06/07/27 第87回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録   第87回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成18年7月27日(木)10:30〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 : 清家委員、北村委員、鎌田委員        雇用主代表: 輪島委員、山崎委員、成宮委員        労働者代表: 長谷川委員、池田委員   事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐、        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について(フォローアップの中間的な整理)      (2)その他  ○清家部会長    ただいまから第87回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は川畑委員がご欠 席です。  本日は最初に公開で、労働力需給制度についてのフォローアップの中間的な整理をご 審議いただきます。その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び 無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を行いますが、許可の審査については資産の 状況等、個別の事業主に関する事項を取り扱いますことから、これについては「公開す ることにより特定の者に不当な利益を与え、又は不利益を及ぼす恐れがある」場合に該 当しますため非公開といたしますので、傍聴されている方には始まる前にご退席をお願 いすることになりますので、予めご了承いただきたいと思います。  それでは議事に入ります。最初の議題の、「労働力需給制度について」(フォローアッ プの中間的な整理)です。職業紹介関係、労働者派遣関係については昨年行ったヒアリ ング・実態調査を踏まえて、本年3月から6月にわたりフォローアップの議論を一巡し たところです。本日は、これまでのフォローアップの中間的な整理を行いたいと思いま す。事務局には、前回お願いして、これまでの議論や主なデータ、今後の議論に当たっ ての留意すべき事項、必要な観点等について整理しています。まず、この点について事 務局よりご説明をお願いいたします。 ○篠崎補佐   本日は資料1と資料2を用意しています。資料1は、これまでのフォローアップの状 況と今後の議論に当たっての留意事項等ということで、まとめています。資料2はこれ までの資料と重複することもありますが、それぞれの制度について、現行制度、ヒアリ ングにおける主な意見、実態調査の結果におけるポイント、今回は部会における意見概 要をつけ加えています。資料2については適宜参考にしていただきたいということで、 説明は省略します。  資料1「これまでのフォローアップ状況と今後の議論にあたっての留意事項等」につ いて説明いたします。こちらについては職業紹介関係、労働者派遣関係それぞれの項目 ごとに、これまでのフォローアップ状況についてまとめています。項目ごとに、今後の 議論に当たっての留意すべき事項、必要な視点と考えられるものについて、いちばん右 側に記載しています。  まず、職業紹介事業関係です。  1頁の(1)許可・届出制については、これまでのフォローアップの状況として2点整理 しています。1点目の許可手続きについては、ヒアリングにおいて事業所単位から事業 主単位にしたことについては、事業主団体、事業主から事務簡素化になったという肯定 的な評価が得られた。2点目は、地方公共団体による無料職業紹介事業の実施、特別の 法律により設立された一定の法人による構成員のために行う無料職業紹介事業の実施に ついては、都道府県で見ても約半数で実施されている等、一定程度制度の活用がなされ ている。この点については、今後の議論に当たっての留意すべき事項等は無しとしてい ます。  (2)手数料制度については3点です。1点目は、実態調査において手数料を徴収できる 年収700万円超えの科学技術者等から手数料を徴収している職業紹介事業者は、ほとん どない状況であった。2点目は、ヒアリング及び実態調査においては、事業主団体、事 業主は、トラブルのもとになる等の理由から、求職者から手数料を徴収できる範囲につ いて現状維持、推移を見守りたい等、慎重意見が多かった。一方、求職者は、よりよい サービスを受けられるのであれば等の理由から、手数料を払ってもよいとの意見が多い ものの、払いたくないという意見も一定程度見られた。部会の委員からは、手数料制度 について、選択肢として求職者が手数料を払うことがあってもいいのではないかという 意見があったが、拡大しても使われないのではないかという意見や、もう少し様子を見 るべきではないかという意見があった。現行より手数料を徴収できる範囲をさらに拡大 すべきという意見はなかった。  (3)兼業禁止規制については、ヒアリングにおいて兼業禁止規則の撤廃について事業主 から肯定的な評価が得られた。  (4)保証金については、ヒアリングでは、保証金の廃止について事業主等から肯定的な 評価が得られた。  (5)職業紹介責任者については、職業紹介責任者の選任要件を改正したことについて、 ヒアリングでは事業主等から肯定的な評価が得られた。  2頁は労働者派遣事業関係です。  (1)派遣対象業務についてですが、これまでのフォローアップ状況では、物の製造業務 への労働者派遣の解禁に伴い、労働者派遣の利用が一定程度進んでいる状況にある。ヒ アリングにおいて事業主団体からは、物の製造業務への労働者派遣の派遣受入期間につ いて、1年では短く、撤廃もしくは延長してほしいという意見や、派遣元事業主、派遣 先からは、1年では使いづらい旨の意見があった。部会の委員からは、物の製造業務へ の労働者派遣については平成19年3月より派遣期間が1年から3年に延長されること に伴う変化について、今後様子を見ていく必要があるという意見があった。実態調査に おいては、医療関係業務における労働者派遣については、行っているもしくは行う予定 としている派遣元事業主が1割に留まり、制度としての考え方は、現状維持が最も多か った。ヒアリングにおいて事業主団体からは、医療関係業務における労働者派遣につい て、紹介予定派遣に限らず解禁すべきとの意見があった。なお平成18年4月1日の政 令改正により、育児休業等の場合における医療関係業務への労働者派遣を可能としたこ とを付記しています。  (2)派遣期間について、これまでのフォローアップ状況は実態調査において期間制限経 過時の状況として、一般労働者派遣事業所では約3割、特定労働者派遣事業所では約7 割が、派遣のまま継続したという状況です。ヒアリングでは、派遣期間について事業主 団体から、期間制限の撤廃もしくはさらなる延長をすべきという意見があった。実態調 査では、派遣労働者から、期間制限についてはそのままでよいという意見もあった。派 遣期間については、今後の議論に当たっての留意すべき事項、必要な視点として1点記 載しています。期間制限経過時の状況として、派遣のまま継続した事業所が多数存在し たことについてどう考えるか。  3頁、(3)派遣労働者への雇入申込義務についてです。これまでのフォローアップ状況 では、実態調査においては、派遣受入期間制限の有無に関わらず、大半が雇用契約の申 込義務が発生する状況になっていなかった。ヒアリングにおいて、事業主団体から、派 遣先では直接雇用の申込義務を回避するため、同一の派遣労働者の就業は3年を超えな いよう運用する所も増えてきているとの意見があった。部会の委員からは、全体として 3年を超えないような運営や、細切れ契約により雇用の安定にならない結果に一部なっ ているとの意見があった。  2点目は雇用契約の申込義務についてです。実態調査では派遣元、派遣先では廃止や 努力義務に緩和すべきとの意見が多い。一方、派遣労働者では、そのままでよいや、強 化すべきという意見が多かった。ただし、派遣受入制限がない業務については、常用雇 用者は適用除外にすべきとの意見が一定程度見られた。また、ヒアリングでは事業主団 体から、26業務における雇用契約の申込義務を廃止すべき、特に26業務の常用型の派 遣労働者への雇用契約の申込義務は廃止すべきとの意見があり、派遣元事業主からは、 26業務における雇用契約の申込義務がいちばん使い勝手が悪いとの意見があった。一方 派遣労働者からは、派遣期間制限のある業務について、派遣期間を超えて派遣労働者を 使用している場合には、直接雇用してほしいとの意見があった。  雇入申込義務について、今後の議論に当たっての留意すべき事項等では、1点記載し ています。雇用契約の申込義務について、どう考えるか。この際、全体として3年を超 えないような運用をして雇用の安定にならない結果になっていること、派遣元に常用雇 用されている労働者と、そうでない者との区別についてどう考えるか。  (4)紹介予定派遣です。これまでのフォローアップ状況は、紹介予定派遣により平成16 年度で約1万人が直接雇用に結びついたという実績から見て、紹介予定派遣の制度の活 用が図られている。また実態調査で、紹介予定派遣における事前面接については派遣元 事業者、派遣先、派遣労働者いずれも必要とする意見が大半であり、実際に履歴書の送 付、事前面接、事前訪問も約6割〜8割で行われている状況だった。ただし、年齢制限 や性別指定についても多く行われている状況であった。紹介予定派遣の可能期間6カ月 については、実態調査では現状維持が最も多いが、長くすべき、あるいは短くすべきと いう意見も一定程度見られた。またヒアリングでは、事業主団体、事業主からは、新卒 の紹介予定派遣については6カ月では短いという意見があった。部会の委員からは、紹 介予定派遣での直接雇用における雇用形態が必ずしも正社員でないことについて、どう 見るか議論すべきとの意見があった。  留意すべき事項等は3点記載しています。1点目、紹介予定派遣における事前面接に ついて、派遣先による年齢制限や性別指定が多く行われている現状についてどう考える か。2点目、紹介予定派遣の派遣可能期間についてどう考えるか。3点目、紹介予定派 遣での直接雇用における雇用形態について、どう考えるか。  4頁、(5)事前面接等の派遣労働者の特定を目的とする行為についてです。これまでの フォローアップ状況は、実態調査において、事前面接は約2〜5割で実施され、年齢制 限や性別指定も同率で実施されている状況であった。事前面接について、ヒアリングで は事業主団体から、雇用のミスマッチ防止の観点から労働者保護のための一定のルール の下、解禁すべきとの意見があった。実態調査では派遣元、派遣先、派遣労働者いずれ も、事前面接の是非について認められてよいとする意見が約8〜9割、その理由は、派 遣労働者が派遣先の業務内容を知ることができる旨が最も多く、派遣労働者の能力や人 物を選考できるためも、多く見られた。部会の委員からは、派遣労働者から言えば派遣 先の雰囲気等について、現場を見ておきたいというのは人情であり、よい事前面接と悪 い事前面接との違いを切り分ける仕組みが何かないかと思うという意見があった一方、 事前面接は人を特定するため、派遣先に採用に係る決定権を与えることとなり、問題だ との意見。事前面接を認めると、そもそも派遣とは何かという話になるとの意見。仕事 内容の説明は、使用者である派遣元がやらざるを得ないのではないかとの意見があった。 部会の委員からは、事前面接等について、それは事前面接、事前打ち合わせ等、どのよ うな形態で行われているのか、派遣労働者の希望によるのか、派遣元による業務命令な のか等について、不明な部分があるとの意見があった。また事前面接で1日拘束されて 行ったのに、派遣契約が成立しない。交通費等がもらえないという課題について、何か 解決する手段が必要との意見があった。  (5)について今後の議論に当たっての留意すべき事項等は3点記載しています。1点目 は、事前面接について実態としては一定程度実施されているということについて、どう 考えるか。また派遣先による年齢制限や性別指定についても一定程度行われているとい う実態について、どう考えるか。2点目、事前面接について雇用のミスマッチの防止と いう観点から、労働者保護のための一定のルールの下、解禁すべきという意見や、事前 面接を認めると、そもそも派遣とは何かということになるとの意見についてどう考える か。3点目、事前面接が実態として、どのように行われているのか、事前面接と派遣元 との業務命令との関係、事前面接の結果、派遣契約が成立しないという問題を含む等に ついて、整理をして議論をする必要がある。  (6)派遣元事業主・派遣先が講ずべき措置です。これまでのフォローアップ状況は、実 態調査において福利厚生等についての均衡配慮措置、派遣元による教育訓練の機会の確 保、派遣先による派遣元が行う教育訓練、能力開発への協力について、大半が行ってい る状況であった。部会の委員からは、具体的に教育訓練がどのように行われているのか という点が重要であるとの意見があった。労働・社会保険について、実態調査において は事業所、労働者ともに、ほとんどが加入しているという結果であったが、部会の委員 からは、許可申請時に未加入事業者がその後も加入していないということが現実に起き ており、派遣元事業主が、罰則規定がなければ進まないと言っているという意見があっ た。実態調査において、派遣先の約7割が、派遣労働者を社員に登用する制度がないと いう状況であった。  (6)についての今後の議論に当たっての留意すべき事項等は2点です。1点目は、福利 厚生等の均衡配慮、教育訓練の実施、労働・社会保険の加入について、その促進につい てどう考えるか。2点目は、派遣先における派遣労働者の社員登用制度についてどう考 えるか。  次頁、(7)派遣労働者からの苦情等です。これまでのフォローアップ状況ですが、実態 調査では派遣契約の中途解除については、派遣元事業所の約2割で見られた。また派遣 労働者の苦情について、人間関係、業務内容、賃金が主な内容として多い状況だった。 さらに、派遣労働者の派遣元に対する要望としては、勤続年数や実力、能力に応じた給 料にしてほしいが多かった。実態調査での派遣労働者の政府に対する要望として、悪質 な派遣元、派遣先に対する取締まりの強化が多かった。  (7)についての今後の議論に当たっての留意すべき事項等は2点です。1点は、派遣契 約の中途解除、賃金等に係る労働者からの苦情や要望への対応についてどう考えるか。 2点目は、派遣元、派遣先に対する指導監督の在り方についてどう考えるか。  (8)許可・届出手続きの簡素化です。これまでのフォローアップ状況ですが、許可手続 きについてヒアリングでは、事業所単位から事業主単位にしたことについては、事業主 等から、事務簡素化になったという肯定的な評価が得られた。  (9)その他です。これまでのフォローアップ状況について、部会の委員からは、労働者 派遣法自体が複雑であり、できる限りシンプルにしていくという方向性がコンプライア ンスの観点からも必要ではないか。実態との乖離がかなりあるのではないかという意味 でも、複雑だと思うとの意見があった。派遣という働き方がよい働き方なのか、悪い働 き方なのか。派遣は非典型労働と言われるが、登録型と常用型のモデルはかなり違うと 思うという意見や、良好な雇用機会なのか、就業形態の多様化の中でどう評価するのか 議論が必要との意見があった。  今後の議論に当たって留意すべき事項等としては1点です。派遣労働という働き方、 派遣労働は原則不安定な働き方なのか、不安定な部分もある働き方なのか。良好な雇用 機会、就業形態の多様化という観点からの派遣労働という働き方についてどう考えるか。 以上、これまでのフォローアップ状況と今後の議論に当たっての留意すべき事項、必要 な視点等の整理についての説明といたします。 ○清家部会長   ただいま事務局から、職業紹介事業関係と労働者派遣事業関係の両方について、これ までのフォローアップ状況と今後の議論に当たっての留意事項等について、説明いただ きました。職業紹介については、概ね前回改正に一定の評価が与えられているというこ と、手数料については、いま少し実態の推移を見守っていくのがいいのではないかとい うような形で、この部会の委員の合意もほぼ得られているのではないかという気もしま すので、特段今後の議論に当たって留意すべき事項、必要な視点等について、記載しな い形で整理しています。労働者派遣事業関係については、まださらに議論すべき、ある いは留意すべき点がいくつかあるかと思うので、その点をかなり指摘する形で整理して います。こうした整理の仕方も含め、ご意見、ご質問等いただければと思います。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○山崎委員   労働者派遣事業関係の2番、3番、5番になると思うのですが、実は私どもの商工会 議所のお願いとしてお話いたします。現在の労働者の派遣制度については平成15年度 の改正で一定の規制緩和がなされたとは言われていますが、派遣期間や対象業務の制限 をはじめ、さまざまな厳しい規制がなされています。このような現状において、例えば 派遣労働者として長期的に働くことを望む労働者が、大変増えてきています。そして受 入れる企業側のニーズの多様化もあり、あらゆる分野において派遣労働者を活用したい という企業も増加している現状です。そういった中で、派遣労働者並びに企業双方のこ うしたニーズに応えるためにも、派遣制度をもっと自由に活用、利用できるよう、抜本 的に見直して、規制の緩和を進めていただくことが必要ではないかと考えています。特 に、昨年も東京商工会議所でお願いした事項ではありますが、派遣労働者の事前面接を 早急に認めるようにしていただきたい。現実問題として、企業側からの要望はとても強 く、事前面接を認めることで、派遣先と派遣労働者の双方のミスマッチやトラブルをか なりの部分未然に防止することができていると思っています。これを禁止制限している 意味が少し理解できないということで、是非お願いしたいと思います。  また、これも昨年お話したことですが、一定期間経過後の派遣労働者による雇用契約 の申込義務について、緩和していただけたらと思っています。一律に課せることにより、 企業によってはこれを避けるために、期間到来前に契約を終了させようという考えも働 いてくるわけで、かえって派遣労働者の雇用継続の機会を奪うことになるのではないか と思っています。以上のことを商工会議所として、この部会で何か入れていただければ と思いますので、よろしくお願いいたします。 ○清家部会長   はい、分かりました。ほかにいかがですか。 ○輪島委員   資料の件で、「部会の委員の」というのが3点あり、(5)の2つ目のマルの2つ目のパラ グラフの、「部会の委員からは」という所で、現場を見ておきたいというのは人情、よい 事前面接と悪い事前面接との違いを切り分ける仕組みは何かないかと思うという意見、 これは私が言った意見ですが、私の言った意見を全部、「何々というと思うという意見が あった」となっていて、ほかのものは「という意見があった」と、書きぶりが違うよう な気がするので。思って考えてはいるのですが、ほかの部会員と同じような取り扱いに していただきたい。それは(9)の1マルと2マルですが、「複雑だと思うとの意見があった」 というのは、「複雑だという意見があった」。2つ目のマルも、「かなり違うという意見や」 と、同じようにお取り扱いいただければと思います。  もう1点、ここはクリアーに書き分けていただいたほうがいいと思うのは、派遣のと ころの(3)雇用申込義務で、いま山崎委員もおっしゃいましたが、全体として3年を超え ないような運用ということは、実際にはやはり3年超えの所で、今回の法改正の雇用申 込義務があるということになると、実態として3年を超えないようにしている運用があ るということになると思っています。そのことと、細切れ契約になると言ったのは、む しろ長谷川委員のご意見と思っていて。両方が一緒に書かれているのかと思うのですが、 書き分けていただいたほうが、むしろこういう意見や、実態として細切れになる、雇用 の安定にならないというのは同じ結果ですが、そういうように少しニュアンスが違うよ うに、それぞれの委員の意見があったのではないかと思っていますので、資料を書き分 けて、ご訂正をいただきたい。 ○清家部会長   では事務局にはそのように資料の訂正や修正をお願いいたします。 ○長谷川委員   議論の進め方で、いま輪島委員からこの案の書き方についてご発言がありましたが、 例えば、今後の議論に当たっての留意すべき事項、必要な視点の所で、もっと追加すべ きだというようなこと、そういうことでよろしいのですか。 ○清家部会長   もちろんそれも、あるいは、これは特になぜ留意すべきものとしているのかとか、書 かれていることについてのコメント、あるいは書かれてないことについてのご議論、両 方をお願いしたいと思います。 ○長谷川委員   すると、たくさんあるのですが、よろしいですか。まず派遣労働関係の(1)派遣対象業 務ですが、これまでのフォローアップ状況はこういうことと思うのですが、今後の議論 に当たって留意すべき事項、必要な視点ということであれば、物の製造業に労働者派遣 が解禁されたのですが、現実的にはそういう製造業の現場では労働者派遣なのか、請負 なのか分からない、どちらも混在しているからそういうことになると思うのですが、そ ういう判然としない偽装請負、違法派遣が事実あると言われています。そういうものを きちっと取り締まりを強化することが必要なのではないか。  最近、格差が拡大しているということで、格差拡大はたくさんあるのですが、その中 の労働者のところで言うと、正規と非正規の間で格差の拡大があって、非正規のところ に労働者派遣や請負で働く労働者の問題があります。ここが労働条件が問題という指摘 が、私どもの組織ではよくされています。こういう請負、派遣労働者の、あまり好まし くない労働条件、正規の労働者と比べたときに悪い労働条件をどう考えていくのかは、 今後の視点の中で必要ではないか。  次に、派遣期間についてです。フォローアップの状況を見るとこういうことになるの ですが、そもそも労働者派遣というのは臨時的、一時的な労働力の需給調整の制度とい うことはきちっと押さえておかなければいけないわけです。なかなか言いにくいのです が、使うほうから見ると、派遣期間は長くというのがわからなくはないのですが、制度 そのものはやはり臨時的、一時的な労働力需給調整の制度ということを踏まえれば、派 遣期間の延長というのは本当に必要なのかどうかは、制度の問題として考えることが必 要なのではないかと思います。  実態調査でも明らかになったのですが、期間制限経過後も、派遣を継続した事業が結 構多いということは、やはり制度に対する理解が不十分だからではないか。やはり、こ の派遣期間を延長してくれという話といっしょですが、この制度はどういう制度なのか という制度の趣旨について、もう少し周知徹底させることが必要なのではないか。  (3)の派遣労働者への雇入申込義務ですが、使用者の方々からは見直すべきだというこ とがいつも言われているわけですが、労働者派遣というのは元々、いま言ったように臨 時的、一時的な労働力の需給調整の制度であるなら、ある一定の期間を超えたら、期間 の定めのない雇用というようにみなすというみなし規定を入れることが必要なのではな いか。だから雇用の安定ということを考えれば、労働者は、女の人で夫の転勤に合わせ てとか、短い期間を望む人もいます。そういう人もいるのですが、一方でやはり期間の 定めのない、普通の雇用で働きたいという労働者がいて、それがいちばんの雇用の安定 ではあるわけです。そうすると、ある一定の期間を過ぎたら、期間の定めのない雇用と してみなすというものがない限りは、やはり細切れ契約だとか、そういうものが出てく るのではないか。こういうみなし規定について、今後どう考えていくのかという検討が 必要なのではないか。  企業の紹介予定派遣で、ここに事前面接について、今後の議論に当たって留意すべき 事項が書いてありますので、このことについて議論していけばいいというふうに思いま すが、事前面接はおそらくいろいろな意見があると思うのです。したがって労働側は前 から、事前面接で年齢とか女であることとか、そういう理由ではねられることがあるこ とに対して、ずっと懸念を言ってきましたので、ここの議論については慎重な議論が必 要なのではないかと思います。それは(5)も同じような話です。この(5)の事前面接などの 派遣労働者の特定を目的とする行為ですが、雇用契約の成立と労働者契約の成立と事前 面接について、法律的にどのような整備をすべきなのか。これは検討することが必要な のです。そもそも労働者派遣というのがどこで契約が成立して、事前面接というのはど の位置にどこに当たるのか、もう少し専門的な見地からの検討が必要と思います。労働 法の専門の鎌田先生がいらっしゃいますので、ここは少し専門家のお話も聞くことが必 要なのではないか。  (6)の講ずべき措置の所です。労働と社会保険の加入について、もっと労働行政と厚生 行政の連携が必要なのではないかとは思います。私のところでは、大体そんな所をもう 少し入れていただければと思います。  もう一つ分からないのは、事前面接というのはどういうことになるのか。派遣法の中 で事前面接というのはどう位置づければいいのか、ここはもっと議論したほうがいいと 思います。やはり派遣法との関係です。派遣とはそもそも何なのかというところで、い ままで派遣法ということで考えれば、事前面接は禁止したわけですね。だから派遣法の 趣旨から逸脱した事前面接というのを、本当に必要なのかどうか。制度設計の基本的な 問題ではないかというふうには思っています。以上です。 ○清家部会長   ありがとうございました。では輪島委員。 ○輪島委員   まず、最後の点で、全般的に長谷川委員がおっしゃった点にも関係があるのかもしれ ません。1つは、労働力需給調整だということですね。労働力需給の調整機能なのだか らという点で言うと、それはアサインするのは派遣元だから、派遣元が提供するスキル を持った派遣スタッフを派遣先に紹介をしていくということになると、それは面接とい うのは、少なくとも事前面接というのは多分あり得ない。だからいけないという話なの だということなのでしょうけれども、ここの記述によれば、やはり実態としてはそうい うふうになっていないのでということなので、長谷川委員がおっしゃるように、その点 で派遣法上の派遣契約の成立と、それからそれに伴って雇用契約の成立というのが実態 としてどういうふうに行われていて、そのものでどこに、いわゆる打ち合わせなのか面 接なのかというものが行われているのかの位置づけを、もう少しケースバイケースをよ く検証する必要があるのだろうということは、同じ意見です。  そもそもの所に戻って、それが(9)の所になるのかもしれませんが、長谷川委員がおっ しゃる点で1つだけ、私どもとして思っているのは、先ほど言った労働力需給調整だと いうことなのですが、1986年の派遣法ができたときには専門的技術的な13業務で、い まは26業務になっています。ですから専門的技術的な業務についてスキルがある人、 特別な雇用管理を要する人たちを、まず派遣スタッフとして認めてきたという、ポジテ ィブリスト方式の派遣制度と、1999年改正の、いわゆる96号条約から181号条約に転 換したときの臨時的、一時的業務という概念が入って、それがネガティブリスト方式に なって入っているものとが、いま派遣の仕組みの中で混在をしている。その臨時的、一 時的業務なのかということになると、全部がそうではなくて、実は26もある専門的技 術的な業務との兼ね合いなので、その派遣全体が臨時的、一時的業務だとは思っていな いということです。その点において少し派遣対象業務であったり、派遣期間であったり ということについて、私どもなりに、いま山崎委員もおっしゃったような基本的な考え 方があるということです。  (3)雇用申込義務で、これまでフォローアップをしてきましたが、フォローアップのと ころでも、それから最近派遣先の方や派遣元の方と話をすることが多いのですが、最近 の派遣としての働き方が、法が予定していたというか、需給部会で議論しているよりも、 実態としては想定外というか、もっと進んだような実態になっている。むしろ派遣スタ ッフとしては、直接雇用を望まない働き方を望む人が多くなっている。結局、その雇用 の申込義務にしても、その3年超えの所でどうですかと言っても、望みませんと言って、 26業務で継続して働くことを望む人が、むしろ多くなっているというのも、実態なので はないか。なので、ここが(9)との兼ね合いですが、その雇用の安定ということが、私ど もとしては必ずしも「期間の定めのある雇用」を、すべての労働者が望んでいるかどう かというと、やはりその多様な働き方ということになっている点からすると、期間の定 めのない派遣スタッフとしての働き方を望む人が増えているのではないかと思っている。 そこのところがおそらく派遣の仕組みの中で複雑になっている所で、どこの話をしてい るのかというところの違いで、どうもすり合わないところなのかという点をいつも思っ ています。 ○長谷川委員   いまの意見で、派遣というのは異常に発達したのだと思うのです。例えば、女性の中 でなかなか仕事が見つからない、大体そういう人は派遣で探していくわけです。派遣し かないのだと思うのです。派遣で働いていたときに、常用型よりはおそらく登録型のほ うが多いわけです。結婚して、夫がいて働く人たちは、それでも比較的働くことができ るというところで、期間の定めのない雇用を求めないのだと思うのです。私もそういう 人たち何人かに会います。  一方で、就職の氷河期の頃に就職した人たちは、やはり派遣できていて、それが大体 30代にきているわけです。そういう人たちは、ほとんど派遣しかない。派遣からそうで ない所に行きたいと思っても、おそらく機会が失われている。ずっと臨時的、一時的な 所で、ファイリングや秘書業務が40代、50代になったときになるかは、いろいろなこ とを言われているわけです。そうすると、派遣で働いてきた人たちが30代、40代、50 代になっていったときに、ずっとそうしていくかどうかは非常に不安定だと言われてい ます。いまの20代まではいいのですが、それ以降は非常に難しいと言われています。 それは、やはり登録型の派遣の所だと思うのです。派遣は登録型と常用型があるのです が、私は本来、派遣は常用型だと思っているのです。派遣元は常にある一定の労働者を 雇用しておいて、教育訓練もやる。だから、5年より10年、10年より15年と、派遣 会社で自分の能力をスキルアップしていく。でも、必ずしもそうなっているかというと、 いろいろ見てみるとそこは問題があるのだと思うのです。だから、今回のフォローアッ プでそこまではなかなか難しいとは思うのですが、「その他」で言っているのは私が言っ たところだと思うのですが、これから良好な雇用機会、多様な雇用就業形態といったと きに、この派遣問題をどのように扱っていくかは、今回の前回改正のフォローアップと してはこういう結果だと思うのですが、これ以降どういう議論をするか、とても重要な のではないかと思います。  我が国に雇用就業形態の多様化が、起きているし現実そうなっているから、いまさら 駄目だという話ではないのですが、そうだとするとどのように派遣で働く労働者たちが 良好な雇用となるかは、次に考えていかなければならないテーマではないかと思います。 そのとき、派遣制度とはどういう制度なのかを、私たちの審議会は常に見ていかないと、 労働者のところで現実的に問題が起きてくる。企業が派遣を活用したい気持ちはよくわ かります。 ○北村委員   いまのお話で、私が接している例でも、女性で期限の定めのない雇用に入りたいのだ けど、それができないという声は多い。実質的には、派遣というものが80年代からシ ステムになってきたことを考えると、ずっと死ぬまで派遣でやってきた例は、私たちは まだ持っていないわけです。大体40、50代になると派遣の繰返しが難しいということ で、不安を持っている人は多い。そうすると、いま3年以上の場合には、期限の定めの ない雇用に移るようにという法令の中でも、それが実行されていないことが多いと考え ると、もしバインドを外してしまったら、かなり派遣の人の不安定さが増すのではない か。  逆に、自分はずっと派遣のスタイルの契約更新でいいという人は、自分で決められる わけで、決定のフリーハンドはどこにあるかといったら、雇う側、派遣先にあることを 考えると、私は個人的に、ここでバインドを外してしまうのは難しいのではないかと思 います。  ここから先は我ながら怪しいので、注意して言わなければいけないと思うのですが、 いまいろいろな犯罪や社会不安に関わることを見ていて、あくまで新聞記事で見ている 範囲ですが、雇用の不安定な人が絡んでいる例が非常に多いですね。雇用のシステムを 考えるときに、需要と供給や経済誘因だけで考えていていいのかと常に考えるわけで、 自分自身の雇用が非常に不安定だと考える人が多くなることのリスクも、産業官として はどこかでカバーしていかなくてはいけないのではないかという気がしています。これ は少し乱暴な意見だということは自分でもわかっているので、この点については数的な ものも、もう少し自分で調べてみようと思います。 ○鎌田委員   事務局にまとめていただいた、今後の議論に当たっての留意すべき事項、必要な視点 に加えて、特に長谷川委員からかなり根本的な問題、多彩な問題点が指摘され、それに 対して山崎委員、輪島委員から要望や質問があったと思うのですが、もう少し必要な視 点を広げて考えてみてはどうかと、私も思っております。その際に1つ入れてほしいの は、派遣の(9)に当たると思いますが、派遣という働き方を考えた場合に均衡処遇、均衡 配慮、つまり派遣労働者と派遣先の労働者の均衡、あるいは派遣元の従業員と派遣労働 者スタッフの均衡の問題を、少し視点として加えていただきたいと思っております。こ れはいろいろ長い経緯もありますし、特に派遣期間をなくすという意見を、経営者サイ ドでもおっしゃるのですが、同じ職場で10年、20年働いていて、同じ仕事をしている。 場合によっては、職場では派遣社員の方が最も有能である、しかし賃金などさまざまな 面で派遣先の従業員と比べて格差がある。これはどう考えたらいいか。その場合、格差 の中身の問題になる。賃金が一緒でなければいけないという議論もありますし、これは 部会で言うと前回改正のときにも議論になったのですが、製造業で仕事をしている派遣 労働者が労働災害に遭った場合、通常の法定補償のほかにいわゆる上積み補償がありま す。これは当然正社員の方にはあるわけですが、ずっとそこで働いている、例えば10 年製造業で働いている派遣労働者が現場で労働災害に遭って、正社員の方も災害を受け たといった場合、上積み補償は派遣労働者だけはない。そのようなことを考えた場合、 どう考えるか。つまり何を言いたいかというと、賃金に留まらずさまざまな面で労働条 件の中に格差がある場合、派遣ということで格差があっていいものと、格差があっては おかしいものがあると思うのです。特に教育訓練や技能の習得の点で差があることが、 前回の均衡配慮の背景になった。したがって、正社員にということもあるのですが、長 く働いているときに均衡のところも考えてもらいたい。  労働側についても同じ問題があって、労働側は均衡処遇に必ずしも賛成かどうか。な ぜかというと、上積み補償1つ取ってみても、製造業の労働組合や正社員の方が一生懸 命頑張って勝ち取っていく側面もあったわけです。それを法律で派遣労働者に均衡処遇 だからメリットを与えることは、派遣受入先の従業員組合の立場から言えば、簡単に「い いですね」と言えるかという問題もあると思うのです。つまり均衡処遇の視点も議論の 中に入れていただいて、その際10年ずっと働いているときにどのような格差があるの か、あるいはどのようにこの問題を解消したらいいのかも、少し検討していただければ いいと思います。 ○清家部会長   ありがとうございました。いまのご指摘は、この議論の(9)は全部入るわけですが、(6) の派遣元事業主が派遣先に講ずるべき措置の所に、均衡配慮、措置等も含まれておりま す。その辺りを今後留意すべき事項や、必要な視点に入れるということですね。 ○鎌田委員   はい。 ○輪島委員   この間派遣先になる会社の人と話をしていて、80数社の派遣元から200人の派遣ス タッフを受け入れている。その派遣スタッフの3年超えのところで、業態がよくて拡大 をしているので、むしろ正規社員への雇入れも義務にあるし、コンプライアンスがある ので声をかけている。毎回、200人声をかけると「なってもいいです」と申し出てくる のは大体20人ぐらい、1割ぐらいが雇用申込義務に応じる人で、それ以外は勘弁して ほしいと言うのが実態です。いやだと言っておいてもらうということで紙に書いてもら うと、その紙がたまるだけで、法律的にやらなければいけないのでやっているけれど、 実態として本当に必要なのでしょうか、という話をしていました。派遣スタッフの声は 時間的な制約、正規雇用であれば縛られる、時間外がある、仕事の責任がある、長谷川 委員もおっしゃいましたが転勤などがあるので、期間の定めのない雇用についての働き 方と、そうであれば派遣スタッフとして働いていくことを望む人が、その会社では9対 1という実態になっているということです。先ほど長谷川委員がおっしゃった専業主婦 が登録型でということもあるのでしょうが、若い人の働き方においても期間の定めのな い働き方が、派遣としての働き方の中で、予想を超えてかなり浸透してきているのでは ないかと思っています。  均衡配慮のところは非常に難しい話で、委員がおっしゃった派遣先のスタッフとの均 衡を何で見るのかについても、おそらく議論があると思うのです。賃金で見るというこ ともあるでしょうが、ご指摘があった労災や教育訓練。今後議論をする必要があるとす ると、私どもの感覚とすれば教育訓練が重要だろうと思います。ただ、それも先ほど労 働力需給調整の中の臨時的、一時的なところの教育訓練と専門的、技術的な教育訓練、 秘書やファイリングなどの26業務の専門的な仕事で、期間制限がないところの教育訓 練をどうするのか、臨時的、一時的な教育訓練をどうするのかとなると、総論ではなく 各論でどうするのかという、非常にディテールの議論が必要ではないかと思います。 ○成宮委員   どのように議論を進めていっていいのか難しいのは、(9)の「その他」の所に書いてあ りますが、派遣労働というのはどういうことなのかをこれから本気で議論して、その上 でその整理に立って、制度をどう運営あるいは改正していくのかということをやるのか、 そうではなくいまの派遣法という法体系を前提にして、その中で必要な修正がどうある べきか議論していくのかによって、取組方がだいぶ変わってくるのではないかという気 がします。 ○清家部会長   この辺の議論の進め方は、いま成宮委員が言われたように、(9)はそもそも論ですが、 この辺りを少し前広に議論しておいて、そこから各論の中で具体的にどうしていくかを 議論するのが、やはり正攻法であろうと思います。一方で、もし時間の制約などがある とすると、それをいつまでも議論していても物事が進まないかもしれないということも ありますが、労使双方の立場としていかがでしょうか。 ○長谷川委員   いま成宮委員がおっしゃったように、非常に難しいと思うのですが、非典型が32%ぐ らいと言われていますが、それが非常に拡大したわけです。非典型の中の派遣と請負が 非常に拡大しているのだと思うのですが、派遣労働者のことで言うと、私は先ほど輪島 委員がおっしゃったことも、そういう意見もあると思います。一方、私どもの会長が4 7地方に行って帰ってきたとき何を言われたかというと、派遣はひどい、派遣はどうし たのだと。どうも、行った先々で派遣労働者からの労働相談がいっぱいあって、派遣労 働に何らかの措置をしないと大変なことになるのではないかと、それが混在しているの です。  派遣労働者の所で、これでいいという人たちとこれは問題だという人が混在していて、 そこを整理しなければならないのではないかと思います。今回のレジュメで言うと、「そ の他」の所でこういう形で書いていますが、この問題をどこかできちんと議論しないと、 私は行き着く所は労働条件で言えば鎌田委員がおっしゃった均等処遇、均衡処遇の話で あって、そういうものを派遣の場合どのようにしていくのかが重要になってくるのでは ないかと思うのです。あとは期間の定めのない雇用を望む人がいれば、そこにチャンス を与える。でも、正規の労働者になりたくない人はいるのです。なぜなりたくないかと 聞くと、毎日夜の10時まで、あんな残業はいやだと。それだったら結婚もできないし、 家のことも習い事もできないからいやだと、それは確実にいます。それと、会社の懇親 会に出たくない。要するに、夕方5時半を過ぎてまで、なんで自分のプライベートな時 間をつぶさなければいけないのか、だからいやだと。私はそこそこの仕事でいいのだと いう人もいます。確かにファイリングは専門の26に入っていますが、私はあれがなん で専門性なのかといつも言うのですが、そういう意味では特にファイリングなどで入っ てくる人たちの働き方は、企業が大変なときに、いちばん先にリストラ、全部派遣など に移したということです。そういう単純な所でずっと働きたいと思っている人も、事実 いると思うのです。もう少し、派遣のところは実態をもう一歩議論して、それらに対し て保護を、保護をというと使用者の人はいやでしょうから、何らかの均等処遇や均衡処 遇を考えて、良好な雇用だということを打ち出すことが必要なのではないかと思います。  おそらく20代で派遣で働いた人は、ほとんどずっと派遣です。でも、40代や50代 になったときにあるかというと、いまの状況で会社が40代、50代を派遣で入れるとは とても考えられません。きっと20代、せいぜい30代までしか派遣で入れないと思うの です。そうすると、いま20代で派遣できた人が、50代になっても働けるようにできる かどうかが問われてくると思うのです。良好な雇用ということになれば、そういうこと まで考えなければいけないのではないかと思います。今回のゾーンでそこまで議論でき るかどうかわかりませんが、問題があるという認識はしておくことが必要なのではない かと思います。 ○輪島委員   どこを見て議論するかが非常に重要で、今度のフォローアップにおいて派遣の調査を したわけです。その調査をずっとこれまでフォローアップしてきて、前にも申し上げま したが、派遣労働者としては常用型と登録型があって、この調査によれば、年間200〜 250日働いている人がいて、登録型の人は8時間働いているし、常用雇用型も7〜9時 間働いている。この実態調査を見れば、全体の8割型はいわゆる派遣としての働き方に フィットしていると思いますが、連合会長が47都道府県に行って労働相談を受けると、 残りの2割の所で課題があるのだろうと思います。全体が問題がないから、2割の所も それでいいではないかと、私もそういうことを言うつもりはありませんので、課題があ る点についてどうするのか。その点において、(9)のところで申し上げたように派遣法全 体が複雑でわかりにくくなっているし、それに対応して、均衡処遇で言うと私どもは少 し立場が違うので、そこそこの仕事でいいという働き方と、いわゆる正社員の働き方に ついて、結果が平等につながって処遇が同じだということが、本当にそうなのか。いま 格差の話が出ていますが、ある程度の格差と想定以上の格差があるとすれば、ある程度 の格差は認めながら、多少働き方が違えば処遇も違うだろうということは、リーズナブ ルな範囲なのだろうと思うわけです。  話を元に戻すと、最終的に多くの派遣法の趣旨に沿って働いている派遣制度と、そう でない所の課題がむしろあって、そこの整理が今回のフォローアップをした形での今後 の議論の方向性なのだろうと思っております。 ○清家部会長   ほかによろしいですか。  本日事務局からご報告いただきました。本日いただいた整理は、前回まで議論してき たヒアリング及びアンケートに表れた実態に基づく議論だったわけで、その議論を今回 整理していただいたと理解しております。今日はそういう形で、これまでのフォローア ップの状況と今後議論すべき課題を整理していただきました。いまのお話を伺っていま すと、職業紹介事業関係については前回改正が評価され、料金規制のところはもう少し 実態の推移を見守ろうということで、大体委員のコンセンサスは得られているかと思い ます。次回以降、主に労働者派遣関係について、今回委員の方々からご提案いただいた 部分も含めて、各事項に関してさらに議論を深めていく点が随分あると思いますので、 本日の事務局からの資料や議論を踏まえつつ、次回以降順次議論していくということで 中間的な整理としたいと思います。よろしいでしょうか。  先ほど成宮委員も言われましたように、あまりそのことに長く議論をすることはでき ないかもしれませんが、そもそも派遣労働はどういうもので、どのように考えるのがい いのかを、今日の皆様方のご意見も、そこのところに立ち上らないとなかなか実りある 合意が得にくいところもあるかと思いましたので、今日のお話で言えば(9)の所かと思い ますが、一度派遣労働についての基本的な議論をしてはどうかと思いますが、いかがで しょうか。 ○輪島委員   要望ですが、先ほど長谷川委員がおっしゃった(5)の事前面接の件の法的な理解と、ど ういうタイミングでどう行われていてどうなっているのかを少し整理していただいて、 そこも含めて資料を提供していただきたいと思います。 ○清家部会長   その辺りも、場合によっては鎌田委員のご指導なども受けながら、事務局のほうで整 理していただきたいと思います。  それでは、そのようなことでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○清家部会長   それでは、そのようにさせていただきます。  次回以降の議論について、事務局からスケジュール等について何かありましたらお願 いします。 ○坂口課長   次回のご議論については、いまも部会長からご指示がありましたように、全体に関わ る問題ということで、(9)の派遣労働という働き方についてご議論いただき、今日も議論 がありましたように、その視点、観点はその後の各論についてもということかと思いま すので、引続き各論の議論に移っていただきたいと思います。ただ、今般この部会でフ ォローアップ検討について昨年来ご議論いただいています。議論の結果次第では、法令 の改正も必要になることもありますので、ご多忙のところ恐縮ですが、年内に一定の議 論の取りまとめ、集約をお願いしたいと思っております。来月以降、月1、2回のペー スで各論を含めてご議論を行っていただければと考えますので、よろしくお願いします。 ○清家部会長   それでは、いまの事務局からのスケジュールを含めたご提案、ご説明についてご質問 はよろしいですか。   (異議なし)   ○清家部会長  それでは、そのようにさせていただきます。また、すでに今日いろいろご注文も出て おりますが、労働者派遣関係の議論に資するように、事務局には本日の部会の指摘を踏 まえた資料の修正と、各事項についての議論を行いやすくするために考えられる論点の 作成をしていただくようにお願いします。よろしくお願いいたします。  次に、一般労働者派遣事業の許可の諮問に移ります。冒頭に申し上げましたように、 傍聴されている方につきましてはここでご退席いただきたいと思います。高橋職業安定 局次長も所用により退席されますので、よろしくお願いします。 (傍聴者・職業安定局次長退席) ○清家部会長   次回の部会は8月25日(金)10:00〜12:00で開催いたしますので、日程の確保等よ ろしくお願いいたします。  それでは、以上をもちまして「第87回労働力需給制度部会」を終了いたします。な お、本日の署名委員は、雇用主代表山崎委員、労働者代表長谷川委員にお願いいたしま す。どうもありがとうございました。    照会先   厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係   〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL03(5253)1111(内線5747)  FAX03(3502)0516