2006年日本政府年次報告
「就業が認められるための最低年齢に関する条約(第138号)」
(2004年6月1日〜2006年5月31日)


.質問Iについて
 前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。

.質問IIについて
(1)前回までの報告に変更のある内容は以下のとおり。
〔第2条〕
  「義務教育の修了の確認については、船員法第38条(雇入契約の公認の審査)により、行政官庁による雇入契約の公認の申請の際の審査で行っている。船員法が適用されない日本船舶については、労働基準法が適用され、同法第56条第1項が適用される。我が国領域内の航空機内及び我が国で登録(航空法第3条の2)された航空機内では労働基準法が適用され、同法56条第1項が適用される。」を「義務教育の終了の確認については、船員法第38条により、雇入契約の届け出の際に行政官庁により行っている。船員法が適用されない日本船舶については、労働基準法が適用され、同法第56条第1項(最低年齢)が適用される。」に改める。

(2)2005年専門家委員会からの直接要請について
条約第1条(青少年育成施策について)
 青少年育成施策は保健、福祉、教育、労働、非行対策等の各分野にわたり、関係する行政機関は多数に及んでいる。2003年6月に、次代を担う青少年の育成に関する施策について、関係行政機関相互間の緊密な連携を確保するとともに、総合的かつ効果的な推進を図るため、内閣に内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする「青少年育成推進本部」が設置された。2003年12月、青少年育成推進本部において青少年の育成に係る政府の基本理念と中長期的な施策の方向性を示す「青少年育成施策大綱」を決定し、政府においては本大綱に基づき青少年育成施策の推進を図っている。

条約第2条1(自営業を営む児童について)
 我が国においては、自営業者に対して就業の最低年齢等の労働条件を定める法令はないが、義務教育の対象である15歳未満の者が自営業で就業することはほとんど想定されない。
 船員については、自営業者を船員法の適用除外とはしていない。

条約第3条3(徒弟期間に関する規則について)
 我が国には、貴委員会の指摘する1947年10月31日付けの規則に該当するものは存在しない。

条約第4条(条約適用除外について)
 我が国においては、労働基準法(第116条第2項)において同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人が適用除外とされており、これらの種類における児童労働の範囲については把握していない。
 条約第3条1の「業務の性質により又はそれが行われる状況により、年少者の健康、安全又は道徳を損なうおそれのある業務」については、労働基準法により定めているが、同法において、同居の親族のみを使用する事業が適用除外とされているのは、当該事業における事業主と同居の親族との関係を一般の労働関係と同様に取り扱い、国家的監督を及ぼすことが不適当とされたためである。
 また、家事使用人は、家事一般について当該家人に使用される者であることから、事業(「業」として反復継続的に行われるもの)に使用される者の保護を目的とする同法の適用対象とならないが、家事と家業が混在している場合(商家等)もあることを念頭に、同法第116条2項において家事使用人についても法の適用がない旨を確認的に規定しているものである。
 これらの種類の業務への児童の就労については、特段の措置は講じていないところである。

条約第7条(軽易労働について)
 労働基準法第56条では、児童が満15歳に達した以後の最初の3月31日まで児童を使用してはならないとされている。ただし、映画制作、演劇の事業では、満13歳未満の児童でも、次の要件の下で例外的に就学時間外に働かせることができる。
 (1) 児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易な職業であること。
 (2) 所轄労働基準監督署長の許可を受けること。

 また、2005年1月〜12月における許可数については、806件申請され、787件が許可及び認定された。

条約第9条(罰則について)
 2005年1月1日から同年12月31日までの間に、労働基準法第57条違反容疑で労働基準監督官が検察庁に送検した事件は、0件である。

報告様式III、Vについて
 本報告5にて回答する。

.質問IIIについて
(1)2006年3月31日現在、労働基準法及び関係規則等に係る監督の実施は、厚生労働大臣の所管に属し、実施機関として中央に厚生労働省労働基準局監督課があり、全国に47の都道府県労働局、331署及び4支署の労働基準監督署及び3,752名の労働基準監督官が配置されている。労働基準監督官は労働基準法等の規定するところにより、労働者の労働条件確保等のため、事業場、寄宿舎その他の付属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行う等の権限を与えられており、更に法規違反に対しては、これに是正のため行政指導を行うとともに、悪質事犯に対しては司法警察員として送致することができる。

(2)2006年5月31日現在、船員法及び関係規則等の実施の監督は、国土交通大臣の所管に属し実施機関として中央に国土交通省海事局船員労働環境課があり、全国に9地方運輸局、1運輸監理部、33運輸支局及び18海事事務所並びに沖縄総合事務局に、船員労働環境課等の担当課及び157人の船員労務官が配置されている。船員労務官は船員法の規定するところにより、船員法の実施状況を監査するため、随時船舶及び事業場に臨検し、帳簿等を調べ、船舶所有者等に質問し報告を提出させる権限を与えられており、更に法規違反に対しては、これに是正のため行政指導を行うとともに、悪質事犯に対しては司法警察員として送致することができる。

.質問IVについて
 前回までの報告に追加すべき事項はない。

.質問Vについて
(1)2005年1月から12月に定期監督等により全業種で認められた労働基準法56条(最低年齢)違反件数は、21件である。なお、送検数は、0件であった。

(2)2005年1月1日から2005年12月31日までは、船員労務官が監査した船舶数は6,105隻であり、船員法第50条第2項(船員手帳の保管)違反処理件数は4件である。これらの船長については、船員労務官により戒告が行われた。この戒告は行政処分である。なお、船員法第18条第1項第2号(海員名簿の備置)及び同法第85条(年少船員の就業制限)についての違反件数はなかった。

(3)船員を含め、15歳未満の年少労働者の雇用統計データについては、年齢別の統計を行っていないため、その数は明らかではない。

.質問VIについて
 本報告の写を送付した代表的労使団体は、下記のとおり。
  (使用者団体)日本経済団体連合会
  (労働者団体)日本労働組合総連合会

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