連合第7回定期大会確認/2001.10.10


パートタイム労働者及び期間の定めのある労働契約により雇用されている労働者(有期契約労働者)の適正な労働条件の整備及び均等待遇の確保に関する法案要綱骨子(案)


<総則>

 目的
 この法律は、労働基準法と相まって、パートタイム労働者及び有期契約労働者の適正な労働条件の整備及び雇用の場における均等待遇の確保を目的とする。

 定義
 この法律において、各用語の意義は次のものとする。
(1)  パートタイム労働者
 一週間の所定労働時間が同一の事業所又は同一の企業に雇用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比して短い労働者

(2)  有期契約労働者
 期間の定めのある労働契約によって雇用される労動者

(3)  通常の労働者
 当該労働者と同一の事業所又は同一の企業に期間の定めのない労働契約で雇用される労働者で、そこにおいて一般的な所定労働時間で勤務する労働者

(4)  類似の通常の労働者
 通常の労働者であって、パ−トタイム労働者又は有期契約労働者と同種又は比較可能な業務に従事する労働者

 パートタイム労働者及び有期契約労働者の雇用の場における均等待遇の原則
 使用者は、合理的理由がある場合を除いて、パートタイム労働者及び有期契約労働者の処遇(労働基準法にいう労働条件)について、所定労働時間が短いこと又は労働契約に期間の定めがあることを理由に、類似の通常の労働者と差別的取り扱いをしてはならない。

 社会保険等の加入に関する使用者の義務
 使用者は、労働保険、社会保険について、その被保険者資格を有するパートタイム労働者及び有期契約労働者を当該保険に加入させなければならない。

 労使協議
 使用者は、パートタイム労働者及び有期契約労働者の労働条件等について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者と協議を行うものとする。

 就業規則の作成、変更
 使用者は、パートタイム労働者及び有期契約労働者に適用される就業規則の作成又は変更について、パートタイム労働者又は有期契約労働者の代表の意見を聴かなければならない。

<パートタイム労働者の処遇>

 賃金支払いの原則
 使用者は、合理的理由がある場合を除いて、時間当たりに換算した賃金について、パートタイム労働者を類似の通常の労働者と差別的取り扱いをしてはならない。
 類似の通常の労働者との賃金にかかわる差別的取り扱いの判断基準については厚生労働大臣がその指針を定めるものとする。

 時間外労働
 使用者は、労働者のその都度の同意を得なければ、パートタイム労働者に契約上の労働時間を超えて労働を命じてはならない。
 この労働を命じた場合には、使用者は、労働基準法第37条に定める割増賃金を支払わなければならない。

 雇用・就労形態の転換
 使用者は、労働者が、通常の労働からパートタイム労働への転換を希望したとき、又はパートタイム労働から通常の労働への転換を希望したときは、その転換を容易にする措置を講ずるよう努めなければならない。

<有期契約労働者の処遇>

10  有期労働契約の許容
(1)  使用者は、一定の事業の完了に必要な期間を定める場合には、期間の定めのある労働契約を締結することができる。

(2)  使用者は次の各号のいずれかに該当する場合は、3年を超えない範囲で期間の定めのある労働契約を締結することができる。
(1)  新商品、新役務若しくは新技術の開発又は科学に関する研究に必要な専門的な知識、技術又は経験(以下、この条において「専門的知識等」という)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場において、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就く者に限る)との間に締結された労働契約
(2)  事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって、一定の期間内に完了することが予定されているものに必要な専門的知識等であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場において、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就く者に限る)との間に締結された労働契約(前号に掲げる労働契約を除く)
(3)  満60才以上の労働者との間に締結される労働契約(前(2)に掲げる労働契約を除く)

(3)  使用者は、次の各号に該当する場合には、1年を超えない範囲で期間の定めのある労働契約を締結することができる。
(1)  休業中の労働者の業務を補充するために雇用する場合
(2)  一時的な業務の増大に対応するために雇用する場合
(3)  業務の性質上一時的な労働のために雇用する場合
(4)  その他これらに準ずる合理的理由がある場合
 これらの定めに違反する期間の定めのある労働契約が締結された場合、期間の定めのない労働契約が締結されたものとみなす。

11  契約期間と期間を定める理由の明示
 使用者は、期間の定めのある労働契約の締結に際し、契約期間及び当該労働契約に期間を定める理由を書面により明示しなければならない。

12  契約の更新
 10(2)の労働契約は、(3)を除き、1回に限り1年以下の期間を定めて更新することができる。10(3)の労働契約は、1回に限り更新することができる。

13  賃金支払いの原則
 使用者は、合理的理由がある場合を除いて、時間当たりに換算した賃金について、有期契約労働者を類似の通常の労働者と差別的取り扱いをしてはならない。

14  空きポストに関する情報提供
 使用者は、期間の定めのない労働契約による雇用を計画している場合、有期契約労働者に対してその情報を提供しなければならない。

<その他>

15  罰則
 前掲4、10に違反した者は、これを100万円以下の罰金に処する。前掲11に違反したものは、これを30万円以下の罰金に処する。

16  両罰規定
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前条の刑を科する。

17  経過規定
 前掲7パートタイム労働者の賃金に関する規定、13有期契約労働者の処遇に関する規定については、5年間の経過規定を設けるものとする。

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