06/09/04 第2回生協制度見直し検討会議事録 第2回生協制度見直し検討会議事録 日  時:平成18年9月4日(月)15:00〜17:00 場  所:厚生労働省17階 専用第21会議室 出席委員:清成座長、大塚委員、小川委員、品川委員、土屋委員、山下委員、吉野委員 議  題:(1)生協等各種団体からのヒアリング      (2)質疑      (3)その他  ○清成座長  定刻になりましたので、ただいまから第2回生協制度見直し検討会を開催させていた だきます。委員の皆様におかれましては、御多忙中御出席いただきまして大変ありがと うございます。  初めに委員の出席状況及び厚生労働省内で人事異動があったと聞いておりますので、 新規に着任した方々の御紹介をお願いいたします。 ○千田課長補佐  委員の出欠状況でございますけれども、本日は委員全員の方から御出席との連絡を受 けております。現時点で小川委員、吉野委員がおくれられているようですけれども、順 次お見えになることと思います。  続きまして、前回の検討会以降に厚生労働省内で人事異動がございましたので、新た に着任した職員を紹介させていただきます。  審議官の御園慎一郎でございます。なお御園は他の公務の都合により本日は欠席させ ていただいております。  続きまして、社会・援護局総務課長の矢ア剛でございます。  続きまして、地域福祉課長の藤崎誠一でございます。  以上でございます。 ○清成座長  それでは議事に入りますが、関係者からのヒアリングを行うことになっておりまして、 8名の方に参考人として御出席いただいております。初めに参考人の皆様の御紹介を事 務局からお願いいたします。 ○千田課長補佐  前回の検討会において委員の皆様に御了解いただきましたとおり、事務局で清成座長 と御相談しまして、生活協同組合から5組合をお呼びいたしました。なお、選定に当た っては地域、職域の区分、購買事業、共済事業、利用事業の取り組みの状況、組合の規 模なども考慮して決定したところでございます。また、生活協同組合以外にも関連する 業界3団体の方をお呼びしております。順番に御紹介させていただきます。  生活協同組合さいたまコープ副理事長の渡辺光代様でございます。  生活協同組合市民組合やまなし理事長の大塩祐治様でございます。  福井県民生活協同組合理事長の藤川武夫様でございます。  トヨタ生活協同組合理事長の服部正雄様でございます。  全国労働者共済生活協同組合連合会専務理事の小野岡正様でございます。  日本商工会議所常務理事の篠原徹様でございます。  社団法人生命保険協会副会長の西岡忠夫様でございます。  社団法人日本損害保険協会常務理事の吉田浩二様でございます。  なお、各団体の概要についてはお手元の資料2にまとめてありますので、適宜御参照 ください。よろしくお願いいたします。 ○清成座長  それではヒアリングに入りたいと思います。初めに各参考人の方からお一方10分程度 で御発言いただきまして、8名の方の御発言がすべて終了した後まとめて委員からの質 疑を行いたいと思っております。  それでは生活協同組合さいたまコープ副理事長の渡辺光代様からお願いいたします。 ○渡辺参考人  私は組合員の立場でさいたまコープ副理事長を務めております渡辺光代です。よろし くお願いいたします。  初めにさいたまコープの概況を報告させていただきます。2006年度末の状況ですが、 組合員は70万4000人で、埼玉県内の世帯の25%が組合員になっています。事業高は1424 億円で、主な事業の内訳は、配達事業が600億円、店舗事業が437億円、共済事業が24 億円です。店舗や配達の事業はイメージしていただけると思いますので、最近の特徴的 な事業としてステーション購入という事業を紹介したいと思います。  これは、クリーニング店や酒屋さんなど、地域の商店の協力があって、生協の荷物の 取り次ぎを担っていただき、組合員がその店に商品を受け取りに行く形で進めておりま す。県内約1500カ所程度に広がっております。商品を受け取る組合員とのコミュニケー ションの中で商店を利用したり、人の出入りでにぎわいも生まれるなど、商店の皆様に も喜んでいただいております。  理事会の定数は31人で、そのうち女性の組合員理事が16人です。組合員理事は組合 員の視点で経営のチェックや生協への運営参加、地域組合員のさまざまな活動の場面で のリーダーの役割を担っています。そのほかに有識者理事9人と常勤理事で構成してお ります。  地域の組合員活動も広がってきております。高齢者や子育てなどへの暮らしの助け合 い活動、環境負荷の軽減、食の安全、消費者被害の防止につながる啓発活動など、各種 講習会や産地見学などに年間約10万人の組合員が参加しています。  地域貢献としての一つの事例として、県内中部の北本市のことを紹介します。北本市 は世帯数約2万7000世帯で、さいたまコープの組合員が1万4000人ですので、52%の 世帯がさいたまコープに加入しております。配達事業のほかに、3階建てのスーパーマ ーケットタイプの店舗があり、そこには子育てルームやカルチャー教室が併設されてお ります。最近、複合型福祉事業所がつくられまして、生協の事業がかなり総合的に行わ れています。また、組合員のさまざまな活動もあり、助け合い活動等も行われています。 地域や行政とのつながりも広がり、さいたまコープの施設に市内の小学4年生全員の社 会科見学や、中学生の触媒体験も行われました。また、市の審議会への参加や、子育て 支援事業も北本市から委託されました。生協のさまざまな事業と組合員の活動、行政や 地域の団体がつながって住民の暮らしに貢献していく一つのモデルにしたいと考えてお ります。 さいたまコープ全体としても、例えば店舗のレジ袋使用時に環境募金をいただきまして、 年間1000万円程度を地域の環境保全の取り組みに活用しています。レジ袋の削減も年間 1125万枚に及びます。店舗から出る生ごみの再資源化率は約82%で、食品小売業界平均 の28%を上回っております。また、自然災害への義援金も組合員に呼びかけ、新潟県の 豪雨、中越地震などの際に1800万円、スマトラ沖地震では1600万円をお送りすること ができました。時間の関係で省略させていただきますが、機会がございましたら私ども の資料を御一読いただきますと幸いです。一定の規模を持つ生協として社会への貢献は さらに強めていく必要があると考え、ことしの総代会では社会貢献基金として3億円を 積み立てました。  生協制度の見直しに関する意見ですが、一つは員外利用の問題です。生協に加入され ていない消費者の皆さんが生協の商品を食べたり、使ったりして、次に加入を判断して いただくのは自然な手順だと思っています。特にお店は利用してからと考えるのが普通 だと思いますが、そうできないことに疑問を持っております。また、今後社会貢献の活 動を広げていくことに思いをめぐらしますと、員外利用規制がその抑制要因にならない かと心配しております。  2点目に県域の制限の問題です。特に都県境では県内の遠いお店より、生活圏として 成り立っている隣の県の近いお店を利用したいという気持ちがよく理解できます。その ことが法律によって制限されることに率直に疑問を持っております。  3点目はガバナンスに関する問題です。一例としまして、会社法や他の協同組合法で は明文化されているとも聞いております役員の責任に関する規程が、現在の生協法では なく、責任のあり方があいまいになっていると感じています。生協、特に購買生協では 非常勤の組合員理事が多いのですが、非常勤理事は常勤理事と比べて権限や報酬の違い があり、役員責任の中でも一定の免除ができる仕組みは必要ではないかと考えておりま す。  生協法は時代の大きな変化に取り残されてきているというのが実感で、生協制度の見 直しはぜひ必要ではないかと考えております。  最後に、今回の見直しの中で、共済事業と購買事業等との兼業が規制または禁止され るのではないかという危惧を持っています。私は、生協には購買事業だけではなく、共 済事業や福祉の事業など、暮らし全般の安全・安心にかかわってほしいと考えています。 兼業禁止は、生協が組合員の暮らしを総合的に守ってほしいと考える多くの組合員の願 いと方向が違うのではないかと思っております。どうぞ御検討をよろしくお願いいたし ます。 ○清成座長  どうもありがとうございました。それでは続きまして生活協同組合市民生協やまなし 理事長の大塩様、よろしくお願いいたします。 ○大塩参考人  市民生協やまなし理事長の大塩といいます。本日は参考人という形で意見を陳述した いと思います。なお、限られた時間ですので、資料等は少しはしょる形になりますが、 後ほど見ていただければと思います。  私どもはことし34年目を迎えている生協でございます。私自身はことし6月から理事 長になった新米の理事長でございますが、現在組合員は約4万8000人。出資金が14億 円余り。商品供給高は65.6億ということでございます。山梨県内の人口は88万人、世 帯数が32万という県でございますが、県内全域をエリアとして活動してまいりました。 創立時より組合員の出資、利用、運営参加、三位一体の活動と言われておりますが、そ のことを大事にして、組合財産を守り、健全経営を図ることを重視してきております。 役員のうち80%以上が組合員の非常勤理事ということと、複数の学識経験者で占められ ております。いずれにしても、組合員が主人公ということで、県内全域で組合員による 地域の運営委員会、これは町村の区域であったり、中学校区の区域であったりというこ とで、こういったものを毎月開催し、理事会とのやりとり、組合員とのやりとりを通し て毎月そういった運営を行っております。一方で、弁護士、税理士、監査法人、公認会 計士と外部監査等を締結し、コンプライアンスの遵守はもちろん、適切な財務管理を推 進するよう努力しているところでございます。  社会的な不祥事といいますか、食の安全を含め、不祥事を起さないようにガバナンス についてはとりわけ重視しています。ガバナンスや社会的責任をしっかり果たすという ことはずっと取り組んでまいりましたが、これを法制化することは社会的責任を一人一 人が認識し、健全経営も含めて今後自覚して進めていく上で非常に重要な問題だと考え ています。  なお、組合員アンケート等を毎年行ないますが、健全経営についての組合員意識は大 変敏感です。常にトップ回答の食の安全に次いで、健全経営をちゃんとやりなさいとい う回答がいつも上位3番目くらいに入ります。長期不況という社会的背景もあったと思 いますが、ガバナンスが法制化されて、一人一人が社会的責任を自覚することで、さら に健全経営を強化して組合員の期待に応えていきたいと考えています。  資料にある常任理事についてですが、組合員理事から1期2年以上のベテランの方を 中心に理事会で互選しています。常任理事は非常勤ですが、組合員の声を理事会に反映 させるという立場で、理事会議案の事前検討の場に参加しています。また、最近は対外 的な委員等に女性の方をという逆指名が多くなっていますが、そのような社会的要請に 応える形で常任理事としての役割りを発揮いただいています。  主な組織運営として、理事会・理事懇談会・監事会などの機関会議は毎月1回5時間 程度かけて開催しています。総代会決定に沿って機関会議を開催しているわけですが、 その推進計画の検討、理事会議決などを地域の運営委員会など組合員とやり取りしなが ら合意形成を大切にしています。  その他、第三者等の関与による組織運営は、先ほど触れたコンプライアンスなどのほ か、環境監査や情報公開審議会などがあります。また、食の安全に関連してリスクアナ リシスの手法を導入しています。事業を通して組合員のくらしに貢献する生協としては、 ベースになる商品に対して、組合員とのリスクコミュニケーションは重要と考え、毎年 学識経験者や行政、生産者等を交えて開催しています。 役員報酬やその制度についても、県内の状況その他を勘案して、学識経験者や組合員理 事などによる検討委員会を開催し、理事会に答申をいただいています。  また、現在求められている最小限ではありますが、公認会計士、弁護士、税理士、産 業医などと委託契約を結び、それぞれの分野で社会的に客観的で公正な組織運営ができ るようにしています。  地域諸団体との様々な共同の取り組みがございます。特に、食の安全・安心、くらし の安全・安心については、消費者の権利を明確にした法整備が行われました。法整備に 沿った形で運用されるよう、県内の消費者団体等と共同して学習会を行ない、県行政と もパブリックコメントや意見交換会などでやり取りしています。こうしたことを通して、 県内の多くの消費者に法律や県条例などの内容をわかりやすくお知らせしていくという 役割りも担っています。  商工業者と地域との主な連携については、加盟している甲府商工会議所、昭和町商工 会などと資料にありますような取り組みを行なっています。  余り時間がありませんので、生協制度に関することが資料の3ページに、県域制限の 問題についてあります。県域制限問題については、私どもの生協が発展が困難だった時 代のこともありますし、生活経済圏が広がっている、山梨都民と呼ばれるような状態も あることについて、しっかり見直していただきたいと思います。  規模の問題の関係では、組合員、業者、近隣の生協、事業連合等と努力してきており ますが、いずれにしても、今後一つの県ではできない問題についてさまざま進めていき たいと思っております。こういった連帯の中で効率化の問題と、そのことで組合員に貢 献できるように進めていきたいと思っておりますし、店舗事業にもこたえ切れていない 問題、今後福祉事業、信用事業の見直しということも聞いておりますが、到底一県内で はできない問題について、大きな連帯をしていくべきだと考えております。  員外利用の関係ですけれども、お店ではこの問題がいろいろな形で生協の閉鎖性につ ながるという問題がありまして、地域的にも生協には行かないよみたいなことがよくあ るわけですが、生協の都合で言うことと消費者が実感して生協に入るかどうかを決める という入り口のところでそういう問題がなかなかフランクにやりとりできないという問 題については、ぜひ見直していただきたいと考えております。  学校給食の問題だとか、小中学校、保育園等から生協の商品をおやつみたいなものと して欲しいということがあっても、なかなかそういうことにこたえていけないというの も現状の問題として見直していく必要があるのではないかと思っております。  今回の生協制度見直しが、より多くの組合員のくらしに貢献できる内容となり、全国 の生協の発展につながることを強く期待し、意見とします。  大変雑駁になりましたが、これで終わりたいと思います。 ○清成座長  どうもありがとうございました。続きまして福井県民生活協同組合理事長の藤川様、 よろしくお願いいたします。 ○藤川参考人  福井県民生協の理事長をしております藤川でございます。きょうはこのような場をい ただいたこと、まずもって厚く御礼申し上げます。事前に提出しました概況報告書をも とに報告させていただきたいと思います。時間の関係もありますので、当生協の概要に ついて、当生協の社会的役割、当生協からの要望という点についてお話しさせていただ きたいと思います。  1ページをごらんいただきたいと思います。私どもは創立28年の生協でございまし て、県下の組合員を対象に、食の分野、福祉の分野、暮らしの助け合いの分野、この3 分野にお役立ちする5つの事業を展開しております。特徴を6点挙げさせていただきま したが、とりわけ上記3点が私どもの事業に密接に関連している事項でございます。  05年度の活動概況については特徴的な点だけ御報告させていただきたいと思います。 まず組織概要でございますが、組合員が11万5500世帯ということで、県民加入率が42.8 %ございます。これは全国6位ということで、かなり県民の生協参加率が高い県だと御 理解いただければと思います。  2ページに行きます。事業概要でございます。総事業高184億弱、生協の規模でいい ますと中の小という規模でございます。事業内容は、先ほど申し上げました3つの分野 を5事業で展開しております。まず食の安心・安全の供給事業。これを無店舗事業と店 舗事業という形で、県内の農水産生産者と連携して展開しております。2つ目には、食 費管理の活動から始まり、家計簿活動、今日では生活設計活動ということまで含めて、 暮らしの全体のリスク管理を目的とした助け合い事業として共済事業を展開しておりま す。3つ目には、地域社会の少子高齢化が進む中、組合員も2分極化してきておりまし て、この皆様方の御要望にこたえるということで、高齢者福祉介護事業、全国に先駆け た子育て支援事業を展開しております。  事業高構成についてはごらんいただきたいと思います。運営概要については、私ども の特徴は社会活動レポートの一番後ろに載せておりますが、特徴は、地域の皆様方から 有識者理事という形で大変多くの御参加をいただいている、42%弱の御参加をいただい ておりまして、さまざまな分野から御示唆を賜っております。  経営概要のところでございますが、組合員の満足と組合資本価値の最大化を目指すと いう経営の考え方をもとに進めてまいりまして、数字については2ページを見ていただ ければと思います。  3ページに行っていただきたいと思いますが、ここは一言だけ触れさせていただきた いのは、私どもは生活協同組合でございますので、組合員の暮らしに貢献するというの が基本でございます。しかしながら、昨今の県内の小売流通情勢というのは大変厳しい 情勢がございまして、県外の大手流通企業の参入が大変厳しい状況でございます。そう いう中で小さいながら頑張っているということを御理解いただければと思います。  4ページに行っていただきたいと思いますが、私どもの社会的貢献ということでござ います。私どもは組合員の満足と地域社会のためにということを理念として活動してき ております。当生協の特徴としては、他県に見られないほど各市、自治体、地域の生産 者の皆様方との連携が非常にスムーズにいっているケースと御理解いただければと思い ます。具体的には5つ挙げていますので、簡潔に触れたいと思います。  まず、長寿県福井の応援団ということで、知事もおっしゃっていますが、長寿のもと は食にありということで、地産地消、福井型食生活、食育、この3つを県、地域生産者、 学校の皆様方と一緒に展開する。  2つ目には、働く女性、子育てファミリーの応援ということで、これも県が展開して おります、すみずみ子育てサポート事業を初め、県下5市から御支援をいただいて、子 育て支援事業を5カ所で展開しております。  3つ目、消費者の自立支援ということでございます。私どもの組合員は県下の4割を 占めております。この組合員と私どもがコールセンターを通じて直結されております。 この経営資源を使いまして、昨今頻発しております消費者被害について、消費者被害相 談ダイヤル活動を展開しております。これは利用者からも県からも非常に高い御評価を いただいております。また、私どもが設立した研究所において、福井県の安全環境部か ら3つの委託事業を受けております。消費者自立及びリーダー育成支援講座、消費者生 活講師養成講座、ごみを出さない地域づくり推進事業ということで、1番目は2年連続 ということで、2番目と3番目はことし新たに加わったものでございまして、県からの 信任もいただいていると理解しております。  4つ目、安心・安全の地域社会づくり支援ということで、私どもの配達トラックの台 数が県下最大でございまして、日常、県下を走り回っている台数が地域の子供さんを、 最近非常に危険な状況にあるという中で、学校の皆さん、警察の皆さん、自治体の皆さ ん、PTAの皆さんと一緒になって、福井のリュウピーネットというものに参加させて いただいて、一緒に地域の子供の安心・安全づくりのサポートをさせていただいており ます。  5つ目、持続可能な地域社会づくり支援ということでは、10年前にナホトカ号の重油 災害事故がございました。これをきっかけに県との間で災害物資協定を結び、以来10 年間自然災害のボランティア活動を行っております。また、県が推奨しております福井 県環境ISOネットワークの発起人として御推薦を受けまして、企業の皆様方と一緒に 現在活動しているというところでございます。  地域からの御評価ということ05年度の状況を書いておりますが、関西エコ・オフィス 大賞、福井県経営品質賞、ことし3月には内閣府の猪口大臣が私どもの子育て支援セン ターを御視察くださいました。いずれも福井県からの御推薦ということでいただきまし た。  最後になりますが、当生協から2つのお願いを申し上げたいと思います。生活協同組 合の地域貢献並びに社会貢献はこれからますます大きくなると思います。この活動をぜ ひとも法的にしっかりと明確にしていただくことをお願いしたいと思っております。ま た、日常活動のおきましては、戦後60年たちまして、福井県の消費者の暮らし、生活意 識、生活行動は大きく変化してきております。こういう日常感覚に沿った法的措置をぜ ひとも、員外利用並びに県域制限について御示唆を賜りますことをお願い申し上げまし て、私の報告にかえさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○清成座長  どうもありがとうございました。それでは続きましてトヨタ生協の服部様、お願いい たします。 ○服部参考人  トヨタ生活協同組合理事長の服部でございます。私は日本生活協同組合連合会の全国 職域協議会委員長も務めさせていただいております。このたびは職域生協の現状並びに 課題・要望について意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありが とうございます。それでは資料4のレジュメに沿って御説明させていただきます。  まず全国の職域生協とトヨタ生協の現状についてでございますが、職域生協の現状は、 厚生労働省様の実態調査平成17年度では497生協となっておりますが、この中から共済 事業中心の生協や学校生協を除くと約210生協になります。その中で日生協に加盟して いるのは78生協でございます。78生協の事業高は約1550億円、組合員数146万人とな っており、210生協の全体事業高の95%、組合員数の73%を占めております。  職域生協の特徴としましては、戦後の労働運動の高揚期に設立された生協が多く、歴 史も長く、足尾銅山生協三養会などは本年が創立100周年にもなっております。また、 設立当初から職員の福利厚生事業や労働福祉事業の一貫として母体組織の事業の一翼を 担ってまいりました。戦後の物資不足の時代には職場や周辺住民を対象に物品提供等を 行うなど、母体組織とともに地域貢献も果たしてまいりました。  日生協に加盟している78生協は、その属性によって職場職域、居住地職域、広域、都 道府県庁、市役所の5つに区分しております。この78生協には、民間でいいますとIH I石川島生協さんとか、あるいは富士フイルム生協さん、官公庁では各都道府県庁生協 さん、並びに市役所生協さんがございます。近年、職域生協の課題としては、母体組織 の変化に伴う解散が見られることが懸念材料でございます。  次にトヨタ生協の状況について簡単に御説明します。時間の関係がございますので、 後ほど参考資料などを御参照いただければと思います。私どもトヨタ生協は戦後間もな い1945年12月にトヨタ自動車の職場代表438名の有志によりまして、トヨタ自動車株 式会社挙母工場互助会としてスタートしました。おかげさまで昨年創立60周年を無事迎 えることができました。設立2年後の1947年には家庭婦人たちの主宰で、よりよい消費 生活実現のため、地域で社宅ごとに131名の代表によるトヨタ家庭会が創設されました。 私どもでは地域組合員で構成された組織が生協法施行前からありました。生協法の制定 に伴い、1949年に愛知県知事の認可を受け、トヨタ生活協同組合が発足しました。翌50 年には生協勤務のトヨタ社員が生協に移籍して母体企業から分離独立しました。本年3 月末で組合員数約26万人弱、事業高659億円という規模に発展してまいりました。  次に、現在の生協法の制度上の課題について、要望も踏まえて御説明申し上げたいと 思います。まず1点目の員外利用関係についてでございますが、職域生協が母体組織の 福利厚生施策を担っているということは先ほど述べさせていただきましたが、その他の 特性として、閉鎖的環境下での組合員へのサービス提供というものがございます。この ことにより母体企業の福利厚生施策として組合員本人への便宜供与を行っていますが、 母体企業に精算をいただく必要があるケースがございます。私どもの例で申し上げます と、職場の作業服の補助引換券や、QC活動に伴う菓子飲料の引換券、あるいは交通安 全活動に伴う菓子飲料の引換券を企業が準備・配付しまして、組合員が利用したものを 企業に精算していただく必要のあるケースがございます。また、以前は企業からの御要 請で、器具備品や事務用品の納品も要請がありましたが、員外利用との関係で私どもの 場合は子会社を設立し、業務を分離して対応させていただくことになりました。たまた ま私どもでは運よく、ある程度の事業規模がございましたので、子会社の設立で、大変 非効率ではありましたが対応できたのですが、他の職域生協では規模も小さくて対応に 苦慮している状況に現在もあります。  2番目の労働組合への対応も同様でございまして、労働組合の職場懇談会等の弁当や 飲み物、労組の記念イベント、親睦イベントの商品等、組合員本人への便宜供与の精算 を労働組合が行う必要があるケースがございます。このように、組合員本人への直接的 な便宜供与については、精算形態が母体企業あるいは労働組合などでもよいように緩和 措置をお願いしたいと考えております。  3番目の、母体企業の雇用形態変化への対応ということでございますが、昨今どこの 企業も期間従業員、派遣労働者、社外応援者、グローバル化に伴う海外研修生等の非組 合員の増加が顕著でございます。企業では入出門管理などセキュリティ管理を厳格に行 っておりますことは御承知のとおりでございますが、さらに、各事業所、各工場は広大 な敷地を有しておりますし、周辺には商業施設もないことが多く、休憩の短時間内に工 場を出入りすることは大変困難な状況であります。私どもでは期間従業員や派遣労働者 などの組合員加入活動は行ってはおりますが、どうしても短期間勤務ということで加入 していただく方がほとんどいないのが現状でございます。しかしながら、職域特有の閉 鎖的な環境下で、御来客も含め、食堂・売店の利用を制限することには大きな問題があ るため、職域内での非組合員利用について緩和措置をお願いしたいと考えております。  員外利用4番目のグローバル化への対応でございますが、私どものケースでは1000 人を超える海外の駐在員や、工場を海外で立ち上げるときに長期出張者が数多く海外に 赴任して活躍しております。欧米の一部の恵まれた地域で日本食材が手に入り、日本食 を簡単に食べることができる環境にある人はまだしも、そうでない海外の組合員は体調 を壊す恐れすらありまして、私どもへ支援の依頼がございます。海外事業所の食堂で日 本食提供の指導を昨年4月から行ってまいりました。具体的にはチェコ、ポーランド、 中国(広州)ですが、組合員の皆様には涙を流されるほど喜ばれ、他の海外事業所から もぜひうちでもやってほしいという声も出ております。生協に求められる組合員サービ スもグローバル化してきております。これらも海外に赴任した組合員本人への便宜供与 ではありますが、精算自体が企業等にならざるを得ないという状況にあります。このよ うな状況は、私どものほか海外に事業所を持つ企業の職域生協にも共通した課題でござ います。  2点目の区域関連につきまして2項目述べさせていただきます。まず1番目は、現行 の生協法では、区分は職域あるいは地域の二者択一しかできないことになっております。 生協法施行前に設立された幾つかの職域生協の中には、地域での事業を行っており、私 どものケースでは発足当初の登記より職域と地域を併記しております。近年では中心市 街地活性化に向けた取り組みも地元商業者とともに私どもは行っている状況でありま す。企業の病院が実態として地域開放されているように、生協も職域だけでなく、職域 ・地域混合型も選択できるようになってもよいのではないかと考えております。  2番目の、母体企業の都道府県にまたがる事業展開と職域生協の対応について申し上 げます。近年、母体企業が隣県や他県へ工場などを立地することが多くなってきており ます。それに伴い、多くの組合員が異動・転居となりますが、組合員からは工場内での 食堂・売店だけでなく、本社地区と変わらない寮・社宅周辺での小型店舗サービスの要 望もあります。地理的に近い隣県の場合は特に強く要望がございます。しかしながら、 地域での購買事業を行いたくても現行法では難しい状況にあります。いずれにしても、 職域・地域の区分と、地域が県域を越えられないという現行法について緩和措置をいた だければと考えております。  最後の3点目の組合員資格の問題について述べさせていただきます。生協法では「職 域による組合員にあっては一定の職域内に勤務する者」となっているため、原則として 退職後は加入できないことになっております。2007年問題と言われるように、今後ます ます定年退職者がふえてまいります。共済事業を補完する事業として行われている生命 や損害のグループ保険では、組合員が定年後に新たな保険に入り直すと高い比率の掛金 になることから、退職後も継続したいとの希望が多くあります。この組合員資格の問題 についても今後の社会現象を十分反映した緩和措置をお願いしたいと考えております。  以上、生協法制度上の課題について、職域生協の側面から述べさせていただきました が、生協法制定当時と現在の社会情勢が大きく変化してきており、その間に大きな法改 正がないままであり、現行法に基づいた事業の制約が幾つか見られる状況にあります。 私ども事業運営をしている当事者としましては、ぜひともこの機に実態を包含した法体 系整備をしていただき、さらには生協が自主・自律で運営できる、いわば定款自治の考 え方を法の改正に反映していただければ何よりでございます。  本日は貴重な機会が与えていただきましたことに重ねて御礼申し上げ、終わりとさせ ていただきます。ありがとうございました。 ○清成座長  どうもありがとうございました。続きまして全国労働者共済生活協同組合連合会専務 理事の小野岡様、お願いいたします。 ○小野岡参考人  略称全労済の専務理事をしております小野岡と申します。よろしくお願い申し上げま す。全労済は共済生協の全国連合会でございます。共済生協全体の現状と課題、今回の 生協制度見直し検討会への要望を申し上げさせていただきたいと思います。資料は3分 冊になっております。本冊、解説編、参考資料でございますが、時間の関係もございま すので、主に本冊に沿って説明させていただきたいと思います。  1ページ、2ページは共済生協の現状を記載しております。生協の共済事業は今日国 民生活に広く浸透しております。国民の皆さんに生活上の安心・安全を提供する社会的 役割を果たしてきていると思っております。共済生協は組合員の暮らしを守り、生活を 改善・向上させるために組合員自身がつくってきた事業体でございます。組合員の相互 扶助を目的とするものでありまして、事業体自身の営利を目的とする組織ではございま せん。組合員は事業体の共同所有者であり、事業の利用者であり、事業体の運営に積極 的に参加する運営者であるという三位一体のかかわりをしていただいているところでご ざいます。  したがって、組合員の自治・自律を基本として運営しているという実態がございます。 確かに生協法制定当時から見ますと共済事業の規模が大きくなってきておりますが、組 合員数も大きくふえてきておりますが、組合員との不断のコミュニケーション活動を通 じて、助け合い、共助を共同の力で実現することという理念を組合員が共有していく。 さらに組合員の声を事業運営に反映させていくということを共済生協として強く進めて いるところでございます。また、こういった活動を通じて助け合いや共助というものに 対する社会的共感を生み出していくことも私どもも使命であると考えておりまして、日 常の事業に取り組んでいるところでございます。そういった観点から、2ページに共済 生協の運営の基本的考え方について記載させていただいておりますので、後ほど御参照 賜れればと思います。  3ページでございますが、共済生協の現状ということで、非常に多様な実態になって いるということでございます。購買事業、利用事業、共済事業、多様な事業が実施され ている。共済事業についても専業で行っているところ、購買事業とあわせて行っている ところなど、多様な実態がある状況になっております。事業の規模としましても、10億 円未満の組合も多数存在しておりますが、資産規模で1000億円を超える大規模組合も存 在している実態がございます。また、実施している事業の種類も多様な実態になってい るという現状でございまして、なかなか共済生協を一つの基準でくくるということが難 しい実態になっているという点も御理解を賜りたいと考えているところでございます。  また、助け合いや共助ということを事業を通じて実現していくという立場から、社会 貢献という課題についても力を注いでいるところでございます。全労済が取り組んでい るさまざまな社会貢献の取り組み、地域への貢献の取り組みについて例を記載させてい ただいております。介護サービス事業、ホームヘルパーの育成活動、環境活動にかかわ る助成活動、その他さまざまな地域段階、県段階での取り組みを行っているところでご ざいまして、こういった活動とあわせて共済事業を推進しているというのが実態でござ います。  4ページをお開きいただきたいと思いますが、共済生協の課題を簡単に記載させてい ただいております。生協法制定当時から大きく状況が変化してきている中で、引き続き 組合員に対する使命を果たしていくためには以下のような点について生協法を積極的に 改正していただければと思っているところでございます。  その要望の具体的な内容でございますが、5ページに記載の4項目に集約させていた だいております。1点目は、協同組合のもともとの原則、新しいICAの原則というも のがございます。そういった原則に基づく組合員自治の運営ということが協同組合の運 営の基本になっておりまして、協同組合の特性を生かした運営を今後とも維持・発展し ていけるような法改正をお願いしたいということが第1点でございます。  第2点は、情報開示や契約者保護、経営の健全性確保について、共済生協としてもし かるべく取り組みをしていきたいと考えておりまして、法律上も規定の整備を図ってい く必要があると考えているところでございます。  3つ目はガバナンスの問題でありまして、今日の生協にふさわしいガバナンス体制を 規程化していく必要があると考えております。  4つ目は、組合員の利便性やニーズが大きく変化している中で、そういったことに対 応できる事業運営ができるような規定上の整備を行っていただきたい。  以上の4つに考え方をまとめさせていただいたところでございます。以上申し上げた 4つの事項のうち、新しいICA原則の中身については解説編の1ページに詳細を記載 してございますので、ぜひ後ほど御参照賜れればと思っているところでございます。  その他の3項目について若干触れさせていただきます。6ページに具体的な項目を記 載させていただいております。さらに、解説編の2ページ以降に詳細な解説を記載して おりますので、そちらは後ほど御参照いただきたいと思います。  まず契約者保護であります。共済生協においても契約内容に関する重要事項の説明で あるとか、共済契約に関するルールの整備であるとか、あるいはクーリングオフ制度の 新設などを法律に明記する必要があると考えています。共済生協の自主的な取り組みと して既に、日本共済協会から契約者保護の自主的な取り組みを公表させていただいてお ります。その内容が参考資料にございますので、これも後ほど御参照いただければと思 います。既に取り組みを始めているということでございます。  さらにこの自主的な取り組みを一歩進めて、生協法の改正に先行して各種協同組合法 でも整備が図られておりますので、そういった他の協同組合法における規程の整備状況 を参考にしながら、契約者保護の制度を充実させていく必要があると考えているところ でございます。  次にガバナンスの関係でございます。共済生協は事業規模も大きくなり、事業内容も 複雑化するという実態の中、経営の専門性を確保する一方、経営に対するチェック機能 を高め、組合員による民主的な運営を確保していくために、今日の生協にふさわしいガ バナンスに改善していく必要があると考えております。具体的には、理事会。代表理事 制の導入、員外監事の配置、外部監査の導入などについて法改正をしていただければと 考えているところでございます。  さらに3つ目の関係でありますけれども、生協法制定当時から国民生活の実態が大き く変化している状況の中で、共済生協に対する組合員の多様なニーズが生まれているわ けでございます。共済生協が組合員に対する使命を果たしていくためには、組合員の利 便性やニーズの変化にこたえられるような事業運営を実現していく必要があります。そ のために法律上の規定の整備が必要と考えております。具体的には共済代理店に関する 規定の整備、共済金最高限度の撤廃、事業認可手続の簡素化、資産運用規制の撤廃、再 共済・再保険の活用による共済引き受けリスクの分散、県域制限の緩和や合理的な理由 に基づく員外利用規制の緩和などの検討をお願いしたいと考えています。  舌足らずになるといけませんので若干補強させていただきたいと思いますが、共済代 理店に関する規程の整備に関してでございますが、共済代理店の活用によって組合員の 利便性を高めていくことが組合員からも強く求められている状況がございます。現行法 でも代理店の設置を否定しているわけではございませんけれども、むしろはっきりとそ のことに関して法律に書き込み、その扱いを明確に規定化した方がよいのではないかと 考えているところでございます。  次の共済金の最高限度の撤廃とここでは記載しておりますけれども、正確に申し上げ ますと、限度額の設定を完全に共済生協の自由意思にゆだねるとか、限度額を青天井に するということを求めているわけではございません。保障のあり方が組合員のニーズに 応じて不断に変化していくものですから、限度額を法定化してがちがちに規制するとい うことにはなじまないのではないかということでございまして、むしろ定款や事業規約 の認可の際にチェックできるようにしておけば十分ではないかということを申し上げて いるところでございます。  県域制限の緩和の問題でございますが、生活圏の拡大とか交通網の発達という中で、 県境に居住する方の扱いをどうするかとか、員外利用規制の緩和の問題に関しては、例 えば公共的な福祉活動や文化活動の扱いをどうするかなどが課題ではないかと考えてお ります。共済生協についてはもともと員外利用というものはございませんし、今後も組 合員による利用が基本になるものと考えておりますが、その上で合理的な理由が考えら れるケースについては規制のあり方について御検討いただきたいという趣旨で御理解賜 れればと思います。  そのほか、共済事業規約認可手続の簡素化や、再共済・再保険機能の拡大、職域生協 における組合員資格の退職者への拡大等の要望がございますので、ぜひよろしく御検討 いただきたいと思います。  若干超過して申しわけございませんが、大変舌足らずの御説明になって申しわけござ いません。後ほど御質問があればお答えさせていただきたいと考えております。ありが とうございました。 ○清成座長  どうもありがとうございました。続きまして日本商工会議所常務理事の篠原さん、よ ろしくお願いいたします。 ○篠原参考人  日本商工会議所の篠原でございます。特に資料は用意してございませんけれども、私 どもの組織の概要を御報告させていただきます。  全国に522の商工会議所が傘下会員としてございます。522の商工会議所に所属して おります会員総数は現在約145万でございます。その94%は中小企業でございます。ま た、その8割は小規模事業者でございます。そういう意味では地域の総合経済団体の上 部団体というのが私どもの位置づけでございます。  基本的な考え方でございますけれども、生協さんにつきましては、特に高齢化社会、 あるいは地域においてはコミュニティが崩壊しつつあるという状況の中で、現在生協さ んが果たしている役割というのはますます重要性が高まるという認識をしております。 そういう意味では生協の活動はポジティブにとらえております。  また、昭和23年にできた法律であり、古い法体系であるということで、時代あるいは 実態に即して見直すべきところは見直すということも大賛成でございます。ただ、基本 的に御留意いただきたいのは、生協さんは組合員の相互扶助組織であるという基本的考 え方は今後も変わらないという点でございます。生協の閉鎖性という御議論がございま したけれども、そもそも生協というのは組合員の組織ということで、閉鎖的な性格を持 つのはやむを得ない。それが生協のDNAであるということでございます。  大きな論点3点について結論から先に申し上げたいと思います。組織運営に関する制 度のあり方、あるいは共済事業の見直しでございますけれども、これは時代に即してガ バナンスの確立やコンプライアンス、経営責任、情報開示等々、昨今民間組織でも公的 組織でもすべてそういう改革が行われているところでございます。非営利法人である生 協においてもこういった面の強化は必要であるということでございます。共済事業にお いても契約者保護のためにしっかりした体制を確立するとか、責任を明確化する、諸規 程の整備が必要であるということは当然であろうと思います。こういった点については 今後生協が社会的責任を果たしていくためにどういうふうにやっていったらいいのか、 専門的に御議論いただければいいのではないかと思います。  2番目の県域制限の撤廃についても、結論からいいますと撤廃する方向で検討して差 し支えないと考えております。車社会が進展する中で、車で10分も走れば県域を越える というのは日本全国至るところにその実態がございますし、広域で生活圏あるいは生協 さんの活動範囲をとらえて問題ないのではないかと思います。また、それが組合員サー ビスの向上にもポジティブに働くという評価をしております。  問題は員外利用規制の緩和の御議論だと思います。私どもの基本的考え方は、員外利 用規制の見直しをすることについてはやぶさかでないと考えますけれども、それはあく までも組合員組織であるという基本的理念の中で、理念に反しない範囲内で地域の期待 にどうこたえられるのかという点を一つ一つ検証すべきであると考えます。1割とか2 割とか数量的な面で中身は問わないというような規制緩和については絶対反対でござい ます。災害時にサービスをするとか、いろんな地域貢献の仕方があると思いますけれど も、その場合に生協でなければできないことなのかどうか、他の民間事業者も同じサー ビスができる事業なのかどうかという点は、よく中身を分析していただいて、民間にで きることについてまで規制緩和することについては慎重であるべきだと考えます。いず れにしましても、員外利用規制についてはケース・バイ・ケース、中身によって御審議 いただくというのを基本にしていただきたいと思います。そういう意味では、緩和して いいケースについては法体系の中で個別具体的に限定列挙する、ポジティブリスト形式 で認めていくという形で御審議をお願いしたいと思います。  この2、3年来、日本商工会議所は、地域の再生を図る活動の中で商業と街づくり、 特に中小小売商業が大手流通資本といかに共存共栄していくかというテーマで議論させ ていただいております。我々が見る限り、生協さんはそれぞれの地域でこれまで共存共 栄という基本的考え方の中で商工会議所活動にも御参加いただいたり、地域経済社会に 広い範囲で貢献していくという姿勢を出していただいていることは非常に高く評価して おります。これからもそういう方向でお願いしたいと思います。ただ一つだけ、生協の 本旨は組合員のための組合員による組合員組織であるということ。したがって、組合員 以外にサービスを拡充する点については、生協でなければできないのかどうかという点 を十分検証いただきたいということでございます。  以上でございます。 ○清成座長  どうもありがとうございました。続きまして生命保険協会の西岡様、お願いいたしま す。 ○西岡参考人  生命保険協会の西岡でございます。今回生協制度見直し検討会の場で検討されること になっております生協の共済にはさまざまな規模のものが存在しております。とりわけ 大規模な共済については保険との違いがあいまい化しており、保険事業への影響も大き いため、当会としても問題意識の高いテーマでございます。早速資料に基づき、消費生 活協同組合の共済事業について当会の意見を御説明させていただきます。  1ページをごらんください。大規模な生協の共済事業については大手民間生保にも肩 を並べる契約件数を保有しております。また、加入者の属性も民間生保と同質化し、両 者の差異はなくなってきております。この点については次のページに主要な生協共済の 保有件数について大手生保と比較した資料を、また生協共済の加入者の属性について民 間生命保険会社と比較した資料を掲載しておりますので、後ほどごらんください。  これに加え、生協の提供する共済商品は保障内容や共済金額の点で民間生保が提供す るものと同様のものが数多く見受けられます。以上の生協共済の現状を踏まえますと、 消費者保護を図るための募集に関する法規制や、健全性開示に関する法規制等の導入が 必要と考えます。その結果、消費者保護がより一層図られるとすれば、共済市場のみな らず、生命保険市場にとってもその発展に資するものであり、歓迎したいと思います。  3ページをごらんください。保険業法はその第1条において、募集規制や健全性規制 により保険契約者等の保護を図ることを目的としております。生協共済において具体的 な法規制、監督をどうするかについては今後この場で御検討が進められると思いますが、 保険業法の個々の規制が生協共済にとって必要かどうかについて、消費者保護を図ると いう観点から分析を行い、御検討いただければと存じます。なお、保険業法には少額短 期保険業者の規定等、規模などに応じた規制という考え方もあります。昨今の行政は消 費者保護を一層重視しておりますが、消費者との接点ということで、募集規制は消費者 保護上重要な役割を果たしていると言えると思います。また、保険事業を取り巻く経済 環境の変化は厳しく、こうした変化に耐え得る健全性の確保が保険会社に求められてお りますし、会社の状況等に関する適切な情報開示を行い、消費者が必要な情報を得た上 で判断できる環境づくりが強く求められております。  ところで、法律上の規制のみならず、生命保険協会としても保険業法、監督指針等に 基づき、募集等に当たって遵守すべき行動規範や各種業務の参考とするための指針等を 策定し、御契約者等の保護が図られるように工夫しております。5ページには生命保険 協会の取り組みとして、特に募集にかかわるガイドラインを中心に掲載しております。  6ページに移ります。ここでは監督の実効性について御説明させていただきたいと思 います。この点は、消費者保護を図る上で重要な論点と考えております。保険会社はこ れまで概観してまいりましたような法規制に加え、実効的な監督を受けており、消費者 保護に向けて管理体制のさらなる整備を強く求められております。一方、金融庁は保険 監督の実効性を確保すべく、十分な監督体制を確保するとともに、監督指針、検査マニ ュアル等をパブリックコメントに付した上で策定し、監督実務の基本的考え方を整理し、 透明な金融行政の確立に取り組んでおられます。このような監督体制の整備は募集規制 や健全性規制等を実効性のあるものとし、消費者保護をしっかり図っていく上で重要と 考えます。今後の検討の中でぜひ御議論いただきたいと考えております。  7ページをごらんください。今回御検討いただいた結果、法整備、実効的な監督体制 の確保により消費者保護が図られるとすれば、それは生命保険、共済市場の健全な発展 に資すると考えております。ただし、御検討いただく過程では、生協とは何かというこ とを強く意識していただくようお願いしたいと思います。消費生活協同組合法の第2条 では、組合の要件として、「一定の地域または職域による人と人との結合であること」 と規定されております。まさに消費生活協同組合が備えるべき固有の性格を表わすもの であり、また、生協共済と保険、もっといえば、生協と農協等の他の協同組合との差異 にもなっております。日本の協同組合はそれぞれ目的規定及び組合の要件、組合員の資 格、事業の差異等を基準として別々の法律によって制定されております。これは協同組 合のあり方について、協同組合の種類ごとに異なる取り扱いを適当とする考え方に基づ くものと考えられます。例えば農協法においては、正組合員の資格を農業従事者等に限 定している一方、生協法においては一定の区域内に住所を有する者、一定の職域内に勤 務する者と、非常に幅広く組合員の資格範囲を規定している点で、両者は大きく異なり ます。今後の御検討に当たっては生協共済と保険の差異、生協共済と農協共済等との差 異を考慮いただきたいと思います。  ところで、平成10年の生協のあり方検討会及び今般の農協法や中協法など、他の協同 組合法の改正動向を踏まえますと、員外規制の緩和、区域規制の撤廃、組合員以外の者 による共済募集等が共済事業に関して論点になるとも考えられます。しかし、これらは 共済事業にとどまらず、消費生活協同組合の性格を変質させる恐れがあり、また、保険 と生協共済との違いを一層あいまいなものとするため、当会としては反対を表明いたし ます。  最後となりますが、本日は生協制度見直し検討会の実質的な審議に先立ち、こうした 意見表明の場を与えていただきまして感謝いたします。今後各論を検討する際にも、今 回の形式にこだわるものではありませんが、改めて当会を含め、関係者の意見を聴取す る機会を設けていただくようお願いいたします。御清聴ありがとうございました。 ○清成座長  どうもありがとうございました。最後になりましたが、損害保険協会の吉田様、お願 いいたします。 ○吉田参考人  日本損害保険協会の吉田でございます。損害保険協会を代表しまして、今回の生協法 改正に当たっての意見・要望を述べさせていただきます。こうした機会を与えていただ きましたことに対して深く感謝しております。なお、意見を述べるに当たりまして、昨 年6月に日本生活協同組合連合会さんでつくられた生協法改正要求案を参考とさせてい ただいております。私どもの認識に誤りがございましたら、遠慮なく御指摘いただけれ ばと思っております。  最初に、協同組合さんが戦後復興の一翼を担い、組合員自治の原則のもと、各地域・ 職域で協同組合組織が発展し、これまで社会に果たしてこられた役割が極めて大きいと いうことについて敬意を表したいと思っております。一方で、こうした協同組合組織が 発展してきた今日では、だれでも地域や職域の中では組合員の資格を持ち、一定の会費、 1000円程度と伺っておりますけれども、を払えば組合員となることができますし、組合 員として果たすべき自主的な義務もございませんので、共済事業に限っての加入を考え た場合は、利用者から見ると、例えば会員制のスーパーやレンタルビデオといった会員 制事業と変わりない事業と認識されているのが実態ではないかと思っております。生協 共済さんの加入呼びかけのチラシ等を拝見したり、あるいはテレビのコマーシャルを拝 見していても、強くそう感じている次第でございます。  例えば、消費者の皆様が火災への備えや自動車事故への備えとして保険商品ではなく 共済商品を選択されるときは、共済理念に賛同するからではなく、単に商品として共済 商品の方が自分のニーズや予算に合致しているから選んでいるということではないでし ょうか。利用者の視点からそう受けとめられていることをまず明らかにしておきたいと 思います。これは、助け合いの輪がどんどん大きくなり、組織の発展とともに自然にそ うなってきたものであり、組合員としての加入意識の希薄化は不可避であったと考えら れます。区域の規制を撤廃する、あるいは員外利用を認めるといった御要望については、 具体的にどのようなニーズに対してこたえるのかを明らかにし、規制の適用除外を明確 化する方法でなければ、税制優遇などの措置を設けられている生協共済さんとしてふさ わしい組織ではなくなるのではないかと危惧されます。  農協さんが農業に従事される方を組合員として、中小企業協同組合さんが一定規模ま での中小企業を対象としているのに比べると、生協さんの共済事業はその点では異なっ ております。生協さんの共済事業は広く消費者を対象に商売をしている保険業と同じと 言えると思われます。特に、連合会組織をつくって、実質的には区域制限がない状態で 共済商品を販売している場合は、その特質が顕著になると考えられます。  お手元の資料の2ページをごらんいただきたいと思います。連合会組織形態では保険 会社と規模の面で何ら遜色のない連合会さんもあり、組合員の自治で対応するレベルを 超えていると思われます。また、3ページにございますように、保険業法の規制では年 間の保険料が50億を超える場合には保険会社としての規制を受けますし、それ以下でも 加入者が1000人を超えるなどの条件で少額短期保険業者としての規制を受ける仕組み になっております。したがいまして、今回の法改正に当たっては、共済事業の範囲を広 げる御要望については、その本日に照らして本当に対処する必然性があるかという検討 をお願いしたいと思いますし、また、利用者保護に関する規程は保険業法と同じ規程を 設けることが前提であることを意見として表明させていただきます。  次に、利用者保護の観点で具体的に意見を申し述べさせていただきます。保険会社の 規制には契約者保護の観点から準備金の適正な積み立てとかリスク分析を適切に行った 上でのソルベンシーマージンなどを含んだ財務の健全性や、販売する商品の認可制度な ど、さまざまなものがあります。中でも募集人と利用者との接点のところで、加入者保 護のための規制は最も大切な部分ではないかと思っておりますし、業界としても最大限 力を入れて取り組んでいるところでございます。  このような観点で、大きく次の2点を主張させていただきたいと思います。まず第1 のポイントとしては、募集する人への教育、募集人の資格、募集人の登録といった募集 体制に関する規律を保険業法と同一にしていただきたいということでございます。共済 の従業員さんがみずからつくった商品を販売するのであればともかく、購買事業を兼業 されている場合の生協さんで共済責任者以外の方が共済募集をすることがある、あるい は、もし代理店制度の活用など、共済ビジネス拡大の話が出てくるのであればなおさら のこと、利用者保護の観点から保険会社と同じ制度にする必要があると考えられます。  加えて、重要事項の説明義務や募集人の禁止行為などは法律で保険業法と同じ規律を 設けることが共済利用者保護につながると確信しております。これを保険業法でどのよ うに規制しているかといったことはお手元の資料の4ページ、5ページに主なものを掲 げております。例えば募集人の登録が法で義務づけられておりますし、禁止行為につい ても法定化されているほか、監督面での立ち入り検査、あるいは業務改善命令について も法で規定されております。  第2のポイントでございますが、利用者から見て、行政監督の透明性が確保されるよ う、通達方式の指導監督でなく、ガイドラインや監督指針といった形で募集時の各種規 制の基準を明確化し、公表する仕組みをとるべきであるという点です。こうしたことは 監督官庁が異なっていても当然に利用者保護の観点から等しくなるべきものと考えてお ります。お手元の資料の6ページ、7ページは保険会社の監督指針の中で記載されてい るものでございますが、契約者保護の観点からきめ細かく指針が記載され、公表されて おります。例えば重要事項の説明や、募集人に対する教育体制の整備などが定められて いることがおわかりいただけると思います。もちろん、これらの中には自主的にお取り 組みいただいている組織さんの話も聞いておりますし、監督指針で広く公になっても対 応に何ら支障がないものも多いかと存じます。なお、ごらんいただいております監督指 針で決められている募集面での各種事項は、国際的な保険共済の流れをくんでいるもの でありまして、もはや日本の共済だけが特別というわけではないのではないでしょうか。  以上、募集に関する規律を保険業法に合わせていただきたいという点と、監督指針等 の募集時の各種規制を明確化し、公表するという点、これが私どもの2つの主張点でご ざいます。以上述べた以外にも、助け合いの範囲を、セーフティネットもない中ではお のずと限度額も制限されますでしょうし、共済事業健全性の確保に向けた各種経理面で の措置なども当然に今日的に見て問題のない内容にしていただきたいと思います。特に 利用者保護の観点から以上申し上げましたことを中心に、今後検討会にて議論を深めて いただくことをお願いする次第でございます。  以上です。 ○清成座長  どうもありがとうございました。以上で参考人の皆様からの意見発表が終了したわけ でございますが、委員の方々から参考人の皆様に質問等ございましたら出していただき たいと思います。いかがでしょうか。 ○大塚委員  各種多様な生協の御紹介をいただきましてありがとうございます。まずトヨタ生活協 同組合の服部さんにお伺いしたいことがあるんですが、職域生協の代表格ということだ と思うんですが、職域生協の場合、母体企業の関与の度合いをお聞きしたいんですが、 何でそういうことを聞くかという目的を話したいんですが、例えば職域生協としてトヨ タ生協がやっていたときに、何らかの事業に支障を来したとしますね。特に共済事業が 大きいと思うんですが、そのときに母体企業が何らかの救いの手を差し伸べる可能性は あるかというのを知りたいわけなんです。トヨタ生協をお聞きすると、まさにトヨタの ためにある生協であるという感が強くしまして、トヨタ本体の責任にまでつながるよう な関与の基盤があるのかどうかお聞きしたいんです。 ○服部参考人  一つは、私どもトヨタ生協の現状として共済事業は取り扱っておりません。購買事業、 利用事業という形でやっております。母体企業が直接事業内容に関与するということは 基本的にはございません。当然のことながら、組合員の大半がトヨタ自動車の従業員も しくはその家族でございます。理事の構成、総代の構成もトヨタの従業員の方、労働組 合の組合員の方で構成されておりますので、そういう意味で関与はもちろん若干ござい ますけれども、経営上、事業上の責任についてはトヨタ生協本体で全部負っていきます。 事業内容が悪くなれば、例えば食堂事業なんかでも我々と外食産業とのコンペで決まっ てまいりますので、そういう意味では母体企業が生協事業についての責任を負うという スタンスはないと受けとめております。 ○大塚委員  理事の構成が特に気になるんですが、トヨタの労働組合からは入っているということ がありますが、本体企業の経営に携わっている方は理事には入っておられないんですか。 ○服部参考人  例えば私も出身はトヨタ自動車でございまして、役員の中の半数弱はそういうケース がございます。理事についていいますと、職場単位の人事とか総務とか、そういった方 々が一部理事に入っております。地域代表の婦人理事が入っていると、そういう構成に なっております。 ○清成座長  今の関連でお聞きしたいんですけれども、例えばホンダの場合ですと熊本の大津の場 合にはホンダの方針として生協をつくらないと。その理由は、地域との融合という点か らして、地域の商店街ないし地域の小売店を利用すると。したがって病院をつくらない とか、これも地域の病院を利用するとか、社宅も大津町内にはつくらないという、地域 への配慮が大変あるんですね。これは企業の方針かと思いますけれども、その辺のトヨ タさんのフィロソフィというのはどうなんでしょうか。 ○服部参考人  私が答えるべきかどうか疑問でございますが、一般的にホンダさんとトヨタの比較は いろいろございますけれども、私どものケースでいいますと、会社の方も企業市民とい う考え方が非常に強うございます。したがいまして、私どもが地域の要請、組合員の要 請を受けて購買事業で店舗をつくるときも、極力地域の周辺に影響のないところで、本 当に組合員が多いエリアで、逆によそのお店がなくて困っているところに出ろという指 導や助言をいただいて今まで出てきています。地域によって実情が違うのではないだろ うか。豊田市も昔は病院も店舗もなかった、それを企業の発展とともに地域貢献という 形でやってきている積み重ねのエリアと、そうでないエリアによってはそれぞれのスタ ンスや状況が違ってきているのではないかと考えております。 ○清成座長  ありがとうございました。 ○小川委員  私も組合員の一人なんですが、さいたまコープの方にお聞きしたいと思いますが、少 子高齢社会の福祉にニーズに対してどうこたえるかというのは各報告者からも答えられ ていたと思うんですが、私は早くから生活協同組合の福祉事業に期待されていた割には 余り進まなかったように思っています。10何年前にさいたまの方に介護保険前にお邪魔 したときに非常にすばらしい活動をしていらっしゃって、その活動を参考にして自分た ちも配食や子育てなど、いろんなことができればいいなと動いていたんですが、1億ち ょっとくらいの事業というのは非常に小さいと思います。それはさいたまだけじゃなく て生活協同組合全体に、福祉、福祉といいながら事業は余り広がっていないと思ってい るんですが、そのあたりをお答えいただきたいのが一つ。  もう一つは、福井生協の方に、先日福井県民生協の子育てのビデオを見せていただい て、非常に地域に密着して、店舗を活用して子育てをしているなと思いました。きょう 何人かの報告を伺いながら、生活協同組合がしている福祉事業、生活支援事業というの が公共性高くなってきているなと思っていまして、行政の公共的な福祉サービスができ ないところ、あるいはその枠を越えたところをしてきていると。そうなると、今後この 委員会でぜひ議論したいところは、もう一つの公共性をだれが担うのかというときに生 活協同組合が果たす役割というのは検討できないだろうかと思っていますが、そのあた りの意見をお持ちかどうかというのが一つです。それと同時に、県生協連というのがあ ると思うんですが、そこは地域という言葉をどのように議論しているのか。先ほどから の議論でいうと、地域という概念をどうとらえていけばいいだろうかというのが非常に 難しくなってきていて、これは介護保険の中でも地域密着型と言われた地域をどう考え るのかというのも議論になってきていますが、そのあたりの考えていることをお聞かせ いただければと思います。 ○渡辺参考人  福祉事業が期待されている割には進んでいないのではないか御指摘をいただきました けれども、おっしゃるとおりかなというふうに思っております。特にさいたまコープの 場合には組合員活動が非常に活発で、そこでの福祉に係る取り組みについては広がりを 見せています。ただ、福祉事業というところでの取り組みは遅々として進んでこなかっ たかなと思います。その理由は何なんだろうというところですが、購買事業のところで 競争が激しい地域で、そちらに重点が置かれてきたという実態があると思います。ただ、 今年度から広い意味での福祉ということで子育て支援事業について広がってきておりま して、それを継続してさいたまコープとして責任を持って取り組んでいけるようにとい うことで、もう一歩進めた取り組みを北本市でスタートを切っております。 ○藤川参考人  福井県民生協の子育て支援事業の考え方には、事業を通して地域の子育てファミリー の支援を行うというのが基本としてあります。現在3つの事業をやっているんですね。 一つは広場活動といいまして、これは福井県からすみずみサポート事業ということで補 助金をいただいている事業でございます。一時預かり、曜日別保育、この3種類の活動 をやっておりまして、2004年からスタートしております。近年非常に御要望が強いのは 曜日別保育という取り組みでございまして、これは地域の中で保育園に行く手前、ある いは幼稚園に行く手前、家庭の中での子供の教育ということでお母さん方が非常に悩み を持たれている。この悩みを私どもの曜日別保育に参加していただいて、幼稚園なり保 育園に行く前のしつけの場ということで御活用いただいているのが顕著な例としてあら われております。利用者が急増しておりまして、そういう意味では、私どもは一般の保 育所とか幼稚園の活動ではできないところを子育て支援事業として曜日別保育の取り組 みを行っています。ここでは登録していない方も参加が多くなっておりますのは、月に 1回、お母さん方と子供さんと一緒になって食育学習の活動を行っております。これは 非常にたくさんの参加があって好評をいただいておりますので、市の方も非常に注目す べきだということで御意見を賜っております。 ○清成座長  どうもありがとうございました。ほかの委員の方いかがでしょうか。 ○山下委員  共済事業について1、2お伺いしたいんですが、まずさいたまコープさんに質問です が、他の購買事業との兼業を禁止すべきという議論には反対であるということなんです が、生協の組合員としてはいろんなサービスが得られるという利点は重要だという考え 方もあると思うんですが、他方、共済というのは万一何かあったときに約束されたもの が確実に支払われなくてはいけないということで、規制がどの程度のものでなくてはい けないかというのはいろんなレベルがあって、それはこれから考えるかと思いますけれ ども、組合員の意識として、確実な支払いが保証されているということも必要だという お考えはないんでしょうか。それを一つお聞きしたい。  続けて全労済さんにつきましては、きょうの御報告では全労済さんのような大規模な 共済事業組織については、基本的に保険事業の規制とかなり同じような方向で動いて構 わないということだったと思うんですが、最後の方で生命保険協会、損害保険協会の方 から、より強く保険業法並みの規制をということを述べられたと思いますが、保険側か らのそういう主張と全労済さんの主張でどのあたりが食い違っていると考えておられる のか、まとめていただくとありがたいと思います。 ○渡辺参考人  組合員の立場で責任を持った共済事業を進めてほしいということは当然のこととして 思っています。そのことに関連しては、購買事業との区分経理とか、コープ共済グルー プとして日生協と一緒のグループとして進めているということでの契約者保護が安心感 を持てるということも思っています。剰余金の一部をきちんと積立金として積み立てて いるということも安心材料の一つとなっています。最近でいいますと共済にかかわる職 員の資格認定制度をつくりまして、そこに合格した職員でないと取り扱えないという仕 組みづくりも進んできておりますので、組合員から見てもわかりやすく安心できる仕組 みが進んできていると思っておりますので、兼業を禁止しないでくださいということと あわせて、そこは大丈夫かなと考えております。 ○小野岡参考人  私どもは共済契約者保護や情報開示、経営の健全性の確保という必要性について認識 を十分しているところでございます。法定化を含む規定の諸条件を整備していくという ことについては必要であるという認識を持っています。その上で、本日の段階でどこが どう違うかと言われると大変難しいんですけれども、私どもは保険業法と全く同じにし ていただきたい、あるいはすべきであるとは全く考えておりません。生協と保険業との 運営の違い等さまざまございますし、私どもは自治・自律の組織としてみずから律する ということを基本にしながらいろんな活動の整備を図っていきたいということが基本で ございますので、おのずから違ってくるというのは当然あるのではないかと思います。 どういう形での整備が必要なのかということについてはこれから御検討いただければよ ろしいかなと思いますけれども、基本的にはそういう考え方で御検討いただければと思 っているところでございます。  また、そういった措置を法定化するということと、ガイドラインや指針をつくるとい うことについても、既に共済生協としても自主的な取り組みを進めております。契約者 保護に関する共済生協共通の指針になるようなものとか、広告の問題とか、さまざまな 面でそういったことは自主的な形でも進めさせていただきたいと思っております。共済 生協共通の団体もございますので、そういった団体等の中においてもそういった検討を 進めさせていただき、自主的な面でもいろんな条件の整備を進めていきたいと考えてお りますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。 ○吉野委員  もうちょっと具体的に、監督・規制が同じになると何かぐあいが悪いことになるのか、 どこがぐあいが悪くなるのですか。 ○小野岡参考人  どこをどういうふうにするというのは具体的に、保険業法をベースにして検討してい るということではございませんので、共済生協としては契約者保護等必要なことについ て自主的にまとめつつあるという段階でございますので、どこがどうというのは本日な かなか説明しづらいんですけども。 ○吉野委員  自主的になさっているのはわかるのですが、同じになった場合に、今なさっているこ とで支障が生じることがどこにあるかということをお聞きしているのですが。 ○小野岡参考人  支障が生じるかどうかわかりませんが、生じないものもあると思いますし、生協も多 様な状況がございますので、一律の規制になるのかどうかという点も含めて、全労済と そうじゃない小規模の生協では大分違うと思いますので、そこは一概に申し上げられな いと思います。 ○清成座長  よろしゅうございますか。自主とか自律というのは保険会社の場合だって自主・自律 なんですよね。別に生協だけの特徴ではない。違うのは相互扶助という点だけではない かと。しかし内部的に、生協の運営とか、生協の内部に向かっては自主・自律とか相互 扶助ということは言えるわけですね。しかし他の経済主体との競争関係に立った場合に は、一つの立派な経済主体なんですね。だから競争上のイコールフィッティングという ことがそこから出てくると思うんですね。ですから、自主・自律というだけでは説明が わかりにくいかなという感じがしてならないということなんです。 ○小野岡参考人  自主・自律と申し上げたのは、保険会社と違う点は、組合員が三位一体の形で運営に 参加しているという点だと思います。組合員による事業というインナーの世界で事業を やっているものですから、その世界の中で自律的にいろんな措置を講ずることができる と、そういう意味で自主・自律と申し上げたということです。 ○品川委員  やや関連しまして、一つは損保協会さんにお伺いしたいんですけれども、幾つか具体 的に募集規制等についての御指摘をいただいたわけですが、私ども日本生協連で昨年ま とめた法改正の要望事項をごらんいただいたということでございまして、その中で共済 にかかわる要望事項が、いずれにせよ現行法は大変不備でありますので、私どもの要望 のような形で整備されるとすれば、先ほど御説明のあった具体的な点の相当部分が実現 することになるのではないかと思いながらお話を聞いたわけです。あるいは先ほど全労 済から説明のあったようなことであれば、おっしゃった点の相当な部分が進むことにな るのではないかと伺ったのですが、その点はどんなふうにお考えになるだろうかという のが一つ。  それから、最後の方でセーフティネットの不十分さという御指摘をされていました。 セーフティネットについても法的整備をもっとする必要があると私ども自体も思ってお りまして、現在の生協法の中で再共済の連合会という仕組みがあるわけですが、十分で ないところがあるので、今回の法整備の中で再共済をめぐる制度なども整備しようとか、 単位の生協等が経営不振に陥った等の際に事業譲渡の仕組みだとか、契約の包括的移転 の仕組みだとか、そういうことをきちんと整備して契約者に迷惑がかからないような制 度にしようとか、セーフティネットの関係でいうとそういうことが必要だと思っている わけです。契約者保護機構というような形は私どもとしては余りなじまないので、それ らは必要ないと思っているんですけど、セーフティネットが不十分だとおっしゃる場合 に、私ども自体が今申しましたような要望を出していることとの関係で、なおかつその 点が不十分だとおっしゃっているのかどうか、その点について質問させてください。 ○吉田参考人  セーフティネットの観点でいきますと、私どもとしては保護機構というのを持って、 破綻の場合に十分な契約者保護が図れるような制度を持っているわけでございます。そ れと同等あるいはそれ以上のものがほかの仕組みでできるということであれば、それは それでよろしいのではないかと思います。今おっしゃったところが本当にそういう形で 私どもの機構よりもすぐれたものであると、それを網羅的に大から小まですべてを救え るということであれば、そういう実効性も含めて御証明いただくということであれば問 題ないのではないかと思います。少なくとも今の時点では私どもが持つような契約者保 護機構のようなものはお持ちでないという点で、引き受け制限という形は必要なのでは ないかと申し上げたわけでございます。 ○清成座長  土屋委員、何か御質問ございますか。 ○土屋委員  生保協会さんと損保協会さんの方から区域規制のことと員外利用のことについて両方 とも反対ですということを言われたんですけど、今の区域規制の緩和なり員外利用規制 の緩和をセットで行うと大変問題が大きいと言われたのか、それとも、それぞれ単独で あっても問題だと言われたのか、ちょっと確認したかったんです。区域規制の撤廃と資 料には出ておりますけれども、県域を越える利用なり、そういうことが問題になってい るんだろうと思いますので、県域を越えたとしても地域なり区域というのは存在して、 その区域の人が組合員になって利用するんじゃないのかなと思うので、それが単独の場 合でも何か問題があるというのがちょっとよくわからなかったんですけど。 ○西岡参考人  区域規制についてですが、例えば購買事業について御要望の実態をお話しいただいて、 そういう部分についてはよくわかるんですが、共済事業についてお試し期間とか、区域 が隣だから入れないとか、現実に難しい問題があるのかなというのが一つの単純な疑問 で、もう一つは基本的なところなんですが、十分今でも広い区域になっている。農協な どと違ってほとんど組合員の制限が非常に緩やかな中で、これ以上区域まで外して、人 と人とのつながりを広げていった組合自治、生協という精神はあるのかと、いろんな報 告書の中でも既に形骸化しているということも見ておりますけれども、そういう意味か ら、最低限の組合の性格づける要件じゃないかと。もう一つ員外利用につきましては、 これも同じように、員外利用が、例えば農業従事者という制限があってどうしても入ろ うにも入れないという方について員外というものが認められる可能性はあると思います が、少なくとも組合の趣旨に賛同して入ろうという気持ちがある人は何の制限もないと いう中で、員外利用を何割認めるとか、そんなことを置く必要があるのかなということ で申し上げました。 ○吉田参考人  私どもから申し上げたいのは、県域規制の問題でございますけれども、組合というこ との性格を考慮しますと、各都道府県単位で最低の加入者の特定をする規制というのは 必要になってくるんじゃないかなと考えておりまして、利用者利便のためにという話で、 確かに県境を越えて利用できないという問題があるとすれば、これは一定の考慮をしな ければいけない。例えば県域から何キロ以内とか、そういう一定の距離を必要最小限の 範囲内で、先ほどポジティブリストという話がございましたけれども、そういった形で の拡大は容認できるかなと考えております。員外利用ですけども、購買事業とかほかの 事業に関してはお試し期間といいますか、これはあってもいいとは思いますけれども、 共済事業に関してはお試しということは事実上あり得ないのではないかと考えておりま す。まず組合員になってから加入されるということは、共済事業に関しては必須条件で はないかと考えております。 ○品川委員  員外利用にかかわりましては、購買事業等については完全に禁止されているというこ とでの支障がございますが、こと共済事業に関しましては、共済契約を結ぶ際に組合員 でない方と結ぶということは実態としてもございませんし、将来的にもそういうことは まず考えられないというのが私どもの実態でございまして、共済事業の関係で員外利用 禁止とおっしゃることには少し事実とそごがありはしないかと思いながら伺ったのです が、いかがでしょうか。 ○西岡参考人  私どもは共済事業についての意見を述べさせてもらっていますので、その辺をどうい う形で法的に持っていくかは難しいところがあると思いますけれども、購買事業につい ても全部含めて員外利用はおかしいということを言っているつもりはございません。 ○吉田参考人  私どもも全く同じ意見でございまして、共済事業に関しては員外というのはふさわし くないのではないかと。ほかの事業に関してはお試し期間云々ということは考えられる のかなという気はいたします。 ○清成座長  予定された時間が来ております。きょうは委員の方全員から御質問がございましたの で、まだ若干御質問等残っているかもしれませんけれども、時間が参りましたので本日 の検討会はここまでとさせていただきたいと思います。参考人の皆様にはさまざまな御 意見をちょうだいしまして大変ありがとうございました。次回からはそれぞれの事業に ついて具体的な見直しの議論を行うということで進めたいと思っております。共済事業 について、国会含め、関係各方面から見直しの御意見をちょうだいしているところでご ざいますので、第3回会合では共済事業についての議論を行いたいと思っております。 また、続きまして第4回以降で購買事業、利用事業についても順次議論をすることにな ろうかと思います。  次回以降の日程について事務局から説明をお願いいたします。 ○千田課長補佐  次回の日程につきましては既に開催通知を送付させていただいているところでござい ますけれども、次回は9月8日金曜日の17時から19時まで、隣の専用18〜20会議室を 抜いて開催させていただきます。 ○清成座長  以上で本日の検討会を終了させていただきます。大変ありがとうございました。 (了) (照会先)  生協制度見直し検討会事務局            厚生労働省社会・援護局地域福祉課(内線 2854、2875)