方について費用の4割、上限20万円となっ ていますが、費用と効果の関係が乏しいということであれば低いほうに合わせてはどう かということでご提示しております。不正受給の防止対策につきましては、事業主ある いは職業紹介事業者に連帯納付命令、報告義務をすでに課していますが、それと同様に、 教育・訓練事業者に対しても不正受給事案を控除した場合の連帯納付命令や報告義務を 課してはどうかということで、このように書いております。併せて、これは当然のこと といえば当然のことですが、講座の見直しも進めていくということです。特に雇用三事 業の議論の中で若年者対策について議論があったかと思いますが、それも踏まえ、若年 労働者の定着率の向上と雇用の安定のための対策として、「一方」の所で、この教育・訓 練給付も受給要件を少し緩和して若年者雇用対策に活かしてはどうかということで提案 をしております。当面の間は受給要件を被保険者期間、いまは3年ないと駄目だという ことですが、最初のときは1年としてはどうかということでご提示しております。  4つ目が育児・介護休業給付です。これもさまざまな議論があり、その中で期間雇用 者の取扱いにつきまして議論があったかと思います。今は育児・介護休業法と育児・介 護休業給付の取扱いが若干違っていますが、そこを統一してはどうかというご意見が強 かったと思います。ご意見を踏まえ、施行状況等に鑑みまして、「統一する方向で見直す べきである」と、このように記述しております。これに関連して、中間報告の論点の中 にも入っていましたが、育児休業の取得を促進する方策についても記述をしております。  5頁ですが、雇用保険三事業についてです。かなり頁数が多くなっています。これに つきましては、雇用保険三事業見直し検討会を今年になって開いています。その見直し 整理案を踏まえた見直しが必要ではないかという論点になっているところです。これを 文章化していますが、見直し整理案の中からかなり抜き出していますので長くなってい るということです。(1)として、「失業等給付の抑制に資する観点から雇用福祉事業を事業 類型としては廃止する」と書いております。「ただし」として、これは見直し整理案の中 にも書かれていましたが、個別事業の中で失業等給付の抑制に資するものであり、かつ 効果的なものについては雇用安定事業または能力開発事業として実施することが適当で あると。位置づけ直すと付記しております。それから、「既存事業の規模を大幅に縮減し、 各個別事業については引き続き普段の見直しを行うべきである」ということを書いてお ります。  それから、今後、人口減少化社会におきまして「働く意欲と能力があるすべての人は 可能な限り働ける社会の構築を目指すため」、これも議論があったところです。雇用福祉 事業をなくしても二事業ということになりますが、若年者等についても雇用の安定事業 等、二事業の対象として明確化すべきであるということを書いております。(2)として、 「当面は以下のような雇用対策に重点を置くべきである」と書いていますが、これは平 成18年7月26日の三事業見直し検討会の見直し整理案の中に書いてあった文章をその まま引いています。若干、修正を加えている所はありますが、内容的にはほぼ同様とな っております。(3)としまして、雇用保険三事業の保険料率関係です。弾力条項の連続発 動期間の限度は、いままでご説明しましたが2年間が限度となっています。これは、保 険料負担者の負担軽減をより機動的に図るという観点から撤廃すべきであるという形に しております。この弾力条項措置につきましては、現在の条項がそのまま適用されてい くことになると平成19年度から適用されることになりますが、この平成19年度から連 続発動期間の限度の撤廃というものを適用したらどうかということを書いております。  6頁、財政運営は、最も部会の中でご議論のあったところです。(1)として「総論」 です。中間報告の内容を踏まえ総論を書いていますが、「雇用保険は必要不可欠なセーフ ティネットであり、将来にわたり安定的に機能するよう制度の健全な運営を確保するこ とが何よりも重要である。その上で、行政改革推進法等で指摘された課題に対応する必 要がある」と書いております。  国庫負担もさまざまな議論、ご意見等があったところです。初めに、考え方としてま とめておりますが、これは当方の説明にもありましたけれども、雇用保険制度で国庫負 担を行っている理由です。最も主たる保険事故である失業は、政府の経済政策、雇用対 策と無縁ではない。政府もその責任の一端を担うべきであるとの考え方によるものだと いうことです。「このような経緯や被保険者等の期待等を勘案すると、失業等給付に係る 国庫負担の制度を全廃することは、国の雇用対策に係る責任放棄につながり適当ではな い」というご意見がありましたのでこのまま記述させていただきました。その後ですが、 ただし、行政改革推進法の趣旨を踏まえてどうするかというところについては今回はお 示ししていないという状況です。  (3)の保険料率は、現在の状況やシミュレーション等もお示ししたところですが、 現在の雇用保険の財政状況、給付水準等だけを勘案すると大幅な保険料率の引き下げは 可能とも考えられるのではないかという一方で、今後、経済情勢の動きによって給付が 大幅に増加することも十分予想されることもあります。制度の健全な運営を確保しつつ 保険料の負担者の負担減を図っていく。健全な運営と負担の軽減、両方を満たしていく。 このためには弾力条項による変更幅を大きくしてはどうかということで、今は±2/ 1000という変更幅になっていますが、これを2倍に広げまして±4/1000として、毎 年、前年決算の結果を勘案の上、必要に応じて翌年度の保険料率に、その状況や雇用・ 失業情勢等を適切に反映させるようにすべきではないかということで、このように書い ております。それから、積立金については適切な水準の確保に努めるべきということも 記述しております。(2)は、先ほどの雇用保険三事業で申し上げたものの再掲です。  第3は、今後の残された課題です。(1)(2)は適用の関係です。論点の中にも入っていま したが、マルチジョブホルダー等就業形態の多様化に対応した雇用保険適用範囲につい て、なかなか難しい問題があります。「今後とも議論すべきである」と整理しております。 (2)「65歳以降への対処について」も「今後とも検討すべき課題」ということで残してお ります。(3)は、論点の中で若干別の場所に書いてあったものとほぼ同様です。基本手当 の給付日数、日額の水準という基本手当の関係で、平成12年及び平成15年改正で抜本 的な適正化を図ってきたところですが、当面は給付水準を変更すべきではなくて平成15 年改正の効果をさらに見極めるべきではないか、ということで課題として整理しており ます。(4)は、これは当然のことですが、制度の運用については普段に必要な改正を行っ ていくべきである、と書いております。(5)として、高年齢雇用継続給付についてです。 改正高年齢者雇用安定法を踏まえると、原則として平成25年から65歳までの継続雇用 義務というものがかかります。平成24年までの措置として、激変を避けるという観点 から、その後、つまり25年度以降ということですが、65歳までの継続雇用義務がかか ると、平成25年度以降は段階的に廃止すべきであるという記載にしております。今回 の制度改正の対象ではないということです。「給付内容については当面現状維持とすべき である」と今後の課題の所に整理をしたということです。素案については以上です。よ ろしくお願いします。 ○諏訪部会長 それでは、ただいまの説明をめぐりましてご質問、ご意見等がありまし たらお願いいたします。 ○古川委員 失業等給付のところでわからないことがあるのですが、例えば会社を辞め た場合に資格喪失届出と離職証明書を出しますよね。それで、労働者は離職票をもらう のですが、これで1年未満で解雇・倒産ではなくて辞めた人はもらう資格がないわけで すが、その場合でも離職票の書類は出すのですか。 ○戸ヶ崎雇用保険課課長補佐 その場合であっても、通算の可能性がありますので、も し前の会社をお辞めになって受給していない場合は前の期間が通算できますので、離職 票は提出していただいて、そこで期間を満たしていないのであれば、前の離職票はあり ませんか、ということで通算の可能性は出てくるので、一応は出していただくというこ とで考えています。 ○古川委員 もう1つですが、離職証明書には、労働者の名前を書いて、倒産・解雇の 理由について異議があるかないかというチェックをする欄があります。それは、事業主 は職場のいやがらせというようなことではなくて自己都合退社だと思ってやっていても、 労働者が納得できないと○を付けるのはなかなかやりにくいと思うのですが、そこのチ ェックの欄が変更になったとか、そういうことはあるのでしょうか。 ○戸ヶ崎雇用保険課課長補佐 おっしゃっているとおり、離職証明書をつくる段階では、 本人は本当は離職理由について同意していないのだけれども同意せざるを得ない、離職 証明書を出してもらわなければいけない、というところもあるのですが、その離職証明 書の提出段階では疑義がないということであっても、本人が受給資格決定のために受給 地の安定所に行かれるときに異議を申し立てていただくということであれば、これも以 前にご説明申し上げましたが、もし離職理由に不満があるということであれば、そこで 調査をかけた上で再度判定をし直すことになります。 ○古川委員 被保険者期間を統一するとなると、自己都合退職で1年未満の人は基本手 当がもらえない人が出てくるわけです。前回のときもその件について周知徹底をすると おっしゃっていましたので、本当にそれは徹底していろいろな広報物などでやっていた だいて、そういう労働者もいるということをよく理解していただきたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 ただいまの古川委員のお話ですが、大変重要な観点でございます。 いままでですと、その辺の観点は出ればいいやという形であまり問題視しないでやられ た労働者の方も、出る出ないという話になれば重要な話であります。また、それをよく 知った上で対応していただかなければならないという点から、周知は非常に重要だと考 えております。この改正法の施行にあたりましてはご指適を踏まえまして周知に意を尽 くしたいと思っております。 ○諏訪部会長 ほかにいかがですか。 ○栗田委員 6頁、財政運営の(3)の保険料率なのですが、ここで案が出ているわけ ですが、この書き方であれば保険料率は下げないというか、そのまま維持した中で弾力 条項で運営していくという書き方になっています。以前から言っていますように、平成 12年改正と平成15年改正は非常事態の中での改正が行われたということで、そのとき には三位一体といいますか、共に痛みを分かち合おうということで大幅な改定が行われ た。そこの改定を行ったときに、いちばん影響を受けたのは被保険者なのかなと。大幅 に給付水準が下がったということなのかと思っております。今ここの積立が収支改善さ れたのは、失業率が改善されたという以上に給付が下がったところが積立の収支に大幅 に影響しているのではないかということで、なぜ積立がこういう状況になっていったの かを、もう一度きちんと検証する必要があるのではないかと思っております。そういう ことからすると、少なくとも、平成12年改正のときまでの水準とまではなかなかいか ないのでしょうが、まずはその保険料率をそのときの状況に引き下げる。その上で国庫 負担あるいは弾力条項を見直す必要があるのではないかと思っております。それで、こ のままの弾力条項でいくと、実は、±4/1000では、逆に、財政がかなりの影響を受け たときには、いまの保険料率よりも大幅に上がる。いまの弾力条項だと±2/1000にな りますので、さらに保険料率が弾力条項で上がってしまう。そこの部分をこの部会の中 できちんと議論していただきたいと思っております。その辺はどうなのかということで す。 ○輪島委員 平成12年と平成15年の改正は非常に厳しい状況に対応するというのは、 確かにそういうことだと思います。その点で言うと、7頁の(3)にあるように、平成12 年と平成15年の改正を踏まえても、まだ平成15年の改正の効果をさらに見極めるべき 状況ということになるのかなと。まだひと息ついてという状況ではないと思っておりま す。そういう観点から言うと、基本的に給付が下がったということだけではない理由も あると思っておりますので、現在の財政状況を踏まえると、基本的な考え方はこのよう なことになるのではないかと思っています。  2点目は、弾力で上げるという、±4というところが少しアップダウンがきついので はないかというご指摘なのかと思いますが、少なくとも財政状況を見て、弾力条項はス タビライザーだと思っていて、まず弾力で状況を見て上げていくというのが健全な姿な のではないかと思っています。そういう観点から言うと、基本的にはいまの水準、つま り16/1000という水準を基本にしながら弾力の幅でプラスマイナスを見ていくという ことが、いまの状況ではやむを得ないのではないかと思っているところです。 ○豊島委員 お言葉ではありますが、平成15年改正の効果をさらに見極めるべきであ るということであれば、基本的には栗田委員の意見に賛成しながら言っているのですが、 いまのまま弾力条項の幅を広げるということもあえてする必要がないというのが私の考 えであります。なぜかというと、その前の項の国庫負担の所をメタルの裏表でついつい 見てしまいまして、国庫負担のほうは「ただし」以下がまだブランクですが、もしシミ ュレーションにあるものの中から国庫負担を減らすことを選択するようなことになれば、 いま言われたスタビライザーという意味ではなくて、財政負担が本来必要であろうと 我々が考えるときに、いまの国の財政状況全体を見れば、この変更幅を2/1000に増や すことによって雇用保険財政の中だけで見なさいよという方向に作用するのではないか。 どうもそういう心配が消えません。  そこで、それとは違ってまた質問があるのですが、国庫負担のほうの下から3行目の 「国庫負担の制度を全廃することは、国の雇用対策にかかわる責任放棄につながり、適 当ではない」の「全廃」の意味なのですが、全部廃止するのであれば、いまの4種類を 全廃するという意味なのか、あるいは額を全廃するという意味なのか、とりあえずそれ を教えていただきたいと思います。 ○諏訪部会長 では、質問の部分についてお願いします。 ○宮川雇用保険課長 そこの書き方にありますように、「国庫負担の制度を」と書いてあ りますので、額を減らすのではなくて制度をやめるという意味です。したがって、現在、 理念的には、3分の1負担の部分、4分の1負担の部分、8分の1負担の部分、負担が ない部分、4種類のそういう意味での制度的な負担をしているわけですから、こういう 制度そのものを全廃するという趣旨で書いております。 ○長谷川委員 4頁の冬期特例給付金なのですが、現在の50日を基本手当日額30日に し、当面の間は40日というのは、なぜこういう数字が出てきたのか教えてほしい。そ れと、「積雪寒冷地等の地域雇用対策を見直すべきである」ということですが、厚生労働 省がやる政策の中で雇用対策といったら能力開発しかないわけで、それ以上もそれ以下 もない、雇入助成金とそれしかないわけです。これは前から言っているのですが、特に 北海道とか青森とか、いまだって景気が回復しなくてワースト7に入っている所は単な る厚生労働省の雇用対策だけで乗り切れるような話ではないわけで、ここで言う寒冷地 の地域雇用対策を見直すべきだというのは何を言っているのか教えていただきたい。 ○宮川雇用保険課長 2点ありましたが、まず、50日、30日、40日というところにつ いての問題です。基本的には、先ほど申しましたように、負担と給付のバランスが非常 に崩れている。保険料としていただいている部分と給付として出さなければならない部 分が、既存の資料の中でも出ておりますように、かなりバランスが崩れているというこ と。そして、先ほど申しましたように、一般の被保険者の方々の受給資格あるいは給付 内容、高年齢求職者給付金も含め勘案すると、本来であればぎりぎり残すとしても30 日分というのが適切ではなかろうかという考え方で原則論を書きました。ただ、当該給 付を受ける者は現状等さまざまな要素を考慮すると、いわゆる激変緩和措置として当面 の間40日相当分とすることもやむを得ないのではないか、という形でここに書いてい ます。  それから、積雪寒冷地等の地域雇用対策につきましては、通年雇用奨励金の関係など をご説明いたしましたが、従来の通年雇用は、どちらかというと、雇われている事業主 の所でのその事業の通年雇用を中心に行っていたところがあります。しかし、別の業種、 職種というような形での通年雇用化を図るとともに、関係自治体の創意工夫などをもた らすような雇用対策というものを言っていく上で、私ども厚生労働省のみならず地域の 自治体の力を使った形での地域雇用対策を進めることを考えているところです。 ○長谷川委員 給付とのバランスという言い方であれば、教育訓練給付というのはどう いうバランスがあるのか、育児・介護給付もそういう意味での観点のバランスはどのよ うにあるのか聞きたいのです。例えば、教育訓練給付は、負担と給付のバランスという のはどうなのですか。 ○宮川雇用保険課長 現在、もともと、特例一時金については循環的な給付であるとい う問題、すなわち本来的な意味で言えば雇用保険の失業給付としての性格を超えている 給付と言わざるを得ないような状況であるということは、すでに循環的な給付という言 葉で表されていると思います。その制度を維持する上で一定の費用は負担していただい ているわけですが、それを、明らかに一般制度の方々の、通常の労働者の持ち出しでや っている部分と言わざるを得ない状況です。その中で、給付と内容とのバランスを完全 にとるとすれば、はっきり申し上げれば、30日分削減するだけではとうてい足らない状 況ではありますが、一定の給付という形のものを考えた場合に、30日分の給付のものを つくるのがその給付内容とのバランスを考えた上でぎりぎりの選択肢ではなかろうかと いうことで30日分と考え、かつ激変緩和措置という意味でその方々の現状等を考慮し て40日相当分とするという考え方を示したところでございます。 ○長谷川委員 私がまだ理解できないのは、そもそも、失業給付に負担の給付のバラン スなんかあるはずがないではないですか。失業にあった人とあわない人の払ってきた保 険料と給付が合うはずがないわけです。だから、今回の特例一時金にそういう給付と負 担のバランスと言ったらば、失業給付、一般給付がそもそもそのようなものかというこ とで、そういう理由を無理やり取って付けたような付け方は問題があると思うのです。 前から言っているのですが、例えば通年雇用といったって、大体、建設労働者なら建設 労働者が、何カ月か働いてきて、能力開発に来て冬の間だけどこかへ行って、それでま た建設に戻ってくるわけでしょう。そういうのが本当にいいのかどうなのかというのは 議論があるのだと思うのです。それから、北海道とか青森で、もっと地方自治体がやれ と言うわけでしょうけれども、そもそも、冬の間でも屋外労働者が屋内で働くようにす るためには、もっと別の観点からの、例えば経産省が冬の間でも建設労働者が中で働け るような建設工程の在り方について新しい方向を見出すとか、そういうことでなければ 抜本改正になるはずがないではないですか。だから、そういう意味ではすごく無理な、 何かゴリ押しの理論を付けてしまっていて、もともと失業給付というのは納得性とか合 理性なんかで測れる代物ではないわけで、30日でこのように整理したときにこの人たち は、あとは霞を食って生きていくのか、私、本当にそれは聞きたいのです。 ○宮川雇用保険課長 繰り返しになりますが、特例一時金の実態は、循環的な給付であ ると。これが本当の意味で循環給付であれば、雇用保険の世界の論理からですと、給付 はありません。失業給付としては出ません。したがって、そこのところをぎりぎりで特 例一時金という形で整理しているものだと理解しております。その中でも、給付内容と のバランスをある程度考慮することはやむを得ないのではなかろうか。ただし、いまの 時点で、これを例えば廃止するとか大幅に半分以下にするとかいうことも、逆の意味で 言えばさまざまな問題点があろうという中で、雇用保険制度の中で説明がつく範囲とす れば、給付水準は本来この30日相当分ぐらいまでには圧縮すべきであると考えられる し、またさらに、経過措置として激変緩和の意味で当面の間40日相当分とするという 考え方を示させていただいたところです。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○輪島委員 4頁目の(4)の育児・介護休業給付の2段落目の「これに関連して」の 中身をもう一回ご説明いただきたい。 ○宮川雇用保険課長 これにつきましては、すでに概算要求で雇用安定事業の中で要求 してありますが、ご承知のように、育児休業給付の場合は40%の給付水準という形で1 年間、場合によっては1年半、最大出るわけです。その40%を上回るような形で事業主 の方が経済的な負担、言葉を替えれば、一種の上乗せ給付という形でご本人に事業主が 払っているケースがあるわけで、それによって企業における育児休業の取得を促進する ことが期待できるわけです。育児休業取得を促進する方策として事業主の取組みを支援 するという意味でその部分の助成金を現在要求しているところです。 ○長谷川委員 育児休業のこの制度に入ると、育児休業給付で40%ぐらいまでいくので しょう。そうすると、育児休業以外、要するに雇用安定事業から事業主に行って本人の ところに行くものは、トータルでどのぐらいになるのですか。 ○宮川雇用保険課長 これは、現在まだ制度設計中ですので、具体的に事業主の方がど れぐらい出すかということになりますので、もちろん助成金としては上限をつくらなけ ればいけないのですが、そういう意味で言えば40の残り60の部分を埋めた場合にどの 程度助成措置をするかということで、いま現在その内容をつめているところです。例え ば、既存の助成金の率を勘案すると大企業2分の1、中小企業3分の2というようなイ メージで上乗せ給付をした場合に、その部分の一部を雇用保険三事業のほうから事業主 にお支払いするというイメージで要求しているところです。 ○長谷川委員 もう1つは、産前産後休暇は健康保険のものもありますが、産前産後休 暇と育児休業を連続で取ったときに、労働者から見た場合には双方の賃金の助成のされ 方はどっちも同じぐらいのバランスになりますよね。どっちかが極端に高いのではなく て、同じになるのですか。 ○宮川雇用保険課長 産前産後休暇の場合、たしか最近、制度が改善されたと聞いてお りまして、具体的には3分の2までいっていると思います。私どもの育児休業給付は 40%という現状ですが、それに上乗せを事業主の方々がやっているかは、残念ながら、 産前産後休暇については私どもも承知していないところです。例えば残り60%は事業主 の方が全部埋めてくださいという形ではなくて、埋めた部分の例えば2分の1なり3分 の2なり、そういう形で応援していくことを考えております。いまのところ、そういう ものは制度設計の中で上限を考える上で、さまざまな要素を考慮してやっていくべきも のだと思っております。 ○中窪委員 育児・介護休業給付の関連なのですが、期間雇用者について育児・介護休 業法で適用したときに、こちらのほうもそれに合わせて1年・1年にすべきではないか というのは前からあったと思うのですが、それをあえてこちらでは1年・3年あるいは 3年・1年とするということで、雇用継続給付の論理の中ではそれがぎりぎりなのだと いう議論をして決めたと思うのですが、今回それをそっちに合わせるということは、ど ういう説明になるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 これは、いま中窪委員からご紹介がありましたように、平成17 年4月以来、育児休業法及び私どもの育児休業給付を施行してきた状況を見ていると、 具体的に申せば、基本的には育児休業法の休業という形で期間雇用者が休まれている状 況と、私どもの給付対象は100%と言っていいほど近いと思いますが、運用で見ている 限りでは同じような取扱いをされているようです。すなわち、例えば育児休業が認めら れているにもかかわらず給付が出ないような一種のトラブルと申しましょうか、そうい うものがないということを鑑みますれば、私どもが当初考えていたような3年以上の雇 用継続を見込むような、あるいは3年以上の雇用が継続されているという要件と育児休 業法に基づく要件を、事実上、ほとんど同一に運用されているのではなかろうかと考え られるわけです。すなわち、育児休業法を取っている方々は、おおむね育児休業給付の 要件も満たすような形になっていると考えられるところです。したがって、この2つの 条件を異ならせたままにしてもよろしいわけですが、内容的にほとんどニヤリーイコー ルということであれば、事業主や労働者の方々に理解しやすくする意味で統一したほう がよろしいのではないかということで、統一の方向で考えたところです。 ○中窪委員 いわば、慎重にやってみたけれども大丈夫だということが確認できたので、 この案を出してみたという理解でよろしいですか。 ○宮川雇用保険課長 私どももやってみた上でそれが確認できた、という趣旨で今回統 一させていただきたいと思っております。 ○原川委員 6頁の(3)の(1)について質問したいと思います。ここに書いてある保険 料の問題ですが、5行目に「このため、弾力条項による変更幅を±2/1000から±4/ 1000とし、毎年、前年決算の結果を勘案の上、必要に応じ、翌年度の保険料率に、その 状況や雇用・失業情勢等を適切に反映させるようにすべきである」と書いてありますが、 これは毎年このような確認作業を行うということですよね。それで、我々としては平成 19年度に保険料率を下げてもらいたいという希望があるのですが、もし平成19年度に 下げることを検討することになると、どういうスケジュールになるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 この場合、2つの意味がありまして、この弾力条項の変更幅を拡 大した上で行うことになれば、これは法律改正事項ですので、おそらく、来年の通常国 会に法案を提出した上で、法案が成立後に必要な手続をとる。具体的に申せば、厚生労 働大臣が判断するわけで、必要だと思ったときには当労働政策審議会、具体的には職業 安定分科会、現実には雇用保険部会の皆様方にご議論いただいて、形としては労働政策 審議会に意見を聞いた上で、厚生労働大臣が告示をするという形になります。 ○輪島委員 その点で言うと、このシミュレーションで財政状況もかなり把握しました ので、平成19年4月からの完全な実施、特に6頁目の(2)の雇用保険三事業については 「平成19年度より発動される弾力条項」と書いてあって、平成19年の4月から施行さ れるのですが、(1)の部分の保険料率については、原川委員がおっしゃったように、明記 されていないので、私どもとしては、平成19年4月からきちんと完全に実施すること を強くお願いしたいと思っています。 ○宮川雇用保険課長 ご意見として承りました。 ○輪島委員 それから、5頁目の雇用保険三事業ですが、特に(1)の1段落目の最後に「各 個別事業について、引き続き不断の見直しを行うべきである」と書かれております。こ の点については、使用者側としても、すべての事業を見直して洗い出しをしたというこ とですが、できましたら第3の今後の課題にもきちんと、引き続き各事業の不断の見直 しを行うことについて明記をしていただきたいと考えます。さらに、その点で思うのは、 今度は二事業になるのでしょうが、その二事業の運営の仕方、特に新規事業がどのよう なことでつくられてくるのか。いまは再チャレンジというキーワードになって、いろい ろなものが新たにできる仕組みで二事業の中につくられるということですが、その件も 含めて、二事業における新規事業のつくり方というか、在り方というものも、思いつき ではない事業の運営をしていただきたいと思っているところです。第3「今後の課題」 で、国家公務員、地方公務員の雇用保険の適用という問題も引き続き宿題になっていた のではないかと思いますので、改めて今後の課題に、忘れていないということについて 記述をしておくべきなのではないかと思っています。  それから、先ほど長谷川委員がおっしゃった4頁目の教育訓練給付についても、私ど もも基本的には国庫負担が入っていない本体給付の中の制度だと認識しております。例 えば教育訓練給付を受けて、その後で失業をした場合には失業等給付をそのままダブル で受ける形になっていますから、その点で言うと審議会の中で併給調整をすべきだと私 としては思っています。構造の見直しは書いてありますが、給付の在り方という点にき ちんとした明確な記述が必要なのではないかと思います。  質問ですが、(3)の最後の段落で「当面の間」と書いてあります。当面の間というの は大体どれぐらいのイメージか。それから、「初回に限って」とご説明がありましたけれ ども、中身のご説明をもう少しいただければと思います。 ○宮川雇用保険課長 何点かありましたので、まとめて答えさせていただきます。まず、 今後は三事業が二事業になるわけですが、これについての不断の見直しについての書き 方は検討させていただきたいと思います。今後の新規事業の在り方についてですが、こ れは見直し検討会の中で、新規事業の創設にあたっての考え方なども記載されていると ころです。いまご発言のあったような趣旨を踏まえて適切に運営してまいりたいと思い ます。公務員の問題は、ただいまお話がありましたように、政府全体としての課題とい う形にはなると思いますが、実は、公務員制度の雇用保険の在り方を考える場合にあた っては、重要なのは雇用保険サイドとしてこれをどうするかというよりは、公務員の法 制度としてどう考えるかというのが重要な観点です。と申しますのは、現在、公務員が 適用されていないのは、公務員だからという単純な理由ではありませんで、公務員につ いては、退職手当法上の失業給付に相当する退職手当が出るという説明になっています。 現在、雇用保険制度の中では、公務員に限らず、公務員が中心なのですが、法律によっ て私どもの給付に相当する給付が出ている場合にはそれを外しましょうという整理をさ せていただいております。その観点から見ると、例えばそういう退職手当が現実にあり ますので、退職手当制度をどうするかという議論が先になければ、私どものほうで勝手 に、公務員に適用すべき、あるいはすべきではないという議論がなかなか進まないとい う点で、公務員の制度としてどう考えるのかという議論が先になければなかなか難しい のではないかという意味で、私どもの雇用保険の今後の課題として挙げるのはいかがな ものかという点をご説明させていただきます。  それから、教育訓練給付の内容についてご質問がありましたのでご説明させていただ きます。この内容を先にご説明すれば、これは、現在、被保険者期間が3年なければど のような方も受けられません。その3年で1回受けた場合には、また続いて3年以上な ければ受けられない仕組みになっています。そこの最初の1回目のところだけを1年に 短縮する。これによって、被保険者期間をそれほど持っていない、特に若年者の方が中 心になろうかと思いますが、まずは自主的な能力開発に取り組もうというような意気込 みのある方が自主的に取り組んでいただけることを促すのではなかろうか。ただし、そ の後は3年ごとで、いままでのルールと同じようにするという内容です。ただし、こう いう内容のものをやって、例えば本当に若者のために能力開発になったのかどうかとい うのは検証をしなければならないのではないかという意味で、当面の間の措置、いわゆ る暫定措置として位置づけたほうが、とりあえずは適切なのではないか。場合によって は、それは将来的にはやめるかもしれない。ただし、いつまでに検証をするとか、いつ までの期間にするという予定がないという意味で、法律で言う「当分の間の措置」とし たらどうかと。いずれこういう見直しなり議論をする際には、そこのところはどんな効 果があったのかとか、本当に効果があるのか、あるいはそもそも教育訓練給付はどうし ますかと、さまざまな議論があるかと思いますが、そういう際に議論をしていただくと いう点で当面の間の措置としたわけです。 ○輪島委員 公務員制度改革についても他方で議論が行われていると承知しておりまし て、その点で、雇用保険部会としてその在り方について記述をしたほうがいいのではな いかという趣旨です。6頁目の今後の課題の(1)(2)も、結局は、今後とも議論すべきであ る、というまとめですから、その点においては今後とも議論すべきであるということを 記述していただきたいと再度要望しておきます。 ○三木委員 弾力条項の問題については私も栗田委員の意見に賛成なのです。ある意味 では、平成12年、平成15年の改正のときに大幅にこれを下げたことがきっかけになっ ていて、それが傷みが出ているわけですし、保険料率を従来に戻すことが筋だと私は思 います。そういう意味で、そこのところをしっかり議論する必要があるのではないかと いう気がいたします。それと、特例一時金ですが、これは当分の間、40日ということに なっています。そうすると、30日が透けて見えるような状況があるわけなのですが、長 谷川委員が言われるとおり、本来ならば給付と給付内容のバランスはとれないのが当た り前であって、これは連帯してやろうということでありますから、そういう意味での雇 用保険の趣旨もしっかり見据える必要があるのではないかという気がいたします。そう いう状況の中で、積雪寒冷地対策というのは、最初に地域雇用対策で生活ができるよう なことを確保していく、その対策を先に進めるのが基本ではないか。その状況がいまま でも改善されなかった分、こういう状況が出ているのではないか。地域的な特殊性があ るということを基本に置かなければいけないのではないか、という気がいたします。そ ういう意見です。 ○古川委員 私も今後の課題のところでの意見です。7頁の今後の課題の(5)高年齢雇用 継続給付についてですが、今後の課題ですぐにこういうものが出てきてしまって、少し 時期が早いのではないかと思います。いくら4月1日から努力義務になったといっても、 いきなりこんなものが出てきてしまっていいのかなと思います。大企業は労使協定が整 っていて、60歳以降の制度がきちんとできている所もありますが、中小はまだ労使協議 が整わなくて、労使協議が整わないけれども就業規則はとりあえず変更しなくてはなら ない、労働組合がその意見書を付けるのにも、こんなものに意見なんか付けたくないと いう所もあるわけです。雇用保険三事業の継続雇用定着促進助成金も、いきなり4月1 日に高年齢継続雇用が努力義務から義務になった途端に、65歳以上で希望者全員を対象 とする事業主しか使えなくなってしまいました。そのようにいきなりなってしまって、 この65歳まで雇用をつなげなければいけない原因は何かといったら、年金の支給開始 年齢です。ですから、ここでこういうものがいきなり入ってきてしまうのは私としては 少し心外ですし、いずれ見直しはしなければならないと思いますが、もっと中小の状況、 どういうところがネックになって労使協定が整わないのかということをきちんと調査し、 ここは慎重に取り扱いをしていただきたいと思います。 ○宮川雇用保険課長 まず、高年齢雇用継続給付からお答えします。今回、まさに、高 年齢雇用継続給付については改正高齢法を踏まえて、見直すべき状況にあるのではない かという観点で書かせていただいています。当面の課題としておりますのは、今回の改 正では行わないという形でここに位置づけ、逆に、こういう形で将来的には廃止するの だという方向性を事前に提示した上で、必要な対応をしていただくほうが混乱が起きな いのではないかという意味で平成24年までの措置とし、さらに激変を避ける観点から、 平成24年度までに60歳に達した者を対象とするという形での見直しの方向性をあらか じめ明示しておき、それに平成24年度までの間に対応していただくという意味で、こ ういうものを世の中に出したほうがよろしいのではないかという観点で出させていただ いています。  特例一時金については繰り返しになりますが、バランスがとれていないという形の中 でも、雇用保険の制度でありますので一定程度のバランスを考えるべきところは考えざ るを得ない。特に、特例一時金については循環的な給付であるという点は再度確認させ ていただきたいと思っております。料率についてですが、具体的に先ほどいくつかのそ れぞれのご意見がありましたけれども、現時点でこの雇用保険料率、具体的には平成15 年改正におきまして、当時は12/1000であった料率を16/1000に引き上げさせてい ただいたということで、そういう意味から考えれば、この料率は(3)にあるような給付水 準について、今回平成15年改正の効果をさらに見極めるべしという趣旨も含めて考え れば、現在この16/1000という数字そのものを動かすのは慎重に行うべきではないか と考えているところでございます。 ○栗田委員 いまひとつスッキリしないのです。16/1000ということになると、そこ を基軸にすると、例えば弾力条項の中で2.0まで行く経済情勢、過去最悪のケースが続 いた場合には弾力条項の中で保険料率が2.0まで行くと。何気なしに±4と書いてある という、いまの現状を考えるとプラスのほうは2/1000で、いまの現状であればそうな のだろうなと。そこの中でやるべきなのではないかと思っていますし、弾力条項でやる のであれば、その場合に最悪の状況になったときに、例えばシミュレーションの中では 0.75掛けとか現行の0.5とかゼロでシミュレーションしてあるのですが、どうなったと きに国庫負担の場合はどうするのかという部分も出てくるわけでして、プラスのほうが 4というのは少し納得がいかないと思います。 ○宮川雇用保険課長 先ほどはご説明を省かせていただきましたが、4/1000足される ことが可能であるというのは、あくまでも可能であるという意味でありまして、この際 にも前年の決算の結果を勘案の上、必要に応じ翌年度の保険料率にその状況や雇用・失 業情勢等を適切に反映させるべきであるという趣旨ですので、例えば雇用・失業情勢が 非常に悪化して、現在の趣旨の状況から見ればそういうものを発動しなくてもいい状況 の中で発動するということは考えにくいわけですし、そういう意味でこの2/1000の幅 を4/1000に仮に上げたとしても、現実具体的にどのような形で4/1000がプラスさ れるのかどうかというのは、そのときの雇用保険の状況であります。国庫負担につきま しては国庫の財政状況になると思いますが、それを総合的に勘案する話になろうかと思 います。 ○豊島委員 いまの状況で発動がないのは当たり前の話でありまして、それは問題外だ と思うのです。「可能である」とするのがいかがなものか、ということを申し上げている わけですね。先ほど言ったように、財務省に対して全廃はしないでくれ、その代わり2 /1000上げられるようにするよというふうに、先ほどはメタルの裏表と言いましたが、 どうしても見えてしかたがないということが、まだ「ああ、なるほど」と消えないので す。いまのお話をスッキリさせるためには、栗田委員が言われたように、では国庫負担 をどう扱うのかと。私は最初から3分の1、3分の1、3分の1という思想は維持すべ きである、いまの4分の1もおかしいのだ、という話をしておりますが、いまの国の財 政状況を全く理解しないわけではありませんが、これが労働者に、使用者も一緒ですが、 しわよせが全部来ているように見えてしかたがなくて、エクスキューズではないですが、 そのようにしか見えないのを何とか払拭していただく、そういうことをお願いしたい。 文章を考えてもらいたい。  それから、先ほどの7頁の関連で(5)について説明がありましたが、だから駄目なのだ、 だからいけないのではないか、というふうに先ほどのご意見はあったのだろうと思いま す。平成24年度までということを先に出して、覚悟を決めといてくれと。意見があり ましたように、年金との接続の関係が基本的な問題になってくるわけですから、これは 積雪寒冷地等の問題と同じですが、片方で具体的に減らして、例えば寒冷地もマイナス してもいいような条件がないのに下げる。そして、率直に言いますが、雇用の拡大につ いては能書で終わっている。いまの年金の問題についても65歳というのが決まってい て、その間はどうするのかというと、ここに書いてあるように一般論で言えば数字がい ろいろ並びますが、当事者にとっては大変きついことであります。私どもとしては労働 者当事者が苦しむようなことに対して、それで結構ですと言うわけにはとてもいかない ということを申し上げておきたいと思います。 ○諏訪部会長 ほかにご意見、ご質問はありますか。 ○豊島委員 先ほどの教育訓練給付での2割、10万円と。それで、ここの所に「若年労 働者の定着率の向上と雇用の安定のため」と。要するに、若年労働者対策を考えられて いると思うのですが、これは自主的な職業能力の開発の促進を図るということで書かれ ております。もう一方で、雇用保険三事業の(2)で、雇用安定事業、能力開発事業につい ていろいろ書いてあります。イ、雇用のミスマッチ縮小のための求職者・労働者に着目 した雇用対策の推進というほうに、あるいは若者と書いてありますからアですか、両方 ともかかるかもしれませんが、そこにどのような形でイメージされているのか。要する に、両方とも同じなんですよと。自主的なあれも応援しますけれども、国が責任を持っ て行うことについてもきちんとやりますよ、ということでいいのですよね。 ○宮川雇用保険課長 雇用保険三事業のところについては、アで若年者雇用対策という 形でフリーターの常用雇用化等を明示して挙げましたし、イのミスマッチ縮小のための 求職者・労働者の対策の中には、そういう意味での若年者対策のようなものも入り得る 形になろうかと思います。一方で、教育訓練給付ですが、実は、これは過去に能力開発 事業として行っていた給付を本体給付化した経緯もありまして、そういう意味で言えば 三事業との関連性が非常にある給付の一つではないかと思われるわけです。今回、そう いう意味で、大変重要な国の課題となり雇用対策の課題となっている若年者に注目した 施策を三事業という形で行うとともに、教育訓練給付についても、これは3年から1年 になるのはすべての被保険者ですが、多くは若年者の方に利用していただけるという形 でご提案しております。 ○豊島委員 先ほどは結論まで言わなかったのですが、結論を一言で言うと、自主的な 職業能力の開発はそういう事業があるからやっていいのですが、できるだけ雇用保険三 事業で見ていくのだという考え方で進めていただければと思います。これは要望です。 ○長谷川委員 先ほど今後の課題で、輪島委員が公務員の雇用保険の話に触れたのです が、公務員の雇用保険をどうするかというのは、私、この部会ではすごく荷が重すぎて、 とてもできないのだと思うのです。それは、公務員改革の中で、我が国の公務員がどう あるべきかという全体的な議論でないととても無理な話ではないかと思うのです。例え ば、公務員改革で、公務員についても雇用保険の対象とするという方向性が出されたと きに、公務員を受け入れるときの制度の在り方とか、そういうことを議論するというこ とでこの部会でやることはあると思うのですが、まず、公務員というものをどういう方 向へ持っていくのか、公務員がこういう雇用保険に入ってくるときのいろいろな整備を どうするのかというのは、公務員改革の中でやらないと見出せないのではないかと思い ます。  それと、今後の課題の中で、65歳以降の対処について書いてあるのですが、現在、年 金開始年齢は65歳です。これは何か、年金開始の年齢をもっと高くしようという話が あるところへの誘導にならないのかなという心配事が1つあります。それと、(5)の高年 齢継続給付ですが、先ほど古川委員も言っていたのですが、私はいつも、私から見ると 高齢法はできの悪い法律だと言うのです。できが悪くて、3年の経過は労使協議が整え ばとなっていて、本来は希望する者全員なのだけれども、そのようにはなっていないわ けです。そういう、法律の持っている特徴とこの給付は、もう少し整合性をとる必要が あるのではないかと思っています。だから、高齢法はいまだに差別化、区別化、選別化 することをある意味では認めているわけですので、その辺との調整をもう少しきちんと 議論する必要があるのではないかと思っています。  最後なのですが、三事業の見直しのとき、労側は参加させていただけませんでした。 あなたたちは保険を払っていないのだから、ということで参加させていただけなかった のかと思っています。でも、どういう制度にするかという制度設計をする場合には、そ れを活用する労働者代表も参加すべきだと私は思っておりました。次回以降そういうも のをやるときには、労働者代表も是非入れて検討していただきたい。金を払わないから 参加させないよというのはいじめっ子のような気がして、政府機関がやる検討会にして は随分意地悪なやり方だなとずっと思っていました。これはいつかどこかで言いたいと 思っていましたので、今日言わせていただきました。 ○豊島委員 いじめっ子ではなくて、これは国の制度ですからね。だから、まさにこれ は同じことなのですが、厚労省でやるものは、3者構成ではないですけれども、そこで きちんとやっていくのがいちばんいいのではないか。あらぬ誤解が生まれたり、いまみ たいな意見が出てくること自体が問題だと思います。 ○宮川雇用保険課長 言い訳ではございませんが、三事業見直しの検討会は、前に輪島 委員からもお話がありましたように、相当厳しい量的な負担を事業主の方々にお願いし て作業を行っていただきました。ただ、そこで出た結論はそこで固まったというよりは、 ここの審議会等の場でご議論する素材とさせていただいたわけであります。今後のもの についてはまた検討させていただきますが、今回のような見直しは、まずは、そういう 趣旨で、保険料負担者であり、かつ主なる利用者である事業主の団体の方々にご苦労い ただいたという点だけは、大変申し訳ございませんが、私どものエクスキューズとさせ ていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○輪島委員 長谷川委員がおっしゃった公務員の関係はまさにおっしゃるとおりだと思 います。全部受け止められるものではないので、そういう意味ではないです。ですから、 先ほども申し上げましたように、雇用保険部会で忘れていないということでメモに残す べきだという意味です。そういう意味では、特別会計改革の見直しの中で船員保険の見 直しがあって、それも結局、船員保険はどのようにするのかということの整理がつかな いと、雇用保険でどうするかということがつかないわけですから、それはご指摘のとお りだと思います。  2点目は三事業の見直しの関係です。それもご指摘のとおりだと思いますが、すべて が過渡期の見直しなのかなと。今度の関係について1回は答えを出しましたが、三事業 全体から言えばPDCAサイクルを1回回してようやく3年経ったところですから、そ れの目標の設定の在り方とか、その点も含めて、総合的に三事業がどのようにあるべき かというのは改めて議論すべきだと思いますので、その受け皿についても今後検討する べきだろうと思います。 ○中島委員 保険料率の弾力条項のところで確認したいのは、「積立金について適切な水 準の確保に努めるべきである」という記述ですが、現在の2倍とか、そういうものを変 えることをお考えになっているのかどうか。もう1つは意見ですが、本当に二度と前の ようになってほしくないのです。そういう意味で、先ほど保険課長が+4/1000などは 想定できないと言われたのですが、想定されるようなことには絶対になってほしくない のです。しかし、何があるかわからない世界経済の中で日本が生きているわけだから、 絶対にないということは言えないのであって、そういう観点からすると、現時点で保険 料率を2/1000下げて、弾力条項を2/1000でいいのではないかというご意見も一つ のご意見だと思います。一旦下げて14/1000にすると、今度また、もしそういうこと があったときに本体の保険料率を16/1000に上げるなどというと、すごいエネルギー を使わなければいけないことになるので、少なくとも私たちは−4/1000を使わせてい ただこうとしているわけなのです。プラスの分については絶対に使ってはいけないフリ ーハンドではありますが、どうなのかなという気がします。 ○宮川雇用保険課長 ご質問の点について答えさせていただきます。「積立金については 適切な水準の確保に努めるべき」というのは、ここは例の弾力条項の発動要件とは関係 のない話でありまして、一定の積立金は必要であろうと思います。ご議論の中で、長谷 川委員からのお話もありましたように、過度の積立金はあまり要らないのではなかろう かと。つまり、積立金を積まないようにする方法として何があるかというと、実は、あ るのは弾力条項の発動ということです。すなわち、弾力条項を発動して料率を下げるこ とによって、積立金の過度な積み上げを防止することが可能なわけです。そういう意味 で、適切に水準の確保に努めるべしという意味で書かせていただきました。あと、敷衍 しますと、積立金の意味は2つありまして、もう1つは、ごく短期的に見た場合に資金 がショートしないようにするという逆の意味での積立金です。現在、積立金がいちばん 下回ったのは、たしか、4,000億円ぐらいだと思います。これは、後々から考えてみる とかなり厳しい自転車操業的な状況だったと考えられますが、そういう意味で、最低限 のものは必要であろうし、あまり過度なものも必要でなかろうという意味で、適切とい う言葉にさせていただきました。それと、いま中島委員からお話がありましたが、私が 20/1000になるようなことは考えられないという趣旨の発言をしたのであれば、それ は訂正させていただきます。はっきり言えば、それはわからないということです。すみ ませんでした。 ○豊島委員 少し先走った話なのですが、いまの弾力条項と保険料率のところはどうし てもこだわりがありますから、もう少し詰めて考える必要があると思っているのです。 いま出ている数字ではない選択肢ということを考えるべきではないかという意見です。 具体的に言うと、1.6を1.4にして、その中で今度は±4/1000ということを考えてシ ミュレーションを見たらオーケーだという感じもするのです。そういうことで言えば、 私の考え方は、先ほど申し上げていますように、これの基本的な考え方についてはいか がなものかと思っておりますが、それを外した上で具体的にこの数字を見ると、ほかの 選択肢もあるのではないかということを考えておりますので、少し検討していただきた いと思います。 ○宮川雇用保険課長 いまの点についてご説明申し上げます。おっしゃられたのは10 /1000から18/1000の範囲内での仕組みにしたらいかがかというご提案でのお話だと 思います。基本的に、今回は12/1000までやりましたが、仮に10/1000をやると、 数字的には悪い数字になるはずです。そういう意味で、現時点での10/1000という選 択肢はなかなか取りにくいのではないかと思っておりますので、現時点で10/1000を 目指すような改正をするというご趣旨ではないことはわかった上で、先ほど輪島委員、 原川委員、中島委員からもあったかもしれませんが、来年度をどうするかという具体的 な話を考えた場合に、来年度、再来年度ぐらいを目処に考えた場合にどのような手法が 考えられるのかという観点から、今回のご議論をまとめていただければと私どもは考え ているところです。先ほど申しましたように、例えば16/1000を別の数字にする、x /1000にするというxの意味するところをどうするのかと。例えば、前に戻すとなれば 12/1000になってしまうわけでありまして、そういう意味で14/1000がいいのか13 /1000がいいのか15/1000がいいのか、あるいは16/1000がいいのかという議論を し始めると、端的に申せば、この議論については平成15年改正からわずか3年の状況 の中で結論を出すべき問題であろうかどうかということはご指摘させていただきたいと 思っております。 ○中窪委員 先ほどから料率についてどうするかというご意見がいろいろ出ていますが、 私は前にも申しましたが、前回の改正のときに1.6に決めたのはそれなりに長期的なこ とを考えてやったわけですから、それについて変更するにはまだ時期尚早である、課長 と同じ意見である、ということは一言申し上げておきたいと思います。 ○諏訪部会長 ほかにありますか。そうでしたら、今日またいろいろとご意見が皆様か ら出されました。そこで、次回以降も最終の取りまとめに向けた議論をしていただきた いと存じますが、本日提出された見直しの素案や本日までに行われたさまざまな議論を 踏まえまして、さらに事務局で報告の案を詰め、ご準備いただければと思います。よろ しくお願いいたします。ほかにご意見がないようでしたら、本日は以上をもって終わり にさせていただきまして、次回以降の日程につきましては事務局において調整の上、各 委員にご連絡いただければと思います。よろしいでしょうか。では、そのようにさせて いただきたく思います。そこで、本日の署名委員ですが、雇用主代表は輪島委員に、労 働者代表は栗田委員にお願いしたいと存じます。委員の皆様にはお忙しい中をいつもご 迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、次回またよ ろしくお願いいたします。ありがとうございました。 照会先:厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係     電話03−5253−1111     (内線5763)