06/11/10 第68回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第68回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2006年11月10日(金) 14:00〜16:10 場所:厚生労働省専用第21会議室(17階) 出席者:  労側委員:稲垣委員、岡本委員、鴨委員、篠原委員、龍井委員  使側委員:吉川委員、松井委員、山崎委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、今田委員、佐藤委員、林委員 ○横溝分科会長  ただ今から、第68回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。本日は、樋口委員、 奥山委員、前田委員の3名が欠席です。  それでは、早速議事に入ります。本日の議題は、「今後のパートタイム労働対策につい て」です。前回約束したように、これまで議論いただいた論点ごとに、公労使の意見を 対比した資料を用意しましたので、これを基にして総括的な議論をいただきたいと思い ます。  その前に、前回の分科会において、山崎委員より要望がありました「各種手当の企業 規模別の支給状況について」事務局に資料の準備をしてもらっていますので、これにつ いて事務局より説明をお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  説明します。お手元の資料No.1ですが、前回までに出したものを規模別に見たもので す。簡単にコメントさせていただきますと、まず「通勤手当」は、見ての通り、規模が 小さくなるにつれて正社員・パートタイム労働者とも支給率が下がってくるということ です。ただ、これはあくまでも払うべき人という意味ではなく、全体について聞いた数 字ということでご理解いただきたいと思います。  「役職手当」も同様ですが、企業別には特段の状況の変化は見られません。  1枚めくっていただいて、「精勤手当」についても、特にありませんが、若干規模が小 さい所の方が高いような気がします。正社員についてはそうなっていて、パートタイム 労働者についてもそのような状況が見られます。  「家族手当」については、特段の特徴はない気がします。  最終の4ページ、「住宅手当」についても同様です。以上です。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの説明について、質問等あ りましたらお願いします。 ○山崎委員  通勤手当ですが、この各パーセント以外の100から引いた数字というのは、近場から の徒歩通勤など、そういう理解でよいのでしょうか。そういうことですよね。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そういう場合と、もしかしたら自己負担という形でやっている場合もあると思います が、そこはこの調査では見てとれないということです。 ○佐藤委員  このデータは、1人でもパートタイム労働者に払っていれば払っているということで すから、人数として全員に払っているという意味ではないです。つまり、1人でもいれ ばあることになるのです。正社員の方が比率は高い可能性があります。そういうデータ です。 ○横溝分科会長  よろしいですね。 ○松井委員  これは、現実に払っているかどうかということではなくて、制度があるかないかとい うことではないでしょうか。 ○佐藤委員  ああ、そうですね。人数の話ではないです。 ○横溝分科会長  他にないようでしたら、「今後のパートタイム労働対策に向けての論点整理(案)に対す る労使の意見」を資料2としてまとめていますので、これについて事務局より説明をお 願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは、簡単に説明します。資料がだいぶありますので、全体を読み上げたり説明 したりということではありません。時間がかかってしまいますので、概括的に説明した いと思います。  この整理(案)は、右上の所に「平成18年11月2日時点」と明記している通り、前回 までの審議会における議論を整理したものです。なお、論点は公益委員の方でまとめて いただいたものですので、そういう意味で労働側・使用者側については意見、公益委員 についてはコメントという形で整理させていただいています。左側の論点は、前回まで 論点整理(案)として配っていたものを、項目ごとに縦に拾ったという形です。それぞれ の論点ごとに労使公の意見・コメントを横に付けています。一応、整理方針としては、 同じ事項あるいは関連事項についての意見・コメントについては、高さというか横で合 わせている形です。論点項目内については、言わば総論的な意見から各論的な意見ある いは時系列的なものについては、流れが追えるような形でということで、極力、議論の 流れを追えるような形で整理させていただいたつもりです。なお、コメントについては、 私どもの方では極力加工しないで、発言をそのままの形で載せています。  ただ、何分、議事録等正式につくられたものがあるわけではなく、ここでの議論を、 事務局の方で言わば書き取る形にしたものをベースにまとめているものですので、そう いう意味では、この整理(案)の文面等については、事務局の責任において整理させてい ただいているもので、この表現ぶり等についての意見があれば後の議論で併せて主張し ていただいても、もちろん構わないということです。  この整理(案)自体を精査していくということは、審議会の議論としては、あまり意味 があることではないと思いますので、そういう意味では、併せて主張いただきつつ、議 論を深めていただくための一つの材料として使っていただければということですので、 どうぞよろしくお願いします。以上です。 ○横溝分科会長  ただ今、論点整理の仕方などポイントをご説明いただきましたが、これを踏まえて、 論点ごとにご議論いただきたいと思います。17ページまでだいぶありますので、順次こ の整理された順番に従って議論いただきたいと思います。まず、資料2の1〜2ページに かけてが総論についての論点整理ですので、これについて意見をお願いしたいと思いま す。  なければ、次の3〜4ページの「労働条件の明示等」の(1)、(2)の論点についてご議論 いただきたいと思います。 ○稲垣委員  4ページの(2)ですけれども、確か時間が足りなくて、あまり議論ができていなかった と思います。やはり就業規則の作成あるいは変更の場合は、そこにかかわる短時間労働 者から意見を聴くことは基本的なことだと思いますので、ここの部分は、ぜひ就業環境 の改善という意味もありますので義務ということにしていただきたいと思います。  あと、念のためなのですけれども、ここは短時間労働者を代表する人から意見を聴く という形になると思いますが、これは労働組合があればその労働組合も含まれていると 解釈してよいでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  後段の質問の部分ですが、そこにある労働組合が、そこの事業場の短時間労働者の過 半数を代表している場合については、そういうことになります。 ○松井委員  今の点を、もう少し具体的に解説していただきたいのですけれど。要するに、短時間 労働者が組合員になっていて、その組合に加入している短期間労働者が短時間労働者の 過半数であって、なおかつ労働組合の組合員がその事業場の過半数であるときという条 件で今のような回答になるのではないでしょうか。  その辺を、もう少し、どういう場合にそうなるのかなど、正式に回答していただきた いのですが。というのは、私の理解では、今の法律の成り立ちは、労働基準法に基づく 意見聴取というものが、事業場の過半数労働者代表あるいは労働組合があるときは組合、 組合がない場合には過半数労働者代表となっていて、なおかつここで言っているのは、 短時間労働者の過半数代表ですよね。結構難しいと思いますけれど。では、そうでない ときはどうなるのかなど。マトリックスで書いていただかないと、私はよくわかりませ ん。今主張された労働側委員としては、どういう仕組みでどうやったらよいかというの を、もう少し詳しく言っていただきたいのです。 ○高崎短時間・在宅労働課長  一応確認します。まず、就業規則を作成する際の意見聴取については、労働基準法第 89条でしたか第96条だったか忘れましたが、「過半数を代表する者の意見を聴かなけれ ばいけない」という規定があり、これは全事業場の労働者の過半数を代表する者であり、 その労働者の中にはパートタイム労働者も入っています。ですから、その事業場全体の 労働者が100人いた場合には51人以上で組織している労働組合があった場合については、 そこの意見を聴く形になります。ない場合は、それを代表するような別の組織でもよい ということになっています。労働基準法上ではそういうことになっています。  パートタイム労働法の方については、それは当然やっていただくことが前提の上で、 短時間労働者に適用される就業規則の作成なり変更する場合については、労働基準法上 の義務に加えて努力義務ではありますけれども、当該事業場の短時間労働者の過半数を 代表する者の意見を聴いてくれということになっています。  ですから、先ほど稲垣委員が言われたのは、最初に言った、その事業場の全体の過半 数を代表する労働組合が、そこの事業場の短時間労働者の過半数を併せて代表している 場合であれば、その労働組合の意見を聴くことをもって時間労働者の過半数を代表する 者の意見を聴いたことになるのではないかという質問だと思いましたので、「そうです」 と答えたということで。ただ、必ずそうなるわけではありません。  例えば、当該事業場の過半数労働組合が、労働者全体で見ると過半数を代表している けれども、短時間労働者で見ると代表していない場合も想定されるわけで、そういう場 合は、その労働組合の意見を聴いたからといって短時間労働者の過半数を代表する者の 意見を聴いたことにはなりませんので、別途そういう短時間労働者が組織する組合があ れば、そこの意見を聴けばよいでしょうし、ない場合は何らかの形で代表を選んでいた だいて短時間労働者の過半数を代表する方に意見を言っていただくという手続きが必要 になってくるということです。 ○横溝分科会長  そういうことでよいと思いますが、「労働条件の明示等」の(1)、(2)については他には ありませんか。 ○松井委員  労働条件の明示の必要性については、私どもとしても否定するつもりはありません。 しかし、前回の審議会のときにも申し上げたのですけれども、短時間労働者に通常の労 働者の義務の範囲を超えて課して、さらに文書明示を求めるというような、具体的な理 由が何なのかということを、やはり十分議論した上で対応してもらわないと困るという のが私どもの主張です。  ですから、ここに、そういう趣旨のことは必ずしも書いていないと思いますので、前 回申し上げたのは、なぜ短時間労働者かということで、すべてにかかってくるという趣 旨で申し上げたつもりですので、ここも、もしそんなことを言うなら、それぞれ書いて おかなければいけないというならば、ここにもそういう点はリマークしてほしいと思い ます。 ○横溝分科会長  では次に、5ページの「均衡処遇の確保」の(1)の論点である均衡処遇の確保のあり方 と、5〜9ページにかけての「均衡処遇の確保」のうち「賃金」にかかる(2)〜(7)までに ついて議論をお願いしたいと思います。少し範囲が広くなると思いますけれど。 ○渡邊委員  5ページの「賃金」ですが、使用者側の意見の下の欄ですけれども。「労使双方の合意 で決める基本給について均衡を図ることの検討はあり得る」となっているようですが、 これは、確か前々回の私の発言をそのように取られたのではないかと思うのですけれど、 これは、全く使用者側の趣旨、いわゆる主張である非正規社員であり、また短時間労働 者に対しては、基本的に格差は当然だという捉え方をしていますので、これは削除して いただきたい。つまり「基本給についての均衡を図ることの検討はあり得る」という主 張はしていませんので、これは削除していただきたい。 ○横溝分科会長  それは、使用者側は全員そうですか。 ○吉川委員  ここの賃金のところではなく、(1)の方になると思いますけれども、正社員とパートタ イム労働者に格差があるのは当然なのです。だからこそ是正されなければならない格差 というようなことがあったと思いますが、是正されなければならない格差とは、要する にどのようなものなのかを、十分議論する必要があるという旨の発言をしたと記憶して います。 ○横溝分科会長  吉川委員の言っていることは、「均衡を図る」というところにポイントがあるわけです ね。 ○吉川委員  そうです。でも、何が均衡を図るということなのか。是正されなければならない格差 とは何なのかというところに、もう少し議論すべき点があるのではないかと。渡邊委員 が言われたのは、多分そういう趣旨だったと。 ○渡邊委員  私が言ったのは、通勤手当などは、ほとんど正規も非正規も、先ほどの調査データを 見ても、山崎委員の発言もそうなのですが、近隣から歩いてくる人もいるだろうし、通 勤手当については、かなり普及している。それをまた法律でカバーするとしても「通勤 手当ぐらいは」という表現はしたかもしれませんけれども、ましてや「基本給を」とい う表現をもし私がしたと取られているようでしたら訂正したい。これは削除していただ きたい。絶対に、このような基本給の格差を非正規社員に均衡処遇という形で取り上げ るべきではないと思っています。従って削除していただきたい。 ○吉川委員  その削除の代わりに、(1)の方に今申し上げた「是正されなければならない格差とはど のようなものかを十分に議論すべき」というのを追加していただけたらと思いますので、 お願いします。 ○今田委員  何回もこの分科会で議論されてきたことだと理解していたのですが、やはりまだ理解 が不徹底だという印象なのですが、言葉というのはとても難しくて、格差というのをど う理解しておられるのか。人によっていろいろ違いがあって非常に難しい言葉なのです けれども、この分科会はパートタイム労働者の均衡を図る、図れるのか、図るべきなの かというところが議論なのです。  今の議論で、格差についてここでは議論していないのです。そういう別の概念を持ち 込んでくると話が混乱すると思います。そういうことから言えば、パートタイム労働者 の均衡処遇の確保を図るという一つの立場に関して、全く認めないという議論なのでし たら、今まで議論してきたのは何かということになるので、そこは少し整理した上で、 この問題を話し合うということが必要なのではないかと思います。 ○横溝分科会長  この論点整理は、議事録と違い、誰がこう言ったというものではなく、使用者側・労 側の意見を整理するとこのように受け取れたということですので、自分がこう言ったと いうことで、あまり責任みたいなものは感じないでください。まとめですから。もちろ ん異論があれば言っていただいてよいのですが。 ○吉川委員  これは意見として前回出たものでしたので、できればこの記録の中に追加しておいて いただきたいという申し出でした。 ○高崎短時間・在宅労働課長  確認しますが、この整理(案)を精査するという手続はあまり意味がないので、意見が 出たということを皆さんで共有するということで。次回また直したものを出して、また ということは考えていませんので。そういう表明があったということで。 ○松井委員  言われることはわかるのですが、これは後々証拠書類として残りますので、表現が不 適切なものは、やはり訂正を求めて、次回以降にまた改めて出してもらいたいと思いま す。そして、今回もこれを私どものところに持ってきてくださったのですが、一言の説 明もなかったような記憶がありますので、やはり十分精査しているわけでもありません。 従って、課長の気持ちはわかるのですが、やはり直すべきところは直したものという形 で取り扱いをお願いしたいと思います。 ○今田委員  今のお話で、渡邊委員が「格差はあって当然なのだから図ることを検討するというこ とはあり得ない」と言われたのは、これは均衡を図るという言葉なのであって、言葉は やはり正確に理解した上で議論していかないと、ますます混乱する。その点に関して、 ご理解いただけますか。 ○渡邊委員  それはわかるのですが、その前に基本給というのが付いているでしょう。「均衡を図る ことについての検討はあり得る」だけならよいけれども、基本給というものを指定して いるではないですか。だから、格差が厳しいなら、格差という言葉は、いわゆるこの分 科会では該当しないと言われるなら、格差という表現は取り下げてもいいです。だけど、 ここには今までの取りまとめとして出ているのに「基本給について」としている。「均衡 を図ることの検討はあり得る」というならわかるのです。基本給と特定しているではな いですか。だから言っているのです。 ○佐藤委員  そうすると、今回法律外で、どういう規定にするかは別として、今までの指針で議論 しているような考え方も問題であるということですか。現行の指針も。現行の指針につ いて、基本給を含めた、ベースは基本給としての均衡処遇のあり方というのを、一応こ の分科会で認めて新しい指針ができていて、基本給を中心とした均衡処遇のとり方とい うのは書かれているわけですけれども、それも、もうだめだと言われていると理解して よいでしょうか。 ○渡邊委員  そういう特定をすることについてであれば、先生の言われる通りでよいと思います。 ○佐藤委員  パートタイマーと正社員について、例えば賃金水準や賃金形態をすべて合わせろとい うのが別に均衡処遇の議論ではないわけです。合理的な格差、つまり違いを付ける合理 性があれば、この合理性は何かというと、多分労使で違う部分があると思うのですけれ ども、とにかくパートタイム労働者と正社員は、何が何でも差があってよいという議論 だとなかなか議論できないと思うのです。現行の指針でもそうなっているわけではない ので。 ○吉川委員  今田委員でも佐藤委員でも結構ですので、少し教えていただきたいのですが、例えば 大学で教えている非常勤講師がいますよね。非常勤講師が大変優秀で、むしろ他の教授 よりも人気があって、そちらの方がいろいろなこともやりながら、教授よりもコマ数は 1コマ、2コマ少ないかもしれないけれども大変活躍していると。その非常勤講師につい て処遇の均衡を図れと言われた場合は、どの方と比較して均衡なのかということを教え ていただきたいと思います。要するに専任講師なのか、助教授なのか、教授なのか。 ○佐藤委員  指針では、まずパートタイマーと正社員の仕事が同じかどうかを見る形になっていま す。今の例で言えば、非常勤講師がやっている業務内容と同じ、いわゆる正規の教授・ 助教授がいるかどうかが問題になります。一般的には仕事が違うのです。我々は授業だ けやっていませんので。そういう意味で今の現行の指針を当てはめると、比較対象にな らない。いないというのが一般的だと思います。我々は教授会があり、他の業務もあり ます。もし授業だけやっている人がいるとすれば、非常勤と全く同じで授業だけやって いて他の業務がないと職務が同じということになると思います。あとは、人材活用とい うところを議論するということになります。  ですから、そういう意味では、現行の指針での均衡処遇をとる、仕事が同じ、人材活 用が同じ、これも全部外れてしまって、つまりその人の働きに応じた仕事に応じた処遇 を図ってくださいという部分が適用されるということになります。 ○松井委員  引き続き教えていただきたいのですが、現実に均衡を図ることについての難しさがあ るから、渡邊委員があのような発言をしているのだと理解しています。  大学で、教授は教授会に出られて助教授は出られないということがあるのかもしれま せんけれども、では均衡を図るといったときに職務が同じかどうかというのは、学部や 学科が違っていて、同じような職務かどうかという判定は割とたやすいものなのか。  もう一つ、均衡といったとき、そこの同じところの、あるスポットだけを見たときに、 比較はたやすいのですけれども、そこで比較したものが他に当てはまるのかどうかと。 それは、佐藤委員が確か9月19日のこの分科会のときに、短時間労働者だけでなくて、 正規従業員についてもそういうバランスがとれるような考え方でないといけないと言っ てくださったと思っているのですが、企業側の立場からすると本当にどことどこをどう やって合わせるのかと。先生にお聞きしたいのは、大学だったらどういうふうに考える のかを聞いてみて、企業ではどういうふうにできるのかと考えてみようと思い、質問し てみたところです。 ○佐藤委員  私が答えるのですか。 ○横溝分科会長  大学は割合にレアケースだからサンプルとして話すのはどうかと。 ○佐藤委員  例えば、助教授が短時間勤務に移行したとします。そうすると、普通の正社員の短時 間勤務と同じに、一応我々は所定労働時間がありますから、それが8分の6になれば給 料が8分の6です。この人との比較で言えば、違う給与水準です。これはどうかという ことですけれども、基本的には同じ給与体系が適応されているわけですから、これはい いということです。これを否定しているわけではないです。つまり、同じ処遇のシステ ムの中で評価されているので、これが悪いと言っているわけではないのです。それは、 パートタイマーと正社員の均衡を図るときも同じです。つまり職能給や年齢給の部分が あることを否定するわけではなく、同じような仕事をして人材活用の仕組みが、パート タイマーと正社員について極端な場合は、年齢給でやるという会社があれば、それで結 果としての賃金水準が違うというのは悪いというわけではないと。例えば、同じ年齢給 というテーブルを適用すればそれで、あとは時間給でも問題ないというのが現行の指針 の考え方です。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○龍井委員  多分、「とは何か」という議論に入っていくと、そうなっていくと思うのです。問題 は、やはり今回の法改正、あるいは私は2003年までさかのぼってもいいと思うのですが、 当時を思い返して、いわゆる法制化か指針かということを含めて、大議論がありました よね。そのときに、何とか、私どもは均等の差別禁止ですけれども、均等を均衡に努力 しましょうと、ただ、努力するのに皆さん方当時「一律で法律はないよね、ガイドライ ンをやりながら見ていこう」と。いずれにしろ、やはり同じ働いている人間として、何 度かこれは、差別しないように、検討を均衡に向かっていきましょうと、道筋はともか く。今の話は、何とかそれをもともと何か知恵はないのだろうかと思うのと、最初から これはあって当然なのだとか、いや、その必要はないのだと、逆の言い訳を探していっ たら、幾らでも出てくるわけです。だから、逆に言ったらいろいろな箱を作ってしまえ ばいいわけなので、恐らくここで求められているのは、やはりいろいろなルールやデー タもあったり、社会的な問題にもなったりして、少しこれは放置しておけない、何とか しなくてはいけないと。だから、少しでも知恵を使って先ほどおっしゃったように、ど こまでが認められるのか、どこまでが認められないのかということも含めて、知恵を出 して合わせていこうというのがベースにないと、そこがやはり揺らいでしまうと、多分、 技術論でできるものもできなくなってしまうということになりかねないので。私どもは そういう意味では、今のこの項目ということではないかもしれないけれど、前々から申 し上げているような基本的に同じ仕事であり同じようなところで働く人の短時間という ことを理由に差別があるのは、やはり望ましくないのだというのが、この法律のベース にあるべきだし、場合によっては第3条なのか、理念なのかを別にして、それが柱とし てあるということを確認した上で議論しないと、先ほどの技術論になってしまうと多分 どちらでも行ってしまいますよね。その思いがあれば、知恵は出てくると思います。ぜ ひ、そういう議論をお願いしたいと思います。 ○今田委員  今の龍井委員の議論に付け加えさせていただくと、同じ仕事なのに均等に処遇しまし ょうというかけ声のようなことを、法律にかけること自体に異議がないとは言いません が、そういう哲学のようなもの、あるいは訓示規定のようなものを言っていたのが今ま でのわけで、そのことをもって変わらない。やはり、それを一歩でも先に進めて具体的 にそういうパートタイマーの間の均衡処遇を実現したいという、実現しようという、実 現することが、働いている人も企業にとってもプラスに機能するのだというスタンスに あると、前回の進路づくりのときもそういう議論であったと。だから、労働側も一般的 な望ましい均等処遇というかけ声のレベルで行くのではなく、具体的に実現するための 具体的な足を踏み出さないといけないし、使用者側もそのことで企業の活性化や合理性 というものに進みだすという認識に到達するべきだし、その姿勢でどうするのかという 具体的なツールについて激しく議論するということは必要であるけれども、その前段階 のところで片方は一般的なアドバルーンを上げて、少しきつい言い方ですが、片方はま だそこまでもいかないレベルでというのでは、この議論は何だったのかということにな るのではというのが、私の反省も込めてですが、別に偉そうに言っているわけではない のですが。そうなのかなというのが随分議論を詰めあげてきたわけですから、その努力 を無にしないでという気持ちです。あえて僭越ですが。 ○吉川委員  先生でも、労側の方でも結構なのですけれど、少し教えていただきたいのですけれど、 私は本当の均衡、アルバイト、パートタイマーの方を守るという気持ちで多分言ってお られるのでしょうけれど、でも、その同じパートタイマーの中でも、これが強化される ことによって、果たして本当に一生懸命同じ仕事でもやる人とやらない人、例が飛躍す るかもしれませんけれども、女性側にも多少の洋服のことなどを気をつけることを労働 組合の方で少しアドバイスなり言っていただくことも大事ではないかということを申し 上げましたけれども、ここの部分においても同じパートタイマーの方でも、本当に一生 懸命やっている方が法律で規制されることによって、一生懸命やっていない方と同じに なるということがあり得ないだろうか。それは、結局、若者の甘えを作ってしまうなど、 いろいろなことにも私はつながってしまうのではないかなと思いますので、その辺りを どのように考えておられるのでしょうか。 ○佐藤委員  この均衡処遇をするときに企業が評価してはいけないとは言っていないのですね。人 事評価しては駄目ですとは全然言っていないのです。例えば、パートタイマーの資格等 級があるとすれば、ある等級の人が売り場の主任になるとすれば、正社員で売り場の主 任になる人の等級と揃える。同じ等級でその人たちを評価する。同じ等級に格付けられ たパートタイマーについても、その評価基準ですればAになる人もBになる人もいる。 その結果としての職能給部分の差が出ることは駄目だと言っているわけではないのです。 大事なのは、同じ仕事をしていて基本的に同じ等級に格付けられているのにもかかわら ず、全然違うような処遇の中で、処遇制度を適用することを変えてくださいと言ってい るだけです。会社が評価できないとは全然言っていないのです。ある同じものさしで社 員も同じ人材活用があれば正社員もパートタイマーも同じ尺度で、パートタイマーも同 じところに格付けして同じものさしで評価してくださいと。もちろん、そのものさしが 合理的であるかどうかは、また別のところで議論はあると思いますが、基本的にそのも のさしで評価したら、ある人はAになりBになりで、もらう給料は違うことは駄目と言 っているわけではないのです。仕事が同じならすべて同じにとは全然言っていませんの で、評価はできるわけです。 ○吉川委員  それに対して、組合の方の同じ働く側の人から、同じ仕事をやっているのに、あの人 はどれだけできるけれどこの人は何とかという不満というのは出てきていないのでしょ うか。使う側からとるとそういう不満は出てきますよね。それを今の話でいくと差をつ けてもいいという論理になるでしょうか。 ○岡本委員  そんな不満なんてどこにでもあると思います。それは、正社員であっても同じである わけです。今は、佐藤委員が言われたように能力給というものの導入が非常に激しく入 ってきていて、その能力給の是非はいろいろと労働組合としてありますし、きちんと評 価されているのかという問題はありますけれども、大枠は大体そのことを認めてきちん とした評価であれば、それなりの処遇をされているということの納得をしているわけで す。パートタイマーの方たちにおいても同じ仕事をしてきちんと能力を果たしているの に、正社員と全く違う処遇であることに対して、大きな差別意識というものを感じてい るわけで、そのことをどうにかしようということであるわけで、今回言われ方がマイナ ス的なイメージが非常に強いということをつくづく感じます。私も3年前にこの審議会 でパートタイマー労働を議論しましたけれども、本当に残念ながら少し挑発的に言わせ ていただければ、考え方が全く変わられていないと。むしろ、かなり差別は当たり前と いう方向に強くなっているのではないかと非常に残念です。  それから、もう一つ先ほど理念の話がありましたけれど、私は今回の男女雇用機会均 等法もそうでしたけれども、大きく理念というものを持っていなければならないと思い ます。例えば短時間であることを理由とする差別は禁止しますという大きな理念を持っ た上で、それに近づけていくために各論としてどうしていくのかということを捉えてい くことが、私は法律解釈として大事だと思いますので、そういう意味では均等待遇とい う大きな理念というものは、きちんと書き込んだ上で、そのそれぞれのステージごとに、 決めていく。例えば、福利厚生は、通勤手当や慶弔の部分であり、手当などは、これは 合理性がない差別として見ていきましょうなどを段階的に、それは法律なのか、指針な のか、通達なのかありますけれども、書き込んでいくということが必要なのではないか と思います。 ○松井委員  では、労働側委員に少し質問をします。理念系について必ずしも否定するつもりはあ りません。先ほど龍井委員から技術論に陥っているという話がありましたけれども、私 どもとしては、この現行のパートタイム労働指針が、仮に法制化等されたときに企業側 の雇用管理上きちんと法律を遵守できるかどうかという観点からいろいろ議論をして考 えて、その疑念点についていろいろと申し上げているつもりです。ですから、今田委員 は、こういうふうにやっているというように、もしかして理解されているかもしれませ んが、決してそうではなくて、本当にこういうことで進めていくならば、現場でできる ものでないと困りますので、まだ見えぬ姿に向かってどういうことがあり得るのかとい うことを確認していきたいと思って、いろいろ申し上げているところです。端的な例で、 これは、労働側の委員に1回答えてもらって、私は公益の先生、特に弁護士の林委員に 回答してもらいたいのですが。例えば短時間だからということで、差があるということ の一つの極端な例を私としては思いつくのですけれども、今、高年齢者雇用安定法に基 づいて定年年齢の引き上げ、あるいは60歳を超える年齢での再雇用制に対する義務づけ というのが行われているのですけれども、その再雇用制を設けている企業の中には、全 く同じ仕事をしていても、処遇が非常に低くなっているというケースがあります。さら に、その中でも短時間という仕組みで設けているケースがあります。こういうときに差 別は禁止だと言われることはわかるのですけれども、では、再雇用制みたいなときに、 この差別禁止的な法律が、いわゆる義務化あるいは理念系でも結構ですけれど、そうな ったときに、私は、60歳を超えて何で給料が下がるのか、同じ仕事をしているなら同じ 給料を払えと言っているではないかというようなときに、従業員の人あるいは労働組合 全体として納得するのかどうかというそもそも論、疑問を感じるところです。そして、 私はぜひ林弁護士にお聞きしたいのですけれど、こういう法律が仮にできたときに、労 働組合あるいは労働者の方には、いろいろな方がいます。これは、「高年齢者雇用安定 法に基づいた措置です」と会社側が言ったとしても、こういう法律が世の中には今ある ではないかと。今まで日本の判例あるいは判決では、同一価値労働同一賃金ということ は、あまり見ないという形で、私としては出てきていると理解するのですが、こういう 法律が仮にできたときに、裁判官の頭の中は、どのような形で変わっていき得るのか、 そして、出てくる判決が「いやそれはやはり差がついてはいけない」という形の結論に なっていくのか。そこら辺をぜひ専門家の立場からお聞かせいただきたいと思います。 最初、労働側から回答してもらいたいのですが。 ○佐藤委員  僕が先ほど言っているのは、人事管理かどうかということです。 ○横溝分科会長  どなたか、発言がありますか。はい、篠原委員。 ○篠原委員  十分に答えられないかもしれませんが、確かに私の組織でも高年齢者雇用安定法の部 分において再雇用制度という部分があったり、あと今回話があるような短時間勤務制度 などをいろいろと設けていたりする企業はいろいろとあります。それは、企業によって お互いに知恵を出し合いながらやっていると思います。ただ、中でやはり一番多いのは、 例えば役職が外れて責任感の範囲というものがどこまでやるかどうかという問題など、 全く今までと同じような働き方をしているかどうかというところが問題であって、基本 的には今回のこのような形の内容と同じではないかと思います。 ○横溝分科会長  では、他に。 ○佐藤委員  多分、全く仕事が変わることはかなり多い、もう一つは、人材活用の仕組みが違うと いうことで説明が付くので、多分、人材活用が違うのから処遇決定を合わせなくてもい いわけです。仕事の部分での均衡バランスをとればいいというところで、人事管理上は、 かなり説明はできると思います。 ○林委員  高年齢者雇用安定法の場合はやはり、本来今まであった60歳定年というものを前提に して、ただ、年金などの社会情勢の変化の中で、ある意味では法律の仕組みを変えてい くという形で出てきたもので、やはり法律というのは、社会的な基盤や必要性などに基 づいてなされているという面があると思いますので、その中で裁判官は、法律の中で物 事を考えていくだろうと思いますけれど、それとこれを私は、あのときにやはり高齢者 の安定という必要性はあるわけですから、その中で今までの定年の法制度との間で枠組 みというところを考慮した新しい法律を作ったということで、今まででしたら、定年、 即終わりになるところを安定させるという趣旨で作った法律ですから、その中で法が出 来てきた立法の精神というか、そういう問題との絡みで考えていくということは、今後 の判例ではあり得るのかなと思います。ただ、私は裁判官ではないですから、どういう ふうになるかは見当が付きません。 ○松井委員  恐らく、人事管理上の説明は、それなりにつける可能性というのは、私も理解するの ですが、一番困るのは例えばかつて男女雇用機会均等法がないときにも男女の昇進差別 などについての争いが行われ、それは公序良俗違反という形での判決等が出てきている。 男女雇用機会均等法施行後、それがより強まっているという認識を持っています。私が 聞きたかったのは、裁判官の頭でなくていいです。というのは弁護士が、こういう依頼 人が来てこういうパートタイム労働法ができた、ここに差別禁止というのがあると。私 は高齢者で、定年退職してとりあえず、ただ短時間になって、より処遇も低くなってい ると。これは、この法律に基づくものではないかという依頼が来たら、林委員は、「そ れは高齢者雇用安定法に基づくものだから、関係ないからやめなさい」と言うのか、来 たら受けてやるのか、そこら辺の感触をお聞きしたいです。 ○林委員  60歳以上で、やる場合は、やはり役職を外れるなどいろいろな意味で人事上の立場が 違っているのではないですか。 ○松井委員  すみません。やっていない企業でそれを続けて給料を下げている企業もあるのです。 そうすると別の言い方をすると、先ほど労働側に反対に質問したことをもう少し具体的 に言うと、こういう法律があります、高齢者雇用安定法があります、パートタイム労働 法があります、差をつけなくてはいけないから、本来この人には役職に就いていてもら って、引き続きやってもらった方が、会社としてもいいと思うけれども、やはりきちん と切っておかないと、何か訴えられたら困るなど、違う企業側のふるまいもあるのでは ないかと。  もう一つ、定年延長を特別に認めるような企業もあって、さらにその場合、処遇で低 くしているようなケースもありますので、そこで今まで私どもとして申し上げたいのは、 基本的に最低賃金を上回る中では、企業としては人材活用のニーズ、そして、そこにあ る人たちをいかに気持ちよく働いてもらえるのかということを、限られた原資の中で、 どうやって工夫して入れればいいのか、その辺は自由に設計ができたものが、制約がこ ういう面で、起きうるのではないかという点を懸念して申し上げた次第です。 ○横溝分科会長  組織として、システムとしてここは検討しているわけで、個人個人の人事考課、この 人はこういうことで能力が低いという言い方は悪いかもしれませんが、個人個人の人事 考課とシステムとしての体系とが違っているのは、皆さん、理解の上の発言だと思うの ですけれども。そういうことで、「あの人はよく働いていないのに同じに」と言ってい るわけではなくて、通常労働者と短時間労働者とがシステムとして均衡、しかも32ペー ジにありますように、それからここに当初配った四つのパターンがありますよね。そう いう実態の中で均衡を外れているのはどうするのか、基本給とそれから個別に幾つか出 しています。賞与、諸手当、退職金と一つ各論的に出していますけれど、基本給につい て均衡を図るというのがベースですから、それでこういう議論をこれまでしていただい ていたと思いますので、これを袋小路に入らないでもう少し発展的に議論をいただきた いと思います。  はい、どうぞ。 ○鴨委員  発展的な議論ということで、そうしたいと思います。このところで少し補足になると 思います。なぜ補足になるのかと言えば、この指針の言葉では均衡処遇ということなの ですけれども、それを図るための私たちはお皿と呼んでいるのですけれど、一応四つあ るわけです。それで、職務が通常の労働者と同じ労働者については、2のお皿とそれか ら人材活用の仕組み、運用というお皿と合わせて均衡処遇を図ると、この指針の内容が なっていると思うのです。そうすると、職務が通常の労働者と異なっているパートタイ ム労働者というのが、現状は職場の同じ事業所の中において、正社員がほとんどいなく なっている、正社員が管理部門になってしまっている。実際の現場は、パートタイマー 労働者しかいないというようなところというのも、今かなり増えてきているわけです。 そうしたときに、どういう措置を図っていくのかというのは、今回の中ではきちんとそ こを意識したものを入れるべきで、法制化の中に私は入れるべきではないだろうかと思 っているわけです。その意味から言いますと、すべての短時間労働者というところで、 職務の内容、意欲、能力、経験、成果等に応じた処遇にかかわる措置の実施というとこ ろが、あるわけです。この部分において、意欲というところについては、私たちとして は職務において均衡処遇を図るという考え方からするとなじまないのではないだろうか と思いますので、意欲は少し検討しなければいけないと思いますが、職務の内容、能力、 経験、成果等に応じた処遇にかかわる措置の実施というこの部分を、今回の中で法制化 をしていくというところに、私は、やっていくべきではないだろうかと思います。その ことによって、多くのパートタイム労働者の均衡処遇ということが一歩前進していくの ではないでしょうかと追加でお願いしたいと思います。 ○龍井委員  前回、終わりごろに慌ただしく発言させていただいたことが今の関連なのですが、6 〜7ページにかけた論点で指針に基づいたという構成で考えると、今、鴨委員が指摘し た2枚目のお皿が、(3)、(4)では明確に出ていないわけです。(4)にいきますと3枚目の お皿の人材活用の仕組みもという表現になるので。前回の私の発言は、むしろその職務 と繰り返しで恐縮なのですが、正社員から見て同じ職務のパートタイム労働者とくくる のではなく、(3)の視点でいった場合に、パートタイム労働者から見て同じような通常の 労働者と比較をすると。当然いれば、その人との検討、いない場合が残念ながら今の指 針の最後の一番ひどい受け皿しかないわけなので、これは今の鴨委員の指摘と重なりま すけれど。比較可能な人がいるあるいはパートタイマーの人から見て同じ職務の人がい れば、当然それは均等処遇になっていくということは、確かに指針の書きぶりがまだ十 分に法律になじむかどうかはわかりませんが、そこは何か書き込める要素があるのでは ないかと思っているのですが。これは最初の論点整理を公益の皆さんがされたので、2 枚目のお皿についてどういうふうにお考えか、もし考えがあれば、お聞きしたいです。 我々は何かそれを明記すべきではないかと思います。 ○松井委員  1枚目のお皿、2枚目のお皿、3枚目のお皿は、以前配られたところの一番大きいとこ ろが、1枚目という理解でよろしいですか。 ○今田委員  処遇が同じ、人材活用が同じというのが、3枚目。 ○松井委員  理解を一致させないと。 ○佐藤委員  龍井委員が言われたように、基本的にはパートから見て基本的には同じ職業・職務の 正社員がいるか通常の労使がいるかどうかと考えればいいのです。基本的には正社員全 体で比較するということです。いれば当然その2に含まれるというのが現行のシーンだ と思います。 ○今田委員  今の2の職務が同じという人材活用のところはまだ問わないのですね。 ○佐藤委員  2のところです。職務が同じというところが、パートから見てということです。パー トと正社員の仕事が重なっている、ここについてです。パートの全員についてでもあり ません。正社員全員と言っているわけでもありません。その重なっている人です。同じ 仕事同士の均衡を図るわけです。 ○今田委員  正社員の人とパートの人ですね。 ○龍井委員  それはわかっているのです。それが(3)〜(4)にかけて。 ○佐藤委員  (3)とはどこですか。 ○横溝分科会長  6〜7ページです。 ○龍井委員  6ページは、この書きぶりを見ると1枚目の皿ですし、7ページの(4)は3枚目なので、 2枚目が項目としてはここからは落ちたように見えるわけです。 ○佐藤委員  主旨はそういう意味ですね。 ○高ア短時間・在宅労働課長  前回の公益委員会議での整理としては、(4)が3枚目ということになりまして、そこは 決定方法を合わせるという具体的な措置が書いてあって、それが取り出されています。2 枚目と3枚目は、区分上は確かに違っているのですけれども、そこにありますように2 枚目の(3)には異なる程度を踏まえつつという形容詞があるかないかは、職務が同じ人が いるかいないかにもよりますので、最終的には「意欲、能力、経験、成果等に応じた処 遇に係る措置を講ずる」という具体的な措置の部分は、2枚目も3枚目も共通ですので、 そこの部分についてはまとめて(3)で整理しています。 ○龍井委員  そうでしょうか。法律の構成上でいうと、どうしてもこの(4)の書きぶりだと2枚目を 含むようには見えないです。 ○高ア短時間・在宅労働課長  2枚目は含んでいません。 ○龍井委員  含んでいませんね。 ○佐藤委員  今の書き方だと(3)の方に1枚目と2枚目が入っていることになります。そういう考え 方です。だからそこをどうするかはもちろん議論していただけばいいと思います。 ○横溝分科会長  そうですね。 ○龍井委員  ですから結論は、いずれ具体的にまとめられるときにそこの扱いがわかるようにお願 いしたいと思います。これでは意見が言えなくなりますから。我々はそこも明記をする べきだという考え方を持っています。 ○佐藤委員  6ページのところでいうと、鴨委員が言われたように(3)全体の部分をどうするかとい うことと、中でも特に職務とを分けている必要があるかということをわかるようにして くださいということです。ただ、鴨委員が言われたように全体についてというのは難し い部分もあると思います。極端に言うと社員についてきちんと人事管理しなさいという のと同じような話なのです。(3)の主旨はよくわかるのですが、例えば法律的に書くとき にどうするかということは難しい面があると思います。 ○今田委員  全てに関して優しい考えなのですね。正社員であろうが誰であろうが能力に応じた処 遇をするべきというのは。 ○佐藤委員  基本的には人事管理をきちんとしなさいということなので、社員についてそういう法 律があるかというといろいろ個別にはありますけれども。主旨はよくわかるのですが。 ○今田委員  それが社員とパート両方の大前提で、ふさわしくというのも前提にあって、特に序文 を作る際にそういう議論をあげていくということですね。 ○佐藤委員  そうですね。   ○龍井委員  その部分だけを取り出すとそうなのですが、その前に、我々からすると弱い表現であ るけれども「均衡等を考慮しつつ」という言葉がかぶさって、その際に具体的にはと読 み取っていますので、その部分をどのように明記するかという議論だと思います。 ○横溝分科会長  ほかにはいかがでしょうか。 ○松井委員  気持ちはわからないわけではないのですが繰り返し申し上げます。佐藤委員が言われ たように、正社員にこういった形のものがなくて、全部均衡を図るというのはどうする のですかという難しさがあるという懸念は表明しておきます。理念はわかるのですが、 現実にどこをどうすれば均衡が取れたと言えるのでしょうか。そこをぜひ鴨委員をはじ め労働側としては、こことここが合えば均衡だということを言っていただけると、それ は違う、それは難しいという言い方ができるのですが、理念は必ずしも否定はしません。 でもすべての日本の企業がこういう形で全部正社員もあるいは契約社員も含めてきちん と処遇の決定をしているのかどうかということについては、難しい面があるということ は言わざるを得ないと思います。ですからそれは具体的にどういうものか、なおかつ短 時間の人に対してやる理由は何なのかという説明をできる限り詳しくお願いしたいと思 います。 ○横溝分科会長  公益委員はよろしいですか。何か発言をなさいますか。 ○龍井委員  今の点は、確かに具体的にこれは法律なのか、先ほど岡本委員からもありましたよう に指針通達まで含めてやるのか、いずれにしても何らかの労使が合意する基準というか、 考え方というか、整理が必要だという認識は持っております。  もう1点は、先ほどは議事録修正ではないということだったのですが、若干指摘させ ていただくと、7〜8ページですが7ページの区分の扱いの(1)、(2)、(3)と労働が分けられ ていますけれども、必ずしもこのような明確な区分をして発言をしたわけではありませ んので、念のため誤解のないようお願いしたいと思っていますし、8ページの手当につ いても真ん中の皿に中核的という表現も出ていますけれども、ここに限定したというこ とではありませんので、ぜひその点は理解いただければと思っております。今日はまだ 手当の議論に入っていませんけれども、通勤手当というのは先ほどの実績から見ても、 先ほどの発言から考えても無条件になるべきだろうと思っていますが、生活関連手当、 職務関連手当はものによっては時間比例にふさわしいものそうでないものというのがあ りますので、これも具体的には考え方だけを示して、通達なのか指針なのかどこかでそ れを具体化していくという段取りにするしかないのかと今のところ考えております。 ○松井委員  通勤手当のところは使側で意見が別れているように聞こえるかもしれません。確かに そうなのかもしれません。私としては実施率が高いからやるべきだということについて は反対します。  もう一つ申し上げたいのは通勤手当というのは、恐らく渡邊委員の会社ではきちんと 払っておられるからそういう発言になっているのだと思うのですけれども、パートタイ マーのケースでは割とフルタイマーに近くて1カ所に勤務しないパートタイマーのケー スと、例えば2時間ずつくらいしか働かないケース、なおかつ複数の企業で働いている ケースなど、もう一つは派遣社員などのケースではどこに行くかというのが日によって 違うということもあって、通勤手当が利用先企業によって支払われるケースと支払われ ないケースのバリエーションがあるのです。だからある程度、あるからできるというこ とについては、私は実務面から見ると反対せざるを得ません。そこだけは理解をしてお いてください。 ○横溝分科会長  それでは賃金のところはとりあえず終了しまして、9ページの後半部分から10ページ にかけて均衡処遇の確保の内教育訓練にかかる(8)の論点と、10〜11ページの福利厚生 にかかる(9)の論点について議論いただきたいと思います。 ○松井委員  労働側の福利厚生というのは全部同じにしなさいと言っているのか必ずしもそうでは ないのか。ここに書いてあるものでは全部同じにしなさいというように読めるのですが、 そういう主張であったのかどうかをまずお聞きしたいということと、もう一つは労働側 だけではなくて公益委員の方の中でも知見があれば回答をお願いしたいのですけれども、 例えば、前回までの資料では福利厚生によっても目的別に適用がどのような形で考えら れるかという資料になっていたと思うのですけれども、最近ではいわゆるカフェテリア プランという形で異なる目的のものを一つの枠組みの中に盛り込んで、それを従業員の 方で必要に応じて選択する仕組みというのが盛り込まれているのですけれども、そうす ると例えば仕事に近いものについて義務付けをしなさいと、社員食堂やカフェテリアが 利用できるというようないろいろなものがあると思うのですけれども、企業によっては 社員食堂を使うにあたってカフェテリアプランの中のメニュー化をしていたり、差別を したいという意味合いではないのですが、キャッシュレスにするためにクレジットカー ド機能付きの仕組みで社員食堂が使えるようになっていたりという場合に、例えば短期 間しか勤めない人にもすべて同じにしなさいと仮に言われたとすると、仕事に近いとい うようなものであっても差別的取扱いをしたいというわけでなくても、同一の枠組みに 入れるのはなかなか難しいという現実もあるのではないかと思います。そういうことか らすると福利厚生も一律に義務化だと言われても「ちょっと待ってください」と。それ ならそもそも企業は正社員に対しても福利厚生をやめようとするのかといっても、そう 簡単にやめられるわけではないと思うのです。  もう一度確認なのですが、福利厚生は全部義務だと言われているのか、その中身がも う少し具体的に詰まっているのか、あるいは仮に全部やりなさいといったときに企業側 はどんな反応をしそうなのかということの感触だけ労働側からお聞きしたいことと、も しそのカフェテリアプランとかいろいろな仕組みでやろうとしているときに公益委員の 方から知見があればお聞かせ願いたいと思います。 ○岡本委員  これまでの議論もそうでしたけれども、質問攻撃が多いような感じがして、実際にそ のことをお答えしても、松井委員から「わかったからそのことを前提に考えましょう」 というようなお答えもないままに、ともかく質問されてお答えしなくてはいけないとい うところに、私は今回の議論の中でいかがなものかという気がします。その上で具体的 に判断をされていくという決意があるのであればそれはかまいませんけれども、労働側 としても、福利厚生は企業によってもまだいろいろなところがありますからそれをすべ てやれと言っているわけではありません。具体的にそのようなことについて言えば、法 律で書いた上で通達ということになるのでしょうから、私はまた別の議論になるのかと 思いますけれども、少なくとも福利厚生施設の利用というものは無条件であっていいの ではないかと思っていますし、それからパートの方たちが非常に差別的だと感じている 慶弔休暇や慶弔見舞金といったものはきちんと対応されるべきではないかと思っていま す。カフェテリアを導入しているところはいろいろありますけれども、細かいことを言 えば食堂はどういう方であろうと使えるということはあると思うのです。カフェテリア のカードを持っていなくても買うことはできるわけですからそういう仕組みを作ればい いわけで、現行のカフェテリアだからできないということにはならない。それは具体的 に均衡待遇をしようという気持ちの上でどういう仕組みが新たにできるかということを 検討いただきたいと思います。 ○松井委員  質問攻撃的ということですが、労働側は法律で義務化というような大枠について言わ れるのですけれども、ではどのようなやり方をするのかというようなことについての説 明をあまり聞いていないと思うのです。そういう指摘があった部分については、こうい う点ではどうですかという反論は今までさせていただいてきたつもりです。食堂などが 使えるといっても、使えるケースと使えないケースがあります。何でもできる、法律で やるべきだ、すべての企業にやりなさいと言われるとそれは困ると言わざるを得ません。 完全にキャッシュレスでやっているところは、そこで現金を使わないということになっ ているので、できないところがあるのです。もちろん現金でやり取りしているところは 大丈夫など、いろいろあると思うのです。  本当に何をされたいのかということを言っていただいて、やはりこれは困りますと、 それで全部義務付けされるなら、なぜ福利厚生を法律で義務付けられるのですか。福利 厚生というものはいわゆる法定外福利というものですから、そもそも法律で義務付けら れるものではないと私どもは思っております。 ○龍井委員  あまり言いたくないのですが、法律で義務付ける議論は一貫して、していないと言っ たではないですか。あまり繰り返したくはないのですが、あくまで正社員に適用されて いるときに不当な差があってはいけないという議論をしているのです。  ただ、言葉尻のことで恐縮ですが先ほどのキャッシュレスの話は、これは均等な機会 を与えていきましょうという話になったときにどういう仕組みが考えられるかという議 論になっていくので、今の仕組みがそうだから難しいというのは、これを一歩進めまし ょうということにならないので、闇雲に義務化と言っているわけではなく、そういうこ とに努力するためにどういう道筋をつけるかというのが当然の前提です。だけどそれを システム上できないというと永遠にできなくなってしまう。それを開いていこうという のが、今、我々が義務化ということを通じてやろうとしていることなので、そういう議 論の仕方をお互いにしたいと思います。 ○横溝分科会長  先ほど言いましたように、福利厚生の論点は福利厚生の性格に応じた均衡処遇という ところで、今、岡本委員が福利厚生の性格に応じたということに答える形でこれとこれ は欲しいと言ったというように私は理解したのですが、どうでしょうか。松井委員いか がですか。そういう形でお答えになったと思っていますので、次の意見がありましたら。 ○松井委員  そうすると10ページの最初の指摘のところに書いてあるのはもう少し直さないと難 しいのではないかと思います。あと、11ページのところですと、少なくとも今言われた ことは読み取れないと思います。ここに書いてあるのは全部としか読めないということ です。 ○横溝分科会長  そういうように取れるのですね。今日の発言をまた取り入れて整理させていただくと いうことにいたします。 ○吉川委員  先ほど私が申し上げた、これが強化されると均衡をどうするかというところですけれ ども、要は企業というのは全体のパイが同じなわけですから、均衡化されるということ は、パート労働者のところを上げた分だけ、正社員の方が逆にそこまで守られない部分 があるということも承知の上での法制化なのですね。そこがわかった上でのことなのか ということが気になります。 ○稲垣委員  パイの話なのですが、パイの大きさというのは変わると思うのです。経営者の方がた くさん取っている場合もありますので、一概にそこだけを限って、働く者の中で分ける ということだけにはならないと思います。 ○佐藤委員  基本的に組合も今回の均衡処遇というのはパートの職務や人材活用と同じで、上げる だけではありません。正社員が下がる場合もあり得るのです。そういうことを全部否定 するわけではないということはいいですか。 ○稲垣委員  そういう面で言えば、実際にパートの方に対して頑張ってやっている会社もあるので す。そういうところは正社員の方自身がうかうかしていられないということは聞きます ので、そこは相乗効果で会社としての活力は上がると思っております。 ○横溝分科会長  それでは引き続き11〜12ページの、「所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ短 時間労働者で同様の就業実態にある場合」の処遇にかかる論点、(10)です。また総論的 な観点が入ると思いますが、これについて意見があればいただきたいと思います。ここ はよろしいでしょうか。  それでは13ページの「通常の労働者への転換」について意見をいただきたいと思い ます。 ○山崎委員  お聞きしたいのですが、この転換制度の導入については、指針で「パートに優先的に 応募の機会を与える」ということがあるのですけれども、現に今、パートの方は職に就 いているわけで、もう一つは外部的な労働資料としてうまく仕事が合わなくて失業して いる方がいるということとの兼ね合いというか、その辺りをどのように考えればよいの でしょう。 ○佐藤委員  まず、指針には「優先的に」と書いてありましたか。 ○高ア短時間・在宅労働課長  指針は2の(6)です。「事業主は通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用す る同種の業務に従事する短時間労働者に対しあらかじめ当該募集を行う旨、および当該 募集内容を周知させると共に、当該短時間労働者であって通常労働者として雇用される ことを希望する者に対し、これに応募する機会を優先的に与えるよう努めるものとする」。 ○佐藤委員  優先的に採用しなさいということではないですね。正社員を採るときにその情報をパ ートに出しなさいということで、優先的に採用しなさいとは言っていなかったと思いま す。 ○横溝分科会長  応募の方はあるけれども、転換の方は、「優先的」はないのですね。 ○佐藤委員  そうです。 ○高ア短時間・在宅労働課長  採用しなさいとは出ていないでしょう。 ○佐藤委員  確か採用しなさいとは出ていないです。 ○高ア短時間・在宅労働課長  応募は優先的ですが、山崎委員は要するに外の失業者よりも中のパートを優先すると いうことはどういうことかという質問だと私は理解しました。 ○佐藤委員  私は応募の機会の情報をまずは中の人にも出してくださいという主旨で、その結果と してその採用基準に照らして、外からの人がいいか中からの人がいいかは経営側の判断 ですので、そのポストにふさわしい人を採るということですから、失業者を採れ、中の 人を採れと言っているわけではありません。 ○山崎委員  ただ、企業としてはパートを正社員にすると幾らか賃金が上がることもありますので、 企業の社会的責任ということから考えると、パートで採るかどうかは別にしても幾らか 新規で採るということを考えなくてはいけないのではないでしょうか。 ○佐藤委員  そのこと自体は、私自身は考えていません。例えば優先的に失業者を採るというよう なことは、私は考えていません。 ○松井委員  確認なのですが、この現行の指針は、募集する場合は公募する前に先にパートに声掛 けをしてその中でセレクションをしても駄目だった場合、次に公募をすると読み取るの でしょうか。それとも同時に募集するのでしょうか。ここの解釈は先にパートからのセ レクションをやらなくてはいけない、同時はいけないというように読み取れるのですが。 そういう主旨で山崎委員は言われているのではないかと思うのですが。 ○高ア短時間・在宅労働課長  私の考えは、応募する機会を優先的にと書いてありますので、早く声掛けをするとい うことにはなると思いますが、最終的に応募者についてセレクションを先にするとは書 いていないと理解しています。 ○横溝分科会長  そういうことですね。 ○佐藤委員  もし、中途採用すれば求人広告を社内にも貼ればいいという主旨なのでしょう。 ○吉川委員  恐縮なのですが、一つ戻って11ページの一番下の(10)のところですが、指針において のところで、「通常の労働者としてふさわしい処遇をするよう努めるものとしているこ とについてどのように考えるか」とありますが、この「ふさわしい処遇」というのはど のように考えたらよろしいのでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  何をもってふさわしいかということについての基準や解釈というものはありません。 文字通り通常の労働者としてふさわしいということですから、通常の労働者と同じとい うことだと思います。指針の表現ということでいろいろな議論があったわけですが、最 終的にこの部分について大まかにいうと、時間が少し違うだけで就業の実態は変わらな いということであれば通常の労働者に変えなさいという考え方もあったのでしょうが、 そこは通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めてくださいという形で整理 されているということだと思います。 ○横溝分科会長  転換の項目についてはそれでよろしいですか。 ○松井委員  今、吉川委員が確認したことであらためて気がつきましたが、ここには使側のものが 全く書いていません。ここの趣旨は仕事が同じで就業実態が同じ者は差別禁止だと書い ているのですね。少なくとも労働側の主張はそうですね。先ほどは高齢法を例にして議 論をしましたが、仕事が同じであれば全く同じにしなさいというときに、ここも理念系 としては反対しにくいと思います。では、まず誰と誰が同じだと判定をするのかという 悩ましさが1点と、通常の労働者とほとんど同じ時間の短時間労働者との比較ではなく、 通常の労働者同士でもあると思います。そうすると通常の労働者が勤続年数的な管理を している段階では、新卒だと能力の高によって仮に賃金表の下では給料は低くても仕事 は上をやっていたり、あるいは後から入ってきて同じような仕事ができても給料が低か ったりというケースもあると思います。そういう者はこういうことをやると差別禁止と いう形になるのでしょうか。  私たちが心配しているのは、こういうことの理念系について反対はしにくいのですが、 こういうことを決めることによって、ほかの日本の賃金制度に及ぼす影響はどのような ものがあるのかということを懸念せざるを得ないと思います。先ほど林委員にもしつこ く聞いたのは、ここが全く書いていないのでもう少しここを埋めることをぜひお願いし たいと思います。あえて議論はしませんが、ワーギングについては別途相談したいと思 います。 ○龍井委員  先ほどから言っているように、法律上である程度の考え方や施策の基本を示して具体 化するときの手立てがいくつか必要になることはそのとおりだと思います。例えば、そ の後に出てくる通常の労働者への転換といっても当然労働条件までいきますので、どう いう格付けをしてどういう人と同じにするのか。どうでなくてはいけないということを 法律にどこまで書けるかわかりませんが、そういう問題はやはり生じるわけです。です からここでいっている「ふさわしい」ということをどこにきちんと続けるかということ は、基本的な施策を示した上で当然必要になってくると思います。 ○佐藤委員  私の理解が正しいのかどうかわかりませんが、先ほどのお皿の例で言うと、指針のこ の部分は基本的には皿の外の人たち、短時間の人たちではないけれども実態として例え ば15分短いけれども常に15分残業で働いている人たちであり、契約についても有期だ けれども事実上無期のように扱っている人たちと想定しているのであろうと思っていま す。パート労働法はこの皿の外の人たちという理解でいいですか。1分でも短ければ基 本的にはパート労働法で全部カバーされて、実態としては同じ人たちというのが私の理 解です。 ○高崎短時間・在宅労働課長  説明しますと、それは皿の中です。要するにパート法はもちろんですが、パート法に 基づくパート法指針も通常の労働者と同じ人は全く対象にしていません。ここに記載さ れていることは所定がということです。佐藤委員が言われたのは実態が残業することに よってという意味だと思います。あくまでそこではパートタイム労働者の中で就業の実 態が通常の労働者とほとんど同じ人についてという話です。 ○今田委員  そこでいう「ふさわしい処遇」というのはどういうことですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  正社員としての処遇ということです。 ○今田委員  「正」という意味ですね。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ただ時間が短いということはありますので当然差はあります。 ○今田委員  いわゆる均衡処遇という意味ではなく均等に近いということですね。言葉がいろいろ 錯綜しているので理解しにくいです。 ○横溝分科会長  「ふさわしい」という文言を国語的に正確にどういうふうに受け取ったらいいかとい うことですね。 ○松井委員  確認させてください。高崎短時間・在宅労働課長は「皿の中」と言いましたが、65回 のときの資料の論点整理ペーパー最後の、皿の中というと3枚重ねの中の一番右側とい うイメージだと私はとらえます。ただ欄外にこのほかという形で書いてある「所定労働 時間が通常の労働者とほとんど同じであり云々」というところが11ページ(10)を指して いるのではないのでしょうかという質問と、その場合、もし違うのであれば欄外の4番 目のカテゴリーと3枚目の皿のところはどういうふうに違うのか教えていただきたい。 ○高崎短時間・在宅労働課長  パートタイム労働法指針上は、文字通り皿の方は職務、人材活用の仕組みということ で書かれています。「ふさわしい」という部分の指針については「同様の就業の実態」 という表現が使われており、そういう意味では指針上明確に関連付けて整理されている ものではないので、異義がないように参考資料上は欄外に書いています。  今、佐藤先生が言われたように、当然就業の実態が同じであるということであれば職 務が同じということは当然でしょうし、人材活用の仕組みが違っていれば就業実態が同 じということはありえないので、あえてこの絵の中に位置付けようとすると一番上に載 っている3枚目の一番小さな皿の中のさらに一部という形になると理解しています。 ○横溝分科会長  そういうふうに理解していただきまして、14〜15ページにかけての労使の話し合いの 促進等の(1)〜(4)までについて議論していただきたいと思います。 ○山崎委員  パートについても業種・業態によって違い、企業の特性もあるので、従業者の就業実 態を見てケースバイケースで対応して自主的に取り組むというのが基本だと思います。 少し古い話になりますが、説明のところについては先生方が作られた報告の中に公正処 遇を実現するためには労使の自主的取り組みの促進措置の一つであるというような説明 が書かれているので、新たに枠組みに入れなくても自主的な取り組みということでいけ ばいいと思います。少し解釈が違っているかもしれません。 ○佐藤委員  もし今回法改正をするとすれば、かなりお願いする部分と、もしかするとやらなけれ ばいけないという部分が出てきて、全体的にいえば取り組みを促進するということは間 違いないということですね。 ○吉川委員  この間の資料によると、説明に答えていないというのは0.1%という説明でしたが、 99%というほとんどがきちんとそれをやっているということですね。それでもなお、な ぜ法制化までする必要があるのかと思います。  質問を受けたら説明をするという人が78%ぐらいで、説明を受けていないというとこ ろが19〜20%だったのです。質問を受けて答えていないのは0.1%という回答だったの で、聞かれないというところをどう理解するかということです。 ○林委員  説明を求められて説明したというのがあり、それ以外に10何%が説明を求められなか ったというところがありました。それについて労側から話がありましたが、現在のパー ト労働者は、期間更新を繰り返すという形であれば説明を求めることをためらうという 環境という面も十分考えられるのではないかと思います。そういうことを考えると、説 明を求められる環境を作る必要があるのではないかと思います。 ○龍井委員  今の発言と同じですが、私はこの回答率が7割でも8割でも関係ないと思います。変 動するかもしれません。問題は他の制度の普及率と違って、仕組みとして当然あってし かるべきでありなおかつ無理もないことなので、ルールとしてやるべきだと思います。 基本的に普及しているからやるべきだとはいうものではないものであり、他の制度とは 違うものだと解釈していますので、そういう受け止め方をしていただければと思います。 ○吉川委員  使用者側から考えると、入るときに十分話し合いはすみ納得して入社しているはずな のでそれ以上になぜということと、先ほど聞けない環境があると林委員は言われました が、逆に説明しようとしても理解しようとしない理解できない人もいるかもしれません ので、そこのところはどちらといえない部分があるかもしれませんが、ほとんどは仕事 をしてもらうためには説明しなければいけないわけですから、それまでなぜ法律化しな ければならないのか、逆に経営者の裁量としていいのではないかと思います。もし質問 しても答えないような経営者がいるとしたら、そこはもっと事業主に守るように何らか の指導はしてもいいと思いますが、労使の話し合いを法制化というのはいかがなものか と非常に疑念を感じてしまいます。 ○今田委員  パートの均衡処遇についての問題関心およびそれをどう対応するかというときの姿勢 なのですが、一番重要なのが事実としてパートとフルタイムの間の不適切、不均衡な処 遇もさることながら、本当に処遇されている中身についての納得性に問題があり、フル タイムの人はこうでパートタイムの人はこうであるからそういう処遇をされているとき ちんと説明してあればもっと納得性のレベルが上がるわけです。納得する処遇が均衡処 遇の我々が議論している基礎になっている考え方なのです。天の神様がこれは均衡だと いうわけではなく、基本的に均衡というのは働いている人が納得する処遇をどう労使で 考えていくかということです。そういう意味でこの説明というのはかなり重要になって いて、吉川委員が言われるように賢明な使用者は理解を高めるためにきちんと説明する でしょう。しかし、説明しない経営者もいて、そういう部分に不満が内にこもっていく からこそこういう説明は厳しくきちんとルール化するというのが、均衡処遇を実現して いく上でかなり重要な要素になると思います。こういう問題関心が指針を作るときにあ ったと私は理解しています。  そういう考え方が一般化して、このデータによると、説明しているということになっ ているのか、説明を求めることが拠出しにくい職場環境なのかと両方読むことができま すが、いずれにしろ説明という行為が均衡処遇実現においてかなり重要な位置付けにな るということだと私は理解しています。 ○松井委員  今田委員が言われることはそのとおりだと思います。使用者側として言っているのは、 それを法律でやらなければいけないのでしょうかということです。私から言うのは少し 難しいのですが、説明するということを仮に法制化したときに、説明をしろという法律 だけなのかどのように説明をしなさいということまで手取り足取りやるのかといった点 に対する疑念や、吉川委員も言われたように、幾ら説明しても納得しない人もいるだろ うという場合に、それでも説明責任は果たしているということであるならまだしも、本 当に大丈夫なのかと素朴な疑問があるということは理解をして欲しいと思います。だか ら法律でやるべきものなのでしょうかということなのです。説明をしない企業経営者が いる、説明を聞きにくい状況にあるということも理解して欲しいと林委員も言われまし たが、本来は企業の責任でどのように対応すべきなのかという範囲のことなのではない かと思います。そういうことからすると、私たちとしては説明をしないような企業から は従業員は逃げていくことも仕方のないことだと判断せざるを得ないと考えています。 ○佐藤委員  私はこういうルールは手続きルールで、納得するまで説明しなければいけないという ことではなく、質問できるようなルールを作って欲しいということです。とりわけパー トに何が大事かというと、例えば先ほど松井委員が言われたように同じ職務かどうか、 法律上あるいは指針で書いたとしても結果は現場に人しかわかりません。そうした場合、 そこできちんとした円滑なコミュニケーションなり合意形成できる仕組みは非常に大事 だと思うので、そういう意味では手続きルールという仕組みは特にパートの場合大事だ と思っています。 ○横溝分科会長  それでは16ページ以下、17ページの、その他ということで何か付け加えて言いたい ことがあればお願いします。 ○吉川委員  中小企業の経営者を代表してというつもりで発言させていただきます。先ほどパイが 同じという説明をしたときに経営者がたくさん取っていると言いましたが、これは責任 においてもすべてにおいて、労働者は辞めれば済んでしまい、ある意味では個人に痛み はないかもしれません。でも経営者は個人補償を全部させられて総責任を取るのです。 中小企業の経営者の自殺者が多いことからもそれはわかっていただけると思いますので、 それについてはぜひ理解していただきたいと思います。 ○稲垣委員  先ほど私は一言足りなかったと思っていますので付け加えると、パート労働者が頑張 って働き、社内全体の雰囲気が良くなり、その会社自体のパイも大きくなるということ を期待すると。それが非常に大きいと思うので、そういう面では労使が一緒により良い 労働条件を作ることは必要だと思います。 ○横溝分科会長  人材活用ですね。それで双方が良くなります。ほかにありませんか。 ○松井委員  その他ということは何でもいいということですね。  恐らく、いろいろこれまで議論している中で、パート労働法の中で全く議論されてい ないことにあらためて気がついたので、私からの提案としてこれはやめてしまった方が いいのではないかと思います。具体的にいうとパート労働法の第5条というところに「短 時間労働者対策基本方針」というものがありますが、私の記憶が正しければ初めて女性 で次官になられた方に当時○○基本方針というものを作るのが非常にはやりの時期があ り、大体こういうものは省みられることがなく、議論はするのですが行政の方がパート タイマーのために長時間労働を強いられて環境に優しくない単なる紙の束を作り、それ が基本方針だと言われてしまうのが関の山だと思っています。したがって、今までの議 論で一切そこに言及がなされなかったのは作っても無駄だと私は思います。そこまで言 うと恐らく労働側はそうではないと言っていただいて結構ですが、あまり意味のないこ とに作業を費やすのも効率的ではないと思います。本当に意味のある議論を深めていく ためにも、こういったものはやめてしまったらどうかという提案だけをします。  一言だけ言うと、指針についての議論はいろいろあったと思います。もう一度確認し たいのですが、ここの基本方針に対する言及は私がするまで一切なかったということだ けはよく踏まえていただきたい。それはなぜなのかということは大変重要だと思います。 ○横溝分科会長  論点整理をすると、1ページの総論的理念はその後の状況を踏まえたものを指針の理 念も含めてここへ入れているつもりです。  時間が来ましたので本日はこれで議論は終わりにします。次回以降の進め方ですが、 今後の議論をまとめていくにあたり、本日の議論を踏まえて公益委員の方で分科会とし ての報告書の素案を作成して次回提示したいと思いますがそのような方向でよろしいで すか。   ○松井委員  分科会長は「本日」と言われましたが、本日までのということで確認させていただき たいと思います。細かくて申し訳ありません。それからぜひ公益の委員方に骨折りかと 思いますが、企業の現場で現実に可能となるようなものをお願いしたい。それぞれ大学 でも研究所でも弁護士事務所でも使えるものでやって欲しいと思います。  もう一点確認ですが、通常よく国家公務員など公務は除くという仕組みになるのだと 思いますが、もしそういうことがあればそれはやめて国家公務員なども民間と同じよう にできる仕組みを設けてもらえればと思います。私の記憶では一般的に船員や公務は除 きそれは任命権者がやることと雇用契約が違うという整理がなされていますが、民間に 均衡などということでそういうものを求めるのであれば、公務の職場においてもあるい は独立行政法人、それはもう民間という理解なのですよね。そういうところで、きちん とできるものでないと困ると。ぜひ、委員方よろしくお願いします。 ○横溝分科会長  追いかけて、それぞれの法律で同じようなものをつくるのだと思いますけれど。  それでは、次回は、そういうことでご提示したいと思います。本日の署名委員は、岡 本委員と渡邊委員にお願いします。 ○龍井委員  時間を取らせてすみません。冒頭に発言しようと思ったのですが、安藤雇用均等政策 課長がおられなかったので。均等法のリーフレットの件なのですが、何種類か出してい ただいて、かなり具体的に書き込まれているのですが、この2枚ものの、これはネット で検索したものなのですけれども、ここで1点だけ「間接差別が禁止されます」という 項目の説明で、省令の三つだけのバージョンがあるのです。これは、再々この場でも確 認させていただいていたように、理念・定義というか、「それ以外にも存在します」と 他のリーフレットでも書かれているようなことに、ぜひ修正をお願いしたいということ だけ要望として申し上げておきます。 ○松井委員  仮に、そういう修正ということは「もっとほかもあり得る」ということだけを書くと いうことなのですか。どのような趣旨で言われているのかを確認したいということと、 企業としては、新たな概念である間接差別についてどういう理解をして、どういう実務 的対応をすればよいのかということを悩んでいる点がありますので、できる限り簡潔に わかりやすく、そして誤解が生まれないような形でパンフレットは書いていただきたい と思います。 ○龍井委員  私が言うのも変ですけれど、他のバージョンでは現に松井委員の要望に応えるものに なっていますので、それに合わせてくださいということです。以上です。 ○安藤雇用均等政策課長  恐らく、ものによっては、スペース上の制約その他いろいろあると思いますので、そ れぞれの目的に照らしてわかりやすく作成していきたいと考えています。 ○龍井委員  このバージョンについては、ぜひ修正をお願いしたいと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  ものが手元にありませんので、追って検討させていただきたいと思います。 ○横溝分科会長  今日はそれでよろしいですね。  それでは、今後のスケジュールを事務局からお願いします。 ○香取総務課長  本日はありがとうございました。恐縮ですが、次回の日程は追って連絡します。日程・ 場所ともに調整中ですので。よろしくお願いします。 ○横溝分科会長  本日は、ありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課企画法規係(7876) 31