06/11/06 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会 平成18年11月6日議事録 06/11/06 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第3回議事録  (1)日時  平成18年11月6日(月) (2)場所  厚生労働省 専用第15会議室 (3)出席者 糠谷部会長 鴨下部会長代理 遠藤久夫委員 川越厚委員 高久史麿委員       辻本好子委員 野中博委員 堀田力委員 村松静子委員 <事務局>水田保険局長 宮島審議官 原医療課長 鈴木老人保険課長        唐澤保険局総務課長 石原調査課長 二川医政局総務課長        神田高齢者医療制度施行準備室長 谷内総務課企画官 他 <有識者>桑田美代子氏、秋山正子氏、片山壽氏 (4)議題  ○地域医療の現状について      (有識者からヒアリング)       ○その他 ○糠谷部会長  時間がまいりましたので、これより高齢者医療の在り方に関する特別部会を開催いたし ます。委員の出欠状況でございますが、本日は委員の皆様全員に出席をいただいておりま す。どうもありがとうございます。  本日は、有識者からのヒアリングということで、桑田美代子青梅慶友病院看護介護開発 室長、秋山正子白十字訪問看護ステーション所長、それから片山壽尾道市医師会会長、以 上のお三方に御出席をいただいております。  それでは、議事に移りたいと存じます。本日は地域医療の現状について、有識者からヒ アリングを行いたいと思います。  それに先立ちまして、まずは事務局から、本日のヒアリングの趣旨等について簡単に説 明をいただきたいと思います。それではお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。  お手元の資料1、「平成18年度診療報酬改定について」ということで簡単に御説明させ ていただきます。本日は、主として在宅の医療というところの実践例等を通してお話を聞 く予定としておりますけれども、今回、平成18年4月に診療報酬改定が行われまして、 その中でも、とりわけ在宅医療の関係のところについて、資料にまとめてございます。  資料の1ページでございますが、これは全体像ということで、改定率は御承知のように 全体でマイナス3.16%の減でございました。内訳としては診療報酬本体でマイナス1.36、 薬価等でマイナス1.8ということでございました。  今回の診療報酬改定は、これまでと少し形が変わりまして、社会保障審議会の医療部会 あるいは医療保険部会で、診療報酬改定に当たっての基本方針というものが定められまし て、それに沿って、個別の項目について中医協で議論するという形になっております。そ の結果として、重点的に評価する項目、簡単に言いますと新しい点数をつけたり、点数を 上げたりということですが、小児や産科の医療、麻酔・病理診断、等々でございます。ま た逆に、適正化する項目ということで、慢性期の入院医療や入院時の食事、コンタクトレ ンズに係る診療等が挙げられております。  次のページをごらんください。これは先ほどの社会保障審議会の基本方針の中で書いて あります、基本的な考え方でございます。4つの視点が、まず大事であると述べられてお りまして、1つ目に、患者から見てわかりやすく、患者の生活の質を高める医療を実現す る視点というのがあります。こういう中で、具体的には、わかりやすい診療報酬体系であ るとか領収書の発行について触れられております。2番目に、質の高い医療を効率的に提 供するために医療機能の分化・連携を推進する視点ということで、その中で、特に在宅医 療が取り上げられておりますし、全体としては在院日数の短縮化についても触れられてお ります。3番目の視点といたしましては、我が国の医療の中で今後重点的に対応していく べきと思われる領域の評価についての視点ということで、先ほどもありましたが、産科や 小児科、救急領域、あるいはIT化、あるいは医療安全について具体的に触れられており ます。4番目は、医療費の配分の中で効率化の余地があると思われる領域の評価の在り方 ということで、これは適正化すべき項目として慢性期の入院であるとかコンタクトレンズ について具体的に触れられております。  さらに、この基本的考え方の中で、具体的な点数の設定に当たっては、以下の箱にあり ますように、診療報酬によって医療機関の診療行動や患者の受療行動を誘導しようとする のではなく、基本的な医療政策の方向性に沿って個別に診療報酬点数を設定していく中で 対応すべきであるということが述べられておりました。  3ページ目は、先ほど述べました2番目の視点ですが、その中で、在宅医療についてこ のように書かれております。高齢者ができる限り住み慣れた家庭や地域で療養しながら生 活を送れるよう、また、身近な人に囲まれて在宅での最期を迎えることも選択できるよう、 支援していく体制を構築することが必要である。このため、入院から在宅への円滑な移行 を図りつつ、介護保険との適切な役割分担のもと、24時間診療ができる在宅医療や終末 期医療への対応に係る評価の在り方について検討するべきである、ということが触れられ ています。  これに基づきまして4ページ目でございますが、中医協の基本問題小委員会というとこ ろで、在宅医療に係る評価についてということで、4ページと5ページに書かれておりま す。4ページの方は、上の1つ目の丸印は、先ほど述べられたことが書いてありまして、 在宅療養支援診療所という形の、24時間体制の医療の拠点といいますか、医療支援の拠 点というものをつくりましょう、と。そこと、その他の病院や診療所、薬局、訪問看護ス テーション、あるいは在宅の介護関係のサービスとも連携を図ろうというようなものとし て、こういうものを設定してはどうか、と。それから、在宅になりますと、どうしても診 療所や医療機能だけではなく、訪問看護というのが重要になりますので、そこでの特に重 症者の管理についての加算や、あるいは、そういう方々の在宅への移行をスムーズにする ための点数を高く評価してはどうかということでございました。  5ページ目でございますが、在宅における療養の終末期に係る評価ということで、在宅 患者の訪問診療の中でのターミナルケアについて、従来、1カ月以上にわたって訪問診療 をした場合に、ターミナルの評価が高かったわけですが、もう少しその要件を緩和して、 具体的には14日以内、2週間だったと思いますが、その中で一定回数以上というふうに 緩和をしております。それから訪問看護についても同様の形で、1カ月にわたるというと ころを、もう少し短期間のターミナルの部分を見ているということになっております。  それから、自宅以外の居住の場におけるターミナルケアということから、介護保険法上 の特定施設入居者生活介護の指定を受けているケアハウスや有料老人ホーム??これは、 いわゆる居住系のサービスになるわけですけれど、そこの入居者に対して、この在宅療養 支援診療所が訪問診療を行うということを高く評価することにしております。それから、 特別養護老人ホームですが、ここは当然、指定の医師や、あるいは看護師の配置が決めら れているわけですけれども、そこの、特に悪性腫瘍等についてターミナルを迎える場合に 高く評価するということにしたところでございます。7ページ以降に具体的な点数につい ての議論が書いてありますが、時間の関係もありますので、説明はここまでにさせていた だきます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。以上、事務局からの説明を伺ったこととさせていただきまし て、もし何かありましたら、後ほどまた質疑の時間にお願いしたいと思います。  桑田先生、秋山先生、片山先生の順に、それぞれ15分程度で御説明をお願いしたいと 思います。なお質疑、意見交換につきましては、桑田先生と秋山先生の御説明の後、一定 時間行い、さらに片山先生の御説明の後、まとめて行うことにさせていただきたいと思い ます。それではまず、桑田先生からよろしくお願いいたします。 ○桑田室長  青梅慶友病院の桑田です。よろしくお願いいたします。  きょうは私は、実際に在宅ケアに携わっているわけではないのですけれども、後期高齢 者の望むケアとはどういうことなのかということを、私の経験をもとにお話ししたいと思 っております。また、皆様の資料では、最初の方に専門看護師のことについて資料を提示 いたしましたけれども、今、看護協会の方では、専門看護師制度というのがありまして、 8分野・139名の専門看護師がおります。その中で老人看護専門看護師は、日本の中では、 この11月1日に1名合格しましたので、資料の中では9名になっておりますけれども、 今現在、10名が全国で活動しております。きょうは専門看護師のお話ではありませんの で、専門看護師については資料の方を御参照いただきたいと思います。  きょう、私がお話ししたいのは、後期高齢者の生活を見るということ。後期高齢者は、 やはり生活をしている人と、とらえ生活支援をするということがとても大事になるのでは ないのかということ。また、がん患者さんの場合は緩和ケアという形で言われていますけ れども、本来は緩和ケアというのは、がん患者以外も対象となると思うのですが、なかな か、そこのところに焦点が当たらない。ですから反対に、後期高齢者には、やはり安楽を 提供するケアということが大事なのではないのかということ。そして、生活支援を基盤に するならば、看護師の役割をもう少し拡大していただけたらいいのではないかということ について、お話ししたいと思います。  青梅慶友病院は745床の病院でして、入院している患者さんの平均年齢は87歳、100 歳以上の方が、今、24名いらっしゃいます。実際に今の時代とは逆行しておりまして、 平均在院期間が3年5カ月という長期なのですけれど、これは長期ケアがいいというわけ ではなく、長期に施設ケアを必要とする後期高齢者もいるのではないかということ、あと は、私は病棟が1つの地域であり、隣にいる患者さん同士はお隣同士というような感じで 思っております。認知症の方が8割、9割の方が死亡退院する。そして看護、介護、医師 以外に、いろいろな職種で後期高齢者の方たちのケアをしている施設です。  その中で私は勤務をしておりまして何を思うかといいますと、やはり後期高齢者は生活 支援が必要です。今私は、歩いてここの場所に来て、きょうも日中は自分で食事をつくり、 食べてきましたけれども、それが自分で歩けなくなる、自分でトイレに行けなくなる、自 分で食事が食べられなくなる、それは認知症の終末期、それから加齢に伴ういろいろな機 能の低下ということがあると思いますが、それができなくなって初めて不自由を感じる。 そして、その後期高齢者の方たちというのは、80年、90年と生活してきたという背景が あって、そのことを考慮してケアするというふうに考えたときには、もう、究極の個別ケ アではないのかなあと考えています。  私は、急性期であろうと在宅であろうと療養病床であろうと、生活、身体状態、精神状 態という、この3つのバランスが、後期高齢者の方には必要なのではないかと思っていま す。急性期の場合は、身体状態に大きなウェイトを当ててケアされているかもしれません けれども、それによる生活の不自由さということで、後期高齢者にはいろいろな弊害が起 こってくる。私が入院して1日寝たきりになっていても、翌日はまた歩くということがで きるかもしれませんけれども、後期高齢者の場合はどうなのか。歩けるようになるまで1 週間かかると言われています。しかし、今、実際に成人と同じような形で医療が提供され、 なかなか生活の部分を見てもらえない。それによって、精神状態、認知症も進んでくると いうような形になっているのではないかと思います。そして、そこのバックには、やはり、 一人一人の高齢者の背景ということを考慮して見ていく。今、どこのところにウェイトが 置かれているのか。この3つのバランスを考えながら、高齢者を見ていくということが大 事ではないかと思っているわけです。  例えば食事の援助を考えたとき、確かに今、栄養サポートチーム等で栄養管理のことを 言われるようになりました。私は、口から食べるということはとても大事だと思っていま すので、そのことは必要だと思うんですけれど、ただ、栄養を管理するという視点だけで はなく、食べて楽しむ、味わう、そして、より人間らしく最後まで口から食べたい。また、 スタッフ側の私たちの側の安易な理由からチューブケアを行わないということも、すごく 大事なのではないかと思っているわけです。  これは、当院で経管栄養をしている患者数の推移です。濃いオレンジのところが胃瘻、 そして薄いところが経鼻、マーゲンチューブです。安易なチューブケアを行わないという ことで、一生懸命、口から食べさせるように、私たちはケアをしてまいりました。でも、 最近やはり、PEGをして入院してくる方たちも、すごく多くなってきているというよう な現状もあります。実際につけていても、口から召し上がれるようになったという方も多 くいらっしゃいます。PEGばかりではなくて、高カロリー輸液を行っていて、それが抜 けて口から召し上がれるようになったという方も多くいらっしゃいます。  このような形で、少しでも口から食べることをケアしていくということは大事なんです が、その中にも、やはり後期高齢者の心身の状態、残存能力の把握ということが大きな目 的にもなっています。ただ口から食べさせればいいわけではなく、その中には、私たちが やはりきちんと嚥下の機能の把握をする、そして栄養状態の把握に関しても、データを成 人の正常値からだけではなく、異常であっても、その方の正常値としてきちんと見きわめ、 そして継続して見ていくということがあるということは、私は、大事ではないかと思って いるわけです。データだけ悪くて、管理をしようと思えば、違う形でまた治療等を施され る場合がありますが、それがその方の正常値である、すなわち異常がその方の正常値とい うような形で推移しているケースもあります。そういった中で、それらを把握しながら、 その方たちにとって適正な、残存能力を生かしながら、そして高齢者を元気にさせるよう な形でのケアを、私たちはサポートしているわけです。  実際に口から召し上がれることによって、昨年、253名の方が死亡退院されていますけ れども、褥瘡を持って亡くなられた方は22名でした。その中の半分ぐらいは持ち込みの 褥瘡の方です。やはり口から食べるということで、亡くなったときに身体に傷がない、よ り人間らしくいるということは、私は、大事なことではないかと思っています。  認知症高齢者のステージということで、前回のときにも本間先生からお話があったかと 思いますけれど、認知症高齢者がどのような経過をたどっていくのかということですが、 最終的には意思の疎通も困難になり、そして嚥下も困難になり、というような状況になっ てきて、死に至るわけです。  そして、これは資料の中には入れませんでしたけれども、急性期等で、やはりきちんと ケアをしてもらわないと、四肢が拘縮してきてしまう。とても人間らしくない身体になっ てしまうということもあります。そして後期高齢者の方たちを見ていると、そういうよう な、自分で身体が動かせない??この方も、もう、ひざも曲がっていますし股関節も拘縮 しておりますので、仰向けになったまま休むということが、なかなか難しい。こういった 中で、やはり私たちが体位を変える、更衣をする、入浴のケアをする、そういった中で、 この方は、口から発することはできませんけれども、苦痛、生活の中での不自由さという ことを感じているのではないか、と。それを私たちが、いかにくみ取って、この人に、心 地よい日常の生活を提供するのか、ということが、私は、後期高齢者の中では大きな役割 になっているのではないかと考えています。  看護介護開発室というところは、職員の教育・研修をする役割を担っているところです けれども、他職種も交え、時には医師も交え、PT・OTも交え、一緒に、自分の身体を 動かしてみて、関節がどう動いているのか、ケアをする中で関節の動きを知り、拘縮予防 をする、そういった形で介護職も看護職も、ほかの職種も、一堂に会して勉強会等を行っ たり、ケアの中でそういったことを意識して提供する。そうすることによって、亡くなっ たときに、より人間らしい寝姿に??「ケアに生かす拘縮対策?寝姿の美しさ」というキ ャッチコピーをつけて研修等をするんですけれど??そういった形にしていくということ は、私は、在宅でも施設ケアでも、どこにいても提供されるケアなのではないかと考えて います。高齢者の不自由さというのは、私は、こういうところから来るのではないかとケ アを通しながら感じているわけです。  先ほども申し上げましたように、がん患者さんの中では緩和ケアということを大きく言 われていて、本来は長期ケアの方、それから海外の専門家の方に言わせれば、囚人であっ たりホームレスであったり、そういう方たちにも緩和ケアということは必要なんだと言わ れていますけれども、なかなか日本の中では、そういった形には認識されていない現状が あります。ですから、これは本当に提案ですけれども、やはり安楽ケア??横文字では Comfort Careというふうにつけてみたんですけれど、そういったことにウェイトを置い てケアをしていくということが、これからの日本の社会では大事なのではないかと思って いるわけです。つまり基本的生活の充足を行い、惨めではない、苦痛がない、心地よいケ アを提供する。また、ある面、私たちはどうしても後期高齢者の能力を過小評価してしま うところがあるので、やはり残存能力も活用するということ、そして意思の疎通が困難で 不動な状態になっても、意思のある人間として尊重し尊厳を保つ。やはり、そういった考 え方が基盤にあるということが大事なのではないかと思っています。  私は老人看護専門看護師ではありますけれども、老いは未知の世界で、ここにいる皆さ んも同じだと思うんですけれど、やはり、本当に90歳、100歳の方の気持ちがわかるの かなあ、と。人の気持ちは変わるものですので、そういったところで老いは未知の世界で ある。意思の確認できる方はいい。だけど確認できなくなってしまったときの意思の尊重 とは何なのか。何をしてもらいたいのか、どうあるべきなのか。やはり安楽ケアではない ですけれど、そういうところに基盤を置きながら、最後まで人としていられるということ にウェイトを置いたケア、医療の体制というものができないだろうかと思っているわけで す。  それはなぜかというと、後期高齢者のケアで最終的なところは、やはり「良き旅立ち」 をコーディネートすることではないかと思っているわけです。先ほどから言っている、苦 痛がない、惨めではない、大切にしてもらえていたということ。それは確かに、本人が納 得したか、本人が満足したかということに関しては、確認はできません。私は本当に、 「いかがでしたか」というふうに聞いてみたいなあと思うんですけれど、それはできない。 しかし私たちがやはり考える。それによって家族も納得する、家族も満足する。そして私 は、私たちケアするスタッフも満足するというようなことも大事なのではないかと思って います。  その中で、じゃあ、看護職の役割とは何なのかということですが、私は、後期高齢者に おける看護職の役割というのは、日々の生活の援助を通して、高齢者の心身の状態をアセ スメントする、つまりは予測を立てる、予見する??予防看護と言ってもいいのではない かと思っています。そういう中で苦痛の緩和や異常の早期発見ということに努めるという ことが、ナースの大きな役割である。やはり、今の情報、今の状態を見て、この先、どう することが、苦痛を増大しないのか、ということです。それは、何か新たな治療をすると いうわけではなく、日々の生活を通して、その方のことを看る、アセスメントをする、と いうことです。  看護職の役割というのが、保助看法の中には「療養上の世話」及び「診療の補助」と書 かれています。療養上の世話の部分について、私は、専門看護師の仲間に尋ねました。今、 急性期の病院の中では、食事の種類の変更とか、お風呂に入っていいというのを、だれが どうしているんですかと聞いたら、やはり、自分たちはこう思うんだけれども、どうです かというふうに、医師に確認をして、医師は大体「それでいいよ」と言ってくれるけれど も、一応は確認をしていると言っていました。  そういった、療養上の世話に関する判断というところでは、もっともっと、私たちの役 割を拡大できないだろうかと思っています。それは生活を通して、また、もちろんそのこ とが、その方の生命の危機に及ぶようなことに関しては医師に確認をするということも大 事ですけれども、そういったところを在宅ケア、それから、それぞれの、高齢者が入って いるような施設に勤務するナースに対して、そういったところでの役割拡大ができないだ ろうかと思っています。  きょうは、後期高齢者の医療制度の在り方ということですけれど、ここでは生活、介護、 医療というふうに3つに分けましたけれど、後期高齢者の方たちには、やはり生活・介護 の部分に大きなウェイトが当たっていますけれども、その後ろには、やはり黒子のように 医療が存在する。それは過剰な医療ではなく、高齢者にふさわしい医療です。痛い、苦し い、それはやはり取る必要がありますし、そういうところで、黒子のように医療が存在し、 そこの中での役割を担っているのは、私は、ナースではないかと思っているわけです。  日本は今、老人人口が21%ということで、世界最高になりました。そういう点で言う と、老人看護・介護を必要とする活動の場の拡大ということが考えられます。ここに書か れたさまざまな施設の中で、高齢者は生活をしていくわけです。そのときに、看護職は、 他職種間の調整役を担っている。それは、やはり医療の部分がわかっているというところ もあると思いますし、そういうところでは、ほかの職種にいつ出てきてもらうか、どうい う形で、ほかの職種の役割機能を発揮してもらうかというところでは、私は、看護職は他 職種間の調整役を担うと思いますし、介護職に関しては、一番身近な連携をする職種であ ると思っているわけです。  これは2004年、京都で開催された国際アルツハイマー病協会の国際会議で河合先生が 言っていたことを、私がメモしてきたものです。もしかしたら、河合先生は「こんなこと は、しゃべっていない」とおっしゃるかもしれません。「老人は何もしないからだめ」で はなく「何もしないから素晴らしい」、「よく忘れるからだめ」ではなく「よく忘れるから 素晴らしい」、「死に近いから価値がない」ではなく「死に近いから価値がある」、これは 逆転の思考だというお話をされていました。私はこれを聞いて、本当にそうだなあと思い ました。今まであった看護、医療の形ではなく、やはり発想を変えて、高齢者にとって、 よりよいものを考えていくことは、すごく大事ではないかと思っていますし、認知症高齢 者の方たちのケアをするときに、今までの常識的な枠組みだけでは、なかなか、いいケア ということの発想が浮かびません。ですから、このように逆転の思考というような形で考 えていくことは、すごく大事なのではないかと考えています。以上です。どうもありがと うございました。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。続きまして秋山先生、よろしくお願いいたします。 ○秋山所長  桑田先生に続き、在宅の訪問看護の現場からの発言ということで、白十字訪問看護ステ ーションの秋山が務めさせていただきます。  後期高齢者医療における在宅ケアをめぐる課題ということで、私も現場を担う者として、 現場からの発言ということで、事例等を入れてお話しさせていただきます。  皆様のお手元のレジュメには入っていないスライドですけれど、まずは後期高齢者の在 宅ケアの経験から、訪問看護を継続して利用することで、住み慣れた自宅や自宅に近い施 設での最期を迎えることが実現可能になるのではないか。それから、後期高齢者の心身の 特徴を踏まえ、加齢に伴う急激な変化を穏やかにするために、日ごろからの健康状態への 配慮を医療職が行うことで??この「日ごろからの健康状態への配慮」というところが、 先ほどの桑田先生の予防的な看護というあたりにつながるかと思います。急性増悪時にも 医師との協働のもと速やかに対応することで、ある程度の回復を図ることができ、環境の 変化の影響を少なくし、ソフトランディングできるのではないか。これはもう、現在でも 行われてはいるのですけれども、急性増悪時の介護保険と医療保険の併用等、それから医 療保険の割合をもう少しふやしていただくこと、それから、このときに救急で使うさまざ まな衛生材料等に関しての拡大の御配慮など、そういうことが必要になってくるのではな いかというふうに考えています。それから24時間の緊急体制も、大分、とれるようにな りましたけれども、下にあるように、人員確保等の問題があり、まだ100%は、24時間の 緊急体制がとれるステーションとはなっていないという現状があります。  一方では、介護力のない家族形態が非常にふえてきていて、ここでは介護支援専門医、 ケアマネジャーや介護職との連携が不可欠であります。なおかつレスパイトケア、つまり ある程度の休息ができるよう、施設との連携が必要であり、地域の医療システムの中に組 み入れる必要があるのではないか、と。この3つについて、少しお話をさせていただきた いと思います。  特に退院・退所時の病院施設との連携は不可欠で、在宅での「生活」をイメージできる 状況で調整する必要があり、医療と介護の両方を熟知した在宅ケアの専門家が橋渡し役を 担うことが望ましいと思われます。このことは、後期高齢者の入院当初から意識される必 要があり、つまり、入った時点からやはり??今、既にそうなってはいますけれども、余 り長引かずに帰れるための、在宅との連携が非常に大事になってくる。その結果、むやみ な医療処置の追加を予防し、認知症の症状悪化も予防できるのではないかと思われます。  これから当ステーションの状況をお話しする前に、新宿の地図を使って、私どものステ ーションの場所を説明しようと思っていたのですが、地図が表示されませんので、これは 飛ばします。  私どもは、新宿区の約30万都市、15万世帯というところに、19.6%という高齢者が住 む地域で訪問看護を展開しております。後期高齢者というふうに限定したときに、私たち が引き受けた方が、一体どうなったかというのを、少し、記録をもとに調べてみました。 経過がわかる30人の後期高齢者の転帰を、2000年の6月というのは介護保険が導入され て2カ月たったあたりで少し落ち着いたころかなあというところですが、実はそのときは 68人の利用者を抱えていまして、そのうちの61人、89%近くが後期高齢者でした。その 後、2006年の6月ですから、5年ではなくて6年たったときには、現在、143人の利用者 さんを抱えていまして、そのうち99人が後期高齢者です。前期高齢者が21人という状況 です。この間、30人の後期高齢者を見てみますと、最初の平均年齢は85.5歳です。男性 9人、女性21人で2対1。大体、ステーションの引き受ける割合はこのぐらいで、やは り女性が多いです。  6年後の変化は生存者が8人でした。死亡者が22人おります。それぞれの男女比をお 示ししています。6年後の変化で、生存しているというか、まだ引き続き訪問看護に伺っ ている方は8人で、男性が1人で女性が7人です。やはり男性の方が早く亡くなるのかな あという感じです。次に、現在の居場所です。自宅が4人、全員が女性です。うち独居が 2人。施設が4人、有料ホームに2人、グループホームに1人、介護老人福祉施設すなわ ち特養に1人、お入りになっています。その死亡者22人の内訳を見てみました。自宅で 亡くなった方が12人おられ、それは54.5%ということで、前回の資料を見ると13.7%で すか、そのぐらい、在宅での後期高齢者の死亡ということでしたので、それからすると半 分以上が御自宅で、穏やかにというか、亡くなられているという結果が、1ステーション の内容ですけれども、見られます。  では、残りの方々はどこで亡くなられたかというと、病院が6人、うち1人が緩和ケア 病棟でした。そして特養が3人で、実はそれぞれ入った後で亡くなられた方はステーショ ンに連絡が入っていまして、それでこの結果が得られています。特養が3人で、最終は病 院が2人。老健は1人ですが最終病院が1です。つまり老健は1人ですが、最後は病院へ 行って亡くなられたということです。  その死因を見てみました。がんによるものは3人です。ですが、疼痛とかそういうこと ではなくて、最終的には呼吸不全というか、そういうことで、老衰のような形で3人が亡 くなられていました。それから肺炎から呼吸不全・心不全が7人です。残念なことに突然 死として、入浴中に亡くなられた方が1人と、睡眠中というのは朝起きたら息をしていな かったという92歳の方がおられ、そこが2人です。最後のところで、医療処置として、 医療がどのようにかかわったかを、ここで挙げてみました。酸素療法が3人、胃瘻と経鼻 が1人ずつで2人、吸引が5人ですが数日のみ3人、点滴が1人という状況です。  つまり最初に、手前みそのように訪問看護を継続するということを挙げましたけれども、 訪問看護を継続して利用することで、住み慣れた自宅での最期を迎えることも実現可能に なっているのではないか。過剰な医療処置に走らず、症状緩和に努力しながらケア中心の 看取りに家族・介護者をサポートしていけるのではないか、と。看取りにはもちろん在宅 訪問診療医師との連携協力が不可欠であります。後期高齢者の場合は、介護者も高齢の場 合があり、介護支援専門員や介護職との連携や、レスパイトケアのできる施設との連携も、 とても大事になってきます。  新宿区の一例ですが、新宿区では緊急一時入院病床確保事業というのをしてくださって いて、医師会との提携で、「区内の在宅療養者が容態悪化時に緊急入院できるよう、区内 の3病院に1ベッドずつ病床を確保する。利用に当たっては、かかりつけ医の診断を要す る」という、こういう緊急一時入院病床確保事業をしてくださっています。これが随分と いい形で働いてくださっています。  今年の4月から9月までのデータをもらいました。25名中、後期高齢者が21名。利用 者に多く見られる症状は1位が脱水で2位が肺炎、同じく2位が食思不振ということで、 老化に伴うこういうことで緊急一時のベッドが利用されており、そのほとんどが後期高齢 者であるということです。緊急一時入院病床確保事業は、おおむね14日以内で、それ以 上の場合はちゃんとした入院に切りかわるということです。  在宅での生活を維持していくために、容態悪化時に利用できる緊急入院の病床を確保し、 在宅チームとの連携を密にすることで入院を長引かせず、ADLの低下も最小限にしなが ら、再び在宅が継続できる場合も多い。この間、家族・介護者もレスパイト、つまり休息 ができる。この場合の対応は、後期高齢者の心身の特徴を十分踏まえた医療システムの確 立が望ましいと思われます。  家族機能の変化により、介護力のない状態での後期高齢者への在宅推進は、困難をきわ める場合があります。つまり、もう、「当然帰れませんよ。どこか施設を探してください」 「長期療養ができるところを探してください」という形になる場合が結構あります。です から、今般の医療保険・介護保険同時改定の中身にあるように、自宅のかわりとなる施設 への訪問看護の適応で、急性憎悪期を乗り越え、医療機関での入院を長引かせない効果が あるのではないかと考えられます。入退院を繰り返す後期高齢者に対しては、病院の退院 調整チームが、きちんと在宅への橋渡しをしていく必要があるのではないか、と。  そこでちょっと事例を提示します。頻回に入退院を繰り返した高齢者の事例です。85 歳の男性で、77歳の妻との二人暮らしです。ごらんのような生活歴がありました。訪問 看護導入のきっかけとしては、それまで実は6回の入退院を繰り返していましたが、専門 病棟への入院を繰り返していました。たまたま腹痛にて救急車で、救急外来受診になって、 総合診療科へ入院となりました。総合診療科へ入院をしましたが、加療で症状が軽減され てきたところに、本人及び妻が強く退院を希望したため、専門病棟へ移るはずのところを 総合診療科から直接退院をする、その退院調整のために在宅医療支援推進室が、訪問看護 を依頼してきたということです。  この方の既往歴としては、かなり心臓病というか、心血管にさまざまな病変があり、手 術をたくさんしていまして、そのために癒着性のイレウスを起こし、嘔吐、誤嚥による肺 炎を必ず起こしていて、救急入院を繰り返していたということです。この6回の、入退院 を繰り返す間は、在宅へつなぐということは1度もなかった。これが初めてです。最初に つながったときは、大学病院の中の、専門の病棟と一般病棟と在宅療養支援室のこの3つ で、なかなか、このS病棟とのつながりで矢印がないところが、ちょっと不思議なところ なのですけれど、そこから在宅へ向けてどんどん矢印がふえていっています。  退院の当日です。こういう状況の方が実はいらっしゃいまして、奥さんは腰が曲がって いて、非常に足がむくんでいて歩行困難があって、しかも集合住宅でエレベーターなしの 2階。室内の台所には、汁の入ったカップ麺の容器がたくさんあってカビが生えていまし た。つまり、夫婦ともにADLが低く、基本的な日常生活を整えないと健康問題の解決が できない。そして以前はK氏本人が家事などをしていた。この生活の実態が、なかなか把 握されないまま、これまで入退院を繰り返していたということです。ですから、ドクター による訪問診療と訪問看護による病状管理、悪化予防が必要であるのと同じぐらい重要に、 ヘルパーとの協働による生活支援が必要ですし、緊急時の連絡体制が必要だということが、 このケースの場合、わかりました。そして退院後の連携の状態として、先ほどより、だん だん右側に矢印がふえてきています。  ところが専門外来では、専門外来に連れて来いということで、専門外来に連れて行きま した。血圧が若干高くて降圧剤が処方されましたが、在宅ではもっと低いんです。在宅で は、血圧はもうちょっと安定していますということをお話ししましたけれど、なかなか聞 き入れていただけず、降圧剤の処方がされました。息切れもしていますし、かなり低肺機 能が見られますということをお話ししたんですが、これは前からだということで……。専 門医から専門医へ情報提供がなされました。ですが、なかなか、そこには行くことができ ず、地域の近くのかかりつけ医から指示書が出されて、このように情報提供がなされて、 こういうふうに生活支援をしだしたんですね。訪問入浴が開始になっている。なぜかとい うと、風呂桶のないお宅でした。  その後、やはりお家では血圧が低くなりすぎます。低くなりすぎてめまいを起こして倒 れそうになります。ですから、生活の実態に即した処方をしていただくように、降圧剤の 中止ということを、看護観察から提言しました。それから、やはり息切れが強くて在宅酸 素の導入を、かかりつけ医とともに行ってADLが拡大しました。  次にもう1回だけイレウスで再入院します。同じことが起こりました。  少し飛ばしまして、その後です。定期的な訪問診療、訪問看護、訪問介護、訪問入浴及 びデイサービスで、外出が可能になりました。安定した病状で高齢夫婦二人暮らしの生活 が継続でき、それまで2?3年の間に6回入院していましたが、15年7月以来、ずっと 入院はしていませんでした。さらに1年後、イレウスに近い症状をやはり起こしました。 それでも、そのときは自宅で軽快し、ADL拡大による心肺機能の低下予防が可能となっ たのですが、もう88歳になってきていますので加齢現象は進んでいて、この16年の12 月では、在宅でクリアしましたけれど、その次の年には、やはりイレウスを起こしまして、 改善がなかなか難しく、介護力の問題もあり、緊急一時病床確保事業を利用して、入院3 日間で永眠をしています。  これは、このKさんが生きているときに、写真を使っていいよと言われたので、きょう は持ってきました。こうして二人仲良く、公営のアパートで暮らしておられました。  最終時点での連携です。ここから、すっかりこちら側に矢印が全部まわってきていまし て、地域の中の完結型になっていて、緊急一時入院病床確保病院と地域のかかりつけ医は、 このように結ばれています。ここを利用して、最後のところは奥さんにも面会でき、短期 間の入院で亡くなられています。  大学病院に入退院を繰り返していた高齢患者が、在宅医療支援推進室につながり、調整 が図られた結果、地域における在宅療養体制が整えられ、その後、約3年間の在宅生活が 継続できました。ADLの低い状態で退院する高齢世帯のみの患者が退院後、早期に外来 受診、特に専門の外来を受診するようにと言われたときには、とても困難な場合がありま す。この専門医と地域医療との連携の在り方については、ちょっと課題が残りました。  介護力の低い家族状況が増加しています。ターミナルステージになってからの独居・ 老々・単身の子供が介護などの状況では、在宅という選択肢が本当にないように考えられ てしまいますけれども、生活圏内の地域で医療・福祉のネットワークをつくり、支えあわ ないと、後期高齢者の在宅ターミナルケアは実現できません。自宅のみならず在宅に近い 施設を短期間利用でき、訪問診療・看護・介護が利用可能な拠点づくりをすることが望ま れますし、病院施設のベッドの有効な活用をお願いしたいというふうに思っています。  これは先ほど桑田先生も言ったとおりです。最期まで「身体的存在」として、拘縮等を 予防し、人間らしくあるようにするのが、高齢者の終末期ケアではないかということで、 「死」を大切にすることは「生」を大切にすることであり、最期まで「身体が人間らしく ある」ように手助けすることで、最後の最後まで、人間らしく生きられる。このことを保 障していくことが重要な役割で、これは看護に預けられた役割ではないかなあというふう に考えています。  在宅のみならず、病院であれ施設であれ、在宅に近い施設??ケアハウス、グループホ ーム、有料ホームなどでも、このことは実現可能ではないでしょうか。在宅での訪問看護 で培ったノウハウを施設でも応用できるのではないか、これを、おたがいにシェアしてい くことが必要ではないかというふうに思っています。  一方、がんの患者さんでも、後期高齢者の場合は穏やかな経過をたどります。やはり 「生活」を支え、家族も含めたケアを、その病状の進行を見据えながら行えることが大事 ではないかと思いますので、各医療機関との連携調整をスムーズに行うことで、在宅生活 が安定し、安心して続けられる。そのためには他の職種・ボランティアの調整の役割が、 看護にはあるのではないかというふうに考えています。  最後になりますが、後期高齢者の医療における訪問看護の活用として、住み慣れた場所 や地域で最期を迎えられるように、在宅診療を担う医師との協働を図り、訪問看護でのケ アを提供するということが大事な役割です。そして、活用していただきたいということで す。それから、病院や施設との連携を図り、環境が変わることでもたらされる弊害を最小 にし、「生活」をも尊重した医療が提供できるよう支援するのが訪問看護の役割であり、 これを活用していただきたいというふうに思っています。  できるだけ自然な形での加齢現象を、患者・家族が受け止められるよう、その経過に伴 って起こる急性増悪時などに看護として応じ、「安心」が得られるようにすること。他職 種、ことに介護職との連携を図り、後期高齢者の急変時や医療対応に対する不安の解消が 図れるようにすること。こういうことが、後期高齢者の医療における訪問看護の活用では ないかというふうに考えています。 皆様のお手元に「高齢者の終末期ケア」という、雑誌からのコピーが入っていると思いま す。その中に、認知症高齢者の最期の12日間の様子??もう助からないと思いましたが、 本当に何もしないで12日間ケアを受けて静かに旅立たれました??その事例を含めて書 いてありますので、ぜひお読みいただければ幸いです。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは、これまでの桑田先生、秋山先生の御説明に対しま して、何か御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。 ○村松委員  ありがとうございました。私も看護師ですし、病院の看護、あるいは在宅とやっており ますので、非常に心が伝わってまいりました。私自身、私らしく死にたいと思って、今、 在宅に取り組んでおります。  その中で、お二人ともがおっしゃっていたこととして、もっと看護職に判断をさせてほ しいということがあったかと思います。意見交換したいときはたくさんあるのですが、こ の点に絡んで2点、質問と、私の意見を言わせていただきたいと思います。  1点は、今、特に後期高齢者に対する医療として、医療が非常に過剰になってきている のではないかということが、お二人のお話中にあったと思います。桑田先生、そちらの病 院に入院されたときに、既にPEGが入っていることがあるけれども、それが取れる人も いるということでしたね。実際に、私もそこのところに常々疑問を持っているのですが、 どうしたら、そういうことが減ると思われるかということを教えていただきたいと思いま す。それは、お考えをお教えていただきたいということです。  それからもう1点、先ほど秋山先生のお話にありましたけれど、在宅でもかなり医療行 為の多い方がいる。この件は私も、何回かここでもお話しさせていただいておりますけれ ども、例えば鼻からチューブが入っている、あるいは胃に穴が空いている、加えて、それ だけでは終わらない複数の医療処置を必要とする方たちが現状というのがあります。そう いう方について、衛生材料の拡大云々をということを、秋山先生はおっしゃっていました けれど、どうしたらいいか。  実はこの件に関してなのですが、今回在宅療養支援診療所ができて在宅医療が重要とい うことで、24時間連絡体制を敷いて、そこが窓口になって、ということになりました。 そして、この衛生材料については、クリニック等に加算という形で十分出されている、と。 だから、そこから出してもらえるということを、おっしゃっていますが、実際はかなりの 方が自費で購入されている。加えて、私たちは看護師夜間、緊急訪問をする。そのときに 物が足りないということが起こっているのです。1人の方が、Y字ガーゼから滅菌ガーゼ から手袋から、もちろんバルーンカテーテル等、たくさんのものが必要なのに、その保管 されている場所が1カ所だけであって、夜間、足りない。そういうときの不便さ、また家 族が買いに行かなければいけない、日中の不便さ等があると思うのですが、秋山先生の場 合には、そのあたりのことをもう少し加えて、現場の声としておっしゃっていただけたら と思います。 ○桑田室長  どうしたらPEG等が減るのかということですけれど、この4月に医療制度が改正され て医療区分になるようになりました。一生懸命手をかけて食事が食べられるようになって、 中心静脈栄養がはずれると、医療区分が下がるからお金は入りません。PEGも同様で、 最初に入れてこられてしまったら、交換するときは、こちらの持ち出しになりますので、 当院で交換しても特にお金が入ってくるわけではないんですね。そういう点で、安易にそ ういう医療処置を施してしまうことの方が収入が上がるという仕組みになっているのでは ないかと、一つは思います。  私たちが手をかける。PEGや中心静脈栄養の方が、よっぽど管理が簡単といえば簡単 なんですね。点滴を交換すればいい。それから、経腸栄養剤を接続すればいいわけですか ら。だけど、この方は一口でどれぐらいの量がいいのか、体位はどうなのか、それから食 べた後、どういう点に注意したらいいのか、この人は何が好きなのか、何だったら喜んで 食べてくれるのかということを、手をかければかけるほど、患者さんは元気になるんです が、お金は入らない。そういう、今の仕組みになっているのではないかと私は思っていま す。それは必要だからしたと言われてしまえば確かにそうなんですけれど、本当にきちん とその患者さん、後期高齢者の方の能力を見きわめてくれているのかなあというようなこ とには、やはり疑問を感じます。 ○村松委員  ありがとうございました。 ○秋山所長  訪問看護の場面では、特に、先ほども言いましたように、緊急で訪問する場合に必要な 材料については、あらかじめ診療所の指示を出しているお医者様からもらっていくという のが原則ですが、急に必要なときに、夜間や祝日などは、とても調達が難しいということ は、事実ございます。それで、全国の訪問看護ステーションに向けての調査の内容では、 やはり、そういう持ち出しをしながら、自分のところで、本当は薬事法違反になるそうで すが、やはり少し備えて持っていくという実態があって、そこを何とか改善できないだろ うかということが、みんなの声としては挙がっているということが実態です。 ○村松委員  ありがとうございました。医療機関として、訪問看護ステーションもあるので、できた ら訪問看護ステーションにもストックとして置いておきたいというのが、私たちの中には あるんですが、持ち出しになってはこれ以上継続できないという事実もあるということで す。それから、がんの方は穏やかに逝かれるというふうに、先ほどおっしゃっていました けれども、本来、物すごくチューブを入れすぎるほど入れて戻ってこられる方も多くて、 川越先生のような方がいらっしゃると非常に助かるんですが、そうじゃないところもある。 病院によって、医師によって、いろんな意味でバラバラです。このあたりで、私は、基準、 標準というのを、ぜひ、振り返ってつくっていかなければいけないのではないかというふ うに思っております。 ○川越委員  桑田先生に伺います。非常に理解しやすい内容でありがたく、特に哲学といいますか、 考え方は本当に私も一致するということで共感しながら聞いておりました。ただ、わから なくなったことがありまして、実は前回のこの会議の中で、国立長寿医療センター病院の 太田病院長の資料の10ページにあるんですけれど、ここは急性期化をして、平均在院日 数が21日だ、と。つまり病院はやることをやったら地域に帰っていただく。そういう体 制をとっているということでした。これは先ほどおっしゃっていた、老人の生活を大事に するという考え方から言うと、非常によくわかるわけです。  ところが慶友病院では、これは僕も病院の名前はよく知っているんですけれど、実際に どういう病院かは、申しわけございませんが、よく知りません。このとおり読みますと、 745床ですから非常に巨大な病院ですね。そして、そこに入った方、高齢者の方がいらっ しゃって、私が驚いたのは3年5カ月もいらして、しかも9割の方が死亡退院される。こ れは何と言いますか、桑田先生がおっしゃったことは、まさに今までのパラダイムを変え なければいけないということだったわけですけれども、やっていることは、むしろ前と同 じではないかという感じがしています。これは失礼な表現かもしれませんけれど。  その中で、先ほど最初のところで先生がおっしゃったのは、医療が必要な方がここにい るんだということでしたけれど、具体的に3年5カ月ですか、平均的にいなければいけな いという医療というのは、どういうものなのか。それを、しかも在宅に持って行くことが できないのかということを、まず第1点として伺いたいと思います。  それから第2点は、こういう医療をやったら、多分、普通の病院だったら倒産すると思 うんですけれど、患者さんの持ち出しといいますか、それがかなりあるのではないかと思 います。そういうことから言うと、限られた特殊な人しか入れない病院なのではないかと いうことを、ちょっと思ったのですけれど。その2点について教えてください。 ○桑田室長  まず第1点目のところは、当院は介護療養型医療施設です。急性期ではありません。今、 どういう方が入ってくるかというと、やはり急性期からダイレクトに来る方、あとは各施 設を転々とされて、たらい回しになって、やっと最後に面倒を見てくれるところがあった というふうに来る方です。ですから745名の方が全員、急性期にあるような医療を必要と するかといったら、そうではありません。そういう点で言えば、家族の方たちも、ちょっ と自分たちでは手に負えない、と。認知症もあって難しいとか、そういった方たちが来て いるという現状があると思います。それはもしかしたら東京の土地柄ということもあるか もしれません。ですから当院のような在り方が全部に適用できるとは実は思っていません。  それと、確かに持ち出し分として、御家族の方から払ってもらう分はありますが、ただ、 私がきょうお話ししたことは、本当に基本的なことであって、お金には関係なく、後期高 齢者の方には必要じゃないですかというところですので、あえて、そのことについては触 れませんでした。それはなぜかというと、お金があるから人間らしくあるのかとか、お金 がなかったら人間らしくなれないのかということではなく、それは関係なくて、やはり必 要な医療は提供されるべきだと思いますし、生活を基盤にするということは、私は、当院 であろうと特養であろうと老健であろうと変わらないと考えます。平均在院期間だけを見 られてしまうと、確かにそういった疑問がわくのはわかりますけれど、そういったところ なのですが。 ○川越委員  そのことも、よくわかるのですけれど、結局、行き場がない方が、慶友病院に入ってき て、そこで、ある意味で受け止めているという、そういう性格の病院と理解してよろしい のでしょうか。 ○桑田室長  行き場がないとか、家族の方も見られない、あともう一つは、当院はショートステイも 利用していただいていますけれども、ショートを利用しながら、家族の方が、もう、ちょ っと、自分たちでは無理だとなったので長期にしてくれないかとか、そういったような、 ある意味、家族のためにあるような施設という部分があると思います。 ○川越委員  それを秋山先生の発表と重ね合わせて伺いますと、地域は、それはまだ十分とは言えな いけれども、そういう、まさに生活を支援するための制度が、ある意味で整いつつある。 だけど一方では、そういうことができない、あるいは、できないと思っている、そういう 方たちが、行き場がないということで、あるところに集まってしまうというような、そう いう現状があるということなのでしょうか。私の質問は、慶友病院では、地域に帰ってい ただくような努力はされているのでしょうか、ということです。 ○桑田室長  以前、当院も新宿訪問看護ステーションというステーションを持っておりまして、そう いった形で支援もしていたというのが、事実としてあります。ただ、ステーションが多く 世の中にできるようになったということでクローズしたという現状もあるわけです。ただ、 家族の方が望んでいないのに、無理に出ていけということは、伝えていないという現状も あります。それは事実です。 ○川越委員  僕なんかから見て、やはり特殊な病院だなあという印象が非常に強いんですけれど、も し答えられなければ結構ですが、3年5カ月いらっしゃる方で、自己負担というのは例え ば1カ月に、一番安い方でどのくらいですか。あるいは逆に高い方はどのくらいでしょう か。大雑把で結構です。 ○桑田室長  高い方は私もわかりませんが、18万から22万ぐらいとです。 ○川越委員  それは患者自身の持ち出しということですね。 ○桑田室長  はい。 ○川越委員  ありがとうございました。 ○堀田委員  2点ほど質問があります。桑田さんの提言されたComfort Careというのは素晴らしい 発想で、これが特殊な病院の特殊な考えであっては大変困ると思います。こうした考え方 を普及するためには、いろんなネックもあるでしょうし、いろんなことがあるでしょうけ れど、Comfort Careということで、いい生活をすることが大切だという、そういう哲学 を持っておられるお医者さんというのは、余り多くはないように思うんです。そういった 考え方を、お医者さんの間に浸透させるためには、どういう手段が必要か、どういうこと をすればいいのか。ちょっと難しい質問かもしれませんが、その点、桑田さんに教えてほ しいと思います。  それからもう1点は、桑田さんでも秋山さんでも結構ですけれど、この生活重視、特に 在宅に帰すというときに、そういう考え方で帰そうとすると、これは書いておられますけ れど、異なる職種、ボランティア、近所の方々、御本人、家族への、情報の伝達、打ち合 わせが非常に大切になると思います。これはあとで片山先生から出るかと思いますけれど、 その点については、どういう仕組みをお考えなのか、教えてほしいと思います。 ○桑田室長 特殊な病院と言われてしまうと本当に困ってしまうんですけれど……。理事長は医者です が、後期高齢者にとって必要なのは、やはり生活環境である、と。そして介護と生活、そ のことに関しては、医者は認識が低い。そういう点で言えば、当院はやはり病棟師長が患 者の代弁者であり家族の代弁者であり、まず看護師がトップなんだというふうに言い切っ てくれていますので、その点に関しては、私は大変ありがたく思っていて、それがたまた ま病院という仕組みだった、と。後期高齢者にとっては、そういう医療の在り方も大事だ というようなことを、私は、一つは社会に提言しているのではないのかなあと思いて、自 分が老人看護専門看護師として活動をしているわけです。 そういう点では、組織として言い切ってくれていますので、私たちは、後期高齢者の方の ために、「これは先生、点滴をしすぎですよ」とか「もう起こしてもいいんじゃないです か」とか、そういったことを言える仕組みになっているというところがあります。そこの ところは、なかなか家族は、医師の前では「はい、はい」と言い、あとで「ちょっとこれ、 どうなのかしらねえ」ということがあったり、言えないということがあります。そこのと ころは、病院の中で患者に苦痛を増強させることについては医師は言ってもいいという形 になっている仕組みといえます。  ですから、もしかしたら、社会の中でもそういった形で、医師の方たちにも認識を変え ていただかなければいけないのかもしれません。ただ、そういった認識を持って来てくれ ている医師が、ふえていることも事実だと思います。本当にコミュニケーションがとりや すくなってきている医師もいます。ですから、そういった形で伝えていけたらいいかなあ と思っております。 ○秋山所長  私の資料の中に、大田仁史先生の、終末期ケアの身体的な面での、というようなことが ありますが、先生も、「終末期リハビリテーション」という本を書かれています。それは 先ほどの桑田さんのお話にも通じるところがあって、ここにお並びの野中先生も常に「生 活」というようなことをおっしゃってくださっていますので、ふえつつはあるけれども、 それが特に後期高齢者には大事だというあたりを、それこそ医師の皆さんに対して、医師 の皆さんがおっしゃっていただくというのが、より効果的ではないかなあというのがあり ます。それが一つです。  それから情報の共有とか情報の公開ということで、個人情報保護等々もありまして、な かなか??もちろん御本人や家族の同意のもとで、特に退院前のカンファレンスには必ず 参加していただきながら、そこで共有して、できればそれが、うまくいけば地域連携クリ ニカルパスというような形で、情報が行ったり来たりする。それがきちんと、同意のもと にできればいいのではないか、と。ただしそこで、妙にそれが悪用されたりしないように というあたりの注意は必要だと思いますので、それこそ、ちょっと使いました、こういう 退院前の連携図の中で、病院の中でまずは退院に当たってのカンファレンスとか、そうい うケアチーム会議、担当者会議のときには、情報をどのように共有するか、そこで知り得 たことは、プライバシーの保護も含めて、おたがいにちゃんと倫理をもって対応していく ということが大事ではないかというふうに思います。 ○堀田委員  ありがとうございました。 ○糠谷部会長  それでは、まだ御議論がおありかと思いますが、とりあえず一たん区切らせていただい て、片山先生の御説明を伺いまして、その後にまとめて、片山先生、それから桑田先生、 秋山先生も含めて、御質問、御意見をいただければと思います。 ○片山会長  尾道市医師会の片山でございます。さっき、部会長から15分と言われましたが、医療 課からいろいろ御注文をいただきまして、少し長くなっても仕方ないということを言って いただいております。ここに書いてあるような話に、じゃあ、医師会はどうすればいいの かということと、終末期の話も入れるようにということでございます。資料についている ところは、もう、簡単にさせていただいて、あとで見ていただけたらと思います。  まず私の住んでおります尾道市というのは、27.55%の高齢化率でありまして、そこに は、右に出ております高齢者医療の現実ということで、今年の6月30日の片山医院の外 来患者さんの平均年齢は73.66歳です。それから在宅で見ている人がで約25人から30人 です。最近は、30人ということは滅多にありませんけれど、25?26人を診ていて、こち らの平均年齢が83.2歳です。  それから、医師会でやったことというのは、これも資料に出ていますが、これは一応、 高齢化率が19.5%になってきた時点で、1994年ですが、高齢者医療ケアシステム整備基 本コンセプトというものをつくりました。この中では、最も重要なレベルは主治医機能と 設定して、主治医機能を最大限に発揮できる環境整備が医師会の事業であるとしています。 言ってみれば、これは、いわゆる高齢化が進む医療圏に対しての医師会のミッションと思 ってやりました。各地域の医師会は、各地域の医療圏を持っていますから、そこについて、 ある課題に対して対応する、地域医療の対応力が必要である。そこで、いろんな知識を注 入するなりシステマティックなシステムを導入するなりということは、地域医師会の必要 な作業と思っています。  資料にありますので細かくは申し上げませんが、とにかく地域一体型の研修で、官僚の 皆さんにも随分来ていただいていますが、正確な制度理解が必要ですし、地域一体型研修 で、全部、医師会がやりますので、無料でどの職種の方もおいでになれるということでや っています。それからやはり、高齢者医療介護に対応するため、特に個人の尊厳の重視と いうことになりますと、医療だけではなく、法律的な問題についても成年後見制度など、 いろいろありますので、多様な周辺知識が必要です。  結局、目指したものというのは、この2本を同時に進めていくことを目指しましたが、 1997年ごろから介護保険というものが出てきて、このケアマネジメントという、標準化 されたツールを導入したわけです。ですから、車で言えばシャーシをつくったところにエ ンジンと電気系統を載せたのがケアマネジメントであるということであります。結局、基 本的な考え方としては、医療というものはシステムとして提供されなければ患者さんの利 益はない。それから協力・連携型医療圏をつくるということを目標にしました。それから 長期継続ケアにおいてニーズの変遷に対応する。そういうことで、ケアマネジメントを導 入した地域ケアをやっていった結果、ケアカンファレンスで会ったり一緒に仕事をする中 で、社協と合体したのが2002年です。それから民生委員が独居の人のカンファレンスに 出てきてくれるということから協働して、2004年に社医民連協ができました。今年度は 保健推進員が入りまして、認知症対策をテーマにまた保健分析広がっています。要するに 地域の課題を地域で解決するシステムをつくらなくてはいけないということで、一応、医 師会主導と言われましたけれども、結果としてでき上がったものは、安心を支える尾道方 式という形で考えています。ここに用いた理論の根本的なものはComprehensive Geriatric Assessmentということで、これも資料をつけていますが、イギリスのマジョ リー・ウォーレン医師の老年医学のすぐれた概念であります。  絵で描くと、こういうものはどこにでもある地域資源ですが、尾道の新・地域ケアの特 徴は、急性期病院とはいえ回復期を迎えたら新・地域ケアの中に入る。介護保険のサービ スはこのようにありますけれど、回復期は病床資源をフレキシブルに活用するということ です。地域福祉も、いろいろボランティアもありまして、これはどこにでもある資源とい うことです。これはケアマネジメントを導入して長期継続ケアをやりますけれども、ここ では、いろんなものが必要になります。この、ケアマネジメントが地域一帯のルールとし て使えて、長期継続ケアを地域ぐるみで行うということは、認知症ケアにも当然必要です し、末期もそうです。それから在宅療養支援診療所は、ここで地域の拠点の役割を果たし ていくべきだろうと思います。  これは尾道方式の医療モデルと言われているものですけれど、これは結局、長期継続的 にケアカンファレンスを継続しながら時系列的なエビデンスとして1枚1枚のページをめ くっていくということです。在宅の要介護者の方が、腸閉塞や転倒骨折、肺炎などで入院 をされます。ここで、例えば脳梗塞などの場合、麻痺が残っても帰ろうということで帰れ れば、ここで帰っていただきます。カンファレンスには、きちっと在宅のチームが出る。 さらに平均在院日数短縮のこともありますので、回復期でさらなる強化治療、リハビリな ど、いろんなことを行って、帰れればここで帰っていただく。  尾道の老健施設はすべて在宅復帰プログラムというものを持っていますから、そこで、 その人の生活機能にあった生活リハビリを行い、生活を可能にする機能を、そこでリハビ リをして帰っていただく。これは、ただ家に帰るのではなく、新・地域ケアの自立支援シ ステムという「システムに帰ってもらう」という概念でありまして、これによって医療と 介護はケアマネジメントで、急性期ともつながるということです。ここでも退院前カンフ ァレンス、退所前のカンファレンスをやって、すべてここで、いわゆるCGAに基づいた 生活機能評価、もともと施設の方はMOS−RAPSを使っていますけれど、メディカル 部分を含めたアセスメントをしていますから、ここで継続的として個々別に、在宅のカン ファレンスと、全部こうやってつながるんですね。そうやりますと、それぞれの場面で Geriatric Evaluation and Management、心身の機能評価と課題分析をすべてをここで行 って、それをケアプランと一緒に動かすということであります。  結局は、このチャートは何回でも、今御説明したように右回りに動きますが、左の在宅 に戻るという、「在宅復帰型のチャート」につくってあります。脳出血を繰り返して、遷 延性意識障害になった方が、胃瘻をつけて気管切開をしてカテーテルを入れている。これ は仕方ない状態で、これをしなければ生命が維持できない状態で、でも家に帰りたいから 帰るというのが、この事例です。これは脳外科病棟のナースステーションですけれど、キ ャップをかぶった主治医が来ていますが、これは手術中でも15分で集約するので上がっ てきて、この後、手術場に戻っています。  これは在宅の耳鼻科医が、気管切開部を担当するということで一緒に参加しているとい うことです。  これは、意識がなくなって戻らない人ですが、この奥さんは、最後は家で看取りたいの で頑張りますということで、主治医である私が頼まれたということです。ですから、これ は、末期の看取りを目的としたカンファレンスということになります。  急性期病院を退院するときといいますか、御本人は意識はありませんけれど、在宅に移 行するときの課題は、ざっと見て、このぐらいのことがあります。エンド・オブ・ライ フ・ケア対応で、私がつくったチームはこういうチームです。これも資料につけています。  これは家に帰った初日に、奥さんが喀痰吸引をやっています。大変上手な喀痰吸引です。 耳鼻科医と私が訪問して、これは泌尿科医のドクターです。前立腺がんのある方なので、 泌尿科のドクターがその管理をしています。  それから退院後、カンファレンスをやって44日目ですけれど、大体1カ月か1カ月半 でモニタリング・ケアカンファレンスをします。これは退院時のカンファレンスの中で見 込んだプラン、及びいろんなアセスメントの内容と、それから当然治療もありますけれど、 その中でやはり微調整をする必要があるようなことについて、モニタリング・カンファレ ンスをします。これは主治医の医療機関で行いますから、これは片山医院でやっています。  大体、このような風景です。大幅な手直しというのは余りありません。ただ、身体の向 きによって、いわゆる酸素飽和度、SPO2が下がることがあるということで、介護する場 合にSPO2をモニターしながら、パルスオキシメータをつけながらやってくれということ で、このようにやっています。気管から出血があったときは、耳鼻科医がこのようにチェ ックをします。一度、腸閉塞ではないかということで、チェック入院をしてもらいました。 事なきを得ましたけれども、これは退院時のカンファレンスを行っている様子です。今度 は脳外科主治医ではなく、内科系の主治医が病院主治医としてやっています。結局、こう やりますと、急性期病院を含んだ同じチームで継続的に支えているということであります。 在宅の方から泌尿器科、歯科医もカンファレンスに来ているということです。  これは感染症シーズンを迎えて気管切開をして、意識のない方なので、この感染症シー ズンを乗り切らなくてはいけないということでカンファレンスをしています。こういう内 容です。これは訪問看護のケア場面です。訪問看護の業務が一番多いことは多いですけれ ど、24時間支えています。これは歯科のドクターの口腔ケアです。尾道の場合は在宅で 遷延性意識障害とか重度の方、それから胃瘻や経腸栄養の方については口腔ケアは必須で やっています。これは、あらゆる皮膚疾患に対応する皮膚科のドクターの往診です。これ は開業医です。病院だと、オーダーしても夕方まで来ないことも、僕の勤務医時代にはあ りましたけれど、この人は頼めば1時間で来てくれます。スピード・アンド・プロフェッ ショナリズムということで、時機を逸してはいけないということがあります。こういう風 景であります。  こうやりますと、医師のチームが参加した医院のCC内資からは、介護保険を行ってい るような風景には見えないはずです。結局これは、これだけの、要するに在宅を継続する のに必要な医療資源が過不足なくかかわっているということです。耳鼻科は週に1回しか 行きません。泌尿器科は2週間に1回しか来ない。私も必要のないときは週に1回しか行 きません。カンファレンスはこうやって、その方の状態によっては、介護が20%で医療 が80%ということもありますし、事例によっては50%対50%もありますし、40%対60% もあります。  絵で見ますと、利用者、介護者、つまり御本人と御家族を主治医が支えて、チームがこ うやって支え、耳鼻科、泌尿科、歯科、皮膚科と、こういう必要な資源が支えている。そ して訪問看護ステーション、24時間の訪問介護がある。急性期病院との連携、バックア ップはいつもあるということです。それから在宅の方は多職種協働チームがモニタリン グ・ケアカンファレンスをしながら、長期継続ケアを行っています。  結局は、チームに急性期を含んでいることが必要性です。この方は3カ月しかもたない だろうと言われましたけれど、1年10カ月で看取りました。長期継続ケアのチームがエ ンド・オブ・ライフ・ケアの終末看取りチームとなりました。主治医である私の最後の業 務がこれです。グリーフケアです。ですから、病院から引きとって、すぐ亡くなるという こともあれば、このように少し長いということもあります。  この方は1年8カ月ですけれど、進行性核上性麻痺という非常に重度の神経難病の方で すが、奥さんが1人で介護されました。これは早朝に出血をしたとき、耳鼻科と一緒に往 診をしてチェックしているところです。  これは、その方が次に入院して退院のときに、人工呼吸器をつけて帰られるので、訪問 看護ステーションを24時間対応で2チームつけているところです。利用者の状態変化に 応じて支援チームを可変的に拡大していきます。もちろん縮小ということもあります。  結局、これだけの課題もありますが、2038年には総死亡者数年間170万人というのが 厚労省の、皆さんの頭の痛い課題ということであります。結局、こういう数値です。  主治医機能の話もするように言われていますので、ここも触れておきます。結局、緊急 時に入院可能な病院、有床診療所ということがあります。増悪時にバックアップをして、 これは在宅主治医と連携をしますが、在宅の方は在宅で、先ほどのようないろんな科のド クターがチームを組んでいれば、緊急時にいろんなことへの対応が可能です。開業医で十 分に在宅の方はカバーができて、そのバックアップとして急性期病院があればいいという ことです。だから退院のときには、これは当然、退院して在宅に戻れば、長期継続的なケ ア、それから多職種協働という包括的なケアが必要です。ここで当然、個人の尊厳を重視 した在宅生活の最後が看取りである場合もあります。長期継続のケアマネジメントでケア カンファレンスをベースにやっていくということです。  退院前のケアカンファレンスをきちっとやっていくと、結局、ここまでのチームに拡大 します。急性期病院を含んだ地域医療連携であり、非常に重層的な、可変的なチームがで きていくということです。一つのそういうシステムを動かすことで、この部分が重要であ る、と。ですから在宅療養支援診療所の要件としては、ケアカンファレンスをきちっとや ること、それから地域包括ケアの視点を持つこと、多職種協働の重要性、当然、いろんな 科のドクターが全部これに入るわけです。チーム医療をベースに、あらゆる支援をしてい くということが必要であろう、と。いずれにしても急性期病院群と在宅主治医群との連携 ということです。  看取りの事例を出すようにということでしたので出しますが、この方は、相当重度な方 でありまして、朝10時45分に病院の主治医から私のところに電話があって「きょう家に 帰りたい。絶対、病院で死なないぞ」ということを言われた方です。10時45分に言われ て、1時からカンファレンスをやっているところです。こういうメンバーで、御本人との 確認をしているところです。病院の主治医とチームを組みまして、結局は相当な重度な方 で、がんセンターまで来られた方です。結局は22日間で御希望どおり点滴も何もせず、 痛みも全くなく、在宅できれいに、家族に囲まれて亡くなりました。この方は、絶対に家 で死なせたい、絶対に病院ではだめだと本人も言われまして、家族会議で、救急搬送して いる途中に止まってもいいということで、私がお受けした方ですが、これは病院でカンフ ァレンスをやっております。腹膜透析をしていまして、血圧が上がらなくて、要するに血 液透析ができなくなった方です。IVHが入っていまして、プレドパという薬を使って血 圧を上げているということです。非常に重度な方です。  こういう場合はエンド・オブ・ライフというより、残っている時間が短い。レスト・オ ブ・ライフということで、後期高齢者の人の特徴というのは、残っている時間が少ないと いうことです。結局こういうチームを組んでおりますけれど、これは在宅に、このままの 重度の方を連れて帰って、救急車で動かすので輸液ポンプがアラームで止まってそれを動 かしながら蘇生をして、やっている。これは角膜潰瘍で眼科の往診を頼んでいるところで す。口腔ケアをやったら、病院では食べられなかったけれども、ちゃんと食べられるよう になりました。こうやって、2台の輸液ポンプを使いながら、在宅で末期を看取ったとい うことです。この方は結局、12日間で、家族に囲まれてきれいに亡くなりました。  尾道の場合は、私が上からこうやって陣頭指揮をしているのかと言う人もいますけれど、 そうではありません。主治医機能が横にフラットに並んで、そこにケアマネジャーがくっ ついている。急性期病院との連携チームをやって、チーム医療をずっとつなげていくこと で、いろんな編成ができて、福祉とも合体が可能になりました。  結局こういうことで、フラットな基本設計で、いわゆるいろんなチームが可変的に加わ り、いろんな地域資源が参加できます。ですから、尾道市医師会のミッションなのです。 1994年の基本コンセプトから、尾道方式2006というのは、こういう形であります。これ は福祉系の職種があり、こうやって民生委員が入っています。神経難病の方です。カンフ ァレンスは在宅でもう定位置を占めているわけです。この方が入院をした場合のときのカ ンファレンスですけれど、結局こういう、老健でワンクッションして帰ろうということで す。このカンファレンスでは、相当いろんなチームが入っていますが、ここに民生委員が ちゃんと来ているということです。この方は独居ですから。独居の場合は民生委員が入る ということです。  これは資料におつけしていますけれど、このようにプログラム化されたものであれば、 退院前ケアカンファレンスというのは、この方について、もう何回目にもなりますけれど、 主治医チャンネル、看護チャンネル、リハビリチャンネル、介護チャンネル、地域チャン ネルと、同時にこの5つのチャンネルの情報がここで15分間で整理できるということで す。これはプログラム化されていることであって、こういう、長期継続的に効果がなけれ ば余り意味がないということになります。だからこの患者さんにとっては、医療と介護は 一体的に提供されているという実感は絶対にあると思います。ここからここは医療、ここ からここは介護、ということはないはずです。  これは老健施設に移ってしばらくして、今度は老健施設から帰りましょうというときの 退所前のカンファレンスです。独居ですから、やはり民生委員さんが横にいます。  この方の支援は、絵でいくと、このような形でやっているということです。新・地域ケ アの自立支援システムで、この方を支えているということです。こういう形が後期高齢者 のサポートには必須だろう、と。この方が転倒し骨折をして、手術をした後、退院すると きのカンファレンスにも、これは別の、今度は整形外科が主治医ですけれど、このように 民生委員が来ています。今度は主治医が整形外科に変わっているということです。  ですから、これが尾道市立市民病院、公立みつぎ総合病院、JA尾道総合病院、老健施 設と、全部同じ形式でやっているということです。これが回復期の個人病院、ここは有床 診療所、老健施設と、全部同じ手法でやっています。結局、全部、カンファレンスを入れ ることにより、Evaluation and Managementで、各段階で機能評価が入っていますから、 Progressive geriatric careであり、Evidence based Careといえると思います。  結局このサイクルは、在宅療養のバックアップを念頭につくってあります。ですから、 このチャートが何回も回っていくうちに、だんだんその方は年齢もおとりになるし身体も 弱っていく。病気が重なるということです。だから最後の段階は、ナチュラルなフェード アウトで末期を看取るというのが、尾道でやっているやり方に一番多いものです。最終段 階がエンド・オブ・ライフ・ケアということになります。  結局は、長期継続的にナチュラルなフェードアウトで、1年の人もあれば10日とか20 日の人もありますけれど、とにかく、こういうふうに地域が動いて、在宅療養支援診療所 がこういうところで、きちっと、その役をやらなければいけないということです。  最後に本間先生のバックアップということではありませんが、この数値をごらんくださ い。まだ日本はそうでもないということがあるかもしれませんが、尾道の数値からいくと (IIランク以上の)認知症の人は8%前後になっているという実感があります。それと、 このグラフが怖いグラフだと思います。要するにこれは、黒い部分が認知症、ブルーのと ころが高血圧です。うちの患者さんの平均年齢と認知症の私が治療している患者さんの三 十数名の平均年齢は83.7歳。こうやりますと、いずれ認知症の方が外来にあふれる日が 来る。後期高齢者の最も特徴的な問題というのは、この認知症の問題と考えます。高齢者 総合評価については、資料につけてありますので、時間の都合上、これ以上申し上げませ ん。 結局は、要するに全体的な生活機能評価を、GEMs(Geriatric Evaluation and Management programs)をきちんとやった上で何が必要なのか。この人には医療なのか介 護なのか看護なのかソーシャルワークなのか、そういう問題をきちっと整理していく。こ れはイギリスのマージョリー・ウォーレンの概念ですけれど、特に後期高齢者に必要な過 不足なき医療・介護の包括給付というものが必要になるだろうと思っています。  御清聴ありがとうございました。厚労省の方も、ミッションにつきまして、よろしくお 願いいたします。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは、これまでの御説明に関して、御質問、御意見をお 願いいたします。 ○辻本委員  ただいまの、尾道の写真を見せていただきながら思ったことであり、また、お二人のナ ースのお話を伺いながらも感じたことですけれど、真の意味で患者さん御本人が主役にな るために何が必要か。写真を拝見して、介護者の人が、何やら医療者の人に取り囲まれて しまっているような、そんな状況にも見えてしまって、私は胸が痛いような気持ちで拝見 しました。いわゆる「患者中心」「患者が医療の主人公」を尾道では、すでに確率を実現 していらっしゃるとするならば、そこにどんな努力があったのか。これからの後期高齢者 が、真に主役になっていくために、今、何が足りなくて、何が必要なのか。恐らくこの世 代の患者さんたちは、受け身であったでしょうし、パターナリズム医療の中で、それをよ しとしてこられた世代の方たちがほとんどだと思うんです。今まで医療現場では、言って みれば主軸がドクターであった。加えて訪問というようなことになったときに、良くも悪 くもナースの方が生き生きと、はつらつと、パワーアップなさったら、またそのパワーに 押されてしまうと、この状況の中で、本当に患者さんたちが、今から何を学んでおくべき か。それぞれの方にお答えをいただきたいと思います。 ○片山会長 今見ていただいたのは、医療者としては、あの1回1回(ケアカンファレンス)の経過と いうのが、あれがもう10回目を超えている人も随分あるんですね。2000年より前からや っています。だから結局、医療と介護が複合的に提供される状態になりますと、その方に よって全部状態が違うことがあります。ですから介護者と御本人に、ある意味でチームの サポートを確認していただくことで、そこでやはり、ちゃんとした御意向はこちらも伺っ て、「こうやりますから、いいですね」というのではありません。特に在宅医療というの は、結局、主客が反対で、在宅に我々が上がり込んで、どうですかという感じで治療をし ます。だから患者さんの意向がちゃんと反映されて、嫌なことはしません。また、いいか どうか、効果があったかどうかも、ちゃんとそれは判定をしながら、患者さんの意向を、 「今後どうしますか?」ということとか、それから、やはり「こういうことをやってもい いでしょうか?」というふうなことというのは、常に説明をした上で、こちらが「こうし ますから」というふうなことではありません。  囲まれている風景とおっしゃいましたが、あれはサポートしている風景と見ていただき たいと思います。だから当然、決して圧力をかけることはありません。必要なことしかし ません。結局、CGAというのは、そういうふうに、課題分析をして、きちっと必要なも のを整理しますから。そこに医療もあれば介護もある、看護もあればボランティアもある、 ということです。ですからあれは、我々は、いわば手間をかけた医療をしていると思って はおります。患者さん本位の医療です。患者さんが望まないことは当然しませんので。あ れで患者さんの意向を無視して何かが進んでいくということがないように、ああいうシス テムをつくったというふうに考えています。 ○辻本委員  尾道の、そういう理想的なチームをつくっていく、そこに患者さん、利用者さんが中心 になっていく、そういう御経験をこれまでずっと重ねてこられた中で、患者さんはこうあ ってほしいというような、そういうお気持ちがもしあれば、それをお聞かせください。 ○片山会長  もう少しいろいろお見せできればよかったのかもしれませんけれど、とにかくすごく介 護者の方がよく頑張っておられますね。だから去年の在宅医療推進シンポジウムで、家族 機能をサポートすることができる在宅医療でなくてはいけない、と。やはりそういうこと で認知症のケアも一緒ですけれど、つれあいの方が悪い状態を、家族の方と、あるいは奥 様お一人で、きちっとケアをしていく。だからやはり家族機能を重視した、そういうお考 えを持っていただきたい。とにかく、サポートは十分やりますから、何とか家で最後まで 見ましょう、と。やっぱり途中から病院へ行きますという話ではなくて、家族の一つの大 仕事というか、家族としての一つのけじめとして、家で亡くなるということに対して、で きるだけのサポートは我々がしますからということで、今、かなりそこをやっていただい ていますけれど、やはり国民的議論として、主治医にそういうことを求め、リクエストし て、家で看取りたいんですということを言って、それからケアマネジャーも訪問看護の人 も、みんな協力してくださいということを、家族の方がそれを選択した上で、そういう要 望をされることがいいのではないかと思います。 ○秋山所長 辻本委員から、訪問看護もパワフルにとおっしゃっていただいたのですけれど、まだまだ、 そこまでパワフルにはなっていなくて、在宅というのは、やはり、今、片山先生もおっし ゃったように、そちらのお宅に訪ねていくという意味では、やはり病院の中のケアとは違 う部分がとてもあるわけです。ですから、場合によっては、病院への退院調整で在宅が出 るときは、患者さんや御家族が、医療者側から説明を受ける内容がよくわからないで、そ のままうなずいていらっしゃる場面を、横から通訳のように助けるというと、ちょっとお こがましいですけれど、今こういうことを言われていますけれど、大丈夫でしょうかとい うような形で、在宅側が、帰ったときに本当に素直に本音の部分で聞ける、そういう立場 にもありますので、そういうことをするという部分が、まだまだたくさんあります。  特に後期高齢者の場合の御家族は、同じぐらいの高齢者であったり、逆に、そこそこ、 70歳ぐらいというか前期高齢者だったりしますので、とても医療者には物申せないとい うような状況が、まだまだたくさんありますので、そこを、言っても大丈夫ですよ、聞い てくださいね、どういうことが御心配ですか、というようなことを、まだ、通訳をしなけ ればいけない状況がたくさんあります。そういうことを言ってもいいんですということを、 やはり、患者学と言ってはおかしいですけれど、伝えていっていただかないといけないか なあというのと、私たちも、医師からの指示は受けて、医師との協働は、看護としては非 常に必要ですけれども、ただ同じ形になるのではなくて、看護としての機能をやはり発揮 していかないといけないなあというふうに思っています。 ○桑田室長  今、本当に、辻本委員のお話を聞いて、そのとおりだなあというふうに思いました。専 門看護師の役割の中に、倫理調整という役割があります。それは患者本人も我慢しない、 家族も我慢しない、医療スタッフも我慢しない。この中で、みんながそれぞれ納得いく方 針を考えていくということですけれど、私は、意思が伝えられるのならば、やはりその意 思を確認するということは大事だと思います。  しかし、例えば当院に入っている認知症の8割の方たちが、どこに意思があるのか、そ れが本当に難しいんですね。私は、意思を伝えられる人の意思を確認し、それを、できる 限り私たちがサポートしていくというのは当たり前のことではないか、と。だけど、それ がわからない人たちを、どう考えていくのかということに、やはり、すごく悩んでいます し、声なき声を、どう聞いたらいいのか。そのときに、人間らしさということを基本にす るComfort Care、安楽ケアということが大事なのではないかと考えているわけです。だ れしも人間らしくいたいということは基本であろうというところからの発想です。  また、老人看護専門看護師として、これからの社会への提言ということを出しているん ですけれど、やはり自分が老いたときにどうありたいのかということを、今から考えてお く。そして、そのことを言葉として発しておく。そういった社会づくりということも、私 は大事なのではないかと思っています。 ○高久委員  片山先生にお尋ねします。ケアカンファレンスは非常に重要だと思うのですが、これは、 どれぐらいの頻度でやっておられるのか。それから、そういうケアカンファレンスはケー ス・バイ・ケースで違うと思うのですが、普通は先生が中心になってカンファレンスを開 いておられるのかどうか。この2点についてお願いします。 ○片山会長  6ページの下の写真をごらんください。先ほどの辻本さんのお話にもちょっと関係する んですけれど、ケアカンファレンスというのは、要するに専門用語を戦わせる場ではあり ません。御家族と利用者のために開く。だから、わからない言葉は一切使いません。特に その方の身体の機能であるとか、生活の機能の中の課題とか、そういう話をずっとしてい るわけですから、そういうことで専門用語を用いるスタッフはだれもいません。  だから、ケアカンファレンスを重ねていくということは、共通言語というものがあって やっている。昔は医療と介護だって共通言語はなかったんですね。あるいは、医療と看護 はあっても介護とはなかった。ところが、そういうものが今度は地域の福祉資源の方とも 同じチャンネルで話ができます。ということは、家族の方には、難解な言葉は1回も耳に 聞こえてこない。そういうふうなカンファレンスにしなければ全く意味をなさないという ことであります。  高久先生の御質問ですが、これはおおむね段取りの調整で、かかわる人間は病院の主治 医、在宅の主治医もありますが、その要請を受けてケアマネジャーが全部地域連携室とと もに動きます。だから全部ケアマネがやります。我々はケアマネをサポートするというこ とです。 ○遠藤委員  片山先生にお伺いします。尾道のケースは大変有名なケースでありまして、これだけの 包括的な連携のシステムをつくられて、しかも、それを維持されているということで、大 変敬意を表したいと思うのですが、これを運営しておられて、このようなシステム??も ちろん詳細は同じでなくても構わないのですけれど、このような包括的な連携のシステム というのが他の地域で行えるのかどうか。とりわけ大都市において、どの程度可能なのか。 あるいは可能でないとすれば、何が一番のネックになるのか。これは実際にこういうシス テムをつくられた片山先生のお考えを、ぜひ伺いたいと思います。 ○片山会長  やはり、スライドにも出しましたけれど、我々は医師の団体である医師会ですし、それ と主治医をやっている、地域医療を担っている側として、わかりやすく言えば、先ほど言 いましたミッションというのがあります。だから貢献度のない医療というのは、余り意味 がないのではないか、と。唯我独尊の医療などというものが患者さんに受け入れられるは ずはありません。だから医療圏としてバランスのとれた医療できちっと、その医療圏のニ ーズを解決・解消できる医療配備、システムを考えるのが医師会の仕事です。  それに当たっては、高齢化という問題についてミッションを起こしたわけですから、そ れは自治体とも地域福祉の団体とも、当然、看護界とも、みんなミッションは共有してい ます。急性期病院とも共有しています。だから、そう難しい理論を展開して皆を引き込ん だわけではなく、これは自然発生的に、いわゆる連携協力型医療圏にしよう、と。患者さ んのために連携をちゃんとしなくてはいけないし、普通の連携ではだめだから、一生懸命 やりましょうということで、うまくいっていることです。  だからやはり、それはどこにでもある資源です。あの絵の中に描きましたけれど、民生 委員さんもいますし、社会福祉協議会もありますし地域医師会もあります。だからその地 域が、堀田先生がされている地域づくりのように動くかどうかですね。ミッションを共有 するかどうかです。だから、そういうことに考えが至らなければ、いくら資源がそろって いても、それは動かないと思います。やはりミッションを共有すること、一つ言ってみれ ば、これが単純な表現かと思います。 ○遠藤委員  ミッションが共有できるようなファクターとは何ですか。 ○片山会長  とにかく尾道の高齢化率が高いということと、それからやはりケアカンファレンスとい う手法で、その方の支援に必要なスタッフが可変的にいろいろ集まるわけです。そうする と、その場に集まっているスタッフの種類は福祉系もあればボランティアの人もいますし、 リハビリの人もいれば看護も介護も医師もいるわけです。そういう目に見える連携という もので、人間と人間がつながっていくことで地域ができていく。だから、そういう一堂に 会する作業をしなければ、いつまでたっても、人間と人間がつながらない地域のままです。 だから地域も、ああやって絵に描いて、一つ一つに人がいっぱいいても、一つのルールで きちっと支援という形で動かなかったら、単なるエリアであって、コミュニティーにはな りません。だから、そこのところは、やはり人の問題だろうと思います。 ○遠藤委員  ありがとうございました。 ○野中委員  先ほど川越委員が青梅慶友病院について質問されました。私は病院長の大塚先生のこと は存じ上げていますので、一つ解説させていただきます。昔は青梅慶友病院その後の大塚 先生は、医療という中で、高齢者について行動されておられました。ケアで患者の人生を 支えることができることに気づかれた。そして青梅慶友病院は、医療も当然提供されます が、ケアを中心に提供する方向を打ち出されました。ただ、やはり病院の歴史が長いもの ですから、患者が病院に長くおられるという形ができてしまって、社会が、在宅復帰とい う機能を、求めていますが、その当時はまだ求められなくて、むしろ、戻れない方々をど うカバーするかという姿勢で、病院を運営された為、結果として、きょう、こういう発表 になっていると思います。そして、桑田さんも含めて、ケアによって、その人の人生が裕 福になるということに気づかれているから、きょうの発表につながったと思いますし、私 も共感を持っています。  また秋山さんも同様に、やはり生活ということを非常に言われた。片山先生も私も、大 体同時期に大学病院で教育を受けましたけれど、大学病院の教育では、生活を支える医療 は、教わりませんし体験しません。むしろ主体は治す医療です。しかし医者において治す 医療だけではなく患者さんが治ってからどの様に住み慣れた家で暮らすかの視点が大切と 気づくことが大事と思います。私も、大学病院に勤務している時は、治すということが主 体で、例えば患者さんが脱水になったら点滴をすればいいと考えており、お食事を食べて いただくは努力に対する支援は理解していませんでした。  自分は腎臓専門だったものですから、病院で、患者さんが食べられなくなったときに、 何とかケアで改善できないものかと思いませんが、残念ながら現場の看護師さんには、食 べる事に対する支援が、理解されていませんでした。しかし、大学をやめて地域で活動す るうちに「治す」だけではなくて「支える」ことの大事さを教えられました。多分、片山 先生も、同様に病院では気づかれなかったと思います。そして地域に戻られてから患者さ んの生活を支える、その生活を支えるのが実は主治医機能であると気づかれたと思います。 そして御自分の患者さんが具合が悪くなったら、病院に入院するためのシステムをどうし たらいいか、そうして入院して、専門医を初めとする病院の先生たちに治していただいた ら、その後、家に戻られたいという患者さんの気持ちを自分が主治医としてどのように継 続するかを考え、ああいう仕組みをつくられたというふうに聞いています。  診療報酬は実は、「治す」という視点の中で評価されています。今後、「支える」という 視点で検討する必要があります。先ほど村松委員からも述べられましたように、いわゆる 衛生器具等が評価されることも大事だと思います。やはりケアの可能性を知っている医師 と知らない医師との違いであります。病院での退院支援が大切と言われていますけれど、 病院の医師が、ケアで可能性を知っているかどうか。知らなければ、退院支援なんてでき ません。  また、看護師も退院支援あるいは生活を理解しているか、残念ながら、不十分です。医 師や看護師等多職種も含めて、地域の生活というものを知るべきと思います。ケアの大事 さを知った院長が、指揮をとられて、そして入院患者さんが変わった。訪問看護ステーシ ョンでも、そういう生活を支えることの大事さがわかってきた。そういう輪を広げて、そ れを地域で実践しているのが片山先生と思います。私も病院から退院される患者さんを受 けますけれど、どうも病院の先生方は、治ったからあとはお願いしますという紹介状が多 い片山先生のように病院にお邪魔をして、そして、引き継ぐ。この事の大事さを理解すべ きです。それは仕組みなのか、まずケアで改善あるいは支えることができることを知って いるか知っていないかの違い思います。その辺をぜひ考えていただきたい。  先ほども述べられましたけれど、看護師の業務には診療の補助と療養上の世話がありま す。その療養上の世話をどう評価するか。これも大事と思っています。先日、鴨下先生も 話されましたが、小児の医療も、実はその小児の生活をどう支えるかということが医療だ けで語られている。小児の医療には、実はお父さん、お母さんたちは仕事を持ちそして子 供は学校へ行っている。この状況にほとんどの課題があります。しかしながら子供の急性 期医療をどう支えるかとにおいて、家族の生活を支えるという視点の中で医療が語られて いないのではないか、医療行為だけで語られているということが問題と考えています。こ の後期高齢者医療においての中で、どの様に反映していくかどうかまだわかりませんが、 医療の在り方として、その辺は非常に大事な視点と思います。そして最終的には、堀田先 生も、いつもまちづくりと言われていますが、最終的には医師会の仕事あるいは医師の仕 事は、地域のまちづくりまで考えていかないといけない。高久先生にお願いしたいんです けれど、ぜひ検討して下さい。医学教育で、医師のまちづくりとか、患者さんの生活を支 えているといったこと等、どこで勉強すべきかという話です。高齢者の病態を理解するだ けでは不足と自分の経験から理解しております。きょうのお三方の発表は、私はそういう 面で聞かせていただきました。感想です。よろしくお願いいたします。 ○鴨下部会長代理  野中委員、ありがとうございます。先生が医師会長になられたら、日本の子供は大変幸 せになるのではないか、と。一つだけ宣伝というか、余計なことかもしれませんが、たま たま日本医師会雑誌の11月号が、在宅医療の特集で、きのうか一昨日あたりに出たので はないかと思いますので、ぜひ御批判をいただきたい。たまたま私が編集にかかわりまし て、片山先生にも素晴らしい論文を書いていただいております。  尾道方式というのは大変有名ですが、在宅医療をいろいろやっている中で、一番問題に なるのは医療の側というか、全体的に、何かが起こったときに、医療機関がどう対応して くれるのか。私の質問は、秋山先生に対してですが、先ほどの御説明で、新宿区では緊急 一時入院の体制、システムが確立しているとおっしゃいました。私は10年ぐらい前、新 宿の病院に勤めておりまして、そのころは、そういうものはなかったし、最近まで墨田区 の病院にいましたが、ここでも、はっきりしたものはなかったと思います。それは行政主 導なのか、あるいは、やはり医師会がしっかりやっていただいているのか。それから、ほ かの区で、どの程度広がっているのか。御存じであればお聞かせください。 ○秋山所長  私の知る限りでは、10年前も多分あったと思います。それは旧衛生部、今の健康部で すが、そこの保健所運営協議会というところで、医師会の方々の協力も含めながら、その 制度をぜひつくってほしいということで要望が入って、新宿区の旧衛生部の政策の中に組 み込まれたんですね。名前を言ってしまいますと社会保険中央病院、東京厚生年金病院、 都立大久保病院??今は公社になっていますけれど??そこでは急性期医療も担いますけ れど、地域の中核病院が、ベッドをそれぞれ2、2、1と持っていたんですが、今は1、 1、1の3ベッドに減らされて、ちょっとそれは残念ですけれど、それでも、それがある と、地域の医師会の先生方、診療所を開いている先生方が、御自分で診ている患者さんが ちょっと悪くなったときに、本当にそれが利用できて、短期間で帰れる。そういう仕組み があるのは、私たち訪問看護としても非常に助かっているところです。  ただ、23区内でそれがどの程度かということは、ちょっと私も存じませんので、わか りませんけれど、やはりそういう仕組みづくりというのが、多分、10年以上はあると思 いますが、20年にはなっていない状態です。 ○鴨下部会長代理  もう1点、桑田先生に、御存じであれば教えていただきたいのですけれど、専門看護師 制度があって、大学を卒業した人たちが、例えば在宅の看護とか、あるいはターミナルの 看護とか、そういうところに生きがいを感じて行くのかどうか。医者の場合には、御存じ のように、診療科による偏在というのが大変大きな問題になっています。最近の若いドク ターは、仕事の厳しいところを避ける傾向があるんですね。その辺で、おわかりになれば 御意見をお聞かせください。 ○桑田室長  選択すると思います。なぜなら、急性期医療の中では、本当にNSの気持ちが枯渇して いる部分もあって、今、新卒がやめるといったことも問題になっているようですけれど、 当院に就職を希望するナースは何と言うかというと、本当の看護をしたいと思って来た、 と。それが外科病棟であったり超急性期と呼ばれる重症集中であったりするんですね。そ ういう点で言うと、私は、患者さんあるいは利用者さんと、じっくり向き合って、向き合 いながらケアをする、そういう場をNSは望んでいるのではないかと思っています。  専門看護師の人たちの中には、地域看護の専門看護師もおりまして、在宅ケアをやって いたり、あとは地方の保健師さんでやっている方もいらっしゃいます。本来、そういった ところに行って活躍するということが、私は、専門看護師に求められていると思いますし、 そこの中で、患者と家族の代弁者になるということも役割であると思っていますので、そ の点は、全然、心配はしておりません。 ○辻本委員  簡単で結構ですが、尾道ではということで。先ほどの写真の中には研修医というキャプ ションがありませんでしたけれど、2年次の研修医のプログラムの中に、地域医療枠とし て、現在、どのようなかかわりをしているのかを少しお聞きしたいと思います。 ○片山会長  きょうはお見せできませんでしたけれど、研修医がカンファレンスに随分来ていますし、 一応、地域医療の理解という項目がありまして、老健施設の実習とか訪問看護の実習とか、 それから、割と市民病院に多くの研修医が来ていますけれど、必ずカンファレンスは、相 当数、参加をしていて、実際、受け持ちのサポートとして出ているということで、大変勉 強になると言われています。だから一応、尾道に来る研修医には、すべて、在宅も施設も、 いわゆる包括的な空間というものも一緒に見てもらうようにしています。 ○川越委員  片山先生への質問ですけれど、非常にいい体制、システムをつくられたということで、 本当に感心しながら聞いておりました。今、こうやっていますよということは非常によく わかりましたけれど、こうなりましたということを、ちょっとお聞きしたい。具体的には、 在宅死の数が減ってきたか。尾道市の一定の区域の中で亡くなる方のうち、こういうシス テムが入る前は何%だったけれども、こういうシステムを持ってきて、その頻度が上がっ たというような数について、絶対数よりも比率で見る方が、いわゆる在宅のこういうシス テムのクオリティーを見るのには一番いいわけですけれど、その点について、もしデータ があったら教えてください。 ○片山会長  大体2000年前後にああいうものの整備ができてきて、その前後でのデータというのは、 多分、採っていないと思います。 ○川越委員  在宅死の数はどうなりましたか。 ○片山会長  数はふえています。 ○川越委員  それは、かなり急激にですか。 ○片山会長  例えば主治医機能というものを標榜するドクターが、大体67名から70名の間です。そ の人たちに、毎年、主治医機能と在宅医療のアンケートとして、医師会の医療調査をしま す。その中で、看取りをするという人が、1996年当時の倍ぐらいになっています。だか ら7割の主治医は看取りをする。67%ぐらいになるでしょうか。そういうことですから、 その1人1人が何件看取ったかというのは、今度、在宅療養支援診療所で件数が多分出る と思うんですけれど、整備前にどのぐらいで今がどうという数値的なものは、昔のデータ もありませんし、比較する材料はありません。 ○川越委員  というのは、先ほど申しましたように、在宅医療のクオリティーをどういう具合に判断 するかということで、やはり一番はっきりするのは、在宅死率なんですね。つまりシステ ム等が十分でないと、患者さんが逃げてしまいますから。例えば、独居もできる体制をと っているのと、とっていないのとでは全然違いますから。これを一つ一つ話すと長くなる んですけれど……。データ自体は、そんなに難しいデータではないと思いますので、ぜひ、 それを出していただけたら、もっともっと、説得力のあるデータになるのではないかと思 いまして、こういう質問をさせていただきました。 ○片山会長  ですから長期継続的に見た結果、ああいうふうに看取る方もあれば、さっき見ていただ いたように、22日間、12日間とか、とにかく重度でも家に帰りたいんだ、と。そういう 方をなるべく御希望どおりに家にお連れして、家でちゃんと家族に囲まれて亡くなる。だ からそういう方を、多いときは1週間に2件というのも経験したことがあります。それは 結構大変なんですけれど。ただ、ならして、数字でどうということは、今のところは集計 しておりません。 ○糠谷部会長  予定の時間になりましたので、このあたりで本日の審議は終了したいと思います。桑田 先生、秋山先生、片山先生、お忙しい中、大変ありがとうございました。  次回は11月20日、月曜日、15時からを予定しております。場所は追って事務局から 連絡いたします。本日はどうもありがとうございました。 【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係     代表 03−5253−1111(内線3288)