06/11/20 がん対策の推進に関する意見交換会第1回議事録 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室             佐々木(内線2945)     小 山(内線2946) 第1回 がん対策の推進に関する意見交換会 日時 平成18年11月20日(月)9:00〜12:00 場所 厚生労働省 共用第8会議室   武田室長 それでは定刻となりましたので、ただいまより第1回がん対策の推進に関 する意見交換会を開催させていただきます。まず初めに、厚生労働省健康局長よりごあ いさつ申し上げます。    外口健康局長 おはようございます。本日は、大変お忙しいところお集まりいただき まして、まことにありがとうございます。  さて、皆様御承知のとおり、先般の通常国会におきまして、がん対策基本法が制定さ れました。がん対策につきましてはこれまでよりも一層の取り組みが求められ、また、 期待されているところでございます。このがん対策基本法の施行は来年の4月からでご ざいますが、4月になる前にできること、やるべきことをやっていきたいと考えており ます。そして、その一つとして、これまでのがん対策の再点検と課題の抽出等を行うた めに、がん患者御本人やその御家族、がん医療に従事されている方や有識者の方にお集 まりいただき、意見交換をしていただく場を設けさせていただきました。文部科学省、 経済産業省、内閣府からも参加していただいております。また、この御意見をできるだ け幅広く伺いたいと考えており、第2回目、第3回目には患者会や医学会等、がん対策 に関連する団体からのヒアリングを予定しております。また、現在、広く国民の皆様に 対しても、がん対策の推進に関する御意見を募集しております。その集計結果も、この 意見交換会に報告させていただくこととしております。委員の皆様方におかれましては、 皆様の目からごらんになられたこれまでのがん対策、そして、今後のがん対策のあるべ き姿等に関しまして貴重な御意見を賜りますよう改めてお願いいたしまして、簡単では ございますが、本意見交換会開催にあたってのあいさつとさせていただきます。どうぞ よろしくお願いいたします。    武田室長 それでは続きまして、委員の御紹介をさせていただきます。資料2のとこ ろに一覧で記させていただきましたので、それを御参考にしていただければと思います。 まず、50音順に御紹介させていただきます。まず、内田委員でございます。海辺委員で ございます。大江委員です。角田委員です。垣添委員です。田島委員です。富樫委員で す。本田委員です。門田委員です。山田委員です。以上、10名の方の御紹介でございま した。続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。まず、大臣官房参事官の上家 でございます。続きまして、健康局総務課長、岡部でございます。それから、私が健康 局総務課がん対策推進室長の武田でございます。よろしくお願いいたします。また、本 日はがんに関する研究などでかかわりのあります関係府省の方々にも御列席いただいて おります。文部科学省高等教育局医学教育課長の三浦様。同じく文部科学省研究振興局 研究振興戦略官付、先端医科学研究企画官池田様。それから、経済産業省から、商務情 報政策局医療福祉機器産業室長の堀口様。それから、内閣府政策統括官付参事官の山本 様。以上、4名の方にも御出席をいただいております。  それでは、引き続きまして、資料の確認をさせていただきます。まず、資料束になっ てございますけれども、議事次第の次に、資料1といたしまして、本意見交換会の開催 要項がございます。それから、資料2といたしまして、今御紹介させていただきました 委員の一覧がございます。それから、資料3といたしまして、これもがん対策について 行政庁提出資料ということでございますが、資料3−1から資料3−16、それから、参 考資料が1から7までを一つにとじたものがございます。参考資料は別途になってござ います。失礼いたしました。それから、資料の4でございますが、がん対策について、 これは各委員より御提出いただいた資料が、資料4−1から資料4−10までまとまって 一つの束になっているものでございます。それから、資料5でございますけれども、こ れは5−1、5−2という2枚つづりのものということでございます。以上、一連の資 料につきまして、もし足りないもの等ございましたら、事務局の方にお申しつけいただ ければと思います。よろしいでしょうか。それでは、適宜またよろしくお願いいたしま す。  続きまして、本意見交換会の座長でございますけれども、垣添委員にお願いしたいと いうふうに考えております。それでは、以後、議事の進行は垣添委員にお願いいたしま す。    垣添座長 それでは、指名をいただきましたので、座長を務めさせていただきます。 大変長丁場で、かつ、たくさん議論いただかなくてはいけない課題がありますが、委員 の皆様方の御協力をいただきながら進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願 い申し上げます。    事務局 では、カメラ録りに関しましてはここまでとさせていただきますので、御協 力のほどよろしくお願いいたします。    垣添座長 それでは、早速議題に入りたいと思います。本日はがん対策の現状につき まして、行政庁側から御説明をいただいた後に、私も含めまして、各委員の皆様からお 一人約10分ということでがん対策について思うところを御発表いただきまして、その後、 意見交換を行うということにいたしたいと思います。説明事項、御発表内容、かなりタ イトなスケジュールになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、ま ずがん対策の現状について、厚生労働省より説明をお願いいたします。    武田室長 それでは、御説明させていただきます。それでは資料3、がん対策につい て、行政庁提出資料、このうち厚生労働省の分に関しまして御説明させていただきます。 委員の先生方には事前に本資料を含めましてお届けさせていただいてお目通しをお願い しているところでございますが、また引き続きかいつまんでこの概要について御説明さ せていただきたいと思っております。  資料3−1でございますが、がんに関する統計ということで、主なものをここに列挙 させていただきました。特にこの中で死亡数、罹患数、生涯リスク、受療・患者等につ いて御説明させていただいております。特にこの中で、よく言われております日本人の 3人に1人ががんで死亡。それから、日本人男性の2人に1人、女性の3人に1人が生 涯のうちに1回はがんになるという生涯リスク等につきまして、それぞれの出典等とあ わせて御説明させていただいているところでございます。それから、その資料のp3の ところから、日本における死亡の推移、そのほか死亡率、がんの罹患率、これはp7の ところでございます。それから、p9のところで5年相対生存率等に関しまして、これ は主に国立がんセンターがん対策情報センターのホームページから転載させていただい ておりますが、一般的に言われておりますがんの死亡率等についての御説明をさせてい ただいているところでございます。  それでは、これらのデータに引き続きまして、資料3−2のところでございますが、 「がん対策のあゆみ」というところで、一覧のところが書いてございます。これにつき ましては、特に昭和58年、対がん10カ年総合戦略、それから、平成6年からのがん克 服新10カ年戦略、第2次対がん戦略と呼ばれているものでございます。それから、平成 16年からの第3次対がん総合戦略、これらにつきましては、参考資料7の対がん戦略に ついて書かれたものも御参考にしていただければと思います。このような動きを経まし て、平成17年、昨年の5月に、厚生労働省内にがん対策推進本部が厚生労働大臣を本部 長といたしまして設置されたところでございます。そして、それらの動きを経て、本年 6月にがん対策基本法が議員立法により成立したところでございまして、このがん対策 基本法に関する資料につきましては、参考資料の1から3のところにまとめさせていた だいておりますので、これにつきましても御参考にしていただければというふうに考え ております。  続きまして、「がん予防について」ということで、資料3−3をごらんになっていただ ければと思います。がんの予防ということでございますけれども、この上に書いてござ いますように、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響 につきまして、知識の普及・啓発が必要であるということでございます。取り組みとい たしましては、昭和50年代からの国民健康づくり対策の中で、生活習慣の改善に関する 普及啓発等の対策を推進してまいりました。また、平成12年からはいわゆる健康日本 21が開始されまして、この中で、がんは9つの課題のうちの1つと位置づけられており まして、普及啓発がこれに基づき実施されているということでございます。参考といた しまして、健康日本21の中においてがんについて掲げられている目標につきまして、た ばこ対策を初めとし、以下7つ、そこの下の方に記載させていただいているところでご ざいます。  続きまして、資料3−4でございます。「がん検診について」ということでございます。 がんの早期発見の推進のため、がん検診の方法等の検討、それから、がん検診の事業評 価、がん検診にかかわる医療従事者に対する研修の機会の確保、これらのことによりま して、がん検診の質の向上を図るということが求められているところでございます。現 状といたしまして、その下のところでございますが、昭和57年度以降、老人保健法に基 づく事業として行われておりまして、現在、一定のがん種につきまして、市町村におけ るがん検診を実施しているというところでございます。また、平成20年度以降は、健康 増進法に基づく事業として実施される予定となってございます。これにつきましては、 2枚先のところでございますけれども、「がん検診(市町村事業)について」というとこ ろで細かく今までの経緯、現時点のがん検診、市町村におけるがん検診のがん種につい て、対象者、受診間隔等についてまとめた表がございますので、こちらも参考にしてい ただければというふうに考えております。  それでは、がん検診の資料3−1のところに戻っていただきまして、がん検診の受診 率ということでございますけれども、これはあらゆる実施主体、先ほど申し上げました 市町村のほかに、そのほか企業が事業に対する福利厚生の一貫として行うもの。もしく は、人間ドック等で任意に行うもの等を含めまして、あらゆる実施主体のものを含めて、 男女別、がん種別に見た場合、大体13.5から27.6%ということで、これは次のページ のところ、がん検診の受診率というところで、棒グラフで示させていただいております。 これは、出展は平成16年の国民生活基礎調査に基づく計算ということでございます。  続きまして、取り組みでございますが、がん検診に関する検討会におきまして、がん 検診、手法の有効性の評価、新たな手法の検討、がん検診の事業評価のあり方の検討等 をあわせて実施しているところでございます。現時点におきましては、乳がん検診、子 宮がん検診、大腸がん検診について見直しを行った後、現在、胃がん検診について検討 中であるというところでございます。こちらにつきましても、2枚めくっていただきま して、「がん検診の見直しについて」と表題のついているところが2枚続きでございます。 こちらの方をごらんになっていただければ、がん検診の概要、現時点の課題、それから 今、申し上げましたがん検診に関する検討会についての検討内容、その経緯につきまし て、このところにまとめさせていただいているところでございます。こちらもあわせて 御参考にしていただければと思います。  続きまして、資料3−5でございます。「専門的ながん医療に携わる医師及び医療従事 者の育成について」というところでございます。がん医療は、手術、放射線療法、化学 療法から緩和療法までが集学的に提供されるということが必要でありまして、このため、 各療法の専門的な知識、技能を有する医師、そのほか、専門的な立場である看護師、薬 剤師、診療放射線技師等の医療従事者、これらのものがチームとなってチーム医療を提 供するということが求められているところでございます。これらの人材の養成というこ とが求められておりまして、以下にその取り組みを各医療職種別に記載させていただい ております。まず、取り組みといたしまして、医師の養成に関する取り組みでございま すが、まず、各関係学会におきます専門医等の養成ということで書かせていただいてお ります。学会におきまして独自の基準、これは研修でありますとか経験の症例数であり ますとか、そのほか学科試験等、これらの基準を設けて実施されているところでござい ますが、その以下に、主な一例といたしまして、これだけではございませんが、各関係 学会の専門医等の養成状況につきまして、直近のものを記載させていただいております。 また、その下でございますが、国立がんセンター等における研修ということでございま す。この中で、国立がんセンターにおきましてレジデント・がん専門修練医の受け入れ、 そのほか、がん診療に関する専門的な研修をあわせて実施しているところでございます。 また、国立がんセンターのほかに、がん診療連携拠点病院、これも後ほど御説明させて いただきますが、この拠点病院におきましても、医師に対して専門的な研修を実施する こととなっているところでございます。  続きまして、看護師の方でございますが、これに関しましては、日本看護協会におけ る専門看護師等の養成ということでございます。これは、特にいくつか例が出てきてお りますが、特にがん看護専門看護師等を初めといたしまして、いくつかの認定看護師等 につきまして養成を行っているというところでございます。また、1枚めくっていただ きまして、国立がんセンター等における研修ということでも、看護師に関する専門的な 研修というものも実施しております。また、厚生労働省が都道府県に委託して、看護師 の専門的な研修ということもあわせて実施しているところでございます。  続きまして、薬剤師に関する研修でございますが、日本病院薬剤師会における専門薬 剤師の養成というものを国からの補助で行っているところでございまして、がん専門薬 剤師を育成しているところでございます。また、こちらの薬剤師に関しましても、国立 がんセンターにおける研修を同様に行っていまして、化学療法等に関する専門的な研修 を実施しているというところでございます。そのほか、その下にございますが、診療放 射線技師、臨床検査技師等におきましても、やはり国立がんセンターにおきまして、各 分野における専門的な研修を実施しているというところでございます。  最後に、診療報酬におけるがん関連の専門性の評価ということでまとめさせていただ いております。1つは、次にまた御説明いたしますが、がん診療連携拠点病院におきま して、この特別な加算がございます。これに関して、がん診療連携拠点病院の整備指針 に基づいた専門医師、専門的なコメディカルの配置等を評価しているところでございま す。それからその下、3つほどございますが、これに関して、必ずしもがんに特化した ものではすべてあるわけではございませんが、病理診断料、放射線治療管理料、画像診 断管理料加算等、がんに関連する専門性の評価というものも関連で診療報酬において評 価されているところでございます。  続きまして、資料3−6でございます。「がん診療連携拠点病院について」でございま す。これに関しましては、参考資料4につきましても、あわせて御参考にしていただけ ればと思います。全国どこでも適切ながん医療が受けられる体制、いわゆるがん医療水 準の均てん化というものの整備に向けまして、地域のがん診療の連携の拠点といたしま して、がん診療連携拠点病院を指定しているところでございます。現状でございますが、 都道府県に1カ所程度の都道府県がん診療連携拠点病院、それから、二次医療権に1カ 所程度の地域がん診療連携拠点病院、この2種類がございまして、4年ごとに指定を更 新することとされております。現時点、平成18年11月現在で、45都道府県179病院が 指定されているところでございまして、今後また都道府県からの推薦に基づき、指定が ふえていくということが予想されています。  がん診療連携拠点病院の役割につきまして、以下に大きく3つ記載させていただいて おります。まず第1は、各病院みずからが専門的ながん医療の提供を行うということで ございます。どのようなことがそこで求められているかということはそこのところにま た書かせていただきましたが、集学的治療の実施、標準的な治療の実施、それから、特 にまた緩和ケアの提供、がん登録の推進、特定機能病院の場合は複数種類の腫瘍に対す る抗がん剤治療を行う部門の設置等が指定要件の中で定められているところでございま す。また、もう1つの役割といたしまして、地域におけるがん医療情報の提供体制の構 築というものがございます。これに関しましては、その下にもまた細かく書いてござい ますが、地域における医療連携体制の構築でありますとか、拠点病院の中にある相談支 援センター、これを必ず設置し、地域のがん患者さん、家族の方々、地域の医療機関に 対して情報を提供する。また、都道府県のがん診療連携拠点病院は、県内全域での調整 を図る。そのようなことがこの中で定められているところでございます。また、もう1 つの大事な役割といたしまして、地域のがん医療を支える人材をそれぞれ育成を行うと。 研修もしくは公開カンファレンス等を実施するということがこの中で定められていると ころでございます。  1枚めくっていただきまして、今申し上げましたがん診療連携拠点病院制度のイメー ジというものが、少し細かい図でございますけれども、都道府県の拠点病院もしくは地 域の拠点病院、それと国立がんセンター、がん対策情報センター、これも後で御説明さ せていただきますが、それとの関係というものにつきまして示させていただきましたの で、御参考にしていただければというふうに思っております。  続きまして、資料3−7でございます。「がん患者の療養生活の質の維持向上について」 というところでございます。がん患者の療養生活のQOLの向上ということでございま すが、がんに伴う疼痛等の身体症状の緩和、精神心理的な問題への援助等が、終末期だ けでなく初期段階から積極的な治療と並行して行われるということが非常に重要でござ いまして、また、患者さんの住み慣れました家庭や地域での療養しながら生活を送るこ とができるような在宅医療の充実を図る。これを1つの選択肢としてもっていくという ことが求められているところでございます。緩和ケアにつきましては、WHOの定義、 それから、そのときのイメージ図というもの。初期から切れ目なく行っていくと。並行 して行っていくということのイメージ図をあわせて、そこのところに記させていただい ております。  また、その下の取り組みでございますが、緩和ケアに関する取り組みといたしまして、 緩和ケアチームの設置をがん診療連携拠点病院の指定要件の1つとして明確に必須項目 化してございます。緩和ケアチームに関しての細かい説明でございますが、その下のと ころに記載させていただきましたので、参考にしていただければと思います。いわゆる 多職種から構成される医師のみならず、そのほか看護師等、その他多職種の医療関係者 から構成される緩和ケアチームということでございます。  1枚めくっていただきまして、がん性疼痛に対する医療用麻薬の適正使用の推進とい うことも、医療関係者向けの研修会でありますとかマニュアル作成ということをもって 進めるということとされているところでございます。それから、診療報酬上の評価とい たしましては二つございまして、緩和ケア病棟の入院料、それから、緩和ケア診療加算。 こちらの方に関しましては、後者につきましては緩和ケアチームによる症状の緩和を入 院患者に提供した場合の評価ということでございまして、昨年の7月1日現在で53施設 が届出済みというところでございます。  続きまして、在宅医療でございますけれども、在宅医療につきましては、取り組みと いたしまして、一つ、診療報酬上の評価ということで主なものをここに列挙させていた だいております。一つは、外来化学療法加算というものが2002年より、990施設が届出 をしていると。外来での化学療法につきまして、特に評価をすると。そのほか、その下 に在宅ターミナルケア加算でありますとか、地域連携退院時共同指導料であります。必 ずしもこれはがんに特化したものではございませんが、このようなものもあわせてがん 関連のものとして診療報酬上評価しているというところでございます。また、2006年よ り、その下にございますが、介護保険における対応につきましても、特定疾病へのがん 末期の追加でございますとか療養通所介護の創設など、がん末期患者を含めた在宅中重 度者へのサービスの充実等を行っているというところでございます。  続きまして、資料3−8でございます。「がん医療に関する情報提供及び相談について」 ということでございます。これにつきましては、対象者別に以下に取り組み等を記させ ていただいておりますが、まず、その大もとといたしましては、がん患者さん、それか ら、その御家族にとってはみずからのがんについて知り、適切な治療法、医療機関を選 択するために情報が非常に重要であると。それも、専門的な情報もあわせて必要になっ てくるということ。それから、二つ目といたしまして、医療関係者にとりましても質の 高い医療を提供するためにガイドライン等、がん医療に関する最新の知識を得るという ことが重要になっているということから、このような方々に対しましても必要な情報、 なおかつ新しい最新の情報を提供するという体制の構築というものが重要になってきて いるということでございます。  以下の取り組みのところでございますけれども、そこのところに書いてございますよ うに、がん対策情報センター、これに関しましては、平成18年10月、先月でございま すが、国立がんセンターに設置されたものでございます。これの中で、ホームページに よるがん医療に関する一般的な知識等の提供を行ってございます。また、これは別途で ございますが、都道府県が医療機関から報告のあった情報を集約して公表すると。そう いう制度がございますが、このような中で医療機関の医療機能に関する情報というもの を提供することになってございます。この中にがんに関する事項というものも一部含ま れるということとされているところでございます。  それから、情報の提供のみならず、これがまた非常に大事なところでございますが、 相談支援という点が非常に望まれ、重要な点でございますが、これに関しましては、が ん診療連携拠点病院の中に相談支援センターを設置するということが必須要件でござい ますので、この中で各患者さんの事情に即しまして医療機関、医療従事者の紹介、セカ ンドオピニオン医師の紹介等、がん医療に関する相談を幅広く行うこととされておりま す。また、先ほど申し上げましたがん対策情報センターにおきましては、これらの相談 支援センター相談員に対する研修でブラッシュアップしていくと。それから、相談内容 を整理してデータベース化して提供し、非常に質の均一な相談支援体制というものを構 築するということを行っていくということとされております。  また、その下の丸のところで、今度は医療関係者向けのものでございますが、情報提 供といたしまして、EBMの手法に基づいた診療ガイドラインの提供等を行っていくと。 そのほかにも、最新のがんに関する医療情報の提供というものを行っていくということ とされております。  続きまして、3−9でございますが、「がん登録について」でございます。がん登録に つきましては、ここで記させていただきましたが、がん患者のがんの罹患、転帰、その 他の情報を登録・把握して分析する仕組みということでございます。これにつきまして、 図に表しましてイメージで表しましたが、次のページ、がん登録の仕組みでございます。 これにつきましても、あわせて参考にごらんになっていただければと思います。大きく 分けまして、院内がん登録、地域がん登録、学会や研究会で行う臓器がん登録というも のの三つに類型されるというふうに考えます。このがん登録につきまして一番重要な点 でございますが、がんの罹患数、罹患率、がんの生存率など、がん対策の基礎、根幹と なるようなデータの把握のためには、院内がん登録及びそれらをまとめました地域がん 登録の実施というものが絶対に必要であるというところが重要な点でございます。現状 でございますが、そこに記させていただきましたが、現在、33道府県1市におきまして 実施されております。ただ、その中でもすべての地域におきまして、同様のレベルで行 われているというわけではございませんで、捕そく率や登録内容に精度につきましては 差があるという状況でございます。細かくは、そこの説明、33道府県市ところをごらん になっていただければと思います。  取り組みといたしましては、以下の取り組みにより地域がん登録、その基礎として必 要となる院内がん登録の推進を図っているというところでございます。院内がん登録及 び地域がん登録につきましては、今までの研究の一環としまして、標準的な登録項目・ 様式というものを定めたところでございます。これで全国的な登録内容の標準化を進め ているというところでございます。また、がん診療連携拠点病院におきましては、これ は指定要件の一つとしてこのようながん登録を行うと。院内がん登録を行う、地域がん 登録に積極的に協力するということを必須要件としているというところが重要な点でご ざいまして、これをもとに全国的にがん登録を進めるというところの体制となってござ います。また、実質的ながん登録の実施についての現場でございますが、国立がんセン ターにおきましてがん登録実務者研修というものを現在実施しているというところでご ざいます。  続きまして、資料3−10、「研究について」というところでございます。がん医療水準 の一層の向上に向けまして、研究の推進というものは非常に重要な点でございます。こ れにつきまして、現在の取り組みでございますが、大きく分けまして以下の三つの研究 事業でありますとか、そういう仕組みがございます。まず一つとして、第3次対がん総 合戦略研究事業。これに関しましては、基礎的な研究を含め、がんの革新的な予防・診 断・治療技術の開発等の研究。低浸襲治療法等の開発、情報提供システムの開発等につ きまして、幅広く行っているところでございます。また、その次のがん臨床研究事業に おきましては、多施設共同臨床研究を推進いたしまして、また、専門医等の育成、拠点 病院の強化、緩和ケアの療養生活の質の維持向上に関する体制整備等、一般的にがん医 療に関する政策課題に関する研究も幅広く実施しているところでございます。また、が ん研究助成金に関しましては、大規模コホートによる疫学調査でありますとか、多施設 共同臨床研究における体制の整備等を行うことによりまして、これも政策実現に結びつ く課題の発掘、標準的治療法の開発等、臨床から直結した研究を継続的に支援するとい うところで、それぞれがん医療の向上につきまして行っているところでございます。  続きまして、資料3−11でございます。これは、「がん医療にかかる医薬品等の早期 承認について」ということでまとめさせていただいております。申し上げるまでもござ いませんが、医薬品医療機器につきましてはここで記させていただきましたように、製 薬企業から治験のデータを取りまとめて承認申請が行われ、有効性・安全性等について 審査が行われた後、薬事・食品衛生審議会で審議を行って厚生労働大臣が承認を行うと、 そういう仕組みになっております。承認後、医療保険が適用され、医療機関での使用が 可能となると、このようなプロセスがございますが、以下に四つほど記させていただき ましたが、これらの取り組みによりまして、審査の迅速化というものが現在図っている ところでございます。まず一つといたしまして、希少疾病用の医薬品等としての支援措 置でございます。これにつきましては、患者数が少ない等、必要性が高いのにその患者 数が少ないということにより、十分に研究開発が進んでいないものに対する助成であり ますとか、または、他の医薬品等に優先して治験相談及び審査を行うというような措置 を講じているところでございます。  2番目といたしまして、欧米諸国で承認された薬の早期治験開始等についてというこ とでございますが、未承認薬使用問題検討会議、これは2枚目をまためくっていただき ますと、横の表で円グラフのページがございますが、未承認薬使用問題検討会議での検 討状況、こちらもまた参考にしていただければと思いますが、これを年4回開催してお ります。これで、欧米諸国で承認されているが国内で未承認である医薬品につきまして、 要望等を踏まえまして、医療上の必要性が高いとの結論を得た医薬品につきまして、治 験の早期開始等の要請を行うことにより、使用機会の提供と安全確保をあわせて図ると いう仕組みということにしてございます。これは平成17年の1月から、現時点におきま して計10回開催されているところでございます。  次、1枚めくっていただきまして、国内既承認薬の効能追加についてということでご ざいますが、医薬品の承認は効能ごとに行われますので、それぞれまた別途新たな効能 を追加するためには、新たなデータ等取りまとめて承認申請を行わなければいけないわ けですが、この場合、新たな効能につきまして、十分な科学的根拠があると認められる ものについては、別途新たな治験を実施することなく効能追加等の承認申請を行えると、 そういう仕組みとしているところでございます。平成11年の2月から実施しておりまし て、現在、がんに関する抗がん剤等に関しては、約47成分につきまして効能追加等の承 認をこの仕組みに基づいて行っているところでございます。  それから、4番目の仕組みでございますが、治験の活性化ということでございます。 早期の承認のためには、そもそも治験そのものの活性化というものが必要であるという ことから、平成15年から平成18年まで治験活性化の3カ年計画を策定し、実施してき ておりまして、現在、その次、19年度からの次期治験活性化計画策定にかかる検討会も あわせて実施しているというところでございます。また、医師主導治験の制度化等とい うことも平成15年の7月に行われ、その円滑な実施を推進してきたというところでござ います。  資料3−12でございます。こちらに関しましては、「医療制度改革との関連ついて」 ということでございますが、法律、がん対策基本法の中におきまして、健康増進計画も しくは医療計画等関連の法定の計画との整合性をはかるべく、がん対策推進基本計画、 国の計画というものを立てなければいけないということでございます。そして、それの 動きにつきまして、この横表の一番右のところでございますけれども、19年度の4月に がん対策基本法施行後、速やかにがん対策推進基本計画を策定し、それに基づき、各都 道府県ががん対策推進計画を平成20年度の4月には策定するというスケジュールで考 えてございます。これも健康増進計画の改定、医療計画の策定とあわせて、このような がん対策推進計画を各都道府県において策定するというスケジュールというものが考え られております。  続きまして、最後でございますが、資料3−13のところでがん対策関係予算につきま して御説明させていただきます。これにつきましては、ごらんになっていただければわ かりますように、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の関連する3省に関する予算を ここでまとめてございます。平成18年度予算としては410億。それが、平成19年度の 概算要求額といたしましては673億ということで、あわせると要求させていただいてい るところでございます。  1枚めくっていただきまして、資料の3−14でございますけれども、厚生労働省に関 するがん対策関係予算の伸びについて、今までのところでグラフで示したものでござい ます。それから、次のページでございますが、一覧でございまして、「厚生労働省のがん 対策の推進について」ということで、19年度の概算要求額303億の内訳につきまして、 ここに記させていただいております。がん予防の早期発見の推進に51億、がん医療水準 均てん化の促進、情報収集提供体制の整備ということで、147億。これも、前年度に比 べまして大きく伸ばさせていただいているところでございます。また、がんの在宅療養・ 緩和ケアの充実というところに関しましても、別途ここにも要求させていただいており まして、また、がんに関する研究に関しましても、前年度伸びで要求させていただいて いるというところでございます。  長くなってしまいましたが、厚生労働省関連の行政説明に関しましては以上で終了さ せていただきます。    垣添座長 ありがとうございました。膨大な内容ですが、これはじっくり読んでいた だきますと、厚生労働省を中心にしたがん対策の歴史から現状、将来にかけて、非常に 貴重な資料になりますので、よくお読みいただければありがたいと思います。それでは、 続きまして文科省の方から御説明いただけますでしょうか。    三浦課長 それでは、文部科学省関連のがん対策の取り組みにつきまして、資料33 ページ、34ページを用いまして御説明申し上げます。  33ページの上の段、がんの本体解明、トランスレーショナル・リサーチをはじめとし まして、研究開発の状況、その取り組みを概説したものでございます。まず、がんの本 体を解明するという基礎的な研究につきまして、いわゆる科研費などを使いまして取り 組んでいるということでございます。そして、そこで得られた基礎研究の成果を、予防・ 診断・治療等へつなげていく、いわゆるトランスレーショナル・リサーチの関連の事業 についても、平成19年度の概算要求として12億円を要求しているところでございます。 それを踏まえまして、革新的ながん診断や治療法の開発として、代表的には分子イメー ジング研究、これは主にプローブの開発を中心として行っているものでございますが、 そのほか、重粒子線によるがん治療の推進、さらには、放射線によるがん治療にかかる 人材の育成の取り組みを行おうとしているところでございます。  また、その下に大学における教育、あるいは、診療における取り組みを三つ代表的に 並べてございます。まず一番左側でございますが、がんの専門家を養成するということ です。専門家といった場合、医師をはじめといたしまして看護師、放射線技師、そのほ か関係者の育成を図るということでございますが、その際に、私どもとしてはがん診療 連携拠点病院などと連携しながら進めていくということが重要ではないかと考えている ところでございます。また、真ん中のところでございますが、医学部教育における取り 組みとして、医学生が卒業までに学ばなければいけない項目を列挙しましたいわゆるモ デル・コア・カリキュラムというのがございますが、そこにおいて、がんに関する教育 についての記載を現在のものよりもさらに強化するということで、その内容の見直しを 現在行っているところでございます。また、右側でございますが、大学病院の多くでは 既にがんセンターというものが設置されており、そこで診療科を横断的に取り組んでい るということがございまして、そのような状況を私どもとしては支援していく方針でご ざいます。  34ページには、予算の移り変わりがございます。上の段の棒グラフでございますが、 平成19年度概算要求額は238億円余りということでございます。その詳細につきまして は、その下の段、概算要求の額というのがございますが、増減額の中で特に大きく伸び ているものは、先ほど申し上げましたがんプロフェッショナル養成プランであり、また、 群馬大学における重粒子線の照射装置の整備です。さらには、分子イメージング研究な どがございます。以上でございます。    垣添座長 ありがとうございました。続きまして、経済産業省の方から御説明いただ けますでしょうか。    堀口室長 では、資料3−16、35ページに基づきまして、経済産業省における対策、 予算についてお話しさせていただきたいと思います。  経済産業省におきましては、研究開発という点から、必ずしも十分ではないと思って おりますけれども、がん撲滅を一緒に手伝わせていただいております。資料には、大き く三つの箱がございます。一つ目の医療機器関連におきましては、早期発見、早期治療 ということに、低侵襲治療にも役立つような機器の開発を進めております。二つ目のと ころはイノベーションの創出・加速でございます。先ほど来、トランスレーショナル・ リサーチというお話しございました。すなわち、基礎研究をいかに臨床研究へ結びつけ ていくか。橋渡し研究という言い方をここではしていますけれども、それに関する研究 開発を今後どんどん進めていきたいと思っております。それから三つ目、右側でござい ますが、これは創薬に向けた支援でございます。バイオ技術を用いまして、例えば一番 上にありますようながん等の病気の仕組みを詳細に解析する技術を開発しまして、この データをもとに、創薬に有効に活用していくといった技術開発を行っているところでご ざいます。    垣添座長 ありがとうございました。お聞き及びのように、厚生労働省、文部科学省、 経済産業省の間で人事交流が行われたり、あるいは、課長レベル、局長レベル、大臣の レベルで定期・不定期に意見交換を行って、がんにかかわる3省庁合同でいろいろ対策 を進めていくという機運が出てきたということは大変ありがたいことであろうというふ うに思います。ありがとうございました。  それでは、大変慌ただしいですが、続きまして、委員の皆様方からお一人ずつ、がん 対策の現状についての御意見をお伺いしたいと思います。進行方法について、事務局か ら御説明いただけますでしょうか。    事務局 パワーポイントの使用に関しまして、これは事務局で操作をいたしますので、 そのままお席でお話しをいただきますようお願いいたします。スライドを変更する場合 には、合図をお願いいたします。なお、パワーポイントを御自分で操作されるというお 申し出のあった委員につきましては、順番がきましたら発表者席に移動していただき、 お話をいただきますようお願いいたします。また、お一人10分程度でお話しいただきた いと存じます。終了の1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らさせていただきま すので、進行に御協力をお願いいたします。    垣添座長 それでは、内田委員からお願いいたします。    内田委員 資料4−1でございます。ごく簡単なレジュメだけ用意させていただきま した。まず、このような会議を開催するという意義は非常に重要であるというふうに思 います。こういう会議で医療現場の私ども、それから、先進的に取り組んでおられるが んセンター初めとする機関の先生方、学会の先生方、そして患者さんの代表の方、一堂 に会して情報を交換し、共有するということは非常に意義があるというふうに思ってお ります。  私は日本医師会という立場から、医療現場でどういう取り組みができるのかというこ とをお話しさせていただきます。最初に申し上げたいのは、やはり、医療の不確実性と いうことについてでございます。対象となる患者さんというのは氏名、年齢、性別から 始まりまして、個別の健康状態、病態に至るまで、すべて個々に違うわけでございます。 なおかつ、その一人一人も一瞬一瞬によって病態の変化というのが起きてきて、一人と して、あるいは一瞬たりとも同じ状態であるということはない。そのような中で100% の医療を求めるということは非常に難しい話であるということでございます。現状の中 で、しばしば医療関係者が結果が思わしくないということで逮捕されるような状況があ るということについては、非常にこれを憂えているというところでございます。  なぜそういうことになるかというと、やはり、これは結果責任を問われるということ に関して、医療とは非常になじまないところがあるのではないかということを感じてい るところです。経過の中においての責任というのはあるかもしれないけれども、結果に ついての責任を負わされる。なおかつ、それが亡くなったというような結果が生じた場 合の結果責任を問われるということは、我々医療の現場に携わっている人間にとっては 非常に厳しい立場に置かれてしまう。これがどういうことにつながっていくかというと、 萎縮医療であるとか、あるいは、過剰な防衛的な医療、過剰な診療を行っていくという 防衛的な医療につながっていくということで、これは患者にとっても医師にとっても非 常に不幸な事態を招くということです。基本的に医療の現場というのは、やはり患者さ んと医師の信頼関係に基づくものでなければいけないということを強く感じています。 このことをまず最初に申し上げたいというふうに思っています。  それから、そのレジュメにございますのは、医師会がどういうふうなかかわりでがん 診療にかかわっていくかということでお出しした課題でございます。まず最初に、各種 がん検診でございます。これは、平成12年に一般財源化され、市町村単独事業というこ とになっていますけれども、このがん検診、多くの場合は個別検診で、地域の医療機関 が担うということが現在ほとんどの地域で行われています。しかし、この一般財源化、 市町村単独事業ということで、検診の見直しに伴ってこのがん検診が縮小傾向にある。 なおかつ、自己負担が増加してきているということで、検診受診率が低下することが危 惧されています。この点は非常に今後心配な動向でございます。そういう点で、受診率 の向上ということに関しては、個別の医療機関、あるいは市町村での取り組みというこ とが言われておりますけれども、予算措置その他でなかなかこれが実際にははかどって いないといいますか。進んできていないということがありますので、今後の大きな課題 になるのではないかというふうに思います。それから、受診率の向上がなぜ必要かとい うことについては言うまでもないのですけれども、たまたま先日の「ためしてガッテン」 の中で、大腸検査の話が出ていましたね。10人視聴者から応募があって、10人受診した ら10人ともポリープが認められて、そのうちの4人ががん化の心配があって、1人が実 際にがん患者が見つかってしまったということで、潜在的なそういう検診をこれまで受 けていない部分に関しては、非常に今後罹患率が出てくるのではないかという気がして おります。  それから、2点目の精度管理ですけれども、これは医師会の方でも非常に取り組む課 題が多いところかなというふうに思っています。実際に地域の医療機関が取り組むにあ たって、精度管理が十分に行われていない状況で単に受診率だけ上げるということを言 いましても、内実が伴わなければ検診受診率を上げても余り意味がないということにな ってしまいますので、精度管理の向上ということに関しましては、医師会で積極的に取 り組んでいかなくてはいけない。そのための研修会を開催したりとか二重読映であると か、そういうところでの情報提供、あるいは意見交換、情報を集約した形で全国で平均 的な質を上げていくという取り組みが非常に重要になってくるということを感じていま す。  それから、2点目の大きな柱のがんの在宅医療に関してでございますが、これもやは り地域のかかりつけの先生というのが果たす役割が非常に大きくなってくるというふう に考えていますが、一方で、非常に複雑化、高度化してきているというところでの適切 な在宅医療の提供という点では、まだまだ課題が大きいかなというふうに思っています。 それから、なおかつ体制的な問題でも、やはり地域でこういう集学的ながんの在宅医療 を進めるという点では、まだまだ整備されていないところが多くあるというふうに思っ ています。例えば、がんの疼痛管理にしましても、院内処方・院外処方に限らず、がん の患者さんというのは、そんなに長い期間にわたって疼痛管理を続けるということは余 り実際にはないんですね。その中で、大量の麻薬を使うというときに、それを仕入れて いただくんですけれども、それが地域にたくさんのがん患者さんがいらっしゃって在宅 でそういう形で見るということであればいいんですけれども、しばしば仕入れた薬が途 中で治療が終わってしまって亡くなってしまって残ってしまうと。そうすると、こうい う化学療法にしましても疼痛患者の薬にしましても、非常に高価な薬が大量に余ってし まうということで、なかなか薬の供給が安定的にうまくいかないというような問題がご ざいます。  また、栄養管理、呼吸管理、服薬管理といったところも非常に重要なのですけれども、 何かトラブルが起きたときにすぐに受け入れてくれる後方病院が確保されているという 点での病診連携であるとか、あるいは、専門の相談体制をとっていただくよう診診連携 であるとか、その辺のところの地域の医療資源というのがまだまだ整備されていないと ころがあるかなということを感じています。そういう点で、多職種との連携体制という のも、もちろん訪問看護師さんなどを中心にした地域での医療提供というのがあるので すけれども、その辺のところの取り組みというのは整備されていないなというのが実感 でございます。  それから3点目は、医師会からの情報提供といいますか。あるいは、研修、カリキュ ラムを整備していくということで、これは今後の課題として考えておりますけれども、 いわゆるかかりつけ医の認定制、専門医制というようなことも含めまして、今後の医療 の安全性ということを考えますと、やはりかかりつけ医の役割というのが非常に大きく なってきますので、その辺のところについてのきちっとした体制整備というのを医師会 として今後取り組んでいく必要があるのかなということを感じております。以上でござ います。    垣添座長 内田委員、ありがとうございました。続きまして、海辺委員お願いいたし ます。    海辺委員 皆様、おはようございます。癌と共に生きる会の海辺陽子でございます。 きょうはがん医療について、患者家族の視点から解決すべき問題と感じている部分をお 話ししたいと思います。問題点はたくさんあって、あれも言いたい、これも言いたいと 思って準備していたのですが、きょうはお時間10分ということですので、がん難民問題 に絞ってお話しさせていただきます。  さて、がん患者の願いですが、当たり前のことですけれども、それは「生きたい」「治 りたい」ということです。治るためなら何でもする、どんなにつらい治療でも我慢する というのが患者さんですけれども、でも、残念ながら、毎年32万人以上の患者さんがが んで命を落としています。「生きたい」「治癒したい」という願いがかなわないときは、 なるべく長く生きたいということになります。そして、その間はできるだけ普通の生活 がしたいということが患者の切実な願いになります。これは、私たちのような患者側の 人間からすると非常に当たり前の欲求ではないかと思うのですけれども、しかし、今は そういう欲求が十分待満たされる状態にはなっていません。このことは、がん医療にお ける大きな問題であると思います。  治るのであればどんなにつらい治療でも我慢するし、それだけの価値があるのかもし れませんが、治らないのであれば、つらさに耐える治療というあり方は間違っていると 思います。せっかく生存期間を延長させているのに、つらくて寝たきりであるとか痛く て動けないというのでは、やりたいことも余りできない、ほとんどできないということ になってしまいます。ここに挙げましたAさんとBさんは実在する2人の患者さんです。 2人とも治癒が難しい状態ですが、化学療法を受け、生存期間を延長しています。苦痛 を取り除くことが現代医学では不可能ということなら我慢するしかありませんが、今は そうではなくて、痛みも副作用もかなり取り除くことができます。ですから、Aさんの ような耐える治療ではなく、Bさんのようななるべく痛さやつらさを感じないで上手に 命を延ばす医療というものが求められます。Bさんは会社に普通に勤務もできています から、これを知った患者さんたちは、みんなAさんではなくBさんになりたいというふ うに希望しております。  とにかく、がんといったら痛いとか化学療法は吐き気との闘いというのが世間一般の イメージです。そのイメージが多くのがん患者さんに不安を与えているということは、 患者ボランティアを10年20年と続けているような患者会の方から伺っております。し かし、先ほどから申しておりますように、そういったつらさを緩和する方法はかなり確 立しています。ですから、ぜひそのがん独特の痛みのケアと副作用の対策について、な ぜ実現できなかったのかを見直し、標準的な治療に組み入れるなど、早急に対応すべき と思います。患者の求める課題については多岐にわたり、どれもとても大切なことです けれども、気持ちが悪くて洗面器がずっと手放せないとか痛くて夜も眠れないというこ とでは、いくらほかのサポートが整っていても、とても普通の生活というのは無理です。 ですから、まず支持療法、そして疼痛コントロールが大切であるということをここで強 調しておきたいと思います。ちゃんと延命のための化学療法を受けることができて、痛 くなくてつらくなければ、患者は本当に普通の生活を送ることができます。このことを もっとしっかり認識していただいて、整備していただくべきだと思います。  暗黙の三剤ルールといううわさがあります。これは何でしょうか。患者の間でささや かれているのですが、がんの治療を行う病院などでは、3種類のがんの治療を施します と、あなたにはもう治療法がありませんといってその病院での治療を終了されてしまう といううわさです。患者さんたちの方では、そう言われてみればと思い当たる節もある ので、こういううわさがあるんですね。標準治療というのは、そういう治療で生還でき るたくさんの患者さんたちには十分な医療であると言えると思います。ですが、問題と なるのは、そこからはみ出してしまう患者さんが存在するという部分で、標準治療を終 えてしまった患者さんたちにとっては、現状では希望が持てない状態なんですね。がん と診断される人は、毎年新しく60万人とか100万人とかと言われていて、標準的な治療 が日本中どこでもだれでも受けられるようになるだけで、1年間に亡くなる32万人のう ちの4万人から7万人が救われるようになるとも言われています。限りある医療資源の 中で、標準化された医療を提供する必要があるということも十分理解しており、その部 分も患者からも切に願っております。  しかし、そうは言っても、その患者さんの命は本人にとっても家族にとっても唯一無 二のかけがえのないものです。ですから、できるだけ長く生きたい、生きていてほしい と思っているのに、そこを放り出されてしまったら、できるだけ長く生きていてほしい という希望をかなえてくれるような受け皿が今はないのです。行き場がなくなってしま うから、まさにがん難民というふうになってしまうのです。保険の医療にはさまざまな 制約があって、患者さんを見捨てない、最後まで寄り添う医療は水面下で行われている ような状態で、その状態も非常によいものから詐欺まがいのものまでさまざまではない かと思います。最後まで見放さない医療というものが求められているのですが、今はそ の部分がうまく機能していないと思います。今、考えなければいけないことは、その医 療のニーズを実現するためにどうすべきかということではないかと思います。医療資源 の問題や医療財源の問題で放置されてきたのでしょうか。年間32万人の国民が亡くなっ ているのですから、そういう医療が空想の産物のように、存在しないもののように扱わ れることにはもう限界の時期にきていると思います。財源という部分でも、患者のため に求められる社会整備が行われれば、例えばですけれども、会社勤務を終えた後、外来 で化学療法できるようにするとか土日にできるというような工夫がなされ、かつ、十分 な支持療法も得られれば、先ほどのBさんのようにその患者は働くこともできます。そ ういう人たちの存在が知られるにつれ、その医療を求める声がふくらんできています。 うば捨て山のように標準治療後は見放すというような医療が、結局は財政を圧迫すると いうこともあるかもしれません。今、きっちりと調査し、方向性を定めるべきではない かと思います。  あと、世界で承認されていて日本では使うことのできない治療薬の使用のあり方など についても、もっと議論を深め、問題を国民の前に明らかにしてほしいと思います。こ れまでは口コミであるとかコネであるとか、そういうことでしかこういう見放さない医 療にたどりつけませんでしたが、その医療がきちんと機能するための適正化作業が必要 ではないかと思います。さて、これは何のグラフかと申しますと、薬の承認審査にかか わる審査人員の国際比較です。パッと見ても明らかなように、日本は審査人員が圧倒的 に少ない状態で、その担当の人たちは夜も寝られず頑張っているというふうにも聞きま した。ですので、承認に関しては海外と比べ平均で4年のおくれ、長いと8年のおくれ という現状で、世界シェアトップ100の医薬品のうち、日本では31が未承認ということ ですから、これは大きな問題であると思います。  がんと一口に言いましても、進行度や悪性度などによって予後リスクはさまざまです。 リスクが高く生存期間中央値が短い、有効な治療法も確立していない、治療法が少ない というような予後の厳しいグループに関しては、エビデンスが確立するまで待ちきれな いという人たちもいます。EBMを軽視するのではありません。多くの人々のために、 5年という期間がなぜ必要かということも重々承知しております。しかし、1年後2年 後の生存が難しい患者グループの人たちにとっては、目先の1年2年でもクリアするこ とができれば喜びだということをお伝えしたいと思います。立派な橋ができ上がるまで 何年も待てない患者たちにとっては、それが崩れるかもしれない危険なつり橋であって も、渡ってみない限り今を越えられないなら渡りたいと思う人もたくさんいます。1年 とか2年という途中経過の段階でも、信頼のあるエビデンスレベルの高い学会報告など で非常によい治療薬や治療法が発表された場合には、希望する人には迅速に取り入れる ことができるような、そういうシステムを考えるべきではないかと私は考えます。ある 程度治療法が確立していて進行も穏やかながんと、ほとんど有効な治療薬がないがんと では、ニーズも安全性のハードルも違ってくると思います。グループごとの細やかな妥 当な対応について、ぜひ本気で議論していただきたいと思います。  そして最後に、年間32万人が亡くなるがんの医療費は全体の11%、およそ2兆6,000 億円ですが、死亡原因第2位の心疾患、第3位の脳血管障害をあわせた循環器系の死亡 者数は30万人、合計の医療費は22%、5兆3,000億円で、がんの2倍です。現状のが ん医療の問題点は、診療報酬が十分でなく、医療費が抑制されているということにも原 因があるのではと考えられ、どうしても患者サイドからは不公平感が否めません。ぜひ、 がんの医療費がこれで妥当なのかどうかもう一度考えていただきまして、これで私の発 表を終わらせていただきます。ありがとうございました。    垣添座長 海辺委員、どうもありがとうございました。大変率直な御指摘をいただい たと思います。続きまして、大江委員お願いいたします。    大江委員 こちらでやらせていただきます。私は臨床腫瘍学会の理事という立場で発 表させていただきます。まず、臨床腫瘍学会の方から、この3点を重点的に述べさせて いただきたいと思います。1つは、がん治療の専門医、特に腫瘍内科医、緩和ケア医、 それから放射線治療専門医の育成。もう1つが臨床試験の推進。3点目ががん診療拠点 病院の整備・充実ということでございます。  これは日米の医師の比率を見たものでありますけれども、人口比で見てみますと、医 師の数自体はほとんど変わりません。内科医、血液内科医等も変わりませんけれども、 圧倒的に不足しておりますのが薬物療法の専門医であります。がん薬物療法専門医は昨 年制度ができたためにまだ47名しか認定されていませんが、実際にはもう少し腫瘍内科 医として働いている医師はいるということでありますが、その現実はよくわかっており ません。  そこで、平成17年に私の研究班で、大学病院、がん専門病院、地域のがん診療拠点病 院という、我が国でがん診療の中心となっている病院に対して、実際どういう状況かと いうことをアンケート調査をしました。全部で262施設にアンケートを送付いたしまし て、約60%の施設から御回答をいただいております。まず、腫瘍内科医がどれぐらいい るかということでありますけれども、右側に出ていますのが、ほとんどがんの診療のみ を行っている常勤の内科医ということでありまして、全体で見ると約900名弱です。け れども、大学病院、がんセンター病院などですら、約半数の施設にはこういうがんの内 科的な専門医が在籍していないというのが現状であります。それから同様に、緩和ケア の専門医、放射線治療の専門医という形で聞きましたけれども、やはり緩和ケアの専門 医も、半分近くの施設では専任の医師はいない。それから、放射線治療の専門医は、半 分の施設では1名もしくは在籍していないというような現状で、極めて不足していると いう現状であります。  実際に現在化学療法を実施しているのはどういう先生方が実施しているかということ でアンケートをとってみますと、欧米ではすべて腫瘍内科医がやっておりますけれども、 内科の医師が化学療法を実施しているような病院というのは非常に少なくて、わずか 8%の病院であります。ほとんどの施設で、外科の先生が化学療法にも携わっていると いうことであります。将来これをどうしたいかと尋ねてみますと、やはり、内科医が実 施する方がいいという施設が41%。最後に「その他」と書きましたけれども、これは設 問がちょっとまずくて、内科医としたけれども、薬物療法の専門医がした方がいいとい う意見が一番最後の31%でありますので、化学療法は専門家に任せるべきだというよう な意見が多数を占めていると思います。  これが現状でありますけれども、内科の専門医がいないために、外科の先生方にも化 学療法をしてもらわなければならない。したがいまして、1年に50人の手術と50人の 抗がん剤をする医師が100名いるというのが現状であります。これは効率的ではありま せんので、効率的なのはやはり専門医が行うということでありますので、これを1年に 100人の手術をする医師50名、つまり、腫瘍外科の専門医、それから、1年に100人の 抗がん剤治療をする医師50名、がん薬物療法専門医、こういうふうに分けていただくの が一番いいと思います。それによって、医師1人当たりの手術件数はふえますし、抗が ん剤の治療件数がふえる。そうすると、当然治療成績が向上し、患者さんのQOLも上 がる。これがやはり専門医による診療の利点ではないかと我々は考えております。  なぜがんの薬物療法の専門医に限らず、がん治療の専門医が少ないかという1つの問 題が縦割りの教育体制、診療体制ではないかと思います。例えば、呼吸器内科であれば 肺炎だとかぜんそくとともに肺がんを診ている。産婦人科では、分娩、不妊とともに子 宮がん等の治療をしている。こういう臓器割の教育体制、診療体制になっておりますけ れども、やはり横断的に腫瘍内科、もしくは臨床腫瘍学というような講座をつくって教 育、診療をするべきではないかと考えております。  それからもう1つ、医師全体が非常に不足しているという問題があります。この15 年間の医師国家試験の合格者数でありますけれども、若干減っているような感じですけ れども、そう大きくは変化していません。大体8,000人前後であります。ところが、男 性の医師に限りますと、15年前には7,000名近くいたものが現在では5,000名になって おります。これは、女性の医師がふえているということであります。私は女性を差別す る気は全くございませんけれども、女性というのはどうしても出産・育児等でリタイア する可能性が高いということで、生涯の医師としての勤務時間に関しては、やはり女性 の方がどうしても少なくなるということは否めない。この男性医師が非常に減っている ということが、医療現場で医師が不足している原因の一つと我々は考えております。  専門医の育成に関しましては、中長期的には、まず全医学部・医科大学へ腫瘍内科も しくは臨床腫瘍学の講座を開設していただきたい。それから、医学部定員を増やしてい ただかなければどうしようもならないと思います。短期的な方策としては、例えばがん センターもそうですけれども、レジデント制度の充実、待遇改善。それから、先ほども お話がありましたけれども、コアカリキュラムの改定。それから一番早いのは、やはり 医師国家試験にもう少し腫瘍学の問題を出していただければ、当然教育内容も変わって くると思います。がん医療はやはりチーム医療でありますから、精神腫瘍医、麻酔科医、 病理医、細胞診の医師・技師、がん専門薬剤師、がん専門看護師などの育成というのも 非常に大事と考えております。  次に、臨床研究の推進であります。まず、新しい薬は前臨床試験から第I相試験、第 II相試験、第III相試験というような形で試験が進んで承認されるわけでありますけれど も、この部分に関しては、多くは企業が実施しております。現在、グローバルの企業が 抗がん剤の開発を行っておりますけれども、大体1社で年間1,000億円前後の予算で開 発を行って、それに従事する従業員がやはり数千人規模です。このようなグローバル企 業が数社以上あって、抗がん剤を今、どんどん開発してきている。ただし、治験に関し ては、これは我々医療機関が実施するものでありますので、その治験を迅速にするよう な体制をとらないと、やはり抗がん剤の承認というのはうまくは進まないと思います。 それから、抗がん剤が出てくればそれで新しい治療が確立したかというと、必ずしもそ うではございません。抗がん剤単独で使う場合もありますけれども、やはり、抗がん剤 というのは放射線だとか手術だとか併用で使うことが多い。併用でどのように使ったら いいかというのは、治験の後に我々研究者が例えばJCOGの研究として行って、標準 的治療として確立するということであります。抗がん剤は単剤で使うこともありますけ れども、やはり併用で使う場合もあります。これに関しても、治験段階で併用療法が検 討されることもありますけれども、多くの場合は、我々研究者が実施する臨床試験によ って併用療法が研究されていくということでありますので、治験も非常に大事でありま すけれども、それと一緒に我々医師が行う臨床研究というのも非常に重要というふうに 御理解ください。  まず、臨床試験の推進に関しては、中長期的には医師だけでは臨床試験はできません ので、生物統計家の育成、それから、拠点施設への配置。それから、治験コーディネー タの役割というのは非常に重要でありますが、それをぜひ国家資格にしていただきたい。 短期的な方策としては、治験コーディネータの増員、定員化、待遇の改善をお願いした い。それからもう一つ、治験ですけれども、現在の治験は非常にしゃくし定規的に行わ れておりまして、このために非常に労力がかかる、費用がかかる、時間がかかるという 非常に厳しい状況になっております。これがもう少しスムーズに進むようになると、患 者さんのところへいい薬が早く届くと思います。  拠点病院の整備でありますけれども、このように現在は複数の同じような病院を整備 しようとしていると見受けられますけれども、これはある程度集約する必要があると思 います。例えば、肺がんの手術であれば年間30,000件でありますけれども、300件の手 術をするような病院が100病院あれば済みます。東京であれば10施設程度必要だと思い ますけれども、地方であれば1県に1病院あれば済む。国立がんセンター中央病院で年 間450例の肺がんの手術をしておりますけれども、3名の外科医がやっております。レ ジデントもおりますけれども、1施設当たり5〜6名の外科医がいれば済む。こういう ような形で集約をすれば、非常に効率的になる。ただし、いろいろな病院で抗がん剤だ とか放射線の治療というのはやらなければいけませんので、こういう意味で整備が必要 だと思います。  まず、がん診療拠点病院の計画的な集約、それから、機能分担が大事であります。そ れから、人的財政的な支援。専門医による診療に対する診療報酬の加算。最後に、こう いうことをすると非常に費用がかかると思いますけれども、ぜひ禁煙対策としてたばこ 税を増税するなどして、それを医療費へ回していただければと思います。以上です。    垣添座長 大江委員、ありがとうございました。続きまして、順番が変わっておりま すが、角田委員お願いいたします。    角田委員 角田直枝でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は看護師で ございまして、病院で看護師の経験がございますが、その後、訪問看護ステーションで 在宅のがんの患者さんにかかわらせていただきまして、その後また地域がん拠点病院に なりました病院の地域がんセンターの外科病棟の師長、それから教育継続看護の担当の 副看護部長というふうな仕事をさせていただいて、かつ、外来で患者さんの相談窓口を 1年間担当させていただきました。その経過をもとに、私の方から御提案させていただ きたいと思います。  私が申し上げたいところは4点です。外来の相談や訪問看護から見た在宅がん患者の 現状ということで、私の経験から拝見したことをお話ししたいと思います。ただ、ここ で在宅のがん患者と申し上げますのは、一般に在宅のがん患者というと終末期のがん患 者さんを想像されると思うんですけれども、通院されている方は皆さんほとんどが在宅 からいっしゃいますので、そういうのを包括した入院していらっしゃらない患者さんを、 ここの1番のところでは在宅がん患者と申し上げたいと思います。それから2番目は、 どうしても在宅、確かに終末期のがん患者さんが訪問看護の利用者さんが多いので、終 末期のがん患者の在宅療養。それから、在宅のがん患者支援の課題。それから最後に、 がん対策の推進における課題として、私の意見を申し上げたいと思います。  私はがん患者の相談ということで、外来相談を1日3時間、週4日で実施しておりま した。こちらは疾患内容を問わず患者の相談を受けておりましたが、その中でのがんの 患者さんの相談を抽出したいと思います。内容は、診断期としては病院の実績、告知の 有無などをお尋ねになりました。ほかの病院や検診から、もう少し詳しく検査が必要だ というふうに病院に御紹介をいただきましていらっしゃるんですが、この病院はどんな 病院なのか。がんの患者はどのくらい来ているのか。自分がもしこのがんだとしたら、 そういう患者の手術や治療の実績はどのくらいあるのか。それから、私の家族ががんか もしれないのだけど、できれば告知をしないでほしいとか、この病院は告知をする方針 なのか。そのようなお問い合わせがたくさんございました。治療期としましては、医師 から説明された治療の選択、治療を選択しようと思っているのだけれども、いま一つ納 得がいかないから、納得するまでにもう少し詳しく説明してほしい。時間がほしいとい うような御相談。治療を続けていって、だんだんに緩和医療へのギア治療が必要になっ たときに、納得いくまでの時間。緩和医療にギアチェンジするときのメリット、デメリ ット。それから、緩和医療とは別に、治療すること自体でも療養場所、この病院でよろ しいのか。もっと専門的な病院がいいのか。もっと家の近くの病院がいいのか。入院で 治療した方がいいのか、通院で治療した方がいいのか。そういったことで、皆さん迷っ て御相談にいらっしゃいました。また、終末期につきましては療養方法の選択というこ とで、病院がいいのか在宅がいいのか。しかし、在宅に帰りたくても、家族がいなけれ ば施設に行かなければならないのか。どんな施設か、病院かといったことで御相談を受 けました。こうした相談は、1件につき大体30分から60分、比較的長く必要で、1日 に2〜3件ということで、がんの診療科が多い外来の日は、大変たくさんの患者さんに 御相談にお越しいただきました。私どもの病院は地域支援病院ということでございまし て、400床ぐらいの病院で、外来が平均すると1日700名いらっしゃるような病院だっ たんですけれども、この人数、この時間の中では十分な御相談をお受けできなかったと 思っております。  こうしたがんの患者さんの相談の特徴ですけれども、患者さんは治療や療養生活に納 得して臨みたいというお気持ちが強いと感じております。ただ、現在は大変情報も豊富 になっておりましたので、複数ある選択肢のどれに納得がいくのか。御自分だけでは意 思決定できないことも多いようでした。しかも、相談窓口にいらっしゃるとき、本当に 相談したいということは最初の質問の背景にございます。極端な例が、御家族の患者さ ん、例えば御両親等上の年代の方に、息子さんや娘さんが父や母には告知をさせたくな い、受けたくない、何とかならないのか。告知をしないでほしいというふうに御相談に いらっしゃるのですが、実際には告知をするかしないかということを知りたいのではな くて、どんなふうに治療を受けていったらいいのか。それから、どのようにがんの患者 さんである御家族と接していったらいいのかということの迷いがあったようです。つま り、がんの患者さんの相談は、単に一番最初の質問に答え、正解を求めているのではな い。つまり、相談とは患者さんの意思決定のプロセスを一緒にたどる。患者自身が納得 いく療養生活を選ぶということを支えることではないかと思っておりました。そこで相 談員には、ただのQ&Aではなく相談の受け方の教育が必要で、だれでもができること ではないと思っております。  さて、ここからは訪問看護で拝見しました終末期のがん患者さんの在宅療養について 報告いたします。訪問看護から見た在宅のがんの患者さんは、利用者全体では約8%と 大変少のうございます。ただ、訪問看護を利用して亡くなっていった患者さんの中では、 4割近くががんの患者さんです。平均すると、利用期間は1カ月程度。大変短いおつき 合いになっております。その中で終末期、がん患者さんへは、訪問看護師として身体的 苦痛の緩和、変化していく身体状況に合わせた療養方法の助言、患者・家族の精神的支 援ということを行っています。具体的には、きょう訪問看護が始まってきょうは歩ける んですけれども、来週はもう夜はポータブルトイレ、再来週はおむつ、そして、その次 の週には亡くなってしまう。そういう患者さんたちをずっと拝見してまいりました。そ うしますと、私たち訪問看護師は、患者さんがこの残りの短い期間どうやって生きてい きたいかということをともに考えて、御家族、患者さんの悔いがない生活を支えたいと 思っておりました。それには痛みがないことがまず第一。それから、患者さんは今まで の人生の上に最期の1カ月を積み重ねておられます。今までの関係でできた主治医の先 生との関係を断ち切りたくないとか、御家族に迷惑をかけたくないという意味では、義 理を欠かない、迷惑をかけないなど、いろいろな重要と考えられることがそれぞれにご ざいました。つまり、これまでのがんとのつき合い方を尊重して考えていくということ が必要です。ただ、ここで強調したいのは、先ほど内田先生もおっしゃっていたのです が、とにかく痛みがないということを自宅でつくることは大変なことです。実際には、 在宅医にはがんの麻薬使用免許を持っていらっしゃらない方、それから、地域によって はがんの疼痛緩和に必要な薬剤が供給されない地域もございます。この辺は、後でまと めて申し上げたいと思います。  具体的な事例を次に紹介したいと思います。これは、退院に向けて情報提供や相談が 十分ではなかったケースを御紹介します。40歳代の女性の胃がんの患者さんで、頚椎転 移がありましてほぼ寝たきりでした。県外の病院に入院していましたけれども、医師か ら今しか帰れないというよくあるフレーズで退院を勧められまして、夫が困って退院日 の数日前に私に相談にまいりました。御家族は、この御主人と3人の10代のお子さんで した。退院までの病院のスタッフと連絡をとろうと思ったのですが、やはり病院という のは交代勤務であったり病院の中の患者さんの対応のことでなかなか連絡がとれず、ベ ッドや介護用品等を御主人の方に助言をしながら在宅に切りかわりました。なかなか病 院のスタッフとは中心静脈栄養を行っていたのですが、その内容について、薬剤の手配 等についても確認できないまま、また、在宅医をきちんと決めてから退院してください というふうに御提案したのですが、やはりそれはなかなか難しい。病院にとっては在宅 医の情報はよくわからないということで、宛名なしの診療情報提供書を御主人がもらっ て帰ってくるような状況でした。  そうしまして、退院されましたら、その日から栄養について困る。疼痛緩和について 困るということでしたので、私の方から在宅医を紹介させていただきましたが、こうい った状況の患者さんに対応できる医師はまだまだ大変少ないので、遠方の緩和ケア医を お願いすることになりました。遠方というのはどのくらいかと申しますと、この医師は 勤務医だったんですけれども、その所属の病院からはこの患者さんのお宅まで車で1時 間かかるようなところでございましたし、私の訪問看護ステーションからこのお宅まで も40分車でかかるような遠方でございました。退院翌日から訪問診療を開始しましたが、 やはりいろいろな薬剤の整備が整うまでに3日かかりましたから、この患者さんは一時 薬物治療が中断いたしました。また、退院されてから患者さんの病状を拝見しますと、 かなり大幅な修正が必要で、実際には帰ってこられてからたった2週間ぐらいで御家族 で看取っていただくという経過になりました。  現在、がんの患者さんは在宅で16,000人年間亡くなるというふうに言われていますが、 亡くなる数だけではなく、ぎりぎりまでお家で過ごす方が多い。そういうことを考えま すと、支援診療所が10,000カ所、訪問看護ステーションが約5,500カ所、退院調整部門 がある病院は余り多くなく、それぞれがすべて小さい規模で行っています。また、それ ぞれの施設での支える専門職の質としては、まだ十分な研修が整っておりません。です から、在宅医療を推進しても、ふえる在宅患者に専門職が追いついていないというのが 私の印象です。  そこで、在宅がん患者支援の課題として申し上げたいことが、治療を継続するがん患 者の支援体制として、退院する際は支援がないまま在宅患者となっているのが現状です。 退院時の調整がないと治療が継続できません。それから、外来通院する患者さんに対し て、服薬管理や生活支援の専門職の関与が余りに少ないと思います。飲まずに保管され ている抗がん剤・鎮痛剤は大変多くございます。実際にもアンペックの座薬が100個お 家に保管されていたというような現状もございます。がん患者への在宅医療物品供給体 制、このようなものも整備をしていただかないと、かかわる医療者や患者さん・御家族 の熱意や一生懸命やろうということではうまくいきません。供給体制そのものを整備し ていただくということをお願いしたいと思います。  そこで、在宅がん医療を担う施設を計画的に整備してください。例えば、在宅療養支 援診療所の役割の明確化、在宅療養支援訪問看護ステーション等の明確化。それから、 在宅療養をしている患者さんを見ている医療者は小さい規模で行っていますので、大規 模研修ではなく指導者を実践者側に派遣するような教育体制はいかがでしょうか。また、 相談を担う専門職をきちんと育成し、相談窓口を拡大するということでは、私ども専門 看護師・認定看護師が相談ということを学習してまいりますので、こういった方策をと っていただけるとよろしいのではないかと思います。以上です。ありがとうございまし た。    垣添座長 角田委員、どうもありがとうございました。がんの在宅医療の非常に具体 的な部分を御指摘いただいたと思います。  続きまして、私も委員ですので。全国がん(成人病)センター協議会の立場と、国立 がんセンターの立場でお話しさせていただきます。  これは、国立がんセンターが昭和37年、1962年にできたときに、その当時大変偉い 方がたくさんおられて、東京に理想的ながんセンターをつくる際に、我が国の地理特性 から考え、各ブロックごとに第2次センターを設置する。がん診療連携拠点病院のよう な構想、あるいは、全がん協のようなことが既に言われていると。それから、病院部門 では診断を重視するとか、末期がん患者の積極的治療を行い、治療の減免措置を考慮す るということも書いてあります。それから、研究部門では、臨床に関する研究から着手 して、順次基礎的研究に拡大する。薬効試験を行う。それから、研究の助成と研究の方 法なども実施する。それから、研究の全国的協力体制をつくること。情報センターとい うことが、あの昔に既に指摘されているということであります。それ以降、国立がんセ ンターはさまざまに国の支援を得ながら進んでまいりましたが、多少、当初指摘された ことに比べていびつに発展してきて、今ようやく設立当初の状況に近づきつつあるとい うふうに考えております。  今、略しまして全がん協と言っておりますが、こういう協議会は専らがんその他の悪 性新生物に関して、予防、診断、治療、調査研究を行う医療機関ということであります。 現在、30医療機関が加盟しております。がん診療連携拠点病院は、そのうち都道府県の 拠点病院が5医療機関、地域がん診療連携拠点病院が21医療機関を構成しております。  これは、全国にどういうふうに分布しているかですが、一応全国をカバーする形で、 北海道から九州まで広がっております。  これは、国立がんセンターの5生率が1964年からだんだん上がってきたということで ありますが、41%から60%ぐらいまで上がってきた。これは、病期を問わずに治療した 結果こういうふうに上がってきたということであります。  今後さらに5生率を改善していくことはなかなか難しくなってきていると。それは、 多発性がんとか難治性がんの早期発見が必要であって、これはやはり早期発見という点 ではマーカー診断と画像診断が非常に重要だというふうに考えています。それから、が ん検診が非常に重要であるということと、難治がん対策に関しては、やはり研究が必要 である。それから、研究成果を国民に還元するためには臨床試験が重要であるといった ことを考えております。  最近のがん医療とがん研究の状況ということでありますが、膵がんの例をちょっとお 話しします。  これは、膵臓がんというのは今、世界中で難治がん中の難治がんと考えられておりま すが、これも何らかのマーカー診断がうまくできれば、それから先の画像診断がかなり 進歩してまいりましたから、早期診断ができるようになるかということであります。国 立がんセンターの研究所で質量分析を使ってマーカーがつかまった可能性があります。 今、これを検討中であります。こういった研究も非常に重要であるというふうに考えて おります。  がん検診の重要性は内田委員からも御指摘のとおりで、今、私どもが持っている技術 をきちんと精度管理をしながら全国展開することによって、今、がんで亡くなる方を減 らす上で最も有効な方法ではないかというふうに考えます。一方で、分子標的薬などが たくさん出てまいりましたが、いずれも極めて高価ですので、これがどんどん、しかも 複合療法となってまいりますと我が国の医療費がパンクする非常に大きな理由になって いくというふうに思います。その意味からも、がん検診というのは極めて重要であると いうふうに考えます。  これは既に内田委員から御指摘ですので、スキップさせていただきます。  平均で検診受診率が17%であるということが、これが大きな問題で、一方、こういう 行政検診の対象になっている5つのがんで亡くなっている方が年間16万人ということ であります。この人たちを仮に半減することができれば、つまり、対象人口の70%以上 が受検することによって、多くの方を早期発見して治してしまえば、がんで亡くなる人 を8万人ぐらい減らすということも理論的には可能ではないかというふうに考えていま す。  今後のがん対策の方向でありますが、がん検診の受診率の大幅な向上と精度管理、こ れが非常に重要であると思います。それから、良質ながん医療を提供するための医療機 関間の連携体制の構築と、必要な人材育成。これは、全がん協あるいは地域がん診療連 携拠点病院その他があります。それから、がん患者やその家族に対する総合的ながん対 策の実施で、これは情報提供とか緩和医療を含めての話であります。最後に、さまざま な革新的技術を応用したがん研究の推進と成果の臨床応用の推進ということで、臨床研 究とか、あるいは研究の重要性ということで、これらすべてを統一した結果として、国 民本位のがん対策推進へというふうにつながっていくのではないかと。国立がんセンタ ーとしてはもちろん最大限の努力をいたしますし、ネットワークを組んでおりますがん 診療連携拠点病院と全がん協組織を挙げて、この目的に向かって努力してまいりたいと いうふうに思っております。以上です。ありがとうございました。  では、続きまして田島委員、お願いいたします。    田島委員 愛知県がんセンター研究所の田島でございます。私はスライドは使いませ んので、明るくしていただけますか。ハードコピーを用意しておりますので、22ページ から23ページ、24ページ、このあたりをかいつまんで。  私は、日本癌学会からということで来ました。日本癌学会は16,000名の会員を持って おりまして、主に基礎的な研究、がんの本態解明、プラス診断、治療、予防に役に立つ ようなトランスレーショナルスタディ、こういったものに努力しているわけでございま す。私自身は愛知県のがん対策に関しても責任がございまして、そういった立場から、 きょうは3点について問題を指摘させていただきたいと思います。このような会が催さ れるというのは本当にすばらしいことだと思います。私は、現在国際対がん連合を通じ てアジアのがん対策にもコミットしておりまして、そういった立場からも、日本がアジ アで範をなして、これからのがん対策というものを充実させていくということは非常に 重要ではないかと思います。  第1点の問題は、がんの罹患数や死亡数を減らすとかいっても、ベースになる数がし っかりしていないとどれだけ減ったかというのがわからないし評価できないということ です。先ほどから出てきておりますが、地域がん登録の精度向上がまずは不可欠であり ます。昭和37年、国立がんセンターが設置されたころから、日本でも地域がん登録、愛 知県でも始まりました。努力はしておりますが、恥ずかしながらいまだに精度が悪くて、 不十分であります。愛知県の中央部では精度が非常に高いのですが、愛知県全体はまだ 高くないのです。それで、22ページの真ん中の右側のスライドのハードコピーを見てく ださい。中央部と愛知県の全体で、各部位のがん(左が男性で右側が女性)で黒い中央 部が全部2割ぐらい高くなっております。これは何を言いたいかといいますと、がん登 録の精度によって罹患率がこれだけ違うということです。つまり、精度を上げないとち ゃんとした罹患率は把握できない。欧米の先進国ではがん登録の法整備により、100%近 い登録がなされていて、正確な罹患率が把握されております。だから、日本でも地域が ん登録の整備が非常に重要であるということが一つ。  二つ目は、23ページの一番上左側のスライドを見ていただきたいのです。先ほど来垣 添先生もおっしゃったように、膵臓がんのように予後の非常に悪いものに関しては、一 次予防あるいは早期診断の技術をもっと高くしなければいけません。しかし、子宮がん、 乳がんはやり方によっては死亡数をこよなくゼロに近づけられると思っております。二 次予防でかなり対応可能である。特に乳がんは、まだ働き盛りの40代50代がピークに なっております。右側のスライドを見てください。1975年から85年、95年、2000年と、 日本の乳がんの増加率の勢いはすごいです。これは何とかしなければいけない。  がん検診に関して、大腸がんの場合は、愛知県では7%の人が便潜血反応でポジティ ブになって、そこまでいいんですが、二次検診になかなか来てくれない。特に、罹患率 の高い高齢者は受診率が低いのです。実際には、その中の3分の1に異常が見られます。 さらに、その中の10人に1人はポリープ様のがんが見つかります。これぐらいリスクが 高いとわかっていながら、なかなか来てくれない。そして、一般にリスクの低い健康意 識の高い人が頻回に検診を受けて、本当に来ていただきたい人は来ない。愛知県でも、 半分の住民は検診を受けたことがないと推測されております。そういった人たちをいか に来ていただくか?  それで、私は何かアトラクティブな数字はないかなと思って、愛知県の乳がん患者で 非浸潤がん、浸潤がん、浸潤がんでリンパ節転移のあるもの、3群10名ずつに分けて医 療費を計算してみました。治療期間は、大体10日余りで退院できまが、浸潤がんになっ てまいりますと、放射線治療、化学療法あわせて非浸潤がんだと65万円で済むものが 337万円かかり、治療期間も5年間となります。これはホルモン療法等もやりますから、 治療期間がこれだけ延びて医療費が5倍になって、そして、生存期間は、8割ぐらいま で下がります。早く見つければ100%近い治癒率を保証できるということです。私が外 科医をやっているときには非常に小さながんを見つけても乳房を全部取ってしまうい、 場合によっては筋肉も取ってしまう。こういった手術を経験していますと、乳がんを早 く見つけてあげるのは罪悪ではないかと思うこともあります。最近は縮小手術、温存手 術もありまして、早く見つければその分患者にとってメリットは大きいということであ ります。  それから三つ目が一次予防でございまして、私たち愛知県がんセンターの研究例を挙 げております。病院に来られる患者からできるだけ情報を集めて、いろいろな疫学研究 に使わせていただく。その中から、24ページの一番上の右側にございますが、いろいろ な部位のがんについていろいろな原因を把握し、こういった情報を構築していきます。 さらに、ベータカロテンによる化学予防の失敗例を学びましたが、中央のスライドの右 側にございます。それの(4)、予防物質においても予防食品においても、適正量をとるこ とが大事です。そのデータづくりが非常に難しいのですが、とにかくいいものなら何で もしっかりとればいいということではなくて、適正量をとって、そして健康を勝ち取ら なければいけない。この辺の情報づくりががん対策、あるいはがん予防にとって重要で はないかということで、きょうの私の話は終わらせていただきます。    垣添委員 ありがとうございました。田島委員は日本癌学会の立場と、それから愛知 県がんセンターの立場、両方含めてお話しいただきました。続きまして富樫委員、お願 いいたします。    富樫委員 皆様こんにちは。あけぼの会の富樫と申します。患者会を代表いたしまし て、こちらに参加させていただきました。本来ならばあけぼの会の創始者のワット隆子 会長が来るべきなんですけれども、御主人が難病にかかられて、今、ロンドンと東京を 行き来の大変な生活をしていらっしゃいますので、継続的参加ということで私が参加さ せていただきます。よろしくお願いいたします。ロンドンの会長といろいろと相談をし ながらこの資料を作成させていただいきました。いろいろなことをお話ししながら、こ んなことあんなこととお話ししていたんですけれども、それはどこの会もどこの先生も おっしゃることだから、これは私たちががん対策に対してやってきたことをこちらで発 表することによって、私たちは乳がんの患者会ですけれども、どのがんの方でも共通す るのではないかということで、きょうはそれを話させていただきます。委員の方々には お手元に資料が置いてあります。2枚目、3枚目、4枚目に資料としては写真が載って おりますので、もしよかったら参考にしてください。ゆっくりごらんになりたい方は、 ホームページをごらんいただければわかると思います。  まず、あけぼの会は1978年に、ワット隆子会長の1通の投書から17人集まって発足 した患者がつくった患者会ですけれども、28年たった今、現在会員数が約4,500人。支 部が40都道府県で活動しております。  会の2大目的は、一番最初のやはり乳がん患者同士で話すと何か解決できるものがあ るか、心の和みがあるかということで始まった乳がん患者サポート。それともう一つは、 患者同士だけではない、一般の方にむけて早期発見の大切さや啓発、そういう運動を長 年やってまいりました。  目的1のために、私どもの会ではニュースレターなど印刷物を会員に情報発信してお ります。あと、講演会、全国大会、相談会、ワークショップ、いろいろな懇親会など、 本部・支部単位で開催しております。電話相談は、本部・支部それぞれ常時受けており ます。これは会員だけでなく、一般の方の相談も受けております。患者の立場としてと いうことでお答えさせていただきます。  次に、ABCSSということでAkebono Breast Cancer Support Service、いわゆる病院訪 問ボランティアということですが、資料、こちらの方にあります。You are not alone、 あなたは1人ではありませんということでつくらせていただきましたけれども、こちら は私どもの方では94年からスタートしております。現在、8県で多々ある病院の中、10 病院で実施していただいております。原則としては入院中の患者を退院する前に訪問し て、退院後の社会復帰に関する疑問や不安に答えるボランティアシステムということで、 訪問するのはあけぼの会会員で術後1年以上、所定の研修を受けて適任と認められた人、 それと病院側の理解、特にナースの協力がないと実現できないのでこのサービスがなか なか全国的に広がらないんですけれども、アメリカでは全米のほぼ全病院でReach to recoveryという活動で受けられています。このサービスを受けないと退院してはならな いというような病院もあるぐらい重要視されております。これの重要性というのは、ボ ランティアのまず元気である姿を見せるということが1番かなと思っております。  次に、「私のカルテ」、カルテ開示とかいろいろなことが世の中行われておりますけれ ども、先生のカルテを患者が見ても、はっきり言って内容がすぐ把握できるわけではな いので、特に乳がんの場合は病理の最初の診断で、その方の治療とかいろいろなことが 予後とかが大体予測されますので、重要になってきます。それを記入するということで、 どちらかというと母子手帳の感覚で自分の診療記録を書くというアイデアでつくりまし た。こちらの方は転院とか転居とかしたときに、もちろん、病院からも資料をいただけ ると思うんですけれども、御自分でしっかりと自分の治療記録がわかれば、とても重要 になります。  そして、こちらの「乳がんディクショナリー」ですけれども、これは先生方からの説 明を、患者がわかるように本当は納得いくまで説明を受けることが望みなんですけれど も、なかなか先生方もお忙しいですし、専門用語が多々出てきます。私も手術前・術後 にいろいろお話しをしていて、えっという感じで、はい、わかりましたとそういう場で はすぐ言ってしまうのですが、なかなかわからなかったんです。けれども会に入ってお りましたので、こちらの乳がんディクショナリーでかなりわかりました。これは改訂版 で、なおさらわかりやすくなっております。ということで、医療専門用語を患者がわか る言葉で解説したもの、自分で専門用語を知るための解説書で、そのわかりやすさが医 療者側からも好評を得て、先般発刊されました日本乳がん学会の「2006年乳がん診 療ガイドラインの解説」にもこちらの乳がんディクショナリーが随所で引用されており ます。  それと、患者の早期社会復帰を支援することが大事なので、そのための具体策の一つ として、有意義なABCSS(病院訪問ボランティア)の普及・推進に理解と協力がぜひほ しいなと思います。先ほど申しましたこのような資料ですね。患者が十分な知識を持っ ていなければならないので、あけぼの会としては実地的に役立つ資料を作成、提供して おります。近い将来、このような情報が、私どもは乳がんのことでつくりましたけれど も、どのがん患者さんに関してもできるようなこういう資料を国や自治体が無料で小冊 子として配布していただければ望ましいな、患者側としてもいいなと思います。  担当医に聞けない不安や疑問に対して、全国的に私どもの会だけではなくてほかの患 者会の方たちもボランティアで電話相談を受けているのが現状です。社会が必要とする 行為を長年、陽が当たらない場所で善意で続けるのは大変な労苦なのですが、これに対 しても認知と敬意を払ってほしいというのが患者会としての願いです。情報センターと して、そういう質問に答えていただければ大変ありがたいなと思います。  目的2のために、母の日キャンペーンというのをやっております。私たちの会員で小 学生のお子さんを2人残して亡くなられた若いお母さんがいらっしゃったんですけれど も、その方の御主人様から御香典をいただいて、これを何とか有効に使いたいという願 いから始まりまして、ことしで22回目になります。全国支部が主体になって、46カ所 で実施されました。近年は、県や市の自治体からの理解協力も得ていまして、検診車の 無料提供もことしは6県、去年は2県だったのですが、ことしは6県でありました。ポ ケットティッシュ、こちらの方に添付させていただきましたけれども、マンモグラフィ 検診を受けましょうということと、毎月1回自己検診を実施しましょう。乳がんはほか のがんと違いまして自分で見つけられる数少ないがんの一つですので、ぜひ自己検診を 実施して、異常があったらすぐ病院に行きましょうということでお配りしています。以 前は単なるシールだったんですけれども、なかなかシールだともらっていただく方が少 なくて、私たち患者が皆さんボランティアで参加するんですけれども、なかなか悲しい ものがあったんですけれども、2〜3年前からティッシュにしましたらかなりの方が受 け取っていただいて、かなりの個数も配布しておりますので、なかなか一般に向けての 活動としてはいいのではないか。本当に配布するのは会員有志ですので、なかなか感激 的なものがあります。自分が乳がんであるということをおおっぴらにして、一般の方た ちに呼びかけをするという活動です。  乳がん検診の日設定。ことし、2006年から、あけぼの会と化粧品会社のエスティロー ダーの共同提案で、2006年から10月1日を乳がん検診の日として認定されました。こ れはまだまだ口ではどこもかしこも言っているんですけれども、マンモグラフィ検診の 重要性を強調するためにやるためにやりました。  あと、乳がん月間、協力医のリスト公表。乳がんの早期発見を一般に知らせるために、 東京タワーライトアップを10月1日に、ことしで6回目やっております。  もう一つ、ABCEF、Akebono Breast Cancer Education Force、教育部隊とちょっと仰々 しいですけれども、今までも要請があれば受けていましたけれども、会社、保健所、学 校、市町村役場、PTAなどの集まりで、要望があれば早期発見・早期治療の大切さを自 己検診の方法などと一緒に伝えるということです。  このように、私たちは体験者の立場から、一般女性が抵抗なく検診に行けるようにや さしく説得する作戦を考えて実施しています。ただ検診に行くようにとか検診を受ける ようにと言うよりは、なぜ行かなければならないか。早期発見すると治療も簡単で済む、 治療費も少なく済むということをやさしく具体的に知らせることが重要だと考えており ます。以上です。    垣添座長 ありがとうございました。富樫委員からは乳がん患者さんの患者会、あけ ぼの会を代表して、非常に具体的な活動の内容を御紹介いだきました。続きまして本田 委員、お願いいたします。    本田委員 読売新聞の本田といいます。きょう、私は、私自身乳がん患者という立場 と、がんを含む医療の取材をしている立場ということから、何点か思うところを述べさ せていただきます。言いたいことが多いので飛ばしていきたいと思います。後は、提出 した資料を見ていただければと思いますけれども、テーマは三つありまして、一つは不 安・不信の問題。もう一つが、情報提供ということの問題。もう一つが、患者、国民参 加ということで思っていることを述べさせていただきます。  一つは、私は乳がん患者ということで、新聞に右の方にある「がんと私」というタイ トルで連載をしておりまして、それの反響の中で、本当に今でもがんの課題を考えると きに忘れられない手紙があります。70歳代の男性から、奥さんが膵臓がんで亡くなられ た方だったんですけれども、妻が不調を訴えて診療所に行ったら胃炎だとずっと言われ 続けて、3カ月後におかしいと思って別の病院に行くと膵がんだと、末期だと告知され たと。とりあえず抗がん剤治療をしようということになったんですけれども、その2カ 月後には「治療法はない。もう退院してください」と言われて、「何とか置いてください」 とお願いしたけれども、「帰ってください」と言われて仕方なく家に帰ったそうです。そ の辺、本人がおっしゃるには、相談するすべもないまま家で妻を診ていたんだけれども、 薬を処方されてはいたけれども使い方ももう一つわからなく、最期は私の腕の中で苦し んで胃液を出しながら妻は息を引き取ったと。この経験から「こんな医療は疑問だらけ で、信じられるでしょうか」と訴えるお手紙をいただきました。今のがん患者さん・家 族の中で、一番つらい体験の典型例かなと思って忘れられません。  がん医療に対する不安とか不信とかということで、よく「がん難民」と言われるんで すけれども、どういうところで困っているかというと、もちろん初期治療の段階で悩む というところもあるんですけれども、やはり進行、再発がん治療に至ったときどうした らいいのかという部分が深刻だと思います。さらに、ある程度治療が進んだんだけれど も、もう治療法はないと言われたときにどうしたらいいのか。ホスピスを紹介しますと 言ってくださったらまだいい方で、もうこれ以上病院にいられては困りますみたいなこ とを言われてしまうケースもあるようです。そこで、「一体どういうことなの」というこ とで不安と不信が爆発するというのが、お手紙とかの中でも大変多いパターンです。  治療法がない状態というのをいろいろな読者の方の話とか私自身の取材で分析すると、 四つのパターンがあるなと感じているんですけれども、一つは、医師の力量とか知識の 問題。もう一つは、その病院の問題。病院に、まだ本当はセカンドライン、サードライ ンの治療薬があるような状況でも、その病院では置いていないとかそういう問題が現実 にあります。もう一つは、保険制度の問題。もう一つは、残念ながら、やはり現代医療 の限界という段階。簡単にデフォルメしてしまったので必ずしもそうとは言えないかと 思いますけれども、積極的治療法が「まだある」のに「ない」と言われている場合と、 「実際にもうない」という場合の二つがあると思います。その「まだある」場合に対し ての対策と、「(積極的治療法は)もうない」というところの対策、それぞれ資料に書い たようにAとBの視点を考えてみました。こういう四つの場合があるのだけれども、そ このところをちゃんと医師が説明していない、もしくは、説明していても患者側が理解 できていないということもあるでしょうが、そのために、ただ何となく不信に思って、 お互い相互理解がないもので疑心暗鬼になって、先生はひどい、病院がひどいという不 信感が増大してしまっているというような読者の声も大変多いです。  Aの視点では多くの委員が既にいろいろおっしゃっているので、一つだけ強調したい のが、国立がんセンターというところは何をする病院なのかというのを常々感じている ということです。取材をさせていただいて、働いておられる医療者の方々は本当に一生 懸命頑張っていらっしゃるので、個々のだれかをどうというわけでは全くなくて、シス テムの問題として、国立がんセンターというのは新たな標準治療を開発したりとか人材 育成をするという政策医療をきちんと行う病院なのか。それとも、日本一たくさんの患 者をたくさん診る、そういうがん専門の大病院なのかというところがよくわからない。 がん難民と言われるときに読者の方で大変多いのが、がんセンターは日本一の治療をや ってくれる病院だと思ったのに、途中で放り出されてホスピスに行けと言われたと。こ れは多分先生方が聞くと誤解だと思われるかもしれませんが、患者側の認識としてはそ ういう方が大変多いです。職員の方も、やはり新たな標準治療開発ということが日本の ため、世界のためにどれだけ大切かということを理解して頑張ってやっていらっしゃる んだけれども、個人的な感情としては、その患者さんを最期まで診てあげたい。だけれ ども、一般病院と違う役割を担うために、「これ以上、治療できない」と言わざるを得な い。また、ある程度の段階で、「これ以上本当は積極的な治療はしない方がいい」という 信念もあると思います。その辺をうまく説明する時間もないということで、患者さんと 意思の疎通ができないまま、放り出すような場合がある。ほかの病院にとっては、国立 がんセンターがいろいろ標準治療の開発の中で、初期の段階の患者さんにたくさん来て もらわなければいけないという現実はあるとは思うんですけれども、一般病院にしてみ れば、そんな初期の誰でもできるような胃がんの手術が必要な人ばかり集めてどうする んだというような見方もされているというのが現実です。国家戦略として、がん対策と かがん研究を進めていく、がんの医療提供をどうやっていくかという中で、国立がんセ ンターの役割をどうしていくのか。今後、情報センターの中にがん研究予算配分機能を 持つということになりましたけれども、一層そういう中で中途半端であっては困るので はないかと強く感じています。  もう一つは、医師養成システムの再構築ということです。これは、がんについて言う と、やはりがん治療の司令塔というものをちゃんと育てていってほしい。私は、臨床腫 瘍医というか、抗がん剤専門医というのは抗がん剤治療をする専門医だとずっと思って いたんですけれども、欧米では、その患者に必要な治療のコーディネートをする役割を 担っているという。日本のこれまでのがん治療を担ってきた形の中では、なかなかそれ をそのまま欧米のようにしていくことは難しいかもしれないですけれども、患者にとっ ては何でも相談できるがんのコーディネータという立場の人が、内科医であろうが外科 医であろうがいいんですけれども、その辺の役割をきっちり明確に、教育の段階からそ ういう人を育てていってほしい。また、やはり日本はどうしてもよく言われますけれど も、研究医だけではなくて本当に患者を診る臨床医を養成していくシステムにしてほし い。それは、やはり臨床医というものを評価するシステムがないといけないのかなと感 じます。そもそもがんだけの問題ではなくて医師養成自体の課題として、疾病構成とか 社会の変化に応じて医学教育とか臨床医を養成するシステムの見直しというものが必要 だと思うし、そもそもどういう医師をどれぐらい養成していくのかということがやはり 全然見えないまま、今の医師不足だとか医師偏在だとかいう問題が起きていると思いま すので、専門医制度の見直しも含めて、それはがんだけではないけれども、きちんと本 腰を入れて始めてほしいと思います。  保険制度の問題は多くの方が発言されているので、未承認薬とかのことをもう言いま せんけれども、現実に、やはり保険適用外の薬の使い方というのが、最近は患者さんも インターネットとかメーリングリストとかで情報交換をすごくしていますので、問題に なっています。例えば、ハーセプチンの術後補助療法に関して、日本ではまだ保険適用 されていないと思うんですけれども、実際、患者のためにということで、本当にこれは 厳しいぞという方に使っている病院も多々あるようです。でも、同じ立場なのにうちの 病院は使ってくれない。あなたの病院は使ってくれているの。なんで、なんでというよ うなことがよく起きています。その辺、なかなかすぐ全員使えるようにすればいいのか という問題もあるかと思いますが、患者にとっては切実な問題です。現実にそういうこ とがある、混乱が起きているということを行政の方も認識していただきたいと思います。  もう一つ、積極的治療法が本当に現状ではないというような場合でも、資料の下から 発言していきますけれども、これも皆さんおっしゃっています緩和医療の充実というこ とが喫緊の課題だと思います。積極的治療に次の手がなくなったとしても、「患者への治 療がなくなる、患者への対応がなくなるということはありません」というふうに、ある 医師に取材した際に言われたことがあるんですけれども、皆さんがそういう意識を持っ ていただきたい。家庭医の養成充実、そこに書きましたけれども、病院で最期を迎える より在宅でというようなことが言われている中で、在宅を選ぶか選ばないかは本人の選 択だとしても、そういう選択肢ができることは重要だと思います。いざ家に帰りたいと いうときに、在宅医療に力を入れている医師に伺うと、やはりそれまでずっと家庭医み たいな何でも診てくれるような地域の医師とのかかわりがないと、なかなか地域に帰る というのは難しいという現実を実感しました。  もう一つの不信の根として、医療への認識の違いがあると感じています。私自身も患 者になって気づいたことなんですけれども、やはり「医療は万能ではない」とわかって いるつもりでも、「現代の技術ならこれぐらいのことは分かるでしょう、これぐらいなら できるでしょう」と、やはり自分のこととなると過剰に期待しがちです。一方で医療者 は、現代医療でも不完全でわからないことだらけなんだという現実が、長く勉強されて いるので当然わかっている。そこのところの説明が十分にされていないため、説明のあ り方とか時間がないことだけではなくて手法とかもあると思うんですけれども、患者と 医師の認識がズレたままで、患者側に不信が生まれている部分がすごくあると思います。 資料に私の記事、これはネットでまだ載っていますが、読んでいただければ、私自身が どういうふうに限界を感じて、ああ、違うんだなと感じたのかというのを書いてあるん ですけれども、そういう経験から、やはり命と医療というものを学ぶ機会、文部科学省 の方もいらっしゃるので、ぜひそういう機会を何か設けられないものかというふうに強 く感じます。  時間がないので、情報センターについてですけれども、情報提供のあり方ということ で一つ大きな問題、生存率みたいなアウトカム情報をどうやって公開していくのか。当 然、それはがん登録とかきちんと進めて情報をまとめていかなければいけないんですけ れども、提供の仕方としても、患者、医療者、一般国民とかマスコミというように意識 がいろいろあります。特に患者は複雑です。ちゃんと知りたいという方と、なかなかそ ういうのは見たくないという段階の方も現実にいます。そこで、そういう人がいるから データは出さないでいいというのではなくて、これは知人から聞いた話ですけれども、 「次は生存率が表示されますけれども、見たくない場合はスキップできますよ」という 段階を踏むなど、いろいろな情報提供のあり方自身も患者にやさしい形でお願いしたい と思います。  最後に、ボランティアの力ということで、先ほどあけぼの会の方からの発表をうかが い、いろいろな活動をされていてすごいなと思うんですけれども、ボランティアの力、 患者さんで「社会のために役立ちたい。自分の経験を役立てたい」と思っていらっしゃ る方は実はたくさんいらっしゃいます。そういう方々に、患者支援などいろいろなこと を担っていただくことが今後は重要だと思います。今後、拠点病院の相談支援センター などで、どういうふうにボランティアに力を発揮していただくか。例えば、MDアンダー ソンがんセンターでは病院にボランティアサービス部というのを設けて、何千人という 患者さんに研修を受けてもらって、様々なボランティア活動を担ってもらっています。 コールセンター的な電話サービスを担うのか。実際に病院を回るのか。いろいろ資金を 集めるために頑張るのか。ボランティアサービスにもいろいろあると思うんですけれど も、それをどうプログラムしてだれがある意味統率するのか。患者参加は、患者・国民 が医療のことを知るためにもすごく重要になっていくと思いますので、ここら辺に力を 入れていくべきではないかと考えています。すみません。長くなりまして。失礼します。    垣添委員 本田委員、どうもありがとうございました。マスコミの立場と御自身の患 者さんの立場の両方で、国立がんセンターなどなかなか手厳しくやられましたけれども、 次にまいります。次は門田委員、お願いします。    門田委員 大阪大学の外科の門田でございます。今、日本癌治療学会の理事長という 立場から、次の四つの点について、治療学会がどう取り組んでいるかというお話をいた します。まず、今、話題になっております認定医制ですね。専門医認定制をどう考える かということ。それから、委員の中では外科医ただ1人だと思いますので、外科治療に ついて少しお話しさせていただいて、最後に私個人の提言をさせていただきたいと思い ます。  これががん治療学会の歴史です。昭和38年にできてこのような推移で、現在、先ほど 厚労省の方から御説明ありましたけれども、今、会員は15,000人を超えているというこ とであります。中を見ますと、外科医が約50%、内科医が約15%、残りで35%という ふうなことで、それぞれの専門性を持っておられる先生方が会長そのほかの役員を務め られて会が進んできているというものであります。  こういう組織でありますので、常にそれぞれの専門学会の特殊性というよりも、横断 的な基盤的な領域のテーマが話題になるということでございます。そういう特色を持っ て、今まで取り組んできているということであります。  小さい字で申しわけございませんけれども、これがメインの社会的責務とはというこ とです。1986年のころから、がん治療をしているけれどもその治療効果判定はどうなっ ているんだというあたりを学会挙げて明確にし、これを発信してきました。そして、1986 年、抗がん剤の毒性について検討する。あるいは、規約を決めておかなければ、先ほど から出ております生存率の計算方法云々というものも発表者によって違うというのは困 るというので、いろいろな取り決めごとをやってきました。それから、リンパ節転移に ついての規約、そのほか種々のことについてずっとやってきている。当然、用語という ものも統一されたものを使っていかなければならないという形。それから、臨床試験に 関するガイドラインとして、第3相試験について、あるいは第1、2相試験についてガ イドラインとして公表してきたという歴史がございます。  そのほか、適正使用ガイドライン、抗がん剤の使用ガイドラインです。そして、最近 取り組んでおりますのががん診療ガイドラインということでございます。この仕事は厚 生労働省の研究費をいただいて研究させていただいているということでございます。  今までも出ておりますけれども、1つの大きな変化といいますと、治療現場が非常に 新しいテクノロジーが次々と導入されてきているということでございまして、患者さん にICを撮ると申しましてなかなかすべてを理解していただくのは難しくなっているの が現代であるし、また、同時に治療そのものも複雑化してきております。そのあたりを わかりやすく情報提供することができないかということでやってきているということで ございます。  そこで、これはことしの日本癌治療学会のワークショップでやったものですけれども、 このガイドラインにはどういうものが求められるのかということですが、とにかく客観 性のあるクオリティの高いものをつくってガイドラインとしてまとめていかなければい けないと考えております。  そういうことで、そのためにこの学会の中に委員会を設け、そして、本学会と当然専 門学会との関係がございますので、そこに依頼して作業をすることとしております。当 然それだけではなくて、評価ということを十分していかなければならない。第三者によ る評価ということをやりながら、これを進めていっているということでございます。も う御存じのように、たくさんのものが既に世に出されております。  一番今の段階で我々が話題にしていますことは、結局これらの情報がいつでもどこで も無料で閲覧できるものを、しかも理解がちゃんとしていただけるというものを社会に 発信していくということで、今、インターネット上で公開するというところを検討して いるということでございます。ここには、先ほども話題がありましたけれども、どこま でどういう形で公開するのか。あるいは、医師に出すものと患者さんサイドに出すもの とどうするかというあたりも、先ほど御指摘ございましたけれども、検討しているとい うことであります。  それから、専門医・認定医についての考え方を少しだけ述べさせていただきます。既 に何度も出ておりますが、がん患者さんは非常にふえてきておりますので、多くの患者 さんを診る医師をつくっていくということになろうかと思います。  ふえる医療事故については、いろいろな報道がございますが、今までの教育制度の中 でストレート方式で縦割りでやってきたものの一つの弊害かもわかりませんが、専門外 の領域に対する知識、あるいは関心が余りないという課題があります。あるいは、今、 我が国で、これも出ておりますが、臨床試験の開発がおくれているというふうなことが 言われています。  そこで、とにかくこれを何とかカバーするということです。先ほど、患者さんが最初 に医療機関に来た段階で見落とされたというお話がございましたけれども、今、我々が 考えなければならないのは、やはりここのところですね。患者さんがまず訪れるところ の質を高めない限りは、いくら専門性を高めたところで患者さん、国民にはメリットが 返ってこないということで、とにかくボトムアップするということが何よりも重要にな ってくるということであります。ですから、特定機能あるいは非常に高度なところを検 討する、あるいは中間的なところもございますけれども、一番大事なことは、やはり基 盤的な腫瘍学、基盤的な患者さんが入ってくるところの問題点、そこに十分対応できる ようにするというのが何よりも重要ではないかというふうに考えているわけであります。  患者さんサイドからすれば、どこにいてもどの病院でもどの医師でもどの段階でもと いうふうにおっしゃられるだろうと思います。特殊なものをつくっていくというのは非 常に簡単ですが、実際は目の前にある患者さんがどうかということになるわけでありま す。  そういった意味で、私たちが目指すところというのは、非常に高度なところをすると ころ、あるいは緩和するところなど、いろいろな段階がありますが、患者さんが受診し てきた時一番大事なことは、個々の患者さんを必要なときに必要なところに適確に紹介 できる医師を作ることと考えます。責任持ってこれができ、安心して任せるということ が何よりも大切だというふうな考え方であります。  そういうことで、がん治療の認定医制度というのは、その入り口のところを高めてい くということが一番重要だというふうに考えているわけであります。  直接専門医に行かれる方もあるかわかりませんが、認定医から上に上げ、そしてまた 上から返ってくる。そういうことを担当できる医師をふやしていくということが重要と 考えております。  結局、専門医制度という表現よりも、こういうふうに幅広い認定医をふやして、患者 さん、あるいは国民のためになるということを目指すというのが今、必要ではないか。  そういうことで、家の近くでかかれるところに認定医をつくり上げるということが一 番大事で、そして、さらに高度化していくという発想でございます。  我々は1995年からこの専門医についてずっと検討してまいりました。そして、去年、 実際専門医を試験をするというところまでいっていたわけですが、今回の日本医学会よ りの提言に基づいて、専門医試験を中止し、今回の認定医制度をやっているということ であります。  だから、癌治療学会の認定医制度ではなくて、いろいろな学会が協力して共通の制度 をつくり上げるということが必要で、学会単位でこの専門医制度をつくるのではないと いうことが重要ではないかというふうに考えております。これはほかの領域にも通用す ることだというふうに思います。  ですから、お互いの専門学会との競合ではなくて、ある基盤の領域をそれぞれの学会 が一緒になってやって、それぞれの専門性はその上に高めていただくということを考え るということであります。  これは垣添先生の国立がんセンターのホームページから見せていただきましたけれど も、5年生存率がすべての臓器でこういうふうに上がってきております。大阪府は古く から地域がん登録をやっておりますが、地域がん登録を見ても成績は上がってきている ということがわかるわけであります。私たちの教室の成績を持ってきましたけれども、 私の前々任者の時代、その次の時代、そして今、まだ期間が短いので成績が非常にいい のですが、こういうふうに外科治療成績が徐々に徐々に上がってきているんですね。こ れはステージI、II、IIIA、IIIBですが、こういうふうになってきています。しかし、 一方でこういうふうに治らないステージまでいっているものもある。そこで、このよう に治るものと治らない2群を分けるということも非常に大事になってくるわけでありま す。こういうふうに我々にはしなければならないテーマが残っているということであり ます。  今の外科というのは、治癒しやすいものは低侵襲・縮小手術という形の研究が進む。 また、しにくいものについては集学的治療、いろいろな治療と一緒にやっていくという ことを検討しています。  これは最後で、全く私の個人的なものでございますけれども、患者さんと現場にいて 思うことは、患者さんはいい医療を早くしてほしいとおっしゃるんですね。ところが、 治験参加というのはなかなか難しいということをよく経験します。ぜひここは一緒にな って、国民全体が一緒になって治療を研究するという姿勢をつくっていく何かの方策が 必要だろうと思います。それともう一つ、患者さんの会の方、あるいは本田さんの方か らも話がありましたけれども、やはり国民の皆さんがもう少し賢くなろう、勉強しよう。 これは受けるのではなくて、患者さんあるいは国民の方で何かをしていかなければいけ ない。つい先日の学会でもありましたけれども、野球とか相撲とかというのは一般の人 の評論家がたくさんいるけれども、自分たちに一番大事な医療については専門家が一切 出てこないというふうなことをおっしゃっておられました。治らない病気もあるので、 国民の民さんはこれを理解し、これに対しての対策を考える。同時に我々医師は、やは りもう少し医師としてのプロフェッショナリズムということを自覚しなければならない。 これは、学会の中で今、一生懸命叫んでいることであります。ちょっと長くなりました が、以上でございます。    垣添座長 ありがとうございました。癌治療学会と外科医のお立場ということでお話 しいただきました。それでは、最後になりますが、山田委員お願いいたします。    山田委員 私は今、放射線治療学会の会長をしておりますので、放射線腫瘍学の立場 からお話しさせていただきたいと思います。  放射線治療は機能が温存できるということで、がんの患者さんにとってQOL維持に は最適な治療法なのですが、残念ながら、今までは治療成績が余り良好でなくて、やは り手術できない患者さんが専ら放射線治療の対象だったというのが現状だったのですが、 ここ10年、放射線治療が非常に進歩してまいりました。  まず、この10年で進歩したのが、やはりコンピュータや画像診断の進歩があるのです が、放射線治療技術も非常に進歩しまして、これは定位放射線治療とよく言われている ものですが、がんにピンポイントで放射線治療できる技術が開発されました。例えば、 ここにがんがあるのですが、従来は前後から非常に大きくかけることで、結局このがん に対して大きな線量はかけられなかったのですが、ここだけに限局してかける技術がで きたことで、非常に大量の放射線をかけることができるようになりまして、こういった ようにがんは治っていくわけです。原発性肺がんで3センチ以下のがんであると、大体 90%が治癒するというのがこの定位放射線治療でございます。  ちょっとそれより大きながんに対する治療として今、注目されているのが、強度変調 放射線治療方法、IMRTという方法でありまして、これは照射線量の強さを、例えば ここの部分は弱くかけたい、この部分は強くかけたいというのを組み合わせていろいろ な方向からかけることによりまして、凹型とか凸型、すべての形に合わせた治療が可能 になりました。これはあるスライスでの治療で、この上のスライスはまた別な格好をし ていますと、この上のスライスではまた別な線量強度でかけますので、3次元的にがん の形にそっくり沿った治療が可能になります。例えば、これは頭頚部ですが、ここに脳 幹部、あるいは脊髄があるのですが、従来は凸型の線量分布、あるいは対向2門とかい ろいろな方向でかけても大きな照射でしかかけなれなかったのですが、このがんだけに 限局してかけて、唾液腺も外し脊髄も外してかけるということが可能になりました。特 に著しいのは前立腺がんですが、直腸の出血のために今まで70Gyしかかけられなかった のですが、このIMRT法によって直腸を外して治療することで、70Gyの線量を90Gy まで上げことができまして、今まで直腸出血率が患者さんの30%で起きていたのが、こ れが3%に減って、線量がふえたことで治癒率も70から90%に改善するというような 効果が得られております。  放射線治療は、従来は手術不能がん、進行あるいは全身の状態で手術ができないとい う患者さんが対象だったのですが、今は放射線治療は切除可能、手術が可能ながんにま で踏み込んできております。これは一例ですが、手術可能な食道がんに対して、抗がん 剤と組み合わせた放射線治療を行う方法ですが、放射線と同時にシスプラチンという薬、 さらに5-Fuという薬を併用することによりまして、これで治療をして、治療直後にが んが残っている場合、あるいは、経過中に再発した症例には手術をしていただくという 治療が行われております。  例えば、これは手術可能な食道がんですが、治療前にこういったちょっと隆起してい るところががんで、ここに潰瘍が見られるのですが、これ全体ががんですが、これに放 射線を30Gyかけますと、潰瘍だけとなり、大きな隆起したがんは消失しております。こ れは60Gy、治療の終わりですが、そうするとこの潰瘍も消えまして、1カ月目になると きれいに毛細血管も張ってきて、元の食道が残るわけでございます。こうした患者さん は経過を見て、万一再発したらその時点で手術をしていただくというのがこのトライア ルです。  まだこれは途中経過で、最長で4年しかたっていないのですが、治療成績を見ますと、 ちょうどこの間に抗がん剤を使った放射線療法は嫌だ。この治療は2〜3カ月かかる治 療ですし、抗がん剤もそれなりに楽ではございませんので、それよりもいっそ切っても らった方がいいという人、55人の方が最初から手術を希望されまして、その結果を見ま すと、治療成績にはほとんど差がないということでございます。  ということで、今、放射線治療が従来と比較して非常に良くなってきています。その 結果、手術から放射線治療に移ってきている患者さんが非常にふえているというのが現 状で、昔であると放射線技師さんの数はそんなに必要なかった。要するに、かなり進行 した患者さんで姑息的照射が多い時代にはそんなにたくさん必要でなかったのですが、 今、かなり治療計画にも人手がかかる、治療にも人手がかかるというようなことで、人 が不足しているというのが現状でございます。これが予測される患者さんの数ですが、 今、60万人のがんの患者さんがいて30万人が亡くなっている。その中で放射線治療を 行っているのは日本では13万人です。これをよく見ていただきたいのですが、米国では がん患者さんの全体の6割の方が、治療の途中でどこかで放射線治療を受けている。と ころが、日本では現在20%とか25%しか受けていません。日本に放射線抵抗性の線がん が多いという理由もありますが、そんなにがんの種類に違いがありませんので、恐らく 患者さんが外科、内科のお医者さんのところに行ったときに放射線治療を紹介していた だけなかったということが最大の理由ではないかというふうに思います。そういう意味 では、放射線治療の教育というのが非常に重要で、これを是正しない限り、必要な患者 さんが必要な放射線治療を受けられないという状況が続くのではないかというふうに思 います。10年後には、今の3倍ぐらいに放射線治療の患者さんがふえることが予想され るわけです。これは高度高齢化社会の進行と放射線治療でよく治るようになってきたと いう二つの理由によると思います。  日本と米国、特に人的資源を比較しますと、人口は米国の約半分ですが、放射線治療 施設の数が大体3分の1。先ほど言いましたように、日本は20%しか治療しておりませ んので新患数は13万人。向こうは70万人ですが。それに比べて放射線の腫瘍医の数が 専門医、認定医が500人しかいないのに対して、米国は4,000人。一番凄惨なのが、物 理士といって医師をサポートして治療計画を立てたりする物理屋さんが、米国4,000人 に対して日本は40人しかいなくて、なおかつ、この人たちもほとんど現場にはいないと いうのが現状です。だれがこれを担っているのかというと、診療放射線技師さんが業務 のかたわらボランティアで担っているというのが日本の現状です。  これは施設の数の増加を示していますが、90年から10年で約倍ぐらい施設の数は日 本でふえております。放射線治療医もふえているのですが、99年あたりから一定のふえ 方しかしていないということで、この中で5年以上の経験のある認定医というのは半分 しかいないという、かなりお寒い状態です。ただ、治療技師さんの方は、患者さんの数 がものすごくふえていますので倍増しているというのが現状です。  2005年と比較して、2015年、10年後にはどれだけの数が必要になるかというのを計 算した数ですが、治療機器が1,200台。治療医が、専門医ですが、これは1,800人ぐら い必要だろうと、品質管理士、これは治療の物理士さんですが、900人ぐらい、今の10 倍くらい必要ではないかと、技師さんも倍ぐらい必要だということで、看護師さんは今、 ゼロですので、この方も必要だと思います。  これは医学部における放射線治療を担当している教授の数ですが、特に国立大学は 18%しかいないということで、全体でも治療の教授は3分の1しかいません。残りは診 断の先生が教授をやっているということで、放射線治療の教育というのは、放射線腫瘍 医の育成と同時に、他科の医師が放射線治療を正当に評価する、あるいは、放射線治療 を患者さんに説明できるという意味でも非常に大事な教育でありますので、すべての医 学部で診断学と治療学の分離をしていただきたいと思います。ある大学でこれを行おう としたところ、文部科学省から、法人化したので自分でやってくださいと言われたとい うことですので、ぜひ定員を、最低1人でもいいのでつけていただきたい。また、物理 士については、これはできれば国家資格にしていただきたいのですが、できなければ理 工系の物理士がいますので、彼らが治療計画に携われるような法的整備と、診療報酬上 の支援をお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございました。    垣添委員 山田委員、ありがとうございました。がんの局所治療としての放射線治療 の進歩と、それに伴う問題点をいろいろ御指摘いただきました。どうもありがとうござ います。  本日はがん対策の推進に関する検討会の第1回でありますが、最初、厚生労働省を中 心にして、文部科学省、経済産業省も加えた行政の立場でのがん対策に対する取り組み を御説明いただきました。あと、この検討会の委員であります10名の委員の先生方、そ れぞれ患者会の立場、あるいは医師会の立場、学会、これも臨床腫瘍学会、日本癌学会、 日本癌治療学会、全がん協の立場、そして看護の立場、マスコミの立場、放射線治療学 の立場ということで、非常に多岐にわたって我が国のがん対策、あるいはがん診療上の 問題点、あるいは現状をお話しいただきました。あと約30分ありますが、これから一般 的な討議をさせていただきたいと思います。本当に問題は多岐にわたっておりますが、 とりあえず第1回ということでありますが、自由に御発言いただければと思いますが、 いかがでしょうか。余り多岐にわたり過ぎ、なかなか発言がしにくいかと思いますが、 患者さんの立場で海辺委員、先ほどがん難民のことを御指摘いただきましたが、補足し てもし御発言いただければ。    海辺委員 それではまず、いろいろ伺っていてメモもとったんですけど、ちょっと散 漫になってきてしまったんですけれども、まず、予防、早期発見のところも、やはり患 者からすれば助かるためには早く見つけていただきたいというのがあるんですけれども、 患者さんからすると、やはり最初行った病院で見つけてもらえなかったというような訴 えもかなり聞きまして、そういう振り分け機能といいますか。やはり、何度もそのお医 者さんに通って1カ月2カ月をそこの病院でむだに使ってしまったというような事例が 多く耳にしますので、そのあたりで開業の先生が臨床のがんの経験が全くない方とある 方でかなり差ができてしまうのではないかと思うんですけれども、そういうふうなもの の振り分け機能に関しましてはどのようなお考えがあるのか伺ってみたいなと思ったん ですけど。    内田委員 その辺に関しましては、やはりほとんどの先生は大学なり卒業してから、 病院の研修というところである程度の専門性を持って研修をしている場合が多いですよ ね。ですから、現状ではその辺のところがはっきり整備されていないということと、も う一つはいわゆるかかりつけ医のところで検診や何かを実施する場合が多いんですけれ ども、その場合の検診についてのスキルとか、その辺についてもきちんとした今、カリ キュラムであるとかガイドラインであるとかということがはっきりしたものを恐らく持 っていないと思いますね。そこのところをスキルアップするということと、もう一つは、 専門性を持っていない部分に関してはきちっと連携をすると。医療機能を分化、整理し て連携をしていくというシステムが、地域の医療提供体制の中でこれからつくっていか なくてはいけない部分、今、ないわけではないですけれども、取り組みがおくれている 部分かなというふうに思います。その辺の役割に関しましては、医師会が今後担ってい く必要があるのではないかというふうに考えています。    垣添座長 今の点に関して、医師の立場でほかの皆さん、何か御発言ありますか。で は、門田委員どうぞ。    門田委員 先ほどもお話しさせていただきましたけれども、結局、非常に限られた数 の専門医制というものではなかなかこれは解決しないというふうに思うんですね。です から、やはり我々の今までのストレート方式の医師をつくってきた過去のやり方から、 今のような形でもう少し幅広く勉強していくという制度をつくっていって、なおかつ、 これから認定医制度とかというふうな形で幅広いボトムアップをやっていくという努力 はしていかなければならない。ただし、非常に例外的に、ちゃんとした検診を受けたと ころでもがんが進行がんになって見つかったら、そのときにどうもここに影があったら しいというようなことがちょこちょこ現場にありますので、そういう場合もあるという ことも認識した上で、それをどう高めるかという努力は必要なのではないかと思ってお ります。    山田委員 私、大学病院なんですが、大学病院は今までやはり専門別診療で、まず患 者さんは外科に行ったりとか、紹介されたところへ行っていたんですが、今度拠点病院 になりまして、がんセンターを大学病院でつくりましたので、恐らくそういう縦割りの 外来ではなくて、がんセンターへ行ったらどの治療が一番いいのかというのを提示する ような、また、みんなで話し合って決めるようなシステムができてくると思うんですね。 ただ、開業の先生はそこでいろいろ治療はされないと思いますので、開業の先生は、そ ういった拠点病院にまず患者さんを送ることが大事だと思います。ただ、今問題なのは、 拠点病院の中で患者さんを奪い合っているような状況なので、それをそうではなくて、 患者さんにとって進行度とか全身状態を見て一番最適な治療は何かというのを決めてい く事が大事かなと思っています。  それから、いろいろなお話を聞いていて、がん難民という事が出てきたのですが、が ん難民というのは私たち放射線治療医は今まで最後のがん難民を受け入れる治療をやっ てきたのですが、今は放射線治療が高度化して治療率が上がっており、患者さんが急増 していますので、やはり治療後は移ってもらわないといけない。そのときに一番困るの は、移っていただく先がないのが一番大変なんですね。最後まで私たちが診るのがやは り患者さんにとって一番いいと思うのですが、ただ、こういう状況では難しいと思いま す。がん拠点病院というのはつくってもらったのですが、最後を受け入れる、最後まで ちゃんとやってくれる病院を指定していただけると、我々がん医療をやる上にとっても 非常に助かるなという気がいたします。    垣添座長 患者さんの側から問題提起をされて、医療側からいろいろ御発言いただき ましたが、本田委員、どうぞ。    本田委員 振り分け機能の問題もあると思いますが、いきなり病院に行かれる患者さ んも大変多いですよね。そういう中でよく聞くのが、難治性のがんだとか、その病院で 手に負えない場合、より高度に診られる病院へきちんと送ってもらえない、病院間の連 携のなさということに患者さんの間でとても不満があります。「何とか大学病院だったか らその大学の系列病院にしか紹介してくれなかったわ」とか、患者の間でも話題になり ます。また、「こういう病院を紹介してほしい」とお願いしても、先生方も知らない、わ からない。結局、それで時間を費やしてしまう。そこで不満と不信がどんどん増幅して いくんですよね。拠点病院制度というのができましたが、地域の病院や拠点病院の間で の連携をどうしていくのか。どの病院は何が得意で、どういうシステムで連携していく のかといった議論が実際になされているのか。現実どうなっているのかということも教 えてください。    垣添座長 今の点は、結局、がん対策基本法が6月にできて、国もがん対策の基本計 画を立てていきますが、これは都道府県もそれぞれの、例えば、ある県のがん行政をき ちっと県の基本計画を立てて進めていくと。そうすると、基幹拠点病院と、その中のい わゆる二次医療圏に一つの地域がん診療連携拠点病院の連携で解決するという図式にな っていますけれども、そんなにすぐにはなかなか実現しないと思います。今、特に患者 さんの立場、あるいはマスコミの立場から御指摘いただいたことはもっともですし、そ れから、それが解決しないと、やはり患者さんや家族の不満とか悩みというのはなかな か解決しないのではないかということです。それを直す方向に今、向きつつありますけ れども、ただちに対応できないというところがなかなか苦しいところですね。    海辺委員 あと、厚生労働省の担当者の方から先ほど御説明いただいたときの、資料 の3−11のがん医療にかかわる医薬品等の早期承認ついて、26ページですけれども、そ こら辺で、黒丸の1番目、「抗がん剤を含む難病等を対象とする医薬品等であって、医療 上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより十分にその研究開発が進 んでいないものについて、希少疾病用医薬品等として指定し、助成金の交付云々」とい う、この「他の医薬品等に優先して治験相談及び審査を行うこととしている」というふ うにおっしゃっていたんですけれども、これで対象となっているがんは、今、具体的に あるのでしょうか。    武田室長 今、直接の担当者のところがありますので、後ほど確認して御回答させて いただきます。    垣添座長 富樫委員も患者さん、あるいは患者会の立場で御参加いただいていますが、 なるべく患者さんの立場で御発言いただいた方が、今後の検討会を進める上で有益かと 思います。何か追加して御発言いただくことがありましたらどうぞ。    富樫委員 私たちは直接皆さんの電話相談をいろいろ受けているんですけれども、つ い最近、京都支部の支部長から、ある患者さんがまだ幼いお子さんを持っていらっしゃ るお母さん、やはり乳がんは30代40代が今、多くなって、一番家庭でも社会的にも重 要な活動をする年代の女性が多くかかっているんですけれども、やはり、これだけ乳が ん乳がんと世の中がここ数年マスコミでも言っていただいてとてもありがたいんですけ れども、そういう中でもやはり関心がないというか知識がないというか、そういう感じ で婦人科に行ったと。そうすると、あなたはもう家に帰って寝ていなさいと医者に言わ れて、支部長の方に私はどうしたらいいんでしょうみたいな、もちろんこれは会員外の 方です。相談があったので、ある病院に行ってくださいというお話しをして、特別に受 け入れていただいて手術もできるようになった。その患者さんが1日でも長く生きられ るようにと願っておりますけれども、つい最近の電話相談だったんですね。だから、先 ほども言われた振り分けというか、やはり患者は突然病気になるわけであって、私も病 気になって7年たちまして、あけぼの会に入りまして自分の病気をやはり知らなければ 生きていけないというのを悟ったときに、一生懸命乳がんの勉強をしました。  それで、実際私も2年後に肺に転移いたしまして、今、抗がん剤治療中の身でありま して、先ほど海辺委員が発表された多分Bさんの、今の現実では私はBさんのタイプか なと思って、医療にとても感謝しております。ただ、今現在ではそういう状況ですけれ ども、今後どうなるかというのはまだまだわからない状況でありまして、本当に医学、 医療、医薬品というのにはすごく興味を持っておりますけれども、中にはそういう患者 になったばかりのときの迷いというか、どうしたらいいかというのが一般国民になかな か周知されていない。ここにいらっしゃる方は、多分そういうがん治療、がんの病気に 興味があって一生懸命知っていらっしゃる専門家に近い方たちばかりなんですけれども、 1億何千万という日本国民が全員が万が一こういう状況になったらどうしたらいいかと いうのを一般レベルというか一般庶民が、みんながわかるようなシステムというか、先 ほども先生が患者さんも勉強してくださいというお話がありましたけれども、がん患者 になる前に、一般国民が知るべきではないかなと思いますので、このがん対策基本法が もっともっと活用されるようにというか、ただの法律ではなくて、本当に一般国民が恩 恵を受ける法律になるように願っている次第であります。    垣添座長 ありがとうございました。今、富樫委員がご指摘になった、特に乳がんの 患者会は非常に積極的な活動をされていますけれども、それにもかかわらずなかなか一 般の方に、例えば乳がん一つに関しても認識してもらえない。もちろん情報提供とかい ろいろされているのにそういうギャップがあるというのは、それはどうしたら解決でき ると思われますか。    富樫委員 私たちは20何年母の日キャンペーンとかやっているんですけれども、本当 にここ数年ですね。マスコミ関係、企業が取り組んでいただいて、本当にワット会長は 20何年間の患者会活動の中で、ここ数年とてもこの患者会に焦点が絞られてとてもあり がたいというのを常々最近言っているんですけれども、私も最初母の日キャンペーンで 銀座で配ったときに、やはり乳がん年齢と言われる女性が大体受け取らないんですね。 私には関係ない。私はがんなんかにならないという感覚があるのではないかなと思いま すので、これだけがん患者はふえる一方、特に乳がんは検診率がアップすればなおさら、 罹患者数はかなり出てくると思います。ただ、残念なことに、アメリカではマンモグラ フィ検診が70%以上といっていますけれども、死亡者数は年々減っているんですね。日 本では悲しいかな、罹患者数もふえていますけれども、死亡者数も徐々にふえていると。 私たちが会の目的に挙げている「乳がんで死なないで」という切実なる願いが、まだな かなか達せられない状況なんですけれども、患者だけの問題ではなくて、医療だけの問 題ではなくて、一般国民の常識的なもので、国も都道府県、自治体も手を挙げて、広く 国民に知らしめる必要性があると思います。    垣添座長 ありがとうございました。角田委員、看護の立場、あるいは特に在宅医療 という観点でいかがでしょうか。    角田委員 今おっしゃっていただいたように、やはり今まで医療者だけで主にこのこ とが語られてきたのではないかと思うんですが、やはりPRのためには企業さんのお手 伝いも必要ですし、特に在宅医療のところでは物品の供給体制、薬品の供給体制、それ から、実際には先生方が患者さんのお宅に車をとめるとかということ自体から問題にな るくらいで、道路交通法の問題ですとか、実は、患者さんの生活を支えるのにはもっと たくさんの人たちの視点が必要で、本当にこういう機会でたくさんの方が集まってくだ さったのはありがたいので、それから、たくさんの先生がコメディカルの役割、物理士 の方とか診療放射線技師さんの話、薬剤師さんの話、がん登録の管理士さんの話、そう いったコメディカルの力をもっと活用するということを、やはりそれが今まではなるべ く活用しようという問題だったと思うんですけれども、そうではなくてもっときちんと したルールづくりをしていただかないと、なかなかそれは絵にかいたもちのようになっ てしまうのではないかと思います。辛口かもしれませんが、ちゃんとしたゴールをつく っていただくというのが必要なのではないかと思いました。    垣添座長 ありがとうございます。これも大変に重要な御指摘だと思います。ほかに いかがでしょうか。    田島委員 問題が非常にたくさんありますので整理できかねますが、がん情報扱って いる立場から2点だけ。一つは、今や国民の2人に1人はがんになります。私は僭越な がら長寿家系で、自分の家系はがん家系ではないと思っていました。ところが、母親が 直腸がんで亡くなり、父親が前立腺がんになり、立派ながん家系だなと考え方を変えな ければいけません。つまり、だれでもががんになる。だから、国民全員がもっとがんを 身近な病気として受けとめ、他人事の病気ではないということをしっかり認識する。そ ういった情報を提供する必要があります。  それから、在宅ケアに関連していつも思うのですが、愛知県でも本当に検診に来てい ただきたい人が来られないんですね。どうしたらそのような人たちに情報提供できるだ ろうかということです。やはり、ワットさんたちのような乳がん患者の草の根的な運動 も非常に重要です。これは、在宅ケアもこれからは地域ぐるみの在宅でないと機能しな いと思うのです。家族にだけ頼っても限界がある。そういった意味で、地域ぐるみの情 報提供、あるいはケア、がんの検診全部含めて、情報を提供できるような地域の場、そ ういったものが必要です。国としても、国の立場から地域の重要性を強化していく必要 があるのではないかと思います。    垣添委員 地域ぐるみの医療提供体制ということに関して、角田さんはさまざまな御 経験からもう少し御発言いただけますか。    角田委員 患者さんが地域で生活するには、やはりまず痛くない、苦しくないという ことが大事だと思うんですね。それには、やはり在宅医の先生方にもう少し痛くないと いうことについて関心を持ってほしいなと思うんですね。私がプレゼンの中でお話しし ましたように、患者さんはお薬を処方されてきても家の中で隠し持つということは、保 管するということができるんですね。それは結局効果的な医療ではないし、医療経済か ら考えても大変むだにされているわけで、ですから、それぞれが病院と地域ともう少し ちゃんと会議を持つとか回数を持つとか、どんなメンバーでやるとかということを具体 的に示して、それでそれを実行できるかどうかをまたきちんと評価する。それをシステ ムにするということがやはり必要なのではないかと思います。皆さんの努力ではなくて、 きちんと評価して次に問題を上げていくというシステムをまたこの中で提案できるとい いのではないかと思います。    垣添座長 どうぞ、内田委員。    内田委員 きょう、患者さんの代表の方も出ていらっしゃっていろいろな話が聞けて とても有意義だったと思います。私が感じたことを率直に申し上げますと、やはり、患 者さんの立場からの御発言というのはどうしても個別の対応、自分はがんで最善の医療 を求めている。最善のケアを求めている。そういう御発言ですね。医療提供者側では、 どうしてもやはりそれには限界があるということをよくわかっておりますので、求めら れる医療と提供できる医療のギャップというのが今、非常に問題ではないかというふう に思います。  先ほど、がんセンターがどうもきちっと対応していないというようなお話がありまし たけれども、やはり、医療提供側にもそれぞれの機能分担といいますか。役割の分担と いうのがしっかりあって、これを患者さんの側にもしっかり理解していただかなくては いけない。要するに、高度の先進的ながん治療、保険で認められていないような治療ま で含めた先進的な医療を提供するところと、それから、在宅のレベルで個別の患者さん の一人一人の苦しみに対して対応できる。適切な医療を提供できるというようなところ までの非常にきめ細かいとろまでの機能分化と連携というのが、これからすごく大事に なってくるのではないかというふうに思っています。  今回非常にいろいろな問題が出ておりますけれども、やはり私としては、現場の医療 を提供するという上では、安全性と有効性というのが治療にとっては一番大事かなと。 治療を提供する立場で一番大事。そこから普遍的に広がっていくと。評価をした上で普 遍的に広げていくということが大事ではないかということで、余りにも自分の個別的な 要求から前のめりに要求を肥大化させていくというのは、医療にとっては非常に危険な こともはらんでいるという印象をちょっと持ちました。  それから、検診について、検診受診率をもっと上げるという話がありましたけれども、 話は全然飛びますが、検診受診率17%ぐらいという話がありましたけれども、実はこれ はかなりの部分がリピーターなんですね。ですから、本当は検診を受けていない部分に 検診を広げるということが非常に大事になってくるというふうに思っています。    垣添座長 ありがとうございます。今の検診の件ですけれども、例えば2年に1回と いうことであれば、本当に台帳管理をして、ある地域の人を2群に分けて、A群の方は 今年受けてB群の方は来年受けるということがきちんと実施できれば、それだけで機械 的に受診率は倍になるというようなことがありますので、これはやはりまだまだ工夫す る余地がいろいろあるのではないかというふうに思います。  きょうは1回目で、本当にいろいろな立場から御発言いただきました。私自身も十分 整理できていないところがありますが、この議事録を作成いただくときに、事務局では 大づかみにこれとこれとこれと大きな問題点から、あと、個々の問題点まで流れがよく わかるような整理をしていただけると、次回以降の議論で参考になるのではないかとい うふうに思います。よろしくお願いします。  ほぼ予定の時間に達してしまいましたが、本日の意見交換会はこれで一応終わらせて いただきます。最後に事務局の方から、今後のスケジュールについて御説明をお願いい たします。    武田室長 それでは、御説明させていただきます。今後のスケジュールでございます が、12月13日水曜日、これは第2回目の意見交換会。このところで、患者団体等から のヒアリング。それから、続きまして12月20日水曜日。第3回目の意見交換会におき まして、学会等からのヒアリングを予定しております。各団体から資料を提出いただく とともに、それぞれ5分程度の説明をしていただく予定でおります。ヒアリング対象候 補ですが、事務局といたしましては、これまでがん対策の推進に関して要望書の提出等 で御意見をいただいてきた団体などを考えておりまして、対象候補を資料5−1及び5 −2にそれぞれ1枚紙ずつですが示させていただいております。以上です。    垣添座長 ありがとうございました。このヒアリング対象に対して、何か御意見あり ましょうか。    大江委員 学会等の候補の中に、ぜひ治験コーディネータの代表になるようなところ を入れていただければというふうに思います。    垣添座長 治験コーディネータの意見を聞いてほしいということですね。ありがとう ございます。それから、私もちょっとがん診療連携拠点病院が今後のがん対策上非常に 重要になりますので、がん診療連携拠点病院の代表などにも話をしていただくことが必 要かなというふうに思いました。ほかに特に御発言ありましょうか。では、追加の御意 見をいただいた団体についても、事務局からヒアリングの実施依頼をしていただきたい と思います。また、各団体の御都合もおありでしょうから、最終的なヒアリング対象に つきましては、座長に御一任いただければありがたく、よろしくお願い申し上げます。  では、特にほかになければ、事務局から何かお知らせがありましたらよろしくお願い します。    武田室長 それでは、時間がまいりましたので、本日の意見交換会を終了したいと思 います。本日は非常に長時間にわたりまして、まことにありがとうございました。次回 は、先ほど申し上げましたように12月13日水曜日、同じく9時から12時と、また3時 間の予定でございます。会場等の詳細は、後日事務局より連絡させていただきます。で は、本日はまことにありがとうございました。    垣添座長 どうもありがとうございました。(終了)