06/09/06 平成18年9月6日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会 議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会 議事次第 ○日 時:平成18年9月6日(水) 14:00〜15:54 ○場 所:厚生労働省専用第15号会議室 ○出席者: 委 員:井上(達)委員(部会長)、大野委員、小沢委員、志賀委員、下田委員、 豊田委員、米谷委員、吉池委員 事務局:藤崎食品安全部長、中林大臣官房参事官、松田基準審査課長、長谷部課 長補佐、河村課長補佐、近藤専門官 関係省庁:農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 遠藤課長補佐        内閣府食品安全委員会事務局 島田課長補佐 ○議 題   (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について       ・オフロキサシン(動物用医薬品)       ・ウエストナイルウイルス感染症不活化ワクチン(動物用医薬品)   (2)暫定基準が設定された農薬等の食品健康影響評価の実施手順について (報告) (3)平成18年度食品健康影響評価依頼予定物質について(報告)   (4)その他   ○事務局 定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛 生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。 本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろし くお願い申し上げます。部会の開会に当たりまして、まず、藤ア食品安全部長か らごあいさつを申し上げます。 ○食品安全部長 私、9月1日付で食品安全部長を拝命いたしました藤崎と申し ます。前任の松本同様、よろしくお願い申し上げる次第でございます。 本日「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」の開 催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 委員の先生方におかれましては、平素より、食品衛生行政の推進につきまして、 種々御協力いただいておりますことを、この場をお借りいたしまして厚く御礼申 し上げます。 本日の議題等でございますけれども、動物用医薬品オフロキサシン及びウエス トナイルウイルス感染症不活化ワクチンの食品中の残留基準につきまして御審 議いただくことになっております。 これらの動物用医薬品につきましては、今般、食品安全委員会におきましてA DIの評価等がなされましたことから、科学的暴露評価に基づいた基準値案等に つき御審議をいただくものでございます。 また、今般、内閣府食品安全委員会におきまして、ポジティブリスト制度の導 入に伴って、新たに残留基準を設定いたしました農薬等に関する評価手順が策定、 公表されましたので、その内容につきまして、食品安全委員会事務局から御報告 をいただくとともに、前回部会で御報告させていただきました、平成18年度食 品健康影響評価依頼予定物質に追加がございますので、この点につきまして併せ て御報告をさせていただくということでございます。 先生方、大変にお忙しい中ではございますけれども、国民の食品の安全という 大変に重要なお仕事をしていく中で、どうかよろしくお願いを申し上げる次第で ございます。 ○事務局 ありがとうございました。 また、9月1日付で部内幹部の人事異動がございましたので、この場を借りて 御説明申し上げます。 ただいま御紹介がございましたが、松本食品安全部長から藤崎食品安全部長に 人事異動となっております。 藤井大臣官房参事官が中林大臣官房参事官に人事異動となっております。 伏見基準審査課長が松田基準審査課長に人事異動となっております。 なお、所用のため、藤崎食品安全部長、また、中林大臣官房参事官につきまし ては、ここで退席をさせていただくことをお許しいただければと思います。 ○事務局 本日は、青木委員、井上松久委員、加藤委員、中澤委員、山添委員よ り欠席の御連絡をいただいております。 農薬・動物用医薬品部会の委員13名中、8名の御出席をいただいており、部 会委員の総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますこ とを御報告いたします。 それでは、井上部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、 よろしくお願い申し上げます。 ○井上(達)部会長 足元の悪い中、本日は本部会に御参集いただきましてあり がとうございます。恒例によりまして、身軽な服装で御出席くださいますようお 願い申し上げます。 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、初めに事務局から配付 資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。 お手元の議事次第は3枚つづりになっておりまして、1ページ目が議事次第、 2ページ目が配付資料の一覧、3ページ目が委員名簿という形となっております。 次に資料でございまして、1番、2番がございます。 資料1は、1−1、33ページ以降に1−2という形となっております。 資料2は、同様に7ページ以降が資料2−2という形となっております。 報告資料1が、1〜8ページでございます。 報告資料2は、1〜8ページとなっております。 最後に、参考資料1が食品摂取量の一覧表。 5ページ目以降になりますが、参考資料2が「食品安全委員会への意見聴取及 び食品健康影響評価結果について」の一覧となっております。 落丁等ございましたら、事務局までお願いいたします。 ○井上(達)部会長 よろしいですか。配付資料の不足等がございましたら、事 務局までお申しくださるようにお願いいたします。 本日は、先ほど藤崎部長からもお話がありましたように、食品中の残留農薬等 に係る基準の設定ということで、動物用医薬品2品目について御審議いただきま す。 最初に、動物用医薬品オフロキサシンについての事務局の説明から始めさせて いただきます。資料の作成に当たりましては、関係の委員にあらかじめ資料等に ついての御検討をいただいているところでございます。 では、よろしくお願いします。 ○事務局 資料1に基づきまして、動物用医薬品オフロキサシンの説明をさせて いただきます。 まず、1ページ目でございます。平成17年11月24日、食品安全委員会委員 長より当方大臣あてに通知されております食品健康影響評価の結果でございま す。 結論といたしましては「オフロキサシンの1日摂取許容量を0.005 mg/kg 体重 / 日と設定する」というものでございます。 3ページ目の上段に「審議の経緯」がございます。本剤につきましては、平成 16年10月29日、農林水産大臣から食品健康影響評価につきまして要請がなされ ているものでございます。 平成17年9月13日には、当方大臣から関係文書をもって要請を行っておりま す。 そして、平成17年11月24日に農林水産大臣、また厚生労働大臣あてにその 結果が通知されたとなっているものでございます。 評価の概要につきましては、4ページ目でございます。こちらの表題にござい ますとおり、本剤はオフロキサシンを有効成分とする鶏の飲水添加剤(オキサル ジン液)でございます。こちらにつきましては、平成4年7月10日に農林水産 大臣において承認を得た後、所定の時間が経過したことから、再審査申請が行わ れ評価されたものでございます。 1.の(1)にございますとおり、主剤はオフロキサシンでございます。 (2)効能・効果は、鶏の呼吸器性マイコプラズマ病、大腸菌症に有効というもの でございます。 (3)用法・用量は、1L当たりにオフロキサシンとして50〜100ppm 、または1 日体重1kg当たりオフロキサシンとして5〜10 mg を飲水添加するものでござ います。 休薬期間は7日間となっておりまして、第一選択薬が無効の症例のみに使用す ることとされている薬剤でございます。 (4)その他といたしましては、防腐剤としましてパラオキシ安息香酸エチル及び パラオキシ安息香酸プロピルが使用されております。しかしながら、これらは食 品添加物としての使用歴があり、また含有量もごく微量であることから、投与量 と休薬期間を考えた場合にその影響は無視できるものと評価されております。  2.再審査における安全性に関する知見等についてでございます。 (1)ヒトに対する安全性につきましては、使用実績といたしましては、アジ アの数か国でも使用実績があるものでございますが、国際的な評価といたしまし ては、EMEA、FDA、JECFAにおける評価は行われておりません。 また、日本においてADI及びMRLの設定は過去なされておりません。  (2)安全性に関する研究報告につきましては、調査期間中のMedline を含む データベース検索の結果、耐性菌に関する報告が複数報告されているものでござ います。 (3)承認後の副作用報告についてでございます。鶏に対する安全性につきま しては、調査期間中に約163万羽の調査が実施されておりますが、新たな副作用 は認められておりません。 3.再審査に係る評価についてでございます。 今般の剤につきましては、日本においてMRLの設定がなされていないことか ら、オフロキサシンのADIの設定について、別添のとおりの評価を実施されて おります。その結果といたしまして「オフロキサシン0.005 mg/kg 体重/ 日」が ADIとして設定されております。 2)薬剤耐性菌に係る評価についてでございます。 本剤の再審査に係る評価につきましては、薬剤耐性菌を介した影響について考 慮する必要がありますが、こちらにつきましてはなお検討中でございます。 以上が評価の概要でございます。 6ページ目以降に、その評価の詳細が記されております。 1.薬剤の概要でございます。 (1)物質名は、オフロキサシンでございます。 (2)効能・効果につきましては、先ほど御説明したとおりでございますが、 オフロキサシン自体につきましては、2つの光学異性体のラセミ体でございます。 (S) ‐(-) ‐アイソマーと(R) ‐(+) ‐アイソマーが存在しておりますが、(S) ‐(-) ‐アイソマーの方がより強い抗菌活性を示すものでございます。 (S) ‐(-) ‐アイソマーにつきましては、単独でもレボフロキサシンとして使 用されているものでございます。 (3)その他につきましては、本剤が呼吸器性マイコプラズマ病及び大腸菌症 を対象に使用されていること。欧州、米国においては食用動物に使用されていな いこと。また、オフロキサシン及びレボフロキサシンはヒト臨床におきまして、 感染症の治療薬で使用されているものでございます。 7ページに2.毒性試験の概要が記載されております。 2−1.吸収・分布・代謝・排泄でございますが、こちらにおきましては、マ ウス、ラット、イヌ、鶏を用いた分布試験等が行われております。 本剤につきましては、その使用対象が鶏ということもございまして、鶏におけ る単回投与試験を見ていただきますと、ブロイラーに対して12.5〜50 mg/kg体 重の投与試験が実施されております。そして、いずれにおきましても、24時間以 内には検出限界未満となっているものでございます。 代謝物については一番下の2行でございます。こちらに採卵用SPF鶏ライン にオフロキサシンを投与した結果が記載されております。 結論といたしましては、尿中排泄物のTLCにおいて未変化体、N−脱メチル 化体の2スポットが認められております。HPLCを用いた定量による未変化体 :N−脱メチル化体の比率は、最大でも1:0.0044となっているものでございま す。 8ページ目に、ヒトボランティアにおける投与試験の結果が記載されておりま す。 結論といたしまして、経口及び静脈投与時のAUCの比較からオフロキサシン の生物学的利用率は極めて高いと考えられております。代謝物につきまして、20 0 mgを経口、または静脈内投与したときの尿の分析を行ったところでは、未変化 体が経口投与で73.6%、静脈内投与で77%、脱メチル化体が経口投与で3.0%、 静脈内投与で3.2%、N−オキサイドが経口投与で1.0%、静脈内投与で1.1 % となっております。 その他グルクロン酸抱合体が、胆汁あるいは糞中に3.9 %認められたという報 告がなされております。 鶏における7日間経口投与試験では、ブロイラーに対しまして100 ppmないし は200 ppm の当該物質の投与試験が行われております。 結論といたしましては、腎臓ないし肝臓に高濃度の残留が認められております。 なお、残留につきましては、3日ないし5日の範囲におきまして定量限界未満と なっているものでございます。 次に2−2毒性試験でございます。 (1)急性毒性試験の報告がなされております。 オフロキサシンの経口投与によるLD50は、マウスの雌で5,290 mg/kg 体重、 雄で 5,450 mg/kg 体重という形になっております。 以降、ラット、イヌ、リスザルについても報告がなされております。 更に、主要代謝物でありますN−脱メチル化体につきまして、マウスに静脈投 与を行った場合のLD50は、雌で40.2 mg/kg体重、雄で38.5 mg/kg体重で未変 化体よりも強い急性毒性を示す形になっております。 レボフロキサシンの経口投与によるLD50は、マウスの雌で1,803 mg/kg 体 重、雄で 1,881 mg/kg 体重。ラットの雌で1,507 mg/kg 体重、雄で1,478 mg/kg 体重と なっております。 また、カニクイザルの雌は、250 mg/kg 体重以上となっております。 (2)亜急性毒性試験が報告されております。 ラットを用いた4週間の亜急性毒性試験の結果でございます。 試験の結果におきまして、まず一般的な臨床症状の観察や体重の変化、または 飲水量、尿の検査といった結論から、270 mg/kg 体重以上投与群におきましてそ の影響が認められているという報告になっております。 このため、このラットを用いた4週間亜急性毒性試験の結論といたしましては、 NOAELにつきまして90 mg/kg体重と判断されているものでございます。 10ページのラットを用いた26週間亜急性毒性試験の結果でございます。 こちらにつきましては、0〜270 mg/kg 体重/ 日の投与の系列がつくられてお りまして、結論といたしましては、血液学的検査の26週投与におきまして、30 mg 以上の投与群の雌で好中球の減少とリンパ球の増加が認められております。 また、臓器重量につきましても、13週の剖検におきまして、雄で盲腸の相対及 び絶対重量の増加が認められております。 これらの結論から、本試験におきましてNOAELは10 mg/kg体重と判断さ れているものでございます。 11ページのラットを用いたレボフロキサシンの26週間亜急性毒性試験の結果 でございます。 こちらにつきましては、一般的な臨床症状観察、また血液生化学的検査、尿検 査、臓器重量におきまして、80 mg/kg体重/ 日以上の投与群においてその影響が 認められているという結論となっております。 以上の結論から、本試験におけるNOAELにつきましては、20 mg/kg体重と 判断されているところでございます。 12ページには、サルを用いたレボフロキサシンの26週間亜急性毒性試験が報 告されております。 こちらにつきましては、0〜62.5 mg/kg体重/ 日の投与の系列が作成されたわ けでございますが、被験物質の投与に起因した影響が認められないという結論と なっておりまして、本試験におけるNOAELは、62.5 mg/kg体重/ 日となって おります。 (3)慢性毒性試験の結果でございます。 慢性毒性試験及び発がん性試験については、実施されておりません。 この実施されていないことについての評価につきましては、最後の食品健康影 響評価の中で御説明申し上げたいと思います。 なお、この発がんプロモーション作用についての試験が実施されております。 こちらにおきましては、あらかじめDEN、MNU、DHPNの3種類発がん物 質で処理をしました雄のラットに、レボフロキサシンを16週間投与した試験に おきまして、発がん指標となる臓器において、プロモーション作用は認められな かったという報告がなされております。 (4)繁殖毒性試験及び催奇形性試験 が実施されております。 このうち、2世代繁殖試験は実施されておりません。 報告されている試験概要といたしましては、ラットを用いた妊娠前及び妊娠初 期投与試験がございます。こちらにおきましては、ラットを用いた強制経口投与 による試験が行われております。 結論といたしましては、10 mg 投与群の雌雄親動物の体重、摂餌量及び摂水量 に投与に起因した変化は見られなかったというものでございますが、60 mg 投与 群では、雄の摂水量増加及び雌の摂餌量、摂水量の減少が認められております。 また、母動物の性周期、着床数等につきましては、投与に関係する異常は確認 されないというものでございます。 本試験におけるNOAELにつきましては、親動物の一般毒性に対しまして1 0 mg/kg体重/ 日、生殖発生毒性に対しましては360 mg/kg 体重/ 日となってお ります。 次に、ラットを用いた胎児の器官形成期投与試験(催奇形性試験)が行われて おります。 こちらにおきましては、0〜810 mg/kg 体重/ 日までの試験系が構成されてお ります。 結論といたしましては、奇形胎児の出現率に投与の影響は見られなか ったということ。また、F1 の精巣下降等の生殖発生毒性指標に投与する影響は 認められないという結論となっておりまして、本試験におけるNOAELは、母 動物に対して90 mg 、胎児に対して 10 mg/kg体重/ 日となっております。催奇形性につきましては、投与量の最高量 であります810 mg/kg 体重/ 日の用量まで認められないという結論となってお ります。 次に、ラットを用いた周産期及び授乳期投与試験が行われております。 こちらでは、0〜360 mg/kg 体重/ 日までの投与試験系が構成されております。 なお、試験の投与は、F0 の妊娠17日から分娩後20日まで行われております。 母動物への影響としましては、60 mg 投与群でF0 の摂餌量及び摂水量の増加 が確認されております。 また、妊娠期間、分娩状態等、このような生殖発生に投与の影響は見られなか ったとされております。 これらのことから、本試験における母動物に対するNOAELは10 mg/kg体 重/ 日、胎児に対しては360 mg/kg 体重/ 日となっております。 また、14ページにおきましては、ラットを用いた骨格異常発現時期特定試験や 高用量における骨格異常発現時期投与試験等が行われております。 おおむね、妊娠9〜10、または7日〜17日に被験物質を投与された群で、頚肋、 第13肋骨短小の出現率等が上昇した等の報告がなされております。 14ページの最後では、ウサギを用いた胎児の器官形成期試験(催奇形性試験) が行われております。 こちらでは、ニュージーランドホワイト種のウサギに対しまして、0〜160 mg /kg 体重/ 日の系列が作成されておりまして、催奇形性につきましては、160 mg /kg 体重/ 日の用量まで認められなかったという結論となっております。 15ページでは、(5)遺伝毒性試験についての報告がなされております。 まず、オフロキサシンの変異原性、各種のin vitro及びin vivo 試験の結果 がまとめられております。 in vitro試験におきまして、各種試験が実施されておりますが、上から3行目 の「Rec-assay 」の試験におきまして「陽性」の結論が得られております。 他の試験におきましては「陰性」となっております。 in vivo 試験におきましては、染色体異常試験、小核試験、優性致死試験のい ずれの試験におきましても、結論は「陰性」という形になっております。 オフロキサシンの遺伝毒性につきましては、このようにほとんどの試験系で陰 性でありましたが、細菌を用いたRec-assay で陽性の結果が報告されております。 なお、in vivo 試験における結果は、すべて陰性という形になっておりまして、 これらのことから、in vitroの細胞遺伝学的指標を検討する試験系では陽性を示 すものもあるわけでございますが、in vivo の試験系では陰性の結果であり、オ フロキサシンに生体にとって問題となる遺伝毒性はないと考えられているとこ ろでございます。 次に16ページでございます。 こちらにおきましては、レボフロキサシン及びR−オフロキサシンの変異原性 について検討がなされております。 レボフロキサシンでございますが、こちらのin vitro試験におきましては、 染色体異常試験の一部の試験において「陽性」、姉妹染色分体交換試験におきま しても「陽性」という結論が得られております。 また、in vivo におきましては、すべての試験結果におきまして「陰性」とい う結論となっております。 レボフロキサシンにつきましては、上記の試験におきまして、一部陽性を示し ているものもございますが、in vivo の試験系においていずれも陰性であったこ とが結論として報告されております。 また、R−オフロキサシンにつきましては、in vitro試験では、染色体異常試 験におきまして、弱いながらの「陽性」が報告されております。 また、in vivo の試験では、小核試験が行われているわけでございますが、い ずれにおきましても「陰性」という結論が得られております。 これらの結論から、各光学的単体を用いた試験でも、生体にとって問題となる ような遺伝毒性は検出されなかったという結論が得られているところでござい ます。 17ページ(7)幼若動物の関節影響に関する特殊試験が実施されております。 最初の試験の報告は、幼若ラットを用いた7日間の関節毒性試験でございます。 こちらにおきまして、オフロキサシンを0〜900 mg/kg 体重/ 日の範囲の中で 投与をした所見が得られております。 結論といたしましては、肘及び膝関節軟骨の病理組織学的検査では、オフロキ サシンの300 mg投与群の10匹のうちの6匹で肘関節の上腕骨滑車、膝関節の大 腿骨遠位端に水疱ないしはびらんが認められたという報告が得られておりまし て、本試験におけるNOAELは30 mg/kg体重/ 日であったと報告されており ます。 18ページで、若齢犬を用いた8日間関節毒性試験が報告されております。 今回のオフロキサシンのADIにつきましては、最終的にこちらの若齢犬を用 いた毒性試験の結果から求められたNOAELを用いて算出しております。 本試験は、3か月齢の雄ビーグル犬を用いた強制経口投与試験となっておりま す。0〜 20 mg/kg体重/ 日までの系列が作成されておりまして、剖検におきましては、上 腕骨及び大腿骨の関節軟骨表面の水疱形成が10 mg 以上の投与群において認め られていること。病理組織学的には、中間層の空隙形成、空隙周囲の軟骨細胞壊 死、軟骨細胞集簇の病変が10 mg 以上投与群に認められていること。また、病変 は近位端でより強く認められ、用量相関的であったということが報告されており ます。 これらの結果から、本試験におけるNOAELにつきましては5mg/kg 体重/ 日と報告されているものでございます。 その他、(7)眼毒性についての特殊試験、また(8)一般薬理試験の報告が なされているものでございます。 20ページの(9)以降におきましては微生物学的影響に関する特殊試験が報告 されております。 こちらでは、in vitroのMICに関する試験が報告されておりまして、ヒト臨 床分離株に対するオフロキサシンのMICについて、各種公表されている論文の 結果がとりまとめられております。 この中では、幾つかの菌があるわけでございますが、22ページの「通性嫌気性 菌」の4種類目「Escherichia coli」で示されております「0.05」が最も感受性 が高いということが報告されております。 以降、2番目に感受性が高いものが、21ページの上から6種類目「Bacteroid es ureolyticus group 」のグループで、0.125 という感受性が報告されており ます。 3番目に感受性が高いことが確認されたものが、Bacteroides group の4つ下 にございます「Clostridium perfringens 」、いわゆるウェルシュ菌でございま す。こちらが0.39という報告がなされております。 この微生物学的影響につきましては、後段にございます食品健康影響評価の中 で改めて御説明いたしますが、実際に微生物学的影響を評価するものに用いたも のは、更にグループが2つ下の「Clostridium spp.」の0.5 を最終的には感受性 の指標としてADIを算出するものに使っております。 23ページ目では、ヒトボランティアにおける微生物学的影響の報告がされてお ります。こちらの報告結果によれば、投与を受けてから4日目には、すべての被 験者の糞便からCandida sp. が検出されております。 これらにつきまして、オフロキサシンの投与により、コロニー形成耐性がかく 乱されたと推定されており、オフロキサシンはin vitroでより強い抗菌活性を 示すものと考えられているところでございます。 なお、本試験において耐性菌は確認されておりません。 次に「耐性の出現について」の欄でございますが、MICの8倍のオフロキサ シンを含む培地に7菌種を接種したときの耐性菌の出現頻度が報告されており ます。 こちらは、8.5 ×10-9〜<1.6 ×10-9であったということが報告されております。 (10)ヒトにおける知見といたしまして、生体影響の報告がございますが、そ の下のフェイズII、III 及びIV試験に関する報告を含めまして、主な影響とし ては、消化器系の不調が報告されているものでございます。 最後に、薬剤耐性菌は、オフロキサシン及び(S)−(−)−体であるレボフ ロキサシンは、ヒトの臨床上において、現在でも広く使用されているということ でございます。 これらの結果を踏まえまして3.食品健康影響評価についてでございます。 眼に関する知見については、レボフロキサシンのサルを用いた26週間の亜急 性毒性試験におきましては、最高用量においてもその異常が認められなかったと いうものでございます。 これらのことから、オフロキサシンにつきましては、眼毒性よりも他の毒性影 響がより感受性の高い指標になるものと考えられているところでございます。 次に関節影響に関する知見についてでございます。 キノロン剤につきましては、幼若動物において関節影響が認められることが知 られているところでございます。今般の評価におきましては、イヌにおいてより 高い感受性が認められたという報告がなされております。 これは、他の毒性と比較しても、最も鋭敏な指標であるとされておりまして、 本試験は8日間の短い期間の試験でありますが、感受性が高い幼若犬を用いてN OAELが求められていることを踏まえて、適切な安全係数を適用した上で毒性 評価に用いることが可能であると評価されております。 繁殖毒性及び催奇形性については、以後にございますが、それは認められなか ったということが報告されております。 25ページにおきましては、遺伝毒性、発がん性についての報告がなされており ます。 こちらでは、一般にキノロン剤につきましては、生体において問題とな る遺伝毒性や発がん性は認められていないということがあります。 また、オフロキサシンの遺伝毒性につきましては、変異原性に関する試験にお きまして、生体にとって問題となる遺伝毒性はないと考えられているところでご ざいます。 オフロキサシンの各光学異性体につきましても検討がなされておりますが、生 体にとって特に問題となるような遺伝毒性は認められていないという結論でご ざいます。 オフロキサシンの光学異性体でありますレボフロキサシンにつきましても、プ ロモーション作用の確認が行われておりますが、いずれもその作用は認められて いないことが報告されております。 更に、ラットを用いた6か月までの混餌投与試験におきまして、オフロキサシ ンによる前腫瘍性病変の発生頻度の増加は報告されておりません。 また、比較的長いヒト臨床における使用歴がございますが、副作用としての腫 瘍の発生は知られておりません。 これらのことを踏まえまして、発がん性試験を欠いてもADIの設定は可能で あると判断されているところでございます。 次に、光毒性についてでございます。 フルオロキノロン系の薬剤につきましては、光毒性があることが報告されてい るところでございますが、本剤につきましては、UV照射後のマウス耳介炎症を 指標とした試験やヒトボランティアのUV照射後皮膚紅斑を指標とした試験に おきまして、その毒性は非常に低いことが報告されております。 このため、オフロキサシンについては、フルオロキノロン剤の中では、光毒性 /光遺伝毒性は弱い部類に分類されるというものでございます。 このことから、適切に管理される限り、通常食品中のオフロキサシンの残留は ごく微量であり、食品を介して生体にとって問題となる光遺伝毒性が生じる可能 性は無視できる程度と考えられているところでございます。 26ページ目におきまして、今般のオフロキサシンの毒性学的影響のエンドポイ ントについて報告がなされております。 このエンドポイントにつきまして、先ほど来御説明申し上げているとおり、イ ヌの8日間の関節影響に徳目をした評価がなされております。その影響につきま しては、関節軟骨表面の水疱形成ということになっており、この観点からNOA ELが5mg/kg 体重/ 日という形で求められております。 しかしながら、通常イヌを用いて関節影響を評価する際には90日の期間を用 いて試験をすることになっているわけでございますが、本試験におきましては、 8日間という短期間の試験から得られたものであることを踏まえまして、最終的 には、この観点からのセーフティーファクターを採用しているところでございま す。 微生物学的影響のエンドポイントについては、26ページの最後の2行に記載さ れております。 最も低いMIC50が報告されたのは、Escherichia coliであったわけでござ いますが、このEscherichia coliについては、ヒト腸内細菌の総細菌数に占め る割合が非常に低いことがございます。そして、腸内細菌叢かく乱に対する寄与 率は軽微であること等から、その指標を採用しないという形になっております。 また、Bacteroides group 、ウェルシュ菌につきまして、2番目、3番目の感 受性が報告されているわけでございますけれども、これらは他の12種のBacter oides がすべて 1μg/mL以上であるのに対して著しい違いが認められること。 更にヒトボランティアの知見でBacteroides への影響がほとんどなかったこ と。 またウェルシュ菌は食中毒菌であることから、いずれも単独で微生物学的AD Iの評価に用いることは適切でないと判断されております。 これらのことから、Eubacterium 等の3菌種におけるMIC50の0.5 μg/mL を評価の対象として採用されているところでございます。 これらの結論から、微生物学的ADIが27ページの中段以降に計算式がござ いますが、こちらで計算がなされております。結論といたしましては、0.006mg/ kg体重/日となっております。 この0.006 につきましては、イヌを用いた関節毒性試験におけるNOAEL 5mg/kg体重/日から求められる種差10、個体差10、更に試験期間が短いことに 起因する安全係数 10をかけ合わせましたADI 0.005 mg/kg体重/日よりも高い数字となっており ますので、最終的な食品健康影響評価としましては、27ページの一番後段にござ いますが「オフロキサシン0.005 mg/kg体重/日」という、関節影響に徳目をし たADIが設定されているところでございます。 次に、部会の報告の説明をさせていただこうと思います。33ページからの資料 1−2となっております。 オフロキサシンの1.概要につきましては、既に御説明申し上げておりますの で、割愛させていただきます。 34ページ 2.対象動物における分布、代謝が報告されております。 こちらの試験におきましても、最も高い残留が確認された部位は、肝臓及び腎 臓という形になっております。 3.対象動物における残留試験結果でございます。 こちらにおきましては、分析の対象はオフロキサシンとなっております。 分析法の概要でございますが、一方は蛍光法、もう一つはメチル化体を分析対 象としたHPLC法となっております。 組織における残留につきましては、(1)といたしまして、オフロキサシンとして 200 ppm の飲水添加試験が行われておりまして、こちらにつきましては、我が国 の休薬期間でございます7日間に達する前の段階の5日目におきまして、すべて 定量限界未満となっております。 35ページの(2)の試験が通常の使用条件という形になるわけでございます。100 ppm を飲水に添加し、7日間自由摂取させるというものでございます。 こちらの試験結果におきましても、設定されております7日間の休薬期間に達 する前の段階、5日ないしは3日の段階で、各組織における残留量は定量限界以 下となっている結論が得られております。 4.につきましては、先ほど来御説明しております、許容一日摂取量の評価の 結果でございますので、説明は割愛させていただきます。 36ページ 5.諸外国における使用状況が報告されておりまして、オキサルジ ン液につきましては、アジアの数か国でも使用実績があるわけでございますが、 主剤であるオフロキサシンの欧州や米国における食用動物を対象とした使用は ないということ。また、国際的な評価は行われていないということが書かれてお ります。 6.残留基準値でございます。 (1)残留の規制対象は、オフロキサシンでございます。 (2)残留基準値(案)は、国内における使用禁止期間が7日間であることを 踏まえまして残留基準値(案)を設定しております。 なお、今後、食品安全委員会において薬剤耐性菌を介した影響についての評価 が示された段階で、必要に応じて残留基準値の見直しは行うこととしているとこ ろでございます。 最後の37ページに(3)ADI比が示されております。 こちらに示すとおり、国民平均につきましては0.38 %、小児につきましては 1.3 %、妊婦につきましては0.29 %となっております。 なお、この表に高齢者が欠落しておりまして0.37 %になっております。ここ は追記したいと考えております。 (4)本剤につきましては、今般、我が国における科学的評価を得、残留基準 を設定したということでございますので、一般規則7に記載されているものを一 般規則6の中に置き直すことになりますので、その旨をお示ししております。 オフロキサシンに関する説明は以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。毒性の評価から大変詳しく御説明 いただきましたけれども、これについて御審議いただきたいと思います。いかが でしょうか。 基準値設定の前の段階までのところで、細かい論理がありますけれども、とっ たエンドポイントのものがイヌの8日間という、普段余り使わない短期の結果に なりましたけれども、そこで発がん性がないので安全係数10をかけて出したと いう論理ですね。 関節の病変はここに書かれているとおりではありますけれども、もともと出や すい所見であると食品安全委員会の評価書では説明されております。いかがでし ょうか。 どうぞ。 ○大野委員 表現上のことなのですけれども、36ページの数式の3行下の後ろの 方に「感受性が高いと考えられる」とあるのですけれども、これだと毒性学的な 感受性が微生物学的な感受性よりも高いという表現に読めてしまうんですけれ ども、これは追加のADIを10をかけているので、それで結果としてADIが 低くなっているということで、特に毒性学的な指標の方が微生物学的な指標より も特に低い用量で表れるということではないんです。 ですから、ここは単に「ADIが毒性学的なデータから得られた値が小さくな ることから、オフロキサシンを置く」とつなげた方がよろしいと思います。 ○井上(達)部会長 事務局よろしいですか。 ○事務局 はい。ありがとうございました。 ○井上(達)部会長 そうなんですね。これは、安全係数をかけてADIが小さ くなっている。 ○大野委員 不確実係数ということでやっているだけですからね。 ○井上(達)部会長 近接していることはあるわけですけれどもね。 今の点は、そのように御訂正いただくということで、不必要な危惧を生まない ようにお願いいたしましょう。 ほかにはありますか。 どうぞ。 ○米谷委員 本剤は(R) ‐(+) と(S) ‐(-) の混合物でございます。それが我が 国とアジアの数か国で使われていることが書いてございます。 もう一方、(S) ‐(-) のものも向こうでも使われているということで、食品安 全委員会の評価では、両方ミックスしておまとめになっているようでございます。 こちらの(S) ‐(-) のレボフロキサシンにつきましては、国内あるいは欧米での 使用、規制はどうなっているのかという、オフロキサシンが出てきたときの背景 をまず教えていただければと思うんです。 片方のレボフロキサシンは、今どうなっているのでしょうか。 ○農林水産省 国外は今、確認ができませんが、レボフロキサシンの国内承認は ありません。 ○井上(達)部会長 そういうことで出せないのですね。 設定がある国がありませんので、我が国のデータを慎重に御審議いただくこと になりますけれども、ほかにはいかがでしょうか。 ○米谷委員 薬剤耐性については、今、食品安全委員会でも検討中ということで、 ペンディングになっております。 薬剤耐性に関しましては、食品安全委員会でも評価されて、その結果を基に厚 生労働省が対応する形になっているのでしょうか。それとも、薬剤耐性に対する 行政的なものは全部、当然リスク管理の方の役目なので厚生労働省が決めればよ ろしいような性質のものなのでしょうか。 今まで、この部会で薬剤耐性は出てきたことがなかったように思うので、その 辺の取扱い方の仕分けはどうなっているかをお聞きしたいと思います。 ○井上(達)部会長 お願いいたします。 ○農林水産省 この部会で管理されるのは、食品の残留基準の方であると思って おります。 食品安全委員会には、この再審査や承認関係でもニューキノロン系の薬剤耐性 菌の評価を今後、実施していただくことになりますので、その結果によりまして は、必要があれば、農林水産省の方のリスク管理措置として使用制限を加えるな り何なりのリスク管理措置をとりたいと思います。 それは、今はまだ審議が始まっていない状態ですので、それによってというこ とになります。 ○井上(達)部会長 薬剤耐性の方はそういうことだということです。 ですから、ここでの御報告は、あくまでも毒性背景としての御説明ということ ですね。 ほかにはいかがでしょうか。 小沢委員、よろしゅうございますか。 ○小沢委員 特にありません。 ○井上(達)部会長 それでは、一応御了解いただいたと理解いたしまして、御 意見がないようでしたら、本報告案をもちまして、当部会の報告ということにさ せていただこうと思いますが、よろしゅうございますか。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。この件につきましては終了という ことにいたします。 次は、御承知のウエストナイルウイルス感染症に関する不活化ワクチンの審議 でございます。事務局から資料の説明についてお願いいたします。 なお、これにつきましても、資料の作成に当たりまして、関係委員に既に資料 等について御検討をいただいていることを御報告申し上げます。 では、お願いします。 ○事務局 今、御紹介のございましたウエストナイルウイルス感染症不活化ワク チンについて御説明申し上げます。資料は2−1、2−2となっております。 まず、資料2−1の1ページ目でございます。 ○井上(達)部会長 これは一緒に綴じてありますので、御注意ください。 ○事務局 資料2−2が7ページからとなっているものでございます。こちらの 資料2−1につきまして御説明申し上げます。 まず、1ページ目でございます。 平成18年8月31日付で食品安全委員会委員長より当方大臣あてに提出されて おります、食品健康影響評価の結果でございます。 「記」の下に書いてございますとおり、ウエストナイルウイルス感染症不活化 ワクチン(ウエストナイルイノベーター)が適切に使用される限りにおいて、食 品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられると いう結論でございます。 3ページ目の上段に審議の経緯が記載されております。 本剤につきましては、平成18年6月16日、厚生労働大臣及び農林水産大臣か ら食品健康影響評価につきまして要請を行っているものでございます。 その後、所要の手続を経まして、平成18年8月32日に厚生労働大臣及び農林 水産大臣あてに食品健康影響評価の結果が通知されているというものでござい ます。 評価の内容は、4ページ目からになります。 1.ウエストナイルウイルス及びウエストナイルウイルス感染症についての説 明が記載されております。 ウエストナイルウイルスにつきましては、アルボウイルスでありますフラビウ イルス科フラビウイルス属に属しまして、本来、鳥類を宿主とし、自然界では蚊 により媒介されるものでございます。また感染環につきましては、蚊と鳥類の間 で形成されているものでございます。 しかしながら、馬やヒトにつきましても感染するわけでございまして、感染し た場合には、脳脊髄炎を主徴とする症状を起こすことから、人畜共通感染症に位 置づけられているものでございます。 本ウイルスにつきましては、もともとはアフリカや中近東、ヨーロッパの一部 の風土病に近いものであったわけでございますが、米国東北部で1999年に初発 をいたしまして、 2000年には60頭、2001年に191 頭以上の馬が発症したことが報告されており、 2005年の段階では、ほぼアメリカ全土に拡大していると考えられているところで ございます。 また、今後ヨーロッパ大陸での流行拡大も懸念されているものでございます。 2.ウエストナイルウイルス感染症不活化ワクチン(ウエストナイルイノベー ター)について報告されております。 本剤につきましては、北米の感染馬由来の分離菌株を用いて、ホルムアルデヒ ドで不活化したものを主剤とし、アジュバント等を添加した不活化ワクチンでご ざいます。 用法・用量は、ウマに初年度1mLの筋肉内注射を行います。3〜6週間後に再 び1mLを筋肉内注射するものでございまして、その後、1年ごとに追加免疫を行 うものでございます。また、出荷前120 日は接種しないこととされております。 効能・効果につきましては、ウマにおけるウエストナイルウイルスによるウイ ルス血症の発症予防という形になっております。 不活化剤としてホルムアルデヒド、保存料としましてはポリミキシンB、ネオ マイシン、チメロサールが使用されております。また、アジュバント中にはポリ ソルベート80、界面活性剤、硬化油が含有されております。 これらの成分につきまして、ホルムアルデヒド、ポリソルベート80、チメロサ ールにつきましては、過去に動物用医薬品専門調査会におきましてワクチン中の 含有量等を考慮いたしまして、摂取による健康影響は無視できると評価されてい るところでございます。 また、本ワクチンに含まれております界面活性剤は、既に医薬品等に幅広く使 用されているものでありますし、硬化油につきましては、動物に広く存在する油 脂に水素添加されたものであります。こちらにつきましても、化粧品等に広く利 用されているものでございます。ポリミキシンB、ネオマイシンはヒト用医薬品 に使用されているものでございます。ネオマイシンにつきましては、日本でAD Iが設定されております。これらに含有量は最大のアジュバントでも数%、その 他は1%に満たず、いずれもごく微量であるというものでございます。 3.ウエストナイルイノベーターの安全性に関する知見等について、御報告い たします。 (1)ヒトに対する安全性についてというものが報告されております。 ウエストナイル熱は、先ほど御報告いたしましたが、人獣共通感染症でござい ますけれども、本ワクチンに含有される主剤につきましては、ホルマリンによる 不活化がなされており、病原性を有しておりません。また、添加剤等においても その性状、使用量から、含有成分の摂取による健康影響の可能性は無視できると 考えられているところでございます。 (2)ウマにおける安全性の試験が実施 されております。 こちらの試験結果におきましては、5ページの上から3行目以降になるわけで ございますが、常用量群では特にワクチンの投与に起因した異常は認められてお りません。10倍用量群では2及び3回接種時に元気消失等の症状が認められてお りますが、いずれも2〜3時間以内に回復をしております。 剖検で第3回注射部位に退色、病理組織学的検査では退色部位に筋鞘核の増生 を伴う筋線維及びリンパ球等を小円形細胞浸潤等の変化が軽度に認められたこ とが報告されております。 注射部位につきましては、アジュバントの消長試験が検討されておりますが、 剖検、病理組織学的検査とも異常は認められておらず、アジュバントは接種17 週後には消失するものと考えられております。 (3)臨床試験が報告されておりまして、特にワクチンの接種で起因する異常 は認められておりません。 (4)その他におきましては、主剤の不活化の確認や無菌試験、げっ歯類を用 いた安全性試験が規格として設定されておりまして、試作ワクチンにつき、それ ぞれの試験が行われ問題のないことが確認されております。更に、これらについ ては製造方法の中に規定されているものでございます。 4.食品健康影響評価についてでございます。 以上の結果を踏まえまして、当生物学的製剤が適切に使用される限りにおきま して、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えら れるという結論を得ているところでございます。 次に、7ページ目以降の資料2−2が当部会の報告書(案)でございます。 1.概要といたしましては、先ほど来御説明申し上げておりますので、説明の 方は割愛させていただきます。 2.残留試験結果は、対象動物における主剤等の残留試験は実施されておりま せん。 3.許容一日摂取量(ADI)評価は、先ほど御説明申し上げた書面 の内容と同一でございますので、説明は割愛をさせていただきます。  4.残留基準の設定でございますが「食品安全委員会における評価結果を踏 まえ、残留基準を設定しないこととする」ということを案として考えているとこ ろでございます。 説明は以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。 ただいま御説明にありましたように、食品健康影響評価と不活化ワクチンにつ いての許容一日摂取量(ADI)評価についての御提案、設定しないということ ですが、それについての御審議をお願いいたします。 結論の方はおわかりのとおり、要するにこのものは不活化ワクチンであるので、 ヒトへの病原性は無視できるということに帰着しておりますが、いかがでしょう か。 どうぞ。 ○米谷委員 本剤の中には、4ページの2.の真ん中辺りに「不活化剤としてホ ルムアルデヒド」とあり、その次に「保存剤としてポリミキシンB、ネオマイシ ン、チメロサール」が使用されているということでございます。ポリミキシンB とネオマイシンはヒト用医薬品として使用されておるという説明で、使用量も非 常に低いということで、この部会の案でも出てまいります。 ポリミキシンBとかネオマイシンはポジティブリスト制の暫定基準を決めて いるような化合物ですので、この部会としてはポジティブリスト制の言葉ぐらい は報告に入れておいた方がいいのではないかと私は思いますけれども、いかがで しょうか。 ○井上(達)部会長 では、この点についていかがですか。 書きぶりの問題なのでしょうね。 ○米谷委員 ほんの一部の食品だけに、たしかポリミキシンBとかネオマイシン の暫定基準がきまっていたと思いますので、そういうものを全く無視してここで さっと量が少ないからいいでしょうというだけでいいのか。この部会としてはポ ジティブリストのそういう言葉ぐらいは入れておいた方がいいのではないかと 思いました。 ○井上(達)部会長 記載されているところで、ポジティブリストに記載されて いるところであるが云々とか、そのようなものなのでしょうが、いかがですか。 ○事務局 ただいまの御指摘は、当部会の報告書8ページのちょうど中段以降に ございます、アジュバント等の添加剤等に関する部分の記載になってくると思い ます。 御指摘を踏まえまして、この部分には「ポリミキシンB、ネオマイシンにつき ましては、ポジティブリスト制度における基準の設定がなされているところでは あるが、その含有量は少ないので」という形の記載ぶりにすることでよろしいわ けでしょうか。 ○米谷委員 設定されたのは数の少ない食品ですので、そのほかのものに対して は決まっていないのです。 これは質問なのですけれども、そのほかは、これですと抗生物質なので、一律 基準ではなくて不検出ですか。どのような適応になるのか。 ○事務局 当然ながら、この抗生物質及び合成抗菌剤につきましては、もし使っ た結果として残った場合、その食品に対しての残留基準がなければ、それは含有 してはならないという規制になります。 ○井上(達)部会長 実質的に検出はされないでしょうから、位置づけだけ書い ておいて問題ないということになりますか。そういうことでよろしいですか。 ポジティブリスト制の登載品目であり、他の登載されていないものについては 不検出だけれどもということで、なんかだらだらしますね。注釈でもつけるのか な。 書きぶりを御検討ください。 ○事務局 わかりました。 ○井上(達)部会長 よろしゅうございますか。 ○米谷委員 はい。 ○井上(達)部会長 ほかにはいかがでしょうか。 どうぞ。 ○吉池委員 4ページの中ほどのところで確認をさせていただきたいことがあ ります。 2.の3行目ほどから「用法・用量は」がありまして、追加免疫をするとされ ています。一方、出荷前120 日は接種しない「こととされている」ということで、 文献番号を見ると7〜10となっているのですが、「こととしている」というのは、 7の資料と考えてよろしいのでしょうか。 もう一つは、資料2−2の7ページの「適用方法及び用量」のところで、「出 荷前120 日」という記載がないのですが、何か特別な意味があるんでしょうか。 2点、確認したいと思います。 ○事務局 御質問でございますが、文献番号が7番でよろしいかという点につき ましては、今、確認しますので少々お待ちください。 120 日につきましては、こちらの方を記載いたしますので、そのように修正し たいと思います。 ○井上(達)部会長 では、そのようにお願いいたします。どうもありがとうご ざいます。 ほかにはございませんか。委員の先生方、よろしゅうございますか。 それでは、一通り御了解いただいたものと考えまして、これにて動物用医薬品 ウエストナイルウイルス感染症不活化ワクチンについての御審議を終了させて いただきました。本報告案をもちまして、当部会の報告にさせていただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ありがとうございます。 これをもちまして、議題「(1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定につ いて」、2件終了したということでございまして、2番目の議題に入ります。 暫定基準が設定された農薬等の食品健康影響評価の実施手順についての御報 告を、事務局お願いいたします。 私間違えましたか。これの扱いを御説明いただくのですね。よろしくお願いし ます。 ○事務局 今、御説明を申し上げた2剤についての取扱いを御説明いたします。 本日、御審議いただきました動物用医薬品2品目につきましては、食品安全委 員会から通知を受けておりまして、報告(案)を部会報告書とさせていただこう と思います。 なお、今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、パ ブリック・コメント、WTO通報の手続を進める予定としております。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。そのような扱いになります。 そして、次に、お話ししてしまいましたけれども、議題(2)に入り、本日は、 内閣府食品安全委員会事務局の担当の方においでいただいております。説明をよ ろしくお願い申し上げます。 ○食品安全委員会事務局 よろしくお願いいたします。お手元の報告資料1に基 づきまして御説明を差し上げたいと思います。  暫定基準が設定された農薬等の食品健康影響評価の実施手順は、平成18年6 月29日に私どもの食品安全委員会で決定をいただいているものでございます。 その基本的考え方から御説明を差し上げたいと思います。 資料1ページ目の 1 基本的な考え方を、4項目ほどとりまとめております。 まず、本暫定基準につきましては、先ほどお話がありましたポジティブリスト の食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度の導入についてという ことで、昨年の11月28日付で厚生労働省から告示が出ておりますから、それに 基づきまして評価の手順を定めさせていただくことになっております。 一応、その席上で厚生労働省からの御説明をいただきまして、厚生労働省は今 後5年間をめどに758 物質、暫定基準及び基準値全体で799 とお伺いしており ますが、そのうち758 物質について暫定基準を設定いただきました。これに関す る評価は、事後でございますけれども、食品安全委員会の方でやらせていただく ことになりましたということが書いてございます。 リスク評価の作業につきましては、5年でございますので、大体年平均150 物質程度ということで、平成18年3月30日、私どもにそのリスク評価の依頼計 画が出ております。 こういった多くの物質を評価する経験が食品安全委員会としてございません でしたので、このような実施手順を定めさせていただきまして、円滑な実施をし たいと考えております。 特に評価の方法について、通常の毒性試験等を使った 評価につきましては、これまで農林水産省、厚生労働省の方で定めていただいて おります評価のガイドラインを十分参考としつつ、私どもの食品安全委員会で円 滑な評価をしていくことが(1)に書いてございます。 特に国際リスク評価機関等におきましてADI(一日摂取許容量)の設定がで きないとされた物質、食品を通じて国民が摂取する量が比較的多い物質といった ものにつきましては、特に「優先物質」という考え方を導入いたしまして、これ については迅速、慎重に評価をすることで配慮をしたいということが(2)の部 分でございます。 (3)でございますけれども、特に御案内のとおり、農薬等化学物質の分野に つきましては、その毒性試験の要求項目等につきまして、国際協調が比較的進ん でいる分野であるということもございます。更に、今回758 、あるいは年間150 という多くの物質を評価しなければいけないということもございまして、食品 安全委員会で検討した結果、過去に実施された評価、例えばこちらの薬事・食品 衛生審議会での過去の評価、農薬登録等におきまして残留農薬安全性評価委員会 等で評価されたものが現在、日本にございますけれども、評価資料という扱いで、 それを利用した形の評価をしたいというのが書いてございます。 ただし、その 際に「また」ということでございますけれども、過去の評価が常に現在の評価と 同じではないという認識を持っております。併せて各ガイドライン自体も時を経 て見直しがされているという事情を勘案しまして、その評価結果が作成された後 の時間的経過、あるいは特に我が国においてどのような形でその食物が摂取され ているかということも十分把握して食品安全委員会における評価とするという ことでございます。 (4)としまして、特にリスク評価の過程で発がん性等重要な毒性が発見され た場合については、そういったものの確認に基づきまして、評価書という過去の 評価のみならず、毒性試験成績、つまり原点に当たって評価を実施することとし たいということで基本的考え方をまとめさせていただいております。 2ページ 2 リスク評価の実施でございます。基本的考え方のところにも出 ておりましたが、暫定基準が設定された農薬等に関するリスク評価については、 2つの手順により実施をしたいということで、(1)以下御説明をさせていただ いております。 内容については、ちょっと煩雑でございますので、後ろの方にフローチャート が付いてございます。まず、6ページに基づきまして御説明を差し上げたいと思 います。 ポジティブリスト制度の導入に係る食品安全委員会審議フローという参考1 に基づきまして御説明申し上げます。左側が厚生労働省、右側が食品安全委員会 の業務ということで整理をしております。 厚生労働省におきまして、依頼計画の策定を行っていただいて、その上でその 依頼計画に基づきまして評価依頼をしていただくことになります。 食品安全委員会では毒性データに基づきADI等の設定、特に推定摂取量の試 算結果を事務局を通じて報告をするという形で考えております。 勿論、食品安全委員会においては、意見募集をするのが義務になっております ので、評価結果を基にADI等の意見募集を行って、その上で評価結果を厚生労 働省にお返しし、その上で薬事・食品衛生審議会の方で御審議をいただくことに なります。 それが、そこにございますTMDI、EDIによる推定摂取量の試算を行って いただくということと、ADI等と比較しつつ、MRLを再設定していただくと いうことで、本日こちらでやっていただいている作業になると思います。 それを踏まえて、私ども食品安全委員会の方に暴露量の確認をさせていただく ためのMRLの設定の報告をいだだくことになります。 申し遅れましたけれども、該当する物質は農薬、動物用医薬品、飼料添加物で ございますので、それぞれ該当する専門調査会においてこの御報告を受けた形で 確認をさせていただく。 ADIとの関係で不都合がある場合には、御意見を出させていただきますが、 基本的にはADIの枠の中でMRLを設定していただくということでございま すので、形式的な確認になるかとは思います。 それを踏まえまして、一方でMRLをセットした場合には、厚生労働省の手続 としてパブリック・コメントの実施、WTO通報を経て残留基準値MRLの告示 を行っていただくということでございます。 それが告示を行った段階で通常お願いしておりますけれども、食品安全委員会 に文書による報告をいただくということでございまして、こういう審議のフロー で暫定基準の評価を進めたいと思っております。 7ページ 暫定基準が設定された農薬等の評価の実施手順は、先ほどの2番の 詳しい説明になっております。 暫定基準が758 農薬等ございますけれども「評価依頼計画」を厚生労働省から 出していただきました。平成18年度につきましては、既に3月30日に評価依頼 計画をいただいておりまして、厚生労働省の方で整理をしていただき、優先物質 とそうでないものを振り分けていただいております。 優先物質の考え方でございますけれども、そこに3つございます。 1つは「国際リスク評価機関等でADIが設定不可とされたもの」。これにつ きましては、発がん等重要な病害等の疑いがあるというふうなことで、資料等が 十分入手できなかったということで、ADIがセットできないものもございます。 そういったものを国際機関でADIがセットできていないものについては、我が 国においても優先的に評価をしましょうということでございます。 「摂取量が多いもの」。これについては、我が国の国民への影響が大きい可能 性がありますので、優先的に評価をしていただく。 最後に「発がん性等新たな重要な毒性知見が得られたもの」等につきましては、 同じく優先物質として扱っていただくということでございます。 優先物質と優先物質以外の評価の考え方が、その下に書いてございます。 優先物質に該当するものにつきましては、評価手順は「毒性試験成績等を用い て評価」ということで、原点に当たって評価をするこれまでのオーソドックスな 評価をしていただくということでございまして、評価に用いる資料等につきまし ては「毒性、代謝、残留等各種試験成績」等に基づいて評価をしていただくとい うことでございます。 それに該当しないものについては、優先物質以外です。これについては、評価 手順として先ほど基本的考え方の中で多少御説明を差し上げましたが「既存の評 価書等の評価根拠、経緯及び評価後に蓄積された科学的知見等をもとに評価」を するということでございます。その評価の評価書等として用いる資料は、その下 にございます「評価に用いる資料等」です。 まず「評価書」として「我が国政府機関の評価書」。これは、過去に薬事・食 品衛生審議会で審議をいただいたもの。その他各法律に基づきまして評価が行わ れたものでございます。 国際評価機関、例えばJMPR、外国の政府で評価された評価書といったもの は、評価資料として扱っていこうという考え方でございます。 それに準ずる資料ということで「申請資料等」も評価に用いられた資料という 扱いで考えております。 例えば、農薬登録申請、動物用医薬品承認申請、飼料添加物の指定申請の際の 提出資料、資料概要といったものについては、評価書に準ずる扱いとして評価資 料にしていくということでございます。 併せて、厚生労働省さんの方から通達が出ておりますけれども、海外で使われ ている化学物質についての日本へ輸入する際の手続に基づく、いわゆるインポー トトレーランスを要請する際の資料でございますけれども、こういったものが申 請企業から提出される資料となっておりますので、併せて使用していきたい。 こちらについては、そういった過去の評価結果を確認した上で評価をしていく。 言ってみれば、通常原点に当たって評価をする優先物質に比べると、多少確認的 な扱いになりますが、確認評価という扱いで評価をしていくという考え方でござ います。 現在、優先物質については合計5物質、それ以外のものについては、残りの7 53 になると思いますが、そういった形で評価をしていただくことになっており ます。 評価結果につきましては、先ほどの手順で御説明したとおりでございまして、 ADIの設定等、その他の方法というのは、できれば不検出とか残留しないこと という扱いになるものもあると思いますので、そういった方法による評価結果を 出させていただくということでございます。 それを基に、厚生労働省にADI等の評価結果を通知いたしまして、通常の作 業で残留基準の作成をいただき、それに基づいて私どもに報告をいただいた上で 暴露量の確認をしていただくという流れでございます。 個別の評価の扱いが次の参考資料3でございますので、細かなところになりま すが、併せて御説明申し上げます。 参考3「暫定基準が設定された農薬等の評価方法の考え方」でございます。 「優先物質に係る評価方法」につきましては、左手の縦のラインでございます。 「優先物質以外に係る評価方法」については、右側に書かれた流れで示してお ります。 優先物質に係る評価については、まず規定の毒性試験データ、あるい は代謝残留試験の成績を出して評価をしていただく。 初回審議をいただいた上で、第2回については、それらについてもし仮に不足 のデータがございましたら、追加試験、関連データを求めさせていただきまして、 以後、何回かの審議の結果を踏まえて食品健康影響評価書を作成するということ でございます。これについては、これまでやっている通常の評価と同じような考 え方になっております。 優先物質以外のものについては、重複になりますけれども、国内の評価書、J MPR等の評価書、農薬抄録といった先ほど御説明を申し上げました評価資料に ついて確認をするということと、併せてもし必要があれば毒性試験、代謝・残留 試験も出していただく形になります。 例えば、ここでは国内の評価書の中の一部の毒性試験成績等に疑義が生じた場 合には、その次の審議会の中で不足のデータ等を補っていただく。これについて は、極力過去の論文、過去の評価に関する知見を当たることを前提といたしまし て、追加試験成績にかわるようなものでうまく利用した形で評価をしていき、何 回かの審議を踏まえて評価書を作成していくという考え方でございます。 このような考え方で評価を実施していきたいということでございます。 以上が御説明でございます。 繰り返しになりますが、優先物質は通常の評価の仕方でやりたいけれども、そ れ以外の七百数十という多くの物質を5年間で評価しなければならないという こともございまして、確認をさせていただく評価を導入した次第でございます。 よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。 事務局から何か補足ございませんか。よろしいですか。 ○事務局 現時点では特にございませんが、この後の方で、先ほどの話にも出ま した依頼計画については御説明させていただきます。 ○井上(達)部会長 では、後ほどまた伺うことにして、ここまでの島田補佐か らの御説明についての御質問等ございましたら、どうぞ。 どうぞ。 ○米谷委員 これは食品安全委員会というよりは、厚生労働省の事務局への質問 になるかと思います。 食品安全委員会で資料が不足して追加資料を要求されたときに、厚生労働省と しては期限内に資料を提出しないといけないのですが、私もこれまでポジティブ リスト制の分析方法をつくってまいりまして、化合物を集めるだけでも非常に大 変で、まだ集まっていないものもございます。 こちらの毒性データ資料につきましても、これから5年間で全部集まるかとい うと、その辺はどうかわからないですが、もしも期限内に全部集まらなかった場 合には、食品安全委員会でリスク評価はできないと判定が出るかと思いますけれ ども、その場合は単に暫定基準がそのまま残るだけなのでしょうか。それとも更 にもっと悪い方向は何か考えられるのでしょうか。 ○井上(達)部会長 書類がそろわなくて依頼ができないものはどうなるかとい うことですか。 ○米谷委員 食品安全委員会の方でも判断できないと思います。資料が足りない ので。 ○井上(達)部会長 そこから戻ってこないものについてどうするかですね。 ○米谷委員 追加資料を要求しても厚生労働省がそろえられなかった場合には、 当然判断、評価はできないでしょうから、その場合に今の基準がそのまま暫定と して残るだけなのでしょうか。 ○井上(達)部会長 そういう想定はあるのですか。 ○米谷委員 余り考えたくないですけれども。 ○事務局 仮定の話ですので、現実的には個別にそれぞれ検討していって、可能 な限りの資料は集めて御評価いただく方向でお願いするのが大前提だと思って おります。 集まらない理由もいろいろあると思われますし、背景も違っておりますので、 それはそのとき個別に検討していきたいと考えております。 ○井上(達)部会長 そういうことでしょうね。どうもありがとうございます。 ほかにはいかがでしょうか。 依頼書をつくっていく作業も大変でしょうし、食品安全委員会におかれても、 これを確認評価と表現しておられましたけれども、なかなか大変なお仕事になっ ていくと思われます。 どうぞ。 ○下田委員 この優先物質についてお伺いしたいのです。 ここに書いてある基準だけで優先物質を決められるんですか。例えば、暫定基 準でいろいろ現場で問題になっている薬があるので、そういったものを先行させ る可能性はないのですか。 ○食品安全委員会事務局 今、優先物質で扱ったものについては、明確に先ほど の3項目の基準を示させていただいているんですが、それ以外の物質については 個別対応で考えております。 そのときに、当然食品安全委員会として毒性評価を早く進めなければならない 物質もあるでしょうし、逆にADIをセットした後にその基準値自体を今のまま でいいのかどうか考慮しなければならない部分での優先ということもあります。 例えば、前段の部分の評価を優先させなければいけないというのは、毒性上の 懸念が示されているものについては、優先物質に準じた形で早めにやっていただ く。併せて、ADIをセットした後にMRLはやはり早めに見直した方がいいよ ということがあれば、そういったものは厚生労働省と食品安全委員会で優先的に 評価をする。多分、今、現場でそういった検出というか、基準値をオーバーする ものも出ていると聞いておりますので、そういったものが特定の農薬だというこ とであれば、そういったものについて最初に考慮を払うということで厚生労働省 さんと打ち合わせをさせていただくようにしたいと思います。 ○井上(達)部会長 どうぞ。 ○下田委員 そういうオーバーというのでなくて、例えば暫定基準値が非常に厳 し過ぎる。そのために、実際にもう現場では使えなくなってしまう薬も出てきて いる。 いろいろ考えますと、やはりそういう薬はなるべく早く見直していただいて、 その結果休薬期間をきちんと設定して使えるようにしていただきたいという薬 も結構あるんですね。そういったものも優先的にやっていただけると、例えば畜 産の方では大分助かることになりますので、よろしくお願いいします。 ○井上(達)部会長 これの発議はどこになるのですか。 ○食品安全委員会事務局 諮問をいただくのは厚生労働省さんからになります ので、そういう意味での発議は厚生労働省さんの方でお考えいただくことかと思 っております。 ○井上(達)部会長 今の委員の御要望というか、御質問について、事務局は何 かお考えありますか。 ○事務局 こちらから何を諮問するかにつきましては、現場サイトをよく御存じ の農林水産省さんとも意見交換をしながら適切に対応していきたいと思ってお ります。 ○下田委員 是非そういう形でお願いいたします。 ○事務局 補足になりますけれども、物質の選定につきましては、前回、前々回 にも御報告したかもしれませんが、部会の委員に御参加いただいた選定の検討会 でいただきますので、その中でもまた御意見をいただければと思います。 ○井上(達)部会長 ほかにはいかがでしょうか。 今日、たまたま残留基準設定の2剤を審議しましたけれども、あのように丁寧 な議論はとてもこれからはね。この類については今お話がありましたように検討 会、事前に打ち合わせるような形で進めることになるのだろうと思いますけれど も、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 島田さん、どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの御説明は承ったということで、次の議題4になります。 その他の中でお話するのですか。 ○事務局 その他の前に平成18年度食品健康影響評価依頼予定物質についてが あります。 ○井上(達)部会長 議題3ですね。事務局から報告資料2に基づいて御説明い ただきます。お願いいたします。 ○事務局 先ほど、食品安全委員会の島田補佐が触れられた点に絡んでというこ とでございます。安全委員会でリスク評価いただくに際しまして、年間150 とい う物質を諮問することを予定しておりますので、安全委員会側での事前の準備も ございますでしょうし、計画的に御依頼した方が対処しやすいということで、案 ではございますが、依頼計画をつくらせていただいております。 評価依頼計画につきましては、前回の5月の部会で1回御報告させていただい ております。その際には優先評価物質としてアレスリン、オキソリニック酸、キ シラジン、スルファチアゾール、タイロシンの5物質、優先評価物質以外という ことで、141 物質、合計146 の物質について、18年度の評価依頼予定物質とい うことで、安全委員会さんの方に提出したことを御報告させていただきました。 今般、優先評価以外の物質ということで、報告資料2で42物質追加になりま したので、その旨を御説明させていただきたいと思います。 2ページに、42物質がどういう内訳であるかということをまとめさせていただ いております。 3ページ以降、一番端のカラムに「追加」を記載したものが、今回、追加した 42の物質でございます。 2ページの1.の説明でございます。法律用語を書いておりますので、若干わ かりにくくなっておりますが、関係法令の説明は一番最後の8ページで「食品安 全基本法(平成15年法律第48号)抜粋」のところで示させていただいておりま す。 暫定基準関係でございますが、第11条の三に下線を引いております。「人の 健康に悪影響が及ぶことを防止し、又は抑制するため緊急を要する場合で、あら かじめ食品健康影響評価を行ういとまがないとき」。 今回、758 と非常に対象物質が多くございましたので、今回の場合はこれに該 当するということで、事後的に食品健康影響評価を受けることとされてございま す。 第24条が「委員会の意見を聴かなければならない」という規定でございます。 「同法上の11条第1項の規定により基準若しくは規格を定めようとするとき」 というのが通常の場合でございますが、その場合には、これまでこちらの部会に もお諮りしておりますように、新規の農薬ですとか適用拡大をしたときの規格基 準の設定の場合は、この条項に基づいて食品安全委員会さんの方に評価依頼をし ております。 今回の暫定基準につきましては、関係条文の2項でございます。「前項ただし 書の場合(関係各大臣が第11条第1項第3号に該当すると認めた場合に限る。)」 とございますが、それが先ほど読みました部分で、いとまがない場合には「当該 食品の安全性の確保に関する施策の策定の後相当の期間内に、その旨を委員会に 報告し、委員会の意見を聴かなければならない」ということで、事後的にはなり ますが、きちんとリスク評価を受けなければいけないという規定でございます。 今般、第24条第2項の規定に基づきまして依頼したというのが2ページの1. の物質でございます。 既に第24条第1項に基づいて依頼しておりますので、こちらは主に農薬等の 適用拡大で依頼したものでございますけれども、その依頼した物質が、同時に暫 定基準を持っておったので、こちらについては、適用拡大の部分と同時に暫定基 準についても、ADIが決定された後、見直していきたいというものでございま す。 2.以降が、主に動物用医薬でございますけれども、新たに承認申請がなされ た、あるいは再審査がなされているということで追加されたものでございます。 もう少し詳しく言いますと、2.のエトキサゾールでございますが、こちらは 既に動物用医薬としては食品安全委員会の方でリスク評価を受けておりますが、 農薬としての評価は受けていないので、第24条第2項に基づいて意見を求める ものでございます。 3.については、動物用医薬品の再審査申請がなされた品目です。再審査の処 理と同時に暫定基準設定しているものについては、リスク評価をいただいた後、 基準値の見直しを行なうものでございます。 アミトラズにつきましては、新規に動物用医薬品としての承認申請がありまし たので、これも暫定基準を設定している物質でありますので、同時に暫定基準の 見直しを行っていきたいものでございます。 この結果、42物質を追加しますので、優先評価物質は5物質のままでございま すが、優先評価以外の物質が141 に42が足されますので、183 。優先評価物質 の5を加えますと188 ということで評価依頼予定物質数が増えてございます。 あくまで予定ということで出させていただいておりますので、そのときどきの 申請状況等に応じて物質(数)が変化する場合があるということでございます。 簡単でございますが、以上です。 ○井上(達)部会長 依頼の根拠が第11条第1項と第2項に分かれたり、ちょ っとややこしいところがありますが、品目については、ただいまの御説明のとお りでございます。 事務局に御質問とかございましたらお願いいたします。 今年度、半年余り過ぎておりますので、大変なことだと思います。またこちら の方に答申が戻ってまいりますので、私どもの方で今後どのように扱うのか御検 討いただくのが次のお話ですけれども、このものについてはいかがでしょうか。 よろしいですか。 ありがとうございます。 議題4は「その他」になります。よろしくお願いいたします。 ○事務局 「その他」ということで、今後の日程について御相談申し上げたいと ころがございますので、お話ししたいと思います。 先般から日程調整等をさせていただいたところですけれども、今、評価物質の お話があったとおり、今後たくさんの物質が安全委員会の方からADIの評価を なされて返ってくるということで、それに対応した形で我々の方も部会等の開催 を持っていくことになります。 どういった内容で審議いただくか、また資料をどうするかにつきましては、今 後また先生方に御相談申し上げたいところなんですが、まず先生方お忙しいので、 日程の確保ということで、原則毎月1回の開催をお願いしたいと考えてございま す。 もう既に添加物の部会等では、毎月第4木曜日と日を決めて部会を開催されて いるということもございますので、農・動部会についてもそれにならった形で設 定していきたいと思っております。事前にファックス等で先生方に御相談させて いただいたと思いますが、それを踏まえて決めたいと思っております。 ただ、年内につきましては、先生方にいろいろスケジュールが入っていること もございますので、そういった定期的な第何曜日ということではなくて、各月の 先生方の御都合が一番よろしい日ということで、10月11日水曜日、11月15日 水曜日、12月11日月曜日ということで決定させていただきたいと思います。 ○井上(達)部会長 一応調整なさっているわけですね。 ○事務局 はい。 都合が悪い先生も確かにいらっしゃると思うんですが、事前にまた資料等をお 送りしますので、その辺で御意見等をいただければと思います。 年内はこういった形で開催をさせていただきたいと思います。場所等につきま しては、また追って御連絡申し上げます。 ○井上(達)部会長 これは何という名前の会議になるんですか。 ○事務局 同じでございます。「農薬・動物用医薬品部会」です。 ○井上(達)部会長 やはり部会としてやるわけですね。 ○事務局 はい。 ○井上(達)部会長 年内については定例というわけにいかないので、皆さん御 都合そろっているかどうかわかりませんけれども、御案内を配していただいて、 ただいま挙がったような日取りでお進めいただく。 来年についてはいかがですか。 ○事務局 1月以降は、先生方の御意見を聴取したところ、毎月第2金曜日がO Kとお答えいただいています。 ですので、今カレンダーをお配りしておりますけれども、1月12日金曜日か らスタートするということで御提案申し上げたいと思います。 ○井上(達)部会長 よろしゅうございますか。来年については、第2金曜日に 統一させていただこうと思います。 年内については、もう一度日取りを10月から確認してください。 ○事務局 10月11日水曜日。11月15日水曜日。12月11日月曜日。 ○井上(達)部会長 こういうことだそうでございますけれども、これからいろ いろ御都合が出てくるかと存じますが、是非、御協力くださいますように私の方 からもお願い申し上げます。 そういうことで、部会を毎月1回開催して対応していこうという御提案です。 ○事務局 当然、議題がないと部会を開催してもあれなので、議題がなく部会の 開催がない場合につきましては、できるだけ早くそれが判明した次第に先生方に 御連絡申し上げるということで対応していきたいと思います。 ○井上(達)部会長 この点について、大変な重荷になってまいりますけれども、 御質問、あるいは御要望等ございませんでしょうか。 それでは、事務局の御提案を御了承いただいたということで、この線で進めて いただくことで了承いたしたいと思います。 あとは何かほかに案件はございますか。 ○事務局 先ほど吉池先生から御質問をいただいておりました資料番号の件で ございます。 御指摘の件は、資料番号7番に該当するものでございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。ほかにはございませんか。 ○事務局 今般、大野先生からオフロキサシンの食品安全委員会の評価書の書き 方につきまして、感受性が高いという点については修正が必要であろうという御 意見をいただいているところでございますが、こちらの評価書の中身につきまし ては、まず食品安全委員会の評価書をそのまま引用している部分でございまして、 当方の判断でその部分を変えるということが非常に困難であるという状況を御 勘案いただきまして、この御指摘は安全委員会の方に必ずお伝えをして、御理解 を求めるという形にせざるを得ないと考えているところでございますが、いかが でしょうか。 ○井上(達)部会長 前からスキーム上そうなって、伝達するというのにとどま るわけなんだけれども、大野先生、何か御意見ございますか。 ○大野委員 食品安全委員会の審議のとき、私も参加していたので苦しいところ なんですけれども、厚労省の評価文書のところの修正もそれにとらわれなくては いけないんですか。○事務局 基本的には、そのリスク評価機関とリスク管理機 関で分けて、評価機関でいただいたものを私どもがそれを踏まえて検討するとい うスタイルをとっておりますので、基本的にはその部分を尊重したいとは考えて おります。 ○井上(達)部会長 是非、食品安全委員会の方にそういうことを伝達していた だいて、円滑に修正等可能なものはどんどん進めていただくようにお願いいたし たいと思います。島田補佐の方からも、お口添えいただけましたらよろしくお願 いいたします。 ほかにはございませんか。 ○事務局 あともう一点でございます。 先ほど、米谷先生から御指摘をいただいております、ウエストナイルウイルス の当部会としての書きぶりについてという点でございますが、こちらにつきまし ては4番の残留基準の設定という中に追加をする形で対応したいと考えており ますけれども、それでよろしいでしょうか。 ○米谷委員 はい。 ○事務局 また、文案につきましては、部会長と御相談をさせていただくという ことでよろしゅうございますでしょうか。 ○井上(達)部会長 はい。 ○事務局 わかりました。では、そのようにさせていただきます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。それで終わりですか。 ○事務局 特にこれ以上の議題はございません。 ○井上(達)部会長 本日の議題はこれで全部終了ということでございます。 本日は、お忙しいところ御参集いただき、活発な御討議で結論に導いていただ きましたことにお礼を申し上げます。ありがとうございます。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係、残留農薬係 (03−5253−1111 内線2489、2487)