06/11/15 第7回生協制度見直し検討会議事録 第7回生協制度見直し検討会議事録 日  時:平成18年11月15日(水)16:00〜18:00 場  所:厚生労働省7階 専用第15会議室 出席委員:清成座長、大塚委員、小川委員、品川委員、土屋委員、山下委員 議  題:(1)これまでの議論の整理      (2)その他 ○ 清成座長  それでは定刻になりましたので、ただいまから第7回生協制度見直し検討会を開催さ せていただきます。  初めに委員の出欠状況について事務局からお願いします。 ○ 千田課長補佐  はい。本日、吉野委員から欠席との連絡を受けております。また、品川委員におかれ ましてはちょっと遅れるという御連絡を受けておりますが、間もなく到着すると思いま すので、よろしくお願いします。 ○ 清成座長  それでは議事に入りますが、前回の検討会ではこれまでの議論を整理を行いまして、 残された検討項目について議論をしたわけでございます。本日は、前回皆様から頂戴し た御意見を踏まえて、報告書のたたき台として、生協制度の見直しについて、案を事務 局で作成しておりますので、それについて皆様から御意見を頂戴するということになる わけです。あわせて、前回御指摘ございました事項についても資料を作成してもらって おります。  それでは、まず初めに事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○ 花咲課長補佐  それでは資料の御説明をさせていただきます。まず資料1、生協制度の見直しについ て(案)について御説明させていただきます。本資料は、これまでの検討会における御 議論及び事務局からの説明等を踏まえ、事務局の方で取りまとめさせていただいたもの でございます。  本資料の構成でございますけれども、まず総論部分として、生協の現状と課題につい て整理いたしました。各見直し事項についての考え方をお示しした後、各論としまして 見直しの基本的考え方と、それに基づく具体的な措置の内容をお示ししております。な お、この資料は後ほど資料3として御説明いたします、前回御指摘のあった事項につい ての考え方を整理しまして、それを踏まえた形で作成させていただいております。途中、 これまでのどの議論を踏まえているのかがよくわからないと思われる部分があるかと思 いますけれども、その点御容赦いただければと思います。  早速ですけれども、I 、生協の現状と課題でございます。1、生協制度の概要と現状 でございます。  まず生協制度の概要でございますが、生協は昭和23年に制定された生協法に基づく協 同組合であり、購買事業や利用事業、共済事業などの各種事業を行っております。生協 は一定の地域または職域による人と人との結合であり、組合員の相互扶助組織でござい ます。生協は、実施事業により組合員に最大の奉仕をすることを目的としており、非営 利目的の組合員の相互扶助組織としての一面と、経済事業主体としての面をあわせ持っ ております。  生協と同じ非営利セクターの主体にはいろいろございますけれども、その公共性や公 益性の強さからは、社会福祉法人や公益法人、NPO法人に次ぐ存在として位置づけら れると考えられます。一方、制度面から見ますと、農協などと同様に協同組合として位 置づけられることになります。  続きまして生協制度の現状でございます。生協制度の発足後、組合数や組合員数は大 きく増加し、また、実施事業の種類は複雑化・多様化し、規模も拡大しております。こ れに伴い、生協は市場において一定の地位を占める経済事業主体となっており、医療・ 福祉事業においては公的保険制度等の担い手としての側面を有するに至っております。  2、組織・運営や各事業の現状と課題でございます。(1)組織・運営でございます。 これまで生協の運営は組合員の自治運営を基本とし、組合員、理事、監事がお互いの役 割を果たすことで行われてまいりましたが、近年は経営状況の悪化による解散のケース が散見され、その中には理事等による不適切な業務執行によるものも見られるところで ございます。  このような中、現行生協法の組織・運営規定は現在の生協の実態に適合しない面が多 くなっており、現在では組合員の意思が反映される運営の確保、各機関の権限や責任の 明確化、機関相互の牽制機能の強化が必要とされております。  (2)購買事業でございます。小売業総売上高に占める生協購買事業高の割合は2% 前後で推移しており、地域購買生協の特徴を見ますと、都道府県全域を区域とする生協 が多く、その取扱商品は8割が食品となっております。  購買事業の業績でございますけれども、店舗事業は不振であり累積赤字となっている 組合が多くなっておりますが、店舗が組合員による福祉活動に用いられる場合があるな ど、店舗事業は依然として生協にとって大きな意義を有する事業となっております。  一方、道路整備の進展等に伴う生活圏の著しい拡大、組合員のニーズが多様化、高度 化するなど、生協の購買事業をめぐる状況も大きく変化しておりますが、そのような変 化の中で、県域規制があることにより県境問題が顕在化し、その解消が求められている とともに、品ぞろえの充実など、組合員ニーズを満たすために適正な規模の店舗等を効 率的に展開することが必要となっております。また、近年、災害時の緊急物資提供など、 生協が組合員のみならず広く社会に貢献することが求められている場面が増加しており ます。これらを踏まえ、主として購買事業に関する規制として、員外利用規制と県域規 制のあり方の見直しが課題となっております。  (3)利用事業でございます。利用事業のうち、医療・福祉事業が大きなウエイトを 占めており、また、生協の福祉の特徴として、福祉事業に加えて組合員による各種福祉 活動を実施していることが挙げられます。そこで、医療・福祉事業については、医療の 非営利性や医療・福祉の公共性にかんがみ、その適正な事業実施が必要であり、生協の 福祉事業と福祉活動を両方育成することが課題となっております。  (4)共済事業でございます。共済事業については、近年、契約件数が増加しており、 年金共済事業などの新しい事業が実施されるなど、事業の種類は多様化しております。 また、元受共済事業を行う生協の約5割は兼業を行っております。そのような状況下に おいて、生協法における共済事業に係る現行の規制は、事業の健全性を確保し、契約者 保護を図る観点からは不十分であるため、これを改正することが急務となっております。  以上を総括しまして、3、生協制度の見直しでございますが、生協性の見直しに当た りましては、生協制度の趣旨、実態等を踏まえつつ、生協が組合員の相互扶助組織とい う生協の本旨に沿い、将来にわたってその役割を的確に果たせるよう生協制度を見直し を行うことが必要となっております。  続いて各論でございます。II、組織・運営規定でございます。まずは1、基本的な考 え方ですが、生協は、その性質から、民主的運営が原則とされております。総会は組合 員で構成される生協の最高機関として位置づけられており、生協の運営には組合員の意 思が反映されることが重要とされております。  生協の経済事業主体としての責任の増大及び事業の複雑化に伴い、業務執行機関であ る理事会や、それを構成する理事には適正かつ迅速な意思決定が求められており、それ を担保するためには、その責任の所在を明確にすることや、監査機関である監事の理事 会等に対する牽制機能を強化すること等により、組合内部のガバナンスを強化すること が必要となっております。  さらに、生協内部のガバナンスのほか、生協外部の者からの監視機能や、外部に対す る透明性を確保することも必要であり、外部の者による監視機能の強化のための措置と して、一定の範囲内での行政庁の関与も必要となっております。  このような基本的な考え方に立って、2、措置の具体的内容でございます。(1)組 合員の意思が反映される運営の確保ですが、組合員意思を反映させることにより生協内 部のガバナンスを強化するため、総会や組合員等に関する規定を見直すことが必要とな っております。  (2)機関の権限の法定化・機関相互の関係の明確化でございます。生協の役員が任 務を適正に遂行するためには、その適格性が事前に判断される必要がございます。その 上で理事や理事会、監事などの各機関の権限を明確に規定し、その権限に基づき各機関 が負うべき責任の範囲を明確にすることにより、各機関の適正な任務遂行を担保するこ とが必要です。さらに、業務執行機関である理事会等に対し、監査機関である監事によ る牽制機能を強化することにより、生協内部におけるガバナンス機能を強化することも 必要となっております。そこで、役員の欠格事由の法定化や、理事会、代表理事に関す る規定の整備・充実など、そこにございますような見直しを行うことが必要となってお ります。  (3)外部監視機能等の強化でございます。(1)、(2)でごらんいただきました ような内部ガバナンスの強化に加え、外部監視機能を強化することが必要であることか ら、(1)組合員以外の関与として員外理事枠の拡大や、(2)生協外部の者等に対する透明性 として各種議事録の作成・備付け・閲覧に関する規定の整備等を行う必要がございます。  (4)行政庁の関与でございます。生協外部の者による監視機能の強化のための措置 の一つとして、行政庁による監督が含まれます。生協が組合員の相互扶助組織であるこ とを踏まえると、基本的には生協内部のガバナンスを強化することが必要ではあります が、一定範囲で行政庁が関与することは生協の健全な運営に資するものと考えられるこ とから、行政庁の関与に関する見直しを行う必要がございます。  (5)その他としまして、購買事業、利用事業、生活文化事業、共済事業のいずれか を行う連合会については、その経営基盤をさらに安定的なものにするため、連合会会員 の1会員の出資口数の限度について見直しを行う必要があると考えております。  続きまして、生協法に定める事業としての規定順に従って各論の2つ目は、III 、購 買事業でございます。まずは1、基本的な考え方でございます。購買事業の状況や県境 問題の発生等の店舗事業をめぐる状況の変化、地域における生協の果たすべき役割の増 大に伴い、員外利用規制と県域規制について見直しが必要となっております。その際の 考え方ですが、経済政策的な規制は合理的な範囲で緩和していくという基本的な考え方 のもと、一定の地域による人と人との結合である、組合員の相互扶助組織であるという 生協の本旨や、その公共性・公益性と見直しの必要性とのバランスをとりながら見直し を行うことが必要でございます。  このような考え方を踏まえ、2、措置の具体的内容でございます。(1)員外利用規 制でございます。現行生協法においては員外利用は原則として禁止されており、ごく限 定された厚生労働省令で定める場合を除き、行政庁の許可を得なければ組合員以外の者 が利用してはならないとされております。生協は消費者の相互扶助組織であり、その行 う購買事業の特徴はそこにあるとおりでございます。  これらを踏まえ、員外利用規制の見直しに当たっての考え方でございますが、定款に 定めれば理由を問わず一定割合まで利用可能とすることは、税制優遇措置の有無等、そ の前提条件を異にする一般小売業との相違をあいまいにし、適当ではないので、消費者 の相互扶助組織という理念の中で、それに反しない限りで見直しを行うべきでございま す。  そこで、員外利用が禁止されることは維持するとともに、員外利用が認められる場合 については、可能な場合を一つ一つ検証することにより、法体系の中で個々の員外利用 限度も含め、個別具体的に限定列挙することが適当とされております。  員外利用が認められる具体的な事由についてでございますが、員外利用が生協の行う 他の事業運営に支障を来すか否かといった中小小売業者の事業活動への影響とは関係し ないような事項については、基本的には組合の判断に委ねることが適当だと考えられま す。このため、中小小売業者の事業活動に影響を及ぼす恐れがないと認めるものについ ては行政庁の許可を不要とし、一方、影響を及ぼす恐れがあるものについては引き続き 行政庁の許可に係らしめる必要があると考えられます。  また、員外利用限度の設定については、他の協同組合法の例にならい、組合員利用の 100分の20とすることを原則とするが、災害時の緊急物資提供など、中小小売業者の事 業活動に影響を及ぼす恐れがなく、その必要が認められる場合には員外利用限度を無制 限とするなど、より緩和された利用限度を設定することが適当だと考えられます。  そこで、許可の要否別に具体的に員外利用が可能な事由及びその限度の案を9ページ にお示ししております。  (2)区域に関する規制(県域規制)でございます。県域規制については、購買事業 をめぐる情勢変化に伴い、現在では広域で生活圏や生協の活動範囲をとらえて問題なく、 県域規制を見直すことは組合員サービスの向上にもポジティブに働くため、県域規制の 見直しを行うことが適当とされております。その際、生協の本旨や県境問題を含む合理 的な事業実施のためのエリアとの関係で区域の範囲を検討することが必要とされており ます。  具体的な区域の範囲についての考え方でございますが、現行の県域規制下において各 県に存在する生協のそれぞれが連接都府県との間で抱えている県境問題を解消すること が喫緊の課題であることも踏まえ、購買事業の実施のために必要な場合には主たる事務 所の所在地の都府県の連接都府県まで、都府県の区域を越えて地域生協の区域を設定で きることとすることが必要となっております。購買事業の合理的な事業実施エリアとし ては物流の観点も重要ではございますが、現行制度下でも連合会制度により物流の効率 化が可能となっており、実際、おおむねブロック単位で連合会を設立し、物流の最適化 を図っている事例も多いことから、今後とも連合会制度の活用によって対応できるもの と考えております。  続きまして、各論における3つ目の項目、IV、利用事業でございます。まずは1、基 本的な考え方でございます。生協が実施する利用事業は、簡単に申し上げれば各種サー ビスの提供と言うことができますが、そのサービスの内容については、食堂・喫茶から 医療・福祉などの公共性の高いものまでさまざまとなっております。このうち医療・福 祉事業の事業高が利用事業全体のうちに大きなウエイトを占めており、医療・福祉事業 については医療の非営利性や医療・福祉の公共性にかんがみ、適正な事業が実施される よう、必要な見直しを行うことが必要でございます。  また、生協が行う福祉が事業と活動の両面で地域住民のニーズに応えているという特 徴を踏まえ、生協の福祉事業と福祉活動を両方育てていくことが必要でございます。そ の際には、生協が狭義の福祉のほかに、さまざまな活動を推進してきたことに留意する 必要がございます。  2、措置の具体的内容でございます。まず(1)医療・福祉事業の非営利性の強化で ございます。医療には非営利性があるとされております。また、医療・福祉は公共性の 高い事業であり、医療保険制度や介護保険制度からの保険給付により蓄積された資源な どは、医療や福祉の継続性に使用されることが望ましいと考えられます。また、そもそ も生協は、農協等の他の協同組合とは異なり、利益分配制の低い協同組合であると位置 づけることが可能でございます。そこで、これらを踏まえ、医療・福祉事業の非営利性 を高めるための見直しを行うことが必要となっております。  (2)医療・福祉事業の員外利用限度でございます。医療・福祉事業については、現 行の行政通知では員外利用限度は定められておりませんが、生協は組合員の相互扶助組 織であり、組合員の事業は組合員のために行うものであることが基本である中で、組合 員のための事業という協同組合の原則を崩さない範囲内で、組合員利用の100分の100 まで員外利用を可能とすることが適当だと考えられます。  (3)医療・福祉事業の法定化でございますが、(1)と(2)の見直しを踏まえ、 生協法に定める事業として法律上独立して医療・福祉事業を規定することが適当だと考 えております。  (4)剰余金の使途たる事業の拡大でございます。地域社会における生協組合員の福 祉活動は、国民生活の安定と生活文化の向上を図るものとしてその役割が増えているこ とから、繰越義務のある剰余金の使途たる事業を拡大するための見直しを行うことが必 要でございます。  続いて各論の大きな柱の4つ目として、V 、共済事業でございます。まずは1、基本 的な考え方でございます。生協共済と保険には一定の差違が認められるものの、金融事 業の一種であることや、破綻時に契約者に与えるリスクが大きいことを踏まえれば一定 の規制が必要でございます。その際の考え方として、協同組合の特性を今後とも維持・ 発展していけるよう、他の協同組合法における規定の整備状況を参考にしながら法改正 を行うことが必要でございます。その際、他の協同組合との比較を行った上で生協の特 質を踏まえ、配慮すべき点があればそれを踏まえて見直しを行う必要がございます。  2、措置の具体的内容でございます。まず(1)共済事業に対する規制の基本的枠組 みでございます。現行法においては共済事業を実施するすべての生協に対して一定の規 制が導入されております。また、各生協が独自に共済事業を実施しているものも多く、 その規模等も多岐にわたっていることから、共済事業を実施する生協について一律に規 制措置を講じることを基本とすることが必要でございます。ただし、共済金額が極めて 低額な給付のみを実施している場合には加入者に自己責任で損失を負わせてもよいと考 えられるため、規制の対象から外すことといたします。高度な規制については生協の特 質を損なわないよう、一定の生協についてのみ上乗せして規制を講じることが必要でご ざいます。  (2)規制対象の範囲でございます。現在、共済契約者1人につき共済金額の総額が 5万円を超えないことを定める共済事業規約については行政庁の認可が不要とされてお ります。このように共済金額が極めて低額で、見舞金的な給付のみを実施している場合 には組合員の自治に委ねることが可能であること、また、5万円という額が昭和34年以 来見直されていないことから、共済事業規約の認可が不要とされている共済金額を引き 上げるとともに、共済事業に係る規制の対象から法令上も明確に外すことが適当でござ います。  (3)入口規制でございます。財政的に脆弱な生協が共済事業を行う場合、十分に契 約者保護が図れない可能性があることから、共済事業を行う生協が最低限保有すべき出 資金額の基準を設定する必要がございます。  (4)健全性(内部の体力充実)でございます。(1)共済事業とのリスク遮断でござい ます。生協は連合会も含め、組合員のニーズに応じて各種サービスを総合的に提供して おり、その意義は大きいと言え、実際の兼業状況も約5割となっております。しかしな がら、事業が一定規模以上の生協においては利害関係人が多数かつ広範囲にわたるため、 他事業の財務状況が悪化し、それが共済事業に影響を及ぼした場合に契約者に与える影 響が大きくなっております。また、再共済事業、再々共済事業を行う連合会についても、 他事業の財務状況が悪化し再共済事業等に影響を及ぼした場合には、出再している生協 に大きな影響を与えることになります。このため、規模が一定以上の共済事業を行う単 位組合及び連合会、再共済事業等を行う連合会については、当該生協は他の事業を兼業 することができないとすることが必要でございます。ただし、他の生協との契約により、 連帯して共済契約による共済責任を負担し、かつ、当該共済責任についてみずからが負 担部分を有しない生協については兼業を可能とすることが適当と考えられます。  (2)その他の健全性に関する事項でございます。生協が共済事業を健全に実施するため に、自己資本を充実させ、十分な支払い余力を確保するとともに、支払い余力を示す行 政上の指標や、それに基づく行政上の是正措置を定め、財務の健全性を担保することが 必要でございます。また、共済事業の健全性の確保のために、契約が長期にわたり共済 数理の知識及び経験を必要とする場合など、一定の場合には共済数理の専門家である共 済計理人による関与を義務づけることが必要でございます。これらを踏まえ、13ページ の下にありますような見直しを行うことが必要とされております。  (5)透明性(外部からの監視)でございます。共済事業は、事業の実施状況や財務 状況の透明性がその他の事業以上に求められる事業でございます。このため、潜在的な 組合員等に対し、業務や財務状況を広く情報提供する必要があり、また、会計処理が適 切に行われなかったために共済金の支払いが適切に行われないなどといった事態が発生 した場合、組合員の生活に与える影響が大きいことから、そこにございますような見直 しを行う必要がございます。  (6)契約締結時の契約者保護でございます。契約締結時の契約者保護の観点から、 生協やその役職員など共済を推進する者が、推進を行う上で行ってはならない行為につ いて定める必要がございます。また、共済代理店設置のニーズ等を踏まえ、共済代理店 を法令上定め、必要な制度について規定するとともに、共済推進時の禁止行為をこれら の者にも適用する必要がございます。さらに、共済期間が1年以下である場合などを除 き、生協の共済契約締結時にもクーリングオフ制度を導入することが契約者保護に資す ると考えられます。これらを踏まえて、そこにございますような契約締結時の契約者保 護のための見直しを行うことが必要でございます。  (7)破綻時の契約者保護でございます。生協の破綻等による契約者の不利益を未然 に回避することは契約者保護に資することから、契約条件の変更を可能にすることによ り共済事業の継続を可能にすることや、自賠責共済以外の共済契約についてもその包括 移転を可能にすることが必要でございます。生協破綻時の契約者を保護するため、保険 業法に基づく保険契約者保護機構のような仕組みを設けることも考えられますが、共済 事業と他の事業を兼業している場合には、共済事業の実施状況全体に占める割合や、組 合の破綻理由がさまざまなことや、兼業の有無にかかわらず、実施する共済事業の種別 がさまざまであることから、そのような仕組みを設けることにはなじまないと考えられ ます。そこで、これらを踏まえ、そこにありますような生協の破綻によるリスク回避の ための契約者保護のための見直しを行うことが必要でございます。  (8)契約者ニーズを反映した円滑な事業実施でございます。生協がその組合員のた めに共済事業を実施していることからしても、共済事業を実施する上で組合員のニーズ に迅速かつ適切に応えることが必要でございます。共済事業の健全性確保のための現行 の規制に加え、さらに規制が新設されることを踏まえれば、共済金の最高限度額の規制 について、その規制の方法を見直すことや、資産運用に関する規制の緩和を必要な範囲 で行うことは、同様に契約者ニーズを反映した事業実施に資するものだと考えられます。 そこで、これらを踏まえ、そこにありますような項目について見直しを行うことが適当 だと考えられます。  VI、その他でございます。まずは1、職域組合の退職者の組合員資格でございます。 少子高齢化が進み、地域のつながりが希薄化する中で、共助の仕組みづくりが期待され ております。特に、今後いわゆる団塊の世代が大量に定年退職を迎えることとなる中、 団塊の世代を初めとする定年退職者の共助の仕組みとして、共済事業の継続利用など、 職域組合の果たす役割は大きいと考えられます。このため、職域組合の退職者の組合員 資格を認めるための行うことが必要でございます。  2、大学生協の学生の組合員資格でございます。大学生協において、学生が、大学と いう職域の附近に居住する者として組合員になっていることから、本来の組合員に位置 づけるべく見直しを行うことが必要となっております。  以上で資料1についての御説明を終わらせていただきます。  続く資料2、これまでの検討会に提出した改正の方向性一覧につきましては、前回同 様、説明を割愛させていただきますので、御了承くださいますようお願いいたします。  資料3、前回御指摘のあった事項について説明させていただきます。冒頭に申し上げ ましたとおり、前回の検討会において御指摘のありました事項について一定の整理をい たしまして、それを資料1に反映させていただきました。  まず1ページ、総会の議決事項でございます。前回、第6回の検討会において、大塚 委員から、生協法の総会の議決事項に関する規定は総会のどのような位置づけをあらわ しているのかがわかりにくいという御意見をいただきまして、山下委員からは、そもそ もの総会の位置づけがあるとして、さらに実際上の観点からは総会の議決事項をどのよ うに考えることが必要かを検討すべきであるとの御意見をいただきました。  それらを踏まえまして2ページでございますが、現行生協法に定める総会の議決事項 は、定款の変更や規約の設定、借入金額の最高限度等の絶対的議決事項のほか、その他 定款で定める事項がございます。その他の任意的議決事項については、生協に限らず、 他の協同組合法にも共通の解釈として、各協同組合は各根拠法または定款に別段の定め がなくても総会は法令、定款等に反しない限り、組合に関する一切の事項につき議決す ることができると解されております。一方、実際上の観点から総会の議決事項をどのよ うに考えるかについてでございますが、例えば、現在、絶対的議決事項とされておりま す借入金の最高限度額は主として事業実施上の問題であり、必ず総会で議決しなければ ならないとすることは実際上の困難を伴うのではないかと考えられます。また、共済事 業規約の設定等のうち軽微な事項については、共済事業の実施方法に関する技術的な事 項を含むと考えられますが、これらについても必ずしも総会で議決しなくてもいいので はないかと考えられます。  そこで対応案でございますが、生協の総会は、総会が組合員で構成する生協の最高機 関であることから、法律に定める絶対的議決事項や任意的議決事項のほか、法令、定款 等に反しない限り、組合に関する一切の事項につき議決できると現行法上も解されてお ります。この考え方を踏まえ、実際の組織運営の観点から、他法の規定等も参考に、借 入金の最高限度額については総会の議決を不要とするなど、議決事項について必要な見 直しを行うこととしてはどうかと考えております。  3〜8ページは県域規制に関する資料でございます。4ページをごらんください。生 協が行う事業の実施区域の範囲についてでございますが、生協が行う事業ごとの適正な 事業実施区域の範囲については、一般的に、大数の法則が働くことが望ましい共済事業 は広く、住民に身近な地域でサービスを提供するという基本的考え方に基づき市町村単 位で運営されております医療・福祉事業は狭いと考えられます。生協は、事業の種類か ら見た適正な規模の観点をも踏まえ、連合会制度を活用した形で事業を実施しておりま す。  次のページ以下で具体的に連合会制度の活用について御説明させていただきます。ま ず5ページでございます。購買事業における連合会制度の活用状況をお示ししておりま す。各消費生活協同組合は、消費生活協同組合連合会として、おおむねブロック圏ごと に事業連合会を設立しております。事業連合会は、統一商品を開発したり、その統一商 品を組合員別に仕分けた上で各会員生協の配送センターまで配送するなどのサービスを 実施することなどで物流の最適化に努めております。なお、各会員生協の配送センター から組合員への物品提供は各単位生協が実施しております。  6ページでございます。各地で設立されております事業連合会の例でございます。ご らんいただくとわかりますように、購買事業の効率化を図るためにブロック単位で事業 連合会を設立している例が多くなっております。  7ページをごらんください。共済事業と連合会制度について御説明した図でございま す。地域生協のうち共済事業を行っているものは、元受共済事業を行う消費生活協同組 合連合会の会員となって大数の法則を働かせることが可能となっております。  そこで、見直しについての考え方が8ページでございます。ヒアリング時に御意見が 出た県域規制の緩和の必要性については、事業の効率化と県境問題の解消の2つがござ いました。これらの御意見を踏まえての検討でございますが、事業の効率化については、 共済事業についても購買事業についても、連合会制度を利用して、大数の法則や物流の 効率化が図られております。県境問題についての考え方でございますが、生協の現状と して、現行の県域規制のもと、各県にあるそれぞれの地域購買生協は、連接都府県との 県境において、それぞれ県境を越えた店舗の利用ニーズ等の県境問題を抱えております。 そこで、それぞれの地域購買生協がその連接都府県との間で抱えている県境問題の解決 は、組合員ニーズを踏まえた事業実施のための必要な喫緊の課題となっております。そ こで、各県の地域購買生協が連接都府県まで、都府県の区域を越えて区域を設定するこ とができるとすることにより、購買事業に係る県境問題を解決することが可能になると 考えております。  これらを踏まえて、県域規制の見直しに係る対応案でございますが、購買事業の実施 のために必要と認める場合には、主たる事務所の所在地である都府県の連接都府県まで、 都府県の区域を越えて地域生協の区域を設定できるとしてはどうかと考えております。  10ページでございます。員外利用規制の見直しについて、員外利用が認められる事由 の見直しに関する考え方をまとめております。まず基本的な考え方について御説明申し 上げます。そもそも、前提として、員外利用を例外的に認める場合においては、中小小 売業者の事業活動への影響という観点や、組合員以外の者に事業を利用させることによ り、組合が行う他の事業運営に対する支障が出ないかという観点がございます。これを 前提として員外利用規制の見直しの基本的な考え方でございますが、今回の見直しにお いて組合のガバナンス機能の強化を図ることとしており、組合員以外に利用させること による他の事業運営への支障の有無に関する判断は、基本的に組合の判断に委ねること が可能になると考えております。このため、員外利用規制の見直しに当たっては、現行 の員外利用の禁止・許可制度は引き続き維持した上で、中小小売業者の事業活動に影響 を及ぼす恐れがないと認めるものについては許可を不要とし、中小小売業者に影響を及 ぼす恐れがあるものについては引き続き行政庁の許可に係らしめることとしてはどうか と考えております。  具体的には、中小小売業者の事業活動に影響を及ぼす恐れがないと考えられるものと して、現行でも省令の定めにより、許可なく員外利用が可能とされている自賠責共済や、 災害時の緊急物資の提供などを認めてはいかがかと考えております。一方、中小小売業 者の事業活動に影響を及ぼす恐れがあると考えられるため、員外利用を認める際に行政 庁の許可を要するものとして、山間へき地における事業実施や、保育所等への食材提供 があると考えております。なお、括弧内については、考えられる員外利用限度をお示し したものでございます。  続きまして、11〜13ページまでは医療・福祉事業の非営利性の強化に関する論点でご ざいます。12ページをごらんください。前回の検討会で、貸借対照表まで区分すること は実務上困難ではないかという御意見がございました。これを踏まえて検討しますに、 生協は、医療事業や社会福祉事業を本体事業として行う医療法人や社会福祉法人とは異 なり、その性格上、事業の内容が多岐にわたる場合もあり、その点を踏まえる必要がご ざいます。例えば、介護福祉事業を行うに当たり、購買生協の施設の一部を使って実施 している場合もあり、また、その事業が一時的なものとなることも考えられ、こうした 事業の一つ一つについて貸借対照表を区分して作成することは実務上困難でございま す。これらを踏まえ、特に残余財産の帰属先を限定するとした場合には資産の区分をす る必要がございますが、上記を踏まえれば難しいのではないかと考えられます。  そこで対応案でございますが、医療事業または福祉事業のうち一定のものを実施する 生協については、前回まで御提案しておりました、生協の非営利性を強化するための措 置のうち、残余財産の帰属先の制限以外の2つの事項についてのみ見直しを行うことと してはどうかと考えております。  なお、13ページは今御説明申し上げた内容を図示したものでございますので、適宜御 参照いただければと思います。  長くなりましたが、以上でございます。 ○ 清成座長  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問 を頂戴したいんですが、どうぞ御発言をお願いいたします。  今日は生協側の御意見をぜひ伺いたいということもございまして、小川委員からも文 書が出てますね。品川委員からでも、どちらでも結構ですので、どうぞ。 ○ 品川委員  ありがとうございます。前回の検討会で幾つか残されていた論点について意見を述べ させていただきましたけれども、多くの部分でそれを含み込んだ形で中間取りまとめの 案としていただいたと理解しておりまして、事務局の御努力に感謝しております。特に 員外監事の問題について、今後どの範囲にするか等の問題がありますし、医療・福祉事 業についての経理区分の取り扱い等も実状を御理解いただいた内容だと思っておりま す。また、県域規制なり員外利用なりということについて、現実問題として私どもの実 状からしますと、さらに残されている問題がないわけではないのですが、現状諸関係の 中でこの範囲までのまとめとしていただいたことを基本的には大変ありがたく思ってお ります。  強いて言えば、員外利用等について行政の許可を必要とするものとしないものという ふうに分けていただいた上で例示いただいております。これも御提案という範囲で大変 理解できるところでありますが、さらに強いて言えば、この間の検討会でいいますと、 例えば、お試し利用というふうな言い方で、その程度のことは員外利用の例外なり対象 としていいのではないかというふうに、日本商工会議所の方などを含めて御理解いただ いていた点かと思います。現実問題として法的表現をどうするかというのは非常に難し い問題だということは私も十分理解できるところではあるのですが、なお今後引き続き、 そうした実態について実生活に合わせた扱いができるか、さらに事務局の方にも御努力 いただければありがたいと思っているところでございます。 ○ 清成座長  小川委員、いかがでしょうか。 ○ 小川委員  品川さんが感謝してしまったから言いにくくなってきましたが、言わせていただきま す。資料1のところですが、生協が厚生労働省の地域福祉課の担当となっていることは 非常に意義が高いことだと思っています。これが金融庁じゃなくてよかったなとは思っ ていますけれども、その意味で、この60年間、時代に即して、厚生労働省地域福祉課の 担当のもとでの日本での生協の活動がどうだったかということに関して、総論的なとこ ろに少し言葉が足りないなというふうに当事者としては思っています。  一つには、生協制度の概要と現状のところに、社会的存在意義、必要性ということが 余り書かれていないと思っています。  それから、これは非常に狭い視野だと笑われるかもしれませんが、生協が昭和23年制 定、今現在6000万人を超えるほどの組織になっているのであれば、「生協はその公共性、 公益性の強さからは社会福祉法人等や公益法人、NPO法人に次ぐ存在として」という ふうになっていますが、「次ぐ存在」なのか、そこは歴史的、社会的な影響力も含めて、 その表現は少し御配慮いただきたいなと思いました。  それから、1ページの一番下ですが、「各種福祉制度の担い手として」とありますが、 公的な制度の福祉だけではなくて、地域の中での生活ニーズに合わせた福祉活動も行っ ているというのを、どこか表現で落としていただけたらありがたいなと思います。  それと、2ページですが、購買事業のところで、店舗生協、無店舗事業の経営の視点 からさまざま見直す必要はあるだろうと当事者としても思っていますけれども、小規模、 店舗を持たない、あるいは店舗を持ったからというマイナス面ばかりではなくて、プラ ス面もあると思うんですね。そういう意味で、事業としての評価の点がほとんど書かれ ていないと思っています。そのあたり、無店舗で頑張っているところ、小さな協同組合 で頑張っているところをどのように評価するのか、総論のところであればそこもぜひ書 いておいていただきたいなと思っています。  それから3ページですけれども、利用事業のところで、福祉への参加、関与の機会は、 「福祉事業に加えて、家事援助等のくらしの助け合い活動や子育て支援活動など」と書 いていただいていますが、もう一つ、地域で福祉の情報提供や知識を共有するというこ とが、人育てというのはおこがましいと思っていますけれども、情報を得ることで福祉 の状況や子育ての状況、あるいは多重債務だとか、ホームレスだとか、さまざまな社会 問題に対してのある種の補完を、行政がやり切れないところをかなりやっていると思っ ていますが、それも含めて公共性としてどう表現するかをもう少し配慮していただけた らなと思っています。  それから4ページですが、生協制度の見直しのところで「本旨に沿い」というところ、 私はかねてからずっと話していたと思いますが、コミュニティへの関与と同時に、社会 的な牽制力としてという話をしました。今回、傍聴席を含めて皆さん関心があるのは生 協共済のところだと思いますが、共済だけじゃなくて、福祉も、食の安全も含めて、環 境も含めて、社会的な牽制力ということは非常に生協の存在価値として高いと思ってい ますが、そのことが余り書かれていないんですね。ぜひそれは何らかの表現をつけてい ただきたいと思います。  それから5ページで、「一定範囲内での行政庁の関与」という「一定範囲」というの はどのように想定しているかということで、具体的な内容を説明していただいたんだけ ど、7ページの行政庁の関与のところに来てもまだ見えないんです。これは法律文では ないですが、これを法律文に落としたときにどのような関与になるかということがとて も私は関心があるところで、今日ペーパーを出させていただいたところも、日本生活協 同組合連合会をナショナルセンターとしてという位置づけで、行政庁が持っているある 一定の権限を分権できないものかというふうに書かせていただいておりますが、生協の 主体性をどのように担保するかという意味では、どのような見直しを想定しているのか お伺いしたいところです。  それから7ページの(5)ですが、前回も私はすごくここにこだわったわけですが、 品川委員ともいろんな意見交換をさせていただいていて、「連合会の経営基盤をさらに 安定的なものにする」という、連合会会員の1会員の出資口数の限度の撤廃ということ です。これに関しては諸事情はお伺いしていますし、事務方にも質問させていただいて いますが、生協の一人一票の原則を考えるなら、その一票の重さの違いがここで出てし まってはというふうに私は非常に懸念していて、代替案はないのかと最後までこだわっ ているところですので、ここの見解を、こうしなければならないという見解を事務方の 方にお伺いしたいと思っています。  とりあえずそういうことですが、今日ペーパーを出させていただきました。3点出さ せていただきました。60年ぶりの生協法改正ということですが、組合員の中には生協法 制定当初から入っている人がいて、今もう80、90になっている。現実的にはそういう人 たちがいるので、その人たちの人生も含めて、あってよかったなというふうに、今回見 直ししたいという意味では、その公共性がさらに広がることを望むという意味で3点書 かせていただきました。  一つには、日本における生協の中間支援組織をつくれないものかということを書かせ ていただいております。論点としては3つ書かせていただいておりますが、一つは、社 会的な必要性の位置づけを再認識すると同時に、国際的にも世界の協同組合のリーダー シップも発揮し、民間外交の役割も果たしてきている。さらに、市民の生活スタイルの 変化にも、行政システムでは対応し切れない地域のさまざまな問題にも細かく対応して きていると思っています。そういう意味で、国が監督する協同組合の権限範囲と、地域 生協の運動と事業の連合体である日本生活協同組合連合会をナショナルセンターとして 位置づけたときに、そこに責任と権限の分権、あるいは何か明確化することで、より主 体的な地域に根づいた活動ができることを望みます。それは結果として、言葉は非常に 難しいですけれども、生活の安全保障と書かせいただいておりますが、地域でのセーフ ティネットをつくる一つの組織として活用できる可能性は十分に持っている組織だと思 っています。  それを踏まえて、共助の仕組みとしての地域生協の役割ということで書かせていただ きました。2番目です。介護保険法施行後、福祉のサービスは増大しました。それは株 式等さまざまな事業体が参入してきたことによって、かなり量は確保できたし、質の確 保もそれに伴い、情報の公表等、評価というものも言えるようになってきました。やっ と選ばれる量が確保できて、評価ということができたわけですが、一方で、社会化した ことのメリットと、もう一つ懸念されるのは、市場化されることによって福祉の領域に 経済の合理性が強くなってしまうと、経済的・社会的弱者に対しての福祉がどのように 担保されるかの議論がおろそかになる可能性もあります。そういう意味で、生協がつく ってきた共助の仕組みづくりを一つのモデルとして、地域版の安全保障制度のようなも のをつくる一つの機関としての役割をぜひ考えていただきたい。これは高齢者問題だけ じゃなくて、既に多重債務や教育問題、教育問題というのは引きこもりも含めて、いじ めも含めて取り組んでいる、家庭内暴力の問題もあるということをぜひ考えていただき たいという意味です。  3つ目ですが、この委員会ではなかなか議論し切れなかったんですが、福祉の活動資 金の確保ということを明記していただいたのは本当にうれしく思いましたけれども、自 助・共助を持続可能にする資本の形成を何らかの形で図れないかなと思っていますので、 生協の役割として、さらに公共性・公益性の高い法人としての位置づけをさらに高めて もらい、その税制の優遇が揺るぐことなく維持されていって共助の仕組みが持続可能に なることを望むということを最後につけ加えさせていただきます。  以上です。 ○ 清成座長  はい、どうも。そのほかの委員の方々の御意見を伺った上で、事務方の方で回答すべ き点がありましたら御発言いただきたいと思います。 ○ 土屋委員  幾つかあるんですけども、まず1ページの2つ目の「○」で、「社会福祉法人等や公 益法人、NPO法人に次ぐ存在として位置づけられる」と書いてありまして、そのとお りだと思うんですけれども、それはなぜかというのを少し書いていただいた方がいいん じゃないかなという気がします。そのことは11ページのところで(1)の3つ目の「○」 のところで、「非営利性を高めるための見直しを行う」というふうにされていて、1ペ ージに列挙されているのも非営利の組織なり法人でありますけれども、生協の場合も全 体として非営利の組織ですので、医療とか福祉について非営利性を高めるというのは、 全体として非営利の組織だということとうまく整合しないんじゃないかなと思いまし た。むしろ、医療とか福祉については公共性とか公益性とか、そういう観点で説明した 方がいいのではないか。  なぜそう思ったかといいますと、公益法人制度の改革の議論がずっとあって、制度化 もされたんですけれども、その中で今の公益法人、全部非営利でありますけれども、そ の中で実際に内容等を見ると公益性のあるものと、公益とまでいかなくて共益のような 形でとどまっているものでありますとか、事業の内容が公益的かどうかとか、そういう 観点で整理がされてきたということがありますので、そういうことも参考にしていただ いて整理してもらった方がいいのではないかなと思いました。  それから4ページなんですけれども、一番下の「○」に、「業務執行機関である理事 会やそれを構成する理事には」という表現があって、同じような表現が何回か出てまい ります。4ページのところは現状のことを指されているのでこれでもいいのかなという 感じがするんですけれども、監事の強化との関連で述べられているところが後で出てき ますけれども、今の理事会とか理事と、ここで提案されているのは理事会の法定化と代 表理事制の導入なので、そうすると業務執行機関である理事会やそれを構成する理事と いうのは、代表理事制のもとでは変わってくるんじゃないか。理事の中でも理事会の構 成員たる理事と、代表理事だとか、業務執行理事だとか、業務執行をする理事に分かれ てくるんじゃないか。理事会の方はむしろ監督機能みたいなものをしっかりやってくれ るのかどうかというふうな形になるのではないかなと思います。  それから11ページ、先ほど申し上げたことの続きのようにもなるんですけれども、 (1)の3つ目の「○」の中で、「医療・福祉ごとに区分して経理」をして、「資金移 動は行わない」、あるいは、「剰余金の割り戻しを禁止する」ということが書かれてお ります。一番上の「○」では、「医療・福祉は公共性の高い事業であり」、「蓄積され た資源などは医療や福祉の継続性に使用されることが望ましい」と書かれていることは、 これを考え方なり、規範のような形で考えるのはそのとおりと思うんですけれども、具 体的な会計のところに落としてやろうとしますと、じゃあどういうものであればこのと おりになるのか、そのことが必ずしも明確にはならないのではないかなと。ですので、 これを会計上の規制として考える場合に、厳格な形ではなかなかやれないのではないの かなと思います。3つ目の「○」で、「対象となる事業に係る剰余金」とありますけれ ども、一番下の(4)には「繰越義務のある剰余金」とありまして、同じ剰余金ですけ れども、ここは中身が同じものを指してないんじゃないか。下の方の剰余金というのは 生協全体の処分前の剰余金を指しているんじゃないか。上の方は、私の推測ですと、医 療とか福祉とかという事業から出てくる、農協の場合ですと事業利益だとか言ってるん ですけど、そういう事業にかかわる剰余ではないかなと。そんなことで、同じ剰余金で も中身が違うのかなという気がしております。  それから14ページでありますけれども、(5)透明性(外部からの監視)という中で、 一定以上の共済事業を実施するところについては外部監査の義務づけということが書か れております。一般企業の場合、外部監査といいますと、上場企業などに対する法定監 査の問題があって、それについては継続企業の前提がおかしいとか、そういう場合は不 適正意見が出されてますけれども、それ以外についてはそういうことは普通はない。上 場企業の場合は、監査をしますと、間違っていれば修正をして正しい財務諸表をつくる と。不適正意見が出されますと上場廃止になりますので監査人の言うことを聞くという ふうになっています。ただ、会社法の大会社に係る監査の場合は、実は相当数の不適正 意見が出されていて、それは不適正意見を出してもらっても痛くもかゆくもないという ことなのかどうかわかりませんが、そういうことが現実にあるということですね。それ で、私ども農協の場合は中央会が外部監査を農協法上位置づけられておりまして、500 人の専任の職員をこれに充てて監査をやっています。そこでは必ず財務諸表の修正をさ せることもやっていますし、もし経営状況の問題があればその改善もやらせるというこ とになってるんですが、生協の場合にそういうようなことが、簡単ではないと思うんで すけれども、全く不可能なのかどうか、そういうこともお聞きしたいなと思います。 ○ 清成座長  はい、ありがとうございます。両先生、いかがでしょうか。 ○ 大塚委員  私の意見は共済に集中しているんですが、共済代理店の話がこの委員会では余り論議 されないままで、ここで整理していただいて出てきたところですので、ここで本質にか かわるということに資料をいただいてから気づきまして、端的に申し上げますと、例え ば購買事業で、生協で購入してもらったものの配送をクロネコヤマトに頼めるかという と、何かちょっと違うものがあるような気がするんですね。生協はその事業を推進する 上で、その事業推進をアウトソーシングできるかという本質的な問題がまずあって、で きないことはないと思うんですね。コストの問題で生協のトラックをどうしてもそっち へ持っていけないから、そこを縦横に走っている佐川に任せるとか、そういうことはあ ると思うんですが、全体的に配送はクロネコヤマトとか佐川とか、全部アウトソーシン グすると、やはりこれは協同組合制に抵触するところがあるんじゃないかなという気が するんですね。  購買事業でまさかそういうことはしないだろうし、生協の品物をダイエーで売っても らうとかそういうこともないと思うんですね。この共済代理店の話は、もしかすると生 協の共済という商品を損害保険会社がやっているような代理店に任せるということで、 ちょっと踏み越えてしまうとアウトソーシングになっちゃうんじゃないかなという本質 にこの間気づきまして、資料2を見て気づいたんですけど、資料2の12ページに、一番 上に共済代理店に関する規定の整備というのがありまして、「共済代理店の設置に関す る組合のニーズがあること及び組合の委託を受けて業務の一部または全部を行う者に対 しても共済推進時に禁止される行為に関する規定が適用されることが必要である」と。 このことから、共済代理店に対する規制というのは、現在の保険業法の300条に係るよ うな募集のときの不適正募集のようなことを共済代理店にかけようというふうに進んで いるように見受けられるんですが、その前に、共済の販売がアウトソーシングできるの かなと。購買の配送を佐川に任せるとおかしいと感じるように、共済も全く外部の代理 店にぽんと任せるのは、どうも全面的アウトソーシングは違和感があるんじゃないかと 思うんですね。ですから、共済代理店に関する規定の整備というのは、まず1番目に、 どういう場合に共済代理店が使えるのかという規制があって、もしそれを任せられたら さ、業法と同じ規制がかけるのさというふうに2段階になるんじゃないかなという疑問 に気づきまして、そうすると、共済代理店設置に関する組合のニーズというのは、どう いう生協がどういうニーズがあるかというのは僕も正確には把握してないんですが、そ のニーズの限りにおいてというのがまずあるのかなと思うんです。それがまず第1点で、 こちらはかなり協同組合の本質にかかわる事業のアウトソーシングということにつなが ってしまう問題だと思います。  それからもう一つなんですが、これは簡単な話です。資料1の15ページで、契約条件 の変更、予定利率の引き下げ等ですね。予定利率の引き下げって明確に入ってしまいま したので、結構どきっとするところがあるんですけれども、これは保険業法のときには 大変どきっとする問題だったわけでして、保険会社が破綻するくらいだったら予定利率 を引き下げていいんじゃないのといって、ぎりぎりまでいってどこもやらなかったとい う、救われたという経緯がある問題でして、契約条件の変更を今回設けることについて、 以前私が申し上げた点からいうと、協同組合の共済であるという特徴からするとこれが できるのが本質なんですが、予定利率の引き下げ等というのは条文には入らないんです よね。予定利率の引き下げと入れちゃうと問題がすりかわって、どきっとする問題にな る恐れがあるので、契約条件の変更に関する規定というのは、共済事業の中に入れざる を得ないんだろうけども、共済事業特有の話ではなくて、協同組合だからやれるという ような書き方をした方がいいのではないだろうかと。今は条文についての名案がござい ませんので、後でもうちょっとよく考えますので、また事務局の方に御提言申し上げよ うと思います。  私は以上2つです。 ○ 清成座長  山下委員、どうぞ。 ○ 山下委員  おおむねこの検討会の御議論をうまく反映していただいておりますので結構かと思い ますが、共済のところの兼業規制をどうするかというのが一番重要な問題で、ここでは 13ページで、規模が一定以上という切り口などで、認める場合とそうでない場合という のがあるだろうと。そのまとめは意見集約としてはそういうことかなと思います。兼業 を認める場合に、その弊害をどうやってうまく抑えていくか。それは健全性に関する事 項等で、導入すべき規制のことがいろいろ書いてあって、その中で解決されていくかと は思っているんですが、兼業を認める場合に、準備金であれ、ソルベンシーマージンで あれ、いろいろ難しい問題がありそうだなということで、兼業を認めるということを前 提としてその弊害が出ないような規制を工夫すべきであるという、そういうことは明確 にしておいた方がいいかなと思っている次第でございます。  大塚委員が御指摘の代理店の話はなかなか難しいところがあって、要するに代理店の チャネルで何をしたいと考えているのか、そこがまず明らかにならないと。大塚委員が 言われたように、一定の目的があるのであれば、それを法律に書くのかとかそういうこ とになっていくかと思うんですが、その必要があるのかどうか、まずどういうことで代 理店のチャネルが考えられるか、そこの認識を全員で共有しておいた方がいいかなとい う気がいたします。  以上です。 ○ 清成座長  随分本質的な論点が幾つか出てきてると思うんですね。小川委員が最初におっしゃっ た生協の存在意義、それとかかわるんですが、土屋委員が御指摘になった公共性という ことですね。生協が提供するサービスというのは実は公共財ではなくて私的財なんです よね。公共財というのは、公園だとかその辺の道路のようにだれでも使える、排他性が ない、コストを払わなくてもいいということですよね。だけど生協で何かものを買おう とすれば組合員にならなきゃならない、コストを払わなきゃならないという点があって、 だから公共財ではないんですね。公共財でないにもかかわらず公共性を持つというのは どういうことなんだろうかと、そこの説明が生協さんの側から必ずしも十分にできてな いんですね。そこをどう考えるのか。  例えば、山下先生の所属する東京大学は国立大学法人であると。国立だから東京大学 の提供する教育サービスは公共財かというと、そうじゃないんですよね。授業料払わな きゃいけないし、まず入試に合格しなきゃならないと。だから完全に排他性があるんで すよね。私的財にかなり近いものなんです。にもかかわらず東京大学が公共性を持つと いうのはどういうことなのか。入学した学生はディグリーを取れる、専門知識を受ける ことができるというメリットがあるわけです。だけどこれは個人的メリットですよね。 授業料の対価としての。にもかかわらず東京大学が公共性を持つというのはどういうこ とかというと、人材を社会に輩出することによって社会の問題を解決したり、社会の競 争力を強めるということがあれば、これは社会的メリットなんですね。  例えばこれは私立の早稲田大学の場合でも全く同じことであって、学校法人であって も社会的メリットが大きければ公共性があるというふうに判断できるんですよね。しか し、学校法人であっても、定員割れを起こしていて、2分の1以上の定員割れがずっと 続くなんていうことになったら社会的なメリットが何もないんですね。社会的に有為な 人材をつくり出してるとは到底思えないわけです。そうすると学校法人であっても公共 性はないのではないかというふうに言われるわけです。東京大学でも工学部の電子工学 科というのは定員割れのピンチに実は来てるんですね。仮に東京大学工学部の電子工学 科が大変な定員割れを何年も続けたら、その学校は公共性がないというふうに言われて も仕方がないという面がなきにしもあらずなんですね。  だから、生協は存在するがゆえに公共性があるというふうには言えないわけです。存 在するがゆえにではなくて、生協がこういうファンクションを果たした場合には公共性 があるというふうに言わないと、社会的には説明できないわけです。そこのところをど う整理して書くかという話になってくるんですね。  その点と、大塚先生が問題にされたところ、つまり、生協の本質にかかわるところに ついてはアウトソーシングできないんじゃないかと、全くそのとおりなんですね。だけ ど、本質にかかわらないところだったらどんどん出していいわけですね。それを今やら んとしているのが行政の市場化テストという話ですよね。社会保険庁とかハローワーク は市場化テストに出してもいいんじゃないかという議論があるし、現に検討されてるわ けです。  同様に、例えば早稲田だとか法政は図書館業務を紀伊国屋に出しちゃってるわけです。 これは高等教育の本質にかかわらない部分が随分あるから出しちゃってるわけです。そ うすると、今度は国立大学法人の図書館業務を出してもいいんじゃないかとなったら、 これも市場化テストの対象になり得ると思うんですね。しかし、大学の授業の本質的な 部分というのはアウトソーシングできないですよね。それと同じで、生協の場合でも、 生協の本質的な部分というのはアウトソーシングできないと考えるべきで、そこは何な のかということですよね。そこのところをきちんと整理する必要があるのかなと。一番 根本的なところはそういう気がしたわけです。  今、中小企業大学校というのは全国に9つあるんですね。そのうちの1つを市場化テ ストに出してるんです。つまり大学校であって大学ではないんですね。学校教育法に規 定する大学じゃないものですから。といって国の政策にかかわってるわけです。だけど、 かかわってない部分はアウトソーシングしてもいいだろうと。例えば中小企業診断士の 資格を付与するとかいうのは国の政策と非常にかかわってますから、そこはアウトソー シングできないだろうと。しかし、単なるセミナーだったら出してもいいんじゃないの という話になるわけです。  そういう意味で、生協の本質的な機能というのを限定的に少し整理してみて、そして 存在意義を言わないと、存在するがゆえ生協は意義があると思ったら、そうではないん じゃないのという感じがするわけです。  品川委員、そういう議論というのは生協サイドでは今まであるんですか。 ○ 品川委員  世界的に協同組合とは何かとか、定義は何かとか、協同組合の運営原則とは何かとい うのを、時代時代で何度も論議をしてまとめてきている経過はございます。そんな中で 今座長がおっしゃった点ですけれども、煎じ詰めますと、協同組合の本質というのは組 合員による出資と運営と利用だということ、それが組合員の手によってなされていると いうところにあると私は思っております。運営という場合に、生協としての方針なり計 画なりの策定の意思決定というのが組合員の手で行われているというところにあると思 っています。  先ほど大塚委員が、生協の配送について外部委託をする件について御発言なさってい ましたが、現実問題としては、効率のよい配送をするということで、職員による配送、 配送会社に委託する部分を両方使いながら配送を行っているというのが現実でして、配 送するルートを決め、そこについて委託をするということは十分にあり得るのではない かと思っております。  それから、共済代理の点についていうと、極めて具体的には、労働金庫のような、協 同組合理念ということでは生協と同じくする金融機関があるわけです。全労済等もそう ですけれども、そもそもの生協ができてくる経過で労働組合を母体にしてできてきたと いう歴史的経過などもあり、その点では労働金庫などとも出発点が同じだということも あって、具体的には労働金庫との提携事業を何とかできるようにしたい。それが組合員 にとっての利便・サービスにも直接つながるんだという意味で、生協側として求めてい る内容ということでありまして、趣旨からするとそんなことであり、協同組合のありよ うということから、ある意味その延長の中でこれについても考えていただきたいと思っ ているということであります。 ○ 清成座長  そうしますと公共性ということは説明しにくいですね。今のお話からしますと。つま り、組合員のためということになると非常に閉鎖的な組織になるわけですね。そうする と社会的メリットをどう説明するかと。最近の福祉事業、利用事業のように、地域社会 のコアになるというのを持ち込んでくれば社会的メリットというのは説明できますよ ね。それと同様に、例えば購買事業等についても、どういう論理で社会的メリットとい うものを、安全性とかいろんな形で一般の企業に先行して商品開発をやると、それがヒ ットすれば当然それは普及しますよね。生協外のところに。これは社会的メリットにな ってきますね。そういう先端性を持っているとか、そういうような説明だと思うんです ね。 ○ 品川委員  公共性ということで私どもが考えているところを十分発言できませんで申しわけあり ません。おっしゃっていただいたように、購買生協の購買事業を通じての公共性という のはおっしゃるようなことで、生協の場合には消費者による運営ということが意思決定 の基本構造としてございますから、その時代その時代の消費者問題ということが生協の 事業上の商品選定ですとか、取り扱いの中身に反映した扱い方針になってくる。食品の 安全性が問題になる時期ですと、生協の事業の中では先進的に、安全性をより高めた商 品の取り扱いをする、そのことを多くの消費者が学習したり、お互いにお薦めし合った りという関係の中で、それぞれの地域で商品の安全性についての見る目が広がっていく。 そのことが、他の事業者が同じような商品を扱っていくことにつながっていく。そうい う関係があると思うんですね。  あるいは、事業上ストレートということだけではなくて、例えていいますと、その時 々の消費者問題、最近ですと消費者契約、サービスをめぐるいろんな消費者トラブルと いうのがございますけれども、そうしたことについて、これは直接すぐ生協の事業とい うことにはなりませんが、組合員相互の学び会う活動だとか、地域活動という中で、組 合員同士で被害に遭わない消費者になっていこうといういろんな活動がされる。あるい は、何かあったときの相談などが組合員同士でされる。そういう状態が地域で組合員の 比率が増えていくと、組合員だけということだけでなしに、その地域全体で、町全体で、 消費者全体がそういう消費者としての権利を具体的に知った消費者をたくさんつくって いくということにつながり、そういう点でも、公共そのものではありませんけれども、 公共性を持った生協の活動という具合になっていくものだと理解しています。 ○ 清成座長  つまり社会的メリットをどれだけ生み出すかと。消費者問題を先端的に、どこに問題 があるかというのを発掘して、その問題解決について一石を投ずる、それがいずれ社会 的に広がっていくという社会的メリットを強調するということなんだろうと思うんです けどね。 ○ 小川委員  生協が60年間行ってきた事業活動、それに伴う組合員活動から派生した利用事業、自 分たちが納得いく助け合いの仕組みとしての共済事業に転移してきてるんですが、生協 の運営のやり方の点検とその評価をすべきではないかなと。それは何も事務方にしても らうことではないんでしょうけれども、そこが書かれていないところが、なかなか公共 性が言いづらいところかなと思いますが、今日私が出したペーパーの3つは、生協制度 見直し検討会あてに出していますけれども、生協陣営全体にぜひ考えてもらいたい論点 であると思っています。農協が中央会で果たす役割を今後どのようにというのを模索し ながら来ていると思いますが、生協においても、これだけ利用事業の中で公益性の高い 事業が出てくると、それをメンバーシップの問題だけではなく、人々が使えるようにし ていくためにはという意味で、中間組織のあり方というふうに思っています。  しかもこれは福祉だけではなくて、金融問題も含めた、子どもの教育問題も含めた、 社会問題の解決と、地域の中に外国人がとてもたくさん住むようになってきている問題 として、国際問題も、外国人人権の問題も含めてどう機能していくかということに一歩 踏み出せるのではないかと。これだけ世界の生協ともやりとりをし、協同しているとこ ろだからということも含めて、生協陣営の中がその表現をなかなか整理できていないの ではないかという意味も込めて、この3点を出させていただきました。  おっしゃるように、生協の存在だけが公共性だというふうには思っていませんが、こ の60年の間で、特に1985年から2000年にかけてバブル経済が非常に流動的に動いてい る中で、生協が果たした役割、経済合理性だけで流れていったことで地域の中での生活 の不安定が起こったことに対して、生協の福祉や共済事業が生まれてきた経過を踏まえ て、そのように表現させていただいたというふうに理解しています。 ○ 清成座長  中間組織の問題は生協の組織の内部の話じゃないかという、どんどんおやりになれば いいという、つまり法的に規定しなくてもいいわけですね。組織がこうあるべきだとい うことを法律で規定する必要もなくて、中間組織をファンクションとしてどんどんつく られればそれで済むことではないかと思うんですが、そうではないんですか。 ○ 小川委員  そうは思っています。法律の中に書く問題ではなくて、ただ、行政関与の問題をどの ように考えるかというのと、今回出てきた問題では外部監査の問題がありましたけれど も、そういうことも含めて中間支援組織のあり方というのを、まず生協の中で議論すべ きだとは思っています。行政関与の問題とリンクして考えています。 ○ 品川委員  今の点で、行政関与、外部監査の件で先ほど土屋委員からも御発言がございましたけ れども、農協法の場合は中央会というのが法律上も位置づけられていて、その中央会に 外部監査の機能も法律上位置づけられているという構造があります。生協の場合には、 農協中央会のような全国的あるいは県ごとの組織が法律上全く位置づけられておりませ ん。したがいまして、全国連合会というのも共済を中心にする連合会を含めて幾つあり ましょうか、7つ、8つ存在しているという関係ですし、法的に位置づけて行政の機能 をそこに付与するというふうには生協の場合にはなかなかならないと思っています。全 国連合会のありようというのは生協陣営の中で自主的にやれることは幾らでもあり得る わけですけれども、実際にはそういう法律構造のもとで各種各様に生協、全国連合会も あるところに生協の特徴があるんだとも言えると思っておりまして、そこは今後私ども の中でどういうふうにしていくかということだと思います。 ○ 清成座長  外部監査と理事会権限の問題は連動すると思うんですけれども、これは土屋委員の御 指摘のとおりなんですけれども、学校法人の場合は私立学校法を2年前に変な形で改正 しちゃったんですね。理事会とか理事長の権限と責任を明確化したんですね。これはい いんですけど、理事会というのは意思決定機関なんです。同時にチェック機関なんです。 そして、理事会の中に執行メンバーがいるわけです。そこが執行を担当すると。じゃあ 執行を担当するのはだれかというと、理事長とか常務理事とか、つまり理事会の中心メ ンバーなんですね。そうすると、事実上、理事会が意思決定とチェックと業務執行と3 つのファンクションを持っちゃって、極めてあいまいな形になってるんですね。だから 監事機能を強化し、かつ外部監査を義務づけてるんですよね。そこでバランスをとって るんです。だから、このチェックの仕方とか理事会権限というのは、あり方が何通りか あるように思うんですね。どこでどうバランスをとるかという話なんだろうと思うんで すが、これは生協のこれまでの果たしてきた現実とのかかわりで、意思決定とチェック の問題、業務執行の問題というのは決めるべきことなんだろうと思うんです。そこは農 協と違うのかもしれませんですね。  事務方にも御質問があったんですが、何か。 ○ 花咲課長補佐  それでは御質問に対してお答えさせていただきます。  小川委員から、行政庁の関与の一定範囲の範囲について非常に気になるという御発言 がございましたけれども、生協については自治運営が基本であるということが私どもの 基本的なスタンスでございまして、それを行政庁が大きくかかわっていくというもので はないというのが基本的スタンスであるということを、まず強調しておきたいと思いま す。現在の規制改革の流れは事前規制から事後チェックの流れの中にあるということを、 以前、座長もおっしゃっておられまして、その流れについては私どもとしてもそう思っ ておりますので、その基本的考え方に立って一定範囲について決めていくことが必要だ と思います。現在生協法に定められています設立の認可とか、基本的な行政庁の関与に 加えて、今回の見直しについて一点だけ考えておりますのが、解散命令の事由の範囲の 拡大ということでございます。解散命令というのはまさに事後チェックの最たるものだ と思っておりまして、そこについて現行法ですと、員外利用の禁止に違反した場合とか、 ごく限定的な場合にのみ解散命令が認められているということから、そこについてはも う少し解散命令を出せる範囲を拡大する改正をしてはどうかと考えております。  それから、連合会の会員の出資限度の規制について、その改正の必要性についてどう 考えているかという御質問がありましたけれども、資料3でごらんいただきましたよう に、現在、連合会制度というものを活用していろいろな事業の実施がされていると。生 活圏とかいろいろなものの拡大に伴い、連合会が果たすべき役割は非常に増大している と思っています。そのような中で出資制限があるがゆえに、最初に連合会を設立する際 の財政的な基盤なりが小さくなってしまうと、連合会の経営基盤が安定的ではなくなっ てしまうのではないかと考えておりまして、連合会が果たす役割が増大しているという 昨今の事情にかんがみまして、経営基盤を安定的にするためにこういった見直しが必要 なのではないかと考えております。小川委員が御懸念の点については、事務局の方から も何回か御説明させていただいていると思うんですけれども、民主的運営というのは生 協の基本理念の部分だと思いますので、議決権の平等というのは今後ともきっちり守ら れる必要があると思いますし、出資口数の最高限度というのは定款の記載事項になって いると思いますので、会員間でチェックを働かせることができるのではないかと思って おります。 ○ 清成座長  今おっしゃったことにちょっと補足しますと、事前規制から事後チェックへというの は基本的に性悪説なんですよ。性善説に任せると、つまり市場に任せる、経営陣の自由 度を拡大する、それで性善説に立つとどうなるかというと、あの建築の構造計算偽装、 まさか審査機関が審査をさぼるなんて思ってないわけですよ。一級建築士がごまかすな どとも思ってないわけです。あれは官から民へという流れに沿ったものですけれども、 その場合に性悪説に立ってルールをうまくつくらなきゃいけない。生協がうまく運営で きるようなセーフティネットみたいなものをルールとしてつくらなきゃいけないわけで すね。そこは行政がつくることになるわけです。そういう意味では行政の関与というの はどんな場合でも必要ではないかということなんだろうと思うんですね。民主的運営に 関与するというのではなくて、民主的運営がうまくいくようにルールをきちんとつくっ ておくということなんだろうと思うんですね。 ○ 小川委員  今のはよくわかりますけれども、その他のところで、一人一票の出資口数の問題、そ の理由はわかっているんです。経営の安定ということを踏まえて、この間いろんな方と 意見交換してきましたからわかるんですが、これしか本当に方法がないのかという意味 があるのは、口数の制限を撤廃したら一票というのをどうやって担保するか、何かそこ に補足はできないものかというふうには思っていますので、ぜひ考えていただきたいと 思います。 ○ 品川委員  今の点ですけど、連合会の出資限度2分の1というのを撤廃しても、運営の原則であ る一人一票というのは何らいじる関係ではありません。連合会の場合ですと一人という のは一会員一票制ということを原則としますから、これは極めて当然に継続して守られ ていくことになりますね。ただ、連合会の場合には一会員一票制ということに加えて、 一人一票制という場合に一生協の組合員の数というのを全く無視するのかというふうに いうと、必ずしもそうではなくて、一定範囲で組合員数に応じた議決権配分ということ は、現実には連合会の議決権ということではされていまして、いずれにしても一人一票 制というのを前提にした運営というのは極めて当然のこと、ましてや出資金に応じた議 決権配分なんていうことはどこからも出てこないことだと思っています。 ○ 清成座長  まだまだ御意見はあろうかと思うんですが、そろそろ予定の時間が参りましたので、 より一層御意見がございましたら事務局の方にお出しいただきたいと思いますし、今日 が最終の委員会ではございませんので。  それでは次回の日程につきまして事務局から御説明をお願いいたします。 ○ 千田課長補佐  次回の日程につきましては11月22日水曜日、16時から18時まで予定させていただ いております。開催場所等詳細につきましては後ほど改めて御連絡申し上げたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○ 清成座長  ということでございますので、御意見がございましたら、引き続き事務局の方に出し ていただきたいと思います。 ○ 中村社会・援護局長  次回開催まで期間も短いものですから、追加の御意見等がございましたら、大変恐縮 でございますが、できるだけ早くお願いしたいということと、今日の御議論を踏まえま して、私どもの方も御指摘の点、あるいはもう少し明確にしなければならない点などに ついては努力してみたいと思いますので、また次回、どうぞよろしくお願いしたいと思 います。  また、共済代理店のお話も出ました。この青いファイルの中には共済代理店の資料な んかも入っておりますけれども、もう一度次回その辺を整理して、また、共済代理店に 限らず、御指摘のあった事項についてはもう一度資料を提出して、次回も御審議願いた いと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 清成座長  それでは今日の会合はこれで終わりにしたいと思います。どうも皆さん、ありがとう ございました。                                     (了) (照会先)  生協制度見直し検討会事務局          厚生労働省社会・援護局地域福祉課(内線 2854、2875)