06/07/31 第1回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進推進に関する 研究会議事録 第1回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 1 日時   平成18年7月31日(月)10:00〜12:00 2 場所   厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)9階 省議室 3 出席者 ・参集者(五十音順、敬称略)  横浜市精神障害者家族会連合会会長          石井 紀夫  大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科教授      小川 浩  独立行政法人雇用・能力開発機構職業能力開発総合大学        非常勤講師               佐藤 宏  社会福祉法人電機神奈川福祉センター常務理事     志賀 利一  社会福祉法人加古川はぐるま福祉会        加古川障害者就業・生活支援センター長  高井 敏子  社会福祉法人桑友理事                武田 牧子  社会福祉法人日本盲人会連合副会長          時任 基清  株式会社かんでんエルハート代表取締役        中井 志郎  東京都立あきる野学園養護学校主幹          原 智彦  社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会常務理事     原田 雅也  全国社会就労センター協議会        調査・研究・研修委員会筆頭副委員長   東馬場 良文  東京福祉大学社会福祉学部教授            松為 信雄  法政大学現代福祉学部教授              松井 亮輔  目白大学人間社会学部人間福祉学科教授        松矢 勝宏  独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構        東京障害者職業センター次長       宮崎 哲治  日本発達障害ネットワーク代表、全国LD親の会会長  山岡 修  社団法人日本経済団体連合会労政第一本部        雇用管理グループ長           輪島 忍 ・オブザーバー 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 水野専門官、社会・援護局障害保健福 祉課 井原企画官、職業能力開発局能力開発課 西村主任職業能力開発指導官 ・ 事務局 鳥生高齢・障害者雇用対策部長、八田企画課長、土屋障害者雇用対策課長、深田 調査官、 白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐  (欠席された参集者、五十音順、敬称略) 日本労働組合総連合会総合労働局労働法制局部長     末永 太 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事     森 祐司 4 議題 (1)検討項目及び今後の検討の進め方について (2)障害者の就労支援施策の現状について (3)その他 5 資料  資料1 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会開催要 綱  資料2 審議会等会合の公開に関する指針  資料3 検討項目(案)  資料4 今後の検討の進め方(案)  資料5 障害者雇用の現状  資料6 障害者雇用対策の体系について  資料7 ハローワークにおける障害者の就労支援  資料8 障害者職業センターの概要  資料9 障害者就業・生活支援センター事業について  資料10 障害者雇用支援センターについて  資料11 雇用、福祉、教育等の連携による就労支援  資料12 職業リハビリテーションを担う人材  資料13 職場適応援助者(ジョブコーチ)事業の見直し及び養成研修  資料14 「就労移行支援のためのチェックリスト」の概要  資料15 雇用、福祉、教育等の連携に関する法律及び附帯決議等  参考資料1 障害種類別の就労支援施策  参考資料2 障害者の就労支援のためのメニュー一覧  参考資料3 都道府県等における障害者雇用促進に係る支援施策(県単独事業)の概 要一覧  参考資料4 障害者職業能力開発の概要  参考資料5 障害者自立支援法における就労支援  参考資料6 特別支援教育の現状等について 6 議事   ○事務局(矢田補佐)  ただ今から、第1回 「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する 研究会」を開催いたします。本日、御多忙のところご参集いただき、ありがとうござい ます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろ しくお願いいたします。  まず、研究会の開催に当たり、高齢・障害者雇用対策部長よりご挨拶申し上げます。 ○高齢・障害者雇用対策部長  高齢・障害者雇用対策部長の鳥生でございます。本日は、お忙しいところ御出席を賜 り誠にありがとうございます。  第1回「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」の開 催に当たり、一言御挨拶申し上げます。  まずは、皆様方に本研究会の委員をお引き受けいただきましたことに、厚く御礼申し 上げます。  さて、今般の障害者雇用促進法の改正により、障害者雇用施策と障害者福祉施策の有 機的な連携について規定されるとともに、障害者自立支援法においても同様の規定が設 けられたところであり、両者が一層緊密に連携し、福祉的就労から一般雇用への移行の 促進を着実に展開していくことが求められているところです。  また、教育の分野においても、障害のある児童生徒について、生涯にわたり一貫した 的確な支援を行うための個別の教育支援計画の策定に当たり、教育、福祉、医療、労働 等の関係機関の連携・協力体制を整備していくことが求められております。  このような状況の下で、障害者の職業的な自立を促進するため、この研究会において は、福祉、教育等との連携による障害者の就労支援を効果的に進めるための具体的な方 策についてご議論いただくとともに、就労支援機関に今後期待される役割はどのような ものか、就労支援を担う人材をどのように育成していくか、といった点を中心に、今後 の方向性について幅広くご検討いただければと思います。  私どもとしましては、この研究会の検討結果を踏まえ、法改正も視野に入れて、福祉、 教育等との連携による障害者の就労支援を一層推進して参りたいと考えているところで ございます。  各委員の皆様方におかれましては、それぞれの専門的な見地から、忌憚のない御意見 を賜りますようお願い申し上げまして、本研究会の開始に際しての私の挨拶とさせてい ただきます。どうか、よろしくお願いいたします。 ○事務局(矢田補佐) 本日は第1回目ですので、各参集者の方々と事務局のメンバーをご紹介させていただ きます。  (開催要綱の別紙の名簿の順に従い、参集者を紹介)  次に、事務局のメンバーをご紹介します。  (部長以下順に紹介)  そして、私は障害者雇用対策課で課長補佐をしております矢田と申します。よろしく お願いいたします。  また、本研究会には障害者の就労支援に関わる連携部局からオブザーバーとして参加 していますので紹介します。  (オブザーバーを紹介)  次に、本研究会の開催要綱についてご説明させていただきます。  資料1に従いまして、説明させていただきます。趣旨につきまして、ポイントを読み 上げさせていただきます。  「障害者自立支援法の制定により、授産施設等の福祉施設や作業所が機能別に再編成 され、福祉的就労から一般雇用への移行が促進されることとなり、また、教育の分野に おいては、個別の教育支援計画の策定に当たり地域における福祉施設等や労働関係機関 と連携した支援体制の整備が求められている。  このような中で、雇用の分野においても、障害保健福祉施策、教育施策と有機的な連 携を深めながら、障害者の一般雇用への移行等を促進するための施策を講じていくこと が急務となっている。  一般雇用への移行を希望する障害者の就労支援については、従来から、ハローワーク、 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等の就労支援機関が担うとと もに、昨年10月からは職場適応援助者助成金が創設されジョブコーチ支援実施機関や事 業所における支援も開始されたところであるが、一般雇用への移行を希望する障害者が 今後増大することが予想される中で、各分野の連携による支援の現状及び連携のための 課題を整理するとともに、就労支援機関の今後の在り方、障害者の就労支援を担う人材 の分野横断的な育成・確保、職業リハビリテーションの体系の整理等について幅広い見 地から検討することが必要となっている。  このため、関係者の参画する研究会を設け、福祉、教育等との連携による障害者の就 労支援の推進に関して検討を行うこととする。」  次に、2の研究会の運営、3の参集者、4の開催期間、5の検討事項につきましては、 ご覧の通りとなっています。  次に要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきます。座長の選出につきまし て、どなたかご推薦がございましたら、お願いいたします。 ○小川委員  障害者雇用分科会の委員でもあられる、松矢勝宏委員が適任であると思いますので、 松矢委員をご推薦申し上げます。 ○事務局(矢田補佐)  ただいま小川委員より松矢委員を座長にというご推薦がございましたが、皆様いかが でしょうか。  (「異議なし。」の声)  異論がございませんようですので、本研究会の座長を松矢委員にお願い申し上げたい と思います。  それでは、松矢先生、これからの議事進行について、よろしくお願いいたします。 ○座長  ただいま座長に選ばれました松矢と申します。どうぞよろしくお願いいたします。昨 年来、障害者自立支援法等の制定もございまして、雇用と福祉等との連携が非常に重要 になってきています。また、連携は各地域において行われるわけなので、地域で連携を しやすくするということも大切だと思います。その意味で、本研究会が実り多いものに なればと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、最初に、本研究会はメンバーの数が多いため、私の方から座長代理を指名 させていただきたいと思います。座長代理につきましては、松井亮輔委員を指名したい と思いますが、皆様よろしいでしょうか。  (「異議なし。」の声)  それでは、松井委員よろしくお願いします。  それから、次に、議事の公開について申し合わせをしておきたいと思いますので、事 務局から説明をお願いします。 ○事務局(矢田補佐)  会議の公開についてですが、資料2としてお配りしております「厚生労働省における 審議会等会合の公開に関する指針」において、懇談会等行政運営上の会合は、(1)個人に 関する情報を保護する必要がある、(2)特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するた め、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交 換又は意思決定の中立性が不当に損なわれる、(3)公開することにより、市場に影響を及 ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある、 (4)公開することにより、特定の者に不当な利益を与え不利益を及ぼすおそれがある、と いった要件に該当する場合を除き、公開することとし、特段の事情により会議又は議事 録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示することとされています。これに従 いまして、本研究会につきましても、議事及び議事録につきましては、原則公開という 扱いになりますが、会議の開催の都度、その議題を踏まえ、会議及び議事録の公開につ いての取り扱いを判断することとしたいと考えております。  また、配布資料については、原則として公開するものといたしますが、取扱いに注意 が必要な資料の場合は、その旨を表示し、非公開の扱いとさせていただきたいと思いま す。  なお、本日の会議につきましては、公開の取り扱いとしております。  議事録については、議事の最後に御議論いただき、差し支えがないということでした ら、各委員に内容の確認をとった上で公開とし、差し支えがあるようでしたら議事要旨 のみの公開ということにしたいと考えております。 ○座長  ありがとうございました。この会議の公開方法に関して何か御意見はございますか。  (「異議なし。」の声)  それでは、そのように取り扱うこととさせていただき、議事録の公開については、議 事の最後にお諮りすることとします。  それでは、早速ですが本日の議題に入ります。  まず、本日の議題のうち、(1)の検討項目及び今後の検討の進め方について、及び(2) の障害者の就労支援施策の現状について、事務局からまとめて説明を受けたいと思いま す。  それでは、事務局お願いします。 ○事務局(矢田補佐)  まず、検討項目と今後の検討の進め方でございますが、資料3を御覧いただきたいと 思います。本研究会の検討項目につきまして、事務局案を提示してございます。  検討項目としては、大きな4つの柱がございます。それぞれ括弧の中に、検討の方向 性を書かせていただいておりますが、1につきましては、当面の課題を整理・検討、2 から4につきましては、中・長期的な視点での課題と在り方を検討することとさせてい ただきたいと思います。  まず、一つ目の柱の「福祉、教育等の連携による就労支援の効果的な実施」につきま しては、まず「(1)各分野における就労支援の現状と課題」ということで、雇用、福祉、 教育といった各分野における就労支援の現状を、ヒアリングを通じて把握して、それぞ れの機関の役割に応じて支援ができるように、当面の課題について御検討いただきたい と考えております。  「(2)雇用から福祉、教育への働きかけの現状と課題」については、(1)を踏まえて、 福祉や教育で就労支援が効果的に実施することができるように、雇用サイドから福祉、 教育サイドへの働きかけや支援の在り方について、御検討いただきたいと考えておりま す。  「(3)関係機関の役割の明確化とネットワークの構築」については、(1)(2)を踏まえて、 各機関が担うべき役割や、必要となる機能について整備をして、役割に応じた機能が発 揮できるように、ネットワークの構築について、課題の検討をしていただきたいと考え ています。  「(4)就労支援の共通基盤の整備」でございますが、ネットワークの共通基盤として、 (1)ジョブコーチについては、人材面からジョブコーチ支援の方向性について、(2)就労移 行支援のためのチェックリストについては、今後教育や企業サイドを含めたネットワー クの中で、広く利用できるツールとなるような改訂の方向性について、御検討いただき たいと考えております。  それから、2つ目の柱の「就労支援機関の今後の在り方」でございますが、1の現状を 踏まえて、法律に基づく職業リハビリテーション機関として、以下の(1)(2)(3)のセンタ ーについて、役割が定められておりますが、(1)の障害者職業センターにつきましては、 特に地域のネットワークにおける中心機関として、新たにどんな役割を発揮する必要が あるのか、これからの在り方について、今後必要となる機能、配置する人材面も含めて、 今後の課題を御検討いただきたいと考えております。  (3)の障害者雇用支援センターでございますが、就労に向けた準備訓練を行うという点 で、その役割が似ている就労移行事業との関係性を踏まえて、現状の課題を整理して、 今後の在り方について、御検討いただきたいと考えております。  大きな柱の3本目の「就労支援を担う人材の分野横断的な育成及び確保」でございま すが、上記の議論を踏まえまして、雇用、福祉、教育等のあらゆる分野で障害者の就労 支援に関して、共通して求められる人材について、その役割や能力、専門性を整理し、 その育成や専門性の確保の在り方について、中・長期的な視点で御検討いただきたいと 考えております。  それから、4つ目の「職業リハビリテーションの体系の整理」でございますが、これ までの議論を踏まえて、職業リハビリテーションの体系につきまして、中・長期的な視 点で整理、御検討いただきたいと考えております。  検討項目につきましては、以上でございます。  続いて、資料4でございますが、今後のこの研究会の検討の進め方の事務局案につい て御説明させていただきます。  まず、第1回目は本日開催させていただきましたが、第2回目以降、9月から12月に かけて、だいたい月1回ぐらいのペースで開催したいと考えております。年内、研究会 を4回ほど予定しておりますが、障害者の就労支援の現状と課題について、いろいろな 就労支援機関からヒアリングをさせていただきたいと考えております。  それから、年が開けて、1月からでございますが、ヒアリングを通じて出された論点 整理に入りたいと考えておりますが、まず1回目の論点整理の研究会につきましては、 当面の課題と方策について御議論いただきたいと考えております。それから、当面の課 題を整理した上で、2月から4月にかけて、中・長期的な課題と方向性について御議論 をいただきたいと考えております。来年の5月から6月にかけて、研究会報告書のとり まとめのための議論をお願いしたいと考えております。  次のページでございますが、次回以降4回の研究会で予定させていただいているヒア リング対象機関について、事務局案を提示させていただいております。  ヒアリングは、計4回の研究会で11機関を予定しております。1回の研究会当たり、 2から3の機関を予定しております。一つの支援機関につき、40分で御報告と質疑をさ せていただき、その後、フリーディスカッションの時間をとりたいと考えております。 ヒアリングに当たりまして、本研究会の委員からも御報告をお願いしたいと考えており ます。  まず、1回目のヒアリングでございますが、「職業リハビリテーション機関における支 援の現状と課題について」ということで、地域障害者職業センターと障害者就業・生活 支援センターの2カ所を予定しております。  ヒアリングの2回目でございますけれども、同じく職業リハビリテーション機関とい うことで、ハローワークと障害者雇用支援センター、それから、教育分野から養護学校 からヒアリングをさせていただきたいと思っております。  次のページは、ヒアリングの3回目でございます。福祉施設を3カ所予定しておりま すが、就労支援に積極的に取り組んでいる福祉施設からの報告をお願いすることとして おります。  ヒアリングの4回目でございますが、ジョブコーチ養成、人材育成の現状と課題につ きまして御報告をお願いしたいと考えております。高障機構(高齢・障害者雇用支援機 構)における取組と、民間のジョブコーチ支援と養成の状況、それから、企業における ジョブコーチ支援の現状について、それぞれ御報告をお願いしたいと考えております。  以上、事務局からの検討項目と今後の進め方について御説明をさせていただきました。    続きまして、障害者の就労支援の現状ということで、資料をいくつか御用意させてい ただきましたので、続けて御説明をさせていただきます。  まず、資料5でございますけれども、「障害者雇用の現状」ということで、雇用率と雇 用されている障害者数の推移でございます。  雇用義務のある56人以上のものでございますが、まず、法定雇用率の1.8%に対して、 現在実雇用率が1.49%となっております。それから、56人以上の企業での雇用者数です が、重度はダブルカウントになっておりますけれども、平成17年度で269,000人と、過 去最高となっております。  次のページをめくっていただきますと、ハローワークにおける障害者の職業紹介状況 ということで、取扱数を載せております。年次推移の平成17年度を見ていただきますと、 新規求職申し込み件数が97,000件と、前年度比で4.8%増えておりまして、過去最高と なっております。  ハローワークの一般の新規求職申込は前年度比でマイナスになっているのですが、障 害者の方の場合は、求職意欲が衰えていない状況が見てとれるかと思います。就職件数 につきましても、17年度38,800件と過去最高となっております。  それから、次のページを見ていただきますと、障害種別の状況がそれぞれ出ておりま す。まず、上のグラフの新規求職申込ですが、割合としては身体障害者の方が6割以上 と非常に高くなっておりますが、対前年増減比の伸びを見ていただきますと、知的障害 者7.2%、精神障害者34.7%と、知的障害者、精神障害者の伸びが非常に大きくなってご ざいます。  次のページをめくっていただきますと、就職件数の推移でございます。同じように、 知的障害者が11.6%、精神障害者が29.9%と、支援難度の高い障害種別のところで、就職 件数が伸びております。  それから、就職率を見ていただくと、就職率は39.8%となっておりますが、知的障害 者で50%という非常に高いマッチング率で、逆に、精神障害者の方で33%ということにな ってございます。  引き続き資料6ですけれども、「障害者雇用対策の体系」でございます。全体の体系を 少し御説明して、職業リハビリテーションの概要を説明させていただきたいと思います。  まず、雇用対策全体としては、(1)の事業主に対する指導と各種援助がございます。そ れから、(2)の障害者に対するサービスの実施ということで、職業リハビリテーションが ございます。それから、(3)の障害者雇用に関する啓発という、この3本柱で雇用対策の 体系がなっております。  (2)につきましては、次のページをめくっていただきますと、「職業リハビリテーション の実施体制の概要」でございます。障害者の職業的自立を促進するために法律で位置づ けられているリハビリテーション機関といたしましては、次の5つがございます。  まず、公共職業安定所でございます。2つ目は、障害者職業センターでございます。 総合センターと広域センターと地域センターがそれぞれ全国、広域、都道府県レベルに 設置してございます。3つ目の雇用支援センターですけれども、もっと身近な市町村レ ベルで設置したものでございます。4つ目は、福祉圏域レベルで障害者就業・生活セン ターを設置しております。それから、能力開発施策になりますけれども、障害者職業能 力開発校がございます。職業リハビリテーション実施体制は以上でございます。  次に、資料7以降、それぞれの職業リハビリテーション機関の主な業務について御説 明させていただきます。  まず、資料7でございますが、ハローワークにおける障害者の就労支援ということで、 一般的にハローワークでは職業紹介から求人確保、雇用率の達成指導等を行っておりま す。  次のページを見ていただきますと、ハローワークの最近の取組ということで御紹介さ せていただいておりますが、まず、「1、雇用率達成指導の強化」を図っております。そ れから、「2、障害者に対する職業紹介の充実」を図り、各種施策を活用したいろいろな マッチングの施策の充実を図っておるところでございます。  ハローワークにつきましても、平成15年度から目標管理を導入しております。※印以 下ですけれども、以下の目標を設定して、着実に取組を推進しているところでございま す。  ページをめくっていただきますと、ハローワークの主な事業として、トライアル雇用 事業がございます。障害者の方を雇い入れたことがない事業所向けの支援施策でござい ます。3カ月を限度に有期雇用契約で障害者を雇い入れていただくということで、実施 しておりますが、常用雇用移行率が82.0%と非常に高い数字になっております。  それから、次のページをめくっていただきますと、地域障害者就労支援事業でござい ます。平成17年度からモデル的に、以下の全国10カ所のハローワークで実施している 事業でございます。ハローワークが中心となって、福祉から一般就労への移行を促進す るという事業でございまして、事業の体系としては、まず、(1)支援対象者にケアマネジ メントの手法を使って、いろいろな関係機関からなるチームを設置して支援を行うとい うものと、それから、福祉施設での訓練と事業所での実習を組み合わせて実践的な内容 となるような、組み合わせ実習をしております。  次のページをめくっていただきますと、「医療機関等と連携した精神障害者のジョブガ イダンス事業」でございます。特に精神障害者の方は若くして発病するということもあ って、就職した経験がないという場合が多く、また、医療機関を利用しておりますので、 ハローワークから医療機関に出向いていって、就職意欲の高い方、お医者さんから求職 活動をしていいという状態になった方、そういった方に対して、ジョブガイダンス、職 業講話ですとか、具体的な求職活動のやり方について指導を行っている事業でございま す。  以上がハローワークの主な事業でございます。  それから、資料8でございますが、「障害者職業センターの概要」でございます。障害 者職業センターは、法律に基づいて専門的な職業リハビリテーションを実施する機関と して位置づけられておりまして、以下の総合センター、広域センター、都道府県レベル での地域障害者職業センターがそれぞれございます。  3の地域センターにつきましては、次のページで概要を説明してございますが、地域 センターにおきましては、障害者お一人おひとりのニーズに応じて、職業評価や職業準 備支援、ジョブコーチ支援、精神障害者に関する総合雇用支援等を行っております。そ れぞれの事業につきましては、次のページで御説明をしたいと思います。  まず、職業準備支援でございますけれども、就職に向けて基本的な労働習慣の体得で すとか、社会生活技能の向上等を目指して、障害者のお一人おひとりのニーズに合わせ た支援を提供しております。  それから、次のページをめくっていただきますと、主な事業として、ジョブコーチ事 業がございます。職業リハビリテーション計画に基づいて、ジョブコーチ支援を実施し ております。下の配置数を見ていただきますと、地域センターのジョブコーチ304名、 それから、第1号、第2号のジョブコーチを配置させていただいております。地域セン ターにおいても、1号ジョブコーチと連携した支援であるとか、2号ジョブコーチのジョ ブコーチ支援計画への助言等、連携によるジョブコーチ支援を実施しております。支援 実績につきましても、職場定着率が83.6%と、高い職場定着状況となっております。  それから、6ページ目でございますが、「精神障害者総合雇用支援の実施」でございま す。精神障害者の方の雇用促進を図るために、本人と事業主に対する支援を強化してお ります。全国の地域センターに専任の職業カウンセラーを配置しまして、主治医との連 携のもとで、雇用促進、職場復帰、雇用継続支援、そうした総合的な支援を行っており ます。  それから、8ページでございます。これまでの地域センターの事業における業務実施 状況につきまして、平成17年度分を付けさせていただいております。  引き続き、資料9について説明させていただきます。「障害者就業・生活支援センター 事業」でございます。福祉圏域レベルで地域の支援拠点として、就業面と生活面におけ る支援を一体的に行う事業が平成14年の法改正により創設されております。設置個所数 としては、18年度で110センターでございます。17年度分の実施状況でございますが、 17年度は90センターでございましたけれども、支援対象障害者の割合について、知的 障害者が60%ということになっております。就業状況を見ていただきますと、求職中の 方が4割、在職中の方が4割弱ということで、在職中の方の利用も非常に多いという状 況でございます。  それから、資料10でございます。「障害者雇用支援センター」でございますけれども、 現在のところ、設置個所数は14センターでございます。特に就職が困難な障害者の雇用 の促進を図るために、長期間の職業準備訓練が必要な方について、職業準備訓練を実施 しております。地域センターの準備訓練は短期集中的に行うものであるのに対して、雇 用支援センターでは原則1年、最長2年の訓練を行っております。次のページは、実績 について、17年度をとりまとめさせていただきました。だいたい定員が10名から30名 ということになっておりまして、17年度における利用者は378名、1センター当たりだ いたい27名となっております。障害種別で見ていただくと、知的障害の方が88%と圧倒 的になっております。  それから、続きまして、資料11でございます。雇用、福祉、教育の連携による就労支 援ということで、連携施策につきましてとりまとめをさせていただいております。まず、 資料11の1でございますが、雇用、福祉、教育のネットワークということで、なぜ連携 が必要なのかを整理したものでございます。これまでの現状を鑑みて、障害者の方のラ イフステージ毎に支援が分断されないようにすることと、各分野で支援が完結されてし まわないように、適切な時期に、他の分野に適切に引き継ぐということが、利用者にと っても支援者にとっても有効ということが書かれております。  それから、次のページは、具体的な連携のイメージとして出させていただいておりま すが、それぞれ、都道府県の中に圏域が設置されていて、例えば障害者就業・生活支援 センターと就労移行事業を行う事業者を中心にして、圏域毎のネットワークが形成され、 さらには県レベルでの地域センターですとか、能力開発校、労働局等がバックアップを するというようなイメージになっております。  それから、次のページ以降は具体的なケースを例示しております。まず、3ページ目 は、養護学校卒業者が就職、定着するまでの標準的な支援ということで、それぞれのス テップで必要な支援を関係機関が連携してサービスを提供するというようなイメージで 書いております。次のページは、福祉施設を利用している障害者が就職、定着するまで のイメージでございます。3枚目が離職した障害者の方の就職、定着までのイメージと なっております。  それから、資料11の2でございますが、雇用と連携の通達の抜粋を少し載せておりま す。この通達は、今年の4月に出させていただいた職業安定局長から各労働局長への指 示をした内容のポイントでございます。こうした連携の中で、雇用サイドとして何をや るかにつきまして、丸印の2本柱でまとめております。まず、一つ目の柱としては、一 般雇用や雇用支援策に関する理解の促進や就労支援の強化ということで、雇用サイドか ら福祉サイドへの働きかけを書いております。それから、2つ目の柱でございますが、 さらに個々の障害者に対する支援を着実に繋いでいくための、それぞれ各機関との具体 的な連携の仕方をまとめたものでございます。  以下が、それぞれの柱に沿った具体的な事項になります。特に、一つ目の、「福祉施設 等における就労支援の現状の把握」ということでは、連携のネットワークづくりに当た っては、やはり福祉施設を知らないといけないということで、データベースづくりを指 示しているところでございます。  それから、2つ目の、「障害者就労支援基盤整備事業」でございますが、雇用から福祉 サイドへ具体的にどういうふうに働きかけをしていくのかにつきまして、まず、就労支 援セミナーを実施して、雇用について理解を深めていただこうというものと、障害者就 労支援アドバイザー、例えば企業のOBの方をアドバイザーとしてハローワークに登録し て、個々の福祉施設に派遣をして、実践的なアドバイスをしていただくというような事 業内容を書いております。  それから、次のページでございますが、3として、「個別支援を着実に繋ぐための福祉 施設等との連携の強化」というところでは、これまでのいろいろな施策が縦割りではな く、いろいろな段階で連携した支援内容となるようにまとめたものでございます。  それから、通達の4ページ目でございます。4の「その他」というところで、「(1)障 害福祉計画の策定への関与」というところでは、労働局も都道府県や市町村が制定する 障害福祉計画の策定に積極的に関与するとともに、当該計画に盛り込まれる福祉施策か ら一般就労への移行に関する目標の達成に向けた取り組みを行うということを指示して ございます。  次のページから、通達の現物を付けてございます。後ほど見ていただければと思いま す。  かなりめくっていただきまして、資料11の3でございます。通達の方でも指示をさせ ていただいております障害福祉計画への積極的な関与というところで、どういった数値 目標が設定されているかでございます。  資料11の3の3ページ目をめくっていただきますと、「障害福祉計画に盛り込むべき 就労関係の目標について」ということで、既に自立支援法に基づいて、障害福祉計画を 策定することとなっております。その基本方針については、大臣名で告示されておりま して、具体的な数字が今後通知される予定となっております。設定する目標としては、 以下の6つございます。就労移行支援事業の利用者数の目標の設定としては、利用者の 2割以上が就労移行事業を利用することを目指すということと、2のハローワーク経由に おける福祉施設利用者の就職件数について、3の委託訓練について、それから、4のトラ イアル雇用について、5のジョブコーチ支援について、6の就業・生活支援センターにつ いての具体的な就労関係の目標が指示されるということになっております。次のページ は、告示そのものを付けてございますので、後ほど見ていただければと思います。  それから、資料12でございます。「職業リハビリテーションを担う人材」ということ で、地域の職業リハビリテーションを担う人材として、現在配置されている専門的な人 材をそれぞれの機関毎に、職務と要件、研修育成体系について、整理をさせていただい たものでございます。  まず、1枚目の地域センターでございますが、地域障害者職業センターには障害者職 業カウンセラーを配置しなくてはならないと法律で決められております。職業評価、職 業リハビリテーション計画の策定から始まる主な地域センターの業務を、カウンセラー が担うということになっております。職業カウンセラーの主な要件としては、厚生労働 大臣が指定する試験に合格し、かつ、厚生労働大臣が指定する講習を終了した者、その 他省令で定める資格を有する者とされておりまして、右の方に指定する講習、研修につ いて取りまとめております。まず、フォローアップ研修として、採用後3年目程度を対 象とした研修があります。だいたい一通りのカウンセラー業務ができるというようなこ とになっております。それから、専門第2期研修につきましては、採用後5年程度の者 を対象として行うもので、中堅として複雑な事案にも対応できるという内容になってお ります。それから、専門第3期研修でございますが、地域における職業リハビリテーシ ョン機関のスーパーバイズもできるような内容というふうになっています。  それから、地域センターには、カウンセラーの下に評価アシスタントという職務の者 がおりまして、カウンセラーの指示に基づいて、職業評価や準備訓練を行うものとなっ ております。要件としましては、こうした業務に1年以上従事した経験のある者とされ ております。  次のページをめくっていただきますと、ジョブコーチが地域センターに配置されてお ります。カウンセラーの指示に基づいてジョブコーチ支援を行うということになってお りますが、要件としましては、こうした業務に1年以上従事した経験がある者とされて おります。配置要件としては、高障機構が実施するジョブコーチ養成研修を終了した者、 あるいは、第1号ジョブコーチ養成を終了した者というふうになっております。  それから、地域センターにリワークアシスタントということで、精神障害者を主に担 当するカウンセラーの指示で、職場復帰支援を担当する者がおります。いずれも、要件 としては、こうした業務に1年以上従事した者ということになっております。平成17 年の10月に開始したばかりでございまして、リワークアシスタント研修を昨年、事業の 実施開始前に実施したところでございます。今後、リワークアシスタントの経験交流会 を予定しているところでございます。  それから、2のハローワークでございますが、障害者の専門窓口に障害者支援の専門 性のあるこうした人材を配置しております。まず、精神障害者ジョブコンサルタントで ございますが、主に職員に対して、精神障害者への支援についてアドバイスをしていた だくような職務をしております。主な要件としては、こうした高い専門的な知識を持た れている方です。もともと、高い専門性を持っていらっしゃる方ですので、研修・育成 については、特になしということになっています。  それから、障害者専門支援員でございますが、障害者の職業紹介に当たってより高い 専門性を発揮して、例えば、他の機関とのネットワーク、連携ですとか、事業主への助 言を行うというような職務を担っております。研修・育成としましては、障害者支援経 験交流会議を年1回開催しているところでございます。  それから、次のページでございますが、ハローワークの窓口に職業相談員が配置され ておりまして、まず、通常の相談業務を行う職業相談担当と、求人開拓を主に行ってい る求人開拓担当の相談員がおります。それから、手話協力員の方を配置しております。  次のページをめくっていただきますと、就業・生活支援センターでございます。就業・ 生活支援センターには就業支援担当者を配置しておりまして、主にこのセンターの就労 支援業務を担当しております。研修・育成体系としては、まず、初任者研修がございま す。それから、4年以上の経験者を対象としたスタッフリーダー研修がございます。ま た、年1回の経験交流会議を開催しているところでございます。  次のページですが、雇用支援センターでございます。センター長の下に指導員を配置 しておりまして、主に職業準備訓練や職場実習の指導を行っております。研修・育成体 系につきましても、初任者研修とスタッフリーダー研修がございます。  それから、5のジョブコーチ支援実施機関ということで、特に第1号ジョブコーチに つきましては、主な要件としては、高障機構が行う第1号養成研修、それから、厚生労 働大臣が指定した養成研修を終了した者であって、社会福祉法人に雇用されている者と いうことで、こうした研修を終了した者が主な要件というふうになっております。  次のページは、発達障害者支援センターでございます。職業リハビリテーションとし ては明確には位置付けられてはおりませんが、法律で就労支援を実施する機関として位 置付けられておりますので、挙げさせていただいております。就労支援を担当する職員 がいらっしゃいまして、就労に向けた相談や、企業への理解促進、それから、関係機関 との連携を共に担っております。研修・育成につきましては、次のページで説明させて いただきます。  参考として付けさせていただいておりますのは、障害者職業総合センター等でいろい ろ行っております人材育成のセミナー等でございます。まず、上の4つが総合センター や地域センターで実施している実践的なセミナーやフォーラムであったり、基礎講座で ございます。それから、一番下の方が、発達障害者支援センターで就労支援を担当する 職員のための講習会ということで、こうした発達障害者の就労支援担当者についてのい ろいろな講習会を、今年度から実施しているところでございます。資料12につきまして は、以上でございます。  次に、資料13でございますが、「ジョブコーチ支援事業の見直しについて」でござい ます。法改正によって平成17年10月からジョブコーチ支援につきましては、下の網掛 けの部分のジョブコーチ助成金を創設したところでございます。第1号ジョブコーチと 第2号ジョブコーチが行った支援につきまして、助成金を使って、ジョブコーチ支援の 裾野を広げていこうというものでございます。次のページに、ジョブコーチ助成金の対 象となる厚生労働大臣が指定した養成研修につきまして御紹介させていただいておりま す。大臣が指定する研修としては、2つの研修が指定されております。  それから、資料14につきまして御説明させていただきたいと思います。「就労移行支 援のためのチェックリスト」でございますが、8月の中旬から下旬にかけて完成する予 定でございます。内容につきましては、就労移行事業者が支援計画を作成して支援を進 めていく際に、対象者の現状を把握する等に利用していただくものでございます。最終 案として現物をお付けしてございますが、内容については若干変わる予定でございます ので、御承知いただきたいと思います。  続けて、資料15につきまして御説明させていただきます。「雇用、福祉、教育等の連 携に関する法律及び附帯決議」でございます。まず、障害者の雇用の促進等に関する法 律について、有機的な連携が今回の改正で新たに追加されたところのみ御紹介させてい ただいております。それから、障害者自立支援法の中での緊密な連携等について、条文 を引いてございます。発達障害者支援法につきましても抜粋させていただいております。 それから、法改正の時、国会でなされた附帯決議を抜粋しまして、引いておりますので、 御参考までにお付けしてございます。  それから、再チャレンジ可能な仕組みの構築ということで、中間取りまとめ案の中に 障害者関係が載っておりますところを抜粋させていただいたところでございます。  以上が資料の説明でございます。他に参考資料をお付けしてございますので、後ほど 見ていただければと思います。以上で事務局からの説明を終わりにさせていただきます。 ○座長  ありがとうございました。ただいま事務局から説明をいただきましたが、この説明を 踏まえまして、検討項目及び今後の検討の進め方について意見交換をしたいと思います。 時間的に40分ぐらい割いておりますけれども、大変分量の多い報告でございますので、 今後の検討の進め方と今展開されている諸施策を前提にして、来年の6月までに、全体 を見通して、進め方とか、事前に我々が知っておくべきこと等のことにつきまして、御 意見がありましたら、よろしくお願いいたします。それから、記録の関係もあり、また、 委員の方々のより良き意見交換ということで、委員の名前をまず最初にお願いいたしま す。それから、本委員会は「マツイ」姓の委員が2人おりまして、できれば両委員の場 合、フルネームでお願いできるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、どうぞ。どなたからでも結構でございます。  松井亮輔委員どうぞ。 ○松井委員  松井亮輔です。基本的には、これは労働施策を中心に検討されるわけですから、職業 リハビリテーション、特に私は人材養成のところの、今説明がありましたけれども、そ こでリハビリテーションを担う人材というのは、当然、現在労働行政を中心として関わ っていらっしゃる方々がここで挙げられていると思いますけれども、御承知のように、 職業リハビリテーション自体の定義を考えれば、これはかなり広いわけで、必ずしも労 働行政サイドだけではなくて、職業リハビリテーションといえば、教育においても、あ るいは福祉においても、そういう人材が要るわけです。ですから、そこは全体を見渡し た形での整理というか、ここの会議で、それぞれの行政を網羅してというわけにはいか ないと思います。もちろんヒアリングはそうやるわけでしょうけれども、そこまで手を 広げてまとめるというわけにはいかないと思いますけれども、視点としては、かなり広 い範囲で捉えて、焦点は労働に当てながらも、その周辺も含めた形で議論をするという 確認をさせていただきたいと思います。 ○座長  ありがとうございます。リハビリテーションというのは、職業リハビリテーション、 社会リハビリテーション、教育リハビリテーション、これは特別支援教育でありますけ れども、医学的リハビリテーション、こうした全体が協力していくということが必要で ありますし、特に個別の支援計画ということは、全ての領域にわたっての障害者基本計 画でいわれていることでありますので、そういう人材面の協力をどうしても必要として いますので、今、松井委員の御指摘のようなところは、特に我々は心がけていきたいと 思います。  他にいかがでしょうか。 ○宮崎委員  宮崎でございます。今、松井亮輔委員の方からの話にも少し関係があるかもしれない のですが、職業リハビリテーションを考えていった時に、社会資源がどういう状況にな っているかという地域間の格差というのが大きいのではないかと感じているところでご ざいます。例えば、東京のような大都会でしたら、職業リハビリテーションの関係領域 の機関とかもかなり充実しておりますし、そういった中で、これからネットワークの構 築について考えていこうとした時に、職業センターあるいは就業・生活支援センターの 果たす役割等のそういった就労支援機関というものがほとんどない地域で、あるいは、 これから障害種類として新たに出てくる発達障害者であるとか、精神障害の方たちに対 する取組の機関だとかが過疎的に非常に薄い地域の中で、実際にこういうネットワーク であるとか、人材育成をどうしていくかということを考えていこうとすると、かなり地 域格差があるのかなと思います。  そこで、この委員会の中でどういうふうなところに焦点を当てながら、都会型の大き なところでやっているところをモデルにし、全国的にそういうふうにしていこうと思っ ても、やはり各地域で実現していくのはなかなか難しい部分もあろうかと思いますので、 いくつかのパターンに分けながら検討を進めていったらいかがかというふうに考えると ころですが、いかがでございましょうか。 ○座長  ありがとうございます。どうでしょうか。地域格差の点はとても重要だろうと思いま す。各都道府県市町村での連携ということでありますけれども、都道府県レベルでみま すと、今ご指摘のように、非常に格差が大きいので、そういう意味では、ある程度類型 を考えて、全体として連携の条件、環境条件を緊密にしていくというような視点も必要 かと思います。どうぞ御意見を続けてお願いします。 ○輪島委員  輪島でございます。今、宮崎さんがおっしゃった点は大変重要だとは思っているので すが、一方、東京、大都市圏もいろいろ支援機関がたくさんある割には、人も多いので、 そこのところが分散をしているので、大都市圏の資源が充実していて、うまくいってい るのかという点で、地域間の格差がどういうふうになるのか。地方が薄くて、そこで格 差があるというところも、なかなか難しいなと思っているところです。  それから、質問ですが、まず第1点は、国連で障害者の権利条約というのが議論にな ると思いますけれども、事業主としては合理的配慮という観点から非常に関心を持って いるわけです。今回の国会で、男女雇用機会均等法が改正をされて、基本的には性差別 禁止法の法体系になったわけですけれども、今度の障害者の権利条約を日本政府が批准 をしたときに、その観点からいうと、障害を持っているというようなことについての関 係で、どういうふうな整理が行われるか。または、全体的にいうと、男女雇用均等法の ように障害の有無による差別禁止法の法体系に変わっていくのかどうか。それによって、 今、この研究会で雇用と福祉の連携とか、教育との連携とかというのは、基本的なフレ ームワークが変わってくるのではないかと思いますが、その点、その新しい条約を日本 政府として批准を前提とするかどうか。それと、批准をした場合に、どういうふうにな るのか。まず、以上のようなことをお伺いしたいと思います。松井先生にお伺いした方 がいいのかも知れませんが。 ○座長  よろしくお願いします。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用対策課長の土屋でございます。ただいまご質問のあった条約の関係ですけ れども、まず経過を御説明いたしますと、この8月にもニューヨークで最終的な案を固 める委員会が開かれるという予定になっておりまして、多分、この9月の国連総会で条 約を採択する方向で各国の協議が詰められるという状況だと思っております。  日本政府としての対応は、私ども雇用のセクションを含めまして、基本的には日本国 として批准ができるような方向で条約の案を詰めるということでやっているつもりでご ざいますので、従って、権利条約が採択されれば、一定の期間は要するかと思いますけ れども、基本的には批准する方向ということになるのではないかと思っております。  それで、差別禁止の部分については、お話のように、権利条約の中でも、その考え方 が明確に出されている部分がございますが、国内法制的に考えますと、障害者基本法と いう法律がございまして、この法律の基本的理念のところに既に差別禁止の考え方が書 かれております。具体的には、第3条の3項というところでございますが、「何人も、障 害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をし てはならない。」という規定が既にございますので、基本的には、この基本法の考え方に 沿って対応していくということだろうと思っています。  雇用の場面についてどうかについては、条約の中身がこれからどういうふうに煮詰ま っていくかということによって、具体的な対応を考えていくということ、場合によって は国内法制の整備が要るということかと思いますが、基本的にはこの基本法で一定程度 カバーされているという状況ではないかと思っております。  この研究会での御議論との関係でございますが、今申し上げましたように、基本線で 大きな方向転換ということではないと思っておりますので、従いまして、現状の連携、 各分野での就労支援という中で、今後どういった方向を私どもとして目指して行くべき か、各分野でどういった就労支援を展開し、連携をしていくべきかという点について、 現行法制なり現状の中で、どういうふうに考えていくかということをまず基本に御議論 をいただくということでよろしいのではないかと思っております。以上でございます。 ○座長  ありがとうございます。どうぞ。 ○輪島委員  資料6のところに職業リハビリテーションの実施体制が入っていますが、最近、能力 開発局の方で委託訓練の仕組みがあるかと思いますけれども、これは訓練の方で、職業 リハビリテーションという位置づけではないので、こういうところに入ってこないとい うことでよろしいのでしょうか。  それから、資料11−2の4月18日の連携通達ですが、データベースの作成ということ が盛られています。ハローワークがデータベースを整備するということですけれども、 これが外に公開されていくということがあるのかどうかということを伺いたいと思いま す。  それから、資料12でございますが、担う人材のところでお伺いをしたいのは、ジョブ コーチは今度の法改正で1号と2号という形になったわけですが、この資料12の中では、 1号ジョブコーチの記述がありますけれども、2号の記述がないのですけれども、これは 職業リハビリテーションという位置づけの中に入るのかどうかということです。  それから、資料13の2ページ目ですが、ジョブコーチの受講対象者のジョブコーチ助 成金に係る認定に関して、認定の要件を教えていただければと思います。  最後に、資料14のチェックリストですが、このチェックリストは誰がどうやって使う のかというのが、今ひとつよく分からないのですが、企業側からすると、こんなにすご い情報がどういうふうに整理されるのかなとも思うのですが、このチェックリストの使 い方と、どういうふうになるのかというのを教えていただきたいと思います。以上です。 ○障害者雇用対策課長  障害者雇用対策課長の土屋でございます。いくつか御質問をいただきましたので、順 次お答えをしたいと思います。  まず、委託訓練でございますが、これは今回の出している資料6の中では明確に位置 づけをさせていただいていないかと思いますが、あえて言えば、6の1ページ目の(2)の4 つ目の丸のところの2つ目のポツのところに一応位置づけておりますけれども、これは 公共職業訓練の一環であるという意味においては、職業リハビリテーションの一つの手 段といいますか、そういったものとして私どもも考えておりますので、その使い方につ いて、連携の中でどういった形で使っていくかということについても、この場でも御意 見をいただくことができればと思っています。  それから、連携通達に基づくデータベースについて、公開されることがあるのかとい うことでございますが、作成したもの自体は行政文書に当たりますので、情報公開請求 があった場合には、情報公開をする可能性があるということであろうかと思います。た だ、内容的には個人の情報に渡るような部分が出たり、あるいは、社会福祉法人として の経営に関わる部分があったりというようなことがあって、非開示になる部分が相当出 る可能性はあろうかと思っております。  それから、資料12のジョブコーチで、第2号ジョブコーチの資料が入っていない点に ついては、この資料12の作りによるのですが、法律上位置づけられている、職業リハビ リテーション機関における人材ということで、この資料12を整理させていただきました。 そういう意味では、実は、能力開発校が入っていないのですが、企業に配置をしている ジョブコーチについては、そういう主旨で整理させていただいたために、はっきりと明 示をしなかったという形になっております。いずれにしても、こういったジョブコーチ 支援を行っていくということが、職業センター、それから、第1号ジョブコーチが配置 されている機関のみならずいろいろなところで行われるということを目指していこうか ということは、私どもとしても考えているところでございますので、この場における議 論としては、是非企業に配置される第2号のジョブコーチの活用の方策なども含めまし て御議論いただければと思っております。  それから、ジョブコーチ助成金の認定の要件については、今、手元に資料がございま せんので、後ほど御提供申し上げたいと思っております。  それから、資料14のチェックリストにつきましては、先ほど簡単に御説明をさせてい ただいた中にも入っていたかと思うのですが、今回、就労移行支援事業者という形での 福祉のサイドで就労移行を目指す支援をやっていく方々が出てくるわけでございまして、 そういった方々を中心に就労移行支援をするためのいろいろなチェックをするシートと して、今回開発したというものでございます。元々の目的としては、雇用サイドと福祉 サイドがいわば共通のそういったツールをもってこれから対応していくことができれば ということでございまして、先ほど申し上げましたように、将来的には、こういったと ころから得られる支援の必要性だとか、そういったものを企業やあるいは教育の現場で も共通のものとして活用できるような方向を目指していければと思っておりますので、 その点も御議論いただければと思っております。以上でございます。 ○輪島委員  連携通達のデータベースの件ですけれども、情報公開請求をしなければ出ないと言う ような答弁のように聞こえるのですけれども、資料7の中でいうと、ハローワークの4 ページ目の地域障害者就労支援事業の概要ということで、この事業、特に4ページ目の 3の実施安定所の渋谷のハローワークの取組を伺っているところによれば、個人情報だ とか、経営のそれぞれの試算の状況というようなことではなくて、まず、どういう名称 のどういう機関があるのか、その機関は住所がどこになっていて、電話番号はどこなの か、それから、その就労支援機関が、どの程度の、ある意味では力量をもって就労支援 をやっていくのか。こういうようなことをデータとして整理をするということなので、 先ほどの答弁のようなもので情報公開を妨げるということではなくて、むしろ積極的に 地域にどういう社会資源があるのかというのが企業側からは分かり難い状況になってい るわけなので、その点についての御検討をお願いしたいと思っております。  それから、ジョブコーチの助成金の要件は、審議会の議論を踏まえて言えば、職業生 活相談員の経験が5年、重多と特例子会社で3年の経験があることが助成金を受けるこ との条件になっているはずです。実態として、例えば特例子会社であれば3年要件とい うのは、実際に3年経つと、もう人事異動で本社に戻ってしまうというケースの方が多 いので、その点でいうと、要件が助成金の受け難い状況になっていると思っております ので、その点も御検討いただきたいと思っております。以上です。 ○座長  ありがとうございます。松為委員どうぞ。 ○松為委員  東京福祉大学の松為信雄の方でございます。よろしくお願いいたします。2つお伺い したいと思います。  一つは、今、輪島委員の方からお話があったことに絡んでです。私は今の大学に移る 前に、幕張の障害者職業総合センターにおりましたけれども、そこでは大きなデータベ ースを確か作っているはずです。名前はちょっと失念いたしました。そうしたものが今 ここにある。総合データベースは今言った施設福祉等に関しては、全国調査をやりまし て、情報公開は、施設間の納得のもとに、情報公開をしている部分としていない部分が あります。既に大きなデータベースとシステムがあるものですから、それをどういう格 好で活用するか。特に障害者職業総合センターの方でどういう形で将来展望を考えてい るのか。是非ともそこを議論してもらいたいところです。  もう1点は、先ほど来お話がありました人材育成のことに絡んでです。私は大学に移 りましてつくづく思うのは、職業リハビリテーションに関する人材はもっともっと広げ るべきだと思っております。そういった意味では、実は、大学等に関しての教育カリキ ュラムに関して、こういった形のものが進められる可能性があるのかどうか。そうした ところも是非とも、文部科学省の担当者の方々、大学担当者の方々にお話を伺って、人 材育成を幅広く広げるという意味で議論してもらいたいと思います。以上でございます。 ○座長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。 ○東馬場委員  セルプ協(全国社会就労センター協議会)の東馬場でございます。今、私どもセルプ協 の方で、授産施設を運営している立場で発言させていただきますけれども、自立支援法 が施行されて、機能別に再編をされました。そういう意味では、非常に分かりやすく、 施設というか、機能が整理されたというふうに感じているんです。今、現場で、就職だ とか、就労だとかという部分で、ネットワークだとかやっているんですが、そこで引っ かかっているというか、悩んでいるところなんです。  まず、事業という形なんですけれども、福祉サイドの就労移行支援事業と労働サイド の職業訓練校、あと、養護学校の専攻科、この3つの部分が事業として同じようなこと をやっている、動いているということです。  あと、手帳の部分なんですけれども、手帳の判定は、身体障害者手帳は国で、療育手 帳は県でという話で、あと、職業評価などの部分についてはまた、労働の判定になりま すよね。  逆に現場のカウンセリング的な話になるんですけれども、進路相談担当の学校の先生 と、福祉サイドの就労支援の担当の職員、あと、逆に今度は就労移行支援事業のジョブ コーチみたいな福祉の部分の人間も入ってくる。この棲み分けが、何か自立支援法でと りあえず整理はされたんだけれども、ここから押し出していこうという時の、実社会へ のパイプというところで、ちょっと3つに別れているという部分で、ある程度、それぞ れの役所の機能というものを呑み込んでいて、間に入れる人間がいれば、それなりに機 能するんですけれども、普通人間を育成するにはやはり5年、10年はかかってしまうん です。ある程度、その辺をもう少しシンプルにしていただいて、もっと実部隊で動ける ような仕組みにしていただければ、もっと押し出せるのではないかという気がしており ます。ちょっとまた、複雑な話になるので、すぐにという要望ではないのですけれども、 現場ではそのような問題を抱えていますので、是非ともこういう会議で御検討いただけ ればと思います。以上です。 ○座長  ありがとうございました。またヒアリングもありますので、現場のところではそうい う人材の、それぞれの領域の人材の方々の連携ができていると思いますので、そういう ようなところで、御議論していただければと思います。はい、小川委員どうぞ。 ○小川委員  一つは、都市部と地方の問題について、宮崎委員の方から御発言ありましたし、輪島 委員の方からも御発言がありました。私もこれは重要な問題だと思っておりまして、特 に、地方の社会資源が乏しい中でどういうふうに就労支援を展開していくかという問題 です。これは是非議論をしたいと思います。  もう1点は、社会資源にはいろいろあると思うのですが、国の施策と、地方自治体の 施策と、それから民間の様々な事業とあります。そこがどういうふうに組み合わさって、 就労支援を求めている方が使い易い状況になるか、そこのバランスですよね。その辺に ついても是非議論をする必要があるかと思います。それで、今回の議題とかヒアリング の整理の中で、地方自治体の就労支援事業と、それから国の様々な事業と、そこの組み 合わせの話がなかなかできる機会がないかなと思いますので、是非、地方自治体の就労 支援事業にも、できればヒアリングなどが望ましいと思うのですが、様子を聞ける機会 がいただければと思います。  もう1点がジョブコーチについてでございますが、ジョブコーチは今回制度が改正さ れまして、新しい助成金ということになってきます。これは、これから少し動かさない と分からない部分があると思うのですが、これまでの実績の部分で、定着率が83%近い という、これは6カ月の段階でのデータがございますけれども、もし、できましたら、 やはり就労支援の定着率というのは障害のある方の場合、もう少し長いスパンでみる必 要があるかと思いますので、ジョブコーチの議論の時に、1年ぐらい、あるいはそれ以 上のところのタイミングで、定着率のことについて少し情報をいただければ、今後の在 り方について検討しやすいかと思いますので、よろしくお願いいたします。  あと、もう1点、福祉との連携のところで、この会議では主に雇用促進法で定める職 業リハビリテーションが論点になるということは存じ上げているのですけれども、就労 移行支援事業が、どうしてもそこのところと国の労働の施策が、どういうふうに連携を してやっていくかというところが気になります。特に人材の要件の部分です。これは今 日ではなく、次のタイミングですけれども、就労移行支援事業のところの就労担当者の 要件等々、ここで議論していく様々な就労支援の人材の要件等について、少し関係させ ながら話をしたいように思いますので、よろしくお願いいたします。 ○座長  このことについて、事務局の方から何かありますか。 ○障害者雇用対策課長  地方自治体からのヒアリングにつきましては、全体の日程の中で収まるかという問題 があるのですが、貴重な御意見でございますので、検討してみたいと思います。また、 御相談させていただければと思います。  それから、ジョブコーチの支援後の定着状況といいますか、これについては、今、私 どもは業務として高障機構の方で半年というスパンでみているためにこういう形になっ ておりますので、もうちょっと長いスパンをどういった形で取れるか、これも高障機構 とも相談をしながら、また、こちらの御意見を承りながら検討してまいりたいと思いま す。  それから、自立支援法の就労移行支援事業につきましては、今日、参考資料の方でも お出しをしてございますが、就労移行支援事業者が事業を行う時には、サービス管理責 任者というものと、それから指導員、これを一定の基準のもとで配置をしなければなら ないということになってございます。そこに私ども雇用セクションも研修とか、そうい う場面で関与するということにしておるわけですが、この場での就労支援に関わる人材 の御議論の中で、そういった事業の中でどういった人材が求められるかという点につい ても、御意見を賜ることができればと思います。それを踏まえて、関係の部局と議論し てまいりたいと思います。 ○座長  ありがとうございます。他にどうでしょうか。 ○山岡委員  山岡でございます。今回、従来の身体、知的、精神の三障害に加えまして、私は日本 発達障害ネットワークということで、発達障害を代表する立場で参加をさせていただい ておりまして、ありがたく思っております。この発達障害というものの定義につきまし ては、従来の医学で語られている発達障害とややちょっと範囲が違いまして、昨年4月 に施行になりました発達障害者支援法の定義に基づく発達障害というふうに御理解をい ただきたいと思っております。この発達障害につきましては、LD、ADHD、高機能自閉症 等は従来支援制度の狭間に置かれて、対象になっていなかったということですね。それ から、知的障害を伴う自閉症につきましては、その自閉症という特性に合わせた適切な 支援がなかったというふうに理解をしております。その中で、今回の議論の中でも、従 来の三障害を中心に議論が展開されているわけでございますけれども、この発達障害の 問題は昨年4月に発達障害者支援法が施行され、その対応は国の責務というふうに定め られているところであります。また、先月の学校教育法等の改正案が国会で成立をして おりまして、その中でも、19年度からは教育の分野でも支援の対象として定められ、取 り組まれるところであります。  私が今代表しておりますJDDネット、日本発達障害ネットワークという団体は、当事 者団体の全国団体に加えまして、学会でありますとか、職能団体、臨床心理士会であり ますとか、作業療法士会のような職能団体も含めまして、全国団体が11とエリアの団体 が32、計43団体が加盟しております。昨年12月にできたばかりでございまして、まだ 半年の歴史でございますけれども、このJDDネットにつきましては、今まだ規模が小さ いのでございますが、従来の身体、知的、精神の障害と比べまして、対象とする障害者 といいますか、支援する相手は日本で最大というふうに考えておりまして、対象とする 数も非常に多いということであります。  私の方から申し上げたいことは、この発達障害という問題につきまして、この資料の 中でも端々に出てくるわけですが、今後の就労の問題を考える時に、一つの大きなテー マとして是非取り上げていただきたいと思っております。今回のヒアリングの中に、そ ういったものは入っていないわけでございますが、できましたら、ニューカマーであり ますので、この発達障害について、プレゼンとか、1度お話をさせていただく機会を持 たせていただければと思っているところでございます。以上です。 ○座長  ありがとうございます。発達障害について何か事務局の方からありますか。 ○障害者雇用対策課長  ただいまの御意見につきましても、全体の日程の中で是非御意見を伺うことができれ ばと思っております。また御相談させていただきたいと思います。 ○座長  ありがとうございます。それでは、武田委員どうぞ。 ○武田委員  3つ意見を言わせていただきたいと思います。一つが、母親の立場として、もう古い 母親なんですけれども、私がこの障害者問題を考えるときに、いつも少子化対策が最近 とても大きく叫ばれていると思うんです。昨日か一昨日の新聞にも、ニート対策のこと は書いてあるんですが、障害者の雇用対策が少子化対策のところに入っていないんです ね。母親が子どもを産む時に一番考えることというのは、育つ過程で地域の中にどう受 け入れられていくか、障害を持ったとしても、地域の中で、その子の能力に合った働き 方ができるかということで、そのことは、とても大きな関心事だと思っています。それ が、少子化対策の中に入っていない。安心して子どもが産めるということは、ニートの ことも大事かもしれないけれども、生まれ落ちたわが子がもし障害を持っていても、安 心なんだと思えることが、子どもを産む動機の大きな一つだと思います。私は子どもが 1人生まれる度に、リスクが二乗になっていくと思いながら4人の子どもを産んでいっ たんですが、多くの母親は、やっぱり子どもを産んだ後のことの不安を持っているので、 少子化対策のところにも私は是非入れていただきたいなというのが、いつも新聞などを 見ている時に感じていることです。同じこの厚生労働省のことなのにどうしてなんだろ うというのが、いつも疑問でありました。  それと、先ほど宮崎委員、輪島委員、それと小川委員がおっしゃっていた地方のこと なんですが、多分私がこの席に座っているのは、田舎代表で座っているのではないかと いつも思っているのですけれども、確かにそういった御議論をいただきたいと思います。 ただ、地方にいて感ずることは、資源がないということよりも、人がいないということ なんですね。資料12のところのたくさんの人材があるんですが、では田舎でこれだけの 人材が用意できるのか。これだけ多種多様にわたった、恥ずかしい話ですが、私は先ほ ど見ていまして、全部の職種、中身、理解していなかったんです。福祉サイドのことは それなりに分かっているつもりですが、ハローワークの中に、精神のそんな専門家がい るんだと、今日初めて知った、お粗末な状況なんですけれども、じゃあ、地域の中で一 番駆けずり回っていうだろう私が、ハローワークのそんな人と顔を合わせたことがある かというと、ないんですね。そういうことの方が、田舎だからこそ、顔と顔の見える関 係があるんだけれども、あまりにも多くの職種と兼務されていたりすると、訳が分から なくなってくるので、都市型の人材の在り方と、田舎型の人材の在り方というのも一つ あるのかなということを感じて、お話を聞いていました。  それと、3点目なんですが、雇用と福祉、それと教育の連携ということが、国でやっ と叫ばれるようになったんですけれども、先般ネットワークづくりということで、松江 市の方で動いていますと、実は、一番このネットワーク作りに協力していだだけたのが、 企業だったんですね。なかなか中央の声が地方の教育行政だったり、労働行政に届きに くい。島根までは遠いからかなあと思ったりもしているのですけれども、もうちょっと、 国がかけ声をかけたことが、地方で、そうだよというふうに、なるようなものができな いのかなということと、もう1点は、就業・生活支援センターをさせていただく中で、 養護学校との関わりがとても大きくなってまいりました。私ども、精神だけしかやって いなかったんですが、そこで驚いたことは、養護学校というのは、なんて恵まれている んだろう。生徒さんお1人に1人の先生がつくぐらいに恵まれている。ところが、18歳 で、出た途端に、もう北風の中に置かれるような状況です。これでは、うまく進むのか な。せっかく同じ1人の人が、ライフステージの中で育っていく。そうすると、どこか ではすごい濃厚なサービスが提供されていて、ある日を境にして、3月31日を境にして、 突然全てが消えてしまった。夢が醒めてしまったようなことにならないような、連携と いうのは、多分ここで議論されていくことだろうと思いますが、それを感じております。  松為先生のおっしゃっていたこと、私は今、大学生なんですけれども、福祉系の大学 にいって驚いたことは、本当に職業リハビリテーションのことが教育としては、一部に はあるとしても、そういったカリキュラムがほとんどない。これで福祉施設の現場にい って、自立支援法の5つの改革のポイントの一つに、就労支援が挙げられているのに、 福祉の現場のスタッフがそれに追いついていけるんだろうかというような疑問を感じて います。ちょっと、とりとめもない発言になってしまいましたが、いろいろと多々感じ ていることを意見として述べさせていただきました。 ○座長  大変重要な御意見だったと思います。しっかり受けとめていきたいと思います。それ では、どうぞ時任委員。 ○時任委員  日盲連の時任でございます。この場にふさわしいかどうかちょっと分からないんです が、私の立場から是非一言だけ発言しておく必要があると感じて申し上げます。先程来、 三障害について、例えば雇用率の話などが出ておりますが、実は身体障害者というふう に一括りにされた中に、視覚と聴覚と、それから肢体と内部障害がありますが、全くそ れぞれが特性を異にするものが一括りにされていることに、非常に強い疑問と不満を以 前から抱いております。  例えば、身体障害者の雇用率がこうだと言われても、その中に占める視覚障害の雇用 率がどうなっているかということが全く見えない。実際には、かなり目の見えない者の 雇用率は低い。これは、考えてみると当たり前の話で、目の見えない者を雇用して、ダ ブルカウントでいくのと、例えば、同じダブルカウントでも、車椅子の方、上半身が健 常な車椅子の方をダブルカウントで雇用するのと、企業にとってどっちが有利か考える と、もう議論する余地もないぐらいなので、非常に視覚障害は低いということです。  ここは、マイノリティーの悩みというものを、役所としても、あるいはこの研究会と しても、今後、頭の隅っこには置いていただきたい。以上です。 ○座長  ありがとうございました。どうぞ。 ○原田委員  全日本手をつなぐ育成会の原田ともうします。1点だけ、意見として述べさせていた だきたいと思います。雇用促進ということについて、本当にこういう最後の現場のとこ ろで、私ども親、家族が送り出せないというのも実状だと思っています。雇用というこ とだけではないんですけれども、最近も生活ホームから独自のグループホームへの経営 に乗り出そうとしている方々の最大の悩みが、実は利用者の確保です。見込んでいた方 が、手を下げてしまっているということ。そういう意味では、私たち家族が子どもたち を地域に送り出す気持ちがまだまだ整っていないのかなということを感じたりもしてい ます。  関連して、今日の資料の中には関連事項としてはありませんでしたけれども、やはり タイムケア事業という一つの施策の中に、もちろん一時的な子どもを預かるという主旨 もあるわけですが、保護者、特にお母さんを意識していると思っていますけれども、障 害を持ったお母さんの就労支援という目的が掲げられているわけですけれども、実は、 そういうものとも上手に関連付けながら、単純な言葉ではありますけれども、働くとい うことがとても素晴らしいことであるということを、私たち保護者も、いつの間にか忘 れてしまって、自分の子どもに当てはめることができない。そういうこともあるのかな と感じたりしていますので、委員の皆様には、その辺りも含んで、御議論いただく時に は、私どもに御指導いただきたいなと思っています。以上です。 ○座長  ありがとうございました。とても重要なことです。先ほど武田委員が子育て支援と障 害のある子ども、人々の関連も出ておりました。その障害のある御家族の、特にお母さ んの就労というようなことも、基本的にはこの連携の中でいろいろ考えていかなければ ならないことだと思います。   そろそろ時間が来ましたが、どうでしょうか。どうぞ。 ○原委員  原でございます。恵まれた人的配置のある養護学校で働いております。確かに学齢期 は恵まれた人材の配置を受けているわけですが、その中で、進路指導担当をしている教 員は比較的数が少なくて、望んで進路指導を行おうという教員が少ないように思います。 今日の資料もそうなんですが、非常に多くの施策の中身に関わっていまして、どういう 人材を育成していくかという部分でも、今回ヒアリングの対象になっていますので、お 話をする機会があるかと思っているのですが、連携といった時に、機関と機関を繋ぐ役 割をどのように考えていったらいいのか。今日もチェックリストが出ておりますけれど も、そのチェックリストを使う人材を養護学校、福祉、それから企業、それぞれどうい う形で見ていけばいいのか。是非、討論を深めていただきたいと思いますし、できるな らば、進路指導担当は、やはり専門性があるんだという辺りを御検討願えたらと思って おります。学校間格差、または地域差が出てくる理由の一つに、学校自体が開かれてい ることが課題となっていると思いますが、特別支援教育になっていく中で、対象が大き く広がっていく可能性がありますので、それらも含めて、是非、養護学校の役割ですね。 教育の役割になるかもしれませんが、一緒に検討できる機会だと思いますので、よろし くお願いします。 ○座長  ありがとうございます。学校教育の連携に携わる人材といったことも、ヒアリングの 時にも、大いにそこのところを出していただきたいと思います。石井委員の方からなに かございませんでしょうか。三障害という言葉が出てきておりますので、一つお願いい たします。 ○石井委員  今、資料の中にもいくつか精神障害者の就労支援についての数字がいくつか出ていま したけれども、今いろいろ施策を講じてもらっているわけですけれども、蓋を開けて見 ると、ほとんどの資料、いろいろな数字がありますけれども、ほとんどが知的障害者が 中心になってしまっています。最近、精神障害者の就職件数が伸びてきたということで すが、それでも、まだまだ少なくて、特別なハンディキャップといいますか、それが依 然としてあるんだというところを、是非検討していただきたいと思うんですね。障害者 一般、三障害一般というだけでは、精神障害の問題は埋没してしまうだろうと懸念をし ています。特別な対策がやはり必要になってくるのではないかと考えております。その 辺の視点での議論を是非お願いしたいと思っております。 ○座長  ありがとうございます。精神障害者の問題はとても裾野が広いわけであります。手帳 を取っていない方も多いですし、そういった点では、発達障害の方々の問題とも非常に 近い、まだまだ見えない部分が多いという、問題は大きいけれども、課題は大きいけれ ども、見えない部分もありますので、この連携の中で、そういった方々のニーズをどう きちんと顕在化していくかというようなことも議論していきたいと思います。  あと、事業主関係ということで、中井委員いかがでしょうか。 ○中井委員  皆さんのいろいろな御意見を伺っていまして、大変勉強になっております。私はまだ 全体像が分かっていないので、適切な意見を述べることができるかどうかちょっと自信 がないのですけれども、3点お話しさせていただきたいと思います。  障害者の就労支援の推進に関する研究会ということで、私はやっぱり、出口は就労と いうことだと思うんです。ですから、企業が、私の立場とも重なるのですが、企業が元 気になるような、やる気はあるんです。だから、そういう企業が活性化するような、何 かそういうようなお話にしていただければというのが1点でございます。  それから、2点目は、ここで小さいけれども企業をやっておりまして、常に考えてお りますのは、コストパフォーマンスなんです。やはり、優先順位といいますか、いろん な施策が出てくると思うので、何が効き目があるか。一番効き目があるところに重点的 にやっていただくのが、いいのではないかと思っております。  それから、3点目でございますが、チェックリストはこれは非常にいいツールだと思 っております。いろんな教育とか、企業サイド、就労支援という皆さんが共通の土俵に 上がるといいますか、ツールで議論するというのは、非常にいいと思うのですが、問題 点は、やはりそれの評価の基準、水準ですね。それを合わせるというか、みんな好き勝 手なことを言っていたら、まとまってこないので、何かそういうふうなところも大切な のかなと思っています。以上3点お話させていただきました。ありがとうございました。 ○座長  他にいかがでしょうか。よろしいですか。もう少しまだ時間がとれると思いますあと 一、二御意見をお伺いできますけれども、どうですか。高井委員。 ○高井委員  高井といいます。よろしくお願いします。私の所属しているところは、就業・生活支 援センターですけれども、今回、福祉、教育、労働が連携して動いていくという中で、 それぞれの役割というのは明らかだと思うのですが、最近の資料を見ていますと、就業・ 生活支援センターの果たす役割は、相談と、それから定着支援というところだけが、非 常に見えてきて、誤解をまねくのではないかなと思います。  実際には、非常に就職に向けて動き難い人たちを、相談、実習・就職支援、定着支援、 生活支援を含めたところで、支援しています。その辺をもう1回、それぞれの連携をし ていく中で、果たす役割ということを明確にすべきではないかと思っています。就労移 行支援事業の役割というのは、まだ実際に動いていないのでわかりにくいですが、そう いった議論をする時に、もう1度就業・生活支援センターの果たす役割ということを御 議論いただきたいと思っております。  それと、もう1点ですが、私が福祉施設に27年間勤めてきて、職員採用にもかかわっ てきました。私どもはとにかく働くことに拘って、ずっと27年間やってくる中で、職員 を採用する時に、松為先生もおっしゃっておりましたけれども、福祉系大学であまりに も職業リハビリテーションであるとか、人が大人になったらみんな、障害があってもな くても、働くということを、教育の中で捉えられていないということを、とても感じる んです。ですから、国のこういった研究会の中でもう少し、福祉系大学の教育といいま すか、専門の教育の中でも、人が働くということがどんなに大切かということを是非カ リキュラムの中に入れていただけるよう働きかけていただきたいと思っております。そ れが、もう少し福祉施設が変わる要因にもなるのと違うかなと思っています。以上です。 ○座長  ありがとうございます。よろしいですか。それでは、いろいろ御意見をいただきまし た。またヒアリングにつきましても、いろいろ御要望もありましたので、そういったこ とも踏まえながら進めていきたいと思います。ヒアリングの人選等につきまして、座長 一任でよろしいでしょうか。  (「異議なし」の声)  御意見を踏まえながら進めていきたいと思います。それでは、事務局の方で必要な準 備をお願いいたします。  次回会議の公開につきましては、公開として特に差し支えない議題だと思いますので、 公開の取扱にしたいと思います。また、本日の議事につきましても、議事録を公開して も差し支えないと考えますが、御意見ございますでしょうか。  (「異議なし」の声)  よろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、次回以降の日程等について、事務局からお願いいたします。 ○事務局(矢田補佐)  次回以降の第2回から第5回までを事務局案として提示させていただいておりました が、ヒアリングの追加等については別途御相談させていただきたいと思いますが、今の ところ、月1回のペースで開催することとしております。  日程につきましては、近日中にまとめて決定したいと考えております。つきましては、 お手元に配付してございます日程調整表にご都合をご記入いただき、お帰りの際に机の 上に残しておいていただくか、明後日までにファックスで御返事をいただきますようお 願い申し上げます。来週中に日程の御連絡をしたいと考えております。 ○座長  ありがとうございます。12時までの予定ですが、少し時間がありますので、日程表等 につきまして記入できる委員の方は、記入していただけるとありがたいと思います。そ れでは、これをもちまして本日の研究会は終了いたします。本日はお忙しい中、ありが とうございました。 照会先:職業安定局障害者雇用対策課 雇用対策係(内線5854)