06/10/18 第5回生協制度見直し検討会の議事録掲載について 第5回生協制度見直し検討会議事録 日  時:平成18年10月18日(水)10:00〜12:00 場  所:厚生労働省7階 専用第15会議室 出席委員:清成座長、大塚委員、小川委員、品川委員、土屋委員、山下委員、吉野委員 議  題:(1)利用事業の現状と見直しについて      (2)組織・運営規定の見直しについて      (3)その他 ○ 清成座長  それでは定刻になりましたので、ただいまから第5回生協制度見直し検討会を開催さ せていただきます。委員の皆様には御多忙中、御出席いただきまして大変ありがとうご ざいます。  まず初めに委員の出席状況について事務局から説明をお願いいたします。 ○ 千田課長補佐  本日は早い時間からお集まりいただきましてまことにありがとうございます。委員の 出欠状況でございますけれども、本日は委員皆様御出席でございます。よろしくお願い いたします。 ○ 清成座長  それでは議事に入ります。本日は利用事業の現状と見直し、及び、組織・運営規定の 見直しに関する議論ということになります。  まず初めに前回の議論について確認のため事務局から資料の説明をお願いいたしま す。 ○ 花咲課長補佐  資料1としまして、前回第4回検討会で出されました御意見の概要を事務局でまとめ させていただきましたので、簡単に御説明させていただきます。  まず1ページ、I としまして、員外利用規制と県域規制の見直し、双方の見直しに関 する考え方についてまとめております。まず1、見直しの際の考え方でございます。購 買事業の効率化だけを考えるとスーパーとの違いがなくなってしまうのではないか、生 協の社会的存在価値をどう考えるのかを考慮することが必要であるとの御意見がありま した。また、経済政策的な規制は合理的な範囲で緩和していくのが自然であるが、生協 の本質との関係もあり、それを整理できれば規制を緩和する範囲が見えてくるのではな いかとの御意見がありました。さらに、生協の税制優遇についての御意見や、過疎地域 など特定の類型の地域には公共性があるが、どこまで規制を外し、その公共性とどうバ ランスをとるかが問題との御意見がございました。  2、生協の公共性、公益性でございます。公共性、公益性をどこに求めるかにつきま して、コミュニティのコアになることや、生協が有する資本を社会に還元することとの 御意見があり、また、公共性のある事業を行うためにはある程度収益の上がる事業を行 って、公共性、公益性を発揮する基盤を整備することが必要との御意見がございました。  2ページでございます。IIとしまして、員外利用規制に関する御意見をまとめており ます。1、員外利用規制のあり方でございますが、農協では地域住民が准組合員になる ことができ、さらに一定の割合で員外利用が可能な仕組みになっているという御紹介が あり、社会通念上妥当な範囲であれば、一定の許容範囲を設けた方がいいとの御意見が ございました。そして、員外利用の許可制度を維持することについて再考の余地がある のではないかとの御意見がございました。  2、員外利用を可能とすべき場合でございますが、そこに挙げましたような事例に関 して員外利用を可能とすべきとの御意見がございました。  3ページでございます。法人を組合員にすると生協の性格を変えることになるので、 法人利用については員外利用で対応する方が適当との御意見がございました。  III 、県域規制に関する御意見でございます。生協が設立できる地域の範囲について、 連合会を利用しての事業実施と県域規制の関係についてどう考えるかとの御意見がござ いました。また、事業側から見ると、事業ごとにそれぞれ合理的なエリアは異なるので はないかとの御意見がございました。また、地域生協の「地域」とは何かを検討するこ とが必要との御意見がございました。  IV、その他としまして、そこに挙げられているような御意見が出ておりました。  以上でございます。 ○ 清成座長  どうもありがとうございました。今の時点で御意見等ございましたら、御発言いただ きたいと思います。  それでは時間も限られておりますので、もし何かございましたら、後ほどの議論の際 でも結構ですし、事務局の方へおっしゃっていただいても結構ですので、よろしくお願 いいたします。  それでは利用事業の現状と見直しについて、事務局から資料の説明をお願いいたしま す。 ○ 花咲課長補佐  続きまして資料2、利用事業の実態について御説明させていただきます。  1ページでございます。利用事業の概要について再提出させていただいております。 利用事業には食堂・喫茶や医療事業、福祉事業などの種類がございます。  2ページでございます。生協の実施する事業と利用事業の性格をお示ししたものでご ざいます。生協の実施する事業としましては購買事業や共済事業などがございます。そ の中の一つである利用事業の定義は、「組合員の生活に有用な協同施設をなし、組合員 に利用せしめる事業」とされております。一言で言いますと、各種サービスの提供と言 えるかと思いますが、そのサービスの中身も食堂・喫茶や理美容といったものから介護 保険事業や子育て支援事業、医療・福祉事業までさまざまとなっております。医療・福 祉事業は利用事業の中でも非常に公共性の強いものであると位置づけられると思いま す。  3ページをごらんください。利用事業を行う生協について、その実施内容ごとに実施 状況をまとめたものでございます。利用事業実施組合632組合のうち、医療事業を行う 生協は138組合、介護・福祉事業を行う生協は200組合となっております。なお、この 数字については重複がございます。  4ページは、利用事業の種類別に事業高の推移をお示ししたものでございます。平成 16年度で見ますと、医療事業と介護・福祉事業の全事業高に占める割合は、それぞれ 53.8%、12.6%となっており、特に介護・福祉事業の事業高の伸びが顕著となっており ます。  5、6ページは、医療事業の実施状況について資料を再提出させていただいたもので ございます。医療事業を行う生協による病院は87か所、診療所は370か所となっており、 医療費は全国比で0.8%を占めております。  7、8ページは、生協が実施する福祉の取り組みに関する資料でございます。まず7 ページでございますが、生協が行う福祉は、各生協が定款に定め、事業として行う福祉 事業と、組合員が自主的な活動としてボランティア的に取り組んでいる福祉活動がござ います。地域に根差した生協が組合員の相互扶助の精神に基づいて実施する福祉活動は、 生協らしい取り組みの一つであると言えるかと思います。生活協同組合の福祉につきま しては、このような事業と活動の両面を備えることにより、地域住民のニーズに対応し、 生活向上に寄与しております。  8ページは、事業と活動の周縁部分は重なり合うものであることを図示しながら、そ れぞれの実施状況をまとめたものでございます。適宜ごらんいただければと思います。  9ページは、介護保険の在宅サービスにおける生協のシェアをお示しした資料を再提 出したものでございます。  10ページでございます。生協関連の社会福祉法人が行う介護保険事業についてまとめ ております。生協が社会福祉法人を設立して広く事業展開をしている場合がございます。 日本生活協同組合連合会の会員生協が設立した社会福祉法人について見ますと6法人ご ざいまして、総事業高は44.2億円となっております。  11、12ページは、生協の福祉活動の例をお示ししたものでございます。11ページは第 1回にお示ししました「くらしの助け合いの会」等に関する資料でございます。  12ページは、そのほかの活動として、子育て支援活動の実施状況についてまとめてお ります。平成17年度には52生協270か所で開催されております。  13ページでございます。生協が組合員の福祉活動等を支援すべく助成制度を設けてい る例がございますので、それを御紹介したものでございます。  続いて資料3に移らせていただきます。利用事業に係る見直しについてでございます。 利用事業のうち医療・福祉事業に関する見直しについて4点、見直しの方向について挙 げさせていただいております。  まず1つ目の論点が1ページ、医療・福祉事業の非営利性の徹底でございます。  2ページでございます。生協が実施する利用事業の主要部分を占めております、医療 に関する非営利性についての資料でございます。医療法においては営利目的で病院等を 開設しようとする者に対しては、病院開設の許可を与えないことができるとされており、 医療法において医療の非営利性が規定されております。なお、非営利性の内容について 先ごろまとめられました、公益法人制度改革に関する有識者会議の報告書では、一般社 団法人について利益、剰余金の分配請求権を有しないことや、残余財産分配請求権を有 しないこと等により、営利法人との区別を明確化するとされております。  3ページでございます。先ごろ行われました医療法人制度改革による改正内容をお示 ししております。改正の前後を問わず、医療法人については剰余金の配当が禁止されて おりますが、一方、解散時の残余財産の帰属先については今般の改正で国や地方公共団 体、医療法人等に限定されることになりました。  4ページでございます。医療法人制度と社会福祉法人制度の概要をお示ししたもので ございます。それぞれの法人が行うことができる事業の種類でございますが、医療法人 は病院の運営などの本来業務のほか、それに支障のない範囲で実施可能な附帯業務を実 施可能となっております。また、一定の法人については、その収益を当該医療法人が行 う本来業務の経営に充てることを目的とする収益業務を行うことができるとされており ます。一方、社会福祉法人については、社会福祉事業のほか、それに付随する公益目的 の事業である公益事業や、その収益を社会福祉事業等に充てることを目的とする収益事 業を実施可能となっております。医療法人につきましては、剰余金の配当は禁止されて おり、解散時の残余財産の取り扱いについては、医療法人は国、地方公共団体、医療法 人等に、社会福祉法人については国、地方公共団体、社会福祉法人等に、それぞれ限定 されております。  分離勘定につきましては5ページをごらんください。社会医療法人や社会福祉法人に つきましては、医療事業や社会福祉事業に係る会計と、収益事業に係る会計が分離され るとともに、収益業務や収益事業から生じた収益を医療事業や社会福祉事業等に充てる こととされております。  一方、生協における状況をお示ししたのが6ページでございます。生協法においては 剰余金の割戻しが可能となっているとともに、定款の定めに従って解散時の残余財産に ついても組合員に配分することが可能とされております。ただし、医療・福祉事業につ いては通知により剰余金の割戻しを自粛するよう指導しているところでございます。  これらを踏まえまして7ページ、医療・福祉事業を実施する生協の非営利性の徹底で ございます。医療には非営利性がございます。また、医療・福祉には公共性がございま す。農協など他の協同組合は、組合員の途中脱退に際して、持ち分の払戻し等が可能で ある一方、生協は脱退時には払込済出資額の払戻しのみを請求できると法令上されてお り、利益分配性に関する法律上の位置づけは異なっております。したがって、生協の方 がそもそも利益分配性が低くなっていると言えるのではないかと考えております。また、 医療や福祉の公共性の高さからは、医療保険制度等に基づく保険給付により蓄積された 資源が医療や福祉の継続性に使用されることが望ましいと考えられます。  そこで見直しの方向性でございますが、医療事業や福祉事業のうち一定のものを実施 する生協については、その非営利性を高めるため、医療・福祉それぞれを特別の会計と して他の事業と区分して経理し、それらの事業に係る会計からその他の会計への資金移 動を禁止すること、医療・福祉事業に係る剰余金の割戻しを禁止すること、組合解散時 に払込済出資額の払戻しは可能とするものの、その他の残余財産の帰属先について、国、 地方公共団体や一定の法人に限定することとしてはどうかとの案をお示ししておりま す。  8ページ以下は、医療・福祉事業に係る員外利用限度の見直しに関する資料でござい ます。  9ページをごらんください。こちらは再提出資料でございますが、現在生協では医療 ・福祉事業について許可を得た場合の員外利用限度に関する規制はないことがおわかり になるかと思います。一方、農協は組合員の利用分量の100分の100という限度が法令 上定められております。  農協の限度に関する考え方をお示ししたものが10ページでございます。医療機関の公 共性と組合員のための事業という協同組合の原則にかんがみたものであり、福祉事業に ついても、その公共性にかんがみて定められたものとのことでございます。  11ページをごらんください。前回の検討会で、員外利用規制については、許可を得た 場合には例えば100分の20を限度に員外利用を可能としてはどうかとの案をお示しさせ ていただいたところでございますが、組合員の相互扶助組織であるとの生協の性格と、 医療・福祉の公共性にかんがみ、行政庁の許可を得た場合の員外利用限度を100分の100 として、法令上それを明確にしてはどうかと考えております。  12ページは、生協に関する現行制度を定めた通知を御参考までにお示ししたものでご ざいます。  続きまして3つ目の論点は、13、14ページにございます、医療・福祉事業の実施状況 としての法定化でございます。  14ページをごらんください。生協の現状でございますが、医療・福祉事業は利用事業 の一つとして行うことができるとされております。一方、農協法においては医療事業や 老人福祉事業が農協の実施事業として独立して明記されております。  このような点を踏まえ、改正の方向性でございますが、医療・福祉事業について法令 上、他の許可事由より緩和された員外利用限度を設けること、及び、非営利性の徹底の ための見直しを行うことに伴い、生協法に定める事業の種類として医療・福祉事業を独 立して規定してはどうかと考えております。  最後の論点が15、16ページの、剰余金の使途たる事業の拡充でございます。  16ページをごらんください。現在、生協法により、生協は組合員の教育事業の費用に 充てるため、毎事業年度の剰余金の20分の1以上を翌事業年度に繰り越すことが義務づ けられております。そういった生協制度の現状を御理解いただいた上で、社会の変化と して少子高齢化が進展し、家庭の介護力等の低下、地域におけるつながりの希薄化等が 指摘されております。一方、生協をめぐる状況の変化として、介護など福祉に関する組 合員ニーズの存在、地域社会における組合員の相互扶助活動などに見られる生協の社会 的役割の増大がございます。このような中、生協の組合員による福祉活動を支援する観 点から、生協がこれらの活動を助成する事業についても、繰り越し義務がある剰余金の 使途として追加してはどうかと考えております。  以上でございます。 ○ 清成座長  どうもありがとうございました。ただいまの御説明について御意見、御質問等ござい ましたら、順次御発言いただきたいと思います。 ○ 吉野委員  区分経理の部分は、こういうことをやっちゃってもいいんですか。大丈夫なんですか、 生協は。 ○ 品川委員  区分経理で利用事業と福祉事業につきましては、現実には区分経理が行われているん ですね。例えば医療事業は医療事業単独の生協でやっておりまして、ほかの事業と兼営 ということはほとんどない。医療生協が病院の中に売店を持って、それが購買事業だな んていうのはありますが、その購買事業部分というのはごく微量なわけです。福祉事業 についていいますと、介護保険制度の適用を受けようとしますと、介護保険事業だけを 区分経理することが必要でありますので、現実には介護保険事業については区分経理を 行っているということでありまして、区分経理そのものは実態と変わりがないというこ とです。  ただ、お出しいただいている資料との関係でいうと、7ページで、「一定のものを実 施する生協」とお書きになっている、「一定のもの」というのは何を指していらっしゃ るのか私の方から質問したい点としてございます。 ○ 赤澤企画官  「一定のもの」というのは、例えば「福祉事業」といいますと非常に範囲が広くなり まして、生計困難者に対する相談事業とかそういうものまで入る可能性があるわけです が、特別会計の対象にそのような幅広いところまで本当に入れてもいいのかどうかとい う論点があり、中核はやはり介護保険とか医療保険とか、そういう部分が中核ではない かと考えておりまして、そこは一定の限定をかけたらどうかという趣旨で書かせていた だいたということでございます。具体的な内容が固まっているという状況ではまだござ いません。 ○ 品川委員  わかりました。 ○ 吉野委員  今のお話なんですけど、私が疑問に思うのは、生協はいろんなことやっているのに、 それらができなくなっちゃうことにはならないのかということなんですけど。介護保険 と医療についてはわかりましたが。 ○ 土屋委員  医療とか福祉とか、ほとんどそれをやっている生協の場合に、剰余金をどうするとか いうことは非常によくわかるんですけど、例えば福祉と購買事業を一つのところでやっ ていて、そこで福祉事業の方から出た剰余金の使い途について限定するという、その辺 よくわからないんです。区分経理をして収益の状況などをきっちり把握して、その中で 健全性を確保するということは必要だし、経営としても当然やるべきことなんですけど、 福祉の方から出た剰余金というのはどういうものなのかというのがよくわからなくて、 部門別に配分しても、どうしてもはっきりしないものが普通はあるのではないかなと思 って、これがこの事業から出た剰余金ですよなんていうところまで一般的にあるのかな という不思議な感じがするんです。 ○ 清成座長  実態としてはどうですか、品川委員。今のような御意見なんですけど。 ○ 品川委員  先ほどの事務局からの御説明で、具体的にはさらに整理なさるということですので、 その段階で整理していただければと思いながら聞いておりましたが、例えば医療事業と いう場合も、健康保険の適用になる事業と、お産なんかの場合には正常分娩だと医療保 険の対象外、異常分娩だと対象内みたいなことになるわけですね。そういうときに保険 対象だということだけで画一的に線を引くとわけのわからないことになると現実は思い ます。そういう意味では、考え方として、ここにあるような考え方に基づきながら、具 体的にどうするかというのは実務をさらに整理して、その段階できちんとさせていただ いたらいいんじゃないかと思っております。 ○ 小川委員  利用事業の実態の7ページに、生協の福祉ということで2つの側面に分かれているわ けです。事業としての側面と組合員活動としての側面と。私はこの前段に、生活協同組 合の組合員活動の行動を起こす前の福祉委員会とか、食だったら食の安全を追求する委 員会だとか、平和だったら平和委員会だとかってあるわけですが、福祉委員会というの が各生協に多分あると思います。その流れの中で福祉ニーズの発信者としての組合員の 声を受けて、それをどのようにするかというので福祉活動、ここでいうと「くらしの助 け合いの会」ですかね、ボランティアの活動と、介護保険等の医療事業等というふうに 展開していくんだと思っていますので、吉野委員がおっしゃったところは、この組合員 活動としての広がりの可能性というか、緩やかさを規制するのではないかということを、 私も説明を聞いて思っています。ただ、事務局の説明で、まだこれは固まったものでは ないと。実は相談事業というのはとても重要なことで、これを広げていくことがもしか したら生活協同組合の福祉としては入り口に非常に重要ではないかとも思っていますの で、まだそこは確定ではないというふうに受けとめたいと思っています。  それから、利用事業の実態のところの10ページで、ここでは社会福祉法人の介護保険 事業というところを説明していただいてるんですが、私も生活協同組合が積立金を取り 崩して基本財産をつくってできた社会福祉法人で仕事をしていますけれども、生協の資 源というのは人・物・金があると思います。さまざまなものをみずからの資源として公 共福祉をつくっていっているということは非常に重要な点だと思っていますので、ここ の部分を介護保険事業の受け皿として生み出したわけではないんですね。税金を使って つくっていく福祉がメインだった時代に対して、協同組合のお金を駆使してどうやって 社会事業に参入していくかのステップをつけたというふうに受けとめていますので、ぜ ひそのように受けとめて今後の議論にしたいと思っています。  それからもう一つ、利用事業に係る見直しの方なんですけれども、11ページに、生協 法の福祉事業において100分の100まで員外利用を可能とするというのは、生協の医療 ・福祉事業についてもということは、100分の100というのは事業のテーマによって何 分の何というのが変わってくるということなんでしょうか。 ○ 花咲課長補佐  そうですね、その事業の性格によって員外利用限度が違ってくるのではないかという ことで、こういう案をお示ししております。 ○ 土屋委員  ちょっと舌足らずだったかもわからないですけど、各事業から出る利益だとか、そう いうものははっきり区分経理して出すことは可能なんだと思うんですけれども、剰余金 というのは、法人トータルとしてしかなかなか出ないのではないかと。例えば財務によ るプラスマイナスだとか、特別損失みたいなものも含めて、農協なんかはいろんなこと やってますから、それを各事業ごとに分けて最後の剰余金がそれぞれに分かれるという のは、ちょっと考えにくいなと思うんですけど。 ○ 清成座長  現実にはそうだと思いますね。共通部分というのもありますからね、コストなんかで。 ○ 大塚委員  それを発展させて、生協法では2条で全体としての剰余金のことを定めているんです ね。組合の剰余金を割り戻すときは、主とした事業の利用分量によりこれをなすと。こ の方法か、あるいは出資に応じて割り戻す方法しかなくて、出資に応じて割り戻すとき はその限度を定められているのが資料3の6ページに書いてある52条というつながり になってるんですね。その中に極めて異端の規定があるのが21条で、剰余金の割戻しと いう話になればできないことはないというのは、先ほど土屋委員がおっしゃったように 全体の話だと思うんですけど、その中でも21条で、脱退組合員は出資金の払戻ししか請 求できない、剰余金については一切放棄しろという規定になっているわけです。ただ、 並びから考えるときに、21条は全体のことを言っているはずですので、今までの生協法 の規定を解釈すると、事業ごとの話は全然言ってないんですね。事務局が書いている、 21条があるからというところなんですけど、21条は、僕自身はこれは極めておかしい規 定だとは思うんですけれども、全体で剰余金の割戻しをするときはできるんだけども、 1人やめるときは出資金しか返さないという規定だったわけです。この規定をもとにし てやっちゃうと、存在がおかしい規定をもとにして、ある事業についての割戻しはしな くていいんだというように話が進んじゃうと思うんですよ。むしろ新しい規定でいくの であれば、新法の全体像を転換して、土屋委員の疑問を解決するために分離勘定、つま り財布別をやれば、財布の中に剰余金が出るんだということを前提として、財布が別と いうのは完全に徹底して別勘定だから、剰余金もその事業ごとに出るんだという前提に しないと話が進まないわけですよね。そこについては、財布が別で分離勘定した福祉事 業、医療事業については、そもそも剰余金の分配ができないのであって、組合員の脱退 のときに剰余金の割戻しなんかされないのは当然であるというふうに統一しないと、現 行生協法の全体像が間違っているわけですよね。剰余金の割戻しができるとしながらも、 組合員をやめたらとれないと書いてあるわけですから。その整理がまず必要なんじゃな いだろうかと思うんですけど。  あとどうするかという話は、現在のベースの案といいますか、あとの場合には医療活 動とか福祉活動以外のものでは剰余金割戻しは現行法のとおりできるとするのであれ ば、現行21条については、その他の事業についてはこれを削除しないと話が通りません よね。つまり、現行21条が、何でこんなものがあるのかというのが非常に根拠がわから ないんですね。 ○ 赤澤企画官  御説明させていただきますと、現行21条というのは、例えば当初の出資額として1000 円出資したとしますと、脱退するときもその1000円だけが返ってきて、その出資額が実 は利益も積み重なって1万円になっていたとしても、もとの出資額だけ払い戻すという 規定でございます。このような形になっておりますのは、解説書等では、膨れた部分の 財産の確定をするのが非常に難しく、出資額であれば明確なので、この部分の払戻しだ けできるという形にしたという整理がなされているところでございます。私どもは、各 剰余というのがきっちり各特別会計の中で分けられ、このため、医療・福祉事業につい ては剰余の部分の割戻しを禁止できるという前提に立って御提案させていただいている ということになるわけでございます。 ○ 大塚委員  そうすると、逆に言うと、剰余金の割戻しができるというときはどういう計算をして るんですかね。持ち分計算がやりにくいと、一般的な企業法的な考え方からすると持ち 分の考えというのはどんな種類の会社でもできるわけで、今ある財産の中で持ち分がこ れだけなんだから、本当はおれにはこれだけの権利があるだろうという計算はできるわ けで、それができないと、そもそも事業が終わったときの剰余金割戻しというのはでき ないわけですけど、それはOKになってるわけですね。現行生協法が。 ○ 赤澤企画官  いわゆる解散時の持ち分の分配というのは可能になっています。ただ、実際そうでき るかどうかといいますと難しいとする組合があるかもしれないということではないかと 思います。 ○ 品川委員  現行の生協法では、毎事業年度の剰余金について内部留保をどれだけするか、配当と して出資配当と利用分量割戻しというのをどうするかということを毎事業年度決めて、 内部留保するものは内部留保として積み立てていくという構造で事業年度の決算は行い ます。そういう点でいいますと、持ち分の問題というのは内部留保の積み重ねによって 資産の形成がされていく、出資金によってされていくという考え方ですから、持ち分制 というのを認めるとすれば毎事業年度配当したものは除いて、内部留保したものによっ て形成される全体の財産と、それを持ち分として配分するかどうかということなわけで す。生協の場合の持ち分制自体をどうするかということは、それ自体が大きな論点で、 今後どうするかというのは問題だと思いますけれども、現行はそれで流れているという ことです。 ○ 山下委員  大塚先生の御指摘の難しい問題があって、似たような話は相互会社のところでもあっ て、結局持ち分をみんな清算しないで、保険が終われば脱退していって、会社にどんど ん資産がたまっていくと。それはどうなってるのという議論はもう10年くらい前に盛ん にやってたんですね。そういう中で、経理的には各保険種類ごとに区分経理していくと いう、それぞれの区分で剰余管理していくということなんだけれども、先ほどからの議 論のように、事業ごとに剰余まで把握して、その剰余金についてはその事業のものだと いうふうにしていくことが本当にできるのかどうか。事業体として共通して管理してい る部分があると思うんです。相互会社でいえば会社勘定という部分がどうしても出てく るところがあるんじゃないかなと。そういう部分の扱いをどうするかという問題がある かなと思っています。  持ち分の払戻しができるかどうかというのは、それはまた別の問題で、全部自分の持 ち分だったりするときに、持っていくよということをやるのがいいのか、生協のように 少しずつの出資で事業に貢献してもらおうというときに、いちいち全部持ち分の清算も 何もないでしょうと。そこは一つの政策論があるのかなという気もするんですね。 ○ 清成座長  計算がしやすいとかしやすくないとかいうのも、一つの政策なんでしょうね。  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○ 品川委員  その他の点で2点発言させていただこうと思います。医療・福祉事業について組合員 利用分量の100分の100までということでございますけれども、員外利用の範囲をどう するかというのは、前回、員外利用全体についてかなり現実の生活との関係でアンマッ チな状況というのが多彩に出されておりまして、そういう点では員外利用全体をどう緩 和措置をとるのか、その中で医療・福祉事業についてどういう措置をとるのかという全 体の整理が必要なんだと思うんですね。全体に緩和するということなしに、医療と福祉 の部分だけ従来制限がなかった部分について100分の100にするということだけでいい ますと、それだけ取り出すとむしろ規制を強化するということにしかなりかねないわけ です。その点では全体の緩和策をぜひお出しいただきながら、その中でこれについての 御検討をお願いしたいと思っております。資料3の14ページに、「他の員外利用の許可 を受けたケースよりも緩和し、100分の100とする」ということで書かれていますけれ ども、確かに、前回幾つかの仮説のうちの一つとして行政による員外利用許可の範囲を 100分の20にしたらどうかという仮説が事務局の方から出されていたことは事実ですけ れども、それ自体は幾つもの仮説のうちの一つでありまして、その仮説が前提になって、 それよりも緩和して100分の100という言い方はいかがなものかと思いまして、そんな 意味でも、員外利用問題については全体についての緩和策をどうするかというのをぜひ お出しいただきながら、その中での検討というふうにしていただきたいというのが一つ です。  もう一つは、これも資料3の最後で、剰余金の繰越義務ということで、組合員による 福祉活動に助成する事業というのを追加するという御提案でございます。これ自体はあ る意味結構なことなんですけれども、生協の社会貢献、地域貢献ということは福祉だけ ではなしに、その時代その時代の消費者問題の解決の一助となるような社会的活動を行 うということに中心的な点があるとまず考えています。具体的には、戦後一定時期、物 価問題、価格問題ということが主要な時期には、生活協同組合でより価格の安い事業提 供をする。価格問題ということよりもむしろ食品の安全性ということが主要な消費者問 題になると、その時期には世の中に率先して添加物を減らした食品をつくるというよう な世の中よりも半歩進むということで事業を行い、今では世の中全般どこでも同じよう な状況ができてきています。今日的にいいますと環境の問題ということで、容器のリサ イクル活動なんていうのを生協の事業の中で率先してやっております。例えば牛乳パッ クの回収をやっていますが、国全体で牛乳パックの回収というのは30数%くらい回収さ れている。生協の場合には、生協の事業で取り扱った牛乳のうち70数%分を回収すると いうことで、そういう点ではリサイクル活動ということについて、消費者が人と人との つながりをもとに事業を行っているという特徴をそういう形で発揮しているというのが 特徴だと思っています。そういう点では、組合員活動のみが取り出されて助成するとい うのは、これ自体困るということではないんですけれども、全体の諸活動からすると、 むしろ私ども現場におりますと奇異な感じがするというのが率直な思いです。そんな意 味では、むしろ地域貢献とか、コミュニティへの貢献というふうな広い意味での内容に 位置づけていただけたらいいのではないかというのが2点目です。  以上です。 ○ 清成座長  市場の失敗を補完するというのが主要な役目ですから、時代時代でテーマは変わって くるでしょうね。  ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞ。 ○ 吉野委員  品川委員の今の御発言はわかるんですが、素人の目から見ますと、それをも含めて、 購買事業の場合には競争の中で解決できる問題だと私は思うんです。しかし、それと福 祉はちょっと違う。福祉事業については競争の中で解決できる問題ばかりとは限らない。 特に生協の場合、それは生協の非常に重要な存在意義として、購買事業の中の問題とは 別に考えるべきなんじゃないかと私は思うんですね。だからこの図のような考え方が出 てくるということについては、私は余り違和感を持たないんですが。 ○ 小川委員  同じ提案でも受け取り方はさまざまだなと思ったんですが、私もこれは違和感は持っ ていません。実は生活協同組合は全体が広義の福祉というふうにとらえて組合員は活動 していると思います。ものを売ればいい、買えばいいという関係ではなくて、どんなも のをということにとてもこだわる。それは平和であれ、環境であれ、福祉であれ、同じ だと思っています。私の考えとしては、品川委員がおっしゃった部分は、これまでの事 業の中である種税制の優遇を受けていて、その中で組合員活動の剰余金積み立てなどが 義務づけられている中に膨らんでいくべきだと思っています。逆に、狭義の福祉という のは、福祉事業として、これからどれだけ市民が使えるような制度にしていくかという のはとても重要なことで、国の社会保障制度が非常に揺らいでいて制度からこぼれる人 もたくさん出てくるのをコミュニティでどう受けとめ、どう支え合うかというのを組合 員の活動でやる部分と、福祉事業としてやる部分を生協も整理する時期に来ているので はないかと。その両方を育てていかなきゃいけない。組合員の教育資金としての積み立 ての部分と、事業をより制度の中に乗せて使いやすくしていくお金のつくり方というの を整理する時期に来ているのではないかなと思っています。 ○ 清成座長  今のお二方の議論よくわかるんです。教科書的に整理すると、市場セクターで満たす 需要と、政府が満たす需要と、非営利組織が満たす需要と、3つあるわけです。3つあ って、かつオーバーラップするところもあるわけです。購買事業は市場セクターと相当 オーバーラップしてますよね。そういう面があって、逆に福祉や介護になると、政府セ クターと非営利セクターがオーバーラップする面があるわけです。そのオーバーラップ するところを政策的にどう処理するかというので複数の考え方があるんじゃないかとい う感じがするんです。特に最近のような財政危機という状況になってくると、本来政府 セクターが担うべきところが随分非営利セクターの方に投げ出されてますよね。これは 現実なのであって、論理的にそれを全部非営利セクターに任せていいかという話にはな らないので、その辺オーバーラップする部分をどうやって政策的に処理していくかとい う話なんだろうと思うんですね。生協が見直すと同時に政府セクターの方でもそこは見 直していかなきゃならないという話なんでしょうね。それと一方での購買事業なんかに なってくると、マーケットとのオーバーラップのところになってくるわけです。セクタ ーが違う場合に協力関係というのもあるし、競争関係もあるし、そこを政策的にどう見 るかという話ではないかという感じがするんですね。非常に教科書的な整理ですけど。 ○ 小川委員  狭義の福祉と私がとらえている介護保険制度だとか、網にかかった制度の事業という のは、福祉であっても効率性をある種求められるわけです。介護保険はそれが顕著に出 てると思いますけど、生協が行ってきた福祉活動というのは効率性優先ではなくて、ニ ーズに対してどのようなものが必要かということを、事業としては難しくても相互扶助 でやってきたものが徐々に広がってきていると。その広がってきているものが今や組合 員の相互扶助の枠にとどまっていては、そこからこぼれる人が目の前にいて、そのこと を使えないということが今回の員外利用の問題として重要な視点だと私はとらえていま す。 ○ 清成座長  それでは時間の関係もありますので、次の議題ということで、組織・運営規定の見直 しについて、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○ 花咲課長補佐  では続きまして第2ラウンドを開始させていただきます。資料の厚さをごらんいただ きまして、あらかじめ委員の皆様方にお心づもりをいただければ私としても少し気が楽 になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  では資料4、組織・運営規定の見直しについてでございます。  まず目次でございます。本資料の構成でございますけれども、まず総論部分として、 生協法の現行の規定について御紹介した後、見直しについての総論的な考え方等をお示 しする予定でございます。続いて各論としてテーマごとに分類した上で、全部で26項目 の論点をお示ししております。  早速ですが1ページでございます。まず、通常時の生協の組織運営についてお示しし ております。1ページが図示したもの、2ページが文章で表現したものとなっておりま す。なお、生協のガバナンス規定については、法律上規定があるものと、法律上の規定 はないものの模範定款例に定められているために生協が既に導入している制度がござい ます。今から御説明するガバナンスに関する規定は、そのいずれをも含むものでござい ます。  1ページの紫色の文字をごらんください。理事や監事は総代会で選挙することとなっ ております。選挙された理事で理事会を構成することになりますが、理事会や理事長に 関しては生協法上の定めはございません。続きまして緑色の文字でございます。番号は 流れをお示ししておりますので、順番にごらんいただければと思います。(1)理事は通常 総会の1週間前までに事業報告書や決算関係書類を監事に提出することとされておりま す。(2)監事は当該書類について意見書を作成し、(3)理事は当該意見書を付して総会に書 類を提出することとされております。(4)組合は決算日から3か月以内にそれらの書類を 行政庁に提出することとされております。続きまして青色の文字をごらんいただきたい のですが、こちらは監事による監査の流れをお示ししております。(1)監事は財産状況及 び業務執行に関する監査を行います。(2)監事は監査を行ったとき等に理事会に出席し、 意見を述べることができるとされております。(3)監査実施時には監査報告書を作成し、 総会に提出することとされており、(4)仮に財産状況や業務執行に係る不整の点を発見し た場合には総会か行政庁に報告することとされております。続いてオレンジ色でござい ますが、監事による調査の流れでございます。(1)監事はいつでも理事や組合職員に事業 報告を求め、調査を行うことができるとされております。(2)調査の結果、理事等が法令 違反を行うとしているとき等には理事会に報告しなければならないとされており、(3)理 事会に報告したにもかかわらず適切な措置がとられないときには総会に報告することと されております。  3、4ページでございます。こちらは理事の業務執行に疑義がある場合に機能する制 度をお示ししております。青字は1ページと同様ですので省略させていただきます。オ レンジ色の文字をごらんいただきたいと思います。理事の不正な業務執行を未然に防止 するため、監事は理事や使用人と兼職が禁止されております。また、理事の自己契約に ついては理事会の承認が必要とされております。また、理事は組合に著しい損害を及ぼ す事実を発見した場合には監事に報告することとされております。続きまして紫色の文 字は、組合員の権利に関する記述でございます。一定数以上の組合員による理事に対す る臨時総会招集請求権、役員解任請求権、監事に対する業務調査請求権がございまして、 行政庁に対する請求として検査請求や総会決議の取消請求が可能となっております。最 後に緑色の文字でございますが、行政庁による報告徴収や検査、解散命令等が認められ ております。  5ページをごらんください。組織・運営規定の見直しについての考え方でございます が、生協が実施する事業の複雑化等に対応し、生協の事業運営の健全性を確保するため、 各機関の責任の明確化や外部監視機能等の強化が必要となっております。実態上、模範 定款例により既に採用されている制度もございますので、それらについてもきちんと法 令上規定することが必要だと考えております。  6ページをごらんください。組織・運営規定に関する主な各法比較でございます。共 済事業に関する規制について以前お示ししたものと同様に、他法にはありながら生協法 には存在しない規定が非常に多くなっていることがおわかりになるかと思います。  では各論に入らせていただきます。8ページをごらんください。これから御説明させ ていただきます見直し項目のそれぞれの位置づけをお示ししております。ガバナンス規 定の見直しについては、今から御説明します4つの視点で整理できるのではないかと思 います。まず機関の権限の強化、機関相互の権限の明確化でございます。役員や総会等 の生協機関の権限を明確にした上で、機関相互の牽制機能等を定める必要がございます。 また、組合員意思の反映の確保でございます。組合員の相互扶助組織である生協におい て、組合員の意思をいかに反映させていくかという視点でございます。さらに、外部監 視機能等の強化ですが、組合員以外の関与や組合外部の者に対する透明性をどのように 確保していくかという視点でございます。以上のように、生協の内部自治機能を強化す ることがまずは重要かとは思いますが、生協に対する行政庁の関与のあり方に関する視 点が緑色の枠でございます。これらの視点に沿って以下御説明させていただきます。  I 、機関の権限の強化・機関相互の関係の明確化でございます。それぞれどの機関に 関する議論かでさらに細分化しております。  まず10ページ以下、役員に関する見直し事項でございます。3項目ございます。  11ページをごらんください。役員の欠格事由でございます。生協の現状ですが、役員 の欠格事由に関する規定はございません。一方、農協法など他制度においては、法人な ど一定範囲の役員の欠格事由が定められております。また、共済事業を行う組合の役員 については破産手続開始決定を受けていまだ復権していない者が追加的に規定されてお ります。  そこで改正の方向性でございますが、生協法においても欠格事由を定めてはどうかと 考えております。  12ページでございます。役員に関する2つ目の論点は、役員の任期でございます。生 協の現状ですが、役員の任期は理事、監事を問わず、原則2年とされておりまして、3 年以内の期間を定款で別途定めることも可能とされております。他制度の状況でござい ますが、中協法においては会社法にならい、理事の任期は2年以内、監事の任期は4年 以内と差がつけられております。ただし、定款により任期中の最終事業年度に関する通 常総会終結時までいずれも延長可能とされております。  そこで改正の方向性でございますが、理事の権限をより適切にチェックし、監事の権 限を強化するため、それぞれ任期を2年と4年以内としてはどうかと考えております。  役員に関する最後の論点が13ページの、役員の組合や第三者に対する責任でございま す。生協の現状でございますが、組合と役員間は解釈により委任関係だとされており、 これに基づき、役員は善管注意義務を負うとされております。そこで、これに反した場 合には債務不履行責任を負うこととされております。また、組合が第三者に対して負う 責任については、民法に基づく一般不法行為責任と解されております。他制度の状況で ございますが、農協法においては組合と委員は委任関係であることや、役員は忠実義務 を負うことが法律上規定されております。また、役員は任務懈怠の場合に組合に対して 損害賠償責任を負い、この責任は総組合員の同意がなければ免除できないとされており ます。ただし、役員が善意無重過失の場合には総会の特別決議により賠償額の一部免除 が可能とされております。一方、役員は職務を行うについて悪意または重過失があった 場合には、第三者に対して損害賠償責任を負うこととされております。中協法ではこれ らに加え、会社法にならい、対組合責任の一部免除が総会決議ではなく理事会決議によ り可能となるなどの規定が置かれております。  そこで改正の方向性でございますが、農協法にならい、組合と役員の関係が委任関係 であることを明確化し、それに基づく忠実義務や責任、その免除の方法について定める こととしてはどうかと考えております。また、対第三者責任についても規定を設けるこ とが必要だと考えております。  続きまして、理事や理事会に関する権限の強化・明確化でございます。2項目ござい ます。  15ページでございます。理事会や代表権を有する理事に関する規定の充実でございま す。生協の現状ですが、法令上、理事会や代表理事に関する規定はございません。一方、 農協法等においては理事会の設置が義務づけられるとともに、その権限や招集手続に関 する規定、代表理事に関する規定が設けられております。  そこで改正の方向性でございますが、生協法においてもこれらの規定を設けてはどう かと考えております。  理事・理事会に関するもう一つの論点が16ページ、理事の自己契約・利益相反取引に 関する承認等でございます。生協の現状ですが、理事と組合間の契約に関する監事の代 表権が規定されてはいるものの、契約に際して理事会の承認が必要である旨の規定はご ざいません。一方、他制度の状況でございますが、理事の自己契約や利益相反取引につ いては理事会の承認が必要とされております。  そこで改正の方向性でございますが、生協法においても理事の自己契約等が独断で行 われ、組合が財産上の被害をこうむることを防止するため、これらの契約に際しては理 事会の承認が必要である旨の規定を設けてはどうかと考えております。  17ページでございます。以下、監事に関する項目が6つございます。  18ページでございます。監事の基本的な職務に関する生協の現状でございますが、監 事の職務として財産状況監査及び業務執行状況監査が定められておりますが、生協の子 会社等に対する監査の規定はなく、監査報告の作成義務に関する規定はございません。 他制度の状況はそこにお示ししたとおりでございます。  そこで改正の方向性でございますが、他法にならい、監事が行うべき基本的職務とし て新たに監査報告の作成や、生協子会社等に対する業務状況の調査など、必要なものを 規定してはどうかと考えております。また、理事が不正行為をした場合等、一定の場合 においては理事会への報告を義務づけてはどうかと考えております。  19ページでございます。監事に関する2つ目の項目が、監事の選任等に関する監事の 権限でございます。生協法上、農協法等に定めがあります監事の選任議案に関する監事 の同意等に関する規定はございません。  そこで改正の方向性でございますが、監事の独立性を担保し、適切な監査が行われる ようにするため、他法にならい、監事の選任議案に関する監事の同意や意見の陳述等に 関する規定を設けることとしてはどうかと考えております。  20ページは、監事に関する3つ目の項目、監事による職務に係る費用等の請求でござ います。生協法には、監事が職務執行に係る費用等を組合に対して請求することに関す る規定はございません。一方、他法においては監事が職務執行について費用の前払い等 の請求等を行った場合には、当該費用等が監事の職務執行に必要でないことを組合が証 明した場合を除き、これを拒否できないとして、立証責任が転換されております。  そこで改正の方向性でございますが、監事の円滑な監査活動を確保するため、生協法 においても監事が職務執行に係る費用等を請求することを容易にしてはどうかと考えて おります。  21〜23ページは、監事と理事の間の牽制機能に関する3項目でございます。  まず21ページ、監事による総会提出議案の調査をごらんください。生協法上、理事が 事業報告書や決算書類を通常総会に提出するときには監事の意見書を添付しなければな らないとされておりますが、理事が総会に提出する議案に対する監事の調査義務につい ては規定がございません。一方、他法においては監事は理事が総会に提出しようとする 議案に関する調査義務があり、この場合において法令違反があると認めるときは調査結 果を総会に報告しなければならないとされております。  そこで改正の方向性でございますが、他法にならい、監事による総会提出議案の調査 義務や、法令違反の場合の調査結果報告義務に関する規定を設けることとしてはどうか と考えております。  22ページでございます。監事の理事会に関する権限や義務でございます。生協法には これらに関する規定はございません。一方、他法においては理事が不正行為をした場合 等には、監事は理事会に報告しなければならないとされております。また、監事は理事 会に出席し、必要があるときは意見を述べなければならないとされております。その場 合において、監事は理事会の招集を請求することができ、それにもかかわらず招集され ない場合にはみずから理事会を招集することができるとされております。  そこで改正の方向性でございますが、理事の不正行為について理事会への報告義務や、 監事の理事会出席義務に関する規定を設けることとしてはどうかと考えております。  23ページでございます。監事と理事の牽制機能に関する最後の項目が、監事による理 事の不法行為差し止め請求でございます。前のページでは、不正行為を発見した場合に 理事会へ報告すべき旨の規定の新設に関する話をさせていただきましたが、それを一歩 進めまして、監事が直接理事の不法行為をやめるよう請求できるとする規定の話でござ います。生協においては他法に規定されているような規定はございません。  そこで改正の方向性でございますが、他法にならい、理事が法令等に違反する行為を した場合で、当該行為により組合に著しい損害が生じる恐れがあるときは、監事の職務 権限の一環として、当該理事に対してその行為をやめるよう請求できることとしてはど うかと考えております。  24〜30ページは、2つ目の視点である組合員の意思が反映される運営の確保に関する ものでございます。項目は6つございます。  1つ目は25ページ、総会の招集手続でございます。総会は組合員によって構成される 組合員意思の発言の場でございます。生協の現状ですが、総会の招集は原則として理事 が行うこととされておりますが、総会招集時に定めるべき事項に関する規定はございま せん。また、総会の招集通知については総会の5日前までに発出することとされており ます。一方、農協法においては原則として理事が招集することとされており、招集時に は総会の日時・場所等を理事会議決により定めるべきことが定められております。中協 法においては招集権者は原則として理事会とされておりまして、招集時の理事会議決事 項についての定めは特にございません。なお、いずれの協同組合においても招集通知は 総会の10日前までに発出することとされております。  そこで改正の方向性でございますが、総会招集時に決定すべき事項や招集権者に関す る規定の整備をしてはどうかと考えております。また、招集通知の発出期限については、 総会の大規模化や総会決議事項の複雑化に伴い、総会の10日前までに前倒ししてはどう かと考えております。  26ページでございます。総会や総代会の議決事項に関する論点でございます。生協法 上、定款の変更や組合の解散、合併、借入金の最高限度額等については総会の議決事項 とされておりまして、総代会の議決事項もそれに準じております。ただし、組合の解散、 合併については総代会では議決できないとされております。農協法ですが、借入金の最 高限度額は総会議決事項とされておらず、共済規程の変更のうち軽微な事項については、 定款により議決事項から除外できるとされております。さらに、組合の解散、合併につ いても総代会で議決できるとされておりますが、その場合、組合員による総会招集を認 め、その招集された総会における承認がなければ解散、合併決議が失効するという、事 後チェックのための手続を設けております。  そこで改正の方向性でございますが、組合の解散、合併について総会での事後承認に 関する規定を設けた上で、総代会においても議決できることとしてはどうかと考えてお ります。また、他法を参考に、借入金の最高限度額等について総会の議決を不要とする など、必要な見直しをすることとしてはどうかと考えております。  27ページ、総代会の設置基準でございます。生協法では組合員1000人以上の組合は 総代会の設置が可能としております。この設置基準ですが、農協法では500人、中協法 では200人とされております。  そこで改正の方向性でございますが、総代会が設置可能となる組合員数基準を1000人 から引き下げることとしてはどうかと考えております。  続きまして役員の選出方法でございます。生協法においては、役員は定款の定めると ころにより選挙することとされております。一方、農協法や中協法においては、選挙の ほかに選任制度が認められております。ちなみに選任制度ですが、役員を総会議決によ って選出するもので、あらかじめ一定の手続により選定した役員候補者を一つの議案と して総会に提出し、これに対する賛否を問う方法でございます。役員全体をまとめて選 ぶ点が、候補者それぞれを選出する選挙とは異なっております。  そこで改正の方向性でございますが、役員の選出方法については選挙を原則とした上 で、必要な手続規定を設けてはどうかと考えております。また、組合の果たす機能の複 雑化、高度化に伴い、役員のチームワーク等がこれまで以上に求められるようになって きていることから、他法にならい、選任制度による選出を認めることとしてはどうかと 考えております。  29ページでございます。理事及び監事の報酬決定手続でございます。生協法上、こう した規定はございません。一方、他法においては理事や監事の報酬について定款に定め がない場合は、総会決議によって定めることとされております。  そこで改正の方向性でございますが、生協法においても理事及び監事の報酬決定手続 について定めることとしてはどうかと考えております。  組合員の意思の反映の確保についての最後の論点、30ページ、組合員代表訴訟でござ います。生協法には規定がございませんが、農協法等には7つの組合員代表訴訟に関す る規定が設けられております。  そこで改正の方向性でございますが、生協においても組合員による適正な組織運営の 確保を可能とするため、組合員代表訴訟について他法にならい、規定を設けることとし てはどうかと考えております。  31〜40ページは、外部監視機能等の強化という視点に基づくものでございます。これ をさらに、組合員以外の関与と、組合外部の者等に対する透明性の2つの視点に分けて 整理しております。  まず1、組合員以外の関与に関する2つの項目でございます。33ページをごらんくだ さい。員外理事枠の拡大でございます。生協では理事の定数は5人以上とされておりま すが、そのうち5分の1以内で組合員または連合会の会員たる法人の役員以外の理事を 選出することが可能とされております。  そこで改正の方向性でございますが、生協においても組合外から広く人材を登用する メリットがあることから他法にならい、員外理事枠を理事定数の3分の1まで拡大する こととしてはどうかと考えております。  34ページ、員外監事設置の義務づけ等でございます。生協法においては監事は組合員 または会員たる法人の役員から選出することとされておりますが、他法においては監事 の資格制限は設けられておらず、逆に農協法においては責任準備金額が50億円以上の共 済事業実施組合、中協法においては組合員1000人以上の組合については当該組合の組合 員等以外の者であって、その就任前の5年間当該組合の役員や使用人等でなかった者か ら選ぶことを義務づけております。  そこで改正の方向性でございますが、組合の果たす機能の複雑化等に伴い、員外監事 の設置を可能としてはどうかと考えております。また、組合員数が一定規模以上の組合 においては、組合員の自治意識が希薄化している場合があり、このような組合員が監事 を務めた場合には監査機能が適切に機能しないということも考えられ、また、その必要 性は生協が実施する事業の種類によっても異なると考えられるため、組合員数が一定規 模以上の組合で購買事業や共済事業等の実質的な事業を行う組合など、一定の組合につ いて員外監事の設置を義務づけてはどうかと考えております。  続きまして2、組合外部の者等に対する透明性についての5項目に移らせていただき ます。いずれも各種書類に関する作成や閲覧に関する見直しでございます。  36ページ、総会議事録の作成、備付け・閲覧でございます。生協法においても総会議 事録の備付けや閲覧に関する規定はございますが、その作成方法に関する規定はござい ません。一方、農協法などにおいては総会議事録の記載事項等に関する規定が存在して おりまして、改正の方向性として、他法にならい、総会議事録の作成等について必要な 整備を行うこととしてはどうかと考えております。  37ページでございます。理事会議事録の作成等に関する規定ですが、生協法にはござ いません。改正の方向性でございますが、他法にならい、理事会議事録の作成、備付け ・閲覧に関する規定を整備することとしてはどうかと考えております。その際、中協法 にならい、組合の債権者についても制限なく議事録の閲覧請求を認めることとしてはど うかと考えております。  38ページ、会計帳簿の作成・保存、閲覧でございます。生協については省令で会計帳 簿の作成が義務づけられているものの、その保存等に関する規定はございません。改正 の方向性でございますが、他法にならい、会計帳簿の作成・保存義務に関する規定を設 けてはどうかと考えております。また、中協法等にならい、少数組合員による会計帳簿 の閲覧を可能としてはどうかと考えております。  39ページでございます。生協の現状ですが、理事は通常総会の1週間前までに財産目 録、貸借対照表、剰余金処分案または損失処理案、及び事業報告書を監事に提出し、こ れを主たる事務所に備えておかなければならないとされておりますが、法令上、これら の書類の保存機関や備え置き期間についての規定はございません。  そこで改正の方向性でございますが、理事が各事業年度ごとに作成義務を負う決算書 類として、損益計算書や付属明細書を加えるなどの改正を行うとともに、備置き期間や 保存機関について必要な整備を行うこととしてはどうかと考えております。  40ページは組合員名簿に関する項目でございます。生協法上、組合員名簿の備付けや、 組合員及び債権者からの閲覧請求に関する規定は設けられているものの、組合員名簿の 記載事項についての規定はございません。  そこで改正の方向性でございますが、他法にならい、組合員名簿の作成義務や記載事 項について定めるなど、組合員名簿の作成について必要な整備を行うこととしてはどう かと考えております。  次の視点でございます、行政庁の関与に関する項目が42、43ページ、行政庁の解散命 令でございます。生協法上、行政庁による報告徴収や検査、措置命令、解散命令などの 規定がございますが、解散命令を出せるケースは5つの生協法違反事由の場合に限られ ております。  一方、他法の状況ですが、43ページにございますように、農協など他の協同組合にお いては、事由を限らず法令違反の場合には解散命令を行政庁が出すことができるとされ ております。  そこで改正の方向性でございますが、協同組合は自発的な運営を尊重すべきであり、 行政庁による解散命令は慎重に行わなければならないが、そうであるとしても、行政庁 の関与を実効的なものとすべく、法令に違反した場合において行政庁が措置命令を出し たにもかかわらずこれに従わないときは、違反事由にかかわらず解散命令を出せること としてはどうかと考えております。  とうとう最後になりました。その他としまして、45ページ、連合会会員の出資一口の 金額及び1会員の出資口数の限度でございます。これまでお話ししてまいりました設立 後の生協内における組織・運営規定の話とは異なり、連合会の設立に関する項目でござ います。生協の現状ですが、1会員の有することができる出資口数の限度は会員の総出 資口数の4分の1、ただし、購買事業等、一定の事業を行う場合には2分の1とされて おります。また、連合会会員の出資一口の金額は、通常負担できる程度で、かつ均一で なければならないとされており、その金額については定款の記載事項とされております。 他制度の状況ですが、中協法では100分の35が限度とされておりますが、農協法では特 に限度を設けておりません。  そこで改正の方向性でございますが、会員には原則として出資口数にかかわらず平等 な議決権が付与されることから民主的な運営が可能となっております。このような状況 下において、現在出資限度が2分の1に緩和されている連合会については、その経営基 盤をさらに安定的なものにするため、会員の出資口数の制限を撤廃することとしてはど うかと考えております。  本当に長くなりましたが、以上でございます。 ○ 清成座長  どうもありがとうございました。ガバナンスの問題でありますけれども、論点が非常 に多岐にわたっております。時間の関係もありますので、どこからでも結構ですので御 意見、御質問がございましたら。どうぞ。 ○ 大塚委員  かなめだけ申し上げます。方向性としては、会社法的な見方からすると、監事の機能 を員外監事で強化するというのが一つのかなめだと思いますけれども、資料の34ページ でそのことが書いてあると思いますけれども、員外監事について明確にこれを、組合員 または会員たる法人の役員以外の監事で、学識経験者等と書いておられるとすると、今 の方向でいうと独立取締役とか社外取締役にならいますと、中立的な立場から公平に見 られる者というように限定しているように読めるんですね。社外取締役に限定していい かという議論がずっとあって、新会社法の社外取締役の定義規定が2条にあるんですけ ど、それだと余りこれだけとは限定してないと思うんです。何らかの関係がある社外取 締役ってあるわけで、連合会の使用人等が連合会加盟生協の員外監事になるというよう な場合は別に構わないわけですか。 ○ 花咲課長補佐  他法で見ますと、そこにございますような定義が員外監事とされておりますので、そ れを満たすような方であれば、設置された場合にそれが員外監事ということになるかと 思います。この学識経験者等というのは例示の一つでございます。 ○ 大塚委員  わかりました。結構です。 ○ 土屋委員  ガバナンスの関係を整理されるということで、方向は大変いいと思います。大きく3 点ほどお尋ね、あるいは意見があるんですけども、一つは、理事会、代表理事の法定化 という形なんですけど、生協の中にもいろんな生協がありますが、それをすべて同じよ うにする必要があるのかどうかという疑問があります。  それから2つ目は、監事の強化の部分です。3点ほどありまして、一つは、員外監事 を義務づけるということなんですけども、会社などの場合は2分の1は社外監査役にし なさいということなんですけど、それは当該会社なりその子会社の取締役なり執行役な り、あるいはそこの従業員なり、そういうものでなかった者というふうになっていて、 例えばそこの株主だとか、事業利用者とか、そういうことは当然問題になってないわけ で、実は農協法の場合も問題があって、組合員でない人というふうにしてるんですけど、 そうしますと農協の事業を利用しない人を監事にしなきゃいけないという大変おかしな ことになる。生協の場合ですと員外利用は原則禁止という話であればもっと妙なことに なるんじゃないかなと。そういう監事の独立性を強化するというのはものすごく必要な んですけれども、その場合の決め方を少し丁寧にする必要があるんじゃないかなと思い ます。  それからもう一つは、この提案の中で員外監事の機能を念頭に置かれてるんだと思い ますけれども、しっかり監事の仕事をしてもらうということになりますと、一定規模以 上のところについては常勤の監事が要るんじゃないかと思います。  それから3点目は、監事がいろいろな問題を発見したときに理事会に報告するという のがありましたけど、逆もあって、理事の人たちがいろんな問題を発見したりしたとき に監事に報告する義務がないと監事の方は大変なので、そういうことをあわせてやった 方がいいんじゃないかと思います。  それから3つ目、会計の関係なんですけども、農協法なんかの場合ですと公正妥当な 会計慣行に従うということを一項目入れておいて、そのことによって世の中の会計制度 が変わったときに即座に対応していくというようなことも可能になりますし、いずれに しても何か基準がないと監査のしようがありませんので、そういうものが要るんじゃな いかなと思います。 ○ 品川委員  私も全体としては、今日的な生協の事業の規模なり、あるいは生協の社会的責任とい うことからも、運営・組織の規定を整備していただく方向は賛成でございます。ただ、 4点だけ具体的な点で意見を言わせていただきたいと思います。  一つは、34ページの員外監事の義務づけの件です。一定規模の事業を行っている連合 会とか、場合によっては職域生協などの場合にこういうことがあり得るかもしれません けれども、特に地域生協の場合にはそれぞれの県内の世帯数の4割とか5割とか、場合 によってはそれ以上も組合員になっているわけです。そういう点では、現に組合員にな っておられる公認会計士さんに監事におなりいただくというケースも多々ございます し、設置を義務づけることになりますと組合員を脱退していただかないと監事になれな いみたいなことにもなりかねないわけであります。ここのところは少し現実との関係で 柔軟にしていただく、肝心なことは独立性を持つということだと思いますので、若干手 を入れていただく必要がありはしないか。  2点目は、37ページの理事会議事録についてです。これもきちんと規定していただく ことは必要だと思いますが、閲覧について組合の債権者について制限なく閲覧を認める というふうになってるんですけれども、大変規模の大きい事業を実際に営んでいて、市 場の中で経済行為をやっているわけでありまして、そういう点では他法にならうという ことであれば、農協法のように組合の債権者については裁判所の許可が必要とされてい るというような内容をお決めいただくことをぜひお願いしたいと思います。  3点目は、38ページの会計帳簿の件です。これも閲覧の件で、少数組合員による閲覧 請求ということですが、中協法もそうですし、農協法なども正当な理由がない場合は請 求を拒むことができないとか、拒否事由とかいうことが規定されていると思いますので、 同じような拒否事由をお決めいただくことをお願いしたいと思います。  4点目は、40ページの組合員名簿の作成、備付け・閲覧ということです。これも閲覧 について正当な理由がない場合請求を拒むことはできない、あるいは拒否事由なりとい うことを明文化していただきたいと思います。  以上です。 ○ 清成座長  ちょっと品川委員にお聞きしたいんですが、大きな組合とか連合会なんかの場合、職 員の労働組合というのが存在してると思うんですけれども、それとのかかわりで、例え ば理事会の議事録公開の問題が起こってくると思うんですね。その辺はいかがなんでし ょうか。 ○ 品川委員  私どもの場合ですと、会員生協との関係で両方開示規定というのを設けておりまして、 原則的には理事会議事録についても請求があれば開示できるという内部規定を持って運 用しております。ただ、それについて職員がその規定を活用するという扱いにはしてご ざいません。 ○ 清成座長  農協さんはどうですか。 ○ 土屋委員  特に理事会議事録等で何か問題があるということはありません。 ○ 小川委員  まさに第2ラウンドで大きなパンチがいっぱい飛んでいたように思いますが、一番私 が大切にしたいのは、24ページ以降の組合員の意思が反映される運営の確保というとこ ろなんですが、それからいうと、行政庁の関与というところが本当は一番問題なんじゃ ないかと思っていまして、行政庁と組合とが直結になっていますけども、日本生活協同 組合連合会というのがあって、そこがナショナルセンターとして機能していないので、 すべて行政庁の許認可で動くということが問題だと思っていますが、そのあたりは局長 はどのように考えていらっしゃるか。つまり、厚生労働省で仕事がたくさんあるのに生 協の細かいところまでいちいちということなのか、日本の中にナショナルセンターとし て、日本生活協同組合連合会の社会的な役割をもっと発揮できるような権限が持たれる といいということは私は意見してきているつもりですが、そのあたりが基本にあります。  もう一つ、45ページ、口数によってという、経済事業を行う連合会についてはという ことになっていますけれども、組合員の意思が反映されるというのは本当は小さな生協 の方が反映されるわけですね。しかし経済的な効率性からいうと、より巨大化していく 傾向にあって、だからこそ参加と決定のプロセスに問題が生じているのが先ほど事務局 から出たさまざまな総代会のあり方だとか、員外監事、理事のモラルの問題が出てきて ると思います。そういう意味で、組合員の意思を反映するに当たって、小さな生協がち ゃんと存在できる、それがたくさん生まれることが広い意味では福祉の機能というのは そこにあるわけですね。大きくくくられていくと、それは効率にのっとらざるを得ない。 生協が広義の福祉も狭義の福祉もやるということは、実はニーズの細かいところに対す る対応ができることが評価されるんだと思いますけれども、小さな生協が機能するため にどのようにあるべきかというのが、この委員会での論点として大きいと思いますが、 そういう意味で最後の口数の制限を撤廃するということをどのようにとらえるかは、品 川委員なども悩まれるところではないかなと思いますので、意見として聞いていただい てもよろしいですし、もし行政庁の関与のところで何かお考えがあれば発言していただ きたいと思います。 ○ 中村社会・援護局長  うまく答えられるかどうかわかりませんが、資料4の6ページに組織・運営規定に関 する各法の比較があります。小川委員から、何か行政の方がこれまで生協の運営につい て一定の方向性なりがあって、あるいは方向性がなくても杓子定規なことがあって生協 の活動に行政が壁になっているというようなお話があったように受けとめております が、例えば今度の生協法の改正にしろ、第1回のときに委員の方からも御質問がありま したけども、60年近く改正してないということは、少なくとも厚生労働省としては余り 生協についてきちんとやってこなかったというふうに自分たちとしては思っておりま す。6ページの表にありますように、生協法は他法に比べてもきちんと規定がないとい うことで、かえってそういうことが原因でさまざまな行政通達や裁量によってそういっ たものを補っているというところが不透明性なり、各都道府県で県内限りの活動をされ ている組合については許認可あるいは行政のお願いをしておりますので、そういう行政 運用に当たって地域差が出たり、担当者によって違いが出たり、そういった点が実際に 活動されている生協の方々から見て、どうも行政が壁になっているというような印象を 持たれることにつながっているのではないかと思います。まさに自発的な組織でありま すし、行政としてしなければならないこと、最低限のことは行政が関与するということ で、できるだけそういうことがないというのが理想だと思いますので、今回の見直しも、 きちんとルール化することはした上で、できるだけ事後規制で、問題があれば行政が最 後出ていかざるを得ないんだけど、余り行政と関係なく定められたルールの中で存分の 活動していただくというのが基本的な方向ではないかと思います。そういう中で法律の 規定も整備するわけですが、その際、組織でありますから規模の問題などあると思いま すので、そのときにルールが小規模な組合がやっていけないようなことを、幾らガバナ ンスといってもそういうルールはむちゃなことがありますので、規模に応じたルールと いうのも必要があれば導入すべきではないかと思います。その辺は具体的な項目に沿っ て考えさせていただきたいし、また御議論をいただきたいと思います。 ○ 小川委員  ルールを決めた上で、生協の自主性を尊重して、国だけではなくて都道府県の行政の 関与も含めて、全体でいうと日本生活協同組合連合会があり、地域ごとに県の連合会が あると思います。それは必ずしも事業連合という意味だけではなくて、生協としての連 合機能もあると思いますが、そこに対して一定の権限が付与されていくような組織でも、 それがどういうふうにというのはまだ私は具体的に持ちませんけれども、この際考える べきではないかなと。これは生協陣営としても考えるべきではないかなと思っています。  それから今回、購買事業、共済事業、利用事業と、事業という切り口で行っているわ けですが、そうなったときに効率性ということがどうしても出てくるわけですが、生協 が一番大事にしてきたのは、組合員一人一人の参加とその責任だと思います。そういう 意味で、理事や監事、あるいは総会の役割というのは人ごとではなく、組合員一人一人 の責任としてというのが問われるのが、今日のこのペーパーの底流にずっとあると思っ ています。その中で事業の効率性と規模を考えたときに、員外利用、県域問題と、非常 に悩ましい状況にあることも踏まえて、小さな単位で生協がちゃんと市民の意思として 成り立つということを決して損なうことがあってはいけないのではないかなと思ってい ます。そういう意味で、最後のページがとても気になる1ページだったと思っています。 ○ 清成座長  ガバナンスということが言われるというのは、もちろんコーポレートガバナンスが先 行したわけですけども、非営利組織、NPO法人であれ、公益法人であれ、学校法人で あれ、生協であれ、ガバナンスが言われるようになったというのは、50年見直しがなか ったということもあるかもしれませんけど、ガバナンス論というのはこの7、8年の議 論ですよね。特に橋本内閣以降ではないかという感じがする。それは総合規制改革会議 の規制緩和という流れなんですよね。事前規制から事後チェックへで、だからどんな組 織であれ、意思決定の自由度を拡大するということがあって、きちんと自己責任原則で チェックしなさいよと。それに第三者のチェックも必要ですよという流れの中で起こっ てきてるんですよね。これは分野関係ないんですよね。どの分野でもというのが、特に 小泉内閣のもとで展開されたわけです。それはそれで一定の意味があるわけですけども、 そういう流れの中で、今度は組織の中でも自治ガバナンスということが非常に問題にな ってくる。  生協で、確かに組合員の意思の反映、それは規模が小さければ小さいほど反映されや すいというのはおっしゃるとおりなんですけど、もう一つ別の視点があるんじゃないか と思うんですね。需要を満たす場合のマネージメント、先ほど小川委員は人・物・金と おっしゃいましたね。一番欠けてるのはマネージメントをやる人なんですよね。これは 非営利組織を見ていてもわかるんですけど、NPO法人の欠陥を見ると、ほとんど専門 人材がいないとか、資金不足という、この2つにぶつかっちゃうんですね。生協の場合 は一定の歴史があって蓄積がありますから人材は育ってると思うんですね。それは全く そのとおりなんですけども、しかしもう一つ問題になるのは、小規模でもきちんとマネ ージメントやらなきゃいけないというところがあって、結局マネージメントの訓練とい うのを受けていない人たちが実際には担い手になっちゃってるという問題があるんです ね。それがどうしてもあるんじゃないかということ。  それから、非営利組織ということが出てくればくるほどマネージメントが甘くなるん ですよね。私も学校法人の理事長を9年間やりましたからよくわかるんですよ。マネー ジメントなんかないじゃないかというのがあって、非常に希薄なんですよね。 ○ 小川委員  前回もそのことを言われたと思うんですけれども、学校法人とか生協の経営マネージ メントの問題はあるでしょうけど、最近NPO法人でも経営マネージメントをちゃんと やって、しかも社会的な優位性を意識するというのはすごく言われてきていますから、 それは大きい小さいではないだろうと。 ○ 清成座長  いや、私が言いたいのは、非営利組織の人材を育成する社会的システムがないんです よ、全然。それがないままに皆さんやっちゃってるので問題が起こってるという、これ は極めて大きな問題だろうと思うんですね。学校法人なんかを見てると規模が小さいと ころほどマネージメントがめちゃくちゃなんですね。大きなところはそれなりに組織で 動いてるし、外部のチェックが厳しいものですからそれなりに人を育成しようという視 点が出てくるんですけどね。私もあるNPO法人の理事長をやってますけど、一番頭が 痛いのは人材の問題、資金の問題というのがどうしてもあるんですね。  ガバナンスということを問題にする場合に、理事会の権限を明確にするとか、自由度 拡大という、これは自発的な組織ですから自由度の拡大ということはあるわけですね。 その反面、自己責任原則になりますから、だから自治ガバナンスということが非常に問 題になってくるわけです。その限りにおいて行政が関与するというのが、ある意味では 必要なことなんだろうと私は思うんですね。  今日の案を見てますと、この程度だったら相当緩いなという感じがあるんです。とい うのは、学校法人の場合には破綻というのがどんどん出てくるわけですね。そうすると 学校法人でも政府の認可なわけですけど、その場合でも経営が破綻しそうになったら事 前に行政の方から相談に来いというようなことをチェックするという、これよりずっと きついやり方でないともたないんじゃないかということがあるわけです。学校法人の場 合は私学事業団というところに全部学校法人の経営データがあるわけです。それを見な がらチェックしていこうと。だから事業団がチェックをして、これは問題だとなったら 行政に報告して行政が手を出すという仕組みになってくるんですね。自発性が強いとい っても、自治ガバナンスというのは一定のルールはつくらなきゃならない時期になって るのかなと思うんですけどね。 ○ 小川委員  それはそう思っています。ですから、自主管理基準をそれぞれの生協が自分たちで持 っているだろうし、さらに持つことを明記していくのは大賛成なんですけれども、組合 員の意思を反映させるというときに、日本の生協が大規模化して合併が進んでいること に、組合員の意思決定のプロセスも含めて、その自主管理基準をどうするかはすごく問 われるところだろうと思っています。 ○ 清成座長  そうですね。なかなか一律にはいきにくいということは確かなんですね。規模が大き くなってきて、それこそ金融機関なんか見ると、大きな信用金庫というのは銀行と変わ らないんですね、中身は。もう共同組織ではないという感じがするわけです。いろんな 協同組合の事業を見てても、大きくなればなるほどどんどん肥大化していくということ があるので、組合員の意向はだんだん反映しにくくなってくるという、これはそうだろ うと思うんですね。だからなかなか一律にはいかないんだろうと思いますけど。 ○ 山下委員  先ほどからの御意見の中で、一律に理事会という会議体組織は、小さい生協にとって は少し重いんじゃないかとか、員外監事も一律というのはいかがかという意見がござい ましたが、確かに会社では新しい会社法で取締役会のない会社というのを認めている。 これはせいぜい株主が数十人規模の単位であって、マネージメントについてそれなりの 力を持って発言できるという世界のことなので、小規模といえども何十人規模というの は生協ではあり得ないかと思うので、そういう意味で協同組合法でも理事会というのを 強制しているのではないかなと思います。  それから員外監事なんですが、これもどういう理由で員外監事を求めるかという理由 にかかわってくると思うんですけれども、これもマネージメントにかかわるようなこと で、少し生協の経営とか組合員としての関与をしない、客観的なところから会計とか経 営のわかる専門的な人に見てもらいましょう、そこで意見を言ってもらいましょうとい うことなので、組合員としてはちっぽけな存在で客観的な監査をすることに影響力ない じゃないのということは実態としてはあるかもしれないんですけど、そこはあえて組合 員としての地位と切り離して、客観的な意見を求めるという体制をつくるというのも一 つの考え方ではないかなと思っています。 ○ 品川委員  御指摘のように生協の場合、現行でもすべての生協で理事会制をとって運営している のが現状だと把握しております。そういう意味では理事会制ということは余り問題なか ろうと。それから員外監事の問題についても、趣旨は山下先生がおっしゃったとおりだ と思います。ただ、生協の組合員というのは、全く利用するだけの組合員から、いろん な面で活動に参加する組合員から、生協とのかかわりの度合いというのは非常に大きな 差がございまして、単に生協を利用するだけの人でも今の規定でいえば員外監事に当た らなくなってしまうわけでありますので、そこのところは、趣旨は踏まえつつどう決め 打つかということはあろうかと思います。  なお、この員外監事を指摘している資料の34ページのところで、生協が大きくなると 組合員意識が希薄化するということが書かれていたりするんですが、組合員意識の問題 は大きい小さいではなくて、小さい生協でも組合員意識の希薄な生協というのはあり得 るし、大きい生協でも一生懸命日常の努力をして組合員意識の向上を図っている生協も あるということで、傾向としてはあり得なくはないのかもしれませんけど、34ページに あるようなことを含めて、余りそれを決めつけてしまうのもいかがかと思っております。 ○ 清成座長  時間も来てしまいましたので、今日の議論はこの辺で終わりにしたいと思います。ま た追加的な御意見などございましたら、事務局の方へ言っていただければと思います。  それでは次回の日程について、事務局から御説明をお願いします。 ○ 千田課長補佐  次回の日程につきましては、10月30日月曜日でございます。13時から15時までを予 定しております。なお、開催場所等詳細につきましては後日改めて御連絡さしあげます ので、よろしくお願いいたします。 ○ 小川委員  これは3つの事業をとりあえず1ラウンドするということでしたので、今日の組織・ 運営規定の見直しも、利用事業も非常に重要なところですので、これはもう一回再燃し てよろしいんですよね、次回。 ○ 中村社会・援護局長  本日5回目でございますが、非常に限られた時間でございましたので、それぞれの項 目を深く議論していただくお時間がなくて恐縮でございましたけれども、項目としては 1ラウンドしたと考えております。それぞれの項目について掘り下げて、あるいは十分 でなかった点について御議論を賜りたいと思いますので、本日のテーマも第2ラウンド でよろしく御審議賜りたいと思います。 ○ 清成座長  それでは、以上で今日の会合は終了したいと思います。どうもありがとうございまし た。                                     (了) (照会先)  生協制度見直し検討会事務局          厚生労働省社会・援護局地域福祉課(内線 2854、2875)