06/09/27 第1回介護施設等の在り方に関する委員会平成18年9月27日議事録    社会保障審議会介護給付費分科会             第1回介護施設等の在り方に関する委員会議事録 1 日時及び場所 : 平成18年9月27日(水) 午後3時から5時15分             厚生労働省17階 専用第18、19、20会議室 2 出席委員 : 天本、井上、井部(古橋参考人)、漆原、大森、沖藤、          神田(浜野参考人)、喜多、木下、紀陸(高橋参考人)、          田中(滋)、田中(雅)、対馬、中田、花井、山本の各委員          池田、新田、前田、村本の各委員は欠席 3 議題   (1)介護施設等のサービスの現状について   (2)その他 ○阿曽沼老健局長より挨拶。 ○川尻計画課長より、各委員の紹介と委員会の運営について説明後、大森委員が座 長に指名された。 ○大森委員長より挨拶のあと、委員長代理に田中(滋)委員が指名された。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料1〜3を資料に沿って説明。    (大森委員長)  この数値は少し昔のもの、ちょっと離れている数値もあるし、比較的身近な数値 もあるので、できるだけ新しい数値が欲しい。施設については大きく傾向として変 わらないということも読み取れるような場合もあるが、ただ、できるだけ入手可能 な新しいデータを出していただくということは皆様方の御希望ではないかと思う。 本日はとりあえず現在入手できるデータでの御説明だと思うが、今日のところで何 かお気付きの点があればお願いしたい。 (木下委員)  資料2について、これは今まで何回か出てきている資料であるが、医療療養と介 護保険の療養病床は提供されるサービスは実質的に同じですと言い切ってしまって いるところがあるが、この辺は若干問題があるという認識を持っている。どういう データに基づいて出されたのか。  3ページの上の黄色に囲まれた部分について、「限られた医療資源を現に医師・看 護師等が不足している急性期を中心とした医療に振り向ける必要があります」と大 ざっぱに書いてあるが、医師も看護師も物ではなく、医師・看護師それぞれが、急 性期の手術にモチベーションを持っている人、ICUなどの急性期、それから慢性 期で人間を見ていきたいというようなスタンスを持っている方もあり、単にこうい う数合わせだけで物を言うのは非常に危険に感じる。  15万床という数字について、どうも15万床という固定した数字に成り代わってき ているような感じを受けるので、仮の数字だということをはっきり確認しておいて いただきたいと思う。一般病床の動きもまだわからないところがあるので、この辺 がどういうふうに変わっていくかということがある。  また、約3,000億円経費が浮くという試算について、これも15万床を元にした計 算なので、療養病床の再編により3,000億円お金が浮くという前提で進められると どこかで必ずひずみが出てくると考えられ、あくまでも仮の数字だということを強 調していただきたい。    9ページ、「療養病床が老健施設に転換する場合の施設基準の緩和」と書いてある が、これはあくまでも6年間の経過措置ということでその後の緩和ではない、この 辺をどういうふうに見ていくかというのはもう少し検討しなければいけないのでは ないか。6年間ということで、真の意味の緩和ということではなくて単なる経過措 置にすぎないという感じがする。  11ページ、「在宅療養支援拠点イメージ」ということで書いてあるが、これはそれ ぞれの病院、老人保健施設、特養ホームの機能について若干古いデータというか、 昨年11月の介護給付費分科会で示された在宅支援とか居住系に配慮したというよう なことと若干違いがあるので、もっと整理していかなければいけないのかと感じる。  資料3、9ページの「職員配置の状況」について、介護療養型医療施設は配置基 準で100人当たり介護職員17人、看護職員17人というふうに基準が書いてあるが、 下の配置を見ると介護職員33人、看護職員30人と、ほぼ倍に近い数が配置されて いる事実は認識いただきたい。  また、14ページ「医療処置の状況」について、3施設の中でここに書いてある経 管栄養、喀啖吸引等々の医療処置は介護療養型医療施設がずば抜けて多い、この辺 がこれからの一番の問題になると思うが、こういう人たちをどこでどうやってケア していくか。  この委員会が老健局の担当であり、保険局とどれだけ調整がとれるかにもよるが、 この方たちを医療保険で見るのか、介護保険で見るのか。介護保険で見ていくとす れば、施設なり在宅で見ていくときにどういうサービスが必要なのかということが この委員会の一番大きな仕事であるが、先ほどからの説明では、介護療養型は老健 施設に移るのが一番適切ではないかと話されているが、老健施設の基準なり人員配 置、報酬についてどのように考えていくのか、かなり真剣に考えなければならない と感じている。 (榎本室長)  資料2の方で15万床という話があったが、この15万床については、そもそも資 料2の6ページに、括弧で15万床となっているように、医療保険適用を15万床と 見込んでいるもの。この15万床については昨年、中医協において行われた医療区分 の調査結果などを踏まえて設定されているので、それを踏まえ、今後その実態など を見ながら更に整理されていく問題だと御理解いただければと考えている。  また、次の7ページの下の方はそれをベースとして試算しているので、そういう ものだと御理解いただきたい。 (鈴木老人保健課長)  介護療養病床でのケアと、老健でのケアの違いについて、10月1日現在での介護 療養病床等調査をしているので、調査結果を受けて実際にそういう方々に、ある程 度老健に移っていただくとか、老健へ転換していただいた場合にどういう考え方が あり得るのかについても検討をしたい。 (川尻計画課長)  15万床というのは全国ベースで仮につくった数字であり、具体的にどういう形で 療養病床の転換などを考えていくかは、地域ケア整備構想を各都道府県、各圏域で 作成していくので、その作成の過程の中で具体的な数字が固まってくる。そういう 意味では仮の数字であり、とりあえず今時点で置いている数字ということ。 (天本委員)  仮にとのことであるが、根拠のないものをこのような形で目標数値という形で掲 げるのはいかがなものかと思う、どういう根拠か。 (川尻計画課長)  根拠がないわけではなく、中医協に出された医療区分、その時点でのデータに基 づいて15万床という計算をしている。これが絶対的な目標であるということではな くて、今後そういうものを目安にしながら、各地域でどういうふうに展開していく かは地域ケア整備構想を作成していく中で、圏域ごとに決めていくもの。 (天本委員)  医療区分に関しても現在もう一回調査し、区分の妥当性ということについて検討 しているので、そこでの調査結果も重要視していただきたい。 (川尻計画課長)  医療区分の検証については、今後医療保険のデータを基に検証作業が中医協の方 で行われると聞いている。それがまとまってくれば、それをこの場でも御紹介して 御議論いただくという形になると考えられる。  また、先ほど老健課長から申し上げたように、地域ケア整備構想の中策定作業で も療養病床の入院患者の実態についても調べるという形にしているので、そういう 中でデータがまとまったら、それに基づいて御議論いただくという形になると考え ている。 (紀陸委員(代理:高橋参考人))  介護保険制度発足時に、社会的入院を解消するのだというような話があったと思 う、今回様々な経過措置や支援策も設けた上で療養病床を再編して介護療養型の医 療施設は平成24年3月をもって廃止するとされたので、これは期限を守って進めて いただきたい。  資料3の28ページで、介護を受ける場所について自宅で介護を受けたいという方 が非常に多い。一方で、30ページに、自宅で受けたいにもかかわらずそれが受けら れない理由があがっているが、家族に負担がかかるとか、症状が急変した場合とい う対応が難しい者もあるが、訪問してくる医師がいないとか、看護体制がないとか、 介護体制がないとか、居住環境が整っていないといった点については対応可能であ ると思う。政策的に対応可能なところはできるだけ対応して、在宅で介護サービス を受けられるようにしていただくことが、多分御本人にとっても一番幸せなのでは ないかと思うので、対応して欲しい。施設に送り込むのがいいことだとは思わない。 あわせて、受け入れの体制について三施設の状況がうまくマッチングできているの かという観点も重要だと思うので、統計資料などを示していただきたい。  それから、資料2の13ページに人口10万人当たりの病院・診療所の療養病床の 数が出ているが、このうちの医療の療養病床と介護の療養病床も多分統計的にはわ かっていると思うので、そこを区分したものを是非都道府県別に出していただきた い。  最後に、資料3の7ページで、老人保健施設に入ってくる人と出ていく人が医療 機関から43%入ってくるというのはわかるが、また医療機関に38%出ていくという のは理解不能。老健施設というのはそもそもそのような施設としては想定されてい ないはずである。何で医療機関から入ってきて医療機関に出ていくのかということ は説明していただかないと、ちょっと理解できないと思う。 (鈴木老人保健課長)  いわゆる中間施設という位置付けだから、急性に増悪したような場合には老健で はやはり看取りとか急性の医療の対応はできないということが考えられる。もちろ んきちんとリハビリをして家庭に戻っていただくのが老健施設の基本であるが、経 過の中で増悪をしてしまう場合がある。その場合は、どうしても病院で見ていただ くしかないということと考えられる。 (山本委員)  資料2の1ページに25万と13万と書いてあるが、開設者別でわかるか。開設者 を教えてもらえると判断がしやすいが、わからないか。  療養病床だけ持っている診療所があるようなことも聞いたことがあるが、療養病 床だけしかない診療所があるのかないのか、そういうことを知りたい。  療養病床が38万ベッドありますよと言われても、一体どういうものがあって38 万になっているのかわからない。転換が可能なのかどうか、療養病床は全国津津浦 浦であるわけだから、転換を考えて行くには、どういう開設者なのかということを 考える必要がある。どういうような数字の集積によって25万になり13万になって いるかが知りたい。もし、そういうものがわかるものがあるならば、この次で結構 ですから教えて欲しい。 (榎本室長)  次回、御用意させていただきたいと思う。 (大森委員長)  今日の資料で都道府県別に見ると相当地域的な偏在がある、県の皆さん方がどん なふうに考えておられるのか。地域的偏在は相当大変な問題と認識しているが、意 見は。 (天本委員)  確か他のデータで、医療の療養病床の多いところは介護保険の施設も結構多いと いう地域差が偏っているというデータをどこかで見た気がする、要するに高齢化の ピークに達しているところなどでは参酌標準だけで、国の指針だけでは対応できな い。一律に画一的に対応できないという実態が出ているのではないか。これは私の 推測ですので、その辺をデータで示していただければと思う。 (大森委員長)  特段に地域偏在のあるところは、現地といろいろ細かい整備計画みたいなものを つくるときに、本当に地元で実現可能になるかどうかについて慎重に何か対応の必 要があるのではないか。そのときに天本委員がおっしゃっているように、どういう 構成になっているかということもきめ細かく見る必要がある。設置主体のこともあ るし、地域的な偏在についてどういうふうに考えていくかということは必要と思う。 (沖藤委員)  資料3の23ページ、高齢者世帯の持家率の話、好むと好まざるとにかかわらず我 が家で介護を受けることになるのが、施設の整備率の低い大都市高齢者の姿だと思 う。  高齢者の持ち家率が高いとのことであるが、住宅の老朽化が非常に進んでいるので はないか。  建て直しできれば良いが、出来ない。戦後のトタン板をそのまま張ったような家 が私の家の近所にもまだたくさんある、そういう家に住んでいる人でも、それは持 家だということになるのならば、非常に悪質な住宅で、しかも大地震がくると言わ れていて非常に不安な中で在宅生活を過ごさざるを得ない状況が非常に多いという ことになる。  施設を考えるとその対局に在宅の問題があり、住宅の問題が当然出てくる、住宅 の精査というものをもう少しきちんとしないといけない。もし長期の介護が必要に なったときに、我が家で介護できるような持家に住んでいる人と、そうではなくて、 ひどい住宅に住んでいる方もたくさんおられるので、そのあたりを考慮して問題を 考えて欲しい。  もう一点、資料2の2ページの医療の必要性のところ、必ずしも医療の必要性が ない、ほとんど必要なし、そういう方が半々くらいとのことであるが、この判断は 医師がなさっていると思うが、家族からすれば、心理的な不安とか、今は状態が良 くても1年後に具合が悪くなるのではないかとか、それを少しでも遅くするために 医療関係の施設に入っておきたいという心理的なことも無視してはならないという 気がする。  それがある意味では重度化することを予防している部分もあるのではないか。ほ とんど必要なしとされている5割という数字について、先ほど計画課長から精査す るというお話を伺ったが、もう少し心理的な部分、将来の見込みの部分、1年後に は悪化するかもしれないというような見込みの部分等についてもう少し細かく教え ていただければと思う。以上、2点のお願いする。 (大森委員長)  住宅の話は至って重要、井上委員から今のことについて何か一言あれば助かるの ですが。特に都市部がこれからいろいろな意味で大変になる。 (井上委員)  ちょっと話は変わってしまい申し訳ないが、先ほどから医療の話がいろいろ出て いるが、例えば適切な医療とか適切な看護と言う場合、それがどういうレベルの範 囲のものを言うかというとき、在宅でやっているときの適切な医療や看護の範囲と、 病院でやっているときの適切な医療や看護の範囲のイメージというのは違うと思う。  例えば、介護施設などの現状のところで14ページの「医療施設の状況」だが、も ちろん要介護度が違うからもあるが、老人保健施設の方が看護職が特養よりも多い わけだから、より多くの看護が行われているのではないかと思うが、この表を見る 限りはそういうふうになっていない。これは、その部分のもともとの適切な医療や 看護のイメージが施設ごとに少しずつ違うのではないかということをすごく感じる。 そこで、やはり在宅のときのものと比較をした方が良いのではないかと思う。  それから住宅の話に戻ると、住まいとしてどれくらいその施設が認識されている かによって、そこで提供されている医療や看護がどれくらいのものがいいのかとい うのは、感じるものが違うのではないかと思う。もちろん、きちんと医療職や看護 職が適切に判断をしているということが必要であるが、そういうことも含めて議論 したいと思う。 (天本委員)  私がお願いして出したカラー版で横判の資料を見ていただきたいと思う。  この図を見ていただければと思うが、日本は高齢化率20%程度にもかかわらず非 常に介護施設が少ない。また、ブルーのところの施設機能というものがアメリカの ナーシングホームなどと比べてかなり内容の違いがある。  施設整備を参酌標準で止めているわけで、日本では病院、療養病床、医療療養病 床というものが介護施設の機能を代替せざるを得ないという長い日本の歴史のもの をまだ引きずっている。  本来介護保険で、先ほど高橋参考人から施設整備についていろいろ意見がありま したけれども、施設整備そのものはむしろコントロールされたために、私の解釈で は医療がそれを代行している部分もあるだろうと思う。そういうことも含めた形で これから自宅でのケアはもちろん進めなければいけないわけだが、多様な住まいで の医療の在り方も非常に大きな視点だろうと思う。  機能として、介護施設としての医療機能が付加されているということは、これか ら特定施設がたくさん増える際には、介護施設の機能特化ということになれば医療 的ケアというものが特定施設との違いにならざるを得ないだろうと思う。そうなる と、むしろ介護療養型を単純にお金がかかるからなくすという議論ではなく、介護 施設の中身についてきちんとこれからも議論していただければと思う。  それからもう一つの点は、在宅と施設のサービス提供体制の違いについて、これ から議論を深めて欲しい。  私の強調したいのは、要するに住宅整備が非常に日本では遅れていたのではない か、それを介護施設とか医療施設でカバーするのは、本来の尊厳性とか選択性から もいろいろな問題があるのではないかという注意の喚起というか、こういう資料も あるということ。 (田中(滋)委員)  病院はやはり退院を前提としたところ、老健は中間施設で、それ以外は住みかと いう名前であるはず。住みかであれば、名前が何であれ、特定だろうが、特養であ ろうが、グループホームであろうが、介護サービスや医療サービスの使いやすさに 差があってはいけない。どこにいても必要なサービスが外付けで付いているのが本 来の姿。退院を前提とした医療入院、中間施設としての老健は別であるが、本当は 住みかは名前が何であっても、同じようなニーズには同じ介護サービスが行われな ければいけないのに、現在すみかの選択によって介護、医療の在り方が影響を受け てしまう。  これはやはりおかしい。本質的に中長期的に考えるならば住みか論を前提とする。 ただし、この絵でかいてある黄色の部分は介護保険給付ではないので、介護保険給 付の話とはちょっとずれてしまうが、しかしここが基盤であることは間違いない。  療養病床の廃止も、療養病床を廃止してその人たちを自宅に返すのではないと思 う。療養病床自体が安心できる住みかに変わっても構わないわけで、そこに外付け の医療を提供する形の方がむしろよく、社会的入院をなくして自宅に帰すとの論理 はあり得ない。  それから、特養の位置付けもこれから考える必要がある。特養とは世話付き住宅 を提供していた姿が本質なのか、それともやはり社会福祉的な組織として低所得の 方々に住宅機能を提供してきたのかを考えると、特養が介護保険施設ではなく、重 度要介護者用が本来の目的ではないか。すみかとしていろいろなものがある中に、 所得に着目してどうしても住居費を払いにくい方々のための機能を担うと言うなら ば社会福祉としてこれからもあるけれども、そうではなくて普通の特定と同じなら ば名前を変えてもいいし、あるいは他の法人に開放されることもあるのかもしれな い。それらを含めて、すみかと医療介護はもう一度組み直す論議の時代ではないか と思う。 (中田委員)  特別養護老人ホームの場合の定員規模について、最も多いのは50名施設というこ とで、これは全国的に半分以上ということですが、100名あるいは80名、それから 小規模特養という形で従来30名というものがある。それから、今は地域密着型とい うことで29名以下の施設整備が行われているわけだが、これからの保険財源の効率 的な運用という面から考えると、適切な定員規模というのは一体どの程度なのかと いうことをきちんと資料として出していただきたいと思う。1人当たりの費用対効 果とか、そういったこともある程度議論ができるような資料を是非出していただき たいと思う。  それともう一点、資料3の28ページから29ページなのですが、介護を受ける場 所についての意識調査というものが必ず出てくるが、私どもの経験から言いうと、 本人が希望する場合は全くないとは言わないが、ほとんどの場合、家族の意向とい うことが必ず関連してくる。資料として例えば同居家族の意向調査というか、意識 調査といったものもあれば、非常に今後の議論として参考になるということで、こ れを要求しておきたいと思う。 (大森委員長)  今の2つのことについて、どうですか。 (川尻計画課長)  今おっしゃった資料については、次回に用意したいと思う。 (花井委員)  (資料を見ると)ホームヘルパーが医療行為をやらざるを得ない状況に見える。  そもそも介護保険施設の中での医療行為というのはどこまで必要なのか。どうい う具体的な医療行為が行われているのか。例えば経管栄養がどうして療養病床で多 いのかというのは非常に素人からすると疑問がある。いろいろな方の話だと、本当 にその人に必要なのかどうかわからない医療も提供されているようだ。  そのような中で、この資料3の14ページの数字がどういう状態なのか、もう少 し分析していただけないだろうかと思う。  ヘルパーの医療行為も相当問題があるわけで、その問題とともに介護保険施設の 中で行われる医療行為というのは一体何なのかということの現状分析が必要だろう。  将来に向かって外付けにできるものならばそちらの方向にいくべきだろうと思う。 あくまでも住まいというところで介護保険施設を今後考えていく方が、高齢者の尊 厳という点からもいいのではないかと思っている。それにしても現状の医療の在り 方がどうなのか。今後、施設に対してどういう医療の入れ方をしていくのかという 観点からも、是非とも現状の介護保険3施設の中における医療提供のあり方の分析 をお願いしたい。 (川尻計画課長)  今、見ていただいている資料も実はかなり古い資料で、直ちにいい資料があるか どうか分からないが、探させていただいて、提供できるものは提供させていただこ うと思っている。 (喜多委員)  資料2の8ページ、介護の方にプラス1,000億などというのは何となくわかるよ うな気がするが、医療保険で4,000億マイナスになるというのをもう少し具体的に、 どこでどういうふうにしてマイナスになるのか。それを教えていただきたい。 (榎本室長)  医療保険の中で医療療養病床が現在25万床あるが、それが今後将来的に15万床 になると仮定した場合、その差の10万床分が医療保険の対象から減るということに なる。大まかに言うと、それにその単価をかけた分が減ってくるというイメージに なっている。 (喜多委員)  では、医療型の療養型病床群で払っているものは本来介護が払わなければならな いものを医療保険が払っていたというふうに解釈して良いのか。今の説明ではそう 聞こえるが。 (榎本室長)  御承知のとおり、療養病床については医療保険で適用されるものと介護保険で適 用されるものと両方あり、実質的にその中身は先ほど見たような状況なので、そこ を今回適正化していくということ。 (喜多委員)  それがよくわからない。医療保険適用者が医療だったら医療にお入りになったら いい、その人が介護にくるわけはない。医療の保険の方が減って介護保険からその お金が増えるというのは理解できない。当然、一つの施設に入っておられて、病気 の分は医療保険で払っているわけで介護保険から払っているわけではないはず。介 護保険で本来払わなければいけないものを医療保険で払っていたわけではないはず。 それが、入るところが老健施設などに変わってしまったらなぜ医療が減るのか。そ れがわからない。 (川尻計画課長)   何が医療サービスか、何が介護サービスかというのは割り切りの問題というとこ ろもあり、今までは医療療養病床で行われているサービスは医療のサービスである というふうに割り切って、医療保険でサービスを提供していた。だから、医療療養 病床でサービスが提供されるものは医療ということだが、その中の利用者の数が変 わってくる。介護の施設に移られた場合には介護サービスを受けていただく形にな るので、介護保険で給付をする。 (喜多委員)  もうひとつよく理解できないが、介護型の療養型病床群に入っている人も、本来 医療を受けていて医療保険で見てもらわなければいけない部分も、それはどんぶり 勘定で介護に入った者は介護で見ていた。だから、今度は医療型の療養型病床群が なくなって老健施設か何かになれば、当然それは収容施設が増えるから、何となく 介護保険の1,000億が増えるというのはわからないことはない。しかし、医療保険 が4,000億それで減るというのは今までどんぶり勘定でお出しになっていたという ことか。イエスかノーか、どちらか。 (川尻計画課長)  試算の前提から言えば喜多委員のおっしゃったようなことかもしれないが、医療 のサービスとして割り切っていたところに過剰な部分があったということは確かだ と思う。 (漆原委員)  療養病床が再編される先が老健施設等となっているところから、老健施設の役割、 機能というようなものについて議論の中心にこれからなっていくのではないかと思 っている。  ただ、老健施設というのはこれまで、在宅復帰、在宅生活支援施設であると定義 づけられていたわけで、一方で、療養型病床というのは長期の療養が必要な人にケ アサービスを提供する施設であるというふうに位置付けられてきたわけである。た だ、老人保健施設の在宅復帰率が低いじゃないか、長期に偏り過ぎていないかなど、 いろいろな意見があったのは事実。そこで、療養病床の実態というか、今の役割と いうものがここの資料にたくさん出てくるが、これは療養病床と老健施設と特別養 護老人ホームと、制度の違った3施設が存在するデータ、したがって、これから変 えていくならば老健施設、療養病床の在り方、その辺を議論していかなければなら ない。  せっかく議論するのなら、できたらこれからの議論の中には将来の施設体系、先 ほどたくさん御意見が出ていた居住系サービス等も含めて、もう少しこれからの在 り方というものを見据えた議論にしていけたらいいと思う。  老健はずっとできてから役割、機能は1つで、類型は1つだと思っているが、だ から、老健の在り方を変えるのはもちろん考えなければいけないが、中心に据える 役割、機能というものはそんなにぼやけるものではないと考えている。 (天本委員)  花井委員のご発言について、これからは高齢者の看取りという問題で、今までタ ーミナルケアとかいろいろなガイドラインが出ているが、今、亡くなっていらっし ゃる方の7割、8割を占める高齢者のターミナルをどうするかという議論が余りに も少ない。それから、法的にも整備できていない。これから介護保険施設等の医療 の在り方を考える時には、どうしてもその問題が非常に重要。これに対して法的な 整備もしていただく必要がある。 (木下委員)  療養病床の転換について、病院についてのイメージは出ているのだが、山本委員 から指摘があったように3床とか4床とか少ない介護療養型医療施設の転換のイメ ージというものが見えてこないので、その辺も次回ひとつお願いしたい。 (大森委員長)  それでは、4、5、6の資料を簡単に御説明いただきたい。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料4〜6を資料に沿って説明。 (大森委員長)  ありがとうございました。それでは、今、説明のあったことについて何かお気付 きの点はございますか。  (田中(滋)委員)  資料5について、3枚目の入居者イメージの中で、持家はすなわち富の高いこと の象徴のように読めるが、ここは実は一番格差社会の格差があるところ。ほかはす べて最低基準があるのでそんなにひどいものはないが、持家について、上は金額で 測れないようなものから、下は全く資産価値ゼロ、転売可能性ゼロの持家もある。  確かに50年前に資産形成したのかもしれないけれども、現在は価値ゼロの家は幾 らでも存在する。持家すなわちリッチだという書き方は経済的な視点から見ると言 い過ぎではないかと考えられる。 (榎本室長)  その点は、今後注意して整理していきたい。 (井上委員)  継続居住をどこまで保証できるか、例えば、要介護4や5でも本当に天本委員の 資料で黄色になっている住居で継続居住できるようにするのかどうか。それができ ないと、当然施設へ移ることになるが、その時点で、住宅に住んでいる間は個人に サービスが届いているが、施設に移ったら施設のパッケージに対してサービスが届 くという形になり、そこで生活が変わる。だから、そこのレベルを一体どこに設定 するのかは、議論として必要なのではないか。  それから、介護はどれくらい必要かという話を今はしているが、そのことと看護 や医療がどれくらい必要かということはちょっと軸が違うと思う。 (大森委員長)  超高齢社会像の資料について、これは専ら高齢者人口の推移だけ書いてあるが、 白書の方は3部構成で書いたような記憶がある、従来、年少人口と生産年齢人口と 老年人口を3区分して、ただし15歳以下のあの区分は実態に合わないので20歳か ら64歳くらいの区分でそれがどう推移するかをみる。  この表で一番深刻になるのは、東京だと思う。だから、次回で良いので、もう既 にこれから何十年先の姿がある特定の地域で実現しているわけで、これから東京の ようなところが動いていくと絶対数が増える。今のままでいくとどうしようもなく なる可能性もあり、どのくらい東京の人たちが認識しているかどうかわからないが、 その人口の推移が具体的にどのくらいのニーズを生み出すかについて、その3区分 と、特に深刻になる都市部のイメージがわかりやすいような表をちょっと工夫して 作成いただけるとありがたい。白書にちょっと手を加えればできると思うので、そ の表を次回ぐらいまでに御準備していただいたらどうかと思う。ここだけではなく て、もうちょっと幅広に人口の推移を見ておいた方が良いのではないか。  東京の人は安閑としておられるかもしれないが、既に学ぶべきことは地域で起こ っていることだから、どうなっていくかという推移を見る必要がある。そして、き ちんとそのことを伝えてあげる必要がある。都市部の人は安閑とし過ぎているので。  もう少しきちんとした数値を示す必要が出てきているのではないかと私は思って いるので、追加で結構だからこれをもう少し充実させていただいたらどうかと思う。 (天本委員)  日本の特徴というのは病院での死が8割、大都市であれば9割ということで、こ れはお金の問題よりもお年寄りの本人の意思、意向の尊重ということからは随分懸 け離れていることを私も体験している。  いろいろなニーズ調査からすれば、自分の家の畳の上で亡くなりたいという80歳、 90歳がおられる中で、食べられなくなったらどうするかということは本当に我々医 療を提供する側においても深刻な問題なので、この議論は避けないでいただきたい。 高齢者医療の在り方という際に、その場所の問題と在り方について、もちろん結論 を出すことではないと思うが、いろいろな視点での議論、また、法的な整備という ものも必要と思う。 (井部委員(代理:古橋参考人))  今後多死時代に入っていく中で、人々が死に場所をどこにしていくかということ はとても大事で身近なテーマになっていく。そのときに、現場で見ると、日本の場 合、家族の方々は点滴がなされていることが、ある意味で医療を受けていて親御さ んを手厚い医療のサービスに置いているというように思われる方が比較的多いよう である。だから、点滴だけでもしてくださいというようなことをおっしゃりながら、 結果的に死をお迎えになると、死後の状態が非常にむくんだり、皮膚からじわじわ と水分が出たりというような状況になることがある。  そういう中では多死時代の医療の過不足ということが十分議論されて、過剰な医 療ということに対してはやはり検討が要るのではないか。そのためには国民的なデ スエデュケーションというか、死の迎え方ということを、国を挙げて、あるいは地 域の人たちから学ぶ必要があるのではないかと思っている。  飲食を伴う住まいを保障しながら、そこでどう世話を受けるか、世話をするかと いう切り口と、医療の提供の過不足ということも合わせて検討される必要があるの ではないか。   先ほど花井委員からも出ましたが、私もデータが古いとはいえ、介護療養型医療 施設でのこの医療は本当に適切な頻度で行われているのかどうかについては少し検 証が要るように思っている。そういう点では、介護の中の医療提供というものが過 不足のない状況とはいかなるものなのかということの議論が十分になされる必要が あって、やはり終末では手をかけ過ぎない。これは言い方に語弊があるかもしれま せんが、過剰になり過ぎないというようなことの検討が介護を提供する施設の中で 議論される必要があるのではないかと思っている。  もう一つは特養の方での看取りの意思、意欲というものは少ないように思う。先 ほどの議論では、特養というのは果たして介護施設の位置付けでいいのかという御 意見もあったが、そういうことも含めて病院ではないところの看取り方というのは 何なのか。あわせて地域から、外側から提供するサービスというものの質を考える。  医師の訪問診療もこの度、重視されたけれども、私は看護職、介護職の訪問サー ビスに対する評価というものがもっと広がって、十分高く評価されていく必要があ るのではないかと思っている。 (木下委員)  アンケートの種類によって20歳以上とか40歳以上とか、いろいろな年齢で取ら れているので、高齢者の死に方などについてはある程度の年齢の人に聞かないと、 20歳の人に聞いてもイメージがわかないと思うので、その辺のデータの取り方も研 究していく必要がある。また、個室ユニットケアの整備計画というものが前に出さ れていますが、その比率も変わってくると思う。個室ユニットケアについて、どう いう人にどういうサービスが適切かという議論が余りされていないと思うので、意 識障害のある人に本当に個室ユニットがいいのかどうか。人員配置等、効率、その 辺も一度議論をしておく必要があるのではないかと思う。  それから、最近ある診療所の先生に聞いたが、訪問系サービスについて計画を組 んで行くとき、宅急便と同じように何時に来てくれという希望が結構増えてきた。 自分たちがいない間に来たら困るということもあるという話も聞くので、サービス というのは難しいものだと実感したところだ。 (大森委員長)  患者側からだと、そういう希望はあると考えられる。ジャスティングサービスと いうのはそういうことではないかということになる。  いろいろな御意見が出ており、私どもで全部本当に議論としてカバーし切れるか どうかはわからないが、今までの議論で言えば周辺のことが大筋の議論としてしな ければいけないような時期にどうやら差し掛かっていて、どこかで正面から私ども なりに議論しながら与えられた任務を果たしていかなければいけないかと思ってい るが、本日は以上でよろしいでしょうか。 (天本委員)  先ほど看護、介護の重要性ということで、これからは箱の問題と、システムの問 題と、やはり人の問題で、特にこれから在宅においては御指摘のとおり看護師の数、 質が相当必要になってくると思っている。  ただし、現在、病院の方で看護師の不足など深刻な問題が起きて、なかなか在宅 への看護、介護、特にこれから経済がある程度よくなってくると、残念ながらこう いう職種を希望される方が減ってくる傾向が今までの歴史からもあるので、そこに どう取り組むかというのは並行してやらないと、在り方だけやって実際の人の問題 に対応しないと非常に大きな問題になると思う。そのあたりの資料も余りないと思 うので、検討をよろしくお願いする。 (木下委員)  今の天本委員の御意見に関連して、人手が少なくなる中で介護保険制度というも のが改正の度に複雑になってきているということで、是非簡素化できるところがあ れば簡素化するという方向も検討していくべきではないかと思う。 (大森委員長)  貴重な御意見であり、考えていかざるを得ないと思う。  それでは、事務局へお返しする。 (川尻計画課長)  次回の開催については、本日、資料の要求等も多くあったので、ちょっと時間が かかるかもしれないが、資料の用意もした上で日程調整をさせていただき御案内す る。 (大森委員長)  いろいろ段取りを考えると、年内に開く必要は出てくるのか。年度ではなくて歴 年で12月までの間にということ。 (川尻計画課長)  年内には準備をさせていただきたいと思う。  ただ、今日御要求のあった資料の中で、新しく調べなければいけないものについ ては間に合わないものが一部出るかもしれないので、その辺は御了承いただきたい と思う。    ○ 大森委員長より閉会の宣言。    照会先: 老健局 地域ケア・療養病床転換推進室      TEL 03(5253)1111(内2176、2177)