06/11/09 平成18年11月9日薬事・食品衛生審議会指定薬物部会議事録 指定薬物部会 議事録 1.日時及び場所    平成18年11月9日(木) 13:30〜    厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(9名)五十音順    板 倉 ゆか子、◎井 村 伸 正、 合 田 幸 広、 小 沼 杏 坪、   ○佐 藤 光 源、 鈴 木   勉、 妹 尾 栄 一、 曽 良 一 郎、    花 尻 瑠 理   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順  鍋 島 俊 隆、 藤 岡 淳 子、 八 木 剛 平、 和 田   清 3.行政機関出席者  高 橋 直 人(医薬食品局長)    黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 中 澤 一 隆(総務課長)    村 上 貴 久(監視指導麻薬対策課長)    大 西 証 史(監視指導室長)    他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○監視指導・麻薬対策課長 「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催いたします。 本日はこの部会が設けられてから初めての会合です。委員の先生方について事務局から御 紹介をさせていただきます。板倉ゆか子委員です。井村伸正委員です。合田幸広委員です。 小沼杏坪委員です。佐藤光源委員です。鈴木勉委員です。妹尾栄一委員です。曽良一郎委 員です。花尻瑠理委員です。あと、八木剛平委員がおいでになる予定になっていますが、 少し遅れているようです。このほかに、御欠席ですが鍋島俊隆委員、藤岡淳子委員、和田 清委員に委員をお願いしているところです。  続いて、高橋医薬食品局長より御挨拶をさせていただきます。 ○医薬食品局長 薬事・食品衛生審議会薬事分科会、平成18年度第一回指定薬物部会の開 催にあたり、一言御挨拶申し上げます。委員の皆様におかれましては御多用のところ、本 日御出席を賜りありがとうございます。  現在の薬物乱用に関する情報を見ると、平成17年度の覚せい剤の事犯が1万3,549人検 挙ということでございます。依然として、覚せい剤の乱用が大変深刻であります。また、 青少年の間でMDMAや大麻の乱用が増加するなど、憂慮すべき状況にございます。また、 インターネットなどで「合法ドラッグ」、「脱法ドラッグ」などと称して販売されている 薬物については、その乱用による健康被害が発生しております。その乱用が麻薬、覚せい 剤などの使用のきっかけになる危険性があることから、これまで薬事法により無承認無許 可医薬品として規制を行ってまいりました。  しかし、近年、ビデオクリーナー、芳香剤などの名目で、人体摂取を目的としていない かのように偽装され、直ちに薬事法違反に問うことが大変難しいケースが増加しており、 迅速かつ実効ある規制が大変困難な状況にあります。こうした状況に対応するため、本年 6月に薬事法の改正がなされ、幻覚などの作用を有する物質を指定薬物として指定して、 規制を強化することにした次第です。この部会は薬事法の改正を受け、指定薬物の指定に 関して御意見を賜るため、9月に薬事・食品衛生審議会の決議を経て新たに設置された部 会です。今日が初めての会合となります。  本日は、一つの植物を含む33品目について、指定薬物への指定の可否について御検討い ただきたいと考えています。私どもとしては審議の結果を受けまして、可能な限り迅速な 対応を行う所存でございます。委員の皆様方におかれましては、引続き御指導、御協力を 賜りますようお願いいたします。よろしくお願いいたします。 ○監視指導・麻薬対策課長 続いて、事務局の紹介をさせていだきます。御挨拶いただい た高橋医薬食品局長です。黒川審議官です。中澤総務課長です。申し遅れましたが、私は 監視指導・麻薬対策課長を拝命しています村上と申します。それから、監視指導室長の大 西です。よろしくお願いいたします。  続きまして、部会長の選出ですが、薬事・食品衛生審議会の薬事・食品衛生審議会令第 7条において、部会長は部会に所属する「正委員」の互選により選出するとされています。 指定薬物部会に所属されている正委員は、井村先生と板倉先生のお二方です。両委員に事 前にお話し合いをしていただき、井村先生に指定薬物部会の部会長をお願いしたいと、お 二人で決められていることを予め御報告申し上げます。井村先生、部会長の席にお移りい ただき、以後の議事をよろしくお願いいたします。 ○井村部会長 大変僭越ですが、議事の進行を務めさせていただきます。よろしくお願い します。まず、こういう委員会では、初回は部会長代理を決めることになっています。こ れも今、話が出ました薬事・食品衛生審議会令の第7条で、部会長が指名することになっ ています。私から指名させていただいてよろしいでしょうか。それでは、この問題につい て大変お詳しい佐藤光源先生に、もしお引き受けいただければ大変ありがたいと思います。 よろしいでしょうか。議事に入ります前に、事務局から本日の資料について確認をお願い します。 ○事務局 資料の確認をいたします。先生方に事前にお送りした資料に誤りがありました。 大変申し訳ございません。先生方にはお手元に資料1、2、3及び参考4を当日配付させ ていただいています。傍聴の方の資料については既に差し替え済みのものですので、特段 誤り等はありません。先生方におかれましては、資料の差し替えをお願いいたします。  資料は1から3、参考が1から4、全部で七つの資料を準備させていただいています。 まず資料1は、厚生労働大臣から、薬事・食品衛生審議会の会長でいらっしゃる井村先生 に宛てた諮問書です。こちらは物質のリストともなっていますので、資料1として配付し ています。資料2は、諮問をされている物質の構造式を概略ですが付けています。資料3 はA4横のエクセルの表ですが、各薬物の中枢神経への作用概要となっています。  参考1から4ですが、参考1と参考2はそれぞれA4の縦と横の1枚紙です。参考1が 「指定薬物に関する薬事法上の規定(規制の主要部分抜粋)」。参考2としてはポンチ絵 で、「違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)対策概要」となっています。参考3として 「規制薬物構造式(抜粋)」ということで、既に麻薬、覚せい剤等に指定されている物質 の構造式を参考に抜粋しています。参考4はA4縦のエクセルの表で、「正規用途(案) について」です。今、こちらで調査しているそれぞれの物質の正規用途を挙げています。 この3枚目を確認いただければと思いますが、すべての物質に共通する正規用途、前の2 枚についてはそれぞれ個別の物質となっています。以上です。何かありましたら、事務局 までよろしくお願いいたします。 ○□□委員 資料はそろっていますでしょうか。それでは、議事に入らせていただきます。  本日の議題は、指定薬物の指定でございます。今年の6月14日に公布された、いわゆる 改正薬事法により、新たに定められた制度ですが、まず、指定薬物に関する薬事法の改正、 それ自体について事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 薬事法の改正の概要について御説明させていただきたいと思います。まず参考 1、参考2を並べて御覧ください。参考1は改正薬事法のうち、指定薬物の指定の関連の 部分を抜粋したものです。参考2は、指定薬物制度の概要のポンチ絵となっています。  まず、参考2の図の楕円の中を御覧ください。こちらにこれまで無承認無許可医薬品と して取り締まってきましたが、人体への摂取を目的としないもののように偽装されるため、 迅速かつ実効ある取締りが困難だということがあり、そちらに対応するために、今般の薬 事法改正の条項が設けられたという背景があります。  改正部分ですが、枠の囲みの中のまず一つ目の○ですが、幻覚などの中枢神経系への作 用を有する一定の物質を厚生労働大臣が指定することとなっています。これは薬事法の第 2条第14項、参考1のいちばん上の「定義」の部分にあります。こちらで「薬事・食品衛 生審議会の意見を聴いて指定する」こととなっています。14項のいちばん下です。  二つ目の○ですが、医療などの一定の用途に供する場合を除き、製造、輸入、販売、そ の3点が禁止されるということであります。一定の用途というのは、今回、参考4で正規 用途(案)として配付していますが、参考1の第76条の4に規定されているとおり、厚生 労働大臣が、人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途、「医療等の用途」と して、厚生労働省令で定めることとしています。正規用途(案)については、先ほど申し 上げましたように参考4として配付していますが、こちらは物質リストとともにパブリッ ク・コメントを踏まえて定める予定としています。  参考2の囲みの三つ目、四つ目の○ですが、指定薬物である疑いがある物品については 検査命令が可能となる等、これまでの無承認無許可医薬品の販売に対する罰則と比較する と、違反行為に対する罰則が強化されています。  なお、蛇足ではありますが、これらの物質の中から指定薬物が麻薬に指定された場合は、 より厳しい規制となりますので、指定薬物から外れることとなっています。以上です。 ○□□委員 ありがとうございました。今の説明にありましたように、それから局長の御 挨拶にもありましたように、指定薬物の指定の際には薬事・食品衛生審議会の意見を聴く ことになっていますので、今回、諮問があったということです。諮問の内容について、事 務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料1を御覧ください。物品のリストが1から33まで番号で示されています。 IUPAC準拠の化学名で少し長くなっていますが、1から33まですべてそれぞれの物質を示 しています。通称などについては資料3の横表に通称として1から番号が付いています。 例えば1番だと亜硝酸イソブチル、9番だと5-MeO-MIPTなどと通称を付けています。少 々見にくくて恐縮ですが、よろしくお願いします。  これらはすべて資料2の構造式とも番号が対応しています。資料2の構造を持つ物質、 それから8番は植物ですが、サルビアの一種にサルビノリンAという物質を含む一種があ り、こちらの33品目について指定が諮問されているところです。  資料2の構造式を御覧ください。1枚目が亜硝酸系のエステル、2枚目がSalvia divinorumというある特定の種ですが、そちらに含まれるサルビノリンAという物質です。 3から5ページはトリプタミン系と呼ばれている物質群です。資料3に作用のまとめとい う形で、各薬物の中枢性神経への作用概要という形で記載していますが、既に麻薬などに 指定されている、幻覚などの作用のある物質と酷似しているものです。6ページには20 と21があります。20は4MPP、21はMBZPというもので、こちらも既存の麻薬と類 似している、同様の効果が推定されるというものです。7から9ページですが、こちらは フェネチルアミン系と言われている、既存の麻薬と類似しているものです。例えば参考3 の3ページの第26号や、4ページの第50号などと非常に近いものです。22番の左下にあ るIというヨウ素の部分がBromineになっているものは既に麻薬となっています。9ペー ジは既存のもの、MDMAなどと類似のものとなっています。  資料3は、それぞれの中枢神経系への作用を文献集という形で綴って置いていますが、 そちらからまとめたものでございます。各物質とも中枢神経系作用が報告されている、ま たは報告されているものと非常に類似していることを事務局でまとめたものです。以上、 よろしくお願いいたします。 ○□□委員 どうもありがとうございました。只今の事務局からの説明について御意見、 あるいは御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。一気に、全部資料 を説明していただいたので、お分かりになりにくかったかもしれません。□□先生、何か 御質問、御意見はありませんか。 ○□□委員 よく分かりましたので、特にございません。ただ、これだけの品目が挙がっ たというのは、どういうような経緯で挙がってきたのかというのが一つです。というのは、 臨床では幻覚性のトリプタミンが、このほかにも、もう二つぐらい乱用例が最近報告され ています。次から次へ現れてきますので、臨床で問題になっているところまで出来たら目 を配っていただいて、取り上げていただきたいと思ったのです。どういうようにこの品目 をそろえられたのか、ちょっと教えていただければと思います。 ○監視指導・麻薬対策課長 私から御説明いたします。今回、30数品目、指定してもよろ しいかどうかということでお伺いしているわけです。これらのものは、私どもが積極的に 市場から試買をしてきて、その中から発見された化合物ということでリストアップさせて いただいたものです。もちろん、今、先生がおっしゃられたように、もともとは麻薬を使 いたいのだけれども、麻薬を使うと捕まってしまうので、麻薬に少しだけ手を加えて、麻 薬の効果をきたして、捕まらないように売ろうという発想で作られているものです。もち ろん、これらを指定するとさらに別のものに変わっていく可能性もありますし、私どもが 市場から試買をしてきて、こういうものが使われていると実態を把握したものもこのほか にまだございます。それらについては逐次、指定の作業をさせていただきたいと考えてい るところです。  いずれにしても、医薬品のように、市場に出す前に会社が全責任を持って安全性、有効 性を検証した上で出すというものではありませんので、合成するのは簡単ですから、あと はどうなろうと知ったことではないということで、違法に売っている人たちがいるわけで す。これらについては早急に手立てをしないといけないということで、薬事法が改正され たと理解しています。今回、第1弾として30数品目ということです。 ○□□委員 □□先生、よろしいですか。 ○□□委員 結構です。 ○□□委員 また、次々に出てくるようです。大変危うい化学物質ですが、いかがでしょ うか。 ○□□委員 一つだけ植物が入っていますが、Salvia divinorumです。諮問書のいちばん 最後に、「上記の物質の塩類及びこれらを含有する物を含む」ということで、Salvia divinorumを含有する物を含むということになります。化合物の場合は、「これを含有す る」というのが明確なのですが、植物の場合に、それを含有するというのはどういう定義 で諮問されたのかを伺いたいと思います。 ○□□委員 この言葉の書き方ですね、何か御説明いただけますか。 ○監視指導・麻薬対策課長 Salvia divinorumがどのような形で入るのかは分かりません。 現在、市場にあるものとしては粉末状になったもの、乾燥品です。一応、具体的にSalvia divinorumの植物体からの乾燥粉末を含むようなものは対象とする、ということになるの ではないかと思います。 ○□□委員 植物そのものというか、生きている植物そのものが対象にならないのですか。 ○監視指導・麻薬対策課長 いや、商品として現存しているのは加工した物しかありませ ん。しかし、植えられている物がすなわち、この範囲内に解釈されるものでもないという ことです。 ○□□委員 ほかにいかがですか。 ○□□委員 参考2の四角の枠の○の3番目で、「指定薬物の疑いがある物品の検査を命 令できる」とあります。これは要するに、当該物品の製造や輸入や販売をしている業者に 対してということですか。誰に対して検査を命令できるのかを教えていただきたいと思い ます。 ○監視指導室長 御質問の点については、まさに陳列している、販売している業者に対し て検査を受けることを命ずることができるということです。 ○□□委員 検査を受けることを命ずることができるということですか。ほかによろしい ですか。既に規制を受けている薬物とも構造式を比べると、これは問題なく危ういと思い ます。□□先生、重ねて御意見はありますか。よろしいですか。今日は議題がこれ一つで すので、どうぞ、ごゆっくり議論をしていただきたいと思います。 ○□□委員 参考1の「定義」の最初のところは法律の文章だと思うので、私の理解が足 りないかも分かりませんが、言葉としてどうなのかよく分からないのです。「指定薬物」 とは、という最初の文章がありますが、「蓋然性が高く、かつ」以下がどういう考え方を するのかが分からないのです。大麻取締法に入っているものも指定薬物と言いたいという ことですか。 ○監視指導・麻薬対策課長 その部分は「人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害 が発生するおそれがある物」であって、別のもっと強力な法律で規制されている物は除く ということです。 ○□□委員 分かりました。 ○□□委員 非常に間が長くなっていますので分かりにくいのですが、よろしいでしょう か。 ○□□委員 先ほど、少しお話があったのですが、指定薬物から麻薬に行く可能性はある わけです。向精神薬に行く可能性はないわけでしょうか。 ○監視指導・麻薬対策課長 麻薬に行く可能性はあります。一応、薬物については、向精 神薬としては使われていないような物、乱用目的がメインだとか。ただ、亜硝酸イソアミ ルのように、まったく別の目的で使うような医薬品に相当する物もありますが、少なくと も睡眠とか、その他の向精神薬として正規に使う予定のないような物が指定薬物になると 考えています。そういう意味では、麻薬になる可能性はあるけれども、向精神薬になる可 能性は低い、ほとんどないのではないかと思っています。 ○□□委員 いかがでしょうか。先ほど、資料は説明が全部終わってしまっているのです が、例えば参考4に「正規用途(案)について」という記述があります。これをもう少し 御説明いただけるとありがたいと思います。 ○事務局 正規用途(案)ですが、恐縮ですが、こちらは本日の諮問事項ということでは ありませんので、参考として配付させていただいています。  正規用途は、厚生労働大臣が人体に影響、問題ない用途として定めるということです。 例えば、亜硝酸イソブチルや亜硝酸エステル系は、他の化学物質を合成する際に非常によ く用いられています。企業の方で新たなほかの物質を作るものをこの制度自体が妨げると いうことを目的としたものではありません。そちらの方は正規用途ということで特段問題 なく使えるようにしているものです。  3ページですが、「すべての物質に共通する」ということで、教育または学術の研究に 用いる場合や、あと「薬事法の検査」というのは違反の検査というもの、それから、犯罪 の鑑識などに用いる場合は、正規用途として除外しています。 ○□□委員 ありがとうございました。 ○□□委員 参考1の第76条の5で、広告の制限についてがあります。ここのところで、 インターネットの表示広告もこれで読み取って、取締りをするということでよろしいので すね。 ○監視指導室長 さようでございます、インターネットにおける表示広告も広告という概 念に読み込めるものです。 ○□□委員 何か、細かい点でお気づきのことはありますか。 ○□□委員 構造のことですが、27番からあとの化合物は光学活性のものと、例えばDL のものとかがあります。ここの指定はすべてのものを全部一括して、R体も、S体も、R S体として入っているものも指定するという考え方でよろしいですか。 ○監視指導・麻薬対策課長 そうです、そのとおりです。 ○□□委員 これは確認というか、私の記憶を少しはっきりさせようと思ってなのですが、 資料3の14番ぐらいからずっとトリプタミン系のものがあるわけです。13番の説明のと ころで、16種類の幻覚性のトリプタミン誘導体をやったら、皆さん幻覚が起こったという ことがあるわけです。あるいはこれ以外にも、先ほど申し上げたような二つのトリプタミ ンが、ごく最近、若い人たちが使って幻覚を起こしたり、高い所から飛び降りたりして問 題を起こした症例報告があるわけです。このようにトリプタミンで括るという規制を少し だけ変えてというのではなくて、もう構造式で、「トリプタミン類」ということで規制す ることがディスカッションで一回あったと思います。結局、どういうようなことで共通の 認識になっているのでしょうか。 ○監視指導・麻薬対策課長 トリプタミンという基本骨格を持っている化合物の中には、 ドパミン、アドレナリンのような、必ずしも麻薬のような作用を示さないもので、生体物 質として非常に重要な働きをするものがあります。これだけトリプタミンが並ぶと、私も つい、一緒にやってしまえばいいのかなという気もしないではありません。しかしながら それはおそらく出来ないだろう、ということでした。  もう一つ、これを規制したときには、すぐに売った人は捕まって処罰を受ける可能性が あるわけです。そうなると、何が入っているかというのは確認をして、個別に検査をして 確定しなければならないということもあります。もちろん、先ほど□□委員がおっしゃっ たように、光学異性体みたいなものはグループとしてやるにしても、化学物質としては個 別に指定をするという方針になったのではないかと記憶しています。 ○□□委員 ほかに疑問、追加の御意見はありますか、よろしいですか。 ○□□委員 確認なのですが、先ほどの参考2の下の囲みの中で、「指定薬物である疑い がある物品の検査を命令できる。検査命令を受けた者は、検査中は当該物品の製造、輸入、 販売等を禁止」とあります。「等」の中に広告は入っていないですよね。広告に関しては、 指定薬物に指定されたものについて広告を制限するという意味ですね。 ○監視指導室長 はい。 ○□□委員 その場合、今日、指定薬物に議論するように出たものは、従来からインター ネットの検索とか、あるいは買取り調査など、行政的な努力でやられた分なので、何とな く、指定薬物に関する疑いがある物品の検査命令を出せば、それで済んでいくような感じ がするのですが、ただ実際には、広告に関しては規制がかけられないものですから、イン ターネットの検索や買取り調査、検査は従来どおりにやっていただきたいと思います。 ○監視指導室長 広告の部分については現在の医薬品の広告規制と別立てで、先ほど御紹 介もありましたが第76条の5に広告の禁止規定があります。これについては罰則もかかっ ています。実際、取締りとしてはこれまでも努力してきましたが、インターネット監視、 さらに警察庁などでも違法薬物を含めた各種違法行為についてのNPO法人との連携も含 めた取締り活動も強化されています。そのようなところや各都道府県とも連携を取り、努 力を重ねてまいりたいと考えています。最後は物を陳列し、販売しているところに、今回 与えていただいた検査命令等のツールを活用して取締りをしていくことが重要だと考えて います。 ○□□委員 はい。ありがとうございました。ほかに、御意見はありますか、よろしいで すか。 ○□□委員 細かい話、また植物の話です。Salvia divinorumがそうだということを言う ために必要条件などはあるのですか。二次代謝物であるサルビノリンAが出れば、それで 間違いなくそうだと思います。それから、Salvia divinorumだろうと思われる植物の乾燥 体があってSalvia divinorumと確定できるDNAがその植物から検出されたら、そうだと 言ってよろしいわけですか。 ○監視指導・麻薬対策課長 そのようなことになると思います。 ○□□委員 ほかにございますか。麻薬などもそうなのですが、いわゆる学術研究に使う というときに、極めて不便になることのないようにしていただきたいという気もします。 それは麻薬の場合と同じように考えてよろしいわけですね。  もし、御意見がなければ、大体皆様の御議論も尽きたかと判断いたします。それでは、 「指定薬物(案)」というものがありますが、その物質を薬事法に規定する指定薬物とし て指定するのが適当であると、この場で決議してよろしいでしょうか。ありがとうござい ました。事務局からこの件にかかわる今後の手続き、あるいはスケジュール等について御 説明をいただければと思います。 ○事務局 本件については薬事分科会長に御報告の上、必要な措置を検討しています。議 決内容については、次回の薬事分科会に報告ということで薬事分科会場の手続きをさせて いただきます。この手続きのあと、パブリックコメントと同時に、WTOへの通報、海外 諸外国への通報などの必要な手続きを行い、指定薬物を指定する旨の省令の公布を予定し ています。  なお、先ほども御報告いたしましたが、正規用途については、これまでの調査によって 参考4としてまとめています。こちらもパブリックコメントにかけ、その結果を踏まえて、 可能な限り適正使用に支障がないようにということで対応する所存です。以上です。 ○□□委員 今のことについて何か御意見はありますか。 ○□□委員 その場合に、覚せい剤などですと研究者の申請というのがあります。実際に 学術研究をやる場合の研究者の申請というのは、手続きはあるのでしょうか、ないのでし ょうか。 ○監視指導・麻薬対策課長 今回のものについては正規用途として、大学等で行われる学 術研究については、よいということにすると、学校の中で行っている正規の研究について は正規用途として認められることになるのではないかと思います。 ○□□委員 2や3であれば、一応その職種から、「薬事の検査のためにやっているのだ な」、「犯罪監視のためにやっているのだな」ということがあるのですが、学術研究のた めというような形だけで何ら申請の手続きがないと、ある面では少し抜け道があるのでは ないかという感じもします。 ○監視指導・麻薬対策課長 もし、学術研究をすることのできる機関が大学、あるいは国 公立の試験研究機関のように組織を特定して、その中で行われる研究であればかまわない ということにするのではないか。まだ決まっていませんが、そのように考えています。も し、非常に問題が大きいような物質であって、その研究についても相当の制限をかけなく てはならない、個別に、麻薬研究者のような形での制限をかけなければならないようなも のであれば、むしろ麻薬の指定をして、より厳しい規制の枠の中に入れた方が適当なので はないかと事務局としては考えています。 ○□□委員 ただいまの研究機関や大学等を指定するという話は、どういう形でなされる のでしょうか。 ○監視指導・麻薬対策課長 指定と申しますか、正規用途として、省令において「こうい うものは正規用途とみなします」ということを言う中で、具体的なアイデアではないです が、例えば学校教育法に基づく大学、あるいは国公立の試験研究機関でやるものは学術研 究とみなすというような形で。 ○□□委員 省令の中でということですか。 ○監視指導・麻薬対策課長 はい。 ○監視指導室長 お手元の資料の参考4のいちばん最後のページになりますが、これはあ くまでも現時点での、事務局として今まで情報収集をしてきたものを取りまとめた素案で あります。例えば、このようなイメージが考えられるのではないか。今後、物質について もパブリックコメントを求めていきますが、並行して正規用途についてもそれぞれの物質 について求めるような形になります。その中で、さらに1、2、3が共通項、それに個別 の物質ごとに、前のリストでお示ししているものにさらに追加すべきものがあるかどうか を御意見を広く賜り、工夫をしていくということではないかと考えています。  そこでは、基本的考え方としては、全体として薬物乱用を防止するという趣旨の薬事法 改正を受けての指定ですので、極力限定的な形で規定を工夫していくように考えています。 ○□□委員 よろしいですか。はい、どうぞ。 ○□□委員 いまの正規用途(案)の2.で、「規定する検査のために用いる場合」とあ ります。これはどこかで必ず検査をすることが当然あり得るわけですが、その場所はどの ようにお考えですか。いわゆる、地方衛生研究所をお考えですか。例えば指定検査機関、 外の分析機関もイメージされていらっしゃいますか。 ○監視指導室長 そのような場所での検査もやっていただく場面が出てくることを想定し ています。そういうものも読み込める形にしたいと思っています。 ○□□委員 ありがとうございました。 ○□□委員 今回指定するわけですが、指定薬物で非常に危険性、特に依存性が問題にな るような場合を、麻薬指定をするかどうかのための検査、研究が始まるわけです。これは 今回指定する物質の、どういった基準で、次の麻薬指定をするかどうかの検討はどういう ものを対象物質として選ぶのでしょうか。その手続きについてお考えがあれば教えていた だきたいと思います。 ○□□委員 何かありましたら。 ○監視指導・麻薬対策課長 麻薬指定を逐次行っているわけですが、麻薬指定に際しては、 国立の試験研究機関や大学等において、依存性、あるいは精神毒性についてデータを集め、 実際に実験をしていただいて検証する、それをもとに、指定の可否について専門家の御意 見を聴くことになっています。どのようなものについて検査を行うかというのは、乱用の 実態等に基づき、専門家の御意見も聴きながら順次やっていかざるを得ないと思います。 全部やるわけにはいきませんので。それについては、その結果が出次第、また麻薬指定の 専門家の会合が別途ありますので、そこにお諮りして麻薬指定をすべきかどうか、するの が適当かどうかを御判断いただく形になると思います。 ○□□委員 ほかに何か御質問はありますか。もしなければ、今日の議題は一つだけで終 わりでございます。そのほか、事務局からありますか。 ○監視指導・麻薬対策課長 ございません。 ○□□委員 指定薬品として指定された場合には、「指定薬品です」と表示をしながら販 売する手続きが必要なのではないかと思います。そうでないと、大学で研究するのに、全 然指定薬品だと知らないで研究するような場合もあり得るのではないかと思います。その 辺はいかがでしょうか。 ○監視指導室長 現場で混乱が生じないよう、よく実行を工夫していきたいと思います。 ○□□委員 よろしくお願いします。特に連絡事項はありませんか。 ○事務局 次回ですが、先ほど□□委員からもありましたように、新たな物質が出てきた 場合には、また開催させていただきたいと思います。今のところ、開催日は未定ですので、 追って日程調整を御連絡させていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたし ます。 ○□□委員 ありがとうございました。以上をもちまして、平成18年度第1回薬事・食品 衛生審議会薬事分科会指定薬物部会を閉会いたします。御協力、ありがとうございました。                              ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 江原(内線2779)