06/11/28 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 第92回議事録 第92回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年11月28日(火)13:30〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表: 長谷川委員        使用者代表: 成宮委員、輪島委員   事務局  鳥生職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップ)      (2)その他  ○清家部会長   ただいまから、第92回労働力需給制度部会を開催いたします。本日ご欠席の委員は 池田委員、市川委員、山崎委員です。本日は、まず公開で、労働力需給制度について( フォローアップ)をご審議いただきます。また、その後、一般労働者派遣事業の許可の 諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行いますが、 許可の諮問については、資産状況等個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開 することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合 に該当いたしますので、非公開とさせていただきます。傍聴されている方には、始まる 前にご退席いただこととなることを、あらかじめご了承ください。  それでは議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度について(フォローアップ)」 です。前回でフォローアップの議論を二巡したところですので、本日はこれまでの議論 の整理をしたいと思います。前回、資料の準備を事務局にお願いして「これまでのフォ ローアップと更なる検討が必要な事項」について、資料を準備していただきましたので、 まず事務局からその点について説明をお願いいたします。 ○篠崎補佐   それでは説明をさせていただきます。資料1「これまでのフォローアップと更なる検 討が必要な事項」をご覧ください。この資料は、一巡目の議論が終わった後8月末に整 理したものに、その後の議論で出た意見等を踏まえて見え消しで資料を整理いたしまし た。真ん中の項目が「これまでのフォローアップ」、いちばん右が「更なる検討が必要 な事項」と整理しております。修正した点を中心に説明をいたします。  1頁です。職業紹介事業について二巡目の議論は特にしなかったということですので、 「これまでのフォローアップ」「更なる検討が必要な事項」は特に変更なしと整理して おります。  次は3頁、労働者派遣事業制度の関係です。まず派遣対象業務について、2つ目の○ に追加している部分があります。1点目は「ものづくりの技能継承の観点から製造業へ の労働者派遣には問題点もあるという意見があった」と加えました。また、3つ目の○ に「部会の委員からは、派遣対象業務については、原則自由化すべきという意見があっ た一方、建設業務、港湾運送業務、警備業務について歴史的な経緯等もあることや、建 設業務、港湾運送業務については特別な労働力需給制度がそれぞれあることから、解禁 すべきでないとする意見があった」と付け加えました。  4頁は派遣対象業務についての意見です。「部会の委員からは、偽装請負や違法派遣 の指導監督の強化という際には、何か方法を考えなければならないとの意見があった」 と追加させていただきます。  続いて派遣期間です。「部会の委員からは、期間制限を撤廃すべきという意見があっ た一方、労働者派遣事業制度が臨時的・一時的な労働力の需給調整の制度としているこ とから期間制限を維持すべきという意見があった」と付け加えました。  5頁は派遣労働者への雇入申込義務の関係ですが、この頁には修正がありません。6 頁では2点フォローアップについて追加をしております。1点目は「部会の委員からは、 業務の内容や派遣労働者の能力差にかかわらず、雇入申込義務を派遣先にかけることは、 派遣先にとって負担が大きいとの意見があった一方、一定期間以上派遣労働者を受け入 れた場合には雇用しているものとみなすといった規定を導入すべきとの意見があった。 さらに、それに対しては、派遣労働者を使用することを阻害することにもなりかねず反 対であるとの意見があった」と付け加えました。  そしてもう1点、「部会の委員からは、第40条の4と第40条の5の違いを理解してい る人は少ないのではないかという意見があった」と。第40条の4は、期間制限がある業 務についての雇入申込義務、第40条の5は期間制限がない、いわゆる26業務について課 せられる一定の雇入申込義務のことです。  7頁は紹介予定派遣の関係です。まず「これまでのフォローアップ」の修正点です。 ○の4つ目に、以前の意見として、部会の委員からは、紹介予定派遣での直接雇用にお ける雇用形態が必ずしも正社員でないこと、という意見がございましたが、これに加え て、「期間の定めのない雇用とすべきとの意見があった一方、期間の定めのない雇用と することを義務化することは、派遣先にとっては選択肢の幅を狭めることとなり望まし くない等の意見があった」と付け加えました。  ○の5つ目ですが、「部会の委員からは、派遣労働者が派遣元事業主を選択する際の 情報として、紹介予定派遣を通じた派遣先での直接雇用の達成率などの情報開示をする ことも有効ではないかとの意見があった」と。  紹介予定派遣については、右側の「更なる検討が必要な事項」に1点付け加えてあり ます。7頁の右上に「紹介予定派遣により、派遣先での直接雇用を促進するための方策 について、どう考えるか」と付け加えました。  続いて8頁、事前面接等の派遣労働者の特定を目的とする行為について、○の3つ目、 若干充実したという部分に「よい事前面接と悪い事前面接はあるものの」という表現を 追加しております。  続いて9頁です。こちらも意見の補足です。事前面接の中で「例えば」という中で、 派遣契約が成立しなかった場合に、「その理由の説明がない」といったことを追加して 記載いたしました。  10頁、派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置についての修正点を説明いたします。○ の2つ目について、「部会の委員からは、均衡処遇については単純に考えることはでき ないが、例えば労災の上乗せ補償に関しては、特に長く働いている派遣労働者に労災の 上乗せ保障がなく派遣先の正社員と格差があるのは問題であるとの意見があった」と。  また○の3つ目で「部会の委員からは、派遣労働者の持つスキルのレベルを示す指標 や、派遣労働者が良好な派遣元事業主を選択する際の情報として、派遣労働者に対する 教育訓練等にどれくらい費用をかけているかを示す指標のようなものはないだろうかと の意見があった」と。○の4つ目では「部会の委員からは、派遣労働者のスキルアップ について、業者のみならず業界団体の努力も必要との意見があった」と。  11頁では「部会の委員からは、労働・社会保険については、業界団体の努力もあり適 切な加入が進んでいるが、更に努力が必要との意見があった」と。それから「部会の委 員からは、事業者が好事例を出しながら、派遣先で直接雇用することの普及をすること が必要であるとの意見があった」と。  続いて12頁、派遣労働者からの苦情等です。○の3つ目に「部会の委員からは、労働 者派遣事業適正運営協力員について更なる活用を図るべきとの意見や、活用のために更 なる周知をすべきとの意見があった」と。  (8)の許可・届出手続の簡素化については修正点がございません。  続いて13頁、その他です。○の2つ目ですが、派遣という働き方がよい働き方なのか 悪い働き方なのか、また、派遣は非典型と言われるが、登録型と常用型モデルはかなり 違うとの意見が以前ありましたが、この登録型と常用型と加えて「26業務とそれ以外の 業務のモデル」を追加いたしました。  ○の3つ目について、「部会の委員からは、紹介予定派遣のような派遣先における直 接雇用となる機能について、労働者派遣制度の中でどのように位置付けるのかという意 見があった」と付け加えました。あとは若干体裁で直している部分がございますが、以 上が修正点でございます。 ○清家部会長   ただいま事務局から、委員の皆様方からのご意見等を踏まえてフォローアップに関す る状況の説明、あるいは新たな検討が必要な事項等についての修正点についてご説明を いただきましたが、ただいまの説明や本日配付されている資料等を参考にして皆様方か らご意見、ご質問等を承りたいと思います。どなたからでもどうぞよろしくお願いいた します。 ○輪島委員   13頁の「その他」の所なのですが、その他という扱いが適切なのかどうかと思います。 これは総論というか全般的な意見なので、その他という位置づけでいちばん後ろにある というものではなくて、例えば1に入れていただくとか。今後の議論のフレームワーク に関わるものではないかと思うので、その他という扱いではなくしていただければと思 います。  12頁の(7)の3つ目の○で、「適正運営協力員の更なる活用」ということについて。東 京からは、すでに活発にやっているという意見を申し上げたつもりなのですが、そのこ とがこの中で読めるのかどうか、それがあまりはっきりしないのではないかと思います。  それから、11頁の3つ目の○で、「部会の委員からは、事業者が好事例を出しながら」 とありますが、この事業者というのは何を指すのか。もし派遣元を指すのなら「派遣元 事業者が」と書いておいたほうがいいのではないかと思います。  6頁で、「第40条の4と第40条の5」という書き方ですが、これは外に出ていく資料 なので、先ほど口頭でおっしゃったような解説をちゃんと書いておいたほうがいいので はないかと思います。  4頁の(2)、派遣期間の所ですが、ここは少し書き分けたほうがいいのではないかと思 うのです。2行目にかかる「労働者派遣事業制度が臨時的・一時的な労働力の需給調整 の制度としていることから」というのは、法的に全部そういうふうに言えるのかどうか がクリアではないと思うのです。臨時的・一時的な部分と専門的・技術的な部分があり ますから、きちんと書き分けたほうがいいのではないかと思います。  それから、3頁の(1)の2つ目、「偽装請負」のことについて、何かの方法を考えなけ ればならないというのは少し抽象的なのではないかと思うので、後から読んでそのとき の意見が分かるようにしたほうがいいと思うのです。 ○清家部会長   いま輪島委員からいくつかご提案がありましたが、長谷川委員、そのような形でよろ しいですか。 ○長谷川委員   はい。 ○清家部会長   テクニカルなところはよいのですが、13頁の「その他」は、むしろ何か基本問題のよ うな形に仕分けして前のほうに持っていくということでしょうか。 ○輪島委員   (1)の派遣対象業務からは全部ディテールなので、全般的意見とか、総論とか、何かそ ういうもので(1)という位置づけにしていただくのはどうかと思いますが。 ○清家部会長   事務局、どうですか。 ○坂口課長   事務局のまとめ方として、「その他」という形にしたのは、これまでフォローアップ の議論を進めるに際して、15年の改正事項を中心に、事前面接も含めてご検討いただき たい事項ということでフォローアップ事項を並べて、最後にその他いろいろな案件があ ればという形で並べていたという兼ね合いがありました。その流れの中で、各委員から 総論的な意見も出てきたので、ここに載せたということなのですが、今回いろいろフォ ローアップの作業をお願いするという形でやってきたのです。標題の付け方については ここでご審議いただいたらいいかと思うのですが、全体の流れとすると、フォローアッ プの個別事項がずっと並んできて、その他総論というような形の項目があるという位置 づけなのかということで事務局はまとめ方を考えていたのです。 ○輪島委員   前にしていただくことができないのか。それとも、「その他」ではなくて、(9)として 全般的意見とか、そういうふうになるのかどうかです。(1)で派遣法自体が複雑だと思っ ていて、非常に根源的な問題だと思いますし、ハローワークでも多少問題があったよう ですので、そこら辺も含めて、派遣法の周知ということはある、そういう趣旨です。 ○清家部会長   フォローアップ自体、多少具体的な懸案もいくつかあって、それをどうするかという ことを議論してきましたので、個別具体的なところをまず詰めなければいけないという ことから前に出ているのだろうと思います。ですから「その他」というのはちょっとあ れかもしれないのですが、いずれにしても大きなテーマですから、それはこのフォロー アップの中でも特に時間をかけてしっかりと議論しなければいけない種類のものかもし れません。 順番的にはこれでもいいのかもしれませんが、その他ではない、基本問題というか、そ のような扱いで仕分けしていただくということで、いかがでしょうか。 ○輪島委員   少しご検討いただきたいと思います。 ○清家部会長   ほかにいかがでしょうか。 ○北村委員   細かいことなのですが、8頁の3つ目の○に「よい事前面接と悪い事前面接」という 表現があります。もともとの文章に「よい」「悪い」という言い方があったのですが、 それをここで繰り返すのはどうか。よい・悪いという言い方は価値も内在しています。 下手をすると、こういう言い方で「よい解雇、悪い解雇」などと、ずるずると概念が広が るおそれもあるので、新しい所には、例えば、「就業環境を確認するなどの効果はあるが」 などと、もう少し具体的な言い方をしたほうがよろしいのではないかと思うのです。よ い事前面接、悪い事前面接という言い方で皆さんが想定するものはほぼ同じとは思うの ですが、2度繰り返して価値内在的なことを言ってしまっていいのかという気がしまし た。 ○清家部会長   その点はいかがでしょうか。1つは、よい・悪いというとノーマティブな部分がある ということと、そんなにはっきり白と黒とかと分けられるものでもないから、単純によ いとか悪いとかという言い方を強調するのは如何なものかということでしょうか。 ○北村委員   そうですね、分かる人には何となく分かるのですが、文章としてパッと出てきたとき に、すべて正確に言ったのかというと、事情が分かっていない人には分かりにくいかと 思うのです。 ○長谷川委員   8頁の3つ目の○で新しく書き加えたものがありますね。切り分ける仕組みはないか という意見があった一方、「よい事前面接と悪い事前面接はあるものの」と。ここを取 ってしまえばいいと思うのです。付け加えたものを取ってしまえば、「よい事前面接」 と「悪い事前面接」とを切り分ける仕組みが何かないかということに対して、事前面接 は人を特定するための決定権を与えるだけに問題だという意見です。ここで繰り返さず に、取ってしまえばいいのではないですか。 ○北村委員   これを繰り返したのは、事前面接もマイナス効果だけではないということの強調だと 思うのですが、だとしたら取ってしまうか、何をもって良きと判断したのかについて言 及したほうがいいように思うのですが。 ○坂口課長   先ほどの輪島委員のところについても少し触れさせていただきますが、特に「部会の 委員からは」という所について、私どもとしては、これまでの議論で発言があったこと をまとめるという趣旨で書いているということが1点あります。その中身として、まず、 よい事前面接と悪い事前面接というのは、今まさしく北村委員がおっしゃったとおり、 それ自体がクリアになっている概念かというと、そうではないとは思うのです。議論の 中では部会の各委員がそういうイメージと申しますか、事前面接の中にもよいものと悪 いものとがあるのではないかということが二巡目辺りではやや共通の議論になってきた、 ということが意見の中でうかがわれるという趣旨があったのが2つ目です。それと、今 回「一方」の後に書かせていただいたのは、その直前で、よい事前面接と悪い事前面接 との違いを切り分ける仕組みは何かないかという意見があったことに対して「一方」と いう言葉で区切っているものですから、そこに「よい事前面接と悪い事前面接はあるも のの」という言葉がないと、イメージの中で、事前面接の中によいものと悪いものがあ るという皆さん方のご意見全体も否定するような形になるかなという趣旨で加えさせて いただいたのです。しかし、概念的にはっきりしないという意味で、皆さん方の総意で 削ったほうがということであれば、事務局としてはそのように再整理させていただきま す。 ○輪島委員   これは公開の場なので何とも言えないのですが、私の読み方は、前段は使用者側の意 見です。使用者側としては、よいものと悪いものがあるけれども、しっかりしてねと言 うわけです。そして、一方がおそらく労働側の意見です。労働側の所にこのことが入っ ているか、いないかということが私どもの価値観からしてどのような違いがあるかと言 えば、よい事前面接、悪い事前面接はある、というご認識をいただいているかどうかと いうことが入っているか、いないかによって大きく違うので、そこは是非ご理解いただ きたいと思います。よいものと悪いものがあるということをご理解いただいた上でその 下の意見があるものと理解をしているので、文章的なことでいってバサッと抜けるとい うのは、ちょっとつらいかなという気がしないでもないのです。 ○長谷川委員   こうして改めて文章で読んでみると、「よい事前面接」が何を指しているのか、「悪 い事前面接」が何を指しているのかということを書くべきだと思います。事前面接はよ いという前提のもとに、事前面接について、よい事前面接と悪い事前面接と整理したよ うな感じがありますね。もしそうだとすると、ここで言う「よい事前面接」とは何を言 っているのか、「悪い事前面接」は何かともう少し書かないと。前段のほうはいいので すが、後段のほうで「一方」の後のところをもう少し書かないと、読み手は誤解する可 能性があります。だから、何か注釈を加えるぐらいなら、ここは省いたほうがいいのか なという気はしないわけではないですね。事前面接というものをどのように捉えて、よ いものと悪いものとをどのように仕分けしたのかについて、どこかで注釈を加えなくて はいけません。改めて文章になってくると、そういう感じがします。 ○清家部会長   もし注釈を加えるとしたらどんな定義がいいか、ということを今ここで議論してもい いのですが。 ○長谷川委員   本人が納得しているのだったら。いまはどうなっているのでしたか。 ○清家部会長   メリットとしては、労使双方ともミスマッチが減る。だけど、一方で特定したり差別 があったりするとよくない、そういうことでしょうか。 ○成宮委員   確かに2回繰り返すのは、何となく文章もモタモタしてしまうのですが、一応2つの ことを並べているわけで、そうであれば前後をゴソッとひっくり返して、「事前面接は 人を特定するからどうのこうのという意見があった一方で、派遣労働者から言えば、派 遣先の雰囲気等について現場を見ておきたいというのは人情であり、よい事前面接と悪 い事前面接との違いを切り分ける仕組みが何かないかという意見があった」と整理して しまうという手もあると思うのですが。 ○長谷川委員   そうすると、ここが矛盾する。事前面接は人を特定するため、派遣先に採用にかかる 決定権を与えることとなり問題だという意見が1つある。それから、事前面接を認める と、そもそも派遣とは何かという話になる。だから、事前面接ということをここで言う ときに、どういうふうにして定義づけたかということが、後で議論するときに問題にな るのではないかと。 ○成宮委員   これまでの考え方で、事前面接を基本的に全否定する考え方が1つあります。一方、 「いや、でも、よい事前面接と悪い事前面接というのが何かあるのではないですか。そ こをきちんと切り分ければいいんじゃないでしょうか」という意見があるというのを並 べているということではないですか。現実に、そういう意見のやり取りがあったのだと 思いますが。 ○清家部会長   いかがでしょうか。 ○坂口課長   長谷川委員のご指摘にあったように、事前面接そのものの定義自体は、まだ明確な形 で1つにまとまっていないということなのだろうと思います。まさしく右側の「更なる 検討が必要な事項」についても、事前面接への対応等も含めてという形になっているが ごとく、まだまとまっていないのだろうと思うのです。ただ、よい事前面接、悪い事前 面接という議論の流れの中で出てきたのは、事前面接の問題点として、採用類似のよう な行為に当たるようなことになりはしないかということがある一方、本当の意味で能力 を確認したりする形でお互いを知り合うというような、採用チョイスにつながらないよ うなやり方をしている場面もあるのではないかということがあり、そういう部分では問 題的な部分は減っているのではないか、したがって事前面接の中でも、その中身という ものはちょっと違いがあるのではないかということでご議論があったように事務局とし ては記憶しておりました。 ○清家部会長   いまの成宮委員のご提案は、先ほど事務局から出されたものの中で、「よい事前面接、 悪い事前面接の違いを切り分ける仕組みは何かないかという意見があった」の後に、 「一方」で話を続けると、もう1回それを出してきたくなってしまうということだった ので、むしろ順番を変えるということですね。「事前面接は人を特定するため」から 「派遣元がやらざるを得ないのではないかという意見があった」の後を「、」か何かに して、その後「一方」と続ける。「一方、派遣労働者から言えば‥‥は人情であり、よ い事前面接と悪い事前面接との違いを切り分ける仕組みは何かないかという意見があっ た」で止めるということですか。 ○成宮委員   そうなのですけれども、ただ一方で右側の「更なる検討が必要な事項」の所で結局同 じことが書いてあるわけです。事前面接について、雇用のミスマッチ防止という観点か ら、労働者保護のための一定のルールのもと解禁すべきという意見や、事前面接を認め ると、そもそもという話になるという意見についてどう考えるかと。結局、元の文章の 順番でいい。後ろで受けていますから、このままでもいいのかなという気がしますけれ ど。 ○輪島委員   まず文章的な確認ですが、今回挿入した「よい事前面接、悪い事前面接はあるものの」 というものがその後のすべての意見に引っかかっているというように読めるのですか。 事前面接はあるものの、決定権を与えることとなり問題だという意見、それから、派遣 とは何かという話になるという意見等その後の意見全体にかかるのですか。 ○成宮委員   1つ目だけにかかるということでもないし、ほとんどですね。 ○輪島委員   長谷川委員にお聞きしたいのですが、前提としてこのように書いてあるのは、基本的 な認識として、よいものと悪いものがあるということの切り分けをするかどうかです。 ○長谷川委員   ここに書いてある順番でいくと、事前面接について、実態的には行われているという ことがあります。そして、輪島委員たち使側からは、事前面接には「よい事前面接」と 「悪い事前面接」があるのではないかという議論がある。また、労側は、実態的に事前 面接が行われていることは承知しているが、その面接で何が問題かと言えば、性別の特 定や容姿が問題になっており、これは問題ではないかと。結局、事前面接をやるという ことは人を特定することであって、それは採用権につながっていくのではないか。そう すると、そもそも派遣とは何なのかと、こういう流れだと思うのです。輪島委員たちが 言ったように、労のところはただ「事前面接」が行われているという実態は認識します と言うだけで、「よい事前面接」と「悪い事前面接」がきれいに整理されていないので す。 では事前面接のどこが問題なのかと言ったら、こういう問題がありますねと、そういう 流れだったと思うのです。ここで「よい事前面接と悪い事前面接はあるものの」とあり ますが、前段の所は使側が言った話で、「一方」の後の部分は、事前面接は人を特定す るためのものだと言う前の所に、事前面接の実態があるということは認識しているけれ どもと、そういう流れなのです。  スッキリ書くとこういう話になるのだけれども、実はその間に今言ったような話が入 っていたのではないか。だから、使用者側が言ったように、労側は事前面接について 「よい事前面接」と「悪い事前面接」ときれいには分類されていないのです。ところが、 ここだと双方きれいに分類された中で、同じように登場してくるのかなと、いま読んで いて思ったのですが。 輪島委員のところは、こういうのがよい事前面接で、こういう のが悪い事前面接だと、きれいに分類されているでしょう。ところが、労側は、そこが すっきり整理しきれていないのです。 ○輪島委員   悪いものだけはクリアに分かる。 ○長谷川委員   フォローアップの状況と今後検討が必要な事項ということを議論するときに、フォロ ーアップの所がこういう書き方だと、労も使もどちらも「よい事前面接」と「悪い事前 面接」はあるというところで一致したときに、同じことを言っていることになるのだけ れど、労のほうは、そこのところは少し違うのではないか。そこが分からないと、「更 なる検討が必要な事項」でこのメンバーでない人たちと議論するときに、誤って受け取 られるのではないかと思ったのです。 ○輪島委員   それを汲むと、8頁目の右側の「更なる検討が必要な事項」のいちばん上に、「事前 面接について、実態としては一定程度実施されているということについてどう考えるか」、 それを理解するという趣旨であれば、いまの「よい事前面接と悪い事前面接はあるもの の」という所を全部置き換えてしまって、「事前面接について、実態としては一定程度 実施されているということを認識するものの」とか、そういうことなのですか。 ○長谷川委員   ええ、置き換えるのであれば。事前面接が、実態として行われていることは事実だ、 ということは言えると思うのですが、私は、むしろスッキリと「よい事前面接と悪い事 前面接とはあるものの」を取ったほうが、次の議論をするときによいのではないかと思 います。 ○清家部会長   長谷川委員のご提案は、今回付け加えられた部分を取るということでよろしいですか。 ○鎌田委員   いまお話を聞いていて、今日新しく付け加えられた文章の「よい事前面接と悪い事前 面接はあるものの」について、労働側としてこういう認識を持っていたかどうかという のは、いま長谷川委員がおっしゃったように、そこまでクリアに言っているわけではな いと。しかし、議論をお聞きしていて私の印象としてあったのは、よい悪いという規範 的な評価ではなくて、実態として事前面接が行われていた。かつ、その事前面接という のは、労働者のほうとしても事前面接について、ルール等について不満は持っていると しても、ミスマッチの防止という観点から実態として受けているという傾向があった。 つまり、その実態というものは認識しなければいけないというようなニュアンスで議論 がされていたような気がするのですが。 ○長谷川委員   自分がどういう職場で働くのか、どういう環境なのかというのは労働者にとっても必 要ですよねと。しかし、このことに女性であること、年齢や容姿、そういうものが一緒 に付随してくるものですから、結果的にそれが採用の差別というところに使われる、そ ういう言い方だったと私は思っています。 ○鎌田委員   規範的にというか、評価の部分は別にして、労働者としても、どういう職場なのかを 知りたいという気持があって、そして実態として事前面接が行われているのであるが、 こういう問題があるということではないかと思うのです。だから、実態を踏まえるとい う趣旨で議論されたのかなという感じはしますけれど。 ○長谷川委員   事前面接が実際は行われていて、労働者から見れば、自分が働こうとする職場環境が どういう所なのか、どういう場所なのかということは知りたいでしょう。そして、そう いうことでは行われていると思う。ただ、問題は年齢だとか性別だとか、そういうこと。 そのときに、よい事前面接と悪い事前面接ときれいにクリアできるのかなと。輪島委員 のところはきれいにクリアしているのではないか、よい事前面接と悪い事前面接と整理 されていたと思うのですが、労のほうは、そこは使用者ほどきれいに整理はされていな かったと思います。 ○鎌田委員   労働側の認識として、事前面接が実態として広く行われている、あるいは、それは認 識するけれどもという文章、それはそのとおりなのですね。 ○長谷川委員   何かそういうことだと、後で議論するときに分かるのではないかと思います。 ○清家部会長   むしろこの文章の冒頭に、「実態としては一定程度実施されているが」と入れる。 ○長谷川委員   そうですね。事前面接が行われているということは、労使双方認識しているのです。 ○清家部会長   そこは双方認識していて、その後認識が違うということになるわけですね。 ○長谷川委員   その後、使側はきれいに良い事前面接と悪い事前面接というところは整理されている けれど、労側が整理しきれていないのです。 ○清家部会長   輪島委員のほうも、そういう実態があるということの認識を共通にしたということが 最初にあればいいということですか。そこは労使とも共通の認識なのでしょうか。 ○輪島委員   もう一回書いてみて、それでまた相談させていただきます。 ○清家部会長   輪島委員と長谷川委員は、いまのご議論を踏まえて次回までに検討するということで よろしいですか。 ○輪島委員   はい。 ○清家部会長   では、事務局のほうで次回までにワーディングを検討していただきます。ほかに、い かがでしょうか。 ○坂口課長   先ほどの輪島委員のご意見の確認なのですが、4頁の派遣期間の3つ目の○の所につ いて、「一方」の後の部分についておっしゃったのは、26業務と26業務以外で期間制限 が付いているものと付いていないものがあるということを加味したような形でこの2行 の表現をするべきだというご趣旨でしょうか。全体の流れとしましては、あくまで期間 制限があるものについて、期間制限を撤廃すべきという意見があったのに対してという ことでは考えていたのですが。 ○清家部会長   輪島委員、いまの点についてはいかがですか。 ○輪島委員   4頁目の(2)の右側「更なる検討が必要な事項」についてですが、「期間制限について、 どう考えるか」という非常に漠としたものをこれからの検討に投げるのはどうか。もう 少し状況を絞って書いたほうがいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。 ○長谷川委員   期間制限の撤廃ですか。 ○輪島委員   そうですね、使側は「期間制限撤廃」と書いてありますので、そういう観点だと思い ますが、期間制限についてどう考えるかというのは非常に漠としすぎているのではない か、その後受け止める方が大変なのではないかと思うのです。 ○長谷川委員   でも、ここはそういう意味ですよ。使側が期間制限の撤廃を言ったのに対して、労側 は、期間制限は維持すべきだと、そういう意味でしょう。 ○輪島委員   今後は右側の「更なる検討が必要な事項」というものが生きていく。そしてフォロー アップは「おお、そうかい」ということですよね。だから、右側がしっかり書いてある 必要があるのではないかという問題意識なのですが。 ○鎌田委員   いま輪島委員がおっしゃったように、期間制限についてどう考えるかというのも、か なり抽象的な問題提起の仕方なのですが、フォローアップの状況と検討事項というのは、 いわば意味的に関連して受け取っていいのですか。どういうことを言いたいかというと、 労働者派遣事業制度が臨時的・一時的な労働力の需給制度であるという側面を持ってい ることから、期間制限という問題も1つ出てくるわけです。だから、期間制限を撤廃す るという議論は、言ってみれば、根本的な考え方に踏み込まざるを得ないという問題に なってくるわけです。フォローアップの状況の文章があれば、確かに期間制限について どう考えるかという根本問題が提起されているという認識は当然出てくるわけだけれど、 例えば外部に出るとか、何か諮問するときというのは、「更なる検討課題」だけがポン と出てくると、その射程距離というのですか、弾着範囲といいますか、それが少し曖昧 である。そう考えていけば、期間制限についていじるということは、まさに柱にかかっ ていくという認識が出てくると思うのです。要するに何が聞きたいかというと、これを フォローアップの文章とセットで考えていいのかということです。 ○坂口課長   セットで考えていいかどうかということで端的にお答えすると、そういうことなので す。ただ、フォローアップの中心的な課題は、15年改正で変更のあった、派遣期間を1 年から3年に延ばすということだったのです。これまでのフォローアップの中でも、3 つ目の○であったり、ヒアリングの中でも労使からそれぞれ期間制限にそもそものご意 見もあったということで書かせていただいたのがフォローアップの中身ということにな ります。  実は、右側については抽象的に書いてあるのです。ここで言う派遣期間制限というの は、派遣期間の制限があることの意義がそもそも論につながる部分もあるのですが、一 方で派遣期間制限という法令上の規定があるにもかかわらず、それが守られていないと いう状況も含めて、どういうことを考えていくかという趣旨で、派遣期間制限について どう考えるかというフワッとした形で書いております。 ○鎌田委員   私も整理しないで問題を立ててしまったのですが、フォローアップのこちらの文章を 見ますと、期間制限の撤廃の問題と延長の問題と2つ出ています。そうすると、期間制 限についてどう考えるかというのは、延長の問題と撤廃の問題と2つあるということな のですね。 ○坂口課長   先ほど鎌田委員がおっしゃったように、1年、3年の延長の状況あるいはその意味合 いについてどう考えるかというときも、結果的には1年、3年の期間制限を置いている という意味合いそのものにも関わってくる、その両方を合わせてという意味です。 ○長谷川委員   しかし(2)のところを読むと、派遣期間について、事業主団体は期間制限の撤廃もしく は延長です。実態調査において、派遣労働者からは、期間制限についてはこのままでい いとなっています。期間制限について、事業者団体は撤廃もしくは延長、でも労働者は 現状維持。だから、結局この3つをフォローアップでは検討せざるを得ないのです。こ れ以降このフォローアップをどういうふうに扱うかなのですが、これまでのフォローア ップの状況について調査したり、ヒアリングしたり、部会でこうですねということを受 けて今後更なる検討をすることになる。だから、資料の「これまでのフォローアップ」 と「更なる検討が必要な事項」はセットで議論するのだと思うのです。そうでないと難 しいと思うのです。今後の扱い方をどうするかというところでは、そうすることが必要 なのではないかとは思います。  もう1つ、最後の「その他」ですが、総論を見ると、その他というと、普通は何か本 当にフォローするようなところなのですが、この「その他」はそもそも論の話なので、 結局フォローアップのこの内容がないと、「更なる検討事項」について議論するときに 難しいのではないかと思いました。これは扱い方のところで議論してもらえばいいので すが。 ○清家部会長   ここを一般的な形ではなくて、もっと限定した形にするとした場合、長谷川委員のご 意見では、派遣期間の延長、撤廃、維持について考えることになりますか。 ○長谷川委員   ええ、そうすると、みんな一緒に議論することになってしまうのですが。 ○輪島委員   しかし、厳密に言うと、そういうことですよね。 ○清家部会長   では、そこはそのように限定をつけるというか、左側との対応で加筆していただく。 ○鎌田委員   くどいようですが、1つだけ。先ほど輪島委員から、「その他」の所の問題、特に期 間撤廃の問題をどう位置づけるかということでご指摘がありましたが、これはフォロー アップというよりは、まさに派遣法をどうするかという問題なのです。派遣期間を1年 から3年に延長したとか、様々の利害の調整という側面から、1年か3年かということ でいろいろな意見があったと思うのですが、派遣期間を撤廃するかどうかというのとは 次元がちょっと違う。あるいは、先ほど輪島委員が、専門職派遣とテンポラリー派遣と 2つあって、これをどう整理しますかとおっしゃいましたが、これも全然次元が違う、 そういう認識を私は持っているのです。フォローアップでそういうことを検討しましょ うと言われたときに、では派遣法をどうしますかということが果たしてフォローアップ の求めに合っているのかなという感じはします。  これは別にお答えをいただかなくても結構なのですが、確かに期間制限の撤廃それ自 体、議論するテーマとしてはあり得ると思うのですが、その議論を始めた瞬間に、ある 意味では派遣法をどうするかというそもそも論です。たぶん、使側もそういう認識はあ るのではないでしょうか。そうではありませんか。 ○輪島委員   そういった認識の「そういった」というのはどういうことでしょうか。 ○鎌田委員   つまり、そもそも論だということ。 ○輪島委員   そうですね。なので「更なる検討が必要な事項」ということでこれまでフォローアッ プをしてきたものと、そうでないものとの切り分けは必要だと思います。ただ、フォロ ーアップのところで言えば、派遣期間については、期間制限の撤廃もしくは延長、そし て現状維持についてどう考えるのか、それがフォローアップ事項であることは間違いな いわけです。また、更なる検討が必要な事項であることも、厳然たる明らかなことだろ うと思います。さらに、それがイコール派遣法自体のフレームワークに及ぶということ は当然認識しております。 ○清家部会長   そうすると、その一部は派遣期間の中で少し具体的に議論すべきものでもあるし、一 部は基本問題みたいな所にまたがって議論すべき問題でもあるということでしょうか。   ○輪島委員   そうですね。そういうことで(9)が「その他」であるという位置づけが。派遣という働 き方の議論を2回も3回もしたわけですし、別途資料も作っているわけで、そこで言う と、派遣法本体の基本的な建付けの問題になるのだろう。特に、常用と一般というとこ ろと、専門と臨時的・一時的というところが今本当にグシャグシャしてしまっているわ けなので、その点の整理ということに応えないと。結局、これまでのフォローアップだ けでいいのかどうかということについて問題意識があるのです。 ○鎌田委員   次元が違う議論であるが更なる検討課題として提起した、という意味は理解したので すが、次元の違う、それこそ派遣期間撤廃という議論であれば、労働側としても、より 次元の高い問題意識で提起しなければいけないことはたくさんあったと思うのです。そ れがフォローアップの議論の中で触れられているとは思うのですが、十分その部分につ いて議論されたかというと、必ずしもそうではなかった。事前面接、雇入申込義務、あ るいは派遣元事業主と派遣先の講ずべき措置については細かく議論があったと思うので すが、いわば根本に関わることの十分な議論がここで行われ、問題が整理されていたの かどうかというと、私は必ずしもそうは思っていないのです。 ○長谷川委員   最初はこの部会も、3年前の改正のフォローアップで進んできたのです。ある意味で は事業者団体や使側から、派遣というもののそもそもに触れるような期間制限の話が出 てきました。だから、期間の延長あたりであれば、まだ議論になるのかもしれないけれ ど、撤廃という話が出てきた。そして、そのフォローアップの話をしているうちに、労 側が途中から、派遣という働き方が本当によい働き方なのか、不安定な働き方なのでは ないかというようなことを言い出してきたわけです。13頁の「その他」の2つ目の○に 「派遣という働き方がよい働き方なのか悪い働き方なのか」と、要するに良好な雇用な のかどうなのかということが書かれています。それから、派遣は非典型と言われている ではないか、登録と常用をどう考えるのか、26業務とそれ以外とをどう考えるのか等、 ある意味でそもそも論をここで大上段に言い出しているわけです。良好な雇用機会なの か、就業形態が多様な中でどう評価するのかというような大くくりのところで、派遣が 持つさまざまな問題をこういう言い方で労側は言ってきたのだと思います。  そうすると、(9)の「その他」は、輪島委員が言ったように「その他」では収まりきれ なくて、そもそも派遣というのはどういうことなのかという基本的な議論のところが必 要なのだと思います。そもそも論を言うことは必要だと思うのですが、「その他」にほ ぼそういうことが出ているのではないかと思っています。  今回はフォローアップの状況を議論していたのですが、実際はこういうそもそも論の ところに行き着いて、検討が必要な事項の中で「派遣という働き方」という大くくりの 問題が提起されたのだと思います。だから、これを受けた次の検討は、単に3年前のフ ォローアップをするだけではなくて、派遣法というものをそもそもどう捉えるのかとい う議論になっていくのではないかと、途中から思うようになりました。 ○清家部会長   1つは、いま長谷川委員も言われたように、「フォローアップ」は前回改正について フォローアップして、もし必要であれば、規制改革会議等との関係もあって何らかの改 正をする場合の基礎的な議論をするためにやっているということは基本だと思います。 もう1つ、いま出てきている、またこのフォローアップの間でも出てきてはいたわけで すが、派遣についてのそもそも論というのは、ある程度切り分けて。まずこのフォロー アップで我々も与えられた任務としてやらなければいけない話と、少し長期的にそもそ も論を議論しなければいけない話と、少し次元が違う部分もあるかと思いますので、そ の辺を含めて事務局でこのワーディング等を次回までに少し見直していただくというこ とでどうでしょうか。それでまた議論する。 ○輪島委員   整理は、おそらく部会長がおっしゃるとおりだと思います。ですから、これまでフォ ローアップしてきたものがこうで、それについてこれと検討事項がこうだと、それに溢 れているものがこういうことがあって、それについてはこういう検討事項が必要なので はないかという整理をすることが必要だと思います。その点でいうと、先ほどから申し 上げている(9)が「その他」という位置付けではないのではないかということです。 ○坂口課長   いま部会長からもご指示があり、各委員からもお話がありましたように、いろいろ事 項と、もう1つはまさしくそういう検討する事項を更なる検討が必要な事項という形で 書いていますが、どういう形で検討を進めていくかということにも関わってくるかと思 います。また部会長とも相談させていただいてそのような資料を作らせていただきたい と思います。 ○清家部会長   ほかにいかがでしょうか。 ○篠崎補佐   輪島委員から、11頁の「事業者が好事例を出しながら」ということで、派先なのか派 元なのかはっきりというような意見があったと思うのですが、部会の委員の発言として はどちらかをというものは念頭に明確にはなかったものですから、一応事業者がと書か せてはいただいています。ただ、確かに事業者だと派元、派先以外の事業者もいろいろ ありますので、場合によっては元・先とするのもあるのだろうとは思っています。 ○輪島委員   両方書くということですか。 ○篠崎補佐   元と先がそれぞれ努力する部分もありますので、場合によっては直接雇用は片方だけ ではできないものですので、それは双方あり得るのかなと。あるいは、この場で議論し ていただいてどちらかに偏って書いたほうがいいというのであれば、そちらに特定した ほうがいいのかなと思っています。 ○清家部会長   そこの事業者というのを、派先及び派元というような形に具体的に書くか、それとも どちらか派先とか派元とかにしてしまうか。 ○篠崎補佐   限定しないというのもそれですし、ただ事業者としては派遣事業は派遣元というのが 事業者ですので、そういった周知などをしようとすると、なかなか派遣先というのが難 しいのであれば、この中ではまず派元がメインでということであれば、そのように書く のもひとつだとは思っています。 ○清家部会長   「派遣元事業者が」ですね。 ○輪島委員   このご意見が難しいと思うのは、「派遣元事業者が好事例を出しながら、派遣先で直 接雇用することの普及」ということになると、自分の育てたマンパワーを派遣先が直接 雇用していくことを自分がやっていくということですよね。なので、何を目的とする意 見なのかということを整理しないと難しいかなと思うので、書くならきちんと書いたほ うがいいだろうと。派遣先が好事例を出すことはあまりない。 ○長谷川委員   好事例は事業団体で出すしかないのではないか。好事例って事業主が出せるものか。 そういう事例をむしろ積極的に出すのなら。   ○輪島委員   誰が言ったかにもよるんですよ。 ○長谷川委員   私も忘れてしまいました。事業者団体でない、事業主でした、ごめんなさい、何か自 分で言ったような気がします。 ○篠崎補佐   長谷川委員の発言を抜粋して読み上げますと「あるいはその人に対してもっと積極的 にそこの会社で雇うような、経営者の方から具体的にどうしたらよいのかという話があ ったように、なかなかそこのところは見えてこないと思う。だから、もう少し派遣で働 いていて雇入れするときの事例などが出てきて、経営者の方もそうだと、そのようにし て自分のところで雇っていくと、双方効果がある。事業者ももう少し事例を出しながら、 普及活動をすることが必要なのではないか」ということで、最後は事業者とおっしゃっ ていたのは事実です。 ○長谷川委員   好事例を出して、それをみんながもっと真似できるようにしたほうがいいのではない か、そういう意味で言ったと思うんですよね。 ○輪島委員   おそらくここも整理が必要で、紹介予定派遣やtemp to permanentになることの中間 的なものを派遣という仕組みでやるのかという整理が、派遣という働き方でそのまま継 続するのか、それが期間制限の延長になりますし、そうでなくてテンポラリーな働き方 なのかという派遣法そのものの整理に関わる話だと思います。私どもとしては、そのよ うな問題意識がある。そうであればどちらかに切り分けて書いたほうがいいのではない か。 ○清家部会長   その点はもう少し事務局で文書を整理していただいて、次回改めて議論するというこ とでよろしいですか。 ○長谷川委員   先ほどのところがわかりました。「そういう事例を知っているのは事業者なのだから、 事業者が好事例を出しながら、もっと積極的に派遣先で直接雇用するということをもっ と広めたらどうか」という意味で言ったのだと思うんですね。それを知っているのは事 業者しかわからないわけだから、要するにこれはいろいろな人からのヒアリングのとき に直接雇用がなかなか進まないというところで、もう少しそういうものについて好事例 を出しながら普及活動したらどうかという意味です。何かおかしかったら直してもらっ て構いません。 ○成宮委員   そのときの事業者というのは、派元も派先も両方とも。 ○長谷川委員   どちらもですね。ですから、派先でそのようなことをやっているという事例をたくさ ん持っていればそれを出せばいいですし、派元でもこのようにやっているというものが あれば双方で出して、うまくいってない所にうまくいってる事例を出したらどうですか と。そうすればもっとうまくいくのではないですかという意味です。 ○清家部会長   そこの好事例を出しながらというのは、先ほど長谷川委員がおっしゃったように業界 団体や、場合によっては行政などが出してもらって、情報を集積しながらという意味で すね。 ○長谷川委員   そうです。そういう情報を持っているのは事業者しか持ってないです、派先も派元も。 あとは誰も知らないわけだから、そういうものをたくさん出してそこを行政が取りまと めるかどうかは、それはやり方だと思います。そうでないと、みんなうまくいってない と言っているわけですから、そうするとうまくいっているという事例を出すことは必要 なのではないでしょうか。 ○成宮委員   そういう体制の議論でもないのかもしれないですね。 ○清家部会長   そこは少し長谷川委員の指導も受けながら、事務局で正確な趣旨の形に文書をまとめ ていただくということでよろしいですか。では、そのようにお願いします。ほかにはい かがでしょうか。 ○輪島委員   10頁の「講ずべき措置」のところですが、フォローアップについては2つ目の○のと ころで労災の上乗せ補償のことが書いてあって、右側では「均衡処遇についてどう考え るか」とある。いま非常にタッチなのですが、左のフォローアップがなければ労働条件 を含めた均衡処遇についての議論をすることになりますので、限定して書くのかどうい うものなのか。まず、フォローアップと更なる検討事項が対になってきちんと出ていく のかどうかということがあれば別にあまり心配はしないのですが、その点の確認をした いのです。 ○坂口課長   事務局としましては、更なる検討が必要な事項の1つ目の○の所は、いま平成15年 改正等で指針等に盛り込まれた事項の促進についてということなのです。フォローアッ プ事項の左側の実態調査でも、若干言葉としては均衡配慮措置ということで福利厚生の 所にも書いてあるように、指針に盛り込んだ取扱いについても均衡に配慮した措置とい うような形で、福利厚生や能力開発等についても規定がなされているので、そういった ことも含めて均衡的な処遇という問題について全般どう考えるかという趣旨です。言っ てみれば、2つ目の労災等の部分だけを指してということでもなく、全体的な現行で福 利厚生や教育訓練等も含めた均衡の処遇についてどう考えるかということを含めて、更 なる検討の事項として右側には書かせていただいたという趣旨です。 ○輪島委員   確認ですが、それはいわゆる一般的な均衡処遇全体について意味が含まれているとい うことですね。 ○坂口課長   そうです。 ○清家部会長   それも、かなり基本問題のほうに入ってくるかなとも思いますけど。 ○長谷川委員   すごく難しくなってきているのは、最初は前回の改正のフォローアップで議論してい たのですが、途中で「その他」のような話も出てきたわけです。これは、ある意味で改 正事項に対するフォローアップなのだろうと思います。それ以外に、もっとやらなけれ ばいけない課題はあるのですが、いままでは前回の改正に対するフォローアップで、本 当は派遣全体に関しては私どもも言いたいことは山ほどあったわけですが、比較的議事 運営に忠実にやってきたので、労側は3年前の改正についてどうなのかと限定して話し てきたのです。ですから、いま事務局から一般の労働条件処遇についての均衡処遇と言 われると、もう少し広がっているので、だとするともっと言わなければいけないことが あるなということも感じたのです。少しここは整理してほしいんです。いままでやって きたのは、あくまでも3年前の改正についてのフォローアップですねと。更にもし必要 なことがあってもっと追加するのであれば、それはそれで議論の場所をもう一度設定し てもらわないと、なかなか難しいのではないかと思います。 ○坂口課長   先ほどの私の言い方がちょっとまずかったのかもしれませんが、労働条件全般の均衡 処遇というところまで広げて話したつもりではなかったのです。申し上げたかったのは いまも長谷川委員がおっしゃったように、平成15年改正のフォローアップという意味で は、1つ目の項目にあるような福利厚生や教育訓練を中心とした事項が指針には書いて あって、その部分の均衡処遇についてどう考えるかです。2つ目の○の部会の委員から あったように、均衡処遇そのものを単純にいろいろな労働条件の部分を考えることもで きないのだけれども、労災の上乗せ補償のようにそこで働いている場所のようなもの特 有の均衡処遇のあり方のようなものは、若干福利厚生や教育訓練以外の項目でももう少 しありはしないかという意見もありましたので、その意味も含めてということで、右側 では裸で均衡処遇と書かせていただいています。いままでの議論の流れの中で、いわゆ る一般的な労働条件全般に含めた均衡処遇についてという意味で議論があったようには、 事務局としても認識はしていません。 ○鎌田委員   部会の委員というのは私なのですけれども、特に労災の上乗せ補償について均衡処遇 一般論との関連で申し上げたわけではないんですね。どういうことかといいますと、こ れは前回から私も申し上げていたのですが、製造業に派遣が解禁されることで最大の問 題は何かというと、安全衛生と労災なんですよね。そういう意味でフォローアップなん です。だから、製造業において派遣労働者が通常の労働者よりも労災被災率が高い、あ るいは高いかどうかという実態があるかどうかを含めて、もしそのような派遣労働者が 被災をした場合に較差があるということになれば、これは製造業に派遣労働を解禁する ことによって大きな問題になるのではないかという認識があります。その点について、 とりわけ上乗せ補償を均衡処遇の一環として考えたらどうか。必ずしも派遣と派遣先従 業員の均衡処遇一般について、どうするかという問題提起ではなかったつもりです。そ ういう意味では、更なる検討が必要というところでこのように一般的に書かれると、ち ょっと違うかなという感じもします。いま言った私の問題意識からいうと、まさに製造 業で派遣が解禁されるということと、安全衛生と労災という問題をどう適正化を図って いくか、法的に何かできることはないのかという観点から申し上げたわけです。この点 について、フォローアップの範囲から外れるかというのは議論していただければ、私自 身はそもそも論のような労働条件の均衡処遇のところに移すことについては特に異論は ありません。ただ問題意識は、先ほど言ったようにそもそも論から出てきているという わけではなくて、前回の議論のつながりから言っていることなのです。   ○長谷川委員   私は、この問題はそのように受け止めていました。 ○清家部会長   物の製造に関連してということであれば、まさに前回改正のフォローアップに関わる ところですからね。 ○鎌田委員   そのような認識なのです。 ○清家部会長   そうすると、やはり右側の更なる検討が必要な事項のところを少し書き直していただ いて、このような一般的なものではなくていま鎌田委員が言われたような趣旨が少し伝 わるような形の表現ぶりにしていただくということで、いかがでしょうか。輪島委員、 それでよろしいでしょうか。 ○輪島委員   左側に労災の上乗せ補償が書いてあるのに、右側で均衡処遇だけが書いてあるという ので、バランスの問題なのでそのことがわかればいいと思います。 ○清家部会長   はい、わかりました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。そうしましたら、 事務局には本日の議論を踏まえて資料の修正をしていただき、それに基づいて次回も議 論をしたいと思います。また、何かお気づきの点がありましたら事務局にお知らせいた だくというような形で、フォローアップ事項と基本事項の仕分け等の問題も本日少し出 てきていますので、文章あるいは仕分けの修正をしていただきたいと思います。それか ら、今後の議論の進め方については、次回の部会で議論をしたいと思います。あらかじ め私のほうから議論の進め方について事務局と少し相談をさせていただきたいと思いま すので、その点ご了承いただけますでしょうか。では、そのようにさせていただきたい と思います。  次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思います。冒頭に申し上げまし たように、ここで傍聴されていらっしゃる方についてはご退席をお願いします。また、 鳥生職業安定局次長においても、所用によりここで退席されます。 (傍聴者・次長退席)  ○清家部会長  事務局より何かありますか。 ○篠崎補佐   次回の部会ですが、12月25日(月)、17時〜19時30分、安定局第1会議室で予定をし ていますので、よろしくお願いします。 ○清家部会長   では、次回の部会は12月25日5時から7時半まで開催させていただきますので、日 程の確保等よろしくお願いします。それでは、以上をもちまして第92回労働力需給制 度部会を終了します。本日の署名委員は、雇用主代表成宮委員、労働者代表長谷川委員 にお願いします。では、委員の皆様、どうもありがとうございました。     照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)