06/09/12 化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第1回議事録      第1回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会                     日時 平成18年9月12日(火)                        9:30〜11:30                     場所 厚生労働省16階専用第17会議室 ○永野室長補佐 お忙しいなか、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。た だいまより、「第1回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会」を 開催します。座長が決まるまで事務局が司会を務めさせていただきます。はじめに小野 安全衛生部長よりご挨拶申し上げます。 ○小野安全衛生部長 皆さん、おはようございます。安全衛生部長の小野でございます。 本日は早朝から雨にもかかわりませず、お忙しいなか各委員の皆様方にお集まりいただ きましてありがとうございます。また日ごろから私どもの行政に対しまして、いろいろ な立場からご指導いただいておりますことに対しまして、改めて御礼申し上げたいと思 います。ありがとうございます。  ご承知のように科学技術の進歩と言いますか、あるいは産業の発展の過程で、我が国 の事業場におきましても非常にたくさんの化学物質が使用されているという状況にござ います。我々行政の立場としては、そこに従事される働く方々の安全、健康を守るとい うことが使命でありますので、とりわけ有害な物質につきましては、従前から労働安全 衛生法令に基づきまして必要な規制を行う。あるいは様々なばく露防止対策を講じてき ているところではございますけれども、それ以外の未規制の物質につきましても非常に 数が増えておりますので、しっかりとそのリスク評価をして、有害性に基づいて必要な 規制を行う必要があれば、順次、しっかり対応していくということが、我々の行政に課 せられた課題ではないかと考えております。  ちょうど一昨年の12月になりますが、労働政策審議会のほうでも、この未規制の有 害な化学物質につきましては、ばく露関係情報等に基づいてリスク評価を行い、健康障 害発生リスクが特に高い作業については、そのリスクの程度に応じて必要な規制措置を 講じる必要があるのではないか、リスク管理を行う必要があるのではないかという建議 をいただいたところでございます。  この建議を受けまして、具体的な化学物質のリスク評価の考え方、方法につきまして は、リスク評価検討会に本日お集まりいただいた委員の皆さん方にご参加いただき、昨 年5月にその報告書を取りまとめていただきました。私ども行政としましても、今年の 1月に労働安全衛生規則を改正しまして、この4月から新たに有害物ばく露作業報告制 度を設けたということでございます。  この制度に基づきまして、本年度は未規制の化学物質のうち、IARCでグループ1 またはグループ2Aと評価されている5つの物質につきまして、このばく露作業報告の 対象としておりますし、こういったばく露実態の把握を踏まえて、健康障害のリスクの 評価を行いたいというふうに考えています。  本日お集まりいただきましたのは、そういう背景を受けて、この5つの化学物質につ きまして、有害性の評価、労働者のばく露レベルの評価、労働者の健康障害防止に係る リスクの評価等につきまして、皆様方にご検討を是非お願いしたいという趣旨でござい ます。後ほど具体的な検討会の内容、進め方についてはご説明させていただきます。大 変お忙しいなかだと思いますけれども、こういった趣旨をお汲み取りいただきまして、 この検討会での検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。私からは以上でござい ます。 ○永野室長補佐 続きまして、ご参集の先生方のご紹介をさせていただきます。資料1 −2に本検討会の参集者の名簿を付けていますが、ご出席になっている先生方を「あい うえお」順にご紹介させていただきます。国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験セ ンター総合評価研究室長の江馬先生です。中央労働災害防止協会労働衛生調査分析セン ター所長の櫻井先生です。東京慈恵会医科大学環境保健医学講座教授の清水先生です。 社団法人日本作業環境測定協会研修センター所長の本間先生です。慶應義塾大学医学部 教授の大前先生はご出席との連絡をいただいていますが、遅れていらっしゃいます。京 都大学大学院工学研究科教授の内山先生、東京大学名誉教授の和田先生におかれまして は、本日はご都合により欠席との連絡が入っています。  続きまして、事務局側の先ほど挨拶した部長以外の者につきまして紹介させていただ きます。化学物質対策課長の平野です。化学物質評価室長の春日です。化学物質対策課 副主任中央労働衛生専門官の永田です。私は化学物質評価室室長補佐の永野と申します。 よろしくお願いします。また、本日はオブザーバーといたしまして、厚生労働省の委託 によりまして、このリスク評価事業を実施しております中央労働災害防止協会化学物質 管理支援センターからもご出席をいただいています。  議事に先立ちまして、資料の確認をいたします。検討会次第、配付資料一覧、資料1 −1が検討会開催要綱、資料1−2が検討会の参集者名簿、資料1−3が18年度のス ケジュール案、資料1−4がリスク評価の実施要領、資料1−5がリーフレットで「有 害物ばく露作業報告書の書き方」です。資料1−6が有害物ばく露作業報告の状況(平 成18年7月31日現在)です。資料1−7が有害物ばく露作業報告に基づくばく露状況 等調査の実施について(案)です。資料1−8が平成16年度及び平成17年度試行物質 のリスク評価書(原案)です。資料1−9が平成18年リスク評価物質有害性評価書(暫 定版)です。  参考資料を4つ付けていますが、参考1が「化学物質等による危険性又は有害性等の 調査等に関する指針」です。参考2がいまの指針のリーフレットになります。参考3が この検討会の前身に当たる「労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会」報告書で す。参考4が、医療機関におけるグルタルアルデヒドによる労働者の健康障害防止につ いての通達で、後ほど説明させていただきます。  次に検討会の座長ですが、事務局といたしましては櫻井先生にお願いしたいと考えて おります。いかがでしょうか。                  (異議なし) ○永野室長補佐 ありがとうございます。それでは櫻井先生、席の移動をお願いします。 ○櫻井座長 一言、ご挨拶させていただきます。座長を承りました櫻井でございます。 この新しい枠組みでスタートする事業の第1回のリスク評価検討会ということでござい ますが、この検討会の責任も大変大きなものと認識しております。私も至らぬ点もあろ うかと思いますが、委員の先生方のご協力を得て適切に責任を果たしてまいりたいと思 いますので、よろしくお願いいたします。まず事務局のほうから、この検討会の趣旨説 明をお願いいたします。 ○春日室長 私のほうから趣旨についてご説明させていただきたいと思います。資料1 −1をご覧ください。この検討の経緯については、先ほど小野部長の挨拶の中で詳しく 説明があったわけですが、職場における化学物質の取扱いによる健康障害の防止を図る ためには、事業者が自らの責務として、ばく露状況等を把握してリスクを評価し、その 結果に基づいて自律的な化学物質管理を適切に実施することが基本となっています。  しかしながら、自律的な化学物質管理が必ずしも十分でないことから、有害な化学物 質につきましては国がリスク評価を行い、必要に応じて規制等を行うということも必要 です。このリスク評価を適切に行うために本検討会を開催し、有害性が認められる化学 物質のばく露作業報告書を活用したばく露レベルの評価から、リスクの評価検討を行う というものです。  2の検討事項ですが、2つあって、(1)のリスク評価対象物質のリスクの判定につい て、今年度は既に告示をしている5物質について特にリスクの判定をしていただくとい うことです。(2)のリスク評価を適切に行うために必要な事項について、ご検討いただ くということです。  3の構成等ですが、検討会の構成は先ほど事務局からも説明がありましたが、資料1 −2にあるメンバーです。座長を置いて議事を整理し、必要に応じて参集者以外の有識 者の参集を依頼できることにしています。また必要に応じて関係者からヒアリングをす ることになっています。  4のその他ですが、今回も含め、この検討会については原則として公開という形で進 めたいと思っています。ただし、個別企業に係る事案を取り扱うときには非公開とさせ ていただきたいと思っています。最後に検討会の事務ですが、化学物質対策課の化学物 質評価室において行うということです。以上です。 ○櫻井座長 ただいまのご説明の趣旨について、何かご質問はございますか。よろしい ですか。それでは次に進みます。今年度の化学物質の評価実施事項について、事務局か ら説明をお願いします。 ○永野室長補佐 資料に基づいて説明させていただきます。資料1−3の平成18年度 化学物質のリスク評価事業スケジュール案ですが、一部経緯的なものも書いています。 今年の1月5日に労働安全衛生規則が改正され、新たに有害物ばく露作業報告制度とい うものが創設されています。具体的な対象物質については2月16日に告示が発出され ています。エピクロロヒドリン、塩化ベンジル、1,3-ブタジエン、ホルムアルデヒド、 硫酸ジエチルの5物質について報告の対象とされたところです。  5月11日に、このリスク評価の実施要領というのを策定しています。後ほど資料に 基づいて説明させていただきます。有害物ばく露作業報告の締切りが8月31日になっ ていますので、出ていない所には督促等をしています。最終的に9月15日でこのデー タの抽出をする予定にしています。  本日は第1回のリスク評価検討会ですが、これを踏まえて報告があった作業について 整理をして、ばく露が高いと思われる作業について、実際、9月末から11月ぐらいに かけて事業場の測定を行い、またそれを踏まえて11月以降、5物質についてのリスク 評価の検討を実施していきたいと考えています。  次に資料1−4で、国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評 価実施要領です。これは参考資料3として労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討 会報告書が出ています。本日お集まりの先生は、この検討会の委員をしていただいたわ けですが、この検討会は平成16年12月に設置して、平成17年5月に結論をいただい ています。資料1−4の実施要領は、この検討会報告書に基づいてリスク評価のやり方 を定めたものです。  詳細については、説明するまでもなくご承知のことかと思いますが、簡単に説明させ ていただくと、趣旨としては、化学物質等の有害性と労働者のばく露状況から、健康障 害発生の恐れが高い作業に係るリスクの評価を行う方法等について、これは取りまとめ たものです。用語の定義は割愛します。  2頁の3のリスクの評価の概要ですが、(1)は化学物質の有害性の種類とその程度に ついて、主要文献からこれを把握する。必要に応じてGHSのクラス及び区分について 把握する。(2)の量−反応関係等の把握は、主要文献から量−反応関係、ばく露限界等 について把握する。(3)のばく露状況の把握は、ばく露作業報告から報告があった作業 のうち、リスクが高いと推定されるものを把握し、それについて作業環境の測定、個人 ばく露濃度の測定等を行い、ばく露レベルを把握する。最終的にレベルとばく露限界、 もしくは無毒性量等を比較することによりリスクを判定する。大まかに言えばこういう 流れになっています。詳細については第2以降にありますが、時間の関係もありますの で割愛します。基本的にはこういう流れで評価し、個別具体的なことは個々の物質につ いて説明させていただきます。  資料1−5ですが、これはリーフレットになっています。有害物ばく露作業報告書が 一体どういう報告かというものです。これを開くと報告書の様式の絵があります。対象 の5物質について年間500キログラム以上製造もしくは取り扱っている事業者が対象に なり、本年度については8月31日までに、これを労働基準監督署に提出していただき ます。  内容については、物質を含有する製剤等の名称、用途を記入しますが、用途について は右に別表1というがあり、このコードを記入することになっています。また製剤等の 製造量又は消費量ということで、この製剤の製造もしくは取り扱っている量を記入しま す。含有率は中に含まれている対象物質の含有率を記入します。ばく露作業報告対象物 の量は、製剤の中に入っている実際の対象物の量を書くことになっています。ばく露作 業の種類は、右の別表2の作業に応じたコードを記入することになっています。ばく露 作業従事労働者は、それぞれの作業についての従事労働者です。換気設備の設置状況に ついては下に備考13がありますが、1が局所排気装置、2がプッシュプル型換気装置、 3が全体換気装置、4がその他ということで、2つまでこのコードを記入することにな っています。  次の欄がばく露作業報告対象物の性状ですが、備考14で1が固体、2が粉体、3が 液体、4が気体で、コード番号を記入することになっています。次の欄のばく露作業対 象物の温度についても、下の備考15にコードで記入します。1が摂氏50度未満、2が 50度以上100度未満など、これはコードで記入することになっています。次の欄はば く露作業への1カ月当たりの従事時間ですが、これについても備考16にあるように、 コード1が20時間以下など、こういうコードを記入することになっています。いちば ん右の欄の保護具の使用状況についても備考17でコードがあり、防じんマスク、防毒 マスク、保護衣、保護眼鏡、保護手袋、6は何も使用しない、7がその他ということで、 複数回答になりますが、コードを記入することになっています。これを労働基準監督署 に、年間500キログラム以上取り扱っている事業者が8月31日までに提出する。  労働基準監督署に提出されると、厚生労働省にコンピューターのシステムがあり、そ こに入力して全国のデータが蓄積されることになっています。締切りは8月31日です から、一部、出ていない事業場について督促等もしています。最終的に9月15日で、 このデータの抽出をする予定にしています。  資料1−6で、ばく露作業報告について最終的には9月15日で抽出しますが、7月 31日現在で抽出してみたものです。資料1−6を開いていただくと対象物質ごとに紙が 5枚付いています。いちばん最初がエピクロロヒドリンになりますが、いちばん左の欄 が作業の種類ということで、作業の種類ごとに分析しています。33とか34というのは 先ほどの報告書にあるコードの番号になっています。(1)が作業の種類、(2)が事業場数で す。例えば33の計量、配合、注入等の作業では11事業場(12作業)と書いてありま すが、これは1枚の報告書で短冊をいくつかに分けて報告することがありますので、1 つの事業場で2つに分けて報告があり、作業の数としては12、短冊の数としては12あ ったということです。  次の欄が当該作業従事労働者数で(3)が総数、(4)が事業場当たりで平均したものです。 次の欄が製剤等の製造量・消費量ですが、(5)が総量で(6)が事業場当たりの平均、(7)が労 働者当たりの平均を計算したものです。次の欄が対象物の量で製剤の中に含まれている 物質の量になりますが、同じように(8)が総量で(9)が事業場当たりの平均、(10)が労働者当 たりの平均になっています。(11)が用途ということで、最初の02とか04というのは先ほ どの報告書のコード番号になっています。右側に10作業とか書いてあるのはその作業 の数になります。例えばエピクロロヒドリンの場合、作業としていちばん多いのが33 番の計量、配合、注入、投入の作業で、これが11事業場、12作業ということで、この 作業がいちばん多い。用途としては、例えば02番の他の製剤等の製造を目的とした原 料としての使用で、たぶんエピクロロヒドリンですから、樹脂等の原料として使用した ということで、これが10作業となっており、これがいちばん多いということがわかり ます。  下の欄へいって当該作業従事時間ということで、(12)というのが先ほどの報告であった コード番号です。1がいちばん短いですが、大体短い労働時間になっています。これに ついて(13)がイメージ的にわかりやすいように、1を10時間、2を35時間、3を75時 間、4を125時間と仮に置いて計算したもので、総従事時間として、例えば33の配合 等の作業については1,750時間、事業場当たりの平均として159時間です。労働者当た りの平均としては10時間となっています。(16)が換気設備の設置状況です。先ほどコー ド番号が出ましたが、局排、プッシュプル、全体換気、その他となっています。局排に ついて、例えば33の作業ですと67%で局排が設置されているという状況です。(17)が保 護具の使用状況です。防じんマスクというのは使っていませんが、防毒マスクが9割と いった高い使用率になっています。保護眼鏡、保護手袋についても高い使用率になって います。(18)が性状ということで、この場合、すべて液体です。温度についても先ほどの 報告書にあったコード番号ですが、1の最も低いところがすべてになっています。(20)は 後ほど説明させていただきます。  同じように次の頁が塩化ベンジルです。その次が1,3-ブタジエン、次の頁がホルムア ルデヒドです。ホルムアルデヒドについては非常に用途、作業が多いということで、例 えば作業でいちばん多いのが33の計量、配合、注入、投入の作業になりますが、その ほかコード48番のめっき等の表面処理の作業が15事業場、25作業です。無電解めっ き等にホルムアルデヒドを使いますので、こういった作業が多い。そのほかサンプリン グの作業、ろ過、混合、攪拌等の作業などが多い。ホルムアルデヒドについては幅広く 使用されているというところです。  最後の頁で、逆に硫酸ジエチルについては、この7月31日の段階ではまだ報告が少 なく、4つの報告しか出ていません。すべて計量、配合等の作業になっている状況です。 とりあえず7月31日現在で抽出したものです。  いまの話と連動して資料1−7ですが、ばく露作業報告から実際に作業を選定して事 業場の測定等を行うという、その選定の考え方について案をまとめています。1の目的 としては、ばく露作業報告からばく露によるリスクが高いと推定される作業を把握し、 対象事業場を選定してばく露の状況等について調査を行う。  2が具体的な対象の選定の考え方です。(1)として、各対象物質についての基礎資料 として別添の整理表が次の頁にあります。いま資料1−6ころで説明した整理表を作成 する。(2)として、これらの作業のうちから次の事項等を考慮して、作業環境測定等の 調査を行う作業の選定を行う。(1)として「対象物の量」、「作業従事労働者数」及び「作 業従事時間」の多いものは、リスクが高い作業として考慮する。  先ほどの資料1−6に戻って、最初のエピクロロヒドリンのいちばん最後の欄に(20)と いうのがあり、(3)×(8)×(13)とあります。(3)というのが今言った作業従事労働者数の総数、 (8)というのが対象物の総量、(13)というのが総従事時間で、これを掛けたものが多いと、 ある程度考慮すべき作業ではないかと判断します。ただし、対象物の量のところでサン プリング作業の数値が(20)は非常に大きくなっていますが、サンプリング作業で対象物の 量というのは、サンプリングした量を言っているのではなくて、全体を流れている製剤 の量全体を言っていますので、実際に取り扱っている量はごくわずかにもかかわらず、 こういう量としては非常に大きくなっていることを考慮する必要があります。「なお」書 きで資料1−7の(1)のところに、そういうことを書いています。  (2)の(2)として、作業の態様ごとに考えられる発散の程度を考慮する。一定の作業 で例えば吹付け塗装などの作業では、非常に発散面が広い所に吹き付けるので空気中の 濃度が高くなり、ばく露の恐れが高くなる可能性があります。逆にサンプリング作業は サンプリング用の容器に直接つないで抽出しますので、ほとんどばく露する可能性はな い。そういう作業の態様ごとにある程度発散の程度が考えられるのではないか。そうい ったものを考慮します。  (3)で「事業場数」の多いものは、広範に使用されている可能性があるので、対象選定 に当たって考慮する。(4)の「用途」の多い物質についても広範に使用されている可能性 があるので、対象選定に当たって考慮する。(5)の「取扱温度」の高いものについても、 蒸散の可能性が高いのでリスクが高いと評価する。(6)の労働者一人当たりの作業時間の 長いものについても、ばく露のリスクが高いと考えられるので考慮する。(7)のその他と して、データから特筆すべきものが読み取れれば、そういったものを考慮する。これら のことを総合的に勘案しながら作業を選定していきたいと考えています。  (3)として、リスクが高いと評価された作業の中から測定を実施する事業場の選定 に当たり、換気装置の設置については調査できる数が限られているのですが、可能な限 り換気装置のある所とない所について測定し、効果について評価できればと考えていま す。また同じような作業でも事業場の規模により、大きな事業場と小さい事業場で差が あるのかということもあるので、そういったものを可能な限り配慮できればと考えてい ます。  (4)の「保護具の使用状況」ですが、必ずしも最初から保護具をしているから、こ の作業はリスクが低いと判断するということでなく、リスク評価を踏まえて対策の必要 性を検討する上で、これは考慮する事項にしたらどうかと考えています。  こういったことを踏まえて、この9月中旬以降に事業場を選定して測定等を実施する。 個人ばく露測定あるいは作業環境測定を実施し、それぞれの事業場について作業態様、 作業時間、換気設備等の関連情報の把握等の調査をする予定にしています。こういった 考え方について、また、ばく露評価のほうの今後の進め方ということについて、ご意見 等があれば後ほど頂戴したいと考えています。  有害性の評価の関係ですが、資料1−9です。これが今年度、リスク評価をする5つ の物質について、中央労働災害防止協会の委託事業の中で、有害性の評価についてまと めていただいた有害性の総合評価表というものになっています。1頁がエピクロロヒド リンになっています。有害性についてはGHSの区分に基づいて整理しています。  例えばアは急性毒性になっていますが、吸入、経口についてはGHS区分の2となっ ています。イの皮膚腐食性/刺激性は「あり」ということで、GHS区分は1となって います。ウの眼に対する重篤な損傷性/刺激性も「あり」ということで、GHS区分は 1と評価しています。エの皮膚感作性又は呼吸器感作性は皮膚感作性が「あり」で、G HS区分が1です。呼吸器感作性については報告がなく、GHS区分についても分類で きないという評価になっています。オの生殖細胞変異原性については「やや疑われる」 ということになっていて、GHS区分としては2で可能性ありとなっています。  カの発がん性は「あり」という評価結果になっています。国際がん研究機関では2A で、ヒトに対する発がん性の恐れがあると評価されています。またGHS区分でも1B で、ヒトに対しておそらく発がん性があると評価されています。閾値の有無の判断では 閾値がないと評価されています。参考としてユニットリスクを算出しています。過剰発 がん生涯リスクレベル10−4に対応したものについて、米国の環境保護庁のIRISに 掲載されたもので0.021ppm、そのユニットリスクで1.2×10−6となっています。参考 に労働補正して計算したものが下に出ています。  キは生殖毒性で、これについてはGHS区分で2(推定)ということで、ヒトに対す る生殖毒性が疑われる物質ということに分類されています。クは特定標的臓器の単回ば く露です。GHS区分で肝、中枢神経では1で、ヒトに重大な毒性を示した物質、また は実験動物での試験に基づいてヒトに重大な毒性を示す可能性があると考えられる物質 です。また呼吸器刺激については3で、一時的な特定臓器への影響ということになって います。ケが特定標的臓器の反復ばく露です。GHS区分は1で、肝臓、血液、心臓、 脳について1となっています。4頁のコが許容濃度等の設定状況です。米国のACGI H(2004年)のTLV-TWAで0.5ppmということになっています。水環境有害性は 労働ばく露と直接関係ないので割愛します。  最終的な中央労働災害防止協会の健康影響評価タスクフォースでの結論が、5頁にあ ります。選択した評価レベルとしては発がん性を選択する。根拠としてはIARCの2 Aということ。閾値の判断は閾値がないと判断する。参考としてユニットリスクとして は、過剰発がん生涯リスクレベル10−4で0.021ppmで、ユニットリスクは1.2×10−6 というのがありますが、これは環境ばく露としてのものですので、労働環境への適用に ついては、今後、この物質を評価するにあたって、さらに検討していく必要性があり、 中央労働災害防止協会に、発がん性に関する検討の小委員会のようなものを作っていま すから、そういったところで検討していく予定にしています。  同じように6頁から塩化ベンジルになります。これについて例えばカが発がん性です。 塩化ベンジルについては発がん性が「あり」ということで、IARCでは2Aとし、ヒ トに対する発がん性の恐れがあるということ。GHS区分では1Bでヒトに対しておそ らく発がん性がある。または主として動物での証拠によってヒトに発がん性があるとい うことです。ACGIHではA3で、動物実験で発がん性物質であるが、ヒトとの関係 は不明です。日本産衛学会では第2群のBで、ヒトに対して発がん性がある物質ですが、 ただ、証拠が比較的十分でない物質となっています。  そのほか各毒性について評価されていて、最終的な判断として9頁です。健康影響評 価タスクフォースの結論として、選択した評価レベルとしては発がん性で、閾値はなし ということです。またユニットリスクと過剰発がん生涯リスクレベルを参考として載せ ています。これについても労働環境への適用について今後、さらに検討が必要であると 考えています。  10頁から1,3-ブタジエンになります。これについても有害性について評価をしていま す。例えば11頁に発がん性がありますが、発がん性ありということでIARCは2A、 GHS区分は1B、閾値はなしということになっています。最終的な評価の結論として 13頁になりますが、選択した評価レベルは発がん性を選択し、根拠はIARCの2Aで す。これも参考に過剰発がん生涯リスクレベルとユニットリスクを載せていますが、こ れについても今後、労働環境への適用について更なる検討をしていく予定にしています。  14頁からがホルムアルデヒドになります。ホルムアルデヒドについて有名なのが、シ ックハウス等を起こすと言われていますので、感作性のところは「あり」ということ。 発がん性については、IARCでこれまでは2Aだったのですが、2004年の評価の変更 でヒトに対して発がん性がある物質に変更されています。ただし、IARCのモノグラ フが未だに発行されていないのですが、この秋に出るのではないかと言われていますの で、発行されましたら、これについて中央労働災害防止協会の小委員会のほうで具体的 な追加の検討をしたいと考えています。  最終的なホルムアルデヒドの評価については19頁です。選択した評価レベルは発が ん性ということ。閾値はないとしています。WHO欧州地域専門家委員会の健康影響評 価により、評価レベルとして0.08ppmというものがありますので、評価レベルとしてこ の値ではどうかとなっています。これは厚生労働省のほうで平成14年に、職域におけ る屋内空気中のホルムアルデヒド対策のガイドラインを出しています。この中でも基準 となるレベルとして0.08ppmというものを使用しています。ただし、ユニットリスクの 労働関係の資料、あるいは先ほどお話したモノグラフが出ていませんので、これが出た 後、これについて更なる再評価が必要であると考えています。  20頁からが硫酸ジエチルになります。これについても発がん性が「あり」で、GHS が1Bと評価されています。21頁の最後の欄で健康影響評価タスクフォースの結論とし て、評価レベルは、とりあえず今のとところは求められないということで、さらに検討 を要するということ。今後、秋以降の実際の評価に移る時点まで、さらに詳細に検討を したいと考えています。  以上、今年度の評価予定ということで5つの物質について、ばく露報告から作業を整 理し、この秋9月下旬くらいから実際の事業場の測定等を行って、ばく露のレベルを評 価します。また有害性については有害性の評価表の原案がありますが、これについてさ らにユニットリスクの適用とか、ホルムアルデヒドについてモノグラフが出ればそれに ついて再評価等を行うことにして、11月以降、具体的に労働の場でのリスクの評価を実 施してまいりたいと考えています。こんなふうに今年は考えていますので、ご意見等が あればいただいて今後の検討に取り入れていきたいと考えています。 ○櫻井座長 ひととおり説明をしていただきました。今日は結論を得るということでは なくて、11月以降、作業を進めるために参考になるような疑問点、あるいはご指摘等が あればいただきたいということです。 ○本間委員 資料1−7ですが、これは対象の選定のところで対象物の量とか労働者数、 「作業従事時間」(の積)ということで、これはリスクが高い作業として考慮するという ふうに挙げて、その基準で作業場をピックアップするということになると思いますが、 多少、量や労働者数が多い所というのは事業所としては比較的大きな事業所になるので はないかと思われます。そうすると一般論としては、どちらかというとリスクは低い所 になる可能性がある。そういうものをピックアップしてしまうということも懸念として はあると思います。  この検討の趣旨が、中小企業等では特に心配であるというような先ほどの冒頭の説明 であったと思いますけれども、特に中小企業や小規模の事業所で何か問題があると困る というようなことで検討するとすれば、そういうところは、もしかすると漏れてしまう かもしれないという印象です。 ○永野室長補佐 この資料の(3)の「また」書きにありますが、こういう事業場の規 模で同じ作業をしているにもかかわらず、大きな所と小さい所でリスクが異なるのはど うかということもありますので、可能な限り事業場の規模にも配慮して、そういうこと に差があるのかどうかというのを確認できればと思います。全部の物質、全部の作業に ついてできるかどうか、実際に測定できる事業場の数に限界がありますけれども、そう いうことを考慮しながら選定はしたいとは考えています。 ○櫻井座長 私も、そういう小さい規模の所が落ちてしまうような、人数は少なくても リスクとしては大きい所を見逃すようなことになってはどうかという気はして、同じよ うな感じです。これは代表的な部分をまず考慮するということで、これを前提として、 それ以下は省いてしまうということではないですね。 ○永野室長補佐 調査しないということではなくて、そういう所は可能性が高いという ことで考えています。そのほかの作業でもばく露が高そうだということがあれば、それ は対象に考えるということになります。 ○櫻井座長 これは、ばく露が高いというよりトータルの労働者が多いということで、 ばく露は少なくてもばく露する労働者トータルが多いという、国の立場からの発想だと 思います。ですから、当然そういうふうに考える部分があるわけで、それを最初に持っ て来るのは正しいと思います。ほかに何かございますか。いま資料1−7についてご意 見が出ましたが、ほかにこの部分でありましたら追加いただければと思います。  私がちょっと感じたのは、資料1−6の(18)の性状というところですが、エピクロロヒ ドリンですと元の物質は液体で、(18)の性状というところも全部液体です。塩化ベンジル も元の物質は液体であって、(18)の性状も液体です。1,3-ブタジエンはもともと気体です が、(18)の性状のところは固体もあるわけです。この場合、固体と言うと、先ほどの報告 書の形式を見ると結晶とかペレットなど、比較的大きい固体の状態にある物を言ってい るわけなので、ばく露のリスクは比較的小さいと思いますのでいいと思いますが、ホル ムアルデヒドのほうはもともとは気体ですけれども、(18)の性状は液体があり固体があり 粉体がありとさまざまです。こういうものについては粉体は要注意で、こういう場合に は性状も考慮するほうがいいだろうと思いますから、資料1−7の対象の選定のところ に、(18)の性状に相当するものも考慮するというふうに、1項付け加えたほうがいいので はないかと思います。  私は最初、性状というのは全部元の物質で決まってしまうから要らないと思いました が、実際にはそれが粉体に吸着して現場で発散し、それを吸入するということもあるし、 あるいは液体でも蒸気圧は低いけれども粉体に吸着して、その粉体を吸入するという場 合もあったりして状況が変わると思いますので、この性状というのは非常に重要だと思 っています。 ○永野室長補佐 性状による発散の可能性が高いと思われるものについて考慮するとか、 そんな感じですか。 ○櫻井座長 そんなような文言を入れていただきたいと思います。いかがですか。委員 の先生方、よろしいですか。資料1−6をご覧になって何かございますか。生データと して、これはまだ中間的な報告として出てきています。いまの性状のところが私は気に なったのでそこだけ申しましたが、この製剤等の製造量と対象物の量の食い違いという のが、エピクロロヒドリンですと43万トンと40万トンということで、少し製造量の多 いのは、何かほかの液体と一緒になっているということでしょうね。製剤のほうが対象 物の量よりも多いという。 ○永野室長補佐 製剤ですので、例えば塩化ベンジルでしたら、塩化ベンジルを含んだ 水溶液とか、そういう基の製剤になりますので、基本的には製剤のほうが対象物の量よ りも多くなる。100%であれば同じ量になりますが、例えば50%でしたら対象物の量は 半分になりますし、基本的には製剤のほうが多くなるということです。 ○櫻井座長 それにもかかわらず、性状が液体となっているから、液体の中に溶けてい るということなのだろうなと思います。どうなのでしょう。あるいは、不純物がその中 に溶けているということなのでしょうね。 ○永野室長補佐 溶けているのか、溶かしているのかはあれですが、製剤のほうがほか の物質の混合物であるということなので、そちらのほうが大きくなるからエピクロロヒ ドリン以外の何らかの物質に溶けているか、溶かしているのかあれですが、混ざってい るということになると思います。 ○櫻井座長 あと1つ、換気設備設置状況の所にその他というのがあります。局所排気、 プッシュプル、全体換気、その他、これは1、2、3、4と分けて、4という所に○が 付くとその他ということになるのだろうと思いますが、その他というのは事実上どのよ うに考えたらいいのでしょうか。 ○永野室長補佐 はっきり言って、その他としかわからないというのが報告制度ですの で、中災防のばく露評価でもたしか話があったと思うのですが、局排とプッシュプルが あるとしているものについては、これは一定の換気機能効果といいますか、そういう措 置がされていると考えられるのではないか。全体換気は換気扇みたいないろいろなもの がある。その他も何だかわからないので、全体換気とその他については、あまり換気の 効果は期待できないものとして考えるべきではないかと思っております。 ○櫻井座長 換気設備設置状況は「設置なし」がないので、その他の中にそれも入って いるということになりますね。その他、何か換気装置をやっているかもしれませんけれ ども。 ○永野室長補佐 その他、何かあるという。 ○櫻井座長 何かあるという意味ですか。 ○永野室長補佐 たぶん何もなければ何も書かなくていいはずなので。保護具の所に「な し」があるのですが、換気設備の所は「なし」はなくて、その他は何かほかの方法だと。 ○櫻井座長 これですと、その他何かあればということなのでしょうけれども、実際に は局排と全体換気とプッシュプル以外に、何かあるとは思いにくい。 ○永野室長補佐 もしその他と記入した所で調査するところがあれば、実際それを確認 するしかないです。実際この報告だけからだと何かというのは。 ○櫻井座長 わかりました。この表でちょっと気になる点を質問させていただきました。 ほかに何かありますか。 ○清水委員 資料1−6のホルムアルデヒド、先ほど座長の櫻井先生のほうからもちょ っとお話があった(18)の性状ですが、気体の場合、例えばホルムアルデヒドですと33は 3%というものです。これは(8)の対象物のトン数には換算されているのですか。 ○永野室長補佐 気体が(8)の総量に換算されているかですか。 ○清水委員 換算されていると考えてよろしいのですか。 ○永野室長補佐 それは、ここでは量も書いてきてありますので全部、(8)の総量は性状 に関係なくすべて換算されていると考えて。 ○清水委員 換算していると考えていいわけですね。これは事業場の数でしょう。 ○櫻井座長 作業の。 ○清水委員 対象物(8)というのは総量ですね。その前の製剤。 ○櫻井座長 事業場ではなくて、作業の数ということではないのですか。 ○清水委員 例えば気体の場合は100%として考えるのか、ホルムアルデヒドの場合は 3%の気体を扱っているということですが、これはそういう濃度も考慮してここで計算 されていると。 ○永野室長補佐 個別の基のデータは記憶しておりませんが、基本的には気体について も製剤の量と含有率です。だから、100%で計算をしていたのか、それが50%か何かそ ういうあれだったのか、そこまで個別についてはありませんが、何らかの報告した事業 者が含有率を算定、それに基づいた対象物の量を書いてきております。 ○平野課長 清水先生が言われるのは、気体3作業の右側の3%という数字のことでし ょうか。 ○清水委員 これは3%ですから。 ○平野課長 これは、これに対して作業が100ありまして、そのうちの3作業だから3% と。気体を作らせる作業の割合をここに記述していると。 ○清水委員 ガス状物質の場合は、100%として考えていくわけですか。(5)製剤等の製 造量は総量が出ますね。ガス状物質の場合は総量がわかりますね。それに対して、対象 物の量は100%として、100%であれば当然。 ○永野室長補佐 そういうことではなくて、報告書でいうと1つの列を作業と呼んでい まして、気体についてはそれが全部で80〜90ぐらいある中の3作業なので、作業の短 冊の数の割合で3%で、この物質の量の割合は、またこの個別のここの量について、こ の3つの作業が具体的に何トンでやって、全体でこの総量があるので、それで計算して みないと、気体としての量が対象物の総量の何パーセントか、そこまではこの表からは ちょっと読み切れない。 ○清水委員 作業者がばく露する濃度ではないのですね。それは全く考慮していないの ですね。 ○永野室長補佐 ここでは含有率までは表にしなかったのですが。 ○櫻井座長 こういうデータから、ばく露レベルをおよそ推定して、測定する場所を選 ぶという作業になるわけですか。それで、実際に測定すると。 ○永野室長補佐 はい。 ○櫻井座長 資料1−8は後にして、資料1−7、資料1−9に先ほどご説明いただい たリスク評価の評価書(暫定版)があります。これについて、何かご意見はありますか。 例えばエピクロロヒドリン、これは参考までに2頁で労働補正を算出していますが、E PAのIRISの場合には生涯ばく露ということで、呼吸量を1日20立方メートルと 考え、しかも連日なので年365日である。労働の場合には1日8時間ぐらいで、10立 方メートルぐらい吸入する。これはよく使う数字です。ばく露日数は年に240日ぐらい。 それで換算すると、大体3倍ぐらいの数値になっています。  つまり、ばく露の日にちが少なくて、呼吸量が2分の1、ちょうど3倍ぐらいの労働 補正のレベルになっております。5頁のタスクフォースの結論の所では「ユニットリス クの労働環境への適用については手法が定まっていないので、一応、参考までに数値を 示したが、さらなる検討が必要である」と書いてあります。この際、ばく露年数は考え ていないのですが、それも考える必要があるのではないかと思いますが、どうなのでし ょうか。通常、一般環境の場合に、70年という数字をよく使うと思います。労働環境の 場合40年などという考え方があるし、そういう考え方が使われている例もあるように 思います。  つまり、1年の日数を考えるのと同じように、年数というものも、当然同じレベルで 考えるべきことではないかと。そうすると、また数値が倍ぐらいになるわけです。安全 の率を下げる話にはなりますが、考え方としての合理性という点からいくと、そういう ことではないかなとも思うのですが、これは私個人の意見です。後ほど手法は定まって いないけれども、何らかの合理的な判断を持ち出すとしたら、また専門家の方々のご意 見も、併せて考慮すべきではないかと思っております。 ○江馬委員 GHSの区分のことなのですが、いま経済産業省とか厚労省がやっていま すよね。それとのすり合わせというか、整合性といいますか、そういうものはやらない のですか。私もここで評価書の所のGHSの生殖発生の区分をやっているのです。それ で、経済産業省のほうも、問題がありそうなものは私の所ともう1人の委員の所へ生殖 発生のものがきて、区分を頼まれているのです。私は経済産業省のほうでどういう区分 をしたか、いちいち覚えていなくて、こちらとの差があるかもしれないのです。ほかの 分野も違いが出てくる可能性もあるので、それは整合性をとったほうがいいように思う のですが、いかがでしょうか。 ○中災防(オブザーバー) 結局、経済産業省と国がやっているものと、見ているデー タに若干違いがあるので、場合によっては、いまのところ違いがある可能性はあると思 います。プライオリティーを置いているデータが違いますので、そこについては若干。 うちのほうの委員会の中でも、整合性を合わせていく必要があるのではないかという話 が出ていますので、今後のものについては、基本的には経済産業省等のNITEで公開 されているものを必ず確認して、最終的には整合性をとっていくことはしていく予定な のですが、現在のところでは、この報告書の中では整合性はちょっととれていない可能 性があります。 ○中災防(オブザーバー) 補足して説明させていただきます。エピクロロヒドリンの 分類については、NITEで発表されているGHS区分より先んじて分類処理を行って おりますので、参考にすることができなかったということがあります。その時点では一 般的なデータが出ていなかったということが挙げられます。それで遡って修正したかと いえば、一応、委員会で検討されたデータをそのまま使わせていただいているというこ とです。  それから、GHSの分類については、参考とする文献の範囲が決まっていたかと存じ ます。一応こちらの委員会の文献については、文献の範囲は決まっていましたか。 ○中災防(オブザーバー) 文献の範囲は、基本的な考え方では国内の主要な2次評価 書という考えになっている。その程度の例で大体決まっていますが、この時点では代表 的にはSERIの評価書が出てきます。使われています。 ○中災防(オブザーバー) その辺で、参照している文献の範囲が若干異なるというこ とがあります。 ○江馬委員 このワーキンググループに宮川先生なども入っておられて、宮川先生もG HSの区分には関与されていると思うのです。それで、私もGHSの区分に中途半端に 関与しているというか、立場上よくわからないのですが、生殖発生毒性については評価 の仕方の簡単な仕様書みたいなものを作ったのですが、どうもここのワーキンググルー プの委員と、経済産業省・厚労省でやっているGHSの区分している委員と、当然異な っているので、その辺の差が出てくると思いますので、できたら整合性をとったほうが いいと思います。見ているデータも違うのですが、私の場合は両方の委員で、差がある と、それはちょっと困ることになるなというように感じています。 ○中災防(オブザーバー) 今後の検討の中で反映してまいりたいと存じます。 ○櫻井座長 11月以降、また日程調整して、その段階で測定値等を比べて、その先の作 業を進めるときに、ほかの定量的なデータがありますので、GHS区分は事実上使わな いとは思います。でも、使わないと言い切れないし、その段階で最新の情報で修正する ように努めるということで、いかがでしょうか。 ○平野課長 今後は整合性をとっていきたいと考えております。 ○櫻井座長 ほかの物質等で何かお気付きの点はありますでしょうか。いずれにしても、 発がん物質を5物質挙げており、大変評価の難しい課題を最初に突き付けられるわけで あります。例えば8頁から9頁の塩化ベンジルなどについても、ACGIHは1ppmを 提案している。それから、タスクフォースの結論では、閾値がないと仮定すると 0.001ppm、1,000倍の差があります。こういうことについて、実際に測定されたデータ が、9頁のリスクレベル10−3に相当する0.001ppmよりも小さいということであれば 問題はないのですが、その中間の場合にどうするというような課題をすぐ突き付けられ るわけであります。これはあくまでまずスクリーニング的な段階でやっているわけで、 その際はタスクフォースの結論である0.001ppm辺りを使うとしても、その先、詳細な 検討というステップが当然あるわけですね。その際、改めて総合的にまたご判断いただ くという過程が出てくると思います。あらかじめそういう課題が起こる確率が高いとお 考え置きいただきたいと思います。たしか、既にこういったばく露限界値がある場合に は、それを使うという要領もあるわけですよね。 ○永野室長補佐 そういう要領となっています。 ○櫻井座長 要領では、そのようにはっきり書いてはあるのです。 ○永野室長補佐 あと評価して高い物については、先生がおっしゃいましたように、再 度いろいろな文献等からよく再検討するということにもなっておりますので、各物質で たぶんそういう再検討するような物質が出てくるのではないかと。 ○櫻井座長 ほかに何かありますでしょうか。今年度のリスク評価物質については、今 日のところはこのぐらいまでにとどめます。今日もう1つ課題として、試行物質の評価 というのがあります。平成16年度および平成17年度に中災防への委託事業の中で行っ た「試行物質のリスク評価について」ということで、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○永野室長補佐 資料1−8ですが、平成16年度と平成17年度、それぞれ2物質ずつ 試行的に評価をしております。ただ、試行というか、本当にトライアルということで、 いろいろな種類の物質、混合物など難しい物を試しにやってみたりして、発がん物質以 外の物もやっております。ばく露評価は報告制度ができる前の話ですので、中災防のほ うで独自に事業場に協力が得られた所だけの測定ができているなど、限定的な部分もあ ります。説明させていただいて、今後の本評価をやる上で、参考になるご意見等をいた だければと思っております。  1頁のクレオソート油です。これは1の(3)にありますように、用途としてはカー ボンブラックの原料、木材防腐防虫剤等といったものに使われております。2が有害性 の評価ですが、これはクレオソート油という1つの物質ではなくて、いろいろな物質の 混合物である。成分を分析した結果、有害成分として特定した7つの成分について、個 別にそれぞれの物を評価するという手法をとっております。  2頁に表がありますが、7つの物質はナフタレン、ビフェニル、エチルベンゼン、ベ ンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[e]フルオラセン、ベンゼンに なっています。簡単にまとめた有害性の表がこれですが、それぞれ個別の物質ごとの総 合評価表は、例えば9頁がナフタレンの有害性総合評価表です。先ほどの評価のものと 同じように、各GHS区分に基づいた有害性について評価がされております。12頁の健 康影響評価タスクフォースの結論として選択した評価レベルとしては、特定標的臓器/ 全身毒性(反復ばく露)ということで、評価レベルとして0.04ppmを選択しております。 2頁の表のナフタレンの評価レベルは、この特定標的臓器/全身毒性(反復ばく露)の 0.04ppmとなっております。  13頁からビフェニルの表がありますが、16頁に結論があります。ビフェニルについ ては許容濃度を使うということで、ACGIHのTLVは0.2ppmを許容値としており ます。  エチルベンゼンについては、6頁から有害性の評価表があって、結論としては8頁の いちばん下、発がん性を使うということです。これは閾値がありと判断しており、評価 レベル1.9ppmとしております。  ベンゾ[a]アントラセンについては、21頁から総合評価表があります。22頁ですが、 結論としては発がん性でやっているのですが、閾値がないということで、評価値がなか なか決められない。一応、参考としてユニットリスクはカリフォルニアEPAのユニッ トリスクを用いて算出した10−4に対応して9.9×10−5ppmを載せてあります。  ベンゾ[a]ピレンについては23頁から表があって、25頁に結論があります。選択 した評価レベルは発がん性で、閾値がなしで、ユニットリスクの適用についてまだいろ いろ検討する余地があって、参考として10−4のリスクレベルとして1.1×10−7を載せ てあります。  26頁からベンズ[e]フルオラセンがあって、27頁に結論があります。これも同じよ うに発がん性としましたが、閾値がなしで、カリフォルニアEPAのユニットリスク等 を参考値として、この値を載せております。  17頁からベンゼンの表があって、20頁に結論があります。有害性の選択は発がん性。 評価値としては0.1ppmとしております。有害性の評価としてはそのようになっており ます。  3頁からばく露評価です。作業としてはカーボンブラックの製造作業の評価をしてい ます。その他の用途については評価をしていないということになっております。表の3 にあるような作業について、個人ばく露測定を実施しております。4頁にその測定結果 があります。作業者A、B、C、D、Eとあって、右側にそれぞれの対象物質ごとの最 大値があります。ただ、ビフェニルは推計値ですし、下の3つの物質についても測定限 界以下、検証されなかったということで、個々の物質ごとに評価すると、ベンゼンにつ いてはばく露の最大値95μgとユニットリスクの3.0×10−7を掛けると、生涯過剰発生 リスクが2.9×10−5で、当面の判定基準の10−4よりも低くなるので、リスクは低いと なっています。  エチルベンゼンについて、閾値がある発がん性と考え、ばく露レベルの最大値が 0.12ppmであって、その評価レベルが1.9ppmなので、MOEが5より大きいというこ とはリスクが低いというように分類する。  ナフタレンについても、測定値の最大値が0.02ppmで、評価レベルが0.04ppm、こ れも比になるMOEが2ということで、今後とも情報収集に努めるに分類する。  ビフェニルについては推定値でありますが、参考で判断いたしますと、ばく露レベル が2×10−4ppmの参考値があって、その評価レベルは0.2ppmより十分低いので、参 考ではありますがリスクは低いという分類です。  ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[e]フルオラセン、ベンゾ[a]アントラセンは、ユニ ットリスクそのものが労働補正をどうするかというのが、まだ今後検討が必要な参考的 なレベルであって、なおかつ測定値が測定限界以下でありますので、無理矢理、測定限 界でやると、さらに詳細なリスク評価が求められる分類でありますが、これは測定限界 以下とか、そういう意味もありますので、直ちにこれが何か問題があるということでは ないと考えております。  そういったリスクの考察がありますが、クレオソート油については、そういう意味で きちんと実測できた物についてはリスクは低いと。測定限界以下の物についてはたぶん 限界以下ですので、直ちに問題ということではないと考えております。ただし、これを もってクレオソート油のリスクは大丈夫かということは、使用実態の調査を実施したカ ーボンブラックの作業については、カーボンブラックの製造にかかわるものだけになり ますので、それ以外の使用の状況について把握ができていないということもあります。 今後必要に応じて、きちんとばく露作業報告に追加して、最終的な判断を下すには改め てリスク評価を行ったほうがいいのではないかと考えております。その際には、混合物 の評価をどうするのか。今回は個別の物質ごとに評価をしたということになりますが、 クレオソート油全体として、何か評価する方法がないのかなど、混合物の評価の手法に ついても整理を行う必要性があるのではないか。以上がクレオソート油です。  次に28頁からのグルタルアルデヒドは、医療用の殺菌剤など、28頁の用途にあるよ うなものに使われております。35頁に有害性の評価表があり、これは遺伝子障害性はあ るかもしれないですが、発がん性はなしとなっています。最終的に評価としては、評価 レベル1と、参考的に評価レベル2という2つがあります。評価レベル1は許容濃度、 ACGIHの天井値0.05ppmを用いる。評価レベル2として、特定標的臓器/全身毒性 (反復ばく露)の0.0016ppmという値で評価をしてみるということです。ばく露評価 は、X線のフィルム現像定着用途についての事業場と、医療機器消毒についてです。医 療機器の消毒については、中災防の労働衛生調査分析センターが平成15年度に、「医療 機関におけるグルタルアルデヒドの労働衛生対策」ということで調査をしたものがあり ましたので、それを使用しております。その他の物については評価をしていません。  ばく露評価対象の評価の決定の結果としては、30頁の(3)のアに、X線フィルム現 像定着機の操作ということで、表2にあるような0.001ppmという結果が出ております。 個人ばく露については表3にあるような0.001ppmとか、そういうオーダーの値になっ ております。医療機器の消毒作業における測定結果としては、32頁の表にA測定、B測 定、個人ばく露の測定結果があります。比較的高いのは、B医療機関というのが、例え ばA測定の第1評価値で0.101、B測定では0.054、0.051ppm、個人ばく露で0.089ppm という高い値になっています。C医療機関のB測定で0.132ppmということです。ただ し、これらの作業については、下の作業状況等がBについては手動洗浄をやっていると きに、そういう高い値になった。C医療機関については、加温中に内視鏡をセットした と、そういう作業で高い値になってくるということです。  33頁の判定としては、X線のフィルム現像作業は非常に低い値でしたので、リスクは 低いと。医療機器消毒作業におけるリスク評価は、一部0.05ppmを超えた部分がありま す。これをどう考えるかということですが、これを測定したのが平成15年で、参考資 料4は厚生労働省労働基準局長通達ということで、「医療機関におけるグルタルアルデヒ ドによる労働者の健康障害防止について」ということで、この平成15年の調査を基に、 医療機関における対策についてガイドラインを作って、平成17年2月に通達を発出し ております。  これについて何をするかというと、2頁からありますように、基本的に医療機関で医 療器具の洗浄や消毒などをする場合に屋内の測定をして、0.05ppmを超える場合には、 必要な措置を講ずる。先ほど言いましたように、(1)のウにあるような自動洗浄機を用 いずに行う消毒作業などについて、一定の配慮をする。3頁の「さらに」で、加温時の 内視鏡のセットなどはこういう方法は採らないなど、こういう対策を講ずるようにとい うガイドラインを作っており、今回測定したデータは、こういうガイドラインが発出さ れる前の測定でしたので、基本的にこのガイドラインをこれからも引き続き周知徹底す ることで、一部の高くなっている部分については、リスクが低減できるものと考えてお ります。  次に39頁からのN,N-ジメチルアセトアミドは、主に溶剤等に用いられる物質で、有 害性の評価としては45頁から評価表があって、この物質も発がん物質ではありません。 48頁に評価の結論があって、評価レベルとして許容濃度10ppmを用いる。評価レベル 2として、3.1ppmがある。これについて、DMACの製造2作業およびアクリル繊維 の紡糸溶媒としての主要1事業について、ばく露測定をしております。43頁に、その測 定結果があります。表4のA社の個人ばく露濃度測定と、表5のB社の個人ばく露測定 で、いちばん高いのがA社の被測定者4という所で0.117ppm。これは評価レベル10ppm に対して十分低い値であるので、リスクは低いと判断されるとしております。ただし、 この測定できた作業についてはリスクが低いと評価されておりますが、ほかにもばく露 レベルが高いと想定される作業もあるわけです。必要があれば、そういったものをばく 露報告の対象として、今後改めてリスク評価を行っていったらどうかと考えております。  最後は、49頁からのホルムアミドですが、物質の性状として1の(2)で蒸気圧が2 パスカルということで、非常に蒸発性が低い物質になっております。これについて有害 性の評価ですが、54頁から評価表が付いております。これも発がん性の物質ではないと いうことになっており、評価レベルについては56頁にありますように、許容濃度等、 TLV-TWA10ppmを用いて評価をしております。ばく露評価は、ホルムアミドの製 造事業場を対象に評価をしております。主として表の右にあるような作業について測定 をしており、52頁に測定結果があります。表3が作業環境測定、A測定という測定値、 表4が個人ばく露の測定結果です。作業環境測定については、定量限界未満ということ になっています。個人ばく露についても定量限界未満となっており、判定としては最も 高いと考える0.06ppm未満になりますが、評価レベル10ppmに対して十分低い値とい うことで、この作業についてはリスクが低いということです。この物質の性状そのもの が非常に蒸散性が低い物質ということで、今後必要に応じて情報の把握などをしていく 物質ということでよろしいのではないかと考えております。  以上、試行的に行った物質ですので、物質によっては今後、必要に応じてばく露評価 に乗せて、きちんと作業全般を網羅的に調べて再評価をする必要性があるのではないか と思います。本評価を実施するに当たって、この結果等、参考になるようなことがあれ ば、ご意見等を承りたいと考えておりますので、よろしくお願いします。 ○櫻井座長 ただいまの説明の内容について、何かご意見がありましたらどうぞ。クレ オソート油は混合物であって、それの評価をどうするかというのは確かに大きな課題な のだろうと思います。2頁の表1のクレオソート油成分は、発がん性を有すると思われ る物だけここに挙げてあるのを全部足しても、パーセンテージとしては大したことにな らない。それ以外にも物質はあるわけで、それは全然考えなくていいのかとかいう話も あるわけです。どうなのでしょう。何かコメントがありますか。 ○中災防(オブザーバー) 実際にはマスでやりましてピークが出ているのですが、大 きいピークを拾って同定できる物が10いくつあるのですが、そのうち明らかに数値と して出てくる物がこれだけということです。これ以外の物もいくらでもあるとは思うの ですが、残念ながら物質的に何であるかという同定が難しいとか、量的にはほとんど無 視できる量ということで、意味がないということで、こんな物質に絞り込んでおります。 ○櫻井座長 これは、全部足しても数パーセントですよね。 ○中災防(オブザーバー) 2.何パーセントですね。 ○櫻井座長 でも、一応これらに焦点を置いて評価するということ以外には、たぶんな いのだろうと思います。発がんの問題について、個別にユニットリスク10−4未満であ ればいいと言っていいかどうかというポイントは、また皆さんの合意がどの辺りになる のかなと思います。個人的には、それぞれ一定の過剰リスクがあるとしたら、全部足す しかないのではないかなと単純に考えてしまいますが、それを足さなくていいという根 拠は出てこないですよね。ですから、10−4レベルよりも十分低ければ特段問題がないけ れども、10−4ぎりぎりぐらいのところにいくつかあった場合にどうするということは、 課題として当然出てくるだろうと思います。  いずれにしても、これらは試行物質ではあるわけですが、いまの段階で何らかの措置 が必要かどうか整理しておく必要があるということで、事務局のほうでその考え方を説 明してくださいました。それでいいかどうかということで、先生方のご意見があれば頂 戴したいと思いますが、クレオソートについてはカーボンブラック製造については、直 ちに対策を講じる緊急性はないと判断できるけれども、今後カーボンブラック製造以外 のクレオソート油の使用の状況を把握して、必要に応じてばく露作業報告に追加して、 改めてリスク評価を行うということでした。よろしいでしょうか。  グルタルアルデヒドについては、おおむね評価基準よりもレベルが低いけれども、一 部では評価基準を超えるリスクになっているところもあったと。しかし、一方ばく露防 止措置については行政指導が出ておりますので、それに基づく対策を講ずれば、評価基 準以下にすることができると考えられるので、この徹底を図るべきであるということで す。これもよろしいですか。  N,N-ジメチルアセトアミドについては、ばく露測定を行った作業についてはリスク は低いと評価されたけれども、ばく露レベルが高いと想定される作業での測定はまだ実 施しておりません。これはあくまで試行で、既存の情報から判断しておりませんので、 今後、優先順位も考慮しながら、有害物ばく露作業報告の対象として、改めてリスク評 価を行うことにするということで、よろしいですか。  最後にホルムアミドですが、これはいままでの情報から、リスクが低いと考えられる。 対応の必要性は低いと判断できる。必要に応じて、今後も情報の把握は行うという整理 であったと思います。それでよろしいですか。  特段ご異議もありませんので、リスク評価試行物質の取扱いについては、そのような ことで整理をさせていただきます。以上で、今日の議事は一通り終了いたしました。事 務局から何かありますか。 ○永野室長補佐 次回以降の会議ですが、先ほどスケジュールでも説明しましたとおり、 これから事業場のばく露測定を行う予定にしております。その状況を見ながら、11月以 降に開催したいと思っております。別途、日程調整をさせていただきますので、よろし くお願いします。 ○櫻井座長 それでは、今日の検討会は閉会といたします。どうもありがとうございま した。                 照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                      化学物質評価室                 電話03-5253-1111(内線5511)