06/11/15 平成18年11月15日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬 品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成18年11月15日(水) 13:57 〜15:13 ○場 所:厚生労働省共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、井上(達)委員(部会長)、井上(松)委員、大野委員、      加藤委員、下田委員、中澤委員、米谷委員、吉池委員 事務局  松田基準審査課長、加藤課長補佐、河村課長補佐、吉田課長補佐、      近藤専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官 1.開 会 2.議 題   (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について       ・ベンチアバリカルブイソプロピル(農薬)       ・ビフェナゼート(農薬)   (2)その他 3.閉 会 ○事務局 そうしましたら、先生方がおそろいのようでございますので、始めさせてい ただこうと思います。 それでは、定刻より若干早いわけでございますが、ただいまから「薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。 本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。どうぞよろしくお願 い申し上げます。 本日は、小沢委員、志賀委員、豊田委員、山添委員より欠席の御連絡をいただいてお ります。 農薬・動物用医薬品部会の委員13名中9名の御出席をいただいており、部会委員総数 の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたしま す。 それでは、井上部会長に御審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議 をよろしくお願い申し上げます。 ○井上(達)部会長 それでは、皆様、お忙しいところを御参集いただきまして、あり がとうございます。この部会は大変いろいろ議題が立て込んできて、定例ということに なりまして、少し骨組みも枠組みも変わったような形に移行しようとしております。 配付資料の確認の方からまいりたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局 まず配付資料の確認をさせていただく前に、一言御連絡申し上げます。当初、 基準値案の御審議は4物質をお願いしていたところでございますが、基準値案の検討に 時間を要しておりまして、本日2物質ということで御審議をいただくことになってしま った旨、おわびを申し上げます。 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料は、まず議事次第が3ペ ージございます。本日の議題は「食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について」。 物質としてはベンチアバリカルブイソプロピル、ビフェナゼートでございます。 資料1−1が、ベンチアバリカルブイソプロピルの評価書となっております。 45ページ目以降が本部会の報告書ということで、資料1−2となっております。総ペ ージでは53ページでございます。 資料2−1が、ビフェナゼートの評価書となっております。 41ページ目以降が本部会の報告書となっております資料2−2でございます。資料総 数は60ページとなっているものでございます。 最後に参考資料でございます。 1ページ目が「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜水産物摂取量」の一 覧でございます。 また5ページ目以降が、参考資料2となっております。こちらは「食品安全委員会へ の意見聴取及び食品健康影響評価結果について」の一覧でございます。総数で14ページ となっております。 過不足等ございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。 ○井上(達)部会長 では、資料の欠損などお気づきになった点がありましたら、事務 局の方にお願いいたします。 ただいまお話がありましたように品目が減りましたので、2品目ということでござい ます。ベンチアバリカルブイソプロピルから説明をお願いいたします。なお、関係委員 の先生方には、既に資料等について御検討いただいておりますので、よろしくお願いい たします。 ○事務局 それでは、ベンチアバリカルブイソプロピルについて、説明をさせていただ きます。 お手元の資料1−1、1−2に従いまして、御説明申し上げます。 資料1−1でございますが、食品安全委員会から届いております農薬評価書でござい ます。 4ページでございます。この農薬についての「審議の経緯」が書いてございます。平 成14年5月に農薬の登録申請がございまして、その後、資料が整ったということで厚生 労働大臣から食品安全委員会の方に食品健康影響評価を依頼したものでございます。 今年の10月に食品健康影響評価の報告が食品安全委員会の方でなされております。 パブリック・コメントが11月3日まで募集されてございまして、今後、食品安全委員 会の本委員会の方でその結果についても報告があって、その後、正式に厚生労働省の方 に評価結果について通知されるといった状況のものでございます。 31ページの「総合評価」に従いまして、これらの毒性評価について御説明申し上げま す。この物質につきまして、いろいろ試験が実施されてございます。まず動物の体内運 命試験をラットで行われてございます。排泄については糞中に多く排泄されます。 植物体内運命試験については、ばれいしょ、トマト、ぶどうというものについて実施 されてございます。トマト、ぶどうにつきましては動物体内では代謝されないというこ とで、残留物として本体のままであったということでございます。 土壌中運命では半減期が3.1 〜21.9日ということでございまして、水中運命試験では 加水分解がほとんどないという結果が出ております。 光分解試験でも分解はわずかということでございますが、土壌の残留試験の結果で半 減期が6.6 〜112 日ということで結果が出てございます。 各種動物を使いました毒性評価がなされてございます。急性毒性につきましてはラッ ト、マウスの結果が出てございます。 亜急性毒性につきましては、マウス、ラット、イヌで実施され、ラットにつきまして は90日、イヌについても90日、マウスについては28日ということで、主に肝臓に関す る所見がございます。 ラットの90日では肝肥大等でございます。イヌにつきましては肝細胞の肥大、また肝 由来の血清酵素の変化、アルカリフォスファターゼやγ−GTP に変化が見られたという ことです。マウスにつきましては肝細胞の単細胞の壊死というようなもので、主に肝臓 に障害があるという結果が出ているということでございます。 慢性毒性/発がん毒性の併合試験がラットで行われてございます。これにつきまして は32ページの下の方からの部分でございますけれども、ラットで肝細胞腺腫、子宮腺が んが認められてございます。マウスの発がん性試験で肝細胞腺腫、また甲状腺に細胞腺 腫ということが見られてございます。 これらにつきまして、27ページからでございますが、それぞれの腫瘍につきまして、 メカニズムの解明ということで試験がなされてございます。 肝腫瘍のメカニズム試験につきましては、各種試験が実施されてございますが、結論 的にはイニシエーション作用ではなく、プロモーター作用であるということでございま す。 甲状腺腫瘍につきましても、肝臓由来の酵素によって血清中のT4が減少するというこ とで、そのフィードバック機構で甲状腺の機能が亢進するといった状況で発生するとい うことで結論づけられてございます。 30ページに子宮がんのメカニズム試験についてのとりまとめがありますが、子宮肥大 はなかったということでございまして、またホルモンレベルも異常はないということで、 今回、子宮がんの発がんの機構というのは解明されていなかったということでございま す。ただし、別途やってございます遺伝毒性の試験ですが、そこで遺伝毒性がないとい うことが明らかになってございますので、閾値が設定できると結論づけてございます。 今回、各試験の中で無毒性量を34ページの一覧表で示してございます。その中で一番 低いものということで、2世代繁殖試験の雄の値、親動物のP の雄で6.9mg/kg体重/da y というのが一番最初にございますが、その6.9 mg/kg体重/day という値を取ってAD Iの算定根拠にしているというところでございます。 ここの部分につきましては24ページに戻っていただきまして「12.生殖発生毒性試験」 の「(1)2世代繁殖試験(ラット)」ということがございます。ここの3つ目のパラ グラフのところでございます。「本試験における無毒性量は」から始まるところでござ いますが、親動物の1,000ppm投与群の雄及び10,000ppm 投与群の雌で肝細胞肥大が認 められたということでございますので、親動物の雄で100ppm、これは親動物Pでは6.9 mg/kg体重/day という値に相当し、児動物F1では10 mg/kg体重/dayに相当するわけで ございます。雌では1,000ppmを無毒性量とするということでございます。 児動物では10,000ppm投与群の雌雄で肝細胞肥大が認められたので、児動物としては 雌雄で1,000ppmを無毒性量とするということでございます。なので、この中の一番低い 値である6.9mg/kg体重/dayというのが今回ADIの設定根拠になっているということ でございます。 35ページでございます。安全係数を100 といたしまして、この物質のADIにつきま しては0.069mg/kg体重/日という値を評価書として報告いただいてございます。これが 食品安全委員会の評価書の概要でございます。これを受けまして、当初の方で基準値案 の策定ということで報告書を作成してございます。それが45ページからでございます。 品目名としまして、ベンチアバリカルブイソプロピルというものでございます。これ は殺菌剤でございまして、べと病、疫病に効能があるということでございます。 アミノ酸アミド誘導体の殺菌剤ということで、細胞膜の主要構成成分の生成阻害とい うような機序で殺菌作用を示すということでございます。化学名、構造式については記 載のとおりでございます。 46ページ「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」。べと病ということで、きゅうり、 はくさい、たまねぎ、ぶどうといったもの。疫病ということで、トマト、ばれいしょに 適用させるということでございまして、希釈倍率、使用液量、使用時期については記載 のとおりということでございます。 これらの使用方法に基づいて作物残留試験を行い、その結果を、各作物につきまして、 47ページに「(2)作物残留試験結果」で記載してございます。一覧表につきましては 50ページに掲載されてございます。はくさい、たまねぎ、ぶどう、きゅうり、トマト、 ばれいしょということで、記載されているとおりでございます。 この作残のデータに基づきまして、基準値案を52ページ別紙2に記載させていただい てございます。ばれいしょは0.02ppm、はくさいは2ppm、たまねぎは0.02ppm、トマト は1ppm、きゅうりは0.5ppm、ぶどうウは2ppmという値を今回設定してございます。 48ページに戻っていただきまして、「7.ADIの評価」でございます。ここにつき ましては先ほどの食品安全委員会の評価書のとおりでございます。諸外国の状況におき ましては、この物質についてはJMPRではまだ毒性評価がなされていない、国際基準 も設定されていない。また、欧米の状況につきましては米国で既にぶどう、トマトにつ いて基準値が設定されているということでございます。 今回、日本で新規での農薬登録申請があったということでございます。 「9.基準値案」は先ほどのとおりでございます。作物残留データの分析の際に混在 物、またはその代謝物についての分析が行われてございます。ただし、双方とも非常に 微量であるということで、今回の規制の対象としましては、ベンチアバリカルブイソプ ロピル本体のみということで設定してございます。 「(3)暴露評価」でございます。暴露評価につきましては別紙3をごらんいただけ ればと思います。これまで暴露評価につきましては、各食品の摂取量から暴露量を算出 し、最終的にADI比というものを求めて、ADI比の値は記載させていただいており ましたが、詳細な計算の部分については報告書では省略しておりました。 今回、ポジティブリスト制度の導入に伴い暫定基準を設定したものについては、その 暴露評価結果について、最終的に食品安全委員会に報告をするという手順ができました ので、暴露評価の試算の部分について詳細な表を添付するということにさせていただき ました。 ベンチアバリカルブイソプロピルについては、これは暫定基準を設定したものではな いんですけれども、同様に詳細な暴露評価の結果を別紙3として挙げさせていただきま した。ばれいしょ、はくさい、たまねぎ、トマト、きゅうり、ぶどうということで、こ れはいずれもTMDI計算でADIの80%以内に収まってございます。基準値案に参考 資料1で付けてございます国民それぞれのステージの農作物の摂取量を掛け合わせて総 和したものが計のところでございます。国民平均で行けば104.2μg/人/日、高齢者の方 で行くと99.2μg/人/日、妊婦の方で78μg/人/日、幼小児で51.2μg/人/日。それをA DI比を取りますと、それぞれ2.8%、2.7%、2.0%、4.7%と非常に低い値ということ で、事務局としてはこの基準値案で設定していきたいと考えてございます。 53ページにこの報告書を踏まえた答申案ということで、基準値を掲載させていただい てございます。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 御説明ありがとうございます。このものについては、ただいまの 御説明のとおりで、まず前半の評価書の御説明の部分で御質問なりコメントがありまし たら、お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。 ○加藤委員 つまらないことなんですけれども、38ページの作残の試験成績のところの 注の方ですね。上から2つ目「一部に検出限界以下(<0.005 )を含むデータの平均値 は 0.05として計算し」云々と書いてあるんですが、これは中身としてはそういうデー タの平均値の計算で、検出限界以下のものは0.05とではなくて0.005 としてという訂 正が必要だと思います。 ○井上(達)部会長 では、その御訂正をお願いいたします。 ほかにはございませんか。毒性の方には特に問題がないんですけれども、強いて申し ますと、ただいま事務局の方から御説明がありましたように、発がん性があるわけです けれども、発がん性のメカニズムを調べるとそれがよくわからないという表現になって いるのが気になる方もおられるかもしれませんが、メカニズムをお調べになった上でわ からないということであることと、発がん性と申しましてもこれは変異原性がありませ んで、しかもマウスでもラットでも閾値が実験的にも確認されておりますし、こうした 遺伝子毒性のないタイプの発がん性は一般論としても閾値があることが多いということ などから、致し方ないだろうという御判断が評価書でなされているわけですね。 したがって、その毒性全体については、2世代の繁殖試験で1万でもって肝の腫大が 認められておりますので、100 のところを取って100ppmというのが6.9 に当たるとい う御説明だったんですね。特に問題になる点はないだろうと思いますが、よろしゅうご ざいますか。 これは毒性としては膜破壊性のもので初めて申請されたものということですが、作残 の方についてのコメント等がありましたら、お願いいたします。 お話もありましたように、推定摂取量がそれぞれについて計算が見えるようにお出し になっているということも御説明のあったとおりですけれども、いかがでしょうか。関 係の先生方でいきさつで何か追加していただけますか。 では、米谷先生、お願いします。 ○米谷委員 50ページのところに作物残留の試験の一覧表がございます。その中で一番 上にはくさいがございますけれども、ほ場Aでやると最高が0.595 で、ほ場B、別の機 関がやると0.026 ということで、20倍以上違っております。こういうのがときどきある のですが、こういうデータが出たときに剤形が同じでも若干何かが違うんでしょうから、 そこら辺を事務局かあるいは農水省さんの方がいいのかもしれませんけれども、こうい う差が出たときに何かフォローはされているんでしょうか。それともこんなに違ってい るのは当然のこととしてとやっておられるのか。その辺をお聞きしたいと思います。 ○井上(達)部会長 事務局並びに必要なら農水からお願いします。 ○事務局 まず事務局の方からは、ばらつきのあったものについては、その状況につい て個別に農林水産省に確認するような作業をしております。どうしてかというところは、 それぞれ物によって違うものですから、農林水産省の担当の方から詳細についてお願い します。 ○井上(達)部会長 何か教えていただけることがあれば、お話いただけますか。 ○農林水産省 今回のはくさいにつきましては、2か所の試料調製機関で実施されてお ります。片方の方が濃度が高いという傾向があります。これはときどきある話で、その 理由について、申請者または試料作成の調製した機関に確認したところ、ハクサイが成 熟する熟期が片方が早かったということと結球が不十分だったということで、試料の大 きさが異なったということです。 具体的に申しますと、片方の福島で調製された方が大体1株当たり2キロぐらいとい う試料でございました。もう片方の長野で試料調製されたのが1株当たり1〜1.5 キロ ぐらいであったために、このような結果となったと考えております。 以上です。 ○井上(達)部会長 なるほどと思いますが、いかがですか。そういうことがあるんで すね。 ○米谷委員 こういうのは当然だというお答えとして受け取っておいてよろしいんでし ょうか。 ○農林水産省 当然というか、試料の栽培の気象条件とか栽培の形ですね。試料条件に よってときどきあるということで、当然というよりもときどき事例が起きるということ でございます。 ○井上(達)部会長 結球が小さいときにあれすると多めになるということで、このく らいは規制の範囲としては適当な範囲だとお考えになる基準というのがあるわけなんで すか。 ○農林水産省 基準というのは特にないです。 ○井上(達)部会長 その辺が米谷先生の御指摘になる点なのかなとも思います。 どうぞ。 ○加藤委員 今のに絡むんですけれども、確かはくさいですからキャベツと違いまして、 上の部分は開いているわけですね。ですから、結球がきちんとしまっている場合にまか れたものは余り中まで入ることはない。 ただ、少し結球が不十分で熟期がずれたりしているとあいていますから、そこから中 に薬液が入り込んで高濃度になるということで、このぐらいの差は結構こういう葉物で こういう形態のものは起きるのではないかと思います。 ですから、当然だというのは言い過ぎかもしれませんけれども、こういう傾向にある のは割合ごく一般的だと思います。 ○井上(達)部会長 それを念頭に置いて計算がなされているということですね。 ○加藤委員 これを含んで評価せざるを得ないと思います。 ○井上(達)部会長 先生、どうぞ。 ○米谷委員 ですから、はくさいだと開いているときにまいた方がデータがそろうとか ですね。実際にそういうときにもまくでしょうから、そちらのデータの方がこちらとし ては採用した方がいいのか。あるいは自由にやらせて、そのときによってこれだけ開い てしまって、高い方を取ってくださいということで、それの3〜4倍ぐらいで基準値が 決まってくるんですが、その辺のやり方なんですが。 ○加藤委員 これは多分、それなりの基準は日植防さんなどは多分お持ちだろうと思う んですけれども、最終的には農家で実際に病害虫が発生しそうなとき、発生している段 階でどうまくか。その議論をベースにしていかないと残留基準は余り意味のないものに なってくると思いますので、それは実際の農家に使用基準の中で守ってもらうというこ とは当然ですけれども、間隔は1週間でも2週間でもだいたい決まっていますので、そ の範囲の中で実際に使うときと同じようにやっていただくということになるのではない でしょうか。 ただ、米の場合は登熟期に散布した方が玄米の残留が一番高くなる時期になりますの で、通常はその時期に散布してもいいことになっている剤であれば、登熟期をちゃんと 含んで作残をしているはずです。 ○井上(達)部会長 それはもう決まっているわけですね。 ○加藤委員 はい。 ○井上(達)部会長 ほかにいかがでしょうか。ほかの点でもしコメントがありました ら、お願いいたします。どうぞよろしく。 ○下田委員 この農薬はほとんど植物の中では分解しないということですね。代謝され ない。土壌中で半減期が20〜100 日という御説明だったと思うんですけれども、そうす ると例えばハクサイにまいたときに、7日では0.595 ですね。14日になると0.012 と かなり下がっている。これは結局雨とかそういうもので洗い流されてなくなっているの か。この辺はいかがなんでしょうか。 心配なのは、例えばさっき加藤先生がおっしゃったように、中に入ってしまったりす ると壊れなければずっとその濃度で居座るという気がするんです。 ○事務局 ここの表なんでございますけれども、0.012 というのは14日のデータではな くて混在物の最高のものになってございますので、今14日のデータを見ています。 ○下田委員 この経過日数、7、14、21というのは斜線ごとに見るのではないですか。 ○事務局 先生の方は50ページの表でございますか。 ○下田委員 そうです。 ○事務局 これは最大残留量でございますので、ほ場Aで行きますと0.595 というのは 本体でございます。スラッシュが入りまして、混在物S−Lが0.012 ということでござ います。代謝物M−3がないということで、14日の時点では0.063 になっています。食 品安全委員会の報告書の方にも載っています。 ○井上(達)部会長 38ページの2段目ですね。 ○事務局 減衰は気候的なものもあるかもしれないんですけれども、農林水産省の方か ら補足ありますか。 ○農林水産省 手元にデータがないので、わからないです。 ○加藤委員 この評価書でしか言いようがないんですけれども、評価書の11ページの代 謝のところのデータを見ますと、例えばブドウの葉っぱ。これはハクサイの葉っぱとは 違うので、全く同じと考えるのは無理なところがあるんですけれども、一般論というこ とで見ることはできると思います。 これは葉っぱに散布した場合の葉っぱの中の放射能。それの中の94〜95%ですか。最 終散布後17日で親化合物。ただ、全然代謝されないわけではなくて、やはり代謝物、未 同定物なり同定したものを含んで、それ以外の数%ぐらいは代謝物があるわけです。 あとブドウとハクサイでどれくらい代謝の速度が違うのかわかりませんけれども、代 謝の速度については少なくとも差があるはずだと思いますので、減っているのはそうい うところの影響もかなりあるのではないかと思いますし、先生がおっしゃったように流 れている部分もあるのではないかと思います。 ○井上(達)部会長 ほかにコメント、御質問はよろしいですか。 それでは、御審議ありがとうございました。御意見が尽きたようでございますので、 特に訂正もなかったと思いますので、ただいまの報告。 ○米谷委員 済みません。資料1−2の方でよろしいでしょうか。 ○井上(達)部会長 どうぞ。 ○米谷委員 前も申し上げたんですが、化学名の和名のところで一番最後に「カルバマ ート」というのがありますが、厚労省の告示のときには「カルバメート」にしていると 思いますので、ここも「カルバメート」にしておいた方がいいのではないかと思います。 あと、その前にときどきイコールみたいなのがワープロ上から入ってきたりしている んですが、それを注意して除いていただければと思います。 ○井上(達)部会長 では、その点の御訂正をお願いいたします。ほかにはよろしいで すか。 それでは、そういったことについて訂正いただいた上で、本件を当部会の報告とさせ ていただくということでよろしゅうございましょうか。 (「はい」と声あり) ○井上(達)部会長 どうもありがとうございます。 それでは、次にやはり農薬ですが、用途の拡張と聞いていますけれども、ビフェナゼ ートの審議に入らせていただきます。 事務局、御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、ビフェナゼートについて御説明させていただきます。資料2−1 と2−2になります。 4ページになります。こちらに「審議の経緯」としてまとめられてございます。ビフ ェナゼートにつきましては、平成12年に初回農薬登録がなされまして、平成15年10 月9日にイチゴとイチジクの適用拡大の申請がなされまして、食品安全委員会による食 品健康影響評価をいただき、ここには記載がございませんが、平成16年12月にこの部 会で御審議いただいたものでございます。 昨年9月16日に告示がなされておりまして、トマトですとかかんきつ類果実などにつ きまして、残留基準を設定しております。また、ポジティブリスト制度の導入に当たり まして、幾つかの食品に新しく基準値を設定いたしました。今回さといも類、やまいも、 小粒核果類などにつきまして、適用拡大の申請がなされております。 食品安全委員会の食品健康影響評価につきましては、現在11月24日までパブリック ・コメントを行っているところでございますが、この内容といたしましてはおおむね前 回御審議いただいたときの評価から変わっておりません。 簡単に御説明いたしますと、資料の6ページのところに要約が載ってございます。こ この一番下にございますが、1日摂取許容量ADIといたしまして0.01mg/kg 体重/日 と設定されておりまして、この値につきましても前回の評価から変わってはおりません。 この物質につきましては下から2つ目のパラグラフになりますが「発がん性、繁殖能 に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった」という結論でございます。 これにつきましても前回の評価と同じでございます。 ADIにつきましては24ページになります。イヌを用いた1年間の慢性毒性試験の結 果及び、25ページにございますラットを用いた104 週間の慢性毒性/発がん性併合試験 の結果を基にしております。 これらの試験における無毒性量は1.0 でございます。無毒性の最小値といたしまして は、その1つ前にございますイヌの90日間亜急性毒性試験になります。ここの0.9 と いう数字になりますが、32ページに記載がございますように、一番下の部分でございま すが、より長期のイヌの1年間慢性毒性試験の結果を基にADIが0.01mg/kg 体重/ 日 とされてございます。これが食品安全委員会の方でまとめられました食品健康影響評価 の概要でございます。 これに基づきまして、私どもの方で作物残留試験成績などから残留基準の案を求めさ せていただきましたものが資料2−2の41ページ以降になります。 ビフェナゼートはそこに書いてございますように、ヒドラジン骨格を有する殺虫剤で ございまして、ダニに対して効果を示すものでございます。 41ページの下から43ページにかけまして、この農薬の適用方法と適用の申請に書か れてある範囲を記載してございます。ビフェナゼートにつきましては、フロアブルとい う剤形のものと(2)でございますが、くん煙剤を適用いたします。ここの部分につき ましても、前回の申請から変わっておりません。 「6.作物残留試験」を行っておりまして、ビフェナゼートの分析におきましては、 ビフェナゼートとその代謝物B。そこに構造式と名称が書かれてございますが、この2 つを対象としております。これらを個別に測定する個別定量と、代謝物のBをアスコル ビン酸の共存下でビフェナゼート親化合物の形に維持させて、両化合物の合同値を測定 するという一括定量が実施されております。 検出限界は作物により異なりますが、0.01から0.02ppm 。定量限界も作物により異な りますが、0.01ppm から0.2ppmとなっております。 試験結果といたしまして、本剤が適用される条件における最大の残留量をこの44ペー ジ以降に記載してございますが、これをまとめた紙を別紙1として51〜53ページにお示 ししてございます。 基本的には最大残留量につきましては、申請のあった範囲内で最も多量に用い、かつ 収穫までの期間が最も短い場合、いわゆる最大使用条件下での作物残留試験の結果を書 いてございますが、一部申請の範囲であっても最大使用条件下以外の条件下で高い数値 が出ているものがございます。そういった数値を記載したものにつきましては、別紙1 の表では農作物名の右肩に※を付けてございます。 資料を少しお戻りいただきまして、47ページに「(3)その他」として記載してござ います。米国におきましてビフェナゼートを牛に経口投与した場合のデータが取られて おりまして、その結果としまして48ページの表にありますような残留が確認されており ます。1ppm 、3ppm 、10ppm の3つの濃度でデータが取られておりまして、対象物と しましては先ほどの農作物のビフェナゼート本体と代謝物Bのほかに、その表の下に記 載しております2つの代謝物、代謝物Eと代謝物Uの残留量が測定されております。 次にADIでございますが、ADIにつきましては先ほどの食品安全委員会での評価 のとおり、イヌを用いた1年間の慢性毒性試験とラットを用いた104 週間の慢性毒性/ 発がん性併合試験の無毒性量を基に0.01mg/kg 体重/ 日とされてございます。 「8.諸外国における状況」でございますが、コーデックス基準が野菜、果物、畜産 物等に設定されておりまして、アメリカとオーストラリアにおきましても同じように野 菜、果物、畜産物等に残留基準が設定されております。 「9.基準値案」でございますが、農産物及び畜産物の脂肪につきましては、ビフェ ナゼート本体と代謝物Bを規制の対象といたしまして、脂肪を除いた畜産物につきまし てはビフェナゼート代謝物B、代謝物E、代謝物Uの4物質を規制の対象とする案でご ざいます。これは現在の規制対象と変わるところはなく、従来どおりの規制対象になっ ております。 「(2)基準値案」でございます。お手元の資料に記載してございますように、ポジ ティブリスト制度の導入に当たりまして、このビフェナゼートにつきましては、ヒトの 健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞い て定める量、いわゆる一律基準でございますが、その0.01ppm までの分析が困難と考え られましたので、0.02ppm という残留基準を多くの農産物について設定しておりました。 今回0.01ppm までの分析が可能と考えられることから、0.02ppm の基準を削除し、一 律基準0.01ppmで規制する案としてございます。 具体的な基準値案につきましては、54ページの別紙2をごらんください。まずこの表 の見方でございますが、ポジティブリスト制度の導入に当たりまして、いわゆる暫定基 準を設定したものにつきまして「基準値現行」という列に網をかけております。網のか かっていない基準値につきましては昨年9月に告示された基準、一般規則の6の方に記 載されている基準になります。 先ほど申し上げましたように、農産物で現行で設定されている0.02ppmという基準に つきましては、今回削除することを考えております。また、ほかに網のかかった部分で ございますが、ばれいしょ、その他の野菜、あんず、その他のスパイス、56ページにそ の他のハーブ、その他の陸生ほ乳動物の肉類、筋肉、脂肪、肝臓、腎臓、その他の食用 部分というところでございますが、それに乳、家きんの肉類に基準を設定しております。 これらの基準値につきまして、今回見直しを行いました。 具体的には1ページ戻っていただきまして、その他の野菜のところでございます。こ れまで、その他の野菜というところには、コーデックス基準を参照する形で25ppm とい う基準値を設定しておりましたが、この25ppm のもともとの由来は米国のミントの基準 でございまして、コーデックスの基準につきましても、mint topに25ppm という形で設 定されていることから、「その他のハーブ」のところに25ppm という基準値を維持する ことで整合が取れるということから、今回その他の野菜の25ppm を削除する形の案とし ております。 55ページの真ん中辺りでございますが、あんずになります。あんずにつきましてはポ ジティブリスト制度の導入に当たりまして、0.5ppmという基準値をオーストラリアの基 準を参考に設定したものでございますが、あんずにつきましては今回、適用拡大の申請 がございました小粒核果類に該当いたしますので、小粒核果類としての基準値3ppm を 設定する案としております。 56ページになります。畜産食品につきましては、現在、案といたしましては現行の基 準0.02ppm というものを米国の基準を参考にしまして、牛の筋肉ですとか肝臓、腎臓、 食用部分といったところに0.02ppmという数字を置いていますけれども、その横の「国 際基準」というところをごらんいただきますと、現在コーデックス基準といたしまして 0.01ppm が設定されてございます。ここの部分につきましては、この後で御審議いただ ければと思っております。 ページが前後して申し訳ないんですが、55ページに戻っていただきまして、一番下の ところにみかんの果皮がございます。みかんの果皮はこれまで「その他のスパイス」と して25ppm という基準値を設定していたものでございますが、このたび作物残留試験デ ータが示されておりまして、それに基づきまして、基準値案に10ppm を置くという案に しております。 申し訳ございません。作物残留試験成績のところが空白になっております。みかんの 果皮につきましては作物残留試験成績が出されておりまして、1.88ppmと3.96ppmとい う値になっております。 その他の見直しの部分でございますが、前回告示をいたしました際には、経過措置の 対象として基準値を設定した食品が幾つかございました。これらにつきましても経過措 置が現在切れておりますので、基準値の見直しを行っております。 具体的には55ページのやや下の方にマンゴーというところがございますが、マンゴー につきましては経過措置に対象として2ppm という基準値を設定していたものですが、 今回、作物残留試験成績が新たに示されておりまして、そのデータに基づきまして0.2p pmを基準値案としております。 その少し上にかき(柿)というところがございまして、このかき(柿)につきまして も経過措置の対象としまして2ppm の基準値を設定していた食品でございますが、今回 新たに作物残留試験のデータが示されております。しかしながら、この成績が適用の範 囲内で実施されていない。具体的に申し上げますと、かき(柿)につきましては本剤を 1回散布するものでありますが、提出された試験成績の詳細を見ますとビフェナゼート が2回散布されていたということで、この基準値案につきましては現在お手元の資料で は数字を記入しておりません。 事務局といたしましては1ppm という基準値を考えておりますが、これにつきまして はこの後に御審議いただければと考えております。 そのほかの経過措置の部分でございますが、バナナ、カボチャ、トウガン、マルメロ につきましても経過措置に対象としていたものでございますが、これらにつきましては 今回、基準値を削除するという形で検討しております。 しかしながら、そのうちのマルメロとカボチャにつきましては、コーデックスの基準 が設定されていることから、基準値の削除ではなくコーデックス基準に相当する基準値 に置き換えるという案としてございます。 その他の経過措置の関連では、そのほかにパパイヤ、その他の果実に分類されますゴ レンシというものがございます。パパイヤにつきましては、該当するパパイヤにつきま して、申請の手続中という連絡を受けておりまして、現行の基準値をそのまま維持する という案としております。その他の果実の部分につきましては、現在いちじくの作物残 留試験データに基づいた基準値2ppm を設定してございます。 このほかに現行の基準値を変更する案をお示ししているところが幾つかございますの で、それにつきまして御説明をしてまいります。コーデックス基準と整合を取るという 形で基準値を大きくするものといたしまして、54ページの下にございますが、すいか、 メロン類果実、55ページに行きまして、びわ、もも、綿実というところがございます。 54ページの下の方にありますトマトにつきましては、現在2ppm を基準値として設定 してございますが、コーデックス基準が1ppm でございまして、米国の作物残留試験成 績、国内のトマト及びミニトマトでの作物残留試験成績を見ましても1ppm で管理可能 と考えられることから、基準値を1ppm とする案にしてございます。 49ページにお戻りいただきまして、これらの基準値案を基に暴露評価をいたしまして、 基準値案と作物残留試験データに基づきまして、推定1日摂取量(EDI)のADIに 対する比をまとめましたところ、50ページの表になりますが、国民平均で20.4%、幼小 児で52.6%、妊婦で17.3%、高齢者で21.3%という結果になりました。この暴露評価 の詳細につきましては、先ほどのベンチアバリカルブイソプロピルと同じような形で、5 7ページの別紙3の形でお示ししてございます。 ビフェナゼートの場合には、EDI計算を行っておりますので、TMDI計算の結果 とEDI計算の結果と両方をお示ししてございます。この中でTMDI計算を行う際に は、先ほど基準値案について保留にしておりましたかき(柿)の部分は1ppm という数 字を入れて仮に計算をする形にしております。 このビフェナゼートにつきましては、ポジティブリスト制度の導入に当たりまして、 平成17年11月29日付け厚生労働省告示第499 号で、食品一般の成分規格7に暫定基 準を定めておりますが、今回基準値の見直しを行うことに伴いまして、暫定基準を削除 することとしております。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明にありましたように、 このものは適用拡大ということで、以前に御審議いただいた評価書の内容が全く変更が ございませんので、評価書内容については改めて事務局より御説明くださったんですけ れども、審議の必要はないだろうと思いますが、よろしゅうございますね。 それでは、専ら細々と御説明いただいてフォローが大変だったかと存じますが、基準 値案が細かく変わっております。原体との関係で暫定的に0.02ppm で設定されていた多 数のものが一律基準ということで、表に書いていないところはみんな0.01ということに なるかと思いますが、そういう変更を始め、そういうのを適用するに伴って、コーデッ クス基準が別にあって、そちらの方を優先するとか大変細々と設定していただいており ます。また、ハーブの問題だとか今度の基準値の設定のときの問題がまともに全部反映 したような感じになっておりますので、御遠慮なくいろいろ御質問をいただきたいと思 います。 その前に測定限界との関係で追加の御説明をいただければ、米谷先生でも御発言いた だきたいと思いますし、また加藤先生にも後ほどこの点についてのコメントをいただき たいと思います。また、小児の値がそれなりに当然大きくなってきておりますが、別に 限界を超えることではありませんけれども、吉池先生にも御発言いただければと思いま す。 では、よろしくお願いします。 ○米谷委員 今回のビフェナゼートですけれども、この剤は非常にたくさん使われてい るということで、基準値案もそれぞれの農産物等について設定されております。このも のにつきましては、分析法はビフェナゼート(農産物)というものとビフェナゼート(畜 産物)という2つが出ております。 前の農産物に対するものは液クロ法で蛍光で検出するという方法でございまして、そ の定量限界から基準が0.02ppmになっているかと思います。あとの畜産物の方はLC/MS の方で0.01ppmまでクリアーするような状態でございます。 農産物に対する分析法は蛍光でございますけれども、これはもともとつくったときの 方針が、現在でもそうかもしれませんけれども、当時、基準値の最低が0.2ppmでして、 その10分の1をクリアーする方法ということで0.02ppmが出てまいりまして、定量限界 は0.02ppmが残っております。 6の4という類型ができたときに、その定量限界を暫定基準にするというふうに入っ てきたんですけれども、実際にその中身を見てみますと、液クロで蛍光でやるというこ とで、1つは濃縮することも可能だということがございます。 もう一つ、今回は試験法の総則で同等以上のものを加えていただいたので、各分析機 関で対応をしていただいてもいいという実が入りましたので、0.01ppmもクリアーがで きるということでございます。 もともと例えば0.01ppm以下で我々の方で定量基準を設定したものでありましても、 各分析機関で実際にそこの機械でお測りになって0.01ppmをクリアーするかしないかは、 それぞれの分析機関でやっていただかないといけないので、今回の場合も同様ですけれ ども、各機関でやっていただいて、多分0.01ppmはクリアーするだろうということで、 この0.02ppmのものを外して一律基準になっているということでございます。 ○井上(達)部会長 どうもありがとうございます。そういった技術的な経過があると いうことかと思います。委員の先生方、ほかにはいかがでしょうか。 もしよろしかったら、どうぞ。 ○吉池委員 先ほど座長のお話にあった対ADI比については特にこの剤に限ったこと ではなく、ある条件で算出をするとこのぐらいの数字になるものもありますので、それ については特にコメントはございません。 先ほど事務局の方から御説明があったように、例えばハーブやミカンの皮といったか なり細かい整理に関しては、以前より詳細なデータに基づいたものになってきていると 思われます。 作残試験のデータについては、より系統的な整理になってきているわけですが、摂取 量データに関しては、ミカンの皮を食べているかどうかを直接的には調べていませんの で、ある一定の仮定の下で類推している訳です。 また、動物由来の経路からの暴露についても話がありましたが、例えば腸間膜の脂肪 などに関して残留データがあったとしても、そこだけを取り出して摂取量データは全く ありません。かなり細かく分類はされていますが、ある一定での条件でかなりラフな推 計にならざるを得ない訳です。その両面の点から、現時点では最良の推計ができている のではないかと思っています。 以上です。 ○井上(達)部会長 どうもありがとうございます。ほかにはコメント等はございませ んでしょうか。 加藤先生、いかがですか。 ○加藤委員 先ほどPという形でかき(柿)の問題が残されていましたので、これは話 もありましたように使用範囲が1回散布なのを2回散布してやられたというデータです。 これをどう扱っていくかということなんですが、本来、原則論から行けば全く使用基準 を超えてしまっていますのでだめということになってしまうんですが、その考え方とし て原則論だけではなくて、実際の残留量のレベルの方から特に理由が説明がちゃんと付 くなり、前の方の散布については実際の最終的な残留に影響がないような状態になって いるんだというような説明が付くのであれば、それも一部考慮した上で判断していくと いう総合的な判断も必要かなと考えているわけです。 そういうことをしていかないと、かなり昔にやられた薬剤などでは必ずしも使用基準 がきちんと守られた格好でその残留試験がやられていたわけではなくて、それを参考に しながら、ある面では緊急時の病害虫が発生した場合の担保というような考え方で、農 水のことですが、以前は使用基準を少し超えた状態での試験も認めていたという状況も あるようですので、そういうことを考えるとある程度の幅を見込んで実態を考えていか ざるを得ないということで、それでこのかき(柿)なんですが、計算もしてもらいまし た。 そうしますと、1回目の散布から2回目の散布まで14日間ありますので、その間の減 衰もある程度見込めるわけですが、2回目の散布による残留量に対する1回目の散布の 影響は計算上大体30%強ということになりますので、その数値を考慮して2回散布した 作残のデータから逆算して、1回だけでどれぐらいの残留になっているか。それを計算 して、基準値を決めてゆく、今回余りうれしいことではないんですけれども、推奨した くないんですけれども、それもやっていかざるを得ないかなと考えています。ただ、こ れについてはやはり農林水産省のお考えも1回お伺いしたいと思います。 ○井上(達)部会長 わかりました。どうもありがとうございます。カキについて、そ ういう苦肉の策というか、御苦労があったようでございますが、それでは農水の方のお 考えなども承れればと思いますが、よろしくお願いします。 ○農林水産省 このビフェナゼートのかき(柿)につきましては、先ほど事務局から説 明があったとおり、経過措置ということで申請がされて基準値がつくられたわけです。 経過措置は農薬取締法を改正したときに使用者への規制がかかったということで、そ のときに作物残留のデータがなくても緊急的に使えるようにということで、数年間維持 してきたものです。その経過措置という中で、作物残留試験をつくって基準値をちゃん と評価していくという中で、今回のビフェナゼートのかき(柿)の試験が実施されたわ けです。 本剤はダニへの殺虫剤なものですから、ダニというのは多発すると手に負えなくなっ て農作物への被害が大きくなるわけです。そのために試験を設計するときに、ビフェナ ゼートは原則として1回散布というのが取られているんですけれども、予防的な措置も 考えて2回散布という形で試験が実施されて、今回提出されたということとなります。 原則論は加藤先生がおっしゃられたように、申請内容がそのまま作物残留試験の試験 設計に反映されるという形なんですけれども、このような実際には申請者側の使用方法 がたくさん使えるような方法とか、場合によって薬害が出て薄い方法でしか登録ができ なくなったということもありますので、そういうことで今まで柔軟的な内容にしてきた わけです。 今回その分につきましても、加藤先生が言われたように、ある程度2回散 布の影響を1回散布の方を加味して、ある程度低めの残留となることから、事務局案の 方の形で1ppm が基準値ではいいのではないかと掲げております。 こういうこともありますので、これまで農林水産省としても、申請者の方に試験設計 を柔軟に対応できるように使用方法が変わった場合、薬効・薬害試験などが変わった場 合でも、作残試験を柔軟に採用できるようにいろんなことを指導してきたわけでござい ます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。指導内容で切り抜けていこうとい うことの御説明にように承りましたけれども、ほかに御質問、コメント等はございませ んか。 ○加藤委員 せっかくおいでになっているので、確認させていただいた方が間違いない だろうと思うんですが、従来の分についてはそういう指導等があったりしてやられてい た。それから、去年、農水省さんの方からも使用基準なり適用範囲内での試験に適用範 囲を順守した形で試験を設計しなさいという通知も出されたと思いますので、18年度か らやられる試験といったものについては間違いないものが出てくると判断していてよろ しいですか。そこだけ確認させていただきたい。 ○農林水産省 断定はできませんけれども、そういうふうに指導しておりますので、そ ういうことがないと思っております。 ○井上(達)部会長 では、よろしくお願いいたします。 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。細かな点などでも、もし不明な点があ りましたら、御遠慮なく言っていただきたいと思います。どうぞ。 ○事務局 では、カキの部分は事務局案の1ppm を書かせていただいてよろしいですか。 ○井上(達)部会長 はい。それは御了承いただいたと考えます。 ○事務局 もう一点、56ページの畜産物のことなんでございますけれども、現行基準値 はアメリカの先ほどの表の残留データが0.02ppmと置いていたところでございます。こ れはアメリカの方もJMPRの方に提出してございまして、コーデックスはそのデータ を基にこの基準値を当方で作成した後に、昨年0.01ppmという基準値を置いてございま すので、同じデータをもってコーデックスの方では0.01ppmを置いているということに なりますので、そこのところを変えるべきか。このまま行くかというところなんでござ います。 ○井上(達)部会長 その点についてはいかがですか。 ○事務局 今は現行基準を用いますけれども、国際的な整合性を見て、コーデックスの 値の方に変えるという案でいかがでしょうか。 ○井上(達)部会長 よろしいですか。それでは、御了承いただいたというふうに考え まして、ただいまの点を含めまして、本報告案をもって当部会の報告ということにさせ ていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。 (「はい」と声あり) ○井上(達)部会長 ありがとうございます。御異議がないようですので、事務局、こ の農薬2品目についての今後の扱い等についてのお話をお願いいたします。 ○事務局 本日御審議いただきました内容をもちまして、報告書の方の修正とかいろい ろございますので、早速直しましたものをまた先生方に御回覧申し上げます。それで御 意見がないようでしたら、それをもって報告書ということで、今後、国際的に手続、ま た分科会に上げるという手続を踏んでいきたいと思います。 ○井上(達)部会長 どうもありがとうございます。これで議題1を終了といたしまし て、2は「その他」ということになりますが、何かございますか。どうぞ。 ○事務局 事務局の方から今後の日程等についての御連絡をさせていただきたいと思い ます。既に前々回の部会におきましては、来年1月以降の開催は毎月第2金曜日、また 前回の部会におきましては来年1月の開催日程の調整をさせていただきたいということ を御連絡申し上げておりました。 しかしながら、来年1月に部会委員の改選を予定しておりまして、来年度からの部会 の日程につきましては再度調整をさせていただければと考えておりますので、御報告を 申し上げます。 ○井上(達)部会長 委員の改選等もあるということで、改めて来年の日程調整につい ては再度調整をし直す方針であるので、その辺りについて御了承いただきたいというこ とのようでございますが、よろしゅうございますか。やむを得ないかと思います。 では、そのようにお願いいたします。あとは何でしょうか。 ○事務局 あと、念のためでございますが、来年1月の部会の開催日程につきましては 日程の調整ができておりませんので、これにつきましても改めて調整をさせていただく ということでございます。 ○井上(達)部会長 よろしいですね。では、そういうことで来年の1月についてはよ ろしくお願いいたします。 ほかにはございませんですね。 ○事務局 もう一点でございます。次回の部会の開催日程でございます。次回の部会の 開催日程につきましては、12月11日の月曜日でございます。時間は14時〜16時。場所 は今、御審議をいただいておりますこちらの部屋となっておりますので、その旨ご連絡 を申し上げます。また、開催日程等につきましては、文書で御連絡をいたします。 ○井上(達)部会長 12月については引き続きよろしくお願いいたします。これで最後 になろうかと思いますが、課長さんから何かございませんか。よろしいですか。 ○松田基準審査課長 はい。 ○井上(達)部会長 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたしたいと思 います。皆様、御協力ありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)