06/07/24 第7回 政策評価に関する有識者会議議事録 第7回 政策評価に関する有識者会議              日にち:平成18年7月24日(月)              場 所:厚生労働省7階 専用第15会議室 ○高橋座長   それでは、第7回の政策評価に関する有識者会議を開催いたします。大変お忙しい 時期御参集いただきありがとうございます。きょうは稲葉委員が御欠席でございます。 また、有識者会議の委員に交代がございました。堤東太郎委員にかわりまして、紀陸孝 委員が御就任されていただいております。後ほどお見えになるということだそうでござ いますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、きょうの議事についてよろしくお願いをいたします。 ○吉田評価官  改めまして政策評価官の吉田でございます。クールビズで失礼をいたします。では、 よろしくお願い申し上げます。  議事についてお手元の議事次第をもって確認をさせていただきます。本日の議題は2 つございます。1つは、平成18年度の政策評価として予定してございます厚生労働省に おける実績評価書(案)でございます。これにつきましてお諮りをするということでござ います。従来、本有識者会議は厚生労働省における評価制度についての基本的な事項で ございますとか、あるいは具体的な評価方法について大所高所から御意見をいただくと いう形で御参集をいただいておるところでございます。昨年度から実績評価書(案)につ きましても公表前に、その一部ではございますけれどもこの会議に提出をさせていただ き、御意見を賜るという形の試みをさせていただきました。昨年も非常に多くの有意義 な御意見をちょうだいしたところでございます。本年度は、後ほど御説明いたします6 つの項目についてお諮りをさせていただきたいと思っております。  それから次に、別途既に先行して御議論をいただいております本有識者会議のもとに ございます、評価指標等の検討ワーキンググループの検討状況、動きについてもこの機 会に御報告をさせていただくという、2点でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○高橋座長  それではそういうことで2つの議題をきょう審議させていただきます。まず第1に平 成18年度の厚生労働省における実績評価書(案)について、事務局から説明をお願いいた します。 ○吉田評価官  お手元の資料でございますが、議事次第をめくっていただきますと資料1といたしま して、これから順次御説明をさせていただきます18年度の実績評価書(案)として6つの テーマについての資料を編綴させていただいております。  その後ろ、説明資料という形で関係資料を用意させていただいておりますので、これ に基づいてこの後御説明をさせていただこうと思います。  参考資料1でございますが、厚生労働省における実績評価書要旨(案)という形でまと めさせていただいております。改めて申し上げるまでもなく、厚生労働省政策体系に基 づきまして、毎年度実績評価あるいはモニタリング、総合評価という形で評価を行って いるところでございますが、本日お諮りをいたしますのは18年度の実績評価のうち事後 評価として取りまとめましたもので、前回のこの会議におきまして特に重点評価課題と して整理をいただきましたもでございます。  参考資料1は、いわばその全体像ということでございます。現在私ども別途御議論を いただいております基本計画に基づいて、政策評価体系を全般にわたって評価している ところでございますけれども、1ページ目から最後35ページにわたるまで、108項目に ついて評価書を今年度は作成すべく今作業を進めているところでございます。この資料 につきましては、事前に委員の皆様方にも御参照としてお手元に届けさせていただいた ものでございます。この中のうち特に重点評価というものにつきまして、先ほど御確認 いただきました資料1及びその参考資料に基づいて、これから御説明をさせていただく ということでございます。  この機会に合わせて資料を確認させていただきます。資料2−1、2−2としまして は、後ほど御報告をさせていただきますワーキング関係の資料でございます。  参考資料2とございます非常に大部な政策評価関係資料集につきましては、政策評価 に係る関係文書を現時点においてまとめさせていただいた、いわばハンディな資料集と して御参照いただければと思っております。  また机上配布資料として3種類ございます。1つは、実績評価書(モデル評価書)と いう形で右肩に(2−3−I)もしくは(4−2−III)となっております。これも後ほ どワーキングの関係で御報告をいたします資料でございます。  最後に、実績評価実施要領を用意させていただきました。これからお聞き届けいただ く評価書(案)の背景となっております、実績評価のいわば仕組みについての資料でござ いますので、必要があればまた御確認をいただければと思います。  お手元の資料を御確認いただきますれば、この後6つのテーマにおいて説明の方に移 りたいと思います。具体的には資料1及びその説明資料をごらんいただきながら、時間 の関係上委員の皆様方からの御意向も考慮いたしまして選びましたテーマでございます が、前半後半2つのグループに分けて御説明をお聞きいただき質疑をしていただくとい う形で、座長から進行いただければと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○高橋座長   ありがとうございます。大変御多用中、それぞれの課からお越しいただきましてあり がとうございます。それではそれぞれの課から御説明のお願いをいたしますが、大きく 2つのグループに分けます。実質的なことはそのときということですが、個別の御発言 は確認の質問をして、後でまとめてディスカッションをするという形にしたいと思いま す。一つ一つやっていますと時間がどうしても延びますので、そのような形でやらせて いただければと思います。  まず始めに「感染症対策の充実・強化」健康局及び医薬食品局より、よろしくお願いし ます。おおむね15分以内でお願いいたします。   ○健康局結核感染症課長   健康局結核感染症課長でございます。それでは座って説明をさせていただきます。ま ず感染症対策について実績評価書の1ページから御説明申し上げます。  感染症対策につきましては、施策目標はここに書いてありますように感染症の防止と 予防と感染症医療の確保という2つが大きなテーマでございます。  この施策目標を達成すべく実績目標として3つ掲げてございます。1つ目が結核感染 症対策の充実。2つ目が若年層の性感染症対策の推進。3つ目が法に基づく予防接種の 実施・推進ということでございます。  まず実績の状況について御説明いたします。1点目の結核感染症対策の充実につきま しては、基本的には結核予防法、感染症法の適性な執行に努めているというところでご ざいます。特に17年度関連する予算として書いておりますが、3つほど力を入れており ます。1つは、退院後の結核患者さんに対する服薬を徹底する直接服薬確認療法事業と いうものがございます。2つ目が、感染症の発生防止をより迅速に報告していただくた めのシステムの見直しということで、このモデル事業があります。3つ目が、感染症指 定医療機関の整備、一定の重さを持った感染症については指定をして、診断された場合 には指定の医療機関に入院していただく制度になっております。その入院先の医療機関 の整備というものです。  これらの整備促進を進めてきました結果、若年の新登録結核患者数、これは初めて発 症した患者数ですが、確実に減少を見ております。データ的には細菌性赤痢とか、腸管 出血性大腸炎の発生状況も減少傾向にございます。また感染症指定医療機関の整備につ きましては、整備が進んでいるという状況がございますが、一方2ページに書いてござ いますが、第一種感染症指定医療機関が都道府県ごとにと考えておりますが、半分の都 道府県では未整備の状況ということが課題でございます。  実績目標2番目、若年性の性感染症の対策についてです。この実績の状況につきまし ては、性感染症対策事業を推進しております。特に力を入れておりますのは、正しい知 識を啓発普及していこうということと、保健所におきまして相談、検査体制を充実しよ うと、なるべく早く発見をしていただこうということで進めております。この結果、特 に患者数の報告が多い性器クラミジアあるいは淋菌感染症につきましては、年々減少し ていると考えております。一方、ほかの感染症については横ばいの状況もあるというこ とで評価の指標についてはそのような内容を書かせていただいております。お読み取り いただければと思います。  3ページの実績目標の3番目、予防接種の推進でございます。これも予防接種法とい う法律に基づきまして、適性な執行に努めております。この関連する経費が先生方から ごらんになって多少少ないのではないかと思われますが、予防接種事業につきましては、 基本的に一般財源化されております。国の予算というのはこのぐらいでございます。こ のほかに書いてございませんが、予防接種被害救済が生じた場合の被害救済事業という ことで別途ございまして、その負担金は別途計上しております。基本的に国の予算はこ のぐらいで、一般財源化されております。国の方が予防接種の対象疾患を決めて、国民 の皆さんに努力義務を課してお勧めをしているというやり方です。ここに書いてありま す評価指標をごらんいただきますと、例えば2段目の急性灰白髄炎については、ここ5 年間発生を見ておりません。麻しん、風しんについては、ここ5年間で急激に発生数は 減少してきております。  4ページに行きまして日本脳炎もほとんど発生は見ておりません。破傷風については 若干横ばい傾向です。ただインフルエンザにつきましては、なかなか蔓延を抑えるとい うところまでは行きません。毎年やはり数十万人から百万人単位の方の発症を見ている という状況でございます。  4ページの下の評価でございます。現状分析についてはWHOもここに書いてありま すような警告を発しておりますが、やはり国民の健康危機に適切に対応するということ で、総合的な感染症対策が求められているという認識でございます。結核につきまして は、患者数は先ほど申し上げましたように年々減少してきておりますが、ほかの先進国 と比べますとまだまだ患者数は多いということでございますので、引き続き対策を推進 する必要があると考えております。特に治療を中断してしまう方が出るというのが問題 です。直接服薬確認を推進していくということが必要でございます。  性感染症につきましては、啓発等いろいろ力を入れております。全体的には減少傾向 と考えておりますが、疾患によってはまだまだ横ばいあるいはふえているというものも ございまして、今後努力をしなければ遺憾と考えております。  予防接種につきましては、先ほど数値を見ていただきましたように、おおむね減少、 あるいは少ないながらの横ばいというとことで効果が出ていると考えております。イン フルエンザについては発生を防止していくというところまでは至っていないというのが 現状分析でございます。  5ページの評価結果について御説明をいたします。政策手段の有効性についてですが、 結核感染症対策につきましては、若年層の新結核患者数、赤痢、腸管出血性大腸炎とそ れぞれ減少してきておりまして、特に結核の直接服薬確認療法ですとか感染症対策の迅 速化、医療機関の整備というところが有効に機能しているということではないかと考え ております。性感染症対策につきましても、特に患者数が多くて問題になっている性器 クラミジアにつきましては減少傾向になっております。予防接種につきましても先ほど 触れましたようにインフルエンザを除けば患者報告数は非常に減少してきている、ある いは少ないレベルでの横ばいということで効果が出ていると考えております。  効率性の評価につきましては、直接服薬療法あるいは治療中断による結核の蔓延防止 ということで、より医療費の効率的な使用ということが期待できます。感染症の動向調 査についても迅速に行うことで、より効率的な感染症対策が進められるのではないかと 考えております。  性感染症対策につきましても、国と都道府県が連携をし、相乗的、効率的な対策が進 んでいると認識しております。予防接種につきましても、先ほどの実績から見れば効率 的にできているのではないかと考えております。  6ページの総合的な評価でございますが、予防接種の地域格差を是正する研修会の実 施ですとか、適切な医療提供できる感染症医療機関の確保など成果を上げておりますが、 一部増加傾向にある感染症など、減少させるために引き続き所用の施策を推進する必要 があると考えております。  このような評価の結果から、評価結果分類については2番目の「達成に向けて進展が あった」分析分類につきましても2番目の「分析がおおむね的確に行われている」とい う自己評価でございます。  特記事項については、ここに書いてあるとおりでございますので説明は省略をさせて いただきたいと思います。  資料といたしまして9ページ以降、参考2というところで、最近非常に話題になって います新型インフルエンザに関する行動計画を昨年度策定をしました。そちらについて 参考的にお示しをさせていただいております。時間の都合もありますので、お読み取り いただくということにしまして私からの説明は以上です。   ○高橋座長  ありがとうございます。質問は、医薬食品局の血液対策課長さんからお話を承ってか らまとめてということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○医薬食品局血液対策課長  医薬食品局血液対策課長でございます。座ったままで失礼いたします。ただいまの健 康局からの御説明に関連いたしまして、医薬食品局の方ではワクチンの安定供給を図る ための諸施策を推進してございます。今回の政策評価に関連いたしましては13ページ以 下になります。3点の実施目標を掲げてございます。項目ごとに手短に御説明させてい ただきます。  まず国家買い上げ及び備蓄を実施するということでございます。特殊なワクチン例え ば狂犬病のワクチン等でございます。実際に必要になった場合には大変有効な治療的、 予防的手段になる。一方で発生するかどうか、非常にまれな現象で発生しないときもあ れば、したときには大量に必要になるといった特殊なワクチンについて、安定的な供給 を図るために、国家で買い上げて備蓄をしているものでございます。昭和26年から行っ ておりますが、対象となる項目等については見直しを図りながら今日まで進めておりま す。評価指標といたしまして、売り払い本数及び供給要請本数を記載させていただいて おります。両者は、要請があって売り払うということでございますので、基本的に合致 した数字になってございます。  13ページ下から実施目標の2でございます。特にインフルエンザワクチンです。冬に 毎年流行いたしますインフルエンザのワクチンの需要予測に係るものでございます。こ れにつきましては、例年冬に流行するということもございまして、またワクチンが非常 に有効な手段ということで高齢者の方々については市町村が公費を導入いたしまして、 自己負担を軽減して接種しているというものでございます。国民の関心も高まり接種率 も高まってきております。こうした中で必要なところにきちんとワクチンが行き届くよ うに、毎年の製造が適切に行われるよう、また各医療現場にきちんと届くようにという 観点から毎年の需要についての予測を、専門家の会議をいたしまして導き出します。そ れをもとに製造メーカーをはじめ関係者がその情報を共有しながら、安定供給を図って いくというものでございます。予算につきましては、そのための会議費等を計上してご ざいます。  評価指標といたしまして、需要量と供給量、例年需要量を多少上回る供給量が確保で きるということを目標にしてございますが、そういったものが示されてございます。  実績目標の3でございます。これは今まだ存在しておりませんが、新型インフルエン ザワクチンということで、ヒトからヒトに拡大するという新しいタイプのインフルエン ザが現在心配されているものでございます。先ほど、健康局から全体の行動計画につい て資料の御披露だけがありましたが、その大きな傘のもとで諸施策を推進しているわけ でございます。いざそういう新型のインフルエンザが出たときに、治療薬と並んでワク チンが非常に効果的な防御手段になります。私どもの方では、何とかしてそのワクチン を早く手に入れられるようにするための下準備のようなことを進めております。実際に は、ヒトからヒトに大きく感染拡大させるような新型インフルエンザウイルスはまだ出 現しておりません。ワクチンの生産はそのウイルスが出現してから対応することになる わけです。実際には、トリの間ではやっておりますインフルエンザがヒトに感染すると いった散発例がございます。そういったウイルスをもとにワクチンをつくっていくとい う形で、本格的なワクチンの生産の下準備をしているところでございます。ワクチンの 生産は、ニワトリの有精卵を使って行っております。ワクチンの種として使うウイルス を確保するのに、毒性の強いウイルスですと有精卵が死んでしまいますので、毒性を弱 めた形の種をつくる必要がございます。その過程にさまざまな検証を含めまして、数ヶ 月かかってしまうということがございますので、その部分を何とか短縮できないかとい う観点から既存のさまざまなウイルスについて、その弱毒化という手続を行って保管す るというものでございます。この14ページの下に書いてございますが、毎年2つぐらい ずつそういったワクチンの種になり得る候補株を製造しているというものでございま す。  以上3点でございますが、これにつきましての現状分析が15ページ以下に書いてござ いますが、ただいま説明したとおりでございまして、いろいろな観点からの安定的な供 給あるいは必要になったときに速やかに拠出できる諸準備をしているところでございま す。  15ページの下が評価結果でございます。備蓄につきまして書いてございますようなコ レラワクチンあるいはガスえその抗毒素、ジフテリアの抗毒素等々、定期的にその有効 期限がきたときに更新するという形で買い上げております。また、これらにつきまして それぞれ医療機関からの要請に基づいて都道府県に払い出しをしているという実績が書 いてございます。年によって多少の上下がございますが、こういった形でまれな現象で はありますが必要になったときの備えという形で機能しております。  16ページの(2)でございますが、インフルエンザワクチンの需給につきましても、平成 12年以降、先ほど申した形で毎年の需要予測をして、その情報をもとに関係者が必要な ワクチンを製造・確保するための努力をしているということです。これも既に平成12 年から6、7年やってございますが、かなり安定的な仕組みとして機能しています。平 成15年の冬には若干ワクチンが足りないといった事態が生じましたが、それ以後2年間 は極めて安定的にワクチンが供給できております。(3)の弱毒の株をつくるという話でご ざいますが、これも毎年2つぐらいずつ着々と用意しているということでございます。 これによって、いざワクチンの開発が必要となったときの、期間の短縮を図ろうという ものでございます。  効率性についても16ページ以下書いてございます。基本的にこういった目的が明確に 定められた部分についての評価でございますので、効率性を図りながら推進できている ものと理解してございます。  17ページの最後の総合的な評価及び評価結果の分類でございますが、「達成に向けて の進展があり」、分析としては「おおむね的確に行われているもの」と自己評価をして いる次第でございます。以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。それではそれぞれの今の御報告について、事実確認等を含 めた質問があれば、委員の皆様から御質問をいただければと思います。   ○堀田委員  だれも病にかかりたいと思っている人はいません。ですから危険であるという情報が きちんと伝われば当然それを予防する方向に動くという意味では、施策目標が達しやす い性質の事業ではないかと思います。そういう点で各省庁、特に例えば性感染症などは、 文部科学省の教育の中でしっかり協力してもらうということが有効かと思います。そう いう点についての連携等をとっておられるかどうか、そのあたり記述がありませんので 伺いたいと思います。  それからマスコミへの発表が非常に重要で有効かと思います。マスコミ発表について、 何らかのルール、やり方等を設けてやっておられるかどうか質問です。以上です。 ○高橋座長   それではよろしくお願いいたします。 ○結核感染症課長  まず1点目ですが、これは文科省ともよく相談をさせていただきながら進めさせてい ただいております。特に、性感染症は若い方の問題です。実は現在、性感染症予防指針 というものを策定しています。この見直しの準備をしておりまして、見直しに当たって も文科省さんともいろいろ協議をさせていただいております。  2点目のマスコミへの情報発信ですが、特に新型インフルエンザのことで申し上げま すと、今2週間に一度特段の何か事件があったりということがなくても、火曜日の17 時からという時間を決めまして定期的な記者発表をしております。その中で2週間に起 こった出来事を説明し、記者さん方が疑問に思っている点に対して質問を受けるという 形でさせていただいております。記者さん方の人事異動に合わせて定期的な勉強会とい ったものもさせていただいております。 ○高橋座長  ありがとうございます。ディスカッションは後ほどまとめて時間をとりたいと思いま す。質問どうぞ。 ○梅田委員  14ページの実績目標3で、括弧書きで「17年度末までに30株」というのは、どうい う根拠というか、これは達成されたことになっているのですか。どのように解釈をした らよろしいですか。 ○血液対策課長  お答えいたします。最初に目標をつくったときに30株ということですが、実際にはご らんいただいて明らかなように、毎年2つずつで10株ということになっております。目 標の進み方からするとかなり遅いということになってございます。そういった意味では もっと早くできないかという議論もありますが、感染症研究所の方でやっておりますが 相当な手間がかかっております。実際にはこの程度の進み方が精一杯だということもご ざいます。最初に立てた目標が少し楽観的であったということは言わざるを得ないかと 思っております。 ○梅田委員  それ以外の記述がないですねということだけ、つけ加えたいと思います。記述がない ので読んでいると少しわからないということです。 ○渡辺委員  ただいまの説明の中で、今一番国民的関心事は性感染症とインフルエンザだと思いま す。特にインフルエンザの最近の動向は、国民に一種の危機感をもたせた。例えば14 ページで、ワクチンの需要量と供給量の本数が書いてあり年々増加してきております。 これは予防接種を受ける人がふえているのか、あるいはインフルエンザの蔓延度が拡大 しているのか、PRの効果なのか。広い意味でのインフルエンザの経済学をやってほし い。国民保険的な保健のエコノミクスといいますか。それから感染が非常に増えたのは、 アジアの中における日本の特徴なのかあるいは欧米諸国は一体どういう実態にあるの か。ここら辺全然わかりません。需要本数がふえたことがどう評価されるのか。この辺 我々自体がその実態を的確に把握していないなら、もっと解析が必要なのではないかと 感じました。既にあるのかもしれませんが、後で御審議いただきたいと思います。 ○高橋座長  難しい質問でもあるような気がいたします。どうぞ。 ○血液対策課長  今手元にデータとして持っていませんが、渡辺先生が御指摘のようなことは、ワクチ ンをめぐる検討会でも幾度か議論をしております。国民の方々に、どれだけ経済的にも 効果があるのか、要するに安い価格でワクチンを打つことによって、その後の医療費と いう形、あるいは勤務できないという形で返ってくるマイナスの効果をどれだけカバー できるのかといった経済的な分析は諸外国では古くから行われており、我が国でも専門 家の業績も出てきておりますので、そういったものをわかりやすく示していくことがま すます必要ではないかと考えております。また、そういうものを提供していく主体とし て、国の果たす役割も大きいのではないかという意見もいただいているところでござい ます。  それからインフルエンザワクチンを打っている方は徐々にふえてまいりました。高齢 者でいいますと、半数以上の方が打っているという状況もございます。今後、ワクチン の供給につきましては、ニーズに対してきちんと供給していくということ、この14ペー ジはそういう数字でございますが、やはり前段の、国民に対するワクチンの効果につい ての啓発と合わせて、適切に進めていきたいと思っております。 ○渡辺委員  よろしいですか。そのような対応の効果が地域的に解析されて、きちっとした予防こ そがその地域における感染度の広がりを抑えているとの証明展開が必要です。 ○高橋座長  ありがとうございます。また後に3つの御報告をいただいてから、総括的な議論をし たいと思います。  引き続きまして「アスベスト対策」について、労働基準局及び安全衛生部さんからお 願いします。合わせて15分ということで、よろしくお願いいたします。 ○労働基準局総務課石綿室長  労働基準局総務課石綿室長でございます。座って説明させていただきます。アスベス ト対策につきまして、資料は18ページから実績評価書を御用意させていただいておりま す。アスベスト対策の全体像を御理解いただくということで、説明資料の方に一枚紙で ございますが「アスベスト問題に係る総合対策」の概要という資料を用意させてござい ます。  御案内のように昨年6月にクボタの尼崎工場におきまして、元労働者の方あるいは工 場の近くにお住いの住民の方に、多数の石綿によります健康被害が発生しているという 事実が明らかになりました。そこでアスベスト対策に対する国民の関心が高まりまして、 昨年7月に「アスベスト関係閣僚会議」が設置されました。7月以降、5回にわたりま して検討した結果を取りまとめたのがこちらの総合対策の概要でございます。  1つ目が、すき間のない健康被害者の救済ということです。大きな柱の「石綿による 健康被害の救済に関する法律」というものを今年2月3日に成立させていただいてござ います。近隣住民の方で救済を受けられない方、あるいは労災請求が可能な労働者では ございますが、時効が完成しており請求自体ができない方、こういった方を救済するた めの法律ということで成立しまして、今年3月27日から施行いたしているところでござ います。  第2の柱は、今後の被害を未然に防止するための対応ということでございます。1つ が既存施設での除去等ということです。学校あるいは病院等での既存施設において多数 アスベストが使用されておりますので、これの除去を進めていく。その一方で、労働者 の方々が暴露しないように、解体時等の飛散・暴露防止対策ということで2つ目の○に 石綿障害予防規則等の周知・指導ということを入れてございます。  それからアスベストについては早期に全面禁止をするということで、平成20年度まで としていた全面禁止を前倒しをして、平成18年度中に全面禁止措置を講じるということ でございます。現在関係の政令の改正の手続をしております。できれば9月1日から早 期全面禁止ということで、一部代替できないアスベストがございますがそれを除いて全 面禁止をするというものでございます。  それから第3の柱が、国民に対する不安への対応ということでございます。実態把握 ・国民への情報提供というほかに、ここにございますように健康相談等への対応という ことで、アスベスト疾患センターこれは労災病院に設置しているものでございます。そ れから産業保健推進センター、これ47カ所都道府県ございますがこういうところで相談 に応じることにしてございます。18年度中の取り組みといたしましては、健康管理手帳 ということでアスベスト作業に従事した退職者の方についての健康管理手帳、これの交 付要件を緩和する検討を行っていくことにしております。アスベスト関連作業に従事し た退職者の方につきましては、基本的には事業主の方に健康診断のお願いをしているわ けですが、既に事業所が廃止されている場合につきましては国のお金で措置をする。18 年の臨時の措置ということで講じることにしてございます。以上、アスベスト対策の概 要につきまして御説明させていただきました。 ○安全衛生部労働衛生課主任中央じん肺診査医  それでは実績評価書につきまして、労働衛生課の方から御説明させていただきます。 18ページでございます。施策目標といたしまして、労働者の安全と健康確保をするとい うことでございます。主管部局としましては労働衛生課、関係部局としまして化学物質 対策課というところを中心にして進めております。この評価書自体は、大変広範なじん 肺から職業がんその他いろいろな問題があるわけでして、そういったものを含めて書い てございますがアスベストに限って御説明をさせていただきます。  手段の概要でございます。石綿による健康障害の防止を図るため、石綿対策事業等を 実施し、石綿障害予防規則の適性な施行等の支援を行うということでございます。具体 的には、解体業者の方々に対して石綿障害予防規則を徹底させるために建築物解体工事 等暴露防止対策マニュアルを作成する。あるいは石綿に係ります作業環境測定ですとか、 建築資材などに含まれています石綿の含有率といったものを精度よく測定できるような 分析機関への講習。石綿暴露防止等に関する相談窓口、石綿製品の代替化を促進するた めの支援、さらには国民一般の方々のもっておられます健康不安に対応するため、健康 相談窓口を設置するといったことでございます。  評価でございます。20ページの現状分析のところでは、平成17年6月にまさにクボ タの関係で健康被害が社会問題化したわけでございます。今後石綿を使用した建築物の 解体工事が増加することが見込まれるわけでございます。そういったことから石綿障害 予防規則のさらなる周知徹底が必要です。それから国民の皆さんがもっておられる健康 不安に対する対応のために、健康相談窓口の設置が急務であると考えておりました。  評価結果でございますが、21ページ政策手段の有効性の評価のところですが、平成17 年度には建築資材の中の含有物を、分析担当を対象としました講習会を開催する。石綿 暴露防止等に関する相談窓口の設置。石綿業務に従事していて、既に退職されている労 働者に対する健康診断を、事業者に実施するよう要請をしたところでございます。また、 健康相談窓口の設置、これも重点的に全国10カ所の都道府県労働局に置いて行うと同時 に、全国47あります産業保健推進センターにつきましてもそういう相談を受け付けてお ります。そういったことを行いながら、被害を未然に防止するための対応や国民の皆さ んがもっておられる不安について対応を進めてきたところでございます。  22ページの政策手段の効率性の評価でございます。建築物解体工事等の暴露防止対策 マニュアルの作成、分析機関への講習といった事業を労働災害対策または分析に関する 専門機関に運営を委託する。あるいは対策の高精度化等充実を図るほか、石綿障害予防 規則の規制の対象となる建築物解体事業者でありますとか、分析機関に焦点を当てて事 業を進めるなど効率化を図ってきたところでございます。また、都道府県労働局におい て行いました相談会、講演会につきましても、中皮種や肺がんの労災認定件数は10件を 超えている事業所、あるいはその周辺の住民の方から石綿による健康被害が生じている といったところに絞り込んだ上で、そういった事業を展開して効率を目指しているとこ ろでございます。  総合的な評価でございますが、石綿暴露防止対策につきましては今後その建築物の解 体作業等におきます対策の充実を図らなければいけないということでして、作業者等へ の暴露防止に資するものと思っております。  評価としましては、「達成に向けて進展があった」分析が「おおむね的確に行われて いる」ということで両方とも2とさせていただいています。  なお、石綿とは直接関係がありませんが、最近労働の現場ではメンタルヘルスですと か過重労働につきましても大変問題になっております。そういったことにつきましても、 重点対策として着実に施策を進めているところでございます。特に昨年、17年度には労 働安全衛生法を改正いたしました。このようなところも力を入れているところでござい ます。以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございます。それでは事実関係の質問等がございましたらどうぞよろしく お願いをいたします。よろしゅうございましょうか。  それでは引き続きまして「若年・長期失業者の就業拡大」のうち、「若年者雇用対策」 ということで、職業安定局と職業能力開発局の方から合わせて15分程度でよろしくお願 いをいたします。 ○職業安定局若年者雇用対策室長  職業安定局若年者雇用対策室長でございます。よろしくお願いいたします。座って説 明させていただきます。  資料24ページからでございます。基本目標といたしまして、労働者の職業の安定を図 ることという目標のもとに、若年者の雇用を促進するという施策目標として私ども取り 組んでいるところでございます。  実績目標が3つございます。まず1としまして、若年者の職業意識啓発を図ることで す。この中ではさらに具体的に2つの目標を掲げさせていただいているところでござい ます。  1つ目は、ハローワークにおきましてさまざまな職業、業種において働く方などを講 師といたしまして学校に派遣いたします。そして生徒に対して仕事の実態、働くことの 意義、やりがいなどの講話をしていただくキャリア探索プログラム事業といったものを 実施しております。この事業に参加する生徒数を28万人程度確保するということを目標 としております。  2つ目といたしまして、各地域の経済団体に委託しまして企業側でのインターンシッ プに対する理解の一層の浸透を図りまして、受け入れ企業の幅広い開拓を行うとともに、 開拓しました企業における学生等の受け入れの支援を行いますインターンシップ受け入 れ開拓事業というものを実施しております。この事業を通じてインターンシップに参加 した大学生などに対してアンケート調査を行い、その上で「役に立った」という評価を 80%以上得るという目標を掲げてきたところでございます。  17年度の結果につきましては25ページにございますように、キャリア探索プログラ ムにつきましては、約43万人の生徒に参加していただいたところでございます。インタ ーンシップに参加した大学生等のアンケート結果につきましては、26ページの上にござ いますが96.7%の大学生から「役に立った」という評価をいただいたところでございま して、目標を達成したという状況でございます。  続きまして実績目標の2でございます。新規学卒者に対する就職支援を実施し、その 円滑な就職を図ることとしております。さらに具体的な目標として5つの目標を掲げて おるところでございます。1つ目は、新規高卒者の内定率について前年度以上の水準を 確保すること。2つ目は、大学新規卒業者の就職率を前年度より上昇させること。3つ 目は、新規学卒者の就職後3年以内の離職率を前年度よりも低下させる。4つ目は、1 つ目の新規高卒者の内定率の水準確保の方策としまして、全国のハローワークに若年者 ジョブサポーターといった相談員を配置しております。学校と密接に連携しながら求人 開拓、職業相談、就職面接会などの開催といった支援を行っております。この若年者ジ ョブサポーターの支援等を通じまして、就職内定者数3万人を確保するということ。5 つ目は、2つ目の大学生の就職率を上昇させることの方策としまして、全国に学生向け のハローワークとして、学生職業センター等を設置して大学生等に対して職業相談や職 業紹介、就職支援セミナーなどを行ってきております。このセンターにおける職業紹介 を通じた就職件数について、前年度に比べて10%増加させるといった目標を掲げさせて いただいたところでございます。  平成17年度の実績でございますが、27ページ、28ページです。現時点までに実績が 把握できているものにつきましては、すべて実績目標について目標を達成していると認 識しております。まず新規高卒者の内定率でございますが、27ページの下から2つ目の ところの枠でございます。17年度につきましては、18年3月末の数字ということで95.8 %となっております。過去の数字は6月末の数字でございますので、現時点ではまだ把 握できてございませんが、こちらの数字は昨年3月末の数字といたしましては前年度に 比べて1.7ポイント増加しておる数字ということになってございます。ということで6 月末の数字も昨年度を上回るという見込みでございます。  大学新卒者の就職率につきましては、28ページの上にございます。4月1日現在で 95.3%ということで、前年度比1.8ポイント増加ということで昨年を上回る結果となっ ております。  新規学卒者の就職後3年以内の離職率は28ページの2段目の表ですが、数字を入れ間 違えております。平成15年と書いてあるところは平成14年3月卒業者です。ですから 1年ずつ数字がずれております。申しわけございません。直近のものは、昨年の3月卒 業した人はまだ1年でございますので、3年以内の離職率につきましては、14年3月の 中学卒、高校卒、大学卒につきまして、それぞれ前年を下回る数字になっているという ところでございます。  若年者ジョブサポーターによります支援につきましては、27ページの真ん中ぐらいに 数字が出ております。3月までに就職内定者数を3万人とした目標に対しまして、実績 は4万5千人ということで目標を達成しております。  学生職業センター等につきましては、28ページの3つ目のところでございます。前年 比10%増加の目標に対して77%増の24,700人余りという結果となっているところでご ざいます。  最後に実績目標の3といたしまして、若年失業者対策の推進を図ることでございます。 この中では具体的に4つの目標を掲げております。1つ目は、若年者を短期のトライア ル雇用として受け入れる企業に対する支援を行って、その常用雇用への移行を図る若年 者トライアル雇用につきまして、開始者数を6万人とすること。2つ目は、そのトライ アル雇用を終了した者のうち、常用雇用に移行する者の割合を80%とすること。3つ目 は、都道府県が地域の企業、学校との連携・協力のもと、若年者に対する幅広い就職支 援メニューをワンストップで提供するいわゆるジョブカフェを設置する場合に、この事 業に対して厚生労働省においては、若年者地域連携事業の委託やハローワークの併設な どの支援を行ってきております。この支援を通じて、各都道府県の設定した成果目標を 達成するということ。4つ目は、フリーターなど、技能経験の不足から就職できない若 者向けのハローワークとして、個別指導方式による就職支援を行うヤングワークプラザ を全国5カ所設置しております。この施設を通じた就職件数を前年度と比べて20%増加 させることを目標として掲げたところでございます。  29ページに結果が書いてございます。17年度におきましては若年者トライアル雇用の 開始者数につきましては、5万1千人ということで目標をやや下回ったところでござい ます。しかしながら前年度比16.1%増ということで、開始者数につきましては実績は伸 びているところでございます。常用雇用移行率につきましては80.0%ということで、ち ょうど目標値ということで達成しております。ジョブカフェにつきましては、全国の合 計の数字でございます。就職件数が8万9千人となっておりまして、前年度比67%の増 加ということで順調に伸びております。ヤングワークプラザにつきましては、就職件数 が前年度実績を下回り目標を達成できなかったところでございます。これにつきまして は、一般のハローワークにおきましてもフリーター向けの窓口を設けるなどの取り組み をしてきたことなどがございまして、ヤングワークプラザの集客数の減少が影響したも のと考えております。しかしながらヤングワークプラザに新規に登録した若年者の就職 率につきましては、前度年比2.3ポイント上昇ということで、それなりの結果が出てい るものと思っております。  評価に関しましては、おおむね目標を達成したと考えおります。また若年者の雇用情 勢としましては、高校生、大学生とも昨年度を上回る就職内定率、就職率ということに なっていること、フリーターにつきましても2年連続で減少するなどの改善傾向にあり、 それなりの効果が出てきているものと認識をしているところでございます。以上でござ います。 ○職業能力開発局能力開発課長  職業能力開発局の能力開発課長でございます。よろしくお願いいたします。私は5− 3−IIですが、若年者の職業能力開発を推進することというものでございます。局内の 4つの部局が8つの目標を掲げております。少し長くなっておりますので、簡略化して 説明させていただきます。  まず実績目標の1でございます。職業能力開発大学校等におきまして、高度で専門的 な訓練を実施し就職を促進することというものでございます。全国10カ所に設置されて おります職業能力開発大学校では2年間の専門課程、それプラス2年間の応用課程とい うことで最終的に4年間の訓練ができるわけでございます。そこで訓練を実施し就職を 促進するという内容でございます。この内容につきましては、受講者数と計画達成率い わゆる入校率が出ております。16年度7,277。計画達成率、入校率は114.8%というこ とで定員を上回る受け入れを行っているところでございます。就職率につきましても年 々上昇してまいりまして、平成16年度97.3%で、ほとんどの方が就職をするという状 況でございます。  次に36ページの実績目標の2でございます。いわゆる3つの類型の若年者ということ で、学卒未就職者、早期離職者、不安定就労者フリーターでございます。この方たちに 必要な訓練を実施することという目標でございます。下の実績のところを見ていただき ますと、まず未就職者対策ということで13年度から始まっております。15年度に早期 離職者、フリーター対策というものを加えましてやっております。これは15年度までの 施策でして、平成16年度からは日本版デュアルシステムという形で総合化したというこ とでございます。実績はそこにありますように、受講者はそれぞれの数でございますが、 一部計画達成率は低くなっているものがございます。それから就職率でございますが、 いずれも60%を上回る形になっているところでございます。  37ページの実績目標の3でございます。フリーター等の若年者の方たちに対しまし て、職業意識を高めるための拠点としてヤングジョブスポットというものを大都市に設 置し、その活動を支援するということです。その下にございますように、ヤングジョブ スポットを全国14カ所に設置しております。その中でそれぞれ情報交換を行ったり職場 見学や職場体験あるいは実質的なグループ活動を行っていただき、情報の提供や適職選 択に対する相談などを実施しているところでございます。この来所者については、年々 ふえてまいりまして、17年度は約128,000人でございます。参考資料としまして、役に 立っているかどうかというアンケート調査によりますと、いずれも80%を超える方たち が「役立っている」という回答を寄せていただいているところでございます。  実績目標の4でございます。在学中から職業に対する意識を啓発するためということ で、「仕事ふれあい活動支援事業」を実施するということでございます。中高生の方々 に職場に対する意識を啓発していただくということで、職場を見学、体験していただく など活動をするということです。その活動を支援するということでございます。これは 16年度限りの事業でございます。そこにございますように、取り組んでいただいた学校 数が平成16年度は395になっております。  実績目標の5でございます。若年者に対するキャリア形成支援を総合的に行う施設と しまして、「私のしごと館」を運営するということでございます。「私のしごと館」に つきましては、下にございますようにさまざまな職業体験機会を提供するということと もに、職業情報の提供や職業生活設計に関する相談援助を行うという施設で、京都府に 設置をされているところでございます。  その評価指標でございますが、前段の方で準備のためのものがございますが3番目の ところで、各事業のサービス利用者延べ人数がございます。平成15年3月30日から開 始しましたので、平成14年は少なくなっておりますが年々伸びてまいりまして、平成 17年度52万人という数字になっているところでございます。  39ページの実績目標の6でございます。これは企業・実習と一体となった教育訓練を 実施することにより、一人前の職業人を育成するということで、日本版デュアルシステ ムを導入するという目標でございます。デュアルシステムにつきましては、その下に少 しございますように、おおむね35歳未満の若年者を対象に実施をいたします。分類とい たしましては(1)(2)(3)とございまして、5カ月程度の短期訓練。1年から2年の長期訓練。 それから専修学校が自主的に取り組む、民間の教育機関の活用型といった3種類がござ います。受講人数でございますが平成17年度4万人ということで、16年度に比べて大 分ふえているところでございます。  実績目標の7でございますが、フリーター等に対しまして、基本的なコミュニケーシ ョン能力でありますとか、基礎的なビジネスマナーを習得していただくための10日間程 度の講座を実施いたしまして、就職促進を図るというものでございます。40ページにな りますが、就職基礎能力速成講座と呼んでおります。受講人数につきましては3,255人、 就職率については45.6%ということでございます。  実績目標の8でございます。合宿形式によりまして集団生活の中で社会人としての必 要な基礎的能力を習得していただく、「若者自立塾」の事業を実施することでございま す。これは全国に平成17年度より20カ所の団体を指定いたしまして、働く自信と意欲 をつけていただくという事業でございます。期間は下の(2)にございますが、原則3 カ月程度、プログラムなどを実施いたします。運営の方法としましては、民間のNPO 法人、公益法人等に委託をする形で実施をしているところでございます。  41ページをごらんください。自立塾の入塾者数でございますが平成17年466人、就 職訓練等への移行率でございますが50.2%ということでございます。  評価でございますが、現状分析は、全体としましては失業情勢は回復いたしておりま す。就職内定率等上がってきておりますが、依然として若年の失業率は高く、フリータ ー等もまだ200万人います。ニートは64万人いるという厳しい状況が続いているという ことでございます。  評価結果、政策手段の有効性の評価でございますが、施策目標の1については先ほど 申し上げましたように就職率97.3%ということでございまして、定員を1割以上上回る 入校を図っているということもありまして、事業の有効性は高いものと認められるとこ ろでございます。  実績目標2につきましては、15年度で終了いたしております。  実績目標3につきましては、ヤングジョブスポットでございますが年々来所者がふえ ているということ、41ページでございますが、来所者の80%以上がより就職に結びつく 方向に変化しているという効果があったということでございます。  実績目標4でございますが、平成16年度で終了した事業でございます。  実績目標5でございます。「私のしごと館」ですが、平成17年度の各事業のサービス 利用者が延べ人数が52万人ということでございまして、利用者の中からは「具体的なイ メージがわいた」、「自分の職業について考えるようになった」というのが83%など、 その他の指標につきましても非常に高い評価を受けているところでございまして、政策 手段として有効であると考えております。  実績目標6の、日本版デュアルシステムでございます。これにつきましては平成17 年度、全体で4万人が受講いたしております。就職率72.3%でございますが一般の委託 訓練が60%程度の就職率でございますので、若年者の能力開発としては有効な施策であ ると思っております。  実績目標の7でございます。速成講座でございますが、3,255人が受講して就職率45.6 %ということです。十日程度の短期間の講習であるにもかかわらず半分弱の方が就職さ れているということで、その一つとして有効ではないかと思っております。  省略いたしまして43ページに行っていただきます。全体でございますが、これもいち いち御説明いたしませんが、今申し上げましたようにそれぞれ効率化にも努めておると ころでございます。例えば「私のしごと館」につきましては、下のところに書いてござ いますが運営費を2億円減して12億円とした、人件費も2割減の3億円としたというこ とが書いてございます。  44ページの総合的な評価でございますが、それぞれの施策につきましては一定の成果 を上げているということでして、施策目標の達成に進展があったということで45ページ ですが、評価結果分類の2、「達成に向けて進展があった」分析分類の2、「分析がお おむね的確に行われている」というところに丸をさせていただいているところでござい ます。以上でございます。 ○高橋座長  どうも済みません、多岐にわたるテーマを短い時間でお話をいただきましてありがと うございます。時間の関係もございますが、今のお二方の若年雇用対策についての御質 問と合わせて総括的なディスカッションも含めまして、今の3つのグループの政策評価 の結果について、委員の皆様から御意見をいただきながら少し議論ができればと思いま す。どうぞ順不同でございますので御発言よろしくお願いいたします。 ○野川委員  ただいまの御説明について1点だけ御質問させていただきます。今、はしょられまし た45ページの特記事項です。その(2)に各種政府決定との関係及び遵守状況とございま す。「私のしごと館」が自ら実施している職種について、市場化テスト法の中に入ると いうことであればまた検討するということですが、この種の、いろいろな若者を労働市 場に編入するという施策については、NPO等さまざまな民間機関の活用が話題となっ ていると思います。今の御説明の中では若者自立塾について社会経済生産性本部を通し てNPO等に委託をしているということでしたが、そのほかでは、ジョブカフェにして もデュアルシステムにしてもいろいろな形での取り組みをなされていると思います。そ ういった取り組みの中で、民間機関の活用あるいは委託といったことはなされていない のでしょうか。あるいはどの程度そういうことを検討されているのかお教えください。 ○能力開発課長  例えば一つ申し上げますと、日本版デュアルシステムでございますが、先ほど全体で 4万人と申し上げました。このうちの2万8千人ぐらいは民間に委託をして、民間の教 育訓練機関あるいはNPOも含め、民間の活動をしていただいている方たちの御協力を 得て実施をしているということでございます。職業訓練につきましても、できるだけ民 間活用を図れという御指摘もございます。若年対策につきましてもそういう方向で努力 をしていきたいと思っています。 ○堀田委員  41ページ、43ページあたりです。実績目標の2、実績目標の4について事業の評価の ところで有効性、効率性いずれも「終了した」で終わっています。終了させる以上は目 的を達して終了させる、あるいはもう有効性が認められないから終了させる、終了させ る事由がいろいろあると思います。そういう点は内部的にはもちろんきちんと評価して おられるのでしょうか。 ○能力開発課長  まず若年関係の訓練の実績目標2の関係でございますが、これは平成16年度から日本 版デュアルシステムを本格的に実施をしたということで、従来実施しておりました若年 対策の職業訓練の関係を整理統合いたしました。それまでも一定の成果を上げていたわ けでございますが、やはりより有効な企業実習をきちんと組み合わせた形に統合してい こうという形を整理したところでございます。  もう一つのふれあい事業でございますが、この辺は高校あるいは大学等でもインター ンシップという形でいろいろと企業実習を図る政策が進展してまいりました。そういう 中でできるだけ重複を避けながら、学校は学校でやっていただいた方がいい部分がござ いますので、整理をしたということでございます。 ○渡辺委員  職業訓練を受けた人たちは、その後どれだけ離職率が低いのか。ただ単に何パーセン ト就職したとか、これを見るとびっくりするような変化、サプライズではないわけです。 しかし訓練を受けた人たちは、就職後の定着率が非常に高いとか何かそういうことまで いかないと、本当の意味での有効性は、この程度の数字の改善だと見づらいということ です。世の中で、フリーター問題などは解決したと思う人はほとんどまだいません。多 少の就職率の改善は、景気の改善がフォローの風になっているということからいきます と、この職業訓練の効果性は質的な面に突っ込んだ評価の基準が必要なのではないでし ょうか。  そういうデータもおとりになっていかなければいけないのではないかと思います。と っていれば別ですが。 ○能力開発課長  まず就職率につきましては、終了後3カ月以内に就職しているかどうかは、はがき、 電話等によりまして確認作業をやっております。その後、どの程度定着しているかにつ いては、業務統計という形ではとっておりません。ただ委員が御指摘のように、その辺 については私どもも従来問題意識として言われておりますので、今後の課題として検討 していく必要があると思っています。   ○高橋座長  ありがとうございました。それでは少し総括的な議論ということで、感染症対策、ア スベスト対策、若年者雇用対策、3つの評価についてプレゼンテーションをいただきま して、総括的に御意見も含めましてどうぞ御発言をお願いいたします。 ○野川委員  先ほど質問のところで申し上げるかどうか迷ったのですが、感染症対策について、質 問のところで堀田委員も少しお触れになりましたが、若者の性感染症に対する対策です。 少しわからなかったのは、2ページから3ページにかけて5つの具体的な性感染症につ いての実績が上がっております。このうち、数の多い2つ淋菌感染症と性器クラミジア については確かに減少傾向がある程度見られます。下の3つについては、必ずしも見ら れません。特に性器ヘルペスと尖圭コンジローマは、むしろふえているという状況です。 こういった状況の中で、実績目標の2に関しては、一面では必ずしも全体が減少傾向を 示していないという4ページの現状分析がありつつ、5ページの評価結果の実績目標2 では、若年層では全体として減少傾向を示していて有効に機能しているといった結論で す。全体の数としては、数の多いものについては若干減っているといえますが、5つと った感染症の中で少なくとも3つが必ずしも減っていないという状況の中で、こうした 評価結果になることに若干の懸念があります。いかがでしょうか。 ○高橋座長  大変難しい質問です。どうぞ。 ○結核感染症課長  少し書きぶりが混乱して受け取られかねない内容になっていたかと思います。正確に いいますと、この5つの病気について評価をしていますが、最も患者数が多くて懸念し なければならないのが性器クラミジアです。これについては数からいいますと、数千か ら数万ということで一番大きな患者数の多い感染症です。これについては比較的順調に 下がってきているということで、そのような評価をさせていただいております。むしろ 尖圭コンジローマあるいは梅毒といったものは、どちらかというと古いタイプのといい ますか前からある性感染症です。こちらについては数が少ないこともあって、ふえたと か減ったとか言いにくい面もあります。幾つかの病気についてまとめて評価をすると、 このような表現になってしまいました。そこは御指摘踏まえまして、もう少し正確に書 き直させていただきたいと思います。 ○高橋座長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、どうぞ。 ○梅田委員   目標設定のところで質問と意見です。24ページのケースの場合、17年度において具体 的な目標を設定されたというのは非常にわかりやすくて、実績評価としてはいいなと思 うのです。質問の1つ目は、18年度においても目標を設定されているのでしょうか。 ○若年者雇用対策室長  はい。18年度も同じように設定していきたいと思っています。 ○梅田委員  毎年このように設定されていきますと、頭打ちとなる部分も出てきます。確認ですが、 ずっとこういうスタイルでいくということですか。 ○若年者雇用対策室長  事業がいろいろございますので、そういう意味でそれぞれ目標管理をしていくことが できると思います。あとは当然対象者としての児童、生徒の数などもありますので、そ ういった人数も見ながらとりあえず単純に伸ばしていくだけではなく、時期がくれば頭 打ちの時期は当然あると思います。そういったことは将来的にはきちっと考えながら、 目標数は伸ばしていき、目標管理をしていくということになろうかと思っています。 ○梅田委員  先ほど渡辺委員が言われましたように、分析を深めるということは大賛成です。これ はすべての様式にいえるわけです。こういう形で目標を明示していくと、これは意見で すが、最後の評価結果分類で「1」「2」「3」で目標達成したというのは、100%達成 したものしか丸が打てないというのは……みんな「2」になってしまうのです。「1」 が正しいかどうかわかりませんが、一覧表を見ると4つしかありません。しかし、ほと んどこれなどは達成しています。それでも「達成に向けて進展があった」という表現に なってしまいます。それと同じ質問を感染症などでも、こういう目標設定というのはで きないのでしょうか。今の目標設定ですと、いつまでたっても5年先も目標に対して「達 成に向けて進展があった」の「2」でずっとあり続けるのではないか。10年、20年とこ の表現でいくのではないかと思います。これは今後の問題も含まれています。  質問としては目標設定というのは不可能なのでしょうか。分析を深めるというもう一 つの課題は別としてありますが、国民にわかりやすいという意味では何か目標を提示し て達成したのかしなかったのかというのは、第一義的にはまずわかりやすい評価です。 そういうことは不可能でしょうか。 ○高橋座長  本質的な質問なので、少しお答えにくいこともあろうかと思いますが、コメントがあ ればお願いします。 ○結核感染症課長  実は評価書をつくるときも課の中でかなり議論がありました。感染症といいますと突 発的にふえたりという背景がありまして、評価が難しいということが前提にあります。 それから例えば病気の数についても、せんさくをしているからこの数で済んでいるので、 やめたらワッとふえるかもしれないということがあります。数が横並びであることが、 効果がすなわちないのだということにはならないのではないかと思います。さはさりな がら専門家の御意見なども聞いて、もう少しこの辺力を入れれば患者数が減るのではな いかというようなことがあれば取り組みたいと思います。そんな御指摘のことが反映で きるような目標というものも検討してみたいと思います。 ○阿部委員  今のに関連してですが、24ページの目標数はどのように設定したかが気になるところ です。「28万人程度をキャリア探索プログラムの参加生徒数として設定していて、参加 した学生の80%以上から「役に立った」との評価を得ることを目指した。」と2つの数 字が書いてありますが、これはどのようにして設定されたのでしょうか。 ○若年者雇用対策室長  1点目のキャリア探索プログラムの参加生徒数でございますが、この目標を設定した 段階におきましては、きちんと記憶していませんが、14年、15年ぐらいの生徒の人数か らしますところと、それから事業的に各県の、これは学校の方にも御協力いただかない とできない事業でございますので、そういった協力態勢というところで、ある程度伸び を見越した形で目標値を設定してたところでございます。設定した後で、実は16年度の 実績が既に超えていたという意味では、いわゆる各学校での取組状況はそれなりに増え てきていたというところについての認識が逆に不足していたかということではないかと 思います。  それからインターンシップの学生のアンケート結果として効果があったかどうかとい うのは、初めてつくった数字でございましたので、やはり5人に4人は「効果があった」 とせめて言ってもらわないと、事業としてやっている意味として問題があるのではない かという意味で80%という目標を立てたところでございます。結果としては、非常に高 い評価を得ていたということで、これも逆にこちらの読みが甘かったということではな かったかと思っております。この辺につきましては、分析しながら新しい目標値の設定 については考えていきたいと思っております。 ○堀田委員  2点申し上げたいと思います。1つは、さきほど梅田さんがおっしゃった点に関連し ます。評価がほとんど「2」になっております。参考資料を見ても丸で、これでは国民 サイドから見て行政がきちんとやっているかということを見るときに、ほとんど役に立 たないというか普通、まあまあという感じです。これは目標設定が悪いのではないかと いう面の御指摘もあります。3つに分けた評価で「達成に向けて進展がある」が余りに もあり過ぎます。ここのあたりをもう少し区分けを工夫する。そういう宿題があるかと 思います。  2点目は、政策というのは総合的に目標に向けて進めていかなければいけない、ほと んどの政策は単にその課の仕事だけでなく、いろいろなところと関連すると思います。 このあたりの評価方法をどうするか、これは森田委員とまた対立するようなことになる かもしれません。  大枠の3つの御報告を聞いて、最後のフリーター等の対策、このあたり報告書として はいいと思いました。たくさん書いてあるからというだけの理由ではありません。渡辺 さんのおっしゃったような問題はありますが、やはりこれだけの成果を上げており、や ったことはこういうことなんだと記載されています。  特にいいと思いましたのは、特記事項のところでほかの省庁の政策、全体の政策との 関連をしっかり書いておられる33ページです。45ページもありますが、この33ページ あたりの事項全体を見ますと、全体政策、ほかの省庁との政策の関連を見ながら政策を 進められている点がいいと思いました。総合的学習の時間などうまく使いながらやられ たと、残念ながらその事業はほかの方でやり出したというので終了したようであります けれども、いろいろな全体政策、ほかの省庁の政策あるいはほかの課との政策と関連さ せて、自分の政策の位置づけをしその意味をつかんで進めておられることはいいと思い ました。  しかし国民の方は別に一つ一つの課を見ているわけではありません。例えばフリータ ー対策、就職欲を駆り立てるという政策を見ましても、ここで登場している政策は就職 希望者、働かない人たちをどう訓練するか、その人たちをどううまく企業の方に当ては めていくかという政策がずらりと並んでおります。ところが若者の「7.5.3」など と言われる離職を見ますと、若者の方に確かに意欲がないとかいろいろ企業の方は文句 があるのでしょうが、私どもから見ていますと企業の方も結構悪い。サービス残業が多 すぎるあるいは残業のさせ方が非常に酷である、慣れた者はだんだん慣らされて我慢し て働くのでしょうが、初々しいところで入っていって、ああいう残業の仕方をさせられ たのでは「やめるよね」、今の若い人たちの方からすればそういう企業側の問題もそれ に限らず幾つかあって、そういう点についてもやめた人たちについてきちんと分析して 企業側に対して、これはまた別のセクションになると思いますが、要求すべきは要求す るという政策を合わせてとっていかないと、全体としての目標を達することができない のではないかと思います。  アスベストについても、労働者の安全と健康ということでやっていますが、当然労働 者だけの問題ではありません。飛び散った周辺の人たち、子供たちいろいろ問題があり ます。この一つのセクション、労働者の安全という目的だけでこれを切り取り評価する ことで足るのか、そういう問題があると思います。  感染症の問題は質問しましたが、ほかの文部科学省との連携等もいろいろ必要となっ てくる。そのあたりを、これも評価書の書き方の問題かもしれませんが総合的にきちん とまずとらえて、その中で自分の政策の位置づけをして目標を立て、その目標の達成度 を図り、さらに総合的な政策との関連で効果を評価するというそれだけの手順が目標を 達成するためには要るのかなと感じました。 ○高橋座長  ありがとうございます。総括的な御意見にわたっておりますが、最後にそういう時間 もとっておりますので、今の発言のレスポンスも含めてですが、予定の時間が超過いた しましたので3グループ、6人の方にお越しいただいた前半のセッションはこれで交代 ということにさせていただきます。人が動かれますので、5分ぐらいトイレ休憩をかね て休憩ということにさせていただきます。  それから紀陸委員がおくれてこられましたが、4月から御就任いただいております。 一言お願いします。 ○紀陸委員  日本経団連の紀陸と申します。いろいろ不勉強な点がございますが、よろしく御指導 いただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。 ○高橋座長  それでは5分間休憩いたします。 ○吉田評価官  今お机に、それぞれ企業年金等の状況という資料を配布させていただきました。事前 にお机の上に登録してございました資料の固まりで申し上げれば、説明資料という形の 企業年金の部分を後ほど説明をさせていただきます追加するということでございます。 よろしくお願いいたします。 ○高橋座長   渡辺、野川両委員がお戻りになりましたら再開させていただきます。  再開をさせていただきます。全体として4時までに終えるというお約束でございます ので、多少時間のことはよろしくお願いいたします。前半の方で少し伸びてしまいまし た。私の不手際でございます。よろしく御協力お願いいたします。  それでは後半グループ「少子化対策」・「公的年金制度に対する国民の信頼の確保」 及び「確定拠出年金制度、確定給付企業年金制度等の見直し」・「医療・健康・介護・福 祉分野の情報化」という3つのテーマで御説明をお願いいたします。まず「少子化対策」 について雇用均等・児童家庭局の方からよろしくお願いいたします。 ○雇用均等・児童家庭局で少子化対策企画室長  雇用均等・児童家庭局で少子化対策企画室長をしておりますドヤマと申します。よろ しくお願いいたします。お手元の説明資料のクリップを外していただきますと、アスベ スト対策の次に表紙はありませんが、少子化社会対策大綱から始まる資料がありますの でごらんいただきたいと思います。  少子化対策全体の枠組みでございますが、ここに示しておりますように平成16年6月 に少子化社会対策大綱というものが閣議決定をされました。これがいわば政府の少子化 社会対策の基本指針のような位置づけになっております。1枚おめくりいただきますと、 「子ども・子育て応援プラン」の概要とあります。これが少子化社会対策大綱に基づき ます、17年度スタート21年度が終期という5カ年の実施計画という位置づけになって おります。そこに4つの重点課題がございます。若者の自立とたくましい子どもの育ち というところから始まっております。これ自体は若者の自立支援という独立した行政ジ ャンルになっております。主に、その次の「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」 というところから、下の「子育ての新たな支え合いと連帯」というところまでが、少子 化社会対策ということで議論をされているテーマということでございます。  お手元資料1の中の少子化対策ということで、モニタリング結果報告書で幾つかあげ ておりますのは、一つ一つの中身は御説明申しませんが、この子ども・子育て応援プラ ンの概要の、平成21年度までの5年間に講ずる施策と目標というところ、いってみれば ショートレンジで定めております施策目標といったものの中から幾つか目標設定をして おると御理解をいただければよろしいかと思います。「子ども・子育て応援プラン」は 平成16年12月に策定したものでございますが、私自身も策定に関与いたしましたが、 これと同時に資料の右側におおむね10年後を展望しました「目指すべき社会の姿」とい うものを二重構造で掲げるという形にいたしました。これは先ほど来いろいろ議論され ておりますが、目標設定の仕方がどうなんだとか、あるいは施策の効果をどのように図 ってそして少子化対策に取り組んでいくのかといったときの、どういった社会を目指し ていくのかということを明らかにして、それに沿って施策が効果的に機能しているかど うかということをはかりながら施策を進めていきたいという考え方からつくったもので す。  プラン自体は平成17年度からのスタートということになっております。この軸に沿っ て施策が動いている、あるいは世の中が動いているかどうかということの評価はこれか らになります。済みませんがもう一度少子化社会対策大綱にお戻りください。推進体制 等というところの記述をピックアップしましたが、傍線を引いてございますように内閣 全体でつくります少子化社会対策会議のもとに、民間有識者も加えました少子化社会対 策推進会議というものを内閣府の方で設置をされておられまして、この秋よりさまざま やってきた施策のモニタリング、政策の評価ということを進めていくということで動い ていくと承知をしております。  私どもでは資料の3枚目になります。これだけではございませんが、主に子育て支援 関連事業につきまして、市町村で次世代育成支援対策の計画をつくっていただいている ところです。全国の目標値がどのような設定状況になっているか、それに向けてスター トの16年なり17年の数字がどうであって、それから1年経過したところでどういった 状況になっておるかということのチェックをしているところでございます。一部まだ集 計中のものがございますが、各市町村の17年度で申しますと計画策定初年度ということ になりますから、今までに比べて計画の初年度から意欲的に事業を進めていただいてい るととらえてよいのではないかと思っております。本来でしたらこういった動きの評価 をした上でさらにどういったことに取り組むべきかということの検討になりますが、日 本はいよいよ人口減少社会に突入をしたということで、新しい少子化対策の検討が急が れるという動きになりました。これは、内閣府の専任大臣として猪口大臣が御就任をさ れ、そのもとで新しい少子化対策についての議論がされました。それがまとめの最後の 資料になりますが、新しい少子化対策についてということで、平成18年6月20日に政 府与党で合意をされて政府の方でも少子化社会対策会議で決定をしました。19年度以 降、この対策を進めていこうという既存の少子化社会対策大綱、子ども子育て応援プラ ンの一部分をオーバーライズするような形の新しい施策の枠組みができているという状 況でございます。  一例を挙げて申し上げますと、1枚お戻りいただきまして、児童の放課後の安全ある いは放課後対策の充実といった観点で、私ども厚生労働省の方で主に共働き家庭を念頭 に置いて、留守家庭の健全育成事業というものを進めておりました。それからゆとり教 育との関係で、文部科学省さん方では時間の延びた放課後を地域の力も借りて充実をし ていくという、子どもの居場所づくり事業として知られておりますが、地域子ども教室 推進事業というものが進められておりました。実施する地元の方では、両者相乗りして 実施する形も生まれてきております。同じ放課後の子どもの対策ということもございま す。私どもでも放課後児童対策を進めておりますが、なかなか学校現場との連携がとれ ずに実施場所に苦労するといった現実がございました。この2つの施策について連携を して取り組んでいったらどうだろうかということで、今年の5月ですが大方針として両 事業を連携して19年度以降取り組んでいくということを基本方針として決めました。こ れが6月に決めました新しい少子化対策についての中にも盛り込まれています。来年度 に事業の姿、形を変えて取り組んでいくということになってきております。  こういった新しい枠組みのもとで、今お手元の資料1の方では既存施策のモニタリン グだけをしている評価書になっていますが、新しい全体の枠組みを通じまして、秋口以 降進みます新たに内閣府の方での総合的な政策の評価の枠組みをつくっていかれるとい うことですので、そういったものの検討の中に我々も入りまして、それと同時に個別の 施策についても全体の動きをにらみながらきちんと評価をして進めていきたいと考えて おります。そういう状況報告だけ、本日はさせていただきたいと思います。ありがとう ございました。 ○高橋座長  ありがとうございました。それでは御質問だけ、先ほどの例に従って受けたいと思い ます。よろしいですか、それでは引き続きまして年金局の方から、「公的年金制度に対 する国民の信頼の確保」及び「確定拠出年金制度、確定給付企業年金制度等の見直し」を お願いします。 ○年金局総務課長  年金局総務課長の貝谷でございます。よろしくお願いいたします。年金制度改革、先 般の全体の評価はどういう角度から評価するというのは難しい点がございます。本日テ ーマを拝見しますと、「公的年金制度に対する国民の信頼の確保」というのが大きなテ ーマとして掲げられております。私ども年金局という局の立場からは、こういう国民の 信頼の確保という観点で前回の改正がどうあったのかということを、本日御説明させて いただきたいと思います。  当然制度改正後の運用実態です。これが合わさって国民の最終的には信頼の確保につ ながるわけでございます。運用そのものは、社会保険庁サイドの方での実施ということ で、本日私どもの説明からはそこはカットさせていただきたいと思います。  前置きが長くなりました。資料の58ページからでございます。いただいておりますテ ーマが、年金制度の持続可能な公的年金制度の構築ということでございます。このペー ジでは実績目標として、国民年金、厚生年金につきましての給付と負担の均衡を適切に 保つということと、それぞれの積立金の適切な管理・運用を行うということが整理をさ れております。御案内のとおり、前回の改正、真ん中ほどから下に書いておりますが大 変大きな改正でございまして、(1)から(4)そにれぞれ骨子を書いております。保険料水準 の上限を固定する。もらう側の保険料給付水準を自動的に調整するマクロ経済スライド の導入。基礎年金国庫負担割合の引き上げ。積立金の活用。といった骨子で前回改正を 行いました。細かい点はそれぞれ省略いたしますが、順次施行に移されているところで ございます。  59ページ以下には、少し細かめでございますがこういった制度改正をどういう角度か ら評価をするべきかということで、下の方ですが評価指標それぞれ考え方を整理させて いただいております。一番大きな給付と負担の特に給付の水準、先ほど言いましたマク ロ経済スライドによる給付水準調整ということをひとつの評価指標にして上げておりま す。これにつきましては、後ほど御説明いたします。  2番目が財政再計算と実際の積立金、年金財政全体の状況はどう乖離しているのかと いう点からの検証です。  60ページにまいりまして、その積立金につきまして実際にはいろいろなところでの運 用ということで行っております。各資産の構成割合、ポートフォリオに分けまして順次 やっております。そういったことについてのぶれがどの程度あるのか、これが3番目で す。60ページ中ほどでございますが、年金積立金の運用実績、どの程度の積立金運用が 行われていたのか、それが年金財政とどの程度のものだったのかという点。こういった 4点につきまして評価指標をつくり、御説明をさせていただいているところでございま す。  実績につきましては計算のとおりでございます。表をご覧いただきますと、マクロ経 済スライドにつきましては、17年度をご覧いただきますと、物価は上昇しておりません。 物価の上昇がありました折にその上昇の度合いを調整するというのが、マクロ経済スラ イドでございます。これまでの特例水準というプラス1.7%正常の水準からしますとか さ上げされた状態でございます。この水準のまだ内側にあるということで、マクロ経済 スライドそのものは発動されておりません。  2点目の評価指標ですが、財政再計算との乖離状況につきましては計算のとおりでご ざいます。17年度については、済みません「−(バー)」ということになっております が、「集計中」ということで今やっております。ポートフォリオとの乖離幅ということ につきましては、現在移行過程にございまして本来のポートフォリオにそれぞれ移行を しておりまして、年度ごとにそれぞれ違っておりますので後ほどご覧いただきたいと思 います。それから運用実績も積立金の実績等がまだ出てきておりませんので「集計中」と いうことで、御理解いただきたいと思います。  61ページでございます。年金制度の国際化ということで実績目標2を挙げておりま す。年々、社会保障協定の対象国が増えてきております。下ほどに評価指標として用い ておりますが、社会保障協定年金の二国間での協定の締結件数もご覧のとおり増えてき ております。17年度はカナダが追加されている状況にございます。  62ページをご覧いただきますと、年金制度実績目標3ということで、それぞれ私ども 所管の厚生年金、国民年金のほかに各省所管の共済制度がございます。国共済、地共済、 私学共済それぞれそういった制度を含めました各制度についての年金数理的観点等から の検証、これが私どもの仕事の大きな3つ目ということでございます。これは後ほど申 し上げたいと思います。  63ページ以下が評価でございます。ポイントだけ申し上げますが、63ページの下の評 価結果でございます。実績目標1、16年制度改正の評価ということにつきまして64ペ ージになりますが、先ほど御説明いたしましたマクロ経済スライドにつきましてはまだ 動いておりません。したがいまして、ここでは「年金の積立金の運用」が中ほどにござ います。これは17年度末の年金資金運用基金におきます資産構成割合、ポートフォリオ の現状を表にしております。移行ポートフォリオというのが上にございます。17年度は 資産割合ごとにこの程度の保有を目標にするということです。その次が乖離許容幅とい うことでございます。プラス・マイナスがこの程度までの許容ということで、実際の割 合はCの欄です。ご覧いただきますとそれぞれの移行ポートフォリオ、その許容幅にそ れぞれおさまっているところでございます。  実績目標の2でございますが、先ほど言いました国際化との関係でいきますと、繰り 返しになりますが、カナダとの関係で協定が結ばれて立法措置が行われております。3 億円程度の負担軽減が見込まれているところでございます。  実績目標の3でございますが、各共済制度を含めました制度の年金数理の状況は、社 会保障審議会の中の専門部会でございます年金数理部会というところで毎年度行ってお ります。ただ17年度に行いましたのは、15年度分の各制度の財政状況ということにつ きましての検証でございます。17年度分につきましては、少し先ということでございま す。昨年度の活動ということでは15年度分の財政状況報告ということでの検証を行った ところでございます。  65ページをご覧いただきたいと思います。それぞれ政策手段の有効性の評価というこ とでございます。これもなかなか難しい観点でございます。ここで書かせていただいて おりますのは、繰り返しがかなり多いのですが、特に実績目標2につきましては、協定 の実施ということで数は増えてきておりますが、これに伴いましてカナダとの関係でい きましても過去の例から見て、かなり短期間のうちで締結まで至っているということで す。順次これまでの締結国以外にも相当数、年金制度を含めました社会保障協定の申し 込みがございます。できるだけ短期間のうちに締結に向けた取り組みを進めていきたい と考えております。  最後でございますが、65ページ下から半分、総合的な評価になります。これも繰り返 しなり恐縮でございます。全体の前回の公的年金制度の改革そのものにつきましては、 順調に円滑に実施に移されているということでございます。ただ給付水準調整のマクロ 経済スライドにつきましては、いまだということでございます。積立金につきましては、 乖離許容幅の範囲以内ということでの適切な運用であっただろうと考えております。  一番下ですが、それぞれの制度の検証を行いますとともに、17年度からの取り組みの 一環ということでなお書きで書かせていただいております。財政検証を進めますととも に、年金制度のより安定性、信頼性の確保の向上ということで被用者年金一元化の取り 組みを進めてきております。去る4月28日には、被用者年金制度の一元化につきまして の政府としての基本方針を閣議決定したところでございます。本日、済みません説明資 料ということで、御説明は省略させていただきますが、別途配らせていただいておりま すので後ほどご覧いただきたいと思います。こういった一元化は作業を今後も続いてい きますが、こういう形で国民の信頼をより高めていく努力を引き続き行っていきたいと 考えております。  最後66ページでございます。結論的な評価結果分類及び分析分類につきましては、2 番ということでまとめさせていただいているところでございます。長めになりましたが 以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございます。それでは引き続きお願いします。   ○年金局企業年金国民年金基金課長  それでは実績評価書の67ページ以降と、後でお配りしました企業年金等の状況という 資料に基づきまして御説明をさせていただきます。  内容的に重複しますので、70ページ以降の評価から御説明をさせていただきます。実 施目標が2つございます。1つは、上乗せ年金の適性な運営を図るという目標の1が、 厚生年金基金の健全な運営の確保です。実施目標2が68ページにありますが、確定給付 企業年金、確定拠出年金、国民年金基金という上乗せ年金の普及の促進というのが目標 でございます。  70ページをご覧ください。厚生年金基金につきましては代行返上ということで、かな り件数が減少してきてございます。後でお配りいたしました資料の2ページをお開きい ただきますと、そもそも代行返上ですが、厚生年金基金というのは厚生年金の一部を代 行するということで、それを将来に向かってやめるときには過去分の代行に相当します 積立金を国に納めていただきます。それで上乗せ部分は確定給付企業年金ということで 2ページ目の上の絵でございますが、上乗せ部分は確定給付企業年金ということで新た な制度に引き継がれ、過去分の代行に相当する資産は社会保険庁の方に納めていただく ということになっております。この代行返上についてですが、4ページをご覧いただき ますと、過去分の精算まで済ませて新しい確定給付企業年金に移行することを「過去返 上」と呼んでおります。ピンクのグラフが過去返上でございます。見ていただきますと、 将来に向かってその代行をやめると、代行部分に相当する保険料を基金にとめ置くので はなく、国に納めるようにするというのが将来返上でございます。過去分の精算が終わ って国に返済が終わりまして新しい制度に移行するのを過去返上と言っておりますが、 これでご覧いただきますとわかりますように、15年以降数が非常に多かったわけでござ いますが、最近は終息しておりまして、特に17年度においては将来に向かって返上する というところは非常に減っておりますので、今後厚生年金基金の代行返上は非常に減る のではないかと思っております。  それから解散についてですが、評価書の68ページに出ております。15年、16年は90 件、80件ございましたが17年度は30件ということで、今申しましたように代行返上で すとか解散はかなり減少して終息してきているという状況でございます。合わせまして 16年の年金制度の改正におきまして、厚生年金基金につきまして財源手当てが行われた ということでございます。参考資料10ページで少しわかりにくいかと思いますが、厚生 年金の一部を代行するのに必要な保険料を免除保険料といっております。免除保険料分 については社会保険事務所に納めずに自分の基金の手元にとめ置いて、一緒に運用して いいという保険料でございます。これが新しい制度改正によって予定利率が3.2%と下 がりましたので、わかりやすくいいますと、よりたくさんの保険料をとめ置いていいよ うになったということでございます。そのような財源措置が平成16年度の制度改正によ って講じられたということでございます。  合わせまして参考資料12ページです。指定基金制度ということで、これも16年の年 金制度改正によって導入されたものでございます。14年度から16年度の決算結果で、 先ほど言いました代行部分に必要な積立金の9割を3年連続して下回っているところを 指定いたしまして、5年間で必ずその水準までは回復させるということで重点的な指導 を行うという制度を導入しました。昨年11月末に20の基金を指定して、重点的な指導 を行っているということでございます。  評価書の71ページでございますが、確定給付企業年金とか確定拠出年金については、 もともと税制上の優遇措置等が講じられておるわけでございます。16年の改正によって さらに確定拠出年金の限度額の引き上げですとか、企業年金のポータビリティの確保と、 要は年金資産の持ち運びができるようにするような改善を行いました。それから3つめ のポツですが、規約の変更手続の簡素化等のように規制緩和要望で出ているものについ ても、可能なものについては対応させていただいております。  国民年金基金についてですが、60歳になりますと資格喪失ということで加入者数等に ついては横ばいになっておりますが、業務委託手続の規制緩和ということで基本的に金 融機関であれば加入受付ができるという制度改正を行っております。したがいまして加 入勧奨をいたします受付機関も増加しているということになっております。  今まで申しましたことから、72ページのところに総合的な評価ということで書いてご ざいます。総合的な評価の4行目ぐらいですが、指定基金制度の導入等によって、厚生 年金基金については財政の健全化に向けた重点的な指導を行っており、また代行返上や 解散についてはほぼ終息しつつあるというのが現状でございます。  確定給付企業年金、確定拠出年金につきましては、参考資料の6ページ、7ページに 図をつけてございますが、かなり増加してきております。直近で申しますと17年度末で 確定給付企業年金は1,430件、それから確定拠出年金につきましても加入者数でいいま すと170万人を超えるところまで増加をしてきているということでございます。したが いまして総合的な評価については、「達成に向けて進展があった」としております。  最後に見直しについてということですが、参考資料の15ページをご覧ください。それ ぞれ確定給付企業年金、確定拠出年金につきまして法律の附則に見直し規定というのが ございます。例えば確定拠出年金法の附則には、法律の施行後5年を経過した段階で、 施行の状況を勘案して、必要があると認めるときには必要な措置を講ずるということに なっております。これは医療保険や介護保険と違いまして、そのときまでに改正すると いう規定ではなく、それを目途に、施行した段階で施行状況を検証して必要な場合には 見直しをしますという規定がございます。今いろいろな団体から改正要望等が寄せられ ておりますので、それを踏まえまして今後どのような改正の必要があるのか、あるとす ればどのようなことから検討していくべきかを考えております。 ○高橋座長  ありがとうございます。時間の関係でもう一つレポートしていただいてから、質疑、 ディスカッションということにさせていただきます。引き続きまして「医療・健康・介 護・福祉分野の情報化」についてをお願いいたします。 ○労働施策担当参事官室施策企画官  それでは御指示をいただきましたテーマにつきまして御説明をさせていただきます。 このテーマにつきましては、18年度以降の当省の重点評価課題となております。これか ら御説明申し上げますとおり、グランドデザインというものをこれから策定をするとい う状況でございますので、まだ評価書が策定をされておりません。説明資料の一番後ろ の「医療・健康・介護・福祉分野の情報化」についてというものに基づいて御説明をさ せていただきたいと思います。  まず政府の情報化の取り組みでございます。一番上に赤字で書いてございますように 今年の1月にIT新改革戦略というものが総理を本部長といたしますIT本部の方で決 定をされております。また、この7月中には重点計画−2006、これはIT新改革戦略に 基づきまして毎年毎年策定をする計画という位置づけになります。もうパブリックコメ ントも終了しておりますので、今月中に決定をされる予定になっております。この中で も特に医療・健康分野の情報化というものを重点課題として取り組むことになっており ます。これらを含めました介護・福祉分野も含めた全体の社会保障分野の情報化に厚生 労働省として取り組んでいくということにしているわけでございます。  医療・健康分野を中心に主な取り組みについて御説明をさせていただきます。1ペー ジ目の青字に主な項目が載っております。まずレセプトのオンライン化についてでござ います。ここに書いてございますように平成18年5月時点におきまして、全国の病院レ セプトの電算処理のシステム導入率は27.4%ということになっております。今後医療保 険事務の一層の効率化を図るために、完全オンライン化への円滑な移行を進めていきた いと考えております。具体的に申し上げますと2ページをごらんください、医療機関・ 薬局から審査支払い機関に提出されるレセプトにつきましては、平成20年4月から段階 的にオンライン請求に限定をしていくということでございます。具体的には、下の枠で 囲んでございます。病院では病床400床以上につきましては平成20年度から、病床400 床未満につきましては平成21年度からということにしております。診療所につきまして はコンピュータを既に導入している診療所は22年度から、それ以外のところは23年度 からです。コンピュータを既に導入している薬局につきましては21年度、それ以外は 23年度からということで、最終的には平成23年4月からは原則としてすべてのレセプ トがオンライン化されるということになっております。また審査支払い機関から保険者 に提出されるレセプトにつきましては、本年度中に電子媒体やオンラインでの提出を可 能なように措置をいたしまして、23年度からはオンラインのみとすることとしておりま す。  恐縮でございますが、1ページに戻っていただきます。医療情報システムの標準化の 促進等についてでございます。現在の状況を申し上げますと、オーダリングシステムと 申しまして従来は医師が紙で検査、処方せんの指示を行っていました。これをコンピュ ータ上で行うということにより、診療から会計までの業務処理を迅速化させることがで きるシステムでございます。こうしたオーダリングシステムの導入率が平成14年10月 で14.4%、その下に電子カルテシステムの導入率がございますが、病院で2.5%、一般 診療所2.6%となっております。こうした医療診療所、病院診療所等の情報から推進に つきましては、まず医療情報システム間の互換性の確保ですとか、標準化、セキュリテ ィの確保といった基盤整備が必要であると考えております。そのため、国際標準規格に 準拠したシステム等の開発、医療従事者の認証のための認証局の試験運用というものを 2006年度までに開始するといった取り組みを始めることとしております。  具体的には3ページです。標準的電子カルテ情報交換システムをごらんいただきたい と思います。現状電子カルテ導入の有無にかかわらず、医療負荷への負担を軽減するこ と、あるいは患者に対するわかりやすい情報提供を可能とすること、医療機関間の円滑 な情報交換を可能とすること等に留意をしながら、各医療機関の連携に必要な環境整備 を総合的に実施するために、色でいいますとピンクの標準化ツールの開発というものを 行うこととしております。またこれと合わせまして、各種レポート、入退院サマリー、 問題点リストなど診療情報の連携に必要な情報の電子化を進めていくこととしておりま す。  続きまして4ページをごらんください。医療における公開鍵基盤についてです。こう した電子システム、ネットワーク上の情報の改ざん、あるいは成り済ましといったもの を防止するために、医師等の医療従事者が電子署名を活用できます公的資格等の確認機 能を有する公開鍵基盤を整備することといたしております。  また恐縮でございますが1ページにお戻りいただきます。3つ目、予防医療のための 情報の活用についてでございます。現在の状況としまして、健診等に基づきます保健指 導は特定時点での健診結果のみに基づいて行われているところでございますが、今後は 経年変化ですとか将来予測を踏まえ計画的に実施することが重要ではないかと考えてい るところです。健診の実施者であります保険者が収集すべき標準的な健診項目について 検討を行いまして結論を得て、データの経年変化に基づく保健指導など予防医療への活 用方策を確立していきたいと考えております。  これにつきまして5ページごらんください。ここに書いてございますように2007年度 までに、生涯にわたる健診結果を電子データとして継続的に収集・管理するための仕組 みというものを確立をいたしまして、2008年度から2010年度までに健診結果等の健康 情報を個人や保険者等が活用するための基盤整備を開始し、それを普及推進するととと もに、さらには収集された健康情報の活用方法の確立というものをそれぞれ段階を踏ん で行うこととしております。  また恐縮でございます1ページに戻っていただきまして、こうした取り組みを踏まえ ましてグランドデザインの策定の関係でございますが、ことしの夏までに、医療・健康 分野における情報化のグランドデザインについて一定の整理を行った上で、今年度中に 全体、医療・健康・介護・福祉分野の情報化のグランドデザインというものを策定する こととしております。現在、そうした情報化による将来的なイメージでありますとか、 分野横断的な情報化、方針等について検討を進めているところでございます。以上でご ざいます。 ○高橋座長  ありがとうございました。伺うところ、少子化の話と情報化の話はこれから政策評価 に乗っかってきます。今スタートラインに立って政策評価の対象が動き始めているとい う経過の御報告と受け止めましたが、そんな感じでよろしいですか。再構築ということ もあろうかと思います。年金については、年金改革以降動いている結果について御報告 をいただきました。  私の方から質問ですが、少子化対策でモニタリング結果報告書と書いてありますが、 これは実績評価書と同じものを、そういうネーミングで雇用均等・児童家庭局は呼んで おられるのか、それは何か別の扱いがあるのでモニタリング結果報告書という名前がつ いているのか、議論が混乱しますのでお願いします。 ○吉田評価官  それにつきましては評価官室の方から御説明をさせていただきます。参考資料2をご らんください。冒頭申し上げましたように関係資料でございます。10ページから厚生労 働省おける施策評価に関する基本計画をまとめさせていただいております。これが今年 の年度末に切れるので、次期計画に向けてこれまでも有識者会議及びワーキングでいろ いろとお知恵をいただいているところでございます。この中15ページからは事後評価と いう言葉が出てまいります。まさに本日やっていただいておりますように、施策の過去 を振り返るもの、事後評価という位置づけかと思います。その中に実績評価に基づいて 行うものと、総合評価という形で行うもの、そしてまた数値を追うという意味でのモニ タリングという大きく3つの概念がございます。それを事後評価をするにあたっての3 つの手法だというふうにお考えいただければと思います。  例えばで申し上げますと、その後ろに具体的に個別項目についての評価がございます。 80ページをごらんいただきますと基本目標6。この固まりで「基本目標」としてあって、 その中に幾つかの「施策目標」がある。先ほどごらんいただきましたようなものは、例 えば81ページから見ると、大きな基本的目標6の中に施策目標3として働きながら子ど もを産み育てること云々と書いてございます。82ページをごらんいただきますと3−I という項目については18年度「モニ」と書いてございます。これを各年度の始めに私ど もが整理をさせていただいて、例えば法改正が予定されるようなものは総合評価でいこ う、あるいはフォローアップの場合はモニタリングというふうに整理をさせていただい ております。 ○高橋座長  私が失念をしました。ありがとうございました。それでは3つのグループのそれぞれ 事前、事後と評価官おっしゃいましたが、どうぞ御質問、御意見等を含めましてやや時 間が押していて恐縮でございますがよろしくお願いをいたします。それぞれ大変国民的 関心が高いテーマが並んでおります。 ○紀陸委員  細かい点で恐縮でございますが、資料1の55ページに待機児童の問題が載っていま す。質問ですが、評価指標の中に13年度から17年度までの数字があります。保育所の 受け入れ児童数は16万人ほど伸びていると思います。一方、待機児童の数が余り減って いないというか増加しています。相当に受け入れの児童数がふえているのにかかわらず 待機児童数が増加傾向にあるといった関係が余り理解できません。前から待機児童数が 減らないといわれている割に結構頑張って数がふえているわけです。掘り起こしがある のかどうか、その辺の関連をお教えいただければと思います。 ○少子化対策企画室長  俗にわかりやすい例で申しますと、高速道路をつくっても渋滞はなくならないという 現象がございます。それと同様の現象と考えております。小泉政権になりましてから待 機児童ゼロ作戦というものを閣議決定をいたしました。ここには保育所受け入れ児童数 だけを書いてございますが、このほかに幼稚園の方で預かり保育をやっていただいたり ということも含めて、総合的に待機児童の解消を図っていこうということで、毎年で申 しますと大体5万人の受け入れキャパの増加を図ってきております。待機児童数が2万 数千人ということですから1年で解消できそうなものですが、それがなかなか減らない というのは一つは地域的な問題がございます。待機児が存在をしている地域は、地域的 に偏っております。待機児童が50人以上いる市町村が93か94ぐらいあります。そこで もう待機児の8割は存在をしているということです。もちろんそういった地域を集中的 に保育所の受け入れ枠を拡大ということをしていますが、そういう地域的なギャップが あるということです。  もう一つは、例えば横浜市が非常に待機児が多いのです。そこで話を聞きますと潜在 的にかなりの需要があって、近くに保育所ができることによって、今まで保育所に預け て働こうと思っていなかった人たちが働き始めるというようなことがある。もっと極端 な例で申しますと、近くに保育所ができるというのでわざわざそこに住所を定めるとい ったということも聞いております。そういったことで5万人つくれば、5万人待機児童 が減るという関係にはなかなかならないということだと思います。特に昨今経済情勢が 厳しい中で、チャンスがあれば就労して少しでも家計の足しにしたいというニーズも非 常に強いというふうに想像されるところでございます。 ○高橋座長  この種の個人の便益に帰する公共サービスというのは、例えば特養でもそうです。こ れが社会サービスの一つの特徴かと思います。そこら辺は政策指標を考える上で大変頭 が痛い話です。供給がふえれば需要をそれ以上に誘発するというのが、この種のサービ スの特徴かと思います。 ○渡辺委員   結局少子化の理由は山ほどあります。保育所にすると、まだ足りないというのが一般 的な認識です。その認識が間違っていれば、まずいわけです。本当に保育所は足りてい るなら安心して子どもを産める状況(移動などの摩擦的な現象でゼロにはならないにし ても。)にあるとの事実を国民全体がきちっと確認することによって、その問題は一つ 解決されるわけです。その辺もよくお考えになった方がいい。 ○少子化対策企画室長  今の点で申し上げますと、そのとおりでございます。いわば特に働いている女性で考 えますと自ら人生のプランニングをして、いついつまでは育児休業をとってその後は預 けて働いてというプランニングをするわけです。そのときに保育所の利用可能性がある かないかということで、そのプランニングが可能かどうかというところにつながってま いりますので、そこは重要な観点だと思っております。待機児童の数全体を減らしてい くということもありますが、私たちはそういった意味ではゼロにはならないかもしれな いけれど、少なくともしばらくしのげば保育サービスが利用可能な状態にあるというこ とはやはり大事だと思っております。保育所の待機児童数が一つの市町村の中でそう多 数にならないと、一つの目安として50人という切り口を設けまして、50人以上待機児 童がいるような市町村の数をなくしていこうと、何人か待機児童がいても何カ月かしの げば入れるということであればプランニングもできると思いますので、そういった目標 設定のもとに取り組んでいるというところでございます。 ○高橋座長  ありがとうございます。そのほかどうぞ、よろしくお願いいたします。 ○紀陸委員  社会保障の外国との協定化の問題でございます。カナダが17年度から対象になるとい う話です。余りよく知りませんが、複数の対象国を一括して協定を結ぶ方針が技術的に 可能なのかどうかです。外国人向けの年金をなくす法案というのが提出されたというこ とを伺って、技術的にそういうのは可能なのかどうか教えていただきたいと思います。 ○年金局総務課長  今の点で大変私どもも今後のやり方について示唆的ですが、社会保障協定そのものは 外務省が担当して性質的には恐らく条約というものだと思いますが、二国間での協定と いうことになります。それはそれで並行してもちろんできますし、現に16年度はフラン ス、ベルギー両国と行いました。また協定を実施する国内法の整備につきましては、国 内法でありますので、国際協定がどういう形でできるにせよ、共通的な立法を行う余地 が恐らくあると思います。かつて租税条約が同じように二国間協定でずっとやってきな がら国内法もその都度整備してきたという歴史があります。ある段階から包括的な国内 法整備に切りかえております。私ども社会保障協定も、協定そのものは並行して2カ国 での協定ということにならざるを得ないと思いますが、極力国内法の整備につきまして は包括化できるような方向で、大臣からも少し御指示いただいておりますので、今後そ のようなことで検討していきたいと考えております。 ○阿部委員  これは全体的なお話になるのかもしれませんが、今の年金に関して65ページの総合的 な評価の一番上のポツです。政策評価が、長期的に見て評価されるということはわかり ますが今年度の評価であるにもかかわらず、意味の取り方によっても変わってくるかも しれませんが、「持続可能な制度とされた」と書いてあります。持続可能な制度とされ たのは16年度年金制度改正ですが、今年度の政策評価ではないような気がします。と同 時に持続可能な制度を評価するに当たって単年度で評価していいのかという問題も出て くるのかという気がします。書き方なのかもしれないし、あるいは評価指標の問題かわ かりませんが、そのあたりを年金という長期的なスパンにわたって政策を運営するもの に関しては、評価そのものを考えていく必要があるのかという気がしました。 ○年金局総務課長    非常に重要な点だと思います。私ども実はこの報告書を作成するに当たって一番苦慮 した点がその点でございます。大変大きな制度改正、制度改革を行ったわけですが、年 金そのものが非常に長期的な制度ですから、その評価なりパフォーマンスを単年度ごと にどういう切り口で評価していくべきか悩みました。そういう意味では、いろいろな切 り口があると思いますが、極力単年度ごとに評価し得るものをピックアップしており、 どうしてもそういう制約のもとにまとめられています。今おっしゃいましたような点が 一番大事な点だと思っております。ご指摘のとおり、今回の制度改正によりまして、タ ーゲットを100年ぐらい先まで置きまして財政均衡を図っているという制度改正を行い ました。そうは言いましても、少なくとも5年に1回は財政均衡が当初の予定どおり図 られているかチェックする制度にしたわけでございます。むしろ毎年の単年度、単年度 のいろいろな指標での評価はこういう形で差し上げながらも、恐らくは制度改正、今言 われました本質的な部分の評価というのはそういう全体の財政検証、昨今の人口減少の 要素も加えいろいろな経済前提も踏まえた形でのトータルとしての財政検証というもの が、恐らく前回の年金改革の評価そのものに、今委員がおっしゃったような点に近いも のになるだろう思っています。そういう意味では、今回の評価は非常に制約のある評価 だろうと思っています。 ○渡辺委員  年金の持続性に関しては今言われたように、いろいろ意見があります。また、社会保 険庁はこの中ではどういう取り扱いになっていますか。参考資料2の17ページに社会保 険庁の実績評価が入っておりますが、ここの評価の中にはほとんど入っていません。こ れで世の中へ出したら「何をやっているのだ」となるのではないかと思います。その点 はどうでしょう。 ○高橋座長  評価官からお答えをお願いします。 ○吉田評価官  おっしゃるとおり、また先ほど年金局からの説明の際にも社会保険庁、実施庁として の評価は別だということを申し上げました。仕組みの上から申し上げると、社会保険庁 については評価に当たっての根拠の法律が違い、別途中央省庁再編基本法に基づいて、 実施庁としての評価を行っております。実際には16年度の実績を昨年17年10月に取り まとめて世の中に明らかにさせていただいております。17年度事業実績の評価を社会保 険庁が自らまずデータを整理して私ども厚生労働大臣に報告をし、厚生労働大臣が評価 をした形で公表をする。今社会保険庁いろいろ起こってばたばたしておりますので、夏 というわけにはいかないかもしれませんが、夏、秋の時期には次の評価を発表させてい ただきます。  そういう意味では仕組みのもとが違う。非常に役人的で申しわけありませんが、政策 評価法に基づく政策評価とは別になってはございますが、国民の皆様方には最終的に実 施庁のパフォーマンス、実施庁の事業というものも実績とそれに対するコメントを合わ せて評価するような仕組みになっております。 ○高橋座長  運営機関と政策機関の違いというのがあるのだという御説明であったかと思いますが いかがですか。 ○渡辺委員  それをこの中できちっと説明されないと、一般の人にはわからないのではないか。 ○吉田評価官  わかりました。仕組みは申し上げたとおりですが、「国民の目から見て」と、まさに この有識者会議としていただいた御意見ですので、最終的に世の中に明らかにするとき には工夫をさせていただきたいと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。40分ぐらいで終えたいと思います。後5分以内ということで よろしくお願いいたします。 ○堀田委員   2点、今社会保険庁の問題が出ました。全く同意見です。政策立案とその実施とがば らばらでは本当にわからないです。特に社会保険庁のことを私は余り言えませんが主観 的評価と客観的評価が非常に乖離しているときですから、両方を合わせて発表の仕方の 問題ではあると思いますが、しないと今のような意見は当然出てくるだろうと思います。  それから先ほど出た意見ですが、年金の評価、少子化の評価、持続可能な年金制度の あり方あるいは少子化のあり方というのも非常に大きなテーマです。役所の一つの課、 一つの局でそれについて責任を持って取り組めるような話ではないわけです。そういう 事柄と、年金の中でも国際化で協定をどれだけつくるか、年金の種類をどうやるかは比 較的ほかのと平仄を合わせて整理しやすい。そういうほかのと平仄を合わせて整理しや すいものと非常に大きな全体にかかるものと3つを一緒にしてしまって、それで1とか 2とか評価すること自体無理があるのではないかと思います。非常に大きな問題につい ては、そういうものを幾つかまとめて、そういうものについての違う評価の仕方がある のだろうと思います。総合的全体の見方とか、そういう評価の仕方を考えなければいけ ないのではないかという気がします。  例えば少子化を解消するといっても、日本人が日本人の子どもを産んでちゃんと育て るという政策なのか、あるいは里子をどんどん海外からとり、移民を認めて年金負担者 をふやしていくというところまで広げた政策かによっても政策の内容が変わってきま す。大きな視点で取り組んだ方がいいのかなと思います。以上です。 ○高橋座長  今の議論はこの有識者会議でたびたび議論になりました。多分大文字の政策評価とス モールレターの政策評価とでもいうのかと思っておりますが、そこら辺はまた改めて議 論をさせていただきたいと思います。ほかにどうしてもということでなければ、これで 説明を終わらせていただきたいと思いますが、渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員  堀田先生が毎回言って私もここで何度か言ったのですが、厚生労働省の政策としてや るだけのことはやっているけれど限界があることはたくさんあります。少子化、フリー ター問題でもやるだけのことはやってもフリーターの解決には、堀田先生の云うように 企業の問題もある、家庭の問題もある、その他いろいろな要員が重なっている。厚生労 働省としては省の中でやれることはやってるけれども、なかなか問題解決しないと。こ ういう大きなテーマの施策目標を達成するために、もっと省間の壁を取り払われていく ような工夫も評価の中に必要かと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。これからの議論の中でやらせていただきます。きょうは改め て厚生労働省の政策の幅の広さという、一種の長期、短期、手法も含めまして幅の広さ を6つのケースを伺うだけでも実感をいたしました。大変いい機会であったかと思いま す。この議論を踏まえながら来年また議論を、今ワーキンググループの御説明を後でい ただきますが、ということで進めさせていただきたいと思います。大変、御多用中レポ ートをいただきましてありがとうございました。 ○吉田評価官  ありがとうございました。今座長からおまとめいただきましたように、いろいろな切 り口、あるいは行政分野、政策の性格づけの中で、今日も6つのものについてお聞き届 けをいただきました。先ほど堀田委員からも御指摘いただきましたように、全体を並べ てみるとまたいろいろなことが見えるというお話がございましたが、お手元の108の項 目についても整理をさせていただきます。  今日いただきました御意見は、それぞれ所管課が受け取って直すものは直し、また加 筆をした上で最終的にものを固め、私どもの予定としては今月末に公表をさせていただ こうと思っております。  加えて先を急ぐようで恐縮ですが、まさに今日幾つか御指摘をいただきましたことは、 私どもとしてみれば2つ目の議題として予定をしておりましたワーキングでも御議論い ただいております。基本計画そのものを年度末に向けて見直していかなければいけない 作業に当たって、事務方としては非常に頭の痛いことです。委員の皆様方にお知恵をい ただきたいと思っております。  お手元の資料2−1と2−2でございます。前回この有識者会議で御報告して以降、 ワーキングも1回開いていただきました。資料2−1にございますように、私どもなり の事務局の未定稿ということでお許しいただいて1ページから4ページにわたって幾つ かこれまでいただいた課題についてこんな御意見がありました、あるいはそれを反映さ せていただいて対応できるものから対応させていただいておりますということを御報告 させていただいております。  1つ目は「評価のあり方」ということで、これは常に拳々服膺すべきということでご ざいますが、頭の整理をワーキングの先生方にもお力添えをいただきながらさせていた だいております。これをどうやって省内徹底していくか、今日のような形で直接部局か ら聞いていただく、あるいはそれに対して御意見をいただくということも省内全体とし て政策評価というものを考え直すいい機会であったかと思います。  2つ目の「政策体系の再編」につきましては、評価書という最終的に世の中に出てい くものがいま一つの出来ではないかというこれまでの御指摘がある中で、体系をどうす るかです。先ほど来より御議論ありますように「大文字の政策、小文字の政策」、ある いは堀田委員、渡辺委員のおっしゃったことを整理して−先ほどの基本計画でも総合評 価、実績評価、モニタリングというのが今の仕組みの中にもあるということを申し上げ ましたが−タイミングあるいは手法についてどのように見直していくのかまず私どもと して頭の整理をしたいと思っております。  作業といたしましては、19年度からの新基本計画に向け、施策の実施主体とか達成手 段別というのも整理する際には切り口としてあるのではないかという御指摘をこれまで もいただいております。それに基づいたあり方を考えてまいりたいと思います。  2ページ目は具体的な様式でございます。これについては基本目標、施策目標、実績 目標という今のロジックが整合的であるか、あるいは説明的であるかという御指摘をい ただいております。引き続き検討してまいりたいと思います。評価指標につきましては、 交付金というような従来の補助金のようながちがちの実績報告が出ながら、見えるもの と違って、ある程度交付金という形になった場合にどうフォローするのかというような 御指摘もいただいていますので、このあたりも念頭に置きたいと思います。  評価書の中では(1)有効性、(2)効率性、あるいは先ほど来御指摘ありますように、(3)の 総合的な評価とどうまとめていくのがいいのか、どう客観的に見ていくことができるの かということについては、きょういただきました議論あるいはこれまでの検討も踏まえ て少し整理をさせていただきたいと思います。  最後4ページ目でございますが、その他の評価書の方法についても、例えば必要性、 効率性、有効性などの評価指標のあり方についてどうするのかということを、ワーキン グの先生方にもお助けいただきながら議論をし、またこの有識者会議で途中経過も御報 告させていただきながら進めてまいりたいと思っております。  既に今日ごらんいただきました評価書にもある程度反映しているのではないかと思っ ておりますが、冒頭確認いただきましたモデル評価書も、ワーキングなどの先生方のお 力添えもいただいてつくりました。これを示すことによって、今までの評価書では十分 でないということを、ただ省内事務的に申し上げておりましても良くなりませんのでこ ういうのをモデルとしながら各部局悩む、あるいは取り組んでいるというのが現状でご ざいます。この取り組みを引き続きつなげて、年度末あるいは来年度に向けて取り組ん でいただきたいと思っております。  ワーキングにつきましては、夏の間私どもに勉強の時間をいただきまして、秋口から また改めて、これまでの議論の成果を踏まえた上での議論を再開させていただければと 思います。有識者会議の先生方にはワーキングの先生方とも御相談させていただきなが ら、時に応じてこの場でも御報告をし、御意見を大所高所からいただければと思ってお ります。ワーキングについて−非常に事務方の整理でございますので委員の皆さん方か らまた補足等あるかもしれませんが−現時点での御報告をさせていただきました。以上 でございます。 ○高橋座長  一応御報告ということでございますが、何か御質問等があれば。 ○渡辺委員  我々民間から見ますと、多くの項目ほぼ全てが2で「達成に向けて進展があった」で は納得しません。山に100メーター登っても進展があるし、8合目まで行っても進展で す。しかも何年でそこまで行くかと。そうすると仮に進展があっても目標を達成したと いうのが当たり前なのか、あるいは目標を達成するということは容易でないことか、こ こら辺も政策評価といって目標を達成するのは当たり前だといえば、この「2」という のは一体どのくらいの速さで達成できるのか、進んでいるけれどなかなか目標には届き づらいよという2つぐらいの種類がないと、有識者会議の評価は、なんとなく甘くて官 僚ベースに引きずられているという感じると思うのです。ですから使っているお金に対 しての進展が、進展はしているけれどもこれではまだ不十分だとかなど「2」をわける 工夫をしていただきたい。これですとオール「2」になってしまいます。内容を読んで くれればわかりますが、世間はそういうものではないと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。レーティングのスコアというのは、どこでも評価を見ている と大学の評価もそういう感じがいつもしていて頭を悩ましています。 ○吉田評価官  まさに今渡辺委員が御指摘いただいたことは悩んでみたいと思います。また、少し御 示唆いただけるならば、今のお話の中にありました目標というものをどう考えるか。実 施庁の場合は与えられた仕事を当たり前にやるのが当然であって、当たり前にできなか ったときにはなぜできないということになろうかと思います。政策の場合に、オール2 をどう受け止めるか、逆に言うと目標の設定の仕方によってオール2にならなくても済 むわけです。そこをどう考えるかということについて、またこの場であるいはワーキン グで、それ以外の機会でも私どもの方に御示唆いただけると非常にありがたいと思いま す。 ○阿部委員  基本計画において、政策評価の観点に関する事項では1から5まで5つ並んでいるは ずです。ところがこの実績評価書は、効率性と有効性の2つのみが書いてあります。今 回のワーキンググループでも、この2つについては明示的に書いてありますが残りの必 要性、公平性、優先性この3つについて、何か議論があったのか。基本的計画に書いて ある以上、作文にならないようにこの3つも書くべきではないかと思いますがいかがで しょうか。 ○吉田評価官  基本計画に書いてあるのは、まさに政策評価法の理念として掲げられているものと思 っておりますので我々はその切り口を大事にしたいと思っています。ただ現実問題どう 書くのか、特に選択については、評価書の書き方以前に、そもそも先ほども御紹介しま したようにワーキングなどでは、ロジック、その基本目標に対して施策目標があり実績 目標があるというロジックそのものが今のいう選択といいましょうか、優先性みたいな ことも含めて、ある程度反映している部分もあるのではないかという御指摘もこれまで いただいたかと記憶しております。一つ一つ今のところぎりぎり詰めるという作業では ないかと思いますが、5つの項目ということでもありますので、私どもとしては十分念 頭に置いてワーキングの中でもまた私どもの案を叩いていただこうと思いますし、御意 見もいただきたいと思います。 ○阿部委員  以前、これに関して各専門的な問題は我々ここで議論しても仕方のない話なので、審 議会とか研究会で多分議論があるでしょうと。その中では必要性や優先性やいろいろな 議論があるはずだと、そうであるならばその議論をぜひとも評価官室の方で、この評価 書の方に掲載するとか、何かひもづけをされるということができなかと思います。その あたりも今後御検討いただければと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。よろしゅうございましょうか。野川委員よろしく。 ○野川委員  どこで申し上げたらよろしいかわからなかったのですが、実績評価書にもございます 最初の基本目標、施策目標それからブレイクダウンした番号に行くときの整合性につい て少しお伺いしたいと思います。  具体例を挙げますと先ほどの雇用促進のところで、資料1の24ページにありますが、 基本的目標では労働者の職業の安定を図ることとあります。そして、施策目標の3とし て労働者の特性に応じた雇用の安定・促進を図ることとなっております。そのブレイク ダウンしたのが、若年者の雇用を促進することです。つまり、目標は安定を図るのです が、一番ブレイクダウンしたのは雇用を促進するのです。これ時として釈迦に説法です けれども矛盾します。要するに若年者の雇用を促進するというのは、労働市場への初発 の参入をできるだけ広く実現するのだということであれば、必ずしも安定的な雇用とい うことに重きを置く必要がなくなるわけです。その後の雇用の安定の問題は、先ほど何 年ぐらいで離職するのかを見ろと言いましたが、それは雇用の流動化の観点から見た施 策目標にゆだねるのだという議論はあります。  私が申し上げたいのは、基本目標から一番ブレイクダウンしたところまでの体系性を 一度どこかで説明していただく必要があるのではないか、つまり基本目標では職業の安 定と書いて、なぜ最後のところで雇用の促進となっているのか。こういう全体の政策の 体系の中でこういうことになるのだということをおっしゃっていただくと、その位置づ けが見えてくる。そういうところを検討していただきたいと思います。 ○渡辺委員  団塊の世代の卒業をどうするかということと、若年者の雇用の確保とは関連している わけです。定年制を延長すれば今度は若年者への影響がくる。高齢者の職か若年者の雇 用かどちらかを最優先でやろうよというのか、そこら辺の選択と集中がもう少し色濃く できた上で、その裏にある哲学がはっきりしないから並列的に施策目標が個別的に並ん でいることを、省としては考えていく必要があるのではないでしょうか。何かを犠牲に しなければ何かは達成できないという、そういう裏腹の世の中になってきているのでは ないでしょうか。  流動性というのは、3年間で働いて嫌な企業ならやめるような若者が出てくるほうが むしろ社会にとっては好ましいという価値観もあるわけです。嫌な企業はどんどんやめ られてしまう、だから企業がしっかりしなければいけないという実業界の自覚、そこも 意争があるわけです。嫌な企業はやめられて当然、しかしよい雇用の雇用を3年でくる くるやめないようにするにはどのような施策目標が掲げられるべきか。それがさっき堀 田先生が言われたように厚生労働省だけではなかなか解決できないいろいろな問題が含 まれているということではないでしょうか。 ○高橋座長  では森田先生から。 ○森田委員  きょうの御議論を聞いてての印象と、ワーキンググループについては厚生労働省の方 でも夏に勉強されるということですので、感想めいたことだけ申し上げます。  この政策の評価といいましても何を評価するかということ自体大変でございますが、 行政活動自体がある社会に発生する問題の解決だとしますと、それが果たし得る役割と いうのがある程度限られているわけです。行政の活動がどういう活動をして最終的な問 題の解決に結びつくかというときは、問題の発生原因からの因果関係を構成する要素の どこをどうコントロールするかという話だと思います。実際に寄与し得る率というのが どれくらいかというと、分野によって非常に少ないものがある。そこのところの問題の 発生原因とその原因を取り除くために、行政が何をし得るかということがある程度見え てきませんと、最終的な結果だけで国民に対してメッセージを発しますと、過剰な期待 が出てしまう可能性があると思います。  行政で本当に何ができるのか、先ほどの雇用促進もそうですが、多分最大の要因は経 済状況によって変わってくるわけです。それを無視して行政側だけの努力で雇用をふや すといっても、ごく限られたことしかできないと思います。保育所の待機の問題もござ いますが、では保育所をどんどんふやして待機をゼロにすれば少子化問題は解決するか といったら、これまた限られた部分しかコントリビュートしないわけです。その辺につ いて、評価書もそうですがもう少しメッセージをきっちと、こうこうこういう問題の構 造があって、その中で行政は何をしているということが明らかになりますと、きょうの 議論にも出ましたが評価書を読まれた方ももう少し問題状況が理解できると思います。 それを前提にして、「行政はそれなりによくやっているな」「もっとできるじゃないか」 ということができます。先ほどの年金の計算など、ほとんど100%行政ができる話です から達成していただかなければ困るのですが、景気が悪いときに職業の就職率を高める なんていうのは至難の業だと思います。それを同じ基準でもってやって、後者の方は評 価が低いというのは、やはり不合理だと思います。  そのことに関連してもう1点だけ申し上げますと、やはり大所高所の大文字の政策と、 それをブレイクダウンしてそれぞれの課に割り当てられている任務との関係もはっきり いたしませんと、きょうみたいにサンプルでこられますと、ある課が仕事をしたら全部 そこで少子化の責任を負わされる話になりかねません。それは少しかわいそうです。そ れぞれの課は大きな政策に与えられたミッションをどの程度果たしているかということ だと思います。大もとの政策が間違っている場合には、これはちょっと別な観点から評 価しなければならないのではないかと思います。これも何回か繰り返して似たようなこ とを申し上げたかもしれませんが、そういうことについてもう少し整理をされますと、 きょう出ましたいろいろな御疑問に対してもある程度お答えできるのではないかと思い ます。 ○高橋座長  ありがとうございました。政策統括官の方から何かございますか。 ○政策統括官  きょうは貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。正直いって政策評 価はまだトライアンドエラーというか試行錯誤の段階だろうと思います。今日は私もは じめて最初から最後まで聞かせていただきました。説明者は課長クラスで引き続きお願 いしたいと思いますが、今日伺っていて思ったのですが非常におもしろい議論といいま すか大事な会だと思いました。空ている幹部はできるだけ出席するように、次回以降は 努めたいと思います。  それから評価書に関して、今年の評価書でこれから大きな変更は難しいと思いますが、 普通の国民が読んで関心を持つというか、わかるものにすることは最低限必要だと思い ました。いろいろきょうはありがとうございました。 ○森田委員  今のお話を聞いていて思ったのですが、私もほかでもやっていますが、同じような評 価の問題がどこの省でも、地方公共団体でもみんなやっています。少し情報を共有して いただきますと、どこか1カ所が苦労すれば解決する問題がかなりあります。みんな同 じことをやっているような気がいたしますので、その辺も御配慮いただければと思いま す。 ○高橋座長  厚労省はどこで苦労するかという守備を少し決めないと、本当賽の河原みたいな話に なってしまいます。ということで評価官の方にお返しいたします。 ○村木政策評価審議官  ちょうど基本計画も見直すという大変いいタイミングでございますので、御議論をぜ ひ生かしたいと思います。ありがとうございました。 ○吉田評価官  本日はありがとうございました。次回につきましては、また追ってということで、ワ ーキングの進行も見ながら御連絡をとらせていただき、時間をいただきたいと思います。 長時間ありがとうございました。 ○高橋座長  きょうは何とか4時2分前ぐらいに終わることができました。御協力いただきまして ありがとうございました。                          了 (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)