06/10/24 第25回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会議事録 第25回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会 1 日 時 平成18年10月24日(火) 10:00〜12:00 2 場 所 厚生労働省専用第18会議室(17階) 3 出席者 委 員      (公益代表) 諏訪部会長、北村委員、椎谷委員、宮本委員      (労働者代表)        成瀬委員、野村委員、長谷川委員、原委員、山川委員 (使用者代表)        荻野委員、片野坂委員、郷農委員、成宮委員、樋渡委員、      (事務局)        橋職業安定局長、鳥生次長、岡崎高齢・障害者雇用対策部長、生田総        務課長、楪葉雇用政策課長、尾形外国人雇用対策課長、菅野地域雇用対        策室長、村上地域雇用企画官、阿部若年者雇用対策室長 4 議 題 (1)人口減少下における雇用労働政策の課題 5 議事内容 ○諏訪部会長 定刻となりましたので、ただいまから「第25回雇用対策基本問題部会」 を開催させていただきます。                   (出欠状況報告)                    議事に入ります。本日の議題は、前回に引き続いて、「人口減少下における雇用対策 の検討について」です。初めに、事務局からまとめて資料のご説明をいただいて、その あと論点ごとに区切って、議論を進めていきたいと思います。    それでは、資料説明をお願いいたします。 ○生田総務課長 お手元の資料の1〜5を主に使いまして、ご説明をしたいと思います。    まず資料1です。基本問題部会におきまして、「人口減少下における雇用対策の検討」 ということで、タイトルも相当幅広だったものですから、論点について、あるいは、課 題について、具体的な中身がなかなかわかりにくいということもありまして、この資料 1では、国が講ずべき措置として考えられるものについて、具体的な内容をできるだけ 示して議論いただければということで整理したものです。  雇用対策法第4条第1項各号に掲げるものの施策の性格ですが、国の講ずべき施策の インデックスとして位置づけられたものが掲げられているということでして、施策の方 向性を示すというところに特徴があります。当該施策の方向性に沿った具体的な措置内 容については、個別法に規定されて初めて効力を生ずることで、この第4条第1項各号 で、直接国民の権利義務に影響を及ぼしたりするようなものではないというものです。 まず、新たに盛り込むものとして考えているものを整理しています。  「若年者対策」です。これについては、若者の職業意識の喚起、実践的な職業能力の 開発、その他若者の就業の促進についての施策の充実といった内容を盛り込むことを想 定しております。  2番目の「雇用管理の改善」ですが、これについては、労働力の確保、良好な雇用機 会の創出のための雇用管理の改善についての施策の充実といった内容を想定していま す。  それから3番目ですが、「女性に係る施策」については、妊娠、出産、育児等を機に 退職した女性労働者の円滑な再就職の促進、母子家庭の母、寡婦の雇用の促進、その他 女性の就業の促進についての施策の充実といったことを想定しております。  4番目ですが、「年齢に関わりなく働き続けることができる社会の実現」については、 従来規定がされていた定年の引上げ、継続雇用制度の導入の円滑な実施に加えて、高齢 者の再就職の促進、多様な就業機会の確保、その他高齢者等に係る年齢に関わらない就 業の促進に係る施策の充実といったことを想定しているところです。  次の頁で、5番目「障害者雇用対策」です。これについては、事業主、障害者等に対 する援助、障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションに係る施策の充実といった 内容を想定しております。  6番目の「地域雇用対策」については、雇用機会が不足している地域等における労働 者の就業の促進に係る施策の充実を想定しております。  7番目の「外国人労働者対策」については、専門的、技術的分野の外国人労働者の活 用促進、適正・円滑な需給調整や能力発揮のための雇用管理の改善、再就職の促進につ いての施策の充実といったような内容です。  8番目ですが、「不安定な雇用状態の是正」については、従来は雇用形態ということ で記述があったのですが、不安定な雇用状態の是正を図るための就業形態、雇用形態等 の改善に係る施策の充実ということを想定しております。  9番目ですが、「失業の予防」については、事業活動の縮小等に伴う失業の予防に係 る施策の充実といった内容を想定しております。  この資料1で想定している内容について、雇用対策の関係法令の中で、どういうよう な法体系になるのかということを整理したのが、資料2です。左側が雇用対策法第4条 1項各号に掲げている施策、現行の各号と、それから拡充される内容の各号を順番に列 挙しております。右側のほうは、それを具体的に実施する法令として、現在の法令で想 定されるものを書いております。それから、今回雇対法の改正に伴い、具体的規定が設 けられる部分もありますので、それについても若干触れています。  まず、左側の雇対法の第4条第1項各号の性格付けについて、太枠の中に書いてあり ます。雇用政策のインデックスであり、国の施策の方向性を表す。また、直接事業主に 義務を課したり、助成措置を設けたりするものではないというものです。具体的な実施 法でそれが実現するわけですが、それについては、右側の太枠の中ですが、個別法と主 なものを下に列挙するわけですが、施策の方向性に沿った具体的な措置内容は個別法に 規定(国の構ずべき施策として具体的な措置を拡充する場合、個別法の改正等が必要) ということを、念のために書いております。  まず左側、上から順番にまいります。現在の1号では、職業指導あるいは職業紹介の 事業の充実について、雇対法の中に書いてありますが、これについては、実施法として 職業安定法の各規定があるということです。    2号の職業能力開発、それから検定の事業の充実については、実施法として、職業能 力開発促進法の各規定があるというものです。  3号の就職が困難な者の就職を容易にする、あるいは、需給の不均衡を是正するため の職業転換、地域間移動、職場適応の援助については、現在、雇用保険法で還付規定が あるとともに、雇用対策法の中の職業転換給付金の関係規定などによって、こういった 内容を具体化しているものです。それ以外にも、関係法がありますが、そういった内容 によって、具体化しているということです。  4号の離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職の促進については、雇用保険法の さまざまな規定、あるいは雇用対策法の中の再就職援助計画に関する規定、その他の各 法律で具体的な実施内容を確保しているところです。  それから次の枠ですが、高齢者の問題です。これについては、5号で、現在、定年の 引上げ、継続雇用制度の導入の円滑な実施を促進するために必要な施策の充実というこ とで、継続雇用タイプのものが書いてあります。これについては、今回、資料1でも申 し上げましたように、年齢に関わりなく働き続けることができる社会の実現に向けた対 策を充実するという観点から、その下の3つの黒ポツの内容を盛り込みたいと考えてい ます。  こういった内容については、あくまで施策のインデックスでして、実際に具体化する ときには、右側の実施法である高齢者雇用安定法あるいは雇用保険法といった内容の具 体的な拡充が必要になるということです。それから、この頁のいちばん右端に書いてあ りますが、これは確認的に書いたものですが、年齢に関わりなく働き続けることができ る社会の実現については、現在の高年齢者等雇用安定法の条文の規定に明記はないわけ ですが、この法律に基づく高年齢者等職業安定対策基本方針、これは大臣指針で告示し ているものですが、その中にも明記されており、年齢に関わりなく職業紹介もやってお りますので、いま現在もやっている内容ではあるということです。  次の頁です。第6号ということで、現行規定では、不安定な雇用状態の是正を図るた め、雇用形態の改善等を促進するために必要な施策の充実と書いてあります。この規定 に関しては、いま現在では、労働者派遣法という法律が制定され、その派遣法の中に、 就業形態に関わるメニューが現在載っております。それから、請負労働者について、今 後さまざまな措置を講じていくということもありまして、就業形態の改善を盛り込みた いということです。実施法については、現段階では、雇用保険法あるいは労働者派遣法 という法律があるということです。それから、その他労働者がその有する能力を有効に 発揮することができるようにするための必要な施策の充実。これはその他条項ですが、 これについては、雇用対策法のさまざまな規定が現在はあるというものです。そこから 下は、新たに盛り込むべきものです。  まず、「若者対策の充実」です。これは資料1で申し上げたような内容を盛り込みた いということです。これを具体的に実施するものとしては、右側にありますように、雇 用対策法の中で、今回新たに規定を設けたいと考えているものが対応するということで す。若年者の雇用機会の拡大の努力義務等それに基づく大臣指針といったものについて、 検討しているところで、今後とも議論いただくことかと考えております。  それから「雇用管理の改善」については、労働力の確保、良好な雇用機会の創出のた めの雇用管理の改善ということです。これについては、既存の法律がたくさんありまし て、中小企業労働力確保法、介護労働法、林業労働法、パート労働法、さまざまな法律 に基づき、こういった内容を具体化するということになっています。  こういったパート労働法などの法律については、右側の枠にありますように、労働契 約法制、労働時間法制については、他の分科会において検討中ということもありまして、 性質的に雇対法に、労働契約に関わる問題、あるいはその労働時間に関わる問題を規定 するのにはなじまないと考えております。雇用対策の切り口から、何かインデックスと しての規定を設けるとすれば、雇用管理改善ということで規定を設けることが考えられ るのではないかと書いております。  それから、「女性に係る施策の充実」ということです。これについても、資料1で申 し上げたような内容を盛り込むことを考えておりますが、これについても、既存の法律 で、パート労働法、あるいは雇用対策法の職業転換給付金の規定等により、対策はすで に実施されるようになっております。そういったことのインデックスを書かしていただ きたいというものです。右側に念のために書きましたが、均衡処遇の問題については、 パート労働法の改正の議論が他の分科会で行われています。性質的にそういう均衡処遇 問題について、雇用対策法に規定するという点についてはなじまないということで、イ ンデックスとして、施策の方向を示すとすれば、雇用管理改善ということを書くことが 考えられるのではないかということを確認的に書いております。  それから「障害者雇用対策の充実」については、資料1でご説明したような内容を盛 り込みたいと考えております。これについては、障害者雇用促進法あるいは雇対法の中 の職業転換給付金規定がすでにありまして、こういった趣旨は、実現できることになっ ておりますので、それを盛り込みたいということです。  それから次の頁ですが、「地域雇用対策」です。これについても、資料1でご説明し た内容を盛り込みたいと考えています。これについては、地域雇用開発促進法、現在の 法規定はありますし、今後改正される内容を踏まえたような形で施策の方向性を盛り込 みたいということです。  それから最後の「外国人労働者対策」ですが、これについても、盛り込む内容につい ては、資料1でご説明したとおりですが、その左側の枠の中の※ですが、これは確認の 意味で書いておるのですが、外国人労働者の受入れ範囲についての議論・提言がいろい ろなされております。ただ、今回のこの見直しについては、受入れ範囲について変更を 加えるというような意図はありませんで、現時点での外国人労働者の受入れについての 考え方を前提として、外国人労働者対策として雇対法に書く施策の方向性として、何を 書くのかという観点から、整理したものです。  それから、右側で、具体的な施策を実施するものとして、雇用対策法の改正で、これ は次回詳細に議論いただきたいと思っておりますが、雇用状況報告の問題、それから雇 用管理改善についての努力義務規定及びそれに基づく大臣指針といったものについて盛 り込むことを考えていますが、これを施策の方向性として示すものとして、左側のよう なことを想定しているということです。  それから、この頁のいちばん右端の中に、これも確認のために書いておりますが、外 国人労働者の受入れ範囲については、あくまで入管法の中で定められており、雇対法の 改正で入管法を改正するわけではありませんので、その範囲の変更が、雇対法の改正で 加わるわけではないということを、念のために書いております。以上が、雇用対策法の 第4条各号列挙事項についての再整理のペーパーです。  それから、資料3です。これは本日の議題の地域雇用開発促進法の改正についての資 料です。まず1頁目ですが、これは現行の地域雇用開発促進法のスキームです。これは、 今まで資料を何回か出させていただいておりますので、重複するかもしれませんが、念 のため申し上げますと、1頁の下の所に、4つの地域類型が書いてあります。「雇用機 会増大促進地域」「求職活動援助地域」「能力開発就職促進地域」「高度技能活用雇用 安定地域」という地域がありまして、それぞれごとに都道府県知事が計画を作り、厚生 労働大臣が同意するという形で、さまざまな支援策があります。現段階では、日本全体 では相当雇用情勢が改善している中で、雇用情勢が悪い地域なり、あるいは地方公共団 体が、独自の雇用創出のための創意工夫をこらすような地域に施策を重点化すべきでは ないかということが指摘されておりまして、こういった4つの地域類型については、見 直していく必要があるのではないかと考えているところです。  この4つの地域類型に即して、具体的に指定されている地域が、2頁から7頁まで記 載してあります。この4つの地域ごとにそれぞれの地域指定をやるものですから、施策 としても相当複雑になっております。  8頁は、雇用機会増大促進地域というその地域の中でも典型的な雇用状況が悪い地域 について、地域状況について整理したものです。(1)では、有効求人倍率について0.4と いったような悪い地域を代表的に書いておりまして、(2)では、雇用状況が悪い地域であ るが、有効求職者が多い地域、あるいは少ない地域の代表例として、こういうところが あるということで、イメージをもっていただくための資料です。  それから9頁ですが、この地域法に基づく対策に加えて、もう1つ、現在、地域対策 の大きな柱としてパッケージ事業があります。このパッケージ事業については、雇用機 会が少ない地域において、雇用創造のために市町村等が独自の取組みをするといったよ うなものについて、コンテスト方式で採点して、雇用創造効果がある程度見込まれるも のについて事業を委託するというような枠組みのものです。  事業の内容については、右側に「雇用創出メニュー」「能力開発メニュー」「情報相 談メニュー」と書いてありますが、こういったメニューを組み合わせて雇用創造を実際 に図るというものです。雇用創造を具体的に認定できたメニューについては、いちばん 下の実施規模という所に書いてありますが、1地域1年度当たり2億円を上限で支援す るということで、3年を上限として、最大限6億円の支援ができるというものです。こ ういった実施地域の決定については、第三者委員会、これは経済団体の代表の方あるい は学識経験者の方に入っていただいて選抜をするということで、雇用創出が確実に見込 まれるものを認定するという手法をとっております。1年度当たり42億円を上限と書 いてありますが、平均的には5,000万円ぐらいでして、3年で1億5,000万円ぐらいで す。具体的に、このパッケージ事業で採択された地域を10〜13頁に掲げてあります。  14頁では、パッケージ事業の事業実績の例を抜き出したものを掲げてあります。例え ば、北海道の美瑛町では、雇用創造目標数94ということで、地場特産品あるいは観光に 着目した事業を実施しているところですが、雇用創造の実績といたしまして99人という ことです。ここに掲げられている地域については、兵庫あるいは島根の事業は若干切っ ておりますが、大体雇用創造目標数を達成しているものが多くあります。達成できなか ったものについては、事業の見直しを毎年度求めるという考え方をとっております。  それから15頁です。今回の雇用情勢が、全国的には改善しているという中での問題意 識を整理したもので、これについても、何回か資料を出しております。左側のような現 在の地域類型の対策を、右側のように見直していくということを想定しているというこ とです。これをちょっと、より字で整理したものとして、16頁で再度ご説明したいと思 います。16頁にありますように、現行の地域は4つの地域で、「雇用情勢が厳しい地域」 「能力のミスマッチが存在する地域」「情報のミスマッチが存在する地域」「高度技能 労働者を雇用する事業所が集積する地域」ということで、それぞれバラバラで地域の対 策をとっているところですが、これについては、雇用状況が全体としてよくなっている 中では、悪い地域に支援を重点化するという思想を基本にしています。その中で、下の 改正後の所にありますように、「雇用開発促進地域」という地域で、雇用情勢が特に厳 しい所については支援をしようということで、都道府県で地域雇用開発計画を作ってい ただいて、その計画ができた地域については、事業主が雇用の機会を作り出していただ くということについて、支援をしようということで、事業主に対する直接支援を想定し ております。事業所の設置・整備に伴う雇い入れあるいは中核的人材の受入れ、あるいは 能力開発にかかった費用を支援しようというものです。  それから右側ですが、これについては、雇用機会が不足する地域ということで、有効 求人倍率が1よりも下というのを基本的に想定しております。そういった地域で、市町 村を単位で想定して、単独の市町村、あるいは市町村が連携して雇用創出の対策をとる ときに、それを支援しようというものです。支援の枠組みはいまのパッケージ事業を参 考にして、支援メニューについて、第三者機関で評価し、雇用創出の実績を見込めるも のについて支援をしていくという考え方です。この雇用創造推進地域の対策、あるいは 雇用開発促進地域の対策については、内閣府のほうで、地域再生のためのさまざまな対 策を来年の2月に、集大成して取りまとめるということになっています。これは、厚生 労働省だけではなくて、国土交通省あるいは農水省、経済産業省等のさまざまな省庁の 対策をセットで、地域再生雇用創出のためのプログラムとして打ち出すことになってお りまして、その中の大きな柱の1つが、この厚生労働省の対策メニューであるというこ とです。  17頁ですが、新たな地域類型を更に具体化したものです。「雇用開発促進地域」につ いては、右側の「国の施策」の中で、具体的な施策が書いてありますが、(1)は事業所の 設置・整備と雇入れへの助成ということで、事業所の設置・整備にかかった費用と雇入 れ人数のマトリックスで、具体的に事業主に対して支援していくということです。  (2)は、中核的人材の受入れということで、新たな事業展開に必要な人材の雇入れには コストがかかるので、そういった雇入れについて支援をしていくというもの。それから (3)は、能力開発を具体的に実施していくときにかかったコストを助成するものです。こ ういったメニューについては、都道府県の計画の中で、計画中でこういう対策が必要だ ということで、具体的に盛り込まれたものについて、助成をしていくという考え方でし て、最初から全部助成するわけではなくて、※にもありますように、(2)(3)については、 計画を見て、必要があると判断される場合について実施するというものです。  それから、下に「地域要件のイメージ」と書いてありますが、地域設定については、 労働市場圏のまとまりを想定しておりまして、基本的にはハローワーク単位、複数の市 町村が含まれる単位で指定していくということを想定しております。それから、地域内 の求職者の多寡を考えるときに、労働力人口に対する求職者の割合といったことを想定 する。あるいは、雇用情勢を判断するときには、有効求人倍率が相当程度低いというこ とを想定するというようなことを掲げてあります。  18頁は、助成金の内容について噛み砕いたものでして、これは、平成19年度の概算 要求で、すでに財務省に対して要求している内容を書いたものです。「雇用開発奨励金」 という施設の設置・整備にかかったコストについての助成措置については、30万円から 1,250万円のマトリックスで助成するというものです。それから、「中核人材活用奨励 金」、中核人材の確保については、1人100万円、中小企業140万円を支援するという ものでして、これは、創造推進地域、雇用創出のために独自に創意工夫をする地域です が、そういった地域については、更に若干の上乗せがあるというものです。  それから、キャリア形成促進助成金の拡充ということで、これは同意地域で能力開発 をやったケースについての支援。中小企業に2分の1、大企業に3分の1の助成をする というものです。それから、19頁ですが、これは市町村が独自に創意工夫をする地域の 支援策です。これについては、右側の「国の施策」というところで、市町村、経済団体 等から構成される協議会から提案された事業について、コンテスト方式で雇用創造効果 を見極めて支援をするというものです。これについては、パッケージ事業が2億円と書 いてありましたが、2億円が原則ですが、雇用が特に悪い7道県で複数の市町村、要す るに広域連携で対応するような場合については、上限2.5億円で対応するというもので す。それから、地域要件のイメージが下の枠の中に書いてありますが、これについては、 先ほどの雇用開発促進地域とは違いまして、市町村単位を基本とする。市町村で計画を 作っていただくこともあるので、そういうことを基本とすべきではないかということと、 雇用状況がある程度悪い地域ということで、有効求人倍率1以下というのが1つの目安 になるのではないかというようなことを書いております。  20頁は、いまの概算要求の問題を予算額を示すということで、整理したものです。以 上が資料3です。  続きまして資料4ですが、「地方公共団体との連携の確保について」です。これにつ いては、地域雇用対策との関わりがあるということで、雇用対策法の中で整理をしてい こうと考えているものです。  まず雇用対策法の中で、「現行の規定」ということで、現在の雇対法の中の規定を整 理しております。これは、(1)の中で、地方公共団体が地域の実情に応じて、雇用に関す る施策を講ずる努力義務というのがまず規定されています。国の施策と相まってやると いうことで、第5条に規定されています。  それから27条にいわゆる連携規定ということで、国の行う職業指導・職業紹介と、地 方公共団体の講ずる雇用に関する施策が、緊密な連携の下、円滑・効率的に実施される よう、連絡・協力すべき旨が規定されているということです。ですから、いまの雇対法 の中では、抽象的な連絡・協力の規定があるということです。ただ、実際にはなかなか 地方公共団体と都道府県労働局の連携がとれていないのではないかというご指摘、ご批 判があります。そういったことを強めていく必要があるのではないかという問題意識を 私どもとしても持っております。  そういう中で、その頁の2の所にあります「全国指針及び地方方針の策定」ですが、 雇用対策法の中にあります雇用対策基本計画については、経済計画と整合性をもって作 るということになっておりますが、経済計画がなくなっている中で、雇用対策基本計画 についても、同じような整理をするしかないのではないかというように考えております が、それに代わるものとして、現在の県と労働局との連携の悪さを解消するようなもの を考えていったらどうかというのがこれです。  2の(1)にありますように、地域の実情に合わせ、かつ、機動的に雇用施策を実施する ため、都道府県労働局長が、毎年度、都道府県知事の意見を聞いて、雇用施策の実施に 関する方針を策定するということをまず基本として、都道府県ごとの雇用状況の違いに 着目したようなきめ細かな方針を作るということにすべきではないかと考えておりま す。その上で、この基本的な地方方針を策定する際に、厚生労働大臣がそれに資するよ うな全国方針を策定するというようにしたらどうかという考え方です。  今までちょっと紙では出しておりませんでしたが、次の頁の3にありますように、こ の都道府県の方針については、「都道府県知事からの要請」ということも、併せてでき るようにしたらどうかというものです。地方公共団体は、雇用に関する施策の実施につ いて、雇対法5条、27条で、国の施策と相まって一定の連絡・協力をするということに なっておりますが、この都道府県労働局長が定める地方方針に盛り込まれている事項に ついて、都道府県知事が必要な要請をすることができるということを、法律上明記して、 都道府県知事と一体となって仕事ができるようにしたらどうかというように考えており ます。  具体的な要請内容のイメージとしては、最初の黒ポツにありますように、地域の有力 企業が倒産したような場合について、離職関係手続等についての説明会を開くだとか、 あるいは、雇用対策本部を作って集中的に職業紹介をやるとか、そういったようなこと を要請するということがあります。労働局が自主的に作るということではなくて、知事 から要請して作るといったようなことが想定される。それから、次は企業誘致をやる場 合に、労働局のほうで管理選考会、代替的なマッチングをするといったようなことにつ いて要請をする。あるいは、地方公共団体がさまざまな施策について、関係会議を開催 する際に、労働局の幹部にメンバーになってもらうように要請する。これは、思いつく ものを坦々と書いたのですが、それ以外にさまざまなものが想定されます。そういった ようなことについて、都道府県知事が要請していくということの根拠規定を作るほうが、 一体的に仕事ができるのではないかというように考えております。以上が資料4です。  資料5は、いまの資料4の全国指針、あるいは地方方針と現行の雇用対策基本計画と の関係について整理をしたものです。現行の雇用対策基本計画については、いちばん左 にありますように、国が政府全体の計画と整合性をもって、ある程度の期間のものを作 るということでして、第9次雇用対策基本計画を例にとれば、その左側に書いてありま す1から9のような項目を作って計画を設けております。  今回想定しておりますものは、長期間にわたるものではなくて、毎年度、そのときど きの雇用情勢に応じて、改訂していくというようなものでして、基本はいちばん右端に ある都道府県労働局長が作る基本方針です。毎年度、都道府県の地域の実情に合わせて、 機動的に雇用施策を実施できるように策定する。策定する際には、都道府県知事の意見 を求める。それから実施に当たっては、都道府県知事からの要請もあり得るというよう な枠組みで設けるものでして、いま現在、いちばん右端の下に「注」として書いてあり ますが、都道府県労働局ごとに地方労働行政運営方針というのを毎年度作っております が、そこで、職業安定行政部分について、現在、設けられております項目について、参 考のために整理したものでして、そういったものを参考にしながら、毎年度この地方方 針を作っていくということを想定しています。都道府県知事と協議しますので、都道府 県独自の問題意識に即した項目が立ち上がるということは、当然ありうるというように 考えております。  こういった地域の方針を作る際の参考になるようなものについて、厚生労働大臣が策 定するということですが、これについても当然毎年度、そのときどきの雇用情勢に応じ たような重点的なメニューについて、項目を示して、こういうことが全国ベースでは考 えられるということを示しまして、それを参考にして、都道府県ごとの状況に応じたも のを、都道府県労働局長が作っていくというものです。真ん中の全国指針の中に、○で 書いてありますように、下のほうですが、政府全体で閣議決定されている毎年度の予算、 「骨太の方針」「改革と展望」などにおける中期的な雇用に関する基本的方向性を踏ま えつつ、基本方針の策定に資するような事項について規定するということでして、その 中心になると想定されますのが、その上の○ですが、各雇用施策について、数値目標を 設定するというのが最近の行政手法として非常に大事だと私ども思っているのですが、 その設定というのが非常に大きな柱になるのではないかと考えております。この数値目 標は、全国ベースでこういう目標を作るというものですが、それを参考にしながら各都 道府県労働局ごとに各都道府県労働局の数値目標というのを設定していくことが、見込 まれるのではないかと考えております。  以上が資料5でして、資料6は、以前23回に配付した資料です。これについては、非 常に具体性に欠けるのではないかとか、議論の役に立たないのではないかというご指摘 もありましたので、その反省も踏まえまして、今日提出の資料1、2、あるいは資料3、 4といったような資料になったということです。私のほうからの説明は以上です。 ○諏訪部会長 どうもありがとうございました。これから皆さんにご議論していただこ うと思います。まず、資料1と2ですが、これは前回、若年者、女性、障害者等に係る 対策を、国の講ずべき措置として雇用対策法に規定することについて、大変活発にご議 論していただきました。ご存じのとおり、雇用対策法における国の講ずべき措置に関す る規定の仕方は、施策の充実を図るべきことを国に対して義務づけているものであり、 事業主等に何らかの義務を直接に課すものではありません。具体的に何らかの義務を課 したりするには、個別の法律において別途具体的な規定をすることが必要となります。  しかしながら、国の講ずべき措置について、より詳細な提示がないと議論が非常にし にくいことがあるようですので、事務局から、資料1として、国の講ずべき措置に盛り 込むことが考えられる具体的な内容の案を、資料2としては、国の講ずべき措置を追加 等することにより、雇用関係の法律がどのような体系に整理されるのかを整理していた だきました。  これら資料の取扱いですが、審議の進め方については、前回、第23回の資料1に盛り 込まれた論点について一通り議論したあとで、もう一度国の講ずべき措置について議論 することと整理をさせていただいたわけですが、そのようなことを踏まえて、まずは資 料1、2、3を議論していただいたらどうだろうかと考えています。よろしいでしょう か。  それでは、まずは資料1、2、3についてご意見、ご質問等がありましたら、ご自由 にお出しください。 ○成瀬委員 まず、ちょっと質問させていただきます。確認ということもあるのですが、 資料2で、現行の第4条第1項の各号が記載されていますが、事務局の考えとしては、 現行の第1号から第4号と、2頁の「その他労働者がその有する能力を云々」というと ころは、このまま残すというお考えなのかというのが1つ目です。  2つ目の質問は、資料1ですが、具体的に第4条第1項に追加をしていこうというこ とで、(1)から(9)、(4)等は拡充かもしれませんが、追加をしていこうというお考えだとい うことですが、その内容としては、例えば(1)の関係で言いますと、「職業意識の喚起」 「実践的な職業能力の開発」という項目まで含めて、雇用対策法の中にインデックス規 定をしていこうということなのですか。  また、資料2に戻るのですが、2頁目のいちばん上の箱のところです。現行の6号で すが、ここで「拡充」とあるのですが、現行で「不安定な雇用状態」というのは何を指 しているのか、「拡充」のあとの矢印の下の2行目、対象者として「派遣・請負労働者 (拡充部分)」とあるのですけれども、これはもともと入っていたのではないかなとい う気がするのです。この記述の意味が分からないので、教えていただきたいと思います。 とりあえず3点お願いいたします。 ○諏訪部会長 いま質問が出ましたので、このほかにも、資料の中でよく分からないと いうところがあろうと思いますので、少し出していただいて、まとめて事務局からお答 えいただこうと思います。 ○郷農委員 資料2で、いま委員長が、これは国に求める課題であって、事業主に求め るものではない、とおっしゃったのですが、資料2の2頁目の派遣法あたりの真ん中か ら下あたりですが、「基準法の遵守等については、雇用管理改善という切り口で取り組 むことが必要ではないか」と随所に書いてあるので、結局、この辺は事業主にも求めて いるのではないかという気がしますので、そこをちょっとお伺いします。  資料2の最後の頁ですが、外国人労働者の受入れに関する考え方は、現時点での考え 方に基づきと書いてあるのですが、「現時点での考え方」のあらましを教えていただき たいと思います。 ○樋渡委員 資料2を中心にご質問いたします。1頁目の現行の「高齢者雇用の職業の 安定を図る」というところの矢印の下に「年齢に関わりなく働き続けることができる社 会の実現」というのは、(対象は高年齢者)と書いてあるのですが、年齢に関わりなく 働ける社会にしていくのか、それとも、ある程度高齢者の定年という区切りから、その 先、年齢に関わりなく働けるようなことを考えているのかを、まずお伺いします。  外国人労働者の点について、これは、いまの質問と関わりがあると思うのですが、外 国人の受入れについてはさまざまな考え方があるので、まず、その辺、それぞれがどう いう整理をしているのかを知りたいのが1つです。  方向性としては、専門的・技術的分野の外国人を受け入れるということで、国の方針 がなっていることは承知していますが、その人たちを、「受入れの促進」という表現に、 この3頁でなっているのですが、促進という立場で、国がこれから考えていくのかどう かの確認をさせていただきたいと思います。以上です。 ○諏訪部会長 いま、7点ぐらい質問が出ていますが、ほかにいかがですか。 ○荻野委員 1点質問をさせていただきます。資料2の2頁目の下のほうに、「女性に 係る対策の充実」を新たに追加されたいということになっており、その施策の具体化が 右のほうに書いてあります。ここに均等法を書いていないのは、何か理由があってのこ となのかどうかを教えていただきたいと思います。 ○諏訪部会長 もう8つぐらいたまりましたから、ここら辺で、とりあえず、ご質問に 事務局から答えていただいて、また、そのあとでご質問がさらにあればお出しいただこ うと思います。それでよろしいですか。それでは、生田総務課長、どうぞ。 ○生田総務課長 成瀬委員からお話がありました資料2の書きぶりとの関わりですが、 現在の1号から7号までに掲げられているメニューについては、拡充部分が高齢者、あ るいは不安定な雇用状態の是正を図るための雇用形態、就業形態というところですが、 それ以外は、現在のその規定について、字句の整理はもちろんあるのですが、残すとい う考え方です。  資料1との関わりですが、資料1の(1)の「若年者対策」については、後日、若者対策 にどういう規定を盛り込むかについて詳しい資料を出してご説明したいと思いますが、 この4条1項の各号のインデックスのところは、今後、雇用対策法の中で、若年者につ いて複線型雇用を実現する中で、あるいは大臣指針の中で、雇用管理改善に向けてどう いうことがあるのかという中で、職業意識の喚起、実践的な能力開発、若者の就業の促 進といったようなことが出てきますので、それを方向性という形で盛り込むということ になるかと思います。ですから、若者の具体的なメニューを示した時に議論いただいた ほうが多分建設的だと思いますので、いまの段階では、この3つについて、その施策の 方向性の中で盛り込むという考え方です。  不安定な雇用状態の是正についての理解の仕方ですが、現在の6号の「不安定な雇用 状態」については、主に季節労働者、日雇い的な労働者を、法律ができた時は、想定し ていました。  雇用形態という考え方だけですと、いわゆる期間雇用ということで、期間が限られて いる雇用とか、短時間雇用ということで、雇用として時間が短いものはフォローできる のですが、例えば派遣のように、労働時間が普通の労働者と同じだということで、期間 の定めがない派遣労働者もいらっしゃいますので、そういう方を想定すると、その就業 形態という、雇用と指揮命令が分離する形で就業することは、別に書かないと、うまく フォローできないのではないかということもあって、派遣法ができた時に変えればよか ったのかもしれませんが、その派遣に着目しますと、就労形態というフレーズは、いず れにしても必要だと考えています。  請負についても、これは雇用と指揮命令が分離する形ではないのですが、就業がたま たま発注者の所というだけなのですが、そういうものは、雇用形態というフレーズでは フォローできませんので、就業形態の中に、請負労働者も含まれるのではないかという ことで、施策の方向性として、就業形態というフレーズを入れさせていただいたほうが いいのではないかと考えたところです。  郷農委員からご指摘いただいた点ですが、この4条各号の内容については、先ほど冒 頭に申し上げましたように、国の施策の方向性を示すインデックスであるということで、 これは方向性を示すもので、具体的に事業主なり労働者なりに権利とか義務を課すため には、個別の法律が必要だというものです。いわゆる基本法とか理念法と言われるもの については、そういう規定を設けることがあるのですが、そういう整理のものです。  ですから、あくまで現在の雇用対策関係のいろいろな法律がありますが、その法律体 系を整理させていただいたということにしか過ぎませんので、実際にその実施する法律 がなければ、何も事業主に義務を課されることはないもの、とご理解いただければと考 えています。これは法律のタイプとして、そういう基本的な理念のようなことだけを書 くというタイプの法律なので、そうなっています。  外国人の受入れの考え方は、後ほど担当のほうから説明をさせます。  「年齢に関わりなく働き続けることができる社会」の問題です。これについては、い ま、年齢に関連して、法規定があるのが高年齢者安定法です。いま、この雇用対策法の 中で何か書くとしても、実際、事業主に及ぼす影響という意味では、高年齢者雇用安定 法なり、現在、職業安定法で職業紹介をしていますから、職業安定法なり、ここに書い てある以外にもいろいろな法律が考えられるのですが、そういう法律で具体化できるも のしか想定できないことになります。  そのうえで、「年齢に関わりなく働き続けることができる社会」を考える場合に、い まの高齢法の考え方は、まず、「60歳定年」というところまでは書いてありまして、65 歳までは継続雇用をすることを基本に法規定が出来上がっています。ですから、ベース はあくまで65歳までの継続雇用ということだと思っています。  そのうえで、今後の労働市場のあり方を考えた場合に、やはり70歳ぐらいまで働ける ような社会をつくるべきではないか、というご指摘も各方面からあります。そういった ことは、いまでも禁止されているわけではないと私どもは考えています。  これは、高齢法を具体化する高年齢者職業安定対策基本方針、大臣告示ですが、そこ でも年齢に関わりなく働ける社会をつくるという、抽象的なと言いますか、理念的なフ レーズがあって、65歳を超えた人についても、当然、職業紹介をやっているわけです。 そういった方について、職業紹介をしたり、職業紹介に関連するようなさまざな支援策 をとっていくこと自体は否定されないのではないかということもあり、この「年齢に関 わりなく働き続けることができる社会」は、ある意味では、当たり前のことを書いてい るつもりではあります。ただ、さまざまなご議論があるかもしれませんが、私どもの気 持としては、そういうところです。  荻野委員からご指摘がありました女性に対する対策です。女性に対する対策は、この 右側の具体的に実施する法律について、どこまで書くかはいろいろ考え方があると思っ ています。ここに書いたのは、あくまで代表的なものについて書いたつもりです。女性 について、さまざまな支援策は、例えば雇用保険法とかいろいろなものに盛り込まれて いますので、均等法についても、女性に対する雇用に係るという意味では書いてもおか しくないのかもしれませんが、代表例として、このように書かせていただきました。意 図的に外している意味ではありません。  ここで、パート法ということで、あえて書かせていただきましたのは、均等処遇につ いて、いま現在ほかの審議会で議論されておりますので、そういった点は、そちらで議 論していただくのがいいのではないかという意味合いで書かせていただいています。  郷農委員ご指摘で若干説明し忘れたところがありますので、併せてコメントしますと、 雇用管理改善という切り口で取り組むことは考えられるというのが、この雇用管理の改 善の部分とか、女性に係る対策の充実のところで、いちばん右の枠の中のいちばん下の ところに書いてあります。  この「雇用管理改善という切り口で取り組むことは考えられる」という趣旨は、雇用 対策法の中で、インデックスとして理念を示すという意味しかないわけです。その場合 を示すとすると、「雇用管理の改善」という表現しかないのではないかということです。 実際の具体化は労働契約法制、労働時間法制、パート法制の中でしか具体化されません ので、この雇用対策法の中でそういった具体的な中身まで当然記述もできませんし、本 当に抽象的な「雇用管理の改善」というのは相当幅広い概念ですが、そういう中に含ま れるのではないかという整理ができるのではないか、ということを書かせていただいて おります。これで、事業主に何か義務を課すことには全然ならないと考えています。 ○尾形外国人雇用対策課長 ご指摘のありました現在の外国人労働者の受入れの考え方 は、専門的・技術的分野の外国人は受入れを促進し、それ以外の分野は慎重に検討する ということです。「専門的・技術的分野」というのは、非常に便宜的な用語ですが、要 は、入管法上、産業や国民生活に及ぼすいろいろな影響を総合的に勘案して受け入れる ことが適切だと思える個々の職種をいくつか決めて、それを受け入れている、それを総 称する概念として、便宜的に「専門的・技術的分野」という言葉を用いているというこ とで、言い換えれば、産業、国民生活に及ぼす影響、言いかえれば国、社会全体に及ぼ す影響を総合的に勘案して、受入れ範囲を決めているのが現在の考え方と言えるかと思 います。  いろいろな意見を、政府や与党の中で、あるいは経済界からも、労働界からもいただ いていますが、基本的に、現在は、その受入れを拡大すべきだ、あるいは現状を維持す べきだという2つの意見に整理されています。  受入れを拡大すべきだというご意見も、最近のご意見の主流は、単純労働の分野で受 け入れろという主張はあまりなく、基本的には、専門的・技術的分野の考え方をより柔 軟にして広げろという考え方や、専門的・技術的分野の若干下の部分、単純労働との、 いわば中間地帯と言いますか、グレーゾーンでの受入れを認めるべきだ、というご意見 が中心ではないかと思います。  現在、政府としては、それらについてどういう対応をしているかと言いますと、これ は今年の「骨太2006」で記述されています。まず、冒頭に、「優れた外国人研究者、技 術者等高度人材」と。これは専門的・技術的分野のうちの特に高度の人材という意味で すが、そういった人材については受入れ拡大を行うと。そういったことを今後も検討す る。それに加えて、「現在、専門的・技術的分野と評価されていない分野の受入れにつ いて、その問題点にも留意しつつ検討する」ということになっています。その問題点と いうのは、どういうものがあるかを、副大臣レベルの会合で整理したものが6月に示さ れています。  ですから、国の方針として、専門的・技術的分野の外国人労働者の活用促進が今後も 維持されるのかという点については、骨太2006でもありましたように、特に高度な人を 中心に受入れを促進していく方針に変わりはありません。以上です。 ○諏訪部会長 いまひとわたりお答えしていただきました。 ○原委員 資料2ですが、直接問題ということよりも、ちょっと気になったことがあっ て、最初に「国の講ずべき施策第4条第1項各号」ということで、「雇用政策のインデ ックスであり」ということを強調されて、「国の施策の方向性を表わす」というのはい いですが、「直接事業主に義務を課したり、助成措置を設けたりするものではない」と いうことですが、しかし、これが基本的に大事なことで、こまごましたことについては、 この雇用対策法では言わないのですが、基本的な雇用対策法の構えとしては、国は国で やりますが、経営者は経営者で、こういうことについては努力されたいという基本的な 姿勢は必要だと思うのです。ですから、あまり、こういうふうにこの法律について、こ う決め付けられますと、何のためにこの法律かなという思いがあるわけです。  それに関連して、ちょっと気になったのは、雇用対策法の第1章「総則」目的第1条 の2項にこういうくだりがあるのです。その当時の法律立案の背景もよく分からないの ですが、「この法律の運用に当たっては、労働者の職業選択の自由および事業主の雇用 の管理についての自主性を尊重しなければならず」と、「事業主の雇用の管理について の自主性を尊重しなければならず」ということをわざわざ入れるというのは、一体どう いう理由なのですか。  かなり、労働基準法にしても何にしても、いま、さまざまな偽装請負の問題も含めて、 法違反が顕著になっていて、厚生労働省としても放置できない。従来の行政指導の領域 を越えて、何らかの違った内容での指導をしていかなければならないという大変な事態 になっていると思います。  そういう意味では、まさに法規制が非常に重要なわけですが、雇用の管理について事 業主に、「自主性を尊重しなければならず」ということをわざわざ入れる理由ですね、 ちょっと引っ掛かるものがあるのです、労働者の立場から言うと。自主性を尊重してい たら変なことになるのではないか。自主性を尊重しているから結果として、ああいう法 違反が罷り通っているという不払い残業の問題も含めてです。なぜ、わざわざそこまで 書かなければならないのか。むしろ、規制を強化することのほうが、いまの日本では大 事になっているのではないかと思うのです。ちょっとこの議論の時に気になりましたの で、その点の説明をお願いしたいと思います。 ○諏訪部会長 いま質問が出ましたが、ほかにもう少しあると思います。片野坂さんど うぞ。 ○片野坂委員 原委員のご意見と同じタイミングで、実は、全く同じことが逆になるの ですが、申し上げます。この資料1と資料6が非常に大事なペーパーだと思いますが、 資料1でいま原委員がおっしゃったところは、実は、資料2の「国の講ずべき施策」と 同じくだりですが、「直接事業主に義務を課したり、助成措置を設けたりするものでは ない」というのは、資料1の最初のパラグラフの間に入っているようなものですよね。 それが抜けているので、入れていてもよかろうと思ったのです。4条の前の1条に、そ もそもこの法律の基本的な目的があって、「事業主の自主性を尊重しなければならない」 というのが、第1条の目的にあるので、それは非常に意味が大きいのではないかという 意見です。そうは言っても1条には「事業主に対して努力を助長するように、国として 努めなければならない」というのが入っておりますので、そこにこの精神がしっかり現 れているのではないかと思います。 ○成宮委員 やはり関連しますが、先ほど来の議論と言いますか、事務局のご説明を伺 っていても、雇対法というのはあくまでもインデックスなので、具体的な中身の義務な り何なりをこれで課すものではないというご説明は、それはそれでよく分かるわけです。 具体的な措置は、それぞれの個別法等で今後、また議論される機会はあると。そうしま すと、もし今度の段階が、雇対法のインデックスにこういう書きぶりで入っているから、 個別法ではそこの改正をしなければならない、というレトリックになっていくとすれば、 具体的な措置の内容を完全に念頭に置いた上で、ここで議論をした上で雇対法のインデ ックスに過ぎないと言いつつ、雇対法のインデックスに何を入れて、何を入れないとい う議論をしなければいけない、ということになるのではないかという疑問を非常に強く 感じた次第です。 ○諏訪部会長 ほかに関連して、質問等はありますか。  それでは原委員、片野坂委員、成宮委員から出たご質問について、事務局からお願い します。 ○生田総務課長 まず原委員からご指摘のあった、雇対法1条2項の条文の趣旨につい てです。法制定当時、規定のこの部分についてどういう考えかというものは、いま手元 には持ち合わせておりませんので、正確なものになっていないかもしれませんが、まず 企業にはいろいろな労働者がいらっしゃるので、雇用管理については、いろいろな方法 を採る必要があるというのは当然のことです。まず、それを前提として考えるというの が、1条2項の冒頭部分で書かれているのではないかと考えます。ただ、最終的に雇対 法で目指しているような方向性に沿って、事業主の努力を助長するように努めなければ いけないという、片野坂委員がおっしゃったようなフレーズもありますので、1条2項 について私どもは、全体としてバランスの取れた形になっているのではないかと考えて おります。  成宮委員からご指摘のあった4条1項各号と個別法との関係については、基本は現在 ある法律に、現在ある個別法の中身を抽出したものと言いますか、個別法の中の理念を 抽出したものを、再整理しているだけのものがほとんどです。例外としてあるのが、若 者と外国人のところです。これらについては雇対法で、新しく規定を設けさせていただ きます。4条1項各号とはまた別で、具体的な個別法としての規定を設けさせていただ きます。そこについては個別法としての規定をご覧いただきながら、これでいいかどう か、ご判断いただければいいのではないかと思っています。基本は、既存の法律の後追 い再整理です。 ○原委員 私の質問に対する答弁にはなっていないのではないですか。労働者に対して は職業選択の自由、事業主に対しては雇用管理の自主性の尊重ということですが、これ は別にバランスを取る必要はないのです。企業内での事業主と労働者の立場というのは、 同じ立場ではありません。立場が弱いのです。ですから、こういう表現でバランスを取 る必要はないわけです。  いまは規制緩和のご時世ですが、むしろこの種の問題に関しては、法律による規制を 強化しないことには、問題が頻発するわけです。こういう問題の中で厚生労働省がどう いう姿勢を、法律という手段で打ち出すかというのが、大事になっているのではないで すか。社会に対してメッセージを発する、そのときに事業主の雇用の管理についての自 主性を尊重しなければならないということを、わざわざ今回の法律改正の中で、これを 放置して入れることについて、私はどうも納得いかないのです。労働者に対しては自由、 経営者に対しては自主性ということでバランスが取れている、という言い方でなかった かどうかは分かりませんが、これでは説明が不十分ではないですか。 ○楪葉雇用政策課長 いまほどご指摘のあった点ですが、法律の目的の第1条において は、この法律は国が雇用に関し、政策全般にわたり云々していくというようになってお ります。それを補足するような形になるかと思いますが、いわば事業主が事業活動の一 環として行う労働者の雇入れ、その他配置、訓練等の雇用管理について、国の介入を避 けるという意味で、第1項では国の話があって、第2項では事業主の自主性を尊重する というように見ることができるのではないかと思います。そういった意味からすれば、 国と事業主のバランスは取れているわけです。 ○生田総務課長 私が先ほど申し上げたのは、1条2項の中で労働者の職業の選択の自 由と、事業主の雇用管理についての自主性を尊重、という部分のバランスの問題を申し 上げたわけではありません。事業主の雇用管理についての自主性を尊重しなければなら ないというのは、経営権の問題ですので、2項のいちばん最後の所に、「事業主の努力 を助長するように努めなければならない」と、はっきりと書いておりますから、雇対法 1条2項全体としては、事業主にこの法律の目的に従って努力していただくことを求め ているという理念が書かれているのではないかと思っております。  例えば実際の偽装請負等の違法行為への対応については、当然労働者派遣法違反、あ るいは職業安定法の労働者供給事業違反ということもあるでしょうけれども、そういう ことについて厳正に対処していくのは当然のことです。私どもは、この雇対法1条2項 の規定とは直接リンクしないのではないかと思っております。ですから労働者派遣法な り職業安定法なりの履行を万全にやるということは、私どもとしても引き続き肝に命じ てやっていきたいと考えております。 ○原委員 あまりこれ以上言うつもりはないのですが、時代の変化に対応して、雇用対 策法を見直すということで、この審議会は始まっているのです。そういう意味で、もう 一度言っておきます。まさにこの状況は、事業主の雇用の管理の自主性を尊重していた のでは、日本はえらいことになるという情勢なのです。日常的にはそういう立場で立ち 向かっていただいているのですが、やはり法律ということで意思表示をしておくべきで はないか。あえてこういうものを入れるというのは、経営側の意見もありますので、労 働者側の意見だけで法律が作れないとは思うのですが、そこはやはり攻防戦ですよね。 経営側は「放っておいてくれ。企業内労使に任せてくれ」と言います。しかしいま現在、 「企業内労使」と言いましても、組織率が18.7%ということで、圧倒的多数の労働者に は労使協議がないわけで、法律しか救いの手段がないわけです。そういうときに経営者 の自主性を尊重ということを、わざわざ法律で入れていたのでは、どうしようもないの ではないでしょうか。雇用対策法ですから、具体的なことは個別法で決めるから、「法 令を遵守し」云々ぐらいは、入れておいてもいいのではないかと思います。 ○諏訪部会長 ただいまの最後の部分は、原委員のご意見ということですので、ほかに ご質問なりがありましたらお願いいたします。 ○成瀬委員 3点ほど申し上げます。まず第4条第1項はインデックスですが、若年者、 地域雇用、外国人以外については新規の枠がありませんので、それ以外の部分のインデ ックスの書きぶりについて、ご意見を申し上げたいと思います。  まず1つ目は(3)、「女性に係る対策」です。たたき台には3項目出ていますが、1つ 目がいきなり「妊娠、出産、育児等を機に退職した女性労働者の円滑な再就職の促進」 とあるのが、私どもとしては非常に違和感を感じるわけです。これが1つ目に出てくる ということは、現在、厚生労働省も問題意識を持っていらっしゃると思いますが、女性 のいわゆるM字型就業率を前提にした上で、退職してしまったけれども、再就職への支 援ということでしか読み取れないわけです。妊娠、出産、育児等の事象を迎えても、女 性労働者が働き続けられるようにするというのが、やはりまず第1にくるべきではない でしょうか。  とは言っても実際に現状、それらを機に退職される女性も一定数いらっしゃるわけで すから、2番目に「再就職の促進」と、こういう流れになるべきではないかと思ってお りますので、是非前向きにご検討をお願いしたいと思っております。  2点目は、(8)の「不安定な雇用状態の是正」です。これは書きぶりという問題ではな いのですが、資料2で言いますと、対象者として追加するのは、派遣および請負労働者 ですね。たぶん、ここに書いてある請負労働者というのは、請負事業者の労働者という 意味だと思っています。昨今では狭義の雇用契約ではなくて、家内労働や在宅ワークを 含めた個人請負や有償準委任契約のような、実際には労働者に類似の形態で働く方々が 増えていると思っております。それが「雇用」と言えるかどうかというのはあるかもし れませんが、そういう方々も対象に含まれるような方向で、考えるべきではないかと思 っておりますので、これも是非ご検討いただきたいと思います。  3点目が、このインデックスの書きぶりに絡むかどうかはわからないのですが、資料 2で「雇用管理改善という切り口で取り組むことが考えられる」とありますので、それ に関連して申し上げます。これは旧労働省時代から続いている、いわゆる縦割行政のこ ととも関係するかもしれません。均等や均衡の中身に踏み込むつもりはありませんが、 従来、通常時間と短時間という労働時間の多寡での均等、均衡しか考えていらっしゃら なかったのではないか、厚生労働省はそういう切り口での雇用管理改善しか頭になかっ たのではないかという印象を持っております。そこよりも、むしろ雇用契約としての期 間の定めのない雇用契約と、期間の定めがある有期雇用契約との間、また、インデック スになり得るかどうかは知りませんが、直接雇用と派遣等の間接雇用との間のバランス をどう取るかという切り口での雇用管理改善についての視点も必要ではないかというこ とで、3点ご意見を申し上げておきたいと思います。 ○諏訪部会長 皆様、ご意見のほうに移ってきておりますし、ほかにもご意見がいろい ろあろうかと思いますから、お出しいただきたいと思います。 ○山川委員 質問的でもあり、意見的でもあり、少し問題意識のあるところについてお 伺いしたいのです。それは、いわゆる路上生活者の関係です。最近少し減ったとは言う けれども、実際は東京都から周辺県に流れているとか、いろいろ言われています。実際 の数字はよくわかりませんが、多くの方は多重債務等で住居を失い、路上生活に落ちて いくというように聞いております。そのことが基本的なネックになって、住居がないと いうことで再雇用ができないと。そのための施策としては都県なりNPOなりが、それ ぞれ積極的に地域で展開していますから、少しずつ改善は見られるものの、そうした問 題はこの雇用対策法の中のどこに関連してくるのかということと、ここではそこまで位 置づける必要はないという判断なのかとも思い、その辺の考え方をお聞きします。当然、 自己の責任の場合もありますが、かなり能力の高い優れた人たちも多いし、さまざまな 事情を抱えて、そういう境遇に陥った方もいるわけです。その人たちを労働力として再 活用するということは、大きな意味があるのではないかと思っており、質問させていた だきたいと思います。 ○諏訪部会長 ご質問等は、まとめて後でお答えいただくことにして、ほかにご意見あ るいはご質問はありますか。 ○長谷川委員 資料2の新しく4条に付け加える項目として、若年はわかったのですが、 「雇用管理の改善」というのは、新しく4条に書き加えるということなのかどうかお聞 きしたいのです。なぜかというと、不安定者以外の者ですよね。労働力の確保、良好な 雇用機会の創出というのが、雇用管理のところだということですが、それを新しく書き 込むのかどうか。  それから外国人労働者については、新しく4条ではなくて、前回の資料だと重要施策 か何かで書くという書き方があったと思うのです。外国人労働については4条の各号に 置くのではなくて、別途書くということなのかどうか。  もう1つ、これだけは確認しておいてほしいのです。前回も今回も外国人労働のこと は議論になっているのですが、この審議会では入管法の改正などできないわけですから、 外国人単純労働者を入れるか入れないかという話は、まず論外だということは、お互い の共通認識にしておいていただきたいと思います。それは入管法の管轄ですから、審議 会が全然別だということで、そこはお互いに認識した上で議論をしていただきたいと思 います。 ○諏訪部会長 ほかにはよろしいですか。それでは質問の部分と、その他意見にかかわ る部分について、事務局からお答えいただきたいと思います。 ○生田総務課長 まず成瀬委員からお話のあった、女性対策の書き方についてですが、 資料1では再就職の実現ということに重点を置いた書きぶりになっております。継続雇 用などについては、ここには書いていません。その趣旨は、雇用対策法という法律の中 で書く際に、マッチングと言いますか、需給調整の部分について重点的に書くのがいい のではないかという考え方が前提にあるから、そうなっているわけです。  継続的な雇用については、育児・介護休業法などを中心に記述しています。それにつ いては資料2の2頁の真ん中辺りに、「雇用管理の改善」というのがあります。そこの 「不安定な雇用者以外についての雇用管理の改善」という中で、「労働力の確保及び良 好な雇用機会の創出のための雇用管理の改善」と書いてあります。こういった中で、で きるだけ継続雇用が実現できるような制度を導入するということは、当然含まれると考 えております。右側の実施法令の代表的なものとして、パート法や林業労働法などと書 いておりますが、この中に育児・介護休業法を入れても、何の問題もないと思っており ます。そういったものについては、雇用管理改善の中で企業として努力していただくよ うなさまざまな法律がありますので、それを理念として示すというところでカバーされ ているのではないかという整理です。  不安定な雇用状態の是正の関係では、個人請負や準委任などというご指摘がありまし たが、こういった問題については、私ども雇用対策を担当している立場でも、非常に大 事な問題だと認識しております。雇用法制の中で法律上、どういうように位置づけられ るかという大問題が、常にある分野ですが、現在のところ、労働法制全体の問題であり ながら、雇用労働者以外の者について、一定のルールをつくるということには、まだ至 っていません。家内労働者は例外的に規定がありますが、それ以外のものについては、 規定が設けられるには至っていないということで、いまの段階で雇用対策法の中で書く というのは、なかなか難しいのではないかと思っております。しかし今後、引き続き検 討すべき課題だとは考えております。  雇用管理改善のところでは、いままでは労働時間が短い長いということだけでの均衡 の問題しか、注目されていなかったのではないかというご指摘がありました。まず期間 の定めのあるなしで、そのバランスを取るという意味については、結局、現行の規定の 拡充ということになるのだと思います。資料2の2頁の冒頭に6号の拡充ということで、 「不安定な雇用状態の是正を図るために、雇用形態の改善等を促進するために必要な施 策を充実すること」とあります。例えば派遣労働者についてどういうように雇用管理の 改善をしていくかということについては、こういった中でカバーしています。具体的な 規定としては労働者派遣法の中で、派遣労働者の雇用管理の改善のために、いろいろな 取組みをするということになっています。派遣元事業主のほうで、一定の法的なルール として義務づけられているものもありますし、派遣元事業主の講ずべき措置ということ で、大臣指針の中で規定されているものもあります。そういった形で雇用管理の改善に ついて実現することは、やっていく必要があるのではないかと思っております。  雇対法の中で、どういう規定でカバーしているかという意味では、概念的には6号の 規定なり、先ほどのよりよくするという意味では、資料2の2頁の「雇用管理の改善」 の「不安定雇用者以外の者」ということで、新たに設けられることを想定しているもの で、カバーしているのではないかと考えております。雇対法の中ではインデックスとし て、方向性を示すだけですので、具体的な施策の実施については、今後各法律の議論が 必要になってくるのではないかと思います。雇対法のインデックスの整理としては、そ ういった辺りでカバーされるのではないかと思っております。  山川委員からご指摘のあったホームレスの問題については、多重債務を抱えられるな り、さまざまな生活上の問題があるということは、本当に重要なご指摘です。ただ雇用 対策の観点からとらえる際に、どういう切り口があるかと考えますと、やはり資料2の 冒頭にある「不安定な雇用状態の是正を図る」という所が、いちばんしっくりするので はないかと思います。もちろん、それ以外にも一部重複する部分があるのかもしれませ ん。例えばホームレスの方が日雇いや短期雇用などで、不安定に働いておられるという ことが、生活不安の相当大きな前提になっていると思いますので、そういった部分でカ バーされる部分が多いのではないかとは考えております。ホームレスの対策について、 雇対法の中のどこでカバーするかというのは、もちろん非常に大事なことです。非常に 重要な政策分野だと思っておりますので、今後ともホームレスの方への対応は、強力に 進めていきたいと考えております。  長谷川委員からご指摘のあった、「雇用管理の改善」の資料2の真ん中辺りにある「不 安定雇用者以外の者」については、今までなかったものを付け加える分野です。従来は 6号の「不安定な雇用状態の是正を図るための雇用形態の改善等」ということで、季節 労働者や日雇いの方のような不安定な雇用状態の方を想定した規定を設けていたわけで すが、今回はさまざまな雇用管理改善の法体系が出来上がって、より良好な雇用機会を 確保する、あるいは先ほど育児・介護休業の話を申し上げましたが、企業では継続雇用 のために、さまざまな工夫をするといった法律があります。そういった法律の理念を雇 対法の中で整理するということで、こういう号を新しく作ることにさせていただきたい というものです。 ○諏訪部会長 今日はもう2つの資料、4と5の議論をしたいので、まだいろいろあろ うかとは思いますが、今日で議論が終わりということではありませんし、これは今後、 また皆様に是非ご議論していただくということで、資料4および資料5を、この議題の 最後にさせていただきます。 ○成瀬委員 時間が押しているところ恐縮ですが、課長から答弁された1点目について、 一言申し上げておきます。今回はインデックスということで、政策目標の体系化をこの ようにされるわけですが、そこには理念が出てくるわけで、当然メッセージ性がどうし ても出ざるを得ないと思うのです。私は先ほど女性の件で言いましたが、確かに女性の 継続雇用については、その上の「雇用管理の改善」に入るということは、もう承知して いるのです。しかし女性の対策の1項目目で再就職というのが出てくるということが、 やはりメッセージとしてどう伝わっていくかということを、私は懸念しているのです。 法改正はたぶん2007年になるのでしょうけれども、2007年のこの時点で、これが女性 の対策の第1番目なのかというように受けとられるわけです。そういうことだけは申し 上げておきたいと思います。 ○諏訪部会長 すみませんが、これを最後にさせていただきます。 ○北村委員 印象論になるかもしれませんが、ただいまの女性に関する対策に関連して、 若年者にしても雇用管理にしても、全体を通して各ステージごとの言及というのは、わ りに厳密になされていると思います。しかし実際には女性の場合、例えば女性の若者に 関して言うと、同じフリーターと言っても、最近は「家事手伝姫」などという言い方が あって、非常に見えないままで進行している状態が多いのです。あるいはいろいろな労 働政策に関して、男性と女性は必ずしも対象ではないわけです。女性非対象の中で見え にくい部分がたくさんあって、その時その時の言及だけでは、女性を応援するというメ ッセージ性は見えにくいという気がするのです。  例えば女性にかかわる対策の中で、「その他女性の就業の促進とは」というのは、各 個別法で対応されるべきものとは思いますが、ただいまのメッセージ性ということにな ると、やはり理念として女性特有の現状を鑑みた上で、総合的・継続的就業というよう な、個別法に影響を与える理念を、どこかの立場で入れていただければと思います。1 人の人間は、各ステージごとの輪切りでなく、ずっと続いていくわけですが、女性は長 いこといろいろな形で、男性とは違う非対象のハンディーを負っていることが多いので、 それについての言葉を入れていただければと思います。 ○諏訪部会長 では、そういうご意見があったということで受けとめさせていただくこ とにいたします。それではもう1点の資料4および資料5、厚生労働大臣の策定する全 国方針および都道府県労働局長の策定する地方方針等に関して、ご質問なりご意見等が あれば、ここでお願いしたいと思います。 ○長谷川委員 雇用対策について地方と連携を深めるというのは、ある意味でやっと気 付いたかという感じがします。是非これはやらなければいけないと思っています。基本 的にはこれでいいと思うのですが、厚生労働大臣が全国指針を作って、それを地方の労 働局と都道府県の知事に意見を求めるということになっていますよね。それで意見調整 をしたものが、4月からの雇用の基本方針になっていくとなると、4月以前にそういう 調整をやるということですか。基本的にはこれでいいのですが、ここのところが少し見 えないのです。 ○諏訪部会長 同じようにご質問が少し先に行ってから、お答えをお願いします。 ○郷農委員 雇用対策は、もちろん反対するものではないのですが、雇用対策を施すに 当たっての指標の策定が、単に求人倍率に偏りすぎているような気がいたします。実際 の潜在的な労働者の動態というのがはっきり見えないまま、求人数の倍率だけでやって いると、ただ1になればよろしいのかということになってしまいます。失業率など、い ろいろな潜在的なファクターも見つめていただきながら、雇用対策を行っていただきた いのです。  それから、単なるばらまきになってしまわないようにと思います。私の知人も、良心 的な会社ではあるけれども、雇用対策をフルに活用して、たくさんの補助金をもらって 潤っている会社もあるのです。そういうものもどうかなと思う面もありますので、フォ ローアップもちゃんと見ていただいて、正しく使われているのかどうかというところま で、研究していただきたいと思っています。よろしくお願いします。 ○成宮委員 最初に長谷川委員がおっしゃったように、この計画を作っていくに当たっ ては、国と地方自治体との連携というか、意思の疎通というか、政策のマッチングも非 常に意識しておられ、そのために具体的にどういう連携のあり方があるべきかというこ とについてのご提案だとは理解します。ただ資料4の2頁の2つ目では、作成の際に知 事の意見を聞かなければいけないと書いてあるのですが、3つ目の「知事からの要請」 では、計画ができて実施している過程においても、方針に盛り込まれている事項に関し て、知事が国にというか、労働局に必要な要請ができると書かれているのです。しかし、 これを法律事項として書く必要というか、意味が本当にあるのでしょうか。  例えば、下に載っているような事例はこれまでなくて、こういう事象が起きた場合に は、ごく普通にやられてきていることなのです。特に3つ目の場合、民間団体や経済産 業局とともに、知事がメンバーになってくださいというように要請するということが挙 げられていますが、民間団体や経済産業局に要請をするための根拠法があって、そちら はそれに基づいて要請しているけれども、労働局にはないから、やはり必要なのだとい うことでもないと思うのです。果たしてこれが法律事項になるのかということを、ちょ っと疑問に思います。 ○諏訪部会長 ほかにご質問はいかがですか。よろしいですか。それでは、ここまでの 部分をまとめてお答えください。 ○生田総務課長 まず最初に長谷川委員からご指摘のあった、地方方針なり全国指針を 作る時期の問題についてです。地方方針については、あくまでも4月1日から新しい方 針で仕切ることができるように、準備をしなければいけませんので、準備作業はその前 になります。ですから大臣指針については、年明けすぐにはもう出来上がっていて、そ れを踏まえて地方公共団体とも協議をしながら、地方方針を作っていくということです。 ですから4月1日より前に出来上がっているというイメージで考えております。地方局 はそれなりに大変になるのではないかと考えております。  成宮委員のお話は、いまの長谷川委員のご質問とも関係がありますので、併せて申し 上げます。ここで地方公共団体との連携の確保についてということで申し上げたのは、 歴史的な経緯があるのです。そもそも雇用対策については、国が全国ネットワークで職 業紹介などを中心にやる部分と、雇用保険については全国で危険分散しないといけない ので、全国で持つ部分とがありました。また地方公共団体の産業政策などと一体となっ て、Uターン対策や独自の福祉政策とのかかわりを持って、雇用対策を一体的にやる必 要があるという部分がありました。そもそも法律的な組織の実施体制から、都道府県の 中に職業安定課や雇用保険課というものをつくって、そこに国家公務員たる身分を持っ た地方事務官というのが存在していました。当時は労働大臣ですが、地方事務官に労働 大臣が指示を流した後、その地方事務官からハローワークの所長に指示をするという体 系になっており、完全な一体性が保てておりました。  ところが地方分権の思想の中で、労働大臣から都道府県知事が指示を受けるというこ とは、よくないという整理になり、地方公共団体は自治事務あるいは法定受託事務しか やらないということになったものですから、ハローワーク関係の仕事については、国の 直接執行事務になりました。直接執行事務になると同時に、組織としても都道府県庁の 中から外に出て、労働局の中に職業安定部門が整理されることになりました。平成11 年にそうなったのですが、それ以降は完全に分離されてしまったものですから、雇用対 策法の中で連携規定を作りました。こういう連携規定も、普通、あまり法律に書くよう なものではありません。  そういうことで連携規定は作ったのですが、それでもやはり実質的な連携は保ててい ないというのが現状です。実質的に一体となって、本当に地域のニーズに合った雇用対 策を取っていく、地方公共団体と一体となって対策を進めていくということを実現して いくためには、まず地方公共団体単位で労働局長が方針を作っていきます。その方針を 作る際には、十分県のニーズも取り込んで作るようにした上で、方針の実施に当たって は、具体的な事象が起きたときに要請できるという根拠規定を作って、本当に一体的に 仕事をするということを、法律的にも担保していくほうがいいのではないかという考え 方で、今回、こういう提案をさせていただいているところです。実態として、いま県と 労働局との連携は、恥ずかしいのですが、相当よくないのです。それを何とかしなけれ ばいけないという危機意識が、こういうものになったということです。  郷農委員からご指摘のあった、雇用対策のときに有効求人倍率を使いすぎるのではな いかというご指摘は、もっともな面もあります。地域雇用対策のような、地域に重点化 して対策を取っていくようなメニューについて、有効求人倍率というのは、非常に大き な指標になりますので、それを参考にしながらやっています。それ以外にもさまざまな 切り口の対策がありますので、例えば中小企業に着目して、対策を取るということもあ ります。そういったさまざまな切り口の対策の中で、事業主あるいは労働者のニーズを 十分汲み取って仕事をしていきたいと考えております。  助成金については過去に、ばらまきが批判されるようなものもありました。そういっ た点については、反省した対応が大事ではないかと思っております。いま現在は雇用保 険のほうの助成金を中心に、PDCAサイクルを設定するという取組みになっておりま す。事業ごとに目標値を設定して、目標値が達成できないときは、どういう原因で達成 できなかったのかということも考えながら、翌年度に事業を見直します。従来、事業の 見直しというのは、単に予算が使われたか使われていないかだけで判断していたのです が、予算が使われたか使われていないかだけではなく、事業ごとの目標が達成されたか されなかったかということも組み合わせて、事業評価をして確実に見直していくという ことをしております。その際、例えば三事業については保険料を拠出していただいてい る事業主の代表の方に参画いただいた議論の中で、見直していくという工夫をしており ます。とにかくフォローアップは、これからも着実にやっていきたいということです。 ○諏訪部会長 ほかにご質問なりご意見はありますか。 ○野村委員 今回、地域雇用対策というのが出されているわけですが、いまの雇用環境 を見ますと、都市と地方、中央と地方というところに、雇用環境の格差が大きく出てき ています。そういうことを考えますと、やはり地域雇用対策というのは、大変重要な課 題だろうと認識しております。特に地方の雇用の中で大変厳しい地域を見ると、従来言 われている公共事業依存型の地域が、やはり雇用環境が大変厳しい状況に置かれている のではないかと受けとめております。今回の地域雇用開発促進法の見直しの中でも、現 行の4つの分野から大きく2つ、雇用開発と雇用創造というところに改正後は新しく分 けていこうと思っております。その中で開発促進の部分では、雇用情勢が特に厳しい地 域というのを謳っているわけですが、公共事業等々の依存の高い地域というのは、多分 これに当たるのだろうと思っております。  いまの経済、財政、社会情勢を考えれば、従来のように公共事業をというような議論 にならないことは、十分に認識しております。そういう地域では建設業等々に従事して いる人たちが、いま大変厳しい雇用環境に置かれていることも事実ですので、建設や公 共事業関連に従事していた人たちが、ある程度の職業訓練等を行いながら、別の業種に 移転できるような、転換できるような少し細かいと言いますか、丁寧な対策を打ってい ただければありがたいと思っております。  16頁の「地域雇用開発促進法の見直し(案)」に、改正後のわかりやすい表がありま す。この中で右のほうの「雇用創造推進地域」の下の所に、「地域再生・関係省庁との 連携」という部分があります。しかし私は、左のほうの「雇用情勢が特に厳しい地域」 というのも、関係省庁との連携は十分必要なのではないかと思っております。多分、こ れは両方にかかわっている内容だと思いますが、この表ですと、どうも右だけで、左は 地域再生・関係省庁の連携は取らないのかという受けとめ方もしましたので、もしこの 辺が両方かかるということであれば、そういう記載に直していただければありがたいと 思っております。 ○諏訪部会長 いま記載の部分でご質問的なところがありましたので、そこをお願いし ます。 ○管野地域雇用対策室長 いまの記載の点ですが、関係省庁との連携はおっしゃるとお り、創造地域のほうだけではなく、雇用開発促進地域についても、関係省庁と連携を取 りながらということになると思っております。そういう意味では両方にかかる話だと思 います。ただ雇用創造推進地域の施策に関して申し上げますと、地域再生の取組みの中 で、先ほど総務課長からもご説明したように、いま政府全体としても地域の雇用再生プ ログラムを策定して、関係省庁連携の下に頑張る地域と言いますか、意欲のある地域に 対して雇用再生の取組みを、産業政策、地域振興施策とセットで支援しようという動き があります。  それと地域地域に対する支援措置というのが、かなり連携してきます。あるいは、そ ういう政府全体のプログラムの中でのいちばんコアな支援措置として、雇用創造推進地 域というのが位置づけられることもあって、地域再生面あるいは関係省庁との連携面を より強調したいということで、特にこちらのほうに書かせていただきました。ただ概念 としてはどちらの地域についても、関係省庁とは連携しながら取り組んでいきたいと思 っております。 ○宮本委員 いまのご説明に関連して、もう少し伺いたいと思います。雇用が厳しい地 域であればあるほど、企業だけではとても雇用創出ができないということで、非営利組 織がかなり重要な役割をしている所もありますので、これからもそれが期待できるので はないかと思います。その場合に、いわゆる雇用という考え方だけで解決できない部分、 つまり福祉や教育訓練的な要素も含めた上で、社会参加を半分含んだような仕事の場の 創出という性格を、かなり強く持つようになるのではないかと思います。その点では関 係省庁のレベルだけではなく、市町村レベルの雇用だけでなく、教育や福祉との連携の 中で、仕事に就けない、参加する場もないような部分を吸収していくような考え方が必 要かと思います。その点では雇用開発促進と雇用創造推進の方針というこの2つが、そ れに合った形になっているのかどうか、その辺りについてもう一度伺えればと思います。 ○菅野地域雇用対策室長 いまご指摘のあった点ですが、地域雇用開発促進法、あるい はこれに基づく支援措置については、基本的に雇用保険を財源にして、支援措置を行う という性格のものです。そういう意味では、直接雇用そのものに結び付きにくい施策と いうか、そこの部分まで支援をしていくような仕組みには、なかなかしにくいところが あります。ただし地域再生、あるいは地域の雇用創出の概念というのは、必ずしもそれ に限定されるのではないと思います。政府全体の取組みを図っていく中では、教育部門 や職種部門との連携によって、その地域の方々の雇用に近い取組みを支援していくとい うことも含まれていくと思いますが、直接的な地域法に基づく措置の中では、そこまで はなかなか手が回りにくいのではないかと思っております。 ○生田総務課長 若干補足をさせていただきます。雇用創造推進地域の中で、市町村が 地域の雇用創造計画を作るという枠組みが、これからの大事な柱としてあるわけです。 その計画を作る際に、当然市町村は地域のニーズというのを考えるだろうと思っており ます。その中で例えば地域の福祉分野にいらっしゃる方を、雇用の場に持っていくのに 非常に適したメニューが考えられる可能性は、もちろんあります。あとは教育関係者と ご相談をして、そういうタイプでの雇用創出というメニューも、当然出てくると思いま す。市町村等でプランを作っていただく際に、関係者とご相談をしながら、そういった 方々に合った場をつくり出していくことについては、配慮されるものであるということ を、きちんとお伝えしていくことにしたいと考えております。 ○諏訪部会長 ほかにはいかがでしょうか。 ○樋渡委員 資料3の17頁の雇用開発促進地域の「区域」という所に、「自然的、経済 的、社会的一体性」という書きぶりがあるのです。そこで地域の要件やイメージを見る と、ハローワークの範囲を基本としてはどうかという書きぶりになっています。この自 然的、経済的、社会的一体性とハローワークの範囲には、どういう関連があるのか、説 明していただきたいと思います。 ○菅野地域雇用対策室長 イメージとしては、まさにハローワークの範囲ということで す。基本的に労働諸条件というのを考えて、その範囲で労働者が通勤しているというか、 労働諸条件の範囲で区域を定めたいというのが基本的な考えであります。そういう意味 では「自然的、経済的、社会的一体性」と書いてあるのは、現行の地域類型の書きぶり が、「自然的、経済的、社会的一体性」という書きぶりをしていて、それをそのまま持 ってきたところもあるものですから、そのように書いてありますが、イメージとして考 えていただきたいと思うのは、労働諸条件の範囲です。それがハローワーク1つなのか、 ハローワーク2つ分になるのか、場合によってはハローワーク1つ分をさらに分けると いうことはあまりないと思いますが、基本的には単数、または複数のハローワークで、 労働諸条件を構成しているような地域で範囲を定めていきたいと思っております。 ○成瀬委員 少し細かい点で恐縮ですが、資料3の17頁、「雇用開発促進地域(仮称)」 の下の箱、「地域要件のイメージ」の3つ目の項目に、「ハローワークにおける一般有 効求人倍率を用いてはどうか」とあります。下の※の注、「現行の雇用機会増大促進地 域は」という所は、常用の有効求職者数ですから、常用有効求人倍率となっています。 もしかしてこれは常用でなくても、とにかく雇用の機会さえあればいいというお考えが あるとしたら、それはいかがなものかと思います。もちろん、ないよりあったほうがい いに決まっているのですが、やはり雇用ということで言うと、常用雇用を基本に据える べきだろうと思っておりますので、これが一般なのはどうしてなのか。その2頁後の19 頁の「雇用創造推進地域(仮称)」で言うと、「地域要件のイメージ」の2項目目では、 「ハローワークにおける一般有効求人倍率又は常用有効求人倍率」というようになって おります。この違いは何なのかというのをお教えいただきたいと思います。 ○菅野地域雇用対策室長 いまご指摘のあったとおり、雇用開発促進地域について、こ れまで増大地域においては常用の有効求人倍率を使っておりましたが、非常に雇用情勢 の厳しい地域ですので、それが全国平均に比べて、かなり下回っているということを比 較する場合に、先ほど雇用があればいいというようにおっしゃいましたが、事務的な考 えとしては、ある意味で雇用があればいいのだということも含めて、全国平均と比較い たします。これは全国平均との比較になりますので、いずれにしてもそれよりかなり下 回っているというのが要件にはなるのですが、とにかく全体に広げた上で、就職の機会 が少ないことを判断する材料としては、一般有効求人倍率のほうが、むしろ適当ではな いかということで、雇用開発促進地域については一般を使ってはどうかという問題提起 をさせていただきました。  それから、雇用創造推進地域の雇用機会については、全国平均に比べると比較的悪い ということではあるのですが、意欲や知恵というものを求めて、一生懸命取り組んでい る市町村に支援をするという考え方からしますと、必ずしも就職の機会があればという ことではありません。そういうこともあるでしょうし、具体的な中身の内容に、より常 用的なものが必要になっている地域だという判断もあるでしょうから、そういうことを 両輪にする必要があります。したがって、こちらの地域については一般と常用のいずれ も見ながら、判断することにしてはどうかという問題提起をさせていただきました。そ ういう意味では両地域において、判断の基準を少し変えた形で案を出させていただきま す。 ○成瀬委員 繰り返しになりますが、やはり雇用の基本は常用雇用だと思います。もち ろん一般有効求人倍率を用いてはいけないとは言いませんが、それと同時に常用雇用、 常用有効求人倍率がどうかということも、一方で判断基準にすべきではないでしょうか。 そうしないと、常用でない雇用ばかりが増えれば、この地域から外れるのかということ にもなると思います。そうではないのではないかと思いますので、ご検討はお願いした いと思います。 ○原委員 審議会の中で従来から、厚生労働省としての誘導策を講ずるべきだというこ とを言ってきました。資料1、資料2で発言しようと思って発言していなかったのです が、雇用開発助成金については、雇用形態を条件づけするということが、やはり誘導策 になるのではないかと思います。折角政府が金を出すわけですから、そういう意味では 正社員を採用すればいくらというように、正社員の採用を促進するような助成金の出し 方というのを、この際提起すべきではないかと思います。そういったことについて強化 しようというお考えがあるのかどうか、よろしくお願いします。 ○諏訪部会長 いまのはご意見ですが、それと同時にご質問の要素もありましたので、 事務局からお願いします。 ○菅野地域雇用対策室長 まず、少なくとも一般と常用の両方を見るべきではないかと いうご指摘については、この指針はまたいずれというか、法律に基づく指針ということ で、基本問題部会でも再度ご議論いただくことになると思いますので、事務的にもその 辺は少し整理をして、検討させていただければと思います。  助成金については、正社員の採用を促進するような形での助成金の出し方というご指 摘ですが、助成金の要件についても、少し検討させていただきたいと思います。 ○諏訪部会長 まだまだいろいろご意見はあろうかと思いますが、予定されている時間 になりました。資料1、2、3の地域法改正、都道府県労働局長が作成する地方方針等 については、皆様のご意見がかなり重なっている部分がありましたし、一部分、まだ議 論を深めていく必要があるところもあったように思われます。したがって今日出された 資料および事務局説明を踏まえて、今後ともさらにそうした議論を進めていきたいと思 います。  次回は外国人雇用対策と、これまで十分に議論を尽くせなかった論点、若年者対策等 をめぐって、さらに議論をさせていただきたいと思います。それではそのようなことで、 今後もまた皆様にいろいろとお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしま す。                 (署名委員指名)                次回は11月2日の木曜日、朝の10時から、本日と同じ第18会議室で開催させていただ きます。以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございま した。                  (照会窓口)                    厚生労働省職業安定局雇用政策課雇用政策係  TEL:03-5253-1111(内線5732)