参照条文


<期間の定めのある労働契約について>

 民法(明治29年法律第89号)(抄)
 (解除権の行使)
540条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
(第2項 略)

 (期間の定めのある雇用の解除)
626条 雇用の期間が5年を超え、又は雇用が当事者の一方若しくは第三者の終身の間継続すべきときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。ただし、この期間は、商工業の見習を目的とする雇用については、10年とする。
(第2項 略)

 (やむを得ない事由による雇用の解除)
628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
 (契約期間等)
14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
 専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 附則(抄)
137条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

 附則(平成15年法律第104号)(抄)
 (検討)
3条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律による改正後の労働基準法第14条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


<「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の見直しについて>

 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
(平成15年厚生労働省告示第357号)
 (契約締結時の明示事項等)
1条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
 使用者は、有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。

 (雇止めの予告)
2条 使用者は、有期労働契約(雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第二項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。

 (雇止めの理由の明示)
3条 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。

 (契約期間についての配慮)
4条 使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。


<管理監督者について>

 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
37条 (略)
 (略)
 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

 (労働時間等に関する規定の適用除外)
41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
 (略)
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 (略)

 管理監督者の範囲についての解釈例規
[監督又は管理の地位にある者の範囲]
   法第41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたつては、下記の考え方によられたい。


 
(1)  原則
 法に規定する労働時間、休憩、休日等の労働条件は、最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。
(2)  適用除外の趣旨
 これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限つて管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従つて、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。
(3)  実態に基づく判断
 一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と、経験、能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによつて人事管理が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるに当たつては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。
(4)  待遇に対する留意
 管理監督者であるかの判定に当たつては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといつて、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。
(5)  スタッフ職の取扱い
 法制定当時には、あまり見られなかつたいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によつては、管理監督者と同様に取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲の者については、同法第41条第2号該当者に含めて取扱うことが妥当であると考えられること。
(昭和22年9月13日付け発基17号、昭和63年3月14日付け基発150号)

[都市銀行等の場合]
   労基法上の管理監督者の範囲
 取締役等役員を兼務する者
 支店長、事務所長等事業場の長
 本部の部長等で経営者に直属する組織の長
 本部の課又はこれに準ずる組織の長
 大規模の支店又は事務所の部、課等の組織の長で一〜四の者と銀行内において同格以上に位置づけられている者
 一〜四と銀行内において同格以上に位置づけられている者であつて、一〜三の者及び五のうち一〜三の者と同格以上の位置づけをされている者を補佐し、かつその職務の全部若しくは相当部分を代行若しくは代決する権限を有するもの(次長、副部長等)
 一〜四と銀行内において同格以上に位置づけられている者であつて、経営上の重要事項に関する企画立案等の業務を担当するもの(スタッフ)
(注)
 (1) 四の本部の課は、部長−次長−課長という一般的な組織における課をいい、課という名称が用いられていてもこの基準の適用にあたつて適切でない場合には、実態に即して判定するものとする。
 (2) 課制をとつていない場合等、この基準の適用する職位がないときは、各職位の権限、責任、資格等により判定するものとする。
(昭和52年2月28日付け基発104号の2)

[都市銀行等以外の金融機関の場合]
   金融機関における資格、職位の名称は企業によつてさまざまであるが、取締役、理事等役員を兼務する者のほか、おおむね、次に掲げる職位にある者は、一般的には管理監督者の範囲に含めて差し支えないものと考えられること。
(1) 出先機関を統轄する中央機構(以下「本部」という。)の組織の長については次に掲げる者
 (1)  経営者に直属する部等の組織の長(部長等)
 (2)  相当数の出先機関を統轄するため権限分配を必要として設けられた課又はこれに準ずる組織の長(課長等)
 (3)  (1)〜(2)と同格以上に位置づけられている者であつて、(1)の者を補佐して、通常当該組織の業務を総括し、かつ、(1)の者が事故ある場合には、その職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する者(副部長、部次長等)
 従つて、(2)の者の下位に属する、例えば副課長、課長補佐、課長代理等の職位は除外されるものであること。
(2) 支店、事務所等出先機関における組織の長については、次に掲げる者
 (4)  支店、事務所等出先機関の長(支店長、事務所長等)
 ただし、法の適用単位と認められないような小規模出先機関の長は除外される。
 (5)  大規模の支店又は事務所における部、課等の組織の長で、上記(1)(2)(4)の者と企業内において同格以上に位置づけられている者(本店営業部又は母店等における部長、課長等)
 従つて、(4)の者を補佐する者で(5)以外の者(次長、支店長代理等)は原則として除外されるものであること。ただし(4)の者に直属し、下位にある役付者(支店長代理、(5)に該当しない支店課長等)を指揮監督して、通常支店等の業務を総括し、かつ、その者が事故ある場合にはその職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有する者であつて、(1)(2)(4)と同格以上に位置づけられているものは含めることができること(副支店長、支店次長等)
(3) (1)〜(4)と企業内において同格以上に位置づけられている者であつて、経営上の重要な事項に関する企画、立案、調査等の業務を担当する者(いわゆるスタッフ職)
(注)
 (1) (2)の本部の課長等は、権限分配された職務を実質的に所掌する者であつて、その地位にふさわしい処遇をうけているものでなければならない。従つて、単なる人事処遇上の実質を伴わない課長等は除外するものである。
 (2) 支店次長等支店長の直近下位の職制管理者については、その職位にあるからといつて、支店長等の職務の全部又は相当部分を代行又は代決する権限を有するものとして取扱うものではなく、その代行、代決の権限が明らかなものに限られる。従つて、本来なら次長制を必要としないような規模の支店等に名目上の次長を置いたり、形式的に複数の次長を置く等、実質を伴わない補佐役は含まれないものである。
(昭和52年2月28日付け基発105号)

 管理監督者の深夜業についての解釈例規
[深夜労働に関する規定との関係]
   本条は第4章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日の規定を適用除外としているものであり、深夜業の関係規定(第37条の関係部分及び第61条の規定)は適用が排除されるものではない。
 したがつて、本条により労働時間等の適用除外を受ける者であつても、第37条に定める時間帯に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければならない。ただし、労働協約、就業規則その他によつて深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には別に深夜業の割増賃金を支払う必要はない。
(昭和63年3月14日付け基発150号、平成11年3月31日付け基発168号)


<事業場外みなし制度について>

 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
38条の2 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

 一部事業場内労働の場合についての解釈例規
[一部事業場内労働の場合の算定]
   みなし労働時間制による労働時間の算定の対象となるのは、事業場外で業務に従事した部分であり、労使協定についても、この部分について協定する。事業場内で労働した時間については別途把握しなければならない。そして、労働時間の一部を事業場内で労働した日の労働時間は、みなし労働時間制によつて算定される事業場外で業務に従事した時間と、別途把握した事業場内における時間とを加えた時間となる。
(昭和63年3月14日付け基発150号)


<過半数代表者の選出要件について>

 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)
 (時間外及び休日の労働)
三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

 (作成の手続)
九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

 労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)(抄)
6条の2 法第18条第2項、法第24条第1項 ただし書、法第32条の2第1項、法第32条の3、法第32条の4第1項及び第2項、法第32条の5第1項、法第34条第2項 ただし書、法第36条第1項、第3項及び第4項、法第38条の2第2項、法第38条の3第1項、法第38条の4第2項第1号、法第39条第5項及び第6項 ただし書並びに法第90条第1項に規定する労働者の過半数を代表する者(以下この条において「過半数代表者」という。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
 法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。
 前項第1号に該当する者がいない事業場にあつては、法第18条第2項、法第24条第1項 ただし書、法第39条第5項及び第6項 ただし書並びに法第90条第1項に規定する労働者の過半数を代表する者は、前項第2号に該当する者とする。
 (略)

 労働者の過半数代表の選出手続についての解釈例規
 則第6条の2に規定する「投票、挙手等」の「等」には、どのような手続が含まれているか。
 労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当事者の選任を指示していることが明確になる民主的な手続が該当する。
(平成11年3月31日付け基発169号)

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