特定不妊治療費助成事業に関する自治体アンケート調査結果抜粋

厚生労働省母子保健課

   
調査時期: 平成18年8〜9月
対象自治体: 特定不妊治療費助成事業を実施する都道府県・指定都市・中核市 98自治体
回答数: 97自治体


【1】 医療機関との連携

【1−1】 医療機関の指定基準はどのように設けているか
  回答数
1.日本産科婦人科学会の登録施設をすべて指定している 21
2.日本産科婦人科学会の登録施設のうち、管内・近隣の施設を指定している 34
3.日本産科婦人科学会の登録施設の中から、独自の基準(所在地以外)により選考し指定している 16
4.その他 34

3.独自の基準の内容
   
倫理委員会の設置を義務づけた。
凍結保存施設登録を必須としている。

 
4.その他の指定基準の内容
   
県医師会から推薦のあった施設のうち、日本産科婦人科学会の基準に照らし、学識経験者等からなる検討会において審査。

 
【1−2】 不妊治療を実施する医療機関との連携について、該当することすべて
  回答数
1.事業の運営に協力的でない医療機関がある 9
2.指定を受けていない医療機関から、指定を受けたい旨の要望がある 14
3.その他の問題がある 16
4.問題はない 62

3.その他の問題の内容
   
指定医療機関特定不妊治療実施報告書の提出が得られない。
医療機関が、各自治体ごとに「指定医療機関特定不妊治療実施報告書」を提出しなければならないため、事務の煩雑を指摘されている。
証明書の発行に時間を要し、申請期間内に申請できないことがある。
受診等証明、領収金額等の内容確認の問い合わせへの回答に時間がかかる。
国の要綱では、「特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか又は極めて少ないと医師に診断された場合」を支給対象としているが、その具体的な判断基準がほしい。
医療機関により、意見書の治療終了時点の考え方が異なる。
医療機関の指定について、国要綱では「日本産婦人科学会会告等に定める要件を満たしている医療機関であること」が要件の一つになっており、同学会の「生殖補助医療の実施施設の具備すべき要件と設備」の「3.登録施設の設備」で、「登録申請を行う際には、下記の具備すべき施設基準を満たすように努力すべきである。」となっており、何が必須で、何が努力すべき事項か分かり難い。
管内の患者が多く治療を受けている医療機関が、指定医療機関の指定を受けてくれない。
日本産科婦人科学会の登録施設でない医療機関について、患者から指定の申請がある。
指定医療機関がすべて県外で遠方であり連携が困難。
様式の問題もあるが、妊娠成立の有無の記載がされていないところが多いため、事業評価が難しい。

【2】 給付実績の管理の実情

【2−1】 管理の状況
  回答数
1.パソコン又は紙の台帳等で、個人ごとの給付状況を管理している 90
2.個人ごとの給付状況は、氏名等により容易に確認できる 77
3.給付を受けた者の、次のような属性ごとの集計ができる  
  (1) 年齢別の集計ができる
49
  (2) 受診した医療機関別の集計ができる
69
  (3) これまで不妊治療を行ってきた通算期間(年数)別の集計ができる
50
4.給付状況の保存年限は、相当程度(10年以上等)長期間としている 40
5.(この項目のみ、都道府県のみ回答)都道府県内の市町村間における転居があった場合、市町村間相互で過去の給付の状況を確認できる仕組み又は連絡体制を整えている 5

【2−2】 申請者の転居に伴う給付の有無の確認状況
  回答数
1.転出先の自治体から、個人の給付の有無の問合せを受けたことがある 47
 1−2. (ある場合のみ記入)
  (1) 給付の有無をすみやかに確認し、連絡できた
46
  (2) 給付の有無の確認、連絡がすみやかにできなかったことがあった
1

2.転入前の自治体に対し、個人の給付の有無について問合せたことがある 30
 2−2. (ある場合のみ記入)
  (1) すみやかに回答が得られた
26
  (2) すみやかな回答が得られなかった時があった
5

【2−3】 給付の有無の確認を迅速・正確に行うために効果的なシステムの提案・意見
   
台帳に申請者名と生年月日を記載し、過去の給付の有無を確認している。
医療機関や自治体に対し確認や問合せを行うことがあることについての「同意書」を様式に加え、申請時に提出してもらっている。
迅速という点からすれば、各自治体とも給付台帳等を氏名検索できるように整理し、電話による照会手続きが現実的かと思われる。
国における助成履歴のデータ管理が必要である。
(提案)申請者に申請記録を記載する全国共通のカード様のものを持たせる。
ただし、(1)カードを持つことによる、申請者の心理的な負担感 (2)紛失時などの個人情報の管理 (3)持参忘れの場合、転入時期によっては前住地に確認する事務処理上の手間がかかる。 などの点に課題がある。
どのような方法でも、全国統一のものを作っていただく必要がある。
保健所が異なる等による重複支給を防ぐため、県内の給付状況について検索・確認が可能なデータベースを作成。ただし、県外に転出されると把握できない。
助成期間が延長されたことで、助成を受けた都道府県が複数になる可能性があるが、その確認は本人申し出に頼らざるを得ないため、システム構築が必要と思われる。
小児慢性特定疾治療研究事業のような登録管理システムの導入を検討されたい。
添付書類の住民票の写しの記載により前住所の都道府県等に照会することになるが、前々住所については住民票の写しに記載がないため、例えば、A県→B県→C県と転居している夫婦がB県では申請せずA県で給付を受けた場合、C県においてA県の給付を把握することはできない。よって、全国の給付情報を一元管理しない限り、給付の履歴を正確に把握することはできないと考える。

【3】 事業効果検証のための仕組み

【3−1】 本事業による給付を受けた患者が出産したかどうかの把握
  回答数
1.患者(受給者)から聴取又は報告を受けるしくみがある 0
2.医療機関からの報告を受けるしくみがある 8
3.その他の方法で把握している 4
4.把握していない 85

3.把握のためのその他の方法
   
医療機関の治療実績報告から推計し、効果を把握している。
指定医療機関から、特定不妊治療の実施状況及びその中で助成を受けた人数を報告してもらっている。
給付者のほぼ全員に対しアンケート調査を実施。概ねの着床率は把握できた。(平成16年:約23%)
母子健康手帳交付状況で確認している。(市)
申請者(受給者)のうち妊娠届のあった者(妊娠率)、出産した者(単胎、双胎など)を把握している。(市)

 
1〜3により把握している自治体における集計可能範囲
  回答数
  (1) 出産した夫婦の人数を容易に集計できる
5
  (2) 出産した夫婦の人数を「年齢別」で集計できる
1
  (3) 出産した夫婦を年齢別・治療年数別に集計することができる
1

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