06/09/13 第2回 薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会議事録 第2回 薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会                  日時  平成18年9月13日(水)14:00〜                  場所  厚生労働省5階共用第7会議室 ○事務局 これより「薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会」を開会いたします。  委員の皆様におかれましては大変ご多忙の中ご出席いただきまして、誠にありがとうご ざいます。武政委員においてはご欠席という連絡を先ほどいただきましたので、本日は10 名の先生方のご出席というところでご検討いただければと思います。  検討会の開催に当たりまして、高橋医薬食品局長よりご挨拶を申し上げます。 ○医薬食品局長(高橋) 1日付の異動によりまして、医薬食品局長に就任いたしました 高橋でございます。よろしくお願いいたします。  薬剤師の行政処分等の在り方に関する検討会の開催に際しまして、一言ご挨拶申し上げ ます。今年の1月にこの検討会の第1回の会合を開いていますが、その後、法改正などが あり、検討の前提となる法律もきちっと国会で通りました。この検討会の設置目的につい ては、第1回目に前福井局長から申し上げたとおりですが、背景とする医療の高度化ある いは医薬分業の推進、さらには薬学教育6年制の導入というように、薬剤師を取り巻く環 境が大きく変化しています。薬剤師に対しても、従来より知識・技能はもとより、高い倫 理観と医療の担い手としての高い資質が求められています。こうした背景が、この検討会 の設置にあるわけです。  先の国会において、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改 正する法律」の中で、薬剤師法が改正され、薬剤師の行政処分が類型化され、再教育が義 務化されたところです。今回の法律の施行は平成20年ですので、まだ1年半の時間はある わけですが、施行に向け、私も準備を進めていかなければいけないということで、戒告な どの行政処分の適用の在り方や再教育の内容などに関して、委員の皆様方にご検討をお願 いするということでございます。本日は、実質的にはそのスタートになるわけです。委員 の皆様方の忌憚のない活発なご意見とご検討をまずお願いいたしまして、私の挨拶とさせ ていただきます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 なお、局長はここで所用のため退席させていただきます。どうぞご了承くださ い。引き続き、事務局の人事異動がありましたので、ご紹介させていただきます。まず初 めに、中澤総務課長です。 ○総務課長(中澤) 総務課長の中澤です。局長と同じく9月1日付で、こちらに異動で 参りました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 続きまして、関野薬事企画官です。 ○薬事企画官(関野) 9月1日付をもちまして、私の呼び方が変わりましたが、これま でどおり、どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 以上です。それでは望月座長、以降の進行のほう、よろしくお願いいたします。 ○望月座長 本日は、お忙しいところをどうもありがとうございます。局長のご挨拶にも ありましたように、第1回が相当前にあり、また少しずつ思い出していきながらというこ とになるかと思うのですが、議事に入る前に、初めに配付資料について事務局から説明を お願いします。 ○事務局 配付資料の確認をいたします。本日の配付資料は、お手元のクリップで止めた 資料です。その上に、本日の検討会の座席表を1枚お配りしています。ここで、事務局の ほうで「医薬食品局吉田補佐」と記載されていますが、所用のため本日欠席です。ご了承 ください。  まず1枚目は、本日の議事次第です。めくると資料1、本日の検討会委員名簿です。資 料2「薬剤師の行政処分等の改正について」、3枚綴じのものです。資料3「薬剤師を取り 巻く制度等の改正について」は、5枚綴じのものです。資料4「薬剤師法等の改正につい て」は、右綴じ17頁のものです。資料5「今後検討すべき事項について」は、左綴じ17 頁のものです。  続いて、参考資料1「行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会報告書(概 要)等」、初めの2頁が概要で、3頁以降が報告書本文です。参考資料2「医師等の行政処 分の在り方等に関する検討会報告書(概要)等」は、最初の2頁が概要で、3頁以降は報 告書本文です。参考資料3「薬剤に関連した医療事故例の概要について」は、下に連番で 27頁あります。以上が本日の配付資料です。本日の資料と併せて、第1回の議事録につい て、机上配付しています。落丁等ありましたら、差し換えさせていただきますので、ご連 絡ください。よろしいですか。以上で、本日の資料の確認を終わります。 ○望月座長 議事次第にしたがい、議事に入らせていただきます。事務局から、何か連絡 事項はありますか。 ○事務局 マスコミの方においては、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、 ご協力の程よろしくお願いいたします。 ○望月座長 議題1、薬剤師法改正について、本日は第2回目の検討会ですが、6月に法 案が可決、成立しましたので、経過をまじえながら事務局からご説明願います。 ○事務局 使います資料はお手元の資料2、資料3、資料4で、順次説明いたします。ま ず資料2についてです。第1回検討会においては法案提出前の段階で、今回の制度改正の 中でどういったことを考えるかということで説明した資料と、基本的には同じものです。 1頁目のタイトルの下にある「平成20年4月1日から施行」を新しく加えているぐらいの 違いです。先ほどの座長のお話のとおり、前回の委員会からしばらく時間もあいています ので、おさらいの意味でも、この法案が法律になった、国会を通ったことをもっての報告 ということで、少し触れたいと思います。なお、それぞれ資料2に掲げた項目に関して、 根拠となる法律の条文については資料4を用意していますので、そちらも横に置くなどし て適宜ご参照ください。特に薬剤師法に関連しては、資料4の綴じ方が、最初に薬事法か ら綴じて、少し場所が探しにくくなっています。薬剤師法は10頁から始まっていますので、 まず10頁をお開きになり、横に置いていただければと思います。  それでは資料2に基づいてご説明いたします。まず、「行政処分を受けた薬剤師の再教育 について」の項目です。1つ目が、薬剤師名簿への登録、これまではこうした規定はあり ませんでしたが、新しい薬剤師法の第6条とありますが、実は第8条にも関連いたします。 ここは書き漏れた所です。6条と8条の2第2項、ここを根拠として再教育研修を修了し た旨を名簿に登録することになります。  2点目は、再教育を受けるべき対象者ということで、8条の2第1項を根拠として、行 政処分を受けた薬剤師は、再教育を受けるという規定になります。  3点目は、免許取消し処分を受けた場合の再教育の取扱いです。再免許申請者という言 い方になっていますが、こうした人に対して再教育を命ずることができるということです。  実効性を担保するための方策です。7条、これは薬事法に根拠を置きますので、後ほど また触れたいと思います。薬局の管理者、薬局に関する規定が薬事法で規定されています ので、この部分は薬事法になります。管理者に対しては、再教育を受けていない薬剤師、 行政処分を受けたとき再教育を受けていない場合には管理者になれないという規定が入っ ています。  2頁目は、「戒告の新設等の見直しについて」です。行政処分の類型に関して法律事項と して今回成立したものです。まず行政処分の類型ですが、現行の類型が薬事法の8条を根 拠として、業務停止と免許取消しのみが明記されていました。それに対して改正後、新た に始まる制度では戒告という類型が1つ加わっています。業務停止の在り方では期間が明 確になっていませんでしたが、上限として3年ということで改正しています。再免許に係 る手続についてですが、取消し処分の日から5年を経過しない場合には、再免許を与えな いという規定が今回盛り込まれています。  3頁目は「その他」です。今回の制度改正で、いま申し上げた再教育あるいは行政処分 ということ以外に改正した部分です。1点目は、行政処分の事由としてこれまで品位を損 するような行為というものがありませんでした。これに関して具体的に条文の中で明記し ています。手続に関して整備した点が2点あります。2つ目の○で、1つは処分について、 予め医道審議会の意見を聞くという規定が設けられました。処分に当たっては、都道府県 知事が意見聴取等をする。そうした行政処分に向けた一連の手続に関して、一通り薬剤師 法の第8条で整備をしました。それから調査権限の創設、これもその手続の一環になるか もしれませんが、被処分者に対して調査権限が設けられていませんでしたので、そうした ところを新たに創設した部分です。最後は、薬剤師資格の確認を国民が行えるような環境 づくりということで、薬剤師資格の確認が行えるような情報というものを公表していくと いう規定も、盛り込まれています。駆け足でしたが、今回、当初法案で説明した内容に関 して、改めて制度改正がされたことでのご報告を兼ねて、一通りご紹介いたしました。  医療制度の改革とはまた別に、薬事法の改正を行っており、薬剤師を取り巻く制度改正 の1つということで、資料3を用意しました。一般用医薬品を中心とした販売制度に関し て変更がありましたので、その点についても少し触れて、ポイントだけ申し上げます。  1に書いてあるとおり、販売制度の見直しの部分で、一般用医薬品を3グループに分類 します。その根拠は、リスクに応じた分類ということになるわけで、分類に応じて実際の 販売時の対応を工夫していただきます。グループを3つに分けた点が、1点目です。  その売り方に工夫をしていただくことが、2つ目の○になります。リスクの程度、言い 換えれば、グループの違いに応じた情報提供の仕方、販売の仕方というものに違いをつけ たことです。調剤された医療用の医薬品、あるいはAグループと呼んでいますが、具体的 な例では、新たに医療用から一般用に変わってすぐのような一般用医薬品、新しい一般用 医薬品が想定されるわけです。そうした医薬品を販売する場合には薬局、あるいは販売す る側は薬剤師が対応して、書面を用いて必要な情報提供を行うこと、という規定になって います。販売した後の様々な相談を受ける体制についても整備したというものが、3つ目 の○です。  この辺りの法律の概要は、参考として、その1頁の下に、3分類がどういう形で類型化 されているかで、情報提供の違い、あるいは対応する専門家の違いというところを、一通 り表にしています。ご参照ください。  4頁目、2「医療提供体制の改革について」です。先ほど資料2でご説明した行政処分 とか再教育とはまた別に、薬事法、薬剤師法の中で少し制度を変えた部分がありますので、 紹介いたします。1点目は、医療法上の対応です。薬局が医療提供施設として、医療法第 1条の2の中に書き込まれました。表現としては、「調剤を実施する薬局」ですが、医療提 供施設の1つとして位置付けられています。  2つ目は薬局機能に関する情報提供制度の創設です。背景には、患者が薬局を選択する 際の、参考になる情報の公表になるわけです。まず、薬局に関する情報を都道府県に薬局 が報告し、都道府県がこれを集約した形で公表する。それで国民あるいは住民のアクセス ができる環境を作るということです。  3点目は、在宅医療を推進する観点からの取組みです。従来は調剤という行為は薬局以 外にはできませんでしたが、在宅医療を受けている患者の居宅において調剤行為の一部が 行えるようにすることによって、在宅をより一層推進していこうということです。この部 分も薬剤師法の条文の中で、薬局以外で対応できないような書き方でしたので、少し改正 しました。それぞれの条文は、それぞれの下の参照条文をご覧ください。制度改正の全体 の概要については、以上です。 ○望月座長 ただいまの事務局の説明から、6月の薬剤師法の改正、一部改正によりまし て、戒告処分の創設と行政処分を受けた薬剤師の再教育研修の義務付けが、平成20年4月 より施行されることになったわけです。また薬事法の一部も改正され、薬剤師を取り巻く 環境が大きく変わろうとしていることが、ここでうかがえるわけです。  本検討会においては、その実行に向けて具体的な内容について、各委員の先生方からご 意見を伺いたいと思います。ただいまの説明に基づき、議題1の薬剤師法改正について、 何かご質問等ございますか。  この段階では、特にないかもしれませんが、第1回検討会においてもいろいろな方向性 は議論していただきました。議題2として、今後検討すべき事項の整理についてのところ が、本日のポイントになると思いますが、議題1に関することも一緒に議論したらいいと 思います。事務局から、資料5について説明をお願いします。 ○事務局 資料5、この検討会で今後検討すべき事項を紹介いたします。検討すべき事項、 論点ということで、少し頁が多いですが、考え得る項目として提示しています。これらに 基づき、今後の議論をお願いしたいと思います。項目に関しては、先ほど説明しました制 度改正の内容に即し、いくつか項目を分けています。前半が再教育の内容、後半が行政処 分の関係です。大きな項目に関しては、その都度枠囲みをしています。それぞれが大きな 項目ということで、ご覧ください。  1頁は、1−1「再教育の内容にについて」、議論すべき点としていくつか項目を整理し ました。冒頭の○ですが、再教育の内容に関しては倫理の保持という観点と、もう1つは 薬剤師として必要な知識及び技能の観点です。下に参照条文がありますが、第8条の2に もあるような形で設けています。  それを受けて、どういう議論すべき点があるかということで、この下に論点として整理 しました。論点の1つ目は、おそらく処分を受けた場合、その理由や内容が異なることが 想定されるわけです。それぞれに対して、具体的にその後に行われる再教育の内容に関し て、どういった点を考慮するかです。一通り論点を紹介しました後に、個別に順不同でご 意見いただければと思います。  論点の2点目は、再教育の研修の内容をどう考えるか。まず倫理の保持に関するような、 倫理面でのさまざまな事案により行政処分を受けた場合、その研修の内容についてどう考 えるかです。  次の○の論点は、知識あるいは技能に関してです。知識や技能に関するような行政処分 になった場合の再教育、研修はどう考えるかです。  2頁目の下ですが、研修方法の1つとして教育的講座というものの受講が考えられるわ けですが、その内容をどう考えていくか。いま申し上げた倫理あるいは知識・技能といっ た研修のさらに具体的な内容として、研修方法の1つに教育的講座がある中で、その内容 をどう考えるかです。  3頁目、論点の3は研修の期間をどう考えるかです。これについても、倫理の保持を求 めるような研修の場合と、その下にある知識及び技能に着目して研修する場合、それぞれ で期間をどう考えるかで、分けて提示しています。申し遅れましたが、それぞれゴシック 体の下の部分には、医師の場合ということで断りをした上で、予め平成17年に検討された 医師における検討状況というものを対比する意味で、参考として示しています。  論点4は、再就業先の環境を考慮することをどう考えるかです。行政処分があけた後、 再教育を受けるわけですが、その際、その後にどういった所で働くかといった点を考慮す るかどうかです。  5頁、1−2「再教育の対象者について」、論点を掲示しています。法律上は8条の2、 最初の○にあるとおり、戒告処分又は業務停止処分を受けた薬剤師、あるいは免許取消し 処分を受け、再免許を受けようとする者、こうした対象に対して、再教育を命ずることが できるという規定です。  それを受けて論点をいくつか掲げました。1つ目、これも倫理の保持に関する研修と、 論点2にありますが、知識及び技能に関する研修、この2つに分けてそれぞれの対象者を どう考えるかということで、示しています。  6頁目は、1−3ということで、「再教育の修了評価について」の論点です。再教育を修 了した場合には、その申請により薬剤師名簿に修了した旨を登録するような仕掛けですが、 何をもって修了したこととするかが、まず論点1です。医師の場合では一定の基準を達成 していることが期待される中で、方向性としては、その基準というものが何かしら必要で はないかということでまとめています。  論点2として、その一定の基準に達していることとした場合、その基準についてどう考 えるかです。これに関してもその処分の原因が倫理面なのか、あるいは知識・技能に関係 するのかというところで、6頁、7頁のそれぞれの○で分けて書いています。  8頁は、論点の3です。再教育の研修が修了したことに関して、行政が確認する仕組み についてどう考えるか。行政が確認する必要があるかどうかという議論も含めて、行政が 確認する仕組みについてどう考えるかということです。  9頁の1−4「再教育の提供者等について」です。これは、誰が再教育をするかです。 これに関しては、下線の部分ですが、医師の場合は、個別の状況に応じて適切な指導、助 言を行う者の存在が重要である、という扱いになっています。薬剤師の場合においては、 ○で書いてありますが、これもやはり倫理の保持に関する研修と知識及び技能に関する研 修とに分けて、それぞれにどういった指導者が必要か、その指導者についてどう考えるか を提示しています。  10頁目の最初の○が、指導者の養成です。そういった指導者が誰かということとともに、 その養成についてどう考えるかです。その下が、指導者の選任です。誰が選ぶかです。そ のほかにも論点があるかと思い、一番下にはその他として一文付け加えています。  これはどこにも入らなかったので、11頁の冒頭に医師の場合として、助言指導者という 言い方をしていますが、互いに連携をとりつつ、研修を進めること。そのほかいろいろ検 討された結果がありましたので、これを受ける形で、その他として、こうした点について 薬剤師の場合はどうかを考える意味で、示しています。  11頁の論点の2は、再教育における研修プログラムの提供者は誰がいいかについて、ど う考えるか。これに関しても倫理の保持に関する研修と知識及び技能に関する研修、それ ぞれに分けています。ここまでが再教育に関係する考え得る論点として示したものです。 ご意見いただく際には、この辺りで一旦分けるのがいいかもしれませんが、説明は通して、 次の行政処分も含めていたします。  12頁から始まるのが、行政処分に関連した論点です。2−1ということで、まず「戒告 処分の在り方について」です。先ほど申し上げたとおり、新たに戒告という区分が設けら れたことに伴い、論点としては、どのような場合に戒告処分をするべきかについての意見 の集約が必要と思っています。  13頁は、2−2として、戒告ほか3つの行政処分の区分があるわけですが、その2つ目 の「業務停止処分の在り方について」、どう考えるかです。これも先ほどの戒告と同じよう に、どのような場合に業務停止処分とするべきかということで、論点を掲げています。  それと関連して、3区分の1の3つ目が、免許取消しになります。それに関しては、15 頁で2−3として、「免許取消し処分の在り方について」という項目を示しています。これ も、先ほどと同じように、戒告あるいは業務停止と同じように、論点としては、どのよう な場合に免許取消し処分とするべきかでの提示になります。  したがって、これを逆から言うと、戒告、業務停止、免許取消し、それぞれに対してど ういった事案を適用していくかでの考え方になるかと思います。  最後の17頁、3「その他」です。これは、再教育に関する論点と行政処分に関する論点、 それぞれ1つずつあります。まずは論点1として、再教育の具体的な手続についてどう考 えるかということで、医師の例をその下に書いています。(1)から(6)、まさに手順といいま すか、そうした順序立てで何を行っていくかで整理されています。それに関して薬剤師の 場合どうするかということで、ご議論いただければと思います。  論点の2点目が、行政処分回避目的による免許自主返上も一応考えられるということで、 これも医師の場合も検討されているわけですが、薬剤師に照らし合わせてみてどう考える かということでの議論も必要かと思い、付け加えました。かなり広範囲にわたる内容で、 多くのご意見があるかと思いますが、取りあえずざっと考え得る論点ということで、一通 り説明いたしました。以上です。 ○望月座長 いま事務局から説明のあった内容としては、今後、戒告や業務停止等の行政 処分を受けた薬剤師が、国民の信頼を獲得するためにどのような再教育を受けるべきか。 また行政処分をどのような事案に当てはめていくかということについての論点が整理され ています。そういうわけで、この論点に沿って議論を進めてまいりたいと思います。依然 論点についても、一体不可分の議論にならざるを得ないと思いますので、特にこだわるこ となく活発なご意見をいただいたほうがいいかと思いますので、よろしくお願いいたしま す。では、最初に1−1、再教育の内容についてということを中心として議論いただきた いのですが、どなたか口火を切っていただけますか。堀江委員が口火を切ってくださるの に一番適切な方かと私は思うのですが、よろしいですか。 ○堀江委員 行政処分を受けた医師の再教育について検討したときには、いろいろな意見 が出ました。医師で行政処分を受けた人たちの原因、理由にはいろいろあったわけですが 処分を受けるような人たちには原因、理由に関係なく倫理教育は絶対に行うべきものでは ないかということでは一致しました。  もう1つは、実際に医療行為によって事故を起こしたというような事例の教育の在り方 として倫理教育に加えて臨床実地的な教育を行う必要性が審議されました。  ですから薬剤師の方の場合も、犯罪を犯すということもあるでしょうが、医療の現場に おいて起こしてくる事故の問題があると思います。ただ、具体的にどのような事例がある のかを確認、検討する必要があります。  医師の場合もそうですが、薬剤師の方々の薬剤師免許を取った後の仕事の在り方は多様 だと思います。例えば教職に就かれる方、病院勤務、薬局開業、製薬企業等に勤務など、 薬剤師としての資格を活用しながら仕事をされていると思います。仕事をされている現場 がかなり多様ですから、起こってくる事例というのもかなり差があると推定されます。  従って、再教育を考えるのに、ここには「薬剤師として必要な知識及び技能」とまとめ て書いてありますが、実際にどういう事例があるのかを詳細に分析して、再教育のあり方 を検討する必要があります。  しかし、非常に気になるのは、薬剤師の方の起こした事例は22ほどしか提示がなかった と思うのですが、医師の場合に比べると、その事例が非常に少なかったのです。したがっ て私たちが医師に対する再教育を検討したときのような、具体的な審議がどこまで出来る のかと思うのです。薬剤師の関わる事例はあっても、あるいは表に出ていないのかも知れ ない、そのような事例を抽出することができるのかどうか。その辺を検討する必要がある と思いました。 ○望月座長 倫理に関することは、どんなことであろうとすべて共通であるということ。 それから事例について、薬剤師の場合はおそらく医師よりも広いだろう、多様性があるだ ろうということで、確かに薬剤師がこれから活躍する場所が薬局と病院の薬剤部だけでは、 とても足りないと言ったらおかしいのですが、1万2,000人もの1年生が入学して、6年 後には薬剤師になる。その人たちが活躍する場所というのは、それこそ非常に多くの多様 性のある職場で活躍すると思うのです。そこでの新たな事例を考えなくてはいけない。こ れからの問題になるのですが、非常に大きな問題です。一部は、いまでも企業の中の薬剤 師に対してどう考えるかということがあるかと思います。  堀江委員がおっしゃったように、現在で薬剤師が問われた22例、非常に少ないというの は、これは例えば、本日は参考資料3がありますが、これについて、いろいろな事例が出 ているのですが、こういうことには薬剤師は問われずに、看護師または医師が問われたと いうことがたくさんあるものなのですか。この辺りは事務局のほうで何か説明ありますか。 ○事務局 堀江先生からご指摘いただいた22例は、第1回目の資料で付けた具体的な薬剤 師が処分を受けた過去10年の件数です。この内容として出てくるのは、配付してませんで 申しわけございませんが、猥褻行為や保険の不正請求、その他麻薬とか抗精神薬をルール を破って売ってしまったとか、そうした感じの内容です。いずれも司法処分が下された事 案でした。それが10年間で22例という実績です。  いま堀江先生がご指摘のように、おそらくこれからいろいろな再教育の内容を含めて議 論していくときには、事例の分析が必要ということですので、この22例だけでは足りない かと思い、今日は参考資料3を用意しています。参考資料3は薬剤に関連した医療事故例 の概要についてという資料ですが、これは行政処分に至ったという意味ではない、もちろ んそうした事例ではなく、薬剤師に限った話ではありません。タイトルのとおり、薬剤に 関連した事故事例、あるいは事故に至らなくともその手前で未然に防いだ、ヒヤリ・ハッ ト事例と呼ばれるようなものを、取りあえず情報として集めたものを資料としています。  ざっと見たところ、必ずしも個々の事例を分析していませんが、その中で薬剤師が関わ っているなと思われるものがいくつかありますので、紹介いたします。これは推測の域を 出ませんが、この資料を見る限りにおいてということでご了承いただきたいと思います。 まず2頁目に、平成18年にまとめられたものとしていくつかあります。一番上の1番の例 です。書いてあるとおり、「薬剤を取り違えて調剤した事例」なので、調剤であるならば薬 剤師が行っているかなということで、関係してくるのではないかと思われました。  同じように、次頁の2番が、「薬剤を取り違えて調剤した事例」ですので、薬剤師が関わ っているのではないかという推測が成り立つわけです。事故の事例に関しては、実は6頁 目までに集めてみましたが、明確に薬剤師かどうかがわかりそうな所は、いまの「調剤」 という言葉がある2つの例かなと思いました。   一方で、7頁から始まるヒヤリ・ハット事例に関する情報については、ある程度ご覧 のとおり具体的な内容と背景、要因を事例ごとに解説していますので、こちらではいくつ かもう少し薬剤師が関わっていることがわかる事例が見られました。例えば、7頁の4番 です。看護師が疑問に思って、薬剤師に問い合わせをしたけれども、指示どおりで間違い ないと判断して、看護師が疑問に思いながらも行為を行ったという事例で、薬剤師の名前 が具体的に出てきます。  私が見つけられたものを一通り抽出したいと思います。あとは9頁の11番と12番、10 頁が16番と19番、11頁が21番と23番から25番まで、12頁は26番から30番、13頁が 31番から33番と36番、14頁で38番がよくわからないのですが、39番から43番まで、 15頁は44番から49番の全部ではないかと思いました。再教育の内容を検討していく上で は、こうしたところを少し見ながらいろいろなケースに分かれるのか、それともある程度 集約されているので、内容については同じようなものでいいのかという議論になればよろ しいかなと思いました。 ○望月座長 ありがとうございました。 ○堀江委員 拝見して、いま話されたのはヒヤリ・ハット事例ですね。そうすると、必ず しも処分の対象になる薬剤師ということではないですね。当然ヒヤリ・ハット事例につい ては院内で事例を集めて種々の対策をやっているわけですが、いま審議しようとしている 再教育の対象となるものではないですね。従って再教育が必要となるような医療現場で薬 剤師に関わる事例が、どのようなもので、どの位あるのかがわかりませんね。 ○望月座長 どうぞ、現場の立場からの発言をお願いいたします。 ○堀内委員 今のことに関連して、これはやはり将来的に薬剤師がどういう病院なり薬局 で仕事をやるかということを考えながら、将来まで見通して検討しないといけないのでは ないかと思います。病院で考えてみますと、最近病院における薬剤師の業務は急激に変わ ってきています。仕事の量、質ともに変わってきているだろうと思います。特に、病棟等 における業務が増えています。人数の問題で、実際上看護師が行っている業務はたくさん あるわけですが、将来的には、例えば病棟の薬については、あらゆることに薬剤師が基本 的には責任を負うようになると思います。  実際にこの事例の中で医療事故事例が出ていますが薬剤の間違いとか、量の間違いとか、 手技、経路とか、濃度とか、日数の間違いとか、速度の間違いたくさんあります。この辺 についても、すべての病院とは申しませんが、ベッドサイドで薬剤師がチェックをするこ とが行われつつありますので、そこで起こったことに対してはやはり薬剤師が責任を負う 立場にあるということになるだろうと思います。具体的に、現在は看護師が、実際に手を 動かした責任を問われていることがたくさんありますが、そういうことも含めて、事例と しては検討すべきではないかと思います。いま医療事故の中で、医薬品に関するものが3 割とか4割ぐらいあります。その中で重篤なものを見ますと、薬剤師が責任を負うものも かなりの量になるだろうと思います。  もう1つは、例えば持参薬ですが、病棟ではいま持参薬でいろいろ問題が起こっていま す。後発薬等で、名前や識別が難しいもの、投与量や名前の間違いなど、いろいろなこと が起こります。その段階から薬剤師が関与する必要があります。実際に持参薬の量を間違 って、重篤な副作用を起こしていることもあります。そういうことも含めて、薬剤師の基 本的な仕事だろうと思いますので、将来はこのような事の責任が問われるのではないかと 思っています。 ○望月座長 病棟のほうでそういうような業務が変わると同時に、今度はその薬が処方箋 として今度は薬局のほうに移って。いままで薬局はそんな問題は少なかったかもしれない のですが、これからはどんどん増えていく。いろいろな問題の可能性があると思うのです が、七海先生、その点について日本薬剤師会で議論はありますか。 ○七海委員 倫理面はもちろんのこと、技能としては医師の場合と薬剤師の場合とでは大 分違うだろうということを思うのです。薬局においても、例えば服薬指導において必ず薬 の副作用があって、義務規定を守らなくて副作用が起こったというようなのは、明確な薬 剤師の責任になると、そういうような時代ではないかなと思っています。  したがって、重複という持参薬の問題を先生がおっしゃっておられましたが、同じよう に、他科受診、重複投薬等は十分事故になり得る問題ですし、それを阻止する仕組みが反 映されるほうがいいのではないかと思いました。 ○望月座長 ほかにどなたか意見はありますか。 ○橋田委員 堀江委員が最初にご提示いただいた問題に関連して、少し申し上げたいと思 います。いま病院と開局薬局における事例について、お話がありましたが、この場の議論 において、医療現場における薬剤師の職務に係わるいろいろな問題事例に対する処分と再 教育を中心に取り上げるのは、やはり当然の方向だと思います。ただ先ほど堀江委員が言 われましたように、薬剤師の業務が実際にはいろいろ多岐にわたるという点に関しまして、 例えば製薬企業においても薬剤師は数多く働いており、その職務においても統括製造販売 責任者が代表例になるかと思いますが、薬事法上の規定に基づいて薬剤師の資格のもとに 従事している業務がたくさんあります。その職務の中で、企業活動が何か社会の規範を逸 脱した場合には、本日のお話でも品位を損なうというところから議論が始まっております が、そうした場合に果たして薬事法上単に企業、事業者の問題になるのか、あるいは薬剤 師としての個人の問題も取り上げられるのか。それによって、こうした領域で働く薬剤師 にとっても、処分の問題、再教育の問題が出てくる可能性があると思います。これはいま 各論的に並べて議論するということではないと思いますが、どこかで議論の構造、範囲み たいなものについては少し確認しておいたほうがいいかという気はしております。 ○望月座長 この件に関して、ほかにはどなたかございますか。ごく一般的な、全体に入 る前みたいな議論にいまのところはなっていますが。 ○事務局 いまのご議論の確認にもなるのですが、倫理的な部分と技術的な部分で言うと、 どちらかというと技術的なところでいろいろなケースが考えられるというご意見が多かっ たのではないかと思います。一方で、倫理の保持に関する研修については、いかなる場合 でも必要というような方向性でいいかどうか。いずれ、そうした面を一つひとつ確認をし ていった上でまとめていく必要があるかと思っています。今日いただいたご議論は、どち らかというと、技術的なところでの研修に関して何かいろいろなバリエーション、就職先 もそうですし、事案に応じてどこが足りないから起こったかというところをきめ細かく分 析して、違った研修をきめ細かく作っていくのか。あるいは足りない部分はあるが、全体 的に幅広く実務に関する研修を、技術的な研修をやってしまって、その中で足りない部分 を補ってもらい、別に処分の事案にはなっていないような技術的な部分も、さらに繰り返 し重複して学んでもらうとか。そうした考え方で、いずれ整理されてくるのかなという印 象を、いま聞いていて思いました。その辺りで間違いないかどうか。 ○望月座長 論点1の辺りについて、どうぞ。 ○堀内委員 結局、特に大きな問題になるのは医療事故等で言いますと、いわゆるリピー ターと称している繰り返して同じようなことを起こす人は、いるということです。それは 倫理観の問題ではないかと思います。確かに技術の面で未熟だというケースもあるけれど も、医療に対する倫理観が大きいので、両方必要になるのではないかと、思います。 ○望月座長 技術が未熟なままで、それを直そうとしないというような、むしろそういう ような倫理観ですね。自分が医療の仕事に携っている意識がちょっと薄い、そういう医療 倫理の意識が薄いということに基づくのかもしれないと思います。そういうことを考える と、論点1で、いまいろいろな理由が考えられるわけですが、それぞれでこれから再教育 という内容は異なるとは思うのですが。 ○堀江委員 今日配布された参考資料1、これは行政処分を受けた医師の再教育に関する 資料ですが、その26頁に、「医師及び歯科医師の処分件数」と事例が出ています。ここに 記されているのは、医療行為とは別の問題での処分だったと思います。こういうような事 例で行政処分を受けた人は、時間が経てば、従来ですと特に教育を受けることもなく現場 復帰できていたわけです。そういうことが問題になって、こういう人たちをやはり再教育 する必要があるということで、基本的にはやはり倫理面のこと、いろいろな医に関わる法 的なことなどを含めた教育について議論しました。  それと別に、医療行為において事故を起こしてしまったという事例もあります。、そうい う人たちについても医業停止期間が過ぎれば医療現場に戻ることができるという今までの あり方状態について議論しました。事故を起こした人たちに対しても、もう一度原点に戻 って、医師としての取組み方倫理面の再教育はすべきではないかとなりました。  一方で、その事故を起こした人たちの場合は、事故の内容によって技術的な未熟さがあ ったり、あるいは知識の乏しさがあったりしますので、その面の再教育の必要があるだろ う、実施するに当たっては各都道府県単位で指導的な、能力のある医師にお願いしようと いうことで議論されたわけです。  そういう議論を振り返りながら、医師・歯科医師の処分事例と同様に、薬剤師としての 行為以外で処分を受けた事例に対しての対応というのは考えられると思います。  ただ、薬剤師として関与した事故事例が少ないですから、薬剤師としての技術的な、あ るいは知識等に関しての再教育を考えるのには具体的な事例としてはどんなことがあるの か。その辺を分析していく必要があるのかなと思ったわけです。 ○望月座長 新しい医療というか、そういう医療のサイエンスがどんどん進んでいる中で、 新しい医療の知識を吸収しないままに、その未熟な薬剤師の能力で何か事故を起こした場 合が主になると思います。  あとは、こういうような倫理的な問題で事故を起こして、処分を受けて、長期間医療か ら離れていたときの再教育。この2つ、未熟ではないが、休んでいる間に世の中が進んで しまった場合と、2つあると思います。ただし倫理については、これはどんな場合でも、 きちんとやらなくてはいけないというのが、ただいまの皆さんの意見では共通していると 思います。ここで論点1はいろいろ考えなければいけないのですが、論点2で研修の内容 として「倫理の保持に関する研修」については、皆さんはどんな行政処分の場合でも同じ ようにするほうがいいだろう、ただし、知識及び技能に関しては、いま堀江委員が言われ たように、それぞれの事故の内容に鑑みて対応が違うのではないか、という考えと理解し てよろしいでしょうか。  論点2の研修の内容でありますが、倫理の保持に対する研修内容は、医師の場合には、 教育的講座の受講、社会奉仕、心身鍛錬、読書、執筆ということですが、薬剤師としてこ ういうことにはどう当たったらいいか。後半ではいろいろな講習会が書いてありますが、 これまでの薬学教育で生命倫理、医療倫理はむしろ欠けていた部分です。新しい6年制大 学教育では、1年からそれをずっと6年にわたって「ヒューマニズム」という名前でモデ ルコアカリキュラムでは言っていますが、それを学ぼうという形にようやくなってきまし た。今までの薬剤師は、大学で少し教わったあとに世の中に出てから薬局や病棟で、そう いうのは自分で身につけていったわけです。それを身につけ損なった人が、もしかしたら いるかもしれないということです。そういう方々の再教育はどうしたらいいか、それにつ いてのご意見を伺いたいと思います。 ○武立委員 私、4月から大学に移っておりますが、それまでは長く医療現場におり、薬 剤師の仕事についてはよく理解しております。いま望月座長がおっしゃられたように、今 までの薬剤師教育は医師の教育とは違って、医師の方は、倫理面はヒポクラテスの誓いや ヘルシンキ宣言など、いろいろな所で倫理の教育を受けられてきたと思いますが、薬剤師 はほとんどそういったものはありませんでした。社会に出てから自分たちで、そういう自 覚を持って仕事をしていくのが現状だったと思います。ですから、本当に欠落していた。  大学に移りまして、ちょうど6年制がスタートいたしました。スタートした教育を見て みますと、ヒューマニズムの講義がたくさん入っています。また、アーリー・エクスポー ジャーで医療現場に見学に行き、医療人として薬剤師やそれ以外にどのような仕事が現場 で行われているのか、そういう体験を1年のときに身につける。うちの大学では、病院に 行き解剖の実習を見せていただくとか、そうしたことで医療人としての自覚をかなり強く 持つ機会が出てきました。いまの1年生と、それ以前に入った2、3年は、かなり教育的 に格差があると思いますので、2年生、3年生はかわいそう、何とかいいチャンスを与え てあげないといけないと思っております。薬剤師は医療人ですので、医療人である以上、 倫理はきちんと押さえないといけないところですので、いい機会ですから必ず倫理の再教 育をしていただきたいと思っております。  社会奉仕やボランティア的なことは海外でもずいぶん行われているようですので、そう いったことも積極的にしていただきたいですし、あと医療事故や副作用で実際に被害に遭 った方の話を聞かせていただくのも、とてもよろしいのではないかと思っております。 ○望月座長 1年生の教育と2年以上の教育は非常に大きな問題になると思います。それ については幸い厚生労働省が生涯教育、要するに新しい制度以前の薬剤師については毎年 予算を獲得して、そういう方々の再教育をどんどんやっていただく。それは技術だけでは なく、これまでの議論のように倫理とかコミュニケーションをきちんと再教育するシステ ムは、非常に大切だと思いますので、是非それをお願いいたしたいと思います。 ○七海委員 先ほど武立委員の倫理の話とリンクするのですが、薬剤師会でも、平成4年 に「医療を担う薬剤師」となった時点で倫理綱要を変え、全国に周知徹底しているところ です。1つの社団法人が倫理綱要を周知徹底しているとしても、それはすべからくにいく というわけにはいかない。その辺は行政からのバックアップをいただければ、裏付といい ますか、そうしていただければ有難いと思います。  もう1つは、2頁の関連団体との意見交換は薬剤師会はわりとやっております。それは 我々の責任もありますので当然ですが、その4行目に、医師の場合ですが「医療事故の事 例について意見交換することも有用である」というのは、医療事故の事例について、どこ でどのような場面を想定しているのかが分かりにくいのです。事務局でお分かりいただけ れば教えてください。 ○堀江委員 大学医学部の卒前教育ではモデルコアカリキュラムが提示され、その基本事 項に医の倫理教育が明示されていますし、卒後臨床研修の行動目標にも含まれています。 私の所属した大学で行っていた事例は、大きく報道された事故例を取り上げて学生たちが 例えば医師の役、看護師の役、事務職員の役、患者役、ご家族の役に扮して医療事故事例 を劇として臨場感のある状態で展開していきます。その経過中に何度も劇を中断し、そこ で学生が中心となって意見交換をするわけです。その時には必ずしも自分の意見を述べる のではなくて、あなたは賛成の立場で意見を述べなさい、君自身はどう考えようが反対の 立場で意見を述べなさいという議論をしながらだんだんストーリーを進めます。そこに弁 護士も来たり、あるいは看護師も来たりということで、ある事例に基づいていろいろな意 見交換をして、どこに大きな問題があったのか、そのご家族に対しての対応が、それで良 かったのかというようなこともやるわけです。学生は、具体的な事例に直面しながら、当 事者の意識で取り組みますし、専門的な立場の意見も聞くことが出来ますので、学習効果 は大きいと思います。これは一例ですが、各大学で種々の取り組みがされていると思いま す。  医師に対する倫理面の再教育を議論したときに、実地的な教育は都道府県単位の医療現 場でやっていただく、しかし医の倫理に関しての教育は対象者を集めて一緒に教育をする、 ということになりました。 ○七海委員 よく分かりました。薬剤師もそういうふうにしていけたらと思います。 ○望月座長 大体ですが、研修の内容については実際の事例に基づくこともありますし、 現在進んでいる医療倫理、生命倫理、あるいはコミュニケーションという新しい薬学教育 の枠の中において、大学で学ぶこと、それと日本薬剤師会は事故を受けた方々の意見も伺 っているということで、大学や団体の場でできるであろうということです。  やはり知識及び技能に関する研修についてどう考えるかというのは、私みたいな素人が 考えると、現場の病棟や薬局に行って指導者のもとで一定期間指導を受けることがいちば んいいような気がするのですが、これについてはいかがでしょうか。 ○倉田委員 私が申し上げることは倫理的なことなのかどうか分からないのですが、患者 にとって非常に迷惑なことがあるのです。病院の前にある門前薬局と言われるような薬局 でのことですが、病院休日は軒並みお休みにしています。患者は処方箋が出たら4日以内 に薬を購入すればいいわけですが、病院の休日にぶつかるとどこにも行けなくなってしま います。他の薬局に行けばいいではないかということで行きますと、この病院のあの先生 は、これらの門前薬局でしか扱っていないような医薬品というようなわけで、即、その場 で薬を購入できない状況が結構あると聞いています。そういうことから思いますと、薬局 開設のときに、例えば近くの病院が休みのときには、一緒に休みにしてはいけないとか、 そういうことをしていただかないと現状は困っております。今までは罰則がないから平然 と行われているのだと思いますが、是非罰則をつくっていただきたいと思います。  もう1つは服薬指導のことです。先ほど事務局からご説明いただいた医療提供体制の改 革の3つ目に「調剤の場所の見直しについて」とあります。これは訪問服薬指導に入るの ではないかと思って聞いていたのですが、いま訪問服薬指導を薬剤師はどうしているかと いうと、あまり役に立っていないようです。患者は複数の病院にかかって薬を飲んでいま す。でもそのコンプライアンスが悪くて、例えば患者宅へケアマネが行ったり、訪問看護 の看護師が行ったりしても、患者が薬をきちんと飲めていないという現実が分かります。 そのときは薬剤師に相談したいわけですが、薬剤師は何と言うかというと、「先生に言われ たとおり飲んでください」という答えしか言っていないように聞きます。どうして飲めな いのか、どういう工夫をしたら飲めるようになるかということ。それから、この患者がい ちばん飲まなければいけない薬は何なのかを、患者と複数の医師の間に立ってコーディネ イトするのが薬剤師の仕事だと思うのです。もしそういうことができなかったら、それは 薬剤師として本領発揮していないと思います。 ○望月座長 最初の問題、薬局開設に関しては行政の問題かもしれないのですが、門前薬 局が一斉に休むという現状は、何か規制はできないかということですが、これはご検討を 願いたいということで、よろしいでしょうか。 ○事務局 休まないでくれとも言えないわけで、その辺りは薬剤師会でも結構、休日や夜 間対応も含めた活動指針といいましょうか、そういった方向性のようなものも打ち出して いますので、それと連携を取りながら、いま言ったようなサービスが不足するようなこと にならないようにしていきたいとは思います。 ○七海委員 倉田委員、いろいろご迷惑かけて申し訳ございませんでした。率直に謝ると ころは謝っておきたいと思います。しかし我々としては、例えば診察日しか開けていない 所というのはおかしいということで、我々はやはり自浄作用のある社団法人・日本薬剤師 会として、そういう所には注意をしたり、薬務主管課と連携しながら患者の24時間対応を、 うまくできるように頑張っております。在宅医療についても医療連携ということで、結構 増えております。私の所は田舎なので、結構医師からこのような場合薬はどうしたらいい のか、粉砕していいのかどうかと聞かれますので、田舎と都会はちょっと違うのかなとい う気はします。確かに届けるだけということが在宅という概念を抱かれたら困ると思いま すので、その辺は我々注意していきたいと思います。今後とも厳しいご指摘のほう、お願 い申し上げます。 ○望月座長 在宅医療の場合、薬剤師法第22条で調剤の場所の見直しが法律で通っていま すので、これからは薬剤師も、当然自分の領域の仕事としてそちらに入っていくと思いま す。もし患者がどうしても飲めないとか、好きな薬だけを飲んでいるというようなことが あったら、それはある意味薬剤師の責任で、やはりきちんと医師に連絡し、患者に対して 指導をきちんとすることが薬剤師の仕事としてみなされるようになるので、そういうこと がありましたらどんどん薬剤師に文句を言っていただければと思います。  それでは論点3の研修の期間についてどう考えるかです。例えば倫理の教育ですと、い まもし大学でやると大体半期です。12回あるいは14回という形ですから、大体前期か後 期の4カ月ぐらいのスパンで教育がされています。そのぐらいのスパンの中でいろいろな 形の教育のやり方、先ほどのロールプレイングのようなことも含めたものもやったらいい かと思うのですが、これについてはいかがでしょうか。  どのぐらいの期間が必要か、どのぐらい教えたら倫理観が身につくかというのは非常に 難しい問題ですが。結局、その期間で倫理観を身につけるのではなくて、身のつけ方とい いますか、そういう気持にさせるということで、あとは個々人が自分で倫理観を培うしか しようがないと思いますが。 ○橋田委員 倫理の教育は、先ほどもありましたがいろいろな形の教育を組み合わせてい くことが1つ。それから、いわゆる集中講義をして短期決戦で知識を詰め込むというよう な方法には全然馴染まないタイプの問題ですから、やはり、ある程度時間をかけて、問題 提起をし、その方がそれをどう受け止めて、それにレスポンスするかというプロセスを大 事にしながら進める必要があるのではないかと思います。 ○望月座長 そういうご意見にまとめられるかと思いますが。これに対して技能・知識に 対する研修はどのような期間を考えたらいいかです。ある意味でこれからの6年制大学教 育では、10週間の薬局、10週間の病院をやれば、あとは世の中へ出ていくという、一般の 方から見ればあまりにも短かすぎる。これはあくまでもここで全部完成するのではなく、 ここでこれからする技術の身のつけ方、あるいは知識、知識は大学でするとしても、技能 や態度の身につけ方を学んで、それから何年にもわたって現場の薬局、あるいは薬剤部で また身につけていくのが本筋だと思います。そういうものを身につける下地をつくるのが 今度の6カ月実習だと思うのです。  ある意味で、下地をつけるためでしたら、そのような期間でも可能かとも思いますが、 これについてはいかがでしょうか。ここに書いてあるのは「一定期間」と書いてあります が、この一定というのもはっきり書いておりません。 ○事務局 ここは医師の場合も一定期間でとりあえず報告書をまとめて、このあと具体的 にいろいろな、それこそ事案に応じて何種類もの研修を作っていくのか、どのような事案 であっても一律の期間で定められた研修をするのかという議論が続いていると承知してお りますので、そちらのほうの情報も入手したいと思います。 ○望月座長 それに関連して論点4で、再就業先である病院、薬局、あるいは企業である とか、その環境を考慮するということで、結局もとの業務に復帰するに当たりましては、 元の就業先の環境に応じた医療技術を修得するしかしようがないので、それについても基 礎がきちんと、この場所以外で、大学あるいは日本薬剤師会や日本病院薬剤師会の指定し た場所で身についておれば、あとは再就業先の環境に応じて医療技術の修得ができるとい うように考えればいいかと思います。  これらの点はまた後でもう一度戻るということにして、1−2の再教育の対象者につい て考えていただきたいと思います。 ○平林委員(座長代理) 次に進む前に、いまの再就業先と期間の問題に関連して、どの 時期に研修を行うのかについてほとんど議論されていないわけです。先ほどのご説明をお 聞きしておりますと、行政処分が明けたあと研修をし、そのあと就業するというようなご 説明があったように思うのです。ただ一定の期間が修了すると基本的に就業できますので、 就業しながら研修を受けるという形に論理的にはならざるを得ないと思うのです。  そうすると、例えば技術的なマイナス面を修復する前に、実は働いてしまう。それで働 きながら研修を受けるというと、少しその辺に齟齬が生じてくるのではないか。そうする と研修は期間が明ける前にやったほうがいいのかというと、それはどのぐらいの期間が必 要なのかなかなか判定できないということでどの辺りからどういう期間で、どのタイミン グで研修をするかというのは、実際問題、結構難しいのではないかと思ったものですから、 その点どのようにお考えになっているのかお伺いします。 ○望月座長 その点についてはいかがでしょうか。処分が決まってからすぐ再教育に移っ て、それで処分と再教育とが重なって、処分が明けるときには、ある程度の再教育が完成 して、それで就業しつつ最後の仕上げをするという形が、何となくいきやすいような気が するのですが、平林委員の担当された看護師や保健師のほうではどういう形になっている のでしょうか。 ○平林委員 そこはまだ議論していません。ただ戒告の場合は就業はずっと続けられるわ けですから、いずれにしろ戒告の行政処分を受けた者は、仕事をしながら研修を受けると いうのはやむを得ないと思います。問題は業務停止、あるいは免許取消しを受けた者が再 免許を受けるときにどうするか。それは業務停止や免許取消しですと、その犯した罪とい いましょうか、行為は非常に重いわけですから、なおさら研修の必要性が出てくるので、 そこを中心に議論しておけば、とりあえずはいいのかなと思っておりますが、どうすれば いいのか私もいい考えが浮かばないものですから、少しご議論いただければと思います。 ○望月座長 いかがでしょうか。処分の期間にスタートするという気はするのですが。堀 江委員、いかがでしょうか。 ○堀江委員 参考資料1に医師に対する再教育に関する検討会の報告書が示されています が、その辺については検討会で審議されました。処分の期間中に職業倫理教育を始めてい く、それで処分のほうが短くて再教育が終わらないことも起こり得るわけです。従って、 個別処分事例ごとに再教育期間は定めねばなりませんが、事例によっては医業再開後も再 教育期間が継続することもありうると思いますし、教育を担当する指導者が非処分者と定 期的に面接する必要性も盛り込まれました。  ただ問題になったのは、医業停止処分を受けている期間が長期である医師の知識不足と 技術低下への教育と、医療技術に問題があって処分を受けた医師の技術的な面の教育をど うするかということです。少し正確性に欠けると思いますが、知識についての教育は処分 期間中でもできますが、基本的に医行為を伴う技術研修は医業停止期間が終了した後に行 う、と結論したと思います。また、各処分者には指導者がつきますが、その指導者の評価 が非常に重みを持つようなことになると思います。 ○七海委員 基本的には医師と同じスタンスでないとおかしいのではないかという気がい たします。もう1つ疑問に思ったのは、再就職先が決まらない場合どうするのかは書いて いないです。例えば薬局で戒告処分なり行政処分を受けて病院に行くと決まったら、そち らでしょうけれども。しかし決まっていないという人についてはどうするのか。医師のほ うは医師ですから決まっていると思います。その辺、薬局の対応性が、ある面、難しいか なというような気はします。 ○望月座長 薬剤師としてのコアの技術・知識は何かという問題ですね。それについては どうでしょうか。問題を起こした技術、問題を起こした知識、何が欠けていたからその問 題が起きたかということを中心に、技術・知識については、その再教育でいくしかしよう がないような気はするのですが。 ○堀内委員 この行政処分で、医師に対する再教育の検討会報告書は大変よくできている と思います。その中で技術については再確認だということですが、これは本当に再確認で いいのかと思います。再確認というのは前と同じレベルで、技術がきちんとしているとい うニュアンスに感じるのです。技術はどんどん進んでおります。例えば問題を起こしたと ころのレベルがかなり問題になることもあり得るわけですので、最新の技術あるいは知識 にあるべきであると思います。薬についてもどんどん新しい概念の薬ができていますから、 そこまでの知識と技術を再教育するという捉え方をすべきではないかと思います。医師の 場合は再確認となっていますが、そこが分からないのです。 ○堀江委員 医師の再教育に関しては参考資料1の12頁に、「医療技術に係る再教育の内 容について」の関連で、「例えば、内視鏡下手術において事故を起こしたことを理由として 行政処分を受け」とあります。これは1つの例として挙げたと思います。「技術研修の結果、 当該分野における被処分者の医療技術に問題があると評価された場合には、医業再開に当 たって、適切な修練により十分な技能を修得するまでは、当該分野の治療を単独で行わな いこと」。これを指導する人、要するに助言指導者です。それと被処分者がお互いに同意を して、それで修得ができたという内容を研修評価書、これは指導者が作ることになってい ます。それである程度の技術は修得できたという証明をした上で復帰することになってい たと思います。  ですから処分の期間中にできませんので、その後すぐに、処分が切れたらその技術を自 分は十分でないのにやってもいいかというと、ここで助言指導者の関与があって、そこで、 これだけの技術をできるようになったということをお互い確認し、その結果を報告書に書 くということであったと思います。薬剤師の技術の部分は私ははっきり分かりませんが、 そういう対応も必要になるかと思います。 ○堀内委員 医師の場合はかなり専門化された技術、例えば内視鏡の技術などをきちんと したレベルまでもっていくことだろうと思いますが、薬剤師の場合は薬に対する知識、調 剤だと思います。調剤は精通するまではなかなか大変だと思います。要するに薬のこと全 体を知っていないとできないし、疑義照会、照合監査などもきちんとできないといけない。 さらに服薬指導や説明もできないといけない。これらにも技術の問題があると思います。  医師の場合は、かなり専門化されてくる。薬剤師の場合は薬に関連する全体を十分に知 っていないと業務はうまくいかないという気がしますが、いかがでしょうか。 ○平林委員 8頁にこういうふうなことを書いてあるのは明らかですが、例えば業務停止 を受けた者が業務を再開するについて必ず研修を受けなければならない。業務再開につい ての前提条件としてこの研修が位置づけられているかというと、少なくとも法律の条文を 読む限りは、必ずしもそうではないように読めるのです。そういう理解で間違いがないか 確認をしたいのです。 ○望月座長 結局、修了の評価につながると思うのですが、再教育の対象については、い まの議論ですと、やはりその倫理はすべてですが技能・技術に関しても、あるいは薬学の 最新の知識はすべての人に学んでほしいという堀内委員の意見でした。それも確かだと思 いますので、対象者としては両方の教育をきちんとする。その上で問題となった技術につ いてはきちんと、もう一度指導し直し、それの評価をどうするかということで。いま平林 委員が言われましたが、1−3の再教育の修了評価をどう考えるか。どの段階が終わった らまた普通に現場の薬局、あるいは病棟に戻れるかということですが。 ○平林委員 私が申し上げたのは法律の構造上の問題です。要するに研修を受けなくても 薬剤師法32条で罰金50万円払えば、受けないということに対してのサンクションは第32 条しかないように読めるのです。こういうことはないと思いますが、罰金を払って研修を 受けない、でも一定の期間が経過すれば業務を再開することができると読めてしまうので す。そういう構造と理解してよろしいのでしょうか。 ○事務局 そこは条文上なぞっている所から説明申し上げたほうが理解が深まるかと思い ますので、資料4の14頁の第八条の二に再教育研修に関する規定があります。「厚生労働 大臣は」という文章ですが、ここに書いてあるのは「前条第二項第一号若しくは」という ことで、「処分を受けた薬剤師又は同条第四項の規定により再免許を受けようとする者に対 し」云々と。要は再教育研修を受けるよう命ずることができるという規定です。再教育研 修を受けるよう命ずる対象となりますのは最初の2行くらいに書いてあります条文を引用 した部分になります。この条文を見て10頁に戻っていただきますと、上段の第八条の2に、 戒告あるいは業務停止、免許取消しのうち、最初の戒告と業務停止のところが14頁でいう ところの処分を受けた薬剤師、免許取消しに関しては、14頁で申し上げますと再免許を受 けようとする者になります。当然のことながら業務を行う上では免許がなければできませ んので、免許取消しの処分を受けた方に関しては、命じられた再教育を受けなければ業務 復帰はできない。  一方、戒告あるいは業務停止を受けた方に対しては、再教育の時期を、ある程度いつに するかをはっきりしておかないと。いちばん悩ましい問題は業務停止の場合だと思います が、業務停止1年なら1年という形で受けた場合、1年後に再教育を受けていようとも受 けていなくても、命じられてはいるけれども業務をしてはいけないという規定がない、と いうのが平林委員のご指摘だと思います。戒告に関しては、戒告ですので再教育を受けて くださいという中で、通常業務を行っているケースがあろうということで、先ほど平林委 員が触れられたと思います。  問題は、その期間が定められた上での業務停止の期間の内側に再教育を置くべきなのか、 あるいは業務停止期間が明けた後、プラスアルファで再教育という期間が設けられて、そ れを経なければ業務復帰できないと考えた場合は、当初課せられた業務停止の期間に加え て再教育の期間が、働けなくなる期間になるから、その辺りをどう捉えていくかというこ とでの問題提起だと思います。これについてはいろいろなご意見をいただいた上で、それ こそ医師がどう取扱うかも含めながら考えていく、ということでこの検討会の1つのテー マになろうかと思います。 ○望月座長 ただいまの新しいポイントを平林委員から出されましたが、これについては いかがでしょうか。 ○堀内委員 命令を守らなかった場合の罰則規定は全くなく、50万円を払うことだけです ね。私の認識としては、その処分期間内に再教育を受けない者については、例えば業務停 止だったら、それが解除しないと思っていたのです。 ○平林委員 そういう構造にはなっていないですね。 ○堀内委員 ただ50万円を払えばいいだけですね。 ○平林委員 そういうことはないと思いますが。 ○堀内委員 ないかどうか分かりませんよ、50万円で済めば。簡単ですね。 ○望月座長 普通の常識からいうと納得できないですね。そういうことをやる人は法律で 縛るしかしようがないですか。 ○堀江委員 新しい薬剤師法、改正されたほうは義務付けにまだなっていないのですか。 ○事務局 なっていないです。20年4月の施行です。 ○堀江委員 そのときになれば義務化になるのですね。再教育を受けなければいけない。 ○平林委員 でも開始の条件にはなっていない。 ○事務局 その辺りは業務停止を例にとれば、論点の所に書いてあるのですが、どういう 場合に業務停止を適用すべきかというところとかなり関係してくるので、どちらを先に議 論するかにより、業務停止を受ける処分の事案の適用条件といいましょうか、事案の内容 によって内側でもいいのか、あるいは外側でなければ納得いかないというご意見なのか。 それを具体的なケースをこれから素材として提示しながら、整理していくのではないかと 思います。今日の段階では、ご意見はいただけても結論まではいかないと思っております。 ○堀江委員 行政処分を受けた医師が再教育を受けた、再教育が修了したという証明書が 発行され、医籍に登録される。それの経過を踏まえて医業を再開できるという認識でおり ますが、薬剤師の場合は同じようにはならないのですか。 ○事務局 そこの運用面は同じになるという考え方もありますが、法律だけを見ると、そ こまで明確な手当はされていないという平林委員のご指摘で、ここは医師も同じ法体系に なっています。あとは、実際どういう形できちんとした再教育の徹底とか処分をどれだけ 徹底させるかといった点は、運用面を含めてこれから整理されてくると思います。 ○望月座長 患者から見て、その名簿を見れば処分は明けたが再教育は終わっていないと いうことは読めるわけですね。これは後の「処分の在り方について」で出てきますので。  また戻りまして、修了の評価について皆さんのご意見をお伺いします。一応「再教育研 修を修了した者について、その申請により、再教育修了をした旨を薬剤師名簿に登録する」。 修了した旨というのは誰が考えるかと。論点1では何をもって再教育を修了したか。論点 2は、一定の基準、修了の基準というのは何かということ。論点3では、行政が確認する 仕組み、行政は再教育修了をどのように確認するか。この点についてご意見を伺いたいと 思います。  それで、助言指導者というのが医師の場合には出てくるのですが、薬剤師の再教育に関 しても、助言指導者ということを考えるのか。これは次の指導者の育成、指導者の選任に もつながるのですが。そういう方がいるという前提で進むのか、そういう方は無しで各自 が自分で申請してという形にするのかで、ずいぶん様子は違うと思うのです。特に厚生労 働省の今度の決め方の中には、それをはっきり入れていないですよね。それは薬剤師と医 師は違うのだという意識なのでしょうか。医師のほうも法律には入っていないのですね。 ○事務局 はい。 ○望月座長 これについてはいかがでしょうか。どのように修了を評価するかということ ですが。 ○七海委員 医師のほうは基本的に第三者がないような感じを受けましたが、薬剤師の場 合は、薬剤師研修センターがあります。そこで認定指導薬剤師を育成しているという背景 がありますので、指導者の位置づけというのは、第三者としては、医師と違うのは研修セ ンター、薬剤師の生涯教育を実施する第三者機関として研修センターがあるということは、 ちょっと違うところかなと感じました。 ○望月座長 薬剤師研修センターが一応独立にあるということで、そこが修了したことを 行政に代わって確認する組織になり得るのではないか。いま認定指導薬剤師として学生を 指導する薬剤師を育てているように、そのほかに助言指導できるような薬剤師も研修セン ターが育て得るのではないかということですね。  そういう考えが出されましたが、それについてはいかがでしょうか。 ○堀内委員 私も薬剤師研修センターで客観的に評価するのが良いと思います。さらに言 えば、誰を助言指導者にするかという指定も、そこでやったらどうかなと思います。都道 府県に任せるのも1つの手だと思いますが、折角研修センターがありますので、そこのほ うが適切な人を掌握できるのではないかと思います。 ○望月座長 ある意味でいうと、行政につながるということで非常にやりやすいのではな いかということです。研修センターの方がここにいないうちにどんどん仕事を押しつけて しまうような気がしないでもないのですが、そのために薬剤師研修センターができている ので。いまいる薬剤師のほかに、再教育の必要な薬剤師の研修も、やはり研修センターが 中心となって。研修センターが教育をしろということではありませんが、研修センターが 中心となってそういうシステム、それと指導者、それで最終的な修了の評価を考えていた だきたいというのが、今まで出たご意見かと思います。 ○宇賀委員 研修センターが実際の研修に当たって重要な役割を果たすことは当然だと思 いますし、結構なことだと思います。ただ、最終的な再教育の修了の認定については、そ こに丸投げという形になると、やはり問題があって、最終的に行政の責任においてしっか りした認定をする必要があると思います。再教育は法律で義務付けをして、それを行わな い場合は罰則で担保しているという非常に重いものですし、また再教育を修了していない と薬局の管理者になれないという法律上の要件と関わってくるものですから、やはり最終 的な再教育修了の認定は、行政の責任においてしっかり行う必要があると思います。 ○堀江委員 私もそう思います。 ○望月座長 行政のほうも、それについてはよろしいでしょうか。 ○事務局 いまいただきました宇賀委員の意見は、おそらく医師と同じと思って聞いてお りました。8頁の論点3で、研修を修了したということについて研修評価書をもとに、こ れが厚生労働省に提出されて、この後、これに関して研修評価書を審査し、審査結果に応 じて措置を取るという流れですので、おそらくこれのことをイメージされていると思って お聞きしました。  あと1点、研修センターが話題になっておりますが、受け皿が最終的に研修センターが どうかは別の問題として、仮に研修センターが受けるにしても、具体的に今回の論点に挙 げましたが、ある程度内容が詰まっていかないと。受け手としての研修センターはご意見 としてあるかもしれませんが、どういう内容を受けていただくかという議論は、この検討 会でもう少し具体化しなければいけないと思っております。 ○堀江委員 医師会がという意見が出たときに、大学側やほかの委員の方々からは、かな り反論が出ました。 ○望月座長 薬学でも薬剤師会、あるいは病院薬剤師会、日本薬学会や、学術団体ではな い業界団体といいますか、そういう所がありますが、そこがやるのは、たぶん問題が起こ ると思います。薬剤師研修センターはそういう所から完全に独立して日本の薬剤師の資質 を上げるためにつくられた、ある意味で半官半民というのでしょうか。 ○事務局 財団法人です。 ○望月座長 財団法人ですか。失礼しました。そういうものでありますので、たぶん、そ こに非常に大きな力、あるいは役割を持っていただいても反対される方は、研修センター の中の方は分かりませんが、表から見たら非常に分かりやすいかなという気はします。薬 学関係の方は、この点はいかがでしょうか。 ○倉田委員 素人で全く分からないのですが、医薬品医療機器総合機構は、こういうこと には全く関係ないのでしょうか。 ○事務局 一応総合機構の役割としては、薬剤師の再教育や行政処分に関しての業務を行 う規定にはなっておりません。いまのご質問に端的に答えるとすれば、関係していないと いうことになると思います。 ○望月座長 ある意味、一歩離れた財団法人ということで動きやすい面もあるかと思いま す。 ○武立委員 日本薬剤師研修センターは生涯教育を担ってくださる所ですし、今回の行政 処分は生涯教育と切り離しては考えられないと思いますので、研修センターでしていただ くのがいちばんよろしいかと思います。 ○望月座長 そういうことで、していただくと。それで何をしていただくかということで すが、修了の認定を行政に代わってしていただき、それで研修評価書を書かせることをす るのか、あるいは、その前の段階の研修が終わったという認定だけか。この点については いかがでしょうか。医師の場合は、厚生労働省の、そういうような研修評価書を審査する 部門はどこでやっているのでしょうか。 ○事務局 その辺りはこれからです。 ○望月座長 これからですと、薬剤師も一緒に、これからの中に入れてもらいましょうか。 どうでしょう。 ○堀内委員 倫理面の研修などは、全体を集めて行う講習会のような形でやったらいかが でしょうか。講習会だけですべていいのかどうかは別問題として、医療人としての意識の 問題や患者の立場などの認識の問題は共通でできるのではないかという気もいたします。 ○望月座長 そうですね、医療人ということでは1つのものであろうということで。医療 倫理、生命倫理というものについては、むしろ一緒のほうがいいのかもしれない。そうい うことは1回は一緒にやって、医師、薬剤師、看護師は一つの土俵で同じ倫理観を持つの は良いかもしれないですね。 ○堀内委員 さらに関連法案ですが薬剤師法はどうなっているかについては知らない人が 多いのかもしれませんし、医療法や薬事法も含まれるかもしれません。 ○望月座長 法律その他については大学でもできるかもしれないですね。ですから、研修 センターがプログラムとして、ある部門については大学でできる、大学でできるときには、 例えばこの大学と。関東だとここ、関西だとここと指定する、講座まで指定していいかも しれない。そのほかに医師と看護師と薬剤師が合同で学べるような、倫理に関する、でき たらスモールグループ・プランニングというような形で、お互いにディスカッションしつ つ理解していく体制ができれば、いちばんいいかと思います。それは結構大変ですが、で も、そんなにいっぱい毎年出るわけはないですからね、出てほしくないですから。そうい う意味で再教育というのは、期間が終わった後でもそういう方々は、免許証みたいに1年 に1回そういうのがあったときには集まっていただいてという。それは義務ではなくて、 そういうことをやってほしいという方に、やって差し上げるというような形にしたらいい かと思うのです。 ○平林委員 倫理的なところで先ほど来からいろいろ議論されているのですが、もう1つ 重要なことは、どうしても薬剤師の方々が医師や看護師の陰に隠れてしまっていると前回 ご指摘があったと思います。そういうことを考えると、医師と看護師と薬剤師の3者が集 まって、それぞれの業務がそれぞれ何であるのかというジョブ・ディスクリプションをそ れぞれきちんとすることが、実は倫理的なことを考える上でも、責任のことを考える上で も、とても重要だと思うのです。その辺の議論も、是非倫理の枠の中に入れていただけれ ばと思っております。 ○望月座長 薬剤師にとっても非常に大切なことで、今までどんな言い訳か知りませんが 医師の後ろ、看護師の後ろに隠れていた薬剤師が表に出なければいけないという時がきた ので、そういう意味で非常に貴重なご助言だと思います。それもお互いにできるような仕 組みを作っていきたいし、実際これからの1年生の教育は京都大学でも共立薬科大学でも 出しましたが、医師、看護師、薬剤師と一緒に、1年に入った段階で、あるいは2年、3 年の段階、あるいは5年、6年の段階で、いろいろ交換していこうというシステムが当然 できているし、動くと思います。いずれはそれぞれのジョブ・ディスクリプションといい ますか、自分たちの仕事の範囲、あるいは協力できる範囲は何かというのが分かってくる と思います。  修了評価については、薬剤師研修センターがどこまで受け持つかという話は完全に煮詰 まっておりませんが、大きな役割を担っていただくということは、この会議で皆様一致し た意見と考えております。その次は再教育の提供者ということでして、先ほど出たのは助 言指導者をどう考えるかと。助言指導者も研修センターに任せるというと研修センターは びっくりすると思うのですが、ある意味で、それも含めて考えてほしい、一緒に考えまし ょうということはできると思うのです。いますぐに助言指導者をどう作り上げるというの は、医師の場合を参考にし、薬の場合は研修センターがどこにどう関わるかということで、 ある程度方向付けができると思いますが、これについてはこれからであります。  もう1つは研修プログラムの提供者です。これも少しずつ出ておりましたが、社会奉仕 団体、公益団体、学校法人、中には日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本医療薬学会も 含んで、日本薬学会、それと各種の公益団体、社会奉仕団体、患者団体を含めるかと。実 際にどこかというのは、あまりはっきりはできませんが、今まで出たのは大学、日本薬剤 師会の名前が出ております。そのほかのプログラムの提供者についてはいかがでしょうか。 これもどういうプログラムを受けなさいということを出すのは助言指導者ですが、助言指 導者と薬剤師研修センター、あるいは研修センターが指定する助言指導者ということにな りますが、11頁の論点2に書いてある研修プログラムは誰が提供するかということです。 倫理については、医師の場合は、「医療関係団体に限定することなく、社会のあらゆる組織・ 個人を想定することができる。例えば、社会奉仕団体、公益団体、学校法人」という形で 定義しているわけです。知識及び技能についてはある意味で同じですが、これは大学、病 院、薬剤部が非常に強く出てくると考えていいのではないかと思います。現段階において はこういうまとめ方でよろしいでしょうか。  その次は最後の処分の在り方についてまでたどり着いたということで、2−1の戒告処 分のあり方です。 ○事務局 今日ご用意したペーパーをすべてやることは構わないのですが、また委員の 方々のご都合もあると思いますので、次回以降もこの続きを煮詰めていく、深めていくと いうことで、繰り返しこの資料に掲げた論点を中心に展開していきます。定刻になりまし たので、全部今日やらなければいけないということではありません。 ○望月座長 2−1、2−2、2−3については次回ということで。今まで議論をしたと ころについては、今日の議論に基づいて資料を作っていただいて、次のときには研修セン ターをもし意識するのであれば、薬剤師研修センターの方に来ていただくか、あるいは、 私が行って相談するかをしないと、さっさとここで決めて嫌だと言われると、議論がすべ て無駄になりますので。そういうことでよろしいでしょうか。 ○事務局 くどいようですが、物の捉え方だけだと思いますが、研修センターありきでど ういうことをお願いするかということではなく、どういう姿があるから、まさにうってつ けとして研修センターがありますね、ということであればいいのかと思いますので、そう いう見方をして議論をしていきたいと思います。 ○望月座長 次回までに今日の議論もまとめていただきまして、さらに深めた議論をして 全体的にまとめていきたいと考えますが、よろしいでしょうか。  時間がぎりぎりになってしまいましたが、一応本日の議論はここまでにいたしたいと思 います。最後に事務局から何かご連絡ありますでしょうか。 ○事務局 本日はご議論ありがとうございました。事務局としては今後望月座長と相談の 上、本日委員の皆様からご意見をいただいた内容について、今後資料5の各論点に沿って 次回の検討会までに必要な資料等をご用意したいと考えております。この次の検討会は、 改めて委員の方々のご都合をお聞きした上で日程調整をし、ご案内いたします。 ○望月座長 それでは本日の検討会はこれで閉会いたします。活発な議論ありがとうござ いました。 (了) (連絡先)  厚生労働省医薬食品局総務課  代表   03(5253)1111                             直通   03(3595)2377  FAX  03(3591)9044  担当者:長谷川(内線2710) 25