06/11/20 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会 平成18年11月20日議事録 06/11/20 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第4回議事録  (1)日時  平成18年11月20日(月) (2)場所  厚生労働省 専用第18会議室 (3)出席者 糠谷部会長 鴨下部会長代理 遠藤久夫委員 川越厚委員 高久史麿委員       辻本好子委員 野中博委員 堀田力委員 村松静子委員       <事務局>       水田保険局長 宮島審議官 原医療課長 鈴木老人保険課長  唐澤保険局総務課長 石原調査課長 二川医政局総務課長        神田高齢者医療制度施行準備室長 谷内総務課企画官 他       <有識者>       米山武義氏、林昌洋氏、岩月進氏、川島孝一郎氏、山口昇氏 (4)議題  ○地域医療の現状について       (有識者からヒアリング)       ○その他 ○糟谷部会長  まだお2人ほど委員の先生で、見えていない方、堀田先生はお見えになりました。時間に なりましたので、高齢者医療の在り方に関する特別部会を開催いたします。委員の出欠状況 でございますが、本日は辻本委員が御欠席という連絡がございます。  それでは本日は有識者からのヒアリングということでございますが、米山武義、米山歯科 クリニック院長、林昌洋、虎の門病院薬剤部部長、岩月進、ヨシケン岩月薬局薬剤師、川島 孝一郎、仙台往診クリニック院長、山口昇、公立みつぎ総合病院事業管理者に御出席をいた だいております。お忙しいところありがとうございます。  また白石審議官は公務のために欠席という連絡がございました。  それでは議事に移りたいと存じます。本日は、前回に引き続き、地域医療の現状について 有識者からヒアリングを行いたいと思います。本日も御説明いただく方は5名いらっしゃる ため、部会の時間を17時半までといたしますとともに、前回と同様のヒアリングテーマであ ること。議論の時間を確保する必要があることから、事務局からの説明は省略いたします。  それでは米山先生、林先生、岩月先生、川島先生、山口先生の順で、御説明をお願いいた します。なお林先生と岩月先生は、共通するテーマであることから、一括して20分以内で御 説明をお願いし、その他の方は15分程度で御説明をお願いしたいと思います。質疑、意見交 換については、米山先生、林先生、岩月先生の御説明の後で、一定時間行った後、川島先生、 山口先生の御説明の後、改めて行うことといたします。  それではまず米山先生からよろしくお願いいたします。 ○米山氏   ただいま御紹介いただきました米山歯科クリニックの米山でございます。本日、私に与え られたテーマは、後期高齢者の医療における歯科医療の果たすべき役割ということでござい ますが、時間が大変限られておりますので、後半のスライドは割愛させていただくことにな ろうかと思います。その際、お手元の資料を御確認いただければ幸いでございます。  後期高齢者に対する歯科医療の意義ということですけれども、およそ次の3つに集約され るのではないかと思っております。1つは、低栄養と誤嚥性肺炎等の予防による健康寿命の 延伸、それから食べる楽しみ、話す楽しみの享受によるQOLの改善。それから障害を持っ た口腔に対するリハビリテーションとしての意義ということです。  私事で大変恐縮ですけれども、昨年7月にNHKラジオ「ラジオ深夜便こころの時代」に 出演させていただき、口は長生きの門というテーマで話をさせてもらいました。その後、思 いがけず、多くの方から、お手紙やファクスをいただきました。一見幸せそうに見えて、口 が思うようにならないことで、生き地獄であったりする現実をその中から知らされました。 このことが終末期、あるいは後期高齢期に本人と御家族が直面する本当の苦しみであるよう に思います。その中から一部お手紙を御紹介したいと思います。  脳血管障害を患い、「口から食べられない夫に、何とか一口でも食べられるようにさせて あげたい。」「意識がない妻に口腔の体操をやってもう一度目を開いてもらいたい。」「何で もしますから、脳に刺激を与を与える口腔ケアを教えてください。」「肺炎で生死をさまよっ たことがあります。どうか効果的な口腔ケアを教えてください。」「主人のよだれがとまりま せん。どこか相談に乗っていただける医療機関はないでしょうか。」などなどでした。  私はこの経験を通して、世の中の人々がいかに口腔のことで悩み、困っているかを痛いほ ど知らされました。心の時代にふさわしい医療のあり方が問われているのではないかと、思 った次第ございます。  歯と口腔の働きということですけれども、皆さん最初に言われるのは食べることです。そ のほかに消化への関与、構音・発音、力の発生、顔貌を形づくる、平衡感覚の維持、愛情、 怒りなどの感情表現、異物の認識と排除、免疫物質の分泌、脳への刺激、ストレスの発散、 味覚、呼吸への関与等々、数多くの歯と口腔の働きがあることを、我々は忘れてはいけない と思っております。  それではしっかり口腔は今まで守られてきたのか。今守られているのかということについ てお話したいと思います。私が大学を卒業した直後、特別養護老人ホームの非常勤をさせて もらいました27年前の話なんですけれども、最初に老人ホームに行きまして拝見した口腔内 は、おびただしい歯垢の堆積がありまして、歯はあってもその機能をなさないという状況で した。義歯は入れっぱなしになっています。その義歯を外しますと、その中には、これまた おびただしい歯垢がついておりました。  何より困ったのは口臭でした。4人部屋でお1人口腔の管理がなされていない方がいらっ しゃれば、施設臭となって独特のにおいとなってあらわれるということで、大変ショックを 受けたのを覚えております。  学んだことは、要介護者の口腔環境というのは、だれかがケアをしない限り、悪くなるこ とはあっても自然に改善することはない。そして心も老化してしまう。口腔は死を迎えるま で大切な器官であるということであります。  それですぐさま同僚の歯科衛生士に声をかけまして、歯垢のコントロールを基本とした専 門的口腔ケアを開始したわけです。  最初は、歯科というとすぐ治療を思い浮かべる人がほとんどで、戸惑いもあったんですけ れども、そのうち、歯肉炎は確実に改善し、異臭、口臭は改善しました。そして何より、利 用者の方から、こんなにいいことだったらもっと早くやってほしかったという、おしかりと 励ましの両方の意味の言葉をかけられたんです。  そして27年がたちました。つい最近のことですけれども、訪問診療の依頼を受けました。 86歳の女性です。在宅療養をされています。脳卒中の後遺症で、寝たきりの状態です。この 方のご家族から「口から食べることが虫歯があって非常に難しいとので診てくれ」という訪 問の依頼でした。そしてお口の中を拝見しましたら、何と27年前と、何ら変わっていない。 おびただしい量の歯垢がついていますし、歯肉の炎症が激しくありました。何よりも、虫歯 が進んでおりまして、かめるどころの騒ぎではありませんでした。  この方の場合、88歳の御主人が介護しているということで、老老介護になっている状況で した。そこからともに、何とか口の中をよくしようということで、1カ月たっておりますけ れども、ようやく光が見えてきたところであります。  現状を考えてみますと、歯科治療が必要な人は実に多いのですが、治療を受けている人は、 少ない。治療とケアが一体となったときの効果について知られていないという現状でござい ます。口腔ケアという言葉が盛んに最近使われていますが、狭義の意味におきましては、口 腔内の衛生状態を改善し、口腔疾患と口腔内に起因する全身疾患の予防に努めるということ でありますけれども、先ほど申し上げましたように、口腔にはまだまだ多くの働きがあるわ けです。口腔の持つ種々の働きや、機能が障害された場合、これらの働きをより健全に機能 するようケア(手助け)をするという、大事な意味がここにあろうかと思います。  この口腔ケアの目的ですけれども第1に感染の予防、2、口腔機能の維持回復。3番目、 全身の健康の維持回復及び社会性の回復というものが挙げられるかと思います。  そして口腔ケアの内容ですけれども、口腔清掃、歯石除去、義歯の清掃・管理、摂食・咀 嚼・嚥下機能の回復、誤嚥性肺炎、低栄養の予防に配慮した口腔の管理ということになるか と思います。  しかしケアだけでなく、従来からある歯科の治療というものが、非常に重要だというふう に認識しております。しかし一般の診療所で対応するよりもはるかに多くの時間と労力、経 験と技能を必要とするというのが正直なところでございます。  本日1つ症例を持ってまいりましたので、御紹介したいと思います。この御婦人、勝又さ んにお許しを特にいただきまして、皆さんに御紹介するわけですけれども、上下、歯がない 部分がありまして義歯がつくられていなかったんですが、どうしても御本人が施設職員の方 に、義歯をつくってほしいという要望を言われ歯科チームに伝達されました。  当初舌が不随意の激しい運動をしているために、義歯をつくるのが、正直言いまして非常 に難しいということで、ためらったんですけれども、御本人がどうしてもつくってほしいと いう要望がございましたので、ご本人と周囲のスタッフの協力をいただき、つくった症例で ございます。  最初はちょっと声が出ていないんですけれども、見ていただいておわかりのとおり、不随 意の舌の運動がございます。オーラルディスキネジアというふうに診断がなされるかと思い ます。非常に食事が楽しみで、3食の食事を何よりも楽しみにしていらっしゃって、全量召 し上がる。しかし食べたものが、口の周りについたり、食べこぼしが頻繁にあるという勝又 さんでありました。  この方に対して、最初に口の機能向上を図りまして、口の型をとっていくというプロセス をとりました。 (ビデオによる事例の紹介)  仮の義歯を入れた途端にオーラルディスキネジアがとまってしまいました。外した途端に また始まりました。  義歯が入っていないときには、全量をいつも召し上がっていたのですが、どうも身につか なかったようであります。平成16年3月、血清アルブミン値2.9g/dl、いわゆる3.5の境界以 下ということで、低栄養状態を呈しておられました。義歯が6月に入ってから3カ月後 3.8g/dlに改善いたしました。それから平成17年2月には4.2g/dlになりました。ですから低 栄養の状態を脱することができ顔色がよくなって表情が大変明るくなりました。  今では赤いスカートをはき、施設職員に逆に「まあ、お忙しいそうですね」と、声をかけら れる。この方は食べる喜び、話す喜びがある時期までなかったわけですが、それが改善した ことによって人生ががらっと変わったわけです。そのことを施設職員の皆さんがしっかり見 ていたわけです。  一方高齢者のQOLを下げる原因として、もう1つ重要なことがあります。ある老人病院 における死亡者の主要基礎疾患と直接死亡原因について、東北大学チームによる研究報告で すけれども、お亡くなりになった方が生前有していた基礎疾患のうち脳血管疾患が3分の1 を超えるということがわかっておりまして、その方々がどういう形でなくなるかというのを 見てみますと、肺炎を主たる、中心とする感染症で亡くっています。これを端的にいいます と日本人のお年寄りは、脳卒中を患い、亡くなるという死亡のパターンが見えてくるわけで す。この肺炎ですけれども、最近の研究によりますと、口の雑菌がかなり悪さをするという ことがわかってまいりました。  そればらば口の雑菌をきれいにコントロールしたならば、肺炎を予防できるかという疑問 が出て来ます。以前までは、世界中この疑問に答えた研究はございませんでした。そこで厚 生労働省の「呼吸不全に関する研究」が行われました。研究デザインは簡単でございまして、 従来どおりの群と従来のケアに加えて、1週間に1回歯科衛生士が専門的な口腔ケアという ことで、徹底的に口の中の雑菌を除去して、口の中をきれいにする口腔ケア介入群を比較し たわけです。その結果、2年間に口腔ケア群は、このグラフにありますように、明らかに、 肺炎のパターンを減少することができました。具体的には、2分の1以下に減少することが できたわけです。  2年間の肺炎の発症率でありますけれども対照群が19%だったのに対して、口腔ケア群は 11%ということで、単純に計算しますと、40%の肺炎の予防効果がありました。これが口の ケアと肺炎に関する世界で初めての介入研究になったわけでございます。  それから無歯顎者、歯がない方の肺炎の発症状況でございますけれども、入れ歯を入れて いる人の発症状況が11%であったのに対して、入れ歯がないという人は29%ということで、 入歯を入れて機能を有している人の方が、有意に肺炎の発症が抑制されたという結果を得る ことができました。  実際に在宅の訪問診療をしておりまして、在宅の方が病院に再入院する理由の多くが、口 から安全に食べられず、熱発に引き続き再肺炎を起こすというケースが多いことに驚かされ ます。それゆえこういう口のケアのネットワークが早い段階にできていたらどんなにいいだ ろうということを感じています。病院にいるときから、あるいは入院時から、地域で口にか かわる多職種のネットワークができていたら、在宅介護がどんなに安心になるか。  実際、今医師の方々に御理解をいただきまして、回復期病院における、カンファレンスに 参加させてもらっております。そしてそこから得た情報を活かし、地域の中で口のケアの試 みをさせてもらいました。その情報をまたカンファレンスに返すということをやっておりま して、一番喜んでいただいているのが家族の方々でございます。  このほか肺炎の予防と免疫力ということについては、栄養の問題が横たわっているかと思 いますが、時間の関係で割愛させていただきます。  口腔にかかわる現状というものがお手元の資料の後半ににあるかと思います。必要度が高 いにもかかわらずあるんですけれども、まだまだ行き届いていない、厳しい現状があるかと いうふうに認識しております。  もう後半ですけれども、これは兵庫県から出されたデータで、後期高齢者80歳以上の方々 のデータを見ていただきますとわかるのですが、8020の達成者と非達成者では一般の医 療費の額がはるかに違うんです。ですから歯を残すことの意味は、ただそこに歯があるとい うだけではなく、医療費の問題にも影響してくると感じております。  それでは時間ですのでまとめたいと思います。1、後期高齢者の健康寿命を延長するため には、口腔ケア管理を含む歯科的介入はぜひ必要である。  2、特に誤嚥性肺炎や低栄養の予防のためにも、口腔機能の向上及び義歯の装着・調整を 含む維持管理などが必要である。  3、唾液分泌が減少し、極度に口腔乾燥が起きやすい終末期においては特に口腔の維持管 理が大切である。  4、後期高齢者の健康保持のためには早い時期から歯の喪失が防止されるよう、虫歯や歯 周病の管理が必要である。以上でございます。御静聴ありがとうございました。 ○糟谷部会長  ありがとうございました。それでは続きまして、林先生と岩月先生からよろしくお願いを いたします。 ○林氏  それでは虎の門病院の薬剤部の林でございます。貴重な時間をありがとうございます。早 速に始めさせていただきたいと思います。操作の関係で着席します。高齢者における医薬品 の適性使用と安全管理ということで、具体的に御紹介していこうと思います。  高齢者の薬物療法の特性と問題点、この問題を考えますと、3つの大きな柱があると考え られます。高齢者の皆さんでは加齢とともに複数の疾患を合併されることが多くなります。 このため、多剤併用が多くなり、重複投薬あるいは薬物相互作用のリスクが問題となってま いります。  また、視点を変えますと、資格や聴覚の機能が低下して見える方がいらっしゃったり、嚥 下障害を持たれる方などがいらっしゃって、服薬の自己管理、あるいは服薬自体にサポート、 支援が、必要という問題がございます。  もう1つ安全面で大きな問題がありまして、腎機能、肝機能の加齢による低下。あるいは 筋肉量、体脂肪比率といったような薬の分布にかかわる部分で、体成分組成がお一人お一人 によって変わってまいりますので、薬物体内動態が変動してきます。こういったお一人一人 の問題、生理機能の個人差に対応した処方、調剤、服薬の管理が必要になってきます。  こちらは東大のデータを引用させていただきましたが、横軸に年齢を、縦軸に薬剤数をと ってございます。30代、40代の方と比較しまして、60、70、80と年齢が進むにしたがいまし て、処方数が多剤になっていることがわかります。  また次の資料になりますが、今度のグラフは横軸に薬剤数が、縦軸に有害事象の発現頻度 がとってあります。薬剤数が2剤、5剤、8剤、10剤とふえていくにしたがいまして、有害 作用の発現頻度は5%、10%、20%とふえていくことが分かります。つまり高齢者で、多剤 処方をされている方は有害作用のリスクが高い。そしてこれに対するケアが必要であるとい うことがわかります。  医師の皆さんが医学的視点から、看護の皆さんが看護の視点から、患者さんの診断や治療、 生活のサポートをされているのに加えまして、薬剤師はチーム医療の中で、薬の視点から患 者さんの経過をケアしていくことが最近では常になってまいりました。副作用を一言で副作 用と言わずに、作用メカニズム、発現メカニズムから考えますと、図の左側にお示し示した ように、狭い意味での副作用に当たるサイドエフェクト、福次反応、これは薬剤師も薬理学 的にある程度予測可能です。また中毒反応、これも薬物血中モニタリングなどによって、あ る程度管理、予測可能です。こういった薬剤師の薬理学、あるいは体内動態学的な現場での アプローチにより副作用を予測し、回避していく。あるいは右側にお示ししましたアレルギ ー反応による副作用、重篤な皮疹や肝障害はこういったものが多くございますが、あるいは 一塩基多型党の問題で最近問題になる、代謝酵素欠損などの個体側の感受性が高いという問 題につきましても、予測することは困難ですが、薬剤師がベッドサイドにいることによって 回避していくことができます。  これはまとめの文言ですので、飛ばして、次の資料に移ります。具体的にどういうメニュ ーによってチェックをしているかということにつきましては、薬物療法開始前に、患者さん の情報と処方を照合します。そして禁忌慎重投与の回避を行うとともに薬歴の活用を通じま して重複治療、あるいは相互作用、アレルギーの回避を行い、また処方の支援という意味で は、投与経路あるいは治療期間、あるいは剤形といったような患者さんお一人一人に合った ような提案をして、先生方の処方を支援していっています。  こういったことは薬物療法治療開始前の提案になりますので、副作用の未然回避、起こる 前に回避することにもつながっています。一方、ここに書きましたように薬物療法期間中、 ここでは有効性、安全性、患者さんの支援といったようなことを現場の薬剤師はしておりま すが、本日は安全面についてみますと、ベッドサイドで、副作用、相互作用、アレルギーが 起こっていないかを、体内動態を含めて経過をケアしていくことによって、副作用初期段階 で発見して、重篤化を防止することができます。  これは当院、虎の門病院の院外処方発行前と後の組織図をこれからお示ししますが、一体 いつからそんなことができるようになったんだという御意見も中にはあるかと思い、御紹介 します。もともと調剤に多くの、24名とここには書いてありますが、人間がいて、製剤、在 庫管理、医薬品情報を扱っておりましたが、院外処方発行後は調剤課の人数が10名と半数以 下になり、一方で病棟薬剤課という責任セレクションを置いて、ここでワンフロア  人ずつの薬剤師を専任で配置しまして、服薬の支援ですとか血中濃度管理を通じた処方の 支援ですとか、具体的に患者さんと面談しての、相互作用、副作用の回避に取り組んでおり ます。  つまりここまで出てきました薬剤が多剤になることによる高齢者の有害作用回避という 部分には、処方を支援して未然に回避するという上側のパターンと下側にお示ししましたよ うに、ベッドサイドで、副作用の初期症状が出たことを察知して、重篤化を回避するという、 大きく2つのパターンがあるということです。  日本病院薬剤師会のデータを引用させていただきますが、日本病院薬剤師会では副作用相 互作用の回避報告を収集し、解析して、スタッフに戻しているようです。こちらは病棟薬剤 業務といって、病棟に薬剤師がいて、今までのような仕事をしているかということの件数の 推移ですが、1990年代後半から2000年代にかけて、急激に増加してきています。この数の増 加に合わせて、次のグラフですが、2000年以降に副作用、相互作用を回避する報告の収集件 数ががらつきなりますが、右肩上がりで上がってきていまして、2004年には1万件を超えて きています。  このデータをもとにまとめの文言スライドを1枚飛ばしましてグラフを見ますと、副作用 が発現している症例を何らかの形で、重篤化を回避した年齢はどんな方たちが多かったのか というのを見ますと、グラフで一目瞭然のように、60、70、80代。90代は年齢の低下もあり ますが、高齢者に多いということが、先ほどのデータと同じようにわかります。  またあらかじめ処方を支援することによって、次のスライドですが、副作用を回避してい る事例も60、70,80、90と高齢者に多いことがわかります。だれが発見できているだろうと いうことに関しては、日本病院薬剤師会のデータ解析によりますと、医療現場にいる薬剤師 がベッドサイドで見つけている件数は、真ん中のオレンジ斜め線ですが、とても多くなって いることがわかります。  どうやって副作用が見つけられるんだという解析を見ますと次のグラフですが、薬物血中 濃度や検査値はもちろんですが、患者さんの面談したときの症状の変化や、患者さん御自身 の訴える言葉などの中に、副作用発見のヒントがあることがわかります。もちろん薬歴管理 もとても重要なアプローチの1つです。  それでは副作用回避するといっても、どのように回避できたのかということを見ますと、 未然に回避しているものの解析では、下側の2つ。斜め線の中止と縦線の減量によって副作 用回避する処方協議が行われていることがわかります。また実際に副作用が起こってしまっ た患者さんへの対策では、やはり斜め線の中止、縦線の減量、または休薬といったものが多 いことがわかります。つまり、副作用は高齢者で起こっていて、薬剤師を含む、処方、治療 の経過のケアが必要で、それは、中止減量という医薬品費の節減効果を伴って実現されてい るということがわかります。  これはまとめた文言なので飛ばします。具体例として、2例紹介する予定で来ましたが時 間の関係もございますので、一例だけ御紹介します。80代男性、喘息の治療で入院してこら れました。実際には今回は喘息でなく、吐き気があって脱水症状で、入院してこられた方で す。  次のスライドです。持参薬管理といいまして、病棟薬剤師が患者さんに面談してお薬の内 容を確認したり、患者さんと会っていろいろ困っていらっしゃることを伺います。そうする と訴えていらっしゃる症状は、どうやらテオフィリン中毒になっているのではないかという こと疑いまして、先生に、テオフィリンの血中濃度測定を相談しました。すると翌日、dau 2で、出た結果は23.2と中毒域になっておりますし、患者さんの症状は、テオフィリンの問 題です。そこで今回は、テオフィリンの減量を医師と相談して、患者さんは実際に元気にな られて、喘息症状もなく、脱水もなく退院されたというようなことです。  療養型の病院におかれましても、同じようなことがありますが。ここでは、省略します。 そして、ここまで副作用、相互作用の回避がリスクマネジメントになること。また副作用の 原因薬剤を中止することによって、医療費、薬剤費の節減になることを御紹介しましたが、 もう1つ、グローバルに見ますと、国内でもそうですが、副作用の治療費というものも、か なりばかにならないということがございます。その経済効果についてちょっと確認します。 b97年のJAMAを逃すと700キ床規模のティーチングホスピタル研修病院で、1副作用ごと に、3,244ドル。約35万円かかっていて、年間のこの700床の病院の副作用関連のコストは、 5億6000ドルになっているということが分かります。  先ほどの病院薬剤師会の副作用事例を肝障害について見ると、具体的に重症化回避という のはあるわけなんですが、これを2つの病院でパイロット症例を拾って資産をしてみますと、 厚労省の副作用分類で、グレードIIであれば17万、26万20万前後が、やはりグレードIIIと 重くなりますと、47万、63万円と、50刀数万円になる。やはり30数万円の増加があって、こ れは、JAMAの論文と日本の現状は同じだということが言えます。つまり、薬剤師による 副作用回避は、こういった治療費の節減効果といった経済効果にも結びつくことがわかるわ けです。  ここまでの話をまとめますと、高齢者の薬物療法では多剤併用が多く、重複や相互作用が 発言しやすいので、安全管理が重要です。また、高齢者はお一人様一人の生理機能の加齢変 化に合わせて副作用相互作用が発現しやすい状態を安全管理していくことが重要です。急性 期病院、療養型病床ともにチーム医療の中で、薬剤師は、薬物療法の安全管理。この機能を 担っております。今後もこうした薬剤師の安全管理機能の職能を評価していくべきと考えて おります。  安全管理には薬物療法の安全推進には院内ばかりでなく、保険薬局の薬剤師との連携を持 った患者さんのトータルケアが必要だと思います。ここでスピーカーをバトンタッチいたし ます。 ○岩月氏  それでは、今入院に関しまして、病院薬剤師の先生からお話がありました。引き続き開局 の岩月から、御説明をさせていただきます。今はいわゆる入院のお話でございましたけれど も、入院外は、通院とか在宅療養となると思います。ここで私ども薬局の薬剤師が日ごろ行 っている業務を改めて確認をさせていただきたいと思います。お薬の調整と薬学的な管理を させていただくということで、今回のテーマであります、高齢者に限ったことではございま せんけれども、薬剤師は常にこういった視点で仕事をさせていただいているということを御 紹介させていただきます。  一般的に高齢者の薬物療法といいますのは、そもそも合併疾患数が多いということがござ いまして、その結果多科受診の機会が多くなる。その結果使用薬剤がふえてくる。そうする と薬物の有害作用の発生頻度がふえてくるという実態があります。これが東大病院における 臨床データから持ってきたものでございますけれども、年齢がふえるにしたがいまして、疾 病数もふえてくるというグラフでございます。  当然いま申し上げましたように薬剤種類も、これは入院外でございますけれども、一般医 療と比べますと、老人医療がふえてきております。重複受診の状況につきましても、年齢が 上がってくると今申し上げたような理由からだと思われますけれどもふえてまいります。こ ういった状況が、受診の動態にあります。  もう1つは、高齢者のいわゆる体、身体の特性に基づく問題点があろうかと思います。先 ほど病院薬剤師の先生からもお話がありましてけれども、薬についての理解が得られにくい ということで、服薬の拒否があったりとか、あるいは通院とか在宅の場合は、例えば飲み込 めないとか、外用薬がはれないとか、目薬が上手にさせないといった問題も出てまいります。 高齢者の飲み残し、これは昨年、全国老人クラブ連合会のモニター調査で発表されたもので ありますけれども、処方されているお薬の種類が多くなるにしたがって、飲めていない状況 がふえてくるという実態が見えてまいります。  このような状況の中で高齢者に起こりやすい症状の主な原因となる薬剤でありますけれ ども、これは既によく知られていることでございますが、私ども薬剤師はこういったことが 起きていないかということを中心にお薬を見るということです。先ほどの飲めていないとい う状況からいうと、じゃ飲めばいいのかということになりますけれども、飲めば飲んだでこ ういった問題が起きてくるということも心配しなければいけないというふうに考えていま す。  これは薬剤師会が、つくっております、薬剤師による食事、排泄、睡眠を通した体調チェ ックフローチャートというものでございます。私も自分の薬局でも使っておりますし、外に 出かけたときにはこれをヘルパーさんとか、あるいは看護師さんとかにお見せをするという ことがありますけれども、食事で問題があるときには、お薬がもし影響を与えているとすれ ば、どんなことがあるのかということを示したもので、A4版のものはインターネットに載 っておりますので、そのまま持ってまいりまして、大変見にくくなっておりますけれども、 食べていないのに太ったリむくんだりすると甲状腺機能低下も考えられる。真ん中あたりに ありますけれども、最近OTC薬でヨードスプレーのものがありますけれども、あれを頻繁 に使うことによって、こういったことが発生している患者さんもいるのではないか。こうい う視点を忘れないで、私どもはお薬の話を聞かなければならないというふうに使っている、 1つの例であります。  次が相互作用の発見事例でありますけれども、同じお薬が重なっているのは、これは見れ ばわかるということがありますけれども、このように、代謝酵素による相互作用の場合です と、これは薬剤師の専門領域だろうと思いますけれども、こういった相互作用の発見事例で ありますとか、これは同じお薬でありますけれども、実は同じ患者さんで時期がずれており ますけれども、2種類のお薬が重複で投薬されている期間があるという事例です。  以下時間がありませんので、この防止事例は飛ばしますけれども、最近といいますか、こ このところよく見かける事例が、例えば内科と歯科の抗生物質の重複であったり、あるいは 内科と皮膚科の睡眠導入剤であったりということ。内科と精神科の向精神薬の重複もよく見 られます。最近よく見かける事例といいますか、起こってきたことが、後発品の使用促進に 基づきまして、同じ成分であっても、先発品と後発品では名前が違いますので、これが重複 だということがほとんど見つけにくいというようなことも、起きてきております。  こういったことを見つけるためには、やはりお薬を一元的に管理をしなければ、見つけに くいということは、当然でありますけれども、こういったことを可能にするためには、やは り薬歴をきちんと活用することと、場合によっては、訪問薬剤管理所とありますけれども、 保健所の算定要件にかかわらず、患者さんがおかしいなと思ったら、出かけていくという姿 勢が必要になろうかと思います。当然遠く離れた患者さんのお宅には、なかなか伺うことが 困難でなりますので、いわゆる言われております、かかりつけ薬局といいますか、地域の方 で、こういった問題が起きかけに、じゃお宅で全部見てもらいましょうというようなことに 結びつくような話かけをしております。  もちろん介護保険の利用者につきましては、ここにありますように、ケアマネジメントの 担当者との連携も必要になってまいります。  今までが主に通院患者さんで、いわゆる元気な高齢者といいますか。通院が可能な形のこ とでありましたけれども、いわゆる在宅で常用されていらっしゃる方には、今のようなお話 に加えまして、ここにありますように、服薬の援助ですとか服薬状況の確認の問題が、加わ ってまいります。  これも1つの事例でありますけれども、ここにありますようなお薬がいわゆる口腔内崩壊 錠といいまして、お口の中で壊れやすいお薬になったところです。副作用と思われる事例が ありまして、不眠や振戦や徘徊がふえてしまったということです。これは口の中で溶けやす いということで、吸収が上がったことによって、どうもお薬が効きすぎているのではないか。 こういった事例を処方院に御連絡申し上げて、お薬を減らしたところ、このような副作用症 状が少なくなって、QOLの改善と介護の負担の軽減に結びついたという事例であります。  もう1つは、これは年齢が書いてありませんけれども80代の患者さんでありますけれども、 7種類と4種類のお薬が出ていました。実は1つは院外処方せんではありません。院内の投 薬でありますけれども、伺ったところヘルパーさんは入っていらっしゃるのですが、お薬の 管理が自己管理で、ほぼ乱雑な状態でありましたけれども、14日の処方が出ていたことで、 このようなお薬カレンダーも使ったりして、きちんと服薬のしやすい環境をつくるというこ ともさせていただきました。  これにつきましてはもちろん一包化できないお薬などもありますので、その場合には、剤 形の変更とかも処方医に連絡をして、一包化しやすい形に変えているところを御案内させて いただきました。  高齢者の状況ということで、一人暮らしが多い。それから夫婦のみとかありますけれども、 いわゆる日中独居の問題があります。それから最近は介護保険サービスで、日中施設を使う ということになると、施設の職員がお薬を投薬といいますか、与薬をするケースも出てきま すので、そういったことにも配慮をしたお薬の調整と先ほどの管理ということが必要になっ てくると思われます。  ここにもありますように、いろいろな方々の連携がもちろん必要なんですけれども、在宅 の場合には療養環境ということがついてまいりますので、情報の共有とお互いがどの部分を 築くのかということを知った上で次の仕事にいかないとなかなか問題解決しないというの を示したかった図であります。  最後になりますけれども先ほどから申し上げておりますように、高齢者のところには薬剤 師なり、いろんな人間が行っているわけですけれども、特にお薬については、薬剤師が一元 的に管理をさせていただく。そのことで副作用の防止をすることを評価をしていただきたい と思います。先ほど言いましたように、現状では通院困難な患者さんに限られた状況もあり ますので、それを問題を発見したらすぐに出かけるようにしていただきたいということをお 願いしたいことと。  もう1つは最近やはり麻薬の問題ですとか、いろいろ急性期の症状が、出てくるようなこ とも、経験をすることがあります。ぜひそういった細かい服薬管理業務の評価もしていただ きたいというふうに思います。  大変早口でありましたけれどもちょっと時間を過ぎてしまいました。以上でございます。 ありがとうございました。 ○糟谷部会長  ありがとうございました。それではとりあえず今2つ御発表いただいたわけでございます けれども、これまでの御説明に関しまして、何か御質問、御意見がございましたら、お願い いたします。どうぞどなたからでも。 ○野中委員  米山先生、どうもありがとうございました。口腔ケアの重要性が非常によく理解できまし た。施設の場合においても在宅の現場においても、ケアと歯科医療が、どの様な経路でドッ キングするか、またそのことに対する御苦労とか、現状を少し教えていただきたいと思いま す。 ○米山氏  私は大学のときに歯周病科という科に属しておりましたので、口腔衛生管理というテーマ に、非常に関心が高かったんです。ですから、ケアというところに入りやすかったというこ ともございますけれども、やはり治療の業務が歯科医師の主な業務でありますから、現実問 題として歯科衛生士に一生懸命頑張ってもらうということ。この2つの職種が連携すること によって、非常に幅広く合理的に進めていけるということを実感しております。 ○野中委員  施設に例えば先生が行かれて、御指導されて、そして歯科衛生士が介入してというきっか けがあれば、多分最近ではやっていると思うんですけれども、その必要性を現場が理解する 事など。例えば訪問看護師も含めて、私たち医者が訪問診療を行っているときに、歯科の先 生たちとどういうふうにアプローチをしたらいいか。その辺で先生が感じておられること。 その中で苦労されることがあったら教えていただきたいと思います。 ○米山氏  私のケースですけれども、施設内で一度職員全員のコンセンサスを得なければいけないと いうことで、勉強会をしました。必要度が高かまったので勉強会を何回かやり、共通の認識 を持つことができました、その結果、歯科衛生士が活動しやすい状況ができてきました。そ うすると効果が非常に出てきます。  在宅の場合は、やはり頻繁に在宅に行かれている訪問看護ステーションの看護師さんやケ アマネジャーの方との連絡というのが、非常に重要な情報の源になっているということが現 実です。  ですから今後、いろいろ具体的な対策を考えるときに、これらの職種の方々とまず連携を とる。そして主治医の先生方に御意見を伺うということ。これまで連携に不慣れだったため どうしてもちょっと躊躇してしまうという現実があるんですけれども、これからの時代を考 えたときに、どんどん主治医の先生にお伺いをして、安全でそして合理的な進め方を模索し ていきたいなと思います。まずはケアマネジャーとか訪問看護ステーションとの連携を密に するということを、今考えているところでございます ○高久委員  私は簡単な質問ですが。岩月先生に教えていただきたいのですけども。在宅における医薬 品管理の実例ということで、こういう患者さんの状況については、ケアマネジャーの方から 連絡があって、薬剤師の方が出かけるようになっているわけでしょうか。 ○岩月氏  はい。この事例はたまたま14日の処方せんが発行されて、それで行ってみたら院内投薬の 患者さんで見つけたという事例であります。実はきょう資料の中には、入っておりませんけ れども、私のいます愛知県でそういったアンケートをとったことがございます。ケアマネジ ャーさんの8割近くの方がそういったことで危機感を持っていらっしゃるというようなデ ータもありましたので、そういった連携は、今後もちろん必要になってくると思います。  やはり一番現場に行く人から情報を伝えてもらうという環境が、私は必要ではないかと思 いますので、私もそういった方々とお話をさせていただくようにしております。ありがとう ございます。 ○川越委員  米山先生にお伺いしたいのですが。在宅で歯科の先生方が、往診してくださるということ、 非常に我々も助かって、今後も大事だなと考えています。今のお話をお伺いしながら改めて 思ったことは、歯科衛生士の方々の働きがすごく大きいかなというような印象を持ったんで す。それは正しいのでしょうか。 ○米山氏  私がここまでやってこられたのも、ちょっと大げさに言いますけれども、衛生士の頑張り のお陰です。診療に専念する為どうしても、細かいところが抜けてしまったりすることもあ りますから、それを衛生士が、職種間の間をつなぐ役割をしてくれるということで、非常に スムーズにいく。彼女たちの働きが大でございます。 ○川越委員  それで不勉強で恐縮なんですけども、歯科の先生が往診するときには、診療報酬からちゃ んと出るんですけれども、衛生士の方が行った場合も、そういう診療報酬の方から出るよう な格好に、今なっているのでしょうか。 ○米山氏  そういうところもございますけれども、制度の細かいところについては、上条先生、もし よろしかったら。 ○歯科医療管理官  歯科医療管理官でございます。ただいま御質問があった事項でございますが、通例は訪問 の歯科診療という形で実際に行われているケースの場合には、現在訪問歯科衛生指導料とい うのが設定されておりまして、歯科医師の方々の診療に基づいての一環としての、訪問指導 等が実施される場合には、診療報酬上の評価がされる仕組みになっております。 ○川越委員  ありがとうございました。最後の質問なんですけれども、今の歯科衛生士さんが行っても 保険の方から出るというような回答だったと思うんですけれども、やはりもうちょっと何か こういうのがあったら、もっと歯科の医者やあるいは衛生士の方が入りやすくなるというよ うな、そういう状況は、考えられますでしょうか。 ○米山氏  現状申し上げますと、訪問診療する歯科の先生方の数は、私の実感ですけれども、少なく なっているような気がするんです。いろいろな意味合いがあるかもしれません。訪問診療を する上で、いろいろ困難な状況が起きています。ところが国民医療の動きとには、在宅診療 を推進する方向へ行っているわけです。歯科の訪問診療も方向をこれにならう方向に変わっ て欲しいと思っています。そのためには、歯科医師だけではなく、衛生士の人たちももっと 活動しやすいような、自由度が得られると本当にありがたいなと思っております。 ○村松委員  2点あるんですが、最初に米山先生、お願いします。私は看護師なんですが、本当に食べ ることの楽しみ、喜び、これを欠いていってしまっている今の現状というのをすごく感じる ものですから、共感を持って聞かせていただきました。ありがとうございました。  先生の個人的な御意見を伺いたいと思います。再入院される御高齢の方が、ほとんどが誤 嚥性肺炎。そして必ずと言っていいほど、胃管が入ってきたり、ペグがついてきたりという ことがあるんですが、先生はそれに対してどのようにお考えでしょうか。 ○米山氏  安全に栄養をとるという点では、ペグあるいは他の経管栄養というのは、非常に有効だと 思います。しかしワンウェイになっていることが多いのではないか。つまり本来の口から栄 養摂取に後戻るということがない。いわゆる経管になりますと、本当に、皆さんの表情が消 えていきます。生きる意欲が、失われていくような気がしてならないんです。それでいいの かというのを、正直思っています。  ですから医師の先生方と一緒に勉強していきまして、本当にQOLを考えるならば、一口 でもワンスプーンでもいいから口から食べて、やはり人生に納得できるような終末期を迎え られるように、周りからサポートしなければいけないのではないか。そのために私どもも従 来の歯科医療という観点から脳に、もっと口全体で食べるという、やはり生きがいという部 分に、もっと重点を置いて取り組まなければいけないと感じております。以上です。 ○村松委員  ありがとうございました。私自身も同じように感じているものですから、非常に心強く思 いました。  林先生と岩月先生にお伺いしたいと思います。私のところでは、麻薬を使われる方が非常 に多いんです。それとおっしゃるように高齢者の方は、薬が非常に多くて、そして副作用な のか、あるいはどうなのかというようなところがわからないような状況の中での在宅をして おります。そういう中で、薬剤の方が24時間というところでの対応をどのようにおとりにな ろうとしているのか。それから現状における麻薬管理が、このままでいいと思われているの か。あるいはどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。 ○林氏  御質問ありがとうございます。まず私はどうしても急性期病院に勤務していることもあり ますので、そういった視点から最初に御回答になるかと思います。高齢者の皆さんで、薬の 副作用、例えばモルフィンなんかでも便秘の出方とか、吐き気の訴えられ方とかが、御本人 であまりおっしゃられない方とか。実際にはもともと便秘傾向にあるかたとかありまして、 そういう方の場合には、あらかじめ導入時に、便通をむしろつける方向にしておいた上で、 徐々に便を硬くしていくというような治療を看護師さんたちと一緒に、薬剤師もしたりして います。  また最近では、経皮吸収型のパッチ剤の疼痛コントロール剤がありますが、これがまた御 高齢と、必ずというわけではないんですが。皮膚が皮薄化してこられた方では、どうも吸収 率が違ってくるように、現場の管理としては感じております。こういった方たちも、その後 温めてしまうと、あれは急激に放出してしまって危険なので、それも看護師さんと合わせて、 御家族の方の御理解をいただいたり、御本人にも可能な限りわかっていただいて、個人差の 違いというところにも、かなり御高齢の方と一口にいっても幅がありますので、そこに取り 組んでいくというような作業が進んでいます。  24時間化という問題については、病院ですと、大体朝8時から夜10時ぐらいまで、病棟薬 剤師がとっかえひっかえおりまして、その時間帯は就寝までカバーされていまして、寝てい らっしゃる間は当直薬剤師がカバー。また朝看護師さんと薬剤師も引き継ぎをして、その日 の対策を立てていくというような形で、今組み立てられていると思います。 ○村松委員  ありがとうございました。 ○岩月氏  在宅の場合の麻薬の管理の問題から、まずお話をさせていただきます。いろいろなやり方 があるでしょうけれども、私は少なくとも麻薬に関しては、私かうちの薬剤師か、もしくは 御家族、直接本人にしか管理をさせないようにしております。やはり数の問題、なくなった って済むものではないということで、これに関しては必ず薬剤師か御家族、本人にしか触ら せないように、私はしています。そういったことが今後は、ルールとなって多分必要になる だろうと思います。薬剤師が、麻薬小売業の免許を持ってやるということが、私は大事だろ うというふうに考えております。 それから24時間の問題ですけれども、一般的には在宅では、初動が主治医の先生になります ので、私どもはもちろん利用者さんのところには、携帯電話の番号とか教えて差し上げてお りますけれども、初動が医師になって主治医の先生から御連絡をいただくというパターンに なりますので、夜中の2時、3時に、主治医の先生から薬を出せよということは、私は実は 今まであまりないんですけれども、次の日の朝にこういうことがあったので、お薬を届けて くださいねということで、今のところ対応させていただいております。 ○村松委員  ありがとうございました。私ども看護職というのは、本当に夜間のコールが多い。対応が 多いんです。20年前、私はこの在宅看護の道に入るときに、麻薬金庫の鍵を持たせてくださ いと、厚生省に言ったことがありますが、高齢者が高齢者を介護する時代に、果たしてどこ まで家族だけで対応できるのか。いろいろな問題があろうかと思います。今後ぜひまた薬剤 師の先生たちにも、もっともっと在宅という意味。あるいは薬の管理の仕方というところで、 お力をお借りしたいと思います。ありがとうございました。 ○堀田委員  私は患者の立場から、各先生に1つずつ伺います。まず米山先生に、口腔治療による、各 種の効果をお伺いしました。そういうことであれば、高齢になれば、大なり小なり歯に問題 が生じるわけですから、例えば歯の一斉検診をある年齢で実施する。そしてその状況と治療 法についての情報を一元管理して、最も有効なように、判断と治療を引き継いでいくという ような、そういう効率化は図れないものかどうか。例えば非常にそれは費用がかかってマイ ナスの方が大きいということなのか。そのあたりについて教えてほしいと思います。  それから林先生に教えてほしいのは、副作用の判断、重複かどうかの判断をほとんど薬剤 師がされると。しかし薬の処方は、医師が行っているわけで、薬の効用の方は医師がされて、 副作用の方は薬剤師がされるというのは、どういう分担になっているのか。その辺がちょっ とよく理解できないのですが。  薬剤師が副作用や重複について判断できるのなら、その処方が、果たして適切かどうかに ついても、判断ができるのではなかろうか。薬剤師の方で、むだな投薬について判断するこ とはできないんだろうか。これが質問の1つです。  もう1つは副作用について、薬剤師の方で判断されるのであれば、その情報を医師の方に フィードバックして、医師の方にも、その知識、情報が集積されるような手はとれないので あろうか。これが2つ目の質問で、この2問を林さんにお願いしたいと思います。  それから岩月さんへの、質問です。薬剤師の方で副作用を個別に判断しておられるという のは、わかるのでありますけれども、やはり副作用等については類型化できるものもあるで あろうし、事例の情報を積み重ねることによって、あるルールが発見される場合もあるので はないだろうか。そういう情報を一元管理して、例えば医師の判断についてセカンドオピニ オンがあるように、処方について、特に副作用について、セカンドオピニオンを求めること ができるような、そういう仕組みは考えられないだろうか。これが岩月さんに対する質問で す。 ○米山氏  私の把握している情報には限りがありますので、個人的な見解でもよろしいでしょうか。 歯科保健は母子保健、それから学童にかけて充実されております。しかし青年になって、大 学へ行ったり職場に行きますと、だんだん歯科保健というのが薄れていくというのが現実で はないでしょうか。  それから成人期、市町村では歯周病検診というのが行われておりますが、受診率が高いか というと、決して高くない状況かと思います。そして私どもが訪問診療で、高齢者、あるい は後期高齢者の方々のところへ行くと、口腔保健がぽんと大きく抜け落ちています。ですか ら成人期から前期高齢者にかけて歯科保健を充実し、後期高齢期に備えることが大切かと思 います。もちろん一元化ができたら、すごくすばらしいと思います。この問題では、国民一 人一人の自覚の問題もあろうかと思うんです。  ですから国の方から提案するということも重要ですが、一人一人が、できる限り健診とい う形で受診する姿勢も大事ではないか。この点について、1つの大事な方法論だとして、歯 科医師側もちゃんと認識することも大事かなと思います。  いずれにしても、後期高齢者の口腔内の状況を目の前にして、何回も歯ぎしりをしている。 もっと早く手が打てたら、こんなことにはならなかったのにということを、現場で何回も遭 遇しまして、つらい思いをしています。 ○林氏  私の方から可能な範囲で、お返事させていただきます。1つ目の御質問は、薬剤師が副作 用の回避に関連して、処方を中止してはというような提案もできるので、もう一歩進めてむ だな投薬も削除できるというふうになっているんでしょうか、というようなことかと思われ ますが。  実際に今回お示ししました、薬物療法の中止とか減量とか休薬という提案も、薬剤師も提 案はしますが、あくまでもチーム医療の中でということがございます。それを処方の意義と 兼ね合いを諮っていただいて、私たちもその辺いけるかなと思って提案することは提案する ですが、基本的に処方の最終判断は、やはり医師の先生方にお願いしているというのが、実 態でもあります。  ただチーム医療というものを推進してきた中に、それぞれの得意分野を生かした方がいい だろう。あるいは効率的に医療費を活用していく中で、それぞれの持っている力は、職種を 活用していこうということもございますかと思います。その中でいうと、やはり私どももガ イドラインも勉強し、また患者さんお一人お一人にとって、その治療で満足されているのか というのも、ベッドサイドでも伺った中で、これは御本人の満足度、それからエジデンスに 照らして合ってそうかとどうかということは、考えはしますが、あわせて先生に御提案とい う中で、チームでディスカッションをして、先生方が処方を止めるとか、減量されるという ことになっています  ですので可能性としては、気がついたものは、先生、これはもういらなさそう、患者も言 っていますがというものもありますし、見てとって、これはもう例えばいろいろ、患者さん にとってうまく状態がいっているときに、薬を中止するのは、意外と先生方にとっても、勇 気がいるというか、減らしたら具合が悪くなったらということもあって。  例えばもう80歳の御高齢の方なんですが、ちょうど閉経時のホルモンのバランスが崩れた ときの漢方薬をずっと80歳まで飲みつづけていたという方もいらっしゃいます。例えばそれ はそこまでずっと飲まなくても、症状はもう収まっているでしょうなんてことも、気がつく ことがございます。薬剤師でわかる範囲では、御提案していっています。  そういう意味で必ずしもそのとき、御本人様にとって、あるいはエビデンスで照らして必 要ではないものを提案していることも、実際にはございます。それからそういう効果になっ ている部分もあると思いますが、それがチーム医療の効果でもあるのかなと思います。  もう1つ、医師への、そういう副作用を回避していくような情報のフィードバックは、も う少し、どんな形でやれるんだという御指摘と思いますが、ありがとうございます。  それで私ども少し幾つかの視点で考えますと、ちょうど日本病院薬剤師会では、副作用回 避のための情報集というような情報集を、市販されている医薬品の重い副作用を全部回避す るためにつくってきたようなこともございます。そういうことから今度は厚労省の方でも音 頭をとられて重篤副作用疾患回避マニュアルというのも、学会と共同でつくられる。そうい ったところに、私どもも経験を生かして参加させていただいて、学会の先生方とコラボレー ションしております。ですので大きく国レベルでのそういった副作用回避といったような事 業にも、病院薬剤師も参加させていただいて、今までの経験を生かさせていただいています。  また日本病院薬剤師会でホームページの方で、副作用の回避事例と着眼点みたいなものを ホームページで事例公開、これはもう会員を問わず、看護師の皆さんも医師の皆さんも、だ れでもということで公開をしています。際立った特色のある症例を100例以上、常時アップ しておりますので、こういった形でのフィードバックも考えています。 あと私事で大変恐縮なのですが、ちょうどこんな副作用回避にいろいろ取り組んでいるん だということを、ちょうど御指名いただきますと、医師会の勉強会などに呼んでいただいて、 薬剤師の視点からすると、こんな取り組みもありますということを御紹介させていただいて、 じゃもっと活用していくようなっていうお声かけをいただく事例もありますので、いろんな 形で反映させていきたいとは考えております。御質問ありがとうございました。 ○岩月氏  いわゆる副作用事例の類型化ができて、それが情報のデータベースとなって、処方する医 師にというお話だと思いますけれども、実はお薬が持っている特有の副作用というのは、類 型化といいますか、薬が持っている特性でありますので、それは今林先生もお話されたこと であります。薬が持っている副作用から見るのが、薬剤師の仕事だろうと思いますけれども、 先ほど私のスライドでも、中に入れておりました、薬剤師会がつくってくれた体調チェック フローチャートというのが、まさに逆転の発想でありまして、今御質問いただいたように、 患者さんの状態がいろいろなので、そこから薬が、ひょっとしたら関与しているのではない かという、逆転の視点を持って、患者さんを見ましょうということで、こういったものがで きてきたというふうに伺っています。それで先ほどこういうものを使って、在宅に行ってい るんだよというお話をさせていただきました。  御指摘のように、まさにこれから在宅へ薬剤師が出ていって、患者さんの個別の状況に応 じた、こういう副作用発見事例が出てくれば、おっしゃるようにそういったものがデータベ ース化できて、もっと疑義紹介というのではなしに、薬物療法全体に、先ほどの、病院薬剤 師の先生方がやっていらっしゃるようなことが、在宅でも多分できてくるんだろうというふ うに考えております。 ○糟谷部会長  ちょっと堀田委員の質問と関係するものですから、私からちょっと1つだけ。どちらの先 生でもよろしいんですけれども、薬の関係ですが。  私はまだ後期高齢者ではなくて、前期高齢者になったばかりなんですけれども。身内には 年寄りがたくさんいるわけです。3つ、4つの科といいますか、内科と眼科とどこ科とどこ 科というふうにかかっているのが、たくさんとはいいませんけれども、いるわけです。そう するとこの病院ではこれをもらった。この眼科ではこれをもらった。ここではこれをもらっ たというふうなのが、ごっそり何種類もあるわけです。  私は全く医療とか薬の世界は、わからないんですけれども、副作用というよりも飲み合わ せでおかしくなるというのが、恐らくあるだろうというので、必ず気がついたときには、ど こでこれをもらったというのを書いて、新しいところに行きなさいと、こうは言うのですが。  先ほどおっしゃったかかりつけの薬剤師薬局があったらというんでけれども、それはまず おっしゃることはおっしゃられるけれど、無理ですよね。どこかの病院に行ったら、そこで これとお医者さんが言ったら、それでもう調剤してもらっちゃうし。どこかのクリニックに 行ったらそこでもらちゃってという。病院もクリニックもいろんなところで、地理的にも外 れているというので、お医者さんというのは、例えば眼科で出したのを神経科に持っていっ たら、これはおかしいというのが、科ごとに、先生方というのはわかるものなのか。そうい うことまで考えて、恐らくお出しになっているとも思えないというと、よろしくないんでし ょうが。ちょっとそういうところはどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。 ○林氏  最初に私から少し御紹介させていただきます。虎の門病院で、先ほど院外処方せんを出し ているという御紹介をしたのですが、2,000数百枚調剤していたところが、今100枚ちょっと ですので、2,000枚以上が出ています。それでどういうふうに処方せんというのを、患者さ んは調剤してもらっているんだろうという心配もありましたので、いろいろ、うちの病院の 場合には、東京都内で50%在住で、神奈川、埼玉、千葉にそれぞれ15%から20%在住。10% はその外ということもありまして、どうやって薬剤師同士が連携しようということも思って 調査したのですが。実は門前薬局といわれるようなものが、十数件ありますが。あっという 間にできたんですけれども。  ただ港区在住者が20%ぐらいいる中で、門前薬局というか、港区内の調剤してもらってい る人は50%前後ということです。つまり港区内に住んでいるので、港区内で調剤していると いう方も含めると、70〜80%は、私どもの病院の場合は、メインにかかりつけ薬局に行って いただいているということです。  ですので大病院にかかったときの処方も、多分お近くで歯科にかかられたり、あるいは診 療所にかかられたりしたときの病院もかかりつけの方に行くようになっているのかなと、私 の側の、処方を送り出している立場の薬剤師としては見ております。  また院内ですと相互作用って絶対だめとはなかなか言えなくて、それぞれ先生方が処方さ れた処方意図がありますので、それでただ相互作用の場合には、alternative、代替薬が例 えば代謝阻害を受けにくい類似の効果を持ったお薬があることがありますので、例えば皮膚 科で抗真菌薬を使って、湿布、代謝酵素の阻害がある。この場合には精神科でかかっている、 心療内科でかかっている眠剤との、どうしましょうということで、あらかじめ精神科の先生、 心療内科の先生と皮膚科の先生とで、alternativeの可能性も含めて相談して、実際には患 者さんはそんなにお待たせできないので、それを院内にも広報紙で周知したりしながら、対 策を立てたりして、回避策をうまく、あらかじめ処方の相談をさせていただいて、複数科と 協議していくというようなスタンスで、解決策をとっています。 ○岩月氏  今、御指摘をいただいた、それぞれの病院ごとでお薬を受け取ってしまうのではないか。 残念ながらそういった患者さんもいらっしゃることは、私は事実だと思います。特に精神  科なんかにおかかりの方は、かえって自宅の近くではお薬をもらいたくないという方もいら っしゃいますので、そういったことがあるだろうと思います。  ただ私どもの経験している中では、やはり先ほど申し上げたように、お薬の飲み合わせの 問題とかまさにおっしゃったようなこと、気がついた時点で一つにまとめるというふうに、 意識を変えていただく患者さんが最近、実はふえてきております。私は別に分業どうのこう のと語る立場にはおりませんけれども、最初の段階で、病院の近くでもらわれた方が、気が ついて、まさに今一つにまとめようとしているという動きが出ていると、私は実感していま す。  もちろん事故が起こる前にそうならないといけないと思いますけれども、そういったこと を、それこそぜひ啓発といいますか、患者さんにもっともっと伝えていかなければというふ うに思っております。 ○堀田委員  私も先ほど質問をして、岩月さんからお答えをいただけなかったんですが、セカンドオピ ニオン的に確認をとれる方法について教えていただきたいと思います。今部会長がおっしゃ ったように、幾つか違うところから薬をもらったときに、大丈夫かなと思ったときに、それ を全部持っていって、薬剤師さんに見てもらえる仕組みができないかなと、そういう質問だ ったんです。 ○岩月氏  セカンドオピニオンの意味を取り違えておりました。それはまさに例えばお薬手帳とか、 薬歴、薬剤の履歴を私どもは持っていますので、わからなければこれは実は電話をかけて聞 くとか。遠方の薬局であれば、もしそういったことがあれば、必ず今はそういうふうにして おりますので。そういう意味での情報の蓄積というのは、以前に比べれば、はるかによくで きるようになっています。  ですからどう言えばいいんでしょう。いろんなところにかかっているというのが、徐々に 今収斂している段階ではないかなと、私の患者さんを見ていると、そんな感じがいたします。 ○鴨下部会長代理  歯科のことで、米山先生に3つほど質問させていただきたいのですが、まず先ほど歯科衛 生士の役割が非常に大事だということで、全国で何人ぐらいいて、数が足りているのかどう かそれが1点です。これは先生にお答えいただくのか。こちらかもしれませんが。  あとはこれもうちょっと筋違いの質問になるかもしれませんけれども、かなり高齢者の歯 科というのは専門性を要すると思います。現在大学でそういう講座というのか、あるいは卒 前教育でどの程度やられているのかということと。  もう1つは具体的なんですが、14ページの、肺炎が義歯の有無によって、非常に罹患率の 差が出てくるんです。先生が多分主任研究者でおやりになったのかと思いますが、母集団の 数がどのぐらいなのか。それから義歯がありなしですが、ないのはわかるんですが、あると いっても、随分いろんな程度のものがございますよね。その辺のバックグラウンドが、ちょ っとおわかりでしたら、教えていただければと思います。 ○米山氏  先生、ありがとうございました。歯科衛生士の数につきましては、今ちょっと後で、上条 先生にお伺いしたいと思いますけれども。歯科衛生士の数というのは比較的多いと思うんで すけれども、就業している数となると、かなり少ないと思うんです。しかも若いときは歯科 医院に勤務した衛生士さんも、家庭に入ってしまうとその後なかなか職場に復帰するという ことは少ないようでございます。  しかし高齢者の方々、特に後期高齢者の方々を担当している衛生士さんは若い衛生士さん よりも、すいもからいも全部わかった衛生士さん、人生の子育ても終わった人の方が、私は すごくいいなと思っているんです。優しさが、やはり若い人の優しさとまた違う優しさがあ ると思うんです。  ですから私の希望としては、一たん家庭に入った衛生士さんに、もう1回カムバックして いただいて、基本的なことを学び直していただいて、加えていただいて、やはり心の医療か ら入った歯科の口腔ケアというものをやっていただきたいなと思っております。  ですから実際のところは、数は結構な数になっている。具体的な数字は、ちょっと今この 時点ではないですが、後で順番ちょっと逆に答えていただきたいなと思っています。就業数 は少ない。実際現場ではすごく衛生士さんが足りないというのが、現状でございます。  今歯科衛生士学校は、かなり3年制に向けて準備を進めていますし、準備は進んでいます けれども、絶対数はまだ少ないというのが、私が感じているところです。  2番目ですけれども専門性。大学で高齢者歯科学講座が幾つかできておりますが、まだ数 から言って、そんなに十分ではないというふうに思っています。教育も、確かに文書の上で、 高齢者の特色云々ということになりますけれども、御経験を積んだ自分たちの人生の先輩で ございますから、文書の上だけでは本当に現場では。我々歯科医師も経験を積んだ中で、人 生の先輩である高齢者の方々に接しなければ、決して満足のいく医療は受けられないだろう と思います。ですからアンダーグラデュエイト、ポストグラデュエイトで、まだまだこれか らの課題かなと思っております。  それから義歯の点でございます。義歯を入れている方の方が肺炎の罹患率が少ないという ことです。これは何が因果関係がは、はっきりわかりませんけれども、恐らく1つの考えで すけれども、やはり義歯を入れている方の方が、それが十分いいものであるか、そうでない ものか、ちょっと次の問題になるんですけれども、口の機能がより残されている可能性が高 いと思います。  義歯を外して、もう1カ月もすると、義歯が合わなくなってしまう。ということは、何を 意味するかというと、口の機能そのものもかなり落ちてしまっているということになりまし て、一たん口が落ちたものに対して、もう1回義歯の印象からかみ合わせをとっていくと、 双方にとって大変なことでございます。  まず機能を高め、そこから型取りにいくということであります。ですから口の機能が維持 されることによって、ミクロの誤嚥が防げるということだろうと思います。ですから非常に 義歯は大事だということです。  現実を見たときに入院をされると、私の経験ですけれども、本当にかなり早い段階から義 歯が外されてしまっているということがございます。ですからこれは私どもの反省が大であ るんですけれども、義歯の有用性、有効性、大事さを、他の医療関係者、福祉の関係者の方々 にしっかりお伝えをして、双方でもってしっかり守っていくことによって、医療費もある程 度有効に使われるでしょうし。そしてその方の口腔の機能が維持されるだろうと思います。 それが回り回って、肺炎の予防につながってくるのではないか。ですからこれについてはさ らなる研究が必要だろうと私は思っています。  上条先生、よろしいでしょうか。 ○歯科医療管理官  それでは事務局の方でお答えさせていただきます。就業歯科衛生士数というのは、衛生行 政業務報告というのがございまして、これで2年に1回ずつ実際に統計をとっております。 今ちょっと手元に平成14年末というのが、まだ16年が出たたかどうか定かではないのですが。 数がございます。歯科衛生士の就業者数が7万3,297となっています。大体年間では3,000 名ずつほどふえてきております。現在歯科診療所の数が平成16年で6万6,557になっており まして、以前から比べますと、結構ふえてきておりまして、一歯科診療所あたりでは、1人 以上の衛生士の平均ということになっていまして、ふえ続けているという状況でございます。 ○糟谷部会長  それではここで一たん切らせていただきたいと思います。 ○鴨下部長代理  これは岩月先生に質問というよりも、ちょっと余計なコメントなんですが。55ページの多 施設のかかわりというところで、私は高齢者はやはり、栄養の問題が非常に重要だと思うん です。ですからこの絵の中にはやはり、栄養士が加わるべきではないかと思うんですけれど も、介護支援専門員では、ちょっと栄養士がかわいそうだというか、非常に大事だと思うん です。高齢者の栄養問題、カロリーとか。ですからちょっとこれはコメントです。 ○糟谷部会長  それではまだ御議論があろうかと思いますが、ここで一応質問については区切らせていた だきまして、次に川島先生と山口先生から御説明をお願いしたいと思います。米山先生、林 先生、岩月先生の御説明に対する御質問等は、川島先生、山口先生の御説明の後で、あわせ ていただいても結構だと思います。それでは川島先生、よろしくお願いいたします。 ○川島氏  川島でございます。私は、診療所の観点から、特に後期高齢者医療の中の在宅療養支援診 療所というカテゴリーに、なるべく沿って話をしていくということになります。後期高齢者 医療という非常に大きな枠組みの中で、在宅医療という医療が、その一部としてある。そし てその在宅医療も2つに分かれていて、医師が実際に行って、居宅に行って行う。この場合 の居宅というのは、狭い意味での居宅。つまり自宅とそれから広い意味での居宅、自宅も合 わせた施設です。そこに実際に医者が行くという在宅医療と。それから医者は直接は行かな いけれども、患者や家族が自分の家で医療が自分でやっていく。つまり在宅酸素療法とか、 それからインシュリンの自己注射とか。そういう大きく分けると2つあるわけです。  特に私の場合は、医者が実際に行ってやる医療という、その在宅医療に特化し始めている 在宅療養支援診療所の話をさせていただきたいと思います。多分に概念的な図が多ございま して申しわけございませんが、それに沿っていきたいと思います。  2ページ目の図を見ていただきたいと思います。一般に医療というのは、よい医療を提供 するとか、よい看護を提供するということで、提供者側とそれから提供を受ける患者側が 別々に分かれていて、その間に医療知識なり、看護技術なりというメディアを介在させて、 相手方を変えていく。病気から健康体というふうに、今解釈されるんですが。  実際には在宅医療というのは、実は、提供側と提供される側が別々ではないという現実が ございます。つまりその人の生活の24時間の中に、医療提供者あるいは看護提供者、介護提 供者が実際に入ってやりますので、その中で不必要な言動や、いらない行動などをしてしま えば、その生活の24時間に全部影響を与えてしまうということです。実は提供しているつも りが、その生活の内部構造体になっているというのが我々の形でございます。  それが一般的な病院の医療や診療所の外来における医療と大きく違う点でございまして、 3ページ目を見ていただくと、この大きな卵形の外枠の部分が、生活をなさっている方の世 界であると。そうするとその世界の中で、医師も薬剤師もケアマネジャーも看護師も行政も、 実は含まれていて、中から生活を外に向かって支えていくという図が、本来の図であろう。 ですので例えば佐藤さんのお宅であれば、佐藤家の家風や絆というのは、こういう卵形かも しれない。しかし渡辺さんのお宅に行けば、その家風や絆は四角かもしれないというふうに、 その家ごとに違う医療を提供していく。あるいは看護を提供していくということになります ので、当然我々が従来行ってきたエビデンスに基づく標準化が、どこにでも通じるわけでは ない。その家に沿ったものを提供していくということになるわけです。  4ページ目を見ていただければ、Aさんのお宅に行きますとAさんの家風は、四角だとし ます。そこでお医者さん、ドクターが俺は丸だから丸の言うことを聞けというふうになって は、そこで軋轢が起こってしまう。そこで医療者がどうするのかというと、今までは相手を 変えてきた医療だったんだけれども、医療提供者自体、つまり医師や看護師自体が自分が変 わっていく。そしてその家に溶け込むようにして、その家の必要な部分になって、構造体の 一部になって、そして内部から支えていくということになりますので、ドクターも変わって いくし、それからAさんもドクターを含んで生活が変わるわけですから、Aさんも変わって、 この図ではお互いにひし形になって、うまい提供がなされる。  Bさん宅に行けば、Bさんの家風や絆は三角なので、我々も三角になるし、Bさんは私を 含むので、また違った形の三角になって、その両者がうまく一致すれば、提供される側と提 供する側が、うまく呼応してやっていけるというのが概念図でございます。  5ページ目に行きまして、この上半分の大きな矢印の上側を見ていただきますと、2000 年までは病院というのは、病棟と外来と二極構造になっていました。午前中外来、午後病棟 でございました。在宅で暮らしている方が、あるときは入院をしたり外来通院をしたりと。 診療所側は、ほとんどが9時5時タイプの外来診療所でございまして、12万人のお医者さん が9万8,000カ所の診療所に勤務している。それが御存じのように、2000年からは病院の改 革が始まりまして、外来の午前中の分を、矢印の下の方を見ていただければよろしゅうござ いますが、外来の午前中の分も、病棟を見ることによって、入院日数の削減、ベッドの回転 率をよくする、DPCの導入ということで、病院の回転率を上げていく。それによって病院 も病棟病院化していきまして、急性期、救急高度医療型の一般病院と、それから療養型に分 かれて、今回は療養型の、特に介護療養型が削減されるという状況になってきているわけで す。  そうしますと特に急性期救急高度医療からの重度化している方々もどんどん出されるよ うになっていまして、それがその下に書いてありますように、重症在宅という患者さんがど んどんふえてきております。特にがんの末期の方、人工呼吸器、経管栄養、それから中心静 脈等をつけた重症在宅がかなりふえてきているのが現状でございます。  そうしますと今までは、9〜5時で終わって済んでいた診療所側も、外来機能だけではな く、実際に出っ張って、患者宅に行くというような、行く在宅医療の重症化ということがご ざいますので、それに対応できるようなシステムが必要になってくるということで、24時間 365日対応できるような、在宅療養支援診療所というのが、この2006年の4月から発足して、 現在約1万カ所できているという現状でございます。  次の6ページを見ていただければ、それをもう少し簡単に書きますと、病院が二重構造の 重症型と療養型になった。それから在宅もそれにつれて、重症型がふえてきて、診療所はま だそれに十分に対応できる機能を持っていなかったけれども、みとりも含めた重症型の在宅 療養支援診療所が創設されないと、この全体構想がうまく回らないというのが、事実だと思 います。いずれも二極構造化することによって、お互いがうまくまわっていくし、病院の中 での重症型、療養型、あるいは在宅での重症型、軽症型もお互いに動くことができるという ことになるわけでございます。  そうしますと今度は病院の側は、どのような体制をとっていかなければならないかという ことを、私なりに示したのが、次の7番の図でございます。昔は病院というのは、治すこと を主眼にしておりました。しかし治すことに目を向けるあまりに、過度な医療が行われたり、 本人の望まないような結果になってしまったり、生活空間に帰れなくなってしまうというこ とがよくあったわけです。そういうふうなことに対する善後策ということもあって、今回の 状況になってきたんだと思うのですが。  そうしますと病院側というのは、ここにa)b)c)と上に書いてあるように、病院のお医 者さんというのは、回復可能な人は治癒させると。つまり治して帰す。これは当たり前のこ とです。それから脳卒中の後遺症などで、車いすぐらいが、あなたのゴールですよというふ うに現状維持を主たる目的にしなければならない方は、病状の平衡状態がはっきりわかれば そこで帰すということになります。  では今までは回復不能なものは、病院側がどんどんみとっていたわけですけれども、回復 不能になったということは、つまり治療ではない。治療でないとしたら何なのかというと、 本人がつらくないようにしながら、生活の場に戻して生活を十分味わっていただくというこ とですので、回復不能な方も、生活の中でみとることを視野に入れて帰すということになり ますので、病院医側は、病院のお医者さん側は、いずれも帰すんだと。つまり入院させると いうことは退院させることなんだと。今までのように入院させることは、治すことなんだと いうことから少し視点を変えたような医療を行っていかないといけない。  そうしますとこの3点の収束するところというのは、病院死を極力回避するということだ し、それだけ医療については、今までは調子が悪かったら帰ってきなさいと、病院に行きな さいと言えば済んだものを、そうではない説明もしなければならないから、説明責任の範囲 は非常に拡大していくということになりますので、十分な説明責任が求められるようになる ということになります。  としますと病院の医者側にも、それから同時にそういう医療が既にちゃんとあるのだとい うことも国民に周知されなければいけないということになりますので、特に帰す側に立って いる病院の先生方には、在宅療養支援診療所の周知が十分に徹底されないといけないという 状況になってきているのだと思います。  在宅医療から見た後期高齢者の特徴というのは、どういうのかということが、8番目に書 いてあります。後期高齢者の特徴というのは、生きられる時間が短いということでございま すので、残された時間をどういうふうに有意義に生きたいのかという、生き方の提示がなさ れなければならない。そしていかによく生きたかの結果として、初めからみとるために帰す わけではなく、生きるのだという、生活の中で生きていくということを重要視した結果とし て、たまたまみとるということになるわけです。これが後期高齢者の特徴といえると思いま す。  9ページ目を見ていただきますと、人間の生き方の説明はいろいろございますので、一概 に何とも言えませんが、私どもの場合は生き方、煎じ詰めて言えばその結果としてのみとり というのは、緩やかに最期を迎えるか、急変しかないわけでございます。例えば歩けなくな ってくる。食べられない。呼吸が弱くなってくるなどというのは、これは高齢者がだんだん 身体状況が低下していきますと、当たり前の状況でございます。その当たり前のことを悪化 とか危険とかという言葉で表現するものだから、本人も家族もびっくりしちゃって、救急車 を呼ぶということになってしまいますので、そのような話をきちんとうまく説明できるよう な説明責任が必要になってくる。  そうしますと歩けないということは、危険なことでも何でもなく、大往生の道筋の1つに なるのだということになりますので、歩けていて大往生ということはないわけです。歩けて いて亡くなったら、これは急死でございます。ですので、皆さん、どうも間違っておられて、 ぱくぱくおいしいものを食べて、大往生をしたいといわれるのですが、必ず嚥下困難になっ て、最期は全然食べられなくなくというのが、当たり前でございます。  ですのでそうなったらどういうふうなことを考えていくのかということが、その辺にいろ いろ書いてあるわけです。そこを間違えないで説明するという、説明責任が必要だし、同期 に急変した場合には、どういうことを説明しなければならないかということが、そこにいろ いろ書いてありますが、時間がございませんので、次に進みます。10ページ目を見ていただ きます。  つまりそういうことですので、お医者さんというのは、特に後期高齢者に関しては、ある いはがんの末期にしろ、難病にしろ、非常に重度化して生きる時間が短い方々に関しては、 生き方の説明を十分にしてあげなければならないということで、どうも病院の先生は、特に そうなんですが、症候論や疾病論を展開して、そういう話に終始してしまう。しかし大事な のは、そこで自分はどう生きれるのか、生活がどう変わるのかという説明が必要です。恐ら く現在の医者の大部分というのは、生き方の説明をしていないということになります。この ごろは、事前指示書やリビングウィルなどがもてはやされているのですが、それができれば いいという話ではなく、そういう指示書やリビングウィルができる以前に、説明が不十分な 場合は、不十分な説明のままで制作されてしまうものなので、今の状況で事前指示書やリビ ングウィルがもてはやされてるのは、非常に危ないんだというふうに考えていただきたいと 思います。現状では不適切であろうというふうに、考えている次第でございます。  11ページ目を見ていただくと、つまり人間が、体の状態としては後戻りできませんよとい う、Ponit of no returnといいますが、Ponit of no returnに、つまりここでは経管栄養を するのしないのと。それによって生き方がどう変容するか。縦軸に生き方の変容がございま す。体がどう変わるかではございません。体が変わることによって、生活がどのように変貌 していくかという話ができないといけないわけです。健康な時点から、Ponit of no return に行きつくまでの間が協議期間となりますので、この協議期間を十分に医療者側は、説明で きないといけないということになります。  12ページ目に行きます。そうしますと、先ほどのように、ドクターもヘルパーもナースも 行政もケアマネも含めまして、その生活者に対して、集って、さてこれから外来通院してい たけれども、来れなくなったとか。あるいは入院しているけれども、これからは在宅医療に 行かなければならない。  御存知のように一、応在宅医療の適応になるのは、身体的に通院困難な者というカテゴリ ーでございますので、そういう方々をイメージしていただければいいと思います。そのよう な話を入院している間に、十分に済まさなければなりませんので、そうしますとそのような 入院している間に、ケアカンファレンスが開かれて、在宅に移行していく。その中には場合 によっては、歯科治療も必要になるので歯科の先生に来ていただいたり、薬剤がどうなって いるかということについて、薬剤の先生にも来ていただかなければならないということにな ります。  入院だといろんな科から、それぞれ勝手に薬が投与されておりますが、在宅医療に移行す る場合には、かかりつけ医が主治医になるというのが原則になりますので、主治医に1本化 されます。ですので先ほどの御質問のような、どの先生がどの薬を飲んでいるのかわからな いということは原則的にはなくて、主治医のところにすべての情報が集まるはずでございま す。  そこからケアのシステムも、全部整えまして、安定期、つまり退院するわけでございます。 安定期の中でも、時には家族が疲れたりして、ショートステイや入所しなければならないと いうことがあったり。また家族のレスパイトケアがうまくいってまた在宅に戻れれば、在宅 で暮らしていくと、今度は何か医療が必要なものが出てくれば、当然治癒できるという前提 のもとに入院するわけです。治癒不能であれば、終末期を迎える方向に行くということにな るわけでございます。一時は入院するけれども、また戻ってくるというような安定期を通じ まして、最終的には終末期になる。  医療依存度や介護依存度によって、そのような地域ケアや病院が機能していくということ になるわけでございます。  後期高齢者モデルを次に挙げておりますが、ちょっと時間がないので省きます。次14番目 を見ていただきますと、連携事業所、私のところでは、これは3年前のデータでございます が、仙台市内の訪問看護ステーション53%、24カ所、ヘルパーステーション18カ所、調剤薬 局は7カ所というふうに、仙台市内の幾つかの連携事業所と多数連携しています。調剤薬局 さんにも24時間体制で来ていただくというような形をとっています。  次に15ページを見ていただくと、特に後期高齢者も含めまして、これから重症化していく 在宅医療でございますのでそこには、今回2006年につくられました在宅療養支援診療所と同 じように、在宅療養支援調剤薬局のようなものが、できてもいいのではないかというふうに 考えている次第でございます。  当然、後期高齢者は歩けなくなる。認知の低下が起こる。食べられない。疼痛の出現、後 期高齢者の3分の1はがんになります。そうすると麻薬管理や頻回の訪問も必要です。薬剤 師への負担増というのが、その下に向かっての矢印のところにございます。調剤時間の増大、 患者家族への精神状態への配慮。それから粉薬にしますと、監査時間が非常に増大をして、 1名の粉薬をつくるために、1時間もかかったりするなんていうこともございます。麻薬、 抗がん剤等の高額な薬剤の在庫の問題。夜間休日の緊急対応、こういうものに対応できるよ うな調剤薬局が、療養支援診療所とともに必要であろうというふうに考える次第です。  16ページは、今度は紹介元の、つまり後方病院をどうするかという話が、よくございます。 つまり病院側の方に在宅療養支援診療所の周知が徹底されれば、その病院自体が紹介元とな って在宅療養支援診療所の方にどんどん患者を連絡してくるということになります。そうす るとその病院が、連絡されて紹介元となった病院がそのまま後方病院になるということにな ります。地域格差がございますので、一病院に二診療所みたいなところだとほとんどその間 だけのやりとりになってしまうかもしれませんが、いずれにしろそういうふうな形の周知が 徹底されることにより可能になってくるだろうというふうに考えます。  17ページ目は、そうしますと在宅療養支援診療所というのはどういうことかといいますと、 黄色の下の部分の、つまり在宅の橋頭堡として、地域にどの診療所も在宅支援診療所になる 必要はなくて、本当に必要なところだけがとりあえずなっていただくと。しかし在宅療養支 援診療所に手を挙げていない先生方にも、在宅医療の底上げとして、おみとりも含めた知識 や技術を学んでいただいて、そして底上げと橋頭堡と両方仕立てで、在宅医療を推進してい くということは、これから望まれることだと思います。  最後に18ページになりますが。これは私のところでつくっているものでございます。2004 年の時点で診療所と、自宅と施設合わせて14.5%の在宅死率でございます。当然、病院での みとり率は80%を超しております。御存じのように2038年には170万人が亡くなるという時 代になります。この170万人、つまり今から30年後でございますが、170万人にどこで最後を 迎えてもらうか。それは何かというと、国民のニーズでございます。国民のニーズがどこに あるのかというと、既に介護保険の老健局、それから保険局のデータでもございますが、大 体60%以上の方は家で最後を迎えたいというふうに考えておられる。その国民のニーズに対 して、今医療者が提供できているのは、わずか14.5%しかない。つまりサプライが全然ミス マッチになっているという現状がございます。  もしこのニーズとサプライのミスマッチを是正することになると、少なくともこれからの 医療計画は、平成20年に始まって、5年間ですが、ここでは2012年に終わる予定ですが、2014 年の推計死亡者数が書いてあります。133万人に達するであろうと。この目標値上限25%と いうのは、こっちが勝手に書いたのですが、もし今の状況の病院の、亡くなる死亡者数がそ のままであるとすると、2038年には、へたをすれば90万人ほど病院ではないところで、最後 を迎えさせるということになりますので、そうしますとこれからの5年間の目標値25%も、 あながちおかしな数字ではないということになります。  ここで長野を見ていただきますと、下から4番目の長野は、既に2004年の時点で20%をク リアしておりますので、目標値に達するのは比較的楽だと思います。一番下の愛知は12.7% しかございませんので、目標値に達するのはなかなか難しいというような現状がございます。  診療所もいろいろございますので、何とも言えませんが、ある程度の人数をみとれるとい うふうに仮定しますと、長野の場合は既に60%を超している、目標値に達しているというよ うな、これは私の方で、このように今までのデータを含めてつくったものでございますが、 ある程度このように幾つかの状況を踏まえて、これからの医療提供を考えていかなければな らないのではないかというふうに思っている次第でございます。これで終了いたします。 ○糟谷部会長  ありがとうございました。それでは続きまして山口先生、よろしくお願いいたします。 ○山口氏  山口でございます。では私の資料に基づいて少しお話をさせていただきます。私ども、今 回の後期高齢者医療についての特別部会が設けられたということは、非常に私は高く評価を しております。  まず第1点、高齢者医療の特性と留意点と書きましたけれども、これは私が今さら言うま でもなく、皆様方既に御承知のとおりです。たくさん病気を抱えているということ。中でも 循環器の疾患、特に脳血管障害が多いというのも御承知のとおりです。  ところが高齢者はこのようにたくさんの病気を、複数の病気を一緒に持っているにもかか わらず、何かそれが別々に見られていて、先ほどもお話ありましたら、お薬もたくさん出さ れると。総合的な視点が少し欠けているのではないかな、このように考えております。  それから高齢者は急性期の医療の後、障害を残すケースが多いわけです。ここにやはりリ ハビリだとかこれらを予防する、そういうものが必要になります。したがって高齢者には医 療と介護、ケースによってはリハビリ。これらが一体的に提供される。そのような状況がや はり必要なのではないかなと思っております。  しかもこのリハビリもPT、OT、STとありますのでそれぞれの役割機能を持っており ます。これらもケースによって適切に組み合わされて、総合的、立体的に提供される。こう いうことが望ましいのであろうと思っております。  それから最後に、終末期の問題、高齢者の終末期をどうするのか。これは今まで他の皆様 方もお話になられました。すべては、ターミナルの時期に管治療といわれるものが必要なの かどうなのか。これは今後、やはり早くから問題にされていたのですが、この問題について、 もう少し私は後ほど触れてみたいと思います。  こういうことを考えてみますと、高齢者にこそ、私どものいう地域包括医療、あるいは地 域包括ケアというものの提供が望まれると思っております。新しい医師臨床研修制度。私も あれに最初から携わりましたけれども、そこで研修理念の1つとして、プライマリケア科の 充実というのをうたっています。地域における医療というような分野が、必修になりました。 こういうところの意義といいますか、これがやはり高齢者に地域包括医療が、地域包括ケア が望まれる、1つの大きな共通点ではないかなと思っております。  我々、国保診療施設協議会、国診協、さらに全国自治体病院協議会、全自病では、近々地 域包括医療認定制度というのを立ち上げる予定にしています。そしてプライマリケア課とい うものが、将来的に標榜できるようになればいいかなと、こういうことも考えております。  冒頭にこういうことを申し上げまして、次に地域包括医療、地域包括ケアについて、少し 話をさせていただきたいと思います。これは私が20年近く前に定義づけをした、地域包括医 療の概念定義であります。地域包括医療、社会的要因を配慮しつつ、継続して実践する。要 するにシームレスにつながっていかなければいけない。そして社会的要因というのは、今度 の介護もそうですが、療養環境も含めて、いろんな要因があります。そして要は住民の皆様 方のQOLの向上を目指す。こういう定義づけをしておりまして、ここでいう包括医療、包 括ケアというのは、治療だけではなくて、健康づくりから在宅ケア、リハビリ、介護、すべ てというふうな定義づけをしております。  これが私どもの公立みつぎ総合病院が構築した地域包括ケアシステムですが、真ん中に病 院がありますが、これはいわゆる旧総合病院でありまして、急性期医療をやっておりますし、 そのほか療養病棟もありますし、回復リハ病棟、緩和ケア病棟、こういうものも持っており ます。そしてさらに行政部門である保健福祉センターというのとドッキングしています。こ れは保険局の国保課で確か昭和58年ごろだったと思うのですが、国保健康管理センターとい うのを直診という、国保の病院、国保の診療所、全国に1,000カ所ほどありますが、そうい うところに併設として、予防と治療の一体化を図ろう。こういうふうな支援体制をつくって いただきました。  私のところもこれを活用しまして、今保健福祉センターと名称を変えておりますが、ここ に、歯科保健センターがあったり、また今度の介護予防のセンターがあったり、そこと連携 をとる地域包括支援センター、いろんなものを持っております。そして総合施設と呼んでい る、これはほとんどは介護保険の施設群でありますが、これも病院事業の中に取り込んで、 すべてが在宅につながっていく。こういうことをやっています。  在宅というのは私どもは30年前に始めました。そのころはまだなかなか言葉そのものも、 今のように定着していませんでした。我々は、寝たきりを予防するという発想で始めました。 訪問看護、訪問リハビリがそうでありまして、ところがこの効果が出るのに10年かかりまし た。やはり結構時間がかかるものだというのを私どもは経験しました。  ここの直診というのは、先ほど言いましたように、予防と治療の一体化を目指してつくら れた自治体病院、診療所であります。理念は地域包括医療の実践と、地域包括ケアシステム の構築、こういうことで以下いろいろと書いてあります。  概念はやはり治療の分野と、ケアの分野、キュアの分野とケアの分野があります。  直診を核とする地域包括ケアシステム、実はこんなところは我々のところだけではなく、 全国にたくさん今できております。そして市町村自治体と一体となって、この包括ケアシス テムを構築しているところは、少なくありません。  これも流れです。  これは、我々はやはり元気なときの保健、健康づくりから病気になったときの医療。そし て介護、福祉と、こういう順序で流れていくと思うのですが、この保健、医療、介護、福祉 の間というのは、接点がダブっている部分が必ずなければなりません。これが離れておりま すと、継続性ということが損なわれます。シームレスといいますか、元気なときから既に糖 尿病の治療、血圧の薬を飲んでいらっしゃる方がいらっしゃいます。医療で救命した命を助 けた後、リハビリをやる、そして介護もやる。そういうケースもあります。  医療と介護のダブった部分、ここが非常に大事でありまして、いつまでも医療の世界にい ると、これは効率が悪くなるということになります。こういうふうな流れ、これがやはり何 年前でしょうか。私は当時の老健審の審議会の委員をしておりましたときにも、発言したこ とがありますが。こういう状態像に応じて、適切なサービスが提供されることが必要です。 既に急性期を過ぎたのに急性期病棟にいる。これはやはりむだではないか、こんなことを考 えております。  この全体を私どもは、地域包括ケアシステムと呼んでいるわけでありまして、この中の介 護だけとか医療だけというふうには考えておりません。しかもいろんな地域連携が必要であ りまして、今までの病診間、病病間の連携というのは、線だったと思うのですが、今からは 行政も住民も含めての面の連携が必要だろうと思っております。  今言いましたようなシステムは、その地域エリア。大体2次医療圏を考えていますが、そ この地域完結型のシステムがあることが望ましいと思っております。ところがなかなか難し い問題がありまして、例えば私どもの2次医療圏域で、回復期リハビリ病棟があるのは、私 どもの病院だけですし、もし私どもの病院の回復リハビリ病棟がなくなれば、私どもの2次 医療圏域にはそれがないということになります。緩和ケア病棟も同じであります。そのよう な面といいますか、ネットワークをつくっていくことが必要だろうと思います。  問題点はやはり人と金なのかなと。私どものところは、全部で550人ほどの職員がおりま すが。中でもリハビリには特に力を注いでおります。40数名のPT、OT、STがいます。 そういうマンパワーを確保しないと、リハビリをやろうにもやれないわけですし、またそれ には財源が必要ということになります。  高齢者医療、特に後期高齢者については、今後は独立した新制度がつくられる。そしてこ ういう特別部会で検討が始まったと、私はこれを非常に高く評価しています。ぜひこの部会 で、国民が頼りにするような、そういう結論を出してほしいなと思っております。  現在の状況は下の方に書きました。療養病床もあのようにかなり変わりますし、ただ問題 点がないわけでもない。もう1つ在宅医療というものが、非常に推進されていく。これは世 界的な傾向でありまして、我が国だけの問題ではありません。在宅にどうシフトしていくの か。今お話がありました、在宅療養支援診療所の新設による役割は、非常に大きいものがあ るだろうと思います。医療と介護の連携、こういうものを考えますと、高齢者には医療も介 護も必要だということを、我々の頭に置いておく必要があるだろうと思います。  この高齢者の急性期の入院医療から、在宅医療までの間でありますが、軽いものはそのま ま在宅へ帰りますが、そうじゃないもの。これが今まで療養病床というところにいたわけで す。回復期リハビリ病棟、緩和ケア病棟、これらは一応体制がつくられています。ところが 療養病床は介護型、医療型と分かれておりました。しかし先ほど言いましたように、高齢者 には医療も介護も必要ですし、これが一体的に提供されなければいけない。リハビリも必要 なら、一体的提供が必要になります。  そういうことを考えますと、介護型は廃止、医療型はあのように15万床云々と、こうなっ ておりますが、新しい新たな高齢者病床を創設するというのはどんなものだろうかと提言を してみたいと思っております。  各ステージにおける医療、これもごく当たり前のことでありまして、慢性期の療養病床が、 私たちが、提案する新高齢者病床にかわれば、今の介護と医療を切り離すということがなく なっていくのではないかと思っています。後期高齢者医療のあり方のポイントを少し絞って お話をしてみますと、まず高齢者というのは、先ほども申し上げましたように、複数の幾つ かの病気を持っている。これは言うまでもないことでありまして、それにどう対応するか。 やはり総合的な医療が不可欠ということになります。  もう1つは予防の発想が大切でありまして、一次予防と介護予防と言われますけれども、 こういうものも、一体となった活動が望ましいわけであります。  それから先ほども言いました、保健から医療、介護、福祉、あるいはこれをステージで見 ますと、急性期、回復期,慢性期、終末期まで、このように動いていく中で、このステージ の間に継続性が必要であります。シームレスといいますか。とどまることなく、あるいはむ しろ空白期間があってはならない。空白期間がある間に寝たきりになってしまったり、私た ちも昔30年前に、在宅医療、在宅ケアを始まるときには、苦い経験をいたしました。そうい うことから今在宅に、かなり旧総合病院で、急性期医療をやりながら在宅ケアをやり、そし ていろんな介護施設も持っているという、我々の地域ではほかにないからやるといいますか、 地域完結型というのは、我々のところでは病院完結型にもなっているわけでもあります。  いずれにしましても、急性期から回復期、慢性期、そして終末期までの医療。これがスム ーズに流れていくようにすべきだろう。その終末期医療でありますが、これは今もお話があ りましたように、在宅死が望ましい。恐らくお年寄りのほとんどの方も、そう望んでらっし ゃると思います。しかしいろんな要因でそれができない。それを在宅の方へシフトさせるに はどうすればいいのか、今こそ私は考える必要があるだろうと思います。  今の病院では、終末期医療では、緩和ケア病棟というのが1つ機能的に独立していますが、 他の場合の終末期は全部一般病棟で診ている。あるいは従来療養病床で診ていた。それが現 状だろうと思います。  今後、私は、ターミナルケア病棟というものを考えてみたらどうだろうと考えています。 もちろん現在の緩和ケア病棟。これはこれでいいわけですが、もう1つ変わったタイプとし て、変わったというが今までにないタイプとして、神経難病の末期の問題。あるいはそうい う特殊なものでなくても、脳卒中の後だんだん終末期になっていく。あるいは老衰だってそ うです。今度介護施設で、ごく一部については、看取りが認められましたけれども、もっと もっとそれを普遍化する必要があるだろう。同じことが、がんの末期、神経難病だけでなく、 もっとほかの分野でも、そういう分野を広げていくことが、在宅ケアにつながっていくんじ ゃないかなと思っております。  医療と介護が一体的に提供されることが必要だと言いましたけれども、このためには医療 機関と介護施設の連携が不可欠というのは、言うまでもありません。また高齢者には、さっ きも言いましたように障害を有する者が多いわけですから、リハビリというものが不可欠と いうことになります。従来あった総合リハビリ、これが今度の改定で少し変わりました。地 域リハビリ支援体制、これは介護保険の前から国の方では非常に推進してこられましたが、 今回介護予防事業の中に含まれるということになりました。ちなみに広島県では介護予防の 推進の中に、地域リハビリテーションのこういう支援体制を盛り込むということをうたうよ うにしております。  いずれにしても高齢者、さっき言いましたように、脳卒中が非常に多いということを考え ますと、維持期のリハビリというものも必要であります。ただこれをだらだら続けるという のはいかがなものかと思いますし、今度の上限を設けられたという理由もよくわかります。 入院については、私はあれていいと思うのですが、外来についてはやはり一考の要ありかな という感じがしております。こういうことは、ほとんどが、私たちがいう地域包括ケアシス テムそのものであろうと思っております。  ここから私が少しきょう提案をしたい点を2、3ピックアップして申し上げたいと思いま す。まず新高齢者病床でありますが、さっき言いましたように、医療も介護も必要ですから、 新しいそういうものを、急性期の入院医療と在宅医療との中間的なものとして、やはりいる のではないか。こういうのもやはり新設する考えは、どうだろうか。すべて介護施設、これ も大変でありますし、医療施設についても私は今の医療区分とADL区分だけでは、やや不 十分ではないかと思っております。この類型化につきましては、私はやはりまず原疾患、も との疾患、脳卒中の場合と、あるいは運動器の疾患の場合と、同じ歩けないでもそれぞれ異 なるだろうと思います。そういう原疾患による区分が、幾つか必要であろう。  それから今の医療区分、医療の必要度、ADL区分、これも日常生活自立度、認知症の判 定規準、要介護度、こういうものを参考にしたADL区分。こういう3つの区分が、私は、 やはり必要だろうなと思っております。もちろん現在の医療区分については国会でも、付帯 決議がついたように、少し見直す必要もあるのかなと思っております。  それから専門職の面では、私はやはり看護職、リハビリ、できたらMSWというような、 こういうふうなものは。 ○糟谷部会長   山口先生、恐れ入りますが御質問も伺いたいと思いますので。 ○山口氏  ではまとめに入ってください。まとめです。後期高齢者医療には、地域包括ケアシステム の構築が必要だということ。予防の発想が重要だ。医療、介護、リハビリを一体的に提供す ること。そして新たな高齢者病床の新設についての検討が必要だろう。そして状態像に合っ た継続性のある医療が必要。在宅医療を推進する。それから報酬については基本的には包括 化と思いますが、私は入院はこれでいいのですが、外来については、やはり英国のGeneral Practitioner、GP制度によるあのような人頭制というのも、将来的には考えていいのでは ないか。そのためには、専門総合医というようなものを養成して、そして定着した後にこう いう報酬制度をつくることを検討するというのは、いかがなものかなと思っています。その 他安定した制度、財源の検討も必要になってくるだろうと思います。  もう1つはもう見ていただきましょう。保健、医療、介護、福祉と生活の連携なんです。 生活の中には特に建築や教育があります。子供のときからの教育。さらに財源とか制度を変 える場合には、国民のコンセンサスが必要ですから、国民の啓発をすることが必要になって くるだろうと思います。以上です。 ○糟谷部会長   ありがとうございました。それまでこれまでの御説明に関し、御質問、御意見をお願いし たいと思います。まず遠藤委員。 ○遠藤委員  それでは御発言の早い順番で、お2人に質問したいのですが、よろしいでしょうか。まず 米山先生にお願いしたいのですが、高齢者の歯科治療の重要性、非常によくわかりました。 質問は、このようなニーズがありながら、どうしてそこへサービスが提供されないのか。つ まり医療提供体制として、なぜそこにサービスが提供されないということなんです。  背景として御案内のとおり、歯科は需給問題が問題になるくらいに、歯科医師が過剰であ るというようなことが言われていて、歯科経営上も非常に大きな問題だというふうにしばし ば言われているわけです。その原因の1つには高齢の歯科医療費と若い人たちの歯科医療費 の間に、あまり差がない。ですから医療と決定的に違い、高齢化に伴って歯科医療費がふえ るということがないという特徴があるわけです。そういうような状況下にありながら、どう してこんなにニーズがあるのに、多くの歯科医師は、このサービスを提供しないのか。その ニーズを知らないのか。技術が難しいのか、あるいはやってみてもペイしないような報酬体 系なのか。何が原因なのかということを知りたいということが、1つの質問でございます。  まずそれをお答えいただいてよろしいでしょうか。続けますか。  それでは、もう1つ川島先生にお伺いしたいのですけども、在宅療養支援診療所、発足し て8カ月ということでありますから、まだいろいろと課題があるかと思うんですけれども、 大変哲学的なお話を拝聴したわけです。もう少しプラグマチックに、どういう課題があるの かというところを、少し知りたいと思います。  この診療所は24時間対応するということと、あとほかとの連携ということが特徴になって いるわけです。先ほどの先生の資料の中にも、16ページに後方病院が幾つか出ていたわけで すけれども、緊急入院が必要な場合には、入院させなければならない。自分のところで入院 できない場合はどこかと連携をして、入院させなければいけないということが、要件にある わけですけれども。そうなってくると病院と連携をどうするかということも、問題だと思う わけです。  ということで、例えば本当に緊急入院が必要になるということが、どれくらい発生してる のか。あるいはその場合には、どこの病院と話をつけるのか。これは先生のクリニックの場 合、恐らく紹介元イコール後方病院と書いてありますから、紹介された病院にまた戻せばい いのかなと思うのですけれども、必ずしもそういうケースだけではないと思いますので、病 院との連携ということに対して、何か問題がないのかどうかということをお聞きしたいとい うことです。以上です。 ○米山氏  先生、ありがとうございました。きょうは、いろいろな御意見があるでしょうけれども、 私の個人的な意見で、ざっくばらんにお話させてもらいたいと思います。  高齢者の歯科医療を促進するような、プロモートするような雰囲気では、現在は正直言っ てありません。これは非常にニーズがありながら、逆行するような動きが起こっている。で すからもう1回私どもも含めて、国民の論議の中で、口の問題、本当にこれでいいのかとい うのを論議していただいて、それに適切な医療費をつけていただきたい。もし訪問診療だけ でやるならば、経営は成り立っていかないんです。私個人の考えですが。  ですから基本は、一般の診療所の運営、その中で自分のところに来てくださった患者さん が寝たきりになったときに、本当に予防のときに行かせていただくということなんですが、 も少し拡大しようとすると、その辺のところを少しもんでいかないといけないのではないか なと、正直なところであります。  それから障害に対する考え方が、国民の方々も我々も持っていない。歯がないということ は、ある意味で障害なんです。これはすぐには命にかかわらないので放置してしまう。とこ ろが長期的にはこれが内臓疾患にいろんな影響を与え、呼吸疾患に。そして医療費に跳ね返 ってくるということがありますので、これがしっかり我々もちゃんとメカニズムとか、慣例 を解きほぐして、医科の先生方と論議をして適切な形に持っていくべきでないかなと思いま す。  それからなぜ医療が、進まないか。それから需給関係なんですが、歯科医師が多いという ことが言われていますが、私はこれだけ高齢化が進んだときに、歯科医師が足りなくなるの ではないかなと思っているんです。正直言いにまして。みんなが同じようなスタイルの歯科 医院を持っていっているんです、同じ方向に99%、極端ですね。9割の方がいっているんで す。ところが世の中のニーズというのは、逆の方にあるんです。こっちを向いている人は本 当に少ないんです。であるならば、こっちを向くようなことだったら、若い歯科医師の先生 がどんどん出ていって、こっち、いわゆるケアから始まって、治療よりも、まずケアから入 っていって、お年寄りとよく話をして、口腔のケアから入っていくような形です。こういう 人たちが本当に必要としている。プライマリーな歯科医療提供する人たちが、実は必要なん です。これによってかなり一般の医療にも貢献するんじゃないかなと。QOLにも貢献する んじゃないかなと。   我々のシフトしていかなければならない。いわゆる考え方の基本をです。というような感 じがします。これによって変わっていく。  つまり基本的な考えを変えることによって解決するのではないかと思っています。 ○遠藤委員  ありがとうございます。 ○川島氏  川島です。お答えします。確かに1万カ所で8カ月という、まだ短時間ということで、ま だまだわからない状況がいろいろあります。今後に関しては、やはり質を高めるということ と、数が多くならないと、それなりの機能を示さないというふうに考えています。  現在見ておりますと、例えば私のところは、今210名の患者さんたちのところに行ってい ます。人工呼吸器をつけている人が40名、それからがんのみとりが大体いつもがんの方が30 〜40名いまして、年間みとっている方々は大体100名弱ぐらいでございます。中心静脈栄養 が15名ぐらい、胃瘻経管栄養が80名。在宅酸素60名というふうに、かなり重症者にシフトし ております。  そういうふうな在宅療養支援診療所に特化しているところも、このごろは全国に数百出て きているというふうに考えられておりまして、それところに関してはもともと病院からの紹 介も多いので、連携は非常にスムーズにいっている。  逆にやはり外来を主にしておられて、それから時間があるときに在宅に行っておられる先 生方の場合だと、なかなか連携がうまくいかないということがあるかもしれません。ただ一 応、病院から紹介された場合には、それを後方病院にというふうに病院との間でお話し合い をしておけばいいのですが、問題なのは自分が見ていたんだけれども、そのうち通院できな くなった方々をどうするかということになりますので、それに関しては、これからちょっと 考えていかなければならないのかなというふうに思うわけです。  例えば在宅療養支援診療所も、特化したものととうそうじゃないものと、大ざっぱに分け ちゃうと2つの形になってくると思うので、それぞれに適したやり方を少しこれから考えて いかなければならないと思いますが、ちょっと今すぐ答えは出てきません。 ○遠藤委員  1つ追加で、どのぐらいの比率で、入院が必要になるというケースがありますか。先生の クリニックで。 ○川島氏  全体の5%ぐらい、診ている方の5%ぐらいは、入院が必要になる。その話になると、結 局説明責任をちゃんとやっているかどうかということに、非常にウェイトがかかってきます。 私のところでは、今まで1,400人ほどずっと診てきましたけれども、11年間で。その方々に は必ず先ほどの緩やかに亡くなっていく場合と、つまりそのような生き方をする場合と急変 の場合の話を、必ず全例にやっております。そこでのその方々の生き方をどういうふうにし ていきたいのかということについて、我々が提供できるものを示して、それで判断してもら うということを既にやっておりますので、比較的少なく済んでいるのですが。そうじゃない 先生の場合だと、なかなかすぐに病院に行ってしまう可能性が高いのではないかと思います。 ○遠藤委員  ありがとうございます。 ○高久委員  川島先生に教えていただきたいのですが、7ページ目の病院医に対する在宅療養支援診療 所の周知の徹底。まさにおっしゃるとおりなんですが、具体的にどういう方策が良いのかと いうことを教えていただきたいのと。  それからもう1つ、不十分な説明によってつくられた、リビングウィルは不適切である。 確かにそのとおりなんですが、尊厳死協会の方々は、この点はちゃんと相談をして、よく説 明を受けてから書くようにしているのか。大体普通健康な方が書いておられますね。途中で また変えるにしても。その時点では医師にはあまり相談していないような気がするのですが、 その点はどういうふうにお考えなのか、教えてください。 ○川島氏   初めの7ページ目の周知に関することなのですが、既に確か、医療情報の開示に関する検 討会が開かれていて、確か10月の31日付で、在宅療養支援診療所が周知のときに必要な要件、 開示する要件というのがかなり細かく規定されていますので、それが今度きちんと県単にな るのかどうかわかりませんが、ホームページの方に開示できるという形になれば、それはそ れなりに効力があると思います。  と同時にやはり病院にはきちんとわかってもらわなければなりませんし。開示に関しては 2008年からになりますので、この2年はどうするのかというと、やはり社会保険事務局に対 して、情報開示請求を病院側が、積極的に行っていく。300円+コピー代金だけでできるは ずですので、そういうことを病院側が積極的にやるということが、大事なのではないかと思 います。  それからもう1つの御質問の事前指示書、リビングウィルの話になりますけれども、やは り健康なときとか、せいぜい少し不具合が出てきたときのリビングと、それから実際に状況 に直面したときでは、やはりどんどん変化するし、人間の心も変化するということになりま す。  私は今日データを持ってきておりませんけれども、リビングウィルや事前指示書なるもの をつくる際に、じゃそのかかりつけ医に細かく聞いてつくっているかというと、そうでなく て、実際には弁護士さんとかそれから、もう1人司法書士さんですか、そういう方々に聞い て書く確率の方が断然高いという、これはデータとして確かありましたので、後でちょっと 探してみます。という現実がございます。  だからこそ私は、医者が生き方の説明をしていないという、説明をしている先生も中には おられるのでしょうけれども、大多数は症候論や疾病論だということになるので、そうしま すと、現在のところ事前指示書だ、リビングウィルだといっても、それにそれ相当の値打ち を見いだすのは非常に危ないのではないか。むしろ危険で、それが悪用される確率の方が高 いだろうというふうに、私は思っています。 ○川越委員  山口先生にお伺いをしたいのですけれども。すごく地域包括システムということで取り組 んでいたのを、前々から非常に敬服しながら活動を拝見させていただいておりました。きょ うの説明の中で、1つ私はわからない点がありますので、お伺いしたいと思います。  それは18ページの○の5つ目のところに、終末期医療のあり方ということで、ターミナル ケア病棟の新設ということを、先生は何回かおっしゃっていたのですけれども。それは先生 の御説明によると、がんの方は緩和ケア病棟がある。一般死の場合はないじゃないかと、そ ういうものを、患者さんとして、入院できるような施設があったらいいのではないかという ことで挙げられていたと思うんですけれども。それでよろしいのでしょうか。そういう理解 で。 ○山口氏  いや、私が言うのは、がんは緩和ケア病棟があります。神経難病なんかは、今ないですね。 そういうのをやはりA型、B型でもいいから、つくったらどうかと。神経難病の方がもし入 院が必要になれば、やはり一般病棟に入れられるわけです。これはかなりの、特にレスピレ ーターを使っているケースは、かなりの医療費を使います。これを今の緩和ケア病棟のよう な発想でおつくりになれば、私は、かなり違うだろうと。  それからもう1つ、緩和ケアに限らず、ターミナルケア病棟でも在宅と連携がとれて、例 えば私のところは緩和ケア病棟は、非常に苦しいときは緩和病棟にいますけれど、まだ死亡 までは至らない。だんだん痛みも収まったら在宅へ帰ってもらいます。そして在宅で、在宅 緩和ケアをずっとやりますから、それでやっていて、やっぱりこれは大変だとなって、また 緩和ケア病棟に入ってもらう。そういうふうにすれば、神経難病も、私どものところは、自 発呼吸がとまって10年というケースも、在宅で診ています。年に4〜5回は入院します。そ れはほんの数日です。そういうふうなものが必要なんじゃないか。一般死はもう今までどお りで、施設でも病院でも。 ○川越委員  一般病棟ではまずいんですか。例えば数日の入院ということ、十分ケアが。 ○山口氏   これは例えば神経難病でレスピレーターをつけているのを一般病棟というのは、ICUの ところだったらいいのですが。一般病棟、特に個室でない相部屋へ入っていただくと、その 方も大変だし、家族も大変だし、また相部屋になった方も大変だというのを、我々はいつも 痛感しています。 ○川越委員  というのは私が質問させていただいたのは、今意見として特にこういう終末期医療にかか わる医療者の間で、なぜがんだけなんだという意見が、実はございます。その点どういう具 合に考えるかということを我々がしっかり持っておかないと、やはり方向を誤るんじゃない かなということを思っているんです。その意味でちょっと質問をさせていただきました。 ○山口氏  私も同じことが、今度できた療養通所介護、あれもがんの末期、神経難病の末期、これは いいんですけれども、他のものが入っていませんよね。だからああいうのも。今はあれでい いんですけれども、今後少しずつ幅を広げて、間口を広げていく必要があるだろうと。ター ミナルケア病棟とすれば、それができるのではないか。しかし一般死の場合は、これはまた 別ですから。老衰とかです。そんなたぐいは施設でなく、在宅死が一番いいわけですから、 これはまた別だというように考えています。 ○川越委員  その考え方だったら、私もよく理解ができます。どうもありがとうございました。 ○堀田委員  各先生方に1点ずつ教えてほしいと思います。山口先生のところへは、私も2度ほどお邪 魔をしました。ボランティアも入れて、大変包括的な医療、介護を展開しておられ、大変敬 意を表する次第です。  医療の究極の目的についてのお考えを伺いたいということです。介護保険は今度尊厳の保 持というのを入れまして、その観点からかなりいろいろ整理し、新しい制度が導入され、時 代に合ったものになったと思うのです。医療につきましても、治療だけではない緩和ケア、 いろんな場面が出てまいります。山口先生がやっておられるように、医療の方も、患者の尊 厳の確保という、それが究極の目的としてあるのかなというふうに、私は感じるんですけれ ども、その点につきましてのお考えを伺いたいと。 ○山口氏  おっしゃるとおりだと思います。私は包括医療の定義に、QOLと書いたのもそうであり まして。それは本人自身が、やはり自分はこれでよかったと、この世をリタイアするときに 自分の人生は一応まあまあだったと思ってもらえる。そして周りも、そういう尊厳性をきち んと担保しながらケアをしていく。今までの医療というのは、やはり病院内に入りますと、 どうしても点滴をやりますし。酸素吸入をやりますし、管治療と俗に言われるような、あの ような医療が展開されるわけです。私はそれは御本人もあまり望んでいらっしゃらないので はないか。私個人だったらもうあれはやめてくれと。私はやはり妻や子にみとられながら、 我が家でという遺言書を書いておこうと思っていますけれども。多くの方はそう思っていら っしゃるんです。遺言書がないだけで。それに我々はどう対応していくのか。これがやはり 究極の目的だろうと思っています。 ○堀田委員  川島先生に。まさに今の点に関連するんですけれども、リビングウィルに関して、11ペー ジに生き方の変容ということで図をおかきになっていらっしゃいます。私は生き方というこ とで説明をするというお考えはすばらしいし、そういうことで、医療がすっきりと行われる ことがすばらしいと思います。  問題は生き方である以上は、患者がやはり生き方を決めるということにならざるを得ない。 そうするとその生き方について決められない患者、説明しようにももう判断できない患者、 あるいは家族がおられるけれども、家族が判断できない患者。あるいは家族が無責任で、と にかく同意するのは嫌なので、息をしている限りはその息をさせておいてくれというような 無責任な家族。これは遠い方にお住まいの家族ほどそういう傾向が高いと思います。  きちんと本人に判断させれば、今山口先生もおっしゃったように、自分の人生は、こうい うやり方で閉じるという意思表示ができるはずのところをそれをしないで、非常に多くの医 療費が延命のためにかかるという、そういう事態についての、川島先生のお考え、どう対応 されるおつもりなのか、そこをお伺いしたいです。 ○川島氏  非常に難しい質問です。原則的にはどのような生き方でも、その人がいる以上は、この生 きている世界が許してくれているという関係性があるわけですから。それはそのまま継続す るのが、一番いいことだと思います。つまり植物状態の人に価値があるか、ないかという価 値論ではないということです。その人がその場に、まだそのような状態で存在していること をそのまま認めてあげようということが、一番大事なことだと思います。  そういう基本にのっとりますと、権利の問題とか、リビングウィルもそれに近いわけです が。それは実はmy decisionなわけです。従来の医療というのは、医療者側が勝手に患者さ んの生き方を決めていたというか、治療を決めていたのでyour decisionに従っていたんだ けれども、どうもおかしいとなってきて、その反動で今はかなりmy decisionを一生懸命つ くれるというような話になってきているように思います。  ただ日本人は、もともとはその関係性の中で生きているという、ほかの諸外国に比べれば です。実は我々ってour decisionでずっと決めて生きていて、それがよかったか悪かったは 別にしろ、でもそれで何かよかったねと、みんなやってきたということになります。  ですので原則的には御本人が必ず生き方を決めなければならないというわけではないけ れども、きちんとした情報開示をして、情報提供なされた後に、どうしても決められなけれ ば、our decisionで決めていくということが大事で、our decisionの中で非常に大事なのは、 例えばこんなこと言うと非常に申しわけないんですけれども、例えば病院もやっている、診 療所もやっている、それから訪問看護ステーションも持って、デイサービスも持って、ショ ートもやっているというふうに、1つの事業体で、全部その中を動かされるような患者であ っては困る。つまりそういうour decisionでなく、全く違う事業体でそれぞれ違う職種の人 がなるべく多く携わって、そして決定の中に入っていきながら、しかし本質的には本人がも ともとこうしてほしいと思っていたものを尊重していくという。ちょっとあやふやで申しわ けないですけれども、やはりそこで決めていくしかないんじゃないかと思っております。  そういうふうに決めた場合には、多分みんながよいと思って決定したものなので、恐らく 中心からは、あまりずれていないだろうというふうには考えますが。 ○糟谷部会長  ほかに何かございますか。 ○川越委員  山口先生にもう1つお伺いしたいのですけれども、19ページでしたか。新高齢者病棟とい う概念を打ち出していらっしゃるんですけれども、17ページもそうですけれども。つまり慢 性期から施設あるいは在宅へ移行するときの、1つの中間施設みたいなものということです ね。あるいは16ページのところにも、書いていらっしゃるのですけれども、従来急性期病院、 あるいは回復から在宅ということで、老健が実は位置づけられておりましたけれども、老健 はいろんな問題が出てきているということも、みんなかなりわかってきたんですけれども。 その老健と違ったものを考えていらっしゃるのでしょうか。あるいは何かこういう特色を出 したりというようなことがあったら、教えてください。 ○山口氏  基本的には老健とちょっと違います。というのは、老健は確かに中間施設と言われたよう に医療と福祉の中間と、こう言われたのですが。ここのところ考えている新高齢者病床とい うのは、老健よりも医療の色彩が強いと。医療依存度が強いケースというように考えていま す。というのは、老健施設で医療依存度が非常に強いケースを今、現場は戸惑いながら見て いるのが現状ですから。そういうふうなケースの場合には、やはり新しい高齢者病床で診て いく必要があるのかなと、このように考えています。  そしてそれはさっきも言いましたように、医療介護、場合によってはリハビリも一緒に提 供する。これがもう報酬は、財源を考えるときの報酬が問題になりますから、やはり基本的 には急性期のDPC方式というのがありますが、あれをずっと延長線上で、慢性期になった 場合のDPC方式といいますか。そういうのをそういう発想で、包括化を考えてほしいなと。 老健とはちょっとそこの点が違うなというふうに考えています。 ○川越委員  急性期の病院の延長というような、本当に延長というような考え方でしょうか。つまり医 療依存度が高い。 ○山口氏  それは、医療依存度が高い。そういう点では延長線上にあるわけですけれども、私はやは り基本的には在宅というのは、高齢者の場合にはベースにあるべきだと思います。そこに入 ったから終の棲家にしてはいけないと思っています。今度のリハビリなんか上限を決められ たのと同じような発想を、そこにはやはり持ち込んで、何らかの、そういう歯どめといいま すか、そういうのを悪用されないようにする必要はあるだろうなと思っています。 ○川越委員  ありがとうございました。 ○糟谷部会長   それではよろしゅうございますか。予定の時間も参りましたので、このあたりで本日の審 議は終了したいと思います。諸先生方、お忙しいところおいていただきまして、大変ありが とうございました。  次回の日程につきましては12月12日火曜日15時からを予定しています。場所は追って、事 務局より、連絡をいたします。本日はどうもありがとうございました。   【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係     代表 03−5253−1111(内線3288)