06/11/21 第3回多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 第3回 多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会 1 日時    平成18年11月21日(火) 10:00〜12:00 2 場所    厚生労働省7階第15会議室 3 出席者  ○参集者    岩村委員、片岡委員、北浦委員、斉藤委員、鈴木委員、舘委員、松友委員、    宮武委員、八木原委員、輪島委員  ○事務局    岡崎高齢・障害者雇用対策部長、土屋障害者雇用対策課長、    浜島障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、    手倉森障害者雇用対策課課長補佐、澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官 4 議題 (1) 関係者からのヒアリング   ○ テンプスタッフフロンティア株式会社        代表取締役社長           中村 淳 氏   ○ ハローワーク品川(品川公共職業安定所)        雇用指導官             加藤辰明 氏 (2) 労働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケート調査について (3) その他 5 資料  資料1 労働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケート調査について  資料2 派遣労働に関する参考資料 ○岩村座長  ただいまから、第3回「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関 する研究会」を開催いたします。本日は、末永委員が欠席です。また、松友委員は間も なく到着されると思います。本日は、障害者の派遣労働に関して、関係者からのヒアリ ングを行います。障害者の派遣労働に関して、人材派遣会社及びハローワークから話を 頂戴するために、2人の方にご出席いただいておりますのでご紹介いたします。  まず、テンプスタッフフロンティア株式会社の中村淳代表取締役社長です。中村社長 は、9月までテンプスタッフ株式会社で、人事部障がい者雇用促進センター室長として、 派遣労働における障がい者雇用に携わっておられました。次は、ハローワーク品川の加 藤辰明雇用指導官です。  本日の議題は、1つ目が関係者からのヒアリングです。2つ目は、労働者派遣事業に おける障害者雇用状況に関するアンケート調査についてです。厚生労働省として、労働 者派遣事業における、障害者雇用の実態を把握するためのアンケート調査を実施すると いうことで、調査の実施内容などについて、事務局から説明をいただき、その上で皆様 からご意見等を頂戴したいと考えております。3つ目は、その他です。  事務局から、1つ目の議題であるヒアリングの進め方について説明をお願いいたしま す。 ○事務局  ヒアリングの進め方についてですが、まずテンプスタッフフロンティアの中村社長か ら20分程度説明をしていただき、その後質疑を20分程度行っていただきます。続いて、 ハローワーク品川の加藤雇用指導官から20分ぐらい説明をしていただき、その後質疑を 25分程度行っていただきます。その際に、加藤雇用指導官に対するご意見、あるいは中 村社長に対するご意見等も併せてしていただければと思います。  次に、配付資料の確認をさせていただきます。資料1「労働者派遣事業における障害 者雇用状況に関するアンケート調査」があり、その後に別添1、2、3ということで、 アンケート調査の調査票が3つ付いております。資料2「派遣労働に関する参考資料」 があります。以上を事務局から提出しております。  その下に、中村社長のご説明の際の資料、さらにハローワーク品川の加藤雇用指導官 のご説明の資料が付いております。 ○岩村座長  早速ヒアリングに入ります。中村社長、どうぞよろしくお願いいたします。 ○中村氏  改めまして、ただいまご紹介にあずかりました、テンプスタッフフロンティアの中村 です。よろしくお願いいたします。9月まで、人材派遣のテンプスタッフ株式会社の人 事部にいて、障がい者雇用の担当責任者をしておりました。引き継ぎ間際でしたので、 本日は私がお邪魔いたしましてご説明し、ご意見などを頂戴できればと思っております。  資料に沿って話をさせていただきます。ポイントについての話は承っていましたが、 派遣事業として、障がいをおもちの方の仕事がシステム的に、状況的にどうなのか、と いうことを中心に話をまとめてくださいということでしたので、派遣元としての見方と してまとめさせていただきました。  1頁の1)では派遣労働者、弊社では「派遣スタッフさん」と呼んでいるのですが、 派遣スタッフさんの現状です。2)で派遣元の現状と、3)で派遣先企業、私どもから 見るとクライアントという形になりますが、派遣先の現状で、私どもが捉えている状況 はどうか、という3点についてお話をさせていただきます。  派遣労働者の現状について結論から申し上げますと、弊社のテンプスタッフの派遣社 員の中で、手帳を持った常用雇用労働の監査になる派遣スタッフは9名います。2人が 重度障がいをもっていますので、ポイントでいいますと11名になります。感じとしては、 そんなに少ないのかという話になると思います。この現象をどう見るかということです が、資料にも書きましたが、かなり現実的な話をさせていただきます。ほとんどの方が 一般労働者派遣ですので登録型になります。仕事を探しに弊社に登録に来る際に、「私 は障がい者手帳を持っています」と申告してくる方は極めて少ないと感じています。こ れも一般的に考えますと、「不利になるのでは」と書きましたが、まだまだ仕事をする 際に、障がいをもっているということが何かしらのハンディになると考えている方が、 おそらく一般的なのではないかと考えています。  仕事を紹介するときには、スキル、経験、希望、雇用形態、就業条件など細かいとこ ろを伺ってマッチングさせていただく仕組みになっています。その中で何々ができない とか、何々を配慮してくださいというのを、派遣スタッフさんの立場で考えると、どう しても仕事が紹介に至らないのではないか、という感覚を持つ、ということは普通に感 じられるのではないかと考えています。もちろん、私どもがそれを阻害しているとか、 区分しているということは全くないのですが、普通に考えると、おそらく不利になるの ではないかという意識が働いているのではないかと感じております。  派遣=即戦力というイメージが一般的になっていますが、先ほど申し上げたとおり、 経験や、その方が持っている能力、専門性といったことが、障がいをもっているという ことで即戦力として一般的に見られていないのではないかと考える傾向があるのではな いかと思います。私も、テンプスタッフのときから、年間で約500名ぐらいの方と登録 面接も含めてさせていただきました。  私の感想では、やりたい仕事を、一般的な転職とか就職活動の面接の際に、自己PR として人事の方に訴える、というのが健常者の一般的なスタイルです。障がいをもった 方の面接の決まり文句でもないのですが、傾向としては「できる仕事を探しています」 という言い方をされる傾向がすごくあると感じています。これも、相手の立場になれば すごく納得感があります。もう少し言いますと、「私でできる仕事があればなんでもや りますので頑張ります」というような自己PRになっていきます。  これを考えますと、謙虚さというのはもちろんあると思うのですが、自分が何かしら 仕事に対してハンディという意識を持って面接に臨んでくる、求職活動をしているのか と感じています。これは、すごい象徴的なキーワードでしたので改めて付記させていた だきました。やりたい仕事を、風呂敷を広げてPRしてくるような、健常者の一般的な 求職活動ではなくて、「本当にできる仕事をやりたいのです」というような受身的な印 象が付いてしまうのですが、そのような感じを持って仕事を探している方が多いという ことを考えますと、何かしら仕事に対して積極性とは反対の考え方で仕事を探してご苦 労されている方が多いのではないかと感じています。  ゆえに、派遣会社への登録の際にも、当然障がい者手帳を持っている、持っていない を申告するかどうかはその方の自由ですので、それはあえて言わないという方が、まだ まだ一般的なのかと考えております。  2)は派遣元の現状です。例えば、弊社テンプスタッフの現状ということです。いま 申し上げたとおり、障がいをもっている方を特別区分して登録している状況にはありま せん。これは、端的に「顧客ニーズがない為」と書かせていただきましたが、3)の派 遣先の現状を説明させていただきながら補足させていただきます。これは釈迦に説法で ご存じのとおりということですが、法定雇用という意味で、派遣形態での受入れは、派 遣先企業からは考えにくいだろう。なぜなら、法定の雇用カウントにならないためとい うことです。これは、すごいシンプルな感想です。  つまり、顧客にニーズがないがゆえに、障がいをもっている方を派遣で推薦する、又 はそういう方をリクエストで頂戴する、というような関係はいまはないというのが現状 です。これは、これ以上の説明はありません。  「経験・スキル・就業形態でのオーダー形態」と書きましたが、冒頭で説明させてい ただいたとおり、一般的な派遣の、クライアントと派遣元のやり取りというのは、当然 このような形です。この条件に合う方を派遣元である弊社で人選して派遣に至るという 経緯があります。逆に言うと、これを満たしていれば結果的に手帳を持っている方が就 業されている状況も、まだケースとしては少ないですけれども実際にあるということが、 今後の何かしらのヒントになるのではないかと考えております。  次の頁は、テンプスタッフの取組みはどうなのかも加えてくださいという話でしたの で、ちょっとお恥ずかしい数字なのですがあえて説明させていただきます。最新の数字 で10月末現在です。常用雇用者数、これは派遣スタッフさんも含めますが、弊社では1 万4,306名が常用雇用ということで分母の数字になっています。雇用ポイントは、10月 末現在で221ポイントです。自社雇用、テンプスタッフの社員の雇用が25ポイント、特 例子会社を弊社も15年前から持っているのですが、こちらで185ポイントです。派遣社 員が先ほど申し上げたとおり9人で11ポイントということで、合わせて221ポイントに なります。法定雇用率は1.54%ということで、残念ながらというか、努力不足があり、 1.8%には達していないです。  こちらは、ハローワークの指導があったり、東京都の指導もあり、また厚生労働省か らも直接指導をいただいた経緯もあり、昨年に比べると倍増していて、取組みのほうは かなり積極的に進めさせていただいている状況がある、ということは補足させていただ きます。  主な取組みとしては、「サンクステンプ」という特例子会社が平成3年に立ち上がっ ていたのですが、そちらで職域開発を大幅に、急速に進めていて、事務請負であったり、 別紙の参考資料にあるように、自治体の横浜市の協力をいただいて、クッキーの製造販 売事業を今年6月から実施しております。こちらは、主に知的障がいをもっている方の 雇い入れを、80ポイントを目指して稼働しております。こういう取組みも含め、雇用の 職域開発という部分で努力させていただいております。  これが、平成18年にサンクステンプで「横浜夢工房」と名付け、主にテンプスタッフ グループへのクッキーの販売事業ということで、本稼働を12月からさせていただく予定 になっております。こういうことを加えさせていただき、障がいをもった方の職域とい うところが、弊社のメーカーではありませんで、労働集約型の営業会社ですと、ルーチ ンワークの事務がアウトソーシングしてしまっていたり、製造ラインのようなマニュア ル的な仕事がなかなか用意できなかったり、かなり議論させていただいていたのですが、 いろいろな管轄の所管からの指導・提案もあって新規事業ということで、ちょっと目線 を変えたところで、かつシナジー効果の、当然本業と発揮するような仕事を含め、職域 開発、雇用の推進を進めていかないと駄目かなということで進めて、少し功を奏してき たかなという状況があります。  最後ですが、派遣社員をなんとか増やせないかという議論をいまも続けています。弊 社のホームページをご覧いただくとわかりやすい説明があります。先ほど、障がいをも った方を区分していませんと申し上げましたが、直接的な言い方ではないのですが、障 がいをもった方の雇用を私どもの会社では全面的にバックアップしていきます、という ことでいま221ポイントを雇用させていただいています。そういう方の雇用管理のノウ ハウなどを今後集約させていただき、派遣就業をした後のフォローの一翼も担っていき たいと考えております。こちらはまだ計画段階ですので、具体的に、いつ、誰が、どの ようにするかというところまでは申し上げておりませんが、来年度はそういう形でフォ ロー体制を構築していきたいと考えております。 ○岩村座長  ありがとうございました。テンプスタッフ社における状況について適切に説明をして いただいたように思います。ただいまの説明に対し、ご意見、ご質問をお願いいたしま す。 ○鈴木委員  派遣先での就労のときに、この9名がどういう障がいかわかりにくいのですが、一般 の社員と同じような環境で働いているということで理解してよろしいですか。 ○中村氏  おっしゃるとおりです。詳細を加えませんでしたが、9名の属性は全員女性です。お っしゃるとおりで、契約条件等は、いわゆる健常者と同様のフルタイム勤務です。下肢 障がいの方が2人いますが、ほとんどの方が内部疾患です。心臓にペースメーカーを入 れていたりというような状況です。上肢障がいの方は、手が少し不自由な方が1人いま す。  もう少し加えさせていただきますと、職種は事務的なOA操作といいますか、営業部 に配属して、データエントリーをするような仕事の方が5名います。それ以外はバラバ ラなのですが、広報の事務、医療事務、経理、研究開発といった職種に就いています。 ○鈴木委員  その方たちは、特殊な技能といいますか、PRするポイントとしてパソコンが使える とか、そういう養成学校を出ているということがあったのかということが1点です。そ れから、それぞれが9カ所に行っているのでしょうか。 ○中村氏  PRポイントですが、ほとんどの場合職歴があって、その経験を活かした派遣という ような実態が多かったと聞いています。皆さんそれぞれ1社ずつといいますか、バラバ ラに就業しています。関東地区で4名、関西地区で4名、中部地区で1名います。 ○北浦委員  いちばんのポイントが、申告しないというところがいちばん大変だということをお聞 きしたのですが、この9名は最初からそういう申告した方なのか、あるいは最後にある 結果として手帳を持っていた方なのか、その辺のところが1点です。いま、登録してい るたくさんのスタッフの中で、むしろ持っている可能性のほうが非常にあって、ただそ れがわからないという形になっている可能性もあるとか、その辺はどうなのでしょうか。 あるいは、どういう形で手帳所持がわかるようになったのかを教えてください。 ○中村氏  1点目ですが、私は最初からかかわっていなかったので実態はわからないのですが、 おそらくほぼ99%は私どもが事後でわかった状況だと思います。どういうときにわかる かということですが、扶養控除申告書の提出が年1回あり、あちらで申告してきます。 私どもは、雇用がとても多く必要ですので必死に探します。人事部として声をかけさせ ていただいて、確認をさせていただくということで判明してくるという実態が毎年あり ます。  2点目の後半のほうの、まだいるのではないかというお話ですが、私もそう考えてい ます。特に、この4月から精神障がいをもった方が対象に加わりました。この方々は持 っていてもなかなか申告してこないという状況が、身体の方よりも深くあるかと思って おります。厚生労働省からも、いわゆるプライバシーにかかわらないような聞き方のガ イドラインを頂戴していて、近々それに沿った形で、方法論はどうしようかというのは まだ検討中なのですが、全派遣登録者に伺うことをいま検討しています。 ○舘委員  ある意味では、安定所の代わりみたいな仕事をされているわけです。障がい者をたく さん送り込めない理由というのが、派遣先のカウントにならないということが最大の問 題で、もしそういうことが派遣先にもメリットがあれば、派遣元のお宅様も商売として 成り立つというか、そういう感覚はどうなのでしょうか、すごくあるのでしょうか。 ○中村氏  私は、10月からいまのテンプスタッフフロンティアという会社を立ち上げさせていた だき、派遣ではなくて人材紹介をしています。企業は、障がいをもった方を雇いたいと いう需要は顕在的だと考えています。それはなぜかというと、1つはコンプライアンス という、法定雇用率の問題があります。またはCSRという社会貢献的な受入れという 考え方を持っている企業も増えていると実感しています。  この2つが軸になって、まず取りかかりとしては、障がい者を雇いたいというニーズ はその2つが明確ですので、それに当てはまるようなことを提案できれば、このビジネ スはすごく拡大していくと思います。ビジネスという言い方は恐縮なのですけれども、 可能性を感じております。それを派遣で置き換えたときには、まずは雇用の法定カウン トが、現状だとなかなか受け入れにくいというのが正直な実感です。 ○舘委員  いまのところは、人材紹介だといいけれども、派遣だとメリットがないと。中村さん ご自身は、こういう工夫があれば派遣も障がい者雇用上メリットがあるのではないかと いうご意見があればお聞かせください。 ○中村氏  派遣協会から一度意見を出させていただいたことがあったと聞きましたが、全く同感 です。0.5、0.5みたいな関係がいちばん現実的で、それ以外を考えたのですが、ちょっ と思い浮かびません。 ○舘委員  派遣元と派遣先が半々のカウントということですか。 ○中村氏  はい。もう一段踏み出しますと、派遣元ゼロ、派遣先1というのは私の個人的な見解 なのですが、そこまでさせていただくということ。雇用関係は派遣会社と、派遣労働者 とありますのですごく変な言い方をしていますけれども、そのぐらいさせていただいて も、もともと派遣会社というのは別の所で事業価値を持っておりますので、そこまで踏 み込んでもいいのかという考え方を個人的には持っています。派遣協会と違うことを言 うと怒られてしまいますが、個人的にはそのように思っております。 ○舘委員  いやいや、ごもっともです。 ○輪島委員  舘委員のご指摘の延長ですけれども、私どもで検討している点は、派遣先と派遣スタ ッフとは三角雇用関係の中で雇用関係がないわけですね。その中でカウントを0.5ない し、中村さんのご提案は1ですけれども、そのようなものに分けることが、ある一定の 枠を超えてしまうのではないか。いまの雇用関係からいえば、派遣元と派遣スタッフの 雇用関係があるわけです。それが本当にいいのかどうかということをいちばん検討しな ければいけないのではないかと思っています。そこに踏み出しにくい、いちばん大きな 検討事項を抱えているのではないかと思っているという感想です。  2つ目も舘委員がおっしゃった点で、最後に中村さんもおっしゃいましたが、雇用管 理のノウハウを蓄積して、むしろ外へ出していく。紹介予定派遣という仕組みがありま すけれども、例えば、いま60ポイントないし185ポイントの雇用をしている人たちを、 むしろ特例子会社の中でやっている雇用管理のノウハウを外に売っていくというか、外 に出していくことのほうが、労働力需給調整機能の中からすれば、自分で抱えるのでは なくて、ある程度は雇用しなければなりませんけれども、むしろ外へ出していくノウハ ウを、派遣元が持つべきなのではないかと思うのですが、その辺はどのように感じてお りますか。 ○中村氏  実はビジネスとして検討していて、スキームは理論上できるというところまで来てい ます。それ以上申し上げると企業秘密になりますが、可能かなと思っております。ご指 摘のとおりだと感じております。  実は、企業が特例子会社を立ち上げたいと。これは、ハローワークにも相談に行くも のだと思うのですが、立ち上げてくれないか、というような話は頂戴しております。人、 物、仕事が私どもの人材ビジネスというのは、先ほど申し上げました職域開発というの を具体的に事業として進めておりますので、その部分のコンサルテーションと雇用ノウ ハウです。そうなると、採用チャネルというのは既に持ち得ていますので、ビジネスと して成り立つと考えております。 ○宮武委員  知的障がい者についてお聞きします。知的障がいは派遣に馴染まないかなという面も 感じています。いま、全体で派遣を希望する職種なり業種は傾向としてどういう業種が 多いのか。それから、想定される知的障がいの派遣という形にした場合の職種としては どういうものが想定されるのか。  もう1点は、私たちは就労支援センターなのですけれども、新しい環境に対するジョ ブコーチ等の支援を行い、できるだけ現場の方にナチュラルサポートをつくっていただ くという取組みをやって定着しています。実際に派遣という形になると、現場でのサポ ート体制がうまくいくのかどうかという心配があるのですがどうですか。 ○中村氏  1点目の、希望する職種は何かというのは、身体障がいの方ということでよろしいで すか、知的障がいの方ですか。 ○宮武委員  全体で、いま派遣を希望される企業のほうが、どういう職種で派遣を受け入れようと しているのかということです。 ○中村氏  1点目は、企業が派遣で障がいをもった方を希望していないということがあります。 先ほど申し上げた部分の、職歴とか、職種の経験、以前はどういう会社で、どういう仕 事をしていたのかというところが軸になります。そこで、多く職種として取り扱わさせ ていただいているのが、いわゆる事務系の仕事です。いまはほとんどパソコンが入って いますので、エクセル、ワード、パワーポイント、アクセスぐらいのソフトを使いなが ら、営業部での営業集計であったり、または受発注業務です。その会社の専用システム を使った、受注伝票の入力であったり、発注のファクス又はメールでの連絡であったり とか、ここはマジョリティな職種かと考えています。  2点目は、知的障がいをもった方の想定される仕事は何かということですが、私ども は横浜でクッキーの製造と、池袋でダイレクトメールの封入業務と、付随するパンフレ ットの管理業務をさせていただいています。合わせて約90人ぐらいが採用していただい ています。得意の分野といいますか、正確に速く手を動かせる、ということは私どもも 感じているところです。事務的な仕事というよりも、何かを作ったり、並べたり、入れ たりという職種に向いているのかと感じています。  それでは事務的な仕事はどうかというと、軽度な方であったり、訓練がとてもされて いるような方だと、いわゆるホワイトカラー的な事務の仕事でも採用していただけると 考えております。判断業務、しかもアトランダムにその場その場で対応しなくてはいけ ないという頻度が高い業務については、まだそこまで適性がある方にはお目にかかって いないという状況です。  3点目のジョブコーチについては、私どもも横浜のクッキー工房でお世話になってい まして、とてもありがたい制度だと感じています。何がありがたいかと申しますと、私 どももクッキーの製造販売ノウハウはなかったのです。かつ、知的障がいをもった方を 雇っていただいて、それだけの規模でマネジメントするノウハウもなかったです。ジョ ブコーチ又はクッキーを焼いていた経験のある方を採用させていただいて、ノウハウ的 なところを伸ばさせていただいてチームをつくっていきました。  いちばんよかったのは、これは健常者でも出てきますが、相談事が出てきたときに、 ジョブコーチであったり、就労支援センターからの推薦であったりというときに、私ど も雇用主対本人、又は雇用主対家族の関係になると少し意見が合わないときが多いとい う想定をしていました。そのときに仲介していただける方がジョブコーチであったり、 就労支援センターから推薦していただいていた方であったりが間に入っていただけるこ とで、トラブルが未然に防げたケースというのは多々あったのです。これが、すごくあ りがたかったということが実感としてあります。 ○鈴木委員  今後の展開のところで、新しい職種といいますか、私ども視覚障がいをもつ者たちは、 ほとんどがマッサージとか、鍼灸の三療の資格を持って働こうとしている人たちが多い わけです。いまはメンタルヘルスですとか、職員の健康管理という部分において、パソ コンなどを使っているときのクイックマッサージとか、そういう部分の派遣とか雇用と いうことは考えられないですか。 ○中村氏  あり得ると考えています。クイックマッサージとか、施術のほうは、私どもも社内に リフレッシュルームをつくって雇用を始めています。まだ池袋だけでやっているのです が、施術する方をまだ全国までは考えていないのですが、都内の営業所などで、社内的 な派遣というか、シフトを決めて出向いて、肩の凝っている人がいっぱいいますのでや ろうかという福利厚生的な部分でまず運用して、その後は法定雇用とは別の軸で雇用ニ ーズがあると考えておりますので、有望だと考えています。そういう業界に推薦、派遣 という形態で紹介させていただくことはすごく有望だと感じております。 ○岩村座長  私から2点お伺いします。私が間違って伺っていなければですが、先ほどの話ですと、 障がい者について、派遣で応募してこられて、面接するというのが大体年に500件ぐらい とおっしゃったかと思います。その場合に、応募してくる障がい者の障がいの種類とい うのは傾向なり何なりがあったのかということが1点です。  先ほど伺った限りですと、テンプスタッフで派遣を扱っているのが、これは派遣法と の関係その他があるのでそうなるのだと思いますが、やはり事務仕事が中心であると。 仮に法定雇用率について何らかの措置をとって、そして派遣先のほうのニーズが生じる ようにとしたとしても、対象として派遣される障がい者の方々の類型というのが、派遣 の仕事との関係でどうしても制約がかかってしまうのではないか。いま伺っている限り では、知的障がいの方々が派遣で、というのはちょっと難しいのかなという印象を受け ました。ご経験から、もしその辺の感触がおわかりであれば教えていただけますか。 ○中村氏  1点目の、500人を面接している障がいの傾向は何かということですが、500人という のは派遣の登録ではなくて、テンプスタッフへの応募ということです。説明が足りなく てすみませんでした。その約500人の傾向としては、私どもでも募集広告又はホームペ ージで要覧を出しております。まずは自力通勤のできる方です。そうすると、下肢障が いの方が少なくなります。内部疾患の方、それから上肢機能障がいの2つが多い傾向に あることを感じられます。内訳については、いまデータがないので申し訳ありません。  2点目の、知的障がいをもった方の仕事の可能性ということですが、派遣という形態 も含めて考えると、すぐには難しいというのが正直な感想です。管理をどうするかとい うことで、私どもも何人もの専門の方に教えていただいたのですが、1日6時間、5人 に1人のリーダーみたいな、ちゃんとケアができる体制がないと、長期就業は難しいと いうことがあります。経験はまだ浅いので、慣れてくればそうではないという話になる とは思うのです。  私も、携わらせていただいている時間は長いのですが、まだまだそういう先入感の部 分を、経験されていない企業の人事担当者がもっと根強く持っているという状態があり ますので、そこに雇用開発していくという発想はまだないと思うのです。むしろ、身体 障がいをもった方を、まず先に雇おうという感覚が多いのかと思います。  知的障がいをもつ方の雇用をどのように進めていくかという議論になるのであれば、 いまの一般企業の考え方というのはまだその目線にあって、知的障がいをもった方を雇 うという議論に至っていない状況があるという認識に立っていただけると実態に近いか と感じます。 ○宮武委員  基本的なことだと思うのですが、派遣先に派遣して、いまは3年とか期間のことがあ ります。3年以上経って、派遣先に雇用義務が生じるとか、その辺の基礎的なところを 教えていただけますか。 ○中村氏  おっしゃるとおり、3年後は雇い入れ義務が生じるという話になっていますが、障が いをもっている方が、派遣で3年後に雇い入れられる可能性があるのではないかという ことでよろしいのですか。 ○宮武委員  雇用形態自体が、派遣元と派遣先の関係がありますから、その点で、派遣されてうま く定着した場合に、期間の関係はどのようになっていますか。 ○中村氏  全く一緒の法律下であると思います。長期就業の場合は、派遣先のほうで雇用義務が 生じるという流れに乗ってくるという話です。それはそのとおりで、制度的には期待で きる部分であるのですが、どうしても入口の部分が解決しないと、3年就業できないこ とになってしまうのかなという議論です。 ○宮武委員  飛躍した考え方ですが、知的障がいの方が派遣先に派遣されてうまくいくと。それで 問題がなければ、派遣先の常用労働者として雇用されるという形になるわけですね。あ る意味で、3年間というのはトライアルというような見方はできるのですか。 ○中村氏  トライアルというよりも、3年以上働くようであれば、常用雇用者でしょう、という 考え方だと思います。いまの話でしたら、紹介予定派遣という制度がありますので、企 業が正社員で雇いたいということであれば、紹介予定派遣の制度を使ったほうが、求職 者も早く正社員になる可能性があるということで有効かと考えられます。 ○岩村座長  ほかにご質問がありましたら、加藤雇用指導官のお話を伺った後の質疑応答の時間の ところで出していただければと思います。それでは、加藤雇用指導官よろしくお願いい たします。 ○加藤氏  ご紹介いただきました加藤です。私は、ハローワーク品川で障害者の雇用指導、また 雇用支援を担当しております。本日は、窓口の状況を中心に皆様にご説明を、というこ とで依頼を受けておりますが、時間も限られておりますので、ポイントを絞り込んで皆 様方にご説明させていただきます。  本日の説明内容は、ハローワークにおける障害者関係の業務について簡単に触れさせ ていただきます。続いて、派遣元企業における障害者の雇用状況。障害者(派遣)求人、 こちらは職業の紹介状況について説明させていただきます。障害者の派遣労働に関する ニーズはどうかという点についても説明させていただきます。また、雇用率達成指導に おける派遣元企業は、窓口で私どもにどのような意見を持っているか、ということをお 伝えいたします。最後に、私どもハローワークの職員等が考える、派遣労働に関する課 題について説明させていただきます。  あらかじめお断りいたしますが、今回の説明の数字等については、例えば、派遣元企 業における障害者の雇用状況は、ハローワーク品川管内である、港区、品川区の企業の 状況でお許しいただきたいと思います。また、窓口職員の意見についても、私どもハロ ーワーク品川のほかに、都内4ブロックのハローワークから1、2所選定し、地域的に 意見の違いがないかどうか検証しております。そういう意味で、東京の部分に集約され た意見である、ということをご承知おきいただきたいと思います。  ハローワークでどのような業務を行っているか、ということを冒頭に説明させていた だきます。障害者にかかわる業務は大きく分けて2通りあります。求職者に対するサー ビスと、事業主に対するサービスです。障害者に対するサービスというのは、ハローワ ークの中で専門援助部門という組織を設けております。障害者の職業相談等に専門に応 ずる部門を設立し、そちらで専門的な支援を行っております。こちらで仕事の申込みを 受け付け、仕事の相談、実際に企業への紹介を中心に行っております。  また、企業からお預かりする求人についても、事業所で一般の求人と合わせて求人を お預かりするというハローワークもありますが、東京の傾向としては、障害者の状況に 応じた求人をお預かりできるように、障害者を職業紹介する専門の職員が、企業にアド バイス等をしながら求人をお預かりしているのが現状です。  また、私が就いております雇用指導官については、企業に対する雇用率達成指導を行 っております。ここは、ハローワークの中での仕事は担当業務として住み分けはしてお りますが、それぞれ求職者の情報、また我々が持つ企業の情報を共有し、企業に的確な 紹介ができるよう業務に努めているというのがハローワークの現状です。  窓口における状況を説明する前に、ハローワーク品川における、派遣元企業の雇用状 況はどうかということを参考に説明させていただきます。一定の条件で企業を抽出して おります。港区、品川区に本社が所在する企業で、平成18年6月1日現在の障害者雇用 状況報告において、当社の主たる業務は派遣業です、ということで報告をいただいた企 業は50社ありました。この50社を中心に数字を取りまとめております。  50社の状況の算定労働者数の合計が2万9,636名。雇用障害者数は人数ではなくてカ ウントで308カウント、内訳として身体障害者277カウント、知的障害者29カウント、精 神障害者2カウントという報告をいただいております。50社の平均実雇用率は1.04%で す。現在、トータルで200カウントほど不足している状況にあります。  この50社の中で、今年度の報告においては、5社ほど雇用率を達成している企業が見 受けられます。実際のところ、未達成の企業が45社ということで、達成割合は10%にと どまっております。また、1.04%という平均の数字ですが、一概に対比はできないと思 いますが、毎年私どもが雇用状況を整理する際に、産業別で雇用率を集計しております。 この中で、ハローワーク品川管内においては、飲食・宿泊業という業種が今年度は86社 ありましたが、こちらの業種における平均が1.08%で、当所管内における、産業別の雇 用率ではいちばん低い数値となっております。さらにそこを下回る数値ということで、 数字的な観点で見た場合に、派遣元企業の雇用状況は大変厳しい状況にあることが数字 の上で言えると思います。  ただいま説明した雇用の状況ですが、こちらは企業に勤務する常用労働者に対しての 法定雇用率の割合ということで算定し、雇用率を算出しているわけです。いまご覧のこ れは、派遣労働者以外の通常の労働者、常用雇用労働者をどのように判断するかという 基準です。ここについては、登録型の派遣労働者の皆様は、通常の労働者の判断基準と は若干異なっております。  ここは後ほど説明いたしますが、まずは前提となる、通常はどのように判断するかと いうことです。(1)期間の定めがなく企業に雇用されている方、(2)又は期間の定めがあっ たとしても、契約期間の定めがあったとしても、それが更新を前提としていて、結果的 に1年以上の「雇用の見込み」がある方は常用の方に入れております。この(1)、(2)の条 件を満たして、1週間の所定労働時間が30時間以上ある方々が、法定雇用率を算出する 際の常用雇用労働者の判断基準になっております。これが一般の場合ということです。 あくまで将来を見て1年先に雇用の見込みがあるか、ということで判断をいたします。  これに対して、登録型派遣労働者の皆様については4点ほどあり、常用雇用労働者で あることを確認しようとする日以前、過去1年間を振り返って、その状況がどうであっ たか。328日間、派遣元企業と雇用関係にあったか、というようなことを判断しておりま す。これがまず1点です。  また、派遣の契約の場合、長期の場合もありますが、比較的短期の契約を繰り返す場 合があります。その短期の契約と契約の間の間隔が3日以内である。基本は3日以内の 期間をもって契約を更新していると。ただし、3日以上あったとしても、概ね10日ほど あったとしても、1年間にその1回限りしか契約の切れ目がありませんという場合は同 様に扱っております。  また、1年間振り返った際の雇用契約期間中に本人が辞める、または会社側からの解 雇がない。また通常の労働者と同じように1週間の所定労働時間が30時間以上の就業形 態である。この4点を満たした皆様が、登録型派遣労働者として、雇用率算定の上では 常用雇用労働者というように扱っております。  こういう算出方法になりますので、実際に派遣元の企業で、通常の社員プラス登録型 派遣社員を含めて数万人規模の企業があろうかと思います。ただ、この4項目を満たし て常用労働者を算定した場合に、数万という単位が現実的に企業によっては数千ぐらい まで落ちるという状況も見受けられます。それほどこの4つの条件を満たす方はあまり 多くないのかな、というように実態からは受け取れると思っております。  いまご覧いただいているのがイメージした場合です。一般の方は将来を見ます。将来 1年以上の雇用の見込みがあるかどうかを見ます。派遣の場合は、確認をしようとする 日から1年間後ろを振り返ります。このようなことでご理解いただきたいと思います。 ここの段階で、現在も派遣労働者の取扱いは雇用率の制度上、若干一般の取扱いと異な っているということはご了解いただきたいと思います。  いまの状況を踏まえ、次は窓口においてどのような取扱い状況になっているか、職業 紹介状況について説明いたします。派遣元企業から、実際に障害者である労働者の派遣 労働者としての求人をどの程度ハローワークで預かっているかということです。この部 分については、ハローワーク品川のほか、都内4拠点のハローワークから意見を聞いた 際に、取扱い件数としては、現段階では非常に少ないです、数件程度しか見当たりませ ん、ということを各ハローワークから伺っております。  ここは、先ほど説明がありましたとおり、派遣企業にとっては顧客側に当たりますが、 そちら側のニーズが非常に少ないがために、求人募集というものにつながっていないの ではないか、というように窓口の職員、我々も考えております。実際にニーズがない所 に募集は行ってこないのであろうということが考えられています。そういう意味から、 非常に取扱い件数は少なくなっております。  一方求職者側、仕事を探す障害者側は、この派遣労働をどのように考えているかとい うことについてです。ハローワークの場合、仕事をこれから探します、という求職の申 込みと申しますが、その契機において、例えば私は派遣労働という就業形態を希望して 自分のライフスタイルに合わせた働き方を希望しますと。こういう派遣というメリット を最大限に活かして希望するのだという方は、残念ながらあまり多く見受けられない。 障害者側も見受けられないのが現状です。  前に説明しましたが、少ない数ではありますが求人もお預かりしております。その中 で、当初、派遣という就業形態を希望していない方でも、やはり求人というものに応募 する場合は見受けられます、ということを窓口の職員から聴取りはできております。た だ、応募に当たっては派遣で働きたいという積極的なイメージよりも、例えば、正社員 の仕事を探しました、契約社員の仕事を探しました、どうしても自分の希望や、できる ことに合う求人がない、行きついた先に派遣という形態で求人がありました、これだと 応募ができそうだと。こういうパターンで応募する方が多く見受けられます、というこ とを窓口の職員は感じているところです。  ここについては障害者から聞く意見や、ハローワークの窓口の職員が感じる部分とし て、実際に障害者の派遣労働のニーズはあるのでしょうか、ということになった場合、 まだ派遣労働というものについて不安定であるというイメージを非常に強く求職者側も 持っていますし、職員側も、ある種持っているのも現実です。  現在、企業は障害者雇用に非常に熱心に取り組んでいて、求人も以前に比べてハロー ワークに多くお預かりするようになっております。求人が増えてくれば、仕事を探す障 害者にとっては選択肢がいろいろ増えてまいります。その中で、あえて派遣労働という 就業形態を選択する方は、いまはあまりいません。選択肢が多様なために、順番でいう と、どんどん先送りになってしまうのが実感としてあるのではないかということを窓口 で聴き取れております。いま説明したのはハローワークの職業紹介の窓口における状況 です。  続いて、私ども雇用指導官が企業を窓口でお迎えした際、企業側からどのような意見 が聴取できているかというと、先ほどご説明をいただきました内容と全く相違する状況 ではありません。派遣元企業の場合、常用労働者の大半の部分が登録型派遣労働者であ る場合が非常に多いです。その際、派遣労働者としての障害者の雇用が成立しないとど うしても雇用率が上がりません。その派遣労働者について、それでは雇用を伸ばせばと いうことになるわけですが、ここについては派遣先のニーズがありません、受入れ先の 理解が得られません、よって障害者雇用をしていくのは非常に難しい部分があります。 これが1点です。  また、雇用率だけに着目して言いますと、どうしても雇用率が上昇しないのは派遣労 働者の部分で雇用が適わない。そうなると派遣以外の常用労働者の部分で雇用を進めな ければならないのですが、残された派遣労働者以外の人数はそんなに多くはありません。 そこで派遣労働者を含めた常用労働者で算定した法定雇用障害者数を吸収するのは非常 に困難です。大きく言えば、この2つに企業の意見は集約されるのではないかと私ども は感じております。  こういう意見のほかに、派遣先のほうで障害者雇用を進める動機付けとなるような制 度を導入してほしいと。ご説明がありました、例えば、0.5カウント、0.5カウントとか。 それを、例えば派遣先で受け入れた場合、派遣先のほうで何らかの報奨制度を設けると か、または助成金の対象にするというものがないと少し難しいのではないか。制度面で ご検討いただきたいという意見も、数社の派遣会社からお伺いをしているところです。  このような意見を我々伺ったとしましても、「はい、そうですか」というわけにはい きませんので、そのような企業に相対する場合も、やはり進められる部分で取組みを進 めていただきたい。派遣労働者の部分が難しければ、派遣労働者以外の部分でどうにか 取組みを進めていただきたいということで、ご提案をしたり、企業の見学にお連れした りということで指導を進めております。  その中で4項目を挙げるとすれば、やはり既存の業務の中で、例えば1人欠員が出た からそこに障害者を1人入れるという発想ではなく、もう少し根っこの部分から障害者 が働ける仕事を創出する意味で、業務の見直しまで手を入れてくださいと。  また、アウトソーシングしている部分について比較的障害者が就きやすい仕事が多数 含まれているということがありますので、現在企業が外部に出している仕事を、逆に企 業の中に戻すことも検討の1つにしてくださいと。  また、派遣という部分で、いま大企業グループ会社の中で企業がお持ちのケースもあ りますが、例えば親企業に対して、障害者を派遣することを親企業に理解をいただいて、 グループ内で派遣労働者としての障害者雇用を進めていただけないか、ということもお 願いしております。特に大規模な派遣企業については、1つの例として、全国に支店・ 支社がありますので、ここに1人でも2人でも、とにかく各拠点で展開をお願いしたい ということで、私ども地域のハローワークにも協力をお願して、地域ごとの採用を進め ていただくことをご提案しております。  そのほか、特例子会社を活用してくださいと、こちらについても日頃からお願いして おります。実際に大手の派遣会社は、特例子会社をお持ちの企業が多くなっております。 特例子会社の制度を活用し雇用率を達成している企業もあります。私の担当している企 業も、非常に厳しい指導までいった企業ですが、法定雇用率達成まであと1人というと ころまできている企業もあります。その部分というのは、派遣労働者という部分で雇用 を進めて達成するというのは、いま現実的にはなかなか難しい状況ですので、実態とし ては、例えば事務補助的なことを本体の企業から業務を請負う。または、全く基幹業務 と違った清掃業務を行うといった多様な方法を選択・導入をしていただいて達成をして おります。派遣業自体が雇用率の達成が不可能だということは、こうした取組みで達成 している企業がありますので、我々としては受け入れていないのが現状です。いろいろ 提案をさせていただき、多様な方法で取組みを進めていくということを説明しています。  また、雇用を進めるのが厳しいのは派遣業に限ったことではなく、多くの企業、例え ば1例を挙げれば、デパート、百貨店等で社員が3名なのか4名なのか、非常に小さな 店舗展開を全国で数百数千という形で取組みを進めている企業もあります。ここでも同 様に、我々厳しいという話を承っております。やはり同様の提案をさせていただきなが ら、雇用率達成に向けて支援しているのが現状です。  最後になりますが、障害者の派遣労働をこれから広げていくためには、どういった条 件整備が必要かということで、派遣元、派遣先、求職者の立場の視点から、このような ことが必要ではないかというようなことを意見として取りまとめました。まず、いちば ん必要なのは、派遣先に障害者として派遣労働者を受け入れていただく仕組み、環境が 整わないとなかなか進まないことは切実に感じております。そのためには、派遣元の企 業としてどういった取組みがいま考えられるのかといった場合、やはり派遣先に受け入 れていただいて十分活躍できる障害者を育成するような取組みは不可欠ではないかと感 じております。  また、障害者を派遣先に送り出した際に、派遣先において、例えば仕事を行う職場環 境の整備、障害に応じた配慮の仕方などをご提案をする、支援を差し上げる。また、何 かあった場合に遠慮なく相談を受けられる体制を派遣元は充実させることが重要です。 また、派遣先企業に関しては、現状ではなかなかニーズがない状況ですので、何らかの 動機付け、これは制度面ということになるのでしょうか、こういったものを導入してい かないと現状が大きく変わることは考えにくい。こういったことは職業紹介の職員も、 雇用指導の現場の職員も思うところです。  また、求職者にとってはどうでしょうと言った場合、障害をお持ちの求職者は、働く 先が自分の障害に十分配慮していただける、安心して働ける職場環境や支援体制、相談 体制が確立されていないと、気持はそこに向かないものが1点あると思います。ここに ついては派遣元企業の取組みの中で、派遣先に対して十分そのような支援が行われて、 派遣先で障害者雇用の理解が十分進めば求職者に対する動機付けになるのが1つ。  派遣が仮に入口になったとしても、その後、安定した雇用につなげられる仕組みとい うか、派遣労働という、ある種不安定なイメージをなくしていく取組みが必要だと思い ます。先ほど質問でも出ましたが、紹介予定派遣制度を十分活用し、紹介の入口は派遣 労働者であるけれども、その先は、派遣先で常用雇用の可能性はあるのだということが 拡大すれば、求職者側も派遣労働を入口として、就職先を検討していく動機付けになる と感じている次第です。  雑ぱくな説明でしたが、以上、私どもと都内のハローワークから何件か聞いた意見に ついて、ご紹介をさせていただきました。質問を承りたいと思います。 ○岩村座長  どうもありがとうございました。品川、その他東京のハローワークにおける実際の業 務からのお話ということで、大変的確にいろいろお話をいただいたと思います。いまの ご説明に関しまして、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。  なお、先ほどの中村社長のご説明について、追加のご質問、ご意見でも構いませんの で、よろしくお願いいたします。 ○輪島委員  紹介予定派遣とトライアル雇用の違いをどうお考えになるのか。いま制度的に紹介予 定派遣が終わった後にトライアル雇用はとれるのですか。 ○加藤氏  いま現在3カ月間のトライアル雇用がありますが、3カ月間の有期雇用とどう違うの かということに類似すると思いますが、トライアル雇用制度を利用すれば奨励金が企業 に支給されるかどうかということになります。紹介予定派遣は6カ月以内の期間ですの で、紹介予定派遣の期間の中で、例えば企業側も障害者を見極める、障害者も企業側を 見極めるという点では、一定の期間を置くということではトライアルと変わらないと思 っております。ただ、そこに奨励金が支給されるかどうかです。  2点目ですが、現在制度上は、派遣というような相手先に、結局雇用管理を雇用元で はないところで実際に就業しておりますので、そこでのトライアル雇用は制度上認めら れていないのが現状です。ですから、紹介予定派遣が終わった後に、トライアルは現行 の制度の中では利用できないと考えております。 ○輪島委員  障害を持った方を紹介予定派遣にするのとトライアル雇用と、派遣先にとってどうい う違いがあるかというと、あまり違いはないのではないか。紹介予定派遣に、もし派遣 先へのメリットをつけておけば、トライアルを使わないで紹介予定派遣を積極的に使っ ていくインセンティブになるのではないかと思うのです。例えば指導の窓口で使い分け て、いまは委託訓練とトライアル雇用の2つしかありませんが、もう1つ選択肢を増や して、紹介予定派遣というようなものをもっと積極的に使ったらどうですかということ を、派遣先の未達成の企業も含めて、ツールになるのではないかと思うのですが、その 点はどうですか。 ○加藤氏  その制度自体は派遣業の方だけに使えるということですね。 ○輪島委員  派遣元については紹介予定派遣しか使えませんが、ただ、派遣先はどこも同じで。派 遣先の未達成企業はたくさんあるわけですよね。 ○加藤氏  はい。 ○輪島委員  だから派遣元が紹介予定派遣を使えるように、紹介予定派遣に、派遣先にメリットを つけておく。いま紹介予定派遣のメリットは何もないですね。 ○加藤氏  はい。 ○輪島委員  だから何がしかの、派遣先にとっての紹介予定派遣のメリットをつけておけば、第3 の指導のツールになるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。 ○加藤氏  それが制度化されれば我々も企業指導の中で、紹介予定派遣を使うことにより、受入 れ先で、制度面でこういった支援が受けられますよと、そこの部分については有効だと 考えます。まだ細かい制度の整備ということではなくて、大枠ではということでご理解 いただきたいと思います。 ○北浦委員  最後に課題で2つ整理されていますが、大変よく整理されていて勉強させていただき ました。要は求職サイドと求人サイドの両方に問題があるということで、大変明快に整 理されておりますが、最後の課題の所を見ますと、先ほどの議論ともつながりますが派 遣先企業への動機付けと、それとは裏腹に、求職者にとっての課題の所でも派遣先での 配慮などがある。おそらく、メリットを与えることと配慮は一対になっているのだと思 うのです。それが同時に解決されると一歩進むだろうという感じはいたしました。その ときに、先ほど岩村座長のご指摘にもあったように、それで成立したときに求人が増え てくる。だけどそれは特定の業務に偏ってくるとか、一定のところになる、あるいは、 特定の障害部位の方だけのところが広がってしまうという形にならないかとか。そこは もう少し広げていくために何か手立てが必要かどうかが1点。まず広げることが大事だ と思いますが、そこがどうなるかという点です。  それを整理したとしても、実は派遣労働が安定的でないという印象を持った方が非常 に多い。それに対する解決の取段として紹介予定派遣は大事なポイントだと思います。 そうすると派遣労働というのが、いわゆる常用就職といいますか、そういったところへ の、いわばプロセスであるという位置づけの形になるわけで、それも1つだろうと思い ます。全体として見れば派遣労働そのものを多様な働き方として認めて求めていこうと いう働き方があるわけです。その辺のところの問題点がまだ残る感じがします。  私がこれを見ていて分からなかったのは、求人そのものがまずないという現状の中に おいて、派遣労働に対する認識があまりないということもあるのかなという感じがした のです。全部紹介予定派遣だけで解決する1つの問題でありますが、そういう形が全部 障害者の派遣の問題は、そちらで解決できると考えるのか、あるいは、派遣労働そのも ののところにおいて手立てが何か必要なのか。この2点についてをお聞かせいただけれ ばと思います。 ○加藤氏  順序が逆になり申し訳ありませんが、確かに、すべてに紹介予定派遣の制度を入れれ ば物事が丸く収まることではないと思うのです。1つの切り口としては、そういうもの から入っていくのも有効ではないかという観点で考えております。この制度で障害者の 受入れが進んでくれば、一般企業で受け入れていただく際も、まず一歩踏み出せないが ために広がりをみせない現状があります。1つの大な切り口で、入り込んで、そこから 広がりを見せていけばいいかなということが考えられると思います。  また、1点目のご質問で、派遣労働という働き方を障害者に特化した場合、すべて常 用雇用のプロセスになってしまうのではないかとご指摘を受けたところですが、いま障 害をお持ちの方という観点で言えば、本来の派遣のメリットを活かした部分の希望が実 際には少ない現状がありますので、この現状に対応する中では、結果的に障害者の求職 者が紹介予定派遣を1つのプロセスにして常用雇用に移行するのが結果として残っても、 初期の段階ではやむを得ないのかなと考えています。 ○舘委員  今まで私はこの世界で生きてきたのですが、今日「紹介予定派遣」を聞いて、こうい うのがあるのかとびっくりしました。今まで安定所や公共職業訓練という所で障害者が 企業に参入するようにバックアップしてきたわけです。これから紹介予定派遣が、人材 派遣業の会社が、先ほどの中村さんのお話のように、自社で、例えば特例子会社をつく って、いろいろな人事のノウハウを積み上げてと。2つ競争するのはすごくいいと思い ますが、企業がやるとなると非常に一生懸命やられると思うので、うまく協働していっ てほしいなというか、だんだん公共的なものが駄目になっていくわけではないのでしょ うが、もっと総合的にいく形になっていってほしいという感じをすごく今日のお話を聞 いて感じました。  例えば、公共部門では売り込むために職業訓練校とタイアップをして、売れ筋の職業 訓練をするといったのは、いま試みているようなことはあるのでしょうか。 ○加藤氏  それは公共職業訓練の場でということでしょうか。 ○舘委員  はい。 ○加藤氏  厚生労働省から都道府県に、基本的に公共訓練の場合はお願いされていて、現実、都 道府県の管理下ので就職につながる訓練についての見直しの検討をしていただいている と私も思いたいですし、現に、そのようになってきていると思います。ただ、いま企業 が求めるニーズと実際に行われている訓練、例えば量的なものや質的なものが、いま非 常にいいバランスかどうかとなると、ちょっと疑問は多少残っていますが、ここは改善 されてくるものと思っております。 ○舘委員  実際実務をされている立場で、もし制度が変われば、例えば先ほどのように派遣先で カウントされるようになると、すごく活性化されていくと思うのですが、そういうもの に対して実務者として、期待なのか不安なのかはよく分かりませんが、どういうお気持 でしょうか。 ○加藤氏  それは中村氏が言われた、例えば両方にカウントする制度が仮に導入された場合にと いう、1つの想定の下にということでしょうか。 ○舘委員  はい。 ○加藤氏  派遣の協会から厚生労働省宛に出した文書も拝見しましたが、あの1カウント、1カ ウントというのは私ども現実的なことだと考えておらないのが正直なところです。私の ほうで説明をしたとおり、障害者を雇用率にカウントする、障害者だけをカウントする 場合を見ても、1年間振り返って、現行制度では4つの条件に当てはまらないとカウン トできないということを派遣を受けた企業が、雇用の状況を、通常6月1日に確認しま すが、その段階できちんと把握できるのかが、やはり実務的な作業で出てくると思って おります。例えば瞬間的に、そのとき障害者である派遣労働者を受け入れているから1 カウントになるかというと、そうではないということを見れば、運用面で、あまり現実 的でないと思いますし、1人の方を2つにカウントすることも現実的ではないのかなと。  このことは私どもも思っておりますが、一部の派遣会社も、こういった意見は厚生労 働省に出していることは承知しております。その中でも、派遣業の事業主自体も、実際 これでいいのかなという意見をお持ちの企業もいらっしゃいます。ですから、そこの部 分においては、我々は期待していないというか、それによって圧倒的に雇用が増えると は思っておりません。 ○鈴木委員  いま私たちの所でも職業訓練という形でハローワークから職業訓練校を通じて、いわ ゆるテープ起こしといいましょうか、議事録の作成のみの職業訓練をやっていたりする わけですが、今まで3年続けてやってきましたが、ほとんど派遣なり何なりで就職した ケースはないのです。就労支援という形でいろいろ職業訓練をしても、結局、行き先が、 派遣先というか就職先がないのにやっていていいのかなと。その辺のところはハローワ ークとしても、こういうのをやっているからという売込みはないのかな、というのが1 点伺いたいと思います。  もう1つは紹介予定派遣についてです。数年同じ人を継続して雇っていれば、いわゆ る常勤のということなのですが。中村さんにお伺いします。企業の職員になるというこ とは、企業側はいろいろな支払いが発生します。常識的に考えれば国民保険から社会保 険に移る、そうすると企業側の支出が多くなるのではないか。だから、2年ぐらい雇っ たら切り替えて、同じような仕事をする人を派遣してもらったほうが、企業としては同 じ金額でできるのではないかと、私が企業主だと考えますが、その辺はどうなのでしょ うか。 ○加藤氏  1点目ですが、私ども視覚障害者の雇用促進については、厚生労働省及び関係の就労 支援の皆様、訓練施設の皆様からもお話を伺っております。いまOA機器が発展した状 況の中で、多様な仕事に対応できる方が出ていることは私なりに承知しております。そ れは企業の現場、雇用指導の場面においても、今までは、あんま・マッサージに集約さ れていた部分が現実としてあります。そういったイメージを持たれている企業も多いも のですから、実際には、いまOA機器を使ってテープ起こしにしても、入力作業にして も、一定の支援機器等が揃えば十分活躍できる場があります、ということでご紹介をし ております。また、実際に視覚障害者の訓練を行っている場に企業をお連れして、実際 にこれぐらいのことができますよ、ということは実際に企業に見てもらっています。そ の中で理解を求めて企業に検討を促していることは実態としてございます。 ○中村氏  いま2点ご質問いただいたかと思います。1点目の雇用期間で、3年を超えた場合は 常用雇用になるという話ですが、この2つは制度が別でございます。1つは派遣労働の 契約期間が更新を含めて3年を超えた場合には派遣という就業形態ではなく、派遣先の 企業が常用者として直接雇用しなさいという制度です。これと今から申し上げる紹介予 定派遣とは別のものです。いまの3年を超えた場合というのは派遣元が決めることでは なく、法律として通達をいただいているものです。  紹介予定派遣の場合は、6カ月以内の派遣契約を設定して、その派遣契約期間が終了 した後に直接雇用するか、しないかという当事者同士の合意があれば、正社員登用、ま たは契約社員登用になるという話ですので、ここは分けてお考えいただいたほうがよろ しいかと思います。  2点目は、派遣社員を紹介予定派遣でも3年を超えた後でも直接雇用にするよりも派 遣のほうが費用として安いのではないかというお話ですが、これはおっしゃるとおりで す。私も営業のときに、それをよくお話していました。3年を超えた場合のご提案は、 これは法律ですので提案するものではありません。いま紹介予定派遣が増えているとい う状況を説明しますと、いろいろな要因がありますが、大きく言うと2つあると思って おります。1つは景気が回復したというか、求人数が増えてきて、いわゆる売手市場に なっています。先ほど加藤様からもご指摘がありましたが、やはり派遣というのは、あ る意味、不安定要素を感じる方もいらっしゃいます。簡単に言いますと、今まで正社員 の職がなくて派遣に登録していたという方が、今度派遣期間を踏まえて正社員になれる という、求人数が増えてきたという状況に対して呼応しているという状況が1点です。  また、企業側から見て費用が増えるのではないかという話ですが、今のお話と全く同 じで、企業が正社員を採りたくなってきたのですね。これはいろいろな意味合いがあり ます。少子高齢化であったり、団塊世代の引退であったり、今後先を見て優秀な方を雇 うためには正社員職がいいのではないかというような議論があって、直接雇用または紹 介予定派遣の就業形態を企業が選択してきましたので、今までみたいな短期的な費用の 考え方ではなく長期的な投資ということで、人件費を正社員という固定費に振り替えて きたという状況です。いまどちらかというと企業が人件費、または採用経費を抑制する というよりも、優秀な方を集めたいというニーズのほうが強いというお話かなと考えて おります。 ○鈴木委員  優秀なというのがちょっとね。 ○中村氏  必要な言ったほうがいいですね。 ○岩村座長  いまのお話は、景気動向に左右されるということをおっしゃっていると受け止めてい ただければと思います。 ○八木原委員  私は障害のある方たちに支援をしております。ホームヘルパーの資格を取った方たち が人材派遣会社に登録をしてということで何人かいらっしゃいます。今日の話を伺いま して、少し精神に障害のある方たちの就労の枠が広がってくるかなということも考えま した。  加藤さんが最後にまとめてくださった課題の中に、安定した就労が継続してできるよ うにしていくための相談体制の充実や環境整備が書かれていますが、今回派遣労働者と いうことで、労働スタッフ、派遣元、派遣先の現状と、このトライアルの中に障害のあ る方たちを就労支援をしていくセンターとして、どのような形で連携をとればうまくい くのだろうかをお聞かせ願えたらと思います。 ○加藤氏  連携という面では、実質的に就労する現場に支援者が、支援を理由に容易に受け入れ ていただけるところまで踏み込んで、派遣受入れ先の企業の現場で就労支援者が 十分活躍できるような理解を受入れ先に持っていただく。また派遣元も、やはりご自分 たちも障害者に対する理解や支援策なども自分たちで研究、ノウハウを蓄積してもらう と同時に、まず派遣元のほうで就労支援機関と密接なパイプ・連携を持って、今度A企 業に精神障害者を派遣しますと、このときに就労先で支援をお願いしたいという関係を 構築していけば、就労先のほうで障害者が定着に向けて、安心して働けるのではないか と思っております。 ○岩村座長  最後に私から2点だけお伺いいたします。1つは、先ほど加藤さんからご説明いただ いた派遣労働者の常用雇用労働者の換算の問題、つまり取扱いの問題です。登録型の場 合は4つの要件を満たすと常用労働者として扱うのが今の取扱いということですが、一 見して見たときに、これが厳しすぎないかという感じがするのです。特に障害者という ことを考えたとき、また、それとの並びを考えたときには、かなりきつい印象を受ける のですが、それはどうなのだろうか。もし感想があればということです。  それから、派遣についてはいろいろな議論があって私がこういうことを言うとよくな いのかもしれませんが、先ほどの議論で紹介予定派遣を使うという議論と、もう1つは、 例えば一定の要件を満たす障害者の場合については3年という上限を外すのも、場合に よっては考えられるかもしれないという気がするのです。それが果たして障害者雇用の 拡大につながるかどうかは、私もちょっとどうかなという気がするし、また、プラス・ マイナスの両面がありますので簡単には言えませんが、もしそういうことになった場合 にハローワークの窓口なり、あるいは、例えばテンプスタッフさんなどで、どういうよ うな反応になるかを、直感的で結構ですが、ちょっとお伺いできればと思います。 ○加藤氏  1点目の4つの要件がきついというのは、派遣元企業に対しての制約が。 ○岩村座長  はい。 ○加藤氏  すみません、そこはこういうものだということで。 ○岩村座長  端的に言うと、派遣登録型の、要するに常用雇用労働者に該当する人の範囲が狭まっ てしまって、したがって、そこに入ってくる障害者は、もっと狭まってしまうと、そう いう質問であります。 ○加藤氏  障害者である派遣労働者が入っていた場合に、この要件に当てはまらないと当然カウ ントはできません。ただ、それ以上に障害者でない派遣労働者の分母の部分が、この仕 組みによって小さくなっていますので、そこは大きな弊害ではないと思っております。 ○岩村座長  分かりました。 ○加藤氏  2点目の上限を外す部分については、現在の派遣労働というものに対する障害者の認 識の持ち方からいうと、それが3年以上延びたからといっても、あくまでも派遣労働で すよという形になった場合、あまり大きな動機付けにはならないのではないかと考えて おります。 ○岩村座長  中村様は、いかがでしょうか。 ○中村氏  1点目はお答えしましたので2点目になりますが、企業ニーズは何かというところで、 3年以上雇いたいというニーズではないという話ですね。やはり法定雇用やCSRと。 もっと明確に言うと、法定雇用に還付できないと。唯一それかなと思っております。 ○岩村座長  ありがとうございました。予定した時間を超えて質疑応答にお応えいただきまして、 誠にありがとうございました。中村社長、加藤雇用指導官については、これをもちまし てご退室いただくことになります。               (中村氏、加藤氏退室) ○岩村座長  引き続き議題2、3について、併せて事務局からご説明をいただきたいと思います。 ○事務局  資料1、労働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケート調査についてご 説明いたします。  1. 調査の目的。労働者派遣事業における障害者の派遣労働に関する現状を把握する ため、派遣元事業主、派遣先及び派遣労働者である障害者本人に対して実施するもので す。  2. 調査の内容。3つ調査票があり後ほどそれぞれについてご説明いたします。  3. 調査の実施方法。派遣元事業主については、平成17年度障害者雇用状況報告を提 出している事業主のうち、一般労働者派遣事業の許可を受けている企業、及び特定労働 者派遣事業の届出をしている事業主に対して実施します。その派遣元事業主から派遣先、 さらに障害者である派遣労働者に送付していただき、それぞれから返送していただきま す。  4. 調査対象。派遣元事業主2,000社を見込んでおり、派遣先、障害者である派遣労 働者、それぞれ4,000を見込んでおります。  5. 調査期間。11月28日から12月19日までに行いたいと思っております。  では、それぞれの調査票について説明します。それぞれの調査票について共通ですが、 大まかには障害者の派遣労働の実態。例えば雇用する障害者のうち派遣労働者の数、ど ういったトラブルが発生したか。ご本人に関しては労働時間、賃金といった実態を聞く 視点が1つあります。もう1つは、派遣元事業主、派遣先、障害者である派遣労働者、 それぞれの障害者の派遣労働に関する意向について調査する。実態調査と意向調査の2 つの大きな構成になっております。  まず別添1、派遣元事業主用の調査で、問1以降簡単にご説明します。1. 企業概要。 問1、問2で派遣を行っている業務、労働者派遣事業の種類について質問しております。  2. 労働者数の現状。問3から問7までで、派遣労働者の登録数。現在派遣されてい る労働者数。労働者派遣事業以外の事業の有無。労働者の内訳及びそのうち派遣労働者 の数。過去1年間に派遣された障害者である派遣労働者のうち派遣期間が1年未満であ る者の割合、及びその派遣期間の平均について質問しております。  3. 障害者である派遣労働者の派遣について。問8から問10までで、障害者である派 遣労働者について派遣経験の有無。派遣することになった理由。派遣を行った業務につ いて質問するとともに、問11から問14まで、派遣の際に障害の状況を伝えたかどうか。 また、どの程度伝えているか。伝えたこと、伝えなかったことによりトラブルが発生し たかについて質問しております。  4. 障害者である派遣労働者への配慮等。問15から問17までで、このような配慮につ いて派遣元事業主と派遣先との間での役割分担。また、派遣先で働きやすくするために 重要な取組み。障害者の雇用義務、あるいは雇用率制度をどのように課したり、どのよ うに適用するかについて質問しております。  5. 紹介予定派遣について。問18から問23までで、紹介予定派遣の実施の有無。障害 者である派遣労働者に対する紹介予定派遣の実施の有無。今後の予定。予定がある場合 はその理由。障害者の派遣先への移行を促進する施策により紹介予定派遣のニーズが増 加するかどうかをお聞きしたいと考えております。  別添2、派遣先に対する調査票です。1. 企業概要。派遣労働者を受け入れている業 務について質問しております。  2. 労働者数の現状です。問2から問4までで、受け入れている現在の派遣労働者の 数。障害者である派遣労働者の数。労働者の内訳について質問しております。  3. 障害者である派遣労働者の受入等について。問5から問10までで、障害者である 派遣労働者の受入経験の有無。受け入れたときに障害者であることが伝えられたかどう か。伝えられたことにより交代の要求といった対応を取ったか。知らなかったことによ りトラブルになったか。今後障害者である派遣労働者を受け入れて活用する考えの有無。 派遣労働者として障害者を受け入れる場合、事前に障害者であることを把握できる仕組 みにより受入れが促進されるか。こういった点について質問しております。  4. 障害者である派遣労働者への配慮等。問11から問13までで、これは派遣元事業主 に対する質問と同様ですが、障害者である派遣労働者への配慮について、派遣元事業主 と派遣先との間での役割分担。派遣先で働きやすくするための重要な取組み。障害者雇 用義務、雇用率をどのように課したり、どのように適用するかという点について質問し ております。  5. 紹介予定派遣の活用について。問14から問17までで、紹介予定派遣の活用の有無。 障害者である派遣労働者について、紹介予定派遣を活用する予定の有無。障害者である 派遣労働者について、派遣先での雇用への移行を促進する施策があれば紹介予定派遣を 活用したいか。こういった点について質問しております。  別添3は障害のある派遣労働者ご本人に対する調査票です。問1以降、年齢、性別、 現在の業務、雇用契約期間、週所定労働時間、1カ月の賃金、派遣労働を選んだ理由、 きっかけ、派遣労働を続けていく上で派遣元事業主、派遣先に改善が必要な事項、仕事 に関する相談相手、今後希望する働き方、といった点について質問したいと考えており ます。  次は資料2です。1頁、派遣労働に関する参考資料で、労働者派遣事業の現状につい てを示したものです。派遣労働者数の推移、いちばん上が全体の派遣労働者数の推移で、 概ね増加傾向で、平成16年度は、約227万人いるという状況になっています。  2頁、労働者派遣事業の許可・届出受理事業所数です。これも増加傾向で、一般労働 者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の届出の合計で、平成18年10月には約4万6, 000件といった状況になっております。  3頁、Iは先ほどの派遣労働者数で、現在約227万人といった状況になっております。 IIは派遣件数で、平成16年度で約50万件となっております。IIIは紹介予定派遣で、平成 16年度で紹介予定派遣により派遣された労働者は1万9,474人で、紹介予定派遣で職業 紹介を経て直接雇用に結び付いた労働者数は1万655人といった状況になっております。  4頁、障害者の派遣労働に関するニーズです。派遣労働の希望の有無について見ます と、障害者全体では、左の円グラフにありますとおり、派遣労働を希望する障害者は 13.7%。障害別に見ますと、右の円グラフにあるとおり、身体障害者で約13.9%、知的 障害者で約14.9%といった状況になっています。  資料については以上です。 ○岩村座長  ただいまご説明いただきました調査の点について、皆様のご意見、ご質問があればお 伺いしたいと思います。 ○輪島委員  あまり考えがまとまっていないのでバラバラ申し上げます。大体1、2、3それぞれ かなり難しい調査だと思いますので、それが的確に人に伝わる方法をどう考えるのかと いうことを思うと、単に郵送でうまく回るのかなという気がします。例えば派遣協会と 相談する考えがあるのかどうか。派遣協会経由でやると多少バイヤスがかかるかもしれ ないので、その辺はどうなのかが心配ですが、そこの工夫が必要なのではないかと思っ ています。  中村社長からのプレゼンテーションでいうと、登録をするときに手帳の所持について ほとんどスピークアウトがないので、それをどのようにこの中に入れ込むのかが難しい と思います。それから、別添2の派遣先に聞く問9、「今後、派遣スタッフを受け入れ て活用する考えはありますか」というと、大体(2)か(3)のところで、(2)で「何らかの支援 が」とありますが、この何らかの支援が派遣先にとってどういうメリットがあればいい のかを聞かないと、おそらく出てこないと思いますので、問9の「何らかの支援」は実 際に何の支援がほしいのかを聞いたほうがいいのではないかと思います。  別添3は、どう思うかがよく分からないのです。障害種別に聞いていないので、例え ば精神の方が問12で、今後もずっと派遣スタッフとして働きたいというのか。そうする と、セクション外の方にもとると、この調査票では使えないという問題があるのですが、 そこは工夫ができるのかどうか。ちょっと難しい点もありますが、その辺をどういうよ うに。総合的にとるのかを考えておかないと。調査として分析可能な程度になるのかど うかという点もちょっとあるのかなと思っています。 ○岩村座長  いまの時点で事務局からお答えいただくことがありますでしょうか。 ○障害者雇用対策課長  調査の中身についていろいろときちんとご理解をいただいた上で書いていただくとい う点については、おっしゃるとおりだと思います。私どもなりにこの調査の趣旨とか、 どういった観点からどういったことをお聞きしようとしているのかを、例えばこの調査 票を単にお送りするだけではなく、手紙的なものを付けて、ご説明した上で書いていた だけるように工夫してみたいと思いますので、そういったことでご理解いただければと 思っております。  登録の場面で障害者としての把握が十分できていないのではないかというお話につい て、このアンケートとの関係でどうかということですが、基本的には、そもそも6・1 で把握していただいているような障害者として雇用している方の中に、派遣の方がどの ぐらいいるかというところで実態を押さえようと思いまして、派遣元でいえば、派遣元 の問5の表の中で、そういったデータが取れるように工夫をしてみました。なるべく書 いていただくほうの負担感を減らすということもあり、問いの数を絞る工夫もしている ところです。問5の所で把握できるということでご理解をいただきたいと思います。  派遣先の問9については、おっしゃっている点は確かにありますので、設問を増やす か、ないしは、何らかの支援ということについて自由記載で少し書いていただくか、ち ょっと工夫をしてみたいと思います。  別添3の障害者向けに用意しているものですが、どの程度このアンケートによって回 答をいただくことができるかという点もあり、障害種別ごとに分けて集計できるほど回 答をいただけるかどうかということもあったものですから、種別で分けることは特に考 えなかったところです。いまのご意見を踏まえて、どうするかを私どもとして検討して みたいと思います。 ○岩村座長  では、よろしくお願いいたします。輪島委員、よろしいですか。 ○輪島委員  派遣元会社は特例子会社を持つケースが多いので、そこを経由で聞くとか、特例子会 社の意見だけを別途集計するとか、そういうことでニーズがつかめるのであれば少し工 夫をしていただければと思っています。 ○岩村座長  ほかには、いかがでしょうか。ご検討いただいて、お気付きの点があれば早急に事務 局にご意見などをお伝えいただければと存じます。よろしくお願いいたします。  ほかにご意見がなければ、労働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケー ト調査については、ただいまご指摘のあったようなご意見、それから、もしありました ら早急に事務局にお伝えいただくご意見を踏まえた上で、適宜、事務局で調査票に修正 を加えた上で、調査の実施をお願いしたいと思います。もし修正することになれば私と 事務局で再度調整をさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○岩村座長  では、そのようにさせていただきます。次回も引き続き関係者の方からのヒアリング を行う予定をしております。日程等について事務局からご説明をいただきたいと思いま す。 ○事務局  次回は12月15日(金)、15:30〜17:30、場所は厚生労働省17階の専用第21会議室を 予定しております。また、本日お手元に次回研究会の出欠確認の用紙を配付しておりま す。ご記入いただきまして、お帰りの際に机の上に残していただくか、今週金曜日 (24日)までにファックスで返信していただきますよう、お願い申し上げます。  また、第2回研究会の議事録、未定稿ですが、それを配付しております。内容をご確 認いただき、ホームページに公開したいと考えておりますので、ご意見等がありました ら来週の金曜日(12月1日)までに事務局宛にご連絡いただければと思います。 ○岩村座長  よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○岩村座長  最後に本日の議事ですが、議事録を公開しても特に差し支えはないかと考えますが、 それでよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○岩村座長  どうもありがとうございます。それでは、これをもちまして今日の研究会は終了とさ せていただきます。今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。 【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課   雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL  03(5253)1111(内線5855)  FAX  03(3502)5394