06/08/09 平成18年度第1回特定疾患対策懇談会議事録 平成18年度第1回特定疾患対策懇談会 平成18年8月9日(水)15:00〜17:00 三田共用会議所 第3特別会議室 出席委員  朝倉  均   内田 健夫   大野 良之  ○金澤 一郎       桐野 高明   工藤 翔二   齋藤 英彦   猿田 享男       田中 靖彦   谷口  克   中村 耕三   長谷川敏彦       本田 孔士   武藤 輝一   矢崎 義雄   矢野 正子                              ○:座長 1.開 会 2.議 事  (1)特定疾患対策の現状について        (2)特定疾患対策の課題について        (3)その他 3.閉 会 ○金澤座長 本日は、天候の悪いところをお集まりいただきましてありがとうございま した。それでは、ただいまから平成18年度の第1回目の特定疾患対策懇談会を始めたい と思います。まだお着きでない方もいらっしゃいますが、定足数には達しておりますの で、始めさせていただきたいと思います。  本日は健康局長が不在ということでございまして、疾病対策課長の関山さんから一言 ごあいさつをいただきたいと思います。 ○関山課長 本来でありますならば、健康局長が出席し、ごあいさつ申し上げる次第で ございますが、かわりましてごあいさつさせていただきます。なお、健康局長は、本日 は長崎において長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典がございますので、そちらに出席させ ていただいております。  皆様方におかれましては、本日は御多忙の中を御参集いただきましてまことにありが とうございます。また、日ごろより難病対策の推進に格別の御配慮、御協力をいただい ておりますことを、この場をお借りいたしまして御礼を申し上げる次第でございます。  難病対策の取り組みも、約30年が経過しております。そして医療技術の格段の進歩、 そして社会的な環境も大きく変化しておりますが、このような変化を受けまして、平成 14年度に提出されました厚生科学審議会疾病対策部会の難病対策委員会の「今後の難病 対策のありかたについて」という中間報告書がございます。この中間報告書において取 り組むべき課題が多々指摘されております。これらの指摘された事項については順次対 応がなされてきておるわけでありますが、しかしながら一方、未着手の部分がございま す。そういった残された課題についても適切な対応が求められているということでござ います。  前回、平成17年度の特定疾患対策懇談会におきましては選定要件の明確化に関する御 審議をしていただいたわけでございますが、既に定量的に明確になっているような希少 性の要件については、中間報告の指摘等、過去何回か審議会の場でその取り扱いについ て御指摘をいただいておるわけであります。これについてはまだ残された課題となって おりますので、本日はこの件について委員の方々に活発なる御審議をいただければと思 っております。  最後でございますが、今回から特定疾患対策懇談会は公開となっております。本日の 会議においても委員の方々の忌憚のない御発言を期待申し上げまして、簡単ではござい ますがごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○金澤座長 どうもありがとうございました。  それではいよいよ議事に入りいたと思いますが、事務局から出席状況の確認並びに配 付資料の確認をお願いいたします。 ○野上補佐 出席状況でございますが、本日は神崎委員、笹月委員、辻委員、埜中委員、 秦委員の5名が御欠席という御報告でございます。また、溝口委員、矢崎委員、桐野委 員からはおくれるという御連絡がございました。また、矢野先生もちょっとおくれてい るようでございます。現在、出席者13名でございまして過半数を超えておりますので、 会は成立しております。  では、配付資料の確認でございます。   議事次第  特定疾患対策懇談会委員名簿  資料1.難病対策委員会中間報告(平成14年8月)への対応状況  資料2.特定疾患治療研究事業の概要  資料3.公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員会最終報告(平成7年 12月27日)(抜粋)  資料4.特定疾患対策懇談会特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会報告(平 成9年3月19日)(抜粋)  資料5.公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員会今後の難病対策の具 体的方向について(報告) (平成9年9月8日)(抜粋)  資料6.難病対策委員会中間報告(平成14年8月)等を踏まえた特定疾患対策の主な 課題  資料7.厚生労働省に特定疾患への指定に関する要望書等が提出されている疾患  資料8.希少性の要件を満たさない疾患の取扱いについて(論点)  資料9.特定疾患治療研究対象疾患の対象範囲に限定のある疾患  資料10.難治性疾患克服研究における潰瘍性大腸炎に関する研究成果  資料11.難治性疾患克服研究におけるパーキンソン病に関する研究成果  今までが資料でございまして、さらに参考資料がございます。  参考資料1.特定疾患治療研究事業疾患別受給者件数の推移  参考資料2.特定疾患治療研究事業疾患別受給者件数構成比(平成16年度)  参考資料3.特定疾患治療研究事業疾患別公費負担額構成比(平成16年度)  参考資料4.特定疾患治療研究事業予算額の推移  参考資料5.特定疾患治療研究事業の推移  参考資料6.潰瘍性大腸炎 重症度分類による患者数の変化  参考資料7.パーキンソン病 L−Dopa導入による治療効果の変化   今回の資料は以上でございます。不足等がございましたらお申し出いただきたいと思 います。ないようでございましたら、資料の確認を終了いたします。 ○金澤座長 ありがとうございます。不備がございましたら、どうぞ御遠慮なくお申し 出ください。  それでは、議事に入りたいと思います。最初の議題は「特定疾患対策の現状について」 ということで、事務局から説明をお願いします。 ○野上補佐 それでは、説明させていただきます。議事1.「特定疾患対策の現状につ いて」でございます。  まず、資料1をごらんいただきたいと思います。厚生科学審議会特定疾患部会の「難 病対策委員会中間報告(平成14年8月)への対応状況」、この中間報告を事務局でまと めたものでございます。左側に中間報告で示された課題等、右側にその課題に対しての 対応状況ということで表として整理いたしております。読み上げさせていただきます。  1番目は、「今後の特定疾患研究のあり方について」。特定疾患を克服するため、治 療法の確立や予後の改善等、明確な目標を設定した上で研究内容、研究体制の大幅な充 実を図ることが必要、という御指摘でございます。  それへの対応状況でございますが、厚生科学研究費の再編を行いまして、難治性疾患 の治療方法の確立を目指した研究を一層推進することとしました。これを受けまして予 算額は増額をしているところでございまして、15年度の予算額は当時3億円増で、対前 年比約115%という増額でございました。  続きまして二つ目の課題は、疾患ごとに研究の進捗状況、治療成績、罹患している患 者の実態に関する評価システムを構築し、研究成果についての定量的な評価の実施が必 要、というものでございます。  これを受けての対応状況でございますが、研究班に研究評価を行う班を設置するなど、 難治性疾患に関する有効な治療法選択等のための情報収集体制の構築に関する研究、こ のような研究を行いました。また、研究成果の公表を行っているところでございます。 この研究成果の公表については、後ほど資料10、11でもお示しいたしたいと思っており ます。  2番目、「今後の治療研究事業のあり方について(費用負担を含む)」の課題でござ います。この分野の一つ目の課題でございます。治療研究事業は今後も研究事業として の性格を維持することが適当と、まず御指摘を受けております。課題というよりは確認 でございます。  二つ目は、治療研究事業を実施する地方公共団体においては、多額の超過負担を余儀 なくされており、制度の適正化や安定化が急務と、御指摘を受けておりました。  それの対応としては、平成14年度までは特定疾患治療研究事業はその他補補助金と整 理されており、毎年1割カットされる補助金の対象となっておりました。しかし、平成 15年度に見直しを行い事業評価制度を導入いたしまして、制度的補助金という位置づけ になったところでございます。これをもって安定化を目指したところでございます。  三つ目は、疾患の特性、患者の重症度、患者の経済的側面等を考慮し、一部自己負担 の考え方や効果的な事業実施の方法等についても整理することが必要。  対応でございますが、平成15年10月より、低所得者への配慮など、所得と治療状況 に応じた段階的な一部自己負担の導入を行ったところでございます。  四つ目は、難病対策の法制化については、対策の根拠が明確化するという長所が指摘 される一方で、対象疾患や施策の固定化が生ずるという意見もあるなど、賛否両論があ り、今後も検討が必要ということでございます。  対応状況は、賛否両論があり引き続き検討となっております。  最後に3番目の大きな指摘でございますが、「今後の特定疾患の定義と治療研究対象 疾患の選定の考え方」でございます。  一つの○、今後の難病対策を考える上でも、難治性疾患の原因解明や治療法の開発に 関する施策に関しては、4要件、@希少性、A原因不明、B効果的な治療未確立、C生 活面への長期にわたる支障、を基本とすることが適当、という確認をされております。  二つ目の○は、希少性の要件については、平成9年3月の特定疾患対策懇談会報告に おいて、国内の患者数がおおむね5万人未満を目安とすることが適当という考え方が示 されているが、引き続きこれを基本とすることが適当、という確認をされております。  三つ目の○は下線を引いております。対象となった後で患者数が5万人を上回った疾 患や、治療成績等の面で大きく状況が変化した疾患については、引き続き特定疾患とし て取り扱うことが適当かどうか、定期的に評価を行うことについて検討が必要。  この下線を引いた部分に関して、右側でございますが残された検討課題、本日の検討 課題と認識しております。  四つ目の○、同じ文章でございますが、対象となった後で患者数が5万人を上回った 疾患や治療成績等の面で大きく状況が変化した疾患については、引き続き特定疾患とし て取り扱うことが適当かどうか、定期的に評価を行うことについて検討が必要。  これは、現在も特定疾患対策懇談会において御検討いただいているところでございま すが、要件の明確化に向け、現在検討中というところでございます。  以上が資料1でございました。  続きまして、資料1で提示されております残された課題の部分について、さらに説明 を加えたいと思います。資料2をごらんいただけますでしょうか。  資料2は、特定疾患治療研究費補助の概要でございますが、この概要をもって要件を 再度確認をさせていただきたいと思います。まず読み上げさせていただきます。  1番、目的でございます。原因が不明であって治療方法が確立していない、いわゆる 難病のうち、治療が極めて困難であり、かつ医療費も高額である疾患について、医療の 確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図る。  2番目、実施主体は都道府県でございます。  3番目、補助の内容でございますが、特定疾患の治療費について、社会保険各法の規 定に基づく自己負担の全部または一部を毎年度の予算の範囲内で補助するものでござい ます。  4番目、患者自己負担でございます。平成10年に一部自己負担を導入しております。 平成15年10から、先ほども資料1で御説明いたしましたが低所得者への配慮など、所 得と治療状況に応じた段階的な一部自己負担や、事業評価の導入により、制度の適正化 及び安定化を一層推進するものでございます。  5番目、対象疾患でございます。こちらに要件を書いてございますが、難治性疾患克 服研究事業の対象疾患の中から、学識者からなる特定疾患対策懇談会の意見を聞いて選 定しており、現在、45疾患が対象となっております。難治性疾患克服研究事業の対象疾 患として、次の4要素、@からCを選定し、現在、121疾患が対象となっております。 @希少性。患者数が有病率からみておおむね5万人未満の患者とする。A原因不明。原 因または発症機序が未解明の疾患とする。B効果的な治療方法未確立。完治に至らない までも進行を阻止し、または発症を予防し得る手法が確立されていない疾患とする。C 生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)。日常生活に支障があり、いず れは予後不良となる疾患、あるいは生涯にわたり療養を必要とする疾患とする。この四 つが難治性疾患克服研究事業の要件でございまして、さらに、上の目的にもございます が、治療が極めて困難であり、かつ医療費も高額である疾患について、医療費負担とい う特定疾患治療研究費の補助を行っているところでございます。  ただいまが4要件の確認でございました。  さらに、今度はこのうち1番目の要件である希少性について御説明いたします。資料 3をごらんいただきたいと思います。公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門 委員会の最終報告からの抜粋でございます。平成7年12月27日のものでございます。 該当部分を読み上げます。  3、(3)医療費の自己負担の解消  特定疾患治療研究事業は、対象患者が比較的少数で、難治度、重症度が高い疾患につ いて、研究協力のための謝金として医療費の自己負担分を公費で負担することにより一 定の症例数を確保し、特定疾患調査研究事業(当時は難治性疾患克服研究事業、特定疾 患調査研究事業と申しておりました)に結びつけることによって治療研究に役立てるこ とにその主眼があった。  しかしながら、現在では特定疾患研究の一環としての公費負担という本来の目的より は、むしろ医療費の自己負担の軽減という経済的な側面が着目されるに至っている。  本委員会での議論においても、特定疾患はいずれの疾患も患者の数が比較的少ない、 すなわち希少な疾患であるため、原因の究明や治療方法の開発等に困難をきたすおそれ があることから、一定の症例数を確保するよう医療費の公費負担制度が導入されたとい う経緯に配慮すべきである、との指摘があった。このように専門委員会の方では、「一 定の症例数を確保」という形で言われております。  続きまして資料4、この「一定の症例数」についての具体的な数についてでございま すが、特定疾患対策懇談会「特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検討部会報告」を ごらんいただきたいと思います。平成9年3月19日のものでございます。  @希少性  患者数が有病率からみておおむね5万人未満の疾患とする。  調査研究事業の目的の一つは、患者数の少ないいわゆる希少疾患に対して研究者の目 を向けさせ、効率的な研究体制を構築することにある。このための希少性の基準をどこ に置くかについては明確な判断材料がないが、従来の118疾患の現状がおおむね5万人 未満(ちなみに、平成7年度末の治療研究事業の特定疾患医療受給者証交付件数によれ ば、最も患者数の多い疾患は、全身性エリテマトーデスと潰瘍性大腸炎の約4万1000 人である)であること、及び希少疾病用医薬品等の指定制度(オーファンドラッグ)に おける対象疾患が5万人未満であることなどにかんがみ、おおむね5万人未満とするこ とが適当である。  このような形で5万人未満という要件が示されております。  また、このときには、原因不明、効果的な治療方法未確立など、その他の要件につい てもある程度示されております。例えば効果的な治療方法未確立なところに関しては、 最近では重症筋無力症に対するステロイドや抗コリンエステラーゼ薬の投与及び胸腺切 除術や血漿交換療法を初め、SLE、強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎、結節性動脈周囲 炎、大動脈炎症候群、混合性結合組織病、多発性硬化症、再生不良性貧血、サルコイド ーシス、特発性血小板減少性紫斑病、天疱瘡、悪性関節リウマチ、パーキンソン病に対 する薬剤の投与など、かなり有効な対症療法が開発されつつある。  などの指摘もございます。  また、Dその他では、がん、脳卒中、心臓病、進行性筋ジストロフィー、重症心身障 害、精神疾患などのように別に組織的な研究が行われているものについては、効率的な 研究投資の観点から、従来のとおり本調査研究事業から除くべきであると、また対象の 範囲も示されております。  以上のように、平成9年3月の段階で5万人という数が示されているところでござい ます。  最後となりますが、資料5で対象疾患の見直しについてさらに報告をされております。 公衆衛生審議会成人病難病対策部会難病対策専門委員会、「今後の難病対策の具体的方 向について(報告)」、平成9年9月8日のものでございますが、4「特定疾患治療研 究事業の見直しについて」の(3)「事業見直しのための選択肢」の中の@「対象疾患の 見直し」では、研究費の効率的な活用という観点から、対症療法の開発状況等を勘案し、 希少性や難治性が相対的に低下したと思われる疾患の他の疾患の入れ替えを行うことが 考えられる、という報告がございます。さらにAで、対象疾患における重症度基準の導 入。対象事業としての観点からは、重症度の低い患者も対象として実態の把握に努める 必要があるが、対症療法の開発に進歩がみられる一定の疾患については、重症度の高い 患者のみを対象とすることや、重症度に応じた患者負担率の設定等も考えられるところ である。ただし、その実施のためには対象疾患における重症度基準の導入が不可欠であ るため、今後、研究を進めるべき課題であると考えられる。  このような形で希少性の要件等についての明確化及び見直し等について、今まで御指 摘があるところでございます。  特定疾患対策の現状については以上でございます。 ○金澤座長 ありがとうございました。かなりていねいに説明をしてもらいました。そ れでは、ここで御質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御質問につい てはよろしいですか。もしよければ質問ではなくて御意見を賜りたいと思いますが、い かがでしょうか。これについてはかなり積み重ねがございますので、かなり細かく説明 をしてくれました。 ○谷口委員 過去にこの見直しは何回ぐらい行われているのですか。平成15年にやりま したよね。その前はどのぐらいの頻度でやっていたのでしょうか。 ○関山課長 見直しといいますと。 ○谷口委員 対象疾患の見直し。 ○関山課長 対象疾患の追加につきましては、これは平成15年度10月をもって、それ 以降、疾患の追加はなされていない。それ以前は、必要に応じて疾患の追加は行われて きたということであります。 ○金澤座長 今のは、参考資料のどこかにありましたね。対象疾患の5ですね。その一 番右の欄をごらんいただきますと平成14年以降。その(プラス3)というのは何でした っけ。 ○関山課長 それは神経疾患。 ○金澤座長 パーキンソン病の中を広げたのですね。 ○関山課長 はい。 ○金澤座長 わかりました。ほかに御意見はございませんでしょうか。  それでは次は特定疾患対策の課題でありますので、引き続き御説明ください。 ○野上補佐 それでは資料6「難病対策委員会中間報告(平成14年8月)等を踏まえた 特定疾患対策の主な課題」でございます。  1.特定疾患治療研究事業の現状について  患者数の増加により、希少性の要件を超えている3疾患(潰瘍性大腸炎(8万311件)、 パーキンソン病(7万2772件)、全身性エリテマトーデス(5万2195件))について は、平成14年8月の難病対策委員会中間報告においても引き続き特定疾患として取り扱 うことが適当かどうか評価を行うことを検討することとされている。  また、本事業の総件数及び事業費に占める当該3疾患の割合は約4割となっている。  指摘事項でございますが、参考1、先ほども読み上げましたが中間報告の抜粋。対象 となったあとで患者数が5万人を上回った疾患や、特定疾患に指定された当時と比較し て治療成績等の面で大きく状況が変化したと考えられる疾患については、当該疾患に対 する治療成績を初め、患者の療養環境の改善等、総合的な観点から引き続き特定疾患と して取り扱うことが適当かどうか、定期的に評価を行うことについて検討する必要があ る。  参考2では要件を示してございます。  参考資料1をごらんいただけますでしょうか。参考資料1「特定疾患治療研究事業疾 患別受給者件数の推移」でございます。グラフとなっております。少々字が小さいので 見づらいかと思いますが、受給者件数の推移を示してございます。平成16年度で一番多 いのは潰瘍性大腸炎で、16年度直近で8万311件となっております。2番目に多いもの がパーキンソン病の7万2772件でございます。3番目は全身性エリテマトーデスで、5 万2195件となっております。この3疾患が5万人を超えております。  続きまして参考資料2をごらんいただけますでしょうか。先ほどのグラフは特に推移 をごらんいただきましたが、参考資料2で現在における受給者件数の構成比が一目でわ かるかと思います。一番多いのが潰瘍性大腸炎で、15%を占めております。続きまして パーキンソン病関連疾患で14%、全身性エリテマトーデスで10%となっております。上 位2疾患で約4割、39%となっております。  続きまして参考資料3でございます。文章にも書いてございましたが事業費に占める 当該3疾患の割合は約4割でございますが、公費負担額構成比に関しては、一番多いの はパーキンソン病関連疾患になっておりまして18%でございます。続きまして全身性エ リテマトーデスで10%、潰瘍性大腸炎が8%となっておりまして、この3疾患を合わせ て36%となっております。なお、伸び率から推計いたしますと、これらの構成割合がさ らにふえることが現在予想されております。  資料6の、一つ目の○の患者数また医療費の割合などでございました。  続きまして二つ目の○でございます。特定疾患治療研究事業(医療費助成事業)は、 資料2にもございましたように都道府県が実施主体となっており、都道府県が本事業の ために支出した費用に対して国は予算の範囲内でその2分の1を補助すること、とされ ているが、対象者数及び医療費の増加等の要因によって、都道府県の事業費の増加に国 の予算が対応できていない状況であり、都道府県においては超過負担となっている。都 道府県の実施負担率は2分の1を超えておりまして約7割となっております。これも参 考資料をごらんいただきたいと思います。  参考資料4「特定疾患治療研究事業予算額の推移」というグラフでございますが、昭 和47年から平成18年度までの特定疾患治療研究事業に対する厚生労働省の予算額の推 移を示しております。事業費全体ではございませんで、厚生労働省の予算の推移でござ います。このような形でふえてきておりましたが、13年度、14年度と財政構造改革推進 法においてその他補助金という枠組みに当てはめられまして、1割減という形で予算が 一時期減ってきております。その後、制度的補助金で予算を持ち直してきておりますが、 現在、平成18年度において239億4000万の予算でございます。下に予算額と対前年度 比のパーセンテージのグラフを数字で示してございますが、13年度、14年度と前年度比 89.2%、91%と減額をされております。その後は、社会保障費の伸び率よりも高い額で 予算を確保しているところではございますが、減額前の水準にようやく戻ってきたとこ ろでございます。  参考資料5は「特定疾患治療研究事業の推移」で、今度は表にしてございます。先ほ ど示しました予算額も書いてございますが、一番左側が受給者件数でございます。16年 度、直近でわかっております都道府県からあがってきた数字が、16年度は54万1704件 でございます。前年度よりも毎年ふえてきているところでございます。予算額は18年度 には239億4100万で、対前年度比104%でございます。ただし、都道府県への交付率が その横に書いてございますが、平成14年度から6割台に落ち込んできております。今年 度においても6割台。これを100%にもっていくには、約176億円の欠損となっている ところでございます。  以上が、特定疾患治療研究事業の都道府県における超過負担という課題でございます。  続きまして2「対象疾患追加要望等の状況」でございます。対象疾患の追加要望が多 数ございますが、平成15年10月以降現在まで疾患追加を行っていない。先ほど説明い たしたところでございます。  資料7「厚生労働省に特定疾患への指定に関する要望書等が提出されている疾患」で ございます。左に疾患名、真ん中に提出者の患者会、右側に、現在、難治性疾患克服研 究事業の対象となっているかどうかというのが○がついております。あと、他制度とい うことで、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象かどうかというのもつけてございます。  一番上から、黄色靱帯骨化症。患者会としては全国脊柱靱帯骨症患者家族連絡協議会 でございます。  二つ目、von Hippel-Lindau病。von Hippel-Lindau病患者の会でございます。腎臓、 副腎など、他臓器に良性、悪性の腫瘍が多発する疾患と聞いております。  3番目、強直性脊柱炎。日本強直性脊柱炎研究会、日本整形外科学会からきておりま す。  4番目、拘束型心筋症。全国心臓病のこどもを守る会からでございます。これは、既 に難治性疾患克服研究事業の対象となっておりますし、小児慢性特定疾患治療研究事業 の対象疾患となっております。  5番、肥大型心筋症。全国心臓病のこどもを守る会。これは難治性疾患克服研究事業 の対象となっております。  6番目、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)。三つほどの会から申請がきて おりますが、外傷による末梢神経の損傷でございます。  HAM。全国HAM患者友の会。ウイルスHTLV1によるミエロパチーでございま す。  LAM(肺リンパ脈管筋腫症)で、J−RAMの会から要望がきております。平滑筋 様の細胞が肺などで増殖をする疾患と聞いております。  FOP(進行性化骨筋炎)。J−FOP−光−患者会からきております。筋軟部組織 が骨化する病気でございます。  線維筋痛症。線維筋痛症友の会から要望がきております。広範かつ対称性に圧痛点を 有する疾患という概念のようでございます。  胆道閉鎖症。胆道閉鎖症の子どもを守る会から御要望をいただいております。小児慢 性特定疾患治療研究事業の対象となっております。  1型糖尿病。1型糖尿病全国インターネット患者会などから御要望をいただいており ます。小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患となっております。  最後になりますが、マルファン症候群。マルファンサポーターズ協議会からきており ます。  以上13の疾患の要望がきているところでございます。  今まで課題を御説明いたしましたが、新規疾患追加の要望などの課題がございます。 続きまして資料8をごらんいただきたいと思います。このような問題に対するものでご ざいますが、「希少性の要件を満たさない疾患の取り扱いについて」として、事務局で 論点整理を行っております。読み上げさせていただきます。  1.全身性エリテマトーデスについては、5万人を超えたものの、ここ数年の患者の 伸びは5万人の近傍でほぼ横ばいとなっており、引き続き患者数の動向を見守ってはど うか。  2.特定疾患対策の推進等を図る観点からも、希少性の要件を大幅に上回る潰瘍性大 腸炎、パーキンソン病の取り扱いについては、以下のいずれかの対応を取る必要はない か。  @明らかに希少性の要件非該当となっている疾患(5万人を超えるもの)については、 難治性疾患克服研究事業及び特定疾患治療研究事業から除外する。  @明らかに希少性の要件非該当となっている疾患(5万人を超えるもの)であっても、 いまだ原因が不明であることなどから、特定疾患からの除外は行わず、希少性の要件に 該当するよう、対象者の範囲の見直しを行う。例えば重症者に絞った対応が考えられる かと事務局では思っております。  そのような考えに基づきまして、資料9でございますが、これは現時点において既に 対象の絞り込みのあるものの表でございます。特定疾患治療研究対象疾患の対象範囲に 限定のある疾患でございます。10疾患ございます。  疾患名、パーキンソン病。限定の内容でございますが、Hoehn&Yahr重症度分類におい てV度以上、かつ生活機能障害度が2度以上でございます。  二つ目はアミロイドーシス。続発性アミロイドーシス以外でございます。  3番目、後縦靱帯骨化症。画像において生活支障の原因を証明し、生活への支障が一 定以上のものでございます。  4番目、広範脊柱管狭窄症。生活機能障害度が2度以上。  5番目、原発性胆汁性肝硬変が、無症候性以外。  6番目、重症急性膵炎が、急性膵炎の診断がなされたうち、軽症並びに中等症は対象 外。  7番目、特発性間質性肺炎。重症度分類において3度以上。  8番目、網膜色素変性症。重症度分類において2度以上。  9番目、神経線維腫症T型。フォンレックリングハウゼン病でございますが、重症度 分類においてステージ4以上。  10番目、バッド・キアリ症候群。画像上で門脈閉塞を認め、門脈圧亢進所見のある症 例に限定。  明らかに重症度分類に近いものとしては、6疾患が既にそのような形で導入もされて おりますし、全体としては10疾患が限定があるところでございます。  続きまして、資料10、11をごらんいただきたいと思います。この二つは研究班へのア ンケート結果で、本日付で難病情報センターのウェブサイト「研究班報告」というとこ ろに公表しているものでございます。記者クラブへの投げ込みも本日行っているところ でございます。  資料10は、難治性疾患克服研究における潰瘍性大腸炎に関する研究成果でございま す。炎症性腸疾患に関する調査研究班、主任研究者へのアンケート、最終提出日は平成 18年5月でございます。  1番目、初代研究班発足から現在までの間の研究成果について(特定疾患の研究班が 独自に解明、開発し、本研究事業として公表したもの。なお、原則、他の研究事業等に 依存していないもの)。この場合、2番目でございますが、発生機序の解明について(画 期的または著しく成果のあったもの)としては二つ報告がございます。  1番目としては、平成6年、武藤先生が班長でございますが、大腸上皮由来IL−7 を介した粘膜内リンパ球増殖調節機構の異常。そして平成15年、日比先生のときに、H LA−DRB1*1502が日本人潰瘍性大腸炎の疾患感受性遺伝子の一つであるとい う解明をされております。  続きまして、治療法の開発についてのイ「完治に至らしめることはできないが、進行 を阻止し、効果があったもの」として、平成6年、武藤先生が班長の当時に、サラゾピ ニン不耐性症例に対するメサラジンの有用性、平成12年、下山先生のとき、白血球除去 ・吸着療法の有用性、同じく下山先生のときに、遠位潰瘍性大腸炎に対するメサラミン 注腸療法。平成16年、日比先生のときに、難治性潰瘍性大腸炎に対する経口FK506 の投与でございます。  続きまして、2「1以外で国内、国外を問わず研究成果の現在の主な状況について」 ということでございます。研究班独自のものではないですが、主な研究状況でございま す。  (2)「発生機序の解明について」でございます。1.1988年、喫煙が発症予防因子 であるということが右側の文献で示されております。2.1994年、病態に抗ムチン抗体 が関与していることが示されております。3.2001年、若年期における虫垂切除が発症 予防要因である、と示されております。  (3)「治療法の開発について」でございます。  イ「完治に至らしめることはできないが、進行を阻止し、効果があったもの」でござ います。  1番目、1978年、重症潰瘍性大腸炎に対する選択的プロドニゾロン動注療法。朝倉先 生らの文献でございます。  2、1994年、シクロスポリンのステロイド抵抗性重症潰瘍性大腸炎に対する有効性。  3、1999年、非病原性大腸菌の投与がメサラジンと同等の緩解維持効果を有する。  4、2003年、抗TNF−α抗体の難治性潰瘍性大腸炎への有用性。  5、2003年、ステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎に対するヒト化型抗IL−2R抗体とス テロイド併用療法の有効性。  6、2003年、EGF(Epidermal growth factor)注腸の軽症−中等症潰瘍性大腸炎に 対する有効性。  7、2004年、ヒト化型抗CD3抗体のステロイド抵抗性重症潰瘍性大腸炎に対する有 効性。  8、2004年、ICAM−lantisense olgonucreotid enemaの軽症−中等症遠位潰瘍性 大腸炎に対する有効性。  9、2004年、活動期潰瘍性大腸炎に対する豚鞭虫卵反復投与の有効性。  このような研究成果が潰瘍性大腸炎に関しては示されております。  資料11は、「難治性疾患克服研究におけるパーキンソン病に関する研究成果」でござ います。これも、神経変性疾患に関する調査研究班(主任研究者)へのアンケートでご ざいまして、最終提出日、平成18年5月となっております。  1番目、初代研究班発足から現在までの間の研究成果について(特定疾患の研究班が 独自に解明・開発し、本研究事業とてし公表したもの。なお、原則、他の研究事業等に 依存していないもの)でございます。  (1)「原因究明について(画期的または著しく成果のあったもの)」でございます。  1番目、1998年度、田代先生が班長のときでございます。常染色体劣性若年性パーキ ンソニズム原因遺伝子Parkin発見。  2002年度、葛原先生でございます。常染色体優性パーキンソン病(Park8、相模原家 系)原因遺伝子座の決定。  2002年度、葛原茂樹先生。孤発生パーキンソン病の発症リスク遺伝子多型の探索。  2005年度、同じく葛原先生、α−synucleinは孤発性パーキンソン病の感受性遺伝子 である。  これらのものが原因究明に成果があったものとして挙がっております。  (2)「発症機序の解明について」は、2000年度、田代邦雄先生でございますが、Parkin たんぱくがユビキチンリガーゼであることの発見、神経細胞内たんぱく分解障害が発生 機序であることを示唆。というものでございます。  (3)「治療法の開発について」でございます。  イ.完治に至らしめることはできないが進行は阻止し効果があったものといたしまし て、1.2001年度、田代先生。パーキンソン病の定位脳手術の適応と手技の確立に関す る多施設共同研究がございます。  ウ.その他根本治療の開発について。2002年度、葛原先生でございますが、MPTP 投与パーキンソン病モデルザルに対するアデノ随伴ウイルスベクターを用いたドーパミ ン合成酵素遺伝子導入治療でございます。  2.「1」以外で、国内、国外を問わず、研究成果の現在の主な状況について、でご ざいます。  (1)「原因究明について」でございます。  1番目、1997年、常染色体優先遺伝パーキンソン病(イタリア、ギリシャ由来)の原 因遺伝子α−synucleinの発見でございます。  2002年、常染色体劣性遺伝パーキンソン病の原因遺伝子DJ−1の同定。  2004年、常染色体優性パーキンソン病(相模原)の原因遺伝子LRRK2の同定でご ざいます。  (2)発生機序の解明について。  1998年、α−synucleinがレビー小体の主要な構成要素であることの証明。  2000年、ユビキチンリガーゼとしてのパーキンたんぱくの基質として、CDCrel1を同 定。  2001年、パーキンたんぱくリガーゼでパーキン代謝に関するPael受容体を同定。  (3)治療法の開発について、でございます。  イ.完治に至らしめることはできないが、進行を阻止し効果があったものでございま す。七つございます。  1.1967年、L−ドーパ大量投与がパーキンソン病症状に著効することの発見でござ います。  2.1987年、ドーパミンアゴニストがパーキンソン症状を改善することの確認と適用。  3.1993年、MAO−B阻害薬のデプレニルがMPTP中毒パーキンソンモデル動物 の発症を防止することを発見。  1987年、脳深部刺激がパーキンソン症状を改善することの発見と治療法を確立。  5.1990年、ヒト胎児中脳神経細胞のパーキンソン病患者脳への移植により症状が改 善。  6.1994年、パーキンソン病患者脳への自己交感神経節移植による改善。  7.2001年、ヒト胎児脳移植の効果の検証。  ウ.その他根本治療の開発について。  1.2000年、ES細胞からのドーパミン分泌細胞への分化誘導。  続きまして、別添として文献が示されております。これらが、研究成果という形で本 日から公表しているものでございます。  続きまして、参考資料6と7をごらんいただけますでしょうか。  参考資料6は、「潰瘍性大腸炎 重症度分類による患者数の変化」でございます。先 ほどの研究成果の効果だと思われますが、青いのが軽症者、黒いのが中等症者、赤いの が重症者でございます。データがございますところから取った数字でございますが、最 初、平成3年に軽症者が7941名で約3割、中等症者が1万1357で約4割、重症者が4000 名で15%でございましたが、絶対数の変化を示してございますが、このような形で軽症 者が大きく増加をして、現在5万3064名という形で、3分の2、66.1%を占めておりま す。中等症者は、途中ふえておりますが、その後、やや減少しております。重症者にお いても、途中、若干絶対数はふえておりますが、絶対数としてもその後減少しており、 パーセンテージも現在3.5%ということで割合としても減ってきております。このよう に、治療法の改善により大きく軽症者がふえまして、重症者、中等症者が減ってきてい ると考えているところでございます。  参考資料7は、「パーキンソン病 L-Dopa導入による治療効果の変化」でございます。 このデータは、疫学班から御提供いただいてつくった資料でございまして、幾つかの資 料の中から、若干古いですが視覚的にわかりやすいものということで取り上げました。  上が累積死亡という形のグラフで、青いのがL-Dopa導入以前の患者さん、右の紫色が L-Dopa導入後の患者さんでございます。これらの棒グラフはそれぞれ独立したもので、 1〜5年後、L-Dopa導入前は死亡者がございましたが、L-Dopa導入後は死亡者がゼロと なっております。また、6〜10年の経過を見ましても大きく死亡者が減ってきておりま す。11〜15年以上の経過を見ましても、このような形で右側はL-Dopa導入後は大きく 減ってきております。  さらに下のグラフは、上は死亡者でございましたが、高度障害が残った方。累積高度 障害者の数を見ていきましても、下にございますようにL-Dopa導入以前と比べまして L-Dopa導入後は大きく数が減ってきているところでございます。  このような形で、各種の治療法により効果が出てきているものと考えられます。  資料として、議事の2番目は以上でございます。 ○金澤座長 ありがとうございました。ただいま、随分長い説明をしてくれたわけです が、質問と意見と分けたいと思うのですが、まず御質問がありましたらどうぞお願いで きませんでしょうか。ここ、ちょっとわからないよ、というものです。重症度分類とい うのを、皆さん、おわかりですか。よろしいですか。潰瘍性大腸炎の軽症とは何、重症 とは何、というのは。 ○谷口委員 あった方がいいと思います。 ○金澤座長 もしかして用意していないかな。 ○小野補佐 ございます。 ○金澤座長 では、配ってください。  (資料配付)  潰瘍性大腸炎については三つの分類、重症、中等症、軽症であります。パーキンソン 病については、ゼロは余り意味がないな。症状がないわけですから。重症は1から5ま でですね。生活機能障害は1から3であります。  それでは、御質問はないようですので御意見をちょうだいしたいと思いますが、いか がでしょうか。 ○齋藤委員 今、いろいろ説明を聞きましたが、5万人という要件は取り扱いを明確に した方がいいと思います。これは、資料にありますように今までも何回か議論してきた のですが、重要であるにもかかわらず今までは最後まで詰めいていないので、今回はぜ ひ実効性を持って対応するところまていくべきだと思います。かなり何年もやっている ことですから、もちろん予算が無限にあればそういうことは必要ないかもしれませんが、 限られた財源を有効に使うという点ではそれはやむを得ないと思います。 ○谷口委員 私も齋藤委員と同じ意見で、やはり予算が無限でないというのが非常に大 きな問題で、先ほどの地方自治体との負担率がものすごく大きくなっているというのを 考えますと、ある程度の人数を明確にしてやることが重要。  もう一つは、新規参入というか新規に認定して補助していくのが平成14年の45以降、 変わっていないというのは、これはほかの申請のあったところから比べると非常にフラ ストレーションがたまっているところだと思います。そういう点も考えると、ある程度 重症度を基準にしたものが考えられるのかなと思います。 ○金澤座長 ありがとうございます。 ○本田委員 私も齋藤先生と同様の意見で、やはり5万人ということを10年来言ってき たわけで、これを実行しないと新しい参入ができないとなると難病患者さんの中の不公 平感が大きいのではないか。それと、患者さんの症例を獲得するためにやったという初 期の目的が変形している。5万人の患者さんを得られるのであれば、目的を達している。 今候補になっている新しい疾患を入れるために、実行に移すべきではないかと思います。  ただ、3番目のSLEついては微妙なところがあって、5万人のところでちょっと上 昇スピードが寝てきているので、数年の猶予をみてもいいかもしれません。上の二つ、 著しく5万人を超えている疾患に関しては、この際譲っていただいて、新たな疾患の参 入の余地を残すことが正しいのではないかと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。 ○桐野委員 私は委員としての期間も短いのですが、伺っていて、この制度は今、疾患 の治療法の確立、普及という側面と、もう一つ患者の医療費の負担軽減という二つの側 面があって、そして前者と後者はあるところ矛盾するところが出てくると思いました。 この趣旨を文言どおり読めば、今までおっしゃったとおりで、やはり5万人を超えた場 合はこの趣旨のとおり見直していく。それももう10年審議した結果ですので、本当に慎 重に審議した結果ですからこれはやむを得ないと思うのですが、逆に後者の患者の負担 軽減を図るということをみると、この病気にかかられた人からみますと、数がふえてき たというのは国民の健康維持という観点からは重要性が増しているではないかという感 じがされると思うのです。実際の患者さんの立場から言えばなかなか難しい問題がある ので、当然、原則どおりだと思うのですが、それに至るメソッドも十分審議されて、患 者さんにもある程度御理解いただいて実施していかないと、逆に5万人を超えた病気に かかられた方からみてもわかりにくいし、待っておられるというか早く認めていただき たいという方が随分長い間運動しておられるわけでありますので、その方々からみても 何だかよくわからないということになりますので、メソッドは一緒に議論していかない となかなか難しいのではないかと思いました。 ○金澤座長 ありがとうございます。 ○武藤委員 これは先に朝倉先生から潰瘍性大腸炎について少しお話ししてもらって、 私がちょっとお話ししたいと思うのですが。 ○朝倉委員 この潰瘍性大腸炎のデータを見ますと、軽症者が非常にふえています。こ れをどのように解釈するかいろいろ問題がありますが、まず一つは診断法の確立です。 すなわち、大腸内視鏡が昔は大病院しかなかったが、最近は診療所クラスでもやってお られますので、軽症者がたくさん見つかったというわけです。  2番目は、さまざまな治療法が導入されてきました。そのことによって、重症、中等 症患者が軽症化してきた。ではこの患者さんはそのままで治療をやめればいいかという と、治療があって軽症化しているということです。  3番目は、こういう病気は最初はボヤみたいであって、だんだんひどくなるわけです。 ですから、早期診断、早期治療すると重症化しないで軽症化していく。  この三つの理由で潰瘍性大腸炎の軽症例がふえてきたと思います。  ただ、昨年の厚生労働省の「死亡者数の検討」という班研究の報告があります。それ を見ますと、潰瘍性大腸炎の死亡者数は毎年100人前後はあります。パーキンソンも死 亡例があります。ですから死んでいる患者さんも実際にあるわけですから、全面的に補 助をなくすと、亡くなる患者さんはまた昔のようにふえてくる可能性はあるので、その 辺をどのように救っていくかということが大事かと思います。 ○武藤委員 今お話がありましたようにステージが変わってきますので、あるときは軽 症であっても、あるときにまた中等症になってくるということもありますので、前にお 話があったように一定の期間、みていて何もなければ、その期間は適用しないとかいろ いろあるかと思います。前にそういう例がありましたね。このステージが変わる場合が あるということですから、そういう格好にすれば軽いステージが続いている場合には固 定しないといいますかそういう格好でいいと思うのです。  潰瘍性大腸炎は御存じのとおり全治しないわけではなくて、大腸を全部取ってしまえ ば治るわけです。ただし、治るのですが、吻合するときに少しでも肛門管から上を残し ますと再発するのですね。ですから、肛門管の直上で取ってしまう。そして小腸と肛門 管をつなぐのですが、最初の頃は大変でした。直接つなぎますから中では便が固まりま せんから、おしりが真っ赤に爛れてしまいます。その処理で大変でした。今はそこに袋 状にした小腸を持ってきて、ここに肛門間と吻合すると出来上がりです。術後の問題と して、袋状の小腸に炎症が起こることがあります。  また、排便回数は手術後早期は7回ぐらいあります。5〜6年たちますと1日3回く らいになります。排便回数がやや多いという悩みが残ります。私の旧制高校時代の同期 生にこの手術を受けた人があります。この手術を受けず人工肛門をつけた人は身体障害 者に指定されるわけです。人工肛門をつけないで下へ持っていきますと、身体障害者に ならないわけです。その辺で同じく全治した両者間に医療費の負担に差が出てきます。 ○金澤座長 ありがとうございます。 ○工藤委員 240億ほどの限定された予算の中でわずか三つの疾患で4割を占めるとい うのは、公平性という観点から言ってなんとかしなければならないと思います。しかも、 現在の45疾患とほぼ同等、あるいはそれを上回ると思うような疾患が待っている状況が ありますね。そういう中ではこれはきちっと整理する必要があるだろうと思いますし、 その場合に5万人という希少性の原則は崩さない方がいいだろうと私は思っておりま す。  ただし、これらの三つの疾患、特に潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病の二つについて も対象疾患に指定されたときは5万人以下だったわけです。しかし、だんだんふえてき た。ふえてきたことの責任は、研究事業が十分対応できなかったということも考え方に よってはあり得るわけです。従って、ふえてきたから、ではこれをすぐ対象疾患から外 しましょうということが成り立つかどうか、これは慎重にしなければなりませんね。に もかかわらず5万人に絞っていただくことは必要です。どうやって絞るかということに なりますと、重症度をきちっと導入していただいて、例えば潰瘍性大腸炎の場合は中等 症、重症だけですと数は3万人ぐらいですね。パーキンソンもさらに重症度を絞ってい ただく。そういうやり方で、より重症な人に限ってやることで全体の公平性を保つこと を貫徹した方がいいのではないか。これは私の考えです。 ○金澤座長 ありがとうございました。どこかでまとめようと思っていたのですが、ま とまりがつかないまま皆さんの御意見をちょうだいすることになりました。まとめとい うか区切りというか、少なくとも10年間こうやって積み重ねてきた議論の中でどうして も積み残してしまったのが5万人を超える幾つかの疾患についての扱い。しかもその裏 にはほかの病気の方々からの不公平感というか、もちろんお金に限りがあるということ もあるわけですが、それをこの時点である対処をしようということに関しては、皆さん、 御同意いただけるのでしょうか、よろしいでしょうか……。ありがとうございます。そ れでは、それを前提に進めたいと思います。  そうなりますと、対象となる疾患は、ここまで議論がいっておりますから、二つなの か三つなのかということで直接的にお問いかけをいたしますが、要するに潰瘍性大腸炎 とパーキンソン病、そのほかにさらにSLEを加えるかどうか、これについては本田委 員から、5万人になってまだステーショナリーな時期にどうもあるようだから、もうち ょっと様子をみていいのではないかという御意見がございましたが……。 ○猿田委員 SLEに関しまして、確かに昔から頻度が高かったのがずっと横ばいにな りましたよね。特にこの2〜3年は抑えられているのは、治療法で何か新しいことがあ ったということなのでしょうか。 ○金澤座長 どなたかお答えいただけますでしょうか。 ○野上補佐 治療法についてはこちらも把握しきれないところもあるのですが、軽快者 基準というものも導入しておりまして、そういう意味でもここ数年、横ばいとなってき ているとも考えられます。 ○猿田委員 というのは、SLEは代表的な特定疾患としてずっとみてきました。それ がこれだけ減ってきて、ほかの流れと少し違います。だから、そこで何かあったかと思 ってお聞きしました。ありがとうございました。 ○金澤座長 ありがとうございます。それこそ公平性で言いますと、例えば潰瘍性大腸 炎とパーキンソン病が5万人を超えたのが7〜8年前なのですね。SLEがそのレベル にあるわけですが、そういう意味ではもう数年、経過をみてもよろしいかもしれません ね。いかがでしょう。 ○朝倉委員 SLEはステロイドとか免疫抑制剤とか非常に医者がうまく使うことによ って、腎疾患になる患者さんの頻度が減ってきました。やはり難病も早期診断早期治療 というのは非常に大事ですので、重症化しないためにもこのまま経過を少しみてあげた らいいのではないかと思いますが。 ○金澤座長 ありがとうございました。それでは、5万人という数字はそのままにしな がらも、それぞれに関しては除外というのではなくて、当面、今回の対象にはしないと いうことだけでとどめておきたいと思いますが、それでいかがでしょうか。ありがとう ございます。  それでは、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病に対象を絞ってお話が聞けるとよろしいの ですが、資料8にもう一度戻っていただきたいと思います。  1のSLEについては、今のような形で動向を見守るということにさせていただいた 次第です。  2番目、潰瘍性大腸炎及びパーキンソン病の取り扱いについては、以下のいずれかの 対応を取る必要はないかという問いかけでございます。先ほど@、Aは、要するに対象 としない、除外するという考え方と、そうではなくて特定疾患の中から除外をしないで、 希少性の要件に該当するよう対象者の範囲の見直しを行う。重症度の範囲を検討すると いうことだろうと思いますが、これについて御意見をいただきたいと思います。もっと も、先ほど対象者としないというのは考えない方がよろしいという御意見をいただきま したが。 ○大野委員 そもそも二つとも特定疾患の治療対象に決めた経緯がありますから、除く というのはおかしな話になります。まず診断基準をしっかりしましょう、次には重症度 分類をしっかりしましょうという作業を各研究班にお願いしてきた経緯からみて、重症 度という視点から要件を少し強めることが適当ではないかと私は考えます。 ○金澤座長 ありがとうございます。 ○谷口委員 私も、除外するというのは、まだ原因、治療法が明確に確立しているわけ ではないですから、そういう意味では残すべきだと思います。その上でどこで線引きを するかというと、具体的には重症度分類というのが一番いいのではないかと思います。  ただ、潰瘍性大腸炎の場合には、重症度分類がほかのあれに比べると少し主観的な部 分が非常に多いということなので、それで反対するというわけではありませんが、今後 とも重症度分類に関する潰瘍性大腸炎の場合には客観的な指標をもうちょっと加える努 力も将来は必要なのではないかと思います。 ○金澤座長 ありがとうございますが、主観的なというのは。 ○谷口委員 例えば排便の回数とか、それを主観的にみるのか、本人は深刻ですよね。 そういうことを言っているのですが。 ○金澤座長 わかりました。いかがでしょうか。 ○本田委員 資料9に示されたように、すでに程度分類で範囲を絞っている疾患が既に あるわけですね。これと同じように、5万人という枠を超えないような診断基準をつく っていただいて、この二つの疾患を資料9のグループに加えるということでいかがでし ょう。 ○金澤座長 ありがとうございます。先ほど桐野委員からもありましたように、見直す 場合にはいろいろな観点から具体的なことを、何が起こるかも含めてかなりきめ細かい 考え方が必要なのだろうと思いますが、先ほど皆さん方からお話をいただきましたよう に、対象疾患から外すことに関しては当面しないということでよろしいですね。ありが とうございました。  そういたしますと、かなり具体的にどういうグレードを対象にするかということにな りますので、こうなりますと、先ほど言いかけましたが、患者さんたちの考え方、患者 さんの団体の御意見を伺うことがかなり大事なように思うのですが、いかがでしょうか。 ○齋藤委員 一つ確認したいのですが、資料9に既にもう対象範囲が限定されている疾 患がありますね。重症度分類で3度以上とか。これらの疾患はいずれも5万人を超えた からこういう限定をしたわけではないと思うのですが、そのときの経緯というか、今、 座長が言われた患者さんの団体からの要望に対する対応とか、その辺のことを参考にさ れるといいのではないかと思いますね。 ○金澤座長 それは大変大事なことですね。潰瘍性大腸炎にもし今度取り入れるとする と、グレードをつけるのは初めてなわけですね。そうするとパーキンソン病ですか、こ れは初めて取り入れられたのは昭和53年でしたか。 ○野上補佐 はい、53年でございます。 ○金澤座長 僕はちょっと間違っていたのですが、そのときから既にこういう限定をさ れていたようですね。 ○野上補佐 はい、さようでございます。 ○金澤座長 ちなみに、東京都はそのときは1度から認定してしまったのですよね。そ の辺の経緯はどなたか御存じないですか……。1度、2度ぐらいですと、大体はまだお 勤めの方が多いものですから、多分そういうことを考慮に入れたのではないかと思いま すけれどね。それは、将来5万を超えるからということでは多分ないだろうと思います が。ありがとうございました。ほかに何かございませんでしょうか。  患者さんの団体のお話、御意見を伺うという……。 ○工藤委員 特発性間質性肺炎は重症度分類で3度以上となっていますが、これは治療 研究対象疾患に指定されたときに当時の研究班の班長が厚生労働省の担当者と相談をし ながら、疾患を全部認めると数が多くなりすぎるからある程度重症度で絞りましょうと いうことで、当時のことですから患者さんサイドからのまとまった意見はなかったと思 っております。むしろ自主的に絞ってしまったというところがあるのですね。治療研究 対象疾患としての指定前に北海道が単独で助成制度をもっていまして、これは重症度が 入っていなかったのです。私どもが今、感じておりますのは、3度以上で認定されます と、その後の生存期間はものすごく短いのです。認定後、大体3年を割っていると思い ます。  そういう問題が一つ。もう一つは、軽症者が入っていないものですから、疫学的な調 査という点ではこれは大変な障害になります。全体像がわからないのですね。ですから、 こういう重症度の考えがだんだん導入されてまいりますと、疾患の全体像の把握には別 途の調査体制を確立することが必要になってくるだろうと思います。  もう一つは、今後のテーマですが、重症度が導入された疾患については、横並びの整 合性を図る必要があるのではないか。ある疾患は、認定されてから間もなく亡くなって しまうぐらいの重症度でやっと認定される。ある疾患はもう少し軽い重症度で認定され るとか、いろいろあると思うのです。これは今後の課題ですが、一応述べておきたいと 思います。 ○金澤座長 大事なことを幾つか、少なくとも二つ御指摘をいただいたように思います。 今の重症度のことです。 ○桐野委員 私もそこのところを不思議に思ったのは、患者の医療費の負担軽減を図る という役割が一つ、もう一方に研究に対する協力の謝金であるという位置づけがありま す。前者であれば、重症度分類をして重症の方に負担軽減を図るというのはよくわかる。 一方で疫学的立場からいえば、重症であれ軽症であれ、研究に対する謝金ですから、皆 さん、同じだけ謝金を渡さなければならないという観点も出てくるわけですね。そのあ たりもちょっとすっきりしていないので、きちっと整理されてやった方がいいのではな いかなと感じました。 ○金澤座長 これは課長ですね。整理ができればいいのだが。 ○関山課長 資料の3をごらんになっていただきますと、これは基本に戻ることになる のかと思います。特定疾患治療研究事業自体は、医療の確立、普及を図る。とともに患 者の医療費の軽減ということでありますが、その基本に流れるのはいずれにしても研究 の推進である。福祉的対策ではないのだと。研究をいかに推進していくかということで、 研究協力のための謝金ということで特定疾患治療研究事業を導入しているということを 記していますので、そういったところを考えますと、一定の症例数がいかにきちっと確 保できるか、ということになろうかと思っております。  先ほど工藤委員からも御意見がございました軽症者が除外された場合、どのように確 保していくのかということについては、まさに現行の対象者を制限している分野がござ いますが、これらについても過去、この制限の中で研究体制の確保を一定程度されてき たということと、より一層今後、軽症者の方々に対してもし除外された場合にあっても、 きちっとした研究班の継続的なデータの収集が疫学的な体制確保、これは実は平成17 年度の厚生科学特別研究において工藤先生に班長になっていただきまして、そういった 難治性疾患に関する有効な治療法選択等のための情報収集体制の構築に関する研究をや っていただいていますが、その中で、いかに定点観測できるような体制づくりができる のかどうか、こういうことの研究を行っていただいておりますので、今、御指摘のお話 については、軽症者の方々に配慮した全体としての疫学の仕方は一方でやっております。  いずれにいたしましても、当初の基本的な特定疾患治療研究事業の制度の認識は、研 究協力の支援のために位置づけられているというところが原点と考えております。その 結果として、患者の方々に対して医療費の負担軽減が図られているということでありま す。 ○金澤座長 ありがとうございました。 ○大野委員 疫学を長くやってきておりますので、工藤先生の御心配は確かにそう思い ます。特定疾患の治療研究事業はそういう面があるのですが、調査研究事業の方は軽症 者も全部入れた形で疫学調査をやってきておりますので、むしろ現在までの疫学データ は継続的に見られるという状況になると思います。  ただ、治療研究事業に関してはデータをコレクションしているのですが、個人情報保 護法とかいろいろな法律的な足かせがあって、その資料がうまく利用できないという状 況が今起こっています。その辺の解決をしていただければ、45疾患についての治療研究 事業のデータがきちん使えるようになるだろうと思います。疫学的なことに関しては、 調査研究班の方が主体的にやられれば、軽症者も当然入れられるという状況だと私は認 識しております。 ○金澤座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか、全体を通して……。 ○矢野委員 参考資料の6ですか、このような重症度別に分けたパーキンソン病患者の 経緯というのはあるのでしょうか。というのは、今、話題になっている二つの疾患を比 較した場合に、そこら辺のところがはっきりしていれば、よりわかりやすいかなと思っ たのですが。 ○野上補佐 潰瘍性大腸炎に関しては、このような形で10年以上さかのぼってデータを 取れたのは、臨床班がこのような形でデータを取って疫学班と協力していたと思います が、やっていたのですが、残念ながらパーキンソンに関しては、最初から3度以上とい うのもありますし、分けた形で数字が今のところは取れていませんので、パーキンソン に関しては同じような形で患者数の変化は出せなかったところでございます。 ○矢野委員 治療の効果とか、先生方からは内視鏡の技術の向上とかいろいろな研究成 果のお話しがありましたが、治療研究の経過の中で今後の方向を検討する材料があれば 判断もできるのかなと思ったのですが。 ○金澤座長 大まかに3度と4度、5度の比というのは、今はまだ全体はつかめていな い。 ○野上補佐 臨床調査個人票の電子入力が始まったのは最近でございますので、これだ けさかのぼるのが現時点ではちょっと難しいところでございます。ただ、今後、ある程 度前向き調査を定点でも考えていかなくてはいけないと考えております。 ○金澤座長 少しそれに類似したデータがないと厳しいかもしれませんね。ありがとう ございました。ほかにいかがでしょうか。 ○本田委員 先ほど桐野委員が言われた「程度」なのですが、進行性の疾患が多く、患 者さんはあすは我が身なので、軽症のときから補助をもらうことを抜きにして協力して くれる。この病気を何とかしたいという非常に熱心な患者さんの想いを感じます。ただ、 公平な線引きを工夫していただきたいとは思います。軽症を外したからこの事業がだめ になってしまうことはないと思います。 ○朝倉委員 疫学調査で非常に難しいのは、医療費で申請してくるとこのような数がた くさん集まってくるのです。ところが班で実際にいろいろな病院とか市町村のアンケー トをやると、この半分の数も集まってこないということです。現実に詳しいデータを出 すと、例えば都道府県が電子入力してくれない。それで実際のデータは半分しかないと いうぐらいで、軽症例とかそういういろいろな症例を集めるのは実際上は難しいと思い ます。確かに大野委員の言うような心配性は出てくると思います。 ○金澤座長 しかし、こういう患者さんたちの御協力で継続的に難病に関して調査をし、 そのデータを取っているというのは、地球広しといえどもそんなにあるわけではないの で、世界に誇っていいものだと思っています。ぜひ完璧なものでなくてもやむを得ない から続けてほしいと思っております。恐らく皆さん、同じお考えだろうと思いますが。 ほかに何か。 ○矢崎委員 今おっしゃられたとおりで、難病の調査研究の方は何回か方向転換があっ て、従来からこつこつと難病の患者さんのデータをそろえていたのが、途中でなかなか 困難になったことがありますね。ですから、治療費に関連すると同時に、調査研究費の あり方というのもいつかもう一度考え直していただきたいということです。  それから、先ほどのお話の受給者件数を見ても、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病とい う二つだけが近年、ものすごく数がふえている。一つは、先ほどのお話のような診断技 術が発達して早期からみつけられてカウントされるようになったことと、パーキンソン 病というのは高齢化と関連しているのではないかと思いますね。ですから、同じ難病の 中でも周りの環境がこの2疾患が極めて大きく影響を受けているというので、しかも決 められた医療費の枠の中で占める割合がどんどん大きくなっているということで、先ほ どからの御議論でどこで線を引くかはともかくとして、この疾患に対しては今から十分 な対応をしていかないといけないのではないか。  ほかの疾患に関してはそんなにふえていないということと、治療を考える上で患者さ んの御協力を得るということを考えると、今までどおりにカバーされた方がいい。  今度、では潰瘍性大腸炎とパーキンソン病をうまく対応できたときの後の新しく組み 入れる疾患に対しては、やはりこれも今までの議論があったように、疾患として軽症ま で含めるのか、ある程度重症度に限定すべきかということまで十分考えておかないと、 また同じような議論が繰り返されますので、調査研究と受給者の査定に関して二つ、先 ほどから御議論があるように十分病態も考えながら決めていただければ大変ありがたい と思いますので、よろしくお願いいたします。 ○金澤座長 ありがとうございました。大変示唆に富むお話をいただきました。  それでは、話を少し戻して今後の進め方に関してでありますが、具体的に絞られた二 つの疾患にかかわる患者さんの団体に御意見を伺う。考えているのは、おいでいただい てということですよね。一つの団体なのですか。 ○野上補佐 基本的には各疾患一つずつとは考えておりますが、潰瘍性大腸炎の方に関 しては全国団体が余りないということで、複数あるようですが、今、それは主任研究者 と相談しているところでございます。 ○金澤座長 パーキンソン病は全国のもので一つでいいのですね。 ○関山課長 基本的に一つの団体です。 ○金澤座長 わかりました。次回のヒアリング対象の団体については、事務局と相談し て決めたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは本日の議事は終了しましたが、必ずしも今回の議題にかかわらないことでも 結構ですが、せっかくの機会ですので何か皆さん方から御意見をちょうだいできればと 思いますが。 ○齋藤委員 これは毎回同じような意見を言うのですが、治療研究と調査研究との研究 費の配分の率は圧倒的に治療研究が多いのですが、調査研究も非常に重要だと思います ので、なるべくその割合をふやすような努力をしていただくとありがたいと思います。 ○金澤座長 240億と20億ですか、患者さんにとってみても、うーん、と思うでしょう ね。ほかにいかがでしょうか。  それでは、何か事務局からありますか。 ○野上補佐 それではスケジュールでございますが、対象疾患の見直しについては、9 月中にできればヒアリングを行いたいと思っております。また、10月ごろには取りまと めの御議論を進めていただければと考えております。次回日程については、委員の先生 方の調整をし次第、正式に御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○金澤座長 ただいまのスケジュール、よろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、本日の懇談会はこれで終わりたいと思います。どうも皆さん、御協力あり がとうございました。                                   (終了) (照会先)  厚生労働省健康局疾病対策課 TEL 03(5253)1111 内線 2351・2981