06/10/30 第1回厚生科学審議会健康危機管理部会 (議事録) 第1回 厚生科学審議会健康危機管理部会            日時 平成18年10月30日(月)            16:00〜17:00            場所 厚生労働省省議室 ○ 桑島健康危機管理官   開会に先立ちまして、傍聴の皆様方にお知らせいたします。傍聴に当たりましては既 にお配りしております注意事項をお守りいただきますようお願いをいたします。それで は、ただいまから第1回厚生科学審議会健康危機管理部会を開催いたします。私は厚生 労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理官の桑島でございます。どうぞよろしくお願い いたします。部会長選出までの間、議事の進行役を務めさせていただきます。また、委 員の皆様方には本日大変ご多忙の中お集まりいただき御礼申し上げます。初めての部会 でございますので、最初に委員のご紹介をさせていただければと思います。お手元の資 料1に名簿を用意させていただいておりますので、お名前の順番に沿ってご紹介申し上 げます。できましたら一言ずつご挨拶をいただければ幸いでございます。それでは、明 石真言委員です。 ○ 明石委員   放射線医学総合研究所の被ばく医療センターで、被ばく医療を担当しております大分 の明石でございます。皆さんのお役に立てればと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官   ありがとうございます。石井正三委員です。 ○ 石井委員   日本医師会から参りました石井と申します。救急、災害、労災、自賠責、それに国際 というような担当をやっております。よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございます。大友委員はご欠席のご連絡をいただいております。続きまし て大野泰雄委員です。 ○ 大野委員   国立医薬品食品衛生研究所から来ました大野でございます。去年の3月までは薬理部 長をやっていました。安全性生物試験研究センターにいましたので、トキシコロジーの 専門と考えております。よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。続いて岡部信彦委員です。 ○ 岡部委員   国立感染研の感染症情報センターの岡部です。感染研ですので感染症が専門です。ど うぞよろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。続きまして加茂登志子委員です。 ○ 加茂委員  東京女子医大附属女性生涯健康センターの加茂と申します。専門はいくつかあるので すけれども、女性精神医学のほかにトラウマティック・ストレスをやっておりまして、 今回はトラウマ関係で出席させていただくことになりました。よろしくお願いいたしま す。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。名簿上では次が吉川肇子委員ですが、ご欠席のご連絡をい ただいております。続きまして工藤宏一郎委員です。 ○ 工藤委員  国立国際医療センター国際疾病センターの工藤と申します。私自身は臨床医で内科、 特に呼吸器の専門です。国際疾病センターということで細菌感染症、隣の感染研と一緒 に臨床部門を担当するということです。どうぞよろしくお願いします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。続きまして国包章一委員です。 ○ 国包委員  国立保健医療科学院水道工学部の国包でございます。よろしくお願いいたします。私 の専門は工学土木系ですが、水道工学という名前になっておりますけれども、水の関係 全般の仕事に就いております。よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。続きまして倉田毅委員です。 ○ 倉田委員  富山県衛生研究所の倉田です。この間まで感染研におりましたが、感染症と言います か、私は感染病理学が専門です。よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。黒木由美子委員です。 ○ 黒木委員  財団法人日本中毒情報センターの黒木でございます。よろしくお願いいたします。私 どもは化学物質、自然毒に関する急性中毒の情報を提供しております。よろしくお願い いたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。南砂委員です。 ○ 南委員  讀賣新聞東京本社解説部の南でございます。よろしくお願いいたします。私は主に医 療を中心とした報道と解説の仕事に携わっております。よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。山口鶴子委員です。 ○ 山口委員  板橋区保健所長の山口でございます。保健所は、ご承知のとおり食中毒や感染症など、 地域の健康危機管理に取り組んでおるわけですが、私は全国保健所長会の理事もしてお りまして、全国保健所長会で健康危機に関する委員会を設けてございます。そこでやは り全国的な取組みを保健所長として、していこうということで、今年はインフルエンザ H5N1発生時の連携の仕組みなどを検討しています。ここから40分で参れる所にあ るものですから、全国保健所長会から推薦を受けて参加させていただいております。よ ろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。山本茂貴委員です。 ○ 山本(茂)委員  国立医薬品食品衛生研究所の食品衛生管理部長をしております山本です。食品衛生全 般についての専門ということで入っていると思います。特に微生物学系の専門というこ とで考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。山本都委員です。 ○ 山本(都)委員  国立医薬品食品衛生研究所の安全情報部第三室長の山本です。食品中の科学物質も含 め、科学物質全般の安全性に関する情報の調査、分析をしております。よろしくお願い します。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。欠席の委員も含め15名の先生方に委員のお願いをしてお ります。次に事務局のご紹介を申し上げます。まずは西山正徳技術総括審議官、藤井充 大臣官房厚生科学課長、林憲一研究企画官です。それでは、事務局を代表して西山技術 総括審議官より一言ご挨拶を申し上げます。 ○ 西山技術総括審議官  それでは、一言ご挨拶申し上げます。今日はお忙しいところお集まりいただきまして、 また、委員に快く就任していただきまして、誠にありがとうございます。申し上げるま でもなく平成7年の地下鉄サリン事件、あるいは平成11年の東海村JCO原発事故、 平成15年に発生したSARS、それから、最近では鳥インフルエンザなどの新興感染 症、北朝鮮の核実験ということで、国民の健康危機管理に関しては国の関心もございま すので、私ども厚生労働省もこれまでいろいろな施策を行ってきたわけです。今日は核、 病原体、化学物質といった色々な分野の専門家の方に集まっていただきましたけれども、 いまの私どものシステムでいいのかどうか一度ご覧いただきまして、忌憚ないご意見を いただければと思っております。特にテロにつきましては初動が大切です。その初動体 制についてどうしたらいいのかについてご議論いただきたいと思います。  従来から国内でのテロ発生に備えた対応としましては、後で詳しく申し上げますが、 炭疽、天然痘に関する情報提供、それから、医薬品等の流通状況の把握、医療体制の確 保、あるいは、ワクチンの備蓄というようなことをやってきたわけです。また、休日、 余暇を含めた連絡体制の確立ですとか、関係機関との連携強化などを進めてまいりまし た。しかしながら、実際にこういった様々な問題が起こる可能性が、蓋然性と言います か、高くなってきましたので、こうして初めて専門家の先生方に集まっていただいた訳 でございます。ひとつ、今日は1時間と時間が限られている中ではありますけれども、 今後を含めてよろしくご指導賜りたいと思っています。以上、簡単ですけれども、健康 被害発生時における適切な初動体制についての有意義な議論をしていただきたいと思い ます。よろしくどうぞお願いいたします。 ○ 桑島健康危機管理官   続きまして資料の確認をいたします。皆様方のお手元に配付している資料ですが、資 料1が先ほどご覧いただいた委員の名簿です。資料2が危機管理部会について、資料3 が健康危機管理部会の運営細則(案)をお示ししております。それから、以降につきま しては参考資料として準備させていただいております。参考資料1が厚生労働省の設置 法、参考資料2が厚生科学審議会令、参考資料3が厚生科学審議会の運営規程、参考資 料4が関係の審議会等について、参考資料5が厚生労働省の健康危機管理体制図のフロ ーチャート、参考資料6が緊急事態に対する政府の初動連絡体制についてです。資料の 過不足等ございましたら事務局のほうに申し付けいただければと思います。  それでは、本日は第1回目の会合ですので、そもそも厚生科学審議会健康危機管理部 会の設置をさせていただく趣旨、あるいは当部会の役割について間単にご説明させてい ただきます。資料2に基づいてご説明させていただきます。概要ですけれども、いま技 総審のご挨拶にもありましたけれども、テロも含む国民の生命、あるいは安全を脅かす 事態である健康危機の発生時に緊急の対応について知見を得ることを目的として当部会 を設置するということです。それで、いろいろな健康危機があるわけですが、本部会の 所掌をいたしますのは原因の明らかでない公衆衛生上の重大な危害が生じた場合、また は生じるおそれがある場合ということで、テロも含めてですが、そういったことを想定 しております。「但し」というところで書いてありますが、他の審議会・分科会・部会の 所掌に属するものは除くということです。  他の部会ということですが、参考資料4に全体の構成をお示ししております、関係審 議会という全体の概括をしていただく資料をご用意しております。ここでご覧いただき ますように大きな括りは厚生科学審議会、それから、いちばん下に薬事・食品衛生審議 会というものがあります。それぞれの審議会の下に食品には省略していますが、厚生科 学審議会の下には感染症分科会、あるいは生活衛生適正化分科会というものがあります。 更にその下にそれぞれの部会がぶらさがっている形になっており、当部会については厚 生科学審議会のいちばん下、下から1つ上がっていただきますと健康危機管理部会とい う部会を設置させていただくことになっております。それぞれの部会、審議会等に属す る例えば感染症、食中毒、科学物質、医薬品に関して、原因が明らかであるものはそれ ぞれの分科会、部会等で審議していただく形になっております。繰り返しになりますが、 原因が明らかでなくどこにも属さない、ある意味ではセーフティーネット的な部会を立 ち上げようということです。  また資料2に戻って、原因が明らかでないということですが、実はこの部会が立ち上 がる直接の切っ掛けになった事案を少しご紹介申し上げておきます。平成16年9月に 東北、北陸地方を中心に急性脳症が発生しました。スギヒラダケ等を摂食した、あるい は腎不全または腎の障害を持っていらっしゃる方、いろいろな原因があったと言われて おりますが、依然としてまだ原因は明らかでないという実態があります。行政的な対応 としてはスギヒラダケを食べないという通知を出して、現実にもう既にそれ以降の急性 脳症は起こっておりませんが、いずれにしても、そのときに感染症、食中毒、科学物質 等の可能性を幅広く考えて、分野横断的な検討を行うための専門家の組織が必要ではな いかということが議論されました。それを受けまして、平成17年の厚生科学審議会に おいて当部会を設置してはどうかということをお決めいただいたところです。それを受 けて本日の会議になっているわけです。  資料3.の組識でいまご覧いただいたとおり厚生科学審議会の下に当該部会を設置し ており、NBCテロなど専門家の個別分野に関して必要に応じて委員会を設けることも できます。事務局は厚生科学課のほうで所掌いたします。  それから、4.の委員の構成ですが、先ほど各委員からご自分の分野をご紹介してい ただきましたけれども、感染症、食品、水、医薬品の専門家に加えて核、あるいは生物 剤、科学剤、救急、それから、災害医療、地域医療、地域保険等の専門家、それぞれの 専門家で構成されております。それから、部会の活動についてですが、もちろんそれぞ れの事案が生じた場合、発生時には必要に応じて部会を開催、あるいは後ほど細則のほ うでご説明いたしますが、それぞれのご意見を即座にいただけるような対応の体制をと っていただきたいと思っております。それから、対応方針についても議論いただきたい ということです。最後の・ですが、定例として年に1回開催し、健康危機管理に関する 事項についてご議論いただきたいということです。  非常に雑駁でございますが、当部会について簡単ではありますがご説明させていただ きました。ただいまご説明させていただいたことについてご質問等いただけましたら幸 いです。よろしくお願いします。  特に無いようでしたらよろしいでしょうか。また、後のほうで委員の皆様のご意見を いただける時間もありますので。  引き続き議事を進めさせていただきたいと思います。本日の議事に入りますが、健康 危機管理部会の部会長の選出をさせていただきます。厚生科学審議会令第6条3項に、 部会に部会長を置き当該部会に属する委員の互選により選任するとありますので、部会 長の選出をお願いしたいと思いますが、選出の方法については委員の互選ということに なっておりますので、お諮りさせていただきたいと思います。どなたかご意見等ござい ましたらお願いをいたします。 ○ 南委員  私が申し上げるのも僭越ではございますけれども、国立感染症研究所の前所長でいら っしゃいまして、感染症や病原体による食中毒に関して幅広い知見をお持ちで、また、 バイオテロで使用される可能性の高い天然痘ウィルスに感染した患者の診療等のご経験 もおありになって、我が国を代表する専門家でいらっしゃいます倉田先生、現在富山県 衛生研究所の所長でいらっしゃいます倉田先生にお願いしてはいかがと思いますが。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございました。ただいま南委員から倉田委員に部会長をお願いできないか というご発言がございましたが、いかがでしょう。 (異議なし) ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございます。それでは、ご異議がないということですので、倉田委員に当 部会の部会長をお願いしたいと存じます。それでは、倉田委員、前の席にお願いをいた します。 ○ 倉田部会長  それでは、この会議の部会長を仰せつかりましたので、円滑な運営をしていくように 努力したいと思いますが、ご協力お願いします。審議会令第6条の5項に、「部会長に事 故のあるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指 名する者が、その職務を代理する」とございます。そこで、部会長代理につきまして、 もしご異存がなければ感染症情報センター長の岡部委員にお願いしたいと思うのですが、 いかがでしょうか。 (異議なし) ○ 倉田部会長  それでは、よろしくお願いします。次に議題の2、健康危機管理部会運営細則という のがあります。この運営規程の第10条で審議会、分科会、または部会の運営に必要な 事項はそれぞれ分科会長、または部会長が定めるとされております。当部会の運営細則 についてご相談申し上げたいわけですが、事務局から厚生科学審議会の健康危機管理部 会の運営細則(案)、資料3の説明をお願いします。 ○ 桑島健康危機管理官  それでは、資料3でご説明をさせていただきます。当部会の運営細則の案ですが、ご 覧いただきますとおり第1条から第10条まであります。第1条から第7条までは当部 会に設けることのできる委員会について書いてあります。この資料3については当部会 のそれぞれ細かなことを決めると言うよりも、当部会については1つ上の厚生科学審議 会の運営規程というところで運営のあり方について全て決められております。危機管理 部会に固有な部分を集めてこの細則を決めさせていただいております。ですので、いき なりこの委員会の設置ということになっておりますけれども、それはこの部会に設置さ れる委員会ということで出てきています。  細かい説明は省略いたしますけれども、この細則の中でポイントになる点が2点あり ますので、そのご説明をさせていただきます。まず、第5条でこの会議の公開について ご議論いただきたく、準備をしております。そもそも部会については公開することによ って個人情報の保護、あるいは知的財産権等が不当に侵害されるおそれのある場合につ いては、ほかの部会も共通して情報を非公開にすることができるという規程になってい ますけれども、当部会についてはテロに関することを議論していただくことも含め、こ の資料の第5条の下段のトップのところに書いてありますが、国の安全を害されるおそ れがある場合についても加味して、併せて会議を非公開とすることができるという規程 にしています。  それから次に第8条、下段のいちばん左側になりますが、議事の特例という条項を設 けてあります。「緊急その他やむを得ない事情のある場合は、部会長の認めるところによ り、文書、その他の方法により部会の議事を行うことができる。議題の内容から合理的 に判断して、部会を招集して審議する必要がないと部会長が認める場合も同様とする」。  2項で、「前項の場合においては、部会長はその議事について、次に招集する部会に報 告をしなければならない」ということです。平たく申し上げますと、テロのような非常 に緊急性を要する事案が起こっているときに、委員の方すべてお集まりいただくのでは なく、特定の委員の方にいろいろとお話をお諮りして、その事案について検討していた だく、ご審議いただくということです。もちろん、決まったことについては部会におい て後日報告をさせていただきます。事務局からの説明は以上でございます。 ○ 倉田部会長  ありがとうございました。ただいまの運営細則の説明について、特に第5条と第8条 の問題を判断してほしいということですが、ご意見、質問がありましたらどうぞ。資料 3全体にわたってでも構いませんが、いかがでしょうか。最初は委員会の設置、委員会 の構成、委員長の指名、委員長の招集、この辺のところは何も修正はないのですが、会 議の公開性の問題、特例の議事の進め方に関して何かありませんか。特に異存がなけれ ば了承いただいたことになりますが、いかがでしょうか。 (了承) ○ 倉田部会長  それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。そのほか事務 局から何かありますか。 ○ 桑島健康危機管理官  今後の日程も含めてご連絡申し上げるということなのですが、まだ第1回目でござい ますので、先生方の忌憚ないご意見をいただきたいと思います。 ○ 岡部委員  感染研の岡部ですけれども、最初に事務局からご説明があったのは、この分科会がで きるきっかけになったスギヒラダケの事件というのがありましたけれども、そのとき、 私たちは感染症の疑いがあるということで初動をし、また、いろいろなやりとりを各方 面といたしました。けれども、実際には感染症かどうかわからない、あるいは毒物かも しれない、食品かもしれない。一応感染症かもしれないということで担当しながらも、 どこに相談を持っていこうか、あるいはどこが行政的に音頭を取ってくれるのかと非常 に悩んだ覚えがあります。そのときは厚生科学課が一応ハンドリングをして、特研とい う形で研究を進めるということを、1年間限定でやるということもいったのですけれど も、そういうことがおそらくこういう委員会、こういう場があればそれについて討論が できるということで非常に歓迎した次第です。ただし、本当は役に立たないほうがいい のではと思うのですけれども、何かの折にはこういうのが重要だと思っています。  それから、いまスギヒラダケのお話を出しましたが、一応厚生科学課の肝入りの特研 という形でいろいろな研究者が集まってもう1年ということで報告書を出し、それなり の解決はついているのですけれども、実はその後どうなっているかがなかなか、いろい ろ小さい学会であるとか、それぞれの所では発表があると思うのですけれども、広くオ ープンになっていない。オープンになっているけれども、その結果についてよく浸透し ていないと言いますか、関係者を総合的には、よくわかっていない部分があります。私 自身も疫学のほうを担当しましたけれども、全体を総まとめする形がないので、その他 の領域の結果が分かっておりません。既に本事例は、発生としては収まっているので、 行政対応をするためということではないのですけれども、どこか音頭を取っていただい て、少なくとも今までの総まとめができればありがたいなと思っております。この会で 申し上げていいかどうかわからないのですけれども、最初のことということでちょっと お話をしました。 ○ 山本(都)委員  いま岡部委員からスギヒラダケの話が出ましたので、私もこういう会議があるという ことでちょっと遅ればせながら、いまどのぐらいスギヒラダケについての結果があるか この前調べてみたのですが、邦文、学会発表、それから、学会の記事のような形で60 何報、私が調べた中ではそのぐらい出ているのですね。ただ、それぞれ化学物質のほう から、感染症のほうから、症例報告を扱う先生、それぞれの分野が違うとどういうのが 出されているかもよく掴めないような状態ですので、いま岡部委員がおっしゃったよう に、情報共有を図ってみるのも1つではないかと思っています。 ○ 倉田部会長  そのやり方ですが、この会でやるのか、あるいは関係者で、そのときに関係した人、 山本委員、岡部委員もわかっていますので、相談した上でやってもらって、それをどこ かで公開してもらうか、学会で発表するか。それで、その結果をここに出すという形で どうでしょうか。 ○ 岡部委員  おそらく今後同じような事例が出てくると思うのですけれども、やったけれどやっぱ り不明だというのは、それなりに結構で、やむを得ず不明であるということがあると思 います。それを最後まで追求しようというのはおそらくこの会の目的ではないと思いま す。しかし、このような会を経てディスカッションされたことについて、ある間隔をお いて報告をするなり、まとめるなりしておいたほうがいいのではないかなと思います。 ○ 倉田部会長  この会でどうするこうすると言う必要はないと思うのですが、関係者で検討していた だいて、然るべくまとめをしていただくということでいかがですか。 ○ 桑島健康危機管理官  事務局としても検討させていただきます。 ○ 倉田部会長  ほかにいかがですか。まだ時間がありますので何かご意見がありましたらどうぞ。 ○ 山本(茂)委員  参考資料6の緊急事態に対する政府の初動連絡体制についてなのですけれども、この 図と健康危機管理部会との関係は何かあるのでしょうか。 ○ 桑島健康危機管理官  皆さんのお手元にお配りしている参考資料の6と参考資料5を一緒にご覧いただけれ ばと思います。参考資料5は厚生労働省の中の健康危機管理体制図、参考資料6は表題 にありますとおり政府全体の体制です。まず、参考資料5を簡単にご説明します。それ ぞれのいちばん上が情報の流れです。健康危険情報、それぞれの立場でいろいろな情報 を得ていただくと思います。そうした情報を、左から順番に見ていただきますが、保健 所、国立病院、都道府県、地方厚生局、海外のいろいろな研究機関であったり、あるい は国立の試験研究機関、それから、直接研究者から私どもに情報が入ることもあります。 そうした情報を私どもの各局、各課、あるいは研究機関から厚生科学課のほうに、私ど もの厚生科学課の真ん中の少し太い枠でくくってありますが、それぞれ情報が集まって きます。この時点で、いろいろな情報が集まってきますので情報の評価分析、あるいは そのときの初動体制等をいろいろ検討させていただきます。その右に健康危機部会、こ れも太く枠をくくってありますが、先生方に直接私どものほうから、収集された情報を 提供し、その情報の評価も含めて、初動体制をどうするかアドバイスをいただきます。 そのご意見を併せまして、その下に健康危機管理調整会議というものがあります。その 中で、関係部局が集まってまずは情報の共有、初動体制について調整、あるいは指示を する形になります。  一方、参考資料6はもう少し大きな視点、もう一歩後ろにさがって見ていただく感じ になりますが、各省に跨るような話ももちろんありますので、左側に緊急事態の発生と いう大きな図が書いてあります。そこからいろいろな情報が内閣官房のほうに上がり、 内閣官房からは、情報センターから24時間動いている危機管理センターに情報が上が ります。その情報が厚生労働省の下の枠になりますが危機管理携帯に、携帯電話に一報 が入ることになっています。その電話を受けまして、参集幹部と真ん中に大きく書いて ありますが、技術総括審議官が20分以内に官邸に入る、官邸オペレーションセンター に参集するという流れになっています。  厚生労働省との関係で申し上げると、先ほど参考資料の5で申し上げたような、それ ぞれ検討している内容がその時々に応じてこの参集幹部に情報を流していきます。官邸 で各省の調整も含め情報が集まっていく流れになっています。ですので、この健康危機 管理部会でいろいろご議論いただいた、あるいはご指示、アドバイスいただいた内容が 健康危機管理調整会議に上がってきます。その上がってきた情報が更に健康危機管理セ ンター、さらには内閣で危機管理を担当している部署に情報が流れていく形になってい ます。参考資料5と6の関係がこの資料だけではわかりませんでしたので、申し訳あり ませんでした。以上でございます。 ○ 倉田部会長  ありがとうございました。この緊急連絡はどういう体制でやるのですか。土日や3連 休などには。 ○ 桑島健康危機管理官   もちろんこれ24時間、365日の体制になっています。 ○ 倉田部会長  省内は構わないけれど、例えば意見を聞くとか、ここのメンバーの人たちはどういう やり方をしようと考えているのですか。 ○ 桑島健康危機管理官   まだその部分の詳細について先生方にご相談できていないのですが、できましたら、 24時間というのはなかなか申し上げにくいところですが、例えば先生方にご連絡が取れ る体制、あるいは先生方が駄目であれば、どなたか次の方にご連絡が取れる形にしてい ただければ幸いです。 ○ 倉田部会長   それは事務局で検討していただいて、先生方にお願いをするということでよろしいで しょうか。 ○ 石井委員   関連しないこともないので、4年前と思うのですが、9.11の1周年として世界医師 会のシンポジウムがワシントンDCでありました。その際に父親のほうのブッシュ大統 領のメディカルアドバイザーDr.ヘンダーソンが縷々お話されてました。こういう危 機管理の場合、どこかで初めにクエスチョンがあると。例えば臨床の現場で、クリニッ クでちょっと熱っぽいと言って、次の日来たら突然それが重症化していると。いままで にない経過をとったときに、そういうところから引き金を引いて、そこからどうしてい くかというプロセスについて聞かせていただきました。それを念頭にみると、このお示 しされた概念図は非常にきれいでクリアな庁内、政府内のスキームですが、そこで強調 されていたのはさまざまなセクション、研究所であるとか、官民合わせた色々なレベル のネットワークがないといけないということです。それが同時進行で動くことによって 次のリアクションが適確に出せるのです。そういう意味で見直しますと、この参考資料 5というのは、部会と対策本部の距離が、この図上ですが対局にあるという形の作り方 だと思いますが、これはほとんど寄り添う形で、アドバイスがありながら動くというの が形としてはいいと思います。  もう1つは、こういう部内のシステムと先ほど申し上げたように、役所外とどういう ネットワーキングを作るのかということで、現実的なネットワークが作られると思いま す。その中に日本医師会が必要であれば入りますので、そういうことを今後の進め方の 中でご議論いただきたいと思います。以上です。 ○ 倉田部会長  事務局から何かありますか。 ○ 桑島健康危機管理官  ありがとうございます。それぞれの、例えば科学物質、原子力、生物由来のもの、そ れぞれの研究者のネットワークも既にいろいろな所で立ち上げられています。そうした 情報を私どもとリンクしながら情報収集、あるいは対策の検討についていろいろご意見 をいただきながらやってまいりたいと思っています。 ○ 倉田部会長  ほかにいかがでしょうか。いま石井委員の出された問題で、岡部委員はこういうサー ベランスの問題も詳しいので、2、3分話をしてください。 ○ 岡部委員  感染症についてですけれども、公式情報だけだと診断にも時間がかかり、また、報告 をするという、非常に形式的なところでの問題点があったりして、時間がかかります。 そこで、緊急事態のときに備えて、日常からのコミュニケーションをよくするというこ とが現在強調されております。また、WHOの動きでも、最近、国際保健規則(インタ ーナショナル・ヘルス・レギュレーション)というのが改正されましたが、その中でも、 特定の疾患だけではなくて、何かしらの異常があったときには国はWHOに届けてほし いというシステムができ上がってきています。もちろん各国の整備体制などがあります ので、実行するのは来年の7月からとなっております。けれども、そういうオフィシャ ルな情報のほかに、あるいは確定診断がついたほかにも、緊急性を感じるという、いま 先生がおっしゃった現場での感触があったときはやはり届けるというより連絡を取り合 うべきと思います。もちろん、いろいろな出来事があるので、うわさ話であったり、紛 れ込み情報みたいなものも入ってくるでしょうから、それをどこかでスクリーニングと いうか、きちんとした評価をする場所が必要だと思います。  それから、WHOはそのためにいろいろなメディア情報、その他も含めたルーマー情 報、うわさ情報についてもアンテナを高く立てています。私たちもまだまだ十分なキャ パシティーがないのですが、国内でも必要に応じて、確定診断がついていないものに関 するサーベイランス(症候群サーベイランス)であったり、できるだけ現場の先生方か らそういう情報が届いたときには、一つひとつ検証まではいかないのですけれども、そ れらは評価して判断するという形に動いてきています。そういった仕組に関する考察と いうか、考え方や何かも、場合によってはこういう委員会の検討事項になるのではない かなと思いました。 ○ 倉田部会長  ありがとうございました。ほかに質問、ご意見、この部会に関して、あるいは、関連 したことについてありましたら、まだ時間はちょっとありますのでどうぞ。よろしいで すか。それでは、お忙しい中、おいでいただきまして、ありがとうございました。この 会議が用をなさなくなるような平和な日が続くことをひたすら祈っておりますので、ま た、何かあったときはよろしくお願いします。ありがとうございました。                       (照会先)                         厚生労働省大臣官房厚生科学課                         健康危機管理対策室 石 井                         電話:03-5253-1111(内3815)