06/11/15 「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」 第9回議事録 第9回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」議事録             日時 平成18年11月15日(水)     場所 ホテルはあといん乃木坂「フルール」 (照会先)医政局経済課 担当・内線 笹子(2524)   代表 5253−1111 直通 3595−2421  ○火宮企画係長  定刻となりましたので、ただいまから第9回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談 会」を開催いたします。本日の委員の出欠について、事務局の方からご報告いたします。 本日は、明治大学大学院の上原様、日本病院薬剤師会の門林様、日本精神科病院協会の 長瀬様、青山学院大学の三村様、全国自治体病院協議会の宮川様からご欠席の連絡をい ただいております。日本医師会の飯沼様と厚生労働省の白石審議官は少し遅れるとの御 連絡をいただいております。  本日は、公正取引委員会よりお二方をお招きしておりますのでご紹介いたします。公 正取引委員会取引調査室長片桐一幸様、公正取引委員会取引調査室長補佐小林昇様です。  本日の議題資料として、公正取引委員会が9月に発表した「医療用医薬品の流通実態 に関する調査報告書」とその概要をお手元に配付しましたので、ご確認ください。  それでは、以降の議事進行は嶋口座長にお願いします。よろしくお願いいたします。 ○嶋口座長   嶋口でございます。今日は大変お忙しいところご出席ありがとうございました。  それでは、早速本日の議題に入ります。まず、今ご紹介いただいた公正取引委員会の 片桐取引調査室長より、9月に行われた「医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書」 についてご説明いただきます。この流通改善懇談会に非常に関わりのあるテーマで、公 正取引委員会の方からお話いただく機会がこれまでなかったのですが、今回はこのよう な1つの調査結果についてお話いただいて、その後フリーディスカッションをしたいと 思っております。よろしくお願いします。 ○片桐室長  日ごろ公正取引委員会の業務につきましてはご理解を賜りまして、ありがたく思って おります。ただいま座長からご紹介がありましたが、本日は私どもで行ってきた「医療 用医薬品の流通実態に関する調査報告書」の説明を行いたいと思います。調査の過程に おいては、関係の皆様に種々ご協力を賜り、それについても厚く御礼を申し上げます。 公正取引委員会はなかなかこの場に姿を現わさないということでしたが、今回の調査は 約四半世紀ぶりの調査ということで、医薬品流通の関係各方面を代表する方々に御説明 する機会を得て、私どもとしても大変ありがたく、また光栄に思っております。  資料の「医療用医薬品の流通実態に関する調査報告書(平成18年9月公正取引委員会) 」に沿って御説明します。  3頁、調査の目的です。四半世紀ぶりの調査と申し上げましたが、取引調査室でいろ いろな業界を取り上げ、その流通実態を調査しているところです。今回、非常に興味深 い分野ということで、医薬品の流通実態を取り上げたのですが、そこに書いてあります ように、公正取引委員会の調査ということで、競争政策の観点から流通の実態を調査し、 競争政策上の提言を行うことを目的として調査を行ったものです。  この分野は、背景としては国民医療費が非常に多額になっていて、こういったことを 抑制することが重要であるということがありますが、興味深いテーマがいくつかありま す。1つは、我が国では後発医薬品の使用の割合が諸外国と比較して低いと言われてい ること、同様に諸外国と比べて医療機関による医薬品の共同購入の取組が進みにくい状 況にあるのではないかという2つのトピックを切り口に、医薬品の流通の実態を調べて、 競争政策上の観点から提言をする目的で調査を行ったものです。  4頁は医薬品の状況です。後発医薬品を先発医薬品に代えて使用を促進することが、 医療費削減に効果的であるとされていますが、図表1はコスト比較で、後発医薬品は先 発医薬品に比べて研究・開発コストがかからないので、価格が低いということです。患 者の視点に立っても、先発医薬品に代えて 後発医薬品を選択することにより、その分 薬剤費の自己負担分の支払いを安く済ませることができます。  5頁は、第3の規制の概要です。図表2に医療保険制度の図を掲載しています。医薬 品を購入する医療機関で、後発医薬品などの価格の低い医療用医薬品を購入するインセ ンティブがなかなか働かないのではないかという声も聞かれますが、下のほうに「包括 払い方式」について紹介しております。医療機関の過剰な薬剤投与を是正する働きがあ ると言われているもので、「DPC」といったものが導入されてきております。  6頁は、薬価です。薬の値段が主な話題だということで、薬価はどうなっているかを 我々なりに調べたものです。下の方に、先発医薬品と後発医薬品の薬価の推移について 調べた結果を載せております。7頁に図表3で一例を載せておりますが、おおむね年当 たり数パーセントの割合で薬価が下落している状況にあります。ちなみに、先発医薬品 はメバロチンですが、後発医薬品が47品目で、メバロチンの出荷額の約1割程度であ ると言われております。  10頁ですが、第5、医薬品業界の構造です。10頁には市場規模について書かれており、 国民医療費、医薬品の出荷金額の推移を掲載しておりますが、増加傾向にあるというこ とです。  その中で、今回のトピックの1つである後発医薬品については11頁です。図表7で、 医療用医薬品における後発医薬品のシェアということで、出荷数量ベースは平成16年度 で16.8%となっています。図表8が諸外国との比較です。英国、米国などでは、後発医 薬品の普及率は数量ベースで半数以上に達していますが、日本の割合は16.8%というこ とです。  12頁は流通経路です。図表9、図表10として、先発医薬品・後発医薬品の流通経路に ついてそれぞれ簡単に紹介しています。図表9ですが、先発医薬品の場合は、卸売業者 を通じて医療機関に販売しています。図表10ですが、後発医薬品については、参入当初、 後発医薬品独自の流通ルートを開拓して販売した経緯があり、後発医薬品専業の販売会 社を通じて販売する場合があります。  13頁、流通の担い手である取引主体についてです。図表11として、主要なメーカーの 医薬品の売 上高を掲載しています。ここで重要な事柄として、医薬情報担当社員、こ れはMRと呼ばれていますが、医薬品に関する品質、有効性、安全性に関する説明を行 うといった情報提供や、医薬品に対する情報収集ということで、医療機関でこういった メーカーの担当社員が活躍しております。図表12として、主要なメーカーのMRの数を 掲載しています。  14頁は卸売業者です。図表13として、同様に卸売業者の売上高の表を掲載しておりま す。近年、ご案内のとおり卸売業者の分野で統合が進展し、ほぼ全国を営業区域とする 広域的な医薬品卸売業者が出てきている状況にあります。  卸売業者にも、医療機関等に対する情報提供活動を行っている社員がいます。これは MSと呼ばれておりますが、メーカーのMRがカバーしきれない診療所、保険薬局を中 心として営業活動をしているようです。15頁に卸売業者の営業担当者(MS)の数を掲 載しています。以上が簡単な医療用医薬品の流通の構造です。  次に、こういった構造の中でどのような取引慣行が行われているかです。16頁ですが、 医療機関に対する営業活動の実態です。まず、メーカーの営業活動についてですが、医 療機関では医薬品の選定に際して、医薬品の品質や有効性及び安全性、こういったもの に関する情報量、先ほどご紹介したMRの数といった販売側の情報提供体制などを重視 して医薬品が選定されます。したがって、先ほどお話したメーカーのMRの活動が、医 療機関の医薬品選定に大きな影響を及ぼしていると考えております。  卸売業者の営業活動は(2)です。卸売業者の営業活動ではMSの方が活躍している ということで、先ほどのグラフを見ていただければわかるように、数的には決して少な くありません。ただ、先ほども少し触れたように、MSの担当者はメーカーのMRがカ バーしきれない診療所や保険薬局が中心で、病院を中心とする医療機関においては、そ この医療用医薬品の選定はメーカーのMRの営業活動が大きな影響力を有していると見 ております。  17頁の下の方ですが、価格形成の実態ということで、医薬品の価格がどのように形成 されているかです。今までお話してきたように、医療機関の医薬品選定においてメーカ ーサイドによる営業活動が大きな影響力を有しています。その分、卸売業者の立場から 見ると、取扱数量を増やすことによってメーカーから値引きを引き出すといった価格交 渉の余地が限られてきているということです。先発医薬品は代替剤が必ずしもあるとは 限らないわけですが、医薬品の選定に際して変更を示唆することによってブランド間競 争を促すといったことも、なかなか難しいということがあろうと思います。  18頁ですが、そういった中で価格がどのように形成されているかです。メーカーによ る仕切価格の設定ですが、仕切価格については、全国統一価格ということで、次回の薬 価改定まで適用される。基本的に2年間下方修正がされることはまれです。図表16とし て、メーカーに対するアンケート結果で仕切価格修正の状況を記載しております。修正 していないものが多いことが見ておわかりかと思います。このほか、リベート、アロー アンスとしてメーカーから卸売業者に支払われているものがあります。     19頁で、図表17・18としてリベートないしアローアンスの種類を紹介しています。  20頁ですが、リベート、アローアンスを含めて価格の交渉状況がどうなっているかで す。先ほど、仕切価格は固定化しているということでしたが、リベート、アローアンス もそう頻繁に価格変更はなされていないようです。  そういった中に、メーカーが卸売業者から販売に関する情報の提供を受けているとい う話については21頁です。ここで紹介しているのは、コンピューターシステムでメーカ ーと卸売業者がオンラインで結ばれているわけですが、非常に多数の会社が参加してい て、メーカーは販売価格を含めた医療機関に対する販売情報を、そのコンピューターシ ステムを用いて卸売業者から報告を受けています。   21〜23頁にかけて、卸売業者からの報告の状況を記載しています。  23頁ですが、(3)価格形成の実態です。図表24ですが、例として、調査結果に基づ いてではなく、わかりやすい概念図とお考えいただければいいかと思いますが、大要と してはこのような格好になっているということです。右側が販売サイドで、左がその仕 入です。販売価格は90、仕切価格は89で、この限りでは売買差益は1となっていますが、 卸売業者は営業利益や販売管理費がかかるわけです。これについて、メーカーからのリ ベート、アローアンス、ここでは6と3となっていますが、それに頼って営業利益や販 売管理費を確保している状況にあります。  24頁は、図表25・26で卸売業者の実質仕入価格についてメーカーに聞いたアンケート 調査結果を書いております。  25頁ですが、図表27です。こういった中で、結論的には卸売業者の利益が非常に薄い ということですが、他の一般的な卸売業者の利益幅と比べてもかなり薄い状況にありま す。  価格競争はどこで行われているかですが、(4)として医療機関との価格交渉という ことで、メーカーによる医療機関との価格交渉の実情について調査した結果を掲載して います。図表28ですが、メーカーは医療機関と価格交渉を行っていないという実態があ ります。以上が流通の概要、特に医薬品の価格形成の実情です。  26頁から、最初のトピックである後発医薬品の使用の話に入っていきます。医療機関 による後発医薬品の使用状況です。導入手順としては、各医療機関は薬事審議会といっ た組織を設け、そこで医薬品の選定を決定しています。数量の大小は問わず、ほぼすべ ての医療機関で後発医薬品は使用されております。ただ、日本全国で見てシェアが低い ということで、選定する医療機関で後発医薬品の使用についてどういった懸念があるか を調査しました。  28頁ですが、図表31として、後発医薬品を使用するに当たって心配であったことを、 医療機関に対してアンケート調査しました。その結果、後発医薬品自体の安全性、安定 供給、情報量、これは後発医薬品の品質、有効性に関する情報ですが、こういった点に ついて不安があったとの回答が非常に多かったということです。  29頁ですが、図表32で、同様の事情についてメーカー側にも聞いております。医療機 関から後発医薬品の取引の申出を断られる場合の理由として、ここでもいちばん多い回 答には後発医薬品に対する不安が挙げられています。  30頁ですが、図表34で卸売業者にも聞いております。後発医薬品を積極的に販売して いない卸さんも結構いらっしゃるのですが、ここでの回答を見ると、「後発医薬品の品 質、安定供給等に疑問を感じるから」「医療機関からの発注があまりないから」といっ たことで、積極的な販売をされていないということです。  31頁です。後発医薬品を積極的に使用促進している医療機関もあるわけです。そこで、 後発医薬品を使用した契機について伺ってみました。図表35ですが、一番多かったのが 病院経営の改善を図るためということです。これについてはいろいろな意味合いを含ん でいるようですので、さらに尋ねてみたものが表の下の注1です。後発医薬品は薬価差 益は少ないけれど、患者への選択肢の幅を増やすことによって、より多くの患者に来院 してもらえるようにするということで、病院経営の改善を図るために後発医薬品を使用 したとのご回答がありました。保険償還が定額制の療養病床があることを理由に挙げる 医療機関もありましたが、そういったことを含めて、病院経営の改善を図る必要があっ たとの回答が一番多かったということです。  32頁ですが、先発医薬品メーカーによる後発医薬品についての説明です。医療機関の 医療用医薬品の選定について、販売側からの情報提供は大きな影響力がありますが、そ うである以上、情報提供は適正なものである必要があります。我々の行ったアンケート 調査で、一部不適切な情報提供の事例の報告がありました。医療機関から、いくつかそ のような事例が報告されております。  32頁の真ん中から下に掲載していますが、最初の事例は、事実と異なる情報提供、製 造上の欠陥が後発医薬品にあるという情報提供についてです。一般に後発医薬品は製造 上の欠陥が多いとの説明を受けたという報告です。  次の事例は、ずさんな試験による後発医薬品の副作用が危惧されるといった情報提供 があったわけですが、その後の再試験結果でそのようなことはなかったという事例です。  3つ目は、先発医薬品と後発医薬品の比較資料を用いたのですが、品質の劣る後発医 薬品3品目をもって比較資料を作って、あらゆる後発医薬品の品質が劣るかのような説 明をしていたということです。  4つ目は、実証されていない事項について誌上発表してほしいと依頼をされたといっ たことです。  後発医薬品メーカーからも報告があり、被験者の比較が適正でない、データの検出の 仕方が不適切であるといった事例の報告がありました。  33頁の(3)ですが、外来患者に対する後発医薬品の院外処方の話です。最終消費者 は医薬品の場合患者さんですが、可能であれば、一般的に消費者が商品選択を自由にで きることが競争政策上望ま しいわけです。外来の場面で、そのような観点からどのよ うな状況になっていて、どのようなことが言えるのかです。  34頁以降に、公正取引委員会で委嘱している消費者モニターに対して、後発医薬品に 対する消費者の意識を知るためにアンケート調査をしたものが記載されています。認知 状況は、図表36ですが、半数近くの人が「なんとなく知っていた」、ないし「知らなか った」ということです。選択の状況は、図表37です。消費者モニターの結果では、「必 ず後発医薬品を選ぶ」といった回答、「場合によっては後発医薬品を選ぶ」という回答 が大多数を占めています。  35頁ですが、図表39は、どのような場合に後発医薬品を選ぶのかです。一番多かっ た答えは、「後発医薬品の安全性や効き目に不安はあるが、医師や薬剤師から安全性や 効き目について説明を受けて納得できた場合には後発医薬品を選ぶ」といった回答です。  37頁です。後発医薬品について、安定供給、情報提供、品質確保等に関して医療機関 側に不安があるのは、必ずしもシェアが高くないことが大きな要因と考えられるわけで すが、これについていろいろな取組がなされています。図表41の下に、今回平成18年4 月に行われた処方箋様式の変更の事情を紹介しております。  このほか、(4)後発医薬品の使用促進のための厚生労働省の取組ということで、今 申し上げた安定供給、情報提供、品質確保等についてさまざまな取組がされていること を紹介しております。一般国民向けの啓発活動についても取組が進められていると伺っ ております。  次に、2つ目のトピックである共同購入の説明です。共同購入も、米国などと比べて 必ずしも取組が進んでいない状況にあるのではないかというのが、この調査のそもそも の発端です。39頁の図表42ですが、共同購入による調達の有無の状況について医療機関 に伺ったところ、「調達している」との回答が18.1%で、必ずしも多くないということ です。  共同購入をしていない理由が重要だと考えており、それについては40頁の図表43です。 一番多かった理由は、卸売業者の利幅は極めて薄いと言われているので、共同購入を行 っても大幅に安く調達できる見込みがないという答えです。  他方、共同購入の取組を進めている医療機関もあるわけで、そちらに対して、取組が なかなか進まない事情があるのではないかということで伺ってみました。各医療機関の 医師との関係等があり、医薬品の品目数の絞り込みが難しいことが共同購入を進めにく い事情になっているとの回答がありました。  図表44ですが、これは先ほどの卸売業者の利幅が非常に少ないので、そもそも共同購 入を行っていないという回答に関連して、その事情を卸売業者に対して聞いたアンケー ト結果です。卸売業者の側からも、発注数量が多くなったとしても、メーカーからもら えるリベートはそれほど増えないので、販売価格を安くすることはできないとの回答が 一番多かったということです。  43頁ですが、共同購入のイメージです。一口に共同購入と言っても、意味内容が確定 的なものが何か1つあるということでは必ずしもなくて、いくつかのバリエーションが あり得るわけです。この報告書で念頭に置いている共同購入はどのようなイメージのも のかという説明です。  そこに図が3つ載っておりますが、一番上のものは各病院が単体でやっているもので、 共同購入ではありません。共同購入の例として、例1、例2とあります。我々が念頭に 置いているのは例2ですが、例1の方からご説明します。  この図では、いずれもS医薬品とT医薬品という2つの医薬品があって、こちらは同 等の効能を有すると仮定しております。実際にも、先発医薬品同士でも競合関係にある ものや、後発医薬品同士ではなおのことですが、これらの図においてはそのような仮定 をしております。例1ですが、S医薬品、T医薬品をそれぞれ購入している病院がある 場合に、S医薬品を購入している病院同士が集まって共同購入をする、T医薬品につい ても同様にするということで、それぞれ量を増やして購入するということで、ボリュー ムによるメリットを享受する形の共同購入です。  例2は、S医薬品、T医薬品の絞り込みをするものです。A病院、B病院、C病院と あって、それぞれS医薬品ないしT医薬品を従来使用していましたが、こちらを共同し て、この際、S医薬品またはT医薬品に絞り込もうというものです。その際、先ほども 触れましたが、各病院のお医者さんの協力が必要になってくるかと思いますが、共同購 入で絞り込みを行うということです。卸売業者に、S医薬品とT医薬品のブランド間競 争を促す格好で共同購入の話を持っていく。場合によっては、メーカーに直接話をする ことも考えられると思いますが、例2は医薬品の絞り込みも含んだ共同購入です。競争 のメリットを十分に享受する意味では、例2がよろしいのではないかということです。 実際、一足飛びに例2の方にいくのはなかなか難しい場合もあろうかと思います。共同 購入の取組がまだ進んでいないのが実態ですので、例1のような共同購入をして、段階 的に例2のほうに持っていくのが現実的なプロセスではないかと考えております。そう いうことで、共同購入のイメージをお持ちいただきやすいように、こういった図を掲載 しました。  念のために申し上げますと、単に医療機関がいくつか集まって発注窓口を一本化する ことだけのものを共同購入ということで念頭に置いているわけではありません。この報 告書で申し上げている共同購入とは、ボリュームを増やし、さらにはブランド間競争を 促すことで、競争のメリットを享受できる取組を念頭に置いていますので、その辺りを ご理解いただければと思っております。  46頁ですが、こちらが競争政策上の評価ということで結論です。今まで後発医薬品の 使用、共同購入の取組についての調査結果をご説明してきましたが、それに基づいて、 競争政策上の評価ということで公正取引委員会として、このようにしたらどうかという 提言をしている部分です。まず、後発医薬品の使用ということで、医療機関の認識につ いてです。アの実態の所で調査結果のおさらいをしていますが、「後発医薬品自体の安 全性、安定供給、情報量等が不安」という回答が全体の84.6%でした。これについて、 厚生労働省が後発医薬品の使用促進のための取組を進めていることもご紹介しました。  このような実態を踏まえ、競争政策上の評価です。競争政策の観点から、消費者によ る適正な商品選択を確保することが重要だということですが、その前提として、医療機 関において、後発医薬品についての正しい認識が持たれることが重要だと考えておりま す。そこで、後発医薬品の最初の提言としては、引き続き厚生労働省による取組が進め られるとともに、後発医薬品メーカーにおいては、安定供給、情報提供、品質確保に関 して医療機関の懸念を払拭し、理解を得られる取組を行うことが望ましいのではないか という提言です。 (2)は、先ほど実態の所であった不適切な情報提供の事例です。これについては、競 争政策の観点からというか、不公正な取引方法(取引妨害)として独占禁止法上の問題 となることから、法律上の問題になってこようということで、後発医薬品の使用例につ いて事実に反する情報を提供したり、不適切な情報の提供を行ってはならないという提 言です。  3つ目として、消費者による医薬品の選択です。先ほど、消費者に対するアンケート 調査結果で、「後発医薬品を選ぶ」、ないしは「場合によっては選ぶ」という回答が多 かったのですが、「場合によっては選ぶ」という回答の中には、確かに後発医薬品には 何かしら不安はあるのだけれど、「医師や薬剤師から説明を受けて納得できた場合には 選ぶ」という回答が大要を占めていました。  競争政策上の評価としては、ここでも消費者による適正な商品選択を確保することが 重要で、可能な限り患者が医薬品の選択をできることが、そういう観点から望ましいと いうことです。これについては、平成18年4月の処方箋様式の変更があって、「後発医 薬品への変更可」の欄に医師がサインをすれば、薬剤師が消費者の意見を聞いて、後発 医薬品か先発医薬品かを選ぶ場面が考えられます。その際に、後発医薬品を処方又は調 剤する場合には、後発医薬品の安全性・有効性について、先発医薬品と同等だという説 明を、医師ないし薬剤師から一言消費者にすることが望ましいのではないかというのが 3つ目の提言です。  次に共同購入です。実態の方は、繰返しになりますが、あまり多くありません。その 理由として卸売業者の利幅が薄いことと、取組を進めにくい理由として品目数の絞り込 みがなかなか進まないといった声が聞かれました。これについては、48頁の(2)の競 争政策上の評価です。競争政策の観点から言うと、一般的に購入者の側で高いコスト意 識に基づいた購入行動が取られることが、その分野での競争を活性化させるので、医薬 品の分野でも、医薬品を選定する医療機関の側で、そういった意識に基づいた購入が行 われることが望ましいということです。  その中で、共同購入も1つの有益なツールですが、そもそも共同購入に取り組まない 理由が、卸売業者の利益率が低いので安くならないのではないかとの医療機関の見込み があるのですが、卸売業者の方で共同購入によって取扱数量の増大が見込まれるという ことで、従来の取引のベースとなっていたリベート、アローアンスの支払基準について 見直すことも含めて、メーカー側と交渉するといった営業努力をすることが望ましいと いうのが1点目です。  医療機関側は、品目数を絞り込んで購入量を増やすということですが、現行の流通経 路は、先ほど申し上げたように先発医薬品は卸売業者を通じて販売するので、実際は卸 売業者の方へ話を持っていくのが流れだろうと思います。そこで共同購入ということで 医療機関側が卸売業者と交渉し、卸売業者も努力するということだろうと思います。  ここで、「メーカーから直接医薬品を購入することも検討する」と書いてありますが、 医療機関側で思ったより値引きが期待できない場合には、そこで諦めるのではなく、メ ーカーと直接話をする道もあるのではないかということです。これについては、参考と して流通・取引慣行ガイドラインの該当部分を引用しておりますが、メーカーの直接の 取引先が、この場合は卸売業者ですが、単なる取次ぎとして機能している場合、実質的 にみてメーカーが直接医療機関に販売している場合には、メーカーが医療機関と直接話 し合って、品目、取引数量、価格について決まるわけですが、それについて、実際の物 流は卸売業者がやるのが現実的です。メーカーが医療機関と話し合って決めた価格で、 当該医療機関に納入してほしいと卸売業者に話をすることは、再販との関係で心配する 声がありますが、その場合には独占禁止法に触れるわけではないので、繰返しになりま すが、卸売業者と話をするだけではなく、直接メーカーと話をすることも法に触れるわ けではないということです。また、品目数の絞り込みについて、医師の方も協力するこ とが望ましいのではないかと考えております。  最後に、メーカーと卸売業者間の取引慣行ということで、今回は後発医薬品の使用と 共同購入の切り口で、医療用医薬品の流通を調査したわけですが、その過程で価格形成 がどうなっているのか、先ほどコンピューターシステムのご紹介をしましたが、販売価 格等に関する情報をメーカーが卸売業者から報告を受けています。このこと自体、独占 禁止法等の関係で問題になることはありません。しかし、49頁の競争政策上の評価です が、ここで得られた販売価格等の情報に基づいてリベートやアローアンスの設定をする とか、薬価改定を見越して販売の戦略を立てるといったことにこの情報を利用している ようですが、そうではなく、ここに書いてあるように、例えばリベートやアローアンス について販売価格の報告を受けて、一定の価格を下回って販売している卸売業者にリベ ート、アローアンス について不利な取扱をすると、再販売価格の拘束ということで、 独占禁止法違反になるので、このような行為はすることがないようにご注意いただきた いということです。公正取引委員会としても引き続き注視していきたいと考えておりま す。  今回、取引慣行の現状、問題点について明らかにし、競争政策上の考え方を示しまし たが、各関係事業者におかれては、この調査結果をよくご理解いただき、日々の取引全 般の適正化に役立てていただきたいと希望しております。公正取引委員会としても、今 後とも、医薬品の取引慣行全般について、競争政策の観点から、その動向に関心を持っ て見ていきたいと考えております。 ○嶋口座長   どうもありがとうございました。今日のメンバーはいろいろな分野を代表する方々で すので、ご自分の立場に関連づけても結構ですし、より大所高所からでも結構ですので、 これから少しご意見をいただき、ディスカッションをしたいと思います。ご意見、ご質 問がありましたらどうぞ。 ○大塚委員   48頁の「競争政策上の評価」の下から3行目で、「医療機関がメーカーと直接交渉を 行い取引条件を設定する場合、卸売業者が、その取引条件で医療機関に販売することは、 通常、独占禁止法違反とはならない」とありますが、私どもは、従来、メーカーが価格 決定をすることは再販価格制度違反になると認識しておりました。画期的なことだと思 います。  参考の所に、「メーカーの直接の取引先が単なる取次ぎとして機能しており、実質的 にみてメーカーが販売していると認められる場合には、メーカーが当該取引先に対して 価格を指示しても、通常、違法とはならない」。この場合、直接の取引先が単なる取次 ぎとしての機能ではなく、卸の方が価格決定をしている場合にはどうなるものかを教え ていただきたいということです。 ○片桐室長  卸売業者の方が単なる取次ぎでない場合は、その販売価格についてメーカーが指示す ることは、独禁法違反につながる恐れがあるということです。この報告書で申し上げて いるのは、例えば共同購入を行う場合に、医療機関がそのメーカーと話をする。そこで、 メーカーが直接医療機関と価格交渉を行って決める。形式は問わないですが、卸売業者 はそこで決まった話、販売価格も含めてその枠組の中で活動される。それが、単なる取 次ぎとしての機能ということですが、そうではなくて、卸売業者自身として価格を決定 するというか、価格交渉をされている場合は、単なる取次ぎではないと評価するべきだ ということです。その場合は、メーカーが卸売業者へ販売価格を指示すると独禁法違反 になるということだろうと思います。○松谷委員 今の取次ぎの問題ですが、価格をメ ーカーが決めて、卸は単なる取次ぎであればというときの取次ぎは、基本的にはメーカ ーが決めるのは価格だけではなくて、その数量とか支払条件といったすべてのことが決 定していて、そのとおりに履行されるときでないと取次ぎとは言わないと私は理解をし ていますが、それについてはいかがでしょうか。 ○片桐室長   そうですね。価格を決定するというのは、個別に見ていくといろいろなケースがある でしょうけれども、一般的には取引数量を含めた取引条件について前提とするものがあ って、そうであるからこそ取引価格はいくらということでお決めになるでしょうから、 当然、その価格についてお話をされるということなので、取引数量その他取引内容の話 というのもされているだろうと思います。 ○禰宜委員   今ご報告いただいた内容について、2点ほど確認をしたいと思います。今回のこのよ うな報告書は、特定のビジネスモデルを推奨しているものではなく、また、これが法的 な拘束力があるものではないと理解していますが、それでいいでしょうか。 ○片桐室長   競争政策の観点から、ここはこうした方が望ましいのではないかということで、当然 その実態調査結果に基づいてこのような提言を行っていまして、個々の事業者におかれ て、先ほども申し上げましたが、この報告書をご理解いただいて、現在の取引に活かし ていただければということです。法的拘束力があるといったようなことではありません。 ○禰宜委員   現在の医療用医薬品の一般的な流通慣行の中で、今独禁法上で何か問題点が存在して いるわけではないと理解していますが、それでいいですか。 ○片桐室長   先ほどの説明が足りなかったのかもしれませんが、今回の調査は個別の独占禁止法違 反事例を見つける調査ではありません。したがって、今回の調査結果で何か個別の違反 事例があったということはありません。ただ、一般的な取引慣行について競争政策の観 点から、ここはこうした方がいいのではないかということで提言を申し上げているとい うことです。 ○嶋口座長   よろしいですか。質問のときは、お立場がはっきりするとわかりやすいと思いますの で、ご自分のポジションだけを紹介いただいた上で質問していただければありがたいと 思います。 ○柏木委員   保険薬局協会の柏木です。1つだけ表について確認したいと思います。実態という形 で23頁の図24です。いま現在の例としては、薬価が100円で消費税抜きという形で線が引 かれて、実際に卸から90円で医療機関に入ってという形になっていますが、薬価になり ますと税込みですので、そういう意味では実態ということでしたら、ここは税込みとい う形の表現にして、卸の販売価に税を乗せて、医療機関の利益は5.5になるのが現実に 近いと思われますが、この辺が少し実態とは違うのではないかという感じがしています が、いかがでしょうか。 ○片桐室長   ここも、先ほどの説明の仕方が悪かったかもしれません。ここは実態を表わした図で はなくて、ここで申し上げたいのは、先ほど卸売業者が営業利益や販売管理費について、 メーカーのリベート、アローアンスに頼ってそれを確保していることの説明を申し上げ ましたが、この図が実態を照らしているということではありません。これは例ですので、 実態が大体90とか80になっているということではありません。あるいは、実態をより反 映した図にする意味では、消費税についてもそういう取扱をした方がいいのかもしれま せんが、ここではほんの概念図、一例ということで掲載していますので、実態を表わし ている図ではないとご理解いただければと思います。 ○嶋口座長   ほかにご意見、ご質問はありませんか。 ○加茂谷委員   製薬工業協会の加茂谷です。医療用医薬品の流通を考えるときに、避けて通れないテ ーマ・課題としては、どうしても薬価基準の存在があろうかと思います。今回の報告書 の中には、直接薬価基準についての評価という形では触れられていませんが、公正取引 委員会としては上限価格として機能している薬価基準制度について、どのように評価し ているかという点と、さらには薬価基準という制度の下における競争は本来どうあるべ きかに関して、もしコメントを頂戴できれば幸いと考えています。 ○片桐室長   この調査を進めるに当たって、先ほどもご説明しましたように、ただいまご指摘のあ った薬価基準制度を前提として調査を進めてきて、この報告書をまとめたということで す。その中で取引慣行について調査をして、それに対して競争政策上の評価を行うとい うことで、制度そのものを調査対象として、それに対して競争政策なり独占禁止法の評 価を行うという目的ではありませんので、制度自体についての評価はこの場でする立場 にはないということで、差し控えさせていただきたいと思います。  制度の下でどのような競争が望ましいかですが、先ほどの特定のビジネスモデルの話 と相通ずることがあるかもしれませんが、あくまでどのようなビジネスモデルを採用す るかとか、どのように個々の取引を進めていくかは、各事業者のご判断でして、その際 に競争政策の観点から、これとこれは望ましい点がいくつかあるのではないかというこ とでここで言わせていただいています。そういう意味では、そういう制度の下で、ここ に書いた結論・評価についてご理解いただいて、それを取引に活かしていただくことを 通じて、より望ましい競争のメリットを活かすということで、最終消費者のためにもな るし、業界全体の発展のためにもなると考えています。そのようにご理解いただければ と思います。 ○嶋口座長   私から1つ、経済課に投げかけます。従来の行政サイドから医薬品業界の指導・方向 づけをされてきた中で、今回、司法的な立場というか公正取引委員会で出されたものは 強い拘束ではないと思いますが、それでも競争政策上の評価をされて、いくつかの提言 をされていると思います。この中で、従来のやり方と変えなければいけないポイントは ありますか。もしギャップがありましたら、少しコメントをいただければありがたいと 思います。 ○武田経済課長   大変難しい問いかけをいただいたような気がします。基本的に私どもの立場を申し上 げますと、今回の公正取引委員会の報告書の中にありますように、医療用医薬品につい ては高いコスト意識に基づく購入を進めるべきとか、競争促進的な立場でのご提言をい ただいていますが、これ自体は非常に重要な観点だと思っています。  ただ、私ども競争政策的観点のみならず、医薬品の流通については、この世界の特殊 性がこれまでもありまして、過去さまざまな経緯があって現在に至っているという点を 踏まえて、総合的にこの流通をどうしなければならないかを考える立場だと思っていま す。というのも、今日お集まりの皆様方はよくご存じのことなので、改めて申し上げる のも何ですが、流改懇の前身として医薬品流通近代化協議会というものがありました。 ここが平成2年に報告書をまとめまして、平成3年から平成4年にかけて、公正取引委 員会では流通全体の透明化ということがありましたし、私どもでは薬価算定方式の変更 と仕切価格制への移行が行われました。その当時の問題意識を忘れてはならない1つの 問題があるだろうと思います。  それは、非常に大きな薬価差があったこと。その価格が非常にばらついていたこと。 それが独禁法から見て、非常に疑いのあるメーカーの行為の下で行われていたこと。こ れが、ひいては医薬品の価格に対する信頼性を失わせていたのではないか。それから、 医療機関の側では薬価差依存の経営に傾いてしまっていたのではないか。それが、ひい ては医薬品の適正使用に悪影響があったのではないか。そういうさまざまな問題点が指 摘されて、流通改革が行われ、現在の医薬品流通になっています。  したがって、本日公正取引委員会から大変詳しいご説明がありまして、競争政策的な 観点からのご  提言は非常に議論に値するべきものではあると思っていますが、医薬 品流通は過去の問題を考えますと、単純に議論をしまして過去のような問題点がまたぶ り返すようなことがあってはならない、ということも考慮に入れなければならない。そ ういうことを考えますと、今日の貴重なご提言をいただいたことを踏まえまして、この 流改懇の場には関係当事者皆様揃っていただいていますので、過去の問題点や、場合に よっては現状から新しい形を考えるに当たって、こういう点が大丈夫なのかという点も 含めて、良い流通というのは一体どういうものかを、この場でもう少し議論を深めてい ただければありがたいと思っています。私どもの立場で言いますと、一番怖いのは、さ んざん批判のあった過去の姿に戻るようなことがないように、もう少し丁寧に議論を進 めさせていただければという気持です。不十分かもしれません。 ○嶋口座長  貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。あとは、ざっくばらんに ご意見を出していただければと思います。  今回のご提言は基本的には2つで、1つは後発医薬品の問題で、これはもう少し促進 した方がいいだろうというご提言がありました。それを促進するに当たっては、競争を 阻害するような諸問題があっては困るということです。もう1つは共同購入の問題で、 これについてもより経済効率的に推進する必要がある。ここでかなり大きなテーマにな るのは、医薬品メーカーと医療機関との直接取引が、従来、何か喉につかえていた棘の 感じがしていたのですが、ここは少し棘が取れたような感じになっています。片桐室長 のお立場としては、メーカーと医療機関の直接取引が今後さらに拡大する期待があるわ けでしょうか。そのあたりをお話し願えればありがたいです。 ○片桐室長   今回の調査結果で、医療機関の側で共同購入をしない理由として、卸売業者の利幅が 非常に少ないので、共同購入の取決めを行っても大幅に安く調達できる見込みがないか らというのがあります。これは安く調達できる、つまり値引きを含めた価格競争が行わ れる見込みがないので、そうであればやったであろう共同購入がなかなか進まない。そ ういう理由がトップとして挙げられています。ここは某か競争政策の観点から見て、改 善・工夫をする余地があるべきところかなということで、そこで先ほどお話したような ご提言をしたということです。ここで競争が行われればいいわけですが、共同購入とい うのがきっかけというか、競争の場面というか土俵が広がるという意味では、望ましい ことかなと考えています。 ○嶋口座長   このあたりについては、卸のお立場からご意見があるかもしれません。松谷さん、よ ろしいですか。 ○松谷委員  卸連の松谷です。共同購入というよりも、現在行われているもの自体は、先ほどのお 話のように共同交渉のようなものが多くて、共同購入というスタイルの購入方法はほと んどないのが実情です。さらに、43頁で共同購入として例1と例2をお出しください ましたが、例1で言いますと、同じ商品をいくつかの病院でまとめて買って量を増やし たから、これがアローアンスやリベートの交渉につながるだろうというお話でしたが、 基本的には医療用医薬品は処方箋が出て初めて使われるものですから、メーカーの立場 からしたら、買う場所が1カ所になったからといって、メーカーとしての販売量が増え るわけではありません。共同購入することによって配送の頻度が少なくなるとか、共同 購入することによって従来より支払条件が良くなる、という意味でコスト的な効果はあ るかもしれませんが、例1の部分については、メーカーとの交渉の中で価格が下がる要 素はほぼないのではないかと思います。例2のように絞り込みということになりますと、 我々が開業医の先生方といろいろと商品の交渉をしているように類似であったらこちら の安い方を買いましょうという事例が大病院に出てくるなら、大きな効果が出てくるか もしれませんが、先ほどのお話のように薬事審議会等で品目が決まりますので、絞り込 みは大病院では非常に少ないのが実例です。共同購入ではなくて、共同交渉でも、例2 のように価格弾力性が出てくる可能性はあるとは思いますが、例1ではほとんど出てこ ないのではないか。そして、共同交渉、メーカーとの交渉、メーカーからの直接購入と、 いくつかの事例をもう少しきちんと分けて定義していただかないと、私どもは提言の中 で非常に混乱をしています。「これはどうなんだろう」と、いくつかの事例についてこ の前お聞きしておりますが、取次ぎの問題等について、この席でもはっきりおっしゃっ ていただきたい。また、報告書には、価格の視点だけで医療機関がメーカーと直接交渉 を行うように提言されていますので、先ほどそういう質問をさせてもらいました。 ○嶋口座長   室長、それについてはよろしいですか。コメントがなければ、別にかまいません。 ○片桐室長   共同購入(例1)だと、メーカーの立場からいうとほとんど値引きの余地はないので はないか、共同購入する意味がないのではないかということですが、我々の調査結果は、 そもそもあまり共同購入が行われていないということで、ご指摘のような観点からする と、確かに例の2のようなことまで持っていかないと、メーカーのお立場から見たとき の競争のメリットは活かせないかもしれませんが、先ほど言ったように現実的な路線と しては、例の1のようなところから例の2のようなところに持っていくという意味合い でここに掲載しました。あとは、例の1のようなところでも先ほど触れられたように、 流通のコストの段階で某か合理化できる部分があるのかもしれない。いずれにせよ、現 状あまり行われていない共同購入という実態がある中で、現実的な路線として例の1の ようなステップを踏むにせよ、こういう取組が進められていくのが競争政策の観点から 望ましいということでまとめました。取次ぎの話は、先ほどのコメントと一緒です。 ○嶋口座長   共同購入に関わる問題では、メーカーと医療機関でも同じような関わりがある問題で、 一言、二言ご意見があるのではないかと思いますが、メーカーのお立場、医療機関のお 立場、もちろん薬剤師協会のお立場、いろいろな立場からご意見をいただければありが たいと思います。 ○寺尾委員  製薬協の寺尾です。ただいまの件で意見を述べさせていただきます。文中にもありま したとおり、医療機関が寄り集まって発注を取りまとめて、単なる価格交渉を行う形態 が共同購入ではなくて、医療機関が複数集まって、なおかつ単一の取引主体として機能 しているケース、具体的に言うと窓口が一本化されているとか、納入先がきちんと1カ 所に定められているとか、傘下の医療機関に対しては医療機関内で配送が完結できるよ うな仕組が全部出来上がってこそ、初めて共同購入と言えるのではないかと思いますが、 そういった理解でよろしいかを室長に確認したいのが1点です。  共同交渉というものからいきますと、現状はなかなかインフラ側の整備がされていま せんので、こういったグループが業界内にたくさん存在することは、経済合理性のない 取引が業界内にたくさん存在することになり、かえって医薬品流通全体に与える悪影響 が出るのではないかなと理解していますが、室長もそう考えられているのかをお聞きし ておきたいと思います。 ○片桐室長   繰り返しになりますが、特定のビジネスモデルの話でしたが、ここで述べさせていた だいている提言をよくご理解いただきまして、共同購入の具体的なあり方も含めて、医 療機関も含めて、公正かつ自由な競争が行われる中で、個々の事業者のご判断で取引に おいて決定されるということで、共同購入たるべきものをその中でこれとこれについて 決められていなくてはいけないとか、何か特定のものをこうあるべきとまで申し上げて いるものではありません。競争政策の観点から、この点についてはこういった方がいい のではないかということでご提言を申し上げています。そういう意味では、経済合理性 がないもの、やり方、慣行は、逆に言うと公正かつ自由な競争が行われている限りは、 そういう経済合理性のない不効率なやり方が生き残っていくことは想定しにくいわけで、 公正で自由な競争が進められて、その方向に流通全体が向かっていく中で、ある意味で 効率の悪い、経済合理性のないものは、自然と競争が行われる中で、そういったものが 生き残っていくことは考えにくいということです。 ○嶋口座長   医療機関あるいは薬局、薬剤のお立場から何かご意見はありますか。 ○大塚委員   新聞報道だったと思いますが、全国の国立病院が医療用医薬品を一括購入するという ことが書いてありました。これに関して、本当におやりになるのかどうか、情報があれ ば教えていただきたいと思います。 ○松谷医政局長   そういう報道があったのは承知していまして、旧国立病院、今は独立行政法人国立病 院機構となっていますが、そこの内部で一括購入という仕組について検討しています。 これが具体的にどういう形になるか。あそこはブロックに分かれていますのでブロック 単位になるのか、あるいは薬の種類によるのか、いろいろなやり方を考えているようで すが、少なくとも今のやり方よりも、ずっと合理化した調達を考えてプロジェクトでや っているということで、まだ結論が出たとは聞いていません。 ○千葉首席流通指導官   経済課で把握している範囲での情報提供ですが、独立行政法人国立病院機構において は平成16年から全国一律ではなく、いくつかのブロックに分けて、一括購入ということ ではなくて、共同交渉を開始したと私どもは聞いています。 ○江口委員   2点ほど質問をします。まず、今の独立行政法人国立病院機構に対しまして、私ども ジェネリック医薬品販社協会としては、詳しい納入についてのお話を全然聞かないまま、 最終的には卸さん経由という格好での見積りというか、参画資格そのものさえも疑わし いようなことがあったのですが、その点についてお伺いしたい。  もう1つは、いろいろな意味での競争をしながらジェネリックの市場が伸びてきてい る。これは国の政策だから当然だと思いますが、伸びてくればくるほどいろいろ敵対的 なものが出てくるわけです。まだ出ていないかもしれませんが、週刊誌で、ともかくジ ェネリック医薬品を使うと癌になるということを記事として載せているところがありま す。こういうものは公取委員会として、それはマスコミだからやむを得ないという見解 に立たれるのかどうか。例えば「ジェネリック医薬は安全か。発癌性情報、副作用の報 告に現場からの不安の声」という記事名で、これだけを見ましたらジェネリック医薬品 に対する不安が増大するようなことになりまして、国の政策とちょっと変わったところ での声ではないかと。これはマスコミですので一般的な政策とは違うかもしれませんが、 公正取引委員会としてはこういう表現の仕方が適切なのかどうかをお尋ねします。この 2点についてお願いします。 ○嶋口座長   共同購入の問題は、あとの後発医薬品の話で質問を受けようと思っていたときに、既 に江口委員からそのお話をいただきました。まずは最初の質問のお答えをいただいて、 そのあとに、後発品の今言った真か偽かわからないけれども、そういう流布があること に対して何か規制があるのかどうか、という質問にいきたいと思います。最初の質問で すが、ジェネリックの場合は入っていないということですね。 ○千葉首席流通指導官   実は、私どもは直接やっているわけではありません。したがいまして、具体的にどう いう共同交渉における条件が設定されているかは、ここで責任を持ってお答えできませ んので、具体的な回答は勘弁させていただきたいと思います。 ○松谷委員  国立病院機構の入札資格というのは、そのブロック全体に対して全医療機関に配送 ができることが条件です。そのために、卸同士がアライアンスを組んで対応することに なります。今実施されているブロックで言いますと東北と北海道が一緒、四国も含めて 残りの本州全部、あとは九州と沖縄に分かれていまして、それぞれのブロックの全医療 機関に配送できることが条件になっています。また、聞いている話では、各病院でジェ ネリックをお買いになるときには、その病院自体が買う。共同発注ではなくて、単独発 注も病院には認めているということですので、完全に締め出しとは聞いていません。で すから、一応ジェネリックが交渉に入るのは、ほとんど現地の病院だと思います。共同 交渉の対象になっているのは、50数社のメーカーだと理解しています。 ○嶋口座長  ありがとうございました。これについてはそういう考え方だということで、より詳細 な点は改めて教えていただくということでよろしいでしょうか。  もう1つのご質問です。後発医薬品の促進ということを今回の調査の中から評価され ていますが、それについてもいろいろ不当な流布に近いものをやることは、公正取引上 問題があるというご提言がされていますが、今のような具体的に週刊誌に載ったものを 取り締まるかどうかというご質問ですね。これについて片桐室長がお答えする立場にあ るのかどうかはよくわかりませんが、何かコメントがありましたらお願いします。 ○片桐室長   お話しいただいた個別の事例については、私の立場で事実関係等を確認できないので、 独占禁止法で何か措置を採るかどうかといったようなことについてお話する立場にあり ませんが、今回の報告書で申し上げていますように、今回の調査自体も個別の事件を調 査するといったものではありませんが、一般的な調査の中で、先ほどご説明したような 事実に反する情報の提供とか、比較の仕方がおかしいものの報告がありまして、仮に不 適切な情報提供があったのであれば、先ほど申し上げたように独占禁止法の関係で問題 になる、不公正な取引方法に該当するということで独禁法違反になるということです。 ただ、申し訳ありませんが、個別の事例についてはお答えする立場にありません。ただ、 個別の事例については、独占禁止法の説明になってしまいますが、個々の情報提供、申 告と申していますが、情報提供に基づいて個別の事件に対する審査、調査活動の手続が 進められていることになっています。 ○嶋口座長   ありがとうございました。武田課長からお願いします。 ○武田経済課長   ご指摘のものと全く同じかどうかはわかりませんが、今週発売の週刊誌の中に「ジェ ネリック薬は安全か。発癌性情報、副作用報告に現場からの不安の声」という見出しが 出ていて、そのことをおっしゃっているのではないかと思います。私どもとしても、こ の公正取引委員会の報告書の中にありますように、事実に反するような販売方法があれ ば、具体的な事案に即して適切に指導することにしています。マスコミをということで はなく、競争上の観点から競争関係にある企業がということですが。この週刊誌で紹介 されていますのも、ある製薬企業が、ジェネリックに関して毒性その他についての不安 要因があるのではないか、と広告活動を行ったのではないかという事例のことでした。 これについては私どもとして、当該社に対して強く、そのような販売方法の中止と、取 消しといいますか、誤解を生じたことについては訂正をするようにという指導を行った ところです。見出しはちょっとあれですが、本文を見ますと、そのように問題のある事 例があって、実際に改善指導があって改善をしたという内容になっていますので、詳し く読んでいただくと、直ちに問題となるようなものではないのではないかと、私どもと しては受け止めています。 ○江口委員  確かに、内容を読んでみるとそんなに大した問題ではないような気もしますが、この タイトルが、「発癌性情報、副作用報告に現場からの不安の声」と、現場でこういう声 がすべてにあるように、誤解して読者が読まれる可能性もありますので、その辺を申し 上げているわけです。 ○目黒委員   製薬協の目黒です。今回の報告書の中で、後発に対する阻害ということがコメントさ れていますが、良質低価格な後発品が推進されていくことは、患者の薬剤費の自己負担 の軽減とか、医療費全体の抑制等を推進する国の政策等について、製薬協として全くこ れに対して異論があるということではありません。これを前置きさせていただいて、今 回の報告書の中の事例、そういう事実があることについては、製薬協の中でもきちんと 是正していきたいと、全体として動いています。ただ、そういう中で、今回の報告書の 読取り方によっては、メーカー全体がこういうふうに動いているのではないかと読み取 れることに対しては、多少、遺憾を感じているという事実もあります。一言だけコメン トとして申し上げさせていただきます。 ○嶋口座長   今のご意見は、ジェネリックに対して医薬品メーカーのほうが邪魔をしているように 取りかねないニュアンスがあるという意味ですか。 ○目黒委員  この文書の中に、そういう事例があったということがありましたので、それについて は製薬協の中でもきちんと是正していく。ただ、先発メーカー全体がそういう行動をし ているかのように読み取れる部分もあるかなということで、多少遺憾を感じるというこ とです。 ○嶋口座長  わかりました。是非この機会ですから、何かお聞きしておきたい意見等がありました らどうぞ。 ○柏木委員  特殊な業界とか特殊な流通ということを強調するつもりは全くありませんが、私たち はクスリは単なる物ではなくて、医療の手段という形の受止め方をしてまいりましたの で、常日頃の主張の中でも、この流改懇でも、価格の信頼性を主張してきたわけで、つ まり正しい価格がどこにあるかということを焦点にしておりました。今日のご提案は、 むしろボリュームディスカウント的な部分が見え、これからの流通の有り様の中に少し 戸惑いを感じていますが、願わくば、この御提案が今までの流改懇で未妥結・仮納入と いったような問題も含めて、いろいろと議論していることの改善につながるご提案にな るように、各持ち場の人たちが理解し合っていかないといけないと思っています。あら ためて確認をさせていただきますが、クスリを単なる物として考えて、ボリュームディ スカウントもありますよという受止め方をしたのですが、それでもよろしいですか。 ○片桐室長  医療用医薬品については、まさに患者の生命・健康に直接関係するということで、そ うであるからこそ、先ほどの調査結果にもありましたように、品質・安全性について非 常に皆さんは神経を使っておられる。それがために競争政策の観点から、なかなか競争 が進まないといった結果になっているという部分があるわけです。しかしながら、生命 ・健康に関係するという非常に重要な分野でありまして、そういったことで薬価制度と いう制度が設けられて、その中で、それを前提として流通というものがなされている。 そういったものを無視して、とにかく価格が安ければいい、量を増やして、とにかく安 くしろということを申し上げているわけではありません。そういった事情を踏まえて、 他方、競争のメリット、市場メカニズムといったようなものをいかせる部分については 十分にいかすことが、ひいては産業全体のためにもなると考えていまして、そういった 観点で今回の提言をしているということで、ご理解をいただければと思います。 ○柿田委員   使用者側、つまり医師側の話から、厚生労働省が今後この後発医薬品をどう啓発して いかれるかをもう1回お聞きしたいのです。実は、今日の調査の中で37頁に、なぜ後発 医薬品が伸びないかという項目で、安定供給、情報提供の問題点、品質の確保がどうか ということがあると書いてあります。まさに、そのとおりの議論をいつもしていますが、 大学の中で私どもが処方するときにどうするかというと、大体、大学病院のような大型 病院では、安いからこれを使うということは医師の現場ではしないのが普通だろうと思 います。やはり院内の医薬品の審議委員会のようなところで、この薬品を使いたいとい う要望を各種の理由を受けて審議した結果を使っています。そういう中で、まさに啓発 が十分にされていればそれらの不安が取れていますが、その辺のところがどうも伝わっ ていないのが現実ではないかと思います。  同じ調査の47頁の(3)に「消費者による医薬品の選択」という項があって、ジェネ リックが処方されているパーセントは9.9%である。もし、患者がそれを選択するチャ ンスがあったら、そのパーセントはデータ上も急激に上昇していますね。実は9.9%と いう数字が問題で、患者が十分に理解すればこちらをチョイスする。そうすると、医師 はそれをたぶん処方するだろうと思います。実際、私自身の経験でも、昨今のテレビ等 でのキャンペーンを受けて、「ここの病院ではジェネリックを使ってるか」という質問 があり、「使ってますよ」と申し上げると。「じゃあ、私はそっちを使ってほしい」と ジェネリック薬品での処方を要望される件数がないわけではないのです。  つまり、まさに啓発のところ、先ほどの問題点の解決でいろいろと対策・通知が出て いますが、9.9%しか処方されていないという実態をジェネリック業界の方が受け止めて、 仮に先ほどの発言のような不具合な記事があったとしても、本当に品質が安定している のだ、供給もこういうふうに安定しているのだというキャンペーンを積極的になさった 方が、より望まれる方向に行くと思います。  また、それらの不安が実態として9.9%ありますから、それをどう解決するかをお考 えになって進んだ方がいいのではないかと思います。医薬品の審議委員会を病院の中で やっても、医師がその処方を書かないという環境があるわけですから、そこをどうされ るかという問題だと思いますので、特に厚生労働省のお進めになる担当の方、ジェネリ ックの方々、その辺をもう少し突き詰めて議論しないと、この公正取引委員会の提言は まさにそのとおりなので、それをそれぞれの方にお願いしたいと思っています。 ○嶋口座長  貴重なご意見をありがとうございました。今のは、ご意見ということで伺いました。 まだ  いろいろご質問があるのではないかと思いますが、時間がそろそろまいりまし たので、今日の流通改善懇談会はこのくらいにしたいと思います。なかなか公正取引委 員会からこういう場に出てきていただいてご説明いただく、そして異なる立場で議論す る機会というのはなかったと思います。今日は、非常に良い機会だったと思っています。 公正取引委員会の方は、こうしろ、ああしろという、「べき論」をあまり言わなくて、 むしろそれをジャッジする方の立場で、「これは問題があるよ」という立場が中心です が、今回は調査をベースにして少し踏み込んだ今後のあり方についてお話をいただいて、 これを厚生労働省とどうやって調整しながら行政に移していくかが、これからの課題で す。そこに、我々のこの委員会が、どういうふうに議論の提言をしていくかという形に なっていくのではないかと思います。  今日はこれで終わりますが、松谷医政局長が今日の議論をずっと聞いてくださってい ますので、最後にご挨拶をいただきたいと思います。 ○松谷医政局長  委員の先生方、大変ありがとうございました。流通改善についてはさまざまな観点か らの議論が必要ですが、本日は競争政策という観点から、公正取引委員会から久しぶり に調査報告を出していただきまして、それについて詳しい内容をお伺いして議論するこ とができて、大変いい機会をいただいたと思っています。感謝申し上げたいと思います。 この点については、この懇談会でのこれからの議論にも大変役に立つ、ある意味では核 心の部分の1つだと思っていまして、そういう意味ではいい機会ではなかったかと思う 次第です。また、別の視点から引き続き流通改善の懇談会を開催してまいりたいと思っ ていますので、よろしくお願いします。本日はありがとうございました。 ○嶋口座長   次回の日程については、改めて事務局から日程調整をした上で、委員の皆様方にご連 絡させていただきます。今日はこれでお開きにします。片桐室長、小林様、ありがとう ございました。