06/10/27 寝具類洗濯専門部会 第1回議事録           第1回寝具類洗濯専門部会議事録                  日時:平成18年10月27日(金)/14:00〜16:30                  場所:厚生労働省専用第21会議室 ○佐藤係長  開始時間少し前ですが、委員の皆様、事務局もそろいましたので、ただいまから「第 1回寝具類洗濯専門部会」を開催させていただきます。皆様方におかれましては大変お 忙しいところ、本専門部会にご出席いただき誠にありがとうございます。開催にあたり、 事務局を代表して経済課長からご挨拶を申し上げます。 ○武田課長  本日は、寝具類洗濯専門部会にお集まりいただき誠にありがとうございます。  我が国の医療をどのように発展させていくかを考えましたときに、医療の質の向上と 医療の効率化を図っていくことが、大変重要な課題となっております。医療経営の効率 化の観点から、外部委託が進む、こういうアウトソーシングの流れの中で、いかにして 医療関連分野、サービスの分野の質を確保し、ひいては医療全体の質を高めていくこと が大変重要な課題になっております。  現在の制度の仕組みで申し上げますと、医療機関が患者の入院等に著しい影響を与え る業務を委託する場合には、医療法で一定の基準を定めております。これによって委託 業務の水準の確保を担保しているわけですが、この委託基準は、医療機関の側から見ま すと、委託する場合の業者選定の目安となるものですし、患者の側から見ますと、委託 基準がしっかりしたものであれば安全で安心な医療サービスが確保されるということで、 大変重要な役割を担っております。この委託基準については、適宜、現状にそった見直 しを行い、冒頭に申し上げましたような、質の確保と効率化の両立を図るという観点で、 見直しを含めた検討を行っていくべきものと考えております。  今回、各委員の先生方にお集まりいただきまして、ご審議をお願いするこの専門部会 につきましては、先般、9月28日に開催されました「医療関連サービス基本問題検討会」 において設置の承認をいただき、テーマとしては、患者が使用する寝具類の洗濯業務に ついて、委託基準を見直すための検討をお願いしたいということでございます。本日ご 参集の委員の皆様方におかれましては、医療関連サービスの質の向上と効率化という観 点から、忌憚のない率直なご意見をいただければと思っております。本専門部会の審議 を通じて、寝具類洗濯業務委託基準の見直しに関する報告書を取りまとめていただき、 これを医療関連サービス基本問題検討会に諮り、最終的には、本報告書に沿って委託基 準の見直しを図りたいと考えております。本日は、よろしくお願い申し上げます。 ○佐藤係長  続きまして委員の皆様方のご紹介をさせていただきます。  東京大学大学院医学系研究科医療環境管理学客員助教授の上寺祐之委員です。  東京医療保健大学医療情報学科感染制御学教授の大久保憲委員です。  北里大学病院看護部中央滅菌材料部看護係長の斧口玲子委員です。  国立成育医療センター研究所所長の倉辻忠俊委員です。  社団法人日本病院寝具協会理事の榛葉紀久雄委員です。  財団法人東京都保健医療公社大久保病院院長の関口令安委員です。  財団法人日産厚生会玉川病院院長の中嶋昭委員です。  また、本日は参考人としてワタキューセイモア株式会社C&CS研究所から、橋本光 洋様にご出席いただいております。  続きまして事務局を紹介させていただきます。  ご挨拶を申し上げました武田経済課長です。  経済課医療関連サービス室室長の川瀬です。  医療関連サービス室室長補佐の中谷です。  医療関連サービス室技術管理係長の峰岸です。  私、医療関連サービス室企画指導係長の佐藤です。どうぞよろしくお願い申し上げま す。 ○川瀬室長  それでは、本専門部会の座長について、委員の皆様にお諮りしたいと思います。本専 門部会は、患者等が使用する寝具類の洗濯及び消毒という専門的な内容についてのご検 討をいただきますため、院内感染有識者との観点から、大久保委員にお願いしたいと思 いますが、皆様いかがでしょうか。 (異議なし) ○川瀬室長  ありがとうございます。ご異論がないようですので、大久保委員に座長をお願いした いと思います。それでは、大久保委員には座長席にお移りいただきまして、一言ご挨拶 をお願いしたいと存じます。その後、引き続き、議事の進行をお願いいたします。 ○大久保座長  ただいまご紹介いただき、この専門部会の進行役をお引き受けした大久保です。どう ぞよろしくお願いいたします。一言ご挨拶を申し上げたいと思います。  先ほど、武田経済課長からもお話がありましたように、この専門部会は「医療関連サ ービス基本問題検討会」の基本方針に従って組織されたわけです。昨今、院内感染にか かわるいろいろな問題が報道等でも取り上げられていますが、中でも患者の清拭タオル 等の洗濯にかかわる問題もまだ記憶に新しいところだと思います。少なくとも院内で使 うものが衛生的である必要があるわけですが、どこまでその衛生基準を求めるかという ことは、まだ正式なきちんとした議論がなされていません。諸外国の様子を見ても、や はり皮膚等の、いわゆるノンクリティカルな領域に触れるものについては、一般的には 通常の洗濯、家庭で行うような日常的な洗濯で十分ですが、これが病院からの洗濯物と なると、非感染性の患者やいろいろな状況の患者がいる。その中で、そういったものの 基準を作っていく必要があるわけです。  一方、その処理方法についても、現在、熱水等を用いた基準は作られておりますが、 消毒薬、中でもガスを使ったもの、EOGガスあるいはホルムアルデヒドガス等が使わ れていますが、その作業の安全性や残留毒性が患者に及ぼす影響等について、いろいろ 危惧されるところもあるわけです。そういったことも含めて、今後、この専門部会にお いて委員の皆様からご意見等をいただき、安全で有効な方法を検討していけたらと思っ ております。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、早速議事に入りたいと思います。先ほど申し上げましたように、この専門 部会は「医療関連サービス基本問題検討会」において、患者等の寝具類の洗濯業務の委 託基準について、専門部会を設置して検討を行うという趣旨で設置されたものです。本 日の最初の議題「寝具類洗濯専門部会の設置について」、事務局から簡単に説明をいた だきたいと思います。 ○佐藤係長  資料の説明に入る前に、本日の配付資料の確認をさせていただきます。  上から「議事次第」「座席表」、そして「委員名簿」です。資料1として「寝具類洗 濯専門部会の設置について」。資料2−1として「医療関連サービスの現況」。資料2 −2として「寝具類洗濯業務の委託の状況」。資料3−1として「業務委託に関する関 係法令」。これには添付資料として、別添1の三段表の少し暑いもの、別添2の1枚も ので「患者等の寝具類とは」。資料3−2として現在規定する消毒方法の一覧表。資料 3−3として「ガス消毒の比較」。資料3−4として「オゾンガス消毒の安全性等に関 する研究報告」。これについては、本日ご出席いただいている橋本参考人から説明をい ただきたいと思います。資料3−5として「オゾンガス消毒の追加に係る論点」。最後 に参考資料として「要望書」です。  以上が本日の資料ですが、落丁等がありましたら事務局までお持ちいただきたいと思 います。よろしいでしょうか。では、資料の説明に入りたいと存じます。 ○川瀬室長  資料1の「寝具類洗濯専門部会の設置について」ご説明させていただきます。  まず1頁をご覧ください。「目的」としては、医療機関が業務委託を行う場合、委託 業者をどのような基準で選択すればいいのか。その物差しとして医療法で「病院等の管 理者は診療又は患者の入院に著しい影響を与えるものを委託しようとする場合は、一定 の基準に適合するものに委託しなければならない」として、業務委託の水準の確保を図 っております。現在の寝具類洗濯業務の委託基準は、病毒感染の危険がある寝具類とそ れ以外の寝具類について消毒方法は分かれております。病毒感染の危険がある寝具の消 毒については蒸気、熱湯、塩素剤、ガス等による消毒法で行うことになっておりますが、 このうちガスによる消毒は、低温で殺菌等ができるため、加熱による材質への損傷おそ れがないといった利点がありますが、残留毒性、発がん性など人体への影響等から、よ り安全で有効な消毒方法が求められているところです。  また、近年はオゾンの殺菌消毒、脱臭効果の活用が、医療、医薬関係、介護関係、食 品関係など、さまざまな分野において取り入れられている状況があります。こうした状 況を踏まえて、オゾンガスについて専門的な観点から検討していただくために、医療関 連サービス基本問題検討会の下に「寝具類洗濯専門部会」を設置して、オゾンガス消毒 の安全性や有効性について検討することをご了承いただいたところです。  2頁をご覧ください。スケジュールとしましては、本日の第1回の開催を含め、全体 で3回程度開催して報告書をまとめていただき、それを医療関連サービス基本問題検討 会に報告したいと考えております。  3頁をご覧ください。医療関連サービス基本問題検討会の要綱です。「3」のアンダ ーラインを引いているところがこの専門部会の位置づけで、「本検討会の下に、必要に 応じて医療関連サービスの各業種毎に具体的な検討を行うための専門部会を設置する。 専門部会では、検討会の定める基本方針に従って検討を行い、専門部会がまとめた報告 については、検討会において最終的な検討を行う」ということになっております。  4頁にはその基本問題検討会の委員名簿、5頁から6頁にかけては、いままで検討し てきた経緯が載っております。6頁の下から3段目、近年では平成16年11月に「滅菌消 毒専門部会」の設置が承認されて、翌平成17年9月にその報告書として「滅菌消毒業務 の委託に関する報告書」が了承されております。また、平成18年9月の第20回医療関連 サービス基本問題検討会において、この「寝具類洗濯専門部会」の設置が承認されたと ころです。説明は以上です。 ○大久保座長  ありがとうございました。ただいまの説明に関して、ご質問、ご意見等ございますか。 よろしいでしょうか。それでは2番目の議題「寝具類洗濯業務の現況について」、資料 の説明を事務局からお願いします。 ○川瀬室長  資料2−1「医療関連サービスの現況」についてご説明します。これは財団法人医療 関連サービス振興会が3年に1度行う実態調査の報告書から引用した資料です。まず2 頁をご覧ください。各種サービスの概要ですが、左側に事業の種類があります。これら の具体的な内容については右側の「サービスの概要」にコメントされておりますが、今 回はその説明は省略させていただきます。ここに掲げられている業種は16ありますが、 このうち医療法に定められている業務委託基準に関するものは、四角い枠で囲んだ9業 種になります。医療法において委託基準を定めているものは8業種ですが、医療関連サ ービス振興会では医療機器の保守点検業務を、院内医療機器保守点検と在宅酸素供給装 置保守点検の2つに分けて調査をしておりますので、ここでは9種類に印がついている という状況です。  3頁をご覧ください。主な委託、受託率の状況を見ますと、上のほうのいくつかにな りますが、「寝具類洗濯・賃貸」、「医療廃棄物処理」、「検体検査」については、い ずれも95%以上の委託率となっており、ほとんどの医療機関が委託を行っているという 状況が窺えます。  4頁をご覧ください。これは前の頁の委託率をライフサイクル曲線に当てはめたもの です。いちばん右上のほうですが、「寝具類洗濯・賃貸」「医療廃棄物処理」「検体検 査」については成熟期を迎えているという状況です。  5頁は医療関連サービスに対する満足度です。どのサービスについても端的に満足す る病院は必ずしも多くはありませんが、全般に一定の満足を示す病院が多く、「満足」 と「やや満足」を合わせた割合は、おおむね半数以上となっております。中でも「検体 検査」「医療用ガス供給設備保守点検」の場合は、2つを合わせると約80%近くになっ ているという状況です。「寝具類洗濯・賃貸」については70%強という状況になってお ります。  6頁は医療関連サービスマークの認定数です。医療関連サービスマーク制度は、良質 な医療関連サービスの提供に必要な要件を認定基準と定め、この基準を満たすサービス に対して医療関連サービスマークの認定を行っているものです。トータルの認定数を見 ますと、平成13年の2,102事業者から平成18年には2,399事業者となっております。  続いて資料2−2「寝具類洗濯業務の委託の状況」について説明させていただきます。 2頁をご覧ください。これは714病院の開設主体別、病床規模別の委託率です。上の段の 開設主体別の欄を見ていただきますと、国立からその他まで、その他というのは学校法 人、社会福祉法人、個人などですが、いずれも97%から100%の委託率となっておりま す。下段の病床規模別の欄を見ていただいても、50床未満から500床以上まで、同じよう な委託率ということで、開設主体別及び病床規模別に関係なく高い委託率となっている 状況です。  3頁をご覧ください。これは社団法人日本病院寝具協会の会員157社における平成18年 6月末現在の契約状況です。契約施設数を見ていただきますと、病院と有床診療所を合 わせて1万6,811施設、契約病床数では149万8,391病床となっております。ここには書い ておりませんが、病院だけの契約数を申し上げますと、平成18年6月末現在の医療施設 動態調査においては病院数が8,976施設となっており、寝具協会会員の契約病院が7,929 病院ですから、病院数の契約率は88%ということになります。また、病床数で申し上げ ますと、医療施設動態調査では約163万床ありますので、契約病床数としては87%の契約 率という状況になっております。社団法人日本病院寝具協会の会員における市場規模は かなり大きいものと考えられます。以上で説明をお終わります。 ○大久保座長  どうもありがとうございました。医療関連サービスの現況及び委託の状況についてお 話をいただきました。どなたかご質問、ご意見ございますか。  ただいまのご説明の中で、医療機器等の滅菌消毒業務は院内委託と院外委託に分ける ことができると思うのですが、この寝具類洗濯業務に関しては、すべて院外委託という 形で理解すればよろしいでしょうか。 ○川瀬室長  洗濯業務につきましては、院外のクリーニング場における委託ということでご理解願 います。 ○大久保座長  そうしますと、今回のこの専門部会も、いわゆる人材派遣型を対象とするのではなく て、院外の専用の施設でという、そういう概念でよろしいのでしょうか。 ○川瀬室長  後ほどの資料でも出てきますが、現行基準は病院の外で行う洗濯業務という位置づけ です。 ○大久保座長  わかりました。どなたかご質問、ご意見ありませんでしょうか。ないようですので3 番目の議題の「寝具類洗濯業務の委託基準の見直しについて」、すなわち法令、消毒に 関して資料の説明を事務局からお願いします。 ○中谷補佐  資料3−1「業務委託に関する関係法令」をご覧ください。関係法令としましては、 医療法において病院等でその診療等に著しい影響を与えるものとして、政令で定めるも のと規定しておりまして、それが資料3−1の下の8業務となっております。その8業 務のうちマル7が、今回ご検討いただく「患者等の寝具類の洗濯」ということになりま す。これらを委託するにあたっては、厚生労働省令で定める基準に適合しなければなら ないとしておりまして、2枚目の四角の囲みの中が、その8業種に関係する法令の抜粋 です。その委託するための基準については、医療法の施行規則で定めております。  3枚目をご覧ください。ここがいま座長からご指摘があった部分になりますが、院内、 院外、及びこの8業種について、委託基準の有無をまとめた表です。○がその基準があ るもの、×が基準がないもの、斜線がその該当業務がないという整理になっております。 寝具類の洗濯については下から2番目の枠、基準は医療機関の外に委託する場合に限ら れるということになっております。  続いて、別添1横表の資料です。この資料が基準を定める施行規則と、さらにその具 体的な内容を示す通知の一覧表で、いちばん左側の囲みの中が施行規則、真ん中が局長 通知、いちばん右側が課長通知となっております。寝具類の洗濯業務の基準についてず っと書いてありますが、「洗濯13」という頁をお開きください。指導課長通知の中で消 毒方法を定めております。理学的な方法によるものとして、例えば(2)「八十℃以上 の熱湯に一〇分以上浸すこと」というような形で消毒方法が書いてありまして、次の14 頁に、化学的方法のうち(4)ガスによる消毒ということでガスの消毒方法を定めてあ ります。マル1としてホルムアルデヒドガスによる消毒方法、それから15頁になります が、マル2として酸化エチレンガスによる消毒方法というものがあります。それぞれど のような条件で行うかという規定のほかに、(注)ということで、そのガスによる消毒 を行う場合の作業に関する注意点を記載しております。  続いて別添2の資料をご覧ください。「患者等の寝具類とは」ということで、今回ご 議論いただくときに、寝具類の洗濯と言っているが、それはどういうものかというイメ ージを持っていただくためにご用意した資料です。「患者等の寝具類」と言った場合に は敷布団や掛布団のほか、枕、シーツ、枕カバーなどが入ってきます。ご参考までにご 覧ください。  続いて資料3−2「課長通知に規定する消毒方法」を一覧表にまとめた資料です。先 ほどご説明したガスの消毒方法については、真ん中から少し下に、ホルムアルデヒドガ ス及び酸化エチレンガスによる消毒方法、その条件等についてまとめております。これ は先ほどの通知から関係箇所を抜粋して一覧にまとめたものです。  続いて資料3−3をご覧ください。ガスによる消毒の比較ということで、現行基準に あるホルムアルデヒドガス及びエチレンオキシドガス、今回ご議論していただくオゾン ガス、それぞれの特徴等についてまとめた資料です。例えば有害性の欄を見ますと、ホ ルムアルデヒドガスでは発がん性が「おそらくあり」、あるいは毒性が「眼、皮膚、気 道腐食性」等があります。真ん中のエチレンオキシドガスでは、発がん性は「あり」と いうことがはっきりしていて、毒性についても「頭痛、悪心、脱力、嘔吐」等がありま す。オゾンガスについては、発がん性については現在のところ「明確には認められては いない」といった状況で、毒性については、気道や目を刺激したり、吸入によって肺水 腫を起こしたりという症状があります。  作業環境濃度についてはそちらに示しているとおりです。その他法律規制については、 現行の2つのガスが労働安全衛生法に規制があるのに対して、オゾンガスは「特になし」 という状況です。殺菌能力については、エチレンオキシドガスは「滅菌効果」というこ とですが、ホルムアルデヒドガスやオゾンガスは「消毒効果」ということになっており ます。その他、コストについても比較しております。以上資料3−1から3−3までの 説明を終わります。 ○大久保座長  ありがとうございました。ただいまの法令及び消毒に関する件で、どなたかご質問は ありますか。よろしいでしょうか。  私のほうから少し確認も含めて伺います。別添1の資料の指導課長通知の中で、右下 に「洗濯2」と書いてある2頁のいちばん下、(2)病毒感染の危険のある寝具類につ いて、この辺の具体的な、例えば感染症法でいうとどこまでの菌とか、どういうウイル スとか、そういう具体的なものがあれば説明していただきたいのですが。 ○佐藤係長  感染症法では、病原体(ウイルス)によって一類から五類まで分類していますが、そ れ以外でも、病原菌がわからないもの、いわゆる風邪の症状で外来にかかった患者が吐 血してタオルなどに血がついてしまった、あるいは、下痢の症状がひどい入院患者の排 便がシーツなどについてしまったというようなもの、つまり、感染症法に規定されてい る病原体に汚染されていない患者が使用した寝具類でも、その血液や体液、排便等が付 着しているもの、そういったものについては感染の危険性があるというような取扱いを しています。それらの寝具類を「病毒感染の危険のある寝具類」として整理しておりま す。 ○大久保座長  感染症法で一類から四類までを感染性があるとしているけれど、そういうことではな くて、すべてを含んだ中で感染性があるかどうかを判断してということですか。 ○佐藤係長  そうです。どの患者が使用したものも危険なのですが、特に目に見えるものとして血 液等が付着している寝具類については、より感染の危険性があるということです。 ○大久保座長  皆さん方、よろしいでしょうか。 ○斧口委員  資料3−2「課長通知に規定する消毒法」のいちばん下に、(注)2として「病毒感 染の危険のある寝具類とは」ということで書かれていると思います。 ○大久保座長  (注)2の所に「病毒感染の危険のある寝具類とは、感染症法において五類感染症の 対象となっているB型肝炎、後天性免疫不全症候群などや、血液・体液・排泄物などが 付着しているものである」。そこに具体的に注が書いてあります。そのうちの注1のほ うは、一類から鳥インフルエンザまでですから、四類までということですね。一類から 四類、プラス(注)2ということだと思います。ありがとうございました。  もう1つ。大きな字で「患者等の寝具類とは」と書いてあるものの、いちばん下の定 義の中に「手術衣」と書いてありますが、これは術者ではなく患者用の手術衣と判断す ればよろしいですか。 ○佐藤係長  そうです。 ○大久保座長  ほかにいかがですか。 ○倉辻委員  この寝具類以外に、例えばいろいろな内視鏡など、患者に触れる医療機器などの消毒 に関して、この親部会のほうで、例えばオゾンについての検討をしたという記録はあり ますか。 ○佐藤係長  医療機器等に関しては、政令8業種の中に「滅菌消毒」という業務がありまして、医 療機関の中で使われた医療機器等について滅菌消毒をするということになっております。 滅菌消毒業務は最終工程が滅菌処理ということですので、そういった観点から、オゾン ガスによる消毒という検討はされておりません。 ○大久保座長  私のほうからもう1つ。資料3−3で3種類のガスのいちばん右のオゾンガスの「作 業環境濃度0.1ppm」とありますが、この数値は世界的に見てどういう位置づけになるか。 厳しいほうの部類かどうかということです。私が知る限りでは、特に東欧、東ヨーロッ パのほうではかなり、これよりも低い基準を示していると思います。これは国によって 差があると思うのですが、この0.1ppmというのはどの程度の基準なのか、そのあたりは いかがでしょうか。 ○佐藤係長  この次の資料3−4の中で説明があると思いますので、簡単にご説明します。主要な 地域を抜粋して、標準的なものとして説明させていただきたいと思いますが、大体0.1 ppmが基準になっております。少し厳しい国でいいますと、ロシア、ハンガリーなどは 0.05ppmですが、アメリカやドイツ、イタリア、スイスなどは0.1ppmですので、日本と同 じ基準となっております。 ○大久保座長  ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。 ○関口委員  コストについてですが、ここに出ているのはいわゆる直接のコストですね。この設備 に対するコストというのは、何か比較したことがありますか。 ○佐藤係長  そのコストの関係も資料3−4に出てきますが、ここでは「ランニングコスト/年」 として整理しております。参考までに申しますと、設備に係る初期導入経費というのは、 ホルムアルデヒドガスもEOガスもオゾンガスも、あまり差はないと聞いています。た だ、それ以降のランニングコスト/年については、薬品費とか人件費など、そういうと ころで差が生じてくると思います。 ○倉辻委員  今回配られた資料の別添1のほうで、特に健康政策局長の通知の中では、感染症の病 原体に汚染されているもの、あるいは汚染された恐れのあるものに関して、その施設内 にそれを処理する施設を有しなければならないということになっていますが、今回はそ うではなくて、外部に委託するものに関して用心しようということを検討したいと、そ ういう趣旨でよろしいのですか。 ○佐藤係長  感染症法における病原体の分類は、現状で一類から五類まであるのですが、感染症法 の第29条において、一類から四類に規定する病原体に感染した者が使用した医療器具や 寝具などは、それらを管理する者が消毒や破棄など、蔓延しないような措置をとらなけ ればいけないこととなっておりますので、病院に関していえば、そういった事態が発生 した場合は、病院の管理者の責任において、院内で消毒等の措置を行い感染の危険性を 取り除くものと認識しております。それ以外のものについて委託する場合、そういった ものでもやはり一次消毒をしたあとに事業者に引き渡すのですが、事業者のほうも感染 防御の観点から、危険性を回避するという意味も含めて、再度、消毒或いは消毒効果の ある洗濯を行っているというのが実態です。 ○大久保座長  よろしいでしょうか。それでは、あとでご意見があれば遡ってお聞きするということ で、先に進みたいと思います。資料3−4について、社団法人日本病院寝具協会及び橋 本参考人からご説明をいただきたいと思います。 ○榛葉委員  ただいまご紹介をいただきました社団法人日本病院寝具協会理事の榛葉です。よろし くお願いします。本日は皆様に、オゾンガスによる消毒についての寝具類洗濯専門部会 において、このような発言の機会をいただき誠にありがとうございます。この場をお借 りして御礼を申し上げます。それでは資料3−4「オゾンガスによる消毒について」説 明をさせていただきます。目次で1から8まで、まとめまで入っています。これに従っ てお話をさせていただきたいと思います。  まず、1頁目が「社団法人日本病院寝具協会の概要」です。  マル1協会の設立。当協会は昭和38年2月に、基準寝具業者27会員で任意団体「全日 本基準寝具協会」として発足し、社団法人設立準備等のために奈良市に事務所を開設し ました。昭和39年12月14日に「社団法人日本病院寝具協会」として厚生省(当時)から 設立を許可され、昭和42年7月に事務所を東京に移転。その設立趣旨(抜粋)は、次の とおりです。「『清潔で衛生的な寝具を提供して社会福祉に貢献する』とともに、関係 官庁、医療機関、団体等と密に連絡をとり、医療制度の向上及び充実に寄与し、もって 我々の社会的、経済的地位の向上を図ることを目的として、ここに社団法人日本病院寝 具協会を設立する」ものであります。  マル2基準寝具等の経緯。(1)基準入院サービスは、昭和33年に「看護、給食及び 寝具設備の基準」が定められ、保険医療機関における入院サービスに一定の基準を示し、 その基準を達成することを目標に、入院サービスの質の確保及び向上を図ってきました。 (2)平成6年4月より、大部分の病院がすでに承認を受けていることなどから、基準 サービスとしてではなく、入院機能を有する保険医療機関が当然備えるべき機能として 位置づけ、「入院環境料」として室料と包括的に点数設定されることとなりました。平 成12年4月より、入院環境料、看護料、入院時医学管理料が統合・再編し「入院基本料」 に改められたところであります。  (3)病院寝具の委託については、先ほどからお話があった法令等に基づき、一定の 基準が定められております。(4)昭和39年以後20年の間、医療を取り巻く状況の変化、 病院寝具を扱う事業所の設備等の向上を踏まえ、昭和59年4月6日、総第15号厚生省医 務局総務課長通知「病院における洗濯について」により、病院寝具類の受託洗濯施設 (クリーニング所)に関し、具体的な衛生基準を定めたこと、代行保証を本協会に一本 化したこと、都道府県における洗濯施設を直接主管する環境衛生主管課及び医務主管課、 保険主管課の監視指導の強化が図られることとなりました。(5)医療法の一部改正す る法律(平成4年7月1日改正)により、医療法施行令、医療法施行規則及び厚生省健 康政策局長通知等で、病院・診療所等の業務委託の中の1つに「患者等の寝具類の洗濯 の業務について」が規定されているところです。  続いて、私ども協会が平成17年9月14日、厚生労働省医政局経済課長殿に社団法人 日本病院寝具協会理事長安道光二より、「寝具類に関する消毒方法に『オゾンガスによ る消毒』を追加していただきたく要望する件」という要望書を提出させていただきまし た。「平素から当協会の運営につきましては、格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げま す。さて、現在、寝具類に関する消毒方法につきましては、平成5年2月15日付、指第 14号厚生省健康政策局指導課長通知(平成11年5月10日付経第37号で改正)の別添(病 毒感染の危険のある寝具類に関する消毒方法)が定められており、寝具類、リネン類の ガスによる消毒方法として、ホルムアルデヒドガス及び酸化エチレンガスによる消毒と なっているところであります。一方、昨年、当協会の寝具研究委員会において「寝具類 の消毒に関するガイドライン」の小冊子を作成した際、多くの会員から「寝具類の消毒 作業に従事する作業員の人体への影響及び環境問題等に配慮した新しい消毒方法」の追 加要望がございました。そこで、上記の問題も考慮し、更に経済的かつ有効性の高い消 毒方法として、オゾンガスによる消毒方法の研究を行ってまいりました。つきましては、 寝具類に関する消毒方法のガスによる消毒方法に、「オゾンガス消毒」を選択肢の一つ として追加していただきたく、要望いたします」ということで要望書を出させていただ きました。  4頁目は3「要望内容」。現在、寝具類の消毒は、「病院、診療所等の業務委託につ いて」(平成5年指第14号厚生省健康政策局指導課長通知)の規定に従い、汚染の内容 により、ア.一類感染症等の病原体により汚染されているものについては、感染症の予防 及び感染症の患者に対する医療に関する法律第29条に基づいて定められた消毒方法によ ること。イ.ア以外の病毒感染の危険のある寝具類については、別添2、先ほどからいろ いろお話が出ていますが、別添2に定める消毒方法によることとあり、受託できる寝具 の範囲からイ.の規定が適用されます。ここで別添2とは、理学的方法、これは蒸気とか 熱湯、及び化学的方法が記載されており、化学的方法の中のガスによる消毒という規定 で、ホルムアルデヒドガス、酸化エチレンガスが規定されております。これは先ほどの 要望書と内容が重複しておりますが、会員の声でオゾン消毒を是非推進してほしいとい うことです。  続いて、これは寝具類の医療機関から工場の流れです。(1)洗濯業務の定義。医療 機関において患者が療養上必要な敷布団、掛布団、毛布、包布、タップシーツ、ドロー シーツ、枕、枕覆い及び病衣等の寝具類の消毒、洗濯及び修理を行うこと。  これがフロー図です。まず、医療機関より被洗物が回収されて、それを各工場に搬入 して、ここで仕分けをします。この際、消毒に要するものを分けます。本来、リネン類、 シーツ等では80℃10分という熱湯による消毒でできますが、布団類、業界では掛布団、 ベットパット、毛布、こういったものを布団類と言っていますが、この布団類について は温度を80℃まではなかなか上げられないということで、60℃程度で洗濯する関係で、 いま布団類にはガスによる消毒が用いられております。ここで感染の危険性があるもの、 あるいは病院で一次消毒はしていますが、再度消毒しようというものに関しては、マル 3のほうに品物が移ります。それ以外はそのまま計量・投入・洗濯・脱水をしたあとシ ェーキング、ほぐしてロールアイロナー、要するにローラー、アイロンの親分みたいな のがありまして、温度が180℃ぐらいに上がるロールにかけて、プレスという形で行いま す。最後はフォルダーでたたんで、たたみ終わったものを検針器、やはり注射針とか異 物が混入する恐れがあるので検針器で検査をしてから結束します。それで専用のトラッ クで医療機関へ出荷します。  続いてこれまでの経緯です。私ども日本病院寝具協会の寝具研究委員会では、これ以 外にもかなり細かくやっているのですが、平成16年2月24日からいろいろ新消毒方法を 研究してきました。その中では、最初のうちは消毒ガイドラインを作ってアンケート等 を取った結果、先ほど要望書の中でも申し上げましたが、新消毒方法を検討してほしい という声がありましたので、マル1とマル2、この辺は新消毒方法を検討しております。 マル4とマル5ぐらいで大体、オゾンというものに行きあたりまして、メーカーあるい はワタキューセイモアC&CS研究所と打合せの結果、まず、オゾン消毒とは何か、あ るいは消毒のメカニズム、人体への影響、あるいは環境への影響といったことを勉強し ました。最後のマル6、マル7、マル8では、具体的にオゾンで消毒した際の寝具への 浸透度とか、曝露試験といったものを行いました。  続いて6頁目ですが、6「オゾンについて」。オゾンとは、皆様十分ご存じだと思い ますが説明させていただきます。酸素原子3つ(O3)で構成される不安定な分子で強い 酸化力を持っており、細菌に接触すると強い酸化力を発揮して消毒します。また、オゾ ンの殺菌機序から考えて、耐性菌は極めてできにくいと言われております。さらに、オ ゾンは酸素と電気によって作られるので、コストパフォーマンスが高く、作用後には酸 素に戻るので残留性がほとんどなく、作業者や環境に対して非常にやさしい消毒剤です。 すでに医療機関や製薬研究、介護、食品などの幅広い分野で利用されております。  (1)オゾンの消毒効果。オゾンによる消毒の有効性はオゾンCT値という表現をし ますが、これは濃度ppmと暴露時間、分あるいは秒をかけ算した値です。オゾンCT値は 6,000ppm・minという条件で栄養型細菌、真菌について、寒天培地上の菌を10^6程度消毒 できます。さらに、実際の使用条件を想定したメンブレンフィルター上の菌においても 一般細菌に対し同等の消毒効果があることを確認しております。  (2)オゾンの安全性。オゾンの国内における法律上の規制は特にありませんが、日 本産業衛生学会許容濃度委員会では、労働環境における1日8時間の平均曝露濃度の勧 告値を0.1ppmとしております。しかし、高濃度あるいは長時間オゾンにさらされると人 体に悪影響があることが報告されているため、実際のリネン消毒庫においては、使用後 の余剰オゾンの分解機構をはじめとする安全装置の設置、安全管理マニュアル等の整備 が必須です。以上のことから作業者及びオゾン処理した物品の利用者において、従来の 消毒方法と比較して高い安全性を実現することができます。  (3)オゾンの経済性。オゾンは酸素と電気により生成することができるため、他の 消毒剤に比べて極めて低コストの消毒剤です。さらに、オゾンは消毒現場で機械により 生成できるので、消毒剤の購入や保管管理をする必要がありません。また、使用期限切 れによる廃棄や使用後の消毒剤処理も不要です。さらに、環境保全のための環境測定義 務や管理責任者の設置義務、特別な健康診断も必要ありません。したがって、従来の消 毒方法と比較して経済的な負担を大幅に軽減することができます。  (4)オゾン機器の使用実績。オゾン消毒は医療、医薬、洗濯、福祉介護、食品、水 処理等さまざまな分野で使用されております。  7「寝具類消毒の検討」。(1)オゾンの浸透性。真空チャンバー内に布団を入れ、 減圧後にオゾンを注入し、折り丸めた布団の内部へオゾンの浸透度の確認試験を実施し ました。この結果から、積層する寝具類内部においても十分なオゾン濃度を確保でき、 各計測点(中心部、中間層、表面)によらず、オゾン濃度な同様な傾向で増加すること を確認しました。  (2)オゾンの寝具類への影響。私ども寝具を扱っている関係で、オゾン消毒におけ る寝具材料への影響というのが非常に大きな問題になります。実際に使用される寝具類 の曝露試験を行った結果、先染め、スレン染めの布ではオゾン曝露(オゾンCT値18万 ppm・min:標準処理の30回相当、これは先ほどのCT値6,000を30回相当やったということ で18万になっています)においても劣化、脱色等はほとんど見られませんでした。しか し、プリントの布では曝露回数が増えるにつれ脱色が見られました。ただし、通常の洗 濯においても脱色が見られることから、概ね寝具類の使用には影響がないと推定されま す。また「オゾン曝露→洗濯」を繰り返すことによるアクリル綿の布団への影響を確認 するため、状態変化確認試験を実施しました。オゾンCT値48,000ppm・minという非常に 大きな数字で曝露→洗濯を繰り返し、布団としての状態が変化するかを確認した結果、 10回繰り返しても異常がないことを確認しております。先ほどの布というのが、布団カ バーも布団も、以前は真っ白なカバー類だったのですが、現在は非常に色物、柄物が増 えた関係で、そういった脱色というのがどういう影響を与えるかの実験をしました。  (3)オゾン消毒における注意点。オゾンによる消毒を行うときは以下の注意が必要 です。マル1他の消毒方法と同様に汚れの程度の著しいものは、オゾンの消毒効果が低 下することがあるので留意します。マル2他の消毒方法と同様に、大量の寝具類を同時 に消毒する場合や、ランドリーバック等に大量に詰めた場合は、すべての寝具類がオゾ ンに十分触れないことがあるため留意します。マル3作業所は作業環境基準(オゾン濃 度0.1ppm以下)を確保し、作業者が高濃度オゾンガスに触れないことに留意します。  8「まとめ」。当協会会員からの人体並びに環境にやさしい消毒方法を検討してほし いという強い要望を受け、約2年半にわたり検討してきました。寝具研究委員会の要望 をワタキューセイモアC&CS研究所が取りまとめ、メーカーへの指示、監修等を行っ た結果、消毒の効果、安全性、経済性等の観点から「オゾン消毒法」が協会会員の要求 を概ね満たす消毒方法であるという結論に至りました。冒頭でもお願いしていますが、 この結果を会員各社の活動の安全性や経済性等に早急に反映いたしたく考えています。 寝具類の消毒方法の1つとして追加していただきたく、ご検討を賜りますよう重ねてお 願いいたします。  私どもオゾンガスによる寝具類の消毒は、滅菌レベルを求めては決していません。高 度の消毒ということの位置づけです。現在はガスによる消毒の中の選択肢の1つとして、 是非ご検討をいただければと思いますので、重ねてお願いいたします。  続いて別紙資料について、当協会会員の研究機関であるワタキューセイモアC&CS 研究所の橋本から説明いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○橋本参考人  引き続き別紙をご説明させていただきます。別紙1、先ほども出てきましたが「病院 寝具類工程フロー図詳細」とあります。こちらは先ほど榛葉委員から説明がありました が、特に消毒の部分、マル1からマル2に、洗濯工場に入ってきて消毒と。これは一類 から四類のものは受け取れませんが、それ以外のもの、もしくは先ほど言われた血液、 体液が付いた危険性のあるものが明確に判別された場合に、必要な消毒を行うこととし ます。大体シーツとか包布、枕カバーといった平ものなど、温度をかけても大丈夫なも のは熱湯による消毒などを行っているのですが、厚ものと言われる布団や枕、毛布とい ったものに対しては、温度をあまり上げられないので、EOガスやホルムアルデヒドガ スなどの低温消毒を使用しています。あとの工程については先ほど榛葉委員が説明した ので割愛させていただきます。  別紙2「オゾン消毒有効性データ」で、病院で使用したリネン類、寝具類において、 特に注意が必要な細菌等をピックアップして調査したデータです。106消毒に必要なもの ということで、CT値ということでCT値の単位が出ています。Cはコンセントレーシ ョンということでガス濃度を示すものです。Tはタイムで時間です。この濃度ppmと時間 minの積をCT値ということで示しています。  「有効性データ1」というのは寒天培地で黄色ブドウ球菌、糞便レンサ球菌、大腸菌、 緑膿菌、黒カビ、ヒト結核菌、の106消毒効果を示す値として、CT値をこちらに挙げさ せていただいています。  「有効性データ2」ということで、こちらは寒天培地ではなくてメンブレンフィルタ ーというやり方で、黄色ブドウ球菌と大腸菌、緑膿菌、芽胞菌でCT値を出させていた だいています。それぞれ以下の文献から引用しましたということで、文献名を挙げさせ ていただいています。  別紙3です。「オゾンの安全性」です。まず人体への影響でグラフがあります。縦軸 にオゾン濃度、横軸に接触時間minで、少し長い時間帯は時間の領域の部分が書かれてい ます。アメリカの航空機雑誌の資料より取り寄せたものです。致死域としてピンク色の 部分があります。この濃度と時間の領域であれば致死域に入ります。次のオレンジ色の 部分は有害域です。これは「永続的影響を残す」ということで、肺水腫みたいな症状が 出るということです。次に「有害域一過性影響あり」ということで、この部分は呼吸困 難の症状が出るという領域です。  黄緑色の部分は「無害域」ですが、無害域でも刺激等の感知ということで、呼吸器の 刺激や気道の刺激という感知がされるという領域です。「無害域臭気の他知覚なし」と いうところですが、こちらは0.1ppmから10ppmの少し高い位から、例えば1万分、167時 間ぐらい相当浴びたとしても、無害域であまり人体には影響がない。人によっては0.001 で臭気を感じるという方もいらっしゃるということですが、無害域の領域であるという ことです。  2番目の作業基準です。これはオゾンの作業環境基準を下の表に出しています。先ほ どから申したとおり、労働環境における許容濃度は0.1ppm1日8時間、週40時間程度の 労働時間中にオゾンの暴露濃度の算術平均値がこれ以下ということで、各国いろいろ出 ている資料を出させていただいています。  0.1のところを見ていただきますと、日本、オーストラリア、フィンランド、ドイツ、 ベルギー、イタリア、オランダ、スウェーデン、スイスといった所。アメリカなども0.1 ppmになっています。それ以上の基準としては、赤でマーキングされている部分です。オ ゾンの作業環境については、こういった機械を設置する中では、オゾン分解機能を見て、 0.1ppmとして、オゾンに触れないような構造とすることが必要であり、分解触媒などを 用いて容易に酸素に分解できるということで、0.1ppmでいいのではないかということで やっています。  次頁です。先ほどオゾンの経済性というところでご質問がありましたが、これは酸化 エチレンオキサイドガス、EOGガスとオゾンの比較表になっています。「装置イニシ ャル費用」ということで、機械本体の費用としては、酸化エチレンオキサイドガスもオ ゾンガスも同程度のものであれば、これぐらいの金額になるでしょうということです。  「ランニング費用」については1年間のランニング費用をエチレンオキサイドとオゾ ンと比較して、運転費用と保守管理費用と2つに分けてそれぞれ載せています。これを 見ていただければ、歴然とオゾンのほうがより経済性があるということになっています。  次頁、別紙5「オゾン機器・設備導入例と導入理由及びオゾンガスCT値」というこ とで、表を細かくいろいろ書いています。こちらの資料については医療・医薬で使われ ている部分があります。この部分は次頁にも図が載っていますが、製薬研究所における 容器・リネン殺菌例ということで、オゾン殺菌パスBOX、オゾンBOXで載っている ものです。例えば実験動物飼育ケージ、マスク、帽子、白衣の殺菌ということで、こち らはCT値が6,000〜30,000。次頁に絵が載っていますが、この幅がこのように品物を重 ねている場合に、高い領域の部分が必要になるかもしれないということです。白衣の殺 菌というところになると、CT値は1,000〜3,000で、これは重なっていないというか、 1枚物だということで、少ないCT値でも殺菌効果があるということになっています。  続いて洗濯などにも利用されており、次頁に某企業のカタログが載っています。AQ UAという洗濯機ですが、こちらも一般の家庭用にということで、最近はオゾンの空気 で洗うということで、低濃度のオゾンを吹きかけ、オゾンの空気を使い除菌、消臭の効 果を促していることに使われています。また、この洗濯で使った濯ぎ水をオゾンで浄化 して、また再利用するという節水用の再利用にも使われています。  水処理ということで、こちらは先ほどの洗濯、製薬の次頁に浄水処理ということで、 高度浄水処理にオゾンが使われています。従来の水処理は薬品による凝集沈澱と砂ろ過 で、あとは塩素を入れて配水しているようですが、高度浄水処理はオゾン処理と生物活 性炭吸着処理を行ったもので、オゾンの効果でカビ臭やトリハロメタンとなる物質など を分解するという働きがあります。  東京都における適用状況は平成16年度の適用状況と平成25年度、将来これぐらいの、 100%近く高度浄水処理として、オゾンの技術が使われるのではないかというところを挙 げさせていただいています。  別紙6です。「オゾンガスの浸透度に関する報告」で、オゾンガスの商品に対する浸 透度に対して実験した報告です。「目的」です。このリネン消毒庫の処理対象物の1つ である布団について、実際の処理状態を模擬して、折り丸めた状況で内部へのオゾンガ スの浸透度を確認するということです。平もの、シーツや毛布のような平ものではなく、 少し厚ものの布団や枕といったものに対して使いたいということで、今回は布団を対象 物としています。  「試験条件」としては、この試験機は病院寝具を対象とした装置として開発し、この リネン消毒庫と同様の機能を装備したものでテストしています。「試験方法」としては 2枚めくりますと、まず布団を4つに折りたたみます。それをグルグルとロール状に巻 いています。基本的にはこんなに巻いて処理することはあまりないのですが、より中ま で浸透するかどうかを確認するために、こういう方法でテストしています。マル1布団 の外部のオゾンの状況の確認、マル2 4層目の内部のオゾンの浸透度の状況、マル3い ちばんの中心部、8層ぐらいになっている中心部の内部オゾンの濃度を測定するという ことをしています。このテストは、真空チャンバー内、先ほどの内部に真空チャンバー 内部を減圧した後、オゾンガスを導入して、各部位でのオゾンガス濃度の変化を測定す るということで、サンプリング間隔は3秒ごとにやっています。  先ほどの図の後ろに、その分布のグラフが載っています。上のグラフは縦軸にCT値、 横軸に経過時間で、赤い線がマル1でいちばん外側の部分です。ブルーのラインがマル 2で4層目の部分、緑がマル3でいちばん中心部の濃度、CT値を測っています。いず れもずっと上昇傾向にあり、12分経ったときには、いちばん外側の部分が5万CT値、 いちばん内部においても3万5,000ぐらいはいっているというグラフです。  下のグラフは縦軸がオゾン濃度、横軸に経過時間で、徐々に濃度が上がっていき、 4,000前後で落ち着いているということです。この点を踏まえて「結果」として、先ほど の別紙6の1枚開いたところですが、今回の試験結果から積層する病院寝具(布団)の 内部においても、十分なオゾンガス濃度が確保できることを確認しました。各測定点 (中心部、中間層、表面)によらず、ガス濃度は同様な傾向で増加しているということ が窺えます。  3)番目としてマル1の布団外部のCT値を50,000ppm・minに対して、マル3の中心 部のCT値が3万5,000ppm・minが確認できました。本結果から積層する内部においても、 表面付近の70%以上のCT値を確保すれば、内部まで行き渡りますという結果になってい ます。  次頁、5「考察」として、今回の浸透度に関する試験結果から、病院寝具(布団)を オゾン処理する場合は、目標とするCT値6,000ppm・minを確保するには、庫内のCT値 を8,600ppm・min以上になるように設定すれば、中心内部も6,000ppm・minを確保できる という結果になったということです。  別紙7、オゾンの残留性についての試験を行った結果です。「目的」としてはリネン 消毒庫の使用に際して、消毒対象物に対するオゾンの付着の残留性を確認するのが目的 でやっています。今回の試験に対しても対象物としては、シーツや平もののようにあま り残留性が残りそうにないものはやらずに、ウォッシャブル掛布団とか毛布、枕(ビー ズ)といった厚ものの部分に対して行っています。CT値も50,000ppm・minということ で、通常の規定の6,000ppm・minの8倍のCT値をかけて実験をしています。  「試験方法」は2頁後ろに図が載っています。真空チャンバー内に対象物、ウォッシ ャブル掛布団マル1、マル2の布団、マル3の枕を入れています。処理対象物もそれぞ れの内部に残留オゾンガス濃度測定用のサンプリングチューブを導入しています。真空 チャンバー内を減圧した後にオゾンガスの導入をして、CT値は安全率を考慮して、先 ほど言ったとおり8倍の50,000ppm・minとしています。オゾン処理後、庫内の残留オゾ ンガスを真空ポンプにて1回吸引します。その後、オゾン分解触媒を通してオゾン分解 後チャンバー外に排出します。触媒を通して安全なものを排気する。真空チャンバー内 の減圧をした後、真空チャンバー外の雰囲気ガスを導入するということで、室内の空気 を入れてやります。4)〜5)のエアレーションの工程をトータル15回繰り返していま す。4)〜5)の工程において12回、14回、15回それぞれの時点で残留オゾンガス濃度 を測定しました。最終分解工程としては、真空チャンバー外の雰囲気ガスを導入すると ともに、真空チャンバー内の減圧を行うということで終わっています。  次に表2ということで「オゾンガス残留濃度測定結果」があります。もともとチャン バー内には0回ということで1,650ppmのオゾンガスが残っています。12回エアレーショ ンを繰り返しますと、ウォッシャブル布団、毛布、枕はそれぞれこういう数値になって います。14回になるとほとんど0.1以下の数値になっています。最終15回になるともうほ とんど検知できない領域になっているという測定結果です。  4「結果」です。今回の試験結果からオゾン消毒後の処理対象物の安全性が十分確保 できていることが確認されました。これは厚ものという中で、なるべくオゾンの残留が 残りやすいものに対しても、8倍のCT値をかけても、15回やればオゾンの残留はあま り残っていないということで確認できていると思います。そういう結果になりました。  「参考1」です。リネン消毒庫の安全機能一覧で1番から9番まであります。次頁に は図面も載せていますので、図面と一緒に確認していただければわかりやすいと思いま す。1番目、高気密性の扉ということで、特殊な二重パッキンの高気密性を確保して、 消毒庫の外部へのオゾンガスの漏洩を防止するような機構になっています。2番目はド アリミットスイッチで、運転開始前に扉が閉まっていないことを検知した場合には、運 転を開始できず、きちんと閉まっていることを確認してから運転します。運転中に例え ば扉が開いたことを感知すると、オゾンの消毒工程を中止して、ただちにオゾンの分解 工程を開始させるような機構となっています。  3番目、扉ロック機能です。ドアが閉まっていることを確認し、操作画面の確認ボタ ンを押すと、ドアのロック機構が作動し、運転終了まで扉の閉鎖状態を保持します。4 番目、庫内圧力モニターということで、真空排気工程において、規定時間内に消毒庫内 の圧力が規定圧力まで下がらない場合は、オゾン消毒工程を中止して、オゾン分解工程 を始めますという圧力の監視もしています。陰圧下処理ということで全工程が陰圧下で 行われているので、大気圧との差が生じ、万が一、何らかの状態で機械が封止状態が破 れても、消毒庫外にオゾンガスが漏洩するのを防止するという機構もあります。  6番目、オゾン分解機能で、消毒工程の終了後またはオゾン漏洩等の異常を検知した 際に、強制的に短時間で庫内のオゾンガスを分解し酸素に戻します。オゾンガス濃度が 作業環境基準の0.1ppm以下になるまで分解し、さらに分解工程終了時に規定値以上の残 留濃度が確認された場合は、もう一度分解工程を延長するという機構も付いています。 オゾン濃度モニターが図にもあるように、上と下の2カ所、シルバーの部分と白いオゾ ンモニターがあり、運転中の庫外へのオゾンガスの漏洩を計測し、規定値以上濃度が検 知された場合は異常信号を発信します。また、オゾンガスの分解工程後、庫内の残留オ ゾン濃度を測定し、規定値以上の濃度が検出された場合は、これもまた異常を発信しま す。庫内の中も見ていますし、外側のオゾンガスの状況も見ています。分解工程上で排 出される配管ラインでのオゾンの分解状態なども見ているということで、オゾンモニタ ーを設置しています。  停電時の処理です。停電が発生した場合、配管系は電磁バルブ等で封止されるという ことで、停電が起こったとしても電磁バルブですべて封止されることになっています。 復帰後は自動的にオゾン分解工程を開始します。9番目、非常停止スイッチです。これ は操作担当者が装置の動作状況の異常、オゾン臭等の異常に気付いた場合、手動で工程 を中止することができるとしています。ボタンが押されるとオゾン消毒工程を中止し、 分解工程を開始するという機構になっています。これがオゾンの消毒庫の安全機能です。  次頁です。EOGの消毒庫とオゾンの消毒庫の比較みたいな形で、装置の安全性の比 較表を付けています。どれもほぼ同等なのですが、オゾンのほうがやや、例えばオゾン ガスモニターがあるとか、ガスの分解機能が確実に付いているということで、EOGの ものよりも、さらに安全機能を追加しているという表になっています。  「参考2」です。「オゾン発生に付随するNOx発生について」ということで、前回行 われた基本問題検討会のときに、オゾンを作るときに窒素酸化物ができないでしょうか というご質問がありました。これについては、この本リネン消毒庫に適用するオゾンは 普通の空気を原料ガスとせず、PSA式酸素発生装置により生成する酸素を原料ガスと しています。構成は下図の1となっており、空気はPSA式酸素発生装置に取り込まれ ます。内蔵の窒素吸着剤にて窒素N2と酸素O2に分離されます。この結果、高濃度の酸 素(90%以上)の酸素が得られ、オゾン発生装置に送られてオゾンが作られる。吸着さ れた不要な窒素ガスは酸素発生装置の排気ラインから排出されます。この高純度酸素を 原料ガスとして、オゾン発生装置でオゾンを効率よく生成できるので、PSA式酸素発 生装置で生成された高純度酸素ガスに含まれる窒素は、非常に少なくなっています。オ ゾン発生装置において、窒素酸化物はほとんど発生されないことになっています。  また、常温ではオゾンと窒素ガスは反応しないので、窒素酸化物については問題なく、 ほとんど生成されないという結果を示しています。以上で説明を終わります。 ○大久保座長  長時間にわたってご説明をありがとうございました。皆さん方、いろいろご質問はあ ると思いますが、次にある「オゾン消毒の追加に係る論点」を先に整理して説明してい ただき、それを踏まえてディスカッション等をしたいと思いますので、次の資料3−5 を引き続き事務局からご説明をしていただきたいと思います。 ○佐藤係長  それでは資料3−5です。「オゾンガス消毒の追加に係る論点」です。基本的には、 寝具協会協会あるいは橋本参考人からご説明があったと思いますが、すでにオゾンガス、 あるいはオゾン水について、かなり広い分野で使われてきております。そういった背景 を踏まえると、オゾンそのものの使用については問題ないと認識しておりますが、今般、 患者の寝具類の消毒に使用するという観点から、残留濃度、作業従事者に対する安全性 をきちんと確保することを条件として、資料3−5に論点として整理をさせていただき ましたのでご説明します。  論点1「オゾンガス消毒の安全性」です。1番目、オゾンガス消毒による寝具類の残 留毒性についてです。オゾンガス消毒を行った寝具類に残留毒性があるのではないかと いった観点から、患者に危険が及ぶことはないかという論点です。先ほど資料3−4で ご説明があったように、残留毒性はないという試験結果ですので、その試験結果を含め で皆様方からご意見をいただきたいと思います。  次に、オゾンガスによる作業従事者への影響です。オゾンガス消毒を行う場合、作業 環境によってガスを被曝する可能性があることから、作業従事者の人体への安全性が懸 念される。こちらも作業環境基準等に基づき、そういった設備、装備を配置して、安全 に取り扱っていただく必要があるということです。  3番目、オゾンガス消毒設備自体の取扱いについてです。高濃度のオゾンガスにより 消毒を行うことから、消毒設備からガスが漏れた場合は大きな事故になるのではないか という観点です。構造設備、安全装置、濃度検知モニター等による管理体制が確立され ているということが検証できれば、安全を担保できるのではないかと考えております。  続いて、論点2「オゾンガス消毒の有効性」です。いわゆる病原菌に対して有効なの かということです。実際に寝具類の病原菌が消毒・殺菌されているのかという論点です。 こちらも資料3−4別紙2の試験内容によって、病院等で確認されるような病原菌につ いては有効性を発揮しているということですので、試験結果を含めてご意見をいただけ ればと思います。  次に、消毒に要する濃度×時間です。ホルムアルデヒドガス、EOガスについてもあ る一定の濃度、時間を指定しておりますので、オゾンガスを導入した際にも、同様に濃 度、時間の指定が必要であるという観点です。  論点3は、先般の「医療関連サービス基本問題検討会」におけるオゾンガス消毒に関 するご意見です。オゾンガスの発生装置について、大気中の酸素を取り込むということ で、窒素酸化物等の有毒なガスが排出されるのではないかという懸念がありました。こ ちらも参考資料で説明があったように、PSA方式で高濃度の酸素を生成し、純度の高 い酸素によりオゾンガスを発生させるということですので、窒素酸化物等の有毒ガスは 排出されないものと考えておりますが、まったく出ないということではなく、排出され たとしても、規定数値よりもかなり低いということを聞いております。  次に、オゾンガス消毒装置やガスの浸透度です。消毒の際に、被洗物を設備内に詰め 込んでしまうこともあるので、本来ならそういったことは注意していただいて、きちん とガスが均等に浸透するような消毒を行うべきなのですが、作業時間や消毒する洗濯物 の数量などから、詰め込んでしまうことも想定されますので、そういう場合にも、きち んとすべてに、特に内部に対してガスの濃度が浸透するかどうかということが懸念され おります。こちらも試験を行った結果、CT値6,000を確保するには多少濃度を上げれば 内部まで浸透する、ガスが均等に行き渡るという結果が出ているので、これらを踏まえ てご意見をいただければと思います。  最後ですが、冒頭、座長からもお話があったように、昨今、大学病院においてタオル やシーツに大量のセレウス菌が付着していたことから、まだ原因は特定されていません が、それによる院内感染が発生したということで、いわゆる芽胞菌の除去について少し 話題になっています。洗濯業務の工程は、消毒、洗濯、乾燥ということから、セレウス (芽胞菌)などの常在菌を消毒段階で全て除去しても、最終的な乾燥、納入の過程でそ のような雑菌が付く可能性は多分に考えられることです。そういった観点から、このご 意見は参考までにご紹介しているのですが、何かご意見をいただければと思っています。 説明は以上です。 ○大久保座長  論点をまとめていただきましたので、先ほどの(社)日本病院寝具協会からの研究報告 等を踏まえて、この論点の順番を追って、皆さん方のご質問、あるいはご意見をお伺い していきたいと思います。時間はあと30分ぐらいですので、速やかに進めたいと思いま す。  最初の「論点1」の安全性について、資料3−5に○が3つ書いてあります。残留毒 性、あるいは人体への影響、取扱方法等に関してご意見をお伺いしたいと思いますので、 安全性の面でいかがでしょうか。 ○上寺委員  ひとつ確認させて下さい。いま、橋本参考人から装置の説明がありました。横軸に時 間を取り、縦軸に温度と圧力を取ったときのチャンバー内の変化をグラフにしたときの 工程を教えて下さい。温度は、常に室温でしょうか。そして、チャンバーの中は大気圧 以上にはならない、すなわち第2種圧力容器には該当しないということですね。その辺 のことをもう少し教えていただきたいと思います。 ○橋本参考人  この残留試験に関して、オゾンの消毒工程としては実際には100分ぐらいで、減圧して オゾンを注入するのは3回程度行います。ですので、グラフ的には陰圧にしてオゾンを 入れて、また陰圧にしてオゾンを入れてということで、CT値は徐々に上がっていくよ うな形になります。100分のうち60分ぐらいは実際にはオゾン消毒されているという工程 です。その後に、オゾンの分解無害化工程というのが150分あります。これは先ほど言い ました15回エアレーションの工程を行いますので、チャンバー内の空気を強制的に陰圧 で引いて、また外気を取り入れて、また引いてというのを繰り返し行います。これは外 に出すときにフィルターを通しているので、フィルターで有害物を除去して安全な酸素 に変えて外に排出するという構造になっています。  大型の6立米ぐらいの容量の設備ですと、一連の工程時間が250分程度、約4.2時間ぐ らいで1工程が完了します。同程度の設備によって、EOガスで消毒や滅菌をすると、 10何時間で1工程できるかというのが実態ですので、オゾン消毒の場合は、1日2回ぐ らいは消毒処理が可能という計算ですので、経済効果もあると思っています。 ○上寺委員  ありがとうございました。 ○大久保座長  このオゾンを排気する場合に触媒を通すわけなのですが、その触媒で100%安全かどう かということと、もしオゾンの形で大気中に出た場合、それはすぐに分解するものでし ょうか、それともずっとその形で残っているのでしょうか。 ○橋本参考人  触媒を通した後にも、オゾンモニターというものを設置しており、触媒後の部分も感 知しています。 ○大久保座長  その触媒の性能はテストはないのですが、それはもう100%オゾンを分解できるという ことでしょうか。 ○橋本参考人  分解できます。 ○大久保座長  ほかにこの安全性に関して、倉辻委員どうぞ。 ○倉辻委員  この場合の安全性というのは患者に対する安全性というよりも、むしろ作業をする方 の安全性がかなり大切だと思うのです。ここでは検知モニターが内側と外側の両方に設 置されているということなのですが、外側に設置する場所は、例えば床から1.5m以内の 箇所とか、何か基準は考えておられるのでしょうか。 ○橋本参考人  先ほどの安全装置の説明で、参考1の資料に大きな図面があります。そちらの中央部 に機械部があります。そちらの近くにオゾンモニター、外気のオゾンの漏れを感知する センサーが付いているモニターがあります。 ○倉辻委員  私が伺ったのは、そのセンサーを設置する適正な位置が、大体普通は1.0mから1.5mだ と思うのですが、その辺りではなく。 ○橋本参考人  機械のすぐ横にこういう装置が付いていますので、1.5m以内ではあると思います。 ○倉辻委員  そういう基準はまだ考えておられない。いろいろ委託される会社によって、設備構造 も違ってくるので、このセンサーを設置する位置は規定しないのですか。 ○橋本参考人  設置については、近くでとしたいとは思っています。あまり離れた所に付いていても 意味がないと思いますので、それは適正な位置でと考えております。 ○倉辻委員  適正という意味は。 ○橋本参考人  それはいま1.5mに設定しているかどうかと言われますと、そういった設定は明確には していません。 ○倉辻委員  そういうものをきちんと指示したほうがよろしいのではないか、ということです。 ○橋本参考人  はい、そうでしょうね。 ○上寺委員  いまの質問とも関連するのですが、オゾンガスで消毒・殺菌するわけで、そのときの 温度は室温ですね。 ○橋本参考人  はい。 ○上寺委員  オゾン(O3)は空気よりも軽いのですか。 ○橋本参考人  重いです。 ○上寺委員  そうすると、もしリーク(漏れ)を検知するとすれば、床面のほうかなという気もし たのです。例えば、エチレンオキシドの場合は空気より重いから、検知モニターはだい たい床面近くに付けなさいという指導がされています。オゾンの場合室温であって分子 量でいくと空気より重いわけだから、センサーは下に付けたほうがいいのではないかと 思います。センサーを5つぐらい上から下に並べて、ガスを漏らしてみて、どこでいち ばん早く検知するか、そういうデータはお持ちですか。 ○倉辻委員  リーク(漏れ)を目的としたセンサーの位置と、あくまでも作業の人たちの安全性は ちょっと別だと思うのです。ですから、このセンサーの位置は、そういう意味ではっき り規定しておいたほうが、1つはいま言われた漏れのためのチェック、もう1つは人体 に対する安全性が必要かと思います。というのは、アメリカなどの基準ですと、そうい うことから部屋の使用条件、すなわち時間当たり何回換気しなさいと、その環境の換気 基準ACHを決めているのです。ですから、このやる場所の環境基準を併せて考えられ たほうがいいかと思います。 ○大久保座長  センサーに関してはいろいろ検討がさらに必要だと思います。作業する方は日常の作 業において特殊なマスクを付けるとか、衣服など安全性を考えて、何か自分をプロテク トするような状況が必要でしょうか。 ○橋本参考人  いまのところは考えていません。 ○榛葉委員  被洗物、つまり感染性のものを取り扱うた場合は手袋、マスク、帽子などの防護服は 当然装着するのですが、オゾンガス消毒を行うために、機械を操作する際にあえてマス クとか、そういったことは考えていません。 ○大久保座長  産業医学会の許容濃度は作業環境基準で0.1ppmですね。しかし、いわゆる安全衛生上 の基準ではないと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。いまはこの数値しかない と思うのですが。 ○橋本参考人  いまのところ、労働安全衛生法等において特に規定されていないので、数値としては 作業環境基準だけだと思います。 ○大久保座長  時間の関係上、安全性ばかり議論できないので、次の項目に移りたいと思います。そ の前に、この安全性に関して世界的に見てというか、残留毒性等をいまどのように考え られているか、方向性等を一度調べてみる必要があると思うのです。海外の状況も知っ ておくとよいのではないでしょうか。事務局として、その辺に関してはいかがでしょう か。 ○中谷補佐  事務局としても海外の状況は明確に把握しておりませんので、諸外国の状況にお詳し い方を、次回の部会に参考人としてお呼びして、ご意見を伺うという形ではいかがでし ょうか。 ○大久保座長  重要なところだと思うので、そのようにお願いします。オゾンというのはこういう寝 具類は別として、いろいろな環境の清浄化とか、脱臭などいろいろな形で用いられてき ている中で、毒性のために、ある意味で中止していこうという動きも諸外国にはあるわ けですから、そういう現状を把握して、今後こういうものをこういう状況の中に用いて いくべきかどうかという、もう少し大きい視点からの検討も必要ではないかと思います ので、是非専門家のご意見をお伺いしたいと思います。また、どういう方にお願いをす るかは事務局と相談したいと思います。  それでは次の「論点2」、有効性についての中で、どなたかご質問はございませんで しょうか。有効性の中で、強い酸化力が効果の元だと思いますが、ほかの素材に対して、 これは基本的には木綿繊維ということで検討されていると思うのです。ゴム、プラスチ ック等はかなり劣化すると思いますが、その辺のデータをもう少し、あるいは実際の寝 具類の中でそういう素材がどのくらいあるものか、寝具協会のほうでも何か素材に関し て実際に扱っておられる中で、木綿に限定していいかどうかということですが。 ○橋本参考人  布団の綿などはポリエステル綿が入っていましたので、ポリエステル綿についてはい まのところこのデータの結果から大丈夫だと思います。マットレスなどでは、一部ウレ タン性のマットレスもテストしました。そちらについてはウレタンとオゾンが反応して、 若干内部までガスが浸透しないという部分がありました。 ○大久保座長  羽毛はどうですか。 ○橋本参考人  羽毛は大丈夫です、問題ありません。 ○斧口委員  ゴムシーツなどはどうですか。今使っているかどうかわからないのですが。 ○橋本参考人  ラバーシーツのような材質のものですね。 ○榛葉委員  オゾンガスは、ラバー、ゴムに対しては非常に堅くなってしまう傾向がありますので、 ゴムシーツ自体、防水シーツのようなゴム状のものは、ガスには不的確だと思います。 介護のほうでもベッド等はオゾンガスでやるのですが、車椅子のタイヤの部分が劣化す るということで、介護用品を扱っている会社では、車椅子のゴムの部分はガスでは消毒 していません。そういう関係で、たぶんゴムシーツも同じだと思います。 ○大久保座長  この有効性の中で、オゾンの殺菌をどこまで求めるかということも必要だと思います。 上寺委員、こういう寝具類に関して、対象となる病原菌にもよると思いますが、一般的 にどの程度の清浄度、もちろん無菌である必要はないわけですが、その辺に関して何か ご意見はございますでしょうか。 ○上寺委員  直接的な回答になるかわからないのですが、私自身洗濯ということがまだよくわかっ ていないのです。ここに寝具類の定義に関するA4横の1枚紙があります。薄ものとい うものは、水の中に浸けられて洗えるというものですね。 ○橋本参考人  はい。 ○上寺委員  厚もの、いわゆる布団や枕を水に濡らして洗えるのかどうかというところがわからな いのです。あれは絶対に水に濡らして洗えないのではないかと思うのですが。 ○橋本参考人  昔、基準寝具とかができた当初は、布団は綿布団だったのです。しかし、最近はポリ エステル系の布団で、量販店などでも洗える布団が出ています。枕でも中身をストロー を切ったようなストローチップを入れた枕が出ています。いま対象としてる、リネン業 界では、そういう洗える清潔感のあるものに変わってきつつあります。 ○上寺委員  今回対象にするものは水に濡らせる、いわゆる洗濯槽の中に浸けることができるとい う考え方でよろしいのですか。 ○榛葉委員  そうです。全部、先ほど羽根布団から掛布団もベッドパットすべて洗えるのですが、 温度が上げられないものがあるのです。 ○上寺委員  私自身は医療機器類などを洗浄消毒する装置を勉強しています。イギリスでは洗うこ とによって病原菌を希釈するという考えがすごく強いのです。洗濯に関しても、洗って 濯ぐという希釈効果が重要であると言っています。例えばリネンから離れるけれども、 ベッドパン、尿器の温熱消毒の基準もイギリスは非常に低いです。熱水消毒よりも、洗 い流すほうにアクセントを置いている。例えば、熱湯消毒に関して日本は80℃10分、ド イツはもっと強い条件ですが、イギリスでは65℃何分、72℃何分と非常に低い条件です。 したがって、洗って希釈するという概念が大切であると思います。 ○榛葉委員  我々洗濯業者から見れば、洗いながら流す。先ほどのセレウス菌もそうなのですが、 そういった形がいちばんよろしいと思います。ただ現状の60℃で果たして菌が死ぬのか どうかという実験はやっていませんので、私どもは海外へ日本病院寝具協会を代表して、 いろいろな所へ勉強しに行っております。現在では80℃10分が基準になっていると。実 際に布団類を80℃まで上げますと、中綿がかなり堅くなってしまったりということで、 大体60℃ぐらいでしか温度は上げられないということで、一応その先のステップに入る 前の段階かと解釈しています。 ○上寺委員  もう1つ、別紙1のマル3に消毒とありますが、これを見ると、消毒をしてから次の マル4の計量・投入・洗濯・脱水となりますね。 ○榛葉委員  はい。 ○上寺委員  これが普通の洗濯方法なのですね。 ○橋本参考人  普通の洗濯だと、消毒工程を省いて真っ直ぐ降りてくるのです。 ○上寺委員  というのは、消毒ということを考えたときに、最初洗い流して、その後に、熱水消毒 やオゾンの消毒効果をかぶせていく方法がよいと思えるのですが。 ○榛葉委員  一部、医療機関からいただくときに、やむを得ず一次消毒をしていない感染症法の五 類などに関するものは、密閉した容器に入れればいいという部分もあるので、事業者と すると、本当に一次消毒されているのかどうか分からない部分も正直言ってあります。 一応、一次消毒は医療機関側でしているという前提の下なのですが、再度そこでビニー ル袋に入って委託されるので、そのまま広げて洗濯に回すよりも、ビニール袋に入れた まま消毒庫に入れる。それで消毒が終わったものを再度洗うという過程に現状はなって います。 ○上寺委員  オゾンは酸化作用ですね。そのため、次に行う洗浄効果への影響は少ないと思います が、いかがでしょうか。 ○榛葉委員  いまの洗濯実験で、特にオゾンでやった後にまた洗濯を繰り返してやった感じでは、 特に大きな問題はなかったと思います。 ○上寺委員  わかりました、ありがとうございます。 ○大久保座長  ほかにいかがでしょうか。 ○中嶋委員  医療サイドとしては、耐性菌が問題になるのですが、耐性菌が発生しないことが確認 されているのかどうかということと、もし耐性菌が発生した場合には交差耐性、薬剤に 非常に効果の難治な耐性菌が出てくるのかどうか。それのベーシックなところを教えて いただきたいと思います。 ○大久保座長  オゾンを使っていることによって、それに対する耐性菌が出てくるかどうかですね。 ○中嶋委員  そうですね、できた場合の交差耐性みたいな問題になるような菌、あるいはそういっ た事例、あるいは検証がされているのでしょうか。 ○橋本参考人  いまのところ耐性菌についても有効データのところで枯草菌なのですが、CT値6,900 ぐらいで出させていただいています。耐性菌ができるかどうかというのは、まだオゾン の消毒の中で耐性菌が出たというのは確認していません。 ○大久保座長  それは私のほうから少し追加させていただきます。いわゆる消毒薬を始終同じものを 使っているから、それに対して耐性化するということは一般的に考えなくてもいいと思 います。抗生物質等の考え方が入ってくるものではないものですから、具体的な資料が あるわけではないのですが、その辺はご安心なさってもいいと思います。 ○斧口委員  説明の中に汚れのひどいものは汚れを除去してから使うほうがいいみたいな、消毒す るほうがいいという形のことが書かれていましたが、汚れの程度というのは、洗ってか ら消毒するというとらえ方なのですか。 ○橋本参考人  いえ、例えば洗濯でも、汚れがひどいものに対しては、それなりに洗剤を入れないと 駄目だということで、たぶんオゾンも汚れがすごく付いているものについては、消毒す る前に洗い流したほうが効果はいいのではないかと思います。 ○斧口委員  その程度の問題ですが、血が付いているものを消毒するとおっしゃいました。一次消 毒が済んでいるということなのですが、わからないのでやりますということだったので すが、では、ベトベトに付いているのは洗ってから消毒するのか、その辺のレベルがよ くわからないのですが。 ○橋本参考人  そうですね、例えば本当にベトベトに付いているようであれば、やはりそういう危険 性があるものです。例えば血液がかなり付いているものなど。基本的に事業者の絞りの 中では危険な一次消毒しないものは受け取ってはいけない。やむを得ない場合にどうい う状況で、感染部分がないようにして密閉した容器の中で、我々事業者が外部委託して いいということなので、その辺は医療機関と話合いをさせていただいて、こういう汚れ の場合はこういうふうにして受取りをきちんとしましょうということです。例えばうち のほうがすごく血で汚れていて、先に適正に水洗いしたほうが有効であれば、そのよう な形を採らせていただくということです。 ○関口委員  その汚れについては、資料3−2の(注)2にある五類感染症の対象になっているB 型肝炎云々とか、血液・体液・排泄物などが付着しているものは除外すると書いてある ので、これは当然そうですね。 ○大久保座長  それは基本的に感染性のあるものはそうです。 ○関口委員  血液で汚れているものはここの範疇には入らないと考えてよろしいのではないでしょ うか。 ○大久保座長  ええ、基本ですが、そういうものがきた場合にどうするかということですね。 ○斧口委員  そうですね、先ほど効果の中で汚れがひどいものは問題が出るかもしれないというこ とが書かれてあったので、そういうことも考えていらっしゃるのかととらえたのです。 ○榛葉委員  医療機関から出るときに、生血のまま出ることはまずないのですが、大量に血液が付 いたものは感染の恐れがあるかないか、どこで判断していいか正直言ってわからない部 分があるので、医療機関に問合せをします。例えばこれはB型肝炎のものであるという 場合には、血液が付いたそのまま消毒に回します。単なるものであれば、本来はビニー ル袋に私どもは感染名を書いてきていただいていますが、1次消毒済みだけれども、こ ういう感染の人が着てたということが書いていない場合は、通常血液は水洗いがいちば ん落ち易すいものなので、大量に付いたものは廃棄させていただきますが、少しぐらい の血液が付いたものに対しては、通常の工程で洗濯という形になると思います。 ○大久保座長  時間もあまりありませんが、全般にわたってほかにご質問はありませんか。 ○倉辻委員  この寝具類の消毒はどれくらいを求めるか、非常に難しい問題だと思います。先ほど 上寺委員が言われたように、欧米、特にアメリカではもっと低い71℃でやっているので す。それ以下のときに、はじめて感染の疑いのあるものに対して、例えば次亜塩素酸を 使いなさいと。その濃度も日本の濃度よりも基準は低いのです。というのはなぜかとい うと、その後、結局空気中の環境にはいろいろな雑菌があるので、それと比べたら最初 に十分に水で洗浄したらば意味をなさないのではないか、ということも書いてあるので す。  たまたま2003年にアメリカのCDCのアドバイザリー・コミッティで寝具類に対する 洗浄と消毒ということについてのガイドラインを出しています。それを私が日本語訳し て出版していますが、いまここで芽胞やMRSA、それは非常に良い基準になるのです が、それを10^6殺菌しなければいけないとか、そういう基準はまだ世界にはないと思う のです。そういう意味で私としてはいかに環境以下にするか、そのぐらいのことしか判 断できないと思っています。その辺のところをどこで押さえたらいいのかというのが、 まだ理解できていないところです。 ○榛葉委員  日本の特殊性といいますか、掛布団類、綿類というものを使っている機関というのは、 日本の特殊性なのか。タオルケット等では80℃10分で十分に洗えます。アメリカなどで は綿のタオルケットでかけているので、全部80℃10分ということですが、日本の場合は 綿、布団というものを扱っている以上、やはりガスによる消毒がまだ有効かと感じてい ます。次のステップ、次のステップの先になれば、いま言ったように洗い流すとか、温 度を下げてということも必要なのかもしれませんが、現状ではガスが最適かと考えてい ます。 ○大久保座長  病院という所はそういう意味で洗濯のしやすい素材に替えていくとか、そういう方向 でまず考えていくべきものではないかと思いますので、これも議論は尽きないと思いま す。今日はディスカッションには出てきませんでしたが、消臭もこの効果に謳われてい ると思います。あれも最近はいろいろと考え方が変わってきて、むしろマスキングとい うか、オゾンの匂いでカバーしてしまうのではないかと言われる文献もあるので、いろ いろとお聞きしたいことはたくさんあると思いますが、予定の時間がきてしまいました。 これはお手数ですが、事務局において論点をまとめていただき、次回の会にそれを提示 していただくということで、今日はそろそろお開きにしたいと思います。素案を作るに あたって、皆さん方は個人的なご意見はたくさんおありだと思いますから、それを事務 局にメール、あるいはファックス等でご提出いただいて、その素案に反映させていただ けたらと思います。何か事務局から追加はありますか。 ○佐藤係長  ありがとうございました。本日、委員の皆様方からいただいたご意見、ご指摘等を踏 まえまして、もう少し論点を整理した上で、次回、事務局からご説明させていただきた いと存じます。また、座長からもありましたように、諸外国の状況等についても参考人 を招致することですので、そういったことも含めて、できたら次回の後半に素案を提出 して、そこで議論していただきたいと考えています。  日程調整ですが、机上に調整表をお配りしています。お持ち帰りいただいてご記入を いただき、ファックス等で返送していただきたいと存じます。 ○大久保座長  12月の半ばごろまでには第2回を開くということですね。 ○佐藤係長  年内にもう一度整理をして、皆様にお諮りしたいと思っております。 ○大久保座長  ということですので、お忙しいところを大変でしょうけれども、よろしくお願いした いと思います。それではこれでお開きにしたいと思います。どうもありがとうございま した。                                     −了− (照会先) 厚生労働省医政局経済課    医療関連サービス室        佐藤、峰岸 03−5253−1111 (内線)2538又は2539