06/09/26 食品衛生分科会表示部会食品表示調査会第30回議事概要 第30回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要 1.委員の出欠   長野委員が欠席。 2.概要 <議題1について> 事務局より資料について説明。 座長(丸井):資料1に基づいて、事務局より説明頂いた。原料原産地  については、個別ではなく横断的に線を引きたいということで、議論  をしてきた。パブリックコメント、そして、7月24日には公開ヒアリ  ングを開催し、資料を提出して頂いた。緑茶飲料並びにあげ落花生に  ついて、追加をしたらいかがかということだが、この原案について委  員の皆様からご意見を頂きたい。 沖谷委員:緑茶飲料とあげ落花生だが、前回の20食品群を決めた時に、  その時の私の理解だが、緑茶飲料も果実飲料と同様に抽出したものを  いろいろブレンドしているという理解をしていたが、先日の公開ヒア  リングでの実際の生産者の話では、茶葉の段階でブレンドして、緑茶  としてそのまま売るものと、抽出して売るものとほとんど同等である  という説明があり、お茶を買っても茶葉をそのまま食べるわけではな  いため、抽出してしまうことから同じものであると理解した。果実飲  料の場合は、非常に高度なブレンドを行っているということで、生産  地の品質によらない状況であるということだった。落花生については、  前回の際に意見陳述があり、いり落花生は、国産と中国産とは誰が食  べてもすぐわかるということだった。生育した土地の影響で、確実に  違いがあるとのことだった。火山灰地である関東ローム層で生育した  落花生が、国産としては非常に美味しいと認知されている。その際、  バターピーナッツも同様であるとは誰からも出てこなかったため聞き  落としていたということで、今度はつまみの中に一緒に混ぜていると  聞いたので、それは整合性の意味から当然である。揚げても産地によ  る特性が変わるわけではないということだったので、あげ落花生につ  いても原産地表示をした方が良いと認識した。 座長:私も7月24日の公開ヒアリングで、今のご意見と同様に、非常  に、なるほどそうかということが、様々な食品について感じさせられ  る点がいろいろあった。今、沖谷委員から話があったが、その他に全  体的にご意見があれば、頂きたい。 門間委員:結局、お茶とバターピーナッツが残ったわけだが、基本的に  義務化ということに関しては疑問を感じている。お茶の場合、大手の  企業が先日のヒアリングで聞いたところ、非常に表示が進んでいる。  そして、問題は中小企業であるということを聞いて、要するに消費者  ニーズに大手の企業はどんどん対応していっているわけで、難しいの  は中小企業をどのようにやっていくかというところである。中小企業  の方々というのは、国産と外国産の切り替えで今までやってきて、そ  こで価格変動に対応していた。それから、抽出工程は確かに原理的に  は単純だが、大量のものの味を保つことや衛生管理をすることはかな  り技術がいることだろうと思う。そのようなことから、あまり単純と  の言い切れないと考えている。また、ニーズに合えば表示というのは  企業が自発的に行っていくことであり、義務化までする必要はないの  ではないかという原則があると思っている。お茶については、中小企  業にそこまで対応させ、義務化して、直ちに対応できるかどうかとい  う問題の一点で少し疑問を感じているところである。それから、バタ  ーピーナッツの方だが、先程事務局から説明があったが、揚げたもの  は基本的には対象にしなかったはずである。揚げるというのは、かな  り高度であり、タンパク質や脂肪といった組成を変えてしまうことで、  原則的にはやめておこうという話だったと思う。ただし、ピーナッツ  の品群から言うと、仰ることも、また物を見ても、そうだろうと思う。  大原則はあるが、そのまま通すというよりは、これは非常にピーナッ  ツの特殊性だろうと思っており、業界もそれで良いと言っているとい  うのであれば、敢えて業界の意思を尊重したいと思っている。一つ問  題は、その話を聞いていて、バターピーナッツと言うのにバターを使  っていないというのはおかしいのではないかと思うが、別の話だとは  思うが、どうしたものかという疑問があったのだが、その点について  はいかがなものか。 事務局(足立):バターピーナッツについては、日本商品標準分類の中  でいわゆる落花生を使った加工品というものが分類されている中でも、  バターピーナッツということで整理されている。今回、いり落花生が  対象になっていることと整合性をとる観点から、バターの使用の有無  とは別に、あげ落花生ということで整理している。 座長:そのような名前であるということで、現在のところ、それで通っ  ているという、やむを得ないだろうと思うが、人の名前のようなもの  である。先程から議論されているが、そもそもの原料原産地表示の線  を引くというところで、我々が議論した基本的な原則は変えず、その  中で少し現状が変わってきているものについて見直しをしようという  ことで、今回行っているわけである。只今のあげ落花生、バターピー  ナッツに関して、特に反対意見もなかったということで、緑茶飲料と  果実飲料、あるいは野菜飲料とは違うのではないかということが、今  回の公開ヒアリングなどでは随分出てきたところだったと思う。 板倉委員:緑茶飲料については、今宣伝しているようなものを見ると、  生葉から直接抽出しているというか、抽出エキスを使っているような  ものとか、かなり、我々が緑茶を煎れるというものと違うものも商品  として出てきているというのがあって、必ずしも緑茶をそのままで抽  出しているわけではないと思う。ただし、消費者側としては非常にこ  れに対しての表示は、希望が多いということは感じているので、他の  皆様が賛成という中で否定をしたいとは思わない。一方、原料原産地  の表示のQ&Aでは、インスタントティーということで、抽出物について  も表示義務とされている。加工度という意味では抽出物を固めたよう  なものに義務を課しており、緑茶飲料というのは、それより加工度が  低いというようにも読めてしまうため、どのように加工度について考  えたら良いかということについて、整理できていない。原則としてと  いうところで、どこまでを原則とするのかというのが非常に難しいと  思うが、やはり、加工度の差、加工度をどのようにするのかというの  が、非常に中途半端なままできていて、ある時は加工度が低いとか、  ブレンドは加工度が高いとか整理されていないというのが、引っかか  る。また揚げるということについても、ピーナッツの場合は揚げると  いうことについて認め、他のものは認めないという点については、そ  れなりの根拠を整理しないと、なぜ片方は揚げるものまで認められて  いて、もう片方は揚げるものまで認められないかについて、筋が通せ  ないような気がする。だから、バターピーナッツを表示するしないに  ついて、皆様が似ている、似ていないというだけの、感覚的なことだ  けで決めるのであれば、それは、ここの委員会の考え方としていいの  かもしれないが、そもそもの原則論が変わってないというよりは、例  外規定として、違うから例外として認めるという立場であれば、それ  は一つの考え方だと思う。食べたところそうだったとか、抽出したと  いう話を聞いたところどうだったとかということで、加工ということ  に対して我々はどのように考えるのかとか、加工の程度というものを  どのように考えるのかというようなことを曖昧な中で、品目を決めて  いくこと自体は好ましいことだとは思わない。それから、野菜飲料や  果実飲料の件だが、ストレートジュースについての話もあったが、結  局、それを分けずに果実飲料、野菜飲料という形で、議論がされてい  る。餡などのように加糖餡は認めないとか、非常に中途半端なところ  で切っている部分が一方であるにも拘わらず、ストレートジュースの  ようにほとんど加工度が低いというように考えられるものまで、果実  飲料の中に入れて、全部一まとめに加工度が高くて非常に手がかかっ  ているから、ブレンドしているからというような形で組み込んでしま  う議論の進め方については、やはりもう一度見直しておくことが必要  だと思われる。 座長:後の議論に移る前に、先程のインスタントティーについてのQ&Aの  現在の状況と、今回の緑茶飲料との関連についてだけ、少し事務局の  方から説明を頂きたい。 事務局(足立):20食品群の原料原産地のQ&Aが示されており、この中  で煎茶等が例示された、最後にインスタントティーということで、緑  茶から水溶性固形成分を抽出し、これを濃縮乾燥し、粉末状又は粒状  にしたもの、これについても、原料原産地表示の今回の対象の緑茶の  中に含まれるということが示されている。当時の考え方として、いわ  ゆる緑茶という形で売られているものについては、基本的には対象に  するということで、フリーズドライといったものまで含めて原料原産  地表示の対象にしているということだと思われる。   緑茶飲料との関係で、緑茶の茶葉から特定の成分を抽出して、これ  を混合する場合というものも考えられると思うが、これについては、  最終的にはQ&A等で考え方を整理する必要がある。緑茶(リーフ)の  原料原産地は使った茶葉の原料原産地表示を義務付けていることから  すると、緑茶飲料については原材料名欄のところで、茶葉なり緑茶と  いう表示と、例えば最近、カテキン抽出物のようなものを使用した商  品があるかと思うが、それについてはカテキン抽出物のような、抽出  したものが書いてあるので、茶葉として、いわゆるお茶の部分として  の原料として使ったものについて原産地表示を付けるという考え方に  なると考えている。 座長:板倉委員からは、加工食品について、ある意味では基本的な考え  方についてご意見があり、生鮮食品と加工食品の境目というのは何な  のかなどの問題も含め、この委員会でもずっと議論している。それは、  先程の落花生というものと加工度の関係で、もう一方では食品の分類  というものが、本当にどのように分けられるのかという、大元の問題  である。また、緑茶飲料の飲料という時の食品としての水というのを  どう考えるか。フリーズドライの場合には水がない。ということで、  水というものを食品分類上どのように考えていくのかというような問  題もあり、非常に基本的というか、根源的なご提案があったと思うの  で、これは今までも、これからも、そう簡単には解決できない問題だ  が、是非ちゃんと記憶し記録しながら、議論を続けていきたいと思う。 神田委員:板倉委員の意見と同じだと思うが、29ページで、今後の見  直しについての課題ということは示されているおり、今後やるとの話  だったと思うので、おそらくその中に板倉委員の仰ったことも含まれ  ていくのだろうということも思っているが、今回この考え方に基づい  て実際にやってきて、やはり曖昧さが残るというか、問題点がハッキ  リしたのかなという感想を持った。確かに、生産・流通の実態が大き  く変化したものという項目もあり、これは少なくても今回の対象にし  てあるし、少なければ多くないと言っているし、そういったこともあ  る。それから、加工度の問題も依然わかりにくさが残っているので、  特にベーコンやローストビーフなどは、消費者の感覚からすると、肉  そのものである。だから、それらの加工度が高いからということで、  今回対象となっていない。基本的には、これまでの考え方を基本にし  ているので、今回はやむを得ないと思うが、消費者の感覚からすると、  それは、例えばミックスされるとか、いろいろな混ぜ物があるとかと  いう場合は、難しさがあるかもしれないが、肉そのものに加工を重ね  ても、肉であるから表示という視点からすると出来るのではないかと  いうように自然に思う。そういったことも、何か納得感の無いような  終わり方をするので、この辺もきちんと整理していって、是非こうい  ったところが対象になるような整理の仕方が必要だと思われる。 小笠原委員:緑茶飲料についてだが、緑茶飲料の生産量というのは、平  成17年と平成11年を比べると4倍に伸びている。それで、原料茶  葉の輸入量は、平成17年と平成11年を比べると26%伸びている  わけだが、選定要件で2ページの(1)のところで、「製造・流通の  実態においては、国内での加工品の製造量、消費量が大幅に増加」、  これには該当すると思うが、「原料の輸入量が大幅に増加」、これに  該当するのかどうか、ここは”or”だと考えれば該当すると読めるか  もしれない。ただ、(2)で「20食品群の選定の基本的要件」のと  ころで、「原料の調達先が海外も含め多様であること」と要件に書い  てあるが、前回のヒアリングの議事録を見てみると、輸入の割合とい  うのは5.7%というような数字も出ていたが、そのようなことから  考えて、これが選定の要件に該当すると言い切れるのかどうか、少し  疑問に感じたのだがどうなのか。 事務局(足立):ヒアリングの時にもあったが、お茶の場合は、国内の  生産において1番茶、2番茶、普通この辺りまでということで、あと、  秋冬番茶もあるかと思うが、需要に応じて3番茶、4番茶といったも  のを摘んでいく。このため、国内で需要量が増えたときに、海外に頼  るということと併せて、本来であれば製品にならない3番茶や4番茶  を、場合によってはその先もあるのかもしれないが、国内そのものに、  緩衝能力というようなものがある。そういうことから、原料のリーフ  の輸入量が必ずしも一方的に増えるということではなく、増減がある  というような状況になっているということかと思う。それから、原料  と輸入量との関係だが、第25回共同会議の時に、お茶に関しての資  料を提出しており、このときに調べたいろいろな数字に関して示され  ていたが、いわゆる荒茶の生産量というところで、平成16年で国内  生産が約10万トン程度、これに対して輸入量が約1万7千トン程度  という調査結果が示されている。平成15年の輸入量は1万トン程度  ということで、まさにこの辺りが、お茶の状況として国内の需要に併  せて、1番茶、2番茶に加えて3番茶、4番茶のようなものが緩衝能  力としてあることと、それとは別に、輸入茶というものについて、そ  れを輸入することを組み合わせることによって、製造や流通が保たれ  ていると。輸入量としては中国茶がほとんどを占めているということ  ではあるが、そういうことでは、海外も含めて多様であるという要件  に当てはまっているのではないかと考えている。 増田委員:緑茶飲料については、たまたま非常に安い茶飲料を飲んでみ  たが、中国製と書いてあり、非常に不味かった。それはたぶん抽出ま  で中国でやって、極めて安い価格で出回っているものだろう。日本茶  というのは、日本の食文化を支えてきた飲料だとするならば、茶飲料  にはそれなりの責任があり、日本の味覚を育てるという役割もあるの  ではないかという気がする。   とはいえ、最近とても多くなっているのが、生活防衛型の食品スー  パーである。見ると中小のメーカーからの商品が多いと思われる。表  示が厳密になっていけばいくほど、中小の加工業者にとっては大変な  ことだろうと思う。結果、いわゆるメーカー品というか大きな食品加  工業者は経営の中で吸収出来るかもしれないが、中小加工業者にとっ  ては大変なことではないか。消費者にとっても、安全と安心の反対側  に生活防衛ということもあって、見てみれば生活防衛型と思われるス  ーパーというのは非常に混んでいる。表示というのが加工業者にとっ  てどう受けとめられているのか。公開ヒアリングの意見を見ても、加  工業者にとっては反対、消費者にとってはやって欲しいという、両極  端になってしまっているのをどこで整合性をはかるか、どのような判  断をしていくのか。例えば、緑茶飲料に代表されるように、日本の食  文化を育てていく、守っていくという役割がある反面、片方では価格  を守るというつらさがあるのだろうということが、大事な視点ではな  いだろうか。食肉加工品でも言われたが、同じベーコンでもいろいろ  なものがあるので、厳密にしていけばしていくほど、中小の加工業者  には経営がつらいことになるということも、片方で気になるところで  ある。 小笠原委員:増田委員に触発されて発言するが、公開ヒアリングの意見  を見ると、緑茶飲料の場合は8割方は国産と原産地表示しており、し  ていないのはどちらかと言うと中小メーカーであるというような感じ  だったと思われるが、そのような実態であれば、小売としては、義務  化された場合原産地表示が無いとJAS法の違反になるため、コンプライ  アンスを重視する小売は扱えなくなる。そうすると、結局、義務化さ  れた場合、流通から外れていく。それで、中小零細のメーカーにその  ような義務化までして、排除して良いのかどうかという疑問も感じる。  大手が8割やっているのであれば、それはそれで任意表示でやってい  くのも一つの手であるという感じはする。 座長:先程、始めに門間委員からも同様の主旨のコメントがあったが、  大手だけではなくて、中小が実際、表示、特に原料原産地表示をきち  んとやっていけるのかと、むしろ今までにも何度か議論が出てきてい  るが、大手だけを優遇するような展開になるのではないかという危惧  もあるという意見もいくつか出たところではあるが、その辺りを本当  にどうしていくのかというところが、難しいところである。 板倉委員:今、食の安全を考えるときに一番心配すべきは自給率の問題  だと思う。原料原産地に対して厳しく、原料原産地を表示しなくては  ならないとなれば、海外で製造し、そのまま輸入した方が安上がりで  あり、加工食品の製造工場が海外に移転するというようなことも含め  て、実際に例があると聞いている。例えば個々の農産物の細かい部分  について、自給率としてどの程度になっているのかという情報自体が  消費者にはわからない。バターピーナッツの話にしても、いりさやの  ピーナッツであれば、国産が多いのだろうが、バターピーナッツでは  国産はほとんどないので、中国産であると知らせたいという生産業者  は思うのだろうが、それをやったからといって、買う方からすれば、  一つは美味しさという意味でも食べ慣れたものが美味しく感じるとい  うことから考えれば、本来の国産の味を知らない消費者には、中国産  であろうとアメリカ産であろうと美味しいと思い、安ければ買うだろ  う。そのようなところまで含めて、どの程度まで原料原産地表示をす  ることが、最終的な我々の安全安心を守るための自給率の確保、ある  いは上昇というところに繋がるのかということを考えて、本当にどの  程度までの原料原産地表示をするべきなのかを、もう一度見直すとい  うことが必要であると思う。 松岡委員:製造業者、事業者側の大手と中小の話が出ているが、前回の  ヒアリングの時もそうだが、もち加工等については地元で協同組合を  作り、中小の方が国産100%でやっており、むしろ外国産を大手が  使っているので、きちんとすべきだという意見があった。だから、大  手と中小だけの議論ではなく、国産、地元産を地産地消できちんと行  っているという面もあるということも踏まえておくべき。今、板倉委  員から出た話は、加工度の判断基準なり、あるいは実行可能性のとこ  ろが少しぶれているというのもその通りであるし、聞かれている皆さ  んで納得いかないという方もいると思われる。これについては、議論  を成熟させていくしかないと思っている。実行可能性の理屈とブレン  ド等の加工度の問題が、立場や都合によって議論させるのでなく、一  つ一つ実態に応じて詰めた議論をしていくことが大事ではないかと思  う。特に、極論と極論のぶつかり合いが食の安全安心は多い。また、  義務表示という、”義務化”の問題である。門間委員の業界のスタン  スからいけば、当然義務となれば、ポリスマン、取り締まりの世界に  なってしまう。一方で、取締りで食の安全安心が進むかというと、必  ずしもそうではない。ティーチャーが必要である。4月3日に取りま  とめた、「更なる推進について報告書」の最後ページの「義務表示と  任意表示、更には表示以外の任意による情報提供の方法など、相互関  係のあり方や実態を踏まえた検討が必要となる」という取りまとめ、  今回も29ページにある取りまとめの議論が重要だと思っている。消  費者のリテラシーというと少し語弊がある言葉かもしれないが、やは  り、「メーカーが何故できないのか」や、「原産地の実態はどのよう  になっているのか」等、表示以外でもお互いに、情報交流を通じなが  ら信頼関係を作っていくということであり、義務表示の議論だけをし  ていると信頼関係という目標が見えなくなってしまう。ポリスマンと  しての取り締まり強化だけでなく、消費者の商品選択にかかるリテラ  シーの向上につながるような、ティーチャーとしての情報提供・開示  のあり方についても議論を成熟させる、あるいは品目ごとの実態をき  ちんと調べて、できることとできないことを情報開示し、信頼関係を  高めていくような方法を追及していくということが王道ではないかと  思う。だから、極論と極論の議論をしてしまうと良くないのではない  かと思う。 座長:だいぶ、共同会議のこれから議論すべきこと、残っている課題に  ついて今日は随分と意見を出して頂いたと思う。たしかに、消費者も  様々で、先程話があった、安ければ良いと考えて生活する消費者もあ  るし、実に様々な情報が欲しいという消費者もいて、その消費者と事  業者、生産者との関係というのも、ご指摘のように極論へ話がいくと  いうのは問題である。少なくとも共同会議の場は、その辺りのところ  を、相互理解を深めながら、議論が少しずつできる基板を作っている  かと思うが、非常にたくさんの今後の課題があり、今日は非常に重要  なご意見を出して頂いていると思う。 米谷委員:今回は、「流通実態が変化している」と「原産地によって製  品の品質がかわってくる」という2つの観点で、義務化するかどうか  を選定しているわけだが、書面にある意見を読むと、賛成はやはり消  費者の立場は国産を食べたいという意見が多く、これは最初から予想  通りだったと思われる。任意表示に頼れば良いのだが、表示が無い場  合には選べないということで、なんとか表示して欲しいということだ  ろう。この賛成の方が要望しているのは、国産か外国産か、それだけ  でもいいから表示して欲しいように受け取れる意見もいくつかあった  と思う。国産のものを選別する手段が欲しいということだと思う。   表示全般で見ると、例えば食品添加物であれば10数年前に全面表  示を行い、あの頃は中小の方に負担がかかるという意見もあったが、  今のところはなんとか動いている。アレルギー表示、あるいは遺伝子  組換えに関しても、我が国が先駆けて表示を行ってきているわけであ  る。一方、原産地表示だと、表示されている品目は加工食品では少な  いということで、一部の消費者の意見を聞くと、農林水産省、あるい  は厚生労働省が隠しているのではないかという意見もある。小麦や大  豆で、輸入がどれだけあって、国産がどれだけあるのかわかれば、全  体に自分たちが外国産をどれだけ食べているか想像できるが、書いて  いないため、騙されているのではないかという方もいる。将来的には、  今回の報告書の第3章のところに書いてあるが、外国産のものは外国  産と書けるような表示の方法も考えて、今後はやっていかないといけ  ないのではないかと思う。 神田委員:消費者のことが出ているので一言発言したい。義務化を全て  においてしようという議論は、ここではしていない。選定する上で、  選定の仕方に今の段階では、わかりにくさがまだまだ残っているとい  うことを指摘したい。今の発言のように、選別の手段が欲しいという  ことであり、選定されない理由が複雑であり、加工度が高かったり、  複雑であるからできないというのだが、逆に言うと消費者のところで  は、加工度が高かったり、複雑になるため、誰がどこでどのように作  っているのかわからないので、情報が欲しいという真っ向から対立す  るギャップがある。だから、そのようなところで、できるところは情  報提供していく。あるいは、いろいろな情報手段で情報提供していく  というと、トータルで考えると思っているが、複雑になればなるほど  わからないから、知りたいという、不安だということがあるため、そ  こを解決する方法を考えていかなくてはならないと思う。いろいろな  情報提供のあり方を、どんどん事業者からして欲しい。そのような状  況があるなかで、この議論ができれば、真っ当な議論ができるのかと  思う。 座長:食品表示そのものの機能や目的が、今いくつか発言されたように、  非常に大事な役割を担っていると思う。本日初めのところでも、思っ  たが、義務表示と任意表示をどのように組み合わせながら行っていく  か。全体としては原料原産地がわかるような、できるだけ表示として、  また他の方法でも、消費者がわかるようなところに全体として持って  いく。その中で、まず実行可能性の高いところで少しずつ進めていこ  うということで、一線をきちんと引くことは難しいが、品目横断的に  ある程度は共同会議で線を引きながら、少しずつ可能なところに広げ  ていきたいということで、今まで考えてきたし、これからもその方向  で行っていくことになる。今日、様々な立場で重要な項目が上がって  きたので、非常に良い議論になったと思う。論点を改めて整理して、  原料原産地表示だけでなく、表示全体について、ある意味もう一度共  同会議で初心に戻るようなところで、これから先の検討の材料にして  いきたい。いろいろ議論があり、大枠の原則を作ってきたわけだが、  今回始めに紹介があった、たくさんの品目について、選定要件等との  関係を見直して、緑茶飲料とあげ落花生については見直して、20食  品群の中に加えていっていいのではないかということについていかが  だろうか。 門間委員:今日の意見であれば、緑茶飲料については疑問があるという  方が多いと思う。それについては問題であると考える。また、原料原  産地表示を広げようというように、この場ではなっていなかったと記  憶している。原料原産地表示が意味のあるものについては、行ってい  く。そして、あまり加工度の高いものについては、元々原産地よりも  加工の技術の方が前に出るものについては、それはそこまでの必要は  ないのではないかという整理がなされたと思っている。だから、原料  原産地の20食品群選定の時には、原料がその製品に対して非常に大  きな影響をもつものに限定して行っていこうと、それは、業界の負担  も考え、その表示の意味も考えて、必要なものについて行うというこ  とだった。その兼ね合いで、今の原料原産地表示の基本的な考え方が  あったと記憶しているがいかがだろうか。 座長:先程発言したのは、一つは20食品群という話は、義務表示の話  であって、義務表示で先程警察的だとありましたが、全てを義務表示  する必要があるということは、議論したことがない。ただ、消費者が  知りたいと思っているときに、義務表示の形、あるいは他の形で情報  をきちんと提供できる、そのようなところに持っていく必要はあると  いうことで、決して全食品を義務表示にする必要がある、あるいはそ  のような方向へ持っていこうという議論はしていなかったと思うし、  そのようなつもりもない。そこで、先程の緑茶飲料については、まだ  疑義が残っているのではないかという、門間委員からの意見があった  が、これについてはいかがだろうか。もちろん、これから先、議論す  ることは可能だが、この半年程度で見直しをしようとしたプロセスの  中で、他のものは必ずしも大きい変化がない、あるいは、実行可能性  が十分でないということで、緑茶飲料は可能であろうと、必要であろ  うというような形で提案が出された。緑茶飲料について特に意見はあ  るか。 渡邉委員:今日の議論を聞いていて、緑茶飲料のケースを想定して、い  ろいろ意見が出てきたが、表示に頼らないいろいろな取組もあるとい  うこと等も、具体的に検討することを共同会議で継続してはどうか。 座長:それは、具体的には緑茶飲料についてか。 渡邉委員:今日、結論を出すわけではなく、事務局の提案としては表示  義務対象にするとのことだが、8割程度が自主的に表示されている実  態があるのも事実である。やはり、中小企業はハードルが高いのであ  れば、義務ではない形でできる方法はあるかどうか。いわゆるケース  スタディーという形か、具体的にヒアリングをかけたりしながら、緑  茶飲料をどうしたらより納得した形で進めていくことができるのかを  討議していってはどうか。 座長:しばらくペンディングしてはどうかという意見だろうと思うが。  あげ落花生については、あまり問題がなかろうということだが。 上谷委員:緑茶飲料については、供給度が非常に高いので、必要以上の  表示は求めていないのだが、緑茶の原料原産地は、茶葉を摘んだとこ  ろではなくて、荒茶の製造地という記述があるが、説明いただきたい。  緑茶飲料に関しては、この会議を踏まえて何本か買い集めてみたが、  本当に自主的に記載されていることは、国産である等は記入されてい  る。一方、先日、千葉県の中高校で調査をしたところ、嗜好飲料より  も緑茶飲料の方が学生の中でも需要度が高くなっているので、その辺  りを考慮すると記載も必要であると思われる。あげ落花生は、あげ落  花生で、昔はバターを使っていたが、現在は塩だということだが、そ  れをバターピーナッツと言っていると書いてあるが、食品成分表では  別に表現してあるのではないかと記憶しているが、バターピーナッツ  というのは、あくまでも商品で別にあったと思うが、確認していただ  きたい。揚げるということでこのようになっているが、必ずしも塩に  よる加工だけではなく、あらゆる形の加工がここあると思うので、あ  げ落花生としての表示、括弧書きのバターピーナッツという表示はい  らないのではないか。あげ落花生としての対応であれば、良いと思う。 事務局(足立):まず、緑茶の関係で、荒茶の加工のことだが、お茶の  場合は茶葉を摘んですぐに荒茶加工をするというのが基本で、生の茶  葉は変化していくので、荒茶に加工して流通する。これは緑茶だけで  はなく、紅茶等、一般的であるということで、原産地、茶葉が取れた  ところがほとんど荒茶の製造地である。少なくとも国名表示という段  階において、荒茶加工地と原産地はほぼ同じであると考えられる。  Q&Aにおいても、荒茶の製造地を原料原産地とするということを明記し  ている。また、バターピーナッツの件だが、成分表は見ていないが、  商品分類では前述のようにバターピーナッツとして整理されている。  20食品群の品目選定の時にも、Q&A等で、場合によっては違う工程  を経てきても、最終製品の性状において、区別ができるかどうかとい  うことも、品目の選定の考え方に入っており、例えば、茹でたものと  いうのが対象になっているわけだが、多少の塩味や醤油味のようなも  のが付いていても、それが茹でたものということで取り扱われている  のか、あるいは、煮物ということで取り扱われているかというところ  で区分をするということで、いりさや落花生やいり落花生については、  いわゆるピーナッツということで、多少の塩味等は製品として付ける  わけであり、これについては塩味が付いていることに関して、調味と  炒りということではなく、炒った落花生として商品になっていると見  なすという考え方になっている。揚げたものについても、塩味が付い  ていたり、場合によってはバターをまぶすものもあるかもしれないが、  これはいわゆる落花生の加工品として、ピーナッツとして流通してい  るもの全体として考えるべきではないかということで、落花生の特殊  性という話も門間委員から出たと思うが、そのような中での取り扱い  ということで、揚げるという行為をあえて対象としても良いのではな  いかと考えて整理をしたところである。 座長:今の発言の中で、バターピーナッツの名称、あるいは、食品分類  としてのバターピーナッツ、あるいは、あげ落花生と食品成分表でど  う扱われているか。食品成分表は厚生労働省の栄養の方の管轄になる  と思うが、確認だけはして頂きたい。 事務局(水田):いろいろ意見を頂いたので、質問等も含め事務局から  少し発言したい。原料原産地表示について、基本的な考え方は門間委  員の発言のように、原料の原産地による品質の違いというものが最終  製品に影響するかどうかという点。この点に関しては、加工技術なの  か原料の原産地なのかが、最終製品としてどちらが重要なのかという  基本的なポイントがあり、その中で加工度というような話が出てきて  いる。消費者への情報提供というのは、義務的表示ではなく、自主的  な表示が行われているものがあるということは事実であるし、その辺  りに関しても今後検討していかなくてはならないことは、報告書にも  記載している。緑茶飲料の議論の中で、中小企業の負担という話があ  ったが、そのような観点では委員の発言にもあったが、添加物表示が  既に全て義務化をされており、中小企業も負担がある中できちんとや  っているということもあり、原料原産地表示に関しても、これまで義  務化されている品目の中では、中小企業が多いものもかなり存在する。  実行可能性という面での議論、すなわち、実行可能性がないものを義  務化するのはなかなか難しいということはあると思うが、消費者保護  という観点で行っている義務化の議論について、事業者の負担という  観点で難しいということになるのはいかがだろうか。 座長:緑茶飲料に関しての実行可能性については、大手は8割以上が実  行しているが、中小は本当に可能なのかという、少なくとも今までの  義務表示対象になったものと、それほど大きく変わらないというので  あれば、大きく変わらない程度で実行可能なのだということであれば、  その論点については一応クリアされるということになるかと思うが、  果たして本当に中小を圧迫してしまい、大手だけが生き残るかどうか  を事務局に質問しようと思っていた。本日は無理であれば、この次ま  でに実行可能性が十分あるということを委員に示して欲しい。 事務局(水田):本日、特段のものを持ち合わせてはいない。先程発言  した通りである。 板倉委員:バターピーナッツの場合だが、これは塩味だけなのか。グル  タミン酸等の調味はないのか。揚げるということに関して、一般的に  は揚げ油の風味がかなり影響すると言われている。また、7月24日  のやり取りをみていると、柿ピーという形で使われるバターピーナッ  ツに関しては、原材料の半分未満であれば表示されない状況になって  しまう。たしかに、バターピーナッツだけで売られている場合もある  と思うが、柿ピーという形で使われるバターピーナッツに関しては、  実際に原料原産地表示が義務化になったとしても、消費者は選べない  という状況になるということも含めて考えて、原則としての加工度と  いうところで、揚げても変わらないという判断をして、ここでは認め  るという結論になると考えていいか。 座長:柿ピーの場合には、ということにはどのように繋がるのか。 板倉委員:柿ピーではなく、揚げ油の風味や塩味と味の素等の調味から  すると、バターピーナッツというのは非常に加工度が高いというもの  だと思う。加工度というか、品質が本当に最終的に繋がるのだろうか  という感じがする。他の食品も同様だが。その加工度については、こ  こではそれほど高くないという判断の基にこれを認めるのか、あるい  は、加工度は高いがピーナッツとして特殊性により別扱いするという  特例事項として認めるのか、どちらなのか。 門間委員:揚げるという行為自体の加工度が高いと、元々は議論されて  いたと思う。だから、揚げるということは加工度が高いが、ピーナッ  ツの場合は横並びで見ると、商品形態としてはほぼ同様であるという  特殊性がある。加工度が高いが、ピーナッツの品目の特殊性であると  解釈している。 板倉委員:揚げるというだけではなく、調味という部分が付いてないで  販売されていると考えてよいのか。 門間委員:揚げるという行為が、加工度が高いと一応そこで線を引いた  わけだが、だから揚げてあれば塩がついていようがいまいが、加工度  が高いとみなすのが筋である。 板倉委員:ということは、特殊性により、例外的に加工度は高いが認め  るということで、ここのところで認めるということか。 座長:議論が尽きないところだが、先程、事務局からも説明があったが、  もう一度、緑茶飲料とあげ落花生に関して論点が出たので、他の品目  ではなくこの2つについて、緑茶飲料に関しては実行可能性があるだ  ろうということで提議されたが、それを再確認する形でどのようなこ  とになるのか、例えば80%以上が表示されているうえで、残りの表  示をするということができるか、必要かということを次の共同会議で  説明いただき、最終的にどうするかということを議論に残したいと思  う。また、あげ落花生についても、いくつかの最後に指摘されたとこ  ろを、これから先の品目の見直しにも係ってくるところだと思うので、  いくつかの点に絞って、この次に議論してどのようにするかを決める  方向にしたい。事務局の方で、参考資料を用意いただいたので、最後  に紹介いただきたい。 <議題2について> 事務局より資料について説明。 座長:牛肉に関連しての表示が少し話題になっているので、概要につい  て紹介いただいた。先程来、次回の共同会議で継続して議論していた  だくことをお話ししたが、次回以降の共同会議の日程について紹介い  ただきたい。 事務局(足立):次回の日程についてだが、事前にご都合を伺っている。  11月末に、厚生労働省と農林水産省に関連する国際会議等もあるの  で、12月の初旬になると思うが、まだ日時を確定していないので、  確定次第連絡したい。なお、次回は緑茶飲料とあげ落花生について、  資料を用意して議論いただくこととしたい。また今後、ご議論いただ  く課題については、次回になるかどうかはわからないが、農林水産省  で考えている一つとして米の表示の問題があり、これについては農産  物検査法等、他の制度とも絡むところなので、農林水産省の中で適宜  検討し、形になった時点で議論いただくことを考えている。 座長:それでは、本日はいろいろな活発な議論、ありがとうございます。  これにて閉会します。                               以上 【照会先】 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課   担当 松岡、有本、関井    TEL:03-5253-1111(内線2921) 農林水産省消費・安全局表示・規格課   担当 足立、京増、中村、岡谷   TEL:03-3502-8111(内線3309)