06/10/11 第31回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録 第31回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 1 日時 平成18年10月11日(水)10:00〜12:00 2 場所 厚生労働省13階職業安定局第1会議室 3 出席者    委員  公益代表  :諏訪委員、林委員        雇用主代表 :塩野委員、中島委員、原川委員、輪島委員        労働者代表 :栗田委員、長谷川委員、古川委員、三木委員    事務局 鳥生職業安定局次長、生田総務課長、宮川雇用保険課長、田中雇用保険        課課長補佐、金田雇用保険課課長補佐、戸ヶ崎雇用保険課課長補佐、長        良雇用保険課課長補佐 4 議題 雇用保険制度の見直しについて 5 議事   ○諏訪部会長 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第31回の 雇用保険部会を開会させていただきます。  議事に移ります前に本日の出欠状況ですが、大沢委員、中馬委員、中窪委員、相川委 員、豊島委員がそれぞれご欠席です。  議事に入ります。本日の議題は、「雇用保険制度の見直しについて」です。お手元に事 務局が用意いたしました前々会の雇用保険部会での宿題等、「中間報告の論点」に関する 資料、前回の雇用保険部会における「有識者の見解」についての資料、および「船員保 険制度の統合に係る検討状況」についての資料を用意していただいてありますので、こ れら資料をめぐってご議論をいただきたいと存じます。  まず、資料1および資料2について事務局からご説明をお願いします。 ○田中雇用保険課課長補佐 おはようございます。お手元の資料1と資料2について、 まずご説明申し上げたいと思います。  まず、資料1ですが、前々会の部会でいただきました宿題等について資料をお出しし ています。まず1頁をご覧いただきたいと思います。「派遣労働者に係る雇用保険の取扱 いについて」です。前々会にご意見をいただきました事項に関する資料です。  派遣労働者については、被保険者資格の取得について、若干通常の労働者の方と異な る取扱いをしています。派遣労働者の方、特に登録型派遣労働者と呼ばれる方ですが、 派遣会社に登録して派遣される期間だけ雇用契約を結んで派遣先に行って就労するとい う方々ですが、登録型派遣労働者の場合、派遣終了と派遣就労の間に間ができてしまう 場合があるわけですが、こういう方の場合、いわゆる1年以上雇用されることが見込ま れるかどうか、被保険者となるかどうかを判断する際に、どのように判断しているかで すが、派遣就労が途中で切れるということが予想される場合であっても、ここに掲げて ありますように、例えば2カ月程度以上の派遣就業を繰り返すという方の場合であれば、 1カ月程度の間隔で繰り返すということであれば、これは就業がつながっていると見て おります。また、1カ月以内の派遣就業を繰り返すという方であっても、数日以内の間 隔で繰り返し行うということであれば、就業はつながっていると解釈しています。  したがって、このような他の形態の労働者とは異なる取扱いをして、被保険者資格の 有無を、まず判断しています。  これと関連して、資格喪失の場合についても、若干違う取扱いをしています。資料に 棒線を引かしていただいていますが、派遣就業に復帰することを前提に、例えば1カ月 程度雇用契約の関係がないという場合であっても、被保険者資格の喪失手続きを行わな いという取扱いをしています。したがって、新たに派遣就業を開始したという場合であ っても、資格の取得手続きを行う必要はないということです。これは、結果的に、雇用 保険関係がない期間についても被保険者資格は継続するという取扱いをしているという ことです。  ただし、例えば派遣労働者の方が派遣事業主に派遣を依頼する意図がないという場合 であったり、あるいは派遣元事業主が契約の終了後1カ月以内に、その派遣労働者の方 について派遣就業を開始することが困難であるということを明らかにした場合には、速 かに喪失手続きを行っていただくという取扱いをしているということです。派遣労働者 の方に係る雇用保険上の特別な取扱いについては以上です。  続いて、2頁から3頁、「有期契約労働者の方の勤続年数等について実態を示してくれ」 というご依頼がありましたので、最近の資料等を使いお示ししています。  まず、「有期契約労働者の勤続年数について」です。平成11年、13年、17年いずれ も三和総研、いまはUFJ総合研究所ですが、に委託して、有期契約労働者の実態につ いて調査をしています。この調査から勤続年数について取り出しています。勤続年数を 見てみますと、若干取り方は各調査によって違っておりますが、直近の平成17年の調 査をご覧いただきますと、6カ月未満、6カ月〜1年未満というように区分を切ってお ります。  その下の平成13年の調査をご覧いただくと、ほぼ同様の区分で切っていますが、6 カ月 未満と6カ月から1年未満というところが1年以内で、若干区切り方が違っております が、ある程度比較はできるかなと思っています。平成13年17年、直近のものと4年前 の調査を比べてみますと、全体的にですが、勤続年数がやや長くなっている傾向がある のかなということが分かるかと思います。  委託調査ではないのですが、厚生労働省が承認統計として行っております平成17年 の有期契約労働に関する実態調査があります。3頁ですが、ここで有期契約労働者の方 について契約期間が何年とか、更新している場合、更新を何回やっているかという調査 を行っています。  まず、契約期間について見ますと、1カ月以内の方が1%で、ほとんどいらっしゃい ませんが、だんだん増えていって、6カ月を超えて1年以内の方が43%と最も多いので す。おそらく、この中でも1年の方が多いのではないかと思います。なかなか8カ月契 約とか9カ月契約はいらっしゃらないと思いますので、おそらく1年契約がいちばん多 いのではないかと思われます。  3カ月を超えて6カ月以内も、おそらく6カ月契約の方がいちばん多いと思いますが、 6カ月から1年以内の方に次いで、3カ月を超えて6カ月以内の契約の方が多いという ことです。あと、1年から2年以内の方もいらっしゃいます。3年超の方が11.7%です が、若干ちょっと大きいかなと思われますが、このような分布になっております。  どれぐらい契約を更新しているかですが、その下の表です。調査をした時に、「更新し たことがある」とお答えになった労働者の方が約8割、79.3%いらっしゃいます。平均 更新回数が7.0回です。平均の勤続年数が5年で、おそらく契約期間が1年ないし6カ 月なのかなという感じがします。有期労働契約労働者の方の勤続年数等については以上 です。  続いて4頁です。これは前々回の部会の中で口頭で申し上げたものですが、平成12 年改正で失業等給付に係る弾力条項をどのように改正したかということです。改正内容 ということで、式をお示ししていますが、変更した点は、分母に係るところです。分母 が、以前は失業等給付に係る保険料額でしたが、これを機動的に、景気変動の影響をよ り的確に、かつ迅速にこの弾力条項に反映させるという観点から、失業等給付費を分母 にしています。  ということで、失業等給付費は非常に景気の変動を大きく受けます。雇用情勢が悪く なれば、失業等給付費はだんだん増えてきます。つまり、分母が大きくなります。そう なりますと、この式に当てはめますと、1を割る速度が速くなります。逆に、失業等給 付費は、雇用情勢がよくなると、だんだん減ってきます。そうしますと、2倍の水準を 超える速さは速くなる。このような式になります。  5頁ですが、これも以前一度口頭でご説明をしたことがあろうかと思いますが、三事 業の保険料率に係る弾力条項の発動期間です。弾力条項については、現行制度、ここに 書いてあるような式ですが、三事業に係る保険料額と雇用安定資金、三事業に係る保険 料額や三事業に要する費用ですが、収入から支出を引いているとお考えいただいても結 構かと思いますが、これを足し上げて、三事業に係る保険料額のどれぐらいの水準にな ったか、安定資金はどれぐらいの水準になっているかを計算しています。これが1.5倍 を超えると、保険料率を1,000分の0.5引き下げることになっています。  この規定ですが、これは労働保険徴収法第12条第7項に規定があります。この規定 を見ますと、いちばん下のほうですが、ただし書きが付いて、「保険料率がこの項の規定 により変更されている期間内については、この限りではない」ということが明記されて います。  これはどのような意味かと申しますと、弾力条項により変更されている年度の数値を 使ってこの計算式に当てはめられないということで、真ん中に例を出しておりますが、 例えばA年度を始点として、A年度、A+1年度、A+2年度いずれも弾力条項に係る 数値が超えているという場合であっても、A+2年度の数値については、これは使えな いということです。したがって、弾力条項で引き下げられる期間は連続2年までとなっ ています。現行では、このような規定があるということです。5頁については以上です。  6頁は、特例一時金に関する資料です。いままでいくつか特例一時金に関係する資料 をお出ししてきましたが、特例一時金について、平成18年度になって、地方公共団体 等から要望が厚生労働省にいくつか来ておりますので、ご紹介いたします。  パターンとしては2つで、一つが制度の存続を要望するもの、もう一つのパターンと しては、現行制度の維持を要望するものです。そういうことで、地方公共団体とか労使 の団体から寄せられています。特例一時金の資料については以上です。  7頁、8頁は、「失業等給付に要する費用の国庫負担の考え方について」です。これは、 だいぶ前になりますが、部会でご紹介をしたかと思いますが、コンメンタール該当部分 についてお示ししています。  繰り返しになりますが、ざっと申し上げますと、7頁の最初のところですが、「雇用保 険事業に要する費用の主たる財源については、被保険者及び事業主が負担する保険料で ある」と書いておりますが、「保険事故である失業については、政府の経済政策、雇用政 策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うべきであることから、単に労使双方の みの拠出に委ねることなく、国庫も失業等給付に要する費用の一部を負担することとし ている」という基本的な考え方によっています。  失業ではないものについてはどのように取り扱っているかと、例えば雇用継続給付に ついてどのような考え方かということですが、8頁の(ハ)の2行目に書いてあります が、雇用継続給付については、「雇用の継続が困難となる失業に準じた状態を保険事故と する保険給付である」と、失業保険事故とはしていませんが、失業に準じた状態、この まま放置しておくと識業になってしまうという状態を保険事故としています。  なぜ8分の1かということですが、これは、ここから飛んで第3パラグラフのところ ですが、「雇用継続給付の国庫負担率については、雇用継続給付の対象者が、完全な失業 状態でないこと等、失業者を支給対象とする求職者給付に比べ、国の責任の度合は相対 的に低い」ということがあり、4分の1の半分の8分の1としています。  以下、国庫負担がない給付について述べていますが、高年齢求職者給付金は、65歳以 上の方については、年金が支給されている関係から、国庫負担はしていません。また、 就職促進給付は、失業中の生活の保障を目的とした、いわゆる基本手当とは違って、い わば付加的に支給するものであるという観点から、以前から国庫負担はしていません。 さらに、教育訓練給付は、失業や失業に準ずる保険事故とは性格が違うという観点から、 保険料のみをもって賄うこととしています。国庫負担の考え方についての資料について は以上です。  続いて9頁です。これも前々回、失業等給付の収支状況について、もっと以前から示 してくれというご要望がありましたので、平成6年度からお示ししています。収支状況 とともに、保険料率、基本手当の国庫負担率についてお示ししています。なお、平成5 年度までは差引剰余が+でしたが、平成6年度からずっと−になっている状況をお示し しています。収支状況は以上です。  10頁は、昨日ご質問のあった事項です。雇用対策の関係予算が、雇用保険三事業以外 に一般会計でどれぐらいあるかということです。平成18年度の予算額で見てみますと、 実は一般会計の失業対策費というのは4,325億円あります。ただし、その中の大部分 3.947億円は、実は雇用保険の国庫負担額で、雇用保険の国庫負担額を除きます雇用対 策費は377億円です。  ちなみに、いちばん下に参考で、雇用保険三事業について記述していますが、雇用保 険三事業は4,167億円ですので、三事業の10分の1以下です。一般会計の中で最も予 算額が多いのがシルバー人材センターに対する援助費用で、140億円あります。以下、 職業転換対策事業、特定地域開発就労事業などがあります。「内訳」というのは、その他 の内訳ということで掲げさせていただいています。資料1については以上です。  資料2は、昨日のヒアリングの際に両先生から提出いただいた資料です。非常に簡単 ですが、もう一度、おさらいという意味でお話し申し上げます。まず、1枚目の岩村教 授の提出資料ですが、岩村先生のご意見で、特に国庫負担との関係でご紹介しますと、 まず、失業保険に国が財源を投入するかどうかというのは、国によって事情が異なると いうことです。さらに、失業保険に国の財源投入はない国の場合は、別途税財源による 失業扶助制度はあるということで、国際比較をする際には、両者を一体と見て比較する 必要があるであろうということです。  国庫負担を廃止すれば、仮にということで議論を展開されていますが、端的に言うと、 保険料率の引き上げが必要になるか、給付水準の切り下げが必要になるということです。 いずれにしても、失業者に深刻な影響を与えるということです。  さらに、国庫負担を廃止しても、失業状況が悪化した時に国庫負担を投入すればいい と、そういう仕組みを用意しておけばいいのではないか、という考え方は岩村先生の考 え方ではないということですが、こういう考え方がありますが、現実性に乏しいという ことをおっしゃっておられました。岩村先生の資料については以上です。  続いて、昨日ヒアリングしましたお2人目の先生の田近教授の資料です。ドイツの制 度とか、他の保険制度である地震保険とかを参考にされつつご議論を展開されていまし たが、雇用保険制度に対するご意見としては、田近教受の資料の6/7 頁です。1つ目が、 被用者の給与情報の捕捉、データベース化の必要性で、雇用保険制度の中で対応するか どうかはともかく、大きな問題点かなと思います。  国庫負担の関係ですと、国庫負担は廃止して、国は通常の保険では負えないリスクの 分担者となるべきだと、通常は国庫負担はしないと、通常を超えるものについてリスク を負うことにしてはどうかというようなご意見でした。貸出しをするか、再保険にする かというお考えでした。あとは地震保険の資料が付いています。  資料1、資料2の説明は以上です。よろしくお願いいたします。 ○諏訪部会長 ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見がありましたらご 自由にお出しください。 ○輪島委員 資料1の4頁の平成12年改正ですが、こういう改正だったということな のでしょうが、三事業に係る給付費にしようという議論がなかったのですか。それで、 どうして変えなかったのかというのと、2つ目は、5頁目に係る話ですが、もし仮に今 度のところで、弾力条項の規定について検討することになった時に、本体給付と同じよ うな算式でした時に、どうなるのですか。3つ目は、5頁目ですが、「2年を跨がない、 この限りではない」というのは、最後にひょっと入っていて、こういうふうになってい るのだろうなというのは分かりますが、状況が許すのであれば、弾力条項がさらにかか って、3年、A+2年度以降についても、下がるような仕組みを担保する必要があるの ではないかと思うのです。計3点お願いします。 ○宮川雇用保険課長 3点目はご意見ですので、1点目と2点目を中心にお答えさせて いただきます。三事業から、まずご説明させていただきますと、この三事業は、当時、 失業給付の額に注目するという形で、参考にございますように、平成11年12月10日 の『雇用保険部会報告書』の中にも、「今後予想される失業水準を前提にしつつ、それを 超える事態が生じても機動的な対応が可能になるよう」ということで、おそらく、この 時に頭の中で考えたのは、当時、平成12年改正ですから、平成11年段階ですので、か なり厳しい状況に陥っていた失業等給付のほうを中心に考えて、こういう考え方になっ たという意味で、こちらのほうだけやったということです。  では、三事業はどういう形になるかということを、いまの時点で併せて考えてみれば、 三事業の場合、いわゆる雇用政策的な支出の部分で、ある意味、支出的にはコントロー ルできる部分もあるし、結果として助成金がこれだけ出ましたという意味で、やっぱり 失業状態の影響を受けるという意味もあります。  両者相俟っての意味ですので、この場合、ここを「失業等給付の係る保険料額」を「失 業等給付」に変えたがごとく、「三事業に係る保険料額」を「三事業に係る支出」に変え るかどうかというのは、一つの政策判断としてはあり得るのかもしれませんが、ただ、 一方で、先ほど申しましたように、どちらかと言うと、雇用政策の支出という性格も併 せ持つとした場合に、どちらがよろしいのかというのは、一つの議論ではなかろうかな と思います。  当時考えていたのは、あくまでも、やはり失業等給付費はかなり厳しい状況であった と、下がる時には機動的に上げられるようにし、上がった時には機動的に下げられるよ うにしようという際の考え方ではなかったのではないかと思います。  最後は意見でしたが、なぜそういうふうにしたかと申しますと、一応、その現行制度 を、三事業に係る保険料額を分母にもってきた場合に、A+2年度の場合の保険料額が 下がった時の保険料額になってしまうという技術的な問題も含めて、ある程度連続2年 の形のものまではできるけれどもという制度的な内容を併せて考えたのではないかなと 思います。  現実に、過去、この料率は具体的にこの弾力条項が発動されて、下がったケースはあ りますが、戻すことが現実、具体的にありまして、その際にはその旨、制度的な内容を、 当時の中職審雇用保険部会の席上で説明していた、と記録が残っています。以上です。 ○原川委員 いまの説明ですが、別にそれに異議を唱えるつもりは全くありませんが、 私の感想と言いますか、聞いていただきたいのですが、おそらくこの時、いま課長がお っしゃったように失業等給付の額に注目したのは、失業等給付がかなり増えつつある状 況で、むしろ、引き上げるほうの弾力条項を早く実施できるようにという考え方があっ たのではないかという気がするのです。  この三事業は、どちらかと言うと、引下げをなるべく抑えるということで、この保険 料を分母にしたという当時の状況としては、そのようなことが、私としては考えられる のですが、それはどうなのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 いま原川委員がおっしゃいましたように、この部分については、 この参考の部会報告書がまとめられている「今後予想される失業水準を前提にしつつ」 という文言が、まさにこれから給付が増えていく状況であると、今後、そのレベルはあ る程度続くであろうということを考えた場合に、「機動的に対応が可能となる」という文 言の、その時点での意味するところは、いまおっしゃられたとおり、「機動的に引き上げ ることが可能となるよう」という意味ですが、この制度的な仕組みを取り入れることに よって、逆に、給付が減った場合には、機動的に下げられる可能性があります。まさに、 今回はそのケースで、この部会での平成11年での考え方は、いずれの場合にしても、 機動的に対応できるようにしたほうがいいのではないか、という最終的な結論だったの ではないかと思っています。  しかし、考えた時の経緯と言いますか、そういうのは、いまおっしゃられたとおりで はなかろうかなと推察されます。 ○諏訪部会長 中島委員、どうぞ。 ○中島委員 別の観点なのですが、特例一時金について確認したいのですが、2つあり ます。1つは、地方公共団体等の要望についてと挙がってきていますが、これは具体的 には地方公共団体などというのはどこなのかというお尋ねです。もう1つは、まさに格 差とか何か言われていますが、業種や規模など同じ業種でもあるいは同じ規模でも、景 気の良い企業と悪い企業が出てくる時代の中で、地方も現実に非常に失業率が多い所と そうでない所というような差が出てきています。いろいろな意味で、日本全国一律に失 業率や雇用情勢を簡単に考えられないような時代になりつつある中で、もしかしたらそ の地域の格差が大変な所とそうでない所でいろいろな政策に差をつけるようなこともし ていかなければいけないのではないかなという気がします。商工会議所は、実は地方団 体なものですから、そういう声があちらこちらから出てきてはいるのですが、現実にい まこの雇用保険の関係で確か失業率の高いところについては、それなりの手厚い助成制 度のようなことを行っているケースがあると思いますが、失業給付についてそういうこ とが考えられる可能性はあるのかどうか。これは、もちろん必要なら議論していただく 必要があると思いますが、そういうことについて議論されたことはあるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 説明させていただきます。まず特例一時金の関係ですが、これは 北海道のいろいろな地方自治体の議会なり市町村の団体などという名義で、厚生労働省 宛てに出てきたものです。具体的な名前は差し控えさせていただきますが、市町村、議 会、あるいは連合団体のような所からきているものの中から選ばせていただきました。  もう1つの、地方との関係でどのような発想でいま雇用対策なり雇用保険の考え方が できているかですが、実は雇用保険そのものについて申し上げますと、地方によって差 があり得るというのは、雇用保険制度にも制度があります。例えば、給付日数の特例の 中には広域延長給付というものがあります。例えば、厚生労働大臣が指定した地域にお いて、広域の職業紹介が必要だ、もうその地域の中では無理だと、だから広域で範囲を 広げて職業紹介を行うという斡旋をする場合に、給付を延長することができるという仕 組みがあります。やはり、地域でのバランス、格差があり得るということが前提です。 ですからこそ、まさに日本全国をカバーしている雇用保険制度という形の中でやらせて いただいているのではなかろうかと思います。また、雇用対策という意味でも雇用保険 三事業の事業の中には、ある程度いまの地域法を基に地域に重点をおいた施策を行って いますし、いま基本問題部会で議論いただいている地域法を含めたさまざまな施策の中 で、今後どうしていくかということを議論させていただいているところです。やはり、 ある程度地域格差がある中で、その格差を前提とした中でどこにそういう地域に重点を おくべきなのかというのは、1つの大きな国全体として雇用保険を行っている意味での 1つのポイントとして十分考えるべきものだと思っています。 ○諏訪部会長 ほかにいかがですか。 ○長谷川委員 短時間労働者と一般労働者の被保険者資格の見直しがあるのですが、被 保険資格6カ月〜1年というのが前も述べられたと思うのですが、それを行った場合に どのようなことが起きてくるのか。例えば、おそらくそのことによって困る人が出てく るだろうと思うのですが、それはどういうところで起きてくるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 仮に前々回のときに出させていただいた資料などにある、いま短 時間が12カ月、一般が6カ月となっているものを、特定受給資格者、いわゆる解雇、 倒産等の場合には6カ月、それ以外の場合には12カ月とした場合には、いままで短時 間労働者の場合には解雇、倒産等の場合でも12カ月なければ対象にならなかったもの が、6カ月でも対象になるというところがあります。一方で、自己都合や期間満了とい うような形の方で、いままでなら6カ月で自己都合で辞めた方が対象になったものが、 12カ月なければ対象にならないということになります。 ○長谷川委員 問題が出てくるのはそこだけですか。あとは、どこでも出てこないので すか。 ○宮川雇用保険課長 そこだけだと思いますね。行って来いの話になるわけですね。つ まり、要は短時間の方にとっては有利になるし、一般の方にとってはいままでよりも不 利な部分はあるということです。自己都合や期間満了ということであれば。 ○輪島委員 制度はわかるのですが、財政的にはどうなのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 いま申し上げたように短時間のところは当然給付は増える、自己 都合のところは当然給付は減るということです。その自己都合の中身が分析がなかなか 難しいので、どのぐらい出入りがあるのかという正確なところはわかりませんが、減る かもしれません。先ほど申しましたように、短時間労働者のところは増えますので、そ ういう意味で行って来いの話になってきて、それが平均的になるかどうかはちょっとわ かりません。いまは、まだ短時間労働者の数はそれほどで、数的には短時間労働者のほ うが少ないですから、そこのところはそうだと思います。 ○輪島委員 支出増の要因のほうが大きいのではないかと。 ○宮川雇用保険課長 おそらく、支出増よりは減のほうが要因としては大きいのではな いかと。自己都合の方はその部分だけ出なくなりますが、6カ月〜1年の間で自己都合 で辞められた方ですね。 ○輪島委員 行って来いでいくと、財政的には資出が少なくなっていくと見ているので しょうか。 ○宮川雇用保険課長 増えることはいまのところはないと思います。ですから、特に雇 用失業情勢が悪くなれば、それは別ですね。例えば、解雇、倒産が増えれば当然その部 分はなりますし、解雇、倒産が少なくなればその部分だけ減りますので。 ○長谷川委員 こういう制度改正をするときは、必ずどこかに穴があると思っているの ですが、そこで困る人がどういう所の人たちがどのように困るのかというのが、なかな か想像できないのですね。 ○宮川雇用保険課長 そこのところでもう少し敷衍させていただきますと、先ほど申し ましたように自己都合、ある意味ここは政策判断なのですが、自分で辞められる方はあ る程度それは、しかも働いて僅か6カ月で辞められる方についての扱いをどうするかと いうのはさておき、期間満了の方の扱いの中で、例えばそこのところで一応期間雇用と いう形で雇われたけれども、我々の世界に入ってきて当然それは1年以上の雇用見込み ありという形でおそらく入る形になります。そうすると、そのような方々はもともと1 年以上の雇用見込みが労使双方にあったにもかかわらず、何らかの事情で本人からの希 望ではなく期間満了という形で、事業主側のある意味の都合で辞められた方についての ところの部分は、これは運用上事業主都合と同じような扱いをすべきではなかろうかと いう扱いは必要かもしれません。ただ、そこのところはそういう扱いで対応できるので はなかろうかなと思っていますが、それ以外の部分については一種の政策判断プラスこ れを統一するということついての判断ということです。 ○古川委員 私は、短時間労働と資格期間の話で、自己都合退職を12カ月にするとい うのは、ちょっと基本的に反対なのです。倒産、解雇の場合で、いろいろ要件がありま したね。こういう場合は特定受給資格者になると。ただ現実を見ると、自己都合退職を した人でも会社で嫌がらせを受けて嫌になって、何であなた特定受給資格者にしてもら わなかったのと、もう会社とそういう話をするのすら嫌だという人もいるわけなんです ね。ですから、あまり簡単に自己都合ということで、6カ月を12カ月にするというの もいかがなものかと私は思います。 ○宮川雇用保険課長 それとですね、おそらくその方がそういうことをおやりにならな かった1つの理由としては、いずれにしても給付が出るということが理由になるのだろ うと思います。いまは、6カ月経てば自己都合でも出るという意味も含めてですね。た だ、その中には会社都合として、やはりきちんと整理すべきだったものが本来はあるべ きなのではないかと。今回これを改正することによって、そこの部分については明確に 会社都合であることは会社都合であるということを主張していただくほうが、私どもと しては適切なのではないかと思っています。そういう意味で、給付面での対応はできる のではないかと思っています。 ○古川委員 しかし、なかなかそういうものはできない。 ○宮川雇用保険課長 そんなこともないと思いますよ。多分、現場のハローワークでは 私は会社の都合で辞めさせられましたという主張をされる方は、もう大勢おられますの で。それは全然違うと、書類にそう書いてあるかもしれないけれども、私はそんなもの は納得しないという方はかなりおられます。労働者の方は、そんな甘いものではないと 思います。特に、出る出ないという話になれば、確実にそうなると思います。 ○三木委員 確かにそういう意味では、この前の話でも特定受給者にするのかという問 題は、状況を判断しながらというような意味合いの話がありました。確かに、現実的に そう言われる方でも、実際にそれが本当に適用になるかどうかという問題は、また別問 題だと思うんですね。やはり、争うことになると、長期間争うことも想定されるので、 なかなかそこに踏み切ろうとしないという状況も現実的にはあるということです。やは り、自発的なのかそうでないのかという区別は極めてできにくい状況があると思います。 そのことを含めて考えると、果たしてこれで分けていいのかという疑問はあります。 ○宮川雇用保険課長 いまのことに対する答えではないのですが、作日の田近先生の資 料の中にもありましたように、例えばドイツでもいま12カ月になっているように、や はりある程度雇用保険の受給資格に関する判断要件というのは、1年程度は必要なので はないかということが考えられるところです。いまは、確かに6カ月という形でやって いますが、雇用保険制度としてどの程度のものが適切なのか、それで今回によって不利 になる方々についてどの程度までカバーすべきなのかどうかという観点から、議論いた だければと考えています。 ○長谷川委員 いまの課長の言い方でも、昨日の田近さんの意見でも、保険制度だとい うことを厳密に言えば、保険に加入してもし事故が起きたら支払いはするわけです。例 えば、もし短かい期間中に何か事故があったときは、それが故意にやったものかどうか という調査が入ります。ですから、昨日の田近さんの話は、整理するのが大変だったの ですが、雇用保険は純粋な生命保険や損害保険とはまた違う性格をもっているというこ となのかなと思うと違う話だったりして、それは少し違うのではないかなと思います。 私は、やはりこういう制度改正のときはすごく慎重になるのは、必ず不幸な人が出てく るのではないかということなのです。不正に何かやっているということではなくて、も しかしたらどこかでこのことによって何か不幸な人が起きてきて、困る人が出てくるの ではないかと。なぜならば、雇用保険というのはやはりセーフティーネットだと言われ ているわけですから、やはり困っている人の所にきちんと手当てがいくべきだと思って います。期間の定めのない正規社員のためだけのものではないわけで、雇用就労形態の 多様化というのなら、それに相応しいさまざまな制度を見直すべきだと思います。今回 のように、短時間労働者と一般保険の一本化は、本当に大丈夫なのかなという不安があ りますので、そこはきちんといくつかのパターンで大丈夫ですということでないと、労 働する側の人たちはなかなか納得できないのかなと。やはり、制度改正のときはすごく 疑心暗鬼ですから、絶対穴があると思ってしまうのです。私は、もう何か穴があるので はないか、何か漏れる人がいるのではないかと。そこは絶対ないといえればいいのです が、どうもちょっと怪しげだなと思っています。 ○宮川雇用保険課長 ちょっと口答で言うと話が錯綜しますので、また次回にでもパタ ーン分けした形でどこが落ちてどこが救われて、この落ちた部分についてはこういう対 応でできるというような一応素案のようなものをお出ししたいと思います。 ○栗田委員 先ほどの資料の2頁などで、有期契約での勤続年数の中で、6カ月〜1年 未満の契約の方も、直近では17%あると。6カ月で1年の継続を見越したのだけれども 契約上は6カ月だとする場合に、その方がたまたま解雇ではないのですが契約を破棄さ れたと。その方は、実際には特定受給には要件としてはならないのかなるのかというこ とを、少し確認したいのですが。 ○宮川雇用保険課長 そこも含めて、先ほど申しましたようにこの雇用保険に入るため には、基本的には1年以上の雇用見込みがあるべき性格の中で、本人は更新を望んだに もかかわらず更新されなかった、いわゆる6カ月から1年以内に雇い止めされた方々を どう救うかというのが1つのポイントだと思います。その部分も併せて少し整理させて いただきたいと思います。 ○栗田委員 そこは、救われるような配慮をするような制度として考えるということで いいのですか。 ○宮川雇用保険課長 その方向で、一応検討させていただきます。 ○諏訪部会長 ほかにいかがですか。 ○輪島委員 資料1のいちばん最後で、昨日資料をお願いして早速ご用意いただいてあ りがとうございます。どのように見るのかというのは、いちばん上の雇用関係予算が 4,325億あって、それ以外に三事業が4,167億ありますと。これは、1対1の関係です。 しかし、一般会計の中で見るとそのほとんどの3,947億は国庫負担で、これは失業等給 付の実額に充当されているので、いわゆる雇用対策としてのものは377億円です。いわ ゆる事業にかかっているものは377億対4,167億だと理解をする、1対10というよう に理解をするということですね。 ○宮川雇用保険課長 数値的な説明としては、4,325億円の一般会計の予算の中で、 3,947億円の雇用保険国庫負担金とそれを除く377億円の雇用対策でございます。一方、 雇用保険三事業ですが、4,167億円ですが、その中にはさまざまな助成金等も含めて入 っていますので、いわゆる事業という形のもの、例えば現在の雇用対策の中身はトライ アル雇用助成金を除けばいわゆる事業的なものが主です。雇用保険三事業の中には、い わゆる助成金として事業主の方にお支払いする助成金が相当程度入っているということ はご理解いただいたうえで、そういう意味でこの数字であるということです。それから、 雇用保険国庫負担金についても3,947億円はこれは予算上の数字です。最終的には、翌々 年度、実額で調整するという形です。 ○輪島委員 どうしてこういう構造になっているかということで、一般会計で雇用対策 が行われていないと読むのか、何というか厚生労働省として財務省に予算要求をしてい るけれども、多分いろいろ聞くとなかなか財務省のガードが固くて、雇用対策に割けな いというようなこともあるのではないかと思います。それが本当にどうなのかというこ とと、昨日の最後のところで例えば国庫負担金の3,947億円がどうなるかで、それがな いと言ったときに労使はどう思うのか。使用者側が少なくとも、そのものが一般会計に 戻って雇用対策に回っていくということが担保されているのであれば、また議論は別な のかもしれませんが、どうもそれはプライマリーバランスの関係でなくなっていくとい うようなことになると、これはいかがなものかなと思わざるを得ません。  それから、資料2の昨日の田近先生のところの3の4のところで、ここもよくわから ないので解説をしていただきたいと思います。3/7の下のところから雇用保険の本体業 務である失業等給付以外の三事業は別立てとなっているけれども、4/7でいう、そのサ ービスは失業者に限定されることなく被用者全体に行き渡るべきとの答えであったと。 我が国では、三事業の保険料は全額雇用主負担とされ使途も限定されている。しかし、 我が国でも雇用保険が雇用促進を目的の1つとするのであれば、雇用促進事業を目的税 によって運営しなければならないという特段の理由はない、というところで、前段とは 少し意味合いが違うかもしれませんが、国の雇用対策全体をどのように考えていくのか、 その中で三事業はどのようになっていくのかという仕切りを少し議論する必要があるの ではないかと。先生のご指摘の点についていえば、そうだろうなとは思うわけですが、 その点をどのように整理をしていくのかということを。 ○宮川雇用保険課長 ここは田近先生の所論ですので、田近先生はこう言っているので はなかろうかという解説をさせていただきます。ドイツの制度は日本の制度とよく似て います。正直に申し上げまして、日本の制度はドイツの制度を見習った部分があります。 ただ、ドイツの場合、いわゆる雇用保険三事業に相当するような政策の部分について、 日本のような形で事業主からその部分を取るではなくて、一体としての雇用保険料から 取っている形になっている現実を踏まえますと、田近先生の所論は私も少し読みにくい というか、どちらに触れているのかよくわからないところはあります。ただ、使途の限 定、事業主からいただくという性格、先生は昨日何度もおっしゃられたように、先生自 身はこういうものは目的税としての性格として捉えられるべきものだと、多分経済学的 にはそうだろうという意味で、目的税によって運営するということ。目的税化すること によって、その使途が非弾力的になっているのは浪費が生じるのではないかというのは、 これは三事業のみならずほかのいろいろな特別会計改革を通じて批判されるときの一定 の批判である。ただし、目的税そのものを先生は否定しているわけではなかったのでは なかろうかなと。目的税としてもらったものについての使途を明確にするなり、あるい は範囲を限定するなりのフォローは必要だけれども、目的税そのものについての批判で はなかったのではないかと私自身はそのように捉えたのですが。逆に言えば、先生は失 業給付と雇用関連事業を仕切ることは必要であっても、資金源を別個に割り当てること については、再検討が必要だろうと。つまり、ドイツ型のように一体として雇用保険料 を取るという考え方もあるのではないかという意味ではないかと推察します。 ○輪島委員 ということは、失業等給付の会計と三事業会計を分けなくてもいいのでは ないかとも読めるわけですよ。 ○宮川雇用保険課長 仕切ることは必要だろうと書いてありますね。何らかの支出面で の仕切りは必要だけれども、歳入面としても保険料として取ってくるときに、これを別 個に割り当てるべきなのかどうかということではないかなと想像されます。先生の考え 方ですが。 ○輪島委員 あまり理解しがたいですね。 ○中島委員 関連して、要するに保険料とは言っているけれども、みんな税金なんだよ と。賃金税という表現を使っていましたよね。ですから、名目的に一般会計が377億円 しか出してない、雇用保険三事業で4,000億使っている、だからどうというのではなく て、いずれもこれは税金と同じなんだから、足してみて全体で雇用対策をどのぐらいや っている話ではないですかということで、その中で雇用保険三事業という限定をして目 的税化して、事業主を対象としてやっている事業はおかしいのではないか。つまり、雇 用保険三事業という区分をしてもいいけれども、その財源は労使折半で取って、とりあ えず税金と一緒ですよね、あるいは失業給付と一緒ですよね、というふうにして、ドイ ツはそのような形でやっていますが、そのようにするのが本来の姿じゃないかと言われ たのではないかと私は聞きまして、そうだなと思いました。 ○長谷川委員 それは中島委員だけで、私は要するに入り口の徴収の仕方は一括して徴 収しましょうということなので、徴収したらそれを分けることは否定してないので、や はり雇用保険は雇用保険で、ただその雇用保険で使うものと雇用対策に使うものを分け ることに対しては話の中でも否定はしてなかったのだと思うんですね。区分経理だとは 思うのですが、そこをきちんとやりましょうという話だと思います。そこはいろいろな 意見があるわけで、そうだとすると例えばドイツの制度はドイツの中を少しだけ聴取し てきたわけで、では例えば倒産時の労働債権などはドイツはやはり保険制度でやってい るわけで、制度がいろいろ違うわけだからどこか学ぶところは学んだとしても、どのよ うに当てはめていくのかというのはいろいろ意見があるのだろうと思います。聞き方に よって違いますよ。私は、田近先生のここは聞いてもいいかな、こっちは聞かなくてい いかなと思って聞いていましたから。なかなか人の話は難しいなと思っていました。  もう1つ、私はおそらく田近先生はいろいろなところで雇用保険だけではなくて、介 護、医療、年金、どこでも登場しているみたいですが、国庫負担のことを結構いろいろ なところで言っていらっしゃいます。今回の審議会の議論は、国庫負担を見直した場合 に何が起きてきてどういったことが対応しなければいけないか、そこの議論は私は必要 なのではないかと思っています。そういう意味で、平常時は国庫負担をやめておいて、 非常時にはたっぷり出せと言っていましたから、たっぷり出すぐらい国に金があるのか、 だったらいまのような議論はないわけです。しかし、そのような議論が行われていると きに、雇用保険の国庫負担を見直したりすると、本当にいま持っている制度としてのセ ーフティーネットとしての雇用保険が、きちんと弱者のところに行き渡るかどうかなん ですね。雇用保険というのは、強い人は要らないんだから、働いていて賃金得ている人 は必要ないわけで、未だに私は経験したことがない失業のときに、雇用保険は登場して くるわけです。そのときの失業者の人たちはどういう状況にあるのか、それに対してセ ーフティーネットとして雇用保険がどのような役割を果すのか、それと給付と負担の在 り方についてどうなのか。  私は長い日本の中での歴史があって、それなりの日本の労使がいろいろ考えながら作 ってきた制度ですし、何回か見直しも随分してきて、労側からしたらやはり雇用保険は 給付のところは削減されたという思いは強いんですね。特に、前回の改正の中では給付 が非常に限定されてきましたし、労働者にとってはやはり痛かったという思いが強いの です。もし、今回の見直しで国庫負担の動きの中で給付に対する何らかの見直しがある とすれば、労働者がとてもではないけれどもこのまま黙っているわけにはいかない、と いうのを私はきちんと言っておきたいと思います。 ○諏訪部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○原川委員 意見でもいいですか。 ○諏訪部会長 はい、どうぞ。 ○原川委員 国庫負担について申し上げたいのです。資料1の7頁の「コンメンタール」 にも書いてありますが、最初の2行目ぐらいから「保険事故である失業については、政 府の経済政策、雇用政策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うべきであること から」とあります。思い起こしますと、平成14年、15年の保険財政が破綻するという 危機に遭ったときに、我々が保険料を上げる議論に際して、雇用対策、景気対策をきち っとしてくれということを再三国に、中島委員も言いましたし、私もこういう場で言っ たと思います。いま、そういうことも思い出したわけですが、やはり国として何をなす べきかということを考えるならば、国と使用者と労働者、それぞれの役割分担において、 こういう保険制度が成り立っている。基本は、労使の負担の出し合いによって保険制度 を運営するということであるかと思います。しかし結局、雇用情勢、失業情勢が悪化す るというようなときは、当然国にも責任はあるわけですから、現在の三者の負担は、こ ういう枠組みは壊すべきではないと、維持すべきであると考えます。  先ほど輪島委員がおっしゃったように、今日提出していただいた資料1を見ますと、 率直な感想としては、総合経済対策が講じられていた時期は別として、平時はどうも雇 用保険三事業に雇用対策を依存していると思われるといいますか、そのようになってい るのではないかと見てとれるわけですね。そういうことも含めて考えますと、現在、国 が少ない額ですが4,000億円負担しているのは当然のことであって、積立金が少し楽に なったから、こういう枠組みを変えるべきだということにはならないと考えます。それ に、国の財政難という事情は事情として、我々労使にも事情があると。その事情という のは、やはり平成14年、15年で財政破綻の危機を迎えたときに、制度を維持するとい うことで保険料を引き上げたわけですから、そのときの予想失業率は6%の半ばと想定 して、1000分の16という、いまの保険料率になったわけです。そのように考えますと、 まず景気が回復して、ある程度財政が元へ戻ってきたということであれば、まず最初に 労使の保険料を引き下げるべきだと考えますし、また、労使が負担を出し合って保険制 度を維持していることが基本であるならば、上がるときもあれば、下がるときも当然あ るべきであって、そういったことは、保険制度の持続という観点からもきちっとやるこ とが非常に大切だと考えます。以上です。 ○諏訪部会長 輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員 原川委員がおっしゃったとおりだろうと、私どももそう思います。  1つ前の議論ですが、私どもの理解は、雇用保険という仕組みは、徴収法によって徴 収されていて、まず徴収勘定に入って、徴収勘定から雇用勘定と労災勘定に分かれてい って、そこに国庫負担が深く入っていると理解していて、そういう意味では、きちんと 法律に基づいて、または、昨日のドイツの話もそうでしょうけど、一回そういう勘定に 納まって、そこからそれぞれに分かれていく。雇用勘定の中で言えば、雇用保険三事業 も、ある意味では、事業主の中で内転するといいますか、事業主に対するものという意 味からすれば、そこは目的税化しているのとほとんど同じではないかとも思いますし、 特に三事業の中で言うと、例えば特会金であるとか、雇調金であるようなものも含めて、 事業主への直接還元分も半分程度あるわけですから、整理としては、現状でもそうなっ ているのだろうと理解しています。  それからもう1点は、議論してもあれですから、少しシュミレーションのようなもの をする必要があるのではないかと思います。失業率が高くなるということもあるでしょ うし、昨日は非常に楽観視しているようなご発言でしたけど、そうではないだろうとも 思うので、これから失業率が上がったときの、平成17年度会計はしまったわけで、そ れ以降、1000分の14になったり、1000分の3.5になったりという所を踏まえて、どう なるのか、少しシュミレートする必要があるのではないかと思います。 ○宮川雇用保険課長 最後に、輪島委員からのお話にありました、一種の財政的なシュ ミレーションですね。給付が増えた場合、例えば料率をある程度下げたときに、あるい は、国庫負担が高じたときにどうなるかという一種のシュミレーションのようなものは、 工夫をした上で、次回にでも出させていただきたいと思います。 ○諏訪部会長 いろいろ議論をしていただきました。これからまだ続くのですが、こう いう議論をし始めますと、何となく前回の見直し時の議論とか、その前の見直し時の議 論とか、過去の見直し論をいろいろと思い出します。非常に単純に三方一両損的に、労 使と国が給付の3分の1ずつという、この基本の元々の始まりから、様々な経過で縮ん だり膨らんだりしながら来て、いままた国庫負担の在り方を考える。原川委員、輪島委 員もおっしゃったように、あるいは、労側もまったく同じ意見だと思いますが、国庫負 担が絡まないという形、それがまるで消えてしまうということには、この審議会の場で は誰も賛成していない。ただ、状況の中で制度全体を円滑に進めつつ、かつ諸般の事情 にも配慮をしながら進めるときに、いったいどうしていったらいいかということです。 ここはなかなか理屈で割り切れないだけに、ここしばらくは状況を見ながら議論を続け ざるを得ないだろうと思います。  しかし、今日も資料を出していただきましたが、それとは別に、国の、こういう雇用 対策、あるいは、もう少し広く、雇用政策全般の責任、財源としては基本的に一般会計 が考えられるわけですが、それがこれまで、どうも必ずしも十分ではなかったのではな いかという、これも皆さんに共通する思いが、国庫負担の削減ということが出てくると、 我々の気持としては当然出てきます。  この関係予算の図、大変見やすく表を作っていただいたのですが、見ていて気が付い たのは、雇用対策関係と作ってくださったので、非常にわかりやすいのですが、実は三 事業の中には、能力開発事業とか、それから、福祉事業も入っているのですね。それで、 第27回のときに配られたものを、10頁目のそれと比べてみますと、実は、雇用安定事 業だけなら1,800億円ぐらいが今年の予算で、福祉の中にもいろいろ紛れ込んでいるの で簡単に言えないですし、また、国庫負担の中にも能力開発支援などが入っているので 難しいのです。実は議論をするためには、もう少し広く、三事業がカバーしている部分 に対応するような雇用政策の支出、ある程度可能な限り、急ぐわけではありませんが、 議論をはっきりさせるためにはもう少し、雇用対策に限定しない形で資料をご用意して いただければと思います。ただし、雇用政策という言葉は、いわば構学的な議論、つま り、構学というのは我々研究者が何か言うときの分類ラベルの貼り方ですが、広く見ま すと、雇用政策の中には公共事業のある部分などもそこへ入ってくるわけで、しかも雇 用政策の純粋の部分はなかなか切り出せません。賃金に回った部分のある一定の額がそ れだと、見ようと思えば見えると思いますが、そんなものをみんなが納得する形で切り 出すことはできません。限界があるとは言え、労使と国の三者が、三方一両損ではない けど、それぞれ負担をしながら、全体として、よりよい雇用のセーフティーネットとし て雇用保険制度を運営していく、あるいは設計していくという問題に議論がうまく進む ように、資料などの点でさらにいろいろとお願いできればと思います。 ○宮川雇用保険課長 いま部会長からお話のあった資料につきましては、狭義の意味で の能開施策と、それから、職業安定、雇用安定対策とがわかる三事業の資料も含めて、 少し準備したいと思います。 ○諏訪部会長 お仕事を増やしますが、どうぞよろしくお願いいたします。  もしよろしければ、もう1点、今日の議題がございます。そちらに移らせていただこ うと思いますが、他に。はい、どうぞ。 ○栗田委員 9頁で、過去の部分も含めて、収支の状況を出していただいて、ありがと うございました。それで、記憶が大分薄くなってきているわけです。先ほども国庫負担 の考え方ということで非常に重要で、4分の1という原則では、これを維持していただ きたいという思いがあります。国庫負担の基本手当の部分で平成6年度、あるいは平成 10年度、それぞれ、12年改正で国庫負担が25%になったわけですが、ここの、25%× 8割、さらにはそれの7割、というような議論の経過の記憶が薄くなっていますので、 少し整理する意味でもご説明していただければ有難いです。 ○宮川雇用保険課長 資料といたしましては、手持ちのファイルの中で第24回の所の 資料3の2頁をご覧いただきたいと思います。国庫負担率の大きな改正は3回ございま すが、そのうち、いまお話の平成4年、5年にかけてのものと、平成10年にかけての ものについてご説明させていただきます。  平成4年から5年にかけて事実上20%になったわけですが、この説明といたしまして は、当時の失業等給付に係る収支状況、「平成2年度末決算における積立金規模が徴収保 険料額の2倍を上回るに至るなど、黒字基調を推移しており、単年度収支の大幅黒字が 続き、積立金がさらに上積みされる情勢にあった」。これは雇用保険財政状況の説明です。 「このため、失業等給付に係る雇用保険率を1000分の11から1000分の3引き下げる とともに、国庫負担率を改正前の負担率の80%相当額に引き下げることとした。ただし、 平成4年度については、1000分の11から1000分の10とすることに伴い、従前の90% を負担率とした」。ちょっと説明が省かれていますが、これは当分の間の措置として行わ れた、法律的にも「当分の間」と、明確に書いてあります。それから平成10年度に、 さらにそれに7割をかけて14%になったわけです。このときの説明ですが、我が国の財 政が危機的状況を強める中、あらゆる分野で歳出の改革と縮減を図ることを求められ、 雇用保険制度についても健全な運営に支障を及ぼさない範囲において、失業等給付に係 る国庫負担の在り方を見直すべき状況となった。こうした中で、1、積立金の状況から、 国庫負担を引き下げることとしても、雇用保険制度の安定的運営にただちに影響を及ぼ す状況にはないこと。2、財政構造改革の推進に関する特別措置法、その当時こういう 法律ができているわけで、平成10年度以降の社会保障関係費の当初予算額について、 対前年度増加額をできるだけ抑制することとされたことなどを踏まえ、国庫負担額につ いては、当分の間従前の負担額の7割相当額とすることとした。ということで、平成4 年から5年にかけて、当分の間8割にする、さらに、平成10年度において従前の負担 額を7割にする、7×8=56、44%引きという形になっている、こういう経緯です。以 上です。 ○諏訪部会長 よろしいですか。その頃のすったもんだの議論を思い出します。この議 論は、今日はここまでにしておいて、またこれからもさらに深めていただきたいと考え ます。  続きまして、資料3がお手元に配付されております。これのご説明をお願いしたいと 思います。 ○田中雇用保険課課長補佐 それでは、資料3に基づきまして、船員保険制度の統合に 係る検討状況について、ご報告を申し上げます。まず1頁、船員保険ですが、これは名 前のとおり、船員の方々のための保険制度です。どういったことを対象にしているかで すが、1頁の真ん中あたりに「保険給付」という所がございます。疾病保険給付、失業 保険給付、それから、災害補償保険給付と、3種類あります。簡単に申し上げると、一 般の労働者の方の保険制度でいきますと、健康保険と雇用保険と労災保険、これが一体 化している保険制度でして、いわば船員の方々のための総合的な社会保険制度です。ち なみに、所管しているのは我が省ではありますが、所管部局としては、いま社会保険庁 が所管しています。  2頁目では、これはざっとですが、どういう給付があるかということで書いておりま す。失業給付部門というのが、雇用保険でいけば失業等給付に当たるわけですが、ご覧 いただくとあまり違いはありません。ほぼ同じ給付は出ていまして、若干細かく書いて ありますが、雇用保険制度の給付とあまり違いはない、種類としては変わらないという ことです。なお、ここには載っておりませんが、実は付帯事業として、福祉事業と呼ば れている事業をやっております。この福祉事業は、一般制度でいきますと雇用保険三事 業であったり、あるいは労働福祉事業であったり、それから健康保険制度でやっている 付帯事業、こういったものが合わさりまして、福祉事業という形で付帯事業を展開して います。  この船員保険制度ですが、雇用保険と同様、特別会計改革の中で改革をすることが定 まっています。3頁では、昨年12月24日の閣議決定ですが、「行政改革の重要方針」、 この中で、船員保険特別会計については、今後1年程度の間、平成18年度かと思いま すが、制度見直しの詳細について検討した上で、平成22年度を目途に船員保険事業の うち健康保険制度に相当する部分は、社会保険庁改革にともない発足する新たな公法人 等に移管する。そして、労災保険制度及び雇用保険制度に相当する部分は、労働保険特 別会計のそれぞれの制度に統合する。いわばそれぞれの制度に分割することが定まりま して、その旨が行政改革推進法の中に明記されて成立している状況です。したがいまし て、いま議論されている中で当部会に関係がある所は、船員保険の失業部門を雇用保険 制度に統合するという所です。  4頁では、船員保険制度の在り方については、先ほど申し上げましたが、所管をして いる社会保険庁の中で検討をしてきたわけです。ただ、事務的に検討をするだけではな く船員労使を中心として、まず昨年度は「船員保険制度の在り方に関する検討会」とい うのを開いております。順次に検討を進めていけると、さらに今年度においては、その 隣の5頁にありますが、「船員保険事業運営懇談会」というものを開催して、どのように 統合していくか、統合の際の問題点をどのように解決していくか、このようなことを議 論している状況です。  船員保険と雇用保険制度の間の問題点ですが、これは4頁の「検討会報告書」の右上 にある、「検討の視点」という所に若干記載されております。検討の際、従来からの問題 となっておりましたのは、船員保険の失業部門と雇用保険の間で被保険者期間が通算で きないと、これは制度が違うので当たり前なのですが。船員さんが船員保険でずうっと 保険料をかけていても、陸転と言いますが、船員でなくなって陸上の労働者になった途 端に被保険者期間が消えてしまう、これが問題だとずうっと言われてきたわけです。そ れを解消する一つの方策としては統合があると従来から言われておりました。この機会 にこれを解消するということがもっとも大きな目的であろうと思います。いろいろ問題 点があります。ここに、統合にあたっての留意点が4つほどありますが、上の2つにつ いては、実はあまり雇用保険と関係ないです。福祉事業は、先ほど申し上げましたよう に三事業と労働福祉事業、それから健康保険の付帯事業、こういうものが混ざったよう な制度ですが、これをどうするかという問題点であるとか、事務の効率化をどうするか、 こういう問題が統合にあたっての留意点かと思います。  現在、船員保険事業運営懇談会において議論を進めているところでして、今年中には 一定の結論を出すということで、議論は進められております。検討の中で、事務的打合 せというのも、実は運営懇談会に先立ちましてやっております。そこでまとめました、 いわゆる失業部門、我々で言う所の雇用保険に該当する部分と、その統合にあたっての 問題点について整理しているのが、7〜11頁の所です。論点と、いわゆる船員労使の方々 の意見、それから、懇談会には一般被保険者、一般使用者ということで、それぞれ代表 の方々に入っていただいております。そういう方々の主な意見を記述しております。  雇用保険制度の大きく異なる点は、主に2つあります。1つは、船員保険の失業部門 と雇用保険だと、適用対象年齢が違うのが大きな所だと思います。船員保険の場合は、 これは雇用保険と5歳ずつずれていまして、例えば高年齢雇用継続給付の適用について は、雇用保険では60〜65歳ですが、船員保険では55〜60歳、雇用保険の場合は、65 歳以上になると新たに被保険者にならないことになっておりますが、船員保険の場合は、 60歳を超えると新たに被保険者にならない、このような所が1つ目の大きな違いです。 2つ目としては、これは他の制度、労災部門等にも言えることですが、保険料給付の算 定基礎になっているものがみな標準報酬でして、社会保険の一環でやっているというこ とで、そこは労働保険と異なっているわけです。あとは、船員独自の取扱い等とありま して、若干違っているということになります。それから適用の所に多少係ってきますが、 いわゆる日雇い労働被保険者、あるいは季節労働者の方ですが、短期特例被保険者、こ ういう被保険者の区分が船員保険にはないという所も大きな違いかなと思います。船員 保険制度の統合に係る検討状況については以上です。 ○諏訪部会長 ありがとうございました。  それでは、なかなかテクニカルな部分も多いのですが、ただいまのご説明を巡って、 ご質問なりご意見がありましたらお願いいたします。 ○宮川雇用保険課長 資料の説明はいま田中が申し上げたとおりです。今後の方向性な り、私どもとしての対応の問題ですが、先ほど申し上げましたように、今年中に一応な んらかの結論をまとめるべく、船員保険事業運営懇談会が開催されると聞いております。 そのまとまった結果といたしまして、いまの大きな方向性からすれば、先ほどの方向性 にありますように失業部門については雇用保険に統合すると。テクニカルな意味はどう いうふうにやるか、現時点で考えておりますのは基本的に適用除外、船員については、 私どものほうでは適用除外という形にしています。船員保険法の対象となる船員という 方は雇用保険の対象ではありません。簡単に言えば、そこの部分を削るという形で、法 律上、制度上のテクニックはできます。それはあるときに引き継ぐ形になります。いま のところ、これは平成22年度を目途にしていると。法律をいつ出すかというのはまだ 決まっておりませんが、然るべき時期に法律を出すことになると思います。  その際には、先ほど申しましたように船員労働行政、実は船員労働行政そのものは厚 生労働省の所管ではなく、国土交通省の所管です。いままでの仕組みは船員労働行政に ついては国土交通省が、船員保険の所管は旧厚生省社会保険庁という形でやっておりま したが、今度その関係が、旧社会保険庁がやる部分をそれぞれ、労災保険なり、雇用保 険なり、それから、健康保険部分なり、という形で引き取っていくことになろうかと思 います。その際には先ほど申しましたように、船員労働の特殊性から、例えば年齢の問 題、55歳と60歳との差ですね。それから、賃金の計算方法の問題など、ある意味テク ニカルに対応しなければならない問題があろうかと思いますが、必要な特例は特例とし て作っていくという形で、基本的には考えていきたいと思います。いずれにしても、こ れがまた検討状況をとりまとめられるような状況になりましたら、こちらのほうにご報 告させていただくとともに、必要に応じ制度改正という形になれば、私どものほうでの 改正が必要な部分についてはまたお諮りする形になるのではないかと思います。以上で す。 ○長谷川委員 資料7頁の所に「事務的打合せにおけるこれまでの検討経緯」と、ここ でどういうことが問題になっているか大体読んでわかりました。これらの問題は、いま 行われている検討会で全部整理してくるわけですか、それとも整理しないでここで議論 することになるのでしょうか。 ○宮川雇用保険課長 基本的には、向こうで整理する形になった回答というか、まとま ったものをこちらのほうに報告すると、それに基づいて制度を作るというイメージを 我々は持っています。ですから、問題解決は基本的に船員保険事業運営懇談会のほうで、 船員労使、一般労使が入った形の中でのとりまとめをしていただくという方向で、私ど もは考えております。 ○長谷川委員 そうすると、まとめはみんな向こうでやってきて、ここは法律改正事項 だけを扱う、そういうことですね。 ○宮川雇用保険課長 そういう意味で言えば、こちらで受け止める際の、最終的な、例 えば法的な、あるいは省令以下の整理が必要であれば、大変恐縮ですが、それを事務的 にお諮りし、ご答申いただくという所だけが残るわけです。実質的、内容的なものはあ ちらのほうで、基本的に船員保険事業運営懇談会の結論でいくと考えております。 ○諏訪部会長 他にいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、そのよう な報告を受けたということで、またそのときになりましたら相当頭の痛い、財政的にも いろいろ問題などがあろうかと思いますが、その節皆様にご議論いただこうと思います。  もし他に特にご意見、あるいは宿題の要請等がなければ、2日続いての部会でしたが 今日も時間短縮で終わらせていただこうと思います。  以上をもちまして、第31回雇用保険部会を終了させていただきまして、次回には、 本日ご要望のあった資料等をご用意していただいた上で、さらに議論を続けていこうと 思います。  次回の日程ですが、事務局において調整の上、各員にご連絡を申し上げますので、そ の節にはどうぞご協力のほどをお願いいたします。  本日の署名委員は、雇用主代表を中島委員に、労働者代表を長谷川委員に、それぞれ お願いいたします。委員の皆様には、大変お忙しい中を2日間にわたってご参集いただ きまして、大変ありがとうございました。 照会先  厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係  03−5253−1111(内線5763) - 2 -