06/11/24 平成１８年度労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会 第２７回議事録


第２７回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会


１　日  時　平成１８年１１月２４日（金）　１０：００～１２：００

２　場  所　厚生労働省職業安定局第１会議室（１３階）

３　出席者　委  員
　（公益代表）
  　諏訪部会長、大橋委員、椎谷委員、白木委員、宮本委員
　（労働者代表）
　　成瀬委員、野村委員、長谷川委員、原委員、山川委員
  （使用者代表）
　　成宮委員、樋渡委員、郷農委員代理
　（事務局）  
　　髙橋職業安定局長、鳥生職業安定局次長、岡崎高齢・障害者雇用対策部
　　長、生田総務課長、楪葉雇用政策課長、尾形外国人雇用対策課長、菅野
　　地域雇用対策室長、阿部若年者雇用対策室長

４　議  題
（１）　人口減少下における雇用労働政策の課題

５　議事内容

○諏訪部会長　皆様、おはようございます。定刻となりましたので、第27回
雇用対策基本問題部会を開催させていただきます。

（出欠状況報告）

　議事に入ります。本日の議題は、前回に引き続き「人口減少下における雇
用対策の検討について」です。初めに、事務局から資料の説明をしていただ
き、その後論点ごとに区切って議論を進めたいと思っております。先日職業
安定分科会が開催され、部会での議論を報告し、分科会においても意見等が
出されましたので、これについても併せて事務局から説明をお願いします。

○生田総務課長　まず、先日開催された分科会でどういう議論が出されたか
についてご報告し、本日配付されている資料で報告書のたたき台のご報告を
します。

　先日の分科会での議論ですが、若年者関係、外国人関係、地域雇用対策関
係についてご意見がありました。若年者関係ですが、委員からのご意見とし
て、若年者を採用すること自体を企業の努力義務とする法律にはならないよ
うにすべきである、中小企業の負担にならないような指針の書きぶりをすべ
きである、というご意見がありました。これに対して、事務局からは、指針
案については経済団体に副大臣がお願いした内容、経済団体からのご提言を
整理したものをたたき台として整理していることをお答えし、法成立後に指
針の内容を検討することになりますが、審議会のご意見を伺いながら作成し
たい旨を回答しております。

　外国人の関係については、委員からのご意見として４つありました。１つ
は、自治体等ですでに外国人の個人情報を把握しているし、それを活用すれ
ば足りるのではないか。これは雇用状況報告に関するご意見です。２番目に、
不法就労防止については法務省の所管業務ではないか。３つ目に、採用時に
国籍を聞くことはトラブルの元になるのではないか。４つ目に、関係省庁の
間で外国人の情報管理の在り方について整理がなされていないのではないか
というご意見がありました。これに加えて、報告しなかった場合には罰則を
課すということであるが、採用時に徹底した身元調査が必要となって、雇用
関係がギクシャクするのではないかというご意見がありました。

　これらについて、事務局からの回答を以下のようにしております。１つは、
自治体ですでに外国人の個人情報が把握できているのではないかというご意
見についてですが、現在自治体でも把握できていない実態があり、把握でき
ていない情報を把握したいということから、今回雇用状況報告の拡充となっ
ているとお答えしております。

　２点目は、不法就労防止は法務省の所管ではないかというご意見に対して
ですが、在留管理自体は法務省の仕事であるが、厚生労働省としては、労働
市場政策を所管する立場から不法就労防止は非常に重要な対策であり、その
観点からも把握する必要があるとお答えをしております。

　３点目は、国籍を聞くことに伴うトラブルについてですが、入管法の中に
すでに不法就労助長罪があり、それとの関係で在留資格の確認が現在でも義
務になっております。それを前提に報告していただくということで、現在事
業主の方も外国人を雇い入れる際に一定の確認をすることが前提になってい
るのではないかということです。

　４点目は、関係省庁間との調整です。これについては、犯罪対策閣僚会議
に関連するものとして、在留管理ワーキンググループという在留管理につい
て検討する場があって、そこで現在ご検討いただいている制度で情報を把握
し、それを法務省に集められるのならば個別企業に照会がいかなくなるなど、
企業にもいいことがあると、内閣官房のほうで取りまとめる方向であるとお
答えしております。

　外国人本人から情報を把握する方法については、入管法と外国人登録法の
二元管理を一元化するという議論がありますが、所属先から取ることについ
ては別個の議論であるというお答えをしております。

　地域雇用対策の関係です。委員から、雇用創出の支援制度について雇用保
険三事業で行うという提案であるが、雇用保険三事業は全額事業主負担であ
って、努力している企業が納付した保険料を地域に向けるのはいかがか、一
般会計から出すべきではないか、というご意見がありました。これに関連し
て、雇用保険料は企業の福利厚生費から出ているが、企業の福利厚生費の負
担が大きいので、その観点からも一般会計から出すべきではないかとのご意
見です。

　これに対して、事務局からは次のように回答しております。１つは、地域
の経済団体からも地域雇用対策については一定のメリットがあって、継続拡
大の要望を受けているということがあります。地域で事業を拡大展開する企
業、特に中小企業を支援するものであって、企業にメリットが発生すること
があると考えているとお答えしております。雇用保険三事業については、事
業主の連帯として保険制度でやっているもので、雇用情勢はいつどの地域が
悪くなるかわからないので、地域間で助け合うということで保険制度として
成り立っており、保険が適当ではないかとお答えしております。雇用保険三
事業は、使用者が参画している雇用保険三事業懇談会において見直し、復元
を図り、地域雇用対策は平成18年度に187億円だったものを平成19年度は
116億円に落とし、精査して盛り込んでいるとお答えしています。今後ともＰ
ＤＣＡサイクルで評価するなどして、無駄のない運用をしていこうとしてお
り、ご理解をいただきたいと申し上げております。事業主の負担については、
雇用保険部会で三事業の保険料率も含めてカットすることを議論していると
聞いている旨お答えしております。
　
　先ほどの委員からのご意見に対して、ほかの委員からのご意見があります。
雇用保険三事業の保険料を地方の対策に回すのは不適当ではないかとのご意
見に対し、事業主の連帯、社会的連帯等の連帯が我が国のいいところであっ
て、そういうことを重視した対応を取るべきだというご意見がありました。
分科会での議論については以上です。

　本日お配りした資料ですが、「人口減少下における雇用対策について（部
会報告たたき台）」という資料です。これについては、いままで基本問題部
会で資料をお配りし、議論いただいた、その資料を要約したものになってお
り、特段の変更は加わっていません。読み上げますと、「最近の雇用失業情
勢を見ると、全般的には改善が進んでいるものの、特に今後の我が国経済社
会を支える若年層における高い失業率、雇用情勢の地域格差の拡大等の問題
が見られる。また、平成17年（2005年）から人口が減少に転じるとともに、
平成19年（2007年）以降、団塊の世代が短期間に職業生活からの引退過程に
入るなど、我が国の経済社会が大きな転換点を迎え、産業・企業活動、社会
保障制度、地域社会等のあらゆる分野に影響を与えることが見込まれる。こ
のため、今後とも我が国の経済社会の安定等を図る観点から、人口減少下に
おける経済社会の変化に的確に対応した雇用政策を講じていく必要がある」。
このように冒頭で整理しております。

　その上で、大きく４つの部分に分けております。１つ目は、１．今後の雇
用対策の基本的方向です。これについては、雇用対策法の中で法律の目的の
部分と、雇用対策法の４条で施策として国がやるべきことを列挙しておりま
すが、いわゆるインデックスとしての施策列挙の部分を整理しています。「人
口減少下においては、働く希望を持つすべての若者、女性、高齢者、障害者
等が就業しやすい環境を整備し、全員参加型の社会をつくることが重要であ
る。このことは、働く意欲はあるが困難な状況に直面している人、及び新た
なチャレンジを目指す若者、女性、高齢者、障害者等の再チャレンジの支援
にも資するものである。このため、雇用対策に係る基本法である雇用対策法
において、働く希望を持つすべての人の就業促進を法目的に追加するほか」
と、法律の目的について全員参加型の社会を実現するために、働く希望を持
つ人の就業参加を掲げるということを書いております。その上で、若者、女
性、高齢者、障害者等の就業促進対策や地域雇用対策の拡充等を国の重要な
施策として位置づけることが適当であるということで、これを雇用対策法第
４条のインデックスとして盛り込むということです。

　２つ目として、若者の雇用対策の関係です。これについては、（１）で基
本的な考え方を整理しております。若者は将来の我が国の経済社会を担う者
であり、フリーター等の状況が継続する場合には若者本人の職業能力の蓄積
がなされず、中長期的にも競争力や生産性の低下など産業経済基盤に影響を
与えるとともに、社会保障システムの脆弱化、少子化の進展等の社会問題を
惹起しかねない。このことからも、フリーター等の若者の雇用問題の解決は
喫緊の課題である。このために、国としても、「若者の自立・挑戦のための
アクションプラン」等に基づき、関係省庁連携の下、ハローワークやジョブ
カフェ等におけるきめ細かな就職支援や、日本版デュアルシステム等実践的
な能力開発等を行う「フリーター25万人常用雇用化プラン」等を推進してい
るが、年齢が高くなるにつれ正社員としての応募機会が少なくなる傾向が見
られるなど、いわゆる年長フリーター（25歳以上のフリーター）をはじめ、
若者の安定した雇用を促進するためには、国における取組に加え雇用機会の
確保等を図る観点から企業における募集・採用の在り方についても見直し等
を進めることが重要である。また、こうした取組は、労働力人口の減少が見
込まれる中で、企業における人材確保や職場定着の観点からも有益である、
ということで、今回の若者対策の前提となる基本的な考え方を整理しており
ます。

　その上で、（２）で具体的にどういう措置をとっていくかについて整理し
ております。表題に「若者の能力、経験の正当な評価及び雇用機会の確保等
に係る事業主の努力義務及び指針」とありますが、（１）のような基本的な
考え方を踏まえ、現行法における、再就職の援助、募集・採用時の年齢制限
の緩和についての事業主の努力義務に、つまり現在ある雇用対策法の努力義
務にこれから申し上げることを加えるということです。若者の能力を正当に
評価するための募集方法の改善、実践的な教育訓練の実施その他の雇用管理
の改善を図ることにより、雇用機会の確保を図ることを加えたいということ
です。これを具体化するために、国は事業主が適切に対処するために必要な
指針（大臣告示）を策定することとするのが適当であるということです。

　当該指針については、法改正後に改めて検討されるべきであるが、次のよ
うな事項を盛り込むことが考えられる。６つありまして、これらはすべて厚
生労働副大臣が事業主団体にお邪魔してお願いした事項と経営者団体等から
の提言の内容を項目として挙げたものです。最初が、採用基準や職場で求め
られる能力・資質の明確化、２つ目が求人の応募可能年齢の引上げ、応募資
格の既卒者への開放、３つ目が通年採用の導入、４つ目が人物本位による採
用。これは能力、経験の正当な評価と同じ意味です。５つ目がトライアル雇
用や実習併用職業訓練の活用等有期雇用から正社員への登用制度の導入、６
つ目が職業能力開発の推進です。

　この指針の周知等今後の施策の推進に関して以下のような意見があり、基
本問題部会で出た意見について紹介しております。１つは、中小企業におい
ては採用に係る時間も大きく、また採用人数も少ないことなどから通年採用
が普及していないなどの状況にあり、これらの企業における採用実務を十分
に踏まえた施策の推進が重要であるとのご意見がありました。若者の能力評
価を行う際には、その将来性も含め判断することが望ましいというご意見が
ありました。一部の正社員について、労働時間が長い等働き方が魅力的でな
いことや、定型的な業務にしか従事できないこと等が、若年者の早期離職や
職業能力の蓄積の阻害要因となっている場合があるといったご意見がありま
した。

　３つ目は、地域雇用対策の関係です。（１）で基本的な考え方を整理して
おります。全国的には雇用情勢が改善する一方で、依然として厳しい雇用情
勢が続いている地域が存在するなど地域差が生じている中で、地域雇用対策
について、雇用情勢が特に厳しい地域と雇用創造に向けた市町村等の意欲が
高い地域に支援を重点化するため、地域雇用開発促進法を改正することが適
当である、と整理しております。具体的には、現在４つある同法の地域類型
（雇用機会増大促進地域、求職活動援助地域、能力開発就職促進地域及び高
度技能活用雇用安定地域）を２つの地域に再編するということで、(1)雇用情
勢が特に厳しい地域（雇用開発促進地域）と、(2)雇用創造に向けた市町村等
の意欲が高い地域（雇用創造推進地域）の２類型に再編するとともに、これ
らの地域における事業主への助成や市町村等の創意を活かした委託事業等を
行うことが適当である、と整理しております。その上で、（２）で雇用開発
促進地域の要件、（３）で雇用創造推進地域の要件を整理しております。

　（２）ですが、雇用開発促進地域については、地域内に求職者の割合が高
く、求職者の総数に比べて著しく雇用機会が不足しているため、求職者の地
域内における就職が著しく困難な状況にあること、またその状態が相当期間
にわたり継続することが見込まれることを要件とすることが適当である。な
お、区域は労働市場圏を形成するハローワークの管轄区域を基本とすること
が適当である、と整理しております。

　（３）ですが、雇用創造推進地域については、地域内に居住する求職者の
総数に比べて相当程度に雇用機会が不足しているため、求職者の地域内にお
ける就職が困難な状況にあり、またその状態が相当期間にわたり継続するこ
とが見込まれること、さらに地域において重点的に雇用機会の創出を図る事
業分野を設定し、これに係る施策を実施しているか、または実施することが
明確であることを要件とすることが適当である。なお、この区域は複数の市
町村の区域を含むとすることが適当である、と整理しております。この２つ
の地域について、（４）計画の同意ということで、国の雇用開発促進地域及
び雇用創造推進地域における地域雇用開発の促進に係る指針を策定し、同指
針に基づき、都道府県は地域雇用開発計画、市町村は地域雇用創造計画を作
成して、厚生労働大臣に協議し、その同意を求めることとすることが適当で
ある、と整理しております。（２）の地域の計画は都道府県知事、（３）の
地域の計画は市町村長がつくるという考え方です。

　（５）が支援措置で、それぞれの地域ごとの支援措置を整理しております。
アが雇用開発促進地域の支援措置です。(1)事業所の設置・整備と雇入れへの
助成ということで、事業所の設置・整備を行い、地域求職者を雇う事業主に
対し設置等費用及び雇入れ規模に応じた助成をするということです。(2)中核
人材の受入れへの助成ということで、中核人材（新事業の展開、拡大等で非
常に大きな役割を担う高度技能労働者、管理職等）を受け入れ、併せて地域
求職者を雇い入れる事業主に対して助成をするものです。(3)能力開発への助
成として、地域求職者を雇い入れた事業主が職業訓練を受けさせる場合に対
する助成です。

　イとして、雇用創造推進地域の支援策です。これについては、市町村、経
済団体等から構成される協議会から提案された事業（能力開発就職促進等）
の中から、コンテスト方式により雇用創造効果が高いものを選抜し、当該協
議会等に委託するほか、厚生労働大臣の同意を得た地域雇用創造計画に基づ
き市町村等が無料の職業紹介事業を行う場合等において、手続の簡素化を図
る特例措置を設けることが適当である、という整理です。

　（６）は、地域雇用開発促進法ではなくて、雇用対策法の改正に係る部分
です。雇用対策法において、雇用対策基本計画を終了させた上で、次のよう
に対応することが適当であるということです。(1)地域の実情に合わせ、かつ
機動的に雇用施策を実施するため、都道府県労働局長が、毎年度、都道府県
知事の意見を聞いて、雇用施策の実施に関する方針、地方方針を策定するこ
ととする。また、地方方針の実施について、都道府県知事は都道府県労働局
長に対し必要な要請を行うことができることとする、と整理しております。
(2)にありますように、地方方針を策定するときの参考になるように、厚生労
働大臣は、地方方針の策定に資するため、毎年度、雇用施策の実施に関する
全国指針を策定することとする、という整理です。

　大きな４つ目は、外国人労働者の適正な雇用管理の推進です。（１）で基
本的な考え方を整理しております。外国人労働者については、単純労働者は
今後も受入れを認めないとの基本方針は堅持しつつ、専門的・技術的分野の
労働者、技能実習生、日系人等国内労働市場において影響を無視できない存
在となりつつあることから、その適正な雇用管理を推進等することが必要と
考えられる、と整理しております。このため、雇用対策における事業主の努
力義務に外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職の促進を加えるととも
に、外国人雇用状況報告制度の義務化について規定することが適当である。
外国人雇用状況報告で把握した事項については、入管行政との連携強化等も
視野に、関係省庁でも活用することとする。これにより、事業主に報告義務
が重複して課されることのないようにすべきである。その際、個人情報の取
扱いに十分留意すべきである、と整理しております。これは、政府部内の在
留管理のワーキングチームでの議論の最新の動向を踏まえた整理です。

　（２）外国人雇用状況報告の義務化ですが、労働市場に悪影響を及ぼす不
法就労の防止や、外国人労働者の雇用管理の改善、再就職の促進等を図るた
め、次のとおり、外国人労働者を雇用する事業主が、特別永住者（在日韓国
・朝鮮人）を除く外国人労働者の雇用状況を公共職業安定所に報告する制度
を設けることが適当である。報告は、事業主に過大な負担とならないよう雇
用保険被保険者資格取得届・喪失届提出時に併せて行うこととするなど、手
続き面で配慮すべきであると整理しております。これは、取得届・喪失届提
出時に併せて行う以外にもさまざまな手続き面での配慮があり得るというこ
とです。報告内容は、外国人労働者の国籍及び在留資格、在留期限を基本と
し、「得喪届」を出していただく場合はこれだけを出していただき、「得喪
届」を提出しない外国人労働者については、このほかに氏名、生年月日、性
別といった必要最小限のものについて報告していただくという考え方です。
また、電子申請にも対応することが適当であると整理しております。報告を
しない場合及び虚偽報告した場合は、罰金を科すことが適当である。罰金の
金額は最終的に法務省と調整して決めるということで、現段階では特に記載
しないという整理にしております。

　（３）外国人労働者に係る指針です。これは、外国人の雇用管理改善ある
いは再就職の支援のための努力義務を具体化するものとしての指針ですが、
これについては現在職業安定局長、労働基準局長、職業能力開発局長の３局
長通達に書かれている「外国人労働者の雇用労働条件に関する指針」に規定
されている事項のうち、雇用管理改善及び再就職を促進するものについて法
的根拠を持つ指針です。これは、先ほどの努力義務を根拠にして、大臣指針
を作る根拠規定を作る、現在の雇用対策法12条を想定しておりますが、そう
いった法的根拠を持つ指針（大臣告示）に位置づけることが適当であるとい
うことです。

　なお、この指針には外国人雇用状況報告を行うべき場合、外国人労働者で
あることの確認の程度等について事業主がどの程度確認すればいいか、どう
いうことを確認すればいいかがわかりにくいとのご指摘がありましたので、
この指針の中でそういった方法について書くと、それさえやっていれば免責
されるという意味合ですが、そういったものを明確にわかりやすく盛り込む
べきであると整理しております。

　このたたき台は現段階で整理したもので、今後当基本問題部会でさまざま
なご議論をいただくことになっておりますし、今後とも委員の皆様と調整す
るという考え方です。あくまでたたき台という整理です。私からは以上です。

○諏訪部会長　ありがとうございました。では、議論に入ります。ただいま
説明のあった部会報告たたき台のうち、最初の前文部分と１「今後の雇用対
策の基本的方向」の部分が導入部分に当たりますので、この部分に関してご
意見、ご質問をお受けします。

○成瀬委員　８月に職業安定分科会で検討依頼されてから、９月以降４回こ
の部会でいろいろ審議、議論をしてきたところですが、今般雇用対策法の改
正を視野に入れて議論するということで、雇用対策法に位置づける雇用政策
上の国の重要施策をインデックスとして体系化することについては、相当議
論を積み重ねてきたと思うのです。しかし、これはたたき台だからというの
もあるのですが、２番以降に比べると、１「今後の雇用対策の基本的方向」
で書かれている内容が、あまりにもバランスをなくすぐらいに軽いのではな
いかと思うのです。少なくとも、これだとインデックスとして体系化する意
図があまり伝わらないという感覚を私は受けるのです。

　私からは女性の問題等について何回か発言しましたし、ほかの委員の方か
らもいろいろな分野についていろいろな発言があったかと思いますが、もち
ろんここに書くのは公労使の一致する範囲の内容や表現であることは前提に
しつつも、この内容だとあまりにも少ないと思っておりますので、是非改善
をお願いしたいと思います。

○諏訪部会長　ご意見を少しまとめてお出しいただいたあとで、事務局から
まとめてコメントをいただきたいと思います。

○森（郷農委員）代理　成瀬委員がおっしゃったように、インデックスとし
ての体系化という意味で非常にバランスが悪いというのは、まさしくそのと
おりだと思っております。私はどちらかというと逆で、なぜここまでインデ
ックスとして書く必要があるのかという所までがコテコテで中に入っていた
りするので、成瀬委員としては相当議論してきたはずだとおっしゃいますが、
私どもとしてはまだまだ議論を尽くすべきだと思っております。特に雇用管
理の問題ややるべきことについての書きぶりが非常にバランスが悪いことも
ありますし、今回欠席ですが荻野委員等々も問題点を指摘しているところで
すので、この内容で出していくには少し議論が少ないのではないかと思いま
す。

○諏訪部会長　いまお二方からご意見がありましたので、事務局からお願い
します。

○生田総務課長　このことにつきましては、雇用対策法の改正で４条に具体
的なインデックスを盛り込んでいくことになります。その中では、当然内閣
法制局の審査等によって表現内容について整理が必要な部分もあり、いまの
段階でこの報告書の中に具体的な盛り込み方について書くのはなかなか難し
いのではないかということもあって、今回ここでは省略しております。この
基本問題部会で法案要綱についてご議論いただくことになると思いますが、
その中ではインデックスで何を盛り込むかをはっきり書かなければいけない
ということです。

　最終的に法案要綱に盛り込む際の整理としては、以前この基本問題部会で
お配りした資料に書かれていることを中心に盛り込む考え方でおります。そ
の中で委員の方々からいろいろなご意見がありましたので、それを踏まえて
若干修正する部分も出てくると思いますが、それはその段階でまたご議論い
ただけばいいのではないかと考えております。ここでは、インデックスを改
正する。改正する内容については、ここにははっきり書いてありませんが、
以前お配りした資料の線が基本になる。具体的な議論は法案要綱の段階でお
願いしたいということで、このような整理にしております。

○原委員　これまで出された資料は資料として、最後はこれだけですね。検
討依頼で（１）～（４）まであって、結局（１）～（３）までを部会報告と
して、（４）については出さないということなのですか。若者、地域、外国
人が（１）～（３）で、（４）については私も成瀬委員も発言しましたが、
女性の問題と非正規労働者の正社員化がその他で検討依頼の項目に入ってい
るわけです。（１）～（３）についてはポンポンと３つ入っているのですが、
（４）はこの部会のまとめではしないということなのですか。

○生田総務課長　これにつきましては、今日お配りした資料１の若者、女性、
高齢者、障害者等ということで、まず目的で、全員参加型の社会を実現する
ということで、こういった方を想定した全員参加型の社会をつくることを目
的の中に盛り込むと書いてあります。雇用対策法４条でインデックスとして
盛り込む情報についても、下から２行目に「若者、女性、高齢者、障害者等
の就業促進対策や地域雇用対策の拡充等を国の重要な施策として位置づける
ことが適当である」と、インデックスとしてきちんと書くこということにつ
いては書かれております。あとは書きぶりの問題で、それは先ほど申し上げ
た技術的な制約もあるので、きちんとした形で皆様にお示しして議論いただ
いたほうがいいのではないかという考え方です。

○長谷川委員　審議会を１回経験した方は、部会でずっとたたき台の検討を
してきて、その部会の報告のあとに法案要綱が出てくるわけですが、なかな
かイメージがつかないのだと思うのです。だから、１の基本方向ですが、こ
れが法案要綱になれば、議論したことが縦書きの文書になってくるから皆さ
ん議論できるのだと思うのですが、ここでは項目が出されているけれど、実
際はこの部会で議論をしてきたのではないかと、なぜそこがないのかという
ことだと思います。この部会は、12月で報告が終わって、それを出して、分
科会に報告して、分科会のあと法案要綱になりますね。おそらく、そこがみ
んなが見えないと、いまの議論になるのではないかと思います。審議会の委
員の皆さんは、初めてやる方はそこがつかめないので、１について法案要綱
で議論することを、いま生田総務課長が言っているのですが、そこの説明を
もう少ししていただくといいのではないかと思います。要するに、法案要綱
の議論があるということが理解できないかもしれないと思うのです。

○生田総務課長　この基本問題部会でご議論いただいて部会報告をまとめて
いただくわけですが、法案要綱は部会報告の線に従って私どもとして作成す
ることになります。法案要綱の中身について先ほどから議論していただいて
いますが、若者や地域、外国人についてはこの報告の中に割と具体的に書い
てありますので、こういった内容が法案の中に出てくるということです。

　１の部分は、第１条の法律の目的と第４条のインデックスとして国の施策
を盛り込む部分です。これはここで項目として掲げていますが、具体的に内
容が見えないということでご心配になると思いますが、以前基本問題部会で
ご議論いただいた基本的な項目を見ながら、法案としてどういう表現ぶりが
あるのかを考えながら要項を作って、もう一度基本問題部会におかけして、
ご議論いただいて、必要な修正をする形になります。その段階で十分ご議論
いただけると私どもは思っているのです。

　仮にものすごく強いご希望があるとすれば、１の所に以前この基本問題部
会でご議論いただいて私どもも想定している項目を列挙することはできます
が、要綱の段階で正確な表現になったあと議論いただいたほうがいいのでは
ないかというのが、私どものいまの考え方です。いずれがいいかは選択肢の
問題なのですが、技術的に書けないわけではないと思っています。

○樋渡委員　最初のころの議論の中に、幅広く議論をしていこうということ
があって、その際に個別法に関連することはそちらで整理をしようという話
があったと思うのです。それが、たぶんこの段階でははっきりしないので、
なかなか先が見えないということではないかと思うのです。その辺りをはっ
きりさせていただいたほうがいいのではないかと思います。

○諏訪部会長　この点は、先ほどから何人かの委員の方からご意見が出てい
ますので、ほかの委員からもご意見がありましたらいただきたいと思います。

○椎谷委員　皆さんから質問が出ているのは、この前文と１だけ見ていると
かなり幅広いですね。体系的なものはあとに出てくるのかと思うと、３つし
か出てこない。そのつなぎの部分が悪いのではないでしょうか。一方では雇
用対策法が頭にあるけれど、もう１つは雇用対策全般の話があって、その中
でどれが雇用対策法になるのかがあまりはっきりしない。だから、このつな
ぎ方なのではないですか。例えば、１の最後で、その中で特に今回はこうい
うことが大事だとか、こういう対策を意識すればそこが大事だという話が、
イメージとしてあるのではないですか。そうでないから、あれだけ議論した
のに３つしか入っていないのか、ということになるような気がします。

○成瀬委員　少なくとも、基本的方向には検討依頼にあった「非正規」とい
うキーワードは入れていただきたい。もちろん、書きぶりは使側委員もオー
ケーと言える範囲でということになるのでしょうが、そういうキーワードは
入れていただきたいし、今日は前回までの資料を持ってこなかったので分か
らないのですが、雇用の不安定な労働者に対する雇用管理の改善・充実につ
いても盛り込んでいただきたいと思うのです。

　それはそれとして要望を申し上げておきますが、報告書の構成として、例
えばこうだったら違和感が減ると思うのです。人口減少下における当面の雇
用対策についてとか、そういう題名にした上で、１に基本的方向があって、
２に当面の対策があって、いまの若者、地域雇用、外国人は２の当面の対策
の下に、１段階レベルを下げる構成にすると、私としては違和感はかなり減
るのです。それも含めてご検討をお願いしたいと思います。

○原委員　10月24日の第25回部会の資料１で、新たに国の講ずべき措置と
して規定することが考えられる事項ということで、（議論のたたき台）とし
て(1)～(9)まであったのですが、これと今回の人口減少下における雇用対策に
ついて部会報告たたき台ということです。私たちはこれで議論をして、これ
がまとまっていくのかと、(1)～(9)を認識していたのです。いま長谷川委員が
いろいろ注釈されましたが、そこから取捨選択して３つだけになるのですか。
その辺りはどのように理解すればいいのですか。

○生田総務課長　最初に24日に提出した資料１の関係ですが、ここでインデ
ックスとして(1)～(9)の事項を掲げていますが、これは当然この中に盛り込む
という考え方です。ですから、これをベースに考えるというのが私どものい
まの考え方ですので、それを最初に申し上げておきます。

　今日お示ししたたたき台の整理のしかたですが、先ほどから、あくまでイ
ンデックスなので、個別法で手当しないと実際国民の権利義務に影響を及ぼ
すことはないのだとご説明しておりますが、そういった内容が欠けているの
ではないかというご指摘や、そもそもいまインデックスとしての９項目の議
論がありましたが、こういったものを具体的に列挙しないとわかりにくいの
ではないかとのご意見もありましたので、いまのご意見を踏まえて修正し、
委員の皆様に個別にご相談して取りまとめに向けて努力したいと考えており
ます。技術的に書くことは不可能ではありませんが、私どもの真意は、あく
まで法制局等の審査を経て正確な表現にした上でご議論いただいたほうが、
より時間を節約できて効率的ではないかと思っただけのことで、他意はあり
ませんので、きちんと整理してもう一度相談させていただきます。

○諏訪部会長　それでは、そのようなことで、今日のご意見等を踏まえつつ
少し見直して、皆様のご意見等を聴取しつつたたき台の最終案に進めていく
ということでよろしいですか。
　それでは、２以下に進みます。「若者の雇用機会の確保等の推進」につい
てご意見、ご質問等ありますか。

○原委員　２頁の３行目に、「募集・採用の在り方についても見直し等を進
めることが重要である」と文章が書かれております。この次に出るたたき台
に期待もしているのですが、厚生労働省のスタンスは従来からお伺いしてい
るように正社員重視であることは十分理解しているのですが、どこまで盛り
込むかは別として、厚生労働省の将来に向けた方針の発信ということで、正
社員としての採用を中心とする、非正規で入っても、こうすれば正社員に登
用されるという登用制度を確立するといったことも必要ではないか。この２
点の方針を発信するということがこの文言に入らないかという希望がありま
す。

　この頁の真ん中辺りに意見が羅列されていますが、最後にどういうまとめ
をするかは分かりませんが、もし本文に入らないのならば、そういう強い意
見があったことはせめて紹介してもらう必要があるのではないかと考えま
す。

○樋渡委員　若年者の問題なのですが、経済団体としても若年者に対しての
国の施策等、協力すべきところは協力すべきだという考えでおります。それ
を前提にして、これまで企業が自主的に取り組んでいることを否定する内容
にはしていただきたくないというのが基本的な考え方です。本文の２行目に、
若者の能力を正当に評価するための募集方法の改善とあります。企業として
は常にきちんと能力を評価して募集していると認識しているのですが、この
改善という言いぶりが理解できないというのが１つです。

　それと、能力を正当に評価することが指針の項目の中に入ってきているの
で、そういうことも含めて募集方法を考えてくれという意味なのかなと思う
のですが、その辺りを確認したいのが１つです。それに関連して、この表題
も若者の能力、経験の正当な評価を努力義務にするという言いぶりはいかが
なものかと感じております。

　最後にご意見として追加されている所なのですが、最後の黒ポツで一部の
正社員について労働時間が長い等、それが魅力的でないとか、定型的な業務
にしか従事できないということが書かれておりますが、企業にとっては定型
的な業務がある一定の段階までは必要で、そこから先に次のステップアップ
につながっていくという教育をしている所も数多くあるはずなので、一概に
全部が全部定型的な業務と否定できないのではないかと考えております。こ
れは私の意見として追加しました。ここに入れていただくかどうかは別とし
て、そういうこともあることは認識しておいていただきたいという意見です。

○野村委員　１頁の「基本的な考え方」の所に、国としても若者の自立云々、
アクションプランに基づいて取組を進めてきている。特に、この中では日本
版デュアルシステム、「フリーター25万人常用雇用化プラン」等推進してい
て、具体的に25万という数字も出しながら取組を進めているということです
が、その実態がいまどういう状況になっているのか。今回行政の取組に合わ
せて使用者側にも努力義務等取組を求めているわけですので、いま行政のほ
うでいろいろ若年者の雇用機会確保に向けた取組を進めているわけですが、
実態がどうなのかを教えていただければと思います。

○原委員　２頁の下から８行目に、「一部の正社員について、労働時間が長
い等働き方が魅力的でない云々」とありますが、労働時間の問題は別の審議
会でもやっていますし、正社員、非正社員が問題になっている中で、あえて
我々の部会から発信する必要はないのではないかと思います。

○森（郷農委員）代理　先ほどの樋渡委員の発言に追加してなのですが、能
力や経験の正当な評価はいまやっているではないかというのが、基本的な感
想です。

　若者について、雇用機会の確保を義務として入れる必要が本当にあるのだ
ろうかと思います。障害者や、いわゆる市場では採用に非常にハンディが高
い方々の雇用機会の確保が企業の努力義務として入るのは理解できるのです
が、若者という一般の言葉に対して、努力とはいえ雇用機会の確保が企業の
義務というのはやりすぎなのではないかという感想を持っております。

　何人かから意見がありましたが、以下のような意見があったと３つだけ書
かれた意図がよくわかりません。施策の推進に関して意見があったというこ
とで、プラスの意見だけを載せているのかもしれないのですが、マイナスの
意見も相当あったはずですし、上の２つは施策の推進に関してですが、いち
ばん最後の意見は感想だと思います。地域や外国人などについては盛り込み
方が一切なく、若者だけになぜこういうものが入ったのかということも、非
常に疑問に思うところです。

○山川委員　いまの部分ですが、フリーター等が多数滞留しているのは、最
初から入れなかったのではなくて、正社員に入ったけれど、そこで働き方に
魅力を感じられなくて辞めた人が非常に多い状況を改善するための提起とし
て、魅力ある働き方をそれぞれ事業主が努力する必要があるだろうという趣
旨で、私も発言したと思いますが、若者がフリーターから脱出していくとき
に阻害要因になっているのではないかと、改善の余地があるのではないかと
申し上げた記憶があるのです。そこは、盛り込む、盛り込まないというより
かなり大きなポイントになるのではないかと思っていたので申し上げたとこ
ろです。

○成瀬委員　先ほど使側からも出ましたが、私も２頁目の３点だけ意見を紹
介している所は違和感を持っているのです。どのご意見が重要だったかそう
でなかったか、取捨選択するのは精査してみないとわからない部分があるか
と思うのですが、少なくとも若者だけでももっと広範な意見があったと思う
ので、載せるのだったらこの３つに絞るのは変だと思います。ただ、事務局
サイドとして重要だと認識した理由が何かあるのでしょうから、重要なので
あれば、この部会での一致点となるべくさらに議論をした上で、意見があっ
たということではなく、もう少し全体の方向性としてこうなったという形に
しないと、ほかとのバランス上いかがかと思います。

　もう１点だけ、３項目の２行目の「定型的な業務にしか従事できない」と
ありますが、１行目の「一部の正社員について」というのはここにかかって
くるのか、かかってこないのか。たぶん、かかってこないのだろうと思うの
ですが、定型的な業務にしか従事できないというのは、入社後数年間の間は
とか、あるいは若年者の間はとかいう意味ではないかと推察するのですが、
もし書くとしてもその辺りは誤解されない書き方が必要ではないかと思いま
す。

○宮本委員　「能力、経験の正当な評価」という項目がこの中でかなり多く
見られるのですが、現実の問題として、評価の前に実態としての問題は何か
というと、従来のように正規雇用で若い人が職場に入っていって、そこで教
育や訓練なり、保証されていた状況が大幅に変わってしまって、その機会を
得られないままいる人たちが非常に多くなっている中での問題が多いと思い
ます。それを前提にすると、能力、経験の正当な評価という項目が妥当かど
うかに疑問があるわけです。したがって、（２）の若者の能力、経験の正当
な評価の事業主責任の前に、若者の教育訓練機会の保証の問題が入るべきで
す。事業主の努力義務とするかどうかですが、もちろん努力義務もあると思
いますが、従来のような新規一括採用で企業に入って、そこで鍛えられる状
況が大幅に変わっていく中では、事業主と同時にもう１つ公的な責任があっ
て、その上で能力、経験の正当な評価にいかないと、重要な部分がガラッと
ないように思われますが、いかがでしょうか。

○諏訪部会長　よろしいですか。たくさん出ましたが、事務局からまとめて
お願いします。

○阿部若年者雇用対策室長　募集・採用の在り方の見直しということで申し
上げましたが、私どもとしても若者に正社員を中心とした働き方をしていた
だければと思っております。これまでも、若者に限らず正社員求人を確保す
るよう努めてきたところですが、若者についてもできるだけ正社員を中心と
した働き方ができるように取り組んでいきたいということです。

　そういった中で、フリーターという働き方をせざるを得なくなっている方
もいらっしゃるし、自ら望んでフリーターをしている若者もいらっしゃるわ
けですから、正社員を希望するフリーターや非正規で働かざるを得ない方々
については、できる限り非正規から正規へ登用できる形での取組も必要では
ないかと思っております。そういった観点で、資料の中でも文章をまとめて
おります。

　先ほど若者の能力の正当な評価、宮本委員からはそれ以前の問題としての
教育訓練についてご意見がありました。今回の文章の中では国としての全般
的な取組を前段に書いた上で、法律の中身として事業主にお願いすべき点を
整理している関係で、「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」など
に基づく施策を基本的な考え方の中に書いた上で、（２）で事業主にお願い
すべき中身を書いているという構成になっております。若者の教育訓練とし
て当然国が行うべき部分については非常に大事だと思っておりますが、企業
に採用後の能力開発について、今回の指針の中ではお願いしております。若
者の能力開発については、先の通常国会でも職業能力開発促進法を改正し、
実践的な職業能力開発を行う仕組みを整備したところです。こういったこと
も踏まえつつ、若者の能力開発については国としても積極的に取り組んでい
くつもりです。その上で、採用後の企業における能力開発についても是非お
願いしたいということで、指針にも盛り込んでいきたいと考えております。

　若者の雇用実態の話もありました。今年度「フリーター25万人常用雇用化
プラン」を実施しておりますが、昨年度は20万人を常用雇用化するプランを
実施しました。この中では、ハローワークにおけるフリーター常用就職支援
事業、ジョブカフェなど専門的な機関における就職支援、トライアル雇用に
おける就職支援、日本版デュアルシステムなど能力開発の実施を経て就職し
た者として、昨年度は実数として22万5,000人の常用雇用を実現し、今年度
は目標を25万人に引き上げて引き続き実施しているところです。

　雇用機会の確保を義務化することについて、いくつかご意見がありました。

　いろいろ働き方の話もありましたが、最近の景気動向の回復や、2007年問
題と言われる団塊の世代が大量に定年に差し掛かっていることもあって、新
規高卒、大卒の就職内定状況も改善してきております。国においても、中小
企業を始めとする企業と学生・生徒が一堂に会する説明会、面接会などを開
催したり、学生職業センター、ジョブカフェなどで個別の学生に対してもい
ろいろな情報提供や相談などを通じて企業の人材確保に努力をしているとこ
ろです。

　また、一方で正社員としての経験が少ないフリーターなど、やはり雇用機
会が限られている部分もまだまだございます。一般の方でも、正社員の求人
はまだ足りている状況ではないと理解しております。そういった中で、若者
に対して雇用機会を是非拡大していただきたいということで、企業の皆さん
方にお願いしたいと考えているところです。

○生田総務課長　若干補足をさせていただきたいのですが、まず、若者の雇
用機会の確保の問題です。これについては、雇用機会の確保の前提として、
「若者の能力を正当に評価するための募集方法の改善、実践的な教育訓練の
実施その他の雇用管理の改善」、と書いてあります。これを具体化するのは、
その下、（２）の後段部分で「当該指針については」ということで、ポツが
６つ付いている部分です。一言で申しますと、門前払いをせずに若者の能力
を客観的に評価して、採っていただくことに努めていただければという趣旨
です。ですから、無理矢理採れと言っているわけではなく、客観的に評価し
ていただいて、採っていただければよいという意味です。それから、障害者
については努力義務ではなく、義務規定で相当厳格な対応をさせていただい
ていますが、今回、この若者についてはこういった形の努力義務プラス大臣
告示の指針で、企業の皆さんにお願いするという形で対応させていただきた
いと思っています。

　これこれの意見があったというのが、若者の所しかないというご指摘で、
たしかに客観的に事実としてそうなっています。これについては、私どもの
ほうで、こういう意見があったということで紹介するのに適したもの、重要
性を判断して、こういうふうに掲載させていただいています。まだ精査が不
十分かもしれませんので、いままでの議事録を全部洗い直し、どういうもの
があるのかを精査し、必要性を判断させていただき、地域雇用対策や外国人
についても、載せられるものについては載せていきたいと思っています。以
上です。

○白木委員　この若者の点ですが、下のほうの議論からいきますと、最初の
タイトル、「若者の能力、経験の正当な評価及び雇用機会の確保等」になっ
ていまして、等の中に、実は採用後の基本的な職業能力の育成というのが必
要ではないかと思うのです。そういうのが盛り込まれたのが、後ろのほうに
入っているのではないかと思うのです。

　先ほど、若干ミスリーディングな解釈をされた人が、いちばん最後の意見
は労働時間だから関係ないとおっしゃったのですが、これが言おうとしてい
るのは労働時間のことではありません。最後のほうでありまして、離職につ
ながったり、職業能力が十分育成されないという問題を言おうとしているこ
とであります。したがって、それは最初のほうにも、もう一度きちっと入れ
たほうが、意見を載せるかどうかは別として、いいのではないかと思うので
すが。そうでないと、悪循環に陥る、採用してもその後の育成の仕方がきち
っとしていないと、嫌になって辞めてしまうという悪循環、それから将来に
わたって同じ企業にいたとしても、基本的な職業能力が身につかない可能性
があるという点を、明示したほうがいいのではないかと思います。

○成宮委員　いま問題になっている所の、指針の中に盛り込む事項としてい
くつか列挙している中で、人物本位による採用、能力、経験の正当な評価と
いうように書いてあります。

　そのこと自身はすごく分かりやすいし当たり前ですが、いま生田課長の話
を聞いていまして、何を言おうとしているかというと、一度別の企業で働い
ていてやめちゃったという経験があることだけで門前払いをするとか、ある
いは年齢で何歳以上になってしまっているから、新規採用としては門前払い
をする。そういうことをしないで、きちんと中身を見なさいねということな
のでしょう。とすれば、ほかの項目にある採用基準とか、求められる能力資
質を明確にできるだけしましょうねとか、あるいは応募可能年齢を引き上げ
るなり、既卒者への開放をしましょうねということで、具体的なことは実は
満たされていて。

　ここに、改めてこれまで人物本位できちんとやっていないから、人物本位
でやるようにしましょうねというがごとくに書いてある所は、実は指針に定
めるべき項目ではなく、指針の前文に書くような話なのだと思うのです。そ
こを一緒に並べてあるから、何となく何が言いたいのかよく分からない項目
になっていると思います。あとの所は、それぞれ具体的な中身が想定できる
ようなことなので、重複はないのだと思います。能力開発についても、使用
者のほうでやるべき部分についての配慮を求める。一方、それだけではなく、
当然国なり行政としても、こういう対策をやっていくというのは別にあって。
あるいはそういうものをさらにうまく活用しながら、事業者側でもこういう
のに取り組んでくださいなというような指針を示せばいいという意味でそれ
ぞれ分かるのだけれども。この人物本位による採用という項目だけは、余計
なのかもしれない。地の文に考え方として入れておけばいいぐらいな話かも
しれないなという気がします。

○長谷川委員　一般的にいえば、成宮委員の言っているようなことなのだと
思うのですが、ただ現在の若者のおける状況って何が起きているかといえば、
要するに国はある意味ではフリーター25万人常用雇用プランなどを作ってや
らなければいけない、若者の雇用状況に大きな変化が、いままでと違う変化
が起きたわけですね。

　フリーターといいますが、実際は期間の定めのない雇用の人を通常の雇用
とすれば、期間の定めのある雇用、有期の労働者が多いということなのだと
思います。有期も、おそらく非常に短い有期を繰り返しているのだと思うの
です。この労働者をもう少し分解したときに、私は使用者の人がいちばんよ
く知っていると思うのですが、ずっと１カ月とか２カ月のコマ切れの有期だ
ったり、アルバイトのような有期だったり。

　そういうのを繰り返してきた若者を採用するときに、この審議会では使用
者は言いませんけれども、別な会議の中で、やはりそういう若者というのは
どういう能力があるか評価ができない、本気で思い切って採用できないとい
うことは、これはいろいろな所で言われてきたことです。それで、若者のた
めの能力評価制度をあえて作ったわけです。あえてフリーターのための能力
評価制度を付けて、１枚紙で簡単に評価するようなものを開発したわけです。

　そういう意味で、企業は人物評価を事実としていままでやってきた。私は、
企業はやってないと思いません。しかし、特に20代後半から30代に入って
きたフリーターと言われている人たちを、では本気で企業が、学校を卒業し
てきた人と同じように人物本位で採用するかというと、そこは躊躇している
というのは一般的に言われているところです。そこを思い切って採用しよう
と思えば、その人たちの持っている能力とか、そういうものをどうやって評
価して、採用するかということになってくるのです。また、企業で３年ぐら
いやって、それで次の所にといった人と比べて、フリーターを繰り返してき
て、その経験を正当に評価するというのはなかなか難しいと言われています。
フリーターの人の職務、自分の経歴を書くときも、なかなか難しいというこ
とも指摘されているわけです。そういうことを考えれば、ある意味で、ここ
の所で若者の能力、経験の正当な評価というのは、そういうことも踏まえた
状況の中で打ち出さざるを得ないのではないか。私は企業はやっていないと
は思っていません。企業はおそらくこれまで、自分の所で正規に採用してき
た人たちについては人物本位の正当な評価をやっていると思う。でも問題は、
フリーターと言われる若者がもう30代になろうとしている。この人たちを採
用するときに、もう一度個々の能力とか経験の正当な評価というものを掲げ
なければいけないという状況が現実にあるということは、やはりこの雇用対
策を考えるときに重要な柱ではないかと。私は企業はやっていないとは言い
ません。しかし、ここで言っているフリーターとか若者と言われるときに、
ここの所に対して、あえて言わなければ、指針でも書かなければいけないよ
うな状況などもある。例えば、指針の中でそういう能力開発したものを活用
するということは、私は書かれて当然だと思っています。

○成宮委員　長谷川委員のおっしゃったこと自体、そのとおりだと思うので
す。だけど指針の事項として考えたときに、では人物本位だとか正当な評価
というのはどう書くのですか。このとおり書くしかないのだと思うのですね。
具体的には、それは既卒者だからといって、はなから色眼鏡で見ないとか、
そういうことがいろいろあると思うのですが、それはその他の項目に書いて
あるのではないか。だから、ここは本当に能力、経験をこれまで以上にきち
んと評価し、人物本位で採用しましょうね、としか書けないとすれば、むし
ろ考え方の中に、そういうことから以下のようなことをやりましょうねとい
う、その地の文のほうに入ってきてしまうような中身になってしまうのかな
ということを申し上げた。

○長谷川委員　私は、ここでは人物本位による採用と書いて、能力、経験の
正当な評価という書き方ですが、実際に指針のときはもう少し、例えば、若
者の能力評価制度など作ったものがありますから、そういうものを書き込ん
でいただければ、事業主もそういうものを活用し、フリーターの人たちの中
で、この人は真面目に働く、働く希望のある人となっているわけですから、
働く意欲とか希望があれば、そういうものを活用してというのが分かれば、
事業主で分からなかった人も活用するのではないかと思ったので、ここは私
は書き方だと思っています。

○生田総務課長　いまお二人のご意見がございましたが、基本的に考えてお
られることは似ているというか、同じ方向で考えておられるのではないかと
思っております。まず、この項目のポツのつけ方の中で、４つ目の黒ポツに、
人物本位による採用と書いてあるところから、たぶん議論が混乱しているの
だと思います。今回、確かに最初のポツの採用基準や職場で求められる能力
・資質の明確化というのも、人物本位による採用を実現させるための手段で
すし、応募可能年齢の引き上げとか、応募資格の既卒者への開放というのも
その手段としてありますし、通年採用の導入もそうなので、こういった方法
を取ることの大前提として、人物本位による採用というのが必要だというこ
とだと思います。ですから順番は、いちばん最初が適当ではないかと、まず
思います。

　その上で、指針の書きぶりの中で、人物本位による採用を実現するために
はどういう手法を取っていったらいいのかという中に、いま長谷川委員がご
指摘になったような、能力評価の手法も新しく私どもとしても取り組むつも
りですので、そういったものを例として挙げるとか、いろいろな工夫がある
と思います。ですから、ひとまず順番として人物本位による採用をいちばん
上に挙げた上で、また文章については練ってみたいと考えています。

○諏訪部会長　この若者の部分に関してもいろいろと皆様からご意見をいた
だきましたので、そのようなご意見を踏まえて、少し書きぶり、内容等につ
いて改めて検討いただくことにしたいと思います。

　そこで３番目の「地域雇用対策の重点化」の問題に移りたいと思います。
同じようにご意見、ご質問等をお願いしたいと思います。

○成瀬委員　もしかしたら説明を聞き漏らしたのかもしれませんが、３頁の
（２）雇用開発促進地域、（３）雇用創造推進地域ですが、区域が異なるの
はなぜでしょうか。どちらにしても、雇用の開発を推進するにしても、創造
を推進するにしても、やはり労働市場圏というのは１つ単位になると思いま
す。（３）のほうで、複数の市町村の区域も含むとなっているので、事実上
同じになる場合も相当数あるのではないかと思いますが、あえて市町村とし
たのはなぜか、お聞きしたいと思います。

○樋渡委員　（２）（３）のそれぞれの地域の要件の中に、その状態が相当
期間にわたり継続することが見込まれることを要件とする、とありますが、
これまで出された資料の中に入っていたのかもしれないのですが、この相当
期間というのはどの程度のことを想定しているのでしょうか。伺いたいと思
います。

○野村委員　３頁の上のところですが、いままでの４つの地域分類を、今回
は雇用情勢が特に厳しい地域と雇用創造に向けた市町村の意欲が高い地域と
２つに分類をするとありますが、(1)の特に厳しい地域というのは、これはい
ろいろな数値等をある程度しっかり把握できるのでしょうけれども、(2)の市
町村等の意欲が高いという、なかなかこの意欲が高い低いというのを、一般
的にここをどういう尺度で見るのかなというのが１つです。あと市町村等で
意欲が高いというよりも、本当に雇用情勢が厳しいという所は、なかなかそ
の行政自体も厳しい状況に置かれているのだろうと思います。ある意味で、
そういうより厳しい所に、そういう意欲を持てと言っても、やりたくてもや
れないよというような厳しい市町村もあるのではないかなと思っています。
そういうことを考えれば、逆にそういう所にも少し目を向けてあげる施策と
いいますか、行政がある意味では必要ではないかなと思っています。以上で
す。

○菅野地域雇用対策室長　まず１点目ですが、両地域、区域が異なるのはな
ぜかということですが、雇用開発促進地域については、地域の要件としてあ
る程度悪い所を定めて、そこに施策を講じるということなので、悪いかどう
かは、有効求人倍率などは基本的にはハローワークというか、労働市場圏の
単位でものを見て、そこが悪ければそこを対象に施策を講じるというのが基
本になると思いますので、労働市場圏ということで置いています。

　２点目の雇用創造推進地域のほうですが、これは基本的に市町村の意欲を
重視することになり、労働市場圏ということでやると、必ずその労働市場圏
を構成する市町村が一緒になってやらなければいけないということですが、
そこは温度差があったりして片方は非常にやる気があるというのに、もう片
方仲が悪いとか、そういう場合などがあるのですが、そこは基本的にはやる
気のある、意欲の高い市町村が取り組むというのであれば、支援しましょう
ということです。原則は市町村で置いていく。ただ、ハローワーク単位、労
働市場圏の単位なりでその市町村が組んで、一緒にやっていきましょうとい
うことであれば、そのほうがより有効だと思いますので、それでも構わない
としています。

　相当期間にわたって継続するということですが、期間的には大体過去３年
程度の状況を見て、その間ずっと良くなっていないというようなことであれ
ば、ある程度それと同じぐらいの期間続くのではないかということなので、
明確に何年先まで見通してということはないのですが、３年分ぐらいの数字
を見て、今後もそのぐらいの期間は継続的に悪い状況が続くのではないかと
想定をして、判断をするのがいいのかなと思っています。

　意欲があるかどうかというのをどういう尺度で見るのかということです
が、数字的にここは意欲があるということを判断するのは難しく、３頁の（３）
の要件に少し記載してありますように、どの分野でその地域が重点的に雇用
機会の創出を図っていくのか対象が明確になった上で、そこに向けた何らか
の市町村なりの計画とか、取組の中で明確にやることが明らかになっている、
あるいはやるという意図が明確になっているということであれば、それは意
欲があると判断するのかなと思っています。

　本当に厳しい所は、意欲はあってもなかなかできないではないかというこ
とですが、基本的に意欲が高いけれども、そこまでもレベルが達していない
というような所については、雇用対策の構想を作成することの支援措置を、
具体的に外部から専門家の方を呼んできてアドバイスをもらうとか、関係省
庁とか、その地域に直接労働局の職員も入っていって、具体的にどうすれば
いいのかというようなことを相談に応じるとか、そうした形での支援措置も
実施をしていきたいと思っています。

○森（郷農委員）代理　いまのお話で、仲の悪い市町村もあるわけでという
ようなところなど、非常に気になるところですが、もともと雇用が厳しい所
というのはたぶん構造的に産業がないのですね。ですから、雇用促進と言っ
たときに、金だけ出しますということで、ばらまいて、本当に効果があるの
だろうか。そういった成果をどうやって計るのかというところの視点が、こ
こには非常に抜けていると思っておりまして。計画はあくまで同意をするだ
けで、さあどうぞと言った後のチェック体制の甘さというのもちょっと気に
なるところです。もともと構造的に雇用の状況が厳しい所というのは、最初
にご説明があったのかもしれませんが、事業主の連携云々でできるレベルで
はないのではないか、改善できるのではないのだろうと思っていまして。三
事業で本当にやるべきことかについては、少しまた意見として申し上げたい
と思います。

○白木委員　この２つのモデルですが、私の解釈でいいかどうか教えていた
だきたいのです。開発促進のほうは、「雇用機会の不足」の前に、「著しい」
がついていますね。だから非常に厳しい所で、二進も三進もいかないような
状態という、言葉は悪いですが、そういう状態の地域。こちらの雇用創造推
進のほうは、相当程度に不足している。しかしながら、これから復活の余地
が相当ある。そういう所はたくさんあると思うのです。その中でモデル地域
のようなものを作って、こういうモデルができますよというのでやっていこ
うとする。そういう所というように分けてよろしいですか。そういう解釈で
よろしいですか。

○成瀬委員　何回か前の部会で言ったことと重複をしますが、雇用開発促進
地域のほうで、求職者の総数に比べて、著しく雇用機会が不足しているとい
う所の解釈といいますか、運用ですが、決して一般有効求人倍率でしたか、
だけで判断することのないように。つまり、非正規の求人が増えればそれで
よしということで、正規の求人は実は全然増えてない。ということで、この
地域から外すということがないように、そこは強く要望しておきたいと思い
ます。

○菅野地域雇用対策室長　まず第１点目の産業がない所で、その雇用対策だ
けでなかなか成果が上がらないのではないかということですが、確かに産業
のない所で、雇用すれば助成金を出しますということだけで、成果が上がる
というのは難しいと思っています。したがって、国の中でも各省の産業政策、
あるいはその地域活性化対策と連携をして支援措置を考えていきたいという
こともございます。それから計画を作るのが都道府県であり、市町村ですの
で、そういう計画の中に都道府県なり市町村での産業政策がきちっと位置づ
けられていて、そういったことをしっかりやっていきますと、その産業政策
に伴って、こういう部分で人材が不足しているので何とかその部分で雇用を
生むようにしたいとか、こういう部分でその能力を開発しなくてはいけない
とか。そういう産業政策と雇用対策というのがうまく結びつくような形で、
これからの施策は進めていかなくてはいけないと思っています。

　それから雇入れに対して助成するだけで、それで本当に効果があるのかと
いうことですが、雇入れの、いま現在支給しています助成金の効果というも
のを少し検証してみました。その結果、全数調査をしたわけではないのです
が、増大地域で支給した助成金の支給後、支給のときに雇用が増えるのは当
然、雇用したら出すので、それは増えるのですが、支給の後どうなったかと
いうのを継続的に追ってみますと、そのハローワークの範囲内で雇用保険の
被保険者数が増えている割合よりも、支給対象事業者についての雇用保険の
被保険者数の増加率のほうが相当高いという結果が出ています。そういう意
味でも、この助成金がそのときだけではなく、その後の雇用の創出に与えて
いる影響というのもかなりプラスに出ているのではないかと考えています。

　２点目ですが、雇用開発促進地域と雇用創造推進地域ですが、おっしゃる
とおりでございます。雇用開発促進地域は、特に著しく雇用機会が不足して
いることで、全国平均と比べても相当程度悪い地域を対象に、主に事業主の
方の雇入れに対して助成をするという地域です。一方、雇用創造推進地域の
ほうは、全国平均よりは悪いということですが、むしろその悪さの中でも努
力をする意欲があって、それによって何とかなる可能性がかなり高いという
ことなので、推進地域としてはその地域になったら、すべて支援をしますよ
というよりは、むしろその中でも特に意欲が高くて、良い構想をやろうとい
う所に重点的に、モデル的に支援をします。こういうことですので、委員の
おっしゃるとおりです。

　最後の、一般の有効求人倍率だけで見てもらったら困るということですが、
そういう強いご要望も承ったということを含めて、今後の議論を検討してま
いりたいと思っています。

○山川委員　質問ですが、（５）支援措置の中の、４頁のイに、「コンテス
ト方式により雇用創造効果が高いものを選抜し、当該協議会等に委託するほ
か」とあるのですが、そのコンテストというのは、審査をやって選ぶという
ことだろうと思うのですが、どんなところを基準に、雇用創造効果のほかに
も採算性とか将来性とかいろいろ審査項目が考えられるだろうし、どなたが
やるのか。相当難しい審査になるのかなと思いまして、審査の在り方をどう
考えられているのかを、お聞きしたいということです。

○菅野地域雇用対策室長　コンテスト方式ですが、これは中身としては雇用
創出数とか、あるいは費用対効果とか、それからしようとしている事業の実
現可能性というか、適切性だとか、それから内容そのもののモデル性の高い
ものはわりと評価されるとか、そういった複数の基準を点数化するような形
で、総合点の高いようなものから選抜をするということになろうと思います。

　コンテスト方式については、いま現在実施していますコンテスト方式のや
り方を踏襲して、委員としては学識経験者とか労使の代表の方に入っていた
だいて。そういった中で適切にコンテストを行いたいと思っています。

○諏訪部会長　よろしいですか。１点残っていますので、いろいろまだご意
見もあろうかと思いますが、４番目、「外国人労働者の適正な雇用管理の推
進等」。ここを巡りましてご質問、ご意見等をお願いしたいと思います。

○原委員　非常に難しい問題なのですが、今回のまとめについては、４頁の
（２）の「外国人雇用状況報告の義務化」ということで、事実上これのみの
まとめということになっていると思うのですが、実態論としては不法就労し
ている外国人労働者がいるというのは、誰も否定できないし、当然法令遵守、
これも当然のことです。しかし、つき詰めていきますと、日本の中で働いて、
生活をしているとなれば、人権問題が当然発生してくると思うのです。それ
について難民認定の問題等いろいろあるのですが、厚生労働省としてはそう
した人権問題についてどのように判断し、対応するのか。やはりそういう点
を考えざるを得ない。不法就労対策は重要なことですが、付随して人権問題
が発生するということについて、厚生労働省の考え方を是非お伺いしておき
たいということです。

○野村委員　４頁の「基本的な考え方」の中で、「外国人労働者については、
単純労働は今後も受入れを認めないという基本方針を堅持し」ということが
書かれています。この考え方はこの考え方として、その後に、技能実習生の
問題が出ているわけですが、実は報道等を見ても、この研修技能実習制度と
いうものが、実は単純労働の受け皿、ある意味では雇用の補完的役割を担っ
ているというようなことも言われているわけです。また、技能実習生等が劣
悪な労働条件の中で働かされて、基準監督署に助けを求めたというような記
事も載っていました。そういうことを考えますと、実は本来この持っている
研修技能実習制度という役割が少し逸脱をして、実際は単純労働の受け皿、
補完的な役割、そんなものになってしまっている部分もあるのではないのか
なと危惧をしているところです。

　したがいまして、この研修技能実習制度の本来持っている役割、意味、こ
ういうものをしっかりもう一度見直していただいて、特にいま原委員から言
われたとおり、海外から日本に来て、いろいろな技術・技能を勉強しよう、
身につけよう。そしてそれを母国に持ち帰って生かしていこう。そうした人
たちの思いも、しっかり達成できるような制度、そういうものをもう一度見
直す時期にきているのではないのかなと思っています。

○成瀬委員　要望になりますが、たしか前回の部会で技能実習生は対象だが、
研修は労働ではないので、研修生は対象ではないという、事務局からのお答
えがありましたけれど、今回のこのまとめはこれでやむを得ないかなという
ふうには思っていますが、今後の課題として、技能実習生の前段階である研
修生についての位置づけの整理ですね、適切な整理を是非お願いをしたいと。
その上で、雇用ではないので雇用管理ではないのですが、要は研修生の管理
といいますか、何といいますか、その待遇改善といいますかね。も含めて、
待遇の在り方について、是非労働行政として適切な方向づけをお願いしたい
と思っています。

○尾形外国人雇用対策課長　まず外国人が日本に定着していくことに伴う人
権問題ということですが、もちろん労働行政も人権というアプローチが全く
ないわけではございません。例えば、労働基準法に、均等対遇を義務づけて
いる３条という規定がありまして、国籍等によって差別をしてはならないと
いうことが明記されているわけです。得てして外国人であるから、こういう
働かせ方でもいいんだ、日本人が働かないような所でも外国人は喜んでやっ
てくれるから、それでいいんだということが言われたりしているわけですが、
そういったものについては基準法３条みたいなものもあるということは、労
働行政の立場からも申し上げられることではないかと思っています。１つの
例示です。

　お２人の方から指摘のありました、研修技能実習制度の問題です。これは
直接の担当という意味では、職業能力開発局のほうで担当しているものであ
りますが、私のほうからお答えするとすれば、まず第一に、制度が本来の役
割から迭脱してきているのではないかという部分、この部分についてはそう
いった本来の役割をもう一度改めて意識し、その役割に忠実にな運用制度と
いうものを考えるべきではないか。あるいは、こういった役割は完全に消失
してしまっていて、実態としては単純労働の受け皿みたいになっているので
はないか。そうであるとすれば、もういっそのこと制度を抜本的に考え方を
見直すべきではないか。いろいろ考え方があるので、そういったことは実は
今年の６月に副大臣レベルで、外国人労働者の受入れに関するプロジェクト
チームというものが結成されて、そこでとりまとめをした中でも取り上げら
れています。そこで、改めてきちっと今後見直しをしていくべきであるとい
うことが言われており、現在この技能実習の在り方については能開局のほう
の研究会で検討されているところです。

　併せて研修生の問題についても、その研究会の中で取り上げているところ
です。こちらの問題については、規制改革３カ年計画、今年３月に出された
３カ年計画の中で、まさに成瀬委員のご指摘のような問題意識から、その研
修生の法的保護の在り方を再検討すべきであるという指摘があり、その部分
も先ほど申し上げた能開局の研究会の中で鋭意検討中である。いかに適切な
保護が図られるべきかということを検討しているところです。

　もう１つ補足して申しますと、研修生というのは、現在の整理では労働者
ではない、雇用関係ではないということですが、こういったわが行政が今回
対象としようとしている分野から外れる方々については、別途在留管理とい
う観点から、所属先がいかなる義務を負うべきかということで、例えば学校
であるとか、こういう研修生の問題であるとか、現在検討中でありまして。
在留管理ワーキングという場があるわけですが、そちらで今後検討されるも
のであると理解しています。

○原委員　先ほど質問したのですが、非常に難しい問題ですが、４頁の下か
ら10行目ぐらいに、外国人雇用状況報告で把握した事項については、入管行
政との連携強化等も視野に、と。こういう文言が入っていまして。法令遵守
は当然のことですが、一般的に不法就労、そして入管ということになると、
罰金、懲役、強制退去といったこともやられているのですが、しかし、そこ
で人権問題、世界的な問題としてこの人権問題というのがやはり発生すると
思うのですが、それについてということでの質問をさせていただいたのです。
非常に難しい問題ですが、発言せざるを得ないなと、こういうふうに思いま
す。そういう質問をしたのです。

○尾形外国人雇用対策課長　質問の趣旨をとり違えたかもしれませんが、不
法就労者がその退去強制をかけられるという段になって、いや、もう日本に
これだけ長く定着していて、家族もこっちに居て、いまさら本国に帰れない
というような問題が生じるということは、かねがね社会問題の１つとされて
きており、裁判などで在留特別許可という許可ですが、その許可を出さなか
ったということについて、法務大臣が敗訴するということが、地裁レベルで
10年ほど前ですが相次いだわけです。

　そういうことも１つのターニングポイントになり、いま法務省のほうでは
そういった生活者としての人権という側面には、非常に敏感になっていて。
在留特別許可というものの件数も最近は非常に多くなっていると認識してい
ます。基本的には、この問題はまず入管当局、法務省のほうで専管的にいま
判断していることであると。ただ、この不法就労者の退去強制との関連で、
一言労働行政の関わりを申し上げると、これはまた労働基準局の話になって
しまうのですが、不法就労者が、例えば労災に遭ったとか、不法就労者が賃
金不払いとかがあったというような事案の場合、法務省と厚生労働省との連
携という場面で出てくる問題ですが、その人たちの権利救済を図る前に、退
去強制してしまうのかどうかということがあるわけです。この点については、
労働基準局は非常に労働者保護の観点で対応しておりまして。まずは保障し
てから、救済してから、退去強制をかけるのはその後ということで、入管局
にいつもお願いをし、一定のご理解をいただいていると認識しています。

　法務省の所管事項、厚労省の所管事項とあるわけでありますが、厚生労働
省としても、不法就労者だから何でもということではなく、彼らの権利とか
人間として図られるべき保護という観点は十分持っているのではないかと思
っています。

○森（郷農委員）代理　労働者としてきちんと処遇されているかどうかとい
うことと、不法な滞在者であるかどうか、これは別な問題というか、全く切
り離して考える問題なのではないかと思っています。不法であるかどうかは、
別に企業のせいでは必ずしもなくて、本人が意図的に、本来帰らなければい
けないのに帰らないとか、個人の問題という部分が非常に大きいと思ってい
まして。それを間接的に、企業に報告をしなさいと。外国人であるかどうか
を確認し、一定の条件内容について報告しなさいと。このときに外国人かど
うかと聞かなければいけない云々ということでの人権の問題があるのではな
いかというのが、私どもの理解です。そういう意味で、今回の外国人雇用状
況報告の義務化というのは非常に大きな問題があるので、結論を急ぐ必要が
ないのではないか。もう少しきちっと混乱のない形でやれるものがあるので
はないかと思っています。

　もう１つ、（２）の下のほうからの書きぶりで、「事業主に過大な負担と
ならないよう」な得喪届に合わせてやってはどうかと。基本的に、報告の内
容は以下のとおりであるということですが、先ほどの尾形課長の話でも、基
本的に在留資格の確認というものの徹底が必要なわけであって。これをやら
ずして、なぜいきなりこういうところにまで行ってしまうのかなというのが、
１つの混乱のもとになっているのではないかと思います。また、得喪届を必
要としない、例えば留学生とか外国人研修生ですとかがたくさんいるわけで
す。そういう人たちにとっては、おそらく会社に入ったときと出たときとい
うことで２回出しなさいと。短期であればあるほど、たぶん企業の負担はも
のすごく大きくなってくるはずなのです。得喪届を出すぐらいの人というの
はきちんとした人ですから、たぶん何年かに１回で済むと思うのですが、日
々雇入れる人は、入ったときと出たときと、毎日１日ごとに出すのですかと
いった、事務的なコスト負担の問題がここには全く欠落しているということ。

　それから不法な就労であるかどうかの確認をするためには、入るときはと
もかく出た後、この会社を辞めましたという報告を出した後では遅いはずな
のです。要は、不法就労の後、辞めちゃいましたと報告をされたところで、
その人を取り締まる云々には全く役に立たないわけですから。出と入りとい
うのを何で２つともやらなければいけないのかとか、あるいは日々雇入れる
人というのは毎日やらなくてはいけないのですかとか、実際には企業という
のは中立的な立場で、不法であるかどうかということの報告云々という、協
力を要請されることですから、やろうとしているその不法対策としての義務
化と、事業者がやらされる事務の負担の重さというか。これが見合わない。
あまりにも、考えられているこの案では重すぎるのではないかという意見で
す。

○原委員　以前からも申し上げているのですが、外国人労働者を活用する、
外国人労働者を日本として企業として受け入れる。それに対して、やはり企
業として国として、その労働者の家族も含めて責任を負うという、そういう
一歩踏み込んだものを打ち出すべき時期にきているのではないか。現在の外
国人労働者の雇用労働条件に関する指針の中では、確かに５項で、外国人労
働者の雇用の安定及び福祉の充実ということで提起をされ、そして生活指導
等という項目もありまして。本人に対する日本語教育云々の話はありますが、
昨日もテレビでやっていたように子弟の教育がなかなかうまいこといかず
に、家の中で朝から晩まで、そして非行に走る、少年院に入るというような
ことが報道されていました。そういう意味では、日本としてもそういった領
域に踏み込むべき時期にきているのではないかという意味で、今回何らかの
方向性を本部会のまとめの中で打ち出せないかなというのが、私の要望意見
です。それに対する厚生労働省としての見解をお伺いしたいと思います。

○白木委員　先ほどの森代理の例え話、不法就労は個人の問題で、処遇は企
業が公正にやればそれでいいという議論ですが、それはそのとおりなところ
もあるわけですが、例えば、これを自殺等に絡めて考えますと、自殺をする
のは個人の問題だと。しかし、それを見て見ぬふりをしたり、それが違法で
ある場合に放っておくというのは幇助罪になるわけです。それと同じで、企
業はやはり、不法な受け入れていない人を受け入れるということが起こった
場合に、どういう貢献をするかというのは問われると思います。

　ただ、今回のこの議論の場合にはそういう幇助罪を逃れるといいますか、
そのためのコストがあまりにも大きいというのが、２つあると思うのです。
そういう必要があるのかどうかということと、コストがあまりに高い。した
がって、今回そういう幇助はしてはいけないというスタンスで合意できるの
であれば、コストをいかに下げるかという問題になるかと思うのです。です
から、その辺で厚生労働省でコストを下げる何かいい妙案があれば、おそら
く森代理も納得というような議論になるのかなという感じがしているのです
が。何かいい方法があれば、考えておられると思うのですが、コスト削減等
も教えていただきたいと思います。

○椎谷委員　私も質問をしたいのですが、１つはいまの手続に絡んだ問題、
いま白木委員がおっしゃったので気がついたのです。この原案では得喪届を
出すということですが、得喪届を出すときに合わせてということは、得喪届
の中に書く欄を設けるということかと思うのですが、得喪届というのはそん
な面倒くさいものかどうかということです。

　特に、喪失届が出た後で、この人たちがハローワークに行って保険をもら
おうとしたときには、やはり離職票か何かを書いてやるわけでしょうけれど、
その喪失届が出ていない場合は駄目なのかどうかということが１つありま
す。

　それからもう１つ気になりましたのが、先ほどちょっと出たのですが、日
雇いなどについてもやるのかという話ですが、そもそも単純労働者を入れな
い建て前であるし、専門的・技術的分野の労働者に日雇いなんているのです
か。その辺をちょっと聞きたいと思ったのです。

○尾形外国人雇用対策課長　まず、これは森委員代理からご提起がありまし
て、白木委員、椎谷委員からまたそれに関連したご意見いただいたわけです
が、不法滞在については、ご指摘ありましたように不法就労助長罪というこ
とが入管法に明記されているわけでして、企業のほうのまさに幇助のような
行為を現に戒めるというのが、いまの日本の国家の考え方です。ですから、
企業の方にも責任を持っていただきたい。具体的に申し上げますと、在留資
格は確認して、可能な合法的だとされている方を雇ってほしいというわけで
す。

　ただ、何でもかんでも義務をかければいいということではないのはもちろ
んでして、白木委員からありましたように、その企業といいますか、事業主
の方々のコストですね、手続負担というものがやはり考慮されるべきである。
冒頭に総務課長が説明した、このとりまとめの中にある手続面での配慮とい
うことも、得喪手続を利用する、得喪の機会を利用するという以外にも配慮
があり得ていいのではないかということを申し上げたわけです。例えば、先
ほどから問題になっている日々雇用のようなところについては、その都度出
していただくということが必ずしも唯一の答ではないのではないか。具体的
に申し上げますと、一定の猶予といいますか、一定の期間内にまとめて、そ
の間にありました「雇入れ・離職」をご報告いただくことは十分考えられる
ことではないかと思っているところです。

　ただ一点だけ申し上げますと、日々雇用の部分、このもの自体はやはりこ
ういうところに不法就労者が多いということも現にございますし、是非やは
り把握したいということには変わりありませんので、コストとのバランスを
考えながら一定の届出をしていただくということではないかと思っていま
す。

　原委員からありました、外国人を受け入れるにあたっての企業、あるいは
国の責任ということですが、まず国としての責任という意味では、特に身分
に基づいて受け入れている日系人の方々が、家族もたくさん入り込んできて、
いろいろな地域における問題を起こしている。これについて、もう国として
政府横断的な対応を図るべき時ではないかということが、今年４月に経済財
政諮問会議で議論されまして、それを受けて当時の安倍官房長官の肝煎りで、
生活者としての外国人問題というのが、その内閣官房のもとで議論されるこ
とになりました。そういう所で、例えば文科省でありますとか、国土交通省、
警察庁それから厚生労働省ももちろんですが、いくつかの省庁が中心になり、
一定の対応を図っていくのだということが打ち出されているところです。現
段階では、中間整理ということで６月に出されたものがあるわけですが、12
月目処でその最終とりまとめということで、いままさにフィニッシングタッ
チを加えているところと理解しています。

　それから企業の責任ということですが、先ほど来議論させていただいてお
ります、この雇用状況報告という制度も、まさにその意味で企業の責任とし
て、これはお願いしたいと思っているところです。特に、労働者として外国
人を活用するという観点からお願いしているものです。その他、もっといろ
いろな責任を負わせるべきではないかというご意見、この部会の中でもいた
だいたわけですが、とり急ぎこの時点で企業の方に、まずこういったことを
やっていただくということで、外国人にとっても、我々日本人にとっても望
ましい社会という姿に一歩でも近づけるようになるのではないかと思ってい
るわけです。

○諏訪部会長　まだいろいろと論じはじめますと、とりわけ中身に入ってい
くと、これは大変に奥の深い問題ばかりですが、我々は当面、雇用対策法の
改正等へ向けての報告書ということで、今日たたき台を議論していただきま
した。さまざまなご意見がありまして、必要な修正等が施されるべきだとい
うことだろうと思いますので、こうしたものを踏まえて報告書としてまとめ
る作業を進めていきたいと思いますが、このようなことでよろしいでしょう
か。

（異議なし）

○諏訪部会長　それでは、そのように取り計らせていただきます。ほかに、
特に何かご意見、ご質問等ございますか。ございませんようでしたら、時間
ともなりましたので、本日の部会は、以上をもって終了させていただきたい
と思います。
（署名委員指名）
　次回の会議ですが、ご案内のとおり12月８日（金）10時からを予定してお
ります。場所は、13階の職業安定局第１会議室、つまりこの部屋です。どう
ぞよろしくお願いをいたします。それでは本日の会議は、以上をもって終了
とさせていただきます。大変活発なご議論、ありがとうございました。



　　　　　　　　　　　　　（照会窓口）　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　厚生労働省職業安定局雇用政策課雇用政策係
                            　     　ＴＥＬ：03-5253-1111(内線5732)