06/11/29 中央社会保健医療協議会総会平成18年11月29日 議事録 06/11/29 中央社会保険医療協議会          第95回総会議事録  (1)日時  平成18年11月29日(水)9:58〜12:06 (2)場所  厚生労働省 専用第18会議室 (3)出席者 土田武史委員長 遠藤久夫委員 室谷千英委員 小林麻理委員 対馬忠明委員      小島茂委員 勝村久司委員  丸山誠委員 大内教正委員 松浦稔明委員      竹嶋康弘委員 鈴木満委員 飯沼雅朗委員 石井暎禧委員 邉見公雄委員      黒崎紀正委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員 古橋専門委員 白石専門委員       坂本専門委員 加藤委員長代理      <事務局>      水田保険局長 白石審議官 原医療課長 岩渕保険課長 唐澤総務課長  石原調査課長 武田経済課長 神田国保課長 他 (4)議題   ○医療機器の保険適用について       ○医療費の動向について(補足説明)       ○平成18年度診療報酬改定の影響について       ○その他 ○土田会長 まだ時間前ですが、皆さんもうおそろいになりましたので始めさせていただ きたいと思います。それでは、ただいまより第95回中央社会保険医療協議会総会を開催 いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、大島専門委員が御欠席で、 大内委員の代理で全日本海員組合総務局長の小出修三さんがお見えになっております。  なお、白石審議官は、公務のため途中から出席させていただく旨の連絡を受けておりま す。  それでは、議事に入らせていただきます。  最初に、「医薬機器の保険適用」について議題としたいと思います。  区分A2及びBについて事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局(福田企画官) 医療課企画官でございます。お手元の資料、中医協総−1をご らんいただきたいと思います。平成18年11月1日より新たに保険適用となりました医 療機器につきまして御報告を申し上げます。  まず1ページ、1の医科でございます。区分A2、これは特定の診療報酬項目におきま して包括的に評価されている、そういった区分ということでございます。1ページにお示 しをしておりますとおり、21件が新たに保険適用となってございます。  次に2ページをごらんいただきたいと思いますけれども、医科のうちの区分Bでござい ます。この区分Bと申しますのは、いわゆる特定保険医療材料という形で、材料価格とし てそれぞれのものに個別に評価をされていると、そういったものについてのものでござい ます。2ページにお示しをしてございますとおり、トータルで12件が新たに保険適用と なってございます。  続きまして3ページをごらんいただきたいと思います。歯科についてでございます。歯 科につきましては、区分A2につきましては該当ございません。区分Bにつきましては、 3ページにお示しをしてございますように、1件が新たに保険適用というふうになってご ざいます。  以上、医科、歯科合わせまして、計34件ということでございます。  事務局からの報告は、以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございましたら、どうぞお願いします。  よろしいですか。それでは、次の議題に移らせていただきます。「平成18年度医療費 の動向」について議題としたいと思います。先週の22日の総会におきまして事務局から 説明をいただきましたが、それに対して委員から資料提出の要請がございました。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(石原調査課長) 調査課長でございます。私からは、前回御要請ございました 資料、2種類、県別と病院の規模別という形のものでございますが、とりあえず今回は、 病院につきまして、病床規模別の資料を作成いたしましたので、ごらんいただきたいと思 います。  まず、総−2の資料でございますが、表題をごらんいただきますと、前回は医療費の動 向について全体的に18年7月までの動向について説明させていただいていますが、特に 医科病院の医療費の伸び率について、病床規模別にしたものが今回の資料でございます。 規模別の内容ですが、表側の欄をごらんいただきたいのですが、医科計の内訳としまして、 200床未満の内訳で、20床以上50床未満、50床以上100床未満、100床以上 200床未満という区分でそれぞれお示ししてございます。200床以上につきましては、 200床以上300床未満、300床以上500床未満、500床以上と、それぞれ細か く内訳が見られるような形で提出させていただいています。一番上の数字ですが、医科計 の1日当たり医療費と受診延日数と医療費の動向、これが前回お示しした数字でございま す。それを今回200床未満と200床以上、それぞれ数字を細かく分解してお示しして いるということでございます。  1ページ目が医科計の状況でございまして、2ページ目が医科の入院、3ページ目が医 科の入院外でございます。4ページ目以降に同じ資料を、70歳以上の高齢者分につきま して、医科計、入院、入院外とそれぞれつけておりまして、6枚の資料という形になって ございます。  前回の中心的な説明のテーマが、7月に療養病棟入院基本料の医療区分による見直しが ございましたので、その影響について見ていただきました。今回もそれを中心に見ていた だきたいと思っておりますので、2ページ目をごらんいただきたいと思います。これが入 院の医療費で、前回は入院の医療費について、高齢者分について単価が落ちていますとい う話を申し上げましたが、200床以上と未満で分けて見ていただきますと、1日当たり 医療費の欄をごらんいただきたいのですが、18年4〜6月と7月の変化を追っていただ ければと思います。18年4〜6月の伸び率が、200床未満ですと0.1%、7月にな りますと、それがマイナス1.2%という数字になってございます。200床以上ですと、 4〜6月が1.2%、7月が1.4%と、200床未満がマイナスになっているのに対し て200床以上は逆に増えているという状況になっております。そういった意味では、前 回申し上げました医療費の傾向の変化は、200床以上ではなくて200床未満のところ に集中的に起こっているということがおわかりいただけるかと思います。  私からは以上です。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問などございましたら、どうぞ。 ○松浦委員 ちょっと1つ。1日当たり医療費、この伸び率についての表なのですが、医 療費そのものは増えているわけですか。 ○事務局(石原調査課長) 前回、医療費トータルの数字につきましては御報告申し上げ たと思いますが、トータルではプラマイ0%、4〜7月でほぼ横ばい。結果としまして、 3〜4%の自然増がございますので、3〜4%の自然増から、3.16%のマイナス改定 が入ってございます、それが相殺して、今年度についてはほぼ横ばいの伸びが実績として も出ているというように考えております。  以上です。 ○土田会長 よろしいですか。ほかにございますか。  ございませんようでしたら、次の議題に移らせていただきたいと思います。「平成18 年度診療報酬改定の影響」について議題としたいと思います。去る10月25日の総会に おきまして、2号側委員より看護師の確保状況等に関する資料提出の要請があったところ ですが、それに対して事務局より資料が提出されております。それから「平成18年度診 療報酬改定の影響」、同じですが、療養病床についてもあわせて議題としたいと思います。  最初に事務局の方から説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長) 医療課長でございます。中医協総−3−1の資料をごらんいた だきたいと思います。前々回の中医協で看護に関する診療報酬について、資料を4種類ほ ど要求がございました。それについてちょっと時間的な分もありましたが、とりあえず取 りまとめられるところでまとめた結果を御報告いたします。  まず1番目の1ページ目でございますが、7対1の入院基本料の届出状況でございます。 この表のうち、5月1日現在、これは以前の中医協でも御報告いたしましたが、一般病棟 の入院基本料で7対1の部分が医療機関数で280、病床数で4万4,831、それから 特定機能病院の入院基本料のうち、一般病棟をとっているところが11医療機関、病床数 で9,382ということでございました。それに対しまして10月1日現在の状況でござ いますが、一般病棟入院基本料の方は544医療機関、病床数にして10万3,836と いうことで、それぞれ倍近く、あるいは倍以上の伸びになっております。それから特定機 能病院の方は、11医療機関が17医療機関に増えまして、病床数が9,382から1万 5,257と増えております。そのほか、結核や精神のところ、あるいは専門病院のとこ ろもございますが、合わせまして、およそ12万程度の病床が7対1の入院基本料になっ ているという状況でございました。  それから次の2ページ目でございますが、この7対1の入院基本料につきまして、都道 府県別に特に一般病棟と特定機能病院の一般病棟の分について表にしてございます。ちょ っとわかりづらいので、資料の8ページをごらんいただきたいと思います。グラフにした 資料でございます。このグラフは、7対1の入院基本料の届出施設数を都道府県別に見た ものでございます。網がかかっているところが5月1日時点、それから全体が10月1日 時点ということになります。これで見ますと、施設数では東京都がやはり一番多かったと。 次いで北海道が43施設でございます。そしてその後福岡、大阪、埼玉という順番に続い ております。都道府県で随分と格差があるということがごらんいただけると思います。  次に9ページでございますが、この7対1入院基本料の届出病床につきまして、病床数 について都道府県別に見たものでございます。先ほどの積み上げたグラフではなくて横に 書いてありますのは、実は新潟県で病床数が5月1日時点よりもちょっと減ったものです から、積み上げることができなかったので、並列に書いてあります。黒い部分が10月1 日現在の届出病床数でございます。これでいきますと、一番多かったのが東京都で1万9, 128床でございます。2番目に来ますのは、今度は大阪府になります。それから3番目 が神奈川県、4番目が埼玉県、5番目が福岡県という順番になっております。ここでやは り先ほどの施設数に比べて病床数が少なくなるということは、1施設当たりの病床数が少 ないところがそういう形で出ているのかなということでございます。  それからもう1つ、10ページ目でございますが、これを人口1万人当たりの7対1入 院基本料届出病床数で見たものでございます。これで見ますと、人口当たりで一番病床が 多いのは青森県になっております。それから第2位が石川県、第3位が東京都、第4位が 福岡県という順番になっておりまして、青森県が施設数で10医療機関でございますが、 人口当たりにしますと相当数高いところになっている。近辺の隣接します岩手県や秋田県 ではそれほど高くない。また第2位の石川県におきましても、比較的似ております北陸三 県の富山県や福井県は少ない中で石川県だけが伸びている。ただ、ここの中身についての 要因分析はまだ十分できておりませんが、都道府県別にかなり差があるというのはこれで ごらんいただけるかと思います。  資料、戻っていただきまして、3ページをごらんいただきたいと思います。今度は入院 基本料の届出の施設数と病床数につきまして、病床規模別、それから設置主体別に分けた クロス集計をしたものがこの3と4の表でございます。これでいきますと、施設数でいき ますと、全体561ございますが、そのうち200床未満、1〜199床のところが34 0医療機関ということで、6割を占めております。そして、設置主体別で見ますと、56 1のうち、272が医療法人あるいは個人の病院ということでございました。半数程度が 医療法人・個人のところでございます。ただ、この縦横眺めていきますと、医療法人・個 人の病院につきましては、非常に小さい規模の199床以下のところが231と大半を占 めているのに対しまして、公的医療機関でありますとか、あるいは学校法人でありますと かというところは、やはり500床以上のところが多く出ている。これは設置主体によっ て違ってきております。  先ほど、機関数でいきますと200床未満が約60%と申し上げましたけれども、下の 病床数で見ますと、約12万床のうち200床未満が2万7,679ということで、4分 の1程度に下がってきます。これは当然ながら、病床規模が小さいので、割合としては下 がるということであります。それに対しまして、500床以上のところは3万7,776 ということで、およそ30数%という形になっている。したがって、大きいところも7対 1をとっておりますし、小さいところも7対1をとっているという状況がこれでごらんい ただけるかと思います。  以上が7対1の入院基本料のところですが、続きまして、2点目の問題として、大規模 な病院がたくさん看護師を集めているのではないかということがございまして、その募集 状況について調べてみました。なかなか全病院を調べるわけにいきませんでしたので、比 較的大規模な病院を持っておられるだろう国立高度専門医療センター、国立病院機構、国 立大学法人、日赤、済生会、全社連、この団体に協力をお願いいたしまして、直近の募集 状況等について調べていただきました。  国立高度専門医療センターにつきましては、8医療機関ございまして、その募集数と、 採用数あるいは内定数でございますが、平成18年度、458名を募集して採用されたの が411名ということでございます。平成19年度、来年度に向けて募集数は124増や して582を募集していますけれども、現在内定を出せているのが411という状況でご ざいます。  それから2段目の国立病院機構でございますが、146医療機関のうちで平成18年度 は3,800名の募集をかけたところ、採用がそこまで至らず3,451であったと。そ れに対しまして、今年度700増の4,500名を募集しておりますけれども、11月1 日現在で内定を出せたのが3,868ということで、今年度の採用数に比べますとプラス 417でございますが、18年度の3,800募集した程度の内定が今回ようやく出せた ということと聞いております。  それから国立大学法人でございますが、ここは平成18年度、2,455の募集をいた しまして、2,297の採用をしております。それに対しまして、平成19年度は倍以上 になりますが、5,420の募集を現在している。そのうち内定が出せておりますのは4, 509ということで、今年度の春の採用数に比べまして2,212、約倍近くの内定をこ こでは出しておられるということでございます。  それから日本赤十字社でございますが、92の医療機関がございます。このうち、試験 の時期の問題等もございまして、28のところではまだ内定を出していないということの ようでございますが、試験が終わって内定を出していたところのみの集計になりますけれ ども、募集数が2,642に対して2,791採用していたと。来年度につきましては、 1,467増やして4,109募集していますけれども、現在試験が終わって内定を出せ た分が2,126ということで、今年の採用数に比べるとマイナス665と。この分につ きましては、先ほど言いましたように、試験の時期等がございますので、若干後さらに内 定が増えてくると聞いております。  それから、恩賜財団済生会でございますが、ここも今年度2,049の募集に対して、 来年度は606増やして2,655の募集をかけておりますが、内定を出せたのが、今年 度春の採用数以下の1,583にとどまっているということでございます。  それから全社連も同じくでございますが、1,193に対して1,474の募集をして、 今のところ今年の春の採用の947よりも低い741が内定を出せているという状況にな っております。  全般でいきますと、やはり国立病院機構と国立大学法人は順調に内定の数を出している のに対しまして、日赤、この試験時期もありますが、日赤や済生会や全社連につきまして は、現時点においては内定が必ずしも今年の募集までは至っていないという状況でござい ました。  それから次の5ページでございますが、7対1の入院基本料が高すぎるのではないかと いう御意見もございまして、その10対1の入院基本料と、10対1の入院基本料の病院 が7対1の入院基本料になるためには、どれだけ看護職員が必要で、そのためにどれだけ 収益が上がるかという試算でございます。ここでは患者500人が入る病院を考えており ます。10対1というのは、昔の言い方で言いますとおおむね2対1ということでござい ますので、500人の半分、患者500人に対して必要な看護職員が250人ということ でございます。それに対しまして現在1,269点という点数がついておりますので、入 院基本料の収入としては23億2,000万円程度と。それに対しまして、7対1にする ためには、7対1というのは昔で言うとおよそ1.4対1のことになりますので、500 床をそれで割りますと、358人が必要である。それに対しまして、収入につきましては、 1,555点、286点高くなりますので、それに対して収入が28億4,000万円ほ どになる。これを比較いたしますと、看護職員の増加が108人必要であって、それによ って収入が5億2,000万円程度増えると。看護職員1人当たりに単純に割りますと、 480万円余りということになります。  このあたり、どのような要因でこの部分が、ぎりぎりのところからぎりぎりのところへ 単純にやっておりますので、あと、もともと余裕があった分でありますとか、そういうと ころは見込んでおりませんが、ぎりぎりで上げていったとしたらこれぐらいの収入増にな るという試算でございます。  それから次の6ページにつきましては、これは看護師の養成所における内定状況、今度 は送り出す側の内定状況ということで、これもなかなか期間がございませんでしたので、 とりあえず全国的に養成所を持っておられるところに尋ねました。国立病院機構等にお願 いをしたところでございます。全体で107校から回答をいただきました。内訳は、10 7校のうち、57校が国立病院機構、厚生連が13、済生会が8、全社連が9、日赤が2 0ということでございました。  左側が平成17年度卒業生、今年の春の卒業生でございます。4,308人が卒業いた しまして、約9割が看護師として就業、そのほとんどが病院に就業をしております。その 内訳は、行き先は、国立大学法人の病院、それから国のその他の病院、それから公立、公 的医療機関等々となっております。ただ、先ほど、全国的にこの養成所を展開していると ころと申しましたので、このほとんどだと思いますけれども、病院に併設された養成所と いうことでございますので、恐らく卒業生の多くが併設されている親病院といいますか、 そこへ就職されたのかなと、それがこの分布になっているのだと思います。  それに対しまして平成18年度の予定がどうかということでございますが、卒業見込み の方が4,303人で、内定が一応とれているという方が、やはり9割近く、87.8% の3,778人、そのうちほとんどが病院でございました。行き先について見ますと、今 年の春とおおむね変わりはないというふうに見られました。これはもともとの親元の病院 に行くというところについてはそれほど大きな変化はなかったという結果になっておりま す。  以上が看護関係の資料でございました。  次に、中医協総−3−2という1枚の資料をごらんいただきたいと思います。平成18 年の7月と8月の診療分のレセプトにつきまして、国保のレセプトから抽出的に、全国ブ ロックから8,000人を抽出をいたしまして医療区分の分布を見たものでございます。 7月、8月、医療区分1がそれぞれ47%、44.9%、医療区分2が38.9%、39. 4%、医療区分3が14.1%、15.8%という形で結果として出ておりました。  資料の説明は、以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。  ただいま医療課長の方から、看護の方とそれから療養病床の方とあわせて御説明いただ きましたが、議論はちょっと分けて行いたいと思います。  最初に看護の方から議論をしていきたいと思いますが、どうぞ御発言ください。 ○竹嶋委員 前回のこの協議会の中でもう少し詳しい資料を御提出願いたいとお願いしま した。1週間では確かに短い期間でございましたけれども、厚労省の方で座長の御指示に よりこのような資料を出していただいたことに対しまして、まずお礼を申し上げます。あ りがとうございました。その上で、この資料を拝見させていただきながら、それから後ほ どまた私どもの方から今度は診療報酬改定の影響につきまして資料を出させていただき、 説明させていただきますが、今の看護問題に限ってということでございますので、発言を させていただきたいと思います。  まず、私たちの基本的なスタンスを申し上げさせていただきます。それは、現在格差社 会ということがあちこちで言われています。これは国会の中でも言われております。その 中で、1つは、今までは所得の格差ということが問題になってきましたが、最近では、い ろいろな意味での地域における格差というのが問題になってきていると思います。例えば 今日は経済界の方もおられますが、私の手元の、これは経済産業省からの資料だと思いま すが、産業界におけます収益格差というものがございます。1995年から2004年の この10年間に、大規模企業の収益は1.4%プラスでございます。中小企業は9.2% マイナスでございます。零細企業に至りましては13.8%のマイナスでございます。そ して、正社員は480万人減っており、非正規の社員は逆に640万人増えております。 このような経済的な格差というのが私ども日本のこの社会の中に起こっているということ がまず1つであります。  こういう中で、私たちは少なくとも医療の大部分、それから一定限度までの介護、そし てもう1つ教育あるいは保育と、こういう面に関しましては極力格差を避け、できるだけ 公平に配分されていくように持っていくということが私たちの基本姿勢でございます。先 ほど申しましたように、個人企業あるいは地方におきまして、上と下という言葉は適当か どうかわかりませんが、わかりやすく言えば、上が豊かになっていくし、便利に、安心な 生活ができる、逆に、下という表現をしますと、その層は貧しく、不便に、不安になって いるというのが、今日本の社会の中の状況だと思います。  そういう中で、先ほどお示しいただきました看護問題で、私どもは以前、7対1の看護 基準により国内である部分に集中的に看護師の方々を集めることが大きく起こっていって、 そのために地方は大変今混乱しているということを総論的に申し上げたと思います。これ につきまして、ただいま資料が出ましたが、この資料をごらんいただきましたように、や はり大学病院を中心とした、そういうところが大きな募集をかけております。募集をかけ られれば、当然今一定の看護師数しかないわけですから、そこに持っていかれれば、ほか のところはそこから看護師さんは減るということになります。これはもう理の当然でござ います。  先般11月2日の参議院労働委員会におきまして、私はここに議事録を持っております が、西村英利参議院議員が、この7対1配置基準によります看護師の、今私が申しました、 言葉が非常に強すぎますが、引き抜きといいますか、それを移動と言いましょう、そうい う状況が起こっていることに対して質問いたしております。その当時は全国で280施設 ということでありましたが、今日のデータを見ますと560ぐらいになっているのですか ね。たった5カ月間でこれだけの大きな数になっているのですね。それから、そのときに、 厚生労働省としてのこれに対する認識、どう思っているかということの質問をしておりま すが、それにつきまして水田邦夫局長は、今言いましたように、7対1入院基本料の届け を出しているのは全国で280あるということをまず申されています。「委員も御指摘の とおり、来年4月の新卒者を対象といたします看護職員募集につきましては、主に大都市 部の大学病院において例年より多くの求人を出している」と認めておりまして、今日のデ ータできれいに出ています。私自身もここに集めた資料を持っておりますが、これは先般 御許可を得ておりますように出しておりますが、いつでもこれは1号側委員にもお送りさ せていただきますし、公益の委員にも送らせていただきたいと思います。これを見られる と本当にびっくりなさるだろうと思います。  1つは、この数の問題もあります。もう1つは、この中を見ますと、看護師のお給料が 高い、募集のですね、これは当たり前なことだと思います。そうしなければ集まらないわ けですから。そうしますと、これまた一定の医療費の中での看護職員の給料というものが、 ある水準にあるところを高くすれば、当然そこに行きますし、場合によっては、その方々 を引きとめようとすれば高くしなければいけない、これも経済的なそのままの説明でいく と思います。  もう1つ、よくエビデンスということをおっしゃられますので、これもごらんになった 方はおられると思いますが、11月23日のNHKテレビ「ニュースウオッチ9」で7対 1看護につきましての報道がございました。そして、そこではもう具体的に東京大学の名 前が挙がっておりました。そして、多数の看護師募集を行ったために、ある私立病院が看 護師不足になって病棟閉鎖に追い込まれたと。私どもも今各都道府県の医師会を通じて、 そういうところはないかと事実関係を調べています。あれば大変なことなのであります、 あってもらっては困るのですが、ないかということを今調べておりますが、このNHKの ニュースにこういうことが出て、実際起こってきたということがあります。  これの一番の、もう考えてもわかるのですが、今原課長さんの方から御説明の中に数字 がありましたが、7対1が1,555点、10対1が1,269点、13対1が1,09 2点、15対1が954点、こういう大きな差がつけられているわけです。差のつけ方が あまりにも激しいわけです。ですから、当然高いところにみんな持っていくわけですね。 私は新任のときに御挨拶の中で申しましたが、中医協の在り方自体は必ずしもいいと思わ ない、これは勝手な私個人の意見ですが、ここで例えば医療費全体を多くするとか少なく すると、そういうことは決められないということでございますね、認識しております。し かし、中でのいろいろな不都合、これは去年からこういうことは今までの中医協委員の中 で検討されてきているわけですから、診療所は私たちの責任がありますが、そういう中で 決められてきて、こういういわば荒っぽいといいますか、やり方を持っていたことに関し ては、私は厳正にこれは対処していくのが筋であろうと、そういうふうにまず冒頭申し上 げて、7対1問題に対しては、医療費全体を、パイを大きくするということではありませ んので、だからここへ財源を持ってこいということではございませんが、少なくとも中で、 国民に向かって理屈の通る……。まだまだ私は募集はかかってくると思いますよ、そうす ると、もう不安がやはり地域地域にございますので、これは大変私どもは心配をしており ます。  それからもう1つだけ、これは今は出てきませんでしたが、地方の病院で、これもいつ か申し上げました、非常に困っている点は、やはり病院の72時間夜勤です。これも大変 苦しいところがあります。このあたりも勘案していただきたいのですが、少なくとも7対 1問題に対しては厳正な対処を私は求めたいと思います。  以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。 ○石井委員 7対1問題について少し発言したいと思います。  日病協は、非常に大きい病院から小さい病院まで、急性期の病院から慢性期の病院まで、 いろいろ含んでおりまして、7対1についてはいろいろな立場からのお話を我々は伺いま す。我々の手元にも、精神病院協会からは、国立大学や大きい病院の看護師の採用を少し 控えてほしいという要望書も上がっております。そういう要望が上がるくらい非常に困っ ていますし、我々民間病院の立場からいいましても、地域で急性期を非常にがんばってや っている病院が、10対1を確保するのも大変だという状況があります。  では、この問題をどう考えるか、そしてまたこの間の議論の中でこれはどういう位置に あったかをもう一回振り返らないと、大変だ大変だと言うのはでは解決方法がありません。 その点について昨日東大病院長からも彼らの事情を聞きましたが、いろいろな要素が絡ま っているので、単純ではないと思います。  全体に貫く問題としては、今回の診療報酬改定が、医療的に非常に人手がかかる部分、 重度のところ、急性期のところに重点的な点数配分をするという話でした。後でその問題 の分析のときにまたお話ししますが、全体的にみると医療崩壊と言われるような、病院か ら医師もいなくなる状況と同一の問題です。日本の入院医療、在院日数は短くなってきま すし、医療度が高くなっていく、そして安全についても強く要望される中で、それを可能 にするには看護師さんの数が今までのスタンダードの形では足りないという状況がありま す。これは急性期も慢性期も一斉に看護師の増員という方向に動いていることがまず大前 提にあると思います。こういう中での7対1問題だとまず見ておかなければいけません。 この7対1を目指すという動き自身が悪いという問題ではなく、こういった状況というの は一つの必然的な動きと、抗えない動きとしてあるのだと思うのです。  これが高い点数がついたからそっちに行くという単純な問題だったら、東大病院な医療 経営者がちょっとハッスルしてやっておるなというだけで済んでしまうのですが、実は、 相当危機感があってやっていることだということが話してみてわかりました。これは東大 とか国立大学病院に特殊な問題ではなくて、一般病院の典型例としてあるのだということ で、そのことも含めてお話ししたいと思います。  我々民間病院でも、中医協に提出されたレポートにもありますように、10対1のとこ ろがもう既に実際上は8対1とか9対1になっているというデータが中医協に出されまし た。そういった状況は急性期病院では普遍的に起こっていることです。考え方が、我々と 厚労省の立場とは最終的にはちょっと違った点がありました。我々は病棟別にしてくれと 要望しました。現実にそういう配置をされているのだから、それを追認する形でやってほ しいと。これに対して厚労省の立場からは、それをやると入院医療費が上がってしまうの で、病棟単位ではなく病院全体としての7対1にしたいという、考え方でした。そのとき に、我々も厚労省も、これに対してどういうふうに病院が反応するかに関してはちょっと 甘かったといいますか、想定外のことが一つありました。  今回も、このデータを見ますと、国立大学が募集定員を増やしている。増やしたからそ の分について多くなったのが基本です。なぜ増やしたかというと、今までは国立病院など はほかの公的病院と比べても定員贈で低く抑えられていた。これが独法化などで緩んだの で、経営的に経営者の裁量で増やせるようになったことが一つ、さらに補助金も減る中で、 もっと働けという話になってきます。大学から医師がいなくなるという中で、医療安全が、 特に大学などでいろいろ問題になってくる。とすると、看護師さんを増やさないと、大学 病院の経営も医療も危ないという、大学人の危機感が背景にあります。東大病院長でも非 常に危機感を感じるということなので、彼がこういう危機感を感じて動いているというの は、僕らの民間病院にとって、これは迷惑といいますか、ちょっと恐ろしい話なのです。  しかも、今回のこの問題に関しては、これほど東大病院が、院内が一致団結したことは ないと言うのです。これは僕はよくわかるのです。東大というのは大体、教授会も団結し ないところなのです。皆さんお山の大将で、団結する必要がない。ところが、これは一致 団結して、今まで反対を言っているような人たちが、地方の学会に出たらついでに看護学 校を回ってきたよというような報告がある。それが役に立っているかどうかは別として、 各地で危機感をあおっている。またこれが報道される。報道されるとさらに集まってきた というのです。報道されるまではそんなに集まらないけれども、報道されたら看護師さん が集まってきたというので、実は、この問題をこういうところでも話したくないのです。 大学病院だけに集められると我々としては非常に困る。大学人はまだ経営的に僕らから見 れば甘いと思うのですが、その彼らがこのように上からしめつけられ経営者意識を身につ けろと言われてお尻をたたかれている。一生懸命になっている。他方我々のような危機が 続きすぎたところでは、鈍感といいますか、あきらめがあり、この動きに対応できないと 思って、実は危機感を感じて帰ってきたのです。  ここで、1号側にも理解していただきたいのは、今の医療を安全にしていくためには人 手が必要だということです。その問題をまず前提に置いておかないと、そのためにはどう していったらいいかということで診療報酬の問題についても考えなければいけない。今回 の厚労省の報告でも、必ずしも大病院に7対1が多いわけではない。どういうところに多 いかについて、この段階ではまだ正直言ってわかりません。今後の調査で、どういうとこ ろが実際に7対1をとっているのか、医療の実際の内容との関係で考えていかなければな りません。今回の7対1をつくった趣旨は、重症のところに看護師さんをたくさん入れる ということが趣旨で、決して、大勢集めることによって看護師さんの仕事を楽にするとい うことがねらいではありません。そういう意味では、単純にこの7対1ということを決め るだけでいいのか重症のところの病院だけが集めるというような構造をどうつくるかとい うことを考えないといけない。多く集めるのはけしからんと言っているだけでは現実の解 決策とならないと思います。  その点で、幾つかの問題点があります。1つは、7対1では平均在院日数の縛りをもう 少し強くしようかという話もありました。しかしこれは効果がないという意見もありまし た。科によっては入院日数は短いのでこの場合は意味がないという意見があり、そう言わ れてみるとそうかなと。では、何かほかにあるかと。それとも、十分にはきかなくて一部 問題があってもそういうものを取り入れるのか、それとも、看護を必要とする場合と計測 する看護必要度という考えを取り入れるか。これについては看護協会がいろいろ検討され てきたと聞きますが、そういった概念をこれからダイレクトに取り入れていくことも検討 しないといけない。これは今年だけの問題ではなくて、これからの問題だと思います。特 に、独法化などで、国立大学病院への「あめとむち」が非常に強くきいのですが、夕べも 邉見先生とお話ししていたら、まだ公立病院はその辺が歯止めがかかっていて増やせない のだと言われました。こういった独立法人化、経営の裁量権が公立病院も強まっていきま すと、これは国立大学だけの問題ではなくて、全公立病院に広がる動きになることを我々 は恐れているので、こういった点も含めて、多角的な検討をお願いしたいと思います。 ○邉見委員 今、名前が出ましたので、追加させていただきます。  この看護に関しまして、4ページをちょっと見ていただきたいのですが、下の方に済生 会とか日赤、全社連、出ていますけれども、自治体病院とJA厚生連、地方にたくさんあ る病院の団体が調査に出ていないのです。これは負け組なのです。地方は負けているので す。集まらない。多分もっと悪い数字になると思うのです。厚労省の係の方に聞きますと、 粒ぞろいでないと、大きいところから小さいものがあるから調べにくいということなので すけれども、ぜひ調べていただきたいというふうに思います。厚生連は別にしまして、自 治体病院も厚生連も小さいものから大きいものがありますし、田舎に農村、この切り捨て られているところにありますので、格差社会というふうなものをもろに受けている病院は いっぱいあります。もう閉鎖とか統廃合の病院もいっぱいありますので、だんだんと地域 のセーフティーネットが崩れつつあるというふうなところの病院は、医師だけでなく、看 護師さんでがんばってやっているような病院もあるわけですが、医師がおらなくなり、看 護師さんも町へ全部出ていなくなると、ますますこれはとてもやっていけないというふう な現実です。  先ほどおっしゃいましたように、自治体病院もやはりもう独立行政法人か地方独立行政 法人をとらないと、総定員法で公務員の枠というのは決められていますから、私は総務省 には消防と病院だけは定員法から外してほしいと、地域の住民の命と安全を守るのには消 防と病院は別だというふうにお願いしておるのですけれども、夕張市の問題とかああいう のがありまして、もう公務員は増やさないというふうな一点張りで、そういうふうなこと がなかなか難しい状況です。それから給料です。給与も公務員というのは増やせませんか ら、これもほかのところが高く出しますとまた減っていくということです。ほとんどもう 無理というふうな感じになっております。  だから、これを調べていただくと、多分集まらない。もともと看護師さんは田舎にはお らないわけですから、学校がないわけですから、それが戻ってきてくれていたのが戻らな くなる。だから、ある病院なんかは六本木にマンションを用意しましたとか、資生堂の美 容教室をしますとか、そういうふうなことをやっているわけですから、我々田舎の病院は どうしようもないというふうな感じで、もう指をくわえて見ているというのが現実です。  それから、先ほど東大病院が出ましたが、関西の京大病院を申し上げますと、京大病院 は、周りに迷惑をかけたらいけないというので、ちょっと穏便に2年計画でやっています。 だから少し周りに影響は少ないだろうと。周りの病院がつぶれたりしたらいけないという ふうなことを配慮しているようです。  それから、最終的には私は本当に7対1の必要なところは仕方ない。本当にやはり調べ るのは看護必要度、看護度を調べないと、みそもくそもというか、玉石混交みたいな7対 1であってはいけないと思っています。そういう意味で、我々病院団体は以前から病棟ご とのをお願いしていたわけです。病棟ごとであれば、院内で必要なところと必要でないと ころがわかるわけです。そこで異動すれば、全くこういう問題は起こらなかった可能性が あると。今はもう起こってしまっていますから、仕方がない、もうパンドラの箱はあいた かもわかりませんけれども、そういうふうにすれば起こらなかった可能性があるわけです。 それをもう一度、例えば今10対1のところである程度のことをできている、クリアして いるところは、病棟ごとも許すとか、全部に許すのではなくて、そういうふうな折衷的な 案も早くに考えていただければ、この問題は少しでも前進するのではないかというふうに 思います。  以上です。 ○土田会長 どうもありがとうございました。 ○古橋専門委員 看護の立場から申しますと、全体的に覆っております7対1の否定的な 発想ということに対しましては、ぜひともこういう傾向にならないことを願っております。 従来、看護の配置につきましては、全体的に日本の医療制度は安い労働力と看護職員の数 の必要性の多さから集めにくいというような問題もあって、手厚い配置とは長い間否定さ れてまいりました。高い濃度の看護の必要なところさえも、そうした護送船団的な考え方 によって、手厚く配置をして、患者が期待し、必要としている看護を提供していくという 発想そのものが長年封じ込められてきました。このたび7対1が本当にすごいぜいたくな 数かと申しますと、私どもは決してそうは思っておりません。ですが、かつてない配置が 実現したということは、必要なところに護送船団方式ではない、突き抜けてやっていく方 向が長年たってやっと実現したのだという思いでおります。  現在大きく問題になっているのは、看護職確保のために全国で砂が舞うような確保作戦 が展開している事態に、医療機関の看護管理者あるいは病院経営者が危機感をお持ちにな っているということだと思います。私は、全くこういうことなくして7対1の病院が誕生 していくとは思いません。ですから、ここ1〜2年はしっかりフォローをするということ が必要であると同時に、7対1を獲得なさった病院は、安全の確保とか、手厚い看護とか、 あるいは看護職が疲弊するほど忙しかった、その働く環境を改善し、看護職の確保と定着 を進めること、7対1取得病院はそれを取り組む義務があるのではないかと思っておりま す。  もう1つは、国立大学法人病院の看護職の確保状態は、本日資料をいただき明らかにな りました。際立って多いところは、やはり多くのナースを確保したいと病院方針をお決め になった国立大学病院であることもわかりました。学校側から見ると、国立大学法人の内 定した者4,500人の大部分が、自前での養成ではない状況も示されております。した がって、看護職が社会的・人的資源であるということであるならば、今回集められた人を、 様々な方法を展開して定着をさせていくという努力と義務が国立大学法人にはおありでは ないかと思っております。  もう1つは、既に議論が出ましたけれども、看護必要度とか重症度とかを勘案して、必 要なところに7対1が認められる、とも要るのではないでしょうか。看護協会の調査でも、 50床未満の病院が100を超えて7対1を取得しておられるということを把握をしてお ります。ただ、50床未満の病院がすべて看護度とか重症度が軽いとは思っておりません。 センター的に特化した機能で先駆的医療をやっておられるところもあります。ですけれど も、人数が少なくても容易に7対1に届くので、思いがけなくとれたというような病院が あるとしたら、果たしてこの看護職が足りないという中で許されていいのかという問題は ございます。前の御発言でも出ましたように、看護必要度と相関した7対1が検討される ことがあっていいと思います。看護職としては、高齢者である、あるいは医療密度が高く なっている、在院日数が短くなっている、こうしたことがここ数年、病院における看護配 置にの大きな変化を必要とする背景になっております。高齢者が多く、医療密度が高く、 そして在院日数が短い、かつ夜の看護度も、夜の状況も昼と変わらず高密度であるという 事実からは、やはり高い人員配置がされなければ、国民の期待にもこたえられないし、安 全も保障できないということは明らかでございます。ですから、均一に看護職を配置すれ ばいいとか、護送船団的に安い労働力で応分に配置すればよりというような発想はもうや めていかねば、日本の医療の質は上がっていかないと思っております。万一、7対1否定 論が横行するようなことに対しては、断固異論を唱えたいと思っております。 ○竹嶋委員 今看護協会さんがおっしゃったのは全くそうだと思います。やはり看護師の 質だけではなくて、医療にかかわるすべての人がきちっとやっていけるように全体的に質 を上げていかなければいかぬ、これはもう異論は全くありません。ですから、先ほど申し たように、ここで議論をするときに、そういうふうな看護職を充実させていくと。実際看 護師さんの数は、やはり先進諸国に比べて少ないというふうに私は情報を得ております。 医師はまあまあのところにある。だから、そのお説には全く賛成です。ただ、財源をここ で論じていって、こうするならいいけれども、その決まった財源の中でどうしようかとい うときに、そしてそれを現場ですぐ動いていくわけですから、そのときにとりあえずやは り何かの処置をとるというふうに考えざるを得ないから、基本的な理念は全く一緒です。 医師もそうでなければいけない。  だから、そういうことで7対1が絶対悪いのではなくて、その配分のところがあまりに もありすぎる。やはりそこをとらないと経営ができないのではないのか。今東大とか京大 とか出ましたが、手元の資料では10幾つ、県立病院とか市立病院も増しているところが あります。この資料は、またお届けさせていただきますけれども、もうそういうふうにな っていっている状況の中で、何としても地域が医療に対して疲弊していくということは、 直ぐにとめてもらいたいと、とめるような方法をとってもらいたいということです。質を 高めることは御一緒にやっていかなければいかぬと思います。 ○鈴木委員 いろいろ方向性としては間違っていないと2回前の資料提出をお願いしたと きに私も申し上げたと思います。7対1が5対1になってもいいと思います。しかしなが ら、看護師不足という現実がある中で、それは少しいかがなものかというところがござい ます。なおかつ、その経済的な要因が看護師不足を加速させて地域医療を混乱させている 現実というのを、2年は待てません、1年も待てません。何らかの打つ手があるはずです。 伺えば、必要のないところにまで看護師がいるという事実もあるようですし、条件面の整 理というのは必要だとは思いますけれども、このまま看過するような、とてもそんな問題 ではないと思います。 ○土田会長 どうもありがとうございました。 ○対馬委員 今日の資料でも大分状況はわかりましたし、また、各委員、看護協会の古橋 委員も含めましていろいろお話を伺いましたけれども、ただ、方向性が一致している部分 もありますし、またやはりちょっと違うかなというところもありますし、あと実態そのも のが、どうも私どももまだ必ずしも掌握できていないと。厚労省の課長さんの説明でも、 私どももちょっと意外だなと思いますのは、例えば地域で青森県とか石川県とか、福岡県 もそうなのでしょうか、人口当たりですと割に地方で7対1をとっている病床が多いのだ といった数字もございますね。ですからそのあたりが、先ほど来出ています看護の必要度 とか重症度とか看護密度とか、そういったものとどう結びついているのか、ないしは結び ついていないのか。このあたりがはっきりしませんと、まさに軽々に結論なり方向性を出 しますと、逆にまた問題が生ずるということも起こりかねないというふうに思いますので、 やはりもう少しデータを精査していただいて、本当にどんなことが起きていて、それをど う変えればどういうことになるのかという議論を続けていくことだというふうに思います。 ○丸山委員 今いろいろお聞きしていて、この問題については私は最初は非常に皮相に見 ていた。10対1から7対1にすると、患者さんが1年間入院していると104〜105 万円の入院料の増加になる。だから、看護師さん1人雇うのなら、患者を5人増やさぬと いかぬななどという、そんなようなことを思って聞いていたのですが、先生方の御意見を お伺いしていて、医療の安全の問題も絡んで、この際こういう動きがあるというのはなる ほどなと思ってお聞きしていたわけでございます。  ただ、一般産業界から見ると、ややいろいろな異論のある見方ができるわけでございま す。基本は、職業の選択、職場の選択というのは言うまでもなく個人の自由でございまし て、医療活動上必要だから、ここに看護師さん行きなさい、あそこに行きなさいというこ とは絶対にできないわけです。  地方が大変だということを皆さんおっしゃるわけですが、我々一般産業界での要員確保 問題を経験をした者から言うと、今の時代、地方の方が人を集めるのは容易なのです。だ から、いろいろな企業は地方に地方にと拠点を展開している。さらにそれもきつくなるか ら海外へと展開している。そういう動きが一般産業界の実情なわけです。だから、この資 料を見ますと、確かに国立大学病院が昨年の採用数よりも2倍も採用しているというのは、 大変大きなインパクトを看護師の採用市場で与えていると思います。東大病院の話が出ま したが、東大病院はむしろ苦戦しているのではないかと思うわけです。東京という大都市 の方が、お医者さんは別としても、看護師さんというのは地方にいても東京にいてもその 職務の本質は変わらないとすれば、むしろ地方に定着したがるのが今の日本人の若い人の 選択の方向性であるわけです。だから、六本木にマンションをとどなたかおっしゃってい ましたけれども、何で六本木のマンションに入れなければいかぬかというと、そういう魅 力を持たせないと地方の看護学校の生徒さんは絶対に東京に来ないと思います。東大の先 生が地方の学会の集まりでついでにどこかの看護学校に行くなどというのは、なぜそんな ことをするかといったら、集まらないからです。だから、地方の国立大学病院が全体で4 5あるということですが、それはある意味では非常に豊かな採用活動が、この国立大学病 院、国立病院機構はできていると思うのです。その辺の全体を見なければいかぬと思いま す。  それからもう1つは、今おっしゃっているのは全部新卒の話なのです。申し上げたいの は、新卒の採用だけが看護師さんの確保ではない。一般産業界も、新卒の採用も一生懸命 やりますが、経験者採用、中途採用というのは、これはもう御存じのとおり、非常にエネ ルギーをかけてやる。会社によっては経験者採用の方がベターなのだと言って新卒を採ら ないところもある。だから、今既に働いている人にどう定着させるかというお話もありま したが、そういうことも含め、それからこの前、准看の人のレベルアップもあるのではな いですかというお話をしましたが、それもある。それから、この看護師という職種の特殊 性は、休止状態にある人、今働いていない、医療現場にいない人が、一言で言うと50数 万人おる。こういう人をいかに現場に引っ張り出してくるか。そのためには、雇用形態の 多様化だとか、労働条件の多様化とか、今いわゆる一般産業界が一生懸命やっていること を医療機関もやらないといけない。  そういうことで、私はむしろ、今看護の必要度をどう見るかというお話がありましたが、 ここ数年の間に7対1はさらに増加すると思います。とにかく量をそろえればいいのです から、看護師さんの頭数をそろえればいいのなら、私なんかのセンスではこんなに易しい ことはない。質を問わない、頭数だけそろえばいいというのなら、7対1の病院がどんど ん増えてくる、むしろそっちの方が本件を聞いていて危惧の念を持つわけでございます。  だから、さっきいろいろな多角的検討が要るとおっしゃいましたが、看護の必要度、あ るいは7対1にしたら医療活動の有効性あるいは効率性がどれだけ上がったかという検証、 それから看護の必要度をどう取扱の中に入れていくか、ある段階で判断していく、むしろ そっちの方が医協の議論としては大切なのではないかと思います。だけど、この取扱は始 まったばかりでございますので、もうちょっと様子を見ながらやらなければいかぬのかな と思います。だから、そういう過渡期の中でいろいろなさざ波が当然起こってくるだろう なと。我々も、言葉を悪く言うと分捕り合戦、よく言うと魅力ある条件を提示し人材をい かに確保するかというのは、今の日本の企業のどんな産業領域でも重大な関心事であると いうことを意見として申し上げたいと思います。 ○土田会長 1号側はほかにございますか。 ○松浦委員 この国立大学法人が倍に増やして看護師さんを採用しているというのは、こ れはやはり今は7対1ではなかったわけですか。例えば2対1はとっていたのでしょうか、 大学病院というのは。2対1から7対1に上げるためにこれだけの看護師を採用している と、こういうことですか。 ○古橋専門委員 そうです。 ○土田会長 2対1というのは、今までで言うと10対1です。 ○邉見委員 10対1から7対1です。 ○松浦委員 10対1から7対1ですね。地方で、私のところの市立病院も、確かに看護 師の採用をかけましたところが、例年に比べてがくっと応募者が減りました。たまたま産 婦人科の、産科がもうなくなりましたから、それで多少入院が減ったものですから、私は どちらかというと、医療ということもさることながら、経営という方からも見ますから、 減ったのなら、減って、私のところは2.5対1だったのですが、2.5対1から10対 1にすることが可能ではないかというようなことは私も言ったことがあるのです。  病院の中には、やはり経済的な面を見ながら7対1をとろうとしているところは私はあ ると思いますので、先ほども皆さんおっしゃっていますけれども、私は医療の専門家では ないから、こういうことが基準になるかどうかわかりませんが、例えば患者を本当にそこ の病院の中で治していると、かなりの重症患者もそこで治している、そういうところは確 かにわかるのですけれども、難しい患者だったらすぐよそへ送ってしまうような病院に7 対1は必要はないだろうと私は思います。ですから、紹介・逆紹介とかいうような、そう いうようなこともありますから、そういった点から、あるいはまた、まさかICUを持っ ていないところが7対1をとるなどということはないのだろうと思いますけれども、そう いうもろもろのところから条件をかけて、ある程度厳しくしておくことも必要ではないか と思います。  以上です。 ○勝村委員 表の総−3−1の1枚目の右端の割合なのですけれども、上から3つ目の2 8.2%と、4つ目の25%いう数字、これは計算間違いではないですか。これはちょっ と僕は理解ができないのですが、ちょっと僕の気づいていない何か意味があるのだったら 教えてもらいたいと思います。 ○事務局(原医療課長) 「7対1届出病床が占める割合」というのは、届出総数の、例 えば一番上の欄でいきますと、5月1日現在、72万3,484床ですが、これを分母に したときの10月1日現在の10万3,836床の割合です。特定機能病院も同じでござ いますが、結核病棟のところは198分の11のはずなのですけれども、それが25とい うのはちょっと計算間違いかもわかりません。 ○勝村委員 そうですね。  では、僕は皆さんの議論をお聞きしていて、一様に大体考え方は一致しているなと思っ て聞かせていただいていたのですけれども、これまでは、薬漬け、検査漬けみたいな言葉 が日本の医療を表す言葉として随分昔からあったわけですけれども、そういうところから、 やはり医療安全のために看護師が必要なのだという価値観に、医療界のリーダーの人たち が変わってきているということは僕はよかったのではないかと思いますし、そういう意見 では皆さんおおむね一致しているのだと思うわけです。だけど、変わっていかなければい けないわけですから、今までと同じようにできないではないかという意見はナンセンスな のであって、変わっていくわけですけれども、でも変わっていくときの過渡期の混乱とい うのをできるだけなくしながらスムーズに素早くあるべき方向へ変わっていくための議論 をしているのだろうというふうに理解しているわけです。邉見委員等がおっしゃっていま したけれども、この間のこういう結果を、7対1が必要だという形になるまでの議論はど ういう議論だったかというと、総枠で32兆円何がしの限られた医療費を本当に価値のあ るところにシフトしていこうと、すべては価値があると言ったらそれまでなのですけれど も、相対的にやや余裕のあるところから、本当に価値があるのに十分にお金が回っていな いところに回していくということをきっちりとエビデンスに基づいてやっていこうという 作業だったと思うのです。そのうちの一つが看護師さんの価値を見直してそっちへシフト していこうということだと思うのです。ただ単にお金が回っていくというだけではなくて、 そのお金がどう使われるかということもやはり価値観なので、そこのお金の使われ方も、 もっと薬を使う、もっと検査をするということよりも、もっと看護師さんを置いていこう という方に進んでいっているということで、そういう従来の議論からしても、非常によい ことなのだろうというふうに思っているわけです。  では、どうしていくかという過渡期の暫定的な議論に関しては、やはり病院単位なのか、 病棟単位なのか、つまり、本当に価値が高いところはどこなのかという観点で、ちゃんと 7対1を進めていくということと、またそのお金という価値を看護師さんの人数という価 値にかえて今僕は動けばいいと思っているですけれども、その看護師さんやお金を多く配 置したところが、実はあまり価値のある医療をしていなかったということであっては困る わけなので、そこをきちっと何らかの手だてを打っていこうという整理だと思うのです。  そういう観点からすると、やはりこの間言ってきたのは、救急がだめではないか、救急 医療がないではないかと、救急が必要ではないか、価値が高いのにないではないか、特に 産科、小児科などというのはきちんと整備されなければいけないではないかということを 言ってきているので、やはり経営のためを考えると産科医療なんかやっていられませんと 言っているようなところが、だけど看護師さんはたくさん集めたから、たくさんお金を下 さいと言うような形では、やはり本来の意図に反していると思うので、一定のこの間重視 してきた、本当に必要なのに今の日本に非常に欠けているというところに、看護師さんと いう資源というのか、そういうものがちゃんと回るような手だてをとるということをしな がら、やはりこうして価値は変わってきているのですから、看護婦さんの価値をもう一回 もとに戻して下げるのではなくて、その価値を上げたままでやはり看護師の確保をどんど ん未来的に増やしていくような形でやっていただけたらいいのではないかと思いました。 ○土田会長 ありがとうございました。  次に療養病床の方に移りたいと思っていますし、それからこの議論は次回もまた続けた い…… ○邉見委員 はい。 ○土田会長 わかりました。それでは、時間1分だけお願いします。 ○邉見委員 丸山委員の意見、確かに人事というか、経営の点からいいますと、そのとお りだとは思うのですけれども、現実はそうではないのです。1つは、ナースというのは資 格を持っていますので、資格職ですので、あまり田舎には学校がないから、まずないと。 普通の高卒とかではないですから。それが1点です。  例えば西播磨の看護部長会を開こうとしましたら、みんないないのです。みんな九州へ 行ったり四国へ行ったりしていないのです。それほど困っているのです。みんな努力して、 現実的には非常に困っているということがございます。だから、とうとうこの間その会で は、もっとFTAのことをやったらどうかと、やはり外国人の看護師もやったらどうかと いうところまでもう来ました。田舎はそれほど困っています。  以上です。 ○土田会長 どうもありがとうございます。  ただいま両側から御意見をいただきましたが、まだまとめるには早いのですが、今日の お話では、7対1という方向に変えるという方向性については1号・2号側とも御了解い ただいているというふうに思います。  ただ、ただいま勝村委員からありましたように、過渡期の混乱が実際に生じているわけ でして、それはやはり放置しておくことはできないだろうというふうに思います。その場 合に、幾つかのファクターが出てきましたが、例えば点数の格差が多すぎるという指摘が 竹嶋委員からございましたし、それから病院別になっているけれども、病棟別の方がむし ろ混乱が少なかったのではないかというような御指摘、あるいは医療安全をめぐって非常 に経営側は危機感を抱いていて、いろいろな動きが最近過剰になっているというような御 指摘もございました。それから、看護の必要度に応じて配置をもう一回見直すべきではな いかという意見は、ほぼ多くの方から出ておりましたので、その辺は重視していく必要が あろうかと思います。ただ、もう一方、対馬委員からありましたように、地域的な偏りが 見られるわけですが、それが重症度なり必要度なりとどういう関連性があるのかというと ころはまだ依然として明らかにされておりませんし、それから看護配置を厚くしたところ が果たしてその医療内容が本当に充実したかどうかというところも明らかになっていない というような御指摘がございました。  ですから、一応方向性は正しいということと、それからその過渡期において問題が生じ ているということに対して幾つかのファクターが指摘されておりますので、次回はその辺 をもう少し深く詰めながら検討し、必要な対応策がとれるようであれば、具体的な形で検 討していきたいというふうに思います。  それで、まだほかの問題が残っておりますので、そういうことで一応仮のまとめだけを して、次回また議論をお願いしたいということでよろしいでしょうか。  それでは次に、療養病床について、時間があまりございませんが、御意見を承りたいと 思います。事務局からは総−3−2の1枚だけの資料でして、まだほかの看護職員の問題 に関しては実態把握が十分ではございませんが、これについて何か意見を承れればと思い ます。どうぞ。 ○小島委員 意見というよりも質問なのですけれども、これは表の読み方なのですけれど も、データの患者さんのとり方、ここで扱っているデータは7月と8月のレセプトで、1 70病院の中の患者約8,000名ということなのですけれども、この8,000名の患 者さんというのは、7月、8月、同じ患者さんのレセプトなのですか。これは全く、たま たま7月の病院の8,000名と8月の8,000名ということだと、別で抽出したとい う形なのですか。 ○事務局(原医療課長) 病院は同じ病院で、同じベッドを調べているというふうに御理 解ください。その中で患者さんがかわる場合もあるし、患者さんが重症化する場合もある と、そういうような理解でお願いします。 ○土田会長 ほかにございますか。  それでは、この療養病床につきましては議論があまり出ておりませんので、また次回追 加の資料等々出してもらいながら議論を深めていきたいというふうに思います。  よろしいですか、そういうことで。どうもありがとうございました。 ○事務局(原医療課長) 先ほどの勝村委員からの資料のお話ですが、中医協の総−3− 1の1ページ目でございますが、特定機能病院入院基本料の欄の病床が占める割合、計算 いたしますと「25.0%」ということで、28%ではございませんでした。それからそ の下の結核病棟につきましては「5.6%」ということでございました。恐れ入りますが、 訂正させていただきます。 ○土田会長 それでは、訂正をお願いいたします。  それから、本日はただいま御議論いただいたことに関連しまして、2号側より総会のこ れからの議論に資するために資料の提出をいただいております。2つございますが、順次 に議論をしていきたいと思います。  最初には、鈴木委員の方から御説明をお願いいたします。 ○鈴木委員 それでは、「「平成18年度緊急レセプト調査」報告」という資料をお開き いただきたいと思います。  まず、調査目的と方法でございますけれども、1ページでございます。6、7、8、9 の4カ月分、3.16%の医療費のダウンと、それから冒頭調査課長の方から御説明があ りました7月で療養病床の点数が変わりましたので、そこのところをあわせた調査でござ います。20分の1、会員医療機関をランダム抽出いたしまして、しかしながら、有効回 答数は48.3%でございました。診療所1,758、病院150というところから回答 がございました。総点数、総件数、総日数という3要素で見てまいりました。  3ページの対象医療機関でございますけれども、診療所はメディアスの構成比と本調査 の構成比の対象にしてございます。また病院に対しましては、50床未満、50〜100 床未満、100〜200床未満ということで、この調査客体の病院には、療養病床の影響 を見るために、実は200床以上の病院は調べてございません。そこが多少のバイアスは かかるかもしれません。それから、その病院の性格といいましょうか、種類でございます けれども、一般病床、療養病床、精神科の病院、その他というふうに分けまして、数はご らんのとおりであります。  次、5ページに移りますけれども、5ページからが調査結果でございます。まず、診療 所と病院を足しましてこの4カ月というものを見てみますというと、前年比で診療所はマ イナス1.22%、病院は0.55%で、いずれもマイナスでございます。診療所の総件 数は増えておりますようですけれども、総日数が減っておりまして、結果的には診療所の 総点数はマイナス1.22%になっております。  6ページは、診療所の入院・外来でどうなっているのかというのを見たものでございま すけれども、診療所で入院がございますのは、有床診療所の病棟そのものということにな ります。診療所の総点数の前年比は、入院でマイナス6.41%、入院外、外来で0.9 3%でありました。入院では、総日数が落ち込んでいる上に1日当たりの点数もマイナス 3.50%でございました。  7ページは、病院の入院と外来がどうなっているのかというところでございまして、病 院の総点数、前年比でマイナス0.19%が入院でございます。そして外来、入院外はマ イナス1.20%でございました。外来での件数の落ちは多少少ないようでございますけ れども、総日数の落ちがございまして、結果的に総点数では、外来がマイナス1.20% というような形になってございます。1日当たりで見ますというと、1日当たりの点数は 増えておるようでございますけれども、実日数が減っている関係で、病院では入院が1件 当たり点数で0.61%プラスになっておりますけれども、外来はマイナス1.13%と いう結果が出ました。  8ページでございますけれども、これらの病院の中から療養病床を60%以上有する病 院だけを抽出いたしまして、したがって、n数が少なくはなっておりますけれども、見て みますと、7月の断面調査では、総点数で有床診療所の療養病床数が10.51%のマイ ナス、病院では6.76%のマイナスという結果になりました。一番左の棒グラフ、カラ ムが有床診療所でございまして、白いカラムが前回御報告をいたしました療養病床の調査 結果でございますので、60%以上、前回は療養病床だけをとりましたものですから、結 果としては薄まった数字になっているような印象がいたします。  ただいまのは7月でございましたけれども、この断面を6、7、8というふうに折れ線 グラフに見ましたのが9ページでございます。総点数だけを折れ線グラフにしてございま すけれども、20〜49床の規模の病院は、6月、7月、8月、9月を見てみますという と、多少回復傾向にあるという結果、でございますけれども、病院全体で見ますというと、 総点数で申し上げますと、6月が0.96%、7月マイナス6.76%というふうに、7 月の療養病床の改定が大きくききまして、8月がマイナス6.22%、9月になってもマ イナス8.46%というような形になっております。有床診療所では、6月がマイナス4. 01%、7月がマイナス10.51%、8月がマイナス11.36%、9月もマイナス1 2.78%というふうに、病院、診療所、相対的に療養病床を60%以上持っているよう な施設では、このような前年比大幅マイナスの結果が出ました。  したがいまして、まとめといたしまして、10ページでございますけれども、6〜9月 4カ月の総点数の前年比でございますけれども、冒頭調査課長からの御説明がありました ように、医療費の自然増分を吸収いたしましても、診療所、病院ともにマイナスという結 果になりました。今般の診療報酬の改定は、地域医療を担う医療機関の崩壊を招きかねな い、非常に、従来のようにただ厳しいと言っているだけでは済まされないという、結果で ございます。  また、慢性期入院医療評価見直しの影響といたしまして、主に療養病床を有する医療機 関の入院総点数の7月前年比はマイナスであり、特に有床診療所では1割以上の減収とな った。前回御報告をいたしました結果と同様に、7月の改定によるマイナス影響は甚大で ございました。  さらに、時系列的に6〜9月の4カ月の影響を見ますと、有床診療所、病院ともに7月 以降の各月前年比はマイナスでの推移になりました。このままの状況が続くといたします と、療養病棟の適正管理を維持するというようなことは甚だ困難となりかねず、診療の継 続性を確保するための措置を講ずるべきであるというふうに考えます。  以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。  それでは続きまして、飯沼委員、お願いいたします。 ○飯沼委員 それでは、次のカラムの1ページに「平成18年診療報酬改定後の医業経営 動向」というのが、後ろの方に1番からのがございますので、御説明を申し上げたいと思 います。  日医の緊急レセプト調査、それから厚労省のメディアス等は、収入に関し…… ○土田会長 ちょっとお待ちください。わかりますか。今説明したこの横開きの最後から 10枚目ぐらいから、「平成18年診療報酬改定後の医業経営動向」という横の資料がご ざいます。これでございますが、よろしいですか。  それでは、すみません、お願いいたします。 ○飯沼委員 診療報酬収入に関しての御説明がデータとしてあったわけでありますが、経 営の全体に関しましてはデータがございませんでした。それでこのたびTKCという、こ れは税理士さんや会計士さんたちのグループが毎年集計をしていただいている経営の指標 に関するデータがございますので、そこのデータをちょうだいいたしまして、日本医師会 の日医総研で解析をしていただいたということでございます。その御報告を申し上げるわ けであります。最後の3枚が例の生データでございまして、その生データから我々の総研 で、これから御説明する資料をおつくりいたしました。たくさんありますが、要点を絞っ て、4枚に絞って御説明を申し上げます。  TKCの会社のぐあいでありますとかサンプリングの方法等に関しましては前半の部分 に書いてありますので、またお読みいただきたいと思います。  まず10ページをお開き願いたいと思います。診療所の損益分岐点比率というのが1年 前と比べて書いてありますけれども、これは90%を超えるとまずまずいというのが、危 ないといいますか、それが常識なようでございますけれども、産婦人科と小児科を除きま して、いずれも下がっております。外科に至りましては100%を既に超えているという 全く危機の状況であるということが指摘されるわけでございます。それが診療所における 損益分岐点比率でございます。  次に13ページに行っていただきます。法人の病院の同様の損益分岐点比率でございま す。下に、総合病院が87、内科系が172等々書いてありますが、この分類の方法が必 ずしも適当であると私も思いませんけれども、TKCの区分のままを御紹介申し上げます と、昨年の左側に比べて、総合病院、内科系、外科系、精神科、すべて右肩が上がってお りまして、これも大変なことであるということを示唆しております。90%以上が同じく 非常に悪い状況である。この資料には、先ほどの厚労省のお話にもありましたけれども、 大病院が黒字になっているということの影響がこの表には出ておりません。と申しますの は、大病院は会計基準が違いまして同じ集計はできないということでございますので、そ れは外してあるということで、かえって地域の中小病院がたくさんここに入っているとい うふうにごらんいただければと思います。  次に9ページに戻っていただきます。各診療科の経常利益率を前年と比べてございます。 産婦人科、小児科では若干の上り勾配でありますけれども、これは今度の療報酬改定の目 的のとおりであったというように受け取っておりますが、ほかではすべて下がっていると いうことであります。  ここの表は細かいので、12ページの病院のところでちょっと御説明をさせていただき ます。これは、法人の病院の経常利益率を前年と比べておりますが、全部下がっておるの は一目瞭然でございますが、総合病院のくくりに至りましては、4.5%から2.7%に 下がっておるということは、これは40%のダウンが既にあったということになります。 それで、外科系と精神科はそれぞれ4分の1、25%のダウンでございまして、内科系は 8.2%から6.9%に、2割のダウンでございます。このように、いずれの分類をいた しましても、いかように考えてもすごいダウンであるということがこれで一目瞭然だと思 います。  今申し上げたことが14ページのサマリーに書いてございますが、これは同じ数字でご ざいますのであえて読み上げませんけれども、大変な状況であるということを御説明申し 上げました。  以上でございます。 ○土田会長 ありがとうございました。  それでは次に、石井委員、お願いいたします。 ○石井委員 日病協の調査は4月単月の診療報酬の影響という、単純にそれだけを目的に しています。経営への影響という点からいえば支出も考えなければいけないのですが、こ の段階で支出については、月次の損益を出しているところだけを集めましても、実際には 固定費の年間の配分とかいろいろ問題がありまして、あまり正確なものが出ないので収支 への1年ぐらい影響は次の決算を待ってからでないと変動が大きすぎてだめだろうという ことで、今回はあきらめました。それからまた、療養病床については置き換え計算をしよ うかという話もあったのですが、これも現実にやってみないとわからないので、療養病床 については、その結果を見て我々としての評価を出したいと思っています。  そこで、一般病床における4月を選び、何カ月とやらなかったのは、日にちがたちます と、それに対する経営努力等があり、いろいろなことが変わってきますので、純粋な点数 改定の直接的影響をまず見たいということで行いました。  方法については、一般病院の場合、月次の変動が非常に大きい、それから年度において も非常に変動が大きいということがありますので、これに留意しないと何の影響で下がっ たのかは上がったとか言えないので、17年度の3・4月、18年度の3・4月という、 4つの月を比較検討して、なるべく純粋に診療報酬による影響とを見たいと考えました。 さらに、入院に関しては日数、30日と31日が違いますので、その日数補正を行う。さ らに、月によって曜日がどこに来るか、休日がどこに来るかというようなことによってま た変動しますので、そういった補正も、この補正カレンダーを使い、外来の収入補正に関 しては、これはこれまで厚労省がやられていたと同じ補正率、補正のやり方を使いました。  まず最初に、6ページ、7ページの外来収入ですが、ここで見ていただくのは、この吹 き出しでグレーになっているところの最終結果です。単純に見ますと、3月と4月で比較 すると4月の外来は普通毎年落ちますので、それが4%くらいあるということで、それか ら年度の差というのもあります。こういったものを見ますと、外来については昨年度の外 来の差というのを見ていきますと、これ、両方の見方で見ても3.6%とか3.8%以上 ですから、大体これは合致していますので、ほぼこれでいいのではないかということで、 この程度の差があったということです。  次に、8ページ、9ページのところで入院収入の一般病床に関してです。これを見ます と、両方とも大体1.2%になっています。ただ、ここで注目していただきたいのは、3 月単月で見ましても、これは昨年と比べて下がっているのです。この間も厚労省の方から データが出ましたように、いわゆる自然増と言われているものが毎年普通はあるわけです。 自然増というのは、基本的には医療の高度化とか重症化、またはそういったさまざまな影 響によって収入すなわち医療費が上がっていくということなのですが、昨年の3月と今年 の3月を比べましても、診療報酬の改定はないにもかかわらず同じ月でもこれだけ変わっ ているということです。これは月次変動とは違って、上がっていっていても今までだった ら不思議はない。しかし、このように下がっているというのは、別な影響により入院医療 に関しての傾向的な問題が既に生じていることを疑わせます。  200床未満と200床以上の場合についても今回調べました。これを入院だけで見ま すと、200床未満の方が実質的な影響、変動がやや大きい。この場合も昨年の3月と今 年の3月で比較をしてもやはり落ち込んでいます。これは診療報酬の影響ではありません。 こういったことがあるということも注目しておいていただきたい。  次に、12ページが精神病床について調べてあります。精神病床も大体同じような形で の変化があります。  次は14ページの(4)で、入院・外来収入を合計してみますと、ちょっと違った数字 が出ています。というのは、200床未満、200床以上について、これではあまり差が 出ていません。なぜかというと、実は入院・外来の母集団がちょっと違うからなのです。 母集団が違うというのは、すべてのデータがそろっているところだけを集計しているので、 その点の影響であろうと思います。結論的には、大体2%のダウンということで、これは 医師会の報告、厚労省の報告とあまり大きな傾向的な差はないだろうと思います。ただ、 厚労省の場合にはたしか自然増によって多少救われているという結果であったと思います が、これで見るとあまりそういった傾向が見られないので、実質的な影響はもうちょっと 大きいのではないかと思われます。  それから最後の28、29ページは、今回の点数改正の具体的な項目が予期したような 結果を生んでいるかという問題ですが、我々がここで議論したとおりの結果が出たという 感じがいたします。収入減少分に占める割合で、7対1については、比較ができないもの ですから、ここには登場していませんが、それ以外の個別点数について、我々は急性期の 場合には入院時の食事療養費の影響が非常に大きくなるのではないか、いわゆる回転が早 くて、入院・退院の頻度が高い方が減り方が大きいので、これは相当マイナスになると言 っていましたが、影響としてはこれが一番大きかったと言えます。  それから、急性期入院については、いわゆる紹介率の廃止に伴って、加算が廃止され非 常に大きな打撃を受けるので、救急をやっているところについては何とか今回の場合はも う少し配慮してほしいということで、救急医療管理加算を上げていただきまして、これに よって全体的には相当救われたという結果が出ております。ただ、急性期入院加算をとっ ていた個別の病院にとってはこれでは救われず、むしろ、これまでそれはとっていないけ れども、救急はがんばってやっていたというところが結構プラスになったと言えます。  それから、今回は入院基本料とか、紹介患者加算とか、医療の本体的なところが非常に 減少に占める割合が大きいので、そういう点で、実質的な影響といいますか、非常に感度 が高い改定であった。ある意味では、これに対する反応も非常に強烈な形で出ているなと いう感じがいたします。  以上です。 ○土田会長 ありがとうございました。  それでは、ちょっと時間が限られておりますが、どうぞ御議論をお願いしたいと思いま す。 ○対馬委員 今いろいろなデータが出されたので、必ずしも頭に全部入っているわけでは ないのですけれども、三つ四つ申し上げたいと思うのです。  1つは、今回の改定ですけれども、先ほど来複数の方がおっしゃられましたけれども、 特徴的なのは、4つの視点ごとにカテゴリーを分けたのですね。厳しい中でも救急とか小 児と産科については重点的に対応しなければいけない、こういった領域に分けまして、一 方では、効率化の余地があるというふうに見られる領域の中に、療養病床でありますとか コンタクトレンズ等々が入ったと、こういうことで、そこは各側の委員も異論がなかった ことだろうというふうに思うのです。個別の対応についてはおのおの多少の不満を残しな がらというのは、いろいろな項目ごとにあるにせよ、そうした前提をまずきちんと押さえ た上での議論でないとなかなか、ただ減りました、減りましたということを言われても、 そういうことで改定したわけですから、そこをまず1点申し上げておきたい。改めて確認 しておきたいということです。  それから2点目としましては、今回鈴木委員の方から説明があった、これは10ページ に「まとめ」が書いてあるのですけれども、やはりこのところ私は毎回申し上げてはいる のですけれども、当事者として心配されたり懸念されていることはよくわかるのですが、 表現としてはいささかオーバーではないかということもあれば、やや不正確で誤解を招き かねないような表現があるのではないかというふうに思います。例えば(1)のところでは、 「診療所、病院ともにマイナスとなった。」と書いていますけれども、通常こう見ますと、 ああ診療所と病院だから大体医療機関を網羅しているなというふうに思うのですけれども、 先ほどの前提の説明ですと、200病床以上は除いているということですから、やはりこ こは正確に、「診療所と200床未満の病床を持つ病院について」と、こう言っていただ きたいなというふうに思うのです。そのオーバーではないかというのは、診療所がマイナ ス1.2%で、病院がマイナス0.5%だったとありますが、これは収入ですよね、収入 が1.2%とか0.5%減れば、「地域医療を担う医療機関の崩壊を招きかねない。」と、 こうなるのでしょうか、ということがございます。  3点目ですけれども、今収入の話を申し上げましたけれども、収入が減りますと、医療 材料等おのずと減ってくる部分もあるだろう。それからさらには、収入が減ってきますと さまざまな汗と工夫を凝らしていくという、いわゆる対応の部分があるのだろう。したが って、収入だけで議論することはできない、これは御承知のとおりだろうというふうに思 います。  あと、救急とか小児とか産科、そのあたりが私ども支払側としても大変気になるところ なのですけれども、今日一部データ、診療所のデータとしてが出されまして、特に産科あ たりが少し改善されているというところは、よくデータをお出しいただいてありがたいと いうふうに思います。できれば本当は病院の方の議論をしたいわけですけれども、病院は データのとり方がなかなか難しいということです。療養病床も大変な問題ではありますけ れども、産科、小児科、救急、こういったところが非常に問題ですので、今後できるだけ そういったところにも目を向けてデータをお出しいただければ大変ありがたいと、こうい うふうに思います。  以上です。 ○土田会長 ありがとうございました。  ほかにございますか。 ○小林委員 先ほどの御報告、今の対馬委員のお話とちょっと関係するのですけれども、 飯沼委員の方から経営分析の御報告があって、損益分岐点比率で非常に危機的状況だとい うお話があったのですが、この指標、経営が非常に大変であるというエビデンスに使われ ると少しミスリードするところがありますので、その点をちょっと確認させていただきた いと思いました。損益分岐点比率自体は、コスト構造を分析して経営改善を行っていくた めのツールだと思うのです。ですから、ここで90%とか100%を超えている部分があ るといったときに、つまり収入が減ったということに対して固定費、もちろん病院とか診 療所というのは非常に労働集約的なところですので、固定費率が高いというのは確かだと 思うのですが、固定費の部分の効率化とかあるいは変動費率の部分とか、そういうところ の努力をどのぐらい行っているのかということの説明責任がやはりあるわけで、この悪い ということだけをお出しになったのではちょっと説明不足、非常に説明不足だと思います ので、その点だけ確認させていただきます。 ○土田会長 重要な指摘だと思います。 ○竹嶋委員 要望したいことがございます。対馬委員の御指摘の、私どもの「まとめ」の 部分、これは私ども医療サイドのとり方ということで、ここでお答えをさせていただきま す。そしてまた、マイナス0.5%、マイナス1.2%とかになりますと、今ちょっと出 ましたが、労働集約型の私どもの職業というか、仕事場ですので、どうしても職員の補充 とか、そういうところに関係してくるということが私どもにとっては大変厳しいところが あります。しかしながら、今の御指摘は、もう一度私ども持ち帰って検討させていただき ます。  それから、小林委員から御指摘がありましたこと、これも私どもの中でも一応話しまし た。ただ、冒頭飯沼委員が申しましたように、収支のそういうデータというのが私どもつ くりきらなかったので、たまたま別の事務所がやっているところ、我々会員がそこで契約 していますので、そこら辺を利用させてもいましたけれども、実を言いますと、この中身 ももう少し詳細にやらなければいけない。飯沼委員が言いましたように、総合病院と、内 科系、外科系といった分類、これは今は御存じのようにやりませんので、これもきちっと 分けて、今度は私どもそういうところをきちっと両方で提携して、出させていただきたい と思いますので、今の説明責任というのは、そういうところでまた果たさせていただきた いと思います。今回は恐らく無理と思いますけれども、次回は私どもからもデータを出さ せていただきたいと思います。 ○鈴木委員 対馬委員のお話で、0.55%と1.22%でというところは、私の解釈は、 4ページのを説明を飛ばしましたけれども、自然増分が3〜4%あるということなもので すから、実際上は、これは対前年比なものですから、これに3なり4なりを足し込んでも マイナスになるという解釈をしておりますので。御理解いただけるかどうかわかりません けれども。 ○土田会長 それはわかります。 ○石井委員 損益分岐点とか、その辺の話しが出たので、病院経営者の立場で一言発言し ます。この日本医師会でお出しになった資料の12ページ、13ページにおける損益分岐 点は経営として危険水域かどうかについてはたしかに議論の余地があると思います。とい うか、普通の会社からいったら確かに危険水域ですが、大体病院というのは、最近10年 間はずっと経営危機で、その程度は当たり前みたいなところが実はありまして、今回で経 営危機になったかどうかは、微妙な答えをせざるを得ない。ただし、この総合病院、内科、 外科、精神科については、このような傾向です。そういう意味で資源配分の問題はあると 思います。これは利益率についてもやはり同様な傾向がここに出ています。ただ、さらに 具体的な人件費の問題については、経営努力というのは計数値だけでは何か言えないけれ ども、現状の病院経営者の危機感とは一致していると言えます。 ○勝村委員 今回の改定では、さっきも同じですけれども、やはり一番大切だという形に なっていたのは、小児救急とか、お産も救急ですし、24時間で、その救急を担っている 医療機関の収支がかなり厳しいと。小児救急とか産科とか、そういうところは価値がある と国民が思っているのに、現場では採算がとれないからという理由でどんどんやめていっ ているという現実を残したままにしておくのは、もうこの中医協が非常に一番責任を問わ れるところだと思うのです。しかも、忙しい上に、給与は少ない、もう開業した方がまし だと中堅医師、勤務医たちはどんどんやめて開業していっている流れがあるのだというよ うにお聞きしたと思うのですけれども、そういう流れができてしまって、ますます日本の 救急医療がだめになっていくのだと。それは非常にいけないことだと思いますが、そうい う流れは今回の改定を経て何か動きはあったのでしょうか、その辺はどうなんでしょうか。 ○土田会長 それは、例えば石井委員から出された資料の21ページ、22ページのあた りに、救急医療管理加算であるとか、あるいはただいま発言のありました乳幼児救急医療 管理加算といったところで一応は出てはいますね。 ○勝村委員 人の動きに期待していた変化があったかが知りたいのです、医師の。 ○土田会長 人の動きについてですね、いかがですか。 ○石井委員 いや、その辺の影響が出るのはこれからだと思うのです。現時点では直接影 響しているとははっきり言えません。 ○土田会長 わかりました。  つまり、ここで議論する場合、実態が十分わからないというのが一番怖い話ですので、 今勝村委員の言われた発言もそういうことですから、できるだけ現場にいる方たちから正 しいデータを出していただきたいということを要請しておきたいと思います。 ○邉見委員 医師会の方のデータの10ページ、各科のが出ていますね、その中で100 を超えているのが外科だけなのです。今産科、小児科は勝村委員おっしゃいましたけれど も、次はやはり私は外科だと思うのです。外科はどんどんと、内科で治るというか、消化 器科とか循環器科で治って外科に回らないという、患者さんも減っていることは減ってい るわけですけれども、やはりオーバーなことを言えば、お産難民とか出産難民の次は手術 難民が出そうな気がするのです。近くでも手術ができない病院がいっぱい出そうな気がし ます。外科医を志す人も減っていますし、やはり経営的にもう外科は麻酔科を、麻酔が足 らない、あるいは外科をするためにはどこまで切っていいかという病理科とか、そういう 周辺分野も集めなくてはいけないということと、看護師さんも、手術のあるところは呼び 出しがあるとか、いろいろな手間暇かかるのであまり行きたくないということで、なかな か難しいところがありまして、外科はちょっと考えていただかなければ今後の日本の医療 は厳しいかなと。先日広島でありました日本臨床外科学会でも、今まで外科はお金のこと を言ってはおしまいだと、職人気質みたいな、江戸っ子的な、そういうふうな感じの人が 多かったのですが、皆さん、もうこのままではあかんということで、学会もぼんやりして おってはあかんよと、少し経済的な勉強もしましょうというふうな決議が出されました。 ○勝村委員 ちょっと先ほど質問したことに続いてなのですけれども、やはりずっと言わ れてきたことですし、僕は少し前にも発言しましたけれども、ちょうど20年前に3歳の 子供が救急車でたらい回しに遭って死亡した事件の判決が出ています。その裁判をずっと やられていた人の訴えによって、病院だけではなくて、その救急医療を整備しなかった奈 良市にも責任があるという高裁判決が確定してから、既に20年たって、まだ奈良ではた らい回しをされて死亡しているわけですよね。これを本当に動かさないといけないという 思いで、今年度からの診療報酬改定の議論をしてきたと思うのです。だから、それが本当 に動いたのかどうかということに関心がないということでは、僕はちょっとおかしいと思 うのです。僕はそこに、関心を持っていて、結局そのあたりの問題は動き始めたのか、ど うなったのだろうと思って、もし、改善の兆しがないのであれば、前の報酬改定はダイナ ミックさに欠けたのではないか、結局何にも解決できなかったのではないかということだ ったら、非常に僕は残念だから、そこは僕は関心があるのだけれども、そこがちょっとよ くわからない、では意味がないと思います。看護師さんはどんどん動き始めたみたいだと、 お医者さんは本当に救急をやらなければいけないというふうに思い始めてくれているのか、 動きに変化が出ているのかどうか、そのあたりのデータを出してほしいという要望なので す。 ○石井委員 データとしては、我々も用意はありませんし、どういう調査をしていいかも、 今ここでわかりませんが、私の知っている周辺の問題として少しお話ししておきたいと思 います。1つは、救急をやる病院とやらない病院というのがはっきり分かれてきていると いう傾向はあります。ですから、救急車の搬入台数というのが特定の病院に大体集中して きている。それだけの体制をとっていないところにはもう皆さん行かないし、救急隊も責 任が問われますので、そういうところに集中するようになったという傾向は明らかにあり ます。それから、そういう病院に関しては救急患者も増えていっている。また、引き受け ざるを得ないから、どんどんそういった体制はとっています。同時に、それをやればやる ほど赤字になりますから、救急から撤退するところも多いということです。  その結果、救急病院で今相当がんばってやっているところに関していうと、前よりもい ろいろな体制を整備してきたと思うのですが、では全体的に、特にプライマリーの救急に 関してはまだ問題があります。プライマリーの救急がほとんど、本来は二次救急を引き受 けるべきところに殺到しているという問題があって、このままでは、そこの救急体制が破 壊しますので、前の討議の中でも出てまいりましたように、この問題も検討しなければい けないのです。重症救急と軽症のプライマリーの救急との関係をどうしていくか、また、 どういうシステムをつくるのか。これは地域的にそのシステムを整備しないと対応できな いと思います。 ○竹嶋委員 今の勝村委員のおっしゃるとおり、我々の方でやはりそれに対してもきちっ とやらなければいけないのです。今やらせていただいています。それは、地域医療の中で 連携の姿勢も、これまでなかなかできなかったのですが、今度在宅医療を進めるという形 になりましたね、そうしますと、あの中にも検証されるでしょうけれども、支援診療所と いうものが、24時間、一応対応を務めるとなっておりますけれども、これとも関連して くるわけです。そうすると、今までのやり方では到底無理です。ですから、チームでやる とか、医師会として、小さな地域の医師会がサポートしながらやるとか、そういうものも 今私どもやっております。強くそれは受けとめておるということです。  それから1つ、今日厚労省が出していただいた資料で、私どもは、先ほどから何度も申 しましたように、200床以下に対象を絞りました。厚労省は前回全部ひっくるめて出さ れましたので、私どものは医療の現場からの勝手な発想でございますけれども、一番きつ いところがここではなかろうかなというところで、200床以下に絞らせていただいたの ですが、御説明がありましたように、そのデータがたまたま一致した面がここにございま した。ですから、これはもうこういう状況だということで、これは次年度というか、次の ところへ持ち越していくだろうと思うのです。  その中で、厚労省の統計を見させていただきまして、よくごらんになったらわかります ように、外来は病院が増えているのです。それから先ほど私どもの鈴木委員から説明させ ていただきましたけれども、診療所の方は外来が減っているのです。そういうのを見ます と、結局、病院と診療所の機能の分化というところにもやはり今後入って行かなければい けない。そこら辺のところのデータが今日の中で出ているようですね。病院は外来が、大 きな病床を持っているほど増えています。診療所の方は逆に3.数%減っているというこ とです。そのあたりの事実は、これからこのデータからわかるだろうと思います。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  2006年度改定はかなり大幅な改定でして、その内容的にも大きな転換を迫ったわけ ですが、それだけに非常に大きな影響が方々に及んでいるということで、これはやはり無 視してはいけないわけで、それに誠実に対応していこうというふうに思っております。  今日の議論は非常に建設的な議論で、どうもありがとうございました。  この議論は次回もまた引き続き続けたいと思いますが、次回の日程についてお願いいた します。 ○事務局(原医療課長) 現在のところ未定でございます。また追って事務局から連絡さ せていただきたいと思います。 ○土田会長 どうもありがとうございました。  それでは、本日の総会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございまし た。                  【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)