06/11/07 第8回政策評価に関する有識者会議議事録 第8回 政策評価に関する有識者会議                          平成18年11月7日(火) 於:厚生労働省 9階 省議室 ○高橋座長  定刻を少し過ぎましたので、第8回の政策評価に関する有識者会議を開催させていた だきます。  大変御多用中、お集まりをいただきましてありがとうございました。紀陸委員が少し 遅れられるということです。稲葉委員と堀田委員は御欠席ということだそうでございま す。  それでは、本日の議事について事務局より御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  議事の御説明に先立ちまして、去る9月1日付の人事異動により、事務局の交代がご ざいましたので御紹介をさせていただきます。  薄井政策統括官社会保障担当でございます。 ○薄井政策統括官  薄井でございます。よろしくお願いいたします。 ○室長補佐  金子政策統括官労働担当でございます。 ○金子政策統括官  金子でございます。よろしくお願いいたします。 ○室長補佐  中野政策評価審議官でございます。 ○中野政策評価審議官  中野でございます。よろしくお願いいたします。 ○室長補佐  中島政策評価官でございます。 ○中島政策評価官  中島でございます。よろしくお願いいたします。 ○室長補佐  なお、薄井政策統括官につきましては、国会業務のため中途退席させていただきます。  それでは、本日の議事につきまして簡単に御説明させていただきます。厚生労働省が 行う政策評価の基本的事項を定めた、厚生労働省における政策評価に関する基本計画の 計画期間が今年度をもって終了することとなっております。よって本日は、平成19年度 からの第2期の政策評価に関する基本計画の策定に当たっての基本的考え方について、 資料に沿って御説明申し上げ、御意見等を頂戴したいと思っております。 ○高橋座長  それでは、議事次第、大事なテーマでございます。今事務局よりお話がございました ように、第2期の「厚生労働省における政策評価に関する基本計画」の策定についてと いうことで御審議をいただきますので、これについて事務局から説明をお願いいたしま す。 ○政策評価官  政策評価官の中島でございます。私の方からは、お手元にお配りいたしております配 付資料、第2期基本的計画の策定について(案)という5枚ものの紙と、分厚くて恐縮で ございますが『政策評価関係資料集』というものに沿いまして、今般見直したいと思っ ております基本計画の新しいものについての作成の基本的考え方について御説明を申し 上げます。  基本ペーパーの1ページでございます。第2期基本計画の策定の必要性ということで、 厚生労働省が行っております政策評価の基本的事項につきましては、「厚生労働省にお ける政策評価に関する基本計画」ということです。これは平成14年4月1日に策定した ものでございますが、本年度末をもちまして、その計画期間が終了するということにな ってございます。この基本計画につきましては、これまでも必要に応じ一部改正等をし てきたところでございます。  改めまして、この基本計画の大枠につきまして資料集に照らし合わせ、簡単に御説明 を申し上げたいと思います。  資料集の11ページをご覧ください。政策評価に関しましては、まず政策体系といった ものを11ページ以下の形で整理をしております。ここには、医療と健康づくりに関する ものが基本目標1として掲げてございます。基本目標については、合計で12設定いたし ました。また、それぞれの基本目標の下にぶら下がっております施策目標。ここでは施 策目標1から次のページ13まであります。こうしたものをすべて合わせますと、12の 基本目標の下に59の施策目標がぶら下がっているということでございます。その施策目 標の下に、さらに枝番と我々の組織では呼んでおりますが、そうしたものが複数ぶら下 がっております。この枝番につきましては、厚生労働行政全体で140あるということに なっております。  こうした政策体系に則しまして政策評価を行っていくわけですが、具体的には33ペー ジでございます。ここでは感染症の発生・まん延防止ということを一つの例に掲げさせ ていただいております。施策目標、そしてその下に枝番の一つとして結核等感染症の発 生・まん延の防止を図る。そしてそれにつきまして実績目標として3つ、結核感染症対 策の充実・若年層の性感染症対策・法に基づく予防接種。こうしたものにつきまして、 それぞれを評価する指標として、ここに書いてあります新結核登録患者数、その報告、 情報提供までの時間等々が評価のための指標として列記されております。  下の箱では、こうした実績目標等に対する評価の計画ということで「実績評価」、そ れから翌年は数値等フォローしていくという意味での「モニタリング」、そして後ほど 御説明をいたしますが「総合評価」という形で、より広く、より深く評価することを16 年に行います。毎年どういう評価のやり方をするかといった計画をここに立てさせてい ただいているところでございます。  また151ページに以下に、本有識者会議での御意見も踏まえて作ってみましたモデル 評価書を掲げております。水道行政を例示として掲げてございます。先ほど申し上げま した実績目標を掲示し、その実績目標を達成するためにどういう政策をとっているのか を整理し、下から2つ目の箱では、そのための評価指標の推移といったものを掲示して おります。当然、この評価指標とはどういうことを意味するのか、その上に本委員会で 御意見をいただきましたので、こういう形で評価指標の解説も加えているところでござ います。  152ページでございますが、それとともに、こうした施策なり事務事業の進捗状況を 把握するための参考指標を、予算額等も交え、書いております。152ページの真ん中か ら下は、もう一つの実績目標も同じような形で書いております。  153ページから評価でございます。まず(1)として、こうした施策を取り巻く現状 の紹介をし、153ページの下、こうした政策手段が目標を達成するために有効だったか どうかという有効性の評価。そして155ページ、効率性をどのように評価するのかとい うことは、この委員会でもこれまで御意見をいただきました。なかなか難しいものもご ざいますが、効率的にその政策が遂行されているかという評価をして、その上で総合的 な評価をいたしました。そして具体的には3段階に分けて「達成した」、「進展があっ た」、「進展が見られない」というところで整理をしております。  なお、右に分析分類というのがございます。これについては第1期の基本計画では、 その目標値といったものが数値化され、かつ達成時期が明らかになっているのかという 観点から、その分析が「的確に行われている」のか、それとも「数値化が不十分」、ま たは達成時期が明示されていないので「的確でない」のではないかというところも分析 の分類として書かせていただいている形で、これまで政策評価として4年間行ってきた ということでございます。  再び、基本の紙に戻らせていただきます。こうした形で、これまで基本計画に基づい て政策評価をやってきました。今般、来年度からの5年間の第2期基本計画を定める時 期が到来したということでございます。そして、この新しい基本計画を作るに当たって は、1ページの真ん中にありますが、政策評価をめぐる近年の動向をしっかり踏まえた ものにしたいということが1つです。それから3ページに、この5年間に行われた主な 制度改正等の内容をしっかり反映させたものにしたいということで、基本計画策定に着 手したいと思っております。  まず、政策評価をめぐる近年の動向といったものを御紹介いたします。大きく4つに 整理をしております。1つは、閣議決定でございます「政策評価に関する基本方針」が17 年に改定されましたから、それを踏まえたものにする必要が当然ある。各府省の連絡会 議で合意をした「ガイドライン」が17年に同じく作られておりますので、これも盛り込 んでおく必要があるということが状況としてございます。  この閣議決定たる基本方針や各府省での合意事項たるガイドラインの柱は4点ござい ます。まず重要政策に関しては、しっかりした評価をするべきではないか。また、評価 結果を予算要求等の政策へきちっとフィードバックをしておく必要がある。評価を可能 な限り客観的に行えるようにすることが必要である。さらには国民に対して分かりやす く、理解しやすいように説明責任を徹底していくということが必要ではないか。こうい う観点から閣議決定たる基本方針及びガイドラインが作られたということでございます。  こうしたことにつきましては、既に現行の基本計画の一部改正といった形で概ね取り 込んでいると認識しております。資料集の197ページ、縦横になって恐縮でございます。 閣議決定なりガイドラインといったもので示された事項について、これまで我が省とし てどのように対応してきたのか。黒丸については、それに伴い一部改正をしたものです。 白丸については、それ以前から既に厚生労働省の基本計画に盛り込まれていたものとい う形で整理をしております。基本的には、これら閣議決定、ガイドラインの内容は、既 に盛り込んでいると認識をしております。  基本の紙に戻ります。一番下の○でございますが、具体的には、重点評価課題を設定 し、政策評価を重点化するということは既に取り組みを開始しております。資料集の86 ページの真ん中あたりに、重点評価課題の選定の考え方ということで(1)から(3)と挙げて おります。総理の施政方針演説で示された、内閣として重要だと位置づける政策。複数 の府省が関係し厚生労働省がその中心的な取りまとめ役をしている政策。厚生労働省が 主要な制度改革だと認識しているもの。これら重点評価課題として設定をしております。 1ページ前の85ページでございますが、18年度の政策評価に当たって、労働者派遣事 業制度等々につきましては18年度に総合評価方式でしっかり評価をします。また下の方、 実績評価方式で事後評価をしっかり実施しますという形で、重点評価課題を設定し、と りわけ力を入れて広く、深く評価をするものについて重点化を図ってきたということで ございます。  またその下の黒ポツ(資料具体例2番目)、事前評価を実施した事業についての事後 評価の実施の徹底ということでございます。これについては後ほど御説明をしますが、 私ども厚生労働省は他省よりも先行して取り組んでいるという評価をいただいています。 これについても徹底をさせていただいています。ペーパーには書いてございませんが、 老人医療費の適正化推進事業、フリーター等若年者のキャリア形成支援機能の強化とい った施策については、事前評価を実施するとともに、その後の事後評価も徹底して行う ということでございます。  資料の2ページでございます。こうした閣議決定ガイドラインと合わせて、政策評価 の点検結果が、本年3月総務省の行政評価局から出されております。1つ目の○でござ いますが、この点検結果、各府省のやっております政策評価について、政府として行政 評価を束ねる役割である総務省行政評価局が、府省横断的に比較・評価をしたものでご ざいます。その中で、厚生労働省に評価をいただいている点と、もう少し改善が必要な 点を具体的に御提案をいただいているところでございます。  まず、お褒めいただいている点は、一般政策についてです。自発的に事前評価を実施 しているということが評価されるのではないか。すなわち事前評価で、現行制度で義務 づけられておりますのは、一定規模の研究開発また公共事業、政府開発援助といったも のでございます。それ以外の政策につきましては任意になっております。厚生労働省に おいては、それ以外の一般政策についても自主的、自発的に事前評価をやっているとい うこと。それとともに先ほど老人医療費適性化推進事業等で例を挙げましたが、事前評 価を実施した事業についても自発的にその後の事後評価を実施しているということです。 「先行している部分がある」という評価をいただいております。  一方で、目標の設定について、達成すべき水準を数値化して、明確にしているものが 少ないといった御指摘も受けております。ペーパーにはしておりませんが、総務省で平 成17年度の各府省の政策評価を取り寄せて分析をされたところ、私どもの省庁で行って いる政策評価の目標について、数値化等が図られているものは22.2%で、若干低いので はないかと言われております。この22.2%の内訳は、アウトカム指標が設定されている ものが12%、アウトプット指標が設定されているものが10.2%です。ここを、より取り 組まなければいけないという御指摘をいただいているところでございます。  具体的には資料集の220ページでございます。218ページから、総務省から指摘を受 けたものを左の欄に整理をし、それに対して厚生労働省としてどう対応したのかを右の 欄に整理いたしました。218、219の両ページは工夫が見られると評価いただいている点 でございます。220ページ以下は、より改善をする必要があるのではないかということ です。1のところで「達成すべき水準を明確にする必要がある」「アウトプットにのみ着 目した測定結果で評価しているものが多い」といった御指摘をいただいております。す なわち、目標を可能な限り数値化し、それもアウトカム指標で設定するということが課 題として指摘されたと認識しております。  基本の紙の(3)有識者会議等でございます。本有識者会議これまで会議を7回、ワ ーキングを3回開催いたしました。大所高所から広範な御意見をいただいているところ でございます。具体的には、実績目標と評価指標の関係をはっきり理解するために、評 価指標といったものはどういう考え方に基づいて設定しているのかをしっかり書き込む べきではないか。予算額といったものも大変重要な資料となるのではないか。モデル評 価書といったものを作って、それらを例に、ほかの施策もそのモデル評価書に近づくよ うな評価書を作れるように取り組むべきではないか。実績評価等について、評価書を厚 生労働省が取りまとめる前に本有識者会議等で御意見を聞いて、より洗練された政策評 価にしていくべきではないかといった御意見をいただきました。可能なものについては、 これまでも取り組みをさせていただいたというところでございます。  具体的には資料集の141ページでございます。これまでの本有識者会議やワーキング グループで先生方からいただいた御意見を左に、それに対する私どもの対応状況を右に 整理をしております。143ページの6番、7番でございます。評価書に記載する項目は 最低限のものに絞り、記述の改善に努力するべき。基本目標から施策目標、そして実績 目標といったところの関係がよく分からない。そうしたことをしっかり分かるように書 くべきではないかといった御意見をいただいております。これについては、既に可能な ものは対応させていただいております。私ども、今度の新たな基本計画で、特にこうし た点については意を用いて新たな基本計画を作らなければならないと思っております。 今後の対応ということで次期基本計画においてと整理いたしております。  そういう意味では、政策体系の再整理をして、各目標値といったものをそれに対応す る形でしっかり位置づけていく。そしてそれが一覧性のような形で国民にとって分かり やすい形にしていく工夫がより求められていると思っております。  また、本有識者会議でいただいた御意見は148ページの18番、149ページの20番で ございます。その評価をする際の、実績目標の達成水準なり評価結果分類や分析分類と いったものについて御意見をいただいております。どのような形で評価、判定をするの かといったところの基準をもう少し明確にしておくべきではないかといった問題もあり ました。これについては、ともすれば数値目標が少ないことから生じる問題と思ってお りますが、こうした評価の基準についても今度の新たな基本計画のところで、可能な限 り改善をしていきたいと思っております。そのような御意見をいただき、これまで対応 したもの、今後対応していきたいものという形で整理をさせていただきました。  それとともに、基本の紙の(4)でございます。政策評価と予算、決算をしっかり連 携強化をさせていくということが、本格的に動く状況になっているところでございます。 資料集の231ページでございます。この前後の資料は、227ページに平成17年3月に財 務大臣から、経済財政諮問会議に提出された資料でございます。231ページをご覧くだ さい。ここでは政策のイメージということで、農水省の政策を例にとって、上中下とい いますか、まず「政策」があり、そしてその政策を構成する「施策」があり、そしてそ れぞれの施策ごとにぶら下がっている「事務事業」といったものがこういう形で体系化、 イメージができるということを整理しております。  236ページでございますが、ここでは現行の予算書、決算書が事業の内容とは必ずし も結びついていない、政策目的ごとに区分されていない、そういうことから事後の評価 になじみにくいのではないか。政策ごとに予算と決算を結びつけて、成果を踏まえた予 算策定等ができるような予算書、決算書の作成をするべきではないか。そして一番下の 箱ですが、予算書、決算書の単位と政策評価の単位を「施策」といった括りで一致させ ていくことが重要ではないかという形の整理をされております。こうした議論を踏まえ 242ページに、本年7月の閣議決定におきましてアンダーラインを引いているところで すが、政策ごとに予算と決算を結びつけ、予算とその成果を評価できるようにする仕組 みについて、予算書、決算書の見直しを行い、平成20年度予算編成を目途に実施をして いくという形で閣議決定をされています。こうした動きもにらみながら、今度の基本計 画は作っていかなければならないということでございます。  基本の紙に(4)に戻りますが、○で書いてあるところで、平成20年度予算要求から、 予算書、決算書を施策単位で作り(P)、施策単位で予算要求をし(D)、決算をしてそ れを評価する(C)。そして翌年度の予算要求に結びつけていく(A)という、「PDC Aサイクルを回す」ということが閣議決定となっています。こうした動きも踏まえつつ、 財務省、総務省と相談しながら考えていかなければならないということでございます。   こういう政策評価そのもののあり方につきましては4つの流れがあり、これらを踏ま えてやっていきたいと思っております。その意味では、政策の体系化、目標の数値化と いったものにより意を用いていく必要があると思っております。  それとともに、近年の制度改正を反映させて基本計画にしたいということです。3ペ ージをご覧ください。ここでは2つのことを書いております。すなわち(1)で、主な 制度改正の内容を踏まえることとともに、(2)で、厚生労働省における政策の手法も着 実に変化しているということで、そうしたものも取り込んだ形で基本計画を作っていき たい。  まず(1)主な制度改正の内容ということで、平成14年から本年度まで各分野におい て大きな制度改革をさせていただいたところです。平成14年におきましては、健康増進 法ができたことにより、都道府県で健康増進計画を作っていただく。そして各健診主体 が共通に守るべき事項を書いた健診指針を作ったということ。医薬行政につきましては、 安全対策の強化、血液製剤等の安定的供給といったものの薬事法等の一部改正がなされ た。15年には、労働基準、雇用保険、次世代育成といったところで制度改革がなされま した。16年は、年金につきましてマクロ経済スライドを導入した自動調整の仕組みも入 れた。17年度におきましては、介護予防を柱とした介護保険制度の見直しが行われ、障 害者自立支援法も制定されて、障害種別にとらわれないサービスの一元化といったもの、 就労支援施策、福祉と雇用、就労の連携強化といったこともいたしました。そして本年 は、医療構造改革をということで大きな医療制度の改革をいたしました。これらを政策 体系の見直しの中に確実に反映させていく必要があるだろうということでございます。  それとともに(2)政策手法の変化ということでございます。これまでの厚生労働行 政は、ある意味補助金行政的な色彩がかなり強かったと思っております。しかしこうし た制度改正の中で、医療構造改革の例に見られますように、具体的な目標値を掲げた計 画を策定して、その計画の図るということで、もろもろの交付金なり診療報酬なりとい った政策手段を結びつけていく、そういう計画を作り実施し、評価していくというPD CAサイクルを政策の中に包含している制度改革の内容が増えてきているということで ございます。  一番新しい例としては、医療構造改革を挙げております。そもそも今度の医療構造改 革は、医療費適性化の必要性というところから始まったことは否定できません。医療費 適性化といったものについては、施策として予防を徹底するということ。それから不必 要、合理的でない入院といったものをなくしていく。すなわち平均在院日数を短縮して いく。この柱2つ、予防と在院日数の短縮ということで医療費適正化を中長期的に果た していく。そのために新たな施策として、健診・保健指導といったハイリスクアプロー チの責任を市町村から医療保険者に移す。それとともに、平均在院日数の短縮について は、地域における医療機関の医療機能を分化し連携を果たしていく。社会的入院が顕著 な療養病床については、老人保健施設、さらには在宅系のサービスに転換をしていただ くという施策をやっていきたいということでございます。こうした施策の目標として、 具体的に生活習慣病有病者・予備群を25%減らすとともに、平均在院日数については全 国平均と最短の長野県の差を半分に縮小していくという形の目標値を掲げ、結果として 中長期的に医療費を適正化していく。そのために、国及び都道府県において、こうした 内容を盛り込んだ5カ年の医療費適正化計画を作っていく。この医療費適正化計画につ いては、平均在院日数の短縮に関して、既に都道府県で策定いただいている医療計画、 さらには介護保険事業支援計画としっかり整合性を保って作っていくということ。それ ととともに、生活習慣病予防の徹底については、都道府県で作っていただいている健康 増進計画とも相互に整合性をとる形で、この4計画でPDCAサイクルを導入して政策 を展開していくということでございます。  まさに、こうしたものを政策評価の計画の中にしっかり入れていくことが大切と思っ ております。こうしたPDCAサイクルにつきましては、雇用保険3事業の継続的な見 直し、さらには労働福祉事業の推進という中でもPDCAサイクルを導入してやってい こうという形になっております。こうした政策手法の変化、本来政策評価でやるべきも のが別途ではなく、そもそも政策の中にインボルブされているというものをしっかり反 映させていきたいと思っております。  こうしたこれまでの政策評価を取り巻く状況、さらには大きな制度改正、その中での 政策手法の変化を踏まえて4ページ、5ページに、具体的に基本的計画を見直していき たいということが書いてございます。大きな柱として政策体系を見直すことと評価書の 書き方を見直すというところです。  まず政策体系の見直しにつきましては、(1)が、制度改正等を反映させていくことで、 過去5年間の制度改正の内容反映、政策手法の変化の反映でございます。そして(2)、そ の中で実績目標の重点化とアウトカム指標の設定ということです。実績目標を重点化し、 かつ可能な限り数値化それもアウトカム指標を設定していくということ。そしてアウト カム指標を達成するために必要な事務事業を体系的に整理し、その事務事業についても アウトプット指標を中心にきちっと評価していく形で、政策体系を再整理するというと ころです。そして、それぞれに応じた目標値の位置づけといったものをやっていきたい と思っております。  なお、アウトカム指標の設定が難しい場合には、必要に応じ私どもの統計情報部とも 協議をし、既存の各種統計の取り方といったものも見直すことができるものについては 見直していきたいと思っております。こうした観点から、政策体系を再整理し、それに 沿って各目標値をしっかり位置づける。そして目標値も可能な限り数値化をする。かつ 可能な限りアウトカム指標がとれるものという形でやっていきたいと思っております。  また(3)でございますが、予算・決算とのリンクというものも現在財務省の方で検討し ておりますので、その状況をにらみながら対応していきたいと思っております。  それと※印で大変細かな話でございますが、資料集の19ページ、基本目標10の国際 化の問題、11の科学技術の振興の問題、12のIT化の推進。実はここに掲げられている 施策目標になる枝番が、ともすれば例えば国際化の部分では、私どもの国際課が所管し ている行政のみがぶら下がっているということがあります。これでは国際化時代にふさ わしい厚生労働行政の推進という全体像を表したことにはなりません。再掲という形で、 厚生労働省の各部局がやっている重要な国際的視野が必要な行政についても再掲の形で この下にぶら下げていきたい。例えば国際化ですと、感染症の問題、食品安全の問題、 外国人労働者の問題、年金の通算協定の問題等大きい問題があります。こうしたものも この基本目標10の下に再掲といった形で掲示することで、国際化に対応した厚生行政と いった形でぱっと見ていただければ分かるようになると思っております。  基本の紙5ページでございます。評価書の見直しです。ここについては(1)、先ほどと 同じことですが、評価書の冒頭においてアウトカム指標、アウトプット指標といったも のが体系的に一覧できるように整理をしていくと考えております。すなわちしつこいよ うですが、政策体系を再整理し、それに沿って各目標をしっかり位置づけるということ を一目で分かるように評価書の冒頭を飾りたいと思っております。  それから2つ目、これは特に有識者会議等で御意見をいただいたところでございます。 評価結果分類の精緻化が図れないかを検討したいと思っております。今後、目標を可能 な限り数値化、アウトカム指標化していくということにも対応しますが、今の評価結果 分類は、ここの表にありますように3段階で評価をしております。そこでどうしても「進 展があった」といういわゆるABCでいえば、Bに偏る傾向がございます。こうしたこと では、その微妙な差といったものが反映できないと思っておりましたので、見直してい きたいわけです。そうは申しましても、厚生労働行政の分野は幅広うございますので、 評価結果の分類をすべての施策において確実に、厳密に行うのも難しいところがありま す。アウトカム指標とアウトプット指標、それぞれの達成・進捗状況に基づくマトリッ クス的な分析なりというものもできないかといったことも考えていきたいと思います。  目標の数値化に対応して、今行っている分析分類というのがございます。すなわち数 値化されているか、そしてそれをいつまでに達成するかを明示しているかといったとこ ろで3ランクに分けております。そうしたものが必要であるかといったことも、この目 標の数値化がどれだけ可能になったのかということも踏まえて検討をしたいと思ってお ります。  (3)でございますが、関連する施策について評価書で明示していくということでござい ます。政策体系上いろいろな目標を掲げております。すべてのある施策が常に一つの目 標を達成するためということではありません。そういう意味では、ある施策が複数の目 標にまたがっているものも多いと思っております。そういう意味では評価書の中に関連 する施策にかかる政策評価については、「このページを参照する必要がある」という形を 書くことで、その目標を達成する多くの施策が網羅的に把握できるようになるのではな いかということです。  (4)でございます。三位一体改革で、地方分権が進展しているということでございます。 その意味では、都道府県、市町村等の役割が大きくなっております。それぞれの施策の 実施主体を評価書に明記することによって、国が責任主体なのか、都道府県が責任主体 なのか、市町村が責任主体なのかといったことが分かるように書きたいと思っておりま す。  こういう形で評価書の書き方等も国民への説明責任を果たす、さらには的確に評価結 果を示すという形で見直していきたいと思います。本日この(案)につきまして大所高所 から御議論、御意見を拝聴させていただき、基本的には本日いただいた御意見も踏まえ て、できれば1月下旬までに、厚生労働省を挙げて政策評価の基本的計画の新たなもの の作成に取り組ませていただきます。長くなって恐縮でございますが、事務局からは以 上でございます。   ○高橋座長  ありがとうございました。第2期が平成19年度から始まるということで、今年度中に 第2期の政策評価に関する基本計画を作らなければいけないということです。基本的に は、最後の4ページ、5ページに第2期基本計画の方向性ということで、こういう形で やりたいのだがという、これは有識者会議へのお問いかけをいただいたということかと 思います。そしてそれに至るいろいろなプロセスといいますか、前提となる環境条件、 この有識者会議で積み上げてきたこと、前期計画の中で新しい事態にどう対応してきた か、それから何よりも政策評価の元になります大きな制度改正等々があるので、十分に 踏まえたものにしていきたいと。そんなことを御説明いただきました。  基本的には今までの議論というか、これからの作業にいろいろな形で方向づけを与え ていただけるような方向での意見を頂戴したいというのが事務局方のお願いかと思いま す。そういう最終的なゴールを想定しながら、それぞれ委員のお立場との関係等も含め まして御質問があれば御質問をしていただき、その上で御意見を頂戴できればと思って おります。いかがでございましょうか。  昨年度はワーキンググループ等も開催しながら、いろいろな形で第2期の事業の下準 備のような作業をしてまいりました。それをきょう本資料の方にまとめていただきまし た。政策評価をめぐる動きが一覧できる資料集も、評価官室で作成していただきました。 これがこれからの作業のベースになるかと思います。それもお含みの上で御意見を頂戴 できればと思います。 ○梅田委員   これまで発言させていただいておりますので、重ねて申し上げたいと思うところだけ 申し上げます。政策体系を見直す場合に、基本目標があって、施策目標があって、その 次に1−Iとか書いてあります。ここの表現といいますか、今までずっと見ていたとき に、基本目標があって次の施策目標は割と段階的といいますか、目的手段といいますか、 その次が途端に上下関係が、目的手段の関係がどうかと思うことが多かったのです。そ れぞれの分野の専門家でないと本当のことはわからないと思いますが、この政策目標の 次の書き方が悪いと目標作りができないということになるのではないかと思います。  言いたいことは、ここを放っておいて数値化だけに走るとよくないケースがあり得ま す。施策目標の次のところの内容をよく吟味していただき、きちっと書けば数値化がス ムーズにいくのではないかという予想をしております。政策体系の検討については、こ の点を十分行っていただきたいと思っております。 ○高橋座長  ありがとうございます。11ページから20ページまで書かれているところの、施策目 標の下にIIIIIIIVと並んでいる、この辺の書き方を徹底的に再点検するようにという御 趣旨でございます。いかがでございましょうか、それと関係させて御意見があればもう 少しいただければと思います。  これは、先ほど御説明いただいた財務省の予算との関係の話ともリンクしてくること になるのでしょうか。 ○政策評価官  基本的にはリンクしてくると考えております。今梅田委員の方から御指摘がありまし た、いわゆる枝番と呼んでいる部分が恐らく予算・決算の単位になっていくのかという のが、財務省としてはまだまだ検討途上でありますが、ということでございます。そう いうことも踏まえつつ、この枝番の書きぶりはおっしゃるようにしっかり書かないとい けないだろうと思います。それからこの枝番の下に、さらにぶら下がる具体的な事務事 業もきちっと整理をしていく必要があると考えております。正直申しまして、目標の設 定が優先するのではなく、政策体系をまずしっかり的確な表現を与えてやっていくとい うこと。そしてそれぞれの段階でどういう目標値なりが設定できるのかという作業プロ セスでやっていきたいと思っております。目標値が先にありきという形での作業をする つもりはございません。 ○高橋座長  いかがでございましょうか、この辺で御示唆をいただけたらと思います。 ○野川委員  示唆というわけではございませんが、今の御意見に関連します。資料集の11ページか らの基本目標を全部見ますと、基本目標、施策目標それからブレークダウンした内容の 中で、少なくとも11ページから19ページまでに書かれた中に数値が書かれているとい うのは、「1800時間」というところだけです。従いまして、求められている政策評価の あり方をできるだけ数値化するというその具体的な対象は、やはりこの下になるわけで す。つまり政策はこういうものであるべきだというもので、その下に施策目標が論理的 にそれを施策化するとこうなるのだというところですから、そこが数値化ということで はありません。その下のいわゆる基本目標があって、施策目標があって、その下の段階 のところのそのまたそれを実施するための実施の実績目標のところになるわけです。そ うすると、まさに今おっしゃったように、論理的にだんだんとブレークダウンされてく る。しかし最後の一番具体的な実績目標のところで、何とか数値化しなければいけない という考え方が先に立ちますとぶれてくる。要するに論理的にはこうだというところで 最後まで行かないで、数値とすればこうなるという別のブレークダウンのための作業の 考え方が入ってくるような気がします。そういったことが、今おっしゃったような施策 目標とその下の間の関係が、必ずしも基本目標と施策目標との関係のようにクリアな体 系性というものになっていないと思われます。  そのことと、さっきおっしゃった財務省との予・決算との関係を絡ませた場合に、ど んな対応が可能なのかといったことを少しお教えいただければと思います。 ○政策評価官  その辺については、今後検討していかなければならないと思っております。まず私ど もが考えておりますのは、一度財務省と打ち合わせを内々事務的にいたしておるところ でございます。我々の作業が、基本的に財務省の見直しともそれほど齟齬をきたすもの ではないだろうと思っております。今の先生の御指摘を踏まえて、実は私どもが考えて いることは、まずは論理的にきちっと政策体系を作るということが最初にあると思って おります。そこがどうしても数値目標を設定しやすい形で書いていくと、今おっしゃら れたようにスッと落ちてこないということです。こういう目標を達成するためには主な 政策の柱にはこういうものがあると、そしてそれぞれの政策の柱にぶら下がっている代 表的な事務事業にはこのようなものがある、そしてその目標をトータルとして把握でき る指標は果たしてあるのだろうか。またその下、それを実現するための主な政策の柱を トータルとして把握できるような指標があるのだろうか、個別の事務事業については、 その進捗状況を把握する適切な指標というのはどういうものがあるかということを考え ていく作業をやっていきたいと思っております。  その結果として、「どうしても数値目標が少ないよね」と言われることについては、 御批判を甘受しなければいけないのかなと。やはり数値目標ありきではなく、この目標 のためにどのような政策の柱があって、そしてそれにどのような主な事業がぶら下がっ て いるのかということをしっかり組み立てるということが大切と思っているところでござ います。 ○阿部委員  今御説明されたところに、私は非常に共感します。そもそも、この厚生労働省におけ る政策評価に関する基本計画の基本的な考え方には、「以下に掲げる事項を目的として、 厚生労働行政全般を対象とした政策評価を実施することとする」とあります。(1)の国民 に対する行政の説明責任を徹底することから始まって、3項にわたって、国民に対して 国民本位に、国民的視点に立ってと書いてあるわけです。これを財務省のために作るこ とは、あってはならないことだと思います。そうなってくると、国民の視点とか国民本 位といったものと、財務省との折衝ということがどのように行われるかということが、 非常にこの政策評価をする上では重要な観点の一つになるかと思います。そのあたりを 今後どのようにやっていくのかということがもしあれば、非常に重要な問題ではないか と思います。  政策評価と予算・決算との連携強化への対応と謳うわけですから、その点齟齬のない ようにどうやっていくかというのは、非常に大きな問題ではないかと思います。 ○政策評価官  この基本計画の策定については、先ほども申し上げましたように財務省ともお話をし ております。その場では、今日先生方にお見せする前の段階の考え方の(案)を御説明を しました。やはりまずは、「あるべき政策体系」と「あるべき基本計画」があるだろう と、そしてそれを基本に予算とどう整合性をとるのかということです。まず予算・決算 と政策評価をいかに連携しやすくするかという観点から考えると、今ありました国民へ の説明責任のようなところ、分かりやすさという点では問題も生じる可能性もあります のでということでございます。  この資料集の238ページに、経済財政諮問会議で財務省から出されたペーパーでござ います。ここで本当に施策を基本単位とする予算書の作成が可能なのか、もっと言えば 国会による予算統制の観点から余りに過度な大きな括りになってしまうということが問 題ではないか。しかし一方で弾力的・効率的な予算執行管理に支障をきたすような、余 りにも細分化するのも問題ではないかという形であります。今のところ楽観的かもしれ ませんが、どのようなレベルで括るのかというあたりが恐らく財務省との折衝の中心に なっていくであろうと思っております。今のところ財務省としてもそこら辺をどのよう に考えるのか、検討を進められているように聞いております。 ○渡辺委員  今予算の結果、政策を達成するために、一つのお金を使うと。そうするとその目標達 成つまり成果を上げるために、いわば十分な投入量なのか足りないのか、足りなければ この程度の成果しか上がらないのか、この辺は一体どういうふうに考えるのか。つまり この予算というものが、ここで掲げている施策を通じて上げるべき成果にいわば効率的 に行えば見合う金額が与えられているのか、しかしいろいろ何かの財政制約によって一 応予算はつけられた。つけられたけれども、施策を成果として上げるにしては不十分だ とか、この辺のものの考え方は一体どうなっているのかということです。  1回ついた予算は財政上のいろいろな問題で、みんな均一的に少しずつ増えたり減っ たりするという、一度ついたものと実際行った結果の再修正といいますか、そういうも のが本当に投入する費用と成果との関係が行政では一体どのくらい整合性があると見る のか、あるいは与えられた枠の中で努力はするけれども、最初からとてもこれは無理な 目標達成になっていると。この辺の実状はいかがでしょうか。 ○高橋座長  非常に本質的な御質問かと思います。   ○政策評価官  本質的で私が十分お答えできる自信は全くないわけで、そこが本質だろうと思ってお ります。今の渡辺先生の御指摘は、政策評価というものに一体何を期待するのかという ところにも密接に関係してくる問題でもあると思います。9月からこのポストに来てお りますので、大したことは言えませんが、一つはやはり予算については国会で御審議を いただいているということでございます。この政策が必要だと、そしてそれについては この程度の予算が必要だということについては、国会での御審議を通じて一定の民主主 義的合理性は保たれているのであろうと。だから政策の当否そのものについて正面から 政策評価という制度を使って吟味することは、役割としては中心とはならないのではな いかというのがあります。しかし、一方でそこで投入されたものが本当に効率的に使わ れて、きちっと効果を出しているのかというところについては、まさに政策評価そのも のだろうと思うわけです。  その効率性を評価するときに、役所が行うのは競争相手が、これまではともすればい ないということもあるわけですから、どうしても相対比較ができないということになっ ています。一方で、最近の規制緩和等の流れの中で市場化テストや、これまで行政がや っていたことを実際に民間の方々にやっていただき、その中で果たしてどれだけのコス トでどれだけの効果を上げているのかというデータも出てきているわけです。例えば社 会保険料の徴収の問題等々についてです。恐らく効率性というものをどういう基準で判 断していくのかというのは、そうした動きも見ながら、今後の蓄積の中である程度より 具体的な判断基準ができてくるかと思っているところでございます。 ○森田委員  今の御質問のお答えと関連しております。これまでもこの有識者会議で何回か出たこ とだと思いますが、まさに今御指摘があった点です。この政策評価という今の仕組み自 体がややあいまいなところがあります。政策そのものが、現実の社会で発生する課題に 対して解決策としてこれが適切であるかという話と、そうした制度、枠組みの下で厚生 労働省の業務といいますか。活動が、本当に適切であるかというのは少し違う次元の話 ではないかと思っております。現行の制度でそれが必ずしも区別されていないというの は、これまでも何回か指摘があったところです。やはり仕組みといいますか、制度が必 ずしもよくなくて、予算が十分でないところで成果が上がらないといって批判されたの では、少しお気の毒なことになってしまうわけです。そこのところ、今回では仕分けを するというのは難しいところですが、いわゆる事務事業の実績評価の観点と政策そのも のの課題に対する適切性の評価は、少し区別をする視点を置かれた方がいいのではない かと思います。これはまさに予算がどれくらいついているかということでもあろうかと 思います。そうでないと政策そのものも厚生労働省がお作りになったところがかなりあ るのかもしれませんが、現実の問題としては適切に事務事業の評価といいましょうか、 こちらのパフォーマンスの評価がなされないことになり、いわれのない批判を浴びる。 要するに適切な評価をされないというところがあるのではないかと思います。その辺に つきましては、何か一定の基準といいますか、仕分けがそれほど簡単だとは思いません が、その視点そのものを持つということは重要ではないかという気がいたします。 ○高橋座長  ありがとうございます。少し整理をしていただくための御発言をいただきました。い かがでしょうか。 ○渡辺委員  つまり政策として今の状況下の中では方向として正しいというのと、それを実行する に当たって、いわば一番賢い方法で国民に答えているという2つがあるわけです。です から、国民に対するアカウンタビリティーは一つの政策の正しさというのは、やはり官 に対する一つの信頼感であり、効率性は行政の日常の行為です。ここら辺が恐らく財務 省は予算の効率性の視点で当然チェックされるわけです。この辺は、本来はある意味で 2つのチェックポイントを評価に入れるという点も将来あっていいのではないかと感じ ます。  ここの委員は、何度も委員の視点の置き方によって議論が混乱するという経験があり ます。さっきの3段階で、この前も申したように進展があるというのは1メーターでも 先に行っていれば進展があると、つまりもう大分近づいているのと、進んではいるけれ どもお金の問題その他も含めてなかなかそうはいかないというものももう少しはっきり 出るような4段階ぐらいの方が、そういう実状を表すのではないかと思います。つまり 政策の正しさ、実効の効率性を評価の中のニュアンスに織り込むためには4段階ぐらい あった方がいいという考えです。ここではそっちの方向で行こうとありますが、具体的 には書いておりません。 ○高橋座長  今、渡辺委員から御指摘いただいたのは5ページの(2)の(2)の評価結果分類です。 精緻化というのがいいのかどうかわかりませんが、これからの作業を考える大変大事な ところかと思います。この点について御意見を。 ○阿部委員  今の点に関してですが、実績評価というのは、前にも言いましたが効率性と有効性に ついてにしか評価しません。ですからこういう政策があって、その政策そのものが必要 なのかどうかということは考えずに、その政策の下でいろいろやってそれの有効性、効 率性だけを評価するというのが現行だと思います。ただ、本当にその政策が今でも必要 かというのは考えておくべきことです。やはり基本計画の政策評価の観点と必要性、効 率性、有効性、公平性、優先性と5つ並んでいますので、それも事後的にもチェックす る必要がどこかの段階であるのではないかと今でも思っています。  それは政策が立てられた段階と現時点とで、同額的な非整合性が起こる可能性がある わけですから、それは考えておくべき問題だと思います。評価分類の精緻化をするのは、 それはそれで必要ですが、それは結果的に効率性と有効性でしかないわけです。それに ついてもお考えいただければと思います。 ○篠原委員  私は少し見方が違うかと思います。11ページから20ページの最後の枝番を見ると、 推進を図ることやいわゆる新たな政策の導入に対してだと思うのです。最近マスコミ等 でいわれているのは、延々と政策を入れてきてインフラとなった制度がえらくくたびれ ているというか、きちっと守られていないという部分があります。この政策評価では、 そういった古い部分のコンプライアンス状況などもカバーされるのでしょうか。 ○政策評価官  古い状況というのは、どういうことですか。 ○篠原委員  どうしてもこういう政策というのは新しい部分ですが、新たに導入したのは対象にな るので、いわゆる今問題になっている例えば建築のああいうものだとか、ああいうもの は各できてきて、コンプライアンス要領興味ないような気がする。こういう部分の厚生 労働行政は結構あると思うのですが、そういう部分がこの政策評価の基礎資料か何かの 対象になって、いわゆる参考資料かあるいは評価の目標になるかというのは、一つは私 など見ていて心配するのは、どうしても予算の大きいものに対象が行って、予算は大し てないが、社会的な影響が結構大きいというのはたくさんあります。そういうものがき ちっとすくい上げられて、評価になっているのかという危惧もあります。 ○政策評価官  基本的に、この資料集11ページから掲げている政策体系については、厚生労働行政全 体を見渡したすべての施策がこの中に含まれるということでございます。そしてそれぞ れについては、着実に実績評価等をやっていく。ただ、今先生がおっしゃられたような 大きな制度改正、あるいは世の中で重要政策だという形で着目されているものについて は、先ほども御説明いたしましたが別途総合評価方式みたいな形で重点的に政策評価を やっていくという方向で、ある意味、めり張りをつけて政策評価をこれまでさせていた だいたところでございます。今後よりその方向を強めていきたいと思っております。 ○高橋座長  今、篠原委員の御指摘の点は、制度改正があった領域については、部分的にはそこら 辺の整理がされるのでしょう。制度改正というのはある意味ではそういう結果、もちろ んこの評価の結果ではないかもしれませんが、実質的なスクラップアンドビルドが行わ れるという。 ○篠原委員  そういう意味では、制度改正をするたびにきちっとした基礎データといいますか、そ の評価というのでしょうか。これはもう制度改正が必要であるといった意味でのコンプ ライアンス状況というものが、ここで対象になっているのか。 ○政策評価官  基本的に大きな制度改正があって、この施策体系の文言等を変えなければいけないも のについては、これまでも逐次見直しはしてきたということです。それとともにもう一 つは、では制度改正をする前提としてこの政策評価というのがしっかり位置づけられて いるのかと言いますと、全く影響してないというわけではありませんが、政策評価結果 から制度改正が必要だからこういう形で制度改正をしたという流れになっていません。 この政策評価結果も踏まえつつ、政治的状況も含め、総合的に勘案をして制度改正をし てきているというのが実態ではないかと思います。 ○渡辺委員  前から私は混乱しています。例えば制度改正というのは、国会で審議されて法律を伴 うことによって決まるわけです。しかしそういうものを具体的に毎年度運営していくた めに、政策を実施するいわば同じことをやっているけれど、今の社会環境その他の変化 からいって、ここにもっと力を入れなければいけないという表示が本来は予算です。で すからそこら辺政策というと、何となく年金の全体改革があるなど、いろいろするので すが少しそこら辺の整理をしないと、常にとらえ方によっていろいろな混乱が入り込む のではないかという感じが少しします。ですから、ここで議論するのは、制度に織り込 まれた基本政策の妥当性は国会で決まっていると、それを官が実施をする。実施をする けれど、常に実施についての重点度についてのあれは国会でもちろん予算がつくわけで すが、そういうものを省から立案して承認を得る。そうするとかなり大きくは予算運営 を通じての強弱、その強弱の正しさといいますか、それからそれの効率性と、こういう ことになっていくとより分かりやすい。必ずしも予算そのものと、そこにだけ執着して いるわけではないという問題も含まれているように思うのです。この点、そういう割り 切り方でよろしいのでしょうか。 ○政策評価官  正直言って政策評価結果といったものが、政策の正しさとは全く違う次元でできるの かと言われると、恐らくそうはいかない部分があるだろう。ただ、これまでの政策評価 というのは、政策の正しさそのものを正面切って評価することは期待されていなかった であろうと思います。そうしてある意味、森田先生の御言葉を借りれば、政策遂行の適 切性みたいな観点から評価をしていたということです。今、おっしゃられた、しかしそ れだけでは不十分ではないかと、やはり国家資源の配分という点で、「予算が中心であ るならば」という観点から、まさに今度の20年度予算編成からいかに予算の編成とこの 政策評価をリンクさせていくかという方向が出ているところでございます。そういう動 きの中で今先生御指摘の政策評価といったものと、予算との関係、政策評価の結果で予 算のつけ方が変わってくるという問題というのが実現されていくのだろうと考えており ます。 ○渡辺委員  普通の民間であれば、1回制度が決まる。制度はいいのですが、それに実際それを運 営してその成果を競います。しかし、その成果が今までの枠内では不十分な効果しかも てないと。だから制度自身を変えるべきだと、こういうことで官と政府は拮抗していく のが普通です。だから制度の枠内というのでなく、実施した結果が制度の持っている時 代の古さだとか、あるいはミスマッチングに対して実施状況を通じて反映もされていく というのが政治と官とのつながりなのではないか。制度そのものに対して向かうのは、 やはり実証を通しての、実施している過程においてのいろいろ出てくる問題をより効率 するために制度への忠告改正というリコメンデーションを行う。そういうふうに例えば 割り切りながら、ある程度政策評価というよりも、ある意味で政策遂行評価だと。しか し遂行を通して制度の不合理性とか何かには、やはりこうあるべきだという提言はここ から出てくる。つまりそれも評価過程だと。そういうふうに言うと多少分かりやすいか と思います。いつも森田先生はそこを区分して、と言われますがそういう考えでよろし いでしょうか。 ○森田委員  はい、現実には難しいところだと思います。端的に申し上げますと、余り国民が望ん でいない政策を非常に効率的にやった場合、どう評価するかという話になるわけです。 その場合に、効率的にやったというお役所の方の仕事ぶりは大変いいと評価するのか、 そもそも元の政策は要らないではないかという評価をするのか。それが最終的にアウト カム指標だけで、両方をきちっと仕分けするというのはかなり難しい話だと思います。 したがいまして、一体何を評価するかということ、あらかじめ評価対象なり何なりを絞 り込んで行く。ここから先の話はもとの制度が悪いのだと、それはそれでどう評価する かという話になるかと思います。予算になりますと、確かにこの予算が有効に使われて いるかということで議論になるかと思います。そもそもこの予算というのは、厚生労働 省の枠の中だけで決まる話ではありません。国全体で決まる話ですから、それをこうい う評価委員会、各省の評価委員会なりの評価の仕組みでチェックするというのは無理が ある。それならば評価対象をもっと限定するという形でフォーカスを合わせて、まさに 今言った政策遂行の質を高めるためにこの仕組みがどう評価できるか。そういう形での 使い方がいいのではないかということでございます。 ○高橋座長  これは何よりも自己評価ということが一つのポイントです。渡辺委員がおっしゃった のは、かなり第三者評価的な思想を入れないと実は実現しません。とりあえずそういう 問題もあるのかと思ったのですが、いかがですか。 ○森田委員  そうです。ですから何回もこの会で申し上げたと思いますが、政策評価の場合、粗っ ぽく言いますと、(1)いわゆる国民の期待にどのくらい答えているかという最後のアウト カムだけのレベルの話と、(2)それぞれの組織がどれくらいきちんと仕事をしているかと いうレベル、そして、(3)それが中で働いている方の評価のレベルとがあります。政策そ のものを評価する場合、私は3つそれぞれ違うという気がしています。現行の制度でそ れは必ずしも区別されず、一緒になっているようですので、政策の質がどうかというの はそれぞれのお役所のパフォーマンスで決まってしまう。またそれがさらに国民に対す るアカウタビリティーという言い方をしますと、国民がそれをどう評価するかという少 し語弊がありますが、あえて言えば人気の問題として評価されてしまう。それは本当の 意味での政策と行政の質の改善に結びつくのかということについては、私個人的には若 干疑問に思っています。そこはきちんと少なくとも仕分けをする視点が必要であり、重 要であろうと考えているということでございます。 ○高橋座長  第1回から、形を変えていろいろ議論をされてきたことを、改めて次の評価計画をお つくりいただくときに、今の議論を生かしながらやってくださいということかと思いま す。今のことと関連して、あるいはほかの視点で何か御発言がございますでしょうか。 ○篠原委員  毎回言わせていただいていますが、コスト情報です。これを見ると、予算と決算とい うことでそのリンクはされましたが、今市場化テストなどいろいろと出ています。当然 コスト情報が民間並みのコストを出さないといけないと思います。その辺の財務省あた り議論といいますか、は進展されているのでしょうか。 ○政策評価官  これまでも議事録を拝読する限りにおいて、常に御指摘いただいているところですが なかなか難しい点があると思っています。市場化テスト等が進んでおります。政策の企 画立案と政策の実施という点を分けて、より効率性が求められる政策の実施という点に 関しては別途実施庁評価というのもあります。そして実施庁については、そうした業務 について市場化テスト等も行われております。まずは政策の実施という部分にかかわっ て、市場化テスト等の動向を見て、その中で恐らく例えば国民年金の保険料の収納を民 間に任せたら、これでこれだけの効果と、それに対して社会保険事務所がやったものに ついてはこれでこれだけという形で、政策評価に徐々に蓄積を増していくのか、その段 階なのかと思っております。 ○高橋座長  いかがでございましょうか、お約束の時間にそろそろなりますが。 ○野川委員  済みません2点ほど、これは意見が含まれます。最初の財務省とも交渉を含めたこの 政策評価の基本的なモデルのあり方ということについてです。私が意見を申し上げて、 阿部委員の方からも意見があって、それに対してのお答えは、論理的に整合性があって 体系性があるということが徹底されていて、それがいわば一種のアカウンタビリティー になるということでした。何といいますか、もう一歩、だから例えば数値目標はないの だというところで終わるかどうかです。つまりそういったことは今までもあって、それ でもなおかつ何とか数値化しようということもあったのではないか。むしろ論理的な整 合性を追及して、ある体系としてしっかりした実施目標までができた場合に、それが数 値化できないことについて改めて何らかの挙証責任を果たすというようなことも含まれ てくるのではないか。要するに論理的に整合性があってかつ数値目標も達成されている、 達成機会も与えられているというものについてはそれでよし。しかし論理的に整合性が あっても、最後に結局定性的な内容のもので終わっている場合には、なおそれに対して、 いやこれについてはこういうことだから数値化できないという積極的な立証が必要なの ではないかというのが一つです。  もう1点は、評価結果分類の精緻化の話です。例えば4つ、5つと増やしてもそれが 程度で段階になっていれば、所詮真ん中にくることに余り変わりありません。そうでは ない何らかの形が可能かどうかをお考えいただきたいと思います。私が考えたのは、だ んだんチャート化していく、例えば「積極的に評価できる」「消極的に評価できる」とい った最初に2段階しか分類がなく、では「積極的に評価できる」としたら、どういうふ うに積極的に評価できるかといったことです。せっかく頑張っているから真ん中にとい う評価にならないような具体的な提案があればいいと思います。私が今考えたのは、「全 体としてプラス」「全体としてマイナス」。「全体としてマイナス」だったら、それはどの 点がどうマイナスかといった、だんだん枝分かれしていくような評価のあり方みたいな ものがないかと考えました。 ○高橋座長  ありがとうございました。どうぞ紀陸委員。 ○紀陸委員  発言しないとまずいので一つだけ申し上げます。PDCAはいろいろなところでやっ ていますが、私ども先般雇用保険の事業の見直しに、参画する機会がありました。今、 お金と政策の話が出ていますが結局財源というのは一般会計だけではなく、労使の保険 でございます。それで成り立っているところがたくさんあります。そうしますと、一般 会計の財源でやる話と、労使が保険をそれぞれ出し合ってやる話、それによって事業が 本当に意味があるのかといった絡みです。一般財源でやるのであればやってもいい。し かし、少し変な言い方ですが、労使の保険でやるのであればなくてもいいと、それぞれ 財源の出方の組み合わせによって事業の遂行の意義が変わってくる場面があると思いま す。そういうことで、私不勉強で基本目標とそれぞれの施策目標がどういう形で組み立 てられているのか個別には分からない面もありますが、ある施策の評価をする場合に財 源がどこから出ているのかということは、常に片方で認識しておかなければいけない話 だと思います。これから保険料負担する人たちの構成割合が変わってきます。常に厚労 の行政の話の中について回るはずです。特に短期でなく中長期の目標を立てる場合には、 その話が不可欠だと思っています。御担当の方々は当然分かっているでしょうが、意外 とこの財源はどこから出ているかというのが認識できない場面が結構あります。しかも 特会やいろいろな見直しをかけられている状況がありますので、その辺私どもももう少 し認識を深める必要があるという感じでおります。 ○渡辺委員  例えばこの資料15ページ、これは経済基本目標として経済・社会の変化に伴い多様な 働き方云々とあります。そうすると従来的にいけば、ミスマッチとか雇用機会の創出と いうのは、労働行政をやっているここの省の課題であると。しかしこれには当然毎回出 ていますように経済産業省あるいは文部省、総務省といった地域のものです。そうする と本来何かそういうものの政治的基本の解決策があって、その中でこの省はここを担当 するといった方が本当は国民的には分かりやすいわけです。そういうのはいずれどこか で、もう一つ上の段階で出ながら、それぞれの縦割りというのでなくその省の機能とい うのは、こういう面で目標をもってやって、それが必ずしも全体で国民のアグリーを得 るためには、どこかに総合的な政策の欠けている面があってはいけないわけです。これ はここだけの問題ではないでしょうが、そういうことのもう一段上の中でこういう体系 化が行なわれるということが、本当は好ましいのではないかと少し考えます。 ○高橋座長  厚生労働省施策でいえば5ページの(2)の(3)で、関連する施策に関する評価書の明 示ということで努力をされようということかと思います。今、渡辺委員の御指摘の視点 は、課題として宿題をいただいたと思っております。 ○渡辺委員  特にイノベーションなど掲げている以上は、イノベーションとオープンというのは、 まさにこういうことに出てこなければいけないはずです。 ○高橋座長  はい、いかがでございましょうか。それでは幾つか課題を御提起いただきました。こ れを踏まえて大分難しい宿題もたくさん出ておりますが、第2期の基本的計画の策定作 業は、とりわけ政策体系をきちんと見直すように等々含めて大事な方向性に関する御発 言を頂戴したような気がいたします。  今後のことについて、事務局にお返しいたします。貴重な御意見をありがとうござい ました。 ○室長補佐  それでは今後の予定でございます。本日お諮りしました第2期政策評価に関する基本 計画の策定作業、いただいた内容も含めまして進めさせていただきます。  次回、有識者会議につきましては、1月下旬から2月上旬あたりの開催を予定してお ります。第2期の厚生労働省における政策評価に関する基本計画(案)等について、立案 のものをご覧いただきまして御意見等調整したいと考えております。開催の日程等につ きましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。以上です。 ○高橋座長  今日は本当にありがとうございました。それではこれで閉会とさせていただきます。                                      終了 (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)