06/11/29 第69回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第69回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2006年11月29日(水) 14:00〜16:00 場所:厚生労働省専用第21会議室(17階) 出席者:  労側委員:稲垣委員、岡本委員、鴨委員、篠原委員、龍井委員  使側委員:吉川委員、前田委員、松井委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、樋口委員、林委員、佐藤委員、奥山委員、今田委員 ○横溝分科会長  ただ今から、第69回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。本日は山崎委員が ご欠席です。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は「雇用均等分科会報告(素案)につい て」です。まず、前回の分科会において示した「今後のパートタイム労働対策に向けて の論点整理(案)に対する労使の意見」について、労側、使側より何点か追加・修正の ご意見がありましたので、その意見を反映した資料を用意しました。それを資料1とし て準備しましたので、事務局よりご説明をお願いします。 ○高ア短時間・在宅労働課長  ご説明いたします。資料No.1です。右上に第68回11月10日における議論反映版と 書いてあるものです。この整理については委員の皆さまには事前にお渡ししましたので、 ご覧いただいていると思います。以上です。 ○横溝分科会長  では、ご覧いただいているということで、次に入りたいと思います。何かありますか。 ○松井委員  確かに事前にはいただいたのですけれども、十分見たかというと、まだ見ていません でした。それで、前回の最後に申し上げたものが一つ、あえて入っていないというのか 落とされたというのか。その他の項目だということで整理されていないのかどうかとい うことの確認をしたいのですけれど、この短時間労働者対策基本方針について、どなた からも反対がなくて、なくしたらどうかと私は提案したのですけれども、それが書かれ ていないので。 ○横溝分科会長  17ページに書かれています。「使用者側代表者の意見」というところです。 ○松井委員  書かれていましたか。わかりました。私の見まちがいです。どうもありがとうござい ました。では、それは後ほど意見として言います。 ○横溝分科会長  それでは、次に進めさせていただきます。前回申し上げた通り、これまでの議論を踏 まえて公益委員全員で「今後のパートタイム労働対策について」として、分科会の報告 書の素案を資料2の通り作成しましたので、事務局より説明をお願いしたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  説明ということですが、この報告書(素案)を読み上げることで説明に代えさせてい ただければと思います。 ○鈴木均等業務指導室長  それでは、読み上げさせていただきます。今後のパートタイム労働対策について(報 告)(素案)「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が施行されてから13年が 経過し、また、平成15年に「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のため の措置に関する指針」が改正されてから3年が経過している。昨今、少子化が進み労働 力人口が減少していく社会にあって、若年層や世帯主であるパートタイム労働者の増加 及び基幹的役割を担うパートタイム労働者の増加が見られる。こうした中、パートタイ ム労働者の日本経済を支える労働力としての重要性は高まっており、その有する能力を 有効に発揮できるようにすることが社会全体としてますます必要になってきている。パ ートタイム労働者については、自分の都合の良い時間に働けるといった柔軟で多様な働 き方を求める労働者のニーズに合致した面がある一方で、正社員への就職・転職機会が 減少して非自発的にパートタイム労働者となる者が増加しているという状況も存在して いる。また、平成15年のパートタイム労働指針の改正以降、労働条件の明示や均衡処遇 の確保について一定の改善が図られた一方で、その働き方に見合った処遇がなされてい ない場合もあり、これに対する不満も存在している。  本分科会は、平成15年3月に本分科会が取りまとめた「パートタイム労働指針の社会 的な浸透を含めた実態把握を一定期間経過後に行い、その状況を踏まえて問題点の分析 を行い、パートタイム労働対策として求められる施策について幅広い検討を加え、その 結果に基づいて必要な措置を講ずることが重要である」との報告を踏まえ、本年7月以 降パートタイム労働対策として求められる施策について審議してきた。  パートタイム労働は短時間であることから多様な働き方となるため、一律な雇用管理 を行い難い雇用形態であり、個々の労働者の労働条件が就業規則のみによっては明確に ならない場合が多い。また、多様な働き方であるにもかかわらず一律に処遇されること もあり、そのような場合には働きに比して低い処遇であるとのパートタイム労働者の不 満も生じやすい。このため、従来からパートタイム労働法及びパートタイム労働指針に より労働条件の明示・均衡処遇の確保・通常の労働者への転換等について対策を進めて きたところであるが、上記のような状況を踏まえ、本分科会はこれらの対策をさらに一 歩進める必要があるとの認識を得た。具体的には、パートタイム労働対策として下記の 事項について法的整備を行うことが適当である。  1.パートタイム労働者に対する労働条件の明示等  (1)パートタイム労働法において労働条件に関する文書を交付するように努めること とされている規定については、労働基準法において義務づけられた事項に加え、一定の 事項(昇給、賞与、退職金の有無)を明示した文章を交付することを事業主の義務とす る規定とすることが適当である。なお、パートタイム労働法に基づく助言・指導・勧告 を行っても履行されない場合の担保措置として過料を設けることが適当である。  (2)パートタイム労働指針において待遇について説明を求められたときはその求めに 応じて説明するように努めるとされている規定については、パートタイム労働法におい てパートタイム労働者から求めがあったときは、その労働条件の決定に対して考慮した 事項について説明することを事業主の義務とする規定とすることが適当である。  2.パートタイム労働者と通常の労働者との均衡ある待遇の確保の促進  パートタイム労働者と通常の労働者との均衡ある待遇の確保については、パートタイ ム労働者と通常の労働者との間の職務・人材活用の仕組み運用等及び就業の実態の際に 応じて、それぞれ次のような規定を設けることが適当である。  (1)通常の労働者と職務・職業生活を通じた人材活用の仕組み運用等及び就業の実 態・労働契約の形態等が同じであるパートタイム労働者については、パートタイム労働 者であることを理由として、その待遇について差別的取り扱いをすることを禁止するこ とが適当である。  (2)(1)以外のパートタイム労働者については、賃金、教育訓練及び福利厚生につい て職務及び人材活用の仕組み運用等の際に応じて、均衡ある待遇の確保のために講ずべ き具体的な措置について、それぞれ次のように規定することが適当である。 イ 事業主は通常の労働者との均衡ある待遇の確保を図るため、パートタイム労働者の 職務・意欲・能力・経験・成果等を勘案して、職務関連の賃金(基本給・賞与・役付手 当等の勤務手当及び精皆勤手当)を決定するよう努めることすることが適当である。ま た、通常の労働者と職務及び人材活用の仕組み運用等が同様であるパートタイム労働者 については、その賃金の決定方法を通常の労働者と共通にするよう努めることとするこ とが適当である。 ロ 通常の労働者に対して行っている教育訓練であって職務遂行に必要な能力を付与す るためのものについては、事業主は職務が同じであるパートタイム労働者に対しても行 わなければならないこととすることが適当である。 ハ 通常の労働者に対して実施している福利厚生の措置であって業務を円滑に遂行する ための施設、給食施設・休養施設及び更衣室の利用については、事業主はパートタイム 労働者に対しても利用の機会を与えなければならないこととすることが適当である。  3.通常の労働者への転換の促進  (1)事業主はパートタイム労働者に対し通常の労働者への転換の推進に向けた措置を 講じなければならないこととすることが適当である。この措置としては、例えば当該事 業所の通常の労働者の募集に関する情報を遅滞なく周知すること、通常の労働者の募集 に応募する機会を与えること、通常の労働者への転換制度を導入すること等が考えられ る。  (2)国は、パートタイム労働者の通常の労働者への転換を推進するに事業主に対し、 援助等必要な措置を講ずるよう努めることとすることが適当である。  4.苦情処理、紛争解決援助  (1)事業主は、パートタイム労働法に基づき措置しなければならない事項及び禁止さ れる事項に関し、パートタイム労働者から苦情の申出を受けたときは、その自主的な解 決を図るよう努めることとすることが適当である。  (2)(1)の事項に関して、パートタイム労働者と事業主との間で紛争が生じたときは、 紛争解決援助の仕組みとして「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等 に関する法律」に規定する紛争解決援助の仕組みと同様のもの(都道府県労働局長によ る紛争の解決の援助及び機会均等調停会議の調停)を設けることが適当である。この場 合において、調停のために必要があるときは当該事業所の労働者を参考人として出頭を 求め、意見を聴取することができるものとしておくことが適当である。  5.その他  以上を踏まえ、パートタイム労働法の目的規定等を整備するとともに、パートタイム 労働法第3条において、事業主の責務として通常の労働者との均衡ある待遇の確保を規 定することが適当である。  以上です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今ご説明いただいた報告の素案について議 論していただきたいと思います。まず、1〜2ページにかけて今後のパートタイム労働対 策の基本認識についてまとめていますので、この部分についてご意見をいただきたいと 思います。 ○渡邊委員  2ページの2番、「パートタイム労働者と通常の労働者の均衡ある待遇の確保の促進」 のことです。 ○横溝分科会長  すみません。各論の方に入っていただきましたが、まず、議論の順番として、1ペー ジの「記」の前の基本認識の点について、まずご議論いただきたいと思います。  いかがでしょうか。 ○松井委員  基本認識のところからいきますと、もちろんパートタイム労働が悪い労働ということ でないと書かれているということは、それなりに認識はしますけれども、ここに書かれ ている分析だけで、次の「記」以下に至るようなことが言えるのかどうかというのは、 やはり経営側の者として疑問に感じます。いろいろ注意深く書かれていて、きちんとや っているところはあるけれども、そうでないところもある。きめ細かく注意深く書かれ ていることは認めますけれど、では本当にここで問題となっているものが非常に大きく なっていて、世間一般としても本当に許されない状況にまで至っていると言えるのかど うかということについては、この1ページから書かれている五つのものから、最後のと ころの2ページの二つ目の○のところに「法的整備が適当である」とまで読めるように は、どうしても思えない。そういう気持ちだけまず申し上げておきたいと思います。こ の認識がそのようにつながるとはとても私の頭では理解できない。以上です。 ○龍井委員  一つは、今の松井委員と論点としては重なるのかもしれませんけれど。今まで少し総 括的なコメントをさせていただいたときにも、今の非正規のこのままの拡大が社会全体 にどういうインパクトを与えるのか。また、それが今の格差社会と言われたり、いわゆ る急速な少子化の問題に行き着いたり、つまり社会全体の問題となっていて見過ごせな いのだというある種の危機意識が、もう少し貫かれてほしい。これも、どこがどうとい うのではなくて印象ですが。まずそれが、多分思いは違うのでしょうが、だから法的整 備が必要なのだという、まさに社会全体の取り組みだという視点が必要だと思います。  それから、もう1点は、今回改めて3年前2003年のこの分科会の建議を引っ張り出し て、新しい視点で読み直してみたのですが、やはりここで今の働き方が拡大していくこ とが、例えば中長期的に見て、多様な働き方が労働市場全体の著しい不均衡をもたらす ことのないようにと。その上で、重要なキーワードとして「働きに応じた公正な処遇」 ということを、かなり前面に出されているわけです。これは、当然これから、建議から その指針の見直しなり何なりに至ったとはいえ、この基本的なスタンスは現在でも通用 するというより、ますます重要になっているのではないか。すでに、今回の分科会討議 の中でも、かなり早い段階から座長がジャスティスということを強調されていたことも あり、ぜひこのキーワードは盛り込んでいただきたいというのが2点目です。  それから、少なくとも視点としては、今回の改正というのが、後ほど若干触れますけ れども、やはり全体の働き方の見直しという一連の動きの中であるわけなので、これも 前回の建議には通常の労働者を含めた働き方の見直しといった問題提起もされています。 いずれにしろ、そういう幅広い視点を今回もぜひ前書きの中で強調していただきたいと いうのが2点目の延長ですが。  あと、少し細かい論点ではありますけれども、先ほどの説明の中で1ページの最後の ○でしょうか。「短時間であることから、多様な働き方もあるため、一律の雇用管理を行 い難い」それから、「多様な働き方であるにもかかわらず一律に処遇されることがあり」 結局これもそうした不満ということが2カ所出てきて、そこから問題があるのだという、 むしろ不満という次元よりは冒頭に申し上げたような、社会全体の枠組みが、このまま 放っておくとおかしくなってしまうと考えていくと、今指摘したこの2カ所を丁寧に説 明していただいた方がよいと思いますので、そこはどういう趣旨かということを伺いな がら次回までに整理をお願いできたらという要望です。以上です。 ○篠原委員  今、龍井委員が言われたのとほぼ同じ意見になります。やはり、今の現状の背景とい う部分をもう少し付加した方が良いのではないかという意見です。前回出された報告書 と比べると若干背景が足りないと思います。今回いろいろと厚生労働省から出していた だいたデータ等もあります。精度の高いデータかどうかという問題はあるかもしれませ んけれども、もう少しデータ的な部分も含めて背景を出した方が良いのではないかと、 意見として申し上げておきます。 ○松井委員  もし、そのデータを書いてくださるならそれで構わなのですが、では、データに基づ いてこの下のような結論になるのかどうか、きちんとつながるような文章にしてもらい たいと思います。それが私どもとしてのお願いです。  それからもう一つ、社会的全体の枠組みで云々と龍井委員が言われましたけれども、 私どもとしては本当に今パートタイム労働法の見直しが必要なのかどうかということは ずっと疑問であるということを申し上げてきたつもりです。ですから、社会全体がそう いうことが必要だと言うのであれば、何をもってそう言えるのか、何のデータに基づく のか。あるいは今違った意味でのマスコミあるいは永田町を中心とした考え方でこうい うことを書き込むのかどうか。その辺についてコンセンサスは得られていないのではな いかと思います。ですから、全体がおかしくなってしまうと言うなら、何がどのように おかしくなってしまうのかということについてのコンセンサスが得られていない中でそ ういうものを書き込むことについては、私どもとしては賛成しかねるということだけは 申し上げておきたいと思います。 ○吉川委員  私が感じることは、折にふれて再三言わせていただいて参りましたけれども、本来、 働き方というのは労使での話し合いを十分にして本人が決断するべきことだと思います ので、むしろこういう法律化で、毎年いろいろな法律をどんどん作って働き方をどんど ん狭めていってしまって、伸び伸び働けるところを、むしろ争いを増やしているような 感じにも取られかねないという感じがしますので、基本はやはり労使が、日本人にはそ れだけの知恵もプライドもあると思います。そういう意味で、法律でどんどん狭めてい くのではなくて、もっと本来持っている日本人の良さ・プライドみたいなものをきちん と生かしたもので。あまり細かいことまで踏み込んでいく必要があるのかどうかという ことを非常に感じます。 ○鴨委員  この中身そのものについての意見は龍井委員と同じですけれど、今いわゆる法改正そ のものが必要なのかどうかということが言われていましたが、今回のこの法改正は、ぜ ひとも必要であると思います。これだけパートタイム労働者が増えて、しかも女性で言 えば2人に1人以上のパートタイム労働者であり、その女性たちの賃金が今もって300 万円にもならない状態にあるということは、そのまま放置しておけるような問題ではな いのではないですか。若い人たちも今どんどん増えていて、若い人たちがこれから先、 それこそ結婚する・子どもを産み育てるという選択さえできない状況が生まれていると 思います。そういう意味において、労使に任せておけば良いという状況が、こういう結 果をある意味では生み出していると思いますので、きちんと最低のところでの法改正は すべきだと思います。 ○前田委員  今のご指摘ですけれども、私もごく最近の、ここ半年ぐらいのデータを持っているわ けではないので、こういうパートタイマーが多い業界に身を置いている者としての実感 ですけれど、実は今、パートタイマーを採用するのが大変難しいのです。と言うのは、 応募者がいない。特に小売の業界や飲食の業界などパートタイマーがたくさん働いてい る業界では、パートタイマーが採れなくて時給を上げざるを得ない。例えば、小売業界 等では、お中元のときの時給では全くお歳暮のときの短期のパートタイマーが採用でき ないという状況もありますし、1年間の契約で働いてくださっているパートタイマーの 方々の処遇を上げるために、ある意味ではフルタイマーの方の条件を下げざるを得ない という交渉をしているところも結構あるような現状です。そういうようなときに、本当 にこの法律が必要なのかということについては、やはり疑問を持ちます。  労使の中で、いろいろな知恵で自然な解決ができていくというようなこともあるので はないかと思いますし、若い方の求職活動ということも、前よりはずっとやりやすくな っているのではないかと思います。 ○横溝分科会長  それでは次に進ませていただきたいと思いますが、2ページの「記」以下の論点に入 りたいと思います。各論点の項目ごとに今後のパートタイム労働対策のあり方について 提示しております。それぞれのあり方についてのご意見をいただきたいと思います。  まず初めに、2ページの最初の項目、「1.パートタイム労働者に対する労働条件の明示 等]についてご議論をいただきたいと思います。 ○渡邊委員  一つは罰則規定で過料というのが出てきましたけれども、これはパートタイム労働者 であろうと正社員であろうと労働基準法というがきちんとあって、罰則規定がきちんと あるわけですから、あえてここにまた過料ということを添える必要はないのではないか と私は思います。基準法でカバーできるわけですから、何ゆえに過料まで科すというよ うな表現を、この法律を改正するにあたってやる必要はないのではないかと思います。 ○横溝分科会長  お気持ちは承りましたけれども、罰則の「か」は「科」、前科の「科」の方なのです。こ ちらは「過ち」の方だから、こちらと基準法の方は少し違いますけれどもご意見の主旨は わかります。 ○渡邊委員  主旨として申し上げたいということです。 ○横溝分科会長  正確を期するとすれば、前科の「科」の方の過料とは違いますので、そこはご認識いた だきたいと思います。 ○渡邊委員  法律的なことは別として、です。 ○横溝分科会長  わかりました。吉川さんどうぞ。 ○吉川委員  この労働条件について、例えば10人未満の会社というのは、就業規則そのものの作成 義務もないわけです。それにもかかわらずパートタイム労働者のことについては、過料 までするというのは非常に厳しすぎると思います。10人未満の場合も全部、この部分は 含まれるということですね。それは、片方は10人未満であればしなくてもいい、でもそ のしなくてもいいところがやらなくてはいけないというところの差がなぜなのかと思い ます。要は労働基準法以上のことをやるということはなぜなのでしょう、それで十分で はないかと思います。 ○高ア短時間・在宅労働課長  公益の委員の方からコメントがあるかと思いますが、事務局の方で正確を期すという 意味で事実関係だけ申し上げますと、確かに労働基準法上10名以上の労働者は、これを 使用する場合に就業規則の作成義務がかかっておりますが、それとは別に、この労働条 件の明示の関係の類似の制度としましては、同じく労働基準法上の15条におきまして、 労働者を雇い入れた場合には労働条件は正確に明示しなければならないのですけれども、 一定事項については、要は書面で交付しなければならないという義務が事業主の方にか かっておりまして、それは10名以上ということではなく、1名の労働者を雇う場合であ っても書面によって労働条件を一定の事項について交付しなければならないという義務 はかかっているということです。そういう意味からしますと、基準法上との労働条件の 明示の項目については、食い違いはない。ただ、就業規則の作成との関係という観点は あろうかと思いますが、私自身は労働基準法についての行政的な解釈をする立場にあり ませんので、そこはコメントしにくい部分がありますが、公益の委員の方から何かあり ましたらお願いします。 ○奥山委員  今のようなお答えでよろしいのではないかと思います。就業規則の作成義務自身は労 働基準法上のいわば事業主の義務ですから、労働基準法の適用の関係でそれに反する場 合についての刑事上の罰則が付いています。この場合には法律本体について行政機関が 助言や情報提供をしたとき、その法自身の実行を図るときに付けられた行政罰ですから、 全然性格の違うもので、就業規則の作成義務がある・ないという事業主の区別で出てく るような法律的な問題ではないのではないかということです。あくまでもパートタイム 労働法の実行を図るための手立てということでよろしいのではないかと思います。  この過料という言葉の表現といいますか、過ち料ですから科する方とは違いますので 私たちはそれほど違和感を持たないのですけれども、そういうところに懸念を持たれる 気持ちはよくわかっているつもりです。 ○松井委員  もともとこれに賛成するわけではないのですけれど、それならば改めてお聞きします が、仮に過料を科するとしたら労働基準法に定めていないところをやったことをもって 過料をするということなのですか。助言・指導・勧告の範囲は、ここに一定事項と書い てありますけれども、そこのみをもってやるということなのかというのが、一つの確認 事項です。その場合、もう一つ、この文書明示そのものは、今の労働基準法では例えば eメールではだめだなど、かなりギチギチになっていると思うのですけれども、その解 釈も全く同じようになるのでしょうか。その辺はどうなるのでしょうか。 ○奥山委員  労働基準法15条における労働条件の明示義務の明示の方法の問題をおっしゃってい るのですね。 ○松井委員  そうです。方法も含めて全部同じなのかどうか。 ○奥山委員  少し話が脱線するかもしれませんが、それは行政上の指導の実務ではそんなにガチガ チにしてあるのですか。余計なことを聞いて恐縮です。もっと緩やかになってきている と思っていました。 ○高ア短時間・在宅労働課長  確認して次回にでもきちんとお答えしたいと思いますが、記憶によれば労働基準法上 は厳密に書面、紙をもって交付しなければならないという解釈でやっていると聞いてお ります。ただ一方では松井委員が言われましたように、インターネットなりeメールな り、これだけのかなりの情報化の時代ですので、ありとあらゆる法規において書面とい う扱いが必ずしも紙である必要があると統一しているかというとそうではなくて、確か 私どもの労働体系でも派遣などの体系においてはeメールであっても、本人が携帯電話 など受信設備を持っていてそれでいいというのであればいいという扱いが一部でされて いると聞いておりますので、その辺りの取り扱いをどうするかというのは、この審議会 でご議論いただく話でもいいのかと思います。決して紙でなければいけないということ に論理必然的になるという性格のものではないと思います。  1点目の方のご質問の関係で言いますと、労働基準法上の担保手段の方が強いわけで すから、労働基準法でカバーされている部分については労働基準法の方が優先的に適用 されるということになりますので、今回、過料の対象になります項目はぎりぎりで言え ば、追加になります一定の項目であります、この三つの項目についてやらなかった部分 に関してのみ生じるということになるのではないかと思います。 ○吉川委員  2番のパートタイム労働指針についての説明のところですけれども、ある意味ではこ ういうことって当たり前のことであるし、説明がなかったら働くことさえも働いていた だく側も働いていただけないし、働く側もこういうことがなくて働くということはあり 得ないし、こういうものまでこの法律に入れる必要性というのはあるのかと思います。 当たり前のことまで法律にどんどん書いていって何の意味があるのかと私は感じてしま います。 ○樋口委員  当たり前のことが当たり前に行われていればいらないのですが、行われない可能性が あるのでそこを担保するという法律の主旨だろうと思います。普通にやっているところ は別に問題がないということだろうと思います。 ○吉川委員  もう90%ぐらいやっているわけですね。 ○樋口委員  100%ではないわけです。 ○鴨委員  当たり前のことであるというお話がありましたけれども、けれどもまだまだ待遇につ いてパートタイム労働者の側から「ここについて説明してください」というのは、ある 意味でここについてパートタイム労働者の方が少しおかしいと思ったり、不満があった りするから説明してほしいというのが多いと思うのです。けれども、それをやること自 体が今の段階においてまだまだすごい勇気を出さなければ説明が求められないというの が現状としてあると私は思っていますので、こういったことを当たり前のことであるけ れども、より当たり前のこととするためには義務規定とするということで、私はこれで 良いと思います。 ○前田委員  確認なのですけれども、説明を求められて説明をするということですけれども、これ は納得いくまで話し合わなければ説明したということにならないということではないで すよね。それでもデータ上ではこの間、表していただいたところでは90%ぐらいが、こ れができているということであるわけですけれども、吉川委員が言われたように会社の 方も非常に丁寧に説明をしているのではないかと思います。 ○佐藤委員  この前も話しましたけれども、基本的には説明を求めているのであって、納得するま で説明をするということを求めているわけではありませんので、当然納得しないという ことが起きても、それは説明をしていれば十分だということです。その場合、その先が どうなるかということは当然ありますけれども、納得するまで説明しなくてはいけない ということではないということです。 ○奥山委員  お互い説明を求め説明をしても、働く方が納得できなければ別の段階の紛争解決の方 に動いていくのだろうと思います。だからこの時点での説明義務というのは、細かく言 うと、労働条件について細かく協議しなさい、あるいはそれについて了承をとりなさい というところまでの義務ではなくて、そういう不満や苦情があったときに、おかしいの ではないかと言って来たときにきちんとそれを説明するという、そこの義務に法的にも とどまると思います。   ○前田委員  今のところでは出てないのですが、これは法律の条文になったときにどういうような 書き振りになるのか非常に疑問に思えるというか、そこが納得していないから、事業主 の人は私に説明していないというように言われるようになってしまうと、非常に現場は 混乱するのではないかと思います。 ○龍井委員  私もできる限り性善説に立ちたいのですけれども、例えば一例を挙げさせていただく と、労働相談の中で「我が社には有給制度はありません」ということを堂々と言われる 方はいるわけです。当然知識などはわからなければそういうものかと、いろいろ法律は あるかも知れないけれど企業ごとに違うのだと、例えばそのときに相談がかかってきま すと、あるいはどなたか仲間に相談されてそういうことはないということになったとき、 それは違法であることは誰が見てもわかるのだけれども、どういうことなのかという説 明はその方が聞くということをしない限りは放置されてしまうわけです。とにかくそん なことはどういう制度なのですかと説明を求めれば、当然説明を受け、それならおかし いですねと初めて言えるわけです。それが今言われたように、実際に交渉するのは別の 場面なのですけれども、少なくともそういう当たり前のことすら求めなくてはいけない という実情というのがまだまだあるという実態をぜひご理解いただきたいと思います。 ○前田委員  私も企業でそういうことを担当している者としては、ある意味、逆の関係もあるとい うことをご理解いただきたいと思います。 ○松井委員  説明の内容をもう少し説明してほしいのです。ここをよく見ると、労働条件の決定に 際して考慮した事項ですよね。ですから今、龍井委員が言われたのは説明のことではな くて、事実はこれですということをいうだけの話ですよね。ですから考慮した事項とい うものを、非常に言いにくいのですけれども、よくわかっているケースとそうでないケ ースがあるのではないでしょうか。労働条件に関して、個別にこの人にこうやったとい うことをある程度決めて採用したような場合には、こうなっていますという説明は可能 かもしれませんけれども、この意味合いは就業規則等で全体的に規定されている労働条 件も書いてあるものは含まれます。そうすると、説明を求められた人がどうしてこうい う就業規則になったのかと、考慮した事項まで求められると本当にできるのかと、私は 疑問に感じます。気持ちはわからないわけではないのですけれども、考慮した事項で決 定した結果だけでしたら、まだいいのですけれども、そこに至るプロセスも踏まえて説 明できなくてはいけないとなると、現場はできない場合も相当あるのではないかと懸念 をいたしますけれども、うなずいておられる佐藤委員はいかがでしょうか。 ○佐藤委員  つまり考慮した事項の範囲をもう少し明確にしてほしいということですね。我々が考 えたときには、例えば就業規則全部までとは考えていなかったのですが、なぜこういう 賃金水準になったのか、なぜ時間給なのかということについて、結果だけではなくてあ る程度の理由は知りたいと思うので、そこは説明する必要があるだろうと思います。そ れも基本的にはわかる範囲内で説明するということだろうと思うのです。確かに無限に 広がるということを危惧されるのはよくわかるので、それは考える必要があるかとは思 います。それは検討させていただければと思います。 ○樋口委員  2以降のところで議論が出てくるかと思って黙っていたのですが、2以降のところで処 遇についての決定方法についてということが幾つか出てくるわけです。これを担保する ためにはそれについて何を考慮したのかという説明がもらえないと、これが等しいのか 全く違うもので決定がなされているのかというようなことの判断ができない。2以降を 担保するためには逆にこの項目が必要だというような法体系上そうなっているというよ うに説明できるのではないかと思います。 ○奥山委員  私は先ほどの佐藤委員の話の延長に出てくる問題ですけれど、ここでの説明義務とい うのは、もちろんパートタイム労働者の方がどういうことについて聞いてくるかわから ない、ケースバイケースのようなところがあるわけです。単純に例えば、現在でもパー トタイム労働者に対しては有給の提供があるとかないとかいうことも、必ずしも全員が 理解していない。こういう言い方をすると失礼ですけれども、事業主の方も先ほどの年 休制度がないということと同じで少し違う形でとらえていることもあります。そういう 場合については、そうではなくて労働基準法の労働者で保護法規関係は基本的に全般的 に適用できるのですと説明する場合もあるでしょうし、そういうことを抜きにして自分 の今の処遇がどういう形で決定されるのかということを聞かれることもあります。そう いう時には基本的なところを微に入り細に入り説明しなければ説明責任を果たしている とはいえないということではなくて、聞かれた質問の内容に即してケースバイケースで 判断していかざるを得ないのではないでしょうか。だからこの条文の中でここまで説明 しなくてはいけないという書き方は、当然、法文上はできないし、また説明としては具 体的に問題になったときにそのところの具体的なケースの実情に即した判断にならざる を得ないのではないでしょうか。ですから今松井委員が言われたように、どこまで説明 したらいいのかということは法の規定を設けるときにはいえない相談ではないでしょう か。どうしてもこういう大きな枠組みで設定するしかないのではないでしょうか。 ○松井委員  そのように言っていただけるとありがたいのですけれども、そういうときに事業主に 対して説明の義務付けというのは本当にできるのでしょうか。樋口委員は次の法のもの だという解説があったのでその部分ではなんとなくわかるのですけれども、ケースバイ ケースでよくて、それが義務化という言い方というのは本当に法律として成り立ち得る のかどうかということをお聞きしたいです。 ○奥山委員  ですから説明義務を果たさなければいけないという点では押さえてあるわけです。そ のときに次の問題として、それでは納得しないとパートタイム労働者の方が果たしてい る、果たしていないという格好で争いが出てきたときには、別のところの紛争解決の問 題に動くわけです。ですから、この時点では少なくとも説明義務がありますという形で 説明しなくてはいけないというところを押さえてあるわけですから、全くそれがなけれ ば実際問題としてそんなことはあずかり知らないということにもなりかねないではない ですか。 ○松井委員  私が懸念しているのは個別のパートタイム労働者についての処遇その部分を決めたも のについて何を考慮したのかということではなくて、ここの労働条件の決定に際してと いうのは、労働条件というのは一般的に就業規則等でも、ある程度大枠の部分は規律さ れている部分があると思うのです。そうすると例えば育児・介護休業法についてなぜ労 使協定でこの人たちを適用除外にしているかなど、細かい部分というのは全部入ってく るのでしょうかという質問をして、その部分は説明をしなくてもいいのですね。 ○奥山委員  それは聞かれた内容にどれだけ関連するかの話ではないのですか。実際に説明義務を 果たすときにどういうような内容のことを話せば説明義務を尽くしたかどうかの具体的 な問題でしょう。それは事前にわからないでしょう。 ○松井委員  事前にわからないものを義務で全部求められるのが企業側としては困るというのは、 まず一義的には言わざるを得ないのです。 ○奥山委員  ここでの義務はここまでのことを説明しなさいということではなくて、労働者の方か ら自分の労働条件決定について、何かわからないところがあったり、自分としては納得 いかなかったりすることがあったことについて、それに必要な範囲で答えるということ でしょう。そのときに例えば今の育児・介護休業法の適用者に対して労使協定を結んだ ときに、幾つかのケースではずすようなこともありますよね。今のは一つの例ですけれ ども、そういうものまで全部細かくやっていかなくてはいけないということではないで しょう。 ○佐藤委員  基本的には1の中で(1)とセットになっているということだと思いますので、基本的 には労働条件の明示の範囲内について義務が発生する。それ以外についても先ほどの育 児・介護休業などありますけれども、基本的には(1)とセットだということですので労 働条件で明示した部分について説明の義務が発生する。それは事業主が誤解をしていて 説明しても、説明していれば基本的には義務を果たしている。次の段階では問題があり ますけれどもと、法律上は、私はそう考えます。 ○奥山委員  こういう表現をしますと誤解を生じかねないのでどういう表現を使っていいのかわか りませんけれども、要するにこのところの説明義務はそこまでです。そういうことです。 ○松井委員  奥山委員が先ほどまで言われていたのは佐藤委員が今言われたところと私としては違 うようにとらえていたので、どこまで説明の範囲があるのかというのは非常に難しかっ たということを申し上げていたつもりです。 ○吉川委員  あいまいな中で法律にする必要があるのでしょうか。 ○奥山委員  逆に言うと、それだけ事業主の方がほとんどやってくださっているのであれば、反対 解釈しますと義務付けしてもそれほど大きな負担にはならないのではないですか。そう いう言い方をすれば。 ○佐藤委員  一応ここは(1)とセットですから、範囲は(1)の方で労働条件は明示しなさいと義 務付けているわけです。ですから、それについていろいろ質問があったときに説明して くださいというセットだという主旨で私は考えていたのです。 ○今田委員  そういうふうにすれば使用者サイドとすればある程度打ち所かということはあるのか もしれませんけれども、待遇についてのいろいろな不可解なこと、不満、それを解決す るために説明を求めるというのが2番ですから、そういう待遇についての説明を求める わけですね。そのときのその説明を求める意図をくむ必要があるという説明ならば1番 だけに限定する枠組みというのは、実行上、意味がないというか難しいのではないでし ょうか。ただ、奥山委員が言われるように原点の説明だから、何ゆえにこの賃金体系が できてそれがどういう意味があるかというところまでいくかという無限に枠組みまで広 げる必要はないと思います。 ○奥山委員  そんな意味で言っているのではなくて、取り扱いの合理的な範囲の中でその説明をす ることでここの義務は足りるということを言いたいわけです。ですからなんでもかんで もそれに関連するようなものは全て事業主の方で説明しなければならないということで はない。 ○今田委員  1に限定するという言い方は狭いと思います。 ○奥山委員  それは置いておいて、私はそういうつもりではないのです。 ○横溝分科会長  現行の労働指針は、説明を求められたときは待遇についてなのです。 ○奥山委員  ですから(1)のところは基本的には一定の事項ということについて、文書を交付する ようにしているものを義務付けていきたい。2項はそれとは少し違って、実際にパート タイム労働者の方が現場で働いているときに、自分の待遇や処遇に何かわからないこと があったり、自分なりに不満をもっていたりすることがあって、それを事業主の方にお 聞きしたときにきちんとそういうことになっているということを合理的な範囲で説明し なさいという義務だと思うのです。そう私は理解しています。ですから、なんでもかん でもそこで説明しなければいけないということではないです。 ○松井委員  公益委員の中でも見解が違うようにも聞こえますと、先ほど申し上げましたようにな ぜパートタイム労働法を改正してまでやるのかという疑問を持っている私どもとしまし ては、いわゆる事業主に対して義務づけられる内容の中身がわからない中で判断すると いうのは、それだけで反対と言わざるを得ないのです。そこははっきりしてくださいと いうことだけは最低限申し上げたい。ケースバイケースでいいといったら本当にいいの ですかと私は思います。現行の指針と言っていることとでは、わざわざ指針を越えてこ こまでなるならば、本当にどういう形での説明がなされなければいけないのかというこ とは明らかにしていただかないと。 ○奥山委員  それは相手があっての説明でしょう。労働条件の明示義務であらかじめ労働条件はこ うだと示されている。 ○松井委員  でも今、労働条件の明示の範囲でないということを今田委員は言われていますから。 (1)だけのものではないということを言っていますよね。 ○奥山委員  私もそれでいいと思っているのです。 ○松井委員  それは困るということは言っておきます。 ○奥山委員  そうではなくて、ここでの説明というのは働いている状況に応じていろいろな相談事 が出るでしょう。それに対して合理的な説明をしてくださいという、合理的というのは 法的な意味ではなくて、そういう相談に対してできるだけ誠実に対応してくださいとい うことでしょう。だから相談の内容などによって説明の内容というのは変わってくるの ではないですか。 ○松井委員  お言葉を返すようですけれど、それならば、せいぜい言っても努力義務止まりではな いですか。 ○奥山委員  いいえ、努力義務だと基本的に説明しないような場合だってあり得るわけです。これ はきちんと説明してくださいと言っているのです。 ○松井委員  けれども、説明の範囲が明らかでなくてケースバイケースで、それで全部やれと言わ れたら、例えば何でここはエアコンがよく効いてないとか、労働条件といってもここの 範囲でなくてもっと広くとれというのなら、何でこの時間帯には 冷房・暖房がまだ入っ てないのだなどと、言おうとしたら幾らでもあるわけです。そういうものを全部拾って くださいというのが奥山委員と今田委員の考え方なのです。 ○奥山委員  拾ってくださいというか、それは当然働いている時において出てくる問題であれば、 やはりそれは一言二言でも答えなければいけないのではないですか。 ○佐藤委員  ここは公益委員で作って、そこは多分議論していないのではなくて、議論しないとい うか、ここは皆さん思っていたところは多少違いがあって、私だけなのかもしれません が、ここはとりあえず、公益の中の話は後で議論するということでどうですか。 ○樋口委員  意見が使用者側から出されたということを考慮しまして次回までに検討し、お答えす るということにしたいと思います。 ○岡本委員  整理してもらうことはいいのですが、先ほど奥山委員が言われたように、やはり私た ちは基本的に働いている現場でその環境であって労働条件について何らかの疑問が生じ れば、そのことについて納得いくまでやれと言っているわけではないのです。説明を求 めて、これはこういう理由だと言うことが絶対必要だと思いますし、当然のことだと思 います。こだわれていることが私にはよく理解できないところがあるのですけれど、や はり労使できちんと組合ということではなくて、そこで働いている人と使っている人た ちがよりよい環境というか、それを求めていくということは、お互い同じ気持ちだと思 うのですけども、そのことを一言二言ということが、なぜそれほどこだわるのかわかり ません。ぜひ、そこを私は広く解釈をしていただきたいと思います。 ○松井委員  いいですか、やはりきちんと言っておかなければいけないのは、ここに書いてあるこ とは、後で示してくださるということですけれども、その決定に際して考慮したという ことですか、なっている状況でなくて、なぜそうなっているのかということまでも何で も説明を求められて、それもいわゆるその法律でなくて人事労務管理の範囲で必要に応 じてやるということを、私どもは拒否しているわけではなくて、それは当然のようにや るべきものだと吉川委員にも申し上げているわけです。それを反対に法律でやれと言わ れると、では本当に何をやったら法律に求めていることに対応しているのですかと、そ こをきちんと明らかにしてくださいとまず申し上げているわけです。その法律がないと できないということについては、やはり私どもとして「違う」と、そういうことだけは 申し上げておきたいと思います。 ○横溝分科会長  今、樋口委員が言われたように、もう一回法律的に異議のないようなまとめをしたい と思いますので、それでは、次に本日は入らせていただきます。2〜3ページにかけての 「2.パートタイム労働者と通常の労働者との均衡ある待遇の確保の促進について」、この 項目についてご意見をいただきたいと思います。 ○渡邊委員  (1)なのですが、通常の労働者と職務、それから職業生活という言葉が理解できない です。具体的にどういうことなのか。職業生活を通じた人材活用の仕組みということで すね、それが少しわからないというか、その職業生活という言葉そのものがおかしい。 おかしいというのは失礼ですが、何かもっと具体的な例が必要ではないかということが 一つと、それから「その待遇について差別的取り扱いをすることを禁止することが適当 である」ということ、法律そのものが均衡処遇ということがあるから、「待遇について差 別的取り扱い」という非常に強い表現というのは、これはいろいろ差別的待遇となると、 均衡処遇のこの法律以上の拡大解釈といういろいろなことに出るので、この「差別的待 遇」という言葉について私は絶対反対です。 ○松井委員  その時の説明の仕方としてよく使われたこのお皿(参考資料の絵)の中でどこをどの ように指しておられるのか、どういうふうに違うのかわかるように説明をしてもらえる とありがたいです。よくわからないのが、この一番小さな皿のところに何か文言が付け 加わったように感じるのですけれども、それでいいのかいけないのか、ではその場合、 一番小さなお皿はどのようなものになるのか、その辺の理解が進むようなご説明をお願 いできればありがたいのですが、前回、前々回ぐらい公益委員のペーパーということで あったと思うのですか、それはそれぞれの一番後ろに付いています。 ○高崎短時間・在宅労働課長  一応事実関係だけ説明します。その概念整理をした際に、そのペーパー自体は、職務 と人材活用の仕組みのマトリックスで概念を整理してあるという中にあって、それとは 若干異質なものとしまして、欄外の方に所定労働時間がほとんど同じで、同様の就業の 実態にあるパートという、いわば少し別な観点から斬ったものがあるということで、絵 の中で1つに整理するのは当初の段階ではすぐには難しいというか、そこが整理してい ないので出して欄外に書いてあったというのが、まさに松井委員のご指摘の部分だと思 います。ただ審議会の過程で、それは職務と人材活用仕組みの中との連携もいわば上の 絵の中に位置付けるとしたら、どこになるのかというご質問があり、その点について私 ども事務局の方で、それは職務と人材活用の仕組みと同じというところの中の1部とし て位置付けられるものでしょうという説明をします。その時点ではご了解いただいたと いうことでありまして、いわばその欄外にあるものを上の絵の中に置き替え場合に、ど ういう表現になるかとなった場合には、公益の先生方の会議での議論整理としては、当 然、職務と人材活用の仕組みが同じということが、まず項目として入りますということ でありまして、それと先ほど言いました所定労働時間の問題と就業実態が同じというも のがどう関係していくかということを、もう一回整理し直した時点で、そこはまずその 所定労働時間がほとんど同じという部分については、職務と人材活用の仕組みの同じと いう中に吸収されてしまうのではないかということで、就業の実態として後残るものも のとして、雇用契約の形態というものが残りますということで、これが網羅されないも のとして特大視されているということで、整理されていいのではないかと思います。  なお、労働契約の形態等については、有期のものであっても繰り返し更新されること によって、無期のような位置付けになったような場合について形式的に有期だからとい って別だということにはならないでしょうという意味で、「等」がぶら下がっているとい う形に整理がされたという経緯ではないかというふうに思います。 ○稲垣委員  すみません。ここの部分ですけれども、やっとここまで入れていただいたかというの が正直なところです。パートタイム労働者の組合員の方の意識調査ということを、この 前もご紹介させていただきましたけれども、例えば同じ仕事をしている正社員と比べて 仕事量の負担が大きいと感じているパートタイマーの方は全体で3割に達しているわけ です。それで例えば、週30時間以上の人を見ると53%の方がそのように感じていると、 それから勤続10年以上では44%がそう感じている。そういう背景がありますので、や はりここの部分のところは本当に同じ仕事をしているという形で、人材活用の仕組みも 同じであるということが前提であれば、これは当然のことながら差別をしてはいけない ということを書いていただくということは必要だと思います。 ○佐藤委員  「職業生活を通じた」というところで、これはまたいい表現があればということです。 趣旨ですから、先ほどここは3枚目の下がっているその中の1部を取り出しているとい うことで、それは職務も同じで、人材活用の仕組みも同じで、例えば雇用形態が有期で あっても実質は無期と見なしうるような、ですから当然、人材活用の仕組みが長期にわ たって通常労働者と一緒ということになると思います。長期のということを表したとい うことでこの言葉については少し議論があったわけですけれども、この言葉の趣旨は長 期に見ても当然通常の労働者と同じなのだろうと。企業内の人材活用の仕組みが、とい う趣旨で職業生活を通じたというのを入れてあるということで、それは趣旨です。ただ この言葉がいいかどうかは皆さんに伺えば、趣旨はそういう趣旨だということでご理解 いただければと思います。 ○樋口委員  よろしいですか。この背景というのは、先ほどから議論になって来ているところと関 連してくるのですが、何をもって均衡というかと言ったときに、機会の均等というもの をまず考えてみましょうと、最初から例えばパート労働者は労働時間が短いから、処遇 の決定方法も違うのですよというようなことであれば、これは機会の均等も担保されて ないということで、結果に重点を置いてこれを整理したというよりも、むしろ機会の均 等というところで、差別というのは最初に機会の均等が与えられてないというようなこ とでそれは禁止しますということになっているわけです。  その後を見ますと賃金の決定方法について着目している「イ」という項目は、そのわ けでありまして、そこについても、そのような趣旨から全く同じ賃金を払いなさいとい う結果について求めているわけがないというようなところを、ご理解いただきたいとい うことです。  それと今の松井委員のご質問でいえば2の(1)と次の(2)イの「また」以下の違い というのは、どこにあるかというようなことを比較していただきますとおわかりになる かと思いますが、(1)の方は「就業の実態」、これが加わっているわけです。  後ろの(2)イの「また」以下については、この項目がないというようなことの比較を すれば、上の方は、要は疑似パートに近い、ただ短時間労働者だというような人を対象 に考えていますということなると思います。ただし、有期契約であっても繰り返し、実 態として長期的に働いている人の方は(1)に入ってくるでしょうと考えているというこ とだろうと思います。  お皿のことでいうと、要は松井委員が示された一番狭いお皿の中身です。その中が二 つに分かれているということになるだろうと思います。前の方の(1)というのは、この 狭いお皿の中に今申し上げたような就業の実態あるいは労働契約の形態等といったもの が加わった、その条件が加わっているということになるかと思います。その加わってな いのが、1枚目のお皿でイの「また」以下となっている。図をあえて示せということで あればそのような理解ができるということだろうと思います。 ○松井委員  それでは議論する前に「それ以下」もどこのお皿を指しているのか、一つずつ、解説 をしてもらえると大変ありがたいのですが。「それ以下」というのは例えば3ページの(2) イは大きなお皿、これだけを見ると、全体のお皿なのかどうかなど、その辺を議論がき ちんとかみ合うようにするために共通の認識を持てるような解説をお願いできるとあり がたいです。ここは理解したのですが、皆さんそのように理解しているかどうかという ことと、私どもがきちんと全部理解できるかどうか、そこが例えば福利厚生のところだ と本当にどうなっているのかというのがいま一つ理解にくいので。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは事務局の方から説明させていただきます。(2)イは、あえてお皿ともいいま すが、1枚目のお皿の話です。「また」が3枚目のということになります。  「ロ」につきましては、職務が同じ間の話になりますので、そういう意味からすると 2枚目のお皿で、職務が同じ場合についての扱いという話になります。  「ハ」については、別に仕事が同じかどうかということに着目せず措置するという案 ですので、1枚目のお皿で全体の話ということになっております。 ○松井委員   どうもありがとうございます。 ○吉川委員  それでは、ロとハについて意見申し上げさせていただきたいと思います。再々言って まいりましたけれども、職業訓練において職務遂行するためにはそれに必要な教育とい うのは、当然やらなければ仕事にならないわけですから、既にもうやっているというこ とが事実なので、それをあえてここにここまで入れる必要がなぜあるのかということが ロの意見です。  それからハについては、例えばこれもロもハも私流の表現で言えば当たり前のことで あって、ハも給食施設などというのもあまりこれをある意味ではこういう福利厚生とい うのは会社の厚意というかそういうことからスタートしているものだと思います。休養 施設や更衣室など。更衣室は当たり前で、何も廊下でということはありえないことでも ありますし。人数に制限があって、結果的に給食施設もアルバイトの方は後回しになる ということはあるかもしれませんが、あまりこれを入れてしまうと、今度そんなに言う のであれば正社員も全部やめてしまえということにもなりかねないと思いますので、あ えて私はロとハは削除するという意見です。削除してほしいという意見です。 ○鴨委員  私はこのまま入れるべきだし、もっと言えばもっと増やしたいところもあるというの が労側の意見です。教育訓練については、教育訓練も福利厚生も、今、吉川委員がそん なに言うのであれば正社員も辞めてしまえばというふうになる可能性があるというふう に言われていましたけれども、その教育訓練にしても福利厚生にしても、やはりそこで 働いているその労働者がその企業に対して、うちの会社はある意味では働きやすいとい うか、働ける良好な環境が整っているなどということを判断していくものであると私は 思っていますので、そういう中において、そういうことを言えば辞めてしまうというよ うな言い方というのは、申しわけないですけれども、ただただ、教育訓練・福利厚生と いったものをコストの面だけで考えているというふうにしか聞こえないです。そういう ことから言えば、本来、この福利厚生についてもそして教育訓練についても、きちんと 義務規定として私はもっとやられていないところもあるパート労働者について、パート だからということでやられていない部分がたくさんあるという意味においては、この中 で義務規定としてやるのは入れるべきであると思います。 ○吉川委員  教育訓練において実際に働いていただくのに、そういう訓練をしなかったら現実問題 として働けるのでしょうか。だから現実的に働いていただいているということ、それは、 して初めてやっていただけるということです。だから、それも義務化する必要があるの か。ここまで書くまで必要があるのかということと、その3番の例えば給食施設のコス トのみというふうに言われますけれども、もちろんコストだけということでないことは 百もわかっておりますが、企業が維持していくためには全体の器というものは決まって いるわけですから、その中で最初に申し上げましたけれど、この部分はある意味では会 社の厚意でどこもスタートしていると思います。社員の福利厚生は少しでも働いてくだ さる方にいい環境づくりを、会社としてもこのくらいの余裕があるから、こういうふう にやらしていただこうというのが多分スタートだと思います。だから、そこのところに 対してあまり何もしなければいけない、かにもしなければいけないと言っていったら全 体の費用を考えたときに、そこまでだったらとてもできないから、やめざるを得ないと いうことにもなりかねないという意見を言っているのです。 ○鴨委員  教育研修のところですけれども、私は企業がこれからますますパート労働者の能力や 意欲を活用していくという姿勢を、多分、今全体の企業の中で示しているのではないだ ろうかと思っているところです。そうであるのであれば、ますます、教育研修というも のが企業側にとっても必要なことになってきているのではないでしょうかと思っていま す。  それから福利厚生なのですが、この部分で言えば、私どもの方からすればもっと入れ てほしいところはありますと先ほど言いました。例えば、この中に慶弔休暇の問題やそ ういったことは入ってきてないわけです。私たちはこの間、慶弔休暇については、特に 現場で働いているパート労働者はそのこと自体がなぜパートだからということで慶弔休 暇が与えられないのかということの理屈がわからないです。わからないものについては やはり身分差別ではないかと強く感じているところです。本当にパート労働者が、職場 の中において気持ちよく働けるためにということから言えば、この部分をもっともっと 厚くしていくということはあってもよい中身であって、これを薄めていこうというとこ ろに今いる事態は問題ではないかというふうに思います。 ○岡本委員  議論ばかりやっていてもいけないと思うのですが、「好意」と言われたので。言われて いる「好意」は「好き」という字の「好意」のことですか。どういう好意ですか。 ○吉川委員   厚いの厚意です。 ○岡本委員  「厚意」ということですね。同じだとは思いますけれども。もともとはそういうお気 持ちでいらっしゃるということが、非常に私はショックを受けた部分なのですけれど、 もしかして当初そういうことでやっているところは多いかもしれないですけれども、も ともと福利厚生施策というのはそれこそ労務行政というか、人事政策ということの中で お互いがそのことを議論しあいながら、やはり働いて労働者にはきちんと働いてもらい たいという思いがあるからこそ、経営者の方々はそういったことで施策を持って、より 能力を発揮してもらおうということだったと思うので、非常に今のところだけは引っか かりました。その上で今鴨委員も言われたので、私は「ロ」のところなのですが、職務 遂行に必要な能力を付与するためのものという限定がされています。それで、これはそ の後の通常の労働者が転換の促進のところにも関連するのですけれども、今の指針でも 転換に向けた教育訓練・能力開発を推進するということは書かれているかと思いますが、 この職務遂行に必要な能力を付与というものを狭く見るのかもっと広く見るのかという ことに見方によって違うかもしれないのですけれど、やはりもう少し次のステップアッ プや転換制度に向けた部分の教育訓練というか能力開発というところも含めてやられて いくということが、適当ではないかと思います。現在やっている業務の部分ということ だけでなく、さらに広げた形でこのところは書き込んでいただければということです。 以上です。 ○龍井委員  先ほど総論のところで、松井委員から共通認識があるかどうかという問題提起があっ て、あえて強調させていただいたのは、その不満があるかないかではなく、公正な処遇 かどうかだと、これは私が主張しているのではなくて、前回の建議のまとめのキーワー ドと申しました。従って今、ロとハについて幾つかご意見あったところも、結局100歩 譲ってその行為をされるかされないか、これは義務でない限りまさに経営者のご自由で す。ただ、そこに差をつけていいのですかということを問題にしているだけなのです。 もう何回も今までの堂々めぐりの議論をしてきたと思います。それがそこのもちろん実 態上はコストの制約もあるでしょう。でも合理的な理由がなくて、そこで一緒に働いて いる人たちに差を付けるこというのはやはり問題でしょうと。そこはまさに公正な処遇 という共通認識からきているはずなので、もしそれが共通認識として共有されないとな ると、3年前の段階からも後退ということになってしまいます。それだけは、ぜひ避け ていただきたいと思います。 ○松井委員  まず、教育訓練のところですけれども、これは職務がその一時点で同じ人については 行うということです。ですから企業側とすれば、最低限職務遂行上必要な教育訓練をや ってもらうのは大前提なのですが、その方がそれなりにずっと働いていただける方なの か、どうなのかということは、相当教育コストをかけていいのかどうかというところは 非常にクリティカルな問題なのです。恐らく本当にこういう1点を見て職務が同じであ るならば、すぐに全部教育訓練をやれと言われても、通常の労働者が例えば定期採用の 人であってそのパートタイマーの方が別の時期に入って来た時に、本当に同じ教育訓練 でできるのかなとそういう問題があります。 ○樋口委員  誤解なので。今よく読んでいただくと、職務遂行に必要な能力を付与するためと限定 しているわけです。ですから、そうではなくて長期的に例えばこの人は社長に育てたい から、今やっている仕事は同じであってパートにも同じことやれと言っているわけはな いわけです。あくまでもそこは限定ということです。 ○佐藤委員  基本的にここは(2)の中にロとハも入っているということで、つまり、1のところに は職務や人材に関しての運用の実態等に応じて均衡を図る、これは福利厚生や教育訓練 にもかかっているわけです。ですので、先ほどのお皿で言えば、3枚目と、1、2枚目で は、当然、教育訓練の内容は違ってくる。ただ職務が同じであるという回においてはそ こでの必要なものはやってくださいという趣旨ですので、これは2の最初の前書きはロ とハにもかかっているということです。  それともう一つ、今、龍井委員が言われたこととかかわるのですが、基本的にロやハ、 あるいはそれ以外の処遇についても、基本的に底上げしろというものではなくて、基本 的には仕事や人材活用など仕組みに応じて同じものについては均衡をとってくださいと いう趣旨です。ですからハの福利厚生についても財源があります。ただ、この財源が同 じものであれば同じようにそれに応じて配分してくださいと。社員しかいませんでは困 ると。同じような対象に入るお皿の中であればという趣旨ですので、その場合、正社員 は減る場合も当然あるでしょう。基本的には公正な処遇という趣旨ですので、そこは逆 に組合が全部あるのだというふうに思われてしまうと、私は困ります。そういう場合も あるでしょうし、もしかしたら、社内の配分が変わるということで公正を実現すること も起きる。全体の法律はそういう考え方です。 ○松井委員  福利厚生について次に申し上げますとやはりその財源に限りがあるというより、施設 そのものの定員など、現実に回せない時もあってそれは本当にどうなのでしょうかと。 いわゆる通常の労働者がとても多くてパートタイマーが割と少ない場合には、まだやり やすいかもしれないのですが、その逆のケースの時も含めて、ここに書いてあるのは義 務化です。本当にそういうことまでも求められるのかというと樋口委員がすぐ反対をす るみたいですけれども、これは。 ○樋口委員  よく読んでください。ハは同じようにしろとは書いていない。利用の機会を与えなけ ればいけないというふうに言っただけで一般の労働者とパート労働者と同じに扱えとは 書いていないです。 ○松井委員  ではその確認ですけど、利用の機会が与えなければならないというのは、やはり機会 は提供しなくてはいけないわけですが、私は極端な例をまた申し上げるかもしれません けれども、パートの方がすごく多くて食堂に仮に使おうとしても通常の昼休みの時間帯 にはとてもできないような場合に、パートの一部の人だけでも使えればいいのか、それ は全部の方に使えるような状況になっていないといけないのではないかと、私はこれを 見たときにそのように読み取れるのですけれど、一部でも使えればいいのか、あるいは 現実に通常の労働者だけでほとんど一杯で非常に難しいというケースはどうするのです かとそういうことをお聞きしたいのですが。 ○樋口委員  それは企業経営者である以上はプライオリティが当然出てくるでしょうから、そこの 判断というのは経営権の問題点になっているわけです。ただパートですから利用させま せんよというのはだめですよと、ハを読むとそう書いてあるわけです。機会を与えなけ ればならないというのはそういう意味です。 ○佐藤委員  今のように、例えば食堂で業務上必要であって、今正社員しか使わせていない。ただ それと同じような仕事をしているパートもいるというときに、これは問題です。そうい うときにでも定員枠があるとすれば、過渡期的にはある人しか入れないわけです。その とき例えば正社員だけではなくて別の基準を設けてもらう。パートも正社員も一定の基 準で。それが一つ合理的だと思うのです。あるいは、正社員も含めてパートについては 食事補助的なものを出してやる。過渡期の問題は確かにあると思いますけれども、基本 的にはそのまま設備は限られているからそのままずっといいということにはならない。 ただ過渡期の問題で工夫の仕方は幾らでもあるだろう。過渡期にはある程度基準を設け てパートも正社員も同じ基準できればいいわけです。ただそれを正社員だけというやり 方は困るといっている。 ○横溝分科会長  同一ではなくて均衡というところにご議論あるところだと思いますが、均衡処遇に重 点をおいて同一ではないということでご判断を。 ○樋口委員  ですから繰り返しになりますが、ここではあくまでもチャンスを与えろといっている わけです。それについては、機会の均等について議論しているわけです。 ○松井委員  いいですか。私は機会を与えなければならないというこれをどのように読んだかとい いますと、給食施設があっても使いたくない。正社員も含めて使いたくない人はいます。 だから、それでいいよということを単に機会を与えたというように私自身は読んだわけ です。ですから別の言い方をすると、使える状況になくてはいけないというのが機会を 与えなければならないと自分としては理解をしたので、そういうような質問をしたわけ です。ですから樋口委員が説明してくださったことのように自分としては理解していな かったということです。 ○篠原委員  これは認識の共有を図っておいたほうがいいかなと思ったのですが、福利のところで 今までいろいろと論議をしてきた中で保養所というような感じの施設ということで論議 をしてきたような気がするのですが、今回初めてこの休養施設という言葉が出てまいり ました。ここの休養施設が何を指すかということを確認したいと思います。 ○高ア短時間・在宅労働課長  事実関係ですので事務局からご説明しますが、ここの休養施設というのはあくまで業 務を円滑に遂行するための施設ということですので、基本的には同一事業所内にある、 要するに休息をしたり疲れをとったり、次の勤務に備えたりするそういう施設のことで 逆に言えば、今篠原委員が言われました保養所や施設外のいわゆるレクリエーション施 設そういうものが対象になっていないという考え方であります。 ○松井委員  できない例というかこういう場合はどうしたらいいかというのは、先生方にお知恵を お借りしたいのですけれども、ここの福利厚生は1枚目の大きなお皿ですよね。全部で すよね。まずこの確認をさせていただいて、パートタイマーという方でも鴨委員たちが 言われたのは相当長くそこで一つの会社、事業所で働いているケースのことで、いろい ろ言われているということは私なりに認識します。反対に、例えばお中元やお歳暮の期 間、要するに繁忙期だけ、短期に来ている人というのも、結構あるわけです。そうする とそういうものをかなり福利厚生について効率化を進める中で、キャッシュレスでやっ たり、いろいろな仕組みでカフェテリアプランの中に入れてポイント化して処理をした り、非常に企業は福利厚生についてはどういう配分をしたらいいのか、きめ細かく決め ているケースもあるのです。そうすると短期の人まで、そういうカフェテリアプラン化 されている中にわざわざ入れて加入をさせてそれだけでオペレーションの費用がかかる。 けれども、もしかするとそこにかかる費用というのは利用をする短期のパートタイマー にとってみればそれより現金でもらったほうがいいなど、いろいろありうると思うので す。そういうケースというのはどのように考え、どのように処理すべきなのでしょうか。 それはしなくてもいいということになるのでしょうか。これは結構コストがかかる割に ありがたがられない仕組みにもなりかねない。そしてもう一つ問題は、企業によって派 遣社員を使っていて給与の引き去りができない人について特別なキャッシュレスのカー ドを使わせるなどいろいろな仕組みを設けていますけれども、それはそれなりに割と長 く来てくれている人であって。福利厚生というのは企業の独自の仕組みでそれをどのよ うな形で組み込んでいくというのは反対に労働組合のあるところはそこと十分話し合っ て決めてやっているわけです。そして今想定されることは労働組合員でもないケース、 そして短期。ではこういう場合はどのように考えたらいいのでしょうか。 ○横溝分科会長  今、いろいろ多義に渡るご意見ご議論いただきましたので、次、佐藤委員、今の関連 で。 ○佐藤委員  ここはあくまでも業務の円滑性が必要だという限定がかかっているということと、そ れとハも基本的には2-1がかかっているわけです。例えば食堂についても周辺に全然食 べるところがない、どうしてもこれはそこにないと駄目という場合と、そうではない場 合とは全然違ってくる。ですから食堂があれば一律に機会を提供しないといけないとい うふうになるわけではない。ですからそれも短期、お歳暮の時だけでということであれ ば別の考えがあると思います。 ○横溝分科会長  続けますけれどもいろいろなご意見、いろいろなバリエーションの提示もありました ので、公益委員でもう1度ご意見を頂戴した上で整理してまた提示したいと思います。 ○松井委員  今のバリエーションをもっと考えていただきたいです。確か前回質問させていただい たと思うのですけれども、2ページの(1)のところの差別的取り扱いの禁止のところで、 私どもとして気になるのは特に高齢法等において、仕事が同じケースで労働側からは役 割が変わってどうのこうのとありますけれども、今結構あるのは定年前に役職者をおり て技術伝承、後輩の育成のためにいるような方は、仕事は定年後も定年前も大体ほとん ど変わらないのです。そうするとそういう方が仮にパートタイム労働法の対象となる場 合には、短時間勤務あるいは短日勤務に変わっていく。それはこういうときには人材活 用の仕組みがもうそこで変わったと本当にみなせるのか、みなせないのかそういうよう な人についても、少し仕事が大体同じだったのに定年後になったら給料が下がった、そ れは差別的取り扱いだということをここにある条文でもって言われてしまうと企業がで きる限り今一方で雇用延長のためにさまざまな工夫をして努力をしている中で、そうい うことが阻害されるようになっては困る。その辺もぜひ次回以降で結構ですから考えを 示していただけると大変ありがたいと思います。 ○樋口委員  多分、松井委員は思慮深いですからそういう質問が出るだろうということで、職業生 活を通じたということがそこを意味していることがあります。 ○松井委員  ですから定年で一旦切れていると。 ○樋口委員  ですから、職業人生を生活を通じたというのはどういうことを意味するかということ を考えていただければと思います。 ○今田委員  今の件に関して、今までよく仕事が同じならばと今のようないろいろなケースがあっ てこれはどうするのか、均衡なんかできないのではないかという議論をブレークスルー するというのがこの案なわけで、ここに書いているように職務だけ規定しているわけで はないです。長期的な視点から見た人材活用の仕組み、就業の実態、総合的に判断をし て同じかどうか検討する、そういう枠組みで何カ月も議論してきているのでまたそうい う議論、今言われたような例というのは一旦退職をして、要するにそういう意味では契 約をし直しのような、またさらに職務も同じかもしれないけれども、以前に例えば役職 が現役のときとは少し違った多分後輩を指導するというようなある意味で職務というの はいろいろな側面を持つわけですけど、多少変わっているなどという違いがある。そう いう違いは違いとして認めましょうというのがこの枠組みで、職務が同じならばそうだ というのは、今もう同じことを何度も何度も言っているのもそろそろ卒業した方がいい のではないか。 ○樋口委員  今日は意見を聴取しているわけですからいろいろ言っていただいた方が我々も考える 材料を提供してもらえますから、いろいろ出して後出しではなくてこの場で出してもら った方がいいと思います。 ○横溝分科会長  いつも時間がなくて申し訳ないのですが、まだ項目の大きい3と4が残っていますの で。 ○龍井委員  賃金のことを触れていませんでしたので。まず、基本的に労側の意見は一貫して今ま でもすべてのパート労働者を対象にした均等処遇の法制化をということをずっと主張し てまいりましたので、その基本線について私どもは現時点でも持っているということを まず前提として話をしたいと思います。そのときに今のところで2ページの(1)はここ もできたら次回でいいので整理していただきたいのは、今までもだいぶ前の研究会あた りから先ほど少し触れられたように、いわゆる擬似パートというのが別格だということ で全部別出しで今まで議論されてきているわけですね。高梨研究会からもそういう意見 を別出しで出されていてここだけ何とかしようと。これが前回の報告でも人材活用の仕 組み云々の議論と別の箱で別の項目で、これはこれで取り出されていたわけです。そう いう意味でいうと今お話しになったように高齢パートも擬似パートの延長になるのかと いうその整理はしていただきたいと思うのと、少し細かくなりますけれども就業の実態 (労働契約の形態等)と、私は意味が読みとれないのですが、いずれにしろここの表記 がもともとお皿の絵であった「※」の「所定時間が通常の労働者とほとんど同じで同様 の就業の実態にある」という説明がどういう、もちろん恐らく他の規定との整合性上と いうことでこういうタームを並べられたと思うのですが、その辺をもう少しもともとの 箱、※の説明との連動性でいうとどうしてこういう表記になったのかをもう少し整理し て示していただければと思います。次回に整合性をつけてやってもらっても結構です。 ○横溝分科会長  最後まで項目の二つ、3と4を、その前、賃金について何かありますか。 ○前田委員  賃金ではなくて今のところですが(2)の上のほうを見れば多分こういうことなのかな と思うのですが、3ページの(2)ロの教育訓練ですけれども、職務が同じであるパート タイム労働者に対しても行わなければならないと書いてありますが、これは先ほどから 申しているように、例えば週に2日しか来ない、その期間だけしか来ないという人に通 常の労働者と少なくとも同じ量の教育訓練をしろということでないということだけは、 これだけ見るとすべて同じように見えますが、これはできないし、多分パートタイマー のほうも望まないと思うのです。そういうことは、ここで確認をしておきたいと思うの です。 ○龍井委員  検討いただければいいのですが、あるノウハウについて何時間だから半分というわけ にいかないのではないですか。それはもちろんケースバイケースでいいのですけども、 単純に基礎的な知識であれば、どんな人だっていなくてはいけないし。そこはもう少し ベーシックな議論をしていただいたほうがいいと思います。 ○横溝分科会長  その次、3、4、5についてご意見をいただきたいと思います。 ○岡本委員  5のところになると思うのですが、3年前の建議の中でも有期の方たちの問題や社会保 障・社会保険の問題についてもかなり丁寧に触れられていたと思うのです。この議論が 始まった当初にも、そこの問題を避けて通れないのではないかという議論もあったかと 思います。他の分科会との関係にもなるわけですが一方で厚生年金の議論がこのように 新聞紙上でも出始めている状況がありますので、そこについて特段建議の中で私は分科 会として書き込んでおく必要があるのかなと思います。特にかけもちパートの方たちの 問題についてもきちんと提言をされるということが必要かと。あまり議論されなかった ということも事実だと思いますけれども、どうかと思います。 ○松井委員  確認ですけれども、3と4のところなのですか。5まで、5と言われたのですか。 ○稲垣委員  今、岡本委員のご意見に少し補足みたいなところなのですが、有期の問題というのは 確かここの資料では、パートタイマーで働いている方の事業主が回答したところで8割 が有期だという実態がありますし、実際に働いている人たちがどのような思いで働いて いるかというところなのですけれども、今後2、3年間における失業の不安というところ でいきますと独身でパートで働いている女性でいきますと30代で80%の方が不安に感 じているという、要するに有期契約を繰り返していくというところで大変問題があると 思いますので、ぜひここはパートのはずせない問題ということで有期の問題も触れてい ただきたいと思います。 ○樋口委員  いいですか。触れ方をどうするかは議論があると思います。「記」以降については少な くともパート法についての話ですから、ここに入れろというのは難しいと思います。 ○稲垣委員  「記」以降というのではなくて、要するに有期契約の問題というのは最初からずっと私 たちは問題があると申し上げてきましたので、どこかでそういうところに触れる必要が あるのではないかということです。 ○松井委員  今言われていることは、樋口委員も言われたように、その他のところにも今はいらな いのではないでしょうかということを申し上げているだけであって、それとその問題を そういうふうにいって、何をどのように解決するかということは、今この場ではできな いということですよね。まずそこだけは私としては確認をしておきたいことと、年金の ことの話がありましたけれどそれを言うならば、本当は税制はいいのでしょうか。私は そこの方が本当は一杯こぶのあるところという認識がありますので、年金だけ言われる となぜそうなのかなというそもそもが全然よくわからないというそういう気はします。 ですから全部入れろではなくて理論的におかしいということをきちんと言っておかない と違うのではないかということは、そこをやっても私は無駄だと、解決にはならないと いうことだけ申し上げます。年金をいうならばここで議論するところではないのですけ ども、年金をどういうふうに変えていくというお考えなのですかという。やめます。結 論は出ないでしょうから。ここで議論するべき話ではないので、適用拡大すればすむと いうものとは私はまず思っていない。そこだけは申し上げておきたいと思います。  それから5までいっているというのは知らなかったので、その他というところを落と された人間としては最後前回申し上げた基本方針なるものは本当に必要ですからほとん ど会議に入れられていないし、いらないということははっきりしておいてもらいたいと いうのが1点です。一旦作るときに私は作業を事務方としてやらされた人間の1人とし てこんな無駄な作業はなかったと思っていますから、ぜひやめてほしい。それがずっと 思っていたところです。  それからもう一つは転換についてこれは例示ということなのです。そもそもここまで 法律で決めるということで書かれているのだと思うのですけれども、さらにその措置と して例示の仕方というのは、ではどのような形でやっていくことが今想定されているの か、例示というと転換はよくあるのは、今制度を設けて転換を推進するというケースと この人はきちんとやってくれそうだからお声掛けをするなど、現場では結構そういうこ とを相当やっていると思うのです。ですからそれも転換の推進だと言ってくれるならば、 当然のようにやっているからいいと思うのですけれども、そういうものも入ってくると 理解をしておいてよろしいでしょうねということだけをまず確認をしたかった。本当は 一々法律で書いてほしくないということだけはまず申し上げてきます。  それからもう一つは確認なのですけれども、紛争解決援助の仕組みを均等法と同じよ うに設けるということの趣旨はどういうものなのか。なぜここまでパートタイム労働者 について行わなくてはいけないのか。その説明をもう少ししてもらえると大変ありがた いと思います。それからもう一つ上の(1)の自主的な解決というのは企業内でどのよう な仕組みでも苦情の申出、あるいは冒頭のほうの次回以降整理してくださるということ になっていますけれども、労働条件の決定に際して考慮した事項、説明をするときに実 は説明を求められているときは併せて苦情を受けているケースというのは結構あるので はないかと思いますけれども、そういうことをある程度誠実にやっていればかまわない というのかここは自由なのかどうか、どんなことをイメージしておられるのか。今日で なくて結構ですけれども教えてもらえるとありがたいと思います。 ○前田委員  3の(1)の転換に対する措置なのですが、これも法律の条文になってみないとよくわ からないところですが、こういう措置を行えということは書いてありますけれども、例 えばIT産業のパートタイムでやっているような人がいる事業所で、特別に技量を持って いる人をヘッドハンティングというかそういうので適当な人がいるから採用したいと、 こういったときにもパートタイマーの人全員にわかるように情報を流さないといけない のか、このあたりがこういうことをしなければいけないというのは入っていますが、例 えばこういうのは含まれないというふうなものがないと採用の形態というのはものすご く多様なものであると思いますし、これから労働が流動化すればするほどいろいろなケ ースの採用の仕方が出てくるのではないかと思うのですが、そういったときに本当にこ れで耐えられるのかということについては担当する者としてはためらうところがあるの ではないかなと思うのです。 ○松井委員  今の関連で、懸念とか疑念の部分を申し上げますと、今前田委員が申し上げたのは非 常に極秘的に人を雇いたいようなケースも、ある事業所ではここに書いてありますよう に通常の労働者を募集に関する情報を周知していたなどと一方でやっていて、けれども ここはコンフィデンシャルマターだから内々にやる。いろいろな採用のケースはあるの です。そうすると、それも周知していなかったから困るとまで言われるととても耐えら れない。ですから、一般的に例えばパートタイム労働者を使っていてその方が就けそう な募集についてまで駄目だというつもりではないのですけれども、人事採用の問題につ いては難しい部分があって、同一取り扱い、統一的取り扱いと言われても難しい。そう いうものまでは求められてないのですよねということは確認しておかないと難しいと思 います。 ○樋口委員  懸念の趣旨は十分理解したと思います。募集というのを公募というふうに考えるのか、 一本釣りまで含めてと考えるのかという問題をご指摘だろうと思いますが、一本釣りま でパートに公示しろということではないと思います。次回、そこは明確にしたいと思い ます。 ○松井委員  パートタイマーの方も非自発的にパートタイマーになっておられる方で能力があるか らそういうものも対象としないといけないなど、いろいろ言われると非常に困る。キャ リアも本当によく調べず、とりあえず募集、関連に募集をしているというケースがあり ますので、バックグラウンドがそんなに理解していないで働いてもらっているというケ ースもありますので、企業として独自でやりたいものは絶対残しておいてもらわないと 困る。その意味ではこういうことまで法律でするのはいかがなものかということを改め て申し上げておきます。 ○高ア短時間・在宅労働課長  そういうことで整理をされたと私も理解しておりますが1点だけその前に、松井委員 が適宜必要に応じて優秀なパートがいた場合にいわばアドホリック的に声をかけてやっ ているのは当然やっていてというのは、それは少なくともここでいうところの転換の推 進に向けた措置という点ではないという理解で公益委員方がもしいらっしゃったらと思 っております。要するに措置というのは制度的なものといいますかルーティン的なもの といいますかそういうことであろうかと思います。 ○前田委員  今のは、例えば、50人のパートタイマー中に1人の大変優秀な人がいて、その人のバ ックグラウンドを見ると今全く考えていないような新しい仕事もできそうだ。その人を 採用しようというようなときに、その人にフルタイマーになりませんかということを言 うのは、周知していないということになるわけですか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  誤解されたようですので確認しますが、それはそうしていただいて構いません。ただ それをもってここでいうところの義務を果たしているということにはならないという、 ただそれだけの話です。 ○佐藤委員  基本的に例えば正社員登用制度がある。その制度があって、義務を果たしている。そ れ以外に彼女を引き上げたいというのが駄目だというわけではないです。ただし引き上 げるという個別にやるのがあるから、それ以外のここで挙げている転換の推進の措置を やっていると言えるわけではない。ですからここにあるようなどれかをやっていれば、 「等」ですからもう少し広がりがあると思いますけれども、この人を引き上げるというこ とをできないというふうになるわけではない。 ○松井委員  待ってください。それは今申し上げたようなケースも場合によっては十把一絡げに募 集をかけて転換をするよりも、その人に合ったよりよい職務を与えて処遇を与える可能 性もあり得るわけですよね。ですから、そういうものも転換の推進とは違うと言われる と。 ○今田委員  ですからそれをやっていけないと言っているわけではないのです。ただし、転換の機 会を何らかの形で与えてくださいというルールで、そのことと松井委員が言われたこと をやってはいけないというルールではないのです。それはやってください。 ○松井委員  そうするとそれ以外も何かやらなくてはいけないのですよね。 ○佐藤委員  措置としてはですね。個別の1本釣りだけやっていればいいというわけではない。そ れは先ほど樋口委員が言われた、あくまでも機会の問題をどう公正にするかということ です。ただこれは一つのことを挙げているわけではない。そこは少し議論の余地、幅は あると思います。 ○渡邊委員  措置を講じなければいけない程度にして、この措置として例えば事業所の通常労働者 の募集に関する情報をいち早く周知することなどそういう具体的なことを言わなくても 私はいいのではないかと。講ずる者は事業主なりその会社の就業の状況によって措置を すればいいだけの話で、具体的にこういうことをいちいち挙げることはないのではない かと思います。 ○龍井委員  多分個別の企業の立場でいえばいろいろこの問題があると思う。ただここで議論した いのは、先ほどから繰り返し申し上げたのは総論から一貫した今の世の中の流れが、こ こまでいいのとよく言われているように、特に若年の方がよくマスコミでも取り上げら れているようにパートに限らず、ここはパートですから短時間の世界ですけれども、今 のままで採用がされないまま正社員にされないままずっと固定化してしまうと。これは 何とかしましょう、各企業も大変だけれどもこれは一つの社会的責任の問題ですねとそ ういう文脈の中であるから社会的取り組みとして今回の措置を何かしましょうというメ ッセージで議論しているわけだから、少なくともそれが全く必要ないというのかあるい はわかったそれはそういう方向を何とかしようとそのときの努力の仕方はどういうこと があるのか、その土俵が全部うちはやっているからいい、あるいはここは難しいという 土俵をもう少し共有しないとここでやっている意味がないと思うのです。だから今のま まではまずいという認識を持たないと進められないのではないかと思います。私どもか らすれば、逆に情報提供が措置なのと言いたくなります。これは措置とはあまり言えな いと言いたいところだけれども、ですからそういう土俵で議論したいと思います。 ○樋口委員  どこまで法律の中に書くかも含めて検討していきたいと思います。 ○渡邊委員  そうですね。使用者側というかいわゆる事業者側に言わせると、ここのところをいち いち言われてそれを私どもが訴えられるなど、あるいは先ほどの過料ではないですけれ どもそういうふうに具体性にあることを指針程度ならまだいいですけれども、法律の条 文に入れることにすると、それをとらえて例えば、パートが第三者に代理雇用を講じて やるなど、そういうことがたくさん起きてくるのではないかとそれを心配するわけです。 だから、それは事業主とパートの均衡処遇という今度の法律でもっと大きくカバーして 具体的なことはここでは転換の促進だけにとどめていいのではないかと思うのです。だ からそれをいちいち具体的な条項の中に入れる必要がないと私は思います。 ○樋口委員  十分理解した上で、検討させていただきたい。 ○横溝分科会長  それでは時間も経過いたしましたので、本日は一通り3、4、5がだいぶ凝縮してしま いましたが、ご意見をいただきましたので本日の議論を踏まえまして本日のこの報告書 (素案)についてご意見を踏まえて再検討を行いまして、次回には分科会報告書(案) を作成いたしましてお示ししたいと思いますのでよろしくお願いいたします。本日の署 名委員は稲垣委員と前田委員にお願いいたします。今後のスケジュールにつきまして事 務局より説明をお願いいたします。 ○香取総務課長  本日はありがとうございました。次回ですが来週の金曜日12月8日、時間と場所は本 日と同様14時からこの17階の専用第21会議室ということで開催を予定しておりますの で、よろしくお願いいたします。 ○横溝分科会長  本日はこれで終了といたします。ありがとうございました。 ○照会先 厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課企画法規係(7876) 33