(参考2−(8))

日本産科婦人科学会会告(生殖補助医療に関する諸登録の申請にあたって留意すべき事項)(平成15年12月)

体外受精・胚移植,およびGIFTの臨床実施に関する登録申請
  1. 被実施者夫婦の同意を含めたインフォームド・コンセントの用紙,体外受精・胚移植あるいはGIFTなどの説明のための関連文書を添付書類として提出すること.なお,同意のための用紙と,説明のための文書は別々であること.
2. 実施医師が他施設においてすでにARTの実績を有する場合であっても,未登録施設で実施する場合は当該実施施設の新規登録が必要である.
3. 既登録施設が関連施設(分院など)を設けた場合は,当該関連施設の新規登録が別途必要である.

ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する登録申請
  1. 体外受精・胚移植の実施施設においては,凍結保存管理が可能であることが必要である.
2. 被実施者夫婦の同意を含めたインフォームド・コンセントの用紙,凍結保存管理法などの説明のための関連文書を添付書類として提出すること.なお,同意のための用紙と,説明のための文書は別々であること.
3. 凍結保存管理法については,患者識別,記録管理,保管に十分配慮されたものであること.
4. 凍結保存管理責任者は医師でなければならない.

顕微授精の臨床実施に関する登録申請
  1. 被実施者夫婦の同意を含めたインフォームド・コンセントの用紙,顕微授精の方法などの説明のための関連文書を添付書類として提出すること.なお,同意のための用紙と,説明のための文書は別々であること.
2. 「顕微授精の臨床実施に関する登録」を申請する施設は,当該施設において体外受精・胚移植での妊娠例を有することが必要であり,かつ,その妊娠が生産分娩となったことを確認することが必要である.
3. 実施医師が他施設において顕微授精の実績を有する場合であっても,未登録施設で新たに実施する場合は,当該施設において体外受精・胚移植による生産分娩例を新たに経験した後でなければ申請できない.このことは,既登録施設が関連施設(分院など)を設けた場合にも該当する.

非配偶者間人工授精の臨床実施に関する登録申請
  1. 被実施者夫婦の同意を含めたインフォームド・コンセントの用紙,非配偶者間人工授精(AID)の方法などの説明のための関連文書を添付書類として提出すること.なお,同意のための用紙と,説明のための文書は別々であること.
2. 非配偶者間人工授精(AID)を実施する施設では,顕微授精での妊娠例を有することが必要であり,かつその妊娠が生産分娩となったことを確認することが必要である.
(注:非配偶者間人工授精(AID)を実施する施設は,非配偶者間人工授精(AID)を実施する以前に配偶者間の妊娠が可能であるようなあらゆる手段を講ずることができる高度の技術を有する施設である必要があることから,このような施設基準を設けている.)

ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する登録申請
  1. 研究実施責任者は当該施設の常勤医師でなければならない.
2. 過去に実施された研究の事後登録は受け付けない.
3. 研究目的・研究方法については内容につき詳細に記載された文書を提出すること.
4. 使用する精子・卵子・受精卵提供者の同意を含めたインフォームド・コンセントの用紙,研究に関する説明のための文書を添付書類として提出すること.なお,同意のための用紙と,説明のための文書は別々であること.

実施場所
  1. 採卵室・培養室・移植室を分娩室と兼ねることは好ましくない.
2. 実施場所の設備配置に関する詳細な見取り図を提出すること.見取り図は実施場所の清潔性,安全性(施錠)の判断が可能なものとすること.

実施責任者および実施医師
  1. 実施責任者および実施医師は産婦人科専門医でなければならず,実施医師のうち,会員へのお知らせ「生殖補助医療の実施施設の設備条件と実施医師の要件について」で示された要件を満たさないものは,単独でのART実施ができない.要件を満たす医師の指導の下に行うこと.
2. 実施医師のうち少なくとも1名は常勤医師でなけらばならない.
3. ART研修歴のうち,国外でART技術を習得したものはその詳しい内容を示す証明書の原文と邦訳を提出すること.

非医師協力者
  1. ARTの実施にあたっては,実施医師・非医師協力者を含め複数のスタッフで行うことが望ましい.
2. 非医師協力者はART研修歴を有することが望ましい.

倫理委員会
  1. 倫理委員会を設置することが望ましい.特にヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究を実施する施設,ならびに非配偶者間人工授精(AID)を実施する施設は倫理委員会を設置することが必要である.
2. 倫理委員会は中立を保つため委員構成に配慮が必要であり,中立的な外部委員を複数入れることが望ましい.
3. 倫理委員会委員長を施設責任者・実施責任者が兼ねることは好ましくない.

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