主要国におけるボイラー・圧力容器の定期検査制度の概要
1 | アメリカ
(1 | )使用時の検査及び検査周期
州によって異なるが、各州法及び日本ボイラ協会「アメリカにおけるボイラー・圧力容器規制実態調査報告書」(1998.7))によると次のとおりとなっている。
ア | ペンシルベニア州
・ | パワーボイラー
内面・外面検査 1年(内面検査は、管理条件等によって2年まで延長可能) |
・ | プロセスボイラー
内面・外面検査 1年(内面検査は、管理条件等によって5年まで延長可能) |
・ | 低圧の水蒸気発生器、温水器、温水ボイラー 2年 |
・ | 火なし圧力容器 3年 |
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イ | カリフォルニア州
・ | 高圧ボイラー・圧力容器(0.103MPa超)
内面・外面検査 1年(内部検査は3年又は5年まで延長可能、その場合外部検査を6か月に短縮) |
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ウ | オハイオ州
・ | パワーボイラー・圧力容器(0.103MPa超) 内面・外面検査 1年(ともに2年まで延長可) |
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(2 | )検査実施者
次のいずれかの検査員。
(1) | 州、郡、市 |
(2) | 損害保険会社 |
(3) | オーナー・ユーザー検査組織 |
上記(3)のオーナー・ユーザー検査組織については、日本ボイラ協会「アメリカにおけるボイラー・圧力容器規制実態調査報告書」によると、
「 | ボイラー・圧力容器検査官全国委員会NBBIの検査コードは、オーナー・ユーザー検査組織について、
・ | 検査部門は生産部門とは独立していること、 |
・ | 検査プログラムが確立されていること、 |
・ | NBBIが行う検査員試験に合格し、有効なNBBIのオーナー・ユーザー検査員認証書が与えられている検査員を雇用(専任)し、その者に検査を行わせること |
等の要件を定め、これに合致しているもののみをNBBIが認定することとし、公正性の担保としている。
このオーナー・ユーザー検査が認められるか否か、また認められるとした場合に範囲はどこまでかということは、各管轄行政区域の法令によって異なる。例えばオハイオ州ではオーナー・ユーザー検査は、火なし圧力容器の性能検査についてのみ認められている。
そしてオハイオ州ではオーナー・ユーザー検査の公正性を担保するため、
・ | 州規制当局はオーナー・ユーザー検査組織が行った検査については、個々に、全ての検査結果報告の提出を求める。 |
・ | オーナー・ユーザー検査が認められている圧力容器であっても、州規制当局の検査官の検査権は留保されており、州検査官はいつでもそれらの機器に対して必要な検査を行うことができる。 |
・ | オーナー・ユーザー検査組織のNBBIによる認定の有効期間は3年であるが、州規制当局は、この認定の有効期間の更新に際し、NBBIのために、オーナー・ユーザー検査組織の検査プログラムの審査を行う。 |
等のことを行っている。」 |
と報告されている。
また、NBBIの認定検査員規則(2000.5)によると、上記(1)から(3)の検査員の資格は、一定の教育プログラム、ボイラー又は圧力容器の製作、補修等に係る3年以上の経験を経て、NBBIが行う検査員試験に合格し、検査組織に雇用されている者となっている。
さらに、カリフォルニア州「ボイラー・圧力容器安全規則」によると、ボイラー又は圧力容器の検査を実施しなかった場合、18か月後に自動的に取り消されることになっている。 |
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2 | イギリス
(1 | )使用時の検査及び検査周期
・ | プロセス圧力容器・熱交換器 使用状況、装置の状況に応じて分類されるグレードにより3年〜12年 |
・ | 圧力貯蔵容器 グレードにより5年〜12年 |
・ | 安全弁等機器 グレードにより2年〜6年 |
( | 出典:石油産業活性化センター「製油所におけるボイラー・高圧ガス装置の保安に関する海外の規制および対応状況の調査報告書」(1998.3)) |
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(2 | )検査実施者
(1) | 検査会社のCompetent Person(検査適格者) |
(2) | ユーザー事業場のCompetent Person |
(1)、(2)のCompetent Personは、石油産業活性化センター「製油所におけるボイラー・高圧ガス装置の保安に関する海外の規制および対応状況の調査報告書」によれば、「法律による資格に関する定義はないが、医師、弁護士、公認会計士のような永久資格である。監査的な立場にあり、訴追されたときの保険制度があるほどに資格としての位置づけが高い。典型的には機械工学学会のメンバーで博士号を持って最低5年程度の実務経験が必要である。
会社の検査部門に属するCompetent Personは、親会社や取締役会からも十分独立している必要がある。」
と報告されている。 |
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3 | フランス
(1 | )使用時の検査及び検査周期
(1) | 蒸気発生器
内面・外面・附属品検査 18か月 |
(2) | 簡易閉鎖用蓋の付いた圧力容器
内面・外面・附属品検査 18か月 |
(3) | その他の圧力容器
内面・外面・附属品検査 40か月 |
(出典:仏国「圧力装備の利用に関する2000年3月15日付け命令」) |
(2 | )検査実施者
(1) | 認定検査機関 |
(2) | 認定されたユーザ事業場 |
「圧力装備の利用に関する2000年3月15日付け命令」には、定期点検について「定期点検は、経営者の責任の下で、あり得べき欠落を認識し、その重大性を評価するのに適した権限をもった人員によって実施される。」とされている。
TUV Rheinland Japan Ltd.からの情報提供によれば、(2)として電力事業者がある。 |
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4 | ドイツ
(1 | )使用時の検査及び検査周期
カテゴリーIII・IV(P×V>0.02 MPa・立方メートル等)の圧力機器について
(1) | 圧力容器
外観検査 | 2年 |
内面検査 | 5年 |
圧力テスト | 10年 |
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(2) | ボイラー
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(2 | )検査実施者
(以上TUV Rheinland Japan Ltd.からの情報提供、調査中。) |
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