06/11/02 第２６回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録


第２６回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会


１　日  時　平成１８年１１月２日（木）　１０：００～１２：００

２　場  所　厚生労働省専用第１８会議室（１７階）

３　出席者　委  員
 　　（公益代表）
  　　　諏訪部会長、大橋委員、北村委員、椎谷委員、白木委員、宮本委員
 　　（労働者代表）
　　　　成瀬委員、野村委員、長谷川委員、原委員、山川委員
     （使用者代表）
　　　　奥田委員、片野坂委員、郷農委員代理、成宮委員、樋渡委員
　 　（事務局）  
　　　　髙橋職業安定局長、鳥生職業安定局次長、岡崎高齢・障害者雇用対
　　　　策部長、生田総務課長、楪葉雇用政策課長、尾形外国人雇用対策課
　　　　長、菅野地域雇用対策室長、村上地域雇用企画官、阿部若年者雇用　　　　
　　　　対策室長

４　議  題
（１）人口減少下における雇用労働政策の課題

５　議事内容

○諏訪部会長　皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、「第
26回雇用対策基本問題部会」を開催いたします。

　　　　　　　　　　　　　（出欠状況報告）　　　　　　　　　　　　　

　それでは、議事に入ります。本日の議題は、前回に引き続き人口減少下に
おける雇用対策の検討についてです。初めに事務局から資料をご説明いただ
いたあと、論点ごとに区切って議論をしていただきます。

　それでは、説明をお願いします。
○生田総務課長　お手元の資料１～５に基づいてご説明します。

　今日のご説明の内容は大きく２つありまして、１つは外国人労働者に対す
る対応、もう１つは以前から議論いただいておりますが、若者への対応につ
いてです。

　資料１です。外国人について、大きなテーマである外国人雇用状況報告の
義務化の問題です。これについては、職業安定関係法令の中でも雇用対策法
に整理するのが法制的にはいいのではないかと考えております。資料１にあ
りますように、報告する当事者としては外国人労働者を雇用する事業主、対
象外国人労働者については特別永住者を除く外国人労働者、特別永住者につ
いては在日韓国・朝鮮人ということです。３の報告時期ですが、外国人労働
者の雇い入れ時と外国人労働者の離職時に報告をいただくという考えです。

　報告内容については、(2)の下の※にあるように、あくまで雇用保険被保険
者資格取得届提出時に併せてご報告いただくのが原則だと考えております。
雇用保険被保険者資格取得届提出時に報告いただく際の報告事項は、取得届
の中に相当情報が盛り込まれているので、それに盛り込まれていない事項と
して(1)国籍、(2)在留資格・在留期限といったことのみ書いていただくことを
想定しています。ほとんどが資格取得者だと思うので、これにのると思いま
すが、被保険者資格取得届の対象にならない外国人労働者の方については、
(1)国籍、(2)在留資格・在留期限と併せて、氏名、生年月日、性別だけをご報
告いただくことを想定しております。この資格取得届、資格喪失届の提出は
現在電子申請での対応も可能ですので、その際に併せて外国人労働者につい
て電子申請の形で対応していただくことも想定しております。

　いちばん下に罰則と書いてありますが、雇用状況報告の義務化については、
義務ですので、関係の会議からのご指摘もあり、罰則を課して実効を担保す
ることが想定されます。その場合の罰則としては、雇用対策法の中の大量雇
用変動届が参考になるということで、いちばん上の※にあるように、雇用対
策法第28条に大量雇用変動の届出をせず、あるいは偽りの届出をした者につ
いては、30万円以下の罰金、という規定があり、これに倣うのが適当ではな
いかと考えております。

　２つ目の※ですが、外国人雇用状況報告の件については雇用保険被保険者
資格取得届と同時に対応していただくのが原則ですが、雇用保険被保険者資
格取得届あるいは喪失届は、届出をせず、あるいは偽りの届出をした場合は、
「６箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という相当重い罰則が課されて
おります。これよりは軽い形で対応したいということです。

　いちばん下の※ですが、外国人労働者の雇用労働条件に関する指針（局長
通達）においては、事業主は、外国人労働者を採用するに当たっては、あら
かじめ旅券、外国人登録証明書等により、その在留資格が就労が認められる
ものであることを確認するものとされている、と書いてあります。これは現
行の「外国人労働者雇用・労働条件に関する指針」のことで、資料３に現行
の「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」の概要、資料４にその全
文がついております。この指針は現在すでに存在するものですが、３局長通
達の形で作り、周知を図っているところです。３局長というのは、職業安定
局長、労働基準局長、職業能力開発局長ですが、３局長連盟通達で事業主の
方にも周知をしているところです。

　資料１に戻っていただいて、この指針の中に、事業主が外国人労働者を採
用するに当たってこういうことをしていただきたいということが書いてあり
ます。いちばん下から２行目にあるように、今後義務化される雇用状況報告
においては、在留資格の確認方法や確認することが必要な場合について指針
に規定することが適当と考えられるということで、３局長の指針を参考にし
ながら、どのような確認をしていただけばよいか、あるいはどういうケース
に確認をしていただければいいのかをきちんと書いて、明確化していくこと
が重要ではないかと考えております。

　２頁目ですが、なお書きにあるように「新たな指針に沿って確認をし、報
告をした場合は、結果的に事実と異なる報告となったり、報告すべき外国人
に係る報告ができなかった場合でも、通常は罰則が課されないこととなる」
ということで、新しい指針の中にこういう確認方法、こういうケースに確認
をするということを記載し、それに従ってやっていただいたときは免責され
ることを明確にしたらどうかということです。例として、外国人労働者が事
業主に偽造旅券を提示した場合や、名前、言語等から外国人とは考えられな
かった場合などは免責されるのではないかと考えております。以上が、外国
人の雇用状況報告の拡充の関係です。

　資料２が、外国人労働者に係る指針の内容についてです。外国人労働者に
ついては外国人雇用状況報告を取らせていただくわけですが、これは不法就
労防止の観点が相当大きいのですが、それ以外に外国人労働者の雇用管理改
善、再就職促進といったことも非常に重要です。これ自体が不法就労の防止
と密接に関連しているということもあります。現在３局長通達の形で指針が
定められておりますが、そこに定められているもののうち、雇用管理改善、
再就職促進に資するものについて、法的根拠を持つ指針を想定しております。
法律上の根拠として、こういう趣旨で指針を設けるということを書き、その
指針として大臣告示の形で以下のようなことを盛り込むことが考えられま
す。

　資料２に○がいっぱい書いてありますが、これは現在の指針を参考に項目
建てをしたもので、最終的には現在の指針を参考に議論していただくことに
なると考えております。趣旨あるいは外国人労働者の範囲、外国人労働者の
募集・採用の適正化、外国人労働者の雇用管理の改善。雇用管理の改善とい
う言葉自体は相当広義の概念ですので、その中には労働条件の確保や安全衛
生の確保、労災保険給付の確保といったものも一部入ってくるのではないか
と思いますが、そういうものが盛り込まれます。

　外国人労働者の再就職の促進、外国人労働者の雇用状況の報告。雇用状況
の報告については、ここで雇用状況報告を起こすという趣旨ではなく、法律
で雇用状況報告について記載されるので、いま現在取っている任意の雇用状
況報告は廃止し、新しく設ける雇用状況報告について、このようなケースは
取るとか、こういうケースは取らなくていいなど、そういうことを分かりや
すく書くということが記載されるとご理解いください。外国人労働者の雇用
労務責任者の選任等、技能実習生に関する事項、職業安定機関、労働基準行
政機関その他行政機関の援助と協力といったことについて記載をするのです
が、現在の指針を参考にするという基本的な考え方です。

　この指針については、現在雇用対策法案をどうするかというご議論をいた
だいているわけですが、その議論の中で最終的にこうすると確定していただ
くことは、現在のところ考えておりません。これは、大臣指針ということで
再度この基本問題部会で法律が通ったあとにご議論いただくことになると考
えております。ただ、基本的なイメージや方向性については、議論の参考に
するためにここに盛り込んでいるということです。

　次が資料３で、指針の概要ですが、資料４が現在の指針です。これについ
ては、ポイントだけ申しますが、大体体系建てとして先ほど申し上げたよう
な項目で出来上がっております。最初に指針の「趣旨」、第２に「外国人労
働者の範囲」が書いてあります。外国人労働者の範囲については、現在の指
針は永住者及び特別永住者は含まれないことになっておりますが、この点は
先ほどの雇用状況報告では特別永住者は除くという考え方をしており、永住
者の状況については把握したいという考え方です。ですから、ここには変更
が加わるという想定です。

　第３で、「外国人労働者の雇用及び労働条件に関して考慮すべき事項」と
いうことで、さまざまな事項が並んでいます。ここで考慮すべき事項として
並んでいるのは、主に外国人に関わる関係法規を遵守していただきたいこと、
言葉の問題があるので、外国人にきちんと理解できるような周知あるいは担
保をしていただきたいという趣旨ですべてが整理されております。こういっ
た内容については、議論いただいた上で整理して盛り込むことになると考え
ております。

　第４「外国人労働者の雇用状況の報告」とありますが、これはいまの報告
制度ですので一旦廃止をして、先ほど申し上げた新しい雇用状況報告をどの
ような方向で取るのかといった点を盛り込むことになるかと考えております。

　第５「外国人労働者の雇用労務責任者の選任等」ということで、現在の指
針の中でも、外国人労働者を10人以上雇用する際には、外国人労働者の雇用
管理について責任を持つ担当者をきちんと決めていただくことをお願いして
おりますが、こういったことについて盛り込むことになるのではないかと想
定しております。

　技能実習生については現在さまざまな議論が行われているので、それを踏
まえて表現ぶりに若干変更が加わる可能性がありますが、何らかの形で盛り
込むことになると考えております。

　第７「職業安定機関、労働基準行政機関その他関係行政機関の援助と協力」
ですが事業主が必要な援助と協力を得て指針に定められた事項を実施すると
いうことで、事業主のほうで何をしたらいいか難しいといったケースで、行
政機関に対して援助と協力を求めるという、事業主が主体となったものです。
以上が、外国人労働者についてのご説明です。

　資料５「若者指針等規定事項（案）」です。これについては、指針の規定
事項は１頁の下の２からスタートするわけですが、１に指針の前提として雇
用対策法の中にこのような趣旨の規定を加えるということを整理しておりま
す。この規定を設ける際に参考になるのが、１の「参考（規定ぶりの参考）」
と書いてある所の現在の雇用対策法の規定です。現在の雇用対策法の規定第
６条には、事業主が事業規模あるいは事業活動の縮小、事業の転換・廃止を
行う際に離職を余儀なくされる労働者が生ずるときには、そういった方の求
職活動の援助、その他の再就職の援助を行うといった努力義務が書いてあり
ます。

　これに加えて、最近の雇用対策法の改正で第７条と第12条が加わっており
ます。第７条が特に参考としたいもので、「事業主は、労働者がその有する
能力を有効に発揮するために必要であると認められるときは、労働者の募集
及び採用について、その年齢に関わりなく均等な機会を与えるように努めな
ければならない」と書いてあります。これを具体化するものとして、第12条
で厚生労働大臣が指針を定めるということを書いております。「第７条に定
める事項に関し、「事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これ
を公表するものとする」とあり、こういった手法が参考になるのではないか
と考えております。１の文章を読みますと、「事業主の努力義務として、若
者について、能力を正当に評価するための募集方法の改善、実践的な教育訓
練の実施その他の雇用管理の改善を図ることにより、雇用機会の確保を図る」
といった努力義務を加えたいということです。この努力義務をベースに指針
を作るということです。

　２の「指針規定事項」です。この指針も大臣告示の形で定めることになる
わけですが、現在の雇用対策法の改正の議論の中で確定していただくことは
必要ないのではないかと考えております。法律が通ったあと、当部会でさら
に議論いただき、この指針の内容を固めていただければと考えております。
現段階ではこういう方向性、イメージではないかということを議論の参考に
お示しするものです。

　(1)「対象となる若者の範囲」ですが、現行施策で若者は34歳以下というこ
とで対策を取っており、その基本的な考え方に倣って34歳以下の若者を対象
とすることにしたいということです。その上で、中学・高校卒業予定者につ
いてはさまざまな独自の就職ルールがあるので、そういったルールを優先的
に適用しますが、その適用がない部分については今回の指針の対象になると
いうことです。

　２頁、(2)「基本的視点」です。若者の採用については、１行目にあるよう
に新卒一括採用が定着しており、また機能しているというのが私どもの認識
です。学卒者の安定的な雇用にも役立ちますし、職業の安定につながると考
えております。その上で、それに外れた方についても応募、採用の機会を増
やす必要があって、そのための募集・採用の改善が必要ではないかという考
え方です。ただ、新卒一括採用で採用された場合も定着していただく必要が
あり、能開法の中に若者の能力開発について規定がすでに盛り込まれており
ますが、そういった入職後の雇用管理についても若干盛り込みたいというこ
とです。

　(3)で、「規定する主な内容」について項目を書いております。項目建てす
る際に参考にしているのが、３頁にありますが、「若年者の応募機会の拡大
に関する経済団体に対する要請について」で、今年の春に中野厚生労働副大
臣が経済団体にお邪魔してお願いした事項です。企業の募集・採用に際して、
(1)は新規学卒について、学生の応募機会を拡大する観点からも、通年採用を
進めることということで、通年採用をお願いしたい。

　(1)は、いわゆる「就職氷河期」に就職活動を行ったけれど、希望しつつも
正社員としての就職ができなかった者についても、こうした新規学卒採用枠
でも応募することができるような取組を拡大していただくこと。これは、採
用時に新卒と同じ処遇でもいいので採ってほしいという意味合いで、新卒と
同じ面接会をやれと言っているわけではありません。同じような処遇で採っ
てほしいという意味合いで、そういうことも考えていただきたいということ
です。

　(3)ですが、中途採用の拡大にも前向きに取り組み、特にフリーターについ
てはあらかじめレッテルを貼ることなく、人物本位での採用を行っていただ
くこと。人物本位というのは、ご本人の能力を的確に評価して採用していた
だくということで、法律の文章や通達に書くとすると、能力に応じた採用と
いったことになると思います。能力の中には、現在ご本人が保有している能
力だけではなく、将来発展の可能性がある、見込みも当然含まれるという考
え方です。

　(4)は、最初から正社員で採るという選択肢だけではなく、トライアル雇用
といった仕組みも活用して、正社員として最終的には採っていただくという
ことをお願いしています。こういったお願いした事項については盛り込みた
いと考えております。

　もう１つ、４～５頁に経済団体、労働団体からの提言が整理されておりま
す。経済団体、労働団体からの提言で指摘されている事項は、今回の若者雇
用対策の関わりで指針に盛り込むのに適切な事項については盛り込みたいと
考えております。最初に、日本経団連さんのご指摘があります。２、価値観
の多様化と主体的なキャリア形成、（２）企業が求める人材像ですが、２行
目に「企業にとっても採用基準や職場で求められる能力や資質を明らかにす
ることで、就職採用時におけるミスマッチを防ぎ、若手従業員の定着率を高
める」といったご指摘があります。また、「採用者個々人の能力や適性に焦
点を当てた人材力を向上させる育成策が大事だといったご指摘があります。

　次の○ですが、日本・東京商工会議所さんのご提言です。II、３の(2)で
「若年者の自立支援、人材育成、正社員雇用などの促進」の下線部分ですが、
商工会議所では若年者の自立促進、正社員雇用の促進に努めるとともに、教
育界や行政などと連携し、費用の競争力強化や地域産業の発展に資する人材
の育成、若年者の能力開発とその能力を活かした雇用機会の拡大などに向け
て積極的に取り組むというご提言があります。

　その下に日本経団連さんのご提言がありますが、具体的提言４、新卒者以
外の若年者へも採用の門戸を広げるということです。「いまだ新卒一括採用
を中心としている企業が多いものの」ということで下線部分を飛ばして読ま
せていただきますが、「従来以上に門戸を広げ、中途採用の拡大にも前向き
に取り組むべきである」。「とりわけ現在は、能力が高くとも就職に失敗し
た結果やむなくフリーターとなっている若年者や、フリーターとして就労し
ながら有意義な経験を積み、成長している若年者もいると考えられる。こう
した若年者を採用し育成することは、企業にとっても人材戦略として有益で
あろう。通年採用やトライアル雇用といった取組も有効な手段である。通年
採用の実施により、海外大学卒業生やワーキングホリデー経験者等の多様な
人材の確保が可能になる。フリーター等を有期雇用の期間従業員として採用
し、そのうち能力と意欲のある人材を正社員として積極的に登用している例
もある」、ということです。こういった方法もあり得るということをご提言
いただいております。

　連合の提言の中にも、「『若者自立・挑戦プラン』を具体化・強化すると
ともに、インターシップ、トライアル雇用等、若年者雇用の促進策」という
ことで、こういった対応が大事であるとのご指摘がなされております。こう
いったご指摘を踏まえ、一定の項目を盛り込みたいということです。

　資料５の２頁目の(3)「規定する主な内容」ですが、いまご紹介した内容を
踏まえ、例えばミスマッチ防止、定着率向上の観点から、採用基準や職場で
求められる能力・資質を明確化していただくということがあるのではないか。
応募可能年齢の引き上げ、応募資格の既卒者への開放、通年採用の導入とい
ったこともあるのではないか。人物本位での採用ということで、能力、経験
の正当な評価、トライアル雇用や実習併用職業訓練の活用等。実習併用職業
訓練については、職業能力開発促進法の改正ですでに若者の雇用対策の１つ
として盛り込んでおりますが、その活用等有期雇用から正社員への登用制度
の導入といったことがあるのではないか。抽象的ですが、能力開発の促進と
いったこともあるのではないか。こういった事項を中心に、指針の内容を定
めていったらどうかということです。

○諏訪部会長　ありがとうございました。以上の説明を受けて議論に入りま
す。

　いまご説明があったのは、外国人雇用対策及び若年者雇用対策についてで
したが、本日は、可能ならばこれらの他これまで十分に議論できなかった論
点についてもご議論をしていただければと思います。そこで、最初に外国人
労働者対策に関してご質問、ご意見等をお受けして議論をし、そのあと若年
者雇用対策、その他の補足的な議論ということで進めます。

　では、外国人労働者対策に関してご質問、ご意見をお願いします。

○成瀬委員　資料１の外国人雇用状況報告の関係ですが、４の(2)の※の雇用
保険被保険者資格取得届の提出をしない外国人労働者の場合というのは、ど
ういうものがあるのでしょうか。ごく短期のアルバイトなどでしょうか。研
修生の扱いがどうなっているか分からないのですが、その辺りの範囲などを
教えていただきたいのです。

○諏訪部会長　いまのようなご質問をお受けして、まとめてお答えいただい
たらと思うので、外国人雇用に関してご質問がありましたらどうぞ。

○原委員　外国人労働者を活用するということは、経営側の立場から言えば、
人件費コストが安いという動機がいちばん強いと思うのです。それはそれで
分かるのですが、外国人労働者を受け入れるということは、社会的な費用が
付随してくる、さまざまな社会的な費用がかかるということだと思うのです。
これらについて、外国人労働者を活用して安い賃金労働力の恩恵を蒙ってい
る経営側に対して、負担を求める考え方が厚生労働省にはないのかをお伺い
したいと思います。
○樋渡委員　この雇用状況報告の件なのですが、これは厚生労働省の指針の
中に盛り込まれるということですが、外国人労働に関してほかの省庁との関
連もあって、同じように違う省庁からこの報告を求められることがないよう
にしていただきたいと思います。なるべく一本化して、それで済ませること
をお考えいただきたいと思います。

○森（郷農委員）代理　いくつかあるのですが、外国人雇用状況報告を義務
化する目的が何なのかが、何度聞いてもよくわからないと思っております。
また、どういう活用をするつもりなのかが全くわからないと思っております。
３つ目は、いま樋渡委員がおっしゃったように、ほかの省庁でもすでに議論
をしており、現に私ども会議所としては、ほかの省庁にここも事業主に一定
の負担を求めて情報の提供をお願いしたいと協力を求められております。前
回だったと思うのですが、厚労省だけが企業向けの情報の提供を求めるもの
だとおっしゃっていたと思うのですが、そんなことはないと思います。ほか
の省庁でも、いまきっちり議論をしているところですし、年内か年度内ぐら
いにはまとめると聞いておりますので、ここだけで拙速に結論を出す必要は
ないのではないかと思っております。

　なぜわからないかを申し上げたいのですが、どのように活用するつもりな
のかというところで、いま入管法で不法就労対策などで氏名や在留資格や国
籍をきっちり取っているはずですね。行政のサービスという観点からいけば、
外国人登録法があって、市町村が一生懸命やっているわけですし、やっと協
力をして外国人問題に対していろいろ対策をしようとしているわけですか
ら、そこにどう絡もうとしているのかが全く見えないのです。特に、今回の
外国人雇用状況報告の行き着く先が、おそらくハローワークで止まってしま
っていて、ここから先はネットワークが将来的にはあるかもしれませんが、
いますぐ入管や外国人登録管理とつながる計画はないと思います。そういっ
たネットワークの不十分さがある中で、これをあえて強行しようとするのは
なぜなのか。ハローワークは、名前を聞いてどうするのでしょうか。不法就
労対策に使えるわけではないし、外国人へのサービスに使えるわけでもない
ですし、雇用管理だけなら人数で十分なはずですから、ここが何のためなの
かが全くわからないというところです。

○生田総務課長　まず私から答えられることについて答えて、あとは外国人
雇用対策課長から補充をさせていただきます。

　成瀬委員からのご指摘で、雇用保険被保険者資格取得届提出時に報告とい
うことにならない方として、どのような方が想定されるかですが、典型的な
ものとして就学生がアルバイトをするケースを想定しております。それがほ
とんどではないかと思っております。例えば、技能実習制度についても、最
終的には雇用労働者として働いて雇用保険に入っていただくことになってお
りますので、こういった方についてはきちんと被保険者資格取得届があると
想定しております。

　樋渡委員からご指摘のあった他省庁からの報告と重複しないようにという
ことで、これは森さんからもお話がありましたが、共通する問題かと思いま
す。外国人雇用状況報告については、規制改革民間開放推進３カ年計画の中
で指摘されていることですが、その中で報告の取り方について一定の整理を
するということが明確に指摘されております。事業主の方からのご報告につ
いては、職業安定関係法令の改正によって雇用状況報告の拡充の方式で取る
ことになっております。別途法務省あるいは総務省のほうで、外国人ご本人
から入管行政の立場から取ることがありますが、それはご本人に直接アプロ
ーチするという考え方です。警察庁等の他省庁については、事件があれば個
別に犯罪捜査でご協力をお願いすることがあるのかもしれませんが、制度的
に継続的に取るものではありません。

　厚生労働省で事業主の方からいただいた情報は、入管行政を担当している
法務省との情報の連携が非常に重要だと考えております。その点についても、
規制改革民間開放推進３カ年計画の中に書いてあり、労働行政と入管行政が
連携し、事業主に報告義務を重複して課さないことが重要であるということ
がすでに閣議決定されております。私どもが閣議決定に違反することはでき
ませんので、それに従ってやる必要があると考えております。現在このよう
な閣議決定もあり、関係省庁で在留管理ワーキングチームというものを作っ
て、省庁間の情報の相互提供方法について議論しているところです。ですか
ら、ネットワークは確実に作り上げるという考え方です。私どもで取った雇
用状況報告等の情報を法務省さんから重複して取ることは絶対に起こらない
ようにするというのが、政府としての約束です。

　もう１つ、雇用状況報告を取る目的です。これは、いちばん大きいのが不
法就労の防止で、不法就労の防止は、入管行政の立場からも当然ですが、私
どもも労働市場政策を担当する立場として、不法就労外国人がいらっしゃる
こと自体が日本の労働市場に及ぼす悪影響ということを考えた際に、それを
防ぐ必要があるだろうと考えております。不法就労を防ぐ際に、外国人労働
者が辞めたときに、即座に再就職をしていただく、あるいは適切な対応を取
っていただかなければいけないので、辞めたときの情報も当然必要です。雇
われたときにも、いつ辞めるかがよくわからない中で、雇用管理の改善を図
ることによってできるだけ辞めない形に持っていくことが、不法就労者を出
さないためにも重要です。いつごろ辞めるか、離職する前に情報が入ること
が当然あるので、その段階からきちんと押さえなければいけないということ
もあります。ですから、在職中からご本人の情報をそれなりに取っていく必
要があるし、ご本人にもアプローチする必要があるのではないかと考えてお
ります。不法就労防止の観点は絶対だと思っておりますが、それ以外にも雇
用管理の改善、あるいは再就職の促進といった観点から、こういった情報を
きちんと取りたいというのが私たちの考え方です。

○尾形外国人雇用対策課長　原委員からご指摘のあった、外国人を受け入れ
ることに伴う社会的費用を恩恵を受けている所で負担すべきではないかとい
うお考えですが、この考え方はこれまでもいろいろな所でご指摘があったも
のです。例えば、諸外国においてもこういった思想を取り込んで制度化して
いる国がないわけではありません。ただ、この議論については、２年前に経
団連さんが外国人労働者の受入れの問題を提言された中で、経団連さん自身
も触れておられたところですが、使用者団体としては極めて否定的だったと
いうことです。

　社会的コストの捉え方が極めて難しい。要は、負担を金銭、額に換算する
ということがあるわけですが、額に換算できるコストもあれば、できないコ
ストもあります。治安や犯罪、地域とのコンフリクトなどの問題も社会的コ
ストです。例えばフランスの暴動等も外国人の受入れに伴う問題ですが、ど
こまでがコストかというのは非常に難しいということがあります。現に、先
ほど申し上げたように社会的コストを使用者に負担させる考え方を取ってい
る国でも、コストがどれだけで、それに対していくら取るという因果関係、
相関関係は極めて曖昧です。そういう中で、この問題を検討するに当たって
いろいろ問題があるのかと思っております。

○成瀬委員　私が聞きたかったのは、技能実習生ではなく研修生についてだ
ったのです。たぶん、研修は労働ではないということで、雇用保険の対象に
なっていないのが現状なのかなと思いますが、そういうことですか。

○生田総務課長　この点については、今回雇用状況報告の拡充ということで、
雇用労働者としての情報を取るという考え方ですので、研修生については別
途情報入手をする動きもあるので、そちらで取っていただくことになるかと
思います。ということであくまで雇用に着目したものです。

○森（郷農委員）代理　いくつか質問と意見なのですが、先ほど規制改革民
間開放推進会議３カ年計画で指摘があるところとご説明があったのですが、
確かに外国人雇用状況報告について職業安定関連法令を改正することに関し
ては、結論を得ることが要請されているだけで、別にやれと決まったわけで
はないし、検討した結果やらなくてもいいのではないかということで、やる
ことを前提としての持っていき方は強引ではないかと思います。

　もう１つ、先ほどネットワークを作り上げていくことは重要であるとのお
答えだったのですが、入管等はいつごろまでにどういうネットワークが作ら
れるのでしょうか。私どもが聞いている限りでは、予定はない。少なくとも、
入管と外国人登録について不法就労対策ということで最優先でやるのだと説
明をいただいており、そこに外国人雇用状況報告がどう絡むのかという質問
だったのですが、それについてはどうなのでしょうか。

○尾形外国人雇用対策課長　３ヶ年計画のほうですが、もちろん検討して結
論を出せと、結論の方向がどうであるかまでは書いていないわけですが、３
カ年計画を閣議で決定する趣旨は、基本的にこういったことについて前向き
に考えてくれというのが我々の理解です。基本的にもちろん検討、結論とい
うことで検討するわけですが、できないとすれば、どうしてできなかったか
が厳しく問われるわけです。我々としては、ここに書かれたことはやる方向
で検討するのが基本的な立場ではないかと理解しております。

　ネットワーク化の問題ですが、ネットワークといってもいろいろなレベル
のものが考え得ると思います。入管局とは日ごろから意思疎通を図っている
わけで、我々レベルが事務レベルにおいていろいろな情報提供、情報交換を
するという意味でのネットワークから、システムを共有し、データベース化
して何か物事を動かすネットワークまで多々あります。いちばん進んだ意味
でのネットワーク化は、ハードの問題や予算の問題なども絡むので難しいと
は思いますが、少なくとも非常にラフな意味でのネットワーク化は、入管局
との間でもこの審議会で議論していることは相談しているところですし、法
務省さんからも是非重複がないように、こちらから取れる情報は是非入管で
も活用したいので、活用に当たってのいろいろな工夫、あるいは体制につい
て検討していこうという前向きな反応をいただいております。

○原委員　私の質問に対して答弁がありましたが、困難だ、困難だという否
定的なことではなしに、社会的、追加的コストという面で現実問題費用がか
かっていることは事実でしょう。外国人労働者を活用するのは、社会保険料
の負担の問題も含めて、日本人の労働者を活用するよりも圧倒的に費用は安
いはずなのです。一般的にはただ乗りとも言われているわけで、そういう意
味では費用がかかることは事実なのです。そういった安い労働力、安いコス
トに恩恵を蒙っている経営側から負担をしてもらうという意思が厚生労働省
としてあるのかどうか。当然、経営者の方はコストアップになるので、反対
するのはわかりますが、厚生労働省として、こういう社会的なコストがかか
ることについて、今後受益者から費用を取るという考え方を持つのかどうか
をお伺いします。

○尾形外国人雇用対策課長　いまの問題ですが、まず第１に費用がかかって
いることを否定しているわけではなく、むしろ厚生労働省としては極めて膨
大なコストが生じると思っています。逆に言うと、具体的にはシンガポール
で、雇用税というやり方でそういう趣旨のお金を取っているのですが、この
程度のお金で済む社会コストなのだろうかというのが我々の発想の原点で、
こういうコストが発生する形で外国人を受け入れるのがそもそも問題だとい
うのが我々の考え方の基本です。こういう費用さえ払えば外国人を採れるよ
うになるという発想が他方に見え隠れする中で、こういった問題にどうアプ
ローチするのが適当かという悩みを持っています。

　例えば、ご指摘のあった社会保険の問題ですが、かなり多くの、特に間接
雇用で働いている外国人の方々が未加入で、これは明らかな社会コストなの
ですが、この問題もお金を取るというよりは、むしろ社会保険に入っていた
だくのが先決です。先ほど総務課長が申しましたように、雇用管理の改善を
していくことも、この社会保険の問題なども含めてきちんと日本人と同じ働
き方をしていただくという思想に則ってやっていこうとしているのであって、
雇用税のように社会的コストを負担する手段はその先の話ではないかと思っ
ております。厚生労働省としては、この議論をする前に、いま入っている人
たちできちんと日本人と同じ働き方をしていただくのが先決ではないかと
思っております。

○原委員　よくわかります。だから、問題は税金のパーセンテージの問題に
もなってくるわけです。同時に、日本人労働者の立場から言えば、格安の外
国人労働力の存在は日本人労働者の賃金水準を引き下げる、当たり前の話で
すが過当競争を激化させることになっているわけです。そういう意味では、
外国人労働者を採用すると高くつくというぐらいの費用負担を経営側に求め
ていく。シンガポールの雇用税のパーセンテージはわかりませんが、その程
度ではなく、外国人労働者を採用すると高くつくということによって減らし
ていく。私も外国人労働者をどんどん採用する気持ちは持っていませんので、
そこは誤解のないようにやってもらいたいのですが、そういう発想に立つか
どうかです。

○岡崎高齢・障害者雇用対策部長　現状における外国人労働者のうちの、本
来あってはいけない働き方、あるいは社会保険等への加入の仕方の問題をど
うするかについては、先ほど外国人雇用対策課長から言いましたように、む
しろそれはきちんとした形で入っていただくのが本筋だろうということです。
それ以外のいろいろな社会的コストの面をどう考えるか、労働市場への影響
をどう考えるかは、別の問題としてあるだろうと思っております。

　ただ、現状の外国人受入れ制度を前提とするならば、私どもとしては最初
の問題についてはきちんとやっていくことにしたとして、さらに社会的コス
トを外国人雇用企業に負担していただく状況ではないのではないかと思って
います。しかしながら、さらに受入れ拡大やいろいろな議論が出てくる中で
は、おっしゃるようなことも議論の対象になってくると思いますが、私ども
としては、現在の外国人受入れ制度を基にした議論としては、外国人雇用税
のようなものを議論する、あるいは指向する状況ではないのではないかと思
っております。

○片野坂委員　外国人を労働力として活用することについては、企業経営の
自由度、知恵として、日本のメーカーなど広く使われているわけで、最初は
海外、特にアジアのほうに工場を建てて、そちらで労働力を確保することが
経営の知恵と自由度で行われています。最近では、アジアで賃金水準が上が
ると再び日本に戻ってきて、割り箸なども日本で作るということも行われて
います。国の経済力の変動の中で、経営は常に知恵を絞らなければいけない
ということで、外国人労働者については活用を考える自由度を持っていると
思います。

　企業側も、外国人を採用したときには、住む住居や言葉の問題など最低限
の手を施すことは当然自らやっていると思いますが、外国人の方が地方でコ
ミュニティを作って住民の方と軋轢が起こるというのをもう少し深く調べて
みると、お子さんがいる所は、言葉ができないので学校に行けなくなって、
不良化して犯罪につながるとか、そうなると教育の問題ということになりま
す。したがって、外国人がこれから増えてくるときの社会的なインフラの整
備は、国として広く考えていくべきテーマだと思います。

　一方で、企業側でも、交通機関などでは駅の表示が最近ハングルや中国語
などでもされ、社会インフラをそれぞれの分野で少しずつ増やしていること
があるのではないかと思っております。

　雇用保険の被保険者資格取得届時において把握する報告の形態については、
あまり過重ではないと考えております。

○成瀬委員　外国人労働者受入れの際のコストの件がいま議論になっており
ますが、確かに原委員が繰返し言っているとおり、当該事業主にとっては格
安のコストで労働力が利用できる代わりに、社会全体がその分のコストを引
き受けていることは事実だろうと思うのです。それをどうしていくかは今後
の課題だろうと思っているのですが、いま片野坂委員から企業の知恵と自由
度という言葉が出ましたが、その際の大前提はやはり法令遵守であろうと思
うのです。もちろん、多くの企業はそうされていると思うのですが、どんな
社会でもそうかもしれませんが、残念ながら不心得者がいるというのも明確
な事実で、したがって不法就労がなくならない、なくならないどころか増加
する状況が生まれているわけです。

　そういう点から言って、先ほども議論がありましたが、私の考えとしては
今回の外国人雇用状況報告の義務化は大賛成です。人数の把握では全然足り
ない。名前や国籍、在留資格、在留期限は絶対に把握する必要があって、な
おかつ入管等とのネットワークももちろん必要であろうと思います。一刻も
早く、そういう施策を実行に移していただきたい。法改正が成った場合には、
１日も早く施行日を持ってくるぐらいの意気込みでやっていかないと不法就
労はなくならないし、すでに来ていらっしゃる外国人労働者が日本人労働者
と同じ形で雇用管理が改善された中で働くことは実現しないのではないかと
思っておりますので、是非よろしくお願いします。

○原委員　私も、外国人を経営者の知恵と自由度で採用して、なぜ外国人を
採用するかは間違いなく人件コストが安いからだと思うのです。一方で安い
労働力を知恵と自由度で採用しておいて、社会的な費用は国が、自治体がや
れというのは、はっきり言ってないと思うのです。やはり応分の負担を。外
国人を採用したら必ず社会的問題が、いみじくもおっしゃいましたが、まさ
に教育問題などがある。費用が要ることはわかっているわけです。当然それ
も込みで外国人を採用するという腹を持ってもらわないと。払う賃金が安い
から、それは経営者の知恵と自由だと、資本主義だと、あとは国がやれとい
うのはないと思うのです。そこは経営側ももう少しバランスの取れた発想に
立ってもらわないと、あまりわがままばかり言っていたのでは格好がつかな
いと思うのです。

　ＪＡＭは、在日ビルマ人市民労働組合といって、日本で働いているビルマ
人の労働相談にボランティアで乗っているのですが、相談の内容はひどいで
すよ。我々日本人として恥ずかしいぐらい、経営側は無茶苦茶に労働者を使
っている。まさに成瀬委員がおっしゃったように、法令遵守、せめて法律を
守って外国人を使うようにしてもらわないと、我々としても非常に恥ずかし
い思いをしているのです。そういう意味では、外国人労働者を採用する以上
は、きっちり政府に報告する。私はこの項目だけでは不十分だと思いますが、
場合によっては賃金や労働条件も報告させるぐらいの報告の義務化について
は大賛成です。

○奥田委員　不法就労の企業の範囲は、大企業から中小企業までいろいろあ
ると思うのですが、報告義務の対象範囲は事業者規模が50人以上と限定され
ていますね。説明を受けたときの記憶がないのですが、何人以上の場合報告
義務があるのか、その辺りを教えてください。

○生田総務課長　いま現在、任意の制度として徴収している外国人雇用状況
報告については従業員50人以上の規模の事業所ですが、今回は雇用保険被保
険者資格取得届と一緒に出していただくということから分かるように、外国
人労働者を雇い入れる全事業所を想定しております。

○奥田委員　少し心配したのは、不法就労についてきちんと実態を把握して
いるわけではないので、間違った認識があったら訂正していただきたいので
すが、かなりの中小の管理の問題がある企業も含んだ所で発生してきている
のではないかと認識しております。どこまで網をきちんと掛けられるかが大
切ではないかと思っております。いかに徹底するか。社会には悪いことをす
る人が必ずいるわけですが、今後制度を作ったときに善意のある前向きな所
にいかに徹底していくかをきちんと考える必要があるのではないかと思いま
す。不法就労の実態は、働いている場所はかなり小さな事業主等が多いので
はないかという認識の下で私は話しているのですが、きちんとした対応をす
る必要があるのではないか。これが成立したときに、外国人雇用状況報告を
どのように制度的にきちんと動かしていくかが大事ではないかと思っており
ます。

○成瀬委員　いま奥田委員がおっしゃったことに賛成で、どう徹底するかが
課題だと思っています。正直者がばかを見ることがないように、しっかり手
間暇かけて報告をした所がばかを見ることがないように。不心得者は一部だ
と思いますので、そういう意味では徹底するためには、罰則が30万円となっ
ているのですが、下から２つ目の※で言うと、雇用保険法の違反については
「６箇月以下の懲役又は」となっているわけです。これらも参考にして、罰
金だけではなくて懲役も含めて課すぐらいのことをしないと、なかなか徹底
が行き届かないのではないかと思いますので、その辺も含めてご検討をお願
いしたいと思います。

○長谷川委員　先ほど森さんが、外国人労働の問題では他省庁でも検討して
いて重複するのではないかという話をしていましたけれども、いま法務省の
入管懇談会でいろいろな意見交換をしています。ここでの議論のときに先ほ
ど事務方から報告があったように、まず１つは、外国人労働者が入って来る
ところを入管のところで法務省がチェックする。それから犯罪が起きた場合
には警察のところで１つあります。あともう１つは、日本に住む外国人は必
ず１年に１回市役所に届けることになっている。それがばらばらで、そうい
う意味ではもう少しきっちりしたネットワークが必要ですというときに、で
は全部カードを持たせるかどうかという議論がありましたが、そこまでは合
意形成ができていないのです。そのシステムを作ることも早急にと言います
が、全部作るとなると、どういうふうな作り方をするかという議論があって、
まだそこは議論が続いているのだと思います。

　ただ、フランスやイギリスでいろいろなことが起きて、そこだけでなく韓
国やアメリカでもいろいろなことが起きてきて、２年前までは外国人労働者
を単純労働にどんどん受け入れようという空気だったのが、いまは非常に慎
重になっています。それは、我が国社会が非常に安定した社会だったわけで
すけれども、そのとき本当に共生できるか、外国人労働者とちゃんと共生し
ていけるかどうか。そういう社会的なシステムがちゃんとできているかどう
かに対して、おそらくみんな自信をなくしているのだと思います。そういう
意味では、もう少し慎重にしようというのが最近の会議の雰囲気です。それ
と社会的インフラをどうしていくか。誰が負担するのかということも議論に
なっています。

　そのとき言われたのは、外国人労働者で不法就労をやっている人たちのい
ろいろな把握の仕方の中で、外国人労働者は何らかの把握が必要だといった
ときに、厚生労働省のことも議論になったわけです。私は、厚生労働省が外
国人労働者をちゃんと把握することが、いちばん近いのではないかと思いま
した。そういう意味では今回のこの案で、企業に対して新たな何か別のもの
を作れということではないので、そこは企業のほうの負担のところは、もの
すごく過重になるわけではない。いま、そういうご発言もありましたし、こ
れでできるのではないか。

　それと、警察、法務省、厚生労働省の連携が必要で、それはやっていきま
しょうと、その時もそういう意見交換だったと思います。したがって、おそ
らく法務省と警察と厚生労働省などの外国人に関わるそれぞれの機関の連携
は、これ以降、かなり深まっていくのではないかと思うし、そのことを期待
することが重要なのではないか。ここは使用者も労働者も、さまざまな行政
機関も連携しながら、適切な運用を進めていくことが重要なのではないか。

　罰則に関して言えば、私も罰則は強化したほうがいいと本当は思っている
のです。そうでないと駄目だと思っているのです。30万円以下の罰金となっ
ていますけれども、労側からすれば、そもそも違反した者に対しては厳しい
罰則をかけることが重要ではないかと思います。だから懲役をかけたほうが
いいというふうには思いますが、これはここでもう少し議論していただけれ
ばと思っています。

　現実、外国人労働者に何が起きているのかということと、我が国でどうい
うふうな形であれば、来た外国人も日本で働いてよかったと思い、使うほう
も使われるほうも日本の国民も、みんながいいと思うシステムをどう作るか
というのを、本気で考えないといけない状況にきているのではないかと私は
思います。そういう意味では今回、事務局が提起しているものは必要なので
はないか。本当はもっともっと強化してほしいと思っています。私も原さん
と同じで、雇用保険がいいのか労災保険がいいのかわかりませんけれども、
外国人労働を活用したところには、もう１段階の何らかの支出があったほう
がいいと思っています。

　ただ、私たちもそこまでは政策研究が進んでいないので明確に言えません
が、市町村は社会保険や教育の負担で大変な思いをしているのです。外国人
の集住が集中的に進んだ市町村だけがすごく大変だということも起きている
わけで、それらの問題をどうしていくのかというのは、本当に大きな課題な
のではないかと思っています。とにかく、どこで働いているかをまず把握す
ることが重要だとすれば、今回のこの案は私は賛成です。

○諏訪部会長　まだいろいろ議論はあろうかと思います。今後、指針のとき
に相当議論しなければいけないことがあるということを垣間見せた議論を、
今日はしていただいたと思いますが、我々の今回の課題の範囲ではそこまで
すべて議論するというわけではありませんし、また今回の課題の範囲でもま
だ議論をする機会がありますので、もしよろしければこの議題は今日はこの
程度にさせていただきまして、もう１つの重要な議題、若者の雇用に関する
問題がありますので、そちらに移らせていただきたいと思います。よろしい
ですか。若年雇用対策に関してのご質問、ご意見をいただきます。

○宮本委員　質問というか、これを拝見した感想ということになるかと思い
ますが、能力を正当に評価することと、企業が不安定な状態にいる若い労働
者を雇用して、トライアル雇用等々の機会を与えながら可能であれば採用す
るという線は、それ自体はよろしいかと思います。気になるのは、こういう
ふうな形で安定した雇用に就けない、いわば非熟練の不安定な労働者を、よ
り安定した方向に持っていくといったときに、この内容というのは企業に委
ねる方向が、あまりにも強いのではないかという印象を受けます。

　その場合に、どういう問題が発生するかというと、企業はフリーターでい
る人たちに対して能力を評価してくださいとか、あるいは潜在的な可能性を
評価してくださいという路線になっているかと思いますが、現実の問題を考
えると、正当に評価すべき能力が現在ない場合とか、可能性が十分には見出
せない状態の若者を、企業だけに委ねる形で救済するということができるだ
ろうかという問題があるように思います。

　もう少し具体的に言うと、もっと不安定な非熟練者を教育訓練する仕組み
というのは、もっと全体的な問題があるのではないかと思われます。つまり、
２頁の最後のところに「能力開発の推進」というところがあるのですが、こ
の能力開発推進というのは私が言うまでもなく、もっと総合的なことかと思
います。特に非熟練で不利な状況を抱えている若者に対する能力開発という
のは、企業だけに委ねることが難しいのではないかと思われるのですが、そ
のあたりはいかがですか。

　いま前段で議論された、例えば外国人労働者問題で先進国の状況を見てい
ると、外国人労働者の２世問題というのが若年雇用問題のかなり中核になっ
ていて、低学歴、非熟練、不安定労働者の若年問題というのがまさにそこで、
そこを救済するための職業訓練・教育というところは、かなり公費を費やし
て公的な訓練制度を作ることで救済しているわけです。そういうことも含め
て、この問題はやや狭いのではないかという感じがしますが、いかがですか。

○原委員　現行の雇用対策法の第４条の６号に、我々としては非常に関心の
深い内容ですけれども、「不安定な雇用状態の是正を図るため、雇用形態の
改善等を促進するために必要な施策を充実すること」ということで、今日ま
で推移してきています。このあたりについて、この間の状況について厚生労
働省がどういうふうに判断、評価・分析されているのか。今後に向けて是非、
こうあってもらいたいという希望も含めて、これは強化してもらいたいとい
う気持がありますけれども、これまでの推移に対する分析・評価をお伺いし
たいと思います。

○阿部若年者雇用対策室長　宮本委員からのご質問の関係ですが、本日の資
料５の指針等規定事項（案）については、今回の法改正の中で事業主に対し
て、若者の採用に関する努力義務をお願いする中で、さらに大臣の指針でお
示ししようとするものを整理し、企業側にこういう取組をしていただきたい
というものをまとめたもの、という位置づけとご理解していただきたいと思
います。若者向けの能力開発については職業能力開発局とも連携しながら、
２回ぐらい前でしたか、全体図を説明させていただいたときに体系立ってい
ろいろ取組をしています。そういった中で、今回は、まずそういう若者向け
のところで企業側にお願いしたいことを整理していくということです。です
から、確かに企業にお願いしている部分としてのものがこの資料の中に出て
きていますが、そういうことでご理解いただければと思います。

　今年の春に職業能力開発促進法も改正され、いわゆる能力開発の体系も新
しいものを作り出して、今回動き出したところでもございますし、そういっ
たことを踏まえながら、いろいろな若者向けの能力開発を、きちんとやって
いくということで取り組んでいるということです。
○生田総務課長　原委員からご指摘がありました、６号の「不安定な雇用状
態の是正を図るため、雇用形態の改善等を促進するために必要な施策」とい
う点ですが、この点につきましては、法制定当時の思想として主に季節労働
者の方が中心で、それ以外に日雇い労働の方、あるいは一部の期間雇用者の
方を想定した規定です。

　季節労働者の方につきましては、通年雇用の促進策ということを継続的に
とってまいりまして、いま現在、季節労働者の方は全国的に相当減ってきて
います。数は手元に資料がなくて申し上げられませんが、相当減少していて
今後とも通年雇用を進める努力は進めていきたいと考えています。

　また日雇いの方につきましても、雇用保険の被保険者のデータで見ると相
当減っていて、これにつきましても、できるだけ安定的に働けるように引っ
張っていくのが重要ではないかと考えています。

　期間雇用者の方につきましては、最近も期間雇用という形態で雇い入れら
れるというケースは当然あって、その中でも特に目立っているのが派遣の形
態、請負の形態です。労働者派遣については労働者派遣法という法律があり、
評価はさまざまありますけれども、この派遣法の中で、労働者の雇用管理の
改善についてさまざまなルールを定め、それを守っていただくということに
しています。例えば社会労働保険の適用などについては、労働者派遣事業の
対象事業主の方については相当進んでいると考えていますし、その他、いろ
いろな保護措置は担保されてきているのではないかと思っています。

　請負については、最近注目を浴びていますけれども、この請負事業自体の
雇用管理があまり芳しくないという面が確かにありますので、来年に向けて
請負事業者、特に製造請負を想定していますけれども、請負事業者の方、発
注者の方それぞれに、こういうふうなことに注意していただきたいというこ
とを整理したガイドラインを作ったり、あるいはチェックリストなどを作っ
たり、これは来年の春までに間に合わせたいと思っていますが、専門家の方
に集まっていただいて、いま議論していただいています。そういったチェッ
クリストを作って、それを使って請負事業者の方や発注者の方に対して、指
導あるいはアドバイスをしていくという取組を強力に進めたいと考えていま
す。

　いまの６号の規定については、前回の部会でもご説明しましたけれども、
この中に就業形態の改善ということも追加したいと考えています。その中で、
いま説明した派遣あるいは請負といったことについて、雇用管理の改善を中
心とした取組については、施策として含めて読めるように整理をしたいと考
えています。今後ともこういった対策は重要だと思っていますので、力を入
れて進めていきたいと考えています。

○長谷川委員　私、この指針はこれでいいのですが、というより、むしろ私、
厚生労働省の施策にすごい矛盾があるというふうに思っているのです。例え
ばこの若者の指針で見ると、「国は事業主が適切に対処するため必要な指針
を策定する」ということで、事業主にあれしてほしい、これしてほしいと、
雇用って結果的に事業主が採用するかどうかだから、そういう意味では事業
主はかなり大変だと思います。

　でも事業主がこれらのことを、なかなかスキルのない若年者を雇用して訓
練するとなると、それなりの費用負担が出てくるわけです。そこは助成しな
ければいけないのだと思いますが、そのときに国は、おそらく来年の通常国
会に雇用保険の国庫負担の削減を考えているわけです。この間の別なところ
の審議会では、廃止も含めて削減となっていた。例えばもし廃止になると、
こういう事業主が能力開発や訓練をやろうとしたって国は一切金は出さな
い。雇用保険でやってもらいましょうと、雇用保険って労使だけですよね。
あと三事業、これは使だけですよね。すごい縮小しているわけです。本来は、
雇用のセーフティネットってもっと強化しなければいけないのに、国は撤収
すると。若者だとかについては労使だけの金でやってくれって、それは私、
すごい矛盾だと思います。

　だから、ここだけで見ると、このことはすごく良いことでもっとやってほ
しいと思うのですが、ではこれをやるために事業主のところに、そういう負
担に対する助成ができますかというと、今回の雇用保険の改正から見たらで
きないのではないか。まして能力開発なんていうのは、もともと国の金は一
切入っていないわけです。国はこういう若者に対する能力開発をどうしてい
くのかということに対して、お金も出さないで事業主だけやれというのは、
事業主はとてもやり切れないのではないですか。

　公益の先生が、公的な職業訓練が必要だ、公的訓練制度が必要だと言って
も、雇用保険などの縮小でどこで公的な能力開発をやるのか。そこは全然ト
ータルが見えない世界だと思います。だから、もう少しこういう指針を作る
とすれば、指針後、実際に事業主がやれるような財政的、経済的な裏打ちが
ないと、私は困難ではないかと思います。作ることには反対しませんし、最
も必要だというふうに思いますけど、これは必ず財政措置が必要ですよ。こ
れ意見です。

○樋渡委員　今回のこの指針は事業主にという指針なのですが、ここはあく
までも働きたいという若者に対してです。その働きたいというところまでい
かない若者がいるので、そこをいまの長谷川委員の話にもありましたけれど
も、国としてそういう人たちをどういうふうに、これから救い上げていくの
か。その辺がどうも見えなくて、そことたぶんつなげていかないと、なかな
かつながっていかない。フリーターだとかニートだとか減っていかないので
はないかと思いますけれども、その辺をどういうふうにお考えなのか伺いた
いと思います。

○阿部若年者雇用対策室長　樋渡委員からありました、働きたい若者や、ま
だそういう思いになっていない人をどうするかということですが、フリータ
ーなりニートの方々への対策として、働きたいという若者に対してはハロー
ワークでもやっています。ニート向けの若者自立塾とか地域若者サポートス
テーションといった事業や、あと自治体のほうの協力もいただいてジョブカ
フェといった事業もやっています。そういった、若者向けにいろいろな相談
ができるような体制というのを、各地でもいろいろな形をとってやっている
ところです。

　そこに行けば、働くことや自分の悩みなどについても相談しながら、社会
の中で自分の立場、自分がどうやって社会に貢献していくかということにつ
いて、若者自身がいろいろ考えていく。それがうまく積み上がっていったと
きに、社会にどうやって貢献していくかという中で、働くということが１つ
の貢献の仕方として出てくるということです。若者の心を切り換えていくと
いうか、変わっていっていただくといった取組が、非常に大事になってくる
と思っています。そういう中で、関連の施設で相談体制などを整えながらい
ろいろやっているところです。

　また働きたいと思っていても、どうやっていいか分からないという若者も
いるわけです。そういう方々に対しても、自分が何をしてみたらいいのかに
ついて、相談の中でいろいろな取組をしているところです。今日の資料の中
ではうまく出てきていませんが、いちばん最初の時に若者対策の全体像をお
示した中では、いろいろな取組がありますので、そういったものを使いなが
ら、まず働くということについて理解してもらい、それからそこに取り組ん
でいけるようにやっていくということです。

　それから、若者だけにその問題を課題にするということではなく、周りの
大人の取組が必要なのだということについて理解してもらうため。私どもが
事務局となっていますが、「若者の人間力を高めるための国民運動」という
取組を進めているところです。その中で国民会議というのを設け、日本経団
連の御手洗会長に、前の奥田会長に代わって議長になっていただき、連合の
高木会長にもメンバーになっていただいています。
　そういう中で、いわゆる若者にもいろいろ考えてもらう必要もあるし、周
りの大人が、そういう働くことについて理解してもらうための取組を、それ
ぞれの立場の中で地域の中なり、それぞれの場所において取り組んでいただ
くことをしながら、若者にもそういう理解をしてもらうことをやっていく必
要があると思っているところです。

○生田総務課長　若干の補足と長谷川委員のご意見に対してお答えさせてい
ただきます。まず若者対策でマッチング対策と言いますか、雇用に就く段階
での対策と、それ以前の雇用に就くように希望していただくまで持っていく
対策に、２つ大きく分かれるわけです。ニートと言われるような方につきま
しては後者の対策が非常に大事だと言われています。私ども厚生労働省内の
予算の付け方として、ニートの方を働く気になるところまで持っていくとい
う部分については、一般会計予算というのをそれなりに投入しているところ
ですが、実際に雇用に就く場面になると、雇用保険の特に三事業の予算で対
応している部分が多いのは事実です。

　長谷川委員からご指摘がありました雇用保険の国庫負担の問題ですが、雇
用保険につきましては大きく失業等給付と雇用保険三事業の２つに分かれる
ということは、皆様ご承知のとおりですけれども、三事業のほうは雇用対策
に実際に使わせていただいているもので、先ほどからお話がありますように、
職業能力開発については、その雇用保険三事業の能力開発事業の予算がほと
んど活用されているところです。

　本体の失業等給付については、失業等給付費の４分の１は国庫負担を付す
と現在はなっているわけですが、財務省を中心に歳出歳入改革という流れの
中で、国庫負担について見直せないかという指摘が現になされているところ
です。この国庫負担については、最終的には職業安定分科会の雇用保険部会
でご議論いただいて、何がしかの決着をつけるということになるわけですが、
現在の雇用保険制度の仕組みは、あくまでその国庫負担については失業につ
いての原因論というか、責任論ということで付されているもので、事業主と
労働者、国のそれぞれが失業に対して一定の要因があるのではないかという
ことで、国の責任を果たすという観点から４分の１の国庫負担というのが現
在付されているところです。

　それにつきまして、国の責任を果たすという趣旨を変更するという思い切
ったことをすれば別ですが、そうでないとすれば、それを前提としたところ
で、どういうことができるのかご議論いただくというのが今後の動きだと思
っています。ですから雇用保険の国庫負担については、雇用保険三事業とは
別に切り離して考えていただく必要があるとは思っています。

　雇用保険三事業の話に移りますが、現在の雇用対策について相当部分が雇
用保険の三事業で賄われているのは、これまた先ほど申し上げたとおり事実
です。一般会計が付されているのは、若年者雇用対策の一部、障害者雇用対
策、高齢者で雇用保険の被保険者でなくなった、特に年齢の高い方でシルバ
ー人材センターといった部分で、そういった分野を中心に付されていますが、
金額的には相当少ないところです。

　今後とも、一般会計予算の確保は非常に大事だと私どもは思っていて、要
求もしているわけですけれども、国全体の大きな歳出歳入改革の流れの中で、
一般会計予算を増額するというのは現実的にはなかなか厳しいところです。
ただ、そうは言っても、引き続きこれについては頑張りたいとは思っていま
す。

○原委員　この審議会の最初から言い続けていますけれども、二極化という
のがキーワードで、それをいかに防止するか、改善していくかというのが最
大のテーマなのです。厚生労働省も大変努力されて、そういったことについ
ての指針、また経営団体に対する要請とかいろいろされていますが、同時に、
そういった指針を出すとか要請をするといったことに加えて、企業としては
正社員ということで、厚生労働省の政策として何らかの強制措置なり具体的
な誘導策を、これは一貫して言っていますけれども、新たにそういったもの
を打ち出すということについてのお考えがあるのかどうか、というのをお伺
いしたいと思います。

○北村委員　今回の案が、かなり対症療法的なものなのか、それとも今後ず
っと少子高齢社会の中であるべき姿なのか、どういう位置づけなのか私には
見えにくいのです。と申しますのは、いわゆる「就職氷河期」において良い
就業の機会に恵まれなかったという人は、実はもう30代後半に至っているの
です。ここで対象となる若者の範囲として34歳以下と謳っているということ
が、今後、こういう就業システムが定着してくるだろうから、ある程度若い
人には再就職の機会を与えようということなのか、それとも、いわゆる就職
氷河期の人に向かって今回、対症療法的に考えましょうということなのか。
私は後者のほうが結構深刻だと思っているのですが、もしそうだとすると、
むしろその10年間なら10年間のコーホートをずっと追っていくということ
になると思います。もし34歳以下ということになると、本来の趣旨に入って
いたかもしれない、就職氷河期のチャンスをミスした人たちの救済という点
では、ちょっと不徹底が残るのではないかという気がします。

　ですから、その人たちに対する追跡的な対症療法なのか、それとも今後の
長い流れを見た上でのものなのか。もし後者であるならば、氷河期の犠牲者
と言ったら大げさですが、その方たちについては救いきれるのかということ
を聞きたいと思います。というのは、実はいろいろな対策をやっても、結構
そういったものは景気の動きでごろっと変わるみたいなところがあるので、
私は対症療法的な考え方も、この際は結構重要ではないかという気持があり
ます。

○片野坂委員　今回はこの若者の部分については、この資料５の１に新たな
１条を加えるということがあって、いずれその後にガイドラインとして２頁
の点線が付いたところの規定する内容が、企業側の努力義務として出てくる
ということで、フリーターやニート、若者の雇用については企業側も努力し
ていく必要があると思います。そういう意味では先ほど長谷川委員から、財
政的支援もなければなかなか実行できないとありましたが、これはそのとお
りだと思います。

　私は前回に申し上げた、この企業の努力義務というところについて、若者
の問題は社会に出る前の教育というところ、あるいは家庭の問題、学校の問
題ということで、文部科学省がやるべき非常に大きな川上の部分で相当手を
打っていかないと、要は社会に出たときに、そもそも働くチャンスがないか
もしれないけれども、いまは意欲がない人が増えている。最近、大学の技術
系はほとんどが大学院に進むのですが、それも要はあまりまだ社会に出たく
ないといった非常に深刻な問題があったりします。企業側は努力をするわけ
ですけれども、それは基本的なところでいくと、努力義務というところの精
神は変わらないですねという確認をしておきたいと思います。

○山川委員　若い人がなかなか職場に定着しないという状況で、離職率も高
いと聞いています。その中身では、いわゆる仕事が魅力あるものになってい
るのかどうか。成果主義、実績主義、そして労働の単純化、マニュアル化等
で今日では利潤追求にしゃかりきになっていて、そこで豊かにというか希望
を持って、将来の展望も含みながら働ける職場環境があるのかというところ
が、定着率が悪いとか離職していくところに出ているのではないか。そして
結局は、フリーター的になっていくということが繰りされているような気が
します。そういう意味では働き方、就労のあり方も、従来の利益一辺倒では
ないものとして経営側に努力を求める視点が必要なのではないかと思います。
その点について何らかの形で盛り込んでもらったほうがいいのかなと思いま
すが、いかがでしょうか。

○宮本委員　いまの山川委員のご発言に関連してなのですが、厚生労働省の
施策でヤングジョブスポットが2002年にでき、横浜のヤングジョブスポット
が昨年１年間、定期的に会合していろいろと経験を検討するという集まりが
あり、私もそれに出ていました。そこで言われた１つの大変重要だと思われ
ることは、ヤングジョブスポットはジョブカフェではなくフリーターで仕事
に就くというか、求職活動の前段階の人たちに対するサポートの機関ですけ
れども、そこで何カ月にもわたって懇切丁寧なサポートをしてようやく仕事
に就いても、その職場があまりにも悪くて再び戻って来る人が非常に多いと
いうことを議論しています。つまりどんなに若者のサポート体制を強化して
も、労働の現場が特にいろいろな意味で条件の悪い人たちにとっては、何度
やっても失敗するような悪循環の状況になっている。そのうちに年をとって
きますので、そういう意味であっという間に30代になり、最初は大学を卒業
して正社員であった人たちが、30代になるころにはもう何度か失敗をして、
ヤングジョブスポットに沈殿していくという問題があります。これを何とか
しなければいけないということです。その点で山川委員のご指摘はそのとお
りだと思います。

○大橋委員　少し話が変わるのですが、新卒一括採用が機能しているとおっ
しゃられたのですが、これは確かに失業しないで、スムーズに多くの学生が
大学あるいは高校から職場に行くという点では、うまく機能していると思い
ますけれども、ただ、失業しないという代わりに、かなり大学のほうではコ
ストもかかっているということは、ご認識いただきたいと思います。

　というのは、例えば大学ですと11月ごろから就職活動が始まり、遅い学生
ですと５月、６月までかかります。そうすると、例えばゼミなどをやってい
て「今日はセミナーがあります」と言うので、「何のセミナー」と言うと、
「私はこの会社に就職したいからセミナーに出て行きます。先生、休ませて
ください」という話になってきます。４月などは就職活動で学生が出て来ま
せん。だからゼミはまず成立しないのです。ゼミが成立するのはゴールデン
ウィーク明けというのが実態です。これは学生にとっては失業しないのです
が、大変コストがかかっていると認識すべきだと思います。

　だから、この辺の時期をどうするかという問題と、通年採用の導入という
のがあって、この意味がよくわからないので、中途採用をしょっちゅうやれ
という意味ではないと思うのです。学生を通年で採用しろという意味であれ
ばますます就職活動が長引いて大変ですので、この辺の新卒一括採用と通年
採用について、どういう仕組みでこれをおっしゃっているのか、お聞きした
いのです。

○生田総務課長　原委員のご指摘ですが、今回の若者対策についてどういう
ふうなレベルで規定を設けるかについて、これは先ほど資料の説明をした際
に、現在の法規定である７条と12条の規定の紹介をしました。これは年齢制
限不問求人について実際にこの法規定を設けた後の推移をとってみたとこ
ろ、この法規定を設ける前には年齢不問求人が大体1.6％でしたが、導入直後
には16.7％になり、現在では43.1％になっています。こういうふうに事業主
の方に努力義務という形で一定の努力をお願いし、具体的にこういう工夫を
していただきたいということを、指針に書くという法的、行政的手法につい
ては、非常に効果があるのではないかと私どもは思っています。決して弱い
というものではなくて、効果が出るものではないかと考えています。

　ですから、今回はこういう形で対応したいと思っていますが、強制措置と
いう手法については、例えば障害者雇用率の設定みたいなものが典型例です
けれども、こういった手法については、まず対象者をきちんと押さえること
ができるかどうかが非常に重要です。対象者がきちんと押さえられないとザ
ルになってしまいますので、結局、何の制度を作ってもあまり意味がないこ
とになるのですが、障害者の方についてはきちんと対象範囲が押さえられ、
あるいは率についてもきちんと設定できるということがあるのですが、例え
ば若者について、どういう形でそういう制度を設定するのかを考えた場合に、
法技術的にも非常に難しい。制度の実効担保も難しいのではないかと考えて
います。そういった観点からも問題があるのではないかと思っています。い
ずれにしても、先ほどの年齢差別の禁止に関わる努力義務の問題があり、こ
ういった手法について効果が出るように、私どもとしても努力はしたいと考
えています。

　北村委員のご指摘で、これが対症療法的なものか、それとも長期的な対応
なのかということですが、これはある意味で両面があると言えば両面がある
ところです。先ほど申し上げたように若者については34歳以下ということで
対応していて、若者に対する対策という意味では、その34歳という枠組みで
いくのが基本だと思っています。そういう意味ではあまり期間が残っていま
せんので、この期間は集中的にいろいろな取組をやるということが重要です。
こういった努力義務規定あるいは指針を使い、あるいは先ほど財政支援が大
事だというご指摘もありましたが、財政支援についても例えばトライアル雇
用の仕組みとか、能力開発についてもさまざまな支援策などを活用して、集
中的に就職していただくような努力はしていきたいと思っています。

　ただ、仮にその努力がある程度実を結んだとしても、そこから外れる方が
いらっしゃったとして、そういう方が35歳を超えたときにどうなるのかとい
う問題は確かにあります。これにつきましては、仮に35歳を超えてフリータ
ー的な形で働く方がいらっしゃるとすれば、さらに35歳以上ということに着
目した形で、一定の対策を考える必要があると思っています。それはどこか
のタイミングで、また議論いただくことになるのではないかと考えています。

　片野坂委員のご指摘につきましては、先ほど説明しましたように現在のご
提案は努力義務という形での法規定を作り、指針で何を具体的にやっていた
だくかを書いて対応していくという考え方ですので、そのとおりということ
です。

　文科省との関わりにつきましては、これもご指摘のとおりです。そもそも
フリーターやニートになるのを入り口から防いでいくということからは、学
校教育の課程で一定のアプローチを私どものほうでもしていくとともに、文
科省のほうでも一定の対応をしていただく必要があると考えています。若者
に対する関係省庁が集まり、いろいろな会議を持っているわけですが、その
中で私どもとして文科省に対して、フリーターに仮になって働いた場合につ
いては、こういうことに実態としてなるのだという事実なり仕事の探し方な
り、そういったことについて教えていただくことができないかというお願い
をしています。

　私どもとしても、高校のレベルですけれども就職ガイダンスという形で、
例えば就職希望者の多い工業高校や商業高校、あるいは普通高校でも就職希
望者が過半数であるような高校については、その学校に出向き、そういう生
徒全員に対して仮に社会に出た場合に、正社員として最初から就職した場合
と、フリーターという形でアルバイトをつなぐような形で就職した場合では、
これだけの収入の差が出るし、社会労働保険の適用という観点からも非常に
問題があるし、老後の心配もあるのだといったことも含めて、きちんと教え
る取組をしていきたいと考えています。今後とも学生時代からの取組が大事
だと思っていますので、それはやりたいと考えています。
　山川委員や宮本委員、あるいは大橋委員からもご指摘があったかもしれま
せんが、実際に企業に採用していただいた後、できるだけ辞めることがない
ようにするのは非常に大事かと考えています。そのためにも企業内で、若者
に対する対応も含めた雇用管理の改善について取り組んでいただくことは大
事だと思っています。若者の指針の中でも、あるいは努力義務規定の中でも、
実践的な教育訓練の実施、その他の雇用管理の改善ということは想定してい
て、実効性の上がるようなものとしてどういうものがあるのかを考えながら、
一定のものについては、採用された後のことについても盛り込んでいきたい
と考えています。

　新卒一括採用の問題あるいは通年採用の問題ですが、新卒一括採用につい
ては、私どもとして機能していると思っていますけれども、実際に新卒一括
採用という仕組みではあっても、学生が実際に授業に出られない期間がある
というのは認識しています。ただ、それをなくすように更に徹底的に一括採
用を進めるというのは、技術的には難しいところです。最近になって中小企
業の経営者の方からも、新卒の学生がなかなか採りにくいというお話を伺う
ことがあります。これは募集期間に相当幅が生まれてしまい、そういう過程
で複数の内定を取る若者が出て、その内定を出した後、その方が大企業に採
られるということで、結局、人が採れなくなる問題点があるという指摘です。
これからそういう問題というのは、さらに起きてくる可能性もあるかと思っ
ていますので、新卒の採用についてどういう方法がいいのかについては、こ
れから考えていきたいと思っています。

　通年採用の導入については、新規学卒の一括採用について通年採用という
意味で申しているわけではなく、中心は新規学卒一括採用に漏れたような方
について、年長フリーターの方も含めてですけれども、年度途中でも採って
いただくような余地を作っていただきたいということで、年がら年中窓口を
開けていただきたいという意味ではなくて、年の一定のところで、そういう
募集も是非していただきたいという意味合いです。

○白木委員　既に議論されている点と若干重複しますが、今回のこの若年雇
用に関する問題領域は３つあると思います。１つは、これも既に議論されて
いますが、就労意欲を向上させるにはどうしたらいいのか、あるいはその問
題をサポートするにはどうしたらいいかという雇用以前の問題です。２つ目
は、その雇用の入り口のところで先ほどマッチングという言葉がありました
が、マッチングをどうやってやるか。あるいは企業側のフリーター等に対す
る認識的なバリアーをどうやって除去するかという問題が２つ目です。３つ
目に、さらに私が重要だと思っているのは採用してからの育成の問題だと思
います。特に20代、30代前半というのは、どちらかというと技能を形成する
初期の時期であり、非常に重要なコアを作ると考えられます。その時期にど
ういう認識でもって若い人を使うかという雇用側の立場です。これに対する
方針を示すということは重要ではないかと思います。

　私は最近、中小企業を２、３社回って、あるいは私の所にも来ている、社
会人を経験して大学院に来た人たちの話を聞くと、月に50～100時間ぐらい
残業している人も結構たくさんいます。そういう人たちは疲労困憊して、要
するに使いっ走り的なこともやらされているわけです。そうなると休みにな
っても疲れがとれない。ですからそこで技能を形成するどころでなくて、疲
れが蓄積して２、３日休んでも全くとれなくて、このままやったらどうにも
ならないということで辞めて、それで大学院に来ているのも問題かもしれな
いのですが、何かちょっと方針を変えたいということで来ている人とか、企
業に行くと離職した人に遭遇します。この20代、30代前半の非常に技能形成
の重要な時期に、そこで使いっ走り的な使い方、むちゃくちゃにその人たち
にワーク労働を与えるような使い方をしないような指針を示すということで、
何かそういう文言を入れたほうがいいのではないかと思います。

○諏訪部会長　本日は指針の内容を示して議論していますが、皆様ご存じの
ように指針の中身そのものを、今日決めるというわけではありませんので、
こういうものを踏まえて、こうした指針の基礎になる条項を雇用対策法の中
に盛り込もうという方向での議論です。そういうことで、これもまた日本の
将来を賭けた大事な問題なものですから、いろいろなご意見をいただきまし
た。ありがとうございました。

　そこで最後に、その他、これまで集中的に取り上げた若者、地域、外国人
に関する対策以外の点でも、いろいろとご議論をしていただかなければいけ
ないところがあろうかと思います。とりあえず今日の時点でご意見がありま
したら、この際ということでお出しいただければと思います。いかがですか。

○成瀬委員　ほかの委員から発言がないようですので、前回の繰り返しにな
ってくどいようですが、申し上げておきたいと思います。１つは女性に係る
対策ということで、前回申し上げたとおりメッセージ性ということもござい
ますので、妊娠、出産、育児等を期に退職した女性の再就職の促進はもちろ
ん重要ですが、これ以前に、そもそも妊娠、出産、育児等を期に退職するこ
とがないように、離職することがないようにという施策の充実及びそれに関
するメッセージ発信ということを、厚生労働行政としても是非充実をしてい
ただきたいというのが１点目です。

　２点目ということで、不安定な雇用状態の是正ということに関連して、期
間の定めのない雇用契約と有期雇用契約とにかかわらず、ともに雇用管理の
改善がなされるべき、直接雇用、間接雇用にかかわらず、ともに雇用管理の
改善がなされるべき、この２つの視点を是非盛り込んでいただきたいという
ことで、ご検討をお願いしたいと思います。

○諏訪部会長　同じように、これまでのご意見の補足等でも結構ですから、
お出しいただきたいと思います。あるいはこれまでなかった新たな視点等の
ご意見でも結構です。

○原委員　議論のたたき台ということで(1)から(9)までありましたけれども、
一貫してお願いしていますように、(2)と(8)に関連して先ほども答弁がありま
したけれども、要するに非正規でなく正社員を採用するということについて
の強力な誘導措置について、先ほどは強制措置はしないということを言われ
ましたが、誘導措置ということもあるわけなので、強制措置と誘導措置とい
ったことを今回打ち出すというか、そういったことで従来からも検討すると
おっしゃっていますけれども、より明確に具体的に検討をお願いしたいとい
うのが要望です。

○森（郷農委員）代理　感想なのですが、雇用対策基本法ということで、本
来、国がやるべき措置ということで、きちんともう少し議論が必要なのでは
ないか。結局、今回の若者もそうですけれども、国がやるべきと言っておき
ながら実質的には事業主に対する責務ということで、あれもこれもそれもと
いうことでかなり並んでいて、正直言って非常に違和感があるところです。
もともと企業にとって採用というのは市場原理というか、そういうことで必
要に応じて確保されてくるべきものだと思っていますので、それでこぼれる
ところに対してどうしたらいいでしょうかということを、本来きちんと検討
するべきであって、あまり十分な議論がないまま何でもかんでも企業に企業
にということで、本当にそれで済むのかなというふうに思うところです。

○生田総務課長　成瀬委員からのご意見の中で、女性の対策の中で離職した
方だけでなく、そもそも離職しないようにする対策ということがありました。
こういった点については今後、どういうふうに盛り込んだらいいのかという
こと、あるいは盛り込めるかどうかということも含めて検討していきたいと
考えています。

　不安定な雇用状態の是正ということですが、これにつきましては、いまの
雇対法の中の６号に「不安定な雇用状態の是正を図るため、雇用形態の改善
等を促進するために必要な施策を充実すること」ということで、これは不安
定な対象について雇用形態の改善と、今回、追加で就業形態というのを付け
加えたいと考えていますが、就業形態の改善を進めるということで考えてい
ます。それに付け加えて、新たに「労働力の確保及び良好な雇用機会の創出
のための雇用管理の改善」ということで、いまあるものをより良くしていく
という観点からの対応についても盛り込んでいくことを想定しています。雇
用形態の如何を問わず、雇用状態の是正あるいは雇用管理の改善を進めてい
く思想は貫くという考え方です。

○諏訪部会長　まだいろいろご意見があろうかと思いますが、今日も活発に
ご議論いただいているうちに、ほぼ終了の時刻になってまいりました。本日
はここまでにさせていただきたいと思います。

　今後の進め方についてですが、８月24日に開催された職業安定分科会にお
いて、雇用対策基本問題部会で議論し、それを職業分科会に報告し、分科会
でも意見をいただいて、その意見をまた部会にフィードバックするというこ
とが言われていたわけです。11月14日に職業安定分科会が開催されることに
なっていますので、本日までのところで一応、部会における議論が一巡した
ということになっています。そこでこれまでの部会における議論について、
部会長のほうから分科会に報告をするということにしたいと考えています。
その上で次回以降、分科会での議論をまた踏まえまして、部会としての報告
のとりまとめ作業に入っていく次第になろうかと思います。

　分科会への報告事項ですが、ここでは、まずこれまでに部会に提出された
主な資料と、これまで部会で皆様が展開してくださいましたご意見、表明さ
れた主なご意見といったものについて、報告をさせていただくつもりでござ
います。ご相談ですが、報告内容の選択ですけれども、この点、中間報告と
いうこともございますし、部会長の私のほうにもしご一任いただければ幸い
ですが、そのような扱いでよろしいでしょうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（異議なし）　　　　　　　　　　　

○諏訪部会長　ありがとうございます。ではそのように分科会のほうに報告
をさせていただきたいと思います。ほかに特にご意見なり、ご要望なりござ
いませんようでしたら、本日の部会は以上をもって終了とさせていただきま
す。
　　　　　　　　　　　　　　　　（署名委員指名）　　　　　　　　　　　　　　　

　次の部会ですが、11月24日（金）10時からを予定しています。場所は変
わりまして13階の職業安定局第１会議室です。本日の会議は以上をもって終
了とさせていただきます。ありがとうございました。




　　　　　　　　　　　　　　（照会窓口）
　　　　　　　　　　　　　　厚生労働省職業安定局雇用政策課雇用政策係
                                  　　ＴＥＬ：03-5253-1111(内線5732)