06/08/10 第12回社会保険新組織の実現に向けた有識者会議平成18年8月10日議事録         第12回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                    開催日:平成18年8月10日(木)                    場 所:グランドアーク半蔵門「光の間」  佐藤座長 ただいまより、第12回「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」を開 催させていただきます。  本日の委員の出欠状況ですが、岸井委員が御欠席です。  5月の前回の会議では、国民年金保険料の免除等に係る事務処理の問題につきまして、 社会保険庁の第1次調査に関する報告書が取りまとめられまして、それをもとに、今後 の再発防止について御検討いただいたところです。  本日は、先に公表されております社会保険庁の第3次調査報告書及び厚生労働大臣政 務官主宰の社会保険庁国民年金保険料免除問題に関する検証委員会の報告書について、 事務局から御報告いただいて、本日の議論に付したいと思っております。そして、引き 続き、業務改革のフォローアップ及び改革関連法案の審議経過につきましても、御議論 いただきたいと思っております。  それでは、まず、国民年金保険料の免除等に係る事務処理の問題につきまして、事務 局から御説明いただきます。  清水参事官 事務局でございます。お手元の資料をごらんいただきたいと思います。 資料1が4つに分かれておりますが、この第3次調査報告書などにつきましては、社会 保険庁の総務課長の石井から御説明を申し上げます。  資料2は、大臣政務官主宰の検証委員会の報告書でありまして、これにつきましては 厚生労働省大臣官房総務課の岡田参事官から御説明を申し上げます。  資料3は、2つに分かれてございますが、再発防止策等についてでありまして、これ につきましては社会保険庁の吉岡室長から御説明を申し上げます。  3つの説明を続けて御説明を申し上げます。  石井課長 それでは、資料1ですが、3点からなっております。資料1−1が第3次 調査報告書、資料1−2がこれから行います処分の基本方針、資料1−3が人事上の対 応方針であります。この3点をまず私の方から一括して説明をさせていただきたいと存 じます。  まず、報告書本体の資料1−1をごらんいただきたいと思います。  2ページの今回の調査の主たる対象でありました免除と猶予に関します不適正事案に ついての調査結果ですが、件数といたしましては、表にございますように、116の事務 所、22万2,587件という数字に上っております。  不適正処理の類型ですが、個々の方々の申請の意思を確認しないまま承認手続を行っ たというもので、これは承認の通知をしたものとしないものとに分類することができま す。  もう1つは、電話などを用いまして申請者を確認はしたものの、申請書そのものは代 筆をして承認手続を行ったという、類型(2)という整理のもの。これにつきましては、 そうした記録があるものとないものという区分になろうかと思っております。3ページ の類型に関する説明ですが、個々の方々の申請の意思を確認しないまま行った承認手続 のうち、通知をしたものの代表例として、アの事前確認文書型ですが、申請を希望しな い場合には連絡をいただきたいという趣旨の意思確認文書なるものを事前に送りまして、 回答をお寄せいただかなかった方に対して申請意思ありとみなしまして、免除等の承認 を行うというタイプのものであります。27事務所がこのような方法をとっているわけで あります。  それから、意思確認をしないパターンで、承認の通知をしていないものもあります。 5ページをごらんいただきたいと思います。(2)のアの先行入力型というものがあります。 本人の意思確認ができないまま、先に免除等の入力処理をした上で、納付勧奨を行って いくというものでありまして、申請がいただけた場合、結局いただけなかった場合、い ずれにつきましても事務処理上の都合等を勘案いたしまして、取消しをした上でやり直 すなどの措置をとるものであります。  7ページですが、以上の個々の意思確認をしない承認手続に対しまして、電話などに よりまして一応申請意思は確認して、代筆をしたというパターンでありまして、これは 今ごらんいただいたような類型(1)のような多様なものは見られないということであり ます。  8ページですが、今回、このような事案が発生した経緯についてですが、(2)をごらん いただきますと、平成16年の国民年金法の改正によりまして、市町村から所得情報の提 供を受けることが社会保険事務所において可能となったわけでありますが、実際には17 年の秋ごろからちょうだいし始めているわけであります。そういう状況のもと、昨年の 11月から12月にかけてを本庁サイドといたしましては「緊急対策月間」と位置づけまし て、保険料の収納対策の強化を指示したわけでありますけれど、本件事案は、この表に も明らかになっておりますように、そのような時期である11〜12月に集中して発生を見 たということであります。  次に10ページですが、そのような形でなされた不適正事案でありますが、発案、そし てそれが広がっていくプロセスはどうであったかということでありますけれど、事務所 につきましては、類型(1)の処理を行った事務所66のうち、半分である34カ所が独自に 発案をした。それから、電話方式の類型(2)につきましても、88カ所のうち27カ所がや はり独自に発案し実行したとしております。  それから、事務局が独自に発案したというのも7事務局確認されております。  11ページでありますが、そのような先行する形で不適正の事案の処理が始まったのに 追随する形で、いわば先行例ととらえてこれに倣った、そして拡大していったという動 きも同時に少なからずあったわけであります。  14ページのそのような過程において、関係者はどのような意識を持っていたのかとい うことでありますが、個々の意思を確認しない類型(1)の場合ですと、動機であります けれど、納付率の目標の達成が困難になっていたとか、自給権の確保につながるといっ た手前勝手な、いわば思い込みというものが見て取れます。また、違法性の認識であり ますが、希薄な傾向が見られておりまして、例えば事前送付文書の場合には、一応、彼 らの申し状によれば、本人の意思確認を行う形をとったということで法的に云々という ことを言っているわけであります。  それから、電話方式の類型(2)でありますが、動機面に関しましては、類型(1)で見た ものに加えまして、被保険者の利便性を考慮した、あるいは依頼されることが多かった ということも回答として確認されております。違法性の認識でありますが、電話ではあ りますけれど意思の確認をしたという形になっておりますので、類型(1)以上に違法性 の認識は低いという状況であります。  不適正処理を行わなかった事務局・事務所における認識でありますが、15ページに記 載させていただいているとおりでありまして、ここは割愛させていただきたいと思いま す。  16ページに参りまして、事務所、事務局、本庁の対応がどうであったかということで ありますが、まず、事務所におきましては、実行の形態でございますけれど、事務所長 などの幹部が職員に実行を指示した事務所が類型(1)であれば66のうちの55、類型(2)は 88のうちの76というように、非常に多くの事務所におきまして幹部が関与しているとい うことがわかっております。この中で、特に事務所長がどういう対応をしたかというこ とですが、下の表にありますように、まさに事務所長ぐるみでかかわったというところ が大変くありました。  それから、事務局の方の対応ですが、これはこの後、事務所を管轄する31事務局につ いて確認をしたわけでありますけれど、類型(1)で申し上げれば、事務局自身が主導し た形で関与したものが7事務局、主導した事務所を了承したり追認したりするという形 でやはり認めるという形のものが2事務局であります。類型(2)にいたしましても、主 導あるいは追認が合計で15事務局あるわけです。そのような中において、事務局長の対 応ですが、表にありますように、不適正類型(1)で確認されております9事務局のうち 4事務局、類型(2)で15事務局のうち8事務局と、半分の事務局においては局長みずか らが関与しているという大変問題のある状況があったわけであります。  18ページですが、そういう状況の中で、本庁の職員の対応はどうであったかというこ とでありますが、私ども本庁といたしましては、1,125名、全職員に対しまして、この 問題の時期でありますが、事務局などから問い合わせを受けて了承した事実はないか、 あるいは結果として黙認をしていたという事実はないかにつきまして、文書での提出を 求めております。 同時に行っております事務局長あるいは事務所長からの報告書、それ以外の地方の職 員すべてから出してもらいました申告書、この中身を見まして、本庁に紹介をしたとい う記述があるものを抜き出して、本庁職員のものと突合させるなどによりまして、その 問題ということでピックアップしたものが下の主として3つの事務局に関する事実でご ざいます。  その1、三重事務局に関する事実ですが、三重事務局におきましては、既に11月にお きまして、先ほど御紹介いたしましたけれど、事前に確認文書を送付するという形での 不適正な方式の実施が始まっていたわけであります。その一環といたしまして、三重事 務局におきましては、県内の各市の協力要請をしているわけでありますが、そのような 中にあって、四日市市の職員の方がこの方式は違法ではないかという疑問をお持ちにな りまして、本庁に電話で照会を寄せたわけであります。  19ページの2つ目の段落に飛びますが、本庁職員とこれを受けた本庁といたしまして は、担当職員が三重の担当に電話で連絡をいたしまして、事実関係を照会いたしました ところ、そのような処理を行うこと、そして協力要請をしていることを認めたわけであ ります。これに対しては、不適切な免除処理は認められないということを本庁職員が指 導したとしているわけでありますが、このことについては、その下に7〜8行あります けれど、先方の言い分と食い違っている部分があるわけであります。  (注)の下でございますが、その後の推移でありますけれど、20日に至りまして、本 庁職員はやりとりの結果として、三重のその職員から、今回の取扱いはやめるという回 答を得たとしております。そして、理解といたしましては、事務局としては不適正な免 除処理をしないと約束をしたということで、管内のすべての事務所で実施しないと判断 して、解決済みと考えたと。この段階で指導を終えているわけであります。  一方、その後の三重側の職員の申し分によれば、協力をいただかない四日市市の分に ついてのみやめるといった趣旨であるという食い違いがここでもあるわけであります。  20ページですが、いずれにいたしましても、本庁職員の対応といたしまして、こうし たいきさつ、情報を事業室の上司に報告しなかったということは明らかになっておりま して、京都の事案が明らかになっても、なお報告がなされなかったということが確認さ れております。  それから、埼玉事務局に関する事実でありますが、こちらにおいては、既に昨年12月 に浦和の事務所で独自に先行入力という形での処理を開始しているその中で、本年に入 ってからでありますが、1月13日、埼玉事務局の前の局次長でございました、現在、業 務センターの課長である者が、京都事務局の当時の年金課長から「効果的である」とい うふうに聞いた京都事務局独自の申請を促す文書と、違法な事務処理手続を前提とした ものでありますが、承認時の事後案内文書、これを入手いたしまして、埼玉の事務所の 方に情報提供しているわけであります。  次に21ページですが、埼玉事務局では、これをまねまして文書案を作成し、本庁の方 にその可否の判断を求めたわけであります。これは国民年金事業室の職員にメールで意 見をさらに求めるという形で扱われまして、これを受けた事業室の室長補佐であります が、時間を置くことなく、「これは違法である」という回答をしてありまして、これを 受けて可否の判断を求められた本課の課長補佐は埼玉事務局に連絡をして、結局、この 方式は埼玉事務局においては行われないという形になってはいるわけでございますが、 この過程においてやりとりされましたメールの中に、例えば埼玉事務局においては、 「京都事務局の手法を模して云々」という下りがあったり、また、室長補佐の「違法で ある」という明確な見解を示したメールの中に、「この手法は全国でささやかれている ところですか」といった、非常に紛らわしい言い方が確認されているわけでございまし て、例えば、この「全国でささやかれている」というものにつきましては、室長補佐は、 昨年10月に沖縄で類似の案が考えられていた際に、そこに御出席していた長官から、 「これはいけない」という指導があったという経緯を念頭に記載したものだということ を言っているわけでございます。  それから、埼玉事務局における不適正処理の実施、そして本庁への報告の経緯であり ますが、先ほど申し上げましたように、浦和で年末に先行していたやり方を、年明け1 月になりまして事務局がほかの成績の振るわない事務所にも指導してやらせるという動 きがあるわけでありますが、京都事務局で2月の中旬に発覚をして、そして調査が進め られ、それを受けて全国調査が3月13日になされておりますけれど、それに対する埼玉 事務局の報告では、その後、これが虚偽であったことがわかっているわけでありますが、 所沢で事務処理誤りがあったこととか、また、22ページでありますけれど、3月24日に なりますが、浦和の事務所において同様に事務処理誤りがあったとか、そういう報告が なされております。  特にこの3月24日の報告につきましては、報告を受けた室長、室長補佐の方の記憶が しばらくあいまいであったということもありまして、結果としまして、記憶がないとい うことを受けて、埼玉事務局がその記述をそのまま受けとめて、整理・削除したという ことが確認されているわけであります。  それから、岐阜事務局に関する事実でありますが、岐阜事務局においては既に大垣の 担当課長が年末に、やはり申請意思の確認なしに行う方式について所長の了承を得てい たわけでありますが、そういう状況の中、この1月17日のことでありますけれど、埼玉 事務局の最初のいきさつのところで申し上げましたように、埼玉事務局が京都の方式を 模して文書案をつくりまして、その可否の判断を求めてきたと。それを受けた課長補佐 が、国民年金事業室の職員にさらに意見照会をしたといういきさつがありますが、そう いう形で照会を受けた国民年金事業室職員7名のうちの1名、岐阜事務局の指導を担当 する職員が、軽率にも、それを受け取って直ちに岐阜事務局の方にこのメールを転送す るということをしたわけであります。  この者が転送した日の夕刻ぐらいに、室長補佐が「これは違法だから」という見解を 示しているわけでありますが、その前にこういうことをやったわけでありまして、それ を受け取った岐阜事務局側としては、これは意見が欲しいという趣旨のものだと受けと めまして、管下の事務所にさらにそれを転送するということをしているわけであります。  大垣の既に先行している担当課長でありますが、これも参考にしつつ文書案を作成し て、そして、1月20日ごろには岐阜事務局の課長までの了解を得たという経緯があるわ けであります。  なお、この軽率にもメールの転送をした本庁の職員は、その後、室長補佐が「違法で ある」という見解を示したことを受けて、後日でありますが、「やらないように」とい う連絡を電話でしたということであります。  問題となることが考えられる事案としては以上3点でありまして、その他は割愛させ ていただきまして、このような事案においてどのようなことが認められるかということ で、24ページの本庁職員の対応の問題点でありますけれど、本庁職員がこうした不正な 事務処理につきまして、問い合わせを受けて、了承をしたとか、あるいは事実を知って おり結果として黙認したという、そうした事実は私どもは認められないと確認をさせて いただいております。いずれも今ごらんいただきましたように、本庁職員とのかかわり が生ずる前に、事務局・事務所においては既に着手を見ていたと、そういう経緯の中に あるものであります。  ただ、問題点はあるわけでありまして、三重に関して申し上げれば、文書で報告をさ せる等の対応をせずに、電話でやりとりを済ませるというようなやり方の問題、それか ら、上司への報告を欠いたという問題、その結果として、不適正な処理を中止させるこ とができなかったという結果に結びついているという点であります。  それから、埼玉事務局につきましても、既にもう埼玉事務局とは関係のない立場にい る者が、法的な問題点に気づかずに不用意に埼玉事務局の方へ情報提供したということ、 また、メールの中での記載に係るわけでありますが、京都事務局の方式を模して文案を 作成したという情報があったにもかかわらず、こういった情報を見過ごしたということ、 その結果として、この段階で京都事務局に対する徹底調査をすることができなかったと いうことも問題点だと思っております。  それから、岐阜事務局の関係でございますが、事業室の職員がまずは本庁内部で意見 照会、意思形成過程で、あるメールを安易に転送したということ、そしてそれが事務局 側から見たときに、いかにも他の局においてはそうした不適切なことが始められている かのような様子に誤解を生じせしめたということ。  こういった問題があろうかと思っておりまして、私どもの取組みのありようといたし ましては、こうした事務処理についての端緒情報、これが担当者レベルでとどまるなど して、幹部への報告、あるいは他の職員との情報共有が十分されていなかったというこ とで、その未然防止、拡大防止を図ることができなかった。この点は組織内の、例えば 日常的な業務遂行ルールを明確化し徹底するなどの手を講じることが必要であると考え ております。  また、調査の経過及び調査過程における問題点でありますが、本年2月の京都事務局 における事案の発覚から5カ月をこれまで要しておるわけであります。その間、当初の 想定を超えまして、調査のたびに件数などが拡大をしてまいったわけでありますが、そ このところの経過と反省であります。  まず、発端となりました京都の事案を少し詳し目に申し上げて、全体の話に移りたい と思います。  京都につきましては、2月10日のことでありますが、本庁の統計リストにおいて異常 値が見られることが端緒となりまして、現地調査に入り、そして被保険者からの申請が ないままにそうした手続を行っているという事案が判明いたしました。それで、先ほど も申し上げたように、これを受けて、3月13日でありますが、国民年金事業室長から全 事務局長に対してメールという方法で照会を行った。そして、締切りの当日の10時前ぐ らいに発信して、昼にはその回答をというような、ショートノーティスの形でのものだ ったということであります。  メールの記載をそこに※印で紹介させていただいておりますが、ここで見ていただけ ますように、保険者からの申請を待たずに免除処理を行い、その通知書を送付したとい う事例がありましたというように、ケースとしてはかなり限定的なとらえ方をしている わけであります。  26ページですが、その事業室長の申し分としては、これに先立って、前の週の金曜日 に各ブロックの事務局長に対して、そのような事案があって、それに関する調査を行う ことを予告しているという話ではあるわけであります。  27ページでございますが、その後、5月半ばの大阪の事案を景気とした調査、さらに その後、28ページへ参りまして、27〜28日にかけて行いました調査、そしてそれに基づ く第1次調査報告書の公表、さらに再度の確認書を出させ、そしてそれを踏まえて行っ た第2次調査報告書の公表と推移するわけであります。  30ページですが、そのようにして、これまで5回の調査を行っております。その過程 で対象の範囲の拡大というのが、この30ページの表に見てとれますように確認されるわ けでありますけれど、このような形で広がりを見ることになった、時間がかかったその 原因としては、1つには、31ページの(2)でございますが、事案の内容の多様さ、これを 当初、私どもの方でも意識することがなかなかできなかったということで、結果的にそ の範囲が拡大していくことに伴って時間を要したということがありますことに加えまし て、(4)でありますが、私どもの徹底解明をしたいという意図を十分に理解されずに、事 務局・事務所におきましては安易な考えで対応したということも一因ととらえているわ けであります。  35ページに進ませていただきたいと思います。この申請免除に対する本庁の認識であ りますが、(3)でありますけれど、本庁サイドといたしましては、申請主義というのは法 律に明記されていることでもありますし、また、17年の春の経緯といたしまして、職権 免除を可能とするような法律改正が可能かどうかという相談を年金局との間でもさせて いただいていて、その検討の結果としては、社会保険方式をとる現行制度のもとでは困 難であるという結論を得てもいたということから、およそ職権処理というものがこのよ うな形で展開するとは想定していなかったわけでありますが、そういうこともありまし て、昨年11月に収納対策の強化を指示した際にも、安易な方法をとる事務局・事務所が 生じるという想定を持たなかったこと、それから、この2月のことでありますが、京都 の事案が明らかとなった際にも、これは限定的に発生した行為ととらえて、そういう意 味で、調査の初期の段階において、多様性あるいは全国的な広がりというものを想定し た調査に至らなかったということであります。  その下の本庁の対応の問題点でありますが、そのようなことで、まず、調査開始以前 の問題点といたしましては、アにありますように、同時多発的に不適正な処理に多くの 事務所が着手していた11〜12月ごろ、本庁が的確にそれをとらえることができなかった ということは大きな反省点でありますし、個別の動きといたしましても、昨年の7月に、 職員個人の提案、質問ということでありますが、愛媛、10月には沖縄が事務局の提案と して説明をした際、いずれも長官がいさめたということでありますけれど、それを事務 局としてきちんと的確に受けとめずに、そういった情報があることをすべての事務局・ 事務所に提供していなかったということがあるわけです。  また、調査の過程における問題点といたしましても、繰り返しになりますが、多様性、 全国的な広がり、こうしたことを想定した調査になりませんで、しかも、短期間で、特 に初期の段階ではメールで調査依頼をするというような方法をとったということで、徹 底した調査にならなかったということであります。  次に36ページです。これらの問題点でありますが、本庁といたしましては、正確に把 握する、早期に対処しようという、組織としての意識、洞察力、これらが不足していた ことは反省点であります。改めて組織としての危機管理対応のあり方について、十分に 認識の共有を図っていかなければいけないと思っております。  今ごらんいただきましたような22万件にも上る案件についての是正措置の状況であり ますが、類型(1)については、法律違反でありますので、無効です。既に取り消しをし ておりまして、現在個別にその経緯とおわびを申し上げ、改めて申請書の提出をしてい ただくように個別に当たらせていただいております。  それから、類型(2)につきましては、経緯の説明、おわびは申し上げておりますが、 基本的には申請書はおありになるので、直ちに取り消すことなく、改めて申請書を提出 していただけないかということで当たらせていただいているわけであります。 今後の取扱いにつきましては、(4)の(1)にありますように、特に類型(1)の方々につい ては御迷惑が及ぶことのないように、告示でもって、通常7月末としているものを10月 末まで延長するという措置で、一定の対応をとらせていただいているわけであります。  以上が、今回の調査の、当初メインでありました免除・猶予に関する不適正事案の状 況であります。  この調査の過程で、2でありますが、その他不適正な事務処理、あるいは納付率引き 上げのためと思われる事務処理が確認されました。それらを整理するのが37〜38ページ の表であります。  例えば、少し悪質なものを申し上げれば、37ページの(A)でございますが、事由が ないにもかかわらず資格喪失処理を行ったというものが3,100件余り。それから、法で 定められた範囲を超えて遡及免除を行ったというものが3万4,000件。  それから、38ページにまいりまして、表の下から2番目の(I)でございますが、本 来ならば行う必要のない不在者登録処理、これを納付率引き上げのために行ったもの、 この件数が大変多うございまして、10万4,000件となっております。  いずれもこれらは今回の処分の対象にいたします。  39ページ、(3)でありますが、このほか、私どもの方でなお調査を進めている項目と いたしまして、保険料の徴収権が時効により消滅しているにもかかわらず、保険料を収 納しまして、あるいは納付記録を追加した、そういう不適正な事案がございます。現在、 そのオンライン通信履歴によるその記録をもとに、一個一個どういう事案であるかの精 査をしておりまして、もうしばらくお時間をいただきたいと思っているわけであります。  このその他の事案についての細かな説明は省略させていただきまして、43ページをお 願いいたします。  そういうことで、今般の事案発生の構造的な背景、そして再発防止策でありますが、 まず、構造的な背景といたしましては、事務局・事務所の問題として、1つにはコンプ ライアンス意識の不足。2つ目に、これまでの不祥事のときにも再三にわたって取り上 げられておりますが、地方事務官制に由来する組織としての一体性とガバナンスの不足。 3つ目に、独自の判断による勝手な事務処理を平気で行う組織風土。こうしたものがあ ろうかと思っております。  それから、本庁の問題でありますが、業務の標準化・統一化に取り組んでおりますけ れど、なお途上ということで不十分ということであります。それから、チェックシステ ムの不備、ガバナンス体制の不足、人事政策と人材教育の不足。  こういうことが構造的な背景ということかと思っておりまして、再発防止策ですが、 これは別の資料で説明申し上げますが、項目だけ申し上げれば、今のものをそのまま受 ける形で法令遵守の意識の徹底、業務の標準化・統一化の徹底、事務処理のシステム的 なチェック機能の整備、監察部門の機能強化、ガバナンスを強化するための組織改革、 能力重視の広域人事等の断行、こうした6本柱で取り組みたいと思っているわけであり ます。  最後に、51ページの結びであります。  (1)の最後のところで、私どもとしましては、このようなことを再び繰り返すことの ないように、関係職員に対して早期に厳正な処分を行うとともに、再発防止のための取 組みを行うということ。  (2)では、収納対策をしっかりと行うということとあわせて、納付率の目標について は、あり方ということになるわけでありますが、例えば収納実績と免除などの実績、つ まり分母の部分と分子の部分を切り離し、そして評価をしつつ、その上で率についても 評価するといった方法などについて、早急に検討したいと思っております。一丸となっ て信頼回復に最善を尽くしたいと思っております。  これが資料1−1であります。  資料1−2、処分の基本方針でございます。  早期に厳正な処分を行うということで、今月末を目指して今作業を進めております。 処分の規模はおおむね1,700〜1,900名となるのではないかと思っておりまして、量定と いたしましては、今ごらんいただきました、どのようなパターンの不適正処理にかかわ ったのか、また、その中で、どのような行為の内容になっているのか、職員個々の立場 はどうか、職責はどうかということを考慮して総合判断をしようと思っています。  具体例として、そこに書いておりますように、例えば意思確認をしないまま免除承認 をするという不適正処理を指導した、例えば事務局長はそれだけで減給でありまして、 これに他の不適正事案が付随すれば、その内容・量に応じて量定の加算がありますし、 さらにもう一つの系列といたしまして、類似の調査に対する報告において虚偽等があっ た場合、それから、不適正な事務処理の件数に応じまして量定の加算も同時にするとい うことを考えております。  それから、不適正な対応のあった本庁の職員につきましても必要な処分を行うことと いたしておりますし、監督者に対しまして監督責任を問うことはもとよりであります。  次に、資料1−3であります。  その処分の後、速やかに行いたいとしております人事異動における対応方針でありま すが、基本的には、この組織体質を改めると同時に、業務面でやはり奮起を促したいと 思っております。  速やかな人事異動を行うその方針といたしまして、まず、懲戒処分、強制措置、両方 を含みますが、いずれの処分におきましても、それを受けたすべての職員につきまして、 当たり前ですが、18年度中の昇任・昇格人事は行わない。  処分を受けた者のうち、事務所長以上の幹部職員で懲戒処分を受けた者につきまして は、現在の管理職のポストから異動させます。  さらに、そのような者のうち、法令違反を指導し、加えて、虚偽報告あるいは調査怠 慢があったことが確認できる者については、降任・降格を行うこととしております。  課長以上の事務所の管理職員についても、今ごらんいただきました2番、3番、これ に準じた対応を行いたいと思っております。  また、現在、継続審査となっております改革2法案、このうちの年金事業機構法案の 成立が前提でありますが、20年10月に発足予定の機構への職員の任用の問題であります が、既に個々に判断をして認否を決めるということにしておりますが、その認否に当た りまして、今回の処分というのは当然重要視されるべきものであると整理をしていくべ きものと思っております。  以上です。  岡田参事官 続きまして、資料2の「社会保険庁国年保険料免除問題に関する検証委 員会報告書」について御説明させていただきます。  恐縮ですが、最後のページをごらんいただきたいと思います。検証委員会の委員の名 簿を載せさせていただいております。西川・岡田両大臣政務官に加えまして、5名の有 識者の方に御参画をいただいております。本有識者会議の稲葉先生と小林先生にも御参 加いただいたところであります。  隣のページに検証委員会の検証作業の経過を載せさせていただいておりますが、6月 6日に第1回の会合を行いまして、8月3日までに6回の委員会を開催しております。  その途中で、右側の欄にありますように、委員による実地検証、個別のヒアリングな どを行っていただいているところであります。  1ページをごらんいただきたいと思います。最初に、この検証委員会での検証作業の 視点でございますが、2.の(1)検証の視点でございます。検証委員会では、専門家を 含めた外部の視点から、社会保険庁が行う調査内容、その結果、評価が適正なものであ るかどうかの検証を行ったという趣旨であります。  その下の「また」のところでありますが、検証過程におきまして、適宜、社会保険庁 に対しヒアリングを行ったり、検証過程において得られた情報に基づいて、検証委員会 の問題意識等を社会保険庁に伝達することによって、社会保険庁の調査が恣意的になら ないよう検証を進めた。  なお、検証委員会では、すべての事案を検証するものではないけれども、代表的な不 適正事例や検証過程において本庁のかかわりが指摘された事例等について、特に抽出し て事実関係を検証するとともに、そこから一連の問題の構造的な背景や原因、再発防止 策等を検証したという視点であります。  2ページにありますように、検証の作業は大きく3本に分かれております。  1つは、社会保険庁が実施しました「全件調査」が、厚生労働省の職員で適切に行わ れているかどうかということを確認する検証であります。  2つ目は、委員の先生に全国6つの社会保険事務局に行っていただきまして、現場で 事務局・事務所の職員からのヒアリングを行っていただきました。それに加えまして、 本庁の職員につきましても個別のヒアリングを行っていただいております。  3つ目は、再発防止や問題の背景などにつきまして、社会保険庁の幹部の方にヒアリ ングを行っております。  以上の3本立ての検証作業で行ってきたところでございます。  以下、検証作業の内容を書いておりますが、事実関係でございますので省略させてい ただきまして、24ページ、IVの「一連の不適正事例に対する検証」以下が検証の結果で あります。  特に本庁との関係のころを御説明させていただきたいと思います。  26ページの3.本庁の対応の(1)でございますが、最初の○の・のところで、本庁職 員と地方事務局とのやりとりが一部でみられたものの、本庁が組織的に不適正な事務処 理を指示、あるいは指導していたことをうかがわせるような証言はなかった。また、不 適正な事務処理の内容や実施形態が多種多様であり、全国一律の方法によるものではな かったということから、社会保険庁本庁は組織的に不適正な事務処理を主導した事実は なかったものと考えられるという評価でございます。  その次の○でございますが、しかしながら、本庁職員と地方事務局とのやりとりにお いて、本庁職員が軽率かつ不適切に対応している事例や、本庁として組織的に明確な対 応を行っていない事例がみられたということであります。  次の○が埼玉と岐阜の事例についての評価、次の27ページの最初の○が三重の事例に ついての評価であります。  27ページ、(2)でありますが、京都の事案が発覚する以前に、複数の情報の端緒に接 する機会があったということが認められるわけですが、ちょうど真ん中あたりでありま すが、「しかしながら、不適正事例に関するこうした情報の端緒について、国民年金事 業室内で対応が協議されたり、年金保険課や本庁幹部に報告されることなく、地方事務 局等に対して国民年金事業室から指示が行われることもなかった」ということで、情報 の端緒に対する漫然とした対応について問題があったという指摘であります。  4.不適正事例発覚後の調査であります。28ページの(2)は本庁側の問題ということ でまとめております。3月13日にメールで調査が行われまして、全国の事務局長に対し て、同様の事案がないのかというようなことの調査を行っているわけですが、調査期間 が非常に短いこと、報告すべき事案があいまいであるなどの問題点があって、実態を解 明する調査にならなかったということであります。  それに関連しまして、次に3つの項目が書いてあります。全体として、29ページをご らんいただきたいと思いますが、本庁国民年金事業室は広く不適正な事務処理が行われ ている可能性について問題意識を十分持っておらず、初期の対応が不十分だったと認め られる。初期の対応が適切であれば、調査のたびに事例が増加するような事態は避けら れたと考えられるということであります。  30ページ、V「不適正事例の発生・拡大に至った背景、問題点」として、8つの問題 点が指摘されています。  1として、事務処理基準などが統一されていないということ。  2として、必達納付率の目標達成を図る中で、安易な不適正処理に走る可能性がある にもかかわらず、これを予見できなかったということ。  3つ目は、地方事務局からの照会などの対応が本庁担当職員の個別的な対応にとどま り、組織的な情報共有・活用が不十分であったということ。  31ページ、4つ目は、不適正な事務処理が行われている可能性を示す情報の端緒を十 分活用できなかったということ。  5つ目は、免除制度や納付猶予制度が「申請」要件としていることについての趣旨や 制度の基本に対する認識が十分徹底されていなかった。  32ページ、6つ目は、社会保険オンラインシステムの入力行為の重要性が十分周知さ れていなかった。  7つ目は、予防的・事後的なチェックの仕組みが十分でなかった。  8つ目は、今回、社会保険事務局は独自に不適正処理を指導したり本庁への報告を怠 ったりした事例が認められたわけですが、そういう意味で、事務局の機能が十分果たさ れていなかったということであります。  33ページ、VI「再発防止策として必要な事項」ということで、8つの改善案の提案が されております。  1として、組織風土の変革でありまして、本庁と地方組織を一体のものとして捉える 意識を醸成するとともに、使命感や倫理観を持って制度運営に当たれるよう、組織風土 を改めていく必要があるということ。  2つ目は、法令遵守の徹底。  3つ目は、事務処理基準等の統一。  4つ目は、新たな収納目標の設定。これは不適正処理が起こり得る「反作用」にも留 意するとともに、適切なサポート体制もあわせて整備する必要があるということ。また、 収納実績を免除実績から切り離して評価する方法などが提案されております。  5つ目は、不適正処理が行われる可能性があることを前提としたシステムづくりを構 築すべきだということ。オンラインシステムにおける監視機能であるとか、幾つかの点 が提案されております。  35ページ、6つ目は、地方事務局に対する指導内容や照会に対する情報の共有と、か つ迅速な対応が必要だということ。  7つ目は、社会保険オンラインシステムに入力するに当たっての統一的な入力マニュ アルの作成が必要であるということ。  8つ目は、社会保険事務局の機能の強化を図っていくべきであるということ。  以上の8つの改善策が指摘されているところでございます。  吉岡室長 続きまして、資料3−1であります。ただいまの第3次調査報告書、検証 委員会の報告書、双方を踏まえまして再発防止策を整理したものであります。今後、可 能なものから順次速やかに着手していきたいと考えております。  2ページであります。第1点目は、法令遵守意識の徹底です。一番下の今後の取組み のところにありますように、外部からの法令違反通報窓口の設置、内部通報制度の活用 の徹底ということにつきまして、6月から開始させていただいております。  それから、4つ目の○にございますように、社会保険大学校におけるすべての研修、 あるいは事務局・事務所での研修におきまして、使命感の涵養、社会保険業務の基本を 徹底させつつ、事例集、事故リストを題材とした研修資料の活用を図りながら、法令遵 守研修のきめ細かな充実を図っていきたいと考えております。  また、法令遵守の理念、チェックポイントを職員がネームプレートの裏に記載するな ど、「見える化」しまして法令遵守意識の涵養を図るという取り組みも進めていきたい と考えております。  次に3ページです。2番目の柱として、業務の標準化・統一化の徹底です。  今後の取組みですが、今年の10月から全国統一の業務マニュアルの運用を開始いたし ますが、その精緻化、改良などをさらに進めていきたいと考えております。  また、3つ目の○にありますように、各種のパンフレット、チラシなどの類につきま しても全国統一化を図る。あるいは事務処理規定につきましても、事務局・事務所ごと の現在のものを廃止しまして、全国統一のものを策定する。  さらには、一番下にありますように、インターネットや電話による申請の受付けなど、 被保険者の利便性を考慮した新しい事務処理方式による申請について検討してまいりた いと考えております。  4ページ、システム的なチェック機能の強化です。  一番下にありますように、22年度末には、刷新システムにおきまして一定のチェック 機能が整備されるわけであります。ただ、それまでの間におきましても、現行システム において、統計的に整理し、異常数値を監視するシステムを開発したい。あるいは、国 民年金の免除等の申請書の入力等につきましては、共同事務センターに集約化し、受付 けと入力処理の分離を進め、このようなことが起きないようにしたいということであり ます。  次の5ページは、監査機能の強化です。  今後の取組みとして、この会議でも御議論いただきましたように、地方の監察官につ きましては、ブロック単位に集約化し、それまで所属していた事務局の管轄以外の事務 所の監察を行う仕組みをこの10月から導入したいと考えております。  また、抜き打ちの監査など、緊張感のある監査を行うことを含めまして、実施方式の 転換を図っていきたい。さらには、現在、継続審議になっております法案が成立しまし た暁には、特別監査官などにつきまして、現行の社会保険庁で先行実施をしたいという ことであります。  6ページは、ガバナンスの強化策です。一番下にありますように、本格的には、平成 20年10月設置予定の「ねんきん事業機構」におきまして、社会保険事務局のブロック単 位化が図られ、本庁のガバナンス機能の一部を分掌する組織に改めることにしているわ けですが、それまでの間におきましても、事務局のスリム化を図る一方で、現場経験の ある優秀な職員を本庁に登用し体制強化を図るという取り組みを進めていきたい。  それから、今回、端緒情報を担当者レベルから速やかに幹部や他の職員と共有できな かったという問題がありました。職員行動規範を改正しまして、日常的な業務執行ルー ルを明確化し徹底したいということであります。  次の7ページは、能力重視の広域人事等の断行です。今回の問題点として、かつての 地方事務官制に由来し、都道府県ごとに閉鎖的な人事が行われる、あるいは事務所長、 事務局長等につきましても人材の育成・登用ができていないという問題が改めて明らか になりましたので、今後の取組みといたしまして、人事政策の抜本的な改革を行いたい ということであります。  具体的には、事務局・事務所の幹部人事につきまして、事務局推薦による方式を改め、 本庁主導に移行するということ。年功序列等にとらわれずに能力本位の広域的な人事を 行うということ。また、幹部職員の育成のために、若いうちから第一線での配置等を進 める。事務所長等の任用につきましては、都道府県域を越えた人事異動を本格化させる。 事務所長等の地方幹部につきまして、民間人材の登用を検討していくということなどで あります。  最後の8ページです。検証委員会の報告書におきましては、再発防止策の1つとして、 新たな収納目標の設定ということが掲げられているところであります。私どもの第3次 報告書の結びにおきましても、一番下のところにありますように、今後、目標の具体的 なあり方については、例えば分子と分母とを切り離して、適切に評価することなどを検 討するとしており、検討を急いでまいりたいと考えております。  これを受けまして、資料3−2であります。業務改革プログラムにただいまの再発防 止策を盛り込む、そのための改定を行いたいということであります。  1ページをお開きいただきまして、まず、このプログラムの基本的な考え方でありま す。これまで3つの分野を最重要課題といたしておりますが、今回新たに、コンプライ アンスの問題につきまして最重要課題の1つとして加えたいということであります。  2ページ、(8)の能力重視の人事政策の断行ということも新たな分野として加えたいと いうことであります。  3ページ以下につきましては、ただいま申しました再発防止策を盛り込んでおります ので、説明は省略をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  佐藤座長 ありがとうございます。  それでは、この国民年金保険料の免除等に係る事務処理問題について、まず御質問が あれば御質問をいただき、それから、再発防止は大事な問題でありますので、そのあた りについてまた御意見をいただきたいと思っておりますが、これまでの御報告を前提に して、いかがでございましょうか。御質問ないし御意見があれば伺いたいと思います。  稲葉委員 新たに見つかった不正処理の中で、38ページの表の(I)の不在者登録処 理を行う必要のない者に対して不在者登録処理を行ったという、不在処理の問題ですが、 私も検証委員会の方のヒアリングに現地に参りまして、「ほかに不正処理を行っていま せんか」という質問をしましたら、不在者登録処理をやっているということが出まして、 しかもそれを非常に淡々とおっしゃったものですからびっくりしたという経験がござい ます。  今回のこの第3次調査報告書に関するマスコミの報道を見ますと、この不在者登録処 理というのは、これまで問題にしてまいりました不正免除処理よりある意味では悪質で あるということが書かれていたのですが、その辺、新たにさらに把握された不適正な処 理ということではありますけれど、この機会に御説明いただければと思います。よろし くお願いします。  鈴木課長 今、稲葉先生から御指摘のありました38ページの表の(I)でございます が、この中身につきまして多少御説明させていただきたいと思います。お手元の資料の 41ページの真ん中あたりにこの中身について多少解説があります。それもお目通しいた だきながらと思っております。  この不適正な不在者登録処理と申しますのは、まず、不在者登録処理自体の御説明で ありますけれど、これは具体的にはどういうものかと申しますと、これは法令レベルと いうよりは、私どもの事務処理の内規で決めているものでありまして、具体的には、例 えば居所不明の方、典型的に申しますと、住民票を残したままで転居をされて、どこに 行ったかわからないような方、これは現に多数いらっしゃるわけでありますが、こうし た方につきまして、普通の被保険者と同じ管理をいたしますと、いろいろな配達物、典 型的に申しますと納付書を含めましていろいろなものが一旦は送られますが、居所不明 で戻ってくるということで、これは事務処理上も非常に不効率になりますし、現にそこ の後にお住まいの方がいらっしゃったといたしますと、そういう方々に非常に御迷惑を おかけすることになるということで、そういうことは別管理、不在者として管理をする という枠組みを設けていたところであります。  しかしながら、今般、非常に不適正だということで判明いたしましたのは、この不在 者登録処理の枠組みにつきまして、この41ページでごらんいただきましたア〜オのよう な、例えば60歳まで保険料を納付いたしましても年金権が発生しない、いわゆる無年金 者なりその予備群の方々、こういった方々を初めといたしまして、こういう方々は本来 は住所がおありになる方々もいらっしゃると思いますが、こういった方々を不在者登録 ということで処理をしてしまっているということであります。  これについてもう少し申しますと、この不在者登録で処理をいたしますと、納付率と いう面では、分母・分子のうちの分母の方から除かれますので、結果として納付率が上 がるという効果も生じるわけでございまして、そのようなある意味、不在者の登録の枠 組みを乱用してこういった処理を行っているというものが、17年度処理の案件で約10万 5,000件あったということでございます。  佐藤座長 ということですが、よろしゅうございますか。  関連して、あるいは他の問題でも結構ですが、いかがでございますか。まず、いろい ろ御質問をいただいた上で、後でまとめてご回答をいただく方がいいかもしれませんが。  陶山委員 いろいろ御説明を伺ったり資料を拝見いたしますと、今回の事案発生の背 景として、組織風土、組織体質の問題が述べられております。一体性を欠いた組織であ ると。あるいは、業務企画とか業務管理が、本庁、中間組織、事務所、それぞればらば らに行われているというような指摘がされている。第三者委員会においても、あるいは 庁側の資料においても同様の指摘がされている。これは考えてみますと、社会保険庁が 全国組織であるという前提に立つならば、極めて異様な指摘であると言わざるを得ない。 普通であれば、こうした指摘がなされるということ自体が極めて大きな問題であるとい うことであろうと思います。  ここで言われている背景として、長年の組織体質として地方事務官制の問題が言われ るのですが、それは事実だとは思うのですけれど、既に制度廃止後かなりの時間を経過 しておりますから、人間の意識を直ちに切りかえるというのはなかなか難しいことでは ありますが、業務処理の上での外形といいますか、仕事のやり方、そうしたものを統一 化する、そろえていくということに当面エネルギーを割いていくことが必要ではないか。  具体的には、これは袖井委員や杉山委員からもかねて何度か御指摘があったように記 憶しておりますが、書式や規格の統一化の問題が、お話によりますと、事務所毎とか事 務局毎にいまだにばらばらに用いられているような状況があるように思います。また、 業務処理のマニュアルの問題についても、基本的なパターンについての全国的な統一処 理の徹底ということが必ずしもルールの上できちんとしていなかったのではないかとい う感じがいたしますので、そうした外形の面での全国統一化についてエネルギーをさら にかけていく、注力していく。個々の事案についての原因追求や分析も大事だとは思い ますけれど、今後のためにはそうしたことに対するエネルギーを十分に社会保険庁とし て意を用いていくことが大事だろうと思います。  袖井委員 資料2の報告書についてお聞きしたいのですが、24ページのあたりのとこ ろですけれど、所得情報が「ほとんどの市町村から」と書いてあって、情報が得られな い市町村というのは今どのぐらいあるのかということを知りたいということ。これは余 り大きな質問ではないのですが。  それから、その下の方の段のところで、「分母対策が重要であるという指示が出され た」ということが書いてありますが、これは具体的にどういう形で出したのか。この分 母対策が重要であるということを出してしまえば、それはやるでしょうねと。それぞれ の事務所で公正な形で分母を減らすようにやっちゃうんじゃないかと思うのですが、具 体的にどういう形でこの分母対策というのをなさったかということをお聞きしたいと思 います。  それから、これは感想ですけれど、全体として、「本庁は悪くない、本庁は悪くな い」というような書きぶりのような感じで、これもとっても気になるのですが、本庁に も非常にケアレスなところがあると思うのです。簡単にメールを転送してしまっている。 つまり、これはITの時代の怖さだと思うのですけれど、その辺のところでかなり緩み があったのではないかという気がするので、総体的に全部責任があるというような書き ぶりにしないと、国民の納得は得られないのではないかしらと、これは私の感想です。  前半の質問の部分だけお知らせいいただきたいと思います。  佐藤座長 ありがとうございます。  それでは、最初に、陶山委員の御質問、御意見について、どなたかいかがでしょうか。 まず、何に精力を注ぐべきかに絡んで御指摘があったわけですけれど。組織体質の問題 と絡む、それへの具体的対応策を考える場合に、事務処理やマニュアルの統一化その他 についてかなり徹底していかなければいけないのではないかという、外形面をきちっと 抑えていくという御指摘でしたが。これまでの業務改革の検討の中でもかなり指摘はさ れていますけれど。  鈴木課長 陶山先生から御指摘のありました点でありますが、私どもも全く身にしみ てそう思っておりまして、外形面からきちっとしていくという意味で、まさに御指摘の ありました書式・規格の統一ということをまず真っ先に今、手をつけさせていただいて おります。  そういう意味では、各事務所で、例えばいろいろな管掌なりお知らせでチラシという ものを配っておりますが、これもある意味自由にやらせた面がありますけれど、このチ ラシ一枚一枚に至るまで全国統一でやる。もし地域委譲で何か違うものを使いたいので あれば、これは一語一句本庁に協議をさせて、本庁がオーケーを出さなければその違っ たものは使えないというところまでまず徹底をして、迅速にやってまいりたいと思って おります。  それから、今、私が申し上げたことで申しますと、47ページに書いております社会保 険庁の第3次報告書については、後ほどまたお目通しをいただければと存じます。  次に、袖井先生の方から御指摘のございました所得情報のとれている市町村がどのぐ らいだったかということですが、これは今年度の時点で申しますと、8割以上の市町村 からいただけるようになっております。これは何月かによって違うわけでありますが、 去年の秋時点で申しますと、恐らく7〜8割の市町村は何らかの形で御協力をいただけ る状況になっていたのではないかと承知をいたしております。  その中で、2点目に御指摘がありました分母対策の重要性の指示ということでござい ますが、これは私どもは具体的には、各事務局・事務所に納付率の目標を持っていただ いて、それをどのように実現していくかという、その実現の仕方をそれぞれ事務局・事 務所から行動計画という形で上げさせていただいておりました。その中で、行動計画を きちんとつくっていただく上で、一つの注目点、柱といたしまして、分母対策というも のも大事だと。分母対策という言い方をいたしますとちょっと語弊がありますが、免除 というものに結びつけて年金権を確保していただくということも大事なので、ここも目 配りをすべしという指示をいたしたわけであります。  今から見ますと非常に言いわけめいて聞こえますが、当然、私どもは、これをやる上 できちんと申請書をとりなさいと。そして、申請書をとる上では足を使わなければいけ ませんので、土日なり夜間なりも活用してやるようにということもあわせて指示をいた していたわけでありますが、一方でこういった事態が行われていたことが見抜けなかっ たということにつきましては、まことに反省をすべきだと考えております。  袖井委員 分母対策として具体的にこういうのがあるということは、示してはいらっ しゃったのですか。  鈴木課長 具体的な形は1つだけでありまして、被保険者の方に出向いて申請書をい ただくと。あとは、いただき方として、時間帯ですが、今申し上げましたように足で行 かなければいけませんので、土日なり夜間を使う。そのために、職員のローテーション をどうするか、あるいはその超勤の問題をどうするか、こういったことについてはいろ いろな指示なり条件整備をさせていただいたところであります。  村瀬社会保険庁長官 1点、陶山委員の関係で私の方からちょっと申し上げたいと思 うのですが、先ほどの業務の統一化の遅れという問題でありますけれど、これは実は今 年の10月1日から業務マニュアルで統一的にやるということを決めておりまして、前回、 8月4日に全事務局からインストラクターを集めまして、10月1日から展開するという ことで説明をさせていただいております。したがいまして、用意はしていたのですが、 その前に残念ながら起こったという状況でございまして、当然のことながら、書式を統 一していって同じ基準で事務処理をやっていく、ここがしっかりやれていなかったこと は今回大きな問題だっただろうという認識をしております。  杉山委員 検証委員会の報告書の方ですが、例えば、32ページに、社会保険事務局の 機能が十分果たされていなかったというところなどにも、「本庁の指示に従わない社会 保険事務局の組織風土が明らかになった」とか、本庁の指示に従わない事務局の組織風 土が、「えっ?」みたいな、それで仕事って言えるんですかみたいなところがあるんで すけれど、この間ずっとそれこそ「変わります、変わります」と言われて議論してきて、 組織風土がまだあるんですかっていうと、もう本当になえちゃうというか、ちょっと悲 しくなってしまうんですけれど、そこでちょっと質問したかったのが、ここのヒアリン グに行かれた稲葉先生と小林さんは、この件はどうだったかなということをお伺いでき ればなと思いまして。お願いいたします。  佐藤座長 どちらからでも、どうぞお願いします。  稲葉委員 今、そういうふうにおっしゃられると、これまでの様々な改革プログラム というのは何だったんだと、まさにおっしゃるとおりなのですが、今回、現地ヒアリン グというのは事務局の幹部の方とそれぞれの事務所の幹部プラス職員の方に直接お聞き したのですが、主に事務局の仕事というのは指導監督という部分ではないかと思います。 にもかかわらず、むしろ今回の不適正な免除処理についてハッパをかけているといいま すか、しりをたたいているというところがありまして、私が回ったところは、そもそも 事務所が何をやっているかわからないという意味での怠慢ということでは必ずしもなか ったのですが、事務局によってはそういうところもあったようです。  ですから、不適正処理を、主導とまで言えるかどうかはともかく、かなりしりをたた いてやらせているというところがありましたので、そういう意味では、事務局というの は一体何のためにあるのだということを痛切に感じた次第です。そういう意味では、そ れは事務局の持っている地方事務官制度のもとでの、中央の組織とは違うのだといった 意識がまだ残っている、そういう意味での組織風土ということは言えると思うのです。 でも、「指示に従わない」というのはどうかなと思うのですが。実際、今まで、指示を してそれに従わなかったという話では多分ないと思うのです。  今回もその具体的な問題について、必ずしも指示があってそれに従わなかったという ことでもないと思うのですが、ただ、調査との関係では、確かに本庁の意図がくみとら れていない、それは本庁の調査のやり方にも問題があるのですが、そういう面はあった。 つまり、自分たちの都合のいいように受け取って、「違反がない」という答えをしたと いう面もあったかとは思いますけれども。  小林委員 何とも言いにくいんですけれど、私の印象では、とにかく本件については 社会保険庁本庁の方も一生懸命やっている、事務所は事務所でまた一生懸やっている。 そうではないところもあるかもしれませんが、私が接したところでは、それぞれの立場 で全力を尽くして能率を上げて、その他の目標を達成しようということで一生懸命やっ ているという感じがいたしました。  しかし、指摘されているようなことが起こってしまったということなのですが、最低 限のルールをどうしよう、こうしよう、守れ、守らないという、そういうところも含め た必要なコミュニケーションが本庁と事務所の末端とで十分にできている感じがしませ んでした。そしてそういうコミュニケーションを十分とるために一定の機能を果たさな ければいけない事務局は何となく右往左往しているだけで、「ハッパをかける」という ことを除けばコミュニケーションを図るという意味での付加価値をつけていない。つま り、それぞれが結果としては、てんでんばらばらの動きをしているという印象を強く持 ちました。  いずれブロック化されて事務局組織も新しくなるということですし、ミッションもよ り庁と一体となって事務所を指導していくというふうに変えていくということでござい ますので、それに期待したいし、それまでの経過措置として、今のあり方を少しでも改 善していただければいいのかなとは思いますけれども。  確かに、この「指示に従わない」という言葉だけとらえると、これは何を言っている のかというのはちょっとわかりにくいところかもしれませんが、私としては、事務局と いうもののミッションは何なのかということが、当事者を含めていま一つ理解されてい ないということを強く感じました。この関係ではですね。きちんとしたお答えになって いなくて申しわけないんですけれど。  杉山委員 小林さんがおっしゃられたような、事務局としてのありようとか、よく読 み込んでいないのですが、そういうのは再発防止策をやるとできるのでしょうか。再発 防止策はたくさんあるわけですけれど、本庁が「やります」ということが余りに出てし まうと、その間の事務局の問題というのが少し薄まってしまったりとか。補足でどなた か教えていただけたらなと思うのですが。  小林委員 それはこの再発防止策を本庁を中心にこれからおやりになっていく上で、 事務局というものをどのようにお使いになっていくつもりかということを少し解説して いただければ、見えてくるかなと思いますが、いかがでしょうか。  佐藤座長 そのあたりを含めて、いかがでしょうか。いずれにしましても、これから、 ブロック化の問題を含めて、今度は事務局の役割とか、今おっしゃったミッションとか、 そういうことが問題になっていくと思いますが。それで、今回のこれを契機にそういう ものを十分盛り込んで対応できるようなものができればいいのですが。  特に事務局の方で、今のやりとりに対してお考えがあれば、どうぞ。  総務課長 再発防止策としていろいろ予定しているものをやることによって、事務局 が期待どおりの方向に変わっていくのかということでありますが、私どもはまずもって、 そういう期待感を持ってはいるわけでありますけれど、現在、国会に提出している法案 が成立いたしますと、地方の組織というものが大きく再編されることになります。47も あるものが、8つ〜9つぐらいのブロック局に再編されるわけであります。問題は、そ のときにブロック局の役割というものをどのように考えるかということだろうと思いま す。  現在は、地方事務官制度のいわばおりを随分引っ張る形で47の事務局が存在しており ます。事務所を統括するといいましても、各県における地元のいろいろな考え方、ある いは事務の執行を優先的に進めるための存在として、実態的には事務局というのは調整 機能を果たしているのだろうと思います。  そういう意味で、本庁のガバナンス機能を今きっちり担ってもらっているかといえば、 必ずしもそこまでの形にはなっていない。どちらかといえば、本庁採用の人間が事務局 長なり課長という立場で行ったときにも、人事にせよ、重要な業務執行にせよ、彼らが 持っているノウハウなり、あるいは判断、そういったものに依拠するような形で動いて きているというのが現在の47の事務局の実態ではないかと思うのですが、この実態を再 編を機に改めたいと思っておりまして、本庁が持つべきガバナンス機能をブロック局の 方に大きく委譲、あるいは分掌するような形で一つの組織のありようというものを大き く改めていきたいと思っています。  そのことと不可欠な形でかかわらせていかなければいけないのが、広域的な人事異動 というものでありまして、今回も再発防止策の一つの柱ということで打ち出させていた だいておりますが、例えば一定レベル以上の幹部になる場合には、他県なり本庁の飯を 食うというような経験をしていることとか、いろいろありますけれど、そういうことで 若いうちからほかの県の方々とのせめぎ合い、あるいは交流の中で、より広い視野を持 つような人材育成を行うということを目指す広域異動、こういったものも柱としてかま せながら、ブロック局そのものも、本庁ガバナービリティの分掌化ということも実現す べく取り組んでいきたいと思っております。  十分なお答えになっているかどうかわかりませんが、以上です。  村瀬社会保険庁長官 補足になるかどうか、私の方から少しお話しさせていただきま す。  今回の問題で、本庁の仕事のやり方、事務局の仕事のやり方、事務所の仕事のやり方、 それぞれ大きな問題はあるのだろうと思います。その中で一番大きいのは何かといいま すと、先ほど袖井先生がおっしゃったように、本庁の方は通知を出して、「こういうふ うにしなさい」という形で枠組みを決めるわけですね。そうすると、枠組みを決めたと きに、それをだれが実施するかというと、現場なわけです。そうすると、現場の事務 局・事務所が実施をする場合に、具体的にそれが十分なされていたかどうかという結果 検証の部分が果たして十分であったかどうかというのは、大きく問題があるのだろうと 思っています。  一方、実際の実務という観点からいきますと、事務所に私の権限を相当渡しているわ けです。そうしますと、事務所長というのは国民の皆さんとの関係でいくと最後の処分 権者なんですね。そういう処分権者になる人は、それ相応の能力の人が全部そろってい ればいいわけですが、今回、312の事務所のうち、事務局にも何も話をせずに実施して いるところがいっぱい出てきているわけです。そうしますと、この312の事務所長を選 ぶ選び方を根本的にかえていかないと、組織上はうまくいかないと。  もう1点、では、現段階で事務局の幹部の人たちはどうかといいますと、社会保険庁 の本庁から行った局長と、現場上がりの次長、総務課長、保険課長という、これは現場 の所長経験者でそれなりの人たちが来てやっているわけです。では、その人たちがどう いう権限下で仕事をやっているかというと、事務局内人事はコントロールしていますけ れど、事業という観点からいくと、余りかかわりはないわけです。ここは中間にそうい う人を置いていく必要はないということで、今回の機構法案でも、県の局をやめてブロ ック化をして、そこをよりスリム化して、そこにもっとガバナンスをきかせる仕組みを つくらなければいけないと。  そして、そのときには、庁の役割を場合によれば局へドドッと落としてもいいと。そ こはどういう落とし方をするかはまだ議論はしていただいていないわけですが、今後、 組織設計する段階ではそこは非常に大事な部分なのだろうと思っています。  したがって、これから早急にやらなければいけないことは何かといいますと、我々の 仕事というのは人で成り立っている組織ですから、人の育成の部分について思い切って 手を入れていかないといけないだろうと思っていまして、そういう点では、事務所長の 選任・選抜、そしてなった以降の教育、ここについては徹底的にメスを入れたいと。  したがって、その部分が今回の再発防止策の私は最大の課題だろうと思っています。 その一つが、今まで局単位で動いている部分を広域人事をやることによってくしを刺そ うと。監察関係についても既に、ブロック内ですけれど、同じ事務局内での人が監察に 行かないのだと、こういう仕組みをこの10月から取り入れるわけでありまして、そうい うことをやりながら変えていくというのが一番の早道なのではないかなと考えておりま す。  したがって、局自体は、先ほど御質問がありましたように、十分機能を果たせていな かったというのは、これは逆に庁の方も果たさせるような役割を担わせていなかったと いうことで、両方あわせて反省材料と考えております。  袖井委員 そうすると、今後、採用はどのようになるのでしょうか。  村瀬社会保険庁長官 採用は、国家公務員の場合ですと、地方と東京とで違いますよ ね。したがいまして、現在もそうですけれど、ブロック採用という形になっていまして、 例えば東北6県であれば東北ブロック採用という形で、これは平成12年からそうなって います。ただし、現実的に人事はどうなっているかといいますと、ブロックでは採用し ていますけれど、例えば岩手で入った人は岩手用にとりあえず配置で、「今度、秋田へ 行ってよ」とか「青森に行ってよ」ということでやっていますが、岩手が自分のすみか みたいな感じになっていると。これは基本的には東北ブロックということですから、ブ ロック内のすみかになるという変わり方になろうかと思います。  本当は全部本庁採用にして、「君、東北へ行きなさい」とか、「君、北海道へ行きな さい」ということができればいいのですが、それは国家公務員の場合は残念ながらでき ないということで、それは逆に言えば、ブロック採用者からいい人を本庁採用に変えて いくという仕組みをつくっていけばいいのだろうと。昔は現実にそれを社会保険庁もや っていましたし、実は今年の4月は本庁採用者はゼロにしたんです。全国では200人ぐ らい採用しているでしょうか、全部地方局採用にしたんです。それはなぜかというと、 将来的には、そういう中からいい人を本庁へ引き上げてくればいいのだろうと、こうい う意向もありまして、試しにやってみたのですが、ただ、今後どうしていくかというの は、人員削減との関係もありますので、最終の方向はまだ決めておりません。  稲葉委員 地方試験で本庁に任用するというのはできるようになったんじゃないでし ょうか。  村瀬社会保険庁長官 人員の枠がありますから。  稲葉委員 もちろん、本庁枠ということで。  村瀬社会保険庁長官 いえ、採用として、例えば全国1本で300人採用して、「あな たはこっちよ」「あなたはあっちよ」ということはできないんです。あくまでもこの地 域はこの地域で何名採る、この地域で何名採るという採り方をしていますので。それは 全体定員が地域ごとにありますので。  稲葉委員 だから、本庁枠というのをつくって、II種の採用をすればいいわけですよ ね。  村瀬社会保険庁長官 それは本庁で配属を基本にしなければいけないですよね。  木村委員 先ほどから御説明を伺っていても、稲葉委員と小林委員の現場でのお話等 を聞いても、一言で言って非常に不可解という感じしかしないんですね。どうしてそう いう発想に立つのだろう、どうしてそういう行動に出るのだろう、どうしてとめられな かったのだろうとかと考えていきますと、もしうちの会社で起きたならばどういう対応 をするのかなと、こういう視点で考えてみますと、例えば、この中に担当課長が重圧を 感じていた事例があったという報告になっていますが、これは重圧を感じてくれないと 困るんですよね。重圧を感じて仕事をしてくれないと困る、重圧を感じて変なことをし てもらっては困る、重圧を感じない人がいちゃ困る。  感じてもらわなければいけないのだけれど、うまくそれを仕事に結びつけていくため にはどういうことをするのか。そう考えますと、何となく距離が遠いのかなという感じ を持つんです。例えば、本庁のガバナンスをブロック局に委譲して、そのブロック局が というお話がありましたけれど、本庁の方で出す指示がどのように現場まで伝えられて、 それを理解しているのかというのは、ひざを突き合わせて話をしてみないとわからない ところが多いと思います。  村瀬長官が何度も現場に足を運ばれているのも承知しているものですから、それでま たわからなくなってしまうということもあるんですけれど、やはり相互の意思疎通が何 らか不足していたのではないか。それをもうちょっと充実するということが一つの解決 策になるんじゃないかなと。そういうことを感じます。  今回、こういうあるところでやられていた事例を聞いて、「じゃあ、うちの事務所 も」というふうにやってきたと書いてありますけれど、そういうことを聞いてもやらな かった事務所、聞いていなくてやらなかったところもありますね。それはどういうこと でそれが抑止されたのだろうか、その抑止された要因を育てるというのも変ですけれど、 そういうところもお互いに情報を交換し合うことが大切だと思います。  それから、転勤の話がいろいろ出ていますけれど、私ども私企業の場合は、当然、転 勤等々はつきもので当然だということになりますが、公務員の方という中での制約をで きるだけ取り払うような形で、長く同じところで同じ人たちがいつも顔を合わせて仕事 をしない、こういうところも工夫をしていかないと、長官が一生懸命に、そのほか本庁 の皆さんが一生懸命によくしようとされているのが、どうも現実に生かされてこないと いうことで、残念なのですけれど、今回のことで徹底的に一つずつよかったこと、悪か ったことを整理して、よかったことを伸ばして、悪かったことを二度と起きないように する、こういう抜本的な対策が必要だなと思います。私の会社で起きたらそういうふう にするなと思います。  佐藤座長 ただいまのような御意見ですけれど、事務局の方からございますか。  村瀬社会保険庁長官 今回、8月3日に公表させていただいた以降、全職員に私から メールを打っているんです。今回起こったことに対して我々の組織がどのように見られ ているのかということを含めまして、打ちまして、その最後に、全職員から、これが一 たん落ちついた段階で建設的な意見を直接私あてにくれるようにということで、これは 「リスタートプロジェクト」という形で事務局をつくりましてやろうということで進め ておりまして、全職員から、もう後ろ向きなことは要らない、建設的な意見を自分とし てどう思うかを出してもらうと。これが1点目です。  2点目に、今回の問題で、まず組織内のコミュニケーションができていないというの は、いろいろなところで御指摘をされているわけですね。したがって、組織内コミュニ ケーションをしっかりやる仕組みを、例えば、事務所であれば事務所長と全職員と、こ れはパート・アルバイトも含めて、全員との1対1の面接をやれと。そして、その面接 の中身でどういう話し合いをするかというのはこういうことだということまで踏まえて やってもらおうと。  同じことが、現在、まだ局がありますから、局の幹部、特に事務局長ですけれど、最 低限、事務所の課長以上、職がついている人間との1対1ミーティングをしろと。こう いう形で組織内での情報の共有化をしっかりやれる仕組みをつくるだとか、いろいろな 手だてを講じていまして、そういう積み重ねでインフラをつくっていかないと、いかに 施策を出しても上滑りになるだろうと思っていまして、これを今展開したいと。  ただ、今回、処分、人事という形で人が9〜10月にかけて大幅に動きますので、これ はタイミングが非常に難しくて、現段階でやれといっても、言葉は悪いですけれど、 「もうこの人はかわるな」と思っている人に一生懸命ミーティングしてもらっても困る わけですよね。したがって、それは時期を見て、どういう打ち出し方をするかというこ とをしっかり考えたいと思っています。  大山委員 今までのお話をさらにシステム面から見たときに、考え方が統一されてい ないなという気がするので、一つ指摘をさせていただきます。  最初に、資料2の報告書で、これはちょっと違う位置づけであるとは思うのですが、 34ページの5番で、「不適正処理が行われる可能性があることを前提としたシステムづ くり」と書いてありますが、ついにここまで来たかという印象を受けました。通常、事 故または過失を避けるための技術的な方法は多数あるのですが、故意、すなわち恣意的 に行われる不正に対して、これを防止するシステムをつくるというのは、簡単なことで はありません。  なぜならば、データ等の修正に関する権限は、誰にも無い、すなわち誰の言うことも 聞かないシステムを作ることになるからです。このようなシステムでは、すべての履歴 を残し、それらの書きかえができない仕掛けを組み込むことになります。ここまでのこ とを本当に思われているのかを確認させてください。  一方、資料3−1、4ページの下の枠で、今後の取り組み(再発防止策)のところで すが、最初のところは平成18年度中、その次は平成18年9月から、その後が22年度と、 刷新システムの話が分けて書いてあります。  これを見ると、現行システムにはいろいろな問題があるので、ある程度は仕様が無い と思うのですが、少なくとも、例えば先ほど陶山委員から指摘のあった様式の統一にも 関して、OCRによる処理を必須化する時に、ばらばらな様式の申請書や届出書にOC Rで対応しようというのは、時代の逆行になると危惧します。入力はもともと情報が発 生したところで行うのが一般的なやり方なのに、わざわざ紙にして、それをOCRで再 入力する、それも今度は業務センターを別につくってという話は、業務プロセスを複雑 にするだけに見えます。  これは、ほかの人の目が入るようにするために、こうなっているのかもしれませんが、 投資された22年以降のものについてもスキャナー装置云々と書いてあるところは、考え 方がいま一つすっきりしません。先ほど言ったように、「不正処理が行われる可能性」 を想定しているのであれば、技術と運用を上手く組み合わせて目的を達成することが重 要です。この観点から、今回の案がどのように考えて決まったのか、教えていただきた いと思います。  佐藤座長 ということですが、どなたが回答していただけますか。どうぞ。  中野課長 御指摘の点について御説明させていただきます。資料3−1の4ページを ごらんいただければと思いますが、私どもは今、業務の改革をシステムの改革とあわせ て行っております。その際、ここにありますように、共同事務センターへなるべく事務 を集約して、それによって効率化を図るということとあわせて、受付と入力処理の分離 をすることで、先ほどお話がありましたが、別の人間が処理にかかわるということで、 不正の発生を防ぐ効果もあるだろうと考えております。  それから、ここで具体的にOCRと書いておりますのは、文書で提出がされるものが 全くなくなるということはないであろうということを前提に、「OCRまたはスキャナ ー装置による読み取り」と記載をいたしておりますが、電子媒体で事業所から御提出い ただいたものについては、当然、そういった形で処理をしていくということで考えてお ります。  それから、決裁権限の部分でありますが、できるだけ機械処理、あるいは外部の委託 という形で仮入力をし、責任を明確にして、だれがその処理を行ったのかが明確になる ような電子決裁システムのもとで入力が最終的に完結をする。そういうシステムを構築 することで、現状よりも不正な処理を行う可能性が減っていくであろうと考えて、こう いう仕組みを業務刷新の検討の過程で整備をしてきたということであります。  村瀬社会保険庁長官 現在の仕組みで、免除の処理につきましては、一つは事務所の 端末で入力ができるというルートと、事務局の集中センターでOCR入力ができるとい う、2つのルートを持っているんです。これは緊急性の問題と人員シフトの問題で、実 はどこの事務局・事務所はどうなっているかというのは明確に決まっていないんです。  今回、事務所で直接入力したときにどういう問題が起こったかというのは、それには 実はチェックシステムが入っていませんで、ただ入力をして目で検査するという形で、 本来、免除該当者ではない方に対しても免除承認証を出してしまったと、こういうミス が起こったわけですね。  それから、勝手に事務所で免除を承認してしまったということで、多量の本来免除を 申請しなくてもいいのが、チェックが効かずにしてしまったと。こういう問題が起こり まして、現在の機能でOCRで事務局でやっている部分については、所得情報の金額チ ェックができる仕組みになっておりますので、それにもう集中させてしまおうと。新た にシステム開発してやるというのではなくて、既存の持っているシステムの中で、問題 が起こらない仕組みの方へシフトしてやろうというのがこの考え方なんです。したがっ て、新たに集中してOCRにしてという考え方ではなく、既存のシステムを活用してや っていくというふうにお考えいただければよろしいのではなかろうかと思います。  大山委員 そこまでの状況は、ある程度は理解できますが、それにしても、例えば平 成18年度中のところでいうと、「統計的に整理し、異常数値を監視するシステム」と書 いてあります。「コスト面に留意しつつ」と書いてあるのでこれも理解できますが、ど のくらいの効果があるかという分析は出ているのでしょうか。  それから、平成22年度末以降の新しいシステムにおいても、「入力業務は集約事務セ ンターに集中化する」と書いてあるので、この業務は変わらないという前提になります。 さらに、「スキャナー装置等により仮入力した上で」と書いてありますが、これらの業 務は、だれが何に対してどういう行為をしたかがはっきり残るようにつくるべきもので あると思います。それぞれの作業をする人が識別される形で、なおかつどの役割あるい は権限を持っているかをしっかり整備し、それをさらにワークフローにすることが必要 です。だれかが行ったものをほかの人が再確認する、こういうことで誤入力を含めたい ろいろなことをチェックする仕掛けをつくるのが一般的であると思うのですが如何でし ょうか。ここを徹底するのであれば、今度は、最適化計画が変わりませんか、というの が気になります。これらのところがどうなのかということをお聞きしたいと思います。  中野課長 この基本的な考え方は、私どもの最適化計画の考え方に沿って整理をいた したものであります。  4ページの資料の中の「コスト面に留意しつつ、異常数値を監視するシステム」とい う部分でございますが、現行システムの中でできる範囲で当面考えていきたいと考えて おりまして、まず、どういう統計的な数値を監視していく必要があるかをきちんと整理 をいたしまして、それに簡易な分析の数値を出す、そういったものを当面のものとして まずつくろうということで、この部分は、そういう意味で大きな予算・経費をかけない で対応できるぎりぎりのものを探していきたいということであります。  大山委員 済みません、もう一つだけ。今の件で気になるのですが、最適化計画に沿 ってとおっしゃいましたが、もしそうだとすると、報告書の資料2に出ていた「不適正 処理が行われる可能性がある」ことを前提とした最適化計画をつくっていたということ になります。そこは全く違うということなのでしょうか。  同時に、平成22年度以降のシステムについても、資料3−1の4ページの先ほどから 言っているところですが、これについても、最適化計画をつくっている時点で、もうこ ういうことがあるという想定があったということですか。私は、そう理解していないの で、もしそれが新しく今回起きたことに対する対策だとすれば、最適化計画に追加する のが必然です。  ですから、反映させる必要があるのではないかと申し上げています。さらに、将来的 にはもっと大きく変化していく可能性もあるので、そこのところを見直す必要があるの ではないですかと申し上げたわけです。  中野課長 資料2の方につきましては、検証委員会の方から御提言をいただいたもの であります。こういった観点でシステムづくりをしっかり考えるようにと、こういう御 指摘をいただいたということであります。  それで、私どもは、今、最適化計画に基づくシステムの構築を進めている途上であり ますので、こういった検証委員会の御指摘、それから今回発生してしまったこういった 事案について、予防的、防止的な観点もさらに加えながら、詳細なシステムの計画設計 を進めていくという形で取り組みたいと考えております。それを最終的に最適化計画の 文言に反映させる必要があるかどうか、そういった点については検討をさせていただき たいと思います。  佐藤座長 今、議論がどこへ集中しているかといいますと、資料3−1の今後の再発 防止策ですよね。それぞれ御指摘の項目が上がっていまして、それを具体的にどう進め るかという話だと思います。そして、今のシステムの問題も、さらにいろいろな御意見 が出ましたので、もう一度見直す必要があれば見直していただけるでしょうし、このと おりやれるのであればやっていただけるでしょう。そういうことで今日は受け取らせて いただいて、対応していただくということになるかと思います。  まだいろいろ御意見はおありかもしれませんが、この資料3−1をもう一度ごらんい ただきまして、国民年金保険料の免除等に係る事務処理問題を踏まえた再発防止策につ いて、基本的にはこの枠組みで進めていくということを御了解いただいた上で、きょう いろいろ御意見がありましたので、それをさらに検討課題にしていただいて、手直しす べき点があれば手直しをすると。そういう形でいかがでしょうか。  稲葉委員 確認ですけれど、資料3−1の7ページの今後の取組み(再発防止策)の 3つ目の・ですが、「また、幹部職員の育成のため、若いうちから第一線での配置等を 行う」というときの、この幹部職員というのは、その上は「事務局長等の事務局幹部」 と書いてありますが、社会保険庁全体、要するに本庁の幹部になる人も含めてという理 解でよろしいですか。  佐藤座長 そういうことでよろしいですか。  村瀬社会保険庁長官 はい。  佐藤座長 ということのようですが、よろしいですか。  稲葉委員 ええ。  佐藤座長 まだいろいろおありかもしれませんが、それでは、特にシステムのところ は、むしろアドバイスができるのであればお願いします。  稲葉委員 その点も含めて、一言。34ページのシステムというのは、これは何もオン ラインシステムのことに限定して言っているわけではなくて、いろいろな体制という意 味でシステムと、その一環としてオンラインシステムも一つだけ触れていますけれど、 そこのところは整理が必要かと思いました。  村瀬社会保険庁長官 今、たまたまシステムの件で座長の方からもアドバイスがあり ましたが、大山先生の方にこれから、当然、まず社会保険庁としてやらなければいけな いことは、18年以降のシステム刷新のところですから、ここのところについては現在計 画から設計の方へ移ろうとしておりますので、ここは十分先生とも相談しながらさせて いただいている部分でありまして、ここもまた適宜アドバイスをお願いしたいと同時に、 前項の18年度中というのは、現行システムで最低限の直しでもってチェックが効くよう なことがどうできるのか、もし仮にシステムで対応しなくても、どこを見にいけば目で もチェックできる仕組みができるのかどうかも含めて、ここは我々としてもしっかり見 ていきたいと思いますので、またそこの知恵をお貸しいただけたらと思います。  それから、2点目の○は、現行システムを使いながらチェック機能を効かすことによ ってミスをなくしたいと。それをいろいろなところでやっているものを統一してしまい たいのだということでありまして、新たにシステムをつくる、つくらないではなくて、 まさに事務処理の問題だと考えておりまして、そのルールがはっきりしていないために 今回起こったのだということでありまして、そこらあたりも含めてまた御相談をさせて いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  木村委員 大山先生もずっと、これだけ膨大なシステムは大変だということで、非常 に責任感高くやっていらっしゃるので、よりそういうお話になると思うのですけれど、 これからITなどの流れやシステム的な物の動きがこういう方向へ向かっていくだろう というのに逆行するような形になると、非常にシステム的に難しいということをおっし ゃっているのだろうと思います。例えば私どもでは、引っ越しなどで電話を受けたりす ると、だれが受けたというのは全部チェックしていまして、そのお客様に、「この対応 は満足だったかどうか」というのを全部に尋ねているんです。2割ぐらいの人から回答 が帰ってきて、この人の満足度はどの程度かというのをその個人ごとに全部チェックし ます。それで指導します。  そういうことなども含めてやってみると、またいろいろな展開も変わりますので、基 本的な大きな方向性を変えずに、そういう仕組みを取り入れるということで、改善はい ろいろできると思います。大道を見失わないような直しとコスト感覚を持って推進され ていかれるとよろしいのではないかと思います。  佐藤座長 そういうアドバイスでありますので、当然、御検討いただけると思ってい ます。よろしくお願いいたします。  実は4時で終わることになっておりますが、少し時間を超えるかもしれません。そこ で、中途ですけれど、大臣の次のスケジュールの関係がございますので御発言をいただ きたいのですが、大臣の方は大丈夫でしょうか。あとは業務改革の問題がありますので、 そちらを先に片づけましょうか。  それでは、ただいまの再発防止策については、基本的に御了解いただいたということ で取り扱わさせていただきます。本日の御議論をさらに反映するという前提でございま すので、可能なものはよろしくお願いいたします。  引き続きまして、業務改革のプログラム、そして法案の審議経過の御報告をいただき たいと思います。よろしくお願いいたします。  吉岡室長 資料4−1であります。業務改革のフォローアップの第3回目ということ で、それぞれ直近のデータに修正させていただいております。  1ページ、長官へのメールにつきましては、この6月末現在で9,100件、1万件近く の国民の皆さん方からの御意見をいただいているという状況になっております。  次に、3ページですが、(1)にありますように、この3月末からIDパスワード認証方 式によります年金加入記録の即時提供ということを開始しました。3〜6月の間で11万 6,000件の申し込みをいただいております。 また、(4)にありますように、ホームページでの年金見込額試算につきましても、3〜 6月の間であわせまして5万件強の受付けをいただいております。  これらにつきましてはさらに周知に努めていきたいと考えております。  飛びまして、7ページ、保険料収納率であります。18年4月現在で対前年同期比 4.2%増という収納率の数字ではありますが、ただ、これにつきましては、今回の不適 正処理による部分が含まれておりますので、この影響を除いた実績値をできるだけ早期 にとりまとめていきたいと考えております。  次に9ページの国民年金保険料の強制徴収につきまして、17年度の着手分であります。 最終催告状は17万件余、財産差し押さえにつきましては2,600件余という状況になって おります。 10ページ、下の段、未適用事業所の適用の推進であります。これにつきましては、政 管健保、厚生年金の関係であります。重点加入指導の対象を従業員15人以上の事業所に 拡大し、また、加入指導を重ねてもなお届け出を行わない従業員20人以上の事業所に対 しましては、職権適用を17年度から開始しております。ごらんのように、4,000を超え る事業所、あるいは11事業所に対する取組みを行ったところであります。  次は、11ページ、予算執行の無駄の排除であります。調達委員会をごらんのように開 催してきたところであります。  一番下にありますように、調達コストの削減目標は17年度10%以上と設定しておりま したが、こうした取組みの結果、調達計画は12%の削減、額にいたしまして154億円の 削減を図ることができたという状況になっております。 資料4−2は、項目ごとに詳細な状況を整理したものでありますので、また後ほどご らんをいただければと思います。引き続き、しっかりと業務改革を進めていきたいと考 えております。  続きまして、資料5「社会保険庁改革関連法案の審議状況等について」であります。 この会議で御議論いただきました改革関連法案につきまして、資料の下の段にあります ように、3月10日に国会に提出をさせていただきました。その後、衆議院の本会議での 趣旨説明質疑、そして厚生労働委員会での質疑が2日間にわたり行われたところであり ますが、そうしたさなかにこの免除等の事務処理の問題が生じたわけであります。  そして、6月16日には、この問題についての集中審議も行われたわけでありますが、 結果として、衆議院でこの法案につきましては継続審議という取扱いになったところで あります。  2ページです。一方で、健康保険法等の一部改正法案でありますが、この中で、政管 健保につきましての公法人化が盛り込まれているわけであります。健保法につきまして は、下にありますように、6月14日に可決成立し、公布されているという状況でありま す。 したがいまして、政管健保の公法人化につきましては、平成20年10月に行うこと が決定されているという状況であります。  引き続き、改革関連法案の早期成立に向けまして、取組みをさせていただきたいと考 えております。  中野課長 引き続き、資料6を説明させていただきます。私どもは、年金相談体制の 特別強化を考えております。  1ページの囲みの部分をごらんいただきたいと存じます。  社会保険庁では、平成9年1月に年金制度間に共通する番号として基礎年金番号とい うものを導入いたしました。これによりまして、それまで、国民年金、厚生年金という ことで手帳番号などがばらばらになっておりましたけれど、これが統合され、それによ りまして年金相談等が迅速に行われるような体制ができてまいったわけであります。そ の際、かつて複数の手帳番号をお持ちの方には、お申し出をいただくようにお願いをし、 お申し出をいただいた方につきましては、平成10年度から順次照会を行いまして、基礎 年金番号収録という作業を行ってまいりました。  また、平成16年度以降、2番目のパラグラフにありますようなさまざまな年金個人情 報提供の取組みを行ってまいったところであります。しかしながら、このたび、国民年 金の保険料免除に関する事務処理の過程で、年金記録をずさんな取扱いをしていたとい った実態もありまして、そういったことが年金記録に対する不安をお与えした面があろ うかと思っております。こういった点について心からおわびを申し上げるとともに、そ ういった不安や御疑問を少しでも解消していただくために、本年の8月21日から12月末 まで、年金記録相談の特別強化体制というものを設けることといたしました。  手続の流れが書いておりまして、資料の1〜2ページに、私どもで用意をさせていた だいている様々な年金個人情報提供の手段がありますが、その紹介が記載されておりま す。  3ページをごらんいただきますと、(2)にありますように、年金加入記録を御確認い ただいた上で、記録について疑問がある場合には、社会保険事務所の御利用をいただき たい。その際、資料などをお持ちいただければということがあります。  そして、それを踏まえまして、4ページでありますが、社会保険庁本庁に年金記録審 査チームというものを設けることとしたいと考えております。記録の有無等につきまし て、社会保険事務所で調査確認した後に、御本人の申し立てによりまして、社会保険庁 本庁でも記録訂正の要否について判断をいたしたいと思っております。これまで事務所 では、保険料を納付したことを証明する領収書の提出などを求めておりましたが、それ に限らず、預金通帳など何らかの資料の御提出がいただければ、それに基づいて社会保 険庁本庁のチームで徹底的な調査を行い、記録訂正の要否の判断をさせていただく。こ ういう取り組みを始めたいと考えております。  4ページに実施体制を記載しておりますが、事務所における責任体制の明確化等をい たしまして、現場での対応を徹底してまいりたいと考えております。  佐藤座長 ありがとうございます。  ただいまの業務改革プログラムにつきまして、もし御意見があれば伺いたいと思いま す。あるいは法案の審議経過の御説明がありましたが、特に御質問があればいただきた いと思いますが、いかがですか。  杉山委員 これに直接ではないのですが、この機会を逃すともう質問できないのかし らと思ったのでちょっと聞きたかったのですけれど、けさの朝日新聞の1面に、非正規 雇用の方の保険のことに関しての報道があったかと思いますが、急いで読んで出かけた ものですから、その点に触れていただけたらなと思いまして。  川崎厚生労働大臣 我が国の基本的なスキームから申し上げますと、10年前には正規 雇用の人が3,800万人ぐらいいたわけですが、今は3,200〜3,300万人と500万人ぐらい減 っております。一方で、最近、有効求人倍率は随分増えてきておりますので、いい傾向 にはありますけれども、非正規雇用の採用が多い。これが現実の姿であります。  特に、今、失業率は大体4%ぐらいですけれど、お年寄り、例えば60才を過ぎた方々 が働きたいという場合、やはり失業率は4%ぐらいで、そういう意味では、お年寄りの 方々の雇用というのはこの2〜3年間の中で企業が60才を超えても継続雇用すると。働 き方は変わってきていますが、そこは変わっていない。  若者は、一時、10%ぐらいの失業率でありましたが、今も8%を超えております。特 に今年の就職状況を見ますと、高卒も大卒も相当な数が上がっていると。したがって、 どこにたまっているかといいますと、5年前、10年前に大学を出た、高校を出た、就職 しようとしたけれど企業が極めて厳しい時代で、リストラをやっていた時代ですから、 新しい人を雇う余力がないという時代に、なかなか就職に結びつけなかった方々が、今、 フリーターとよく言うわけですけれど、35歳ぐらいの年まで来ちゃっているんです。要 するに、だんだんフリーターの高齢化という現象になってきまして、ここのところをど う解消していくかというのが一番問題です。  一方で、相当な雇用に対する需要側のニーズは出てきているのですが、なかなか正規 雇用まで踏み込んでくれていない。この問題で厚生労働省として2つの切り口があるん ですね。1つは、雇用の状態において、派遣ではなく、偽装請負ということで、派遣で いきますと必ずその会社の、工場のコントロール下に入るわけですけれど、請負でした ら自分たちが管理して仕事をさせなければならないのですが、実は派遣と一緒のように して、その工場の傘下の中に入ってしまうと。  こういうものについて、できるだけ正規雇用にかえてもらうように、もしくはルール どおりの派遣ということになりますと、1年もしくは3年ずっと派遣して継続雇用が続 いていれば、正社員にしてくださいと、こういう話になってまいりますから、そういう 形で、できるだけということで、各労働局単位で企業に対して、非正規から正規へとい うことで指導をいたしております。それが大メーカーを中心にしながら名前が出ている のは、皆さん御承知だろうと思います。  もう一つの問題は、そういう非正規雇用の形態でありながら、現実は労働時間でいえ ば30時間、40時間のうちの4分の3やっていれば、厚生年金の適用をしなければならな い。したがって、社会保険を適用しなければならないという状態にありながら、はっき り言えば、請負のまた2次下みたいな話があって、実は4次下ぐらいまであるのですが、 そこの段階では、健康保険と厚生年金でございますが、この両者に加入させないでいる、 要は企業側の負担を避けるためにしない。あなたは国民年金に入りなさい、国民健康保 険で処理しなさいと、こういう形が行われている。  こういうことがあってはなりませんよということで、実は昨年来ずっとこの指導を続 けてきています。ただ、ある新聞社が今月キャンペーンのように書いていただいている と。国会で私が何度も御答弁申し上げているところで、強く社会保険庁も労働局サイド も働きかけをさせていただいている。あるメーカーの話は、去年の8月ごろに指導した 話が、実は今日出てきているというのが実態だろうと。ただ、改善は進んでいるという ことは間違いないだろうし、それが社会保険庁の中の一つの大きな仕事だと思っていま す。これを分母対策と言われると困るんですね。これは一番大事な仕事なんです。  やはり厚生年金に移ってもらう、企業も負担してもらう。これがかなり今乱れている ということは事実でございまして、そんな記事がこの1週間ぐらいずっと朝日新聞に載 っていますでしょう。何も私どもが書いてもらっているわけではありません。去年から 私どもが努力していることを書いてもらっているということでございます。  佐藤座長 それでは、先ほどの業務改革プログラムのフォローアップがありますが、 これは特によろしいですか。  法案の審議経過についても、特段何かあれば別ですが、皆さん、よろしいですか。  それでは、もう時間が過ぎましたので、あとは大臣と長官から、もし御発言があれば いただきたいと思っております。  川崎厚生労働大臣 この5月に緊急にお集まりいただきまして、また、8月の暑い中 をこうして委員の皆様方にお集まりいただきまして、心から御礼申し上げます。どうも ありがとうございます。  まず、法案でございますが、6月18日で国会を終える。与党の方針が固まってまいっ た時点で、私どもの方から医療改革の方を優先ということで、社会保険庁問題はもう少 し私どもはしっかり調べないと、国会での答弁も含めまして、やはりここは一たん撤退 をすべきであろうという中で、継続審議をお願いいたしたところでございます。  一方で、社会保険庁の本庁職員による調査に入りました。5月に御報告いたしました ときより数が増えてきた。すなわち、自主的な報告、それも再三にわたる自主的な報告 を要請し、私自身も全員集めて、「事実を報告してください」とお願いをしながら、大 変残念な結果でありますが、本庁から入るというから、そろそろ出さなきゃならんなと いう形で、出そうということになってしまったというのが、今回、集約をさせていただ いたことであろうと思います。  しかし、一方で、本庁が調べることだけでは、国民、また国会への責任ということで 果たすわけにはまいらんだろうということで、検証委員会に委員の方々にもお入りいた だいて、政務官を先頭に調べてもらいました。要は、追及して、最後の最後まで全部結 論を出せればいいのですが、こういう調査というのは限りがございますので、その場合 は村瀬長官と私の人事の判断にゆだねさせていただく以外にないのではないか。先ほど 御指摘がありましたように、本庁が、昨年来、十分機能していたかということになると、 大きな問題がやはりこの報告書の中にも十分見受けられる。  したがって、これから厳しい判断を私どもはしていかなければならないだろうという 中で、先立って私と村瀬長官が、私は大臣給与を全額返上させていただいて働かせても らうということで、今の体制に入らせていただいているところでございます。  ただ、この問題は、村瀬長官や委員の皆さん方に大変御迷惑をかけているなと思って いるんです。要は、この組織を一部手直しをするのではうまくいかない。したがって、 抜本的にやりかえなければならない、解体的出直しをしなければならないという位置づ けをさせてもらっている。しかし、一方で、日々の業務がある。したがって、これを放 り出して、会社だったら一回とめてしまって、6カ月でもとめてしまって、全部、生産 設備から全部やり直して、人員も新たに採用してやれというぐらいの話なのでしょうけ れど、毎日の仕事があるものですから、そういうわけにはいかない。したがって、でき るだけ国民のサービスが上向いていくような形で、村瀬長官、指導してくださいと。少 しでも納付率が上がるようにということで、2年間努力をしてもらい、また、皆さん方 からもさまざまなアドバイスをもらってきたところでございます。  しかし、一方で、国会等の受けとめ方は、「この組織はだめだぜ」という判子を押さ れていることも事実です。そして、新しい改革案でも、県の事務局というのはもう要ら ないよと。この機能は違うところに分散させなさいと、こういう御指摘もいただいてい る。その県の事務局が主導でこのような不祥事を起こしたというのが、半分ぐらいにな るのでしょうか。というのが今回の結果でございますので、ある意味では、皆さん方の 御主張が当たった、マスコミや国会での御批判というのはそのまま当たった、「この組 織はよっぽどだぜ」というのが実は当たってしまったということは事実でありましょう。  現実、私どもは2年前のいろいろなことで、いろいろなものが洗いざらい出されたの だろうと思っていたら、今回、まだ消化不良の形で出ておりますが、この不在者の問題 というのはまさに長年積み重なってきた大きな問題点で、そしてそれを今まで本庁はわ からないで、国会と審議の中で指摘をされて、調べてみたら10万件を超えるものが出て きたということでございますから、本庁組織から見ましても、地方の事務所が持ってい る問題点をまだ洗いざらい表に出せていなかったというのが、今日の問題であろう。そ こに不正免除問題が加わってきたということでございますので、大変大きな課題を持っ ていると思っております。  ただ、一方で、この組織はかえていかないと、修正だけではとてもという中で、新た に「ねんきん事業機構」として2年後にスタートしなければならない、今までのいろい ろなことを全部一からやり直す組織にしていかなければならないということで、ずっと 議論をいただいてきたわけでございます。本質的な問題になれば、10年、20年間の職員 の教育、そして上司になる者の人材の育て方、ここがもう根本的に間違っていたのだろ うと思いますので、その人材を使いながら、村瀬長官は先頭に立ってやってもらってい るのですから、先ほど申し上げたように相当苦労されていますし、皆さん方から御指摘 いただくことも、まさにそのとおりの話ばかりでございます。  しかしながら、一方で、サービスの向上に努めるのが我々の仕事でございますから、 先ほど杉山委員から御指摘いただいたように、日々の努力はいろいろ言われてもやって いかなければならないという中で、特に不正免除を受けられた方々一人一人に対しても う一度お話をさせていただいて、出してもらう。電話で確認までしていた方々は、結果 としては書面を出していただいている。そういう意味では、その時点で考えるなら、職 員もかなり誠意を持ってやっていたなという証拠は出てくる。逆には、バーンとやって しまったものはなかなか書類が出てきていないというのが現実でございますので、そう いったものを含めて、今、懸命に取り組ませていただいております。  いずれにせよ、この組織自体はかえていかなければならないということで、10月の国 会でまた議論をいただかなければならない、また、法律を通していかなければならない という中で、できるだけかえられる部分があればよりかえていかなければならないと思 っておりますので、委員の皆さん方からまた御適切な御意見を賜ればありがたいと思い ます。  特に8月中に人事の処分をすべてやりたいものですから、こんな暑い中に曲げてお集 まりをいただきました。心から感謝申し上げますとともに、私ども二人はしっかりやら なければならないなと改めて誓っているところでございますので、どうぞよろしくお願 いいたします。ありがとうございました。  村瀬社会保険庁長官 5月のときに第1次報告書という形で御報告をさせていただき まして、2カ月強、第3次報告までかかりました。この間、皆様に対して大変御不快な 思いをさせたと同時に、今回の御報告を見ていただきましてもわかりますとおり、先ほ ど大臣から話がありましたように、免除の件数、そして不在者も含めて、トータルで38 万件となっておりまして、そういう点では庁として私自身も深く反省をしているところ でございます。  本件につきましてはこれからがまさに正念場だと思っておりまして、先ほど大臣から 話がありましたように、今回の不正にかかわった人に対して、厳正な処分、今まで以上 の処分をしっかりしなければいけないだろうと。また、当然、実施者だけではなく、管 理監督責任というものを問われるわけですから、私自身も含めて、私の処分者は大臣で ございますが、しっかり受けとめて、まず、国民の皆さんから見て、再出発できるだけ の処分をしたかどうかというところに力を注ぎたいと思っております。  2点目に、その次にやらなければいけないことは何かといいますと、二度と起こらな い仕組みが構築できるかどうか。きょう御提案しております再発防止策、ここの部分で 中長期の部分と短期の部分とをあわせながら、的確にできるものからどんどん実施をし ていきたいと考えております。  その中で、我々は一番大事なのは何かといいますと、皆様方にも前からお話し申し上 げておりますように、職員の意識改革であります。人を全とっかえはできませんので、 既存の職員をいかに意識を変えてもらえるか、そこに最注力をせざるを得ないのだろう と思っておりまして、これに対して既に8月3日公表後、私自身も現場へ動いておりま すが、ひざを突き合わせてしっかり変えていくということと、組織全体がコミュニケー ションをよくして、いい方向へ向かうと。それに反旗を翻すような人に対してはやはり 厳しい対応をしていく。こういうことを積み重ねてしていくより仕方ないのだろうと思 っておりまして、そういう点では着実に進めていきたいと考えております。  そういう点で、ぜひ委員の皆様方には的確なアドバイス、またお気づきの点がありま したら、いつでも結構でございますので、お話を承ればと思いますので、今後ともよろ しくお願い申し上げます。  佐藤座長 どうもありがとうございます。  大分予定の時間が過ぎました。これで本日の会議を閉会いたしますが、この会議は本 来ですと今回で終わりの予定でございましたけれど、法案がまだ継続審議中でございま すので、その法案が成立した段階あたりでもう一度会議を開かせていただきたいという ことでございますので、よろしくお願いいたします。日程につきましては改めて委員の 先生方に御相談申し上げます。  村瀬社会保険庁長官 済みません、1点だけ訂正させてください。先ほど、採用関係 で、本庁で全国の職員一括採用は可能かどうかという部分ですが、実務的には、事前に 大量採用の届出をしておけば不可能ではないという話はどうもあるようですけれど、で は、そういう形をこういう全国的なところで採用しているのかどうかということからい えば、事実は多分ないと思います。各地方ごとで採用しているというのが普通でござい まして、できるけれども、やれていないと。今後、それをやっていいかどうかになりま すと、そもそも人事の要員を相当数本庁に持ってこないとできないわけですから、ここ らあたりは将来的にはブロックにそういう人事の要員を入れて、ブロック採用していく といった方向感ではないかなと思いますが、やれないことはないということだけ訂正で お話をさせていただきたいと思います。  佐藤座長 それでは、これで閉会いたします。長時間、どうもありがとうございまし た。                                    −了−  【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   03−5253−1111(内7708)