06/10/19 重篤副作用総合対策検討会 第2回議事録          第2回 重篤副作用総合対策検討会議事録       日時 平成18年10月19日(木)                    17:00〜19:00      場所 霞ヶ関東京會舘(霞ヶ関ビル35階)                     「シルバースタールーム」   ○事務局 定刻になりましたので、「第2回重篤副作用総合対策検討会」を開 催いたします。本日ご出席の委員の方々におかれましては、お忙しい中お集 まりいただきましてありがとうございます。本検討会は公開で行うこととし ておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいております ので、マスコミ関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力のほどよろ しくお願いいたします。  前回の検討会以降、委員の交代がありましたのでご紹介いたします。田島 委員、中村委員の2名の委員が退任されています。また、今回の検討会から、 新たに2名の方に委員をお願いしております。まず、本日はお休みですが社 団法人日本医師会常任理事の木下委員です。もう一方は、財団法人日本医薬 情報センター理事の山地委員です。よろしくお願いいたします。  本日の会議では、木下委員と戸田委員からご欠席の連絡をいただいており ますが、12名の委員の方にご出席をいただいております。  また、本日ご検討いただく「重篤副作用疾患別対応マニュアル」の作成に ご協力賜りました日本神経学会から、東京医科歯科大学脳神経病態学(神経 内科学)教授の水澤先生、日本呼吸器学会から、信州大学医学部内科学第一 講座教授久保先生に、参考人としてご出席いただいております。よろしくお 願いいたします。  続いて事務局側ですが、異動がありましたのでご紹介いたします。安全対 策課長の伏見です。 ○安全対策課長 9月1日付で着任いたしました伏見です。よろしくお願い いたします。 ○事務局 それでは、これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまで とさせていただきます。                (カメラマン等退出)  以降の進行は松本座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。 ○座長(松本) この度新たに委員になられました山地先生よろしくお願い いたします。また、今日、参考人としてご出席いただきました水澤先生、久 保先生、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局から本日配布資料の確認をお願いします。 ○事務局 お手元にあります資料は、まず議事次第です。資料1は2枚紙の もの、資料2は表になったものです。資料3はマニュアルの見本です。資料 番号は打っておりませんが、上に大きく「案」と書いた原案が資料4です。 スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症、間質性肺炎、急性 肺損傷・急性呼吸窮迫症候群、非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作、薬 剤性パーキンソニズム、白質脳症、横紋筋融解症、偽アルドステロン症です。 資料5は、1枚紙でマニュアル作成対象副作用疾患(追加)(案)です。参考 資料として、副作用種類別報告件数の表です。資料は以上です。 ○座長 それでは議事次第に従い議事を進めます。議事1、マニュアル作成 状況について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料1、資料2に基づき、現状及び作成状況等を説明いたします。 第1回の重篤副作用総合対策検討会は昨年の7月に行いました。念のため資 料1として、第1回の資料抜粋を再度お配りしております。再度ですが、本 事業の目的としては、従来の安全対策は、個々の医薬品に着目し、医薬品ご とに発生した副作用を収集・評価して、臨床現場に注意喚起する警報発信型、 また事後対応型が中心であったわけですが、今後こういった個々の医薬品に 着目した副作用対策から、医薬品の使用により発生する副作用疾患に着目し た副作用対策の整備を行い、予測・予防型の安全対策へ転換を図ることを目 的とするものです。  第1段階としては、2の「事業の進め方」の(1)、「重篤副作用疾患別対 応マニュアル」を4年計画で作成し、医療現場における副作用の早期発見、 早期対応の向上を図るということでスタートしたところです。そのほかに、 事業全体像など、ポンチ絵を添付しております。  資料2は、重篤副作用疾患別対応マニュアルの作成状況です。全体で12学 会の関係の先生方にご協力をいただき、昨年度から作業を進めています。皮 膚領域では日本皮膚科学会にご協力をいただいております。スティーブン ス・ジョンソン症候群、また、中毒性表皮壊死症、こちらはライエル症候群 という別名もありますが、こちらについては現在マニュアル案を作成され、 本日ご検討をいただくところです。また、薬剤性過敏症症候群(DIHS) については作業をしていただき、その案文も出来上がり、学会の理事会等の 手続きを進めていただいております。  続いて肝臓の領域では、日本肝臓学会において作業を、薬物性肝障害とい うことでお願いしております。本文は大方出来ていると聞いており、今後私 どもも入り、編集作業を進めたいと考えております。  腎臓については、急性腎不全、間質性腎炎ということで、日本腎臓学会に 作業のお願いをしております。こちらも先月ワーキングがあり、本文をまと めていただいて、今後編集作業を行うこととなっております。  血液領域については、日本臨床血液学会の先生方のご協力をいただき、無 顆粒球症等のマニュアルについて作業をお願いをしております。こちらも先 月、学会のワーキンググループを開催しており、本文のほうは大方まとまっ ており、今後は編集作業を進めたいと思っております。  次は呼吸器です。間質性肺炎等ですが、日本呼吸器学会の先生方にご協力 をいただき、原案が作成されたので、本日、3本のマニュアルについて本検 討会で評価・検討いただければと思っております。  消化器は、麻痺性イレウス等3つについて、消化器病学会で作業を進めて いただいております。写真等をいろいろ盛り込んでいただき、現在作業中で す。  次は循環器関係です。こちらも心室頻拍等ですが、学会で2つのワーキン ググループを設置し、それぞれ、作業を進めていただいております。  神経についてですが、こちらは昨年5回近くワーキンググループを開催い ただき、本日薬剤性パーキンソニズム、横紋筋融解症、白質脳症のマニュア ルについて、ご検討いただければと思っております。  精神については、悪性症候群、また、うつ病の作業をしていただいており ます。  偽アルドステロン症については、日本内分泌学会ですが、こちらもまとめ ていただきましたので、本日ご検討いただければと思います。  その他、日本糖尿病学会にて、低血糖について、本文作成中。また、アレ ルギー学会では、昨日ワーキングを開催し、本文作成作業を進めていただい ております。 ○座長 事務局からの説明に対して、ご意見等ありますでしょうか。特段な いようですので、議事2として、具体的にマニュアル案の検討に進みたいと 思います。今回資料4として、皮膚、呼吸器、神経・筋骨格、内分泌の領域 におけるマニュアル案が配付されております。事務局から説明をお願いいた します。 ○事務局 資料3に基づき、共通のマニュアルの様式を簡単に説明し、その 後、皮膚領域、呼吸器領域というように順に説明をいたします。  まず資料3です。今回のマニュアルの全体の様式を示しております。1〜 2頁は作成にご協力いただきました先生方です。3〜4頁は、本マニュアル についての趣旨または記載項目の説明などです。5〜6頁は、前回の検討会 からその後変更したところです。やはり患者向けの部分は、もう少し分かり やすく、特出しをしたほうがいいのではないかということで、早期発見、早 期対応のポイントを中心にイラスト等も入れ、なるべく分かりやすい表現と いうことで、「患者の皆様へ」という項目を付けています。  7頁以降は「医療関係者の皆様へ」ということで、早期発見と早期対応の ポイント、また副作用の概要、判別基準、必要な治療方法、典型症例、引用 文献等を記載しております。こちらの標準的な様式に基づき、各学会の先生 方にご協力をいただき作成作業を進めたところです。  最初に皮膚領域からご説明いたします。スティーブンス・ジョンソン症候 群とライエル症候群から説明いたします。スティーブンス・ジョンソン症候 群、別名皮膚粘膜眼症候群のマニュアルです。5頁、「患者の皆様へ」という ことで若干概要をまとめております。重篤な皮ふ症状をともなう「スティー ブンス・ジョンソン症候群」ということで、抗生物質等でみられ、OTCな どでもみられるということで、何らかの薬を飲んでいて症状がみられた場合 は、医師・薬剤師に連絡してください。症状としては「高熱」、「目の充血」、 「めやに」、「まぶたの腫れ」といったような初期症状を挙げています。5頁 の下の部分は、やはり患者さん自身、ご家族による「気づき」というものが 副作用の早期発見・早期対応につながるということで、この点に留意してこ のマニュアルを活用していただければということで記載しています。  6〜7頁は、簡単に「スティーブンス・ジョンソン症候群とは?」という 説明を載せて、その後、先ほどの高熱、目の充血等の、初期症状などを加え ています。また、今回は皮膚だけでなく目の変化も重要であるということで、 「目の変化」について、載せております。  8頁以降が医療関係者向けの記載内容です。初期に認められる症状からは じまり、9頁の副作用の概要、写真等も提供いただいているところです。10 頁は発症機序ということで、現在、統一的な見解は得られていないというこ とですが、免疫系の変調等が言われているといった内容の記載があります。  11〜12頁は、今回、厚生労働省の研究班であります難治性疾患克服研究事 業、橋本先生の研究班でまとめられました「スティーブンス・ジョンソン症 候群の診断基準」を掲載しております。こちらは「副作用の判別基準」の最 新版ということで、主要所見、副所見のあたりを詳しく記載しております。  12頁は判別が必要な疾患です。似たような疾患ということで、多形紅斑、 後ほど出てまいりますライエル症候群、中毒性表皮壊死症といったあたりの 説明がございます。  その後、治療方法、14頁からは写真もご提供いただきながら典型症例の概 要を紹介しております。  19頁は副作用報告の件数です。MedDRAの用語。また、参考2としてMedDRA 「ICH国際医薬用語集」の主な関連用語を掲載しております。  続いてライエル症候群です。5〜6頁にライエル症候群(中毒性表皮壊死 症)の概要です。初期症状として「高熱」、「皮膚の広い範囲が赤くなる」と いったことを載せております。6〜7頁は副作用の概要、早期発見のポイン トを記載しています。  8頁以降が医療関係者向けの部分です。特に9頁の「副作用の概要」とい う所で、中毒性表皮壊死症は、広範囲な紅斑と、全身の10%を超える水疱、 表皮剥離・びらんなどの顕著な表皮の壊死性障害が認められ、高熱と粘膜疹 を伴い、その大部分が薬剤性と考えられているといった記載です。  11頁は、先ほどご紹介した厚生科学研究の橋本先生の研究班における判別 基準の記載です。12頁は、判別が必要な疾患、治療方法、14頁からは典型的 な症例、写真も載せて紹介しております。以上です。 ○座長 飯島委員、補足がありましたらお願いいたします。 ○飯島委員 スティーブンス・ジョンソン症候群の11頁をご覧いただきたい と思います。ライエル症候群とスティーブンス・ジョンソン症候群は移行が ありますので、この両疾患は明確に境のできない疾患であるということです。 典型例はそれぞれ異なるのですが中間系があり得るということで、ライエル 症候群と移行があり得るために、初期に評価を行ったスティーブンス・ジョ ンソン症候群は、極期に再評価を行うということがポイントかと思います。 ○座長 それでは、委員の方からご意見があれば伺いたいと思います。 ○岩田委員 DIHSのことは何も書いてないのですが、それは鑑別とか、 そういったときには問題にならないのですか。 ○飯島委員 薬剤性過敏症症候群については、ただいまのところ出来上がっ ておりません。 ○岩田委員 たぶんDIHSの所には、こういったところとの鑑別を書くの ではないかと思うのですが。ミューチュアルだから、この辺はまだ出ないか ら書けなかったのかもしれませんが、あったほうがいいのかなと思いました ので。 ○飯島委員 次の改訂版のときに、また考えさせていただきます。 ○座長 ほかにありませんでしょうか。大変良く出来ていると思いますが、 呼吸器の先生がおいでなので、ちょっとお聞きします。6頁で「一部のウイ ルスや肺炎マイコプラズマ感染」という表現の仕方というのは、よろしいで しょうか。 ○久保参考人 「肺炎マイコプラズマ」という言葉はおかしいので、「肺炎」 を取ったほうがいいのではないでしょうか。 ○座長 「ウイルスやマイコプラズマ感染にともない発症する」でもいいで すか。肺炎でないと発症しないですか。 ○飯島委員 典型的なレントゲン写真が、典型的な所見を呈さないことがあ りますので、そのほうが正しいのかもしれません。私どもは、そちらに関し ては素人ですので。ただ、結果的には「肺炎マイコプラズマ感染にともなっ て」という表現が、いちばん正しいのかなと思います。 ○久保参考人 マイコプラズマは肺炎だけではなくて、例えば気管支炎もあ りますので、「マイコプラズマ感染」のほうがいいのではないでしょうか。 ○飯島委員 英文を見ますと、「アッパーレスピラトリー・システムの感染」 と書いてありますし、「上気道感染」と書いてあるのもあります。「マイコプ ラズマ感染」のほうがよろしければ。では、そのようにご訂正をお願いしま す。 ○座長 「一部のウイルスやマイコプラズマ感染にともない発症することも 知られている」というほうがいいかもしれませんね。では、そうさせていた だきます。  ほかにご意見はありませんでしょうか。 ○池田委員 19頁です。これは参考として、医師への情報提供だと思うので すが、原因薬剤と思われるものは多種にわたります。ここには主なものだけ を挙げてありますが、医師からすると、なるべく多く挙がっていたほうがい いのですね。どこまで挙げるかはなかなか難しいと思いますが、例え報告数 が数例のところまでやると、たくさん挙がりすぎますか。7例ぐらいまでで 終わっていますので。全体が264ありますから、もう少し一般的なもので。 ○座長 これはほかの方に。 ○池田委員 挙げ方は難しいと思うのです。おそらく、ほかのところでも悩 むところだと思うのです。 ○事務局 参考1の所ですが、例えば10件以上とか、いろいろ考えてはみた のですが、ものによって、そもそもの全体の件数が違うものですから、今回 は上位5位ということで。さらに、17年度があれば、ここは追加していけれ ばというぐらいに考えております。 ○飯島委員 私どもは、スティーブンス・ジョンソン症候群の原因薬剤は特 定できないというか、何でも起こり得るということにしております。いま池 田委員も言われたように、スペースに余裕があるのであればもっと出してい ただいても構わないと思います。 ○座長 何でも起こりうるのでは、あまりたくさんあってもと思いますが。 ○市川委員 企業の立場からちょっと気になったことで、先ほど参考1で副 作用報告の件数のところがあったと思いますが、その後ろに参考2として、 「ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J)ver.9.0における主な関連用語一 覧」が添付されております。ここは事務局で作成していただいたかと考えま すが、いま自分のモバイルパソコンでMedDRA/JのPT(基本語)、例えば中毒 性表皮壊死融解症の基本語を検索してみると、一覧表に掲載されている名称 と数がどうも一致していないみたいです。もう一度、再確認をお願いできれ ばと思います。 ○事務局 そちらについては再度確認した上で、必要があれば訂正をいたし ます。 ○座長 この辺はもう少し具体的に決めたほうがいいのではないかと思いま すし、やはり、会社によってもいろいろ関係してくるでしょうから、確認し て客観的なデータを載せるように、事務局で調整していただければと思いま す。池田委員、それでよろしいでしょうか。 ○池田委員 はい。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。 ○岩田委員 参考1の薬剤の所です。実際には売薬が結構多いですが、売薬 のことが1つもここに書いていないのですが。それぞれの成分を出せば分か るのですが、何か、オーバー・ザ・カウンターのものでも起こるということ が一言あったほうがいいのかなと。飯島委員、件数からいうとかなりあるの ではないでしょうか。 ○座長 その辺は大切なことですね。 ○飯島委員 統計的なことを申しますと、たぶん、3大原因が抗生物質、 NSAIDs、それから抗精神病薬、これが3大原因で、4番目にくるのが総合感 冒薬という位置づけになると思います。どのような形で表現していただくか 事務局にご一任しますが、これが4番目にあるということをご承知おきいた だきたいと思います。 ○座長 これはほかのこととも共通しますので、事務局のほうで1つの規約 を決めてやっていただければと思います。 ○岩田委員 どこかに入れてありましたよね。 ○池田委員 いちばん最初の所に一般用医薬品ということで。 ○事務局 「患者の皆様へ」という所で、あえて「一般用医薬品」というこ とで、注意喚起の意味でさせていただいております。また、件数のところで すが、こちらももう少し書けるかどうかを検討します。また、ホームページ に掲載するときに、いま(独)医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情 報提供ホームページでかなり情報も取れますので、リンクを張るなど少し考 えてみたいと思います。 ○池田委員 「一般用医薬品」という言葉を患者がどう受け取るか。これは 患者用に書いてある文書なので、患者がどう受け取るかというのも大事なと ころかなと思うのです。 ○上田委員 池田委員と同じように、一般用医薬品というのは、わりと一般 の方は分からないと思います。私も薬学部にきて、一般用医薬品というのは OTCなんだ、というのを初めて知ったぐらいです。そういうことでよろし くお願いいたします。 ○笠原委員 報告頻度の問題や原因薬剤については、先ほど大体出たと思い ます。ここの典型的な症例で、例えばゾニサミドを挙げられておりますが、 実際には、件数のところの医薬品名には入っていないということもあります ので、代表的なものを出しているのなら、やはり入っていたほうがいいのか なということが1つです。  もう1点は、8頁に「(3)患者側のリスク因子」とあります。この症例は、 スティーブンス・ジョンソン症候群に限らず非常に重要なポイントだと思い ますので、患者がどういうバックグラウンドを持っているのかというのは非 常に重要になると思います。この辺については、もう少し情報がありました ら書いていただけると分かりやすいと思います。 ○座長 その辺はいかがですか。 ○飯島委員 いま言われたのはライエルの15頁の症例だと思いますが、これ は特別なバックグラウンドは何もない、普通の方です。これは私どもの症例 ですので間違いありません。ですから、書くべきことはありません。  左のスティーブンス・ジョンソン症候群の方も関東地方の方で、特別なバ ックグラウンドを持った方ではありません。 ○笠原委員 8頁に書いてあるケースでは、これまでに皮疹や呼吸症状を認 めたような、既往歴はもちろんそうだと思いますし、それと肝・腎機能障害 の場合には遷延化しやすいという、こういうことはもちろんあると思います。 注意するのはこの2つの点だけで、それ以外にはなかなか特徴は出しにくい のかなというところですが。 ○飯島委員 例えば担胆がん患者であるとか、あるいは免疫不全がある方、 そういう特殊な方で起こることはもちろんあります。しかし、ここで起こっ ている方は、特別なことがなくても起こっている方で、別に肝機能障害があ るから起こったわけでも何でもない、家族歴・既往歴に何もないということ は、そういうことだとご理解いただければいいと思います。 ○座長 ほかにご意見はありませんでしょうか。いろいろな意見をお聞きし ましたが、先ほどのウイルス、マイコプラズマのほうは直していただいて、 こちらの原因薬剤に関しては、事務局と相談の上、決めていただければと思 います。先生としましては、学会の先生方に必要であれば書面を回して、了 承を得ていただければと思います。 ○飯島委員 はい、わかりました。 ○座長 続きまして、呼吸器領域のマニュアルについて説明をお願いします。 ○事務局 続きまして間質性肺炎、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、非ス テロイド性の抗炎症薬による喘息発作のマニュアルについて簡単に説明いた します。  まず間質性肺炎です。5頁に概要を記載しています。肺胞の炎症で動脈中 に酸素が取り込みにくくなる「間質性肺炎」ということで、抗がん剤や抗リ ウマチ薬、漢方薬などでみられます。こちらも一般用医薬品の風邪薬でもみ られることがあるという形で記載しています。初期症状としては、「息切れ・ 息苦しくなる」、「空咳が出る」というものを挙げています。  「間質性肺炎とは?」ということで、少し肺胞の説明も細かく記載してお ります。7頁では、先ほどの早期発見・早期対応のポイントを記載しており ます。  8頁以降は「医療関係者の皆様へ」です。「早期発見と早期対応のポイント」 で、好発時期、リスク因子等を現時点で分かっている範囲で記載しています。  9頁の「副作用の概要」の所では、これまでに報告があったものについて 簡単に概略を記載しています。10頁は「発生機序」ということで大きく2つ、 抗悪性腫瘍薬のように細胞傷害性の薬剤、また、アレルギー性の免疫反応が 原因になるもの、といった発生機序が2つあるといった記載です。  11頁は判別基準、それから判別が必要な疾患です。12頁には判別方法、治 療方法などを記載しております。  典型症例概要については、症例1から症例4に多くの症例を紹介しており ます。これらの症例については、23頁以降にレントゲン写真が豊富に記載さ れております。また、典型症例の記載の後ですが、16頁「その他、早期発見・ 早期対応に必要な事項」ということで、現時点の科学的な知見ということで 人種差、遺伝子多型の関係、漢方薬による間質性肺炎を別項立てで記載して おります。18頁、19頁は引用文献です。間質性肺炎については以上です。  続いて急性肺損傷・急性呼吸窮迫症候群です。5頁「患者の皆様へ」とい うことで、動脈の血液中に酸素が取り込みにくくなり、急な息切れや呼吸困 難などが出現する副作用ということで、抗がん剤、抗リウマチ薬、また、血 液製剤などでもみられるということです。初期症状として「息が苦しくなる」、 「咳・痰がでる」、「呼吸がはやくなる」、「脈がはやくなる」などを挙げてお ります。  5頁から6頁には、副作用の概要またはポイントなどを記載しています。  7頁は「医療関係者の皆様へ」ということで、副作用の好発時期、8頁に は副作用の概念を記載しています。10頁は、「発生機序」というところでいく つか文献から引用しており、生成される活性酸素による障害、直接的な毛細 血管内皮細胞障害、リン脂質の蓄積、免疫学的な機序による障害などの発生 機序を紹介しております。  11頁は判別または治療方法です。12頁は典型症例で、エックス線写真も含 めて紹介しております。  13頁は、その他の必要事項ということで、輸血関連のTRALIについて説明 をしております。14頁では急性間質性肺炎との鑑別、または、遺伝子多型の 関係で疾患感受性について簡単に触れています。  続いて非ステロイド性の抗炎症薬による喘息発作です。5頁では、「喘息発 作」については、医薬品によって引き起こされる場合もあるということで、 有名なのは、主にアスピリンということです。初期症状として「息苦しい」、 「息をするときゼーゼー、ヒューヒュー鳴る」といった初期症状があげられ ます。  6、7頁は、そのNSAIDs、非ステロイド性の抗炎症薬による喘息発作とは ということで記載しております。また、7頁の上ではアスピリン喘息の特徴 などを列記しており、また、ポイントということで初期症状等を記載してお ります。  9頁からは「医療関係者の皆様へ」です。それぞれの発生機序の説明であ るとか、11頁ではアスピリン喘息患者の方がNSAIDsで発作を誘発しないため に、見分けるポイントを列記しております。12頁は早期診断のポイントなど です。14頁は副作用の概要、15頁はアスピリン喘息の診断手順、16頁は判別 が必要な疾患、治療方法、典型症例の概要などの紹介です。  18頁は、その他必要な事項ということで、患者への説明、医療関係者への 説明です。特に、専門病院の実例ということで、説明文書、患者カードが有 用であるということで、参考ということで付けております。 ○座長 本日参考人としてご出席の久保先生、ご意見があればよろしくお願 いします。 ○久保参考人 間質性肺炎は多種類の薬で起き得ますし、風邪薬等でも起こ り得る副作用ですので、そういうところを注意して書きました。あとは症例 を4つ出しました。もう1つは既往に、もともと間質性肺炎とか肺線維症の ある方に非常に起こしやすいということで、そこを強調して書きました。そ れから急性肺損傷と急性呼吸窮迫症候群では、特に血液製剤でこういう病態 が結構あるのではないかということで、そこのところを少し詳しく書いたつ もりです。  それから、NSAIDsによる喘息発作では、最後のほうに実際に小冊子といい ますか、パンフレットを患者に持たせておくとよいだとか、あるいは、典型 的な経過をカラーで書いていただいたり、最終的には日本アレルギー学会で 見ていただいて、まとめました。 ○座長 それでは、委員の方々、ご意見ありましたらお願いします。 ○岩田委員 これはミスプリだと思いますが、間質性肺炎の6頁の下から6 行目、「小柴胡湯」の所に「こしょうさいことう」と、前に「こ」というのが 付いていて、変なところにルビが振ってあるのです。これは直していただき たいと思います。 ○事務局 これは修正させていただきます。 ○山地委員 間質性肺炎の所の11頁ですが、7番は「非ステロイド性鎮痛薬」 となっていますが、あまり耳慣れない言葉で、普通であれば「非ステロイド 性抗炎症剤」ということになるのですが、何か特別な理由があるのでしょう か。 ○久保参考人 特別な理由はありません。「非ステロイド性抗炎症薬」のほう が。 ○岩田委員 質問ですが、輸血のTRALIはどちらに入るのでしょうか。この 薬剤による重篤副作用に入るのか、あるいは鑑別すべき対象として書いてあ るのか、その辺がよく分からないのですが。 ○久保参考人 治療として輸血をしたときにこういう合併症が起こるという ことで、先生が言われるような問題があります。たぶん、こういう病態があ るということを知らない方も多いのではないかと思いますので、ここに入れ させていただきました。 ○岩田委員 これは安全対策課のほうにお聞きしたいのですが、こういうも のの扱いはどういう扱いになるのか。TRALIが出てきたときに、薬剤の副作用 として扱うべきものなのか、全くそうではないのか。 ○事務局 TRALIについては、血液製剤の関係の添付文書に、副作用というこ とで記載しておりますし、副作用報告もありますので、副作用の扱いで、こ ちらの副作用の中にも記載しております。 ○座長 取扱いとしては、いまの取扱いでいいということでよろしいですか。 では、そのようにさせていただきます。 ○森田委員 間質性肺炎の6頁に「抗がん薬」と「抗がん剤」と両方出てい ますが、これは「抗がん剤」でしょうか。 ○久保参考人 言われるとおりで、患者さんの説明文書には、「抗がん剤」に なっていたり、一般的に、例えば抗生物質のほうが抗菌薬よりも分かりやす いだろうということもありますし、その辺のところは患者対象のものと、ち ょっと違っているところもあります。 ○森田委員 同じ頁に「抗がん剤」、「抗がん薬」と出ていますので、どちら かに統一されたほうがいいと思います。 ○座長 これは言葉の問題で。言葉遣いとしては、厚労省ではどちらかに統 一しているのですか。「剤」か「薬」か。 ○安全使用推進室長 特には統一しておりません。 ○座長 ということであれば、同じ文書であれば、どちらかに統一したほう が。同じ意味ですからね。 ○森田委員 7頁で、これは誤植だと思いますが、上から5行目の所「多く の種類の医薬品がこのタイプでます」となっていますが、これは「タイプで す」でしょう。 ○安全使用推進室長 そうですね。 ○森田委員 9頁の薬品名で「シクロフォスファミド」となっていますが、 正確にはというか普通は、「シクロホスファミド」だと思います。 ○座長 片仮名にするにはある程度決まりがあるでしょう。 ○安全使用推進室長 「ホ」のほうが正しいと思います。 ○座長 そちらのほうに統一できると思いますので、その辺はよろしくお願 いいたします。 ○森田委員 それは後で直していただくということで。あと、「メトトレキサ ート」が正しいのが、「メソトレキセート」と書いてあります。15頁に「ワー ファリンカリウム」とありますが、「ワルファリン」です。細かいことですが 指摘したいと思います。 ○座長 片仮名で書くものは結構ありますので、これもある程度統一された ものを使用するということで。 ○事務局 見直しをして修正いたします。 ○座長 お願いします。間質性肺炎については、ほかにありますでしょうか。 ○池田委員 レントゲン写真は、もっとクオリティのいいのが載るのですよ ね、お金がかかるとは思いますが。これだと真っ黒でわからない。 ○事務局 ファイルがちょっと重くなってしまうところもありますが、その 辺の兼ね合いで、なるべく画素のいいものをと考えております。 ○林委員 「非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作」の所ですが、確認の ために教えてください。患者の説明の所、5頁の2行目に「主にアスピリン などの非ステロイド性抗炎症薬や解熱鎮痛薬でみられ」という所が、一般の 方が読んだときに、「主に」が「アスピリン」にかかったように読まれるので はないかと思うのです。これはアスピリンが主たる原因物質であるというよ りも、いわゆる業界でいうNSAIDs全般であって、もし患者に話をするのであ れば、「鎮痛薬や解熱薬や非ステロイド性の抗炎症薬全般にみられる副作用で、 歴史的にはアスピリンが原因物質として有名です」といった表現にしておい たほうが、国民の皆さんに誤解がないと思われます。この辺、学会内でのご 議論の中で何かありましたら、今日確認させていただければと思います。 ○座長 その辺、久保先生、いかがですか。 ○久保参考人 そういう深い意味はないのです。アスピリンという名前がか なり一般的ですので、その言葉を使ったほうが分かりやすいのかなと思った のです。 ○岩田委員 「主に」を取ったらどうでしょうか。 ○座長 それでもいいですね。 ○岩田委員 これだとアスピリンが主役と読まれるかもしれない。 ○久保参考人 「主に」を取って、「アスピリンなどの」というようにすれば。 どうしてもアスピリン喘息という名前がありますので、アスピリンは残して おきたいと思うのです。 ○座長 その辺は検討していただければと思います。 ○笠原委員 21頁の医薬品の副作用件数の所ですが、これは一般の患者の目 に触れるデータになるわけではないかもしれませんが、ここに載っている上 位3つがたまたま2件ですから、おそらく、その他は1件なのかもしれませ んが、実際にOTCなどでもPL顆粒など、一般の医薬品でも当然NSAIDsで ありますので、この辺はリスト化したほうがいいのかなと思うのです。ただ、 実際にリスト化しますと、急性肺損傷の案のほうにあります18頁では、肺水 腫を発生する薬剤として、いろいろな薬剤がダーッと並んでいて、こういう ものはただ単に並べただけで意味があるのかとなってしまいますが、単剤で も、この場合にはNSAIDsとしてどのようなものがあったかということは、む しろリストを挙げておいたほうがよろしいのではないかと思うのです。 ○座長 この辺はちょっと難しいですね。どちらも一長一短があるみたいな のですが。 ○池田委員 確かにマニュアルを作る側からして、我々も作業をしているの ですが、どういう薬剤を皆さんにお知らせする、あるいは、医師に伝えるた めに挙げたらいいかというのは本当に難しいのです。どうしたらいいでしょ うかね。例えば、いまの急性肺損傷のところは薬剤だけではなくて、放射線 療法とか、そういうような挙げ方があるのです。造影剤とか経口式、OKT3 など、結構バラバラにいろいろなものが挙がっているということもあって、 統一がとりにくいですね。ここのところをちょっと整理しておかないと、い ろいろなマニュアルができたときに、それぞれがそれぞれの学会で議論され ているのですが、全体としては、ちょっと統一がとれにくくなるかもしれな いという危惧はあります。作業しているほうは、いつもどうしようかという 議論になるのです。どこまで挙げようかとか。その辺、ここの委員の方にあ る程度ご意見をいただいて、それを学会にフィードバックして、この辺を挙 げてもらったらどうかという考えにしたほうがいいかもしれませんね。 ○林委員 今の件に関連してですが、私どものグループが1つの学会に1人 ずつついて、進行に合わせていろいろ協力させていただいているのですが、 その中でいちばん問題になったのが今の問題だと思います。このマニュアル を作るときに、利用者である医師、薬剤師、あるいは国民が、どうやって自 分が飲んでいる薬、あるいは処方している薬からこのマニュアルにたどり着 くのだろうかというところを、作られている側の先生たちも各グループで気 にされています。ただ、そこのところは事務局的にというか、私ども日病薬 も事務局的に参加しているわけですが、このマニュアルのホームページ上で の見せ方のインデックスみたいな部分から飛ぶようにする工夫で、今、機構 のホームページにある医薬品の全体の検索機能、あるいは何かの中で、この 副作用がある薬剤の一覧が見たいという場合は見られるような工夫もあり得 ると聞いています。  ですから、添付文書上に、この副作用が記載されている医薬品は全部リス ト化して見られるということは、学会のワーキングの先生方に作っていただ いている作業内容と位置づけるのではなく、機構のホームページの機能の中 で担保できるということをご紹介しながらきています。漏れているか漏れて いないかということを、ここで気にされるよりも、それを確実にやってくだ さいという合意でいかがでしょうかという気がします。  薬事法第77条の4の2に基づいて報告されたものをここに載せるのは、最 初に、一応こういうものは載せておきましょうかということで前回の検討会 の際にお約束した内容だったと思うので、そのルールで載っているのだと思 うのです。臨床家の使用の便を考えてというのは、別のインデックスが存在 するだろうと認識しておいたほうがよいと思われますが、いかがでしょうか。 ○事務局 いま林委員からご説明いただいたとおりでして、マニュアルを作 成する過程においてリストをどうするかという話を、日病薬の先生方と検討 させていただいたのですが、やはり一旦リストを作ってしまうと、それで古 くなっていく。メンテナンスもマニュアルに載せてしまうと難しいですし、 そういう意味で、マニュアルを載せるホームページに機構のホームページと のリンクですとか、その辺りをご紹介させていただいて、実際の薬剤とか副 作用報告などは、そちらで見ていただけるようなことも考えてはどうかとい うような議論がありました。 ○座長 肺線維症の18頁、肺線維症を発生する薬剤というところ、こういう のは確かに必要なわけです。この中で薬剤とすれば、放射線療法だけ切れば 成り立つわけですが、これ自体はどこかから出てくれば、これで事が済むの で、機構の方でそういうものがどこかにあって引き出せるような形になって いれば、それでもよろしいのではないかと思います。できればこういうもの はあったほうが、私はいいような気がします。 ○上田委員 同じことで、要するに、いちばん困るのは一般用医薬品だと思 うのです。商品名を並べるしか患者からはつかまえられません。一般名をず らずら並べられても絶対わかるわけがないのですから。そういった場合に患 者という立場から見ると、一般名表記は全くナンセンスなことになってしま います。その辺はどうなのでしょうか。非常に大変だとは思うのですが。 ○座長 犬伏委員あたりから、一般的に見た場合に何か希望されることがあ れば、お話しいただければと思うのですが、いかがでしょうか。 ○犬伏委員 「非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作」と「間質性肺炎」 の「患者の皆様へ」ですが、副作用の初期症状がよく似ています。こうした 症状から「もしかして副作用かしら」と気づくのはかなり難しいのではない かと思います。「息苦しい」「咳・痰が出る」「痰はでないが咳が出る」といっ た症状は普通に日常起こっていることであり、特に年をとりますと階段やち ょっとした坂を上っても息苦しくなったりしますし、一般的感冒薬も普通に 飲んでいるように思いますから、そうした症状をいちいち副作用と考えられ るとお医者さまは大変なことにならないかしらと思ってしまいます。  また、先程アスピリンが問題になりましたが、アスピリンというお薬は私 たちの耳に馴染んでいて、しばしばお世話になっているという意識が有りま すので、そうしたなじみの名前を出されると「あっ」と注意が向くように思 います。この「非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作」では7ページに「成 人してから喘息を発症した方」はアスピリン喘息の可能性が高いですよなど と具体的で分かりやすいと思います。「アスピリンのような鎮痛解熱剤を過去 に飲んだことがあって成人してから喘息発作を起こされたような場合は、ア スピリン喘息の可能性が高いですよ」といった表現のほうが私たちには分か りやすいように思います。重篤に至らない内に気づかせるためにはなんとか もう少し分かりやすい表現があるといいなと思います。 ○座長 おっしゃるとおりだとは思うのですが、ここに書いてある症状とい うのは、ごく一般的に起こる症状でもあるわけなのです。ただこの場合、ど の薬を飲んでいてもよくて、飲んでいてこういう症状が起こった場合、やは り相談してもらって、できるだけ早く副作用を見つけようというのが趣旨な ものですから、一般にもあるからどうだということになると、こういう文章 は書きづらくなります。 ○犬伏委員 簡潔であるからというわけでは決してないのですが、もうちょ っと何か。例えば、先ほどここのアスピリンという部分が、逆にポッと出て くるほうが、私たちには、あっ、もしかしてって気づく、気づきを呼びかけ るという意味合いで。 ○座長 確かにおっしゃるとおりだと思います。アスピリン喘息の説明であ ればそれで済むのですが、そういうようなものが他の薬でも起こることがあ るというのを、できるだけ早く知ってもらうというのが趣旨ですから、その 辺がなかなか難しいところがあろうかと思うのです。 ○上田委員 間質性肺炎と急性肺損傷というのは、医師でも最初はわからな いのです。ですから、そういう症状が出てきたら、どちらでもいいから医師 にかかってしまえと。そして、後は医師に、医師の責任だよということでい いわけです。  最初から患者がこの2つの疾患を鑑別する必要はないわけです。私もでき ないと思います。 ○座長 例えばの話、これは医師だけではなく、医療関係者も見るわけです が、急性肺損傷の10頁のいちばん下の2行は、かなり難しい略字で書いてあ りますね。これだと分からないだろうと思うのです。Pao2ぐらいだったらわ かるかもしれませんが、F1o2が何の略語かわかりません。こういうことも含 めて、やはりこれは医師だけではなく、一般の医療に関係する人も見るとい うことで、一般の患者さん向けだけでなく、医療関係者向けの中にもそうい う難しい面がありますので、この辺は少しわかりやすく書き直していただけ ればと思います。ほかにどうぞ。 ○笠原委員 こだわるようですが、副作用のリストを出すときに、肺水腫の ように全部並べるようなケースですと、実際の頻度がやはり問題になるので す。この辺はなかなかデータのない部分もあると思うのです。例えば間質性 肺炎の11頁には、副作用の発現頻度としてブレオマイシンとかマイトマイシ ンといった抗がん剤などの場合、非常に頻度が高いというのは、もともとバ ックグラウンドの違う患者でがんがあるようなケースですから多いと思いま すが、これを一般の薬の頻度に当てはめるわけにはいかないわけです。デー タのある所については、母集団の中で副作用の出る頻度が異常に低いものが 非常に多いわけですから、その辺のところが非常に重要になると思うのです。 ですからデータのあるものについては、0.何パーセントというのがあった ほうが、むしろ安心な部分もあると思うのです。 ○座長 その点については、いろいろなご意見がありますね。 ○久保参考人 この抗がん剤に関してはたくさん使っていますので、頻度は わかるのですが、急性肺水腫というのは1例でも、そういうように出るので す。そこのところは薬によって違いますから、それはケース・バイ・ケース でしようがないのではないかと思います。 ○座長 ほかに呼吸器系に関してご質問等はありませんか。いろいろとご意 見をいただきましたが、可能であるところは訂正していただいて、また数値 に関しては、やはり事務局と相談して訂正していただいて、会員の先生方の 了解を得ていただければと思います。よろしくお願いします。どうもありが とうございました。  続いて、神経領域のマニュアルについての説明をお願いします。 ○事務局 続いて資料4の薬剤性パーキンソニズム、白質脳症、横紋筋融解 症のマニュアル案についてご説明いたします。  まず、薬剤性パーキンソニズムについてです。5頁、6頁に「患者の皆様 へ」ということで記載しております。体内のドーパミンが不足して起きるパ ーキンソン病と同じ症状を示す「パーキンソニズム」というものが、医薬品 で引き起こされる場合があります。特に精神科領域の医薬品でみられること があるので、薬を服用していて次のような症状が見られた場合は、医師・薬 剤師に連絡してくださいという記載をしております。初期症状としては、「動 作が遅くなった」、「声が小さくなった」、「表情が少なくなった」等を挙げて おります。  6頁、7頁が「早期発見と早期対応のポイント」ということで、今回、特 に表を記載しております。6頁の下にありますように、比較的簡単に早期発 見に活用できるものとして、Liverpool Universityの文献等を参考に、各評 価項目について表形式で点数を付けます。また患者の家族が点数を付けて疑 いを持つまでの方法を、わかりやすく記載しております。  8頁以降が「医療関係者の皆様へ」ということで、評価項目の評価方法に ついて、より詳しく説明していただいております。  10頁以降が「副作用の概要」の説明ということで、症状やリスクファクタ ーを説明しております。12頁以降が各薬物・薬剤ごとの特徴です。ドーパミ ン拮抗作用がある薬剤から始まり、カルシウム拮抗薬、14頁では抗がん剤、 血圧降下剤、頻尿治療薬、15頁では抗てんかん薬という形で、現時点で得ら れている情報で各薬剤の特徴を記載しております。  16頁が「副作用の判別基準・判別方法」です。先ほど出てきた表の話や、 そのほかに判別に当たって常に以下の3つのうちのどれかを考えながら、診 療に当たる必要があるということで、(1)から(3)を挙げております。  17頁は「治療法」ということで、まずは治療薬の中止という記載をしてお ります。18頁では、急性期、長期間の治療ということで、その辺りの概要を 記載しております。19頁以降は「典型症例」ということで、3つの症例を記 載しております。また22頁ではより分かりやすくということで、典型的な症 例の姿勢を絵で記載しているところです。  続いて、白質脳症のマニュアルです。5頁、6頁が「患者の皆様へ」とい うことで、大脳白質が主に障害されて生じる「白質脳症」は、医薬品によっ て起こる場合がある。特にカルモフール等の抗がん剤でみられることがある。 初期症状としては「歩行時のふらつき」、「口のもつれ」、「物忘れ」等を挙げ ております。  6頁、7頁が「早期発見と早期対応のポイント」ということで、若干詳し く初期症状の説明をしております。  8頁以降が「医療関係者の皆様へ」ということで、白質についての説明、 また白質脳症とはどういったものなのかという説明をしております。そして 9頁、10頁はその概要です。11頁ではカルモフールに関して、発症時期と投 薬量との関係等、過去の文献をまとめております。13頁からは「早期発見に 必要な検査」ということで、14頁、15頁に血管系のCT、またはMRIの画 像を載せております。15頁では臨床所見の経過を表にまとめ、17頁では現時 点で得られている発生機序に関する情報、18頁では治療方法や典型症例を詳 しく載せているところです。  続いて、横紋筋融解症についてです。5頁、6頁が患者向けです。骨格筋 の細胞が融解、壊死することにより、筋肉の痛み、脱力などが生じる副作用 で、主に高脂血症薬、抗生物質でみられます。初期症状としては「手足・肩・ 腰・その他の筋肉が痛む」、「手足がしびれる」といったことを挙げておりま す。「横紋筋融解とは?」という説明の中で、筋肉の成分(ミオグロビン)に より、腎臓などの腎不全を引き起こすといったことも記載しております。  7頁以降が「医療関係者の皆様へ」ということで、副作用の好発時期、8 頁で症状も含めて副作用の概要を記載しております。9頁では「発症機序」 ということです。10頁以降は医薬品ごとの特徴を、HMG-CoA還元酵素阻害薬、 スタチン系の薬とか、そのほかに12頁でも各薬剤における特徴を記載してい ます。  16頁が判別基準、18頁が参考になる典型症例ということで、4つほど詳し く記載しています。 ○座長 本日、参考人としてご出席いただいている水澤先生、補足がありま したら、よろしくお願いします。 ○水澤参考人 全体を通して言えることは、先ほど、もう既に議論がありま したが、原因薬剤をどの程度リストアップするかです。確かに機構のホーム ページを見ればわかるというご説明がありましたが、たしか私の記憶では、 ここを見ていて、すぐにパッと見えるわけではないという話だったような気 がするのです。話合いの中で、やはりそこでパッと見えたほうがいいのでは ないかということで、我々のほうはかなり詳しい表を付けてあるというのが 特徴かもしれません。  個別のところにおいては、薬剤性パーキンソニズムのうち、純粋なパーキ ンソニズムと申しましょうか、ここでは体が動かなくなるほうの症状を主に 書いてありますが、広い意味ではジスキネジアやジストニアといった、不随 意運動を伴うことが多いわけです。それについては内容が膨大になってきま すので、これとは分けて、いま作業中ということで、これから今年度にと思 っております。そういう意味では、ここに括弧をして書いてある「薬剤性パ ーキンソニズム=錐体外路障害、錐体外路症状」というのは、全くのイコー ルではないので、同義語としないほうがいいのではないかと考えました。そ ういう事情があります。  もう1点は、横紋筋融解症の所です。中でも説明しておりますように、悪 性高熱や悪性症候群というのは、それぞれ別の学会で担当されていますが、 それでも横紋筋は融解いたしますので、そのことにも少し触れて、そちらの ほうに関係する薬剤もリストアップさせていただいています。そのために、 ちょっと厚くなっているのではないかと思います。 ○座長 それでは委員の先生方から神経内科全体について、神経領域につい てのご意見をいただきたいと思います。 ○岩田委員 学会で検討しているときに、もう少し意見を言えばよかったと、 いま反省しているのですが、そのときに言わなかったことで、いま気が付い ていることがあります。一つひとつまいりますと、まずは薬剤性パーキンソ ニズムについてです。実際に現場でいちばん困るのは、抗精神病薬を中断さ れてしまうことです。この「患者の皆様へ」というのは、患者が読む所です よね。抗精神病薬を使っている人は精神病の患者です。そういう方がここを 読んでパッと止めるようなことが起こると、あるいは拒否するということが あると、現場が非常に困るのではないかと思うのです。むしろ実際にパッと 止めてほしいのは、抗精神病薬ではなく、例えばスルピリドやメトクロプラ ミドといった胃腸の薬などです。そういったものはすぐに止めてもらいたい のですが、そちらが出てこないで、精神病の人がこれを読んで、これは絶対 に飲まないということになると、非常に困るわけです。私は副作用被害救済 のほうをやっているものですから、抗精神病薬に出てくる薬剤性パーキンソ ニズムというのは、むしろ受忍に値するのではないかと思っているぐらいで すので、あまりこれが強調されるのは困るのではないかという気がします。  2番目ですが、7頁の右側の絵を見ておりまして、「こぼれる!!」という のは、あまり適切な絵ではないのではないかと思います。薬剤性パーキンソ ニズムの姿勢の時に振戦が出てこぼすようなことは、あまりないのです。む しろ表情が堅くて表情がないとか、そのような絵のほうがいいのではないか と思いました 薬剤の列挙については、私はよくわかりませんが、この中に は非常に珍しいものから、単独で起こるものと、単独ではめったに起こらな いものとがあるので、整理したほうがいいのではないかと思いました。ただ、 それはまた別の話でいいと思います。  2番目の白質脳症のほうで、特にこのマニュアルに関係するわけではない のですが、私が以前からがんの専門医ということを標榜している方々に言っ ているのは、こういうものが起こるまで待っているのは困るということです。 がん専門医から、こういう病変が起こってしまった人をたくさん送ってこら れるのでは困ります。折角水澤先生がまとめてくださって、検査のことが書 いてあるので、こういう検査を無症状のうちにできるだけやってほしいわけ です。そういうことをリコメンデーションとして書いていただかないと困る のです。例えば脳波の検査などは、ある時期にやったほうがいいとか、そう いうリコメンデーションができるといいのではないかと思います。症状が出 たときは、もう遅いのです。それがずっと気になっていることです。  最後の横紋筋融解症については、たぶん悪性症候群が出てきたときに申し 上げるのが、私はいちばんいいと思ったのですが、実際問題、「横紋筋融解症」 という名前で出てくる副作用には、悪性症候群や悪性高熱など、いろいろな ものが入っています。その中で見落とされているというか、キーワードで出 てこないのが熱中症です。7月、8月に出てくる横紋筋融解症というのは、 熱中症が入っている可能性があるのです。この時期に生じた発熱を伴うよう なものの場合は、熱中症が非常に多いのです。ですから7月、8月にCKが 上がったら注意しなさいということを、私はみんなに言っているのです。で すから鑑別の所に熱中症も入れておいていただいたほうがいいのではないか と思います。これは悪性症候群のときに言ったほうがいいのかもしれません が。 ○水澤参考人 熱中症や脱水などですね。わかりました。チェックをしてみ ます。議論もありましたので、入っていてくれるといいのですが、わかりや すく書くようにしたいと思います。 ○座長 神経内科の中で調整していただくものが多いようなので、その辺は よろしくお願いいたします。それから岩田委員が言われたように、止めては 困るという場合も確かにあって、副作用対応のときも大変難しい問題なので す。この辺は考慮して書いていただければと思います。 ○市川委員 企業の立場で恐縮ですが、3点ほど気付いた箇所をお伝えした いと思います。先ず一つ目として、「薬剤性パーキンソニズム」のマニュアル の14頁の頻尿治療薬の2行目に、「杉山、1997年」ということで、引用文献 の簡単な抜粋を記載していただいておりますが、おそらくこれは25頁の引用 文献35番と思われます。これ以外の外国の文献もそうですが、折角ですから、 35という文献番号も書いていただいたほうが、使い勝手がいいのではないか と思いますので、ご検討いただければと思います。  2つ目として、「白質脳症」の6頁、「患者の皆様へ」の※の2番として代 表的な医薬品名、ここでは一般名を示すということで、機構の医薬品医療機 器情報提供ホームページの添付文書情報を検索する画面のURL (http://www.info.pmda.go.jp/)が記載されているのですが、「白質脳症」 のマニュアルにのみ、このような記載があると思うのです。これは医療専門 家、患者さんに対してもすごく親切でよいことだと思いますが、もし記載す るのであれば、すべての副作用疾患のマニュアルに対して記載してはどうか と考えています。  最後に3つ目として、先ほど森田委員からもお話があったかと思いますが、 メソトレキセートは販売名で、一般名はメトトレキサートですので、訂正を お願いします。 ○座長 その辺はチェックをして、直してもらえればいいと思います。 ○水澤参考人 ホームページのほうは、全体として議論をしていた事務局で 検討していただいていたと思います。ここはやはりそういう議論がありまし た。商品名でないと患者にはわからないから、そちらにしようかという議論 があったのですが、そういうサイトがあるので、それを活用しようという話 になったような記憶があります。 ○飯島委員 市川委員のご指摘について、いま水澤先生がおっしゃった、ホ ームページでリンクすればということですが、実はスティーブンス・ジョン ソンには、添付文書に記載のあるものが数百ありますので、我々はとても書 き切れないという議論だったのです。逆にこういうことをしていただくと、 私たちも助かりますということで、お願いできればありがたいのですが。 ○座長 それについては事務局でもいいですが、先々の見通しとして、機構 のほうからお返事いただけますか。 ○水澤参考人 ここのいちばん最初に書いてあればいいですね。各疾患ごと でなくてもいいわけです。 ○事務局 白質脳症の記載もありますが、いまご指摘の点は扉と言いますか、 マニュアルの最初のほうの「本マニュアルについて」とか、「記載事項の説明」 といった、なるべく分かりやすい所で、機構のホームページのご紹介をさせ ていただくように、全体で修正させていただければと思います。 ○座長 そうすれば、かなりカットできますね。ほかにご意見はありません か。 ○上田委員 最初から全部見ていますと、「患者の皆様へ」という所は、こう いう病気になってしまうよ、なってしまうよということだけしか書いていな いのです。このように治療をしたらよくなりますとか、薬を止めたらよくな りますというプログノーシスに関すること、安心するような言葉を書かない と、これでは患者に対して、なってしまうぞ、なってしまうぞで終わってし まっているのです。早く見つけて治療をすればよくなるというようなものが ないと、脅迫だけで終わってしまっているのです。そこをフォローするよう な文章を、すべての所に入れたほうがいいのではないでしょうか。 ○座長 それはそうですが、これは文章の書き方なので、事務局で検討して いただければと思いますが。全体に共通することですから。 ○岩田委員 止められてしまうと困ってしまうのです。 ○座長 現実はそうなのです。そのためにやっているようなものですが、多 くは止めなければ意味がないわけです。 ○林委員 実は、病院でも調剤した薬を患者に渡すときに、こういうことも 含めて気付いてほしい点というのは、いつもご紹介しているのです。普通は ないけれども、個人と薬との相性もあって、ごく稀にこういうこともある。 しかし早めに気付いてもらえれば、健康を害さなくて済むので、念のために こういうことを知っていてほしい。そういう主旨のことを、いつも書いてお 渡ししているのです。その辺を1個1個に出すのか、このページに入る所の 頭に出すのか、少し相談していくことで、いまのご指摘への準備になるので はないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○座長 よろしいですか。ほかにありますか。 ○岩田委員 いま読みながら考えついたことですが、薬剤性パーキンソニズ ムの所の「発症前パーキンソニズムの関与」というのは、非常に大事なとこ ろです。薬剤性パーキンソニズムの中には、大きく分けて2つの意味があり ます。つまり、何もなかった人が薬を飲んだためにパーキンソン症状が出て くる場合と、もともとパーキンソン病があって、気が付かないで使っていた 薬が、実はその病気にとって症状を悪くするように働いているという場合と 両方があるのです。この発症前の所は、まさにそこのところと関係すること を言っているわけです。もともと発症している方でもパーキンソン病の症状 の悪化が、こういう薬剤で起こるということを、少し書いておいていただい たほうがいいのではないかと思いました。発症前だけではなく、発症した人 もということです。 ○座長 その辺は先生のほうでよろしくお願いします。 ○水澤参考人 わかりました。 ○座長 ほかにありませんか。本日はスムーズに進行して、了承していただ けると思ったのですが、たくさん意見が出て、時間がかなり遅れております。 本日いただいたご意見は、神経関係に関しても、関係学会の先生方と事務局 とで相談をして、修正していただいた上、また委員の先生方に最終的な確認 を取っていただきたいと思っております。  続いて、内分泌領域のマニュアルについての説明をお願いします。 ○事務局 続いて偽アルドステロン症のマニュアルです。5頁からは「患者 の皆様へ」ということです。血圧を上昇させるホルモン(アルドステロン) が増加していないにも関わらず、高血圧、むくみなどの症状があらわれる「偽 アルドステロン症」というのが、医薬品によって引き起こされる場合があり ます。主にグリチルリチンを含む漢方薬、またはかぜ薬でみられることがあ るので、放置せずに連絡してくださいということです。初期症状としては、「手 足のだるさ」、「しびれ」、「つっぱり感」、「こわばり」というのを挙げており ます。6頁、7頁が副作用のご説明と、「早期発見と対応のポイント」です。  8頁からは「医療関係者の皆様へ」ということで、それぞれ副作用のご説 明、または好発時期、9頁からは副作用の概要などを説明しております。11 頁が「発生機序」ということで記載しております。また11頁に「医薬品ごと の特徴」を、12頁で判別基準、判別が必要な疾患、治療方法、典型症例をご 紹介しています。その他、必要な事項ということで、14頁に漢方製剤など、 一般用医薬品などでもみられるので、そうした点に注意すべきという記載を しているところです。 ○座長 本日はご都合が悪く、日本内分泌学会からはご出席いただけなかっ たと聞いております。WGの林委員、何か補足がありましたらお願いします。 ○林委員 日本内分泌学会ともリンクをして、私どものグループから、関西 の井尻委員が参加しています。その話し合いの中での発端としては、偽アル ドステロン症というのは、そんなに重篤な副作用だったかという話がありま した。その意味では添付文書で、「重大な副作用としているものは」という所 から始まって、今回の執筆の具体策に入っていったということがあったので ご紹介します。  学会の先生方といろいろな作業が進んでいく中で、先ほどの横紋筋融解症 のマニュアルの15頁の(6)を見ていただくと、「低カリウム血症などの電解質 異常を来す医薬品」ということもあって、ここに甘草を含む漢方薬が出てき ます。実はPseudoaldosteronismというのは、更なる重大な副作用の前段階 であって、初期段階でそれを防ごうという本検討会のコンセプトからすれば、 これを取り上げておくことは非常にリーズナブルだというディスカッション にも進んだと、記録のほうで確認していますので、こういう取上げ方をして いるわけです。もちろん、これは不整脈になることも考えられますから、よ り重篤な副作用の更なる前段階でも、こういう警戒の仕方もあるのだろうと いうご議論があったということを、ご報告させていただきます。 ○座長 私はよろしいのではないかと思いますが、委員の先生方から偽アル ドステロニズムに関して、ご意見等はありませんか。 ○林委員 WGとして参加している段階で、先生方にお願いすればよかった 部分もあるのですが、今日、本検討会のご理解が得られるかどうか確認をし たいと思います。実は、この偽アルドステロン症の患者向けの症状や、医療 従事者向けの症状を見ますと、「手足のだるさ」、「こわばり」、「こむら返り」 というような初期症状の記載があります。それらは医療従事者向けの副作用 の解説でも、同じ内容で一致しているのですが、典型症例の所では糖尿病性 の神経障害があって、下肢痛があって、それに対して漢方薬を飲み始めたと ころという件りがあって、前述の初期症状があまり認められないのです。そ ういう意味で言うと、これをもって検査をしようという医療関係者には、典 型的な症状と言ってあるものが出ていない症例なのです。  ただ糖尿病の方の場合には、この事例が示すものにより注意ですという意 味で載せていただいていると思うのです。ですから、この症例が良い悪いと いうことではないのですが、可能であれば初期症状や検査値で注意してくだ さいと本文中に記載した内容が、症例の経過の中にうまくいくつか載ってく るような典型症例を、是非お選びいただくと、これから学ぶ側の医師・薬剤 師にとってはいいのではないかと、今回これを見ていて思いました。逆に、 高血圧と下肢浮腫というのが、結局ナトリウムリテンション、水分リテンシ ョンとして出てくる可能性があるのであれば、むしろそれも前側の注意して ほしい所に書いていくという作戦もあるかと思います。できれば症状と注意 すべき検査値が見えてくるような症例をお選びいただきたいということを、 再度確認の意味でご提案させていただきました。 ○岩田委員 私も同感です。我々の所では、こういう患者は全く珍しくない のです。ですから「そんなに重篤だっけ」と言われると、ギョッとします。 重篤な人ばかり来るのです。要するにしゃがんだら、もう立てない、椅子か ら立ち上がれない、ベッドから立ち上がれない。こういった人は非常に多い のです。それで調べてみると、こういう薬だったということが非常に多いの で、むしろそういう症例を。それが横紋筋融解症までうんとひどくなってし まうと、それはそれで気が付くのですが、そこまでいかないうちに気が付い て、薬を止めてくれることを期待しているわけですから、まさにおっしゃっ たように、そういう症例を入れていただいたほうがいいと思います。 ○座長 その辺は拾えるでしょう。 ○池田委員 やはりそれぞれの学会で本当にいい症例を、典型的な症例を挙 げておくというのは、すごく大事だと思うのです。いまは学生の教育にだっ て、PBLでいろいろなケースを溜めているような状況がありますから、学 会でもいい症例をいろいろな所から募集するような格好で記載するというの は、大事ではないかと思います。それをWGの方たちだけでやっていると、「う ちにはあんまりないな」と言って終わってしまうのですが、やはり典型的な、 あるいは非常にサジェスティブな症例を載せるというのは、この作業では結 構大事ではないかと思います。 ○事務局 学会の先生方とご相談させていただいて、少し増やせるようであ ればお願いしたいと思います。 ○林委員 いまのマニュアルについては、なるべく早く公開して、国民の皆 さんの健康のために資してほしいと思います。私たちもWGの作業に一緒に 参加しているので、参加している段階で何か提言できればよかったのですが、 今日になってすみません。学会の先生も、日病薬で編集した「重大な副作用 回避のための服薬指導情報集」をご参考にしていただいていると思いますが、 私どもではこのPseudo aldosteronismの所には、そういった初期症状が出て くるものを選びました。学問的に見ても、医学的に見ても妥当ということで あれば、早い段階でこのマニュアルをリリースするのに利用していただくと いう手もあると思いますので、付け加えさせていただきました。 ○座長 ほかにご指摘の点はありますか。ただいまご指摘いただいた点を、 学会のほうに伝えなければいけないのですが、これはどなたが伝えるのです か。事務局から伝えられるのですか。 ○事務局 本日、いろいろなご意見をいただきましたので、簡単にまとめて 学会の先生方ともご相談し、修正版を事務局のほうで作らせていただいて、 それをまた検討会の先生方、または座長の松本先生とご相談させていただけ ればと思っております。 ○座長 では、これでマニュアル案の検討は終わりですね。 ○飯島委員 全体を通じて一言よろしいですか。「患者の皆様へ」を見ていま すと、いちばん下に「患者さんご自身、またはご家族による『気づき』が」 云々とあって、早めに「医師・薬剤師にご連絡ください」という一文がみん な入っているのです。例えば私どものスティーブンス・ジョンソンやライエ ルの場合に、一般の方が薬を飲んでいてある症状に気づいたら、本来ゲート キーピングになる一般医、あるいは薬局の薬剤師の所へは行くのですが、そ の段階で止まって、我々専門医の所に来たときには手遅れというケースが結 構あるのです。いつも岩田委員と副作用の判定をやっておりますと、そうい うケースが結構あって、ライエルでは結構亡くなる方がありますし、スティ ーブンス・ジョンソンでは失明する方もおられます。  したがって「医師・薬剤師にご相談ください」というのもいいのですが、 それぞれの疾患で、例えば「皮膚科の専門医にきちんとご相談ください」と いうようにすると。各疾患によって、こういう症状が出た場合にどういう科 に行ったらいいのかという案内をすることはいけませんか。先ほどの横紋筋 融解症だったら、神経内科などに行くのだと思います。そういうことは一般 向けには越権行為なのでしょうか。 ○座長 疾患別に学会にお願いしているわけですから、その辺はどうでしょ うか。提示することについて、事務局はどういうようにお考えですか。 ○池田委員 基本的に一般用の医薬品などで起こってくるものは、どうして も開業の先生の所で処方されたり、薬局でもらったりするので、そこの方た ちにも徹底していくことが目的なのです。 ○飯島委員 そうです。ゲートキーピングの人の所から行く段階が遅れるこ とが結構多いのです。 ○座長 ですから開業医の先生が送るかどうかですね。直接先生の所へ行っ ても、診てくれるとは限らないでしょう。 ○飯島委員 もちろん、専門ですからやりますが、その辺の流れがもうちょ っとわかるような案内文を、将来考えられたらいいのではないかと考えまし たので、よろしくご検討いただければと思います。 ○座長 これは全般的なことになりますね。それでは事務局、今後の予定は どうなっておりますか。 ○事務局 いま9つのマニュアル案について、いろいろなご意見をいただき ましたので、そのご意見を踏まえて修正等、またご相談させていただければ と思います。  次の議題になりますが、新たに追加する副作用疾患について、資料のご説 明をさせていただければと思います。資料5になります。さらに今年度以降、 作成に着手する副作用疾患ということで、追加(案)としてお示ししている ものです。腎臓から始まって記載させていただいております。例えば腎臓で はネフローゼ症候群、呼吸器では肺水腫、好酸球性肺炎、神経では先ほどの お話にもありました不随意運動、そのほかに内分泌の関係では、甲状腺機能 異常、高血糖があります。そして感覚器以下が新しく選択する分野です。感 覚器では視覚障害や緑内障、膵臓では膵炎、口腔では口内炎、骨では骨壊死、 骨粗鬆症、泌尿器では尿閉(排尿困難)。こういったものを、さらに追加とし て選定案とさせていただき、今年度または来年度をかけて、こちらも追加で 作業を進められればと思っております。また、現在作業中のものについては、 引き続き関係学会の先生にご協力いただいて、作業を続けていきたいと考え ております。 ○座長 こういうことで、またこれから始めるということで、今後の予定に ついて、いま説明していただきましたが、ご質問、ご意見等はありませんか。 ○岩田委員 前から気になっていることが1つあります。これがここに対応 するかどうかは、よく分からないのですが、最近、母乳で育てるのがいちば んいいということで、母乳を使っている人が非常に多いのです。そういった ときに赤ちゃんのほうに母乳を介して、大きな副作用が起こるようなことが ないだろうかということを、私たちもあまり知らないものですから、質問さ れたときに非常に困ってしまうのです。そういったことも検討していただけ ると、ありがたいなと思っています。現場では対応が非常に難しくて、私た ちも聞かれても全然わからないのです。 ○座長 具体的にはどういうことが起こるのですか。 ○岩田委員 要するに、お乳の中に入った物質で、飲んだ赤ちゃんが何か重 篤な副作用を起こしたことが本当にあるのかどうかということです。そうい った調査がなされているのかどうか。それはあまりデータがないように思う のですが。 ○林委員 私どもの施設でも、妊婦が服用した薬の催奇形性の専門のテラト ロジー・インフォメーションサービスを、もう10数年しています。更なる国 のプロジェクトとして、成育医療センターに、「妊娠と薬情報センター」とい うのができていて、質問というか、実際の医療現場で必要な情報に関しては、 そちらに問い合わせをすると、医療現場に情報が届くシステムが整備されて きています。来年度には全国展開されるような話も伺っておりますし、私も そのグループに参加をして支援しておりますので、そういう動きだと思いま す。お母さんに赤ちゃんの変化を気づいてもらうというのは、この重篤副作 用疾患別対応マニュアルを構築するプロジェクトとは少し違うのかもしれま せんし、難しいだろうと思います。専門家のサポートという意味で、いろい ろなプロジェクトが走っているということは、補足させていただきます。 ○座長 そういうことでいかがですか。岩田委員、それでいいですか。新た にやらなくてもよろしいですか。 ○岩田委員 いや、ちょっと教えていただきたいと思っただけです。 ○座長 ほかにご意見はありませんか。 ○飯島委員 ここにある疾患は、平成18年度のマニュアルの対象でいくとい うことですか。 ○事務局 今年度以降ということです。実質的にはもう半年経っていますの で、具体的な作業は平成19年度にかかってしまいます。 ○飯島委員 平成19年度になっても構わないと。そういう意味では我々の領 域で、急性汎発性発疹性膿疱症という、膿疱性乾癬みたいに重篤なものがあ りますので、これはまた来年度以降、追加させていただければということで、 ご提案させていただきます。 ○事務局 AGEPを追記する件について、日本皮膚科学会の先生方にご相談さ せていただければと思います。 ○市川委員 今日検討していただいた9つの重篤副作用疾患別対応マニュア ルですが、最終的に資料1のポンチ絵を見ると、機構の「医薬品医療機器情 報提供ホームページへ掲載」という図式になっています。これは随時「医薬 品医療機器情報提供ホームページ」にアップされていくという理解でいいの ですか。あと、もう1つは、「医薬品医療機器情報提供ホームページ」のどの コンテンツに掲載されるのかが、もし決まっているようであれば教えていた だければと思います。 ○座長 これは事務局からお答えください。 ○事務局 今回はいろいろなご意見をいただいておりますので、しばらく修 正等に時間をいただいて、厚生労働省のホームページと機構のホームページ に掲載していければと思っております。機構のホームページについては、医 薬品医療機器情報提供ホームページの中になろうかと思いますが、掲載に向 けて検討中ということになろうかと思います。 ○座長 修正が少なければ、このままいく予定だったのですが、かなり修正 が必要になりましたので、作業をお願いします。 ○市川委員 これは折角、各種学会におけるご尽力の下で作成していただい たこと、また、たくさんの医療専門家、患者さんに活用していただきたいこ ともあり、厚生労働省のホームページ及び機構の「医薬品医療機器情報提供 ホームページ」以外、つまり関連学会のホームページ等で、必要に応じて、 関連する重篤副作用疾患別対応マニュアルが掲載されるという理解でよろし いですか。 ○座長 学会ではなくて、これは最終的に厚生労働省に行くのでしょ。 ○事務局 マニュアル自体は厚生労働省ですが、学会で掲載していただく分 には、全く問題はないかと思っております。 ○座長 新たに追加する副作用についても、ただ今のこれでよろしいですね。 そのようにさせていただきます。それでは前回同様、使用する用語等につい ては、依頼する学会の先生方等のご意見を伺いながら、作業を進めていただ きたいと思います。  では今後の進め方について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 本日はありがとうございました。先ほどご説明しましたように、 若干お時間をいただいて、その後に公表の手続きを進めていきたいと考えて おります。また状況等については、先生方に書面等でご報告させていただけ ればと思っております。よろしくお願いいたします。 ○座長 それでは議題4の「その他」について、事務局から何かありますか。 ○安全対策課長 先ほどのご議論の中で、上田委員あるいはほかの先生から も、OTCの検索をどうすればいいかというお話があったわけです。先ほど の機構のホームページの検索のお話が出ておりました。確かに医療用の医薬 品に関しては添付文書で、こういう副作用が出れば、その副作用が載ってい る医薬品の名前がズラッと出てくるような仕組みになっております。しかし OTCに関しては、あいにくそういう形でのシステムがありません。  どうしても調べようと思えば、可能性としてはOTCの添付文書をご覧い ただくと、有効成分がありますから、そこから医療用の添付文書を検索する というやり方もあります。この趣旨から申し上げますと、例えば喘息発作が 出た場合に、薬が疑われるのであれば、医師なり薬剤師なりにご相談いただ く。喘息の所で特記しておりますように、そのときに「実際に服用されてい る医薬品そのもの、あるいはパッケージなどをお持ちください」というよう に書いてありますので、実際にはそういった形で医薬品の特定等が、専門家 の所でできるような形にはなろうかと思っております。 ○座長 よろしいですか。事務局、その他何かありますか。 ○事務局 次回以降の日程については、後日、また改めて調整させていただ いて、ご連絡させていただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○座長 それでは全体を通じてのご発言はありませんか。ないようでしたら、 今日は活発なご議論をありがとうございました。これで閉会とさせていただ きます。 (照会先) 医薬食品局安全対策課 井上 (内線2753) 齋藤 (内線2754) TEL03-5253-1111(代表)