労働安全衛生法に基づく定期自主検査に係る問題点
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化学工業に対する平成16年定期監督等の実施結果 |
(1) |
定期監督等実施事業場 |
2,254事業場 |
(2) |
定期自主検査に係る違反事業場数 |
269事業場 |
(3) |
違反率 |
11.9% |
(4) |
違反事業場のうち、連続運転認定を受けていた事業場 |
6事業場 |
化学工業における定期自主検査に係る違反の内訳
(合計269件)

2 |
ボイラー及び第一種圧力容器の爆発、破裂等の事故における定期自主検査等違反状況 |
(1) |
平成14年〜17年における事故件数 |
16件 |
(2) |
定期自主検査又は日常点検未実施 |
8件 |
ボイラー及び第一種圧力容器に係る爆発、破裂等の事故のうち、
定期自主検査又は日常点検未実施が認められた事故 |
労働安全衛生法の適用を受けるボイラー及び第一種圧力容器に係る爆発、破裂等の事故のうち、事業者に義務付けている定期自主検査又は日常点検の未実施が認められるものは次のとおりである。
なお、これらの事業場は、いずれも連続運転の認定事業場ではない。
事例1(ボイラー)
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発生年月 |
: |
17年9月 |
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発生地 |
: |
山口県 |
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業種 |
: |
旅館その他の宿泊所の事業 |
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事故の型 |
: |
本体溶融 |
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事故発生状況及びその原因
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ホテルの暖房・給湯用ボイラーの給水ポンプから異音がしていたため、その起動スイッチの「入」、「切」を数回繰り返したところ異音が消えた。その際、起動スイッチが「切」のままとなり、また、低水位検出器のフロート部にスケールが付着していたため正常に作動せず、ボイラーが空だき状態となった。
給水ポンプの起動スイッチを「切」のまま放置したためボイラーに水が供給されなかったこと、低水位検出器の機能について定期自主検査を実施せず、当日に低水位検出器の点検を行わなかったため低水位検出器が正常に作動しなかったこと、当日に水位の監視を行わなかったことから本事故が発生した。 |
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事例2(第一種圧力容器)
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発生年月 |
: |
16年7月 |
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発生地 |
: |
山口県 |
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業種 |
: |
有機化学工業製品製造業 |
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事故の型 |
: |
破裂 |
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事故発生状況及びその原因
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ナイロンポリマーの重合塔において、ジャケット内の熱媒の減少により電気ヒーターが露出したため、露出部付近の高温により可燃性ガスが発生して充満し、破裂した。
この第一種圧力容器は、法定の製造時等検査を受けておらず、構造規格に適合していなかったものである。さらに、液面計の定期自主検査を実施していなかったため、熱媒の量を計測するための液面計が正常に作動しなかったことから本事故が発生した。 |
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事例3(ボイラー)
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発生年月 |
: |
16年6月 |
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発生地 |
: |
千葉県 |
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業種 |
: |
有機化学工業製品製造業 |
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事故の型 |
: |
本体溶融 |
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事故発生状況及びその原因
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ホルマリン製造プラントのボイラーについて、給水ポンプのリレーに埃等で接点不良が生じ、給水ポンプが停止したため、ボイラーの水位が低下したが、緊急停止装置がリレーの結露による短絡のため作動せず、ボイラー内が異常高温となって全体が変形、内部の水管が溶融した。
給水ポンプ及び緊急停止装置の定期自主検査を実施していなかったことから本事故が発生した。 |
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事例4(第一種圧力容器)
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発生年月 |
: |
16年1月 |
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発生地 |
: |
静岡県 |
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業種 |
: |
電気機械器具製造業 |
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事故の型 |
: |
破裂 |
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事故発生状況及びその原因
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電線用加硫缶に蒸気を供給して、電線に加硫反応をさせていたところ、のぞき窓が破裂した。
のぞき窓のガラスがアルカリ性の雰囲気により腐食していたため破裂したもので、このようにガラスが腐食しやすい環境にあったにもかかわらず、のぞき窓の定期自主検査を実施しなかったことから本事故が発生した。
なお、のぞき窓のガラスは、性能検査の受検後に交換されたものである。 |
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事例5(ボイラー)
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発生年月 |
: |
15年12月 |
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発生地 |
: |
茨城県 |
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業種 |
: |
パルプ・紙製造業 |
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事故の型 |
: |
爆発 |
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事故発生状況及びその原因
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段ボール製造工程における水管ボイラーの定常運転を行っていたところ、炉内で爆発が発生した。
主バーナーに燃料油を噴霧するための高圧空気供給用のゴムホースに亀裂があったため、燃料油が噴霧されずに炉内に溜まり、着火したもので、点火前にゴムホースを点検しなかったこと、燃焼状態を確認していなかったことから本事故が発生した。 |
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事例6(ボイラー)
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発生年月 |
: |
15年7月 |
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発生地 |
: |
京都府 |
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業種 |
: |
繊維工業 |
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事故の型 |
: |
爆発 |
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事故発生状況及びその原因
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ボイラーの定常運転としてON・OFF運転を行っていたところ、火炎検出器が誤作動を起こして炉内に燃料が漏洩し、再起動時の点火によって着火し、爆発した。
点火前に火炎検出装置の点検を行わなかったこと、燃焼状態を確認していなかったこと、プロパンガスの供給圧力の設定を誤ったことから本事故が発生した。 |
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事例7(ボイラー)
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発生年月 |
: |
15年7月 |
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発生地 |
: |
三重県 |
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業種 |
: |
有機化学工業製品製造業 |
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事故の型 |
: |
爆発 |
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事故発生状況及びその原因
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定期修理後のボイラーの立ち上げ作業において、手動で燃料供給弁を開放して供給量を増加させて主バーナーの点火操作をしていたところ、炉内で爆発が発生した。
火炎検出装置が着火用電極の漏電を着火と認識する誤作動を起こしていたため着火操作の繰り返しにより炉内に燃料が溜まり、漏電の火花で爆発したものであり、点火前に火炎検出装置の点検を行わなかったことから本事故が発生した。 |
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事例8(ボイラー)
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発生年月 |
: |
14年10月 |
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発生地 |
: |
兵庫県 |
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業種 |
: |
医薬品製造業 |
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事故の型 |
: |
爆発 |
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事故発生状況及びその原因
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ボイラーの調整作業中、燃料の重油を切り替えた際に失火したため、再着火を試みたところ、炉内で爆発が発生した。
炉内の換気を行わず、手動の燃料弁を開けて炉内に燃料を供給した後に再着火を行ったことにより、炉内に充満していた可燃性ガスに引火したことから本事故が発生した。
なお、ボイラーの点火を行った者は無資格者であり、日常点検を全く行っていなかった。 |
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