06/09/22 医療情報の提供のあり方等に関する検討会 第1回議事録 第1回医療情報の提供のあり方等に関する検討会              日時:平成18年9月22日(金) 14:00〜16:15                場所:航空会館201会議室  ○企画官(朝川) 「第1回医療情報の提供のあり方等に関する検討会」を開催いた します。委員の皆さまにおかれましてはご多忙中のところ、当検討会にご出席いただ き誠にありがとうございます。議事に入る前に本検討会の委員の皆さまのご紹介をい たします。まず日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長飯倉裕之委員 です。 ○飯倉委員 飯倉でございます。よろしくお願いいたします。 ○企画官 次に社団法人日本医師会常任理事内田健夫委員です。 ○内田委員 内田でございます。よろしくお願いします。 ○企画官 次に社団法人日本病院会副会長大井利夫委員です。 ○大井委員 大井です。よろしくお願いいたします。 ○企画官 次に健康保険組合連合会副会長小方浩委員です。 ○小方委員 小方でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○企画官 次に栃木県保健福祉部医事厚生課長小暮義雄委員です。 ○小暮委員 小暮でございます。よろしくお願いいたします。 ○企画官 次に社団法人日本医療法人協会副会長須藤祐司委員です。 ○須藤委員 須藤でございます。よろしくお願いいたします。 ○企画官 次にNPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長辻本好子委員 です。 ○辻本委員 辻本でございます。よろしくお願いします。 ○企画官 次に日本医科大学医療管理学教室主任教授長谷川敏彦委員です。 ○長谷川委員 長谷川でございます。よろしくお願いします。 ○企画官 次に埼玉県立大学保健医療福祉学部教授宮武剛委員です。 ○宮武委員 よろしくお願いいたします。 ○企画官 続いて事務局を紹介いたします。医政局長の松谷です。 ○医政局長(松谷) 松谷です。よろしくお願いいたします。 ○企画官 医政・医療保険担当審議官の白石です。 ○医政・医療保険担当審議官(白石) 白石でございます。 ○企画官 医政局総務課長の二川です。 ○医政局総務課長(二川) 二川でございます。 ○企画官 医政局指導課長の佐藤です。 ○医政局指導課長(佐藤) 佐藤です。よろしくお願いいたします。 ○企画官 医政局医事課長の栗山です。 ○医政局医事課長(栗山) よろしくお願いたします。 ○企画官 医政局歯科保健課長の日高です。 ○医政局歯科保健課長(日高) 日高です。よろしくお願いします。 ○企画官 医政局看護課長の野村です。 ○医政局看護課長(野村) 野村です。よろしくお願いいたします。 ○企画官 大臣官房参事官健康・医政担当の上家です。 ○大臣官房参事官健康・医政担当(上家) よろしくお願いします。 ○企画官 最後に私、医政局企画官の朝川です。どうぞよろしくお願いいたします。 次に資料の確認をいたします。議事次第、座席表のほかは次のとおりです。資料1は 当検討会の概要及び委員の名簿です。資料2は医療情報の提供等に関するこれま での議論です。資料3は医療機関の医療機能に関する「一定の情報」(案)です。最 後に参考資料として医療機能情報公表制度実施要領(案)があります。加えて本日、 健康保険組合連合会が行っていらっしゃる病院情報提供サービスである「ぽすぴた る!」の関係の資料を机上配付しております。日本看護協会からの情報提供制度に 関する意見書も併せて配付しております。それでは事務局を代表して医政局長の松 谷からご挨拶申し上げます。 ○医政局長 松谷でございます。委員の皆さま大変お忙しい中、医療情報提供のあ り方等に関する検討会の委員へのご就任を快くお受けいただき、誠にありがとうござ います。また本日お忙しい中ご出席を賜り重ねて御礼を申し上げます。ご存じのとお り今般、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正す る法律が成立し、去る6月21日に公布されました。今回の法律改正では地域におけ る医療機能の分化、連携を推進するための医療計画制度の見直しをはじめとして、 患者さんの視点に立った医療提供体制のあり方に関する改正が行われました。今回 の改正に当たっては、委員の皆さまもご存じのとおり、平成16年9月から社会保障 審議会医療部会において、医療提供体制全般に係る議論が行われました。その議 論の成果として、平成17年12月8日に医療提供体制に関する意見が、部会の意見 として取りまとめられ、先ほど申し上げた医療法等の改正の中に、その内容が盛り込 まれたわけです。これらのうち、医療および医療機関に関する情報提供や医療機関 の広告規制等については、制度の詳細設計や運用上の具体的指針などについて、 省令などに委任されております。  具体的に申し上げると、まず、都道府県が医療機関から報告のあった情報を整理 して、公表する制度の対象とする一定の情報の範囲、また広告できる事項の見直し や広告に関するガイドラインの策定などの課題について、厚生労働省に少人数の検 討会を設けて議論し、必要な対応をとる旨が指摘されました。本検討会はこうした経 緯を踏まえ、少人数の検討会ということで、医政局長の検討会として開催することと したものです。厚生労働省としては、本検討会のご議論を踏まえ、改正された医療法 等における制度の具体的な内容を決定していくとしておりますので、どうぞよろしくお 願い申し上げます。  さらに定められた新しい広告規制制度施行後に、実際に広告された内容の客観 性等を判断して、随時改善を図るなど事後チェック機能を果たす役割もこの検討会 には持っていただくつもりでおりますので、引き続きお願い申し上げます。こうした本検 討会の開催の趣旨についてご理解をいただき、医療および医療機関に関する情報 の提供のあり方、広告規制の見直し等に関して、医療等に対してそれぞれのお立場、 高い識見を有していらっしゃる委員の皆さま方の幅広い視点からのご意見を賜るよう お願いを申し上げ、私からの挨拶といたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○企画官 次に座長についてお諮りしたいと存じます。座長には日本医科大学医療 管理学教室主任教授の長谷川委員にお願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。 (拍手) ○企画官 よろしくお願いします。また座長が不在の場合に議事の進行をお願いする 座長代理について、埼玉県立大学保健医療福祉学部教授の宮武委員にお願いした いと存じますが、いかがでしょうか。 (拍手) ○企画官 委員の皆さま方のご賛同を得ましたので、長谷川委員に座長、宮武委員 に座長代理をお願いしたいと思います。それでは座長に一言ご挨拶をいただいた後、 以降の議事運営をお願いいたします。 ○長谷川座長 座長にご推薦いただきました長谷川でございます。大変名誉なことと 思うと同時に、この会自体が大変重要な検討会と認識して、身が引き締まる思いで ございます。すべての医療提供者は、良い医療を提供したいと思っていると思います。 またすべての患者は良い医療を受けたいと思っていると思いますが、近年医療事故 等不幸なことがいろいろございまして、はっきり申し上げて医療に対しての不信感が 高まっております。元来、医療行為は提供者と患者とが一緒に進めて参りませんと、 医療の質もそして効果も上がってこないものと思っております。このような不信感やコ ミュニケーションの齟齬、これを埋めていくものが今回この検討会のテーマとなってい る医療情報であり、極論を申すと、現在の医療界に吹いている逆風をいかに国民の 皆さんとともに、良い医療にしていくかということの大変重要な検討会と認識しており ます。この検討会自体患者や国民に対して情報を提供するだけではなく、医療従事 者、例えば病院、診療所の医師がほかの病院をご紹介するときに、情報が必要です。 病院経営者そのもの自身もこのような情報を見ながら、どのように医療の質を上げた らいいのかと考えるような、さまざまな効果、対象、利用するオーディエンスがある会 であると思っております。それでは皆さんと一緒にこの課題に取り組んでいきたいと思 います。よろしくお願いします。  それでは欠席者とオブザーバーについてお諮りします。どうしてもご出席が難しい場 合、事務局を介して私にご連絡いただき、ご承認いただくということでよろしいでしょう か。その場合に参考人としてご発言いただこうと考えております。続いてオブザーバー ですが、検討会に必要なオブザーバーはお願いしたいと思います。特に今回は関係 が深い社団法人日本歯科医師会常務理事の太田賢治氏、社団法人日本看護協会 の古橋美智子氏にオブザーバーとしてご参加いただいています。よろしくお願いいた します。  この検討会の議事録は原則的には公開で、事務局で議事録をまとめていただき、 後に各委員に目を通していただき、厚労省のホームページで公開したいと存じますが、 いかがでしょうか。 (了承) ○長谷川座長 それでは議事に入ります。事務局から本検討会の趣旨、目的、スケ ジュールについてご説明をお願いします。 ○医政局総務課長 本検討会の開催趣旨、概要は資料1にあります。大枠としては、 先ほど医政局長がご挨拶申し上げたとおりで、この検討会は改正医療法で医療情 報の提供制度ができ、この制度で省令で定める事項がございます。そういった事項を 念頭にご審議をいただきたいと考えております。当面のスケジュールは、第1回の本 日はこの医療情報の提供に関する議論をご説明申し上げた上で、都道府県が医療 機関から報告があった情報を整理して、公表するという制度です。その制度が対象と する一定の情報の範囲をご審議いただきたいということです。その上で次回、一定の 情報についてお取りまとめいただきたいと思っております。また次回は併せて広告規 制の見直しについても、ご審議いただきたいと考えております。第3回目以降は、広 告規制のガイドラインのその他の事項についてご議論いただきたいと考えております。 その後については広告規制制度の運用に際して、事後的なチェック、具体的な事項 がこの広告規制の中でいいのか悪いのか、そういう事後的な個別の事項についての 議論をしていただきたいと考えております。本日は情報提供制度の具体的な提供を いただく情報、一定の事項の内容についてのご審議をお願いしたいということでござ います。以上でございます。 ○長谷川座長 今回は医療情報提供等に関する議論の概要について、議論すると いうことですので、事務局から説明をいただき、その後都道府県が公表するという、ま ず一定の情報の範囲について審議をいただけたらと思います。事務局から資料の説 明をお願いします。 ○企画官 資料2はこれまでの社会保障審議会の医療部会でも、この制度改革に向 けた議論をいただいております。それを受けこの制度化をしており、その関係の資料 を付けております。基本的にはこれを参照いただければよろしいかと思います。21頁 に昨年の12月8日に医療部会として、最終的な意見の取りまとめをいただいたもの のうち、本検討会に関係する部分の抜粋をしております。簡単にご紹介すると、本日 取り扱っていただく制度が2の(1)に書いてあります。その3つ目の○で、「一定の情 報」の範囲については、このときは広告規制等検討会と仮置きしておりましたが、そこ で検討して、省令で規制するということにしておりました。次に(2)で、広告規制制度 については2行目の所で、現行の告示のように一つひとつの事項を個別に列記する のではなく一定の性質をもった項目群ごとに、例えば「○○に関する客観的事実」等 と規定する「包括規定方式」を導入することで、広告可能な範囲を相当程度拡大する とされました。  次の頁の2つ目の○で、広告規制の範囲について行政機関による報告徴収、立 入検査、広告の中止等の改善命令の規定を新設するということで、今回の法律改正 で新設しております。命令に従わない場合に、罰則を適用するという間接罰の方式に 見直しました。次の○で広告に関するガイドラインの策定を行うことも最終報告で触 れていただいております。それらについては、事後チェックもしてということで、この少 人数の検討会を設置することになりました。  (3)の3つ目の○、医療機関の名称に係る制限、これも広告できる事項の1つです が、名称についてはわかりづらいものは禁止されていますが、それについての制限の 緩和、院内掲示の義務付けが制度上ありますが、それについても見直します。これに ついても当検討会で検討するとされております。  次に資料3は、本日のテーマの「一定の情報」の範囲についての案です。目次にあ るように一定の情報について、それぞれ病院と診療所、歯科診療所、助産所の4つ の類型に分けて表を整理しております。その中でまた引用して別表1、別表2が後で 出てきます。基本的には病院について説明させていただきます。1〜3頁が病院に関 する一定の情報の案です。表の見方は、いちばん左に事項が整理してあり、その次 の欄に詳細という所でその事項を少し区分したものを載せております。右側のほうに 注記、記載例があり、いちばん右側に広告可能な事項という欄があります。ここで◎ が付いているのは、現行の広告規制制度でも広告が可能なものです。○が付いてい るのは、新しく今回の制度改正で見直し後の広告規制の制度で、これは本検討会で 最終的に検討していただかなければいけませんが、事務方ではおそらく広告可能に なるのではないかと考えておるものです。△は新しい広告規制制度において、果たし て対象になるのかどうかは議論が必要だと事務当局で思っているものです。  内容は1頁の左側からご覧いただくと、大きい1として、医療機関の管理・運営、あ るいはそのサービス・アメニティに関する事項で、1つ目が基本的な情報です。医療機 関の名称、開設者、管理者、所在地です。5で病床種別とその病床数です。病床種 別ごとの許可病床数を報告していただくものです。6は標榜診療科目、7が併設施設 です。  (2)は、病院へのアクセスに関するものです。交通手段、電話番号、ホームページ アドレス等々が8〜12にあります。13〜15が診療に関する日時、診療日、診療時 間、外来の受付時間、あるいは16は予約診療実施の有無です。17は救急医療対 応ということで、そのうち3つに項目を分けております。種類、輪番制の実施日、救急 車の保有状況です。18は時間外の対応で、注記の欄の(1)で時間外・休日でも必ず 診察している。(2)で連絡先を患者に知らせておき、いつでも対応可能である。(3)で連 携医療機関に電話を転送できるようにしている。いずれかに該当する場合は○をする ものです。  (3)が院内サービス・アメニティで括っていますが、20が医療相談窓口、その中で 3つに項目を分けています。21、22、23とあり、24〜26は障害者関係の対応状況 です。(4)は費用負担の関係で、29はどういう指定医療機関の取扱いになっている か等をチェックしていただく項目で、詳細は後で出てくる別表1の中で整理しています。 30は保険外の併用病養費ということで、差額ベッドなどの取扱いについてで、詳しく は別表1で整理しております。31は差額ベッドについてベッド数と金額を報告してい ただくものです。32は費用の支払いに関する事項で、クレジットカード払いが可能な のかどうか、あるいは明細書を発行しているかどうかの項目です。  次に大きい2つ目の括りです。提供しているサービス、医療連携体制に関する事項 で、(1)は診療内容等です。1つ目の33は学会認定医・専門医の状況です。34はハ ードで、施設あるいは設備の状況をチェックしていただくものです。この辺りは別表で 詳しく整理しております。35、36、37が医療機能に分類されるもので、35は特定医 療機能があるかどうか、36は対応可能な疾病あるいは治療内容がどうなっているか。 37は専門外来の有無とその内容です。38〜41が提供している保健、ヘルス、保健 福祉の機能がどうなっているかです。42がセカンド・オピニオンの対応の状況で、43、 44は医療あるいは福祉の機関との連携の状況についての項目です。  実績あるいは結果に関する事項ということでは、安全・質・満足向上への努力とい うことで、45、46の関係が人員配置で、右側に細かい字で書いてあるように、職種ご とに外来、入院別に、常勤換算でどのくらいの人員が配置されているかです。46は 診療報酬の基準にしたがって看護配置がどうなっているかの事項です。47、48は医 療安全あるいは院内感染の対策の実施状況で、それぞれ5つ項目を分けて状況を 聞くものです。49は症例検討の体制です。50は診療情報提供が電子的に対応でき ているかどうかです。51は院内クリティカル・パスについて、院内で連携体制がある かどうかです。52は日本医療評価機構の認定を受けているかどうかです。(2)は実 績に関するもので、53は患者数で前年度の実績を出していただくものです。54は平 均の病床利用率、55は産科の関係で分娩の取扱数です。最後に診療結果というこ とで、56は平均在院日数で、57はアウトカム情報に関するものを挙げております。い ちばん右側に△を付けていますが、代表的なアウトカム情報として5年生存率があり ますが、5年生存率そのものを報告していただくには、まだ医療機関同士でリスクを 調整する方法が確立したものがないので、そのまま生のデータで報告を受けて、都道 府県が比較可能な形で情報を開示すると、かなり誤解を受ける恐れがあります。重 い患者を入院させている医療機関の5年生存率は悪くなる傾向があるので、そういう 調整をしなければいけませんが、調整の手法がまだ確立していないので、生のデータ を公表の対象にするのは難しいと考えておりますので、事務局案としてはデータその ものではなく、5年生存率に関する分析を実施しているかどうか、その医療機関がそ ういうことを実施しているかどうかを出してもらったらどうかで、4つ挙げております。  以上は病院について見たもので、基本的には診療所も同じような内容になっており ます。病院にしかないような機能のものについては、診療所に挙がってないものがいく つかあります。違いとして6頁目の診療実績で、52の患者数がありますが、在宅の患 者数を診療所については出してもらったらどうかということで、案を作っております。歯 科診療所も基本的には医科だけにしか考えられないようなものを除いて、同様の整 理をしております。  9頁以降、助産所の関係もだいぶ機能が違うので、見た感じが違いますが、基本 的には同じような整理をしており、違いは10頁で大きい2の(1)、診療内容、提供保 険・医療・介護サービスで、23、24は今回の制度改正で従来からありましたが、嘱 託医師の仕組みがあるので、その情報、新しく連携する、嘱託する医療機関という仕 組みを設けているので、それに関する情報も出していただくものです。25、26は家族 の付き添い室の有無、あるいは妊産婦への指導相談の実施の有無、助産所にこう いう事項を挙げております。  次に別表1、2を簡単にご説明します。本来は個別に見る必要があるかと思います が、時間の関係もあり大括りに説明いたします。まず11頁目の1)で併設の施設の 関係を挙げております。基本的には介護の施設が並んでおり、下の41、42で保育 室、助産所が挙がっております。12頁の2)に保険、公費負担等がありますが、19 番目ぐらいまでは保険の取扱いあるいは公費負担医療の取扱いの医療機関になっ ているかどうかが挙がっており、20、21で特定機能病院、地域医療支援病院。23 からへき地の拠点病院、救命救急センター、臨床研修指定病院であるかのチェック の項目があります。31が今回、新しく診療報酬で制度化された在宅療養支援診療 所になっているかどうかの項目もあります。3)は保険外併用療養の関係で、保険で 整理された内容を挙げるものです。13頁の4)は専門医の関係です。14頁の5)は保 有する施設、設備の関係で、ICUの施設があるかどうか、あるいはリハビリテーション 室があるかどうか、そういう内容、あるいは緩和ケア病棟を有しているかどうかなどの 内容です。  15頁の6)の専門外来は、先ほどの横表でいくと、いちばん右側の欄で△を付けて いる所です。これは必ずしも定義がはっきりしていないものがあろうかと思います。事 務局案として挙げているのは、患者から見てわかりやすい表示をどうしたらいいだろう かということで、こういう表示の仕方はどうでしょうかということで提案をしております。 定義がはっきりしておりませんので、都道府県がこういう機能があると認定するのは なかなか難しいので、医療機関から自分がこういう機能を持っていると報告されると、 そのまま載せる形で併せて注書きでそういう類のものですとした上で、表示をすること にしたらどうかということで提案しております。  16頁は予防接種、8で在宅医療の内容を挙げております。9は介護保険サービス としてどういうサービスを提供しているかです。  最後に18頁の10)の項目、特定の医療機能の有無を挙げております。これは今 回の医療制度改革で医療計画制度の見直しをしておりますが、地域でここに挙げて いる9つの事業、上の4つは疾病の関係、下の5つが事業の関係です。こういう9つの 事業ごとに地域で医療連携体制を構築していただくという内容の見直しを医療計画 制度でしておりますので、それに関連してそれぞれの事業ごとに代表的な医療機能 を挙げていただき、それをチェックしていただく内容です。以上が医科の関係の別表 の内容です。19頁はそれを歯科の診療所に引き直してみたものです。  20頁以降が別表2で、提供される対応可能な疾患、あるいは治療内容の具体的 な内容です。まずプライマリーケアということで、総合診療領域ということで、こういうこ とに対応可能であると。開業医の診療所を中心に○が付くことが想定されますが、そ ういうチェック項目。2)以下は、領域ごと、例えば2)で皮膚科、形成外科領域で、そ れぞれの領域ごとに真ん中の欄で対応可能な措置、疾患で代表的なものを挙げてチ ェックをいただく形にしております。いちばん右の欄に手術件数があり、斜線が引いて ある所が多数ですが、例えば20頁の2)の10では、皮膚悪性腫瘍手術療法を見て いただくと、手術の所は手術件数を医療機関の任意で挙げていただいたらどうか。実 績に関する情報ということで、任意で出していただく仕組みにしたらどうかということで 欄を設けております。以降同じ形で領域ごとの繰り返しです。以上です。  最後に参考資料を簡単にご説明します。「実施要領」ということでこの制度の運用 に当たって、どのように運用するかを整理しておりますので、ご紹介します。これも案 ですが、目的は先ほど局長、総務課長からご説明しましたが、2段落目で「また」があ りますが、運用に当たっては、医療機関自らが当該医療機関が提供する医療につい て、正確かつ適切な情報を提供する。当該医療機関または、かかりつけ医等が、住 民・患者からの相談に適切に応じることで医療機関の適切な選択は支援されるとい うことです。この制度と相まってこういう取組みが重要であるということを書いていま す。  2番目の実施主体は都道府県ですが、委託も可能であることを書いております。3 番目の(1)運営体制で、いちばん下の・、単に都道府県はインターネットを通じて情 報提供をするだけではなく、住民・患者から質問、相談があればそれに応じる体制を 講じてくださいということが記載されております。2頁目の1つ目の・、都道府県が相談 に応じるときに、助言をする場合は新しい医療計画制度に基づく医療連携体制につ いての情報提供も併せて行うことが適当であるということを記載しております。次の・ のいちばん最後で、今回提案している一定の情報の範囲は、全都道府県でやってい ただくということで提案していますが、それ以外に都道府県が独自により積極的な情 報提供を行う場合は、それは可能ですということを書いています。(2)の(1)は、2行目 で報告の頻度は基本的には毎年一定の時期、都道府県が定める一定の時期に報 告をしていただくということで、毎年1回情報の更新を行うということです。ただし医療 機能情報のうち一定のものについては、基本的な情報については、その都度修正し ていく形にしております。3頁目、その都度更新する一定の情報の範囲がアに書いて あり、医療機関の名称、開設者、所在地、電話番号、診療科目、診療日、診療時間、 病床種別、病床数、こういう情報については最新の情報を提供できるようにということ にしております。(3)は医療機能情報の確認で、基本はこれだけ膨大な情報になると、 都道府県がすべてチェックすることは不可能ですので、基本は医療機関から報告が あった情報をそのままホームページに載せる形になりますが、必要に応じて虚偽の報 告がありましたらそれは正せるようにと、これは法律上そういう根拠を置いているので、 そのような記載をしております。  4頁、(3)の(2)、提供の方法は原則としてインターネットです。2つ目の・でわかりや すく表示するということで、一定の検索機能を付けてくださいということを言っています。 3つ目の・は、インターネットを活用しない住民の方もいらっしゃるので、併せて紙媒体 などの準備もしてくださいということを言っています。4つ目の・で注意事項として、アで 掲載している情報はあくまで都道府県がチェックしたものではなく、基本的に医療機 関自ら報告された事項を公表しているという旨です。イとしてそのため詳細について は、各医療機関に問い合わせいただくか、あるいは身近なかかりつけ医に相談してい ただくことが適当である旨。ウとして先ほどご説明しましたが、専門外来の項目につい ては必ずしも各医療機関共通の定義付けがなされているものではないので、医療機 関自身の考えに基づく記載である旨、そういうことを併せて記載していただいたらどう か。さらに医療機能情報について難しい言葉などがあるので、定義、解説等を適宜 付け加えていただくことが望ましい旨を記載しております。  5頁、これは都道府県がやる事業ですから、国に対して生の情報を挙げていただく 必要はありませんが、2次医療圏ごとに集計した情報を年1回出していただいたらど うかとしています。(5)として都道府県に提出した情報については、その医療機関自 身においても閲覧ができるようにしておいてほしいという旨を書いております。最後に (6)、本制度は来年4月から法律上は施行となっています。しかしこれだけの情報量 を検索機能付きでシステム整備するとなると、都道府県の準備がそれなりに必要で すので、平成19年度については基本的な情報は最低限公表してくださいとしており、 平成20年度からはすべての都道府県で、すべての情報について提供できるようにと いうことを記載しております。最後にいちばん下の・は、この一定の範囲の情報につい ては、今後必要が生じた場合は、本検討会において議論いただいた上で、段階的に 追加・修正をしていくことを記載しております。以上でございます。 ○長谷川座長 ありがとうございます。大変膨大な情報ですが、実際にこのように情 報をご覧いただくと、これが日本の今後の医療の質を決めていく、あるいはさらには 患者への情報提供は大変重要だということがおわかりいただけると思います。活発か つ深いご議論をいただきたいと存じます。その前に関連ですので、健保連で進めてい る事業について簡単にご説明いただければと存じます。よろしくお願いします。 ○小方委員 健保連の小方です。お手元に参考までに「ぽすぴたる!」のパンフレッ ト、「ぽすぴたる!」情報記入シートを配付しております。先ほど来お話があるように、 一定の情報ということの議論を本日予定していますが、健保連でもかねてよりこういう 形で病院情報をwebサイトに載せ、国民の皆さんにアクセスしていただき、参考に供 すればということで、取り組んでおります。一定の情報の議論、情報の見せ方の面で、 ご参考に供することができればということで、僭越ですが、資料を配付した次第です。 貴重な時間ですので、簡潔に概要をご説明しますので、よろしくお願いします。健保 連としてはまさに患者中心の医療の実現を第一の目的に掲げ、いろいろな事業に取 り組んでいるわけです。保険者としてどのようなことができるのかを考えて、医療専門 職と患者の情報の隙間を少しでも埋めることができればと。そして少しでも両者の円 滑な関係の構築をお手伝いできればということで、患者の医療機関、治療方法等の 選択を手助けしようという観点から、先ほど申し上げたようにwebサイトで健保連病 院情報「ぽすぴたる!」を平成15年から設置しております。この「ぽすぴたる!」は主 に病院に関する情報提供を行っており、当然のことながら医師の皆さま、病院団体の 皆さま、患者団体、厚生労働省からもいろいろご協力をいただき、所在地などの基本 情報、診療報酬上の施設基準情報については現在すべての病院を網羅しておりま す。そしてより詳細な情報として、お手元の情報記入シートに記入いただき、情報提 供をしていただいている病院の数が、現在約3,000病院までになっております。これ は日々増加をしているのが現状です。  そしてwebサイトの特徴として、各領域を併せて、現在約356の疾患から医療機 関が検索できるようなシステムになっており、ほかにも長期療養、リハビリテーション、 病院名、診療科、先ほどお話があった専門外来からの検索も可能となっております。 またセカンドオピニオンへの取り組み状況、高度先進医療の実施状況、患者がわか りやすいような用語事典も併せて付設しておりますので、用語のわからないときには そちらを見ていただくと、ご理解が進むという工夫もしております。  そしてお手元の病院情報記入シートの内容は、例えば常勤、非常勤の内訳を含め た診療科別の医師数、インフォームドコンセントの欄ではカルテ開示の有無、セカンド オピニオンの欄では必要な診療記録の貸し出しの有無など、患者が知りたいと考え られる情報を中心に記載をお願いして、ご協力をいただいているということです。疾患 名については、各領域で分類をしておりますが、どのような検査、あるいは治療、手 術が行われるかについて、チェック欄を設けて、医療内容に詳しくなくても、一定の流 れで国民の皆さんが検索しやすくしているという状況です。健保連では医師、学識経 験者、患者団体の代表の皆さん等で構成される「ぽすぴたる!」実行委員会を設置 して、いろいろご意見を賜っており、この「ぽすぴたる!」専従の窓口も開設しておりま すので、閲覧のナビゲートや医療機関、患者からのご相談を受け付けており、内容に 反映するよう努めております。パンフレットが2種類ありますが、今日配付したのは病 院の皆さま方にご協力いただく際の病院向けのパンフレットですので、是非ご参考に していただければということでご説明しました。よろしくお願いします。ありがとうござい ました。 ○長谷川座長 ありがとうございました。諸外国でも行政や保険者でこのような取り 組みが進んでおります。是非、我々も良いものを作りたいと思っております。それでは いままで報告いただいた内容について、ご質問等いただけますでしょうか。資料はさ まざま出てきましたが、当初の法律のご説明、さまざまな情報の原案、関連の資料、 最後に発表等のやり方についてございました。何かご質問ございますでしょうか。 ○内田委員 厚労省のこの案では、医療施設のホームページへのリンクは考えてい るのですか。もう1つ、いまご説明があった「ぽすぴたる!」については、それぞれの医 療機関や病院のホームページにリンクするということは付けていらっしゃるのですか。 ○小方委員 病院のホームページにはリンクできるようにしております。 ○内田委員 厚労省の原案のお考えはいかがでしょうか。 ○企画官 最後にご説明した紙の4頁、隣接する都道府県リンクは張るようにとここ では書いていますが、当然医療機関とリンクしていただいてもいいのですが、実施要 領上はそこまでは記載していないです。 ○内田委員 いまホームページに関しては、特に広告規制が全くかからない状況に なっていますので、そこへ単純にリンクさせるということは、こういう公的な情報提供の 場合に、それを認めていいものかどうかは、やはり議論、課題のテーマではないかと 思っておりますので、お聞きしました。 ○長谷川座長 そのほかにご質問等ございませんか。 ○小方委員 現在国で医療機能調査を実施されていると思いますが、今回都道府 県から集めようとする情報との兼ね合い、何か違いがあるのか、内容を教えていただ ければと思います。 ○企画官 いまご紹介いただいた医療機能調査は、新しい医療計画を平成20年ま でに作っていただくということで、その医療計画を作るに当たっての情報を集めようと いうことで、実施しているものです。直接今日ご説明した制度の情報とのリンクは考え ておりませんで、それぞれ別物と考えております。実際やるのは同じ都道府県が医療 計画を作り、この情報提供制度も運用するので、運用に当たってはそれぞれの情報 を両方活用しながら、住民の方々に親切な情報提供をしていただくのが、適当だと思 っております。制度としては別なので、それぞれリンクはしていないのですが、運用に 当たってはできるだけうまく組み合わせていただけたらと思います。 ○小方委員 国でやっている内容はどのようなものか、少しご説明いただけますか。 ○長谷川座長 指導課でやっていると理解しておりますが。 ○指導官(針田) 指導課長が緊急な用があり席を外しましたので、私が代ってご説 明します。基本的に医療機能調査に関しては、患者動向、医療機関がどのような診 療をしているのかという視点で調べており、昭和60年以降医療計画制度ができてか らやってきた制度です。今回新しい情報公開という情報制度のようなものを作るに当 たり、かなりダブるところもありますし、そうではないところもあります。そういうものを含 めて、医療計画においても検討に入っております。両方併せて検討していく形になっ ております。医療機能調査では、どこの地域の患者が、どこに受診しているのか。そ の地域はどれだけの医療が必要なのかという視点がある点が、若干これとは異なる かと思います。 ○長谷川座長 ありがとうございました。これから約1時間強議論する時間がありま すが、それを有効に使うのにざっくりご質問をお聞きしましたが、考えるといろいろな種 類の資料がありました。そこで順番に聞いて、資料2、これまでの議論と法律に関連 したお話ですが、これについて何か疑問、ご意見はいかがでしょうか。経緯、法律は 明解でしょうか。名称の規制緩和というお話もありました。罰則というものもありました。 よろしいでしょうか。それでは議論の中心となる資料3、医療機能に関する「一定の情 報」(案)、これが大変重要かと存じます。まず病院の部分、医療機関の医療機能に 関する情報。全部で57項目挙げられていますが、これについてご質問、あるいはご 意見いかがでしょうか。 ○大井委員 今回の検討会は、前回まで検討されていた都道府県が提供する医療 情報についての内容についての検討。そのほかにも広告規制などいろいろりますが、 そちらは除いて、最初の部分だけに的を絞ると考えてよろしいのでしょうか。そこが少 しボケていると議論がしにくいと思います。 ○長谷川座長 冒頭の説明では、広告の話も入っておりましたが、今日の検討会の 内容の主な議論は、この一定の都道府県の情報ということです。 ○大井委員 当座の間はここだけということですか。 ○長谷川座長 はい、本日に関してはということです。 ○医政局総務課長 先ほど申しましたが、もう一度確認で申し上げると、本日第1回 目のこの検討会の議題は、医療機関から情報提供してもらう、これは情報提供は義 務だという、提供していただく中身の項目を、今回議論していただきたいということで す。次回でおまとめいただきたいということです。次回と3回目とそこに関しては、今後 広告できる事項、これは任意でやっていただくわけですが、その範囲をどのような拡 大の仕方をするのかという議論も、この検討会でご議論はいただきたいということです。 それは次回と第3回でやっていただきたい。それ以降はおそらくは新年度に施行され て以降になるのでしょうが、具体的に実際にいろいろな現場で起きることについて、広 告可能な事項なのかどうなのかという個別にいいか悪いかについての議論は、この 検討会が常設の検討会として、今後も適宜ご判断いただきたい。まず、医療法改正 の施行が、来年4月ですので、それまでに用意する情報提供制度の情報事項、これ はこういうものだというのをまず、1回目にやっていただきたいと思います。次に広告 規制の中身、拡大する中身をやっていただきたいと考えています。こういうつもりで す。 ○大井委員 先ほどの自分たちの医療機関でつくっているホームページや「ぽすぴた る!」などは私ども日本病院会のほとんどの病院が利用させていただいていますが、 その特徴は自分たちでこれはいいと思うことを書いて、載せることができる、医師もう ちの病院はこういう特徴がありますということを宣伝できることです。それも広告に類 する問題だから、私はそれをよけて考えていたのですが、そういうものを受けて、公的 な都道府県が、公開する情報だけと絞ると理解してよろしいのですね。 ○長谷川座長 はい、そうですね。そうしますと資料3の内容が本日の重要な議論と なると思います。いかがでしょうか。基本的には病院、診療所、歯科診療所ならびに 助産所、同じフォーマットで並んでいます。したがってまず病院を中心にご議論いただ ければと思いますが、いかがでしょうか。 ○小暮委員 今日は都道府県の代表で出席していますので、今回の制度の提供の 主体としておりますので、その立場から申し上げたいと思います。今回の情報提供制 度については、さまざまな市民からいろいろな相談、あるいは苦情をいただいていま すので、そういうことで医療機関に対する情報を一般の患者、あるいは市民が求めて いるということを常日ごろ感じておりますので、非常にタイムリーな制度だと思っており ます。  先ほど内田委員から公的な情報というご発言がありましたが、その後にご意見に ありましたように、医療機関が一方的発信をする広告と違い、今回は都道府県が情 報の発信者となっている。ここがいままでのものと大きな違いではないかと思います。 私どもとしては公的な情報をいかにして支えていくのか、あるいは担保するかという責 任があるのだろうと思います。患者、あるいは市民の側から見ても、やはりひとつのギ ャランティをこの制度には与えられていると受け止められると思うわけです。そこで情 報については、詳細であればあるほど、患者にとっては好ましいことだとは思うのです が、都道府県の立場からすると基本情報については、病院については大体把握して いるとは思います。しかし診療所については届出をいただいた基本的なもの以外のこ とは、ほとんどわかっていないに等しいわけです。そういう状況の中で、詳細な情報を 都道府県の名義で発信するについて、どこまで責任が持てるのかは、非常に不安を 持っております。そこで先ほど来のご説明の中で、必要に応じて確認をするというお 話もありましたが、確認というのは都道府県から保健所等に確認をするということで、 直接医療機関に対して確認するということは、どうも予定されていないようですが、私 どもとしては内容によってはやはり確認を直接医療機関にせざるを得ないものも出て くるのではないかと思うわけです。これがどの程度の事務量の負担になるのかに非常 に不安があるわけです。ですから詳細になればなるほど私どもにとって、責任の持ち にくい情報が増えていくことになるわけです。言ってみれば基本情報に近い、ある程 度単純な圧縮された情報であれば、都道府県として内容についてある程度責任が持 てるかと思いますが、それが詳細になればなるほど確認をどこまですべきなのかにつ いて、ある程度のガイドライン、調査的なものがどこまで必要なのか、ここが非常に悩 ましい所になるのかと思います。  もう1つ、今回すでに救急医療については、情報システムを運用していますが、す べての医療機関をカバーしておりませんし、今回のような詳細なものはそこに盛り込 まれておりませんので、今回これがスタートするとなると、そういう既存の制度をどのよ うにしてバージョンアップして、あるいは拡大をしていくかが、大きな課題になってまい ります。その際に、非常に大きな予算を必要とするので、このお話が立ち上がってか ら、財政当局と予算をどのようにして確保しようかということが悩ましいことです。その 予算的なもの、あるいは開発に必要な期間、こういうものが事務的な立場では大きな 当面の課題と考えています。いずれにしても市民にとっては非常に福音となる制度だ とは思いますが、情報の発信者となる都道府県の立場としては、非常に重い役割を 担わされたという印象を持っております。以上です。 ○長谷川座長 ありがとうございます。ご意見ということで承ればよろしいですか。 ○小暮委員 はい。 ○長谷川座長 おそらく各病院、診療所にとっても同様の負担、かつまた国民や患 者にアピールしていくという意味の両方があろうかと思います。  その辺を勘案しながら項目を決定していかなければいけないと思っています。例え ば言葉の定義、あるいは負担とかを勘案して、解説者も要るのでしょう。多分、患者 にご理解いただくには、一定の意味するところが必要なのだろうと思います。ご提案さ れている病院の項目についていかがでしょうか。 ○宮武委員(座長代理) 私も少し基本的なことでお尋ねします。医療情報を公的な 機関から得ている人というのは、いままでの調査でもほとんどいないのです。1%、お そらくコンマ以下でしょうか。友人や知人に聞いたりとか、そういうことで選んできたわ けです。  これがどっと出たときにどのようなイメージなのか、なかなかつかみにくい。例えば、 東京なり栃木なりで情報が出てくると、ものすごい分量の情報がインターネット上から 出てくるわけです。それを一体、利用者側はどうやって利用するのかからまず考えて いかなければいけない。  先ほど、栃木県でも情報が詳細になればなるほど、発信者として都道府県は責任 がなかなか持ちにくい、確認できないとおっしゃっています。でも、逆に情報が出て、そ の情報が間違っているということについては、実際にインターネット上で情報を見て利 用した人がインターネット上の情報と実際違った場合、例えばそれはどこに訴えよう か。当座の病院に言うことができるのか、都道府県に言うことができるのか。都道府 県に言えば都道府県はどのように対応するのか、そこのところがよく見えないのです。 「実施要領」に若干書いてありますが、この辺も実際適切な報告を指導することがで きる、是正ができるということなのですが、本当にそのようなきめ細かなことができるの か。逆に言えば、間違っていたらどこに利用者は言っていくのですか。  もう1つ、関連して言うと、この情報は都道府県以外にも、公共性のある法人に対 して委託することは差し支えないと書いてあります。具体的にどういう公共性のある法 人をイメージされているのか、具体例も教えてください。 ○企画官 ご説明いたします。お二方から同じ意見だったと思います。まず、情報に ついて正確性が担保できる保証がない。いかに担保したらいいかということでした。最 後にご説明した実施要領上にも少し書いてあり、法律上の規定を念頭に置いてあり ます。  実施要領でご説明すると、まず3頁の(3)そのいちばん下の・で、「都道府県知事は 医療機関が報告を行わない場合や誤った報告を行ったと認める場合には適切な報 告を指導することができる」としています。法律上もそのようなことが書いてあります。 さらに一歩進んでのご意見で、どういった場合に誤まった情報だと知るのか、どの範 囲で指導したらいいのかというお話だったと思います。  一方、医療機関自身も、都道府県に届け出た情報は閲覧可能なようにということ になっています。実施要領でいくと5頁の(5)にあります。これは法律上もそのような 仕組みになっていて、医療機関自身も同じ情報を閲覧に供さなければいけないとなっ ています。実施要領で言う(5)の3つ目の・、医療機関でも当然同じ情報を提供しま すので、相談・照会に適切に応じるようにしていただく必要があろうかと思います。  逆に患者側、住民の側から見て、どこに言っていったらいいかという問題について は、個別の医療機関が特定できるのでしたら医療機関自身にご相談していただくとい うのもあるでしょうし、都道府県にご相談いただくこともあるでしょう。都道府県のほう に来た場合には、都道府県が必要に応じた確認をした上で、もし誤っているのであれ ば医療機関に話をしていただいて是正に努めていただく。そのような流れではないか と思います。どの範囲でやったらいいかというのは、運用してみないとわからないとこ ろもありますので、運用しながらこの検討会でも必要に応じてご審議いただければと 思います。基本はそういう仕組みです。委託先は、実は制度としては今回、初めて法 律で設けましたが、都道府県数にして30県以上で似たような情報提供をやっている ところがあります。ここまで細かい情報はあまり提供していませんが、例えば東京都な どで言うとかなり細かい情報まで含めて情報提供を既にしています。  そのような都道府県の例を見るとシステムを伴っていますので、システムの開発な どはシステム専門の会社にまず委託しなければできないところもあるでしょう。実際、 医療機能情報を比較的持っているところということだと思いますが、地域の医師会に 委託をしているような都道府県もあります。そのような実績もありますので、委託可能 な仕組みにしているということです。 ○宮武委員 医師会とか、ほかに何か考えられるのですか。看護協会は良いとか悪 いとかはあるのですか。 ○企画官 別にどこでなければ駄目、ということはありません。ただ、ある程度中立的、 かつ、この情報を扱うにふさわしい法人があると思います。それは個別のケースでご 判断いただくことになります。実施要領とかで一律に縛ったりするのはなかなか難しい ので、実態に応じて判断していくしかないかなとは思います。 ○宮武委員 患者、家族がインターネットでの情報を得て、自分が見たものと実際は 違った場合、例えば電話ででも都道府県に問い合わせをすることができる。あるいは、 インターネットを通じてメールで問い合わせ、クレームを付けることができるというイメ ージを描いておられますか。 ○企画官 インターネット上でできるかどうかというのはシステムの仕組みにもよると 思います。原始的なイメージとしては都道府県にご相談をいただいて、「ちょっと違うよ うですよ」というようなご相談をいただくことだと思います。 ○飯倉委員 同様の趣旨というか、少し患者、市民、情報の受け手側の立場から意 見を申し上げたいと思います。今回の「一定の情報」については、先ほど小暮委員が おっしゃられたように、当然情報は患者の立場に立っても多ければ多いほどいいとは 思うわけです。ただ、逆に、そのことによって患者が本当に知りたい情報にたどり着け ないとか、先ほどのような違いが生じてしまうことで混乱というか、不安を起こしてしま うことになれば、折角作るシステムが本末転倒ということになります。やはり、膨大な 情報をいかにわかりやすく国民に提供できるかが非常に重要だと考えています。  いまほど、企画官からもお話がありましたが、都道府県で同様の趣旨で、例えば東 京の「ひまわり」のように情報を提供しているサイトがあります。そういうところで、例え ば住民がどういう情報を求めていて、どういうニーズがあるか。そういった実態も合わ せて検証していただきながら、情報を得る側が得やすい工夫、その一定のガイドライ ン的な考え方はやはり示していただく必要があるのではないかと思っています。都道 府県によって、住民が情報を得る上でその情報の入手のしやすさとか、そういったも のに間違いが生じないような仕組みが必要なのではないかと思います。  併せて、今回、都道府県における情報の提供ということで言えば、一昨年に介護 保険法が改正されて、今年から都道府県による介護情報の公表の仕組みが施行さ れているかと思います。もちろん、所管の局が違うわけですけれども、一方ではそうい った情報も都道府県から発信をしているということからすると、やはり医療と介護のリ ンク、システムの効率的な集約の仕方といったところも少し工夫なり、検討する必要 があるだろうと思っています。  介護のところで言えばやはり今年の4月から施行、まさにこれと同じような仕組みで す。年間を通じて情報を得ながら漸次発信をしていくという形になっているかと思いま す。しかし、なかなか都道府県の皆さんもご苦労されているようで、それほど進んでい ないという話も聞いています。そういった状況なども是非把握をしていただいて、速や かな情報発信などができる仕組みといった工夫もお願いしたいと思います。 ○内田委員 先ほどの宮武委員のご質問の中にもあったと思うのですが、今回、この 制度の立ち上げに当たっては、医療機関からの自主申告ということでまず取り組むと いう話です。これまでさんざん、医師性悪説的な立場の施策が多かった中で、医師性 善説に立つ取組みというのは非常にこそばゆい感じもします。  そこは置いておいて、当然、自主申告という形になるといろいろなクレームが出てく る。情報提供と受け取る側との齟齬が生じてきます。それに関してどこで受けるかと いうお話でしたが、1つは医療安全支援センターが行政では相談機能を持っています。 もう1つ、重要だと思うのは、やはりここはかかりつけ医の役割が非常に重要ではな いか。  先ほど質問の中にもあったように、現状ではインターネットから情報を得ている患 者というのは、少なくとも10%はとてもいっていないという、非常に低いレベルでしか ないわけです。そこのところを踏まえれば、今回、インターネットで情報を提供してどれ ぐらいの患者が受けるのか。あるいは、情報の信頼性が非常に高くなってそのような 患者が増えたとき、どこでそういうクレームを受け止めるかといったら、やはり近隣の 評判もありますけれども、いちばん信頼できるのはかかりつけ医という点を医師会とし ては感じています。その辺のある程度のアナウンスというか、かかりつけ医の機能とし てそういうものもあるということを今後は医師会でも、内部的にも啓発しなくてはいけ ないし、患者の側にも発信しなくてはいけないのかなと感じています。  もう1点、委託先についてどうするかというお話がありました。川崎でこのシステムを 立ち上げるとき、行政から医師会が委託されて、医師会から情報を提供、運用は行 政が全部やるというシステムを立ち上げました。県内、いろいろなレベルの市町村で 取り組まれているのですが、情報のレベルはいろいろです。今回、全体としてこういう 枠組みでやるという方向性が示されたことで、そこを活用すれば割にリンクすることは 簡単にできるという感じがしています。既に取組みが進んでいるところでは、そういう 形で実際に取り組まれている所が多いと思っています。  そういう点では行政と医師会が協力し合って、あるいは健保組合、健保連もそうで すが、いろいろなところが情報をつかんでいます。そういうものを協力し合って、適正な 情報を提供できるような体制を作っていけばいいのかなと感じています。お金は間違 いなく非常にかかると思います。 ○小暮委員 いま、医師会に委託するというお話がありました。実は、私ども栃木県 も、先ほど申し上げた救急医療情報システムのほかに、医師会に委託して医療情報 を提供するというシステム、合わせて2つシステムを持っています。ただ、医師会にお 願いしている情報については全部をカバーしていない。つまり、まず1つは医師会に 加入していない方、非会員の方がいらっしゃいます。組織が全部ではない。それから、 歯科医師会も入っていない。助産師の方も入っていない。今回、対象とする施設の全 体をカバーしていない。医師会の会員の方でも、あくまで任意の情報掲載ということに なっていますので、掲載を望まない先生もいらっしゃり、全部載っているわけではない ということがあります。私どもとしては、もし既存のシステムを活用するのであれば、医 師会にお願いしているものよりも県が自ら管理をしているシステムのほうが適当かな と考えています。  もう1つ、先ほど介護情報システムの話がありました。今年4月から、介護保険法 の改正によってシステムがスタートしました。介護情報については基本情報と調査情 報、2種類に分かれています。基本情報については、介護事業者からの申告をその まま掲載する。ただ、調査情報については、これを全て県で調査をしてそれを情報と して発信することになっています。  この調査が非常に大変な作業であります。実は、栃木県では介護事業者が1,30 0余ありますが、この調査をするために今年度、16人の調査員を新たに採用しました。 これは私どもが委託をしている社会福祉協議会に職員として採用してもらい、調査を 行うことをスタートしました。  今回の医療情報についても、基本情報を超えた部分について調査をしないとなる と医療機関のものが、そのままということになりますが、なにがしか確認的な調査をす るとなると数が膨大になります。先ほど、介護事業者が1,300余と申し上げましたが、 今回医療情報の対象となる施設は、栃木県の場合で約2,500余になります。数が 膨大に膨れ上がります。先ほど、企画官のご説明の中にも、実態の確認はほとんど 不可能だというお話がありました。私もそのとおりだと思います。ですから、まともに調 査が可能だとは思っていないのですが、情報が膨れ上がってくるとどの程度まで、基 本情報以外は検討したが実態は把握していませんで済むかどうかが悩ましいところ だと思います。 ○大井委員 情報提供といっても診療所、病院や介護施設など、いろいろ差があると 思います。私は病院団体に所属していますので、病院団体の立場としてお話すると、 私どもは病院の機能を積極的に提示し、それが受け手の患者さんに多分役立つだろ うというのには4つの視点が必要だと思います。医療機能評価より1つ多くなっていま す。それは「ストラクチャー」、「システム」、「プロセス」、「アウトカム」です。  大変難しい話だと思うのですが、アウトカムはこの際よけておいて、これにはいろい ろ議論があると思いますし、簡単に結論を出すわけにいかないと思います。  その他の3つ、ストラクチャーとシステムとプロセスを見ると、今回の中ではストラク チャーに偏り過ぎているような気がします。もう少しシステムとか、ソフトの面も出して おくほうがいい。  例えば、診療情報の提供が病院の中にあるのですが、これは「診療情報提供の電 子化の実施の有無」と書かれています。そのようなものではないと思います。診療情 報を提供するシステムを医療機関として持っていますか、病院として持っていますか というほうが大切であろう。それが電子媒体であるか、紙媒体であるかはあまり意味 がないのではないかと思います。  医療の質に直接かかわるような事柄で、「症例検討会」というものがあります。これ は何を言っているのかよくわからない。病理検討会、CPCということならもっとはっきり してくるだろう。しかも、それが公開で行われていますかということになると、もっと意味 が深くなる。あるいは、公開研修会をやっていますかとか、何々教室をやっていますか というものがあるのだろうと思います。そういうものを少し、項目を洗い直してみる必要 があるような気がします。前半のこの部分だけでもそう思います。  もう1つ、ちょっと、気になっていることがあります。先ほど、それぞれの医療機関か ら報告したものをそのまま出すと言われましたが、それは本当に生の素材ですね。患 者さんたちが見たがっているのはそれに一定の検索機能を付けたものなのではない でしょうか。  例えば、小児救急はどこにあるのか。子供が熱を出して苦しんでいる、どこへ行こ うか。県の医療機関をずっと探していって、小児救急をやっているところを拾い出して いる間におかしくなってしまいます。そういうことだと思います。「一定の検索機能を付 与することができる」と書いてありますが、ここが非常に問題である。そうなると非常に、 お金がかかる問題がある。「一定の検索機能」というのはこの会で決めるのか、各県 に任せてしまうのか。  少なくとも、これとこれとこれは、各県でポジティブ・リストで持っているほうがいいと 決めたほうがいいのではないかと思います。それ以上のものは各県でお作りになるの はかまわないけれども、もし検索機能を付けるということになったら、そういうことを協 議しておいたほうがいいのではないかと感じています。いかがでしょうか。 ○長谷川座長 大井委員が先ほどおっしゃったシステムという概念、大変興味深い のでもう少し詳しく聞きたいと思います。少し、内容に関連するかもしれません。  これまでのお話をお聞きしていると、私の振り方も若干悪かったのか、あるいは必 然的にそう流れたのか。情報としてはどう集めてどう使うのか。情報にはもちろん質が ありますし、コストもかかります。何といっても、誰がオーディエンスで誰が情報を使う のか。その情報をどのように、どう伝達するのか。  特に患者となると、生で出されても膨大なデータでよくわからない。あるいは、デー タ自身の定義も曖昧である。私は一度、新聞記者にインタビューされたことがありま す。広告規制で、今度、どんどんいろいろなものを書いてもいいという話になったけれ ども、実は読者から問い合わせがいっぱい来ている。「平均在院日数とは何ですか」 と聞かれるわけです。そういうレベルの話があります。元来、情報についてどのように 集めて、どうチェックをして、費用負担もかかわってきますが、それをどのようにするか というのはかなり大きな課題だと思います。  既に、もう1つの問題は、いくつもの団体が似たような事業をやっていますよね。今 日は保険者の方からお話がありました。県で30ですか、既に進んでいる。当然ビジネ ス・セクター、企業等が情報を集めて提供しているのを見ています。かなり細かい、県 の診療所や病院の情報をインターネットで調べようとしています。忘れましたが、委員 のところのNPOの団体等もいろいろ提供している。その中で、今回の情報はどういう 性質を持ったものなのか。差別化、機能というのもまた1つの話題というように、いま のご議論を聞いたわけです。  運営のほう、つまり資料で言う参考資料の部分に関連するご議論をやって、少しま とまるかどうか。事務局の方ではどの程度、その辺を考えられているのかわかりませ ん。あるいは、皆様方からいろいろご議論をいだいて、それを踏まえて内容に入りまし ょうか。企画官、その辺をよろしくお願いします。 ○企画官 いま、何点かご指摘いただいたことについてお答えできるものと、なかなか 難しいものがあります。まず、横表はいずれにしても我々事務局案として提示させて いただいたものですので、より良い案があればご提出いただいて、それを踏まえて修 正したいと思います。  ちなみに、「診療情報提供の有無」について申し上げますと、私どもの頭の整理は 個人情報保護法が施行されていますので、基本的にカルテ等の診療情報の請求が あれば、除外事項に当たらなければ開示する義務があることになっています。有無を 聞けば有りという答えになるはずなので、それを一歩進めて電子情報を出してもらっ たらどうかということで案を作っています。さらにもう少し良い案があれば、そのように 直したらいいかと思います。  その上で、運用についてですが、検索機能については一定の検索機能というのは、 先ほどちょっとご説明したように4頁目、上から3つ目の・にあります。どこまでの内容 の検索機能を付けたらいいか、ある程度国からお示ししてもいいのですが、むしろ都 道府県が実際に運用されるに当たって競い合って作っていただいたほうがより良いシ ステムができるのではないか。地方分権の時代でもありますし、どこまで縛るか。検索 機能は付けてくださいということでご提案しているものです。 ○長谷川座長 これは県で行うということです。英語で言うと“public domain”「公的な 情報」ということになると思います。しかし、原理論的には情報公開ではないですが全 部集めてきて、どこかの会社がそれを加工して売る可能性が多いにあるわけです。そ れはOKということですか。 ○企画官 都道府県が発信する情報を活用して、何かを加工していただくのはかま わないと思います。 ○長谷川座長 パブリック・ドメインなので、コピーライト等の問題については問題はな いということですか。そういうことも想定されますよね。 ○辻本委員 資料2の14頁、「イメージ図チェック」、参考資料で出されているフロー チャートがあります。この図の中でも、私どもが利用したときに最終的に責任というか、 問い合わせ先というように考えたとき、医療安全支援センターが抱括された形で図が 示されています。そうすると、多分、いまの医療安全支援センターが患者の問い合わ せ先ということで機能していくことになるのでしょうか。 ○長谷川座長 先ほどは1つの例という話でした。 ○企画官 医療安全支援センターについては、今回の法律改正で法律上の位置付 けをさせていただいています。結論から言えば1つの例示ではあります。ただ、折角、 こういった相談機能を持ったものを都道府県に設置していただいているので、そこを 活用するのが自然ではないかということで特別に書いてあると理解していただければ よろしいかと思います。 ○辻本委員 いま、この支援センターが十分に機能しているとは残念ながら思えない のです。1つはやはり行政の人事という問題もあってか、例えば1年とか2年で担当者 が変わってしまう。そうすると、折角育った意識が「今度は水道課です」というような人 事があり、継続されていない。その不満が患者の側に生まれてきているのです。その 辺をどう考えていただくのかに合わせて、資料2、18頁、インターネットの広告・広報 に対して、法令上の規制を設けることができない類のことを利用者に啓発していただ くことを合わせて進めていかないとならないのではないか。  先ほど、まだ10%ぐらいの人しか利用していませんというお話がありましたが、娘 や息子という世代の人たちが親の受診に際しての情報を検索するということでは、そ れ以上の印象を私たち電話相談としては感じているわけです。娘や息子という世代も 含めて、インターネットに対してのアクセス能力の高い世代はなぜか、インターネット 情報を非常に盲信する傾向を感じます。  その辺で今後、いろいろなトラブルが起きてくるのではないか。一方で情報提供が 必要だという気持とほぼ同じぐらいの率で感じています。都道府県も人事ということも 含めてですけれども、本当に腹をくくってどういうように責任をお引き受けいただける のかという、ある種の覚悟が示されてほしいとも思っています。 ○長谷川座長 若干、こういう仕事をした経験から申し上げます。まず、定義をきっち りする。それから、どういうところから情報を持ってくるかを指導してあげる。それによっ て、かなり各施設の負担が減ったり、情報の標準化ができるということがあると思いま す。先ほどからお話があります質、内容については、これは情報の恐ろしさで、一遍 公開されるとオート・コレクション、つまりみんなが見るので、一遍出ると「いや、あそこ の病院はそのようなはずはない」という話が出て、情報がコレクションされていく。国立 病院内で一度、そういうことにあった事があります。  いろいろな意見がうまく集約され、オート・コレクションできるようなシステムを設計し ておくことが重要です。性善説と言われましたが、単純間違いも含めて必ず間違いは あろうかと思います。非常に簡単な調査でも、調査の責任者は元へ戻ってチェックを する必要がある。いわゆる、データ・クリーニングにかなりの時間がかかることがありま す。ましてや、こういう類のものについてはチェックをするのにかなり負担がかかるので はないか。その辺のシステムを予め考えておく必要があると思います。企画官、それ については各県で考えてくれということではないですか。 ○企画官 お答えになっているかどうかわかりませんが、介護保険の話が先ほどあり ました。介護保険のほうは、基本情報と調査する項目を分けているということになって います。私どもの医療の制度は、調査の関係の規定は置いておらず違う仕組みにな っています。  制度設計のときに少し考えたのはやはり医療と介護の性質の違いでした。今回、 提案させていただいているように、医療になってくると内容が非常に多様なものになっ てくる。医療の内容や機能といったものについて、行政に果たしてチェックをかけるの か、行政にそういう能力があるのかという問題があります。その限界も考えて、基本 的には医療機関から出していただいた情報を都道府県が集約する。要するに、調査 は基本的にはしない。ただ、間違っている情報だということがわかれば訂正するという 仕組みにしたところです。  どこまで、システム的に正しい情報を担保することを仕組むかは今後の課題だとは 思います。まずはそういう仕組みでやっていただくしかないかなというのがいまの考え です。 ○長谷川座長 情報のファースト・ステップとしても、どのような診療をやっているのか。 今回、それに重点を置かれているようですが、それはオート・コレクションでできると思 います。しかし、本当に患者が知りたい医療の質、実績、そこに踏み込んでいく必要 がある。  とすれば、集め方や評価の仕方等については一定の専門性が必要になる。その 辺のことは少し調べてあります。例えば、アメリカやイギリスにおいては国の機関とし て研究機関、アメリカではHRQ、イギリスではCHICというような機関があって、分母 分子はどのようにしたら評価できるかということがあるわけです。元来ですと、国立保 健医療科学院と国の機関で方法論を開発して、きちんとやっていくことが必要ではな いか。歴史的に見るとそう思います。今回はその辺から出発するということでしょう か。  時間がだいぶ迫ってまいりました、是非内容についてご議論いただきたいと思いま す。先ほど大井委員からご指摘があったのですが、病院の機能等を知るのには、一 般的にはドナベディアンという方が提案された「構造」、「過程」、「結果」、3つの側面 があると言われています。今回の57項目もそれらに当てはめることが可能だと思わ れるわけです。システムということが重要で、それを少し盛り込んではというご意見で した。大井委員、具体的に盛り込むとしたら、例えばどういう所をどうしたらいいでしょ うか。 ○大井委員 ストラクチャーというのは、もっと固定した構造と考えておいたほうがい いと思います。しかし、システムというのは極めて流動的で、どんどん変わる可能性も あります。  先ほどの情報提供というのは法的に「個人情報保護法」で義務づけられている。し かし、それが機関として提供のシステムを作っているかどうかということとは話は別な のです。システムを作ることをガイドラインでは決めていないのです。提供のシステム をきちんと構築しているとか、感染管理にしても「そのような委員会を作っていますか」 というけれども、実際にそういうことをチェックして働いているか。そういうことになると、 もう少し突っ込んでもらいたい。感染管理などは難しいかもしれませんが、情報などは そういうことを問うていってもいいのではないかと思います。  それはストラクチャーとはちょっと異質な問題として考えてもいいのではないか。確か に医療安全に対しては、相当踏み込んで4つに分けて書いてありますし、同じような 視点も必要ではないのかなと思います。多分、これから先、どういう話になるかわかり ませんが、アウトカムに踏み込んでいけるかどうかというのはなかなか難しい。そうす ると、その前だけはきちんとしておいたほうがいいのではないか。それによって、ある 程度のことは患者がわかるのではないかと思いました。 ○長谷川座長 これを見て、最初の部分は主に基本的な情報です。(2)「サービスの 提供」、特に(3)「実績、結果」、この辺がいわゆる病院の評価につながってくる科目 かと思います。確かに、(2)の部分はほとんどが構造となっています。ただ、よく見ると 連携、特に満足な努力というのは構造ではあるがプロセス的にはニュアンスがある。 端的には医療安全の場合、院内の活動が行われるかどうか。先生がおっしゃったよ うに、これが言い換えればシステムでしょうか。私も医療安全に関しては強く提案して いるのですが、院内に安全システムを作っていく。むしろ、対策というより、院内で情 報提供のシステムがうまく動いているかどうか。そういうニュアンスでしょうか。感じは わかりました。具体的に項目に反映させるとなるとどのような感じになるのでしょうか。 ○企画官 例えば「医療安全」や「院内感染」では、「院内感染のための委員会の有 無」という詳細な項目があります。それを診療情報の提供に引き直して考えるとしたら、 確かにいま大井委員がおっしゃるように言われたら出すのと、いつでも出せる体制を 取っておくというのは違うことだと思います。そういう体制、あるいは窓口を構築してい るかどうかという項目を設けるのが1つの案だと思います。似たような点は、20、患者 からの相談窓口の有無があります。これも窓口ということに着目して項目を設定して いますので、何か外形的にとらえられるものを項目として設定するのが1つの方法だ と思います。 ○宮武委員 20の医療相談窓口の有無、2頁の一番上、「医療ソーシャルワーカー の配置の有無」と書いてあります。これは人数を入れないと、とてもではないですがチ ェック項目にならないと思います。問題は何人いるかだと思います。100床の病院、2 00床の病院で何人ソーシャルワーカーがいるか。チェック項目として重要だと思いま すので、そういうものを是非入れてもらいたいですね。これではストラクチャーだけにな ってしまう。 ○大井委員 例えば、病院機能としては、診療情報管理システムを完備しているかど うかは非常に大切なのです。そういうような点もどこか設問に入っていると助かるので はないでしょうか。 ○長谷川座長 49、50、51の辺に本来入っているような。一般に、質の担保にはま ず病名、ICDをきちんとコーディングできることが基本だと言われています。病院がや っているか、やっていないかで医療の質が変わってくることが証明されています。その 辺を入れる必要があるのではないかと思います。 ○大井委員 というのは、それがないとアウトカムなどが出てこないのです。ですから、 アウトカムの問題に入る前に、そこまではチェックしてもいいのではないかという気がし ていました。 ○長谷川座長 座長が言うべきことではないかもしれませんが同感です。 ○辻本委員 病院医療機能評価機構の受診のときのチェックシステムのような、そう いう項目がずらっと並んでいます。患者が知りたいのは、例えば20の医療相談窓口 があるかないか。もちろん、あってほしいということにほかなりませんが何が相談でき るのか、どういうことを対応してくれるのか、それが知りたいわけです。そのような中身 が多分出てこないのではないかということがあります。  先ほど県行政、自治体はよほどの覚悟をしてくださいとお願いしたのは、なかった 情報が手に入るようになって、しかも複数入ってきたときに複数の情報を手にして、次 に問い合わせしてくる人たちは「私はどうしたらいいでしょうか」という回答を求めるよう な問い合わせなのです。もっと言えば、例えば私たちのような電話相談の対応窓口に 対しても「おたくは何をやってくれるのですか」というように、最終的には情報を入手し た人たちの行動が動いていくことを実感しているだけ、やはり機構の受診のときのチェ ック項目だけで果たしていいのかが懸念されます。  もう1つ、例えば47、48の医療安全対策の項目、院内感染対策の項目といったこ とも、いまや当然、こうあってほしいというレベルの問題です。逆に患者、家族がこうい ったところに興味・関心を持って、もう一度アクセスして確認しようとしたときはアウトカ ムに何らかの不信感を抱いたときです。そのときに、「そうか、この問題の責任者はこ の人なのだな」ということで攻撃の対象を確認するようなアクセスの仕方も一方にはあ る。そこも踏まえておかないと、情報の提供は非常に難しいのではないかということを 思います。 ○長谷川座長 ありがとうございました。 ○企画官 いまのご意見に関連します。基本的な発想として、どのような整理をして いるかというと、この情報提供制度で取っかかりの情報を得ていただきたいということ なのです。いま挙げられた例に直接対応しているかどうかわかりませんが、医療の専 門性の高さに鑑みると、このシステムだけから情報を得て判断していただくのは必ず しも適当でない場合が多いと思います。その場合はやはりかかる医療機関自身に聞 かれるか、かかりつけ医に聞かれるか、辻本委員がやっていらっしゃるような第三者 的なところに聞かれるか。そういったところで、直に確認していただく行為がどうしても 必要だと思います。インターネット上の情報だけで判断するとやはり危険だと思います。 まず、入口の情報として、何があったらいいかという視点で整理させていただいている ところです。 ○辻本委員 そうなると、やはり相談の受け入れ機関の充足ということがさらに必要 だということですか。 ○企画官 そうですね。 ○辻本委員 それが先ほど行政の窓口に括りを、ということでお願いした点なので す。 ○長谷川座長 辻本委員が言われたことは大変切実な課題で、患者にとって非常に 重要なことだと思います。それを病院の相談窓口がやると自己利益誘導型になって しまう。例えばNPO、行政がそれをガイドする。そうすれば、それに必要な情報をこの 中で、例えばNPOがこの表の中からお使いになるとか業者が使うとか、そういう課題 をこの中に盛り込むことが重要ではないでしょうか。診療サービス等、どのようにきめ 細かくするかという点が考えられるかと思います。 ○小方委員 いま、個別の話になりましたので、2、3気になるところを申し上げたいと 思います。いろいろ算定や基準を作るとき、一方で診療報酬の施設基準があろうかと 思います。  例えば資料2の3頁の56、先ほどちょっと話題になった平均在院日数、あれも施 設基準の算定式があるかと思います。これとちょっと微妙なずれがあるのではないか。 そういったところは統一をされたらどうなのか。病院サイドでも、手続きが複数あるより は1つのほうが効率の面も考えてよろしいのではないか。そのような点も考えてみる必 要があるのではないかと思います。  同じように別表2、先ほど手術件数は任意でご報告を頂戴するというご説明があり ました。これも施設基準上では院内掲示が義務付けられていると思います。これは事 実だけですから、例えば義務化で任意ではなくて、折角ですから件数の実数はご報 告を頂戴する。院内掲示をされているわけですから、それをご報告いただく形にする。  あともう1点、これは全然個別になるのですが13頁の別表1、(17)、入院保証金 の有無が出ているわけです。それまでの項目は特定療養費の対象になるものが、保 証金とはちょっと異質な感じがします。これだけポッと出てくるのが気になるので、どの ような背景なのかなということをお伺いしたいと思います。以上です。 ○企画官 まず、平均在院日数についてはよく検討します。いま挙げている定義は、 病院報告などで求めている定義を使っています。ですから、実際に定義が複数ある ので、どれに拠るべきかというのはよく考えて調整したいと思います。  手術件数について任意にしている趣旨は、報告される手間の側の問題もあります。 要するに、すべての医療機関が必ずしも細かい手術ごとに件数を把握しているかとい う問題もあります。あと公的な、義務的な情報提供制度になると、手術件数が多い所 のほうが良いかのような誤解があってもいけません。試みとして、今回、任意として出 してもらったらどうかという趣旨で、いま任意を提案しているところです。  最後の入院保証金は確認をした上でお答えします。 ○大井委員 別表の13頁に「学会認定医・専門医」が出ています。これは実はこれ だけではなく、いま、学会で専門医を作っているのは100を超えていると思います。こ の辺はそういうところで検討していると思いますので、ちょっと見直しておいたほうがい いのではないかと思います。これは広告可能な点だと思います。  それから、専門外来のところでちょっと引っかかりました。専門外来というのは結構 自己宣伝になると思います。この中で挙がっているのは実にさまざまで、疾患名ある いは治療法で挙がっていたり、中には部位で挙がっているものもあります。肩関節、 股関節、膝関節、前立腺などの専門外来というのはあり得ないのではないかと思い ます。 ○内田委員 この点、私も確認したほうがいいと思います。 ○大井委員 その辺をちょっと検討し直してください。 ○企画官 私どもも知見が十分でないところもあります。具体的に、部位のところがま ずいと理解したらよろしいですか。 ○内田委員 内容がまだ整理されていないという感じがします。 ○長谷川座長 それはどこのリストから引用されたのですか。 ○企画官 基本的には北海道の例を見ながら作っていますが、整理がしづらいところ ではあります。定義がしにくいことをあえて承知で挙げていますので、明らかにおかし いものがあれば正したいと思います。もう少し良い整理があれば方策を模索したいと 思いますので、是非ご助言をいただければと思います。 ○長谷川座長 委員の方からご意見があったら是非お願いします。 ○大井委員 少なくとも、部位はやめたほうがよろしいのではないでしょうか。部位と いうのはあり得ないと思います。最低限、疾患名か治療法になるだろうと思います。そ の疾患名も、極端に幅広いものはいかがなものかという気がします。 ○長谷川座長 疾患というのはいろいろな種類があるのでどれを採用するか。また、 いろいろご意見をいただいて、事務局で詰めていったらいかがでしょうか。  かなり時間が迫ってまいりました。ちょっと確認していきたいと思います。1は管理・ 運営・サービス・アメニティということで基本情報、これは入れたほうがいい、これはお かしいというものはここではないでしょうか。基本情報、アクセス、サービス・アメニティ、 費用負担の4項目になっています。  評価という観点から言えば、どういう病院でありたいかと思うことに対する評価とい うことになるので、自分の所は専門病院、リハビリ病院というようなこともあり得るのか なと思います。大体、基本的にはこの課題はよろしいでしょうか。またご議論があれば 事務局にお願いします。  病院へのアクセスは、物理的アクセスと日時のアクセスの両方を考えています。こ れは結構重要だと思います。患者のみならず、紹介元の診療所等でもこういうことは 大変重要だと思います。特にご意見はありませんか。  次にサービス・アメニティです。先ほど、医療相談についてはシステム的なアプロー チでとらえたらいかがかというご意見がありました。その辺の工夫はあるかもしれませ んが、具体的にご意見があったらお願いします。  それから、23〜26ぐらいに関しては、障害者なり外国人に対する対応ということで、 これだけですべてのリストかどうかと思うのですが、これもなかなかいいテーマかなと 思っています。いかがでしょうか。費用負担に関して、特に付けたり足したりすることは ありませんか。今回は、2のサービスの内容のボリュームがかなり大きいことになって います。まず、専門医や機器、特定の医療機能、疾病、専門外来については、結構 ダブる部分もあろうかと思います。確かに、患者の大変興味のあるところかなと思い ます。いかがでしょうか。ご意見はありますか。人、物、機能という感じで整理したらと 思うのですが。 ○辻本委員 患者の立場として、特に37番辺りが△ということですが、もうこれは時 代の要請ということで、是非前向きにこの検討会でも考えていただきたいと思います。 ○長谷川座長 具体的にどのような診療をやっていてどのような疾病を扱っているか というのは、いちばん興味があるところですよね。 ○辻本委員 そうですね。 ○長谷川座長 よろしければ、私が一言申し上げたいのは、先ほど示された表2の手 術の部分なのですが、全部に共通することですが、かなり定義をしっかり書かないと 書くほうも大変、読むほうも理解できないという部分があります。これは、どこかできち んと作業をするメンバーを作ってやるべきではないでしょうか。例えば、あまりにもざっ くりしていますよね。皮膚悪性腫瘍とか化学療法とか。実は、手術に関しては、診療 報酬のほうでKコードというのがあって、それは診療報酬を知っていますから病院で は全部把握されていて、それを全部集計すれば簡単に出てくるはずなのです。しかも、 重症度まで、傾向度の重症度まで近年外保連が作ったりしていますので、そういうも のを利用すると、かなり手間は省けますし定義も明確です。ここは、たぶん患者が内 視鏡手術などは随分知りたいのだろうと思うのですが、そのような工夫が必要かなと。 すみません、座長ですが、意見を述べさせていただきました。  それでは、連携の課題です。連携というのは、結構患者にはわかりにくいところが あると思います。まず、この情報の使い主というのは、患者、国民に限らず、診療所 の先生方や専門医に紹介する紹介元も大きなオーディエンスとは思うのですが。そう いう意味では、これは重要ですね。ただ、今後いかに連携が必要か、患者にもご理解 いただきたいですね。いつまでも大病院の外来に行き続けるというのが、お互いにい いものなのかというのはあると思うのですが。こういう項目はいかがでしょうか。今日 は、まず項目として、こういう課題でいいかどうかというところでご理解いただくというこ とで。  3番は、冒頭にも申し上げましたように、これが今後の日本の医療の質に大きく関 わってくるのではないかと思われます。これについて、正直実績や結果の部分などは ここでは薄くなっていますが、先ほど大井委員の指摘があったように、努力というかシ ステムというかやっているかというところに重点が置かれたような書き方になってはい ると思います。まず、この安全・質・満足への努力ということですが、人員配置、安全 対策、院内感染の辺りで、何かご意見はありますか。 ○辻本委員 この3頁について、あと5分という議論で済ませていただきたくないと思 います。 ○長谷川座長 どうしたらいいですかね。 ○辻本委員 改めて1日かけてでも、やはりこの項目は議論が非常にいま重要な部 分だと思います。 ○長谷川座長 どうですか、進行上の意見が出ましたが。 ○企画官 始まる前に考えていたのは、本日議論いただいたうえで足りない部分は 紙なりメールで意見をいただいて、それを私どもで再整理したものをまた見ていただい て、ということを考えていましたが、どうしましょうか。 ○総務課長 私ども事務局の勝手な都合で申し上げますと、一応これは平成19年4 月施行ということで、それまでに内容も省令、あるいは通知レベルでも細かい運用面 のことも示していかなければいけません。また、それを実際実施してもらう都道府県の ほうには、準備もありますのでもっと前に示さなければいけないといったスケジュール もありまして、冒頭申し上げましたスケジュールは次回に、まあ大体こんなものかとい うような形にまとめていただいて。また、一般の方のパブリックコメントをしなければい けない時間も必要だろうと考えますと、私どものつもりとしては、更にこのあとこの回で はなくて、いろいろ意見をいただくのは結構なのですが、もう1回ずれていってしまいま すので、できましたらお願いしたいと思います。 ○長谷川座長 若干座長の時間進行のこともありまして大変恐縮なのですが、2つ 提案させていただいてよろしいでしょうか。まず、大変恐縮ですが、10分ないし15分 間延長させていただきたい。どうしても用事のある方はお帰りいただいてよろしいかと。 2点目は、そういうご意見やいろいろな先生方の意見もいただいたうえで、一度集まっ て議論するような場を作るのはいかがでしょうか。少人数で有志ということになってし まいますが、是非議論があるという方が集まって、私のアドバイザーという形でやって いただくと。その意思も表明していただければ、また事務局で時間と場所を設定する ということで、いかがでしょうか。  それでは、限られた時間で大変重要な課題を行っていきたいと思います。医療安 全、院内感染共に大変重要な課題です。意見はありませんか。ないとすれば、私が あります。これは、ほとんどのことをもう行っていますよね。これは省令で決まっていま すので、やって意味があるのでしょうか。もっと、ほかにたくさん医療安全に関しては 聞かなければならないことがあるのではないでしょうか。例えば、もう診療実績の中で 転倒や褥瘡などについては、結構スタンダードで報告がありますので、何件という数 字を入れてもいいような段階に入っているのではないかと思います。元に戻ってシス テムでいえば、もう少し違う表現が、院内安全システムについて報告システムはどうな っているか、というような表現のほうが……になっている。これは100%で、もしやって いなければ違反ですね。院内安全に関しては、こういうことはなかったと理解していま すが、いかがでしょうか。  次に、49〜52までの間についてです。いわゆる、古典的な医療の質に関連するよ うな課題だと思うのですが、これについて意見はありますか。先ほど、大井委員から は情報システム、特に疾病のコーディングがしっかりしないと、アウトカムはあり得ない という部分がありましたが、ICDコーディング、余剰方式、管理士等の充実、その辺が 私は大きな課題だという意見がありました。そのほかにこれについて何か意見はあり ますか。そういう意見でよろしいですか。 ○大井委員 いろいろな意味で、病院といってもいろいろな病院がありますので、そう いうものを全部含めて考えていかなければいけないのですが、最低限必要なのは診 療情報の管理ですね。それから、先ほど言った診療開示のシステムですね。 ○長谷川座長 そうですね、開示システムについての報告でしょうね。 ○大井委員 これは、謳っておかなくてはいけないと思います。それから、49の「症例 検討体制の有無」、これが。 ○長谷川座長 もう少し提供しないと。 ○大井委員 これをもう少し何かしないと、これはありませんなんていう病院があった ら。 ○長谷川座長 医者2人出会って、これどうするというのも症例検討と同じですよね。 ○大井委員 何かあるのではないかなという気がするんです。例えば、全く別な視点 で聞くことができますね。その病院の実績をまとめていますか、必ずしも年報でなくて も構わないのですが、そういうものをまとめていますかというような聞き方のほうが、ま だ意味があるのではないでしょうか。 ○長谷川座長 アメリカでは非常に簡単で、M&Mカンファレンスやってますかという のが、もうそれでピアなんですよね。コドマンという医師が、1910年に近代病院の最 低要件として、死亡例と合併症例を院内で症例検討すること、それがなければ近代 病院ではないということも、既に19十数年に宣言したんですよ。それで、未だに日本 でやってない、ほぼ100年間遅れているということですね。 ○大井委員 それで、私は先ほどCPCと言ったんですが、あれでは、限られています ね。 ○長谷川座長 アメリカでもCPCはやっていますが、M&Mはまた別ですからね。 ○大井委員 そうですね。 ○長谷川座長 月に1回エージェントの報告をして皆で検討する。だから、日本の病 院はまだ近代病院になってないということでしょうかね。言葉の定義では。 ○大井委員 ですから、言葉を変えて実績をまとめているかというような質問にすれ ば、またもう少し現実に即しているのかなという気もしたのですが。 ○長谷川座長 是非大井委員にはその辺りをお考えいただいて、事務局にご提言い ただければ大変重要だと思いますね。ありがとうございます。  それでは、いよいよ実績についてです。患者数、在院日数、病床種別、分娩数。い かがでしょうか。これは項目が少ないですが。なかなか難しいですが、分娩といっても 帝王切開もあれば正常分娩もあります。実は、いろいろ施設調査で、両方とも聞いて いるんですよね。医療施設調査では、これよりもかなり詳しいことを聞いています。も っとも表では公開していませんけれども。ですから、データはあるはずです。テーマは 一緒なはずですね。もしなければ、私が一言。この患者数は、救急患者などは少しい るのではないかという感じがします。 ○大井委員 すべての病院というわけにはいかないのかなと思って。 ○長谷川座長 病院の理念系があって、あとで残った時間で少しやらなければいけ ませんが、診療所というか、そのほかの場合との最後はどうするかという課題にも繋 がるとは思いますが。あまり時間がありません。何か考えていただいて、これだという 何か、これを忘れているという。先ほどから何度も申し上げているのですが、手間と情 報の正確さとチェックができるかどうか、信頼できるかどうかというような課題を見なが ら、実務的には最後は選ばなければいけないということですね。ですから、そういうこと でお考えいただいて。  それでは、診療結果にまいりたいと思います。平均在院日数、アウトカム情報に関 する分析。 ○辻本委員 分析の実施の有無とは、どういう意味ですか。 ○長谷川座長 やっているかやっていないかということだけですけど。 ○辻本委員 それだけですか。 ○長谷川座長 そうみたいですね。事務局提案は。やはり、中身が欲しいですか、結 果がどうなっているか。 ○飯倉委員 アウトカムは、分析を医療機関がして、それを実施をしているかどうかと いうことを患者が確認して、それでその患者の行動として、例えば医療機関に問い合 わせをするといった場合に、アウトカム情報を開示するということまで含めて、ここでは 想定して出されているのでしょうか。 ○企画官 ここで書いてある趣旨は、そういったことも念頭にはありますが、第一義的 にはこういう分析をしているということ自体がしっかり体制を組んでいることの表れで はないかと。要するに、分析の結果の数字を聞いて患者が何かわかるかという問題 があると思いますね。要するに、ほかの病院と比較しても意味がない数字だったりし ますので、したがって数字を病院に聞いていただいてもいいですけれども、聞いて何 か有益情報なのかということだと思います。 ○長谷川座長 1歩踏み込んで、公開しているかどうか。 ○内田委員 それは、やはりいろいろと問題があると思いますね。それは、患者さん にとって情報が欲しいというのは、非常によく理解できます。一方で、それを公開して しまうと、特にDPCや何かが入ってきたときに病院のほうで患者を選択するという動 きが出てくる可能性があります。自分のところの治療成績良くするために、非常にトラ ブルを起こしやすい患者に関しては断わるということが出てくる可能性があると思いま すので、そういうことを警戒することがやはり必要だと思いますね。 ○長谷川座長 ですから、結果を発表するのではなくて、その結果の発表を。 ○内田委員 だから、分析しているというのが重要だと思うのです。 ○長谷川座長 次のステップとして、各病院で公開してもらえますかと、その情報があ ると患者は聞いて、公開して教えていただける。 ○内田委員 それは、病院が公開することは、いまはインターネットでもやっています から。 ○長谷川座長 ええ、ですから、そうしているかどうかを聞くだけでも。 ○内田委員 ここの情報として提供することは必要ないと思います。 ○長谷川座長 なるほど。まあ、それはいろいろ業務があるのでしょうけれども。 ○飯倉委員 確かにこの間の議論でいいますと、アウトカム情報、逆に医療側が患 者を選別してしまうとか症状の軽い患者だけを集めてしまうといった事態が発生する ということで、相応しくないのではないかという議論があったわけです。ただ、やはり最 終的には患者が本当に欲しい情報というのは、やはりアウトカムの情報だろうと思い ます。この間の医療部会等の検討の中でも、その方向性についてはそうしたアウトカ ム情報をどう、逆にいえば客観的な情報として比較対象が可能な情報として、開示 ができるのかということでの検討を進めていくべきではないかということで、審議が進 められてきたと思いますので、是非そこは進めていくべきだと思っています。併せて確 認なのですが、それに関する情報提供のための基盤整備の取組みが進むような、具 体的な方策を講じるべきだということで医療部会の中では取りまとめにも入っていま す。現在それに関する具体的な見通しというか取組みの状況として、報告いただける ことがあれば教えていただきたい。 ○企画官 確かに、医療部会の報告書ではそういう記述になっていますので、そうい う方向で我々は継続して取り組んでいきます。現状、あるいは来年度、平成20年度 からこの制度に乗せる状況にあるかというと、そこまではいってないのではないかとい うのが私どものいまの認識です。一方、数値を出せるように環境整備を整えていくと いうのは、引続きやっていきたいと思っています。具体的にどういう取組みがあるかと いうのは、また整理して後日報告させていただきたいと思います。 ○長谷川座長 大井委員、飯倉委員、内田委員の話を総合しますと、いまの段階で はなかなか病院内でも準備期間がある、と特にそういうものが進むと院内の情報シス テムをきちんとやらなければいけないですね。そして、ファーストステップはICDのコー ディングと。ですから、逆に言いますと何年か後に先ほどの審議会で議論があったも のを出すのだという話になっているとすれば、私はこれを何年か掛かってやっていくと いうロードマップのようなものをこの委員会で各病院に示すことがすごく重要だと思い ます。そうしないと、ある日突然言われても、例えば今回もはっきり言いますが、ある 日突然来年の3月に出せという話になったわけですよね。この程度のことは、ここに 書いてあるように広告で示せる、あるいは各団体でもやっているといっていいのでしょ うが、特にアウトカムになってくると環境整備が重要と。それは、どういうステップでどう していくかというロードマップをこの委員会で提案していかなくてはと感じますが、いか がでしょうか。座長が意見を言って恐縮なのですが、私はこれを見て1つだけ大変不 思議に思ったことがあります。一般に医療の質、あるいは結果といいますと、満足が 入っているのですが、ここに1つも入ってないというのは何か理由があるのでしょうか。 通常医療の質、あるいは患者サービス、例えば努力の中でそういうサービス向上の システムを作っているか、委員会をやっているかということは、極めて重要な患者サー ビスだと思います。あるいは、機構の評価のあしげりというか、最初に評価を受けるた めにも各病院で満足度を知るというのは条件に入っているのですが。そういうものが 入っていないのは、何か理由があるのですか。 ○企画官 いえ、例えば57番のところで、患者満足度調査を実施しているかどうか、 という項目でよろしいのでしょうか。 ○長谷川座長 まあそんなものでも。 ○企画官 それは、検討させていただくということだろうと思いますが。 ○長谷川座長 約束の10分が過ぎました。掛け足ですが、この診療所、助産所、歯 科診療所について、基本的に情報を揃えるということも重要だと思うのですが、診療 所でICDコーディングというのもかなり辛いものがありますので。そういうようなものは どうしていくかという。おそらく、もう少し診療所らしい情報提供をいただきたいという部 分があるかなという気がしています。その点について、何か議論いただいて、もし議論 がなければワーキンググループのような形でそこでいただくということで。ちょっときつ いかなと思うのは、かなりありますね。 ○大井委員 診療所で症例検討の体制の有無。 ○長谷川座長 そうですね、自問自答ですかね、1人の場合は。 ○宮武委員 ちょっと気になったのは、今度の医療制度改革で鳴り物入りで在宅療 養支援診療所をつくった診療報酬上の制度ではありますが、そこも精々4、5千かと 思いましたら、いまは1万箇所ぐらいが手を挙げているという状況のようです。看取り 数なども、あれは在宅での看取り数は報告義務がありますよね。それは、今回ここだ とないですよね。 ○企画官 12頁の31番に在宅療養支援診療所自体は書くことになっています。 ○宮武委員 別表の扱いになっているのですか。 ○企画官 はい。 ○長谷川座長 先ほどもあったのですが、平均在院日数などでもやはり診療所と病 院と1つの流れ、地域部局で各疾病ごとに流れを評価していこうという話があります ので、最低限そのような疾病の平均在院日数というものを考えたらいいのではないか と思います。その場合に、診療所のミラーイメージというか、そのようなものも必要かな と思うのですが。  それでは、乱暴ですが診療所と歯科診と助産所の調整については、また別途の委 員にご意見をいただくということで、よろしいでしょうか。かなり重要な課題を2時間で やるのがなかなか難しいということはあると存じますが、若干の不手際もありまして時 間をオーバーしてしまいました。冒頭、今回の情報提供の意味を事務局から説明い ただき、叩き台をいただきました。やはり、当初の議論がこれをどう使うのだということ で、かなり意見が煮詰まった部分と煮詰まらなかった部分があろうかと思います。プラ スアルファの議論があれば、事務局に是非お寄せいただき、それも踏まえてまた小委 員会でも若干議論していただきたいと思います。それから、案については全体的なフ ォーマット、フレームはこれでいいというふうに、委員の方々にご賛同いただいたという 印象はもっています。そこで、細かい部分に関しては、足したり引いたり議論いただき たいと思います。特に、大井委員からは少しシステム的なアプローチはどのように考 えたらいいか。あるいは、表2等について、もう少し具体的に詰めたほうがいいのでは ないかという議論もあろうかと思います。これも、また文書でいただいたり、会をもって 意見をいただきたいと思います。 先ほど申し上げましたが、きちんと定義をして文書 を決めたり、どこから取ってくるかというようなことを作業委員会でやりますと、楽にな ると思います。そこのところは、かなり必須だと思います。一般の方、オーディエンスに 応じて解説文書なども少し違うものを作って出せたらいいのではないかと思います。 最後に次回のスケジュール等について事務局からお願いします。 ○企画官 次回以降の日程については、各委員の日程を調整したうえで、またご連 絡させていただきたいと思います。 ○長谷川座長 本日は、長時間ありがとうございました。 照会先 医政局総務課 宮本、小野田 連絡先:03−5253−1111(内線2518)